(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024069127
(43)【公開日】2024-05-21
(54)【発明の名称】発光装置
(51)【国際特許分類】
H01L 33/62 20100101AFI20240514BHJP
H01L 33/58 20100101ALI20240514BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20240514BHJP
F21V 23/00 20150101ALI20240514BHJP
H01L 33/64 20100101ALI20240514BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20240514BHJP
【FI】
H01L33/62
H01L33/58
F21S2/00 100
F21V23/00 200
F21V23/00 160
H01L33/64
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023060645
(22)【出願日】2023-04-04
(31)【優先権主張番号】P 2022179773
(32)【優先日】2022-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100138863
【弁理士】
【氏名又は名称】言上 惠一
(74)【代理人】
【識別番号】100187584
【弁理士】
【氏名又は名称】村石 桂一
(72)【発明者】
【氏名】岡 祐太
(72)【発明者】
【氏名】中村 勇真
【テーマコード(参考)】
3K014
5F142
【Fターム(参考)】
3K014AA01
5F142AA42
5F142BA32
5F142CA11
5F142CA13
5F142CB12
5F142CB13
5F142CB23
5F142CD02
5F142CD44
5F142CF42
5F142DB32
5F142DB33
5F142FA30
5F142GA21
5F142GA29
(57)【要約】 (修正有)
【課題】高い放熱性を有する発光装置を提供。
【解決手段】本開示に係る発光装置1は、それぞれが、発光面である第1主面と、第1主面の反対側にあり、かつ第1電極E1および第2電極E2が配置される第2主面と、を有する複数の発光部11と、複数の発光部11を一体に保持するとともに第1電極E1および第2電極E2を露出させる被覆部材13と、を備え、複数の発光部11は個別またはグループごとに点灯可能であるとともに、第1方向および第1方向に交差する第2方向に配置される光源10と、上面30Uを有し、上面30Uにおいて、それぞれが発光部11の第1電極E1と対向して配置される複数の第1配線部H1と、それぞれが発光部11の第2電極E2と対向して配置される複数の第2配線部H2と、を含む基板30と、を備える。
【選択図】
図2C
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれが、発光面である第1主面と、前記第1主面の反対側にあり、かつ第1電極および第2電極が配置される第2主面と、を有する複数の発光部と、前記複数の発光部を一体に保持するとともに前記第1電極および前記第2電極を露出させる被覆部材と、を備え、前記複数の発光部は個別またはグループごとに点灯可能であるとともに、第1方向および前記第1方向に交差する第2方向に配置される光源と、
上面を有し、前記上面において、それぞれが前記発光部の前記第1電極と対向して配置される複数の第1配線部と、それぞれが前記発光部の前記第2電極と対向して配置される複数の第2配線部と、を含む基板と、を備え、
前記複数の発光部は、上面視において、中央に配置される少なくとも1つの第1発光部と、前記第1発光部の外側に配置される少なくとも1つの第2発光部と、を有するとともに、前記少なくとも1つの第1発光部のみを所定の出力で発光可能な第1照射モードを有し、
前記第1発光部に接続される前記第1配線部は、前記第1発光部と隣接する前記第1発光部または前記第2発光部に接続される前記第1配線部と前記上面において第1配線接続部を介して連続している、発光装置。
【請求項2】
前記第1発光部に接続される前記第1配線部は、前記第1発光部と隣接する2以上の前記第1発光部または前記第2発光部に接続される前記第1配線部と前記上面において第1配線接続部を介して連続している、請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記複数の第1配線部の全ては、上面視において前記第1配線接続部を介して連続している、請求項1に記載の発光装置。
【請求項4】
前記第1方向において隣接する前記第1配線部を接続する前記第1配線接続部は、前記第2方向における幅が前記隣接する前記第1配線部の前記第2方向における幅よりも狭い、請求項1に記載の発光装置。
【請求項5】
前記基板は、前記複数の第1配線部とビアを介して電気的に接続する配線を有する、請求項1に記載の発光装置。
【請求項6】
前記第1配線接続部を介して連続する2以上の第1配線部は、前記ビアが配置されている第1配線部と、前記ビアが配置されていない第1配線部と、を含む、請求項5に記載の発光装置。
【請求項7】
前記基板は、前記上面において、前記光源が配置される第1領域と、前記第1領域の外側に配置されるとともに外側配線部を有する第2領域と、を有し、
前記外側配線部は、前記複数の第1配線部と連続している、請求項1に記載の発光装置。
【請求項8】
前記外側配線部は、少なくとも1つのビアを有する、請求項7に記載の発光装置。
【請求項9】
前記複数の発光部のうち角部に配置される前記発光部の前記第1電極および前記第2電極の面積は、他の発光部の第1電極および第2電極の面積よりも大きい、請求項1に記載の発光装置。
【請求項10】
前記複数の第2発光部と接続する複数の第2配線部のうち少なくとも2つの前記第2配線部は、第2配線接続部を介して連続している、請求項1に記載の発光装置。
【請求項11】
前記発光装置はフラッシュ用の発光装置であり、
前記第1照射モードは望遠撮影モードに対応する、請求項1に記載のフラッシュ用の発光装置。
【請求項12】
前記発光装置は、前記少なくとも1つの第1発光部および前記複数の第2発光部を一括して発光可能な第2照射モードをさらに有し、
前記第2照射モードは広角撮影モードに対応する、請求項11に記載のフラッシュ用の発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、発光ダイオード等の発光素子を用いた光源が幅広く使用されるようになってきている。例えば、特許文献1~3には、基板に複数の発光素子が隣接して配置されている発光装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-135908号公報
【特許文献2】特開2015-177021号公報
【特許文献3】特開2009-088374号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数の発光素子を備える発光装置では、発光素子の数が増えるほど、または隣接する発光素子の離隔距離が小さくなるほど、発光素子の発光に伴う熱に対してより高い放熱性が求められる。
【0005】
本開示は、高い放熱性を有する発光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る発光装置は、
それぞれが、発光面である第1主面と、前記第1主面の反対側にあり、かつ第1電極および第2電極が配置される第2主面と、を有する複数の発光部と、前記複数の発光部を一体に保持するとともに前記第1電極および前記第2電極を露出させる被覆部材と、を備え、前記複数の発光部は個別またはグループごとに点灯可能であるとともに、第1方向および前記第1方向に交差する第2方向に配置される光源と、
上面を有し、前記上面において、それぞれが前記発光部の前記第1電極と対向して配置される複数の第1配線部と、それぞれが前記発光部の前記2電極と対向して配置される複数の第2配線部と、を含む基板と、を備え、
前記複数の発光部は、上面視において、中央に配置される少なくとも1つの第1発光部と、前記第1発光部の外側に配置される少なくとも1つの第2発光部と、を有するとともに、前記少なくとも1つの第1発光部のみを所定の出力で発光可能な第1照射モードを有し、
前記第1発光部に接続される前記第1配線部は、前記第1発光部と隣接する前記第1発光部または前記第2発光部に接続される前記第1配線部と前記上面において第1配線接続部を介して連続している。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係る発光装置によれば、放熱性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の一実施形態に係る発光装置を示す模式的断面図である。
【
図2A】本開示の一実施形態に係る光源を示す模式的平面図である。
【
図2B】本開示の一実施形態に係る光源を示す模式的下面図である。
【
図2C】本開示の一実施形態に係る基板を示す模式的平面図である。
【
図2D】本開示の一実施形態に係る基板を示す模式的断面図である。
【
図2E】本開示の一実施形態に係る基板と光源とが取り付けられた状態を示す模式的断面図である。
【
図3A】本開示の一実施形態に係る光源の第1変形例を示す模式的下面図である。
【
図3B】本開示の一実施形態に係る基板の第1変形例を示す模式的平面図である。
【
図4A】本開示の一実施形態に係る光源の第2変形例を示す模式的下面図である。
【
図4B】本開示の一実施形態に係る基板の第2変形例を示す模式的平面図である。
【
図5A】本開示の一実施形態に係る光源の第3変形例を示す模式的下面図である。
【
図5B】本開示の一実施形態に係る基板の第3変形例を示す模式的平面図である。
【
図5C】
図5Bに示す基板のうち光源が配置される部分を示す模式的平面図である。
【
図6】本開示の一実施形態に係る光源の第4変形例を示す模式的下面図である。
【
図7】本開示の一実施形態に係る光源の第4変形例を示す模式的下面図である。
【
図8】本開示の発光装置を用いた発光モジュールを示す模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本開示を実施するための実施形態を説明する。なお、以下に説明する発光装置は、本開示の技術思想を具体化するためのものであって、特定的な記載がない限り、本開示を以下のものに限定しない。
【0010】
各図面中、同一の機能を有する部材には、同一符号を付している場合がある。要点の説明または理解の容易性を考慮して、便宜上複数の実施形態に分けて示す場合がある。なお、異なる実施形態で示した構成の部分的な置換または組み合わせは可能である。後述の実施形態では、前述と共通の事柄についての記述を省略し、異なる点についてのみ説明する場合がある。特に、同様の構成による同様の作用効果については、実施形態ごとには逐次言及しないものとする。各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため、誇張して示している場合がある。断面図として切断面のみを示す端面図を用いる場合がある。
【0011】
以下の説明において、特定の方向又は位置を示す用語(例えば、「上」、「下」及びそれらの用語を含む別の用語)を用いる場合がある。しかしながら、それらの用語は、参照した図面における相対的な方向又は位置を示すために用いているに過ぎない。本明細書において「上(または下)」と表現する位置関係は、例えば、2つの部材があると仮定した場合に、2つの部材が接している場合と、2つの部材が接しておらず一方の部材が他方の部材の上方(または下方)に位置している場合も含む。
【0012】
<第1実施形態に係る発光装置>
本開示の一実施形態に係る発光装置1は、
図1に示すように、光源10と基板30を備える。発光装置1は、制御部20をさらに備えていてよい。以下、発光装置1の各構成部材について、詳述する。
【0013】
[光源]
光源10は、複数の発光部11と、複数の発光部11を被覆する被覆部材13と、を備える。
図1に例示する光源10は、上面10Uにおいて、各発光部11の発光面である第1主面11Uが被覆部材13から露出している。また、光源10は、下面10Bにおいて、各発光部11の電極Eが被覆部材13から露出している。光源10は、下面10Bが実装面となっており、光源10の下面10Bと基板30の上面とが対向している。
【0014】
[発光部]
複数の発光部11は、例えば、後述する制御部20により個別又はグループごとに点灯可能である。
図2Aに示すように、複数の発光部11は、上面視において、第1方向(列方向)および第1方向と交差する第2方向(行方向)に等間隔に整列されていることが好ましい。
図2Aでは、複数の発光部11が3行3列に整列されている形態を例示している。
【0015】
複数の発光部11は、上面視において、中央に配置される少なくとも1つの第1発光部111と、第1発光部111の外側に配置される少なくとも1つの第2発光部112と、を有する。
図2Aおよび2Bでは、1個の第1発光部111に対し、その第1発光部111の周囲に配置される8個の第2発光部112を例示している。なお、第1発光部111および第2発光部112の個数および配置は、この例に限定されない。例えば、複数の発光部11は、
図5A等に示すように、9個の第1発光部111に対し、その第1発光部111の周囲に配置される16個の第2発光部112を有していてよい。
【0016】
複数の発光部11は、制御部20により、それぞれ個別点灯させてもよく、またグループごとに点灯させてもよい。複数の発光部11をそれぞれ個別点灯させる、又は、グループごとに点灯させることで、所望の照射領域に光を照射することができる。また、各発光部11を所望の明るさで点灯させることで、光源10の照射領域におけるコントラストを向上させることができる。
【0017】
本実施形態に係る発光装置1は、例えば撮像装置のフラッシュ光源として用いることができる。撮像装置は、例えば携帯通信端末に搭載される。本実施形態に係る発光装置1を撮像装置のフラッシュ光源として用いる場合は、例えば、すべての発光部11を発光させる広角撮影モード(第2照射モード)と、中央近傍に位置する第1発光部111のみを発光させ、外側に位置する第2発光部112を発光させない望遠撮影モード(第1照射モード)とを切り替えて光を照射可能である。望遠撮影モードは、広角撮影モードよりもフラッシュ光源における光の照射角が狭い。発光装置1が広角撮影モードと望遠撮影モードに対応して照射光を切り替え可能であることで、例えば、撮像装置における接写や望遠等の撮影モードに応じた撮影を行うことが可能となる。
【0018】
上面視において、隣り合う発光部11間の距離は、狭いことが好ましい。隣り合う発光部11間の距離は、発光部11の最大長さに対して、例えば、0.01倍以上0.16倍以下であり、0.02倍以上0.08以下であることが好ましい。隣り合う発光部11間の距離は、例えば、10μm以上200μm以下であり、20μm以上100μm以下であることが好ましい。隣り合う発光部11間の距離を上記に設定することで、同時に発光する発光部11間の暗部となる領域を小さくすることができる。
【0019】
発光部11は、発光素子11aを有する。また、発光部11は、さらに発光素子11aの上方に配置される透光性部材14を有していてよい。透光性部材14は、例えば、上面視における形状が略矩形状である板状の部材であり、発光素子11aの上面を覆うように設けられている。透光性部材14は、例えば、波長変換物質を含む波長変換層、光拡散物質を含む光拡散層、及び波長変換物質および光拡散物質を含まない透明層からなる群から選択される少なくとも1つを含む。透光性部材14は、例えば、波長変換層14aと光拡散層14bとを備える。
【0020】
発光素子11aは、半導体構造体Gおよび第1電極E1および第2電極E2を含む電極Eを有する。第1電極E1および第2電極E2は、それぞれアノード電極またはカソード電極として機能する。つまり、第1電極E1および第2電極E2のいずれか一方がアノード電極であり、他方がカソード電極である。
図1に示す発光素子11aでは、電極Eは半導体構造体Gの下方に配置されている。
【0021】
図2Bは、光源10を下面側から見た模式的下面図であり、各発光部11の第1電極E1および第2電極E2が被覆部材13から露出している。なお、
図2Bでは、第1電極E1を左上がりのハッチングで示し、第2電極E2を右上がりのハッチングで示している。一の発光部11における第1電極E1および第2電極E2は、隣り合って配置されている。また、全ての発光部11の第1電極E1および第2電極E2は、上面視において、第2方向に延びる矩形形状を有している。また、第1方向で互いに隣接する発光部11において、一方の発光部11の第1電極E1または第2電極E2は、他方の発光部11の同種の電極と第1方向で隣り合うように配置されている。第2方向で互いに隣接する発光部11において、一方の発光部11の第1電極E1または第2電極E2は、他方の発光部11の同種の電極と第2方向で隣り合うように配置されている。例えば、配列された9個の発光部11のうち左下に配置される発光部11Aでは、第1電極E1および第2電極E2は第1方向において隣り合って配置されている。そして、発光部11Aの第1電極E1は、上面視において、第1方向に隣接する発光部11の第1電極E1と隣り合って配置されている。また、発光部11Aの第1電極E1および第2電極E2は、上面視において、第2方向において隣接する発光部11の第1電極E1および第2電極E2と隣り合って配置されている。
【0022】
図2Bに示す光源10では、各発光部11の第1電極E1および第2電極E2の大きさは、全て略同じ大きさとしている。なお、本開示の発光装置ではこの形態に限定されるものではない。例えば、一の発光部11における第1電極E1の大きさと第2電極E2の大きさは異なっていてよい。また、各発光部11の第1電極E1および第2電極E2は、それぞれ大きさが異なっていてよい。例えば、第1発光部111の第1電極E1および第2電極E2の大きさと、第2発光部112の第1電極E1および第2電極E2の大きさとは異なっていてよい。
【0023】
後述する基板30上に光源10を配置する際には、光源10の下面に露出する電極Eは、基板30の配線部Hと対向して配置される。
【0024】
半導体構造体Gは、支持基板と支持基板上に配置される半導体層とを含んでいてよい。この場合、支持基板、半導体層および電極Eが順に配置される。半導体構造体Gは、n側半導体層と、p側半導体層と、n側半導体層とp側半導体層とに挟まれた活性層とを含む。活性層は、単一量子井戸(SQW)構造としてもよいし、複数の井戸層を含む多重量子井戸(MQW)構造としてもよい。半導体構造体Gは、窒化物半導体からなる複数の半導体層を含む。窒化物半導体は、InxAlyGa1-x-yN(0≦x、0≦y、x+y≦1)からなる化学式において組成比x及びyをそれぞれの範囲内で変化させた全ての組成の半導体を含む。活性層の発光ピーク波長は、目的に応じて適宜選択することができる。活性層は、例えば可視光または紫外光を発光可能に構成されている。
【0025】
半導体構造体Gは、n側半導体層と、活性層と、p側半導体層とを含む発光構造体を複数含んでいてもよい。半導体構造体Gが複数の発光構造体を含む場合、それぞれの発光構造体において、発光ピーク波長が異なる井戸層を含んでいてもよいし、発光ピーク波長が同じ井戸層を含んでいてもよい。なお、発光ピーク波長が同じとは、数nm程度のばらつきがある場合も含む。複数の発光構造体の発光ピーク波長の組み合わせは、適宜選択することができる。例えば、半導体構造体Gが2つの発光構造体を含む場合、それぞれの発光構造体が発する光の組み合わせとして、青色光と青色光、緑色光と緑色光、赤色光と赤色光、紫外光と紫外光、青色光と緑色光、青色光と赤色光、または、緑色光と赤色光などの組み合わせが挙げられる。例えば、半導体構造体Gが3つの発光構造体を含む場合、それぞれの発光構造体が発する光の組み合わせとして、青色光、緑色光、及び赤色光とする組み合わせが挙げられる。各発光構造体は、他の井戸層と発光ピーク波長が異なる井戸層を1以上含んでいてもよい。
【0026】
波長変換層14aは、発光素子11aからの光の少なくとも一部を波長変換する。波長変換層14aは、上面視における形状が略矩形状である板状の部材である。波長変換層14aに含まれる波長変換物質としては、例えば、イットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えば、(Y,Gd)3(Al,Ga)5O12:Ce)、ルテチウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えば、Lu3(Al,Ga)5O12:Ce)、テルビウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えば、Tb3(Al,Ga)5O12:Ce)、CCA系蛍光体(例えば、Ca10(PO4)6Cl2:Eu)、SAE系蛍光体(例えば、Sr4Al14O25:Eu)、クロロシリケート系蛍光体(例えば、Ca8MgSi4O16Cl2:Eu)、シリケート系蛍光体(例えば、(Ba,Sr,Ca,Mg)2SiO4:Eu)、βサイアロン系蛍光体(例えば、(Si,Al)3(O,N)4:Eu)若しくはαサイアロン系蛍光体(例えば、Ca(Si,Al)12(O,N)16:Eu)等の酸窒化物系蛍光体、LSN系蛍光体(例えば、(La,Y)3Si6N11:Ce)、BSESN系蛍光体(例えば、(Ba,Sr)2Si5N8:Eu)、SLA系蛍光体(例えば、SrLiAl3N4:Eu)、CASN系蛍光体(例えば、CaAlSiN3:Eu)若しくはSCASN系蛍光体(例えば、(Sr,Ca)AlSiN3:Eu)等の窒化物系蛍光体、KSF系蛍光体(例えば、K2SiF6:Mn)、KSAF系蛍光体(例えば、K2(Si1-xAlx)F6-x:Mn ここで、xは、0<x<1を満たす。)若しくはMGF系蛍光体(例えば、3.5MgO・0.5MgF2・GeO2:Mn)等のフッ化物系蛍光体、ペロブスカイト構造を有する量子ドット(例えば、(Cs,FA,MA)(Pb,Sn)(F,Cl,Br,I)3 ここで、FAとMAは、それぞれホルムアミジニウムとメチルアンモニウムを表す。)、II-VI族量子ドット(例えば、CdSe)、III-V族量子ドット(例えば、InP)、又はカルコパイライト構造を有する量子ドット(例えば、(Ag,Cu)(In,Ga)(S,Se)2)等を用いることができる。
【0027】
波長変換層14aは、樹脂材料、セラミックス、ガラス等に上記の波長変換物質を含有させたもの、波長変換物質の焼結体等が挙げられる。また、波長変換層14aは、樹脂材料、セラミックス、ガラス等の成形体の一の面に波長変換物質を含有する樹脂層を配置したものでもよい。
【0028】
複数の発光部11から白色光を発光させる場合は、例えば、青色に発光する発光素子11aと、発光素子11aからの光により黄色に発光する波長変換物質を含む波長変換層14aと、を組み合わせることができる。
【0029】
光拡散層14bは、光拡散層14bの内部に進入する光を拡散させる。光拡散層14bは、上面視における形状が略矩形状である板状の部材である。光拡散層14bは、波長変換層14aの上面を覆うように設けられている。光拡散層14bは、例えば、樹脂材料に酸化チタン、チタン酸バリウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素等の光拡散物質を含有させたものを用いることができる。本実施形態における光拡散層14bの平面形状は、波長変換層14aの平面形状と同じである。なお、光拡散層14bの平面形状は、波長変換層14aの平面形状よりも大きくてもよく、小さくてもよい。
【0030】
透光性部材14の外縁は、上面視において、発光素子11aの外縁と一致してよく、また発光素子11aの外縁よりも外側に位置してよい。これにより、発光素子11aから出射される光が透光性部材14を通過せずに外部に取り出されることを低減することができる。なお、透光性部材14の外縁は、上面視において、発光素子11aの外縁の内側に位置してもよい。
【0031】
[被覆部材]
被覆部材13は、例えば、光反射性を有し発光部11が発する光を反射させる、又は、光吸収性を有し発光部11が発する光を吸収する。被覆部材13は、複数の発光部11を一体に保持するとともに第1電極E1および第2電極E2を露出させている。具体的には、被覆部材13は、光源10の上面10Uにおいて各発光部11の発光面である第1主面11Uを露出させるとともに、光源10の下面10Bにおいて発光部11の第2主面11B(下面)に有する第1電極E1および第2電極E2を露出させ、かつ複数の発光部11の側面を被覆する。また、被覆部材13は、隣接する発光部11間に配置されている。具体的には、被覆部材13は、隣接する発光素子11a間および隣接する透光性部材14間に配置されている。隣接する発光素子11a間および隣接する透光性部材14間に被覆部材13を配置させることで、例えば、一の発光部11が発光し、隣接する発光部11が非発光である場合に、一の発光部が出射した出射光が隣接する発光部11の透光性部材14に進入し、透光性部材14に含まれる波長変換物質が発光してしまうことを低減することができる。その結果、高いコントラストを有する発光装置とすることができる。
【0032】
本実施形態に係る発光装置1では、被覆部材13は、発光素子11aの側面、波長変換層14aの側面および光拡散層14bの側面を覆っている。発光部11の第1主面11Uにおいて、光拡散層14bの上面は被覆部材13から露出している。第1主面11Uは主たる光取出し面である。また、被覆部材13は、発光素子11aの半導体構造体Gの側面、半導体構造体Gの下面および電極Eの側面を覆っている。
【0033】
上面視において、隣接する発光部11間の距離(被覆部材13の幅)は、発光部11の第1主面11Uの最大長さに対して、例えば、0.01倍以上0.16倍以下であり、0.02倍以上0.08以下であることが好ましい。隣接する発光部11間の距離は、例えば10μm以上200μm以下であり、20μm以上100μm以下であることが好ましい。これにより、上面視において、発光装置1を小型にしつつ、高いコントラストを有する発光モジュールとすることができる。
【0034】
被覆部材13は、例えば、白色顔料等の光反射性物質を含有する樹脂材料を用いることができる。光反射性物質としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、チタン酸バリウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化ケイ素等が挙げられ、これらのうちの1種を単独で、又はこれらのうちの2種以上を組み合わせて使用することが好ましい。また、被覆部材13が光吸収性を有する場合、被覆部材13はカーボンブラック等の光吸収材を含むことができる。また、樹脂材料としては、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン変性樹脂、フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂を主成分とする樹脂材料や、ポリフタルアミド樹脂、ポリブチレンテレフタレート、不飽和ポリエステルなどの熱可塑性樹脂を主成分とする樹脂材料を母材とすることが好ましい。
【0035】
[基板]
基板30は、複数の発光部11を配置可能な部材である。具体的には、基板30の中央部に第1発光部111を配置可能とし、第1発光部111の周囲を囲うように第2発光部112を配置可能とする。基板30は、例えば、絶縁性材料を含む母材と、母材の表面に配置される配線部と、を備える。基板30は、母材の内部に配線の一部をさらに配置していてよい。なお、母材の表面に配置される配線部と、母材の内部に配置される配線部は、例えば、ビアによって電気的に接続される。
【0036】
基板30は、上面30Uを有し、上面30Uに配線部Hが配置されている。配線部Hは、上面30Uにおいて、発光部11の第1電極E1と対向して配置される複数の第1配線部H1と、発光部11の第2電極E2と対向して配置される複数の第2配線部H2と、第1配線部H1同士を接続する第1配線接続部HS1と、を備える。
【0037】
図2Cにおいて、基板30の配線部Hの一例を示す。配線部Hは、複数の第1配線部H1および複数の第2配線部H2を有する。第1配線部H1は発光部11の第1電極E1に接続される配線部であり、第2配線部H2は発光部11の第2電極E2に接続される配線部である。基板30は、中央に配置される第1発光部111に接続される第1配線部H1Aおよび第2配線部H2Aを有する。第1発光部111に接続される第1配線部H1Aは、第1発光部111と隣接する第2発光部112に接続される第1配線部H1と上面30Uにおいて第1配線接続部HS1を介して連続している。これにより、中央に配置される第1発光部111の発光に伴う熱を第1配線部H1Aだけでなく、第1配線接続部HS1を介して隣接する第1配線部H1において放熱することができる。被覆部材13で一体に保持された複数の発光部11において、中央に配置される第1発光部111は、外部に熱が逃げにくく、放熱性が低下する可能性がある。そのため、第1発光部111に接続される第1配線部H1Aを隣接する第1配線部H1と第1配線接続部HS1を介して接続することにより、第1発光部111が発する熱に対する放熱性を向上させることができる。また、例えば、発光装置1を撮像装置のフラッシュ光源として用いる場合、中央近傍に位置する第1発光部111のみを発光させ、外側に位置する第2発光部112を発光させない望遠撮影モード(第1照射モード)で光を照射する場合がある。換言すると、第1照射モードにおいては、第1発光部111のみを所定の出力で発光させる。望遠撮影モード(第1照射モード)では、第1発光部111のみで一定の照度の光が求められるため、第1発光部111に対して印加される電流値が大きくなる可能性がある。このような場合であっても、上記の構成を備えることで、第1発光部111が発する熱を隣接する配線部にさらに放熱することができ、第1発光部111が発する熱に対する放熱性を向上させることができる。
【0038】
複数の第1配線部H1は、上面30Uにおいて、中央近傍に位置する第1配線部H1Aに加えて、隣接する第1配線部H1同士が第1配線接続部HS1を介して連続していてよい。
図2Cに示す配線部Hでは、第1行に位置する第2発光部112に接続される3つの第1配線部H1は、第2方向において第1配線接続部HS1を介して連続している。また、第2行および第3行に位置する第1発光部111および第2発光部112の全ての第1配線部H1は、第1配線接続部HS1を介して連続するように配置されている。連続して配置される第1配線部H1および第1配線接続部HS1は、発光装置1の共通配線として作用する。
【0039】
一方で、複数の第2配線部H2は、それぞれ独立しており発光装置1の個別配線として作用する。第2配線部H2がそれぞれ独立していることにより、各発光部11に対して独立に電力を供給して個別制御を可能とする。
【0040】
本実施形態における好適な形態として、第1発光部111に接続される第1配線部H1Aは、第1発光部111と隣接する2以上の第2発光部112に接続される第1配線部H1と上面30Uにおいて第1配線接続部HS1を介して連続していてよい。
図2Cに示す第1配線部H1Aは、第1配線接続部HS1を介して、第1発光部111と第1方向において隣接する1つの第2発光部112に接続される第1配線部H1と、第1発光部111と第2方向において隣接する2つの第2発光部112に接続される第1配線部H1と、を含む3つの第1配線部H1と連続している。このような構成によれば、中央に配置される第1発光部111の発光に伴う熱を第1配線部H1Aだけでなく、第1配線接続部HS1を介して連続する第1配線部H1において放熱することができる。
【0041】
基板30と光源10との電気的な接続は、接続部材B(例えば、はんだ)が用いられる。具体的には、発光部11の第1電極E1は、基板30の第1配線部H1および第1配線接続部HS1と電気的に接続され、発光部11の第2電極E2は、基板30の第2配線部H2と電気的に接続される。
【0042】
接続部材Bの供給は、一例を示す
図2Dのとおり、接続部材供給装置(例えば、ディスペンサー)によって所定量の接続部材Bが第1配線部H1および第1配線接続部HS1ならびに第2配線部H2上に配置される。ここで
図2Cに示す平面視において、第2配線部H2の面積は、第1配線部H1および第1配線接続部HS1の面積よりも小さいため、第2配線部H2の面積当たりの接続部材Bの割合は、第1配線部H1および第1配線接続部HS1の面積当たりの接続部材Bの割合よりも高くなる。そのため、好適な第2配線部H2の形態として、第2配線部H2には、接続部材Bを収容する収容部HCを設けてよい。例えば、
図2Dおよび
図2Eに示すとおり、収容部HCは、第2配線部H2に設けられたスリットとしてよい。なお、
図2Dおよび
図2Eでは、平面視で第1方向に対して垂直に延びるようにスリットが設けられている形態を示しているが、この形態に限定されず、平面視で第1方向に対して斜め(または平行)に延びるようにスリットを設けてもよい。また、収容部HCの形状は、スリットに限定されず、孔であってもよい。このように、比較的に小さい面積の配線部(第2配線部H2)に対し、接続部材Bを収容する収容部HCを設けることにより、余剰となる接続部材Bを収容部HCで収容することができるため、例えば、光源10が傾いて基板30上に配置されることを低減することができる。
【0043】
[制御部]
制御部20は、基板30上に配置されており、複数の発光部11を個別またはグループごとに制御可能である。制御部20によれば、複数の発光部11を個別またはグループごとに制御することによって、発光装置1を撮像装置のフラッシュ光源として用いる場合には、すべての発光部11を発光させる広角撮影モード(第2照射モード)と、中央近傍に位置する第1発光部111のみを発光させ、外側に位置する第2発光部112を発光させない望遠撮影モード(第1照射モード)とを切り替える制御を行うことができる。
【0044】
上記では、本開示の発光装置1を撮像装置のフラッシュ光源として用いる場合を例にとって、第1照射モードが望遠撮影モードに対応し、第2照射モードが広角撮影モードに対応する例を説明した。なお、本開示の発光装置は、撮像装置のフラッシュ光源以外に、例えば、照明用光源や車載用光源としても用いることができる。この場合、第1照射モードおよび第2照射モードは用途に応じて種々の照射モードに対応することができる。
【0045】
<発光装置の変形例1>
次に、本開示に係る発光装置の変形例1について、
図3Aおよび3Bを参照しながら説明する。本変形例では、複数の発光部11における第1電極E1および第2電極E2の配置、および基板30における配線部Hの形状が上述の第1実施形態に係る発光装置と異なる。以下の説明では、第1実施形態で説明した発光装置と異なる点を中心に説明する。
【0046】
[発光部]
複数の発光部11は、中央に1個の第1発光部111を備え、第1発光部111の外側に8個の第2発光部112を備えている。本変形例では、第1発光部111の第1電極E1および第2電極E2は、上面視において、第1方向に延びる矩形形状を有している。一方で、第2発光部112の第1電極E1および第2電極E2は、第2方向に延びる矩形形状を有している。
【0047】
本変形例において、第1行および第3行に位置する発光部11に接続される第1電極E1は、上面視において、それぞれ第1方向において第2行に位置する発光部11に近接するように配置されている。また、第2行に位置する発光部11のうち外側の第2発光部112の第1電極E1は、上面視において、それぞれ第1方向において第3行に位置する発光部11に近接するように配置されている。
【0048】
[基板]
基板30は、上面30Uにおいて、第1配線部H1および第2配線部H2を有する。第1配線部H1は、発光部11の第1電極E1と電気的に接続するように配置され、第2配線部H2は、発光部11の第2電極E2と電気的に接続するように配置されている。
【0049】
本変形例において、複数の第1配線部H1の全ては、上面視において第1配線接続部HS1を介して連続している。これにより、各発光部11が発する熱を、第1配線接続部HS1を介して連続して繋がる全ての第1配線部H1において放熱することができる。これにより、放熱性が良好な発光装置とすることができる。また、第1発光部111に接続される第1配線部H1Aは、第1配線接続部HS1を介して、第1方向において隣接する2つの第2発光部112に接続される第1配線部H1と、第2方向において隣接する1つの第2発光部112に接続される第1配線部H1と、を含む3つの第1配線部H1と連続している。これにより、第1発光部111が発する熱を、第1配線接続部HS1を介して連続して繋がる全ての第1配線部H1において放熱することができる。
【0050】
<発光装置の変形例2>
次に、本開示に係る発光装置の変形例2について、
図4Aおよび4Bを参照しながら説明する。本変形例では、複数の発光部11における第1電極E1および第2電極E2の配置、および基板30における配線部Hの形状が上述の第1実施形態に係る発光装置と異なる。以下の説明では、第1実施形態で説明した発光装置と異なる点を中心に説明する。
【0051】
[発光部]
複数の発光部11は、中央に1個の第1発光部111を備え、第1発光部111の外側に8個の第2発光部112を備えている。本変形例では、第2発光部112の第1電極E1および第2電極E2は、第2方向に延びる矩形形状を有している。一方で、第1発光部111の第1電極E1は、第1方向に延伸する第1部分E1aと、第1部分E1aと連続し第2方向に延伸する第2部分E1bとを有する。また、第1発光部111の第2電極E2は、上面視おいて、矩形形状であり、第1発光部111の角部に配置されている。
【0052】
本変形例において、第1行および第3行に位置する発光部11に接続される第1電極E1は、上面視において、それぞれ第1方向において第2行に位置する発光部11に近接するように配置されている。また、第2行に位置する発光部11のうち外側の第2発光部112の第1電極E1は、上面視において、それぞれ第1方向において第3行に位置する発光部11に近接するように配置されている。
【0053】
[基板]
基板30は、
図4Bに示すように、上面30Uにおいて第1配線部H1および第2配線部H2を有する。本変形例において、複数の第1配線部H1の全ては、上面視において第1配線接続部HS1を介して連続している。これにより、各発光部11が発する熱を、第1配線接続部HS1を介して連続して繋がる全ての第1配線部H1において放熱することができる。これにより、放熱性が良好な発光装置とすることができる。また、第1発光部111に接続される第1配線部H1Aは、第1配線接続部HS1を介して、第1方向において隣接する2つの第2発光部に接続される第1配線部H1と、第2方向において隣接する2つの第2発光部に接続される第1配線部H1と、を含む4つの第1配線部H1と連続している。これにより、第1発光部111が発する熱を、第1配線接続部HS1を介して連続して繋がる全ての第1配線部H1において放熱することができる。本変形例の配線部Hによると、第2行および第3行に位置する発光部11と接続される第1配線部H1および第1配線部H1間を接続する第1配線接続部HS1を含む配線部が一定の幅を有する矩形形状となる。換言すると、例えば変形例2における配線部Hと比較して、該領域において配線部に幅が狭くなる部分を有さない。これにより、該領域に熱が伝搬する際に、放熱経路が狭い部分を含まないため、配線部全体にその熱を拡散しやすくなる。その結果、本変形例の配線部Hによると、例えば変形例2における配線部Hと比較して、より放熱性を向上させることができる。
【0054】
<発光装置の変形例3>
次に、本開示に係る発光装置の変形例3について
図5A~5Cを参照しながら説明する。以下の説明では、上述の実施形態および変形例で説明した発光装置と異なる点を中心に説明する。
【0055】
[発光部]
本変形例では、
図5Aに示すとおり、発光部11は、中央に9個の第1発光部111を備え、第1発光部111の外側に16個の第2発光部112を備えている。
図5Aにおいて、第1電極E1を左上がりのハッチングで示し、第2電極E2を右上がりのハッチングで示す。
【0056】
第1発光部111の第1電極E1および第2電極E2は、上面視において、第1方向に延びる矩形形状を有している。第1行および第5行に位置する第2発光部112の第1電極E1および第2電極E2は、上面視において、第1方向に延びる矩形形状を有している。また、第2~4行に位置する第2発光部112の第1電極E1および第2電極E2は、第2方向に延びる矩形形状を有している。
【0057】
発光装置1を撮像装置のフラッシュ光源として用いる場合、望遠撮影モード(第1照射モード)では、複数の第1発光部111の全てを発光させてもよく、また複数の第1発光部111のうち中央に位置する第1発光部111のみを発光させてもよい。
【0058】
[基板]
図5Bおよび5Cに示すように、基板30は、上面30Uにおいて、第1配線部H1および第2配線部H2を有する。第1配線部H1は、発光部11の第1電極E1と電気的に接続するように配置され、第2配線部H2は、発光部11の第2電極E2と電気的に接続するように配置されている。
【0059】
第1発光部111に接続される第1配線部H1Aは、隣接する発光部11に接続される第1配線部と第1配線接続部HS1を介して連続している。第1発光部111が複数ある場合、少なくとも1つの第1発光部111に接続される第1配線部H1Aが、上記の構成になっていればよい。これにより、第1配線接続部HS1を有さず隣接する第1配線部が互いに分離している発光装置と比べて、放熱性を向上させることができる。本変形例においては、全ての第1発光部に接続される第1配線部H1Aは、それぞれ、隣接する発光部11に接続される第1配線部と第1配線接続部HS1を介して連続している。これにより、良好な放熱性を有する発光装置とすることができる。
【0060】
本変形例においては、第1配線接続部HS1の幅は、第1配線部H1の幅よりも狭くなっている。具体的には、第1方向において隣接する第1配線部H1を接続する第1配線接続部HS1は、第2方向における幅TSが隣接する第1配線部H1の第2方向における幅T1よりも狭くなっている。また、第2方向において隣接する第1配線部H1を接続する第1配線接続部HS1は、第1方向における幅が隣接する第1配線部H1の第1方向における幅よりも狭くなっている。第1配線接続部HS1の幅を第1配線部H1の幅よりも狭くすることにより、はんだ等の接合部材を用いて発光部11を基板30上に配置する際に、発光部11の実装精度を向上させることができる。具体的には、はんだ等の接合部材は、熱により溶融すると、流路が広い領域に流れ込む、または留まるという性質を有する。そのため、第1配線接続部HS1の幅を第1配線部H1の幅よりも狭くすることにより、第1配線部H1上に配置された接合部材は、熱により溶融すると、第1配線接続部HS1上ではなく第1配線部H1上に留まりやすくなる。これにより、発光部11の実装精度を向上させることができる。
【0061】
基板30は、複数の第1配線部H1とビアVを介して電気的に接続する配線を有することが好ましい。ビアVは、例えば、導電性を有しかつ放熱性の高い金属部材を含む。ビアVを介して電気的に接続する配線は、例えば、基板30の内部に配置される内層配線または基板30の下面に配置される下面配線である。つまり、複数の第1配線部H1は、ビアVを介して、内層配線または下面配線と電気的に接続されることが好ましい。これにより、発光部11が発する熱をビアVを介して放熱することができる。特に、第1配線接続部HS1に接続される第1配線部H1にビアVを設けることが好ましい。これにより、発光部11が発する熱は、第1配線部H1の水平方向においては第1配線接続部HS1を経由して、また第1配線部H1の高さ方向においてはビアVを経由して放熱される。これにより、発光装置の放熱性をさらに向上させることができる。
【0062】
第1配線接続部HS1を介して連続する2以上の第1配線部H1は、ビアVが配置されている第1配線部H1と、ビアVが配置されていない第1配線部H1と、を含んでよい。例えば、基板30を設計する際に、小型の発光装置では上面30U上の配線部H、内層配線および下面配線との各配線パターンの位置関係により、複数の第1配線部H1の全てにビアVが配置できない場合がある。このような場合であっても、第1配線接続部HS1を介して連続する2以上の第1配線部H1のうち一部の第1配線部H1のみにビアVを設けることで、連続する第1配線部H1に伝導してくる熱を該ビアVを介して放熱することができる。また、第2配線部H2にビアVが設けられていてもよい。
【0063】
基板30は、
図5Bに示すように、上面30Uにおいて、光源10が配置される第1領域A1と、第1領域A1の外側に配置されるとともに外側配線部HEを有する第2領域A2と、を有することが好ましい。外側配線部HEは、複数の第1配線部H1と連続している。本変形例においては、外側配線部HEは、最も外側に位置する発光部11と接続する第1配線部H1と接続している。このような構成によれば、光源10の発光によって第1領域A1に生じた熱を第2領域A2に逃がすことができる。これにより、発光装置の放熱性をさらに高めることができる。
【0064】
さらに、好適な外側配線部HEの形態として、外側配線部HEは、少なくとも1つのビアVを有してよい。このような構成によれば、第1配線部H1と比較して広い領域を有する外側配線部HEにビアVを設けることができる。これにより、第1配線部H1にビアVが設けられない場合であっても、第1配線部H1に連続する外側配線部HEにビアVを設けることで、第1配線部H1に伝導する熱を外側配線部HEにあるビアVを介して放熱することができる。また、第1配線部H1と比較して広い領域を有する外側配線部HEでは、ビアVの数や大きさを自由度高く設定することができる。
【0065】
また、複数の第2発光部112のうち少なくとも一部の第2発光部112に接続される第2配線部H2は、第2配線接続部HS2を介して互いに連続していてよい。例えば、外側に配置される第2発光部112を一括して発光させてもよい場合は、第2発光部112に接続される第2配線部H2は互いに電気的に接続されていてもよい。このような構成によれば、少なくとも一部の第2発光部112が発する熱を第2配線接続部HS2を介して放熱することができ、発光装置の放熱性を向上させることができる。
【0066】
<発光装置の変形例4>
次に、本開示に係る発光装置の変形例4について
図6および
図7を参照しながら説明する。本変形例では、上述の実施形態および変形例と比較して発光部11の電極Eの形態が異なる。
【0067】
[発光部]
本変形例では、
図6に示すとおり、複数の発光部11のうち角部に配置される発光部11の第1電極E1および第2電極E2の面積は、他の発光部11の第1電極E1および第2電極E2の面積よりも大きい。角部に配置される発光部11の電極形状は、発光部11の外縁のうちの二辺に沿った三角形形状となっている。発光部11が小型である場合、第1電極E1と第2電極E2は、互いに絶縁性を確保するために、また各電極に接合される接合部材のマイグレーションを防ぐために、互いに所定の距離以上離隔させる必要がある。角部に配置される発光部11の電極形状を上記にすることで、第1電極E1と第2電極E2を所定の距離以上離隔させつつ、各電極の電極面積を広くすることができる。これにより、基板30との接続に用いられる接合部材の量を多くすることができ、発光部11と基板30との固着強度を向上させることができる。なお、角部に配置される発光部11の第1電極E1と第2電極E2の離隔距離は、角部以外に配置される発光部11の第1電極E1と第2電極E2の離隔距離と略同じである。この場合の略同じとは、±5%の誤差を含む。
【0068】
また、
図7に示すように、外側に配置される発光部11(第2発光部112)に対して、第1電極E1および第2電極E2の面積を他の発光部11の第1電極E1および第2電極E2の面積よりも大きくしてもよい。
【0069】
<本実施形態の発光装置を用いた発光モジュール>
次に、上述の実施形態に係る発光装置を用いた発光モジュールについて
図8を参照しながら説明する。発光モジュールは、発光装置1の上方にレンズ60が配置されている。レンズ60の一例として、発光装置1上に第1レンズ61を設け、その上に、第2レンズ62を設けてよい。第2レンズ62は、例えば、フレネルレンズである。フレネルレンズは、凹凸が配置された下面を光源10側に向けて、光源10から出射される光を入射させて、平坦な上面から出射させるように配置されている。フレネルレンズを用いることで、レンズ60の厚みを薄くすることができ、発光モジュールを小型化することができる。
【0070】
なお、今回開示した実施態様は、すべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本開示の技術的範囲は、上記した実施態様のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、本開示の技術的範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0071】
本開示の発光装置は、以下の態様を包含する。
[項1]
それぞれが、発光面である第1主面と、前記第1主面の反対側にあり、かつ第1電極および第2電極が配置される第2主面と、を有する複数の発光部と、前記複数の発光部を一体に保持するとともに前記第1電極および前記第2電極を露出させる被覆部材と、を備え、前記複数の発光部は個別またはグループごとに点灯可能であるとともに、第1方向および前記第1方向に交差する第2方向に配置される光源と、
上面を有し、前記上面において、それぞれが前記発光部の前記第1電極と対向して配置される複数の第1配線部と、それぞれが前記発光部の前記第2電極と対向して配置される複数の第2配線部と、を含む基板と、を備え、
前記複数の発光部は、上面視において、中央に配置される少なくとも1つの第1発光部と、前記第1発光部の外側に配置される少なくとも1つの第2発光部と、を有するとともに、前記少なくとも1つの第1発光部のみを所定の出力で発光可能な第1照射モードを有し、
前記第1発光部に接続される前記第1配線部は、前記第1発光部と隣接する前記第1発光部または前記第2発光部に接続される前記第1配線部と前記上面において第1配線接続部を介して連続している、発光装置。
[項2]
前記第1発光部に接続される前記第1配線部は、前記第1発光部と隣接する2以上の前記第1発光部または前記第2発光部に接続される前記第1配線部と前記上面において第1配線接続部を介して連続している、[項1]に記載の発光装置。
[項3]
前記複数の第1配線部の全ては、上面視において前記第1配線接続部を介して連続している、[項1]または[項2]に記載の発光装置。
[項4]
前記第1方向において隣接する前記第1配線部を接続する前記第1配線接続部は、前記第2方向における幅が前記隣接する前記第1配線部の前記第2方向における幅よりも狭い、[項1]~[項3]のいずれかに記載の発光装置。
[項5]
前記基板は、前記複数の第1配線部とビアを介して電気的に接続する配線を有する、[項1]~[項4]に記載の発光装置。
[項6]
前記第1配線接続部を介して連続する2以上の第1配線部は、前記ビアが配置されている第1配線部と、前記ビアが配置されていない第1配線部と、を含む、[項5]に記載の発光装置
[項7]
前記基板は、前記上面において、前記光源が配置される第1領域と、前記第1領域の外側に配置されるとともに外側配線部を有する第2領域と、を有し、
前記外側配線部は、前記複数の第1配線部と連続している、[項1]~[項6]のいずれかに記載の発光装置。
[項8]
前記外側配線部は、少なくとも1つのビアを有する、[項7]に記載の発光装置。
[項9]
前記複数の発光部のうち角部に配置される前記発光部の前記第1電極および前記第2電極の面積は、他の発光部の第1電極および第2電極の面積よりも大きい、[項1]~[項8]のいずれかに記載の発光装置。
[項10]
前記複数の第2発光部と接続する複数の第2配線部のうち少なくとも2つの前記第2配線部は、第2配線接続部を介して連続している、[項1]~[項9]のいずれかに記載の発光装置。
[項11]
前記発光装置はフラッシュ用の発光装置であり、
前記第1照射モードは望遠撮影モードに対応する、[項1]~[項10]のいずれかに記載のフラッシュ用の発光装置。
[項12]
前記発光装置は、前記少なくとも1つの第1発光部および前記複数の第2発光部を一括して発光可能な第2照射モードをさらに有し、
前記第2照射モードは広角撮影モードに対応する、[項11]に記載のフラッシュ用の発光装置。
【符号の説明】
【0072】
1 発光装置
10 光源
10U 上面
10B 下面
11,11A 発光部
11U 第1主面
11B 第2主面
11a 発光素子
111 第1発光部
112 第2発光部
13 被覆部材
14 透光性部材
14a 波長変換層
14b 光拡散層
20 制御部
30 基板
30U 上面
30B 下面
60 レンズ
61 第1レンズ
62 第2レンズ
A1 第1領域
A2 第2領域
B 接続部材
E 電極
E1 第1電極
E1a 第1部分
E1b 第2部分
E2 第2電極
G 半導体構造体
H 配線部
H1,H1A 第1配線部
H2,H2A 第2配線部
HC 収容部
HS1 第1配線接続部
HS2 第2配線接続部
HE 外側配線部
TS 第1配線接続部の幅
T1 第1配線部の幅
V ビア