(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024068714
(43)【公開日】2024-05-21
(54)【発明の名称】走査型電子顕微鏡による試料観察方法、走査型電子顕微鏡による観察用試料の作製方法、および、粉末試料の管理方法
(51)【国際特許分類】
G01N 23/2251 20180101AFI20240514BHJP
【FI】
G01N23/2251
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022179259
(22)【出願日】2022-11-09
(71)【出願人】
【識別番号】000183303
【氏名又は名称】住友金属鉱山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145872
【弁理士】
【氏名又は名称】福岡 昌浩
(74)【代理人】
【識別番号】100091362
【弁理士】
【氏名又は名称】阿仁屋 節雄
(72)【発明者】
【氏名】村尾 奈美
(72)【発明者】
【氏名】金子 雅子
(72)【発明者】
【氏名】高須賀 博史
(72)【発明者】
【氏名】林 徹太郎
【テーマコード(参考)】
2G001
【Fターム(参考)】
2G001AA03
2G001BA07
2G001CA03
2G001DA09
2G001LA02
2G001LA05
2G001LA06
2G001MA04
2G001RA06
(57)【要約】
【課題】客観的な走査型電子顕微鏡観察が可能となる技術を提供する。
【解決手段】粉末試料を試料台に貼り付けられたテープに固定する工程と、粉末試料が固定されたテープを複数の区画に区分し、複数の区画内のそれぞれにマーキングをする工程と、走査型電子顕微鏡により、マーキングから所定の距離離れた位置を観察視野として撮像し、複数の区画の数に応じた複数の画像を得る工程と、を有する、走査型電子顕微鏡による試料観察方法。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉末試料を試料台に貼り付けられたテープに固定する工程と、
前記粉末試料が固定された前記テープを複数の区画に区分し、前記複数の区画内のそれぞれにマーキングをする工程と、
走査型電子顕微鏡により、前記マーキングから所定の距離離れた位置を観察視野として撮像し、前記複数の区画の数に応じた複数の画像を得る工程と、を有する、走査型電子顕微鏡による試料観察方法。
【請求項2】
前記複数の画像を得る工程では、予め撮像された基準画像のコントラストに近づくように、前記走査型電子顕微鏡のコントラスト値とブライトネス値とを調整する、請求項1に記載の走査型電子顕微鏡による試料観察方法。
【請求項3】
前記複数の画像を得る工程では、前記基準画像が撮像された走査型電子顕微鏡とは異なる他の走査型電子顕微鏡により複数の画像を得る、請求項2に記載の走査型電子顕微鏡による試料観察方法。
【請求項4】
第1の走査型電子顕微鏡により、前記マーキングから所定の距離離れた位置を観察視野として撮像し、前記複数の区画の数に応じた複数の基準画像を得る工程をさらに有し、
前記複数の画像を得る工程では、前記第1の走査型電子顕微鏡とは異なる第2の走査型電子顕微鏡により、前記基準画像と同一の観察視野を撮像し、前記複数の区画の数に応じた複数の画像を得る、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の走査型電子顕微鏡による試料観察方法。
【請求項5】
粉末試料を試料台に貼り付けられたテープに固定する工程と、
前記粉末試料が固定された前記テープを複数の区画に区分し、前記複数の区画内のそれぞれにマーキングをする工程と、を有する、走査型電子顕微鏡による観察用試料の作製方法。
【請求項6】
粉末試料を試料台に貼り付けられたテープに固定する工程と、
前記粉末試料が固定された前記テープを複数の区画に区分し、前記複数の区画内のそれぞれにマーキングをする工程と、
走査型電子顕微鏡により、前記マーキングから所定の距離離れた位置を観察視野として撮像し、前記複数の区画の数に応じた複数の画像を得る工程と、
前記複数の画像から、前記粉末試料の不具合の有無を確認する工程と、を有する、粉末試料の管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走査型電子顕微鏡による試料観察方法、走査型電子顕微鏡による観察用試料の作製方法、および、粉末試料の管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
工業製品の小型化、軽量化に対応するため、原材料についても微小化のニーズが高くなっている。その一例として、金属粉末、セラミック粉末、樹脂粉末等の粉末があり、これらは粉末冶金、射出成形、塗料、ペースト、触媒等様々な用途で用いられ、最近ではナノ粒子と呼ばれるナノメートルオーダーの微粉末や、粒度・粒径が揃った粉末のニーズも高まっている。微粉末になるほど酸化等により変質しやすくなるため表面処理を施す場合がある。
【0003】
このような粉末の解析には、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いることができる。SEMはミリメートルオーダーの粉末からナノメートルオーダーの微粉末についての粒径の把握、粉末の形状不良または粗大粒子の生成に関する粒状の確認、金属コート粉末の場合のコート剥がれまたは異常析出物の検出等が可能である。さらに、外部から混入した異物の調査を行うこともできる。これらはSEMが数倍の低倍率から数10万倍の高倍率まで撮像できることで可能となるが、一方、特に高倍率の場合に同一視野を再度見つけるのは困難である。また、高倍率の場合、局所部分の観察になるので、測定者の都合の良い視野、例えば、粉末内に粗大粒子が生成しているにもかかわらず、粗大粒子が少ない視野を探し出して撮像することにより、粗大粒子が少ない粉末と判定するような問題が生じる。測定者が撮像した画像と同じ画像が自ラボで撮像できる、つまり目あわせができれば、お互いが納得できる粉末の解析が可能となる。
【0004】
例えば、特許文献1には、試料上に3D基準マークを付着させて形成し、その3D基準マークを使用して、試料上の関心領域の位置を突き止める技術が開示されている。また、例えば、特許文献2には、試料をステージにセットし、外部からの座標または連続的に光学像にて観測を行いながら目的位置に移動し、観察・加工する目的位置の両側に、光学観察系同軸に配置されたレーザ光学系によってマークし、マークした位置の光学像を、位置座標とともに記憶媒体に蓄積し、蓄積したデータを外部のFIB・SEMから呼び出し、目的位置をレーザーマークから観察・加工位置を特定する光学式観察装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014-006524号公報
【特許文献2】特開平11-329315号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、客観的な走査型電子顕微鏡観察が可能となる技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様は、
粉末試料を試料台に貼り付けられたテープに固定する工程と、
前記粉末試料が固定された前記テープを複数の区画に区分し、前記複数の区画内のそれぞれにマーキングをする工程と、
走査型電子顕微鏡により、前記マーキングから所定の距離離れた位置を観察視野として撮像し、前記複数の区画の数に応じた複数の画像を得る工程と、を有する、走査型電子顕微鏡による試料観察方法である。
【0008】
本発明の第2の態様は、
前記複数の画像を得る工程では、予め撮像された基準画像のコントラストに近づくように、前記走査型電子顕微鏡のコントラスト値とブライトネス値とを調整する、上記第1の態様に記載の走査型電子顕微鏡による試料観察方法である。
【0009】
本発明の第3の態様は、
前記複数の画像を得る工程では、前記基準画像が撮像された走査型電子顕微鏡とは異なる他の走査型電子顕微鏡により複数の画像を得る、上記第2の態様に記載の走査型電子顕微鏡による試料観察方法である。
【0010】
本発明の第4の態様は、
第1の走査型電子顕微鏡により、前記マーキングから所定の距離離れた位置を観察視野として撮像し、前記複数の区画の数に応じた複数の基準画像を得る工程をさらに有し、
前記複数の画像を得る工程では、前記第1の走査型電子顕微鏡とは異なる第2の走査型電子顕微鏡により、前記基準画像と同一の観察視野を撮像し、前記複数の区画の数に応じた複数の画像を得る、上記第1から第3のいずれか1つの態様に記載の走査型電子顕微鏡による試料観察方法である。
【0011】
本発明の第5の態様は、
粉末試料を試料台に貼り付けられたテープに固定する工程と、
前記粉末試料が固定された前記テープを複数の区画に区分し、前記複数の区画内のそれぞれにマーキングをする工程と、を有する、走査型電子顕微鏡による観察用試料の作製方法である。
【0012】
本発明の第6の態様は、
粉末試料を試料台に貼り付けられたテープに固定する工程と、
前記粉末試料が固定された前記テープを複数の区画に区分し、前記複数の区画内のそれぞれにマーキングをする工程と、
走査型電子顕微鏡により、前記マーキングから所定の距離離れた位置を観察視野として撮像し、前記複数の区画の数に応じた複数の画像を得る工程と、
前記複数の画像から、前記粉末試料の不具合の有無を確認する工程と、を有する、粉末試料の管理方法である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、客観的な走査型電子顕微鏡観察が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、本発明の第1実施形態に係る、走査型電子顕微鏡による試料観察方法の一例を示すフローチャートである。
【
図2】
図2は、本発明の第1実施形態に係る、観察用試料の模式図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施例1に係る、区画Z1の基準画像である。
【
図4】
図4は、本発明の実施例1に係る、区画Z1の基準画像と同一視野の画像である。
【
図5】
図5は、本発明の実施例2に係る、区画Z6の基準画像である。
【
図6】
図6は、本発明の実施例2に係る、区画Z6の基準画像と同一視野の画像である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明の一実施形態を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0016】
<本発明の第1実施形態>
(1)走査型電子顕微鏡(SEM)による試料観察方法
本実施形態の走査型電子顕微鏡(SEM)による試料観察方法について説明する。
図1は、本実施形態のSEMによる試料観察方法の一例を示すフローチャートである。
図1に示すように、本実施形態のSEMによる試料観察方法は、例えば、試料固定工程S101と、試料区画化・マーキング工程S102と、第1撮像工程S103と、第2撮像工程S104と、を有している。
【0017】
(試料固定工程S101)
試料固定工程S101は、例えば、粉末試料を
図2に示す試料台2に貼り付けられたテープ3に固定する工程である。粉末試料としては、例えば、金属粉末、セラミック粉末、樹脂粉末等が例示される。本実施形態では、金属粉末からなる粉末試料を用いる場合について説明する。
【0018】
粉末試料は、偏析がないことが好ましい。試料の縮分は、例えば、JIS Z 8827-1(粒子径解析―画像解析法―第1部:静的画像解析法)の記載通り、JIS Z 8816(粉体試料サンプリング方法通則)を参照して実施すればよい。この操作により偏析がない粉末試料が準備できる。
【0019】
SEMでは真空状態で撮像するため、粉末試料はテープ3に固定する必要がある。テープ3はSEMのステージに設置するための試料台2に貼り付けて試料を固定するので、両面に粘着面があるものが好ましい。両面に粘着面があるテープ3としては、両面テープ、カーボンテープ、銅箔テープ、アルミ箔テープ等があるが、導電性および耐熱性があるカーボンテープ、銅箔テープまたはアルミ箔テープが好ましく、その中でも、反射電子像または特性X線をEDSで検出して得られる元素マッピング像を撮像する場合には、軽元素のカーボンが主成分であるカーボンテープが好適である。さらにカーボンテープの中でも不純物が少ないSEM用のカーボンテープがより好適である。試料台2の平面部にテープ3を貼り付け、反対側の粘着面に粉末試料を隙間なく固定する。テープ3の粘着面に固定されなかった試料はガスを吹き付けて除去する。特に微粉末の場合は酸化されやすいことが多いので、使用するガスは不活性で安価な窒素ガスがよい。
【0020】
(試料区画化・マーキング工程S102)
試料区画化・マーキング工程S102は、例えば、粉末試料が固定されたテープ3を複数の区画に区分し、複数の区画内のそれぞれにマーキングをする工程である。本工程により、
図2に示すような観察用試料1を得ることができる。複数の区画の数、および、区画の形状や大きさについては、特に限定されない。本実施形態では、
図2に示すように、テープ3を10個の格子状の区画Z1~Z10に区分し、区画Z1~Z10のそれぞれに、マーク4をつける場合について説明する。
【0021】
試料区画化・マーキング工程S102では、例えば、粉末試料を固定した試料台2に貼り付けたテープ3に、物理的に、かつ、不可逆的に、格子状の線をつけ、複数の区画に区分することが好ましい。これにより、複数の区画がずれたり、消えたりすることを防止できるため、客観的なSEM観察が可能となる。このような格子状の線をつけるにはカッターナイフ、剃刀等が使用できる。格子状の線をつけるときはテープ3に固定した粉末試料が脱落しないように注意する。カッターナイフ、剃刀等の刃の部分を、粉末試料を固定したテープ3に対して垂直方向から押さえつけるとよい。格子状の線の太さはSEM像で確認できるものならよい。複数の区画の形状は、容易に作成できる正方形もしくは長方形がよい。
【0022】
試料区画化・マーキング工程S102では、例えば、複数の区画内のそれぞれに、物理的に、かつ、不可逆的に、マーキングをすることが好ましい。これにより、マーク4がずれたり、消えたりすることを防止できるため、客観的なSEM観察が可能となる。このようなマーク4は、例えば、ケガキ針、ピンセットの先の部分、千枚通しのような先が尖ったものでつければよい。また、荷電粒子ビームまたはレーザを使用してもよい。マーク4は、SEMで確認できる大きさであればよく、1000倍以下程度の倍率の観察ではケガキ針、ピンセットの先の部分、千枚通しのような先が尖ったものを採用するとよく、1000倍を超える倍率の観察では荷電粒子ビームまたはレーザを採用するとよい。ケガキ針、ピンセットの先、千枚通しのような先が尖ったものを使用する場合は、試料と接触する部分に汚染があったり、異物が付着したりしていると、SEM像内の異常部分もしくは異物との区別ができなくなることがあるため、マーク4をつける前にケガキ針、ピンセットの先、千枚通しのような先が尖ったものに汚染物または異物がないことを確認することが好ましい。マーク4の場所は、区画内ならどこでもよいが、複数の視野を観察する場合は、マーク4を探しやすいように、同じような場所、例えば、
図2に示すように、区画Z1~Z10の左上に揃えることが好ましい。
【0023】
(第1撮像工程S103)
第1撮像工程S103は、例えば、第1の走査型電子顕微鏡(SEM)により、マーキング(マーク4)から所定の距離離れた位置を観察視野として撮像し、複数の区画の数に応じた複数の基準画像を得る工程である。
【0024】
第1撮像工程S103では、例えば、試料区画化・マーキング工程S102で得た、観察用試料1を、第1のSEMのステージに設置する。観察用試料1を第1のSEMのステージに設置する方向は、観察操作を容易にするため、例えば、テープ3の長手方向がSEMのステージの縦方向と平行になるように設置することが好ましい。
【0025】
第1撮像工程S103では、例えば、観察用試料1にあるマーク4を第1のSEMの視野に入れる。拡大倍率が決まっている場合は、その倍率を採用して観察用試料1にあるマーク4を第1のSEMの視野に入れる。拡大倍率が決まっていない場合は、観察用試料1にあるマーク4を視野に入れる前に、試料に適した拡大倍率を決め、その拡大倍率で観察用試料1にあるマーク4を第1のSEMの視野に入れる。視野内におけるマーク4の位置は特に限定されず、複数視野を観察する場合は、マーク4が探しやすいように同じような場所、例えば、マーク4を格子状の区画の左上につけた場合は、マーク4の位置を視野の左側にするとよい。マーク4は二次電子像、反射電子像または特性X線をエネルギー分散型X線検出器(EDS)で検出して得られる元素マッピング像で確認するとよい。特性X線をEDSで検出して得られる元素マッピング像を、以降EDS元素マッピング像と表記する場合がある。本実施形態では、反射電子像を採用する場合について説明する。
【0026】
第1撮像工程S103では、例えば、マーク4を出発点として、第1のSEMのステージを所定の距離だけ動かして観察視野を決める。粉末試料の粒径の把握、粉末試料の形状不良または粗大粒子の生成に関する粒状の確認、金属コート粉末の場合のコート剥がれまたは異常析出物の検出の場合は、観察視野が偏りのない場所になるように、第1のSEMのステージを任意の方向に動かして観察視野を決定する。任意の方向とは区画内であればどこでもよく、第1のSEMのステージを平面内での縦方向または横方向のいずれかに動かして観察視野を決めてよい。なお、第1のSEMのステージを斜め方向に動かして観察視野を決めてもよい。
【0027】
第1撮像工程S103では、例えば、決定した観察視野を撮像する。SEMでの撮像には、主に二次電子像、反射電子像、および、EDS元素マッピング像の3つの方法がある。SEMは光学顕微鏡より高倍率でも焦点深度の深い像が得られるため、二次電子像、反射電子像、および、EDS元素マッピング像の3つの方法とも微小物の観察に適している。本実施形態では、反射電子像を採用する場合について説明する。
【0028】
反射電子像は、試料に電子線を走査させながら照射したときに、弾性散乱によって放出された反射電子を反射電子検出器で検出して二次元像としたものである。反射電子は試料表面から10nm(0.01μm)から100nm(0.1μm)程度の深さから発生したもので、原子番号が大きくなるほど反射電子が多く放出されコントラストが高くなる特徴がある。言い換えれば、コントラストの差によって視野内の含有元素を区別することができる。したがって、反射電子像を採用する場合は、コントラストの差によって元素を区別するため画像の調整が重要にある。画像全体が明るすぎる、または画像全体が暗すぎる場合、含有元素の区別が困難となる。試料の含有元素が区別できるように、コントラスト値とブライトネス値とを調整することができるSEM制御用コンピュータまたはSEM制御盤を使用して観察視野内の含有元素を区別するための最適な観察視野を撮像することが好ましい。コントラスト値とブライトネス値とはSEM制御用コンピュータによってパーセント表示で数値化して、コントラスト値とブライトネス値として記録することができる。また、上述の理由から、反射電子像は、例えば、粒径が0.01~1μm程度の粉末試料の元素情報を得る場合に好適であり、本実施形態の試料観察方法は、反射電子像を採用する場合に特に好適である。
【0029】
第1撮像工程S103では、例えば、複数の区画の数に応じた複数の基準画像を得る。SEM制御用コンピュータはSEM像のコントラスト値とブライトネス値との調整をするだけでなく、撮像したSEM像を保存または呼び出しができる。基準画像を電子ファイルとしてSEMの制御用コンピュータに保存するか、SEMの制御用コンピュータを介して基準画像を紙媒体に印刷する。電子ファイルとしてSEMの制御用コンピュータに保存した観察視野のSEM像はSEMの制御用コンピュータに付属するモニター上で見ることができる。
【0030】
第1撮像工程S103では、例えば、複数の基準画像を得た後、観察用試料1を第1のSEMから取り出す。その際、粉末試料に触れてしまうと汚染の原因となるため、試料台2の側面を持って第1のSEMから取り出す。また、第1のSEMから取り出した後、微粉末のような酸化されやすい粉末試料の場合は、酸素に触れないように真空デシケータ、窒素ガスまたはアルゴンガスを封入した容器、グローブボックス等に保管する。水分により潮解、吸湿、加水分解等をする試料は真空デシケータ、窒素ガスまたはアルゴンガスを封入した容器に保管してもよいしシリカゲル入りデシケータ内に保管してもよい。
【0031】
(第2撮像工程S104)
第2撮像工程S104は、例えば、第1の走査型電子顕微鏡(SEM)とは異なる第2の走査型電子顕微鏡(SEM)により、基準画像と同一の観察視野を撮像し、複数の区画の数に応じた複数の画像を得る工程である。つまり、基準画像が撮像されたSEMとは異なる他のSEMにより、複数の画像を得る工程である。本工程では、第1のSEMとは異なる第2のSEMを使用するため、例えば、装置および測定者が変わったとしても、客観的なSEM観察が可能となる。なお、運搬時の粉末試料の汚染、粉末試料の脱落等が起こらないように注意が必要であり、第1撮像工程S103を行ってから間隔が長く空いた場合は、粉末試料の経時変化にも注意する必要がある。
【0032】
第2撮像工程S104では、例えば、観察用試料1を、第2のSEMのステージに設置する。観察用試料1を第2のSEMのステージに設置する方向は、観察操作を容易にするため、例えば、テープ3の長手方向がSEMのステージの縦方向と平行になるように設置することが好ましい。
【0033】
第2撮像工程S104では、例えば、第1撮像工程S103と同様に、観察用試料1にあるマーク4を第2のSEMの視野に入れる。SEM像は第1撮像工程S103で採用した方法を採用し、基準画像と同じ拡大倍率で撮像すればよい。
【0034】
第2撮像工程S104では、例えば、マーク4の位置から第2のSEMのステージを動かして基準画像と同じ視野を捜索する。第1撮像工程S103の第1のSEMのステージの移動方向の記録を参考にすると同一視野を見つけるのが容易になる。同一視野と判断するときは、基準画像と比較しながら複数の基準画像内の特徴的な形状のもの、異物の場合は異物の形状を参考にするとよい。なお、本明細書における同一視野とは、例えば、視野内の面積の90%以上が一致しているような場合も含むものとする。
【0035】
第2撮像工程S104では、例えば、第1撮像工程S103で得た(予め撮像された)基準画像のコントラストに近づくように、第2のSEMのコントラスト値とブライトネス値とを調整することが好ましい。具体的には、例えば、本工程で得る画像が、基準画像と同じようなコントラストになるように、基準画像と比較しながらSEM制御用コンピュータまたはSEM制御盤でコントラスト値とブライトネス値とを調整する。これにより、装置条件によって生じる違いを画像処理によってうめることができるため、客観的なSEM観察が可能となる。
【0036】
第2撮像工程S104では、例えば、複数の区画の数に応じた複数の画像を得る。拡大倍率はSEMの機種によってほとんど差は生じないが、もし基準画像と撮像範囲が異なった場合は、第2のSEMの拡大倍率を変えてもよい。取得した複数の画像は、電子ファイルとしてSEMの制御用コンピュータに保存するか、SEMの制御用コンピュータを介して紙媒体に印刷する。電子ファイルとしてSEM制御用コンピュータに保存した観察視野のSEM像はSEM制御用コンピュータに付属するモニター上で見ることができるが、SEMのメーカーが異なるとSEM制御用ソフトでは画像を呼び出せない場合がある。SEMのメーカーが異なる場合には、JPEG形式、TIFF形式、PNG形式、BMP形式等の一般的なコンピュータで認識できる画像ファイル形式でSEM像を保存するとよい。
【0037】
第2撮像工程S104では、例えば、複数の画像を得た後、観察用試料1を第2のSEMから取り出す。その際、粉末試料に触れてしまうと汚染の原因となるため、試料台2の側面を持って第2のSEMから取り出す。また、第2のSEMから取り出した後、微粉末のような酸化されやすい粉末試料の場合は、酸素に触れないように真空デシケータ、窒素ガスまたはアルゴンガスを封入した容器、グローブボックス等に保管する。水分により潮解、吸湿、加水分解等をする試料は真空デシケータ、窒素ガスまたはアルゴンガスを封入した容器に保管してもよいしシリカゲル入りデシケータ内に保管してもよい。
【0038】
(2)本実施形態に係る効果
本実施形態によれば、以下に示す1つまたは複数の効果を奏する。
【0039】
(a)SEMでは局所を観察するため、特に高倍率になるほど全体像からかけ離れた部分を選択することができ、測定者の都合のよい画像、例えば、粉末内に粗大粒子が生成しているにもかかわらず、粗大粒子が存在していない視野を撮像して粗大粒子がない粉末と評価してしまう可能性がある。これに対し、本実施形態のSEMによる試料観察方法では、観察用試料1を観察する前に、区画化と視野決定とを行っているため、測定者によらず、客観的なSEM観察が可能となる。
【0040】
(b)本実施形態のSEMによる試料観察方法では、粉末試料が固定されたテープ3を複数の区画に区分し、複数の区画内のそれぞれにマーキングをしている。例えば、マーキングがひとつだけの場合、複数の画像を撮像する際に、マーク4からステージを大きく移動させる必要が生じる。この場合(特に、ステージ移動を手動で行うSEMを用いる場合)、第2撮像工程S104において、基準画像と同一視野を捜索することが困難となる。これに対し、本実施形態では、マーク4からステージを移動させる距離が微小でよいため、第2撮像工程S104において、基準画像と同一視野を捜索しやすい。
【0041】
(c)本実施形態のSEMによる試料観察方法によれば、装置や測定者が変わったとしても、基準画像と同一視野で、同じようなコントラストを有する画像を得ることができるため、例えば、SEM観察を他の組織等にスムーズに引き継ぐことも可能となる。
【0042】
<本発明の他の実施形態>
以上、本発明の実施形態について具体的に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0043】
例えば、第2撮像工程S104は省略してもよい。この場合、第1撮像工程S103において、得た複数の基準画像は、複数の画像と読み替えてよい。この場合においても、上述の実施形態と同様に、観察用試料1を観察する前に、区画化と視野決定とを行っているため、測定者によらず、客観的なSEM観察が可能となる。
【0044】
また、例えば、予め撮像された基準画像が準備されていれば、第1撮像工程S103は省略してもよい。この場合も、上述の実施形態と同様に、装置条件によって生じる違いを画像処理によってうめることができるため、測定者によらず、客観的なSEM観察が可能となる。また、第2撮像工程S104では、必ずしも基準画像と同一視野を撮像しなくてもよい。この場合も、例えば、基準画像のコントラストに近づくようにコントラスト値とブライトネス値とを調整することで、装置条件によって生じる違いを画像処理によってうめることができるため、測定者によらず、客観的なSEM観察が可能となる。
【0045】
また、例えば、上述の実施形態では、第1のSEMと第2のSEMとの2種類のSEMを用いる場合について説明したが、用いるSEMは1種類でもよい。つまり、第1撮像工程S103と、第2撮像工程S104とで、同じSEMを用いてもよい。電子線の経時変化等により、SEMの設定を同じにしたとしても、同じコントラストの像が得られるとは限らない。この方法により、装置の状態によって生じる違いを画像処理によってうめることができるため、測定者によらず、客観的なSEM観察が可能となる。
【0046】
また、例えば、本発明は、走査型電子顕微鏡による観察用試料の作製方法としても適用可能である。この場合、第1撮像工程S103および第2撮像工程S104は省略してもよい。観察用試料1は、試料を観察する前に区画化と視野決定とを行っているため、この試料を用いることで、測定者によらず、客観的なSEM観察が可能となる。
【0047】
また、例えば、本発明は、粉末試料(例えば、金属粉末)の管理方法としても適用可能である。この場合、例えば、第2撮像工程S104の後に、複数の画像から、粉末試料の不具合(例えば、異常析出物や粗大粒子)の有無を確認する工程を行ってもよい。本管理方法によれば、観察前に区画化&視野決定された複数の画像から、粉末試料の不具合の有無を確認することができるため、測定者によらない客観的な管理が可能となる。
【実施例0048】
次に、本発明に係る実施例を説明する。これらの実施例は本発明の一例であって、本発明はこれらの実施例により限定されない。
【0049】
(実施例1)
ベースの金属よりコートした金属の方が原子番号の大きい金属コート粉末(以降試料と表記する)について、コート異常等の不具合、または粗大粒子の存在等の不具合の有無を確認するために、測定者を変えて、同じSEMを用いて、同一視野の画像を取得した。SEMは日本電子製JSM-7100F(電界放出電子銃式、以降SEM-1と表記する)を使用した。試料作製および基準画像の撮像は測定者Aが実施し、基準画像と同一視野の画像の取得は測定者Bが実施した。
【0050】
試料台(応研商事製:直径32mm、アルミニウム製)に24mmの長さに切り取ったSEM用カーボンテープ(日新EM製:テープ幅12mm)を貼り付けた。SEM用カーボンテープの粘着部に、JIS Z 8816に従って縮分した試料を隙間なく固定した。SEM用カーボンテープに固定されなかった試料は窒素ガスを使って吹き飛ばし除去した。
【0051】
試料を固定したSEM用カーボンテープの長手方向の真ん中に1か所、長手方向に対して直行した方向に4mm間隔で4か所に、洗浄して汚れおよび異物の付着がないカッターナイフの刃をSEM用カーボンテープに対して垂直方向から押し付け格子状の線を付けて、縦4mm横6mmの長方形のエリアを10か所作成した。長方形のエリア10か所のうち、左上を区画Z1として下に向かって区画Z2から区画Z5とし、区画Z5の右横を区画Z6、区画Z6から上に向かって区画Z7から区画Z10とした(
図2参照)。各区画Z1~Z10の左上の部分に、先端を洗浄して汚れおよび異物の付着がないケガキ針を押し付けてマークをつけた。
【0052】
試料を固定した試料台の側面を持ちながら、SEM-1のステージに試料を固定したSEM用カーボンテープの長手方向がSEM-1のステージの縦方向と平行になるように設置した。SEM-1のステージをSEM-1の試料室に挿入した後、試料室内をSEM測定が可能な真空状態になるまで放置した。
【0053】
試料室内がSEM測定可能な真空状態に達した後、SEM-1制御用コンピュータで撮像倍率を100倍、電子線の加速電圧を5kV、検出器を反射電子検出器に設定して、SEM-1制御盤にあるステージ移動ダイヤルによってSEM-1のステージを動かして区画Z1のマークを視野の左上に入れた。マークの場所はSEM-1制御用コンピュータに付属しているモニター(以降、「SEM-1制御用コンピュータに付属しているモニター」を「SEM-1のモニター」と表記する)で確認した。SEM-1ステージをSEM-1制御盤にあるステージの左右方向への移動ダイヤルで右横へ移動させる方向に1回転させたところを観察視野とした。SEM-1制御用コンピュータに付属しているSEM-1のモニターに写した観察視野を見ながら、SEM-1制御盤にあるブライトネス調整ダイヤルおよびコントラスト調整ダイヤルを回しながら明るさを調整し観察視野のSEM像を撮像した。撮像した観察視野のSEM像をSEM-1制御用コンピュータに保存し、区画Z1の基準画像(
図3)とした。
図3に示すように、区画Z1の基準画像には粗大粒子5の存在が確認され、他の粒子と形状が異なる明るさが同じ粒状異常物6も存在することがわかった。また、これらを後述の同一視野の画像取得の際に参考にすることとした。なお、明るく写っている部分がなかったので、区画Z1にはコート金属の異常析出物は存在しないこともわかった。区画Z2から区画Z10についても上記と同様の操作を実施し、10個の基準画像を得た。
【0054】
基準画像を撮像後、SEM-1の真空状態を解除してからSEM-1の試料室を開け、SEM-1のステージから試料台を取り出した。取り出した試料を固定した試料台は窒素ガスを封入した容器に保管した。
【0055】
測定者Bが窒素ガスを封入した容器に保管した試料を固定した試料台を容器から取り出し、試料を固定した試料台の側面を持ちながら、SEM-1のステージに試料を固定したSEM用カーボンテープの長手方向がSEM-1のステージの縦方向と平行になるように設置した。SEM-1のステージをSEM-1の試料室に挿入した後、試料室内をSEM測定が可能な真空状態になるまで放置した。
【0056】
試料室内がSEM測定可能な真空状態に達した後、SEM-1制御用コンピュータで撮像倍率を100倍、電子線の加速電圧を5kV、検出器を反射電子検出器に設定して、SEM-1制御盤にあるステージ移動ダイヤルによってSEM-1のステージを動かして区画Z1のマークを視野の左上に入れた。マークの場所はSEM-1のモニターで確認した。SEM-1制御盤にあるステージ移動ダイヤルで右横へ移動させる方向に1回転させた。この視野と、区画Z1の基準画像(
図3)をSEM-1のモニターに写して比較したところ、基準画像の視野とは少しずれていたので、区画Z1の基準画像にあった粗大粒子5および粒状異常物6を参考にして左右方向への移動ダイヤルおよび上下方向への移動ダイヤルを動かして基準画像と同じ視野を捜索した。視野の明るさも基準画像と異なっていたため、SEM-1制御盤にあるブライトネス調整ダイヤルおよびコントラスト調整ダイヤルを調整して
図4に示す区画Z1と同一視野の画像を取得した。区画Z2から区画Z10についても上記と同様の操作を実施し、基準画像と同一視野の画像10個を取得した。
【0057】
同一視野の画像を取得後、SEM-1の真空状態を解除してからSEM-1の試料室を開けてSEM-1のステージから試料台を取り出した。取り出した試料を固定した試料台は窒素ガスを満たした容器に保管した。
【0058】
図3および
図4に示すように、測定者が変わったとしても、同一視野で同じようなコントラストを有するSEM像が得られた。つまり、測定者によらず、客観的なSEM観察が可能であることを確認した。
【0059】
(実施例2)
実施例1に記述した測定者Aが撮像した区画Z6の画像を基準画像(
図5)として、測定者CがSEM-1とは異なるSEMにより同一視野の画像を取得した。測定者Cは、日本電子製JSM-IT200(熱電子銃式、以降SEM-2と表記する)を使用した。なお、
図5に示すように、区画Z6の基準画像には粗大粒子5および他の粒子と比べて明るく写ったコートした金属の異常析出物7と考えられるものが観察された。
【0060】
測定者Cが窒素ガスを封入した容器に保管した試料を固定した試料台を容器から取り出し、試料を固定した試料台の側面を持ちながら、SEM-2のステージに試料を固定したSEM用カーボンテープの長手方向がSEM-2のステージの縦方向と平行になるように設置した。SEM-2のステージをSEM-2の試料室に挿入した後、試料室内をSEM測定が可能な真空状態になるまで放置した。
【0061】
試料室内がSEM測定可能な真空状態に達した後、SEM-2制御用コンピュータで撮像倍率を100倍、電子線の加速電圧を5kV、検出器を反射電子検出器に設定して、SEM-2制御盤にあるステージ移動ダイヤルによってSEM-2のステージを動かして区画Z6のマークを視野の左上に入れた。マークの場所はSEM-2制御用コンピュータに付属しているモニター(以降、「SEM-2制御用コンピュータに付属しているモニター」を「SEM-2のモニター」と表記する)で確認した。SEM-2制御盤にあるステージの左右方向への移動ダイヤルで右横へ移動させる方向に1回転させた。この視野と実施例1で得た区画Z6の基準画像(
図5)をSEM-2のモニターに写して比較したところ、区画Z6の基準画像の視野とずれていたので、区画Z6の基準画像にあった粗大粒子5およびコートした金属の異常析出物7を参考にして左右方向への移動ダイヤルおよび上下方向への移動ダイヤルを使って、区画Z6の基準画像と同じ視野を捜索した。視野の明るさも区画Z6の基準画像と異なっていたため、SEM-2制御盤にあるブライトネス調整ダイヤルおよびコントラスト調整ダイヤルを調整して
図6に示す区画Z6の同一視野の画像を取得した。なお、上記操作で同一視野の画像が取得できたため、拡大倍率は変更しなかった。他の区画についても上記と同様の操作を実施し、基準画像と同一視野の画像10個を取得した。
【0062】
同一視野の画像を取得後、SEM-2の真空状態を解除してからSEM-2の試料室を開けてSEM-2のステージから試料台を取り出した。取り出した試料を固定した試料台は窒素ガスを満たした容器に保管した。
【0063】
図5および
図6に示すように、装置および測定者が変わったとしても、同一視野で同じようなコントラストを有するSEM像が得られた。つまり、装置や測定者によらず、客観的なSEM観察が可能であることを確認した。
【0064】
また、
図3と
図5とを比較すると、
図3は比較的粗大粒子5が少なく、粒状異常物6が観察された。一方、
図5は粗大粒子5が
図3より多く観察され、コートした金属の異常析出物7が観察され、粒状異常物6は観察されなかった。
図3のみを提供すれば粗大粒子5が少ない試料であると判断される可能性がある。一方、
図5のみを提供すれば比較的粗大粒子5が多い試料であると判断される可能性がある。また、
図3のみを提供すればコートした異常析出物7が含まれないと判断される可能性がある。一方、
図5のみを提供すれば粒状異常物6が含まれないと判断される可能性がある。このように、測定者が試料を観察した後で視野決定をした場合、測定者の主観が影響し、上記のような偏った判断がされることがある。これに対し、本実施例では、試料を観察する前に区画化および視野決定を行っているため、測定者の主観が入る余地がなく、客観的なSEM観察が可能となることを確認した。