(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024069146
(43)【公開日】2024-05-21
(54)【発明の名称】ポジ型感光性樹脂組成物、レジスト膜、レジスト下層膜及びレジスト永久膜
(51)【国際特許分類】
G03F 7/039 20060101AFI20240514BHJP
G03F 7/004 20060101ALI20240514BHJP
C08G 8/12 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
G03F7/039 601
G03F7/004 501
C08G8/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023175061
(22)【出願日】2023-10-10
(31)【優先権主張番号】P 2022179563
(32)【優先日】2022-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長田 裕仁
(72)【発明者】
【氏名】伊部 武史
【テーマコード(参考)】
2H225
4J033
【Fターム(参考)】
2H225AF23P
2H225AF78P
2H225AH04
2H225AK05
2H225AK06
2H225AN38P
2H225CA12
2H225CB05
2H225CC03
2H225CC15
4J033CA05
4J033CA12
4J033CB03
4J033CB18
4J033CB25
4J033CC03
4J033CD04
4J033HA02
4J033HA12
4J033HB10
(57)【要約】
【課題】i線透過性が高く、現像性及び耐熱性に優れるレジスト膜が得られるポジ型感光性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】下記の成分(A)~(C)を含有する、ポジ型感光性樹脂組成物。(A)m-クレゾール及び/又はо-クレゾールから誘導されるフェノール構造単位(a1)と、サリチルアルデヒドから誘導されるアルデヒド構造単位(a2)とを含み、アセタール基系保護基を有する、ノボラック型フェノール樹脂(但し、ホルムアルデヒドから誘導されるアルデヒド構造単位は含まない)/(B)光酸発生剤/(C)溶剤
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の成分(A)~(C)を含有する、ポジ型感光性樹脂組成物。
(A)m-クレゾール及び/又はо-クレゾールから誘導されるフェノール構造単位(a1)と、サリチルアルデヒドから誘導されるアルデヒド構造単位(a2)とを含み、アセタール基系保護基を有する、ノボラック型フェノール樹脂(但し、ホルムアルデヒドから誘導されるアルデヒド構造単位は含まない)
(B)光酸発生剤
(C)溶剤
【請求項2】
前記ノボラック型フェノール樹脂が、ベンズアルデヒドから誘導される構造単位(a3)をさらに含む請求項1に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
【請求項3】
前記ノボラック型フェノール樹脂が、m-クレゾールから誘導される構造単位(a1)と、サリチルアルデヒドから誘導される構造単位(a2)と、ベンズアルデヒドから誘導される構造単位(a3)とを含み、前記構造単位のモル比[(a1):(a2):(a3)]が、1.0:0.2~0.8:0.2~0.8を満たす請求項1又は2に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
【請求項4】
前記アセタール基系保護基が、下記式(1)で表される基である、請求項1又は2に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
【化3】
(式中、R
1及びR
2は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~20の直鎖状アルキル基、炭素数3~20の分岐状アルキル基、炭素数3~20の環状アルキル基、又は炭素数6~20のアリール基である。
R
3は、炭素数1~20の直鎖状アルキル基、炭素数3~20の分岐状アルキル基、炭素数3~20の環状アルキル基、炭素数6~20のアリール基又は炭素数7~20のアラルキル基である。R
3は、R
1又はR
2と結合して環を形成してもよい。
*はノボラック型フェノール樹脂の主鎖を構成するベンゼン環に結合する。)
【請求項5】
前記成分(A)が、m-クレゾール、サリチルアルデヒド及びベンズアルデヒドを、有機溶媒中、モル比でm-クレゾール:サリチルアルデヒド:ベンズアルデヒド=1.0:0.2~0.8:0.2~0.8の範囲において、酸触媒で重縮合させて得られるノボラック型フェノール樹脂に、アセタール基系保護基を形成する化合物を反応させて得られる、請求項1又は2に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
【請求項6】
前記アセタール基系保護基を形成する化合物が、下記式(2)で表される化合物である、請求項5に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
【化4】
(式中、R
3は、炭素数1~20の直鎖状アルキル基、炭素数3~20の分岐状アルキル基、炭素数3~20の環状アルキル基、炭素数6~20のアリール基又は炭素数7~20のアラルキル基である。
R
4~R
6は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~20の直鎖状アルキル基、炭素数3~20の分岐状アルキル基、炭素数3~20の環状アルキル基、又は炭素数6~20のアリール基である。)
【請求項7】
前記アセタール基系保護基を形成する化合物がエチルビニルエーテルである、請求項5に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
【請求項8】
前記成分(A)における、m-クレゾールから誘導される構造単位(a1)、サリチルアルデヒドから誘導される構造単位(a2)及びベンズアルデヒドから誘導される構造単位(a3)の含有量の合計が30質量%以上である、請求項2に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
【請求項9】
請求項1又は2に記載のポジ型感光性樹脂組成物を乾燥することにより得られる感光性膜。
【請求項10】
請求項1又は2に記載のポジ型感光性樹脂組成物から得られるレジスト膜。
【請求項11】
請求項1又は2に記載のポジ型感光性樹脂組成物から得られるレジスト下層膜。
【請求項12】
請求項1又は2に記載のポジ型感光性樹脂組成物から得られるレジスト永久膜。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポジ型感光性樹脂組成物、レジスト膜、レジスト下層膜及びレジスト永久膜に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器の小型化に伴い、半導体パッケージの高密度化が進んでいる。従来、ICやLSIの半導体パッケージ製造には、一般にアルカリ可溶性樹脂(例えば、ノボラック型フェノール樹脂)とナフトキノンジアジド化合物系感光剤を用いたi線用のポジ型フォトレジストが広く使用されてきた。しかしながら、i線を利用した微細化は限界を迎えつつある。特にNANDメモリ等においては、大容量化を目的としてメモリ層の三次元化が主流となりつつある。メモリ層の三次元化には、縦方向への加工段数の増加が必要となるため、レジスト膜の厚膜化が求められている。数十μmといった厚膜においては、従来のナフトキノンジアジド化合物系感光剤を用いた感光性樹脂組成物に対する露光処理では、膜の底部にまで十分な量の光が到達しないため、パターン底部のレジスト層がアルカリ溶解化を起こさず、高アスペクトパターンの形成が困難という課題がある。
【0003】
上記の課題に対し、ナフトキノンジアジド化合物系感光剤の使用に代えて、KrF、ArF、EUV等のエキシマレーザーを用いるフォトリソグラフィで使用されている化学増幅ポジ型フォトレジストを、i線を用いるフォトリソグラフィに使用することが検討されている(例えば、特許文献1)。
化学増幅ポジ型フォトレジストを用いた感光性樹脂膜に光を照射すると、光酸発生剤から酸が発生し、発生した酸(プロトン)が酸触媒として、酸分解性樹脂の保護基を脱離させアルカリ溶解性基を露出させる。化学増幅ポジ型フォトレジストでは、保護基の脱離後、酸は触媒的に再生され、別の保護基を脱離させることが可能であるため、微量な光量においても高いアルカリ溶解性を有するポジ型のパターンを作製することができる。従って、厚膜作製で課題となっていた膜底部のアルカリ溶解化が可能となる。
しかしながら、特許文献1記載のm-クレゾール系フェノールノボラック樹脂を用いたポジ型感光性樹脂組成物では、感度が依然として不足しており、現像後のパターン底部の残膜発生が解決されていない。
【0004】
そこで、m-クレゾールに加えて、o-クレゾール及びp-クレゾールからなる化学増幅ポジ型感光性樹脂組成物も検討されている(例えば、特許文献2)。しかしながら、特許文献2記載の感光性樹脂組成物では未だアルカリ溶解性が十分でなく、依然として現像後のパターン底部の残膜発生があり、かつ、耐熱性も低いという課題があった。また、i線の波長である365nmの光透過性が低いため、感度向上に限界があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003-149816号公報
【特許文献2】特開2019-203097号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、i線透過性が高く、現像性及び耐熱性に優れるレジスト膜が得られるポジ型感光性樹脂組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、特定の構造単位を有し、かつフェノール性水酸基の少なくとも一部をアセタール基系保護基に置換したノボラック型フェノール樹脂と、光酸発生剤と、溶剤とを含むポジ型感光性樹脂組成物が、i線透過性が高いことを見出し、本発明を完成させた。
【0008】
すなわち、本発明は下記の成分(A)~(C)を含有する、ポジ型感光性樹脂組成物に関する。
(A)m-クレゾール及び/又はо-クレゾールから誘導されるフェノール構造単位(a1)と、サリチルアルデヒドから誘導されるアルデヒド構造単位(a2)とを含み、アセタール基系保護基を有する、ノボラック型フェノール樹脂(但し、ホルムアルデヒドから誘導されるアルデヒド構造単位は含まない)
(B)光酸発生剤
(C)溶剤
【0009】
本発明はさらに、ポジ型感光性樹脂組成物を乾燥することにより得られる感光性膜に関する。
本発明はさらに、ポジ型感光性樹脂組成物から得られるレジスト膜に関する。
本発明はさらに、ポジ型感光性樹脂組成物から得られるレジスト下層膜に関する。
本発明はさらに、ポジ型感光性樹脂組成物から得られるレジスト永久膜に関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、i線透過性が高く、現像性及び耐熱性に優れるレジスト膜が得られるポジ型感光性樹脂組成物を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】合成例1で得たノボラック型フェノール樹脂のGPCチャートである。
【
図2】合成例2で得たノボラック型フェノール樹脂のGPCチャートである。
【
図3】合成例3で得たノボラック型フェノール樹脂のGPCチャートである。
【
図4】合成例4で得たノボラック型フェノール樹脂のGPCチャートである。
【
図5】合成例5で得たノボラック型フェノール樹脂のGPCチャートである。
【
図6】合成例6で得たノボラック型フェノール樹脂のGPCチャートである。
【
図7】合成例7で得たノボラック型フェノール樹脂のGPCチャートである。
【
図8】合成例8で得たノボラック型フェノール樹脂のGPCチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に発明を実施するための形態について説明する。
なお、本明細書において、「x~y」は「x以上、y以下」の数値範囲を表すものとする。数値範囲に関して記載された上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。
また、以下に記載される本発明の個々の形態を2つ以上組み合わせた形態もまた、本発明の形態である。
【0013】
[ポジ型感光性樹脂組成物]
本発明の一実施形態に係るポジ型感光性樹脂組成物は、下記の成分(A)~(C)を含有する。
(A)m-クレゾール及び/又はо-クレゾールから誘導されるフェノール構造単位(a1)と、サリチルアルデヒドから誘導されるアルデヒド構造単位(a2)とを含み、アセタール基系保護基を有する、ノボラック型フェノール樹脂(但し、ホルムアルデヒドから誘導されるアルデヒド構造単位は含まない)
(B)光酸発生剤
(C)溶剤
【0014】
本実施形態では、ノボラック型フェノール樹脂がアセタール基系保護基を有することにより、ポジ型感光性樹脂組成物をレジスト膜等として使用する際に光酸発生剤との相乗作用が生じる。具体的には、露光部においては光酸発生剤により発生した酸により、成分(A)からアセタール基系保護基が脱離するが、一方で未露光部においては成分(A)からアセタール基系保護基が脱離しない。これにより、i線透過性に優れ、かつレジスト膜等にしたときに現像性、現像コントラスト及び耐熱性に優れるポジ型感光性樹脂組成物が得られる。
【0015】
・成分(A)
成分(A)であるノボラック型フェノール樹脂は、m-クレゾール及び/又はо-クレゾールから誘導されるフェノール構造単位(a1)と、サリチルアルデヒドから誘導されるアルデヒド構造単位(a2)とを含み、アセタール基系保護基を有する。
【0016】
成分(A)であるノボラック型フェノール樹脂は、好ましくはベンズアルデヒドから誘導される構造単位(a3)をさらに含む。
ノボラック型フェノール樹脂がベンズアルデヒドから誘導される構造単位(a3)をさらに含むことで、アセタール基系保護基の時間経過による脱離を抑制し、ノボラック型フェノール樹脂の保存安定性を向上させることができる。
【0017】
成分(A)であるノボラック型フェノール樹脂は、好ましくはm-クレゾールから誘導される構造単位(a1)、サリチルアルデヒドから誘導される構造単位(a2)及びベンズアルデヒドから誘導される構造単位(a3)のモル比[(a1):(a2):(a3)]が、1.0:0.2~0.8:0.2~0.8を満たす。
【0018】
成分(A)が有するm-クレゾールから誘導される構造単位(a1)、サリチルアルデヒドから誘導される構造単位(a2)及びベンズアルデヒドから誘導される構造単位(a3)のモル比[(a1):(a2):(a3)]は、高現像性に加えて耐熱性を有するレジスト膜等を得る観点から、好ましくは1.0:0.3~0.8:0.3~0.8であり、より好ましくは1.0:0.35~0.75:0.35~0.75であり、さらに好ましくは1.0:0.4~0.65:0.4~0.65である。
【0019】
成分(A)は、m-クレゾールから誘導される構造単位(a1)、サリチルアルデヒドから誘導される構造単位(a2)、及びベンズアルデヒドから誘導される構造単位(a3)以外の構造単位を含んでいてもよい。(a1)~(a3)以外の構造単位としては、m-クレゾール、ベンズアルデヒド、及びサリチルアルデヒド以外のフェノール類やアルデヒド類から誘導される構造単位が挙げられる。但し、成分(A)であるノボラック型フェノール樹脂は、ホルムアルデヒドから誘導されるアルデヒド構造単位は含まない。
【0020】
上記フェノール類としては、フェノール、o-クレゾール、p-クレゾール、2,3-キシレノール、2,5-キシレノール、3,4-キシレノール、3,5-キシレノール、2,3,5-トリメチルフェノール、3,4,5-トリメチルフェノール等が挙げられる。
【0021】
上記アルデヒド類としては、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、クロロアセトアルデヒド、4-ヒドロキシベンズアルデヒド、3-ヒドロキシベンズアルデヒド等が挙げられる。
【0022】
成分(A)であるノボラック型フェノール樹脂の繰り返し単位における、上記構造単位(a1)、(a2)及び(a3)の含有量の合計は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上である。
上記構造単位(a1)、(a2)及び(a3)の含有量の合計は、実質的に100質量%であってもよい。なお、実質的に100質量%とは、上記構造単位(a1)、(a2)及び(a3)以外の構造単位が不可避的に含まれる場合も含む。
【0023】
成分(A)が有するアセタール基系保護基は、下記式(1)で表される基であることが好ましい。
【化1】
(式中、R
1及びR
2は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~20の直鎖状アルキル基、炭素数3~20の分岐状アルキル基、炭素数3~20の環状アルキル基、又は炭素数6~20のアリール基である。
R
3は、炭素数1~20の直鎖状アルキル基、炭素数3~20の分岐状アルキル基、炭素数3~20の環状アルキル基、炭素数6~20のアリール基又は炭素数7~20のアラルキル基である。R
3は、R
1又はR
2と結合して環を形成してもよい。
*はノボラック型フェノール樹脂の主鎖を構成するベンゼン環に結合する。)
【0024】
成分(A)において、ノボラック型フェノール樹脂のフェノール性水酸基の少なくとも一部が、上記式(1)で表されるアセタール基系保護基で保護される。アセタール基系保護基は、光酸発生剤から発生する酸により脱離させることができる。
成分(A)がアセタール基系保護基を有することは、C13-NMRで確認することができる。
【0025】
式(1)において、炭素数1~20の直鎖状アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、へキシル基等が挙げられる。
炭素数3~20の分岐状アルキル基としては、イソプロピル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ネオペンチル基、イソペンチル基、2-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、2,3-ジメチルブチル基等が挙げられる。
炭素数3~20の環状アルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基等が挙げられる。環状アルキル基は上述した直鎖状アルキル基等の置換基を有していてもよい。
炭素数6~20のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基等が挙げられる。アリール基は上述したアルキル基等の置換基を有していてもよい。
【0026】
アラルキル基は、アルキル基(CnH2n+1)の水素原子の1つ以上がアリール基で置換されているアルキル基を意味する。該アリール基は上述したアルキル基等の置換基を有していてもよい。具体的には、フェニルメチル基、トリルメチル基、キシリルメチル基、ナフチルメチル基、ヒドロキシナフチルメチル基、ジヒドロキシナフチルメチル基、フェニルエチル基、ヒドロキシフェニルエチル基、ジヒドロキシフェニルエチル基、トリルエチル基、キシリルエチル基、ナフチルエチル基、ヒドロキシナフチルエチル基、ジヒドロキシナフチルエチル基が挙げられる。炭素原子数は、例えば7~15が好ましい。
【0027】
R3は、R1又はR2と結合して環を形成してもよい。環の例としては、フラン環、ピラン環等の含酸素複素環が挙げられる。
【0028】
上記式(1)で表されるアセタール基系保護基の例としては、具体的には、1-メトキシエトキシ基、1-エトキシエトキシ基、1-プロポキシエトキシ基、1-ブトキシエトキシ基、2-メトキシプロポキシ基、2-エトキシプロポキシ基、1-(2-メチルプロポキシ)エトキシ基、1-(1-プロポキシ)プロポキシ基、1-エトキシブトキシ基、1-(2-メトキシエトキシ)エトキシ基、1-(2-アセトキシエトキシ)エトキシ基、テトラヒドロフラン-2-イル基、1-〔(1-アダマンチルオキシ)エトキシ〕エチル基、1-〔2-(1-アダマンタンカルボニルオキシ)エトキシ〕エチル基、テトラヒドロ-2-ピラニル基、テトラヒドロ-2-フリル基、1-(シクロヘキシルオキシ)エトキシ基、1-フェノキシエトキシ基、1-(2-シクロヘキシル)エトキシエトキシ基、(1-アダマンチルオキシ)エトキシ基、(2-アダマンチルオキシ)エトキシ基、(1-アダマンチルメトキシ)エトキシ基、(2-アダマンチルエトキシ)エトキシ基、1-(1-ビシクロ[2.2.1]へプチルオキシ)エトキシ基、1-(2-ビシクロ[2.2.1]へプチルオキシ)エトキシ基、1-(1-ビシクロ[2.2.1]へプチルメトキシ)エトキシ基、1-(2-ビシクロ[2.2.1]へプチルメトキシ)エトキシ基、2-(1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプチルオキシ)エトキシ基、2-(1-イソプロピル-4-メチルシクロヘキシルオキシ)エトキシ基等が挙げられる。
上記式(1)で表される保護基としては、1-エトキシエトキシ基が好ましい。
【0029】
成分(A)における、ノボラック型フェノール樹脂中のフェノール性水酸基の保護率(ノボラック型フェノール樹脂中のフェノール性水酸基の総量に対する、アセタール基系保護基の結合の割合)は、アルカリ現像液に対する溶解速度を適当とする観点等から、1~50モル%、好ましくは2~40モル%、より好ましくは5~25モル%、さらに好ましくは7.5~15モル%である。
【0030】
成分(A)であるノボラック型フェノール樹脂の重量平均分子量は、好ましくは1000以上、より好ましくは1,500以上である。また、好ましくは7,000以下、より好ましくは6,000以下、さらに好ましくは5,000以下である。重量平均分子量が1000以上であると、高耐熱であるため好ましい。一方、重量平均分子量が7,000以下であると、高感度であるため好ましい。なお、本明細書において、重量平均分子量は実施例に記載する条件に従って測定する。
【0031】
成分(A)は、好ましくはm-クレゾール、サリチルアルデヒド、及びベンズアルデヒドを、有機溶媒中、モル比(m-クレゾール:サリチルアルデヒド:ベンズアルデヒド)が1.0:0.2~0.8:0.2~0.8である範囲で、酸触媒を用いて重縮合させてノボラック型フェノール樹脂(a)を得た後、さらに、アセタール基系保護基を形成する化合物と反応させることによって得られる。
以下、ノボラック型フェノール樹脂(a)の合成と、アセタール基系保護基の導入について、説明する。
【0032】
(ノボラック型フェノール樹脂(a)の合成)
ノボラック型フェノール樹脂(a)は、例えば、常法に従って原料化合物を反応溶媒に溶解し、酸触媒を用いて合成反応を行うことにより得ることができる。
【0033】
ノボラック型フェノール樹脂(a)の製造時に使用する反応溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン等が挙げられる、これらの中でも好ましくはエタノール、1-プロパノール、及び2-プロパノールから選ばれる1種以上であり、より好ましくはエタノール又はメチルイソブチルケトンである。
【0034】
反応溶媒中の、m-クレゾール、サリチルアルデヒド、及びベンズアルデヒドのモル比(m-クレゾール:サリチルアルデヒド:ベンズアルデヒド)は、高感度に加えて低温硬化で耐薬品性を有するレジスト膜等を得る観点から、好ましくは1.0:0.3~0.8:0.3~0.8であり、より好ましくは1.0:0.35~0.75:0.35~0.75であり、さらに好ましくは1.0:0.4~0.65:0.4~0.65である。
【0035】
m-クレゾール、サリチルアルデヒド及びベンズアルデヒドを有機溶媒中で重縮合させてノボラック型フェノール樹脂(a)を得る際、上述したように、m-クレゾール、サリチルアルデヒド及びベンズアルデヒド以外のフェノール類及びアルデヒド類が有機溶媒に含まれていてもよい。
【0036】
反応溶媒中の、成分(A)の構成する構造単位となり得る全ての出発原料の合計質量に対する、m-クレゾール、サリチルアルデヒド及びベンズアルデヒドの合計質量の割合は、高感度に加えて低温硬化で耐熱性を有するレジスト膜を得る観点から、50質量%以上、70質量%以上、80質量%以上、90質量%以上の順に好ましく、より好ましくは実質的に100質量%である。
【0037】
上記反応溶媒の使用量としては、反応の均一性の観点から、成分(A)の構成する構造単位を誘導するための原料100質量部に対して、好ましくは20質量部以上、より好ましくは50質量部以上である。また、好ましくは500質量部以下、より好ましくは300質量部以下である。
【0038】
ノボラック型フェノール樹脂(a)の製造時に使用する酸触媒としては、塩酸、硫酸、燐酸、ホウ酸等の無機酸類;蓚酸、酢酸、パラトルエンスルホン酸等の有機酸類等が例示できる。これらの中でも、より反応を促進するため、無機酸類、パラトルエンスルホン酸が好ましく、パラトルエンスルホン酸がより好ましい。
酸触媒の添加量は、特に制限されないが、成分(A)の構成する構造単位を誘導するための原料100質量部に対し、好ましくは5質量部以上、より好ましくは20質量部以上である。また、好ましくは150質量部以下、より好ましくは100質量部以下である。
【0039】
ノボラック型フェノール樹脂(a)の原料を重縮合させる際の反応温度は、反応を促進しつつ、かつ、効率良く高分子量化することができることから、好ましくは30℃以上、より好ましくは40℃以上である。また、好ましくは100℃以下、より好ましくは80℃以下である。
反応時間は、好ましくは4時間以上、より好ましくは12時間以上である。また、好ましくは32時間以下、より好ましくは24時間以下である。
【0040】
(アセタール基系保護基の導入)
アセタール基系保護基の導入方法は特に限定されない。例えば、反応溶媒中にノボラック樹脂(a)とアセタール基系保護基を形成する化合物を投入し、酸触媒を用いて反応させる方法が挙げられる。
アセタール基系保護基は、酸触媒中において、ノボラック型フェノール樹脂(a)中のフェノール性水酸基とアセタール基系保護基を形成する化合物が反応することで生成し、ノボラック型フェノール樹脂(a)中のフェノール性水酸基を保護する。
【0041】
アセタール基系保護基の導入に際して用いられる反応溶媒としては、上記ノボラック型フェノール樹脂(a)の合成で用いた反応溶媒を好適に用いることができる。アセタール基系保護基の導入に際して用いられる反応溶媒としては、メチルイソブチルケトンが好ましい。
【0042】
アセタール基系保護基の導入に際して用いられる酸触媒は、上記ノボラック型フェノール樹脂(a)の合成で用いた酸触媒を好適に用いることができる。これらの中でも、より反応を促進するため、無機酸類、パラトルエンスルホン酸が好ましく、パラトルエンスルホン酸がより好ましい。
【0043】
アセタール基系保護基の導入に際して、反応時間は、好ましくは1時間以上、より好ましくは2時間以上である。また、好ましくは10時間以下、より好ましくは6時間以下である。
アセタール基系保護基の導入に際して、反応温度は上記ノボラック型フェノール樹脂(a)の合成と同様の反応温度とすることができる。
【0044】
本実施形態において、アセタール基系保護基を形成する化合物は、下記式(2)で表される化合物であることが好ましい。
【化2】
(式中、R
3は、炭素数1~20の直鎖状アルキル基、炭素数3~20の分岐状アルキル基、炭素数3~20の環状アルキル基、炭素数6~20のアリール基又は炭素数7~20のアラルキル基である。
R
4~R
6は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~20の直鎖状アルキル基、炭素数3~20の分岐状アルキル基、炭素数3~20の環状アルキル基、又は炭素数6~20のアリール基である。)
【0045】
式(2)において、炭素数1~20の直鎖状アルキル基、炭素数3~20の分岐状アルキル基、炭素数3~20の環状アルキル基、炭素数6~20のアリール基及び炭素数7~20のアラルキル基の具体例は上記式(1)と同様である。
R3、R4、R5及びR6のうち、いずれか2つが結合して環を形成してもよく、例えばR3とR6が結合して環状エーテルを形成してもよい。
【0046】
上記式(2)で表されるアセタール基系保護基を形成する化合物としては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、シクロペンチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルメチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、フェネチルビニルエーテル、メンチルビニルエーテル、1-アダマンチルビニルエーテル、2-アダマンチルビニルエーテル、[(アダマンタン-1-イル)メチル]ビニルエーテル、[(アダマンタン-2-イル)メチル]ビニルエーテル、1-メトキシプロピレン、2-メトキシ-2-ブテン、2-メトキシ-3-メチル-2-ブテン、2-(エテニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]へプタン、2-(エテニルオキシ)-1,7,7トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2-[(ビニルオキシ)メチル]ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2-[(ビニルオキシ)エチル]ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、3-(エテニルオキシ)-1,1-ビシクロヘキサン、3,4-ジヒドロピラン等が挙げられる。なかでも、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテルが好ましい。
【0047】
本実施形態において、上記式(2)で表される化合物の配合量は、良好な現像性(感度)及び現像コントラストが得られることから、ノボラック型フェノール樹脂(a)100質量部に対して、好ましくは1質量部以上であり、より好ましくは5質量部以上である。また、好ましくは20質量部以下であり、より好ましくは15質量部以下である。
【0048】
・成分(B)
成分(B)である光酸発生剤とは、露光によって結合開裂を起こして酸を発生する化合物をいう。光酸発生剤を含有させることで、光酸発生剤により生じた酸により露光部においてアセタール基系保護基が成分(A)から脱離する。この反応により、ノボラック型フェノール樹脂のフェノール系水酸基が露出するため、未露光部と露光部とでアルカリ可溶性に差を生じさせることができ、ポジ型感光性樹脂組成物をレジスト膜としたときに現像性(感度)及び現像コントラストを向上させることができる。
【0049】
光酸発生剤は、特に限定されず、公知の光酸発生剤を使用することができる。例えば、有機ハロゲン化合物、スルホン酸エステル、オニウム塩(ホスホニウム塩、スルホニウム塩、ヨードニウム塩等)、ジアゾニウム塩、ジアゾメタン化合物、ニトロベンジル化合物、ジスルホン化合物、トリアジン系光酸発生剤等が挙げられる。
一実施形態において、光酸発生剤はナフトキノンジアジド化合物ではない。
【0050】
光酸発生剤の具体例としては、以下が挙げられる。
トリス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、トリス(トリブロモメチル)-s-トリアジン、トリス(ジブロモメチル)-s-トリアジン、2,4-ビス(トリブロモメチル)-6-p-メトキシフェニル-s-トリアジン、(2-[2-(5-メチルフラン-2-イル)エテニル]-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン)等のハロアルキル基含有s-トリアジン誘導体;
【0051】
1,2,3,4-テトラブロモブタン、1,1,2,2-テトラブロモエタン、四臭化炭素、ヨードホルム等のハロゲン置換パラフィン系炭化水素化合物;ヘキサブロモシクロヘキサン、ヘキサクロロシクロヘキサン、ヘキサブロモシクロドデカン等のハロゲン置換シクロパラフィン系炭化水素化合物;
【0052】
ビス(トリクロロメチル)ベンゼン、ビス(トリブロモメチル)ベンゼン等のハロアルキル基含有ベンゼン誘導体;トリブロモメチルフェニルスルホン、トリクロロメチルフェニルスルホン等のハロアルキル基含有スルホン化合物;2,3-ジブロモスルホラン等のハロゲン含有スルホラン化合物;トリス(2,3-ジブロモプロピル)イソシアヌレート等のハロアルキル基含有イソシアヌレート化合物;
【0053】
トリフェニルスルホニウムクロライド、ジフェニル-4-メチルフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニル[4-(フェニルチオ)フェニル]スルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムp-トルエンスルホネート、トリフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアルセネート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスホネート等のスルホニウム塩;
【0054】
ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムp-トルエンスルホネート、ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアルセネート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスホネート等のヨードニウム塩;
【0055】
p-トルエンスルホン酸メチル、p-トルエンスルホン酸エチル、p-トルエンスルホ
ン酸ブチル、p-トルエンスルホン酸フェニル、1,2,3-トリス(p-トルエンスルホニルオキシ)ベンゼン、p-トルエンスルホン酸ベンゾインエステル、メタンスルホン酸メチル、メタンスルホン酸エチル、メタンスルホン酸ブチル、1,2,3-トリス(メタンスルホニルオキシ)ベンゼン、メタンスルホン酸フェニル、メタンスルホン酸ベンゾインエステル、トリフルオロメタンスルホン酸メチル、トリフルオロメタンスルホン酸エチル、トリフルオロメタンスルホン酸ブチル、1,2,3-トリス(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ベンゼン、トリフルオロメタンスルホン酸フェニル、トリフルオロメタンスルホン酸ベンゾインエステル等のスルホン酸エステル化合物;ジフェニルジスルホン等のジスルホン化合物;
【0056】
ビス(フェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(2,4-ジメチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、シクロヘキシルスルホニル-(2-メトキシフェニルスルホニル)ジアゾメタン、シクロヘキシルスルホニル-(3-メトキシフェニルスルホニル)ジアゾメタン、シクロヘキシルスルホニル-(4-メトキシフェニルスルホニル)ジアゾメタン、シクロペンチルスルホニル-(2-メトキシフェニルスルホニル)ジアゾメタン、シクロペンチルスルホニル-(3-メトキシフェニルスルホニル)ジアゾメタン、シクロペンチルスルホニル-(4-メトキシフェニルスルホニル)ジアゾメタン、シクロヘキシルスルホニル-(2-フルオロフェニルスルホニル)ジアゾメタン、シクロヘキシルスルホニル-(3-フルオロフェニルスルホニル)ジアゾメタン、シクロヘキシルスルホニル-(4-フルオロフェニルスルホニル)ジアゾメタン、シクロペンチルスルホニル-(2-フルオロフェニルスルホニル)ジアゾメタン、シクロペンチルスルホニル-(3-フルオロフェニルスルホニル)ジアゾメタン、シクロペンチルスルホニル-(4-フルオロフェニルスルホニル)ジアゾメタン、シクロヘキシルスルホニル-(2-クロロフェニルスルホニル)ジアゾメタン、シクロヘキシルスルホニル-(3-クロロフェニルスルホニル)ジアゾメタン、シクロヘキシルスルホニル-(4-クロロフェニルスルホニル)ジアゾメタン、シクロペンチルスルホニル-(2-クロロフェニルスルホニル)ジアゾメタン、シクロペンチルスルホニル-(3-クロロフェニルスルホニル)ジアゾメタン、シクロペンチルスルホニル-(4-クロロフェニルスルホニル)ジアゾメタン、シクロヘキシルスルホニル-(2-トリフルオロメチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、シクロヘキシルスルホニル-(3-トリフルオロメチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、シクロヘキシルスルホニル-(4-トリフルオロメチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、シクロペンチルスルホニル-(2-トリフルオロメチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、シクロペンチルスルホニル-(3-トリフルオロメチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、シクロペンチルスルホニル-(4-トリフルオロメチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、シクロヘキシルスルホニル-(2-トリフルオロメトキシフェニルスルホニル)ジアゾメタン、シクロヘキシルスルホニル-(3-トリフルオロメトキシフェニルスルホニル)ジアゾメタン、シクロヘキシルスルホニル-(4-トリフルオロメトキシフェニルスルホニル)ジアゾメタン、シクロペンチルスルホニル-(2-トリフルオロメトキシフェニルスルホニル)ジアゾメタン、シクロペンチルスルホニル-(3-トリフルオロメトキシフェニルスルホニル)ジアゾメタン、シクロペンチルスルホニル-(4-トリフルオロメトキシフェニルスルホニル)ジアゾメタン、シクロヘキシルスルホニル-(2,4,6-トリメチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、シクロヘキシルスルホニル-(2,3,4-トリメチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、シクロヘキシルスルホニル-(2,4,6-トリエチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、シクロヘキシルスルホニル-(2,3,4-トリエチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、シクロペンチルスルホニル-(2,4,6-トリメチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、シクロペンチルスルホニル-(2,3,4-トリメチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、シクロペンチルスルホニル-(2,4,6-トリエチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、シクロペンチルスルホニル-(2,3,4-トリエチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、フェニルスルホニル-(2-メトキシフェニルスルホニル)ジアゾメタン、フェニルスルホニル-(3-メトキシフェニルスルホニル)ジアゾメタン、フェニルスルホニル-(4-メトキシフェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(2-メトキシフェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(3-メトキシフェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(4-メトキシフェニルスルホニル)ジアゾメタン、フェニルスルホニル-(2,4,6-トリメチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、フェニルスルホニル-(2,3,4-トリメチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、フェニルスルホニル-(2,4,6-トリエチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、フェニルスルホニル-(2,3,4-トリエチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、2,4-ジメチルフェニルスルホニル-(2,4,6-トリメチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、2,4-ジメチルフェニルスルホニル-(2,3,4-トリメチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、フェニルスルホニル-(2-フルオロフェニルスルホニル)ジアゾメタン、フェニルスルホニル-(3-フルオロフェニルスルホニル)ジアゾメタン、フェニルスルホニル-(4-フルオロフェニルスルホニル)ジアゾメタン等のスルホンジアジド化合物;
【0057】
o-ニトロベンジル-p-トルエンスルホネート等のo-ニトロベンジルエステル化合物;
N,N’-ジ(フェニルスルホニル)ヒドラジド等のスルホンヒドラジド化合物;
トリアリールスルホニウム、トリアラルキルスルホニウム等のスルホニウムカチオンと、フルオロアルカンスルホネート、アレーンスルホネート、アルカンスルホネート等のスルホネートとの塩であるスルホニウム塩;
【0058】
ジアリールヨードニウム等のヨードニウムカチオンと、フルオロアルカンスルホネート、アレーンスルホネート、アルカンスルホネート等のスルホネートとの塩であるヨードニウム塩;
ビス(アルキルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロアルキルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(パーフルオロアルキルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(アリールスルホニル)ジアゾメタン、ビス(アラルキルスルホニル)ジアゾメタン等のビススルホニルジアゾメタン化合物;
【0059】
ジカルボン酸イミド化合物と、フルオロアルカンスルホネート、アレーンスルホネート、アルカンスルホネート等のスルホネートとの組み合わせからなるN-スルホニルオキシイミド化合物;
ベンゾイントシレート、ベンゾインメシレート、ベンゾインブタンスルホネート等のベンゾインスルホネート化合物;
ポリヒドロキシアレーン化合物のヒドロキシ基の全てをフルオロアルカンスルホネート、アレーンスルホネート、アルカンスルホネート等のスルホネート等で置換したポリヒドロキシアレーンスルホネート化合物;
【0060】
フルオロアルカンスルホン酸(ポリ)ニトロベンジル、アレーンスルホン酸(ポリ)ニトロベンジル、アルカンスルホン酸(ポリ)ニトロベンジル等のニトロベンジルスルホネート化合物;
フルオロアルカンスルホン酸(ポリ)フルオロアルカンベンジル、アレーンスルホン酸(ポリ)フルオロアルカンベンジル、アルカンスルホン酸(ポリ)フルオロアルカンベンジル等のフルオロアルカンベンジルスルホネート化合物;
【0061】
ビス(アリールスルホニル)アルカン化合物;
ビス-O-(アリールスルホニル)-α-ジアルキルグリオキシム、ビス-O-(アリールスルホニル)-α-ジシクロアルキルグリオキシム、ビス-O-(アリールスルホニル)-α-ジアリールグリオキシム、ビス-O-(アルキルスルホニル)-α-ジアルキルグリオキシム、ビス-O-(アルキルスルホニル)-α-ジシクロアルキルグリオキシム、ビス-O-(アルキルスルホニル)-α-ジアリールグリオキシム、ビス-O-(フルオロアルキルスルホニル)-α-ジアルキルグリオキシム、ビス-O-(フルオロアルキルスルホニル)-α-ジシクロアルキルグリオキシム、ビス-O-(フルオロアルキルスルホニル)-α-ジアリールグリオキシム、ビス-O-(アリールスルホニル)-α-ジアルキルニオキシム、ビス-O-(アリールスルホニル)-α-ジシクロアルキルニオキシム、ビス-O-(アリールスルホニル)-α-ジアリールニオキシム、ビス-O-(アルキルスルホニル)-α-ジアルキルニオキシム、ビス-O-(アルキルスルホニル)-α-ジシクロアルキルニオキシム、ビス-O-(アルキルスルホニル)-α-ジアリールニオキシム、ビス-O-(フルオロアルキルスルホニル)-α-ジアルキルニオキシム、ビス-O-(フルオロアルキルスルホニル)-α-ジシクロアルキルニオキシム、ビス-O-(フルオロアルキルスルホニル)-α-ジアリールニオキシム等のオキシム化合物;
【0062】
アリールスルホニルオキシイミノアリールアセトニトリル、アルキルスルホニルオキシイミノアリールアセトニトリル、フルオロアルキルスルホニルオキシイミノアリールアセトニトリル、((アリールスルホニル)オキシイミノ-チオフェン-イリデン)アリールアセトニトリル、((アルキルスルホニル)オキシイミノ-チオフェン-イリデン)アリールアセトニトリル、((フルオロアルキルスルホニル)オキシイミノ-チオフェン-イリデン)アリールアセトニトリル、ビス(アリールスルホニルオキシイミノ)アリーレンジアセトニトリル、ビス(アルキルスルホニルオキシイミノ)アリーレンジアセトニトリル、ビス(フルオロアルキルスルホニルオキシイミノ)アリーレンジアセトニトリル、アリールフルオロアルカノン-O-(アルキルスルホニル)オキシム、アリールフルオロアルカノン-O-(アリールスルホニル)オキシム、アリールフルオロアルカノン-O-(フルオロアルキルスルホニル)オキシム等の変性オキシム化合物。
【0063】
光酸発生剤は、1種単独で用いてもよく、また、2種以上を併用してもよい。
光酸発生剤の配合量は、ポジ型感光性樹脂組成物が良好なi線透過性を有し、かつポジ型感光性樹脂組成物をレジスト膜等にしたときに良好な現像性(感度)や耐熱性を得る観点から、成分(A)100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上であり、より好ましくは0.5質量部以上である。また、好ましくは20質量部以下であり、より好ましくは5質量部以下である。
【0064】
・成分(C)
成分(C)である溶剤としては、N-メチル-2-ピロリドン、γ-ブチロラクトン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等の極性の非プロトン性溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、ジイソブチルケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸プロピル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート等のエステル類、乳酸エチル、乳酸メチル、ジアセトンアルコール、3-メチル-3-メトキシブタノール等のアルコール類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類等が挙げられる。これらの溶剤は1種単独で用いてもよく、また、2種以上を併用してもよい。
【0065】
本実施形態のポジ型感光性樹脂組成物における溶剤の配合量は、組成物の流動性をスピンコート法等の塗布法により均一な塗膜を得られることから、当該組成物中の固形分濃度が、好ましくは5質量%以上となる量である。また、好ましくは65質量%以下となる量である。
【0066】
・その他成分
一実施形態において、ポジ型感光性樹脂組成物には、上述した成分(A)~(C)の他、本発明の効果を阻害しない範囲で各種添加剤を配合してもよい。添加剤としては、充填材、顔料、レベリング剤等の界面活性剤、密着性向上剤、溶解促進剤等が挙げられる。
【0067】
本実施形態のポジ型感光性樹脂組成物は、上述した成分(A)~(C)、及び必要に応じて各種添加剤を、通常の方法で、撹拌混合して均一な液とすることで調製できる。
該組成物に充填材、顔料等の固形のものを配合する際には、ディゾルバー、ホモジナイザー、3本ロールミル等の分散装置を用いて分散、混合させることが好ましい。また、粗粒や不純物を除去するため、メッシュフィルター、メンブレンフィルター等を用いて該組成物をろ過することもできる。
【0068】
本実施形態のポジ型感光性樹脂組成物は、レジスト膜、レジスト下層膜及びレジスト永久膜等の用途に好適に使用できる。
【0069】
本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、一般的なポジ型感光性樹脂組成物と同様の使い方により、レジスト膜、レジスト下層膜及びレジスト永久膜(以下、レジスト膜、レジスト下層膜及びレジスト永久膜を纏めてレジスト膜等ということがある。)とすることができる。
具体的には、フォトリソグラフィを行う対象物上に、本発明のポジ型感光性樹脂組成物を塗布し、プリベークすることにより、溶剤を除去した感光性樹脂組成物の膜(感光性膜)が得られる。
【0070】
塗布方法としては、スピンコート、ロールコート、フローコート、ディップコート、スプレーコート、ドクターブレードコート等が挙げられる。プリベークは、例えば、60℃以上150℃以下の温度で30秒以上600秒以下の時間加熱すればよい。また、本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、ガラス基板、シリコン基板、アルミ基板、炭化シリコン基板、窒化シリコン基板、窒化ガリウム基板、透明導電膜、銅基板、銅メッキ基板等を塗布の対象として適宜選択できる。
【0071】
感光性膜を露光することにより発生する酸の触媒反応により、成分(A)からアセタール基系保護基の脱離反応が生じ、露光部のアルカリ現像液に対する溶解性が大幅に上昇する。露光に使用する光源としては、例えば、赤外光、可視光、紫外光、遠紫外光、X線、電子線が挙げられる。これらの光源の中でも紫外光が好ましく、高圧水銀灯のg線(波長436nm)、i線(波長365nm)が好適である。
露光後、成分(A)からアセタール基系保護基の脱離反応を促進させるために、100℃~150℃前後で加熱処理してもよい。
【0072】
本発明のポジ型感光性樹脂組成物から得られる感光性膜は、露光部が高いアルカリ溶解性を有し、また未露光部とのアルカリ溶解性の差が大きいことから、高解像度でパターニングが可能となる。したがって、レジスト膜等に好適に用いることができる。なお、本願においてレジスト膜等には、露光前の感光性膜及び露光後の非感光性膜のどちらも含まれる。
【0073】
露光後の現像に用いるアルカリ現像液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水等の無機アルカリ性物質;エチルアミン、n-プロピルアミン等の1級アミン;ジエチルアミン、ジ-n-ブチルアミン等の2級アミン;トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等の3級アミン類;ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルコールアミン;テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド等の4級アンモニウム塩;ピロール、ピヘリジン等の環状アミン等のアルカリ性水溶液が挙げられる。
アルカリ現像液には、必要に応じてアルコール、界面活性剤等を適宜添加して用いることもできる。アルカリ現像液のアルカリ濃度は、通常2~5質量%の範囲が好ましく、2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液が一般的に用いられる。
【0074】
本発明のポジ型感光性樹脂組成物をレジスト下層膜(BARC膜)用途に用いる場合には、本発明のポジ型感光性樹脂組成物をそのままレジスト下層膜用組成物として用いてもよく、また、必要に応じてその他の樹脂成分、界面活性剤、染料、充填材、架橋剤、溶解促進剤等の各種添加剤を加えてもよい。
【0075】
その他の樹脂成分としては、例えば、各種のノボラック樹脂、ジシクロペンタジエン等の脂環式ジエン化合物とフェノール性化合物との付加重合樹脂、フェノール性水酸基含有化合物とアルコキシ基含有芳香族化合物との変性ノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂(ザイロック樹脂)、ナフトールアラルキル樹脂、トリメチロールメタン樹脂、テトラフェニロールエタン樹脂、ビフェニル変性フェノール樹脂、ビフェニル変性ナフトール樹脂、アミノトリアジン変性フェノール樹脂、各種のビニル重合体が挙げられる。
その他の樹脂成分を用いる場合、本発明のポジ型感光性樹脂組成物とその他の樹脂との配合割合は、用途に応じて任意に設定することができる。例えば、成分(A)100質量部に対し、その他の樹脂が0.5~100質量部となる割合であることが好ましい。
【0076】
レジスト下層膜用組成物は上記各成分を配合し、撹拌機等を用いて混合することにより調製できる。また、レジスト下層膜用組成物が充填材や顔料を含有する場合には、ディゾルバー、ホモジナイザー、3本ロールミル等の分散装置を用いて分散又は混合して調整することができる。
【0077】
レジスト下層膜用組成物からレジスト下層膜を形成するには、例えば、上述したレジスト下層膜用組成物を、シリコン基板等のフォトリソグラフィを行う対象物上に塗布し、100~200℃の温度条件下で乾燥させた後、更に250~400℃の温度条件下で加熱硬化させる方法がある。次いで、この下層膜上で通常のフォトリソグラフィ操作を行ってレジストパターンを形成し、ハロゲン系プラズマガス等でドライエッチング処理することにより、多層レジスト法によるレジストパターンを形成することができる。
【0078】
本発明のポジ型感光性樹脂組成物をレジスト永久膜用途に用いる場合には、本発明の成分(A)~(C)の他、更に必要に応じてその他の樹脂、界面活性剤、染料、充填材、架橋剤、溶解促進剤等の添加剤を加えてもよい。ここで用いるその他の樹脂としては、レジスト下層膜用組成物で用いることができる樹脂と同様のものが挙げられる。
【0079】
レジスト永久膜用組成物を用いたフォトリソグラフィの方法は、例えば、本発明のポジ型感光性樹脂組成物にその他の樹脂成分及び添加剤成分を溶解・分散させ、フォトリソグラフィを行う対象物上に塗布し、60~150℃の温度条件でプリベークする。このときの塗布方法は、スピンコート、ロールコート、フローコート、ディップコート、スプレーコート、ドクターブレードコート等の何れの方法でもよい。次に、目的とするレジストパターンを所定のマスクを通じて露光し、露光した箇所をアルカリ現像液にて溶解することにより、レジストパターンを形成する。
【0080】
本実施形態のレジスト永久膜は、例えば、半導体デバイス関係ではソルダーレジスト、パッケージ材、アンダーフィル材、回路素子等のパッケージ接着層や集積回路素子と回路基板の接着層に、また、LCD、OLEDに代表される薄型ディスプレイ関係では薄膜トランジスタ保護膜、液晶カラーフィルター保護膜、ブラックマトリックス、スペーサー等に、好適に用いることができる。
【実施例0081】
以下、具体的な例を挙げて、本発明をさらに詳しく説明する。なお、合成した樹脂の重量平均分子量(Mw)は、下記のGPCの測定条件で測定したものである。
[GPCの測定条件]
測定装置:東ソー株式会社製「HLC-8220 GPC」
カラム:昭和電工株式会社製「Shodex KF802」:8.0mmФ×300mm
+昭和電工株式会社製「Shodex KF802」:8.0mmФ×300mm
+昭和電工株式会社製「Shodex KF803」:8.0mmФ×300mm
+昭和電工株式会社製「Shodex KF804」:8.0mmФ×300mm
カラム温度:40℃
検出器:RI(示差屈折計)
データ処理:東ソー株式会社製「GPC-8020モデルIIバージョン4.30」
展開溶媒:テトラヒドロフラン
流速:1.0mL/分
試料:樹脂固形分換算で0.5質量%のテトラヒドロフラン溶液をマイクロフィルターでろ過したもの
注入量:0.1mL
標準試料:下記単分散ポリスチレン
(標準試料:単分散ポリスチレン)
東ソー株式会社製「A-500」
東ソー株式会社製「A-2500」
東ソー株式会社製「A-5000」
東ソー株式会社製「F-1」
東ソー株式会社製「F-2」
東ソー株式会社製「F-4」
東ソー株式会社製「F-10」
東ソー株式会社製「F-20」
【0082】
合成例1(アセタール基系保護基を有するノボラック型フェノール樹脂(A-1)の合成)
冷却管を設置した2000ml4口フラスコにm-クレゾール164g(1.52mol)、ベンズアルデヒド103g(0.97mol)、サリチルアルデヒド74g(0.61mol)、パラトルエンスルホン酸8gを仕込み、反応溶媒としてエタノール300gに溶解させた後、マントルヒーターで、80℃還流下で16時間攪拌反応させた。反応後、酢酸エチルと水を添加し5回分液洗浄を行った。残った樹脂溶液から溶媒を減圧留去した後、真空乾燥を行い、淡赤色粉末のノボラック型フェノール樹脂粉末(a-1)281gを得た。
次に、500ml4口フラスコに得られたフェノールノボラック樹脂粉末(a-1)80g、エチルビニルエーテル8g、パラトルエンスルホン酸0.1gを仕込み、反応溶剤としてメチルイソブチルケトン120gに溶解させた後、マントルヒーターで、40℃で4時間攪拌反応させた。反応後、ジメチルアミノエタノール0.4gを添加し良く攪拌した後、酢酸エチルと水を添加し5回分液洗浄を行った。残った樹脂溶液から溶媒を減圧留去した後、真空乾燥を行い、淡赤色粉末のアセタール基系保護基を有するノボラック型フェノール樹脂(A-1)36gを得た。
C
13-NMRにより、ノボラック型フェノール樹脂(A-1)がアセタール基系保護基を有することを確認した。
得られたノボラック型フェノール樹脂(A―1)のMwは3,140であった。
ノボラック型フェノール樹脂(A-1)のGPCチャートを
図1に示す。
【0083】
合成例2(アセタール基系保護基を有するノボラック型フェノール樹脂(A-2)の合成)
出発原料の仕込み量を、m-クレゾール164g(1.52mol)、ベンズアルデヒド80g(0.75mol)、及びサリチルアルデヒド92g(0.75mol)とした以外は、合成例1と同様にしてアセタール基系保護基を有するノボラック型フェノール樹脂粉末(A-2)35gを得た。ノボラック型フェノール樹脂(A-2)のMwは2,350であった。
ノボラック型フェノール樹脂(A-2)のGPCチャートを
図2に示す。
【0084】
合成例3(アセタール基系保護基を有するノボラック型フェノール樹脂(A-3)の合成)
出発原料の仕込み量を、m-クレゾール164g(1.52mol)、ベンズアルデヒド117g(1.10mol)、及びサリチルアルデヒド58g(0.47mol)とした以外は、合成例1と同様にしてアセタール基系保護基を有するノボラック型フェノール樹脂粉末(A-3)36gを得た。ノボラック型フェノール樹脂(A-3)のMwは2,750であった。
ノボラック型フェノール樹脂(A-3)のGPCチャートを
図3に示す。
【0085】
合成例4(アセタール基系保護基を有するノボラック型フェノール樹脂(A-4)の合成)
出発原料の仕込み量を、m-クレゾール164g(1.52mol)、ベンズアルデヒド67g(0.63mol)、及びサリチルアルデヒド115g(0.94mol)とした以外は、合成例1と同様にしてアセタール基系保護基を有するノボラック型フェノール樹脂粉末(A-4)35gを得た。ノボラック型フェノール樹脂(A-4)のMwは2,980であった。
ノボラック型フェノール樹脂(A-4)のGPCチャートを
図4に示す。
【0086】
合成例5(アセタール基系保護基を有するノボラック型フェノール樹脂(A-5)の合成)
出発原料の仕込み量を、m-クレゾール164g(1.52mol)、ベンズアルデヒド35g(0.33mol)、サリチルアルデヒド161g(1.32mol)とした以外は、合成例1と同様にしてアセタール基系保護基を有するフェノールノボラック樹脂粉末(A-5)35gを得た。ノボラック型フェノール樹脂(A-5)のMwは5,310であった。
ノボラック型フェノール樹脂(A-5)のGPCチャートを
図5に示す。
【0087】
合成例6(アセタール基系保護基を有するノボラック型フェノール樹脂(A-6)の合成)
反応溶媒をエタノール250g、1-プロパノール30g、2-プロパノール15gとした以外は合成例1と同様にしてアセタール基系保護基を有するノボラック型フェノール樹脂粉末(A-6)36gを得た。ノボラック型フェノール樹脂(A-5)のMwは3,300であった。
ノボラック型フェノール樹脂(A-6)のGPCチャートを
図6に示す。
【0088】
合成例7(アセタール基系保護基を有するノボラック型フェノール樹脂(A-7)の合成)
m-クレゾールをо-クレゾールとした以外は合成例1と同様にしてアセタール基系保護基を有するノボラック型フェノール樹脂粉末(A-7)35gを得た。ノボラック型フェノール樹脂(A-7)のMwは2,302であった。
ノボラック型フェノール樹脂(A-7)のGPCチャートを
図7に示す。
【0089】
合成例8(アセタール基系保護基を有するノボラック型フェノール樹脂(A-8)の合成)
ベンズアルデヒドを使用しなかった以外は合成例1と同様にしてアセタール基系保護基を有するフェノールノボラック樹脂粉末(A-8)35gを得た。ノボラック型フェノール樹脂(A-8)のMwは6,298であった。
ノボラック型フェノール樹脂(A-8)のGPCチャートを
図8に示す。
【0090】
合成例9(アセタール基系保護基を有するノボラック型フェノール樹脂(A-9)の合成)
エチルビニルエーテルをプロピルビニルエーテルとした以外は合成例1と同様にしてアセタール基系保護基を有するノボラック型フェノール樹脂粉末(A-9)36gを得た。ノボラック型フェノール樹脂(A-9)のMwは3,180であった。
【0091】
合成例10(アセタール基系保護基を有するノボラック型フェノール樹脂(A-10)の合成)
エチルビニルエーテルをn-ブチルビニルエーテルとした以外は合成例1と同様にしてアセタール基系保護基を有するノボラック型フェノール樹脂粉末(A-10)35gを得た。ノボラック型フェノール樹脂(A-10)のMwは3,020であった。
【0092】
合成例11(アセタール基系保護基を有するノボラック型フェノール樹脂(A-11)の合成)
エチルビニルエーテルをイソブチルビニルエーテルとした以外は合成例1と同様にしてアセタール基系保護基を有するノボラック型フェノール樹脂粉末(A-11)34gを得た。ノボラック型フェノール樹脂(A-11)のMwは3,150であった。
【0093】
比較合成例1(アセタール基系保護基を有するノボラック型フェノール樹脂(A-12)の合成)
乾燥窒素気流下、冷却管を設置した2000mlの4口フラスコにm-クレゾール140g(1.30mol)、p-クレゾール76g(0.7mol)、37重量%ホルムアルデヒド水溶液151g(ホルムアルデヒド1.86mol)、シュウ酸二水和物1g(0.01mol)を仕込み、メチルイソブチルケトン528gに溶解させた後、マントルヒーターで、反応液を還流させながら4時間攪拌反応させた。反応後、水を添加し、5回分液洗浄を行った。エバポレーターでメチルイソブチルケトンを60℃で減圧留去させた後、真空乾燥を行い、淡赤色粉末のフェノールノボラック樹脂(a-12)212gを得た。
次に500ml4口フラスコに得られたノボラック型フェノール樹脂粉末(a-12)80g、エチルビニルエーテル8g、パラトルエンスルホン酸0.1gを仕込み、反応溶剤としてメチルイソブチルケトン120gに溶解させた後、マントルヒーターで、40℃で4時間攪拌反応させた。反応後、ジメチルアミノエタノール0.4gを添加し良く攪拌した後、酢酸エチルと水を添加し5回分液洗浄を行った。残った樹脂溶液から溶媒を減圧留去した後、真空乾燥を行い、淡赤色粉末のアセタール基系保護基を有するノボラック型フェノール樹脂粉末(A-12)36gを得た。
ノボラック型フェノール樹脂(A-12)のMwは3,600であった。
【0094】
比較合成例2(アセタール基系保護基を有するノボラック型フェノール樹脂(A-13)の合成)
サリチルアルデヒド(2-ヒドロキシベンズアルデヒド)を3-ヒドロキシベンズアルデヒドとした以外は合成例1と同様にしてアセタール基系保護基を有するノボラック型フェノール樹脂(A-13)33gを得た。ノボラック型フェノール樹脂粉末(A-13)のMwは12,760であった。
【0095】
比較合成例3(アセタール基系保護基を有するノボラック型フェノール樹脂(A-14)の合成)
サリチルアルデヒド(2-ヒドロキシベンズアルデヒド)を4-ヒドロキシベンズアルデヒドとした以外は合成例1と同様にしてアセタール基系保護基を有するノボラック型フェノール樹脂粉末(A-14)35gを得た。ノボラック型フェノール樹脂(A-14)のMwは2,150であった。
【0096】
比較合成例4(アセタール基系保護基を有するノボラック型フェノール樹脂(A-15)の合成)
サリチルアルデヒド(2-ヒドロキシベンズアルデヒド)をベンズアルデヒドとした以外は合成例1と同様にしてアセタール基系保護基を有するノボラック型フェノール樹脂粉末(A-15)36gを得た。ノボラック型フェノール樹脂(A-15)のMwは4,980であった。
【0097】
比較合成例5(ノボラック型フェノール樹脂(A-16)の合成)
m-クレゾールをフェノールとした以外は合成例1と同様にして、ノボラック型フェノール樹脂(A-16)を得た。ノボラック型フェノール樹脂(A-16)はゲル状であって溶剤に溶解しなかったため、後述の評価は実施できなかった。
【0098】
比較合成例6(ノボラック型フェノール樹脂(A-17)の合成)
m-クレゾールを2,5-キシレノールとした以外は合成例1と同様にして、ノボラック型フェノール樹脂(A-17)を得た。ノボラック型フェノール樹脂(A-17)は溶剤に対する溶解性に乏しく、後述の評価は実施できなかった。
【0099】
比較合成例7(アセタール基系保護基を有するノボラック型フェノール樹脂(A-18)の合成)
m-クレゾールをカテコールとした以外は合成例1と同様にして、アセタール基系保護基を有するノボラック型フェノール樹脂(A-18)を得た。ノボラック型フェノール樹脂(A-18)のMwは9,690であった。
【0100】
[ポジ型感光性樹脂組成物]
実施例1
合成例1で得たフェノールノボラック樹脂(A-1)粉末を1.98g、光酸発生剤(サンアプロ株式会社製:CPI-110TF)を0.02g、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)8gに溶解させ、0.1μmのPTFE製ディスクフィルタで精密濾過し、ポジ型感光性樹脂組成物を得た。
【0101】
実施例2~11、比較例1~5
実施例2~11及び比較例1~5においては、成分(A)として表1及び2に示すノボラック型フェノール樹脂を用いた以外は、実施例1と同様にしてポジ型感光性樹脂組成物を調製した。
【0102】
[評価]
実施例及び比較例で調製したポジ型感光性樹脂組成物のi線に対する透過性を評価した。また、実施例及び比較例で調製したポジ型感光性樹脂組成物を用いてレジスト膜を作製し、レジスト膜のアルカリ溶解性、現像コントラスト及び耐熱性を評価した。
【0103】
(1)i線透過性
ポジ型感光性樹脂組成物を、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)を用いて固形分が1%(質量部)となるように希釈した。得られた1%希釈ポジ型感光性樹脂組成物について、UV-vis吸光光度計(株式会社島津製作所製:SolidSpec-3700 DUV)を用いて、i線波長(365nm)の透過性を評価した。評価基準は以下の通りである。
〇:透過率(%)が40%以上
×:透過率(%)が40%未満
評価結果を表1及び2に示す。なお、表1及び2中かっこ内の数値は透過率の値である。
【0104】
(2)アルカリ現像性
ポジ型感光性樹脂組成物を5インチシリコンウェハ上に約1μmの厚さになるようにスピンコーターで塗布し、110℃のホットプレート上で60秒乾燥させて、レジスト膜を得た。その後、レジスト膜に、UV露光装置(株式会社三永電機製作所製:UVE-1001SD)を用いて200mJ/cm2の露光を行い、露光後に130℃のホットプレート上で90秒間露光後ベーク(PEB)を行った。得られたレジスト膜付きのウェハを現像液(2.38%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液)に60秒間浸漬後、110℃のホットプレート上で60秒乾燥させた。現像液浸漬前後のレジスト膜の膜厚を測定し、その差分を60で除した値をアルカリ溶解性ADR1(Å/s)とした。評価基準は以下の通りである。
〇:ADR1が200以上
×:ADR1が200未満
評価結果を表1及び2に示す。なお、表1及び2中かっこ内の数値はADR1の値である。
【0105】
(3)現像コントラスト
上記(2)において、レジスト膜の露光を実施せずに同様に測定した値をADR2(Å/s)とし、ADR1/ADR2の値を現像コントラストとした。評価基準は以下の通りである。
〇:現像コントラストが10以上
×:現像コントラストが10未満
評価結果を表1及び2に示す。なお、表1及び2中かっこ内の数値はADR1/ADR2の値である。
【0106】
(4)耐熱性
ポジ型感光性樹脂組成物を直径5インチのシリコンウェハー上にスピンコーターを用いて塗布後、110℃で60秒乾燥し、1μmの厚さの薄膜を得た。この薄膜をかき取り、ガラス転移点温度(以下、「Tg」と略記する。)を測定した。なお、Tgの測定は、示差熱走査熱量計(株式会社ティー・エイ・インスツルメント製:示差熱走査熱量計(DSC)Q100)を用いて、窒素雰囲気下、温度範囲-100~200℃、昇温速度10℃/分の条件で行った。
評価基準は以下の通りである。
○:Tgが130℃以上
×:Tgが130℃未満
評価結果を表1及び2に示す。なお、表1及び2中かっこ内の数値はTgの値である。
【0107】
【0108】
【0109】
表1及び2において、「Cr」はクレゾールを意味し、「SA」はサリチルアルデヒドを意味し、「BzA」はベンズアルデヒドを意味し、「3HyBzA」は3-ヒドロキシベンズアルデヒドを意味し、「4HyBzA」は4-ヒドロキシベンズアルデヒドを意味し「CC」はカテコールを意味する。
また、表1及び2において、「PVE」はプロピルビニルエーテルを意味し、「nBVE」はノルマルブチルビニルエーテルを意味し、「iBVE」はイソブチルビニルエーテルを意味し、「EVE」はエチルビニルエーテルを意味する。
【0110】
例えば実施例1の「m-Cr/SA/BzA」が「1/0.4/0.64」は、実施例1の(A)成分であるノボラック型フェノール樹脂が、m-クレゾールから誘導される単位とサリチルアルデヒドから誘導される単位とベンズアルデヒドから誘導される単位からなり、モル比がm-クレゾールから誘導される単位:サリチルアルデヒドから誘導される単位:ベンズアルデヒドから誘導される単位=1:0.4:0.64を満たすことを意味する。
【0111】
表1及び2の結果から、本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、i線透過性に優れることがわかる。また、本発明のポジ型感光性樹脂組成物を使用したレジスト膜は、アルカリ溶解性、現像コントラスト及び耐熱性に優れることがわかる。