(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024069201
(43)【公開日】2024-05-21
(54)【発明の名称】CMP温度制御のための装置および方法
(51)【国際特許分類】
B24B 37/015 20120101AFI20240514BHJP
B24B 37/005 20120101ALI20240514BHJP
B24B 37/10 20120101ALI20240514BHJP
B24B 49/14 20060101ALI20240514BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
B24B37/015
B24B37/005 Z
B24B37/10
B24B49/14
H01L21/304 622R
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024019260
(22)【出願日】2024-02-13
(62)【分割の表示】P 2022507601の分割
【原出願日】2020-08-10
(31)【優先権主張番号】62/886,260
(32)【優先日】2019-08-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ウー, ハオション
(72)【発明者】
【氏名】チャン, ショウ-サン
(72)【発明者】
【氏名】チョウ, チー チュン
(72)【発明者】
【氏名】タン, チエンショー
(72)【発明者】
【氏名】チェン, フイ
(72)【発明者】
【氏名】サウンダララジャン, ハリ
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン, ブライアン ジェー.
(57)【要約】 (修正有)
【課題】基板全体の温度のばらつきを低減し、ウェハ内の均一性を改善する。
【解決手段】化学機械研磨システムは、研磨面を有する研磨パッド30を支持するプラテン24と、ガス源に結合される入口を有する導管と、導管に結合され、ガス源からのガスを研磨パッドの研磨面上へと方向付けるようにプラテンの上に懸架された先細末広ノズル120を有する、ディスペンサと、を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
研磨面を有する研磨パッドを支持するプラテンと、
ガス源に結合される入口を有する導管と、
前記導管に結合され、前記ガス源からのガスを前記研磨パッドの前記研磨面上へと方向付けるように前記プラテンの上に懸架された先細末広ノズルを有する、ディスペンサと、を備える、化学機械研磨システム。
【請求項2】
前記ガス源に結合され、研磨動作の選択されたステップの間、前記ガス源に、前記先細末広ノズルを通して前記ガスを前記研磨面上に送達させるように構成された、コントローラを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
液体源に結合される入口と、前記液体源からの液体を前記先細末広ノズル内へと送達する出口とを有する、インジェクタを更に備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記液体源に結合され、研磨動作の選択されたステップの間、前記液体源に、液体を前記先細末広ノズル内へと送達させるように構成された、コントローラを備える、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記コントローラが、前記ガス源に結合され、前記先細末広ノズルを通るガスの流量を、前記液体を凍結させるのに十分に前記ガスが冷却されるような流量にするように構成されている、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記ガス源に結合され、前記先細末広ノズルを通るガスの流量を、クーラントガスが20℃より高い初期温度から20℃未満まで冷却されるような流量にするように構成された、コントローラを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記コントローラが、前記先細末広ノズルを通るガスの流量を、前記クーラントガスが0℃未満まで冷却されるような流量にするように構成されている、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
ガス源からのガスを先細末広ノズルまで送達することと、
前記ガスを前記先細末広ノズルに流すことによって前記ガスを冷却することと、
前記冷却されたガスを研磨パッド上へと方向付けることと、
を含む、化学機械研磨システムの温度制御方法。
【請求項9】
前記ガスが、空気を冷やすことによって、液体窒素の蒸発によって、液体エタノールの蒸発によって、液体イソプロピルアルコールの蒸発によって、および/またはドライアイスの昇華によって形成される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
液体を前記先細末広ノズル内へと注入することを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記液体が、水、エタノール、および/またはイソプロピルアルコールである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記液体を、前記冷却されたガスに暴露することによって、凍結させて固体粒子にすることを更に含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記ガスを、20℃より高い初期温度から20℃未満まで冷却することを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
冷却された前記ガスを0℃未満の温度で前記研磨パッド上に分配することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
冷却された前記ガスを-70から-50℃の温度で前記研磨パッド上に分配することを含む、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、化学機械研磨(CMP)に関し、より具体的には、化学機械研磨中の温度制御に関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路は、一般的に、導電層、半導電層、または絶縁層を半導体ウェハ上に逐次堆積させることによって、基板上に形成される。様々な製造プロセスでは、基板上の層を平坦化する必要がある。例えば、ある製造ステップは、フィラー層を非平坦面の上に堆積させ、フィラー層を平坦化することを伴う。特定の用途の場合、フィラー層は、パターニングされた層の上面が露出するまで平坦化される。例えば、金属層をパターニングされた絶縁層上に堆積させて、絶縁層の溝および穴を埋めることができる。平坦化後、パターニングされた層の溝および穴内にある金属の残りの部分は、基板上の薄膜回路間に導電路を提供するビア、プラグ、およびラインを形成する。別の例として、誘電層をパターニングされた導電層の上に堆積させ、次に平坦化して、後続のフォトリソグラフィステップを可能にすることができる。
【0003】
化学機械研磨(CMP)は、1つの許容された平坦化方法である。この平坦化方法は、一般的に、基板をキャリアヘッド上に載置する必要がある。基板の露出面は、一般的に、回転する研磨パッドに接して配置される。キャリアヘッドは、制御可能な負荷を基板に与えて基板を研磨パッドに押し付ける。研磨粒子を含む研磨スラリーが、一般的に、研磨パッドの表面に供給される。
【発明の概要】
【0004】
一態様では、化学機械研磨システムは、研磨面を有する研磨パッドを支持するプラテンと、ガス源に結合される入口を有する導管と、導管に結合され、ガス源からのガスを研磨パッドの研磨面上へと方向付けるようにプラテンの上に懸架された先細末広ノズルを有する、ディスペンサと、を含む。
【0005】
上記態様のいずれかの実現例は、以下の特徴の1つまたは複数を含んでもよい。
【0006】
ガスは、空気、窒素、二酸化炭素、アルゴン、蒸発エタノール、および/または蒸発イソプロピルアルコールであってもよい。
【0007】
コントローラが、ガス源に結合され、研磨動作の選択されたステップの間、ガス源に、先細末広ノズルを通してガスを研磨面上に送達させるように構成されてもよい。コントローラは、ガス源に、毎分0~1000リットルの速度でガスを先細末広ノズル内へと送達させるように、結合するように構成されてもよい。
【0008】
インジェクタが、液体源に結合された入口と、液体源からの液体を先細末広ノズル内へと送達する出口とを有してもよい。液体は、水、エタノール、および/またはイソプロピルアルコールであってもよい。コントローラは、液体源に結合することができ、研磨動作の選択されたステップの間、液体源に、液体を先細末広ノズル内へと送達させるように構成されてもよい。液体源に結合されたコントローラは、毎分0~300ミリリットルの速度で液体を先細末広ノズル内へと送達するように構成されてもよい。ガス源に結合されたコントローラは、先細末広ノズルを通るガスの流量を、ガスが液体を凍結させるのに十分に冷却されるような流量にするように構成されてもよい。
【0009】
ガス源に結合されたコントローラは、先細末広ノズルを通るガスの流量を、クーラントガスが20℃より高い初期温度から20℃未満まで冷却されるような流量にするように構成されてもよい。コントローラは、先細末広ノズルを通るガスの流量を、クーラントガスが0℃未満まで冷却されるような流量にするように構成されてもよい。コントローラは、先細末広ノズルを通るガスの流量を、クーラントガスが-70~-50℃まで冷却されるような流量にするように構成されてもよい。
【0010】
別の態様では、化学機械研磨システムの温度制御方法は、ガス源からのガスを先細末広ノズルまで送達することと、ガスを先細末広ノズルに流すことによってガスを冷却することと、冷却されたガスを研磨パッド上へと方向付けることと、を含む。
【0011】
上記態様のいずれかの実現例は、以下の特徴の1つまたは複数を含んでもよい。
【0012】
ガスは、空気を冷やすことによって、液体窒素の蒸発によって、液体エタノールの蒸発によって、液体イソプロピルアルコールの蒸発によって、および/またはドライアイスの昇華によって形成されてもよい。
【0013】
ガスは、毎分0~1000リットルの流量で先細末広ノズルに入ってもよい。
【0014】
液体が、先細末広ノズル内へと注入されてもよい。液体は、水、エタノール、および/またはイソプロピルアルコールであってもよい。液体は、毎分0~300ミリリットルの流量で先細末広ノズル内へと注入されてもよい。液体は、冷却されたガスに暴露することによって、凍結させて固体粒子にされてもよい。
【0015】
ガスは、20℃より高い初期温度から20℃未満まで冷却されてもよい。冷却されたガスは、0℃未満の温度で研磨パッド上に分配されてもよい。冷却されたガスは、-70~-50℃の温度で研磨パッド上に分配されてもよい。
【0016】
以下の可能な利点の1つまたは複数が実現されてもよい。
【0017】
研磨パッドの温度は迅速かつ効率的に制御することができる。研磨パッドの温度は、研磨パッドを固体と、例えば熱交換プレートと接触させることなく制御することができるので、パッドの汚染および欠陥のリスクが低減される。研磨動作全体にわたる温度のばらつきを低減することができる。これは、研磨プロセスの研磨の予測可能性を改善することができる。研磨動作ごとの温度のばらつきを低減することができる。これは、ウェハごとの均一性を改善し、研磨プロセスの再現性を改善することができる。基板全体の温度のばらつきを低減することができる。これはウェハ内の均一性を改善することができる。
【0018】
特に、研磨パッドの温度を迅速かつ効率的に低下させることができる。例えば、研磨動作の金属除去ステップ、オーバー研磨ステップ、または調整ステップの1つもしくは複数の間の、研磨パッド表面の温度を低下させることができる。これは、ディッシングおよび腐食を低減し、ならびに/あるいはパッドアスペリティの均一性を改善し、したがって、研磨の均一性を改善するとともにパッドの寿命を延ばすことができる。
【0019】
1つまたは複数の実現例の詳細を、添付図面および以下の説明に示す。他の態様、特徴、および利点は、説明および図面から、また特許請求の範囲から明白となるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図2】化学機械研磨装置の一例を示す概略上面図である。
【
図3】
図1および
図2の一例のノズルを示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
化学機械研磨は、基板、研磨液、および研磨パッドの間の境界面における、機械研磨と化学エッチングとの組み合わせによって動作する。研磨プロセスの間、基板の表面と研磨パッドとの摩擦によって相当量の熱が発生する。加えて、一部のプロセスはまた、コンディショニングディスク、例えば研磨ダイヤモンド粒子でコーティングされたディスクを、回転する研磨パッドに押し付けて、研磨パッド表面が調整されテクスチャ加工される、その場でのパッド調整ステップを含む。調整プロセスの研磨も熱を発生する場合がある。例えば、公称ダウンフォース圧力2psiおよび除去率8000オングストローム/分の一般的な一分の銅CMPプロセスでは、ポリウレタン研磨パッドの表面温度は約30℃上昇する場合がある。
【0022】
CMPプロセスにおける化学に関連する変数、例えば関与する反応の開始および速度としての変数、ならびに機械に関連する変数、例えば、研磨パッドの表面摩擦係数および粘弾性は、両方とも温度に大きく依存する。結論として、研磨パッドの表面温度のばらつきは、除去率、研磨の均一性、エロージョン、ディッシング、および残渣の変化をもたらす場合がある。研磨の間、研磨パッドの表面の温度をより緊密に制御することによって、温度のばらつきを低減することができ、例えば、ウェハ内の不均一性またはウェハ間の不均一性によって測定されるような、研磨性能を改善することができる。
【0023】
これらの課題に対処し得る技法は、先細末広(convergent-divergent;CD)ノズルを通してクーラントガスを研磨パッド上へと方向付けるノズルを有するというものである。懸濁された水滴をCDノズルに加えることができる。水を冷却して、氷滴の融解潜熱によって研磨パッドを効率的に冷却する、氷滴を形成することができる。
【0024】
図1および
図2は、化学機械研磨システムの研磨ステーション20の一例を示している。研磨ステーション20は、研磨パッド30が上に載置される、回転可能なディスク形状のプラテン24を含む。プラテン24は、軸線25を中心にして回転するように動作可能である(
図2の矢印Aを参照)。例えば、モータ22が駆動軸28を旋回させて、プラテン24を回転させることができる。研磨パッド30は、外側の研磨層34とより柔らかい裏打ち層32とを有する、二層の研磨パッドであることができる。
【0025】
研磨ステーション20は、研磨スラリーなどの研磨液38を研磨パッド30上に分配する供給ポートを、例えばスラリー供給アーム39の端部に含むことができる。研磨ステーション20は、研磨パッド30の表面粗さを維持するのに、コンディショニングディスク92(
図2を参照)を有するパッドコンディショナ装置91を含むことができる。コンディショニングディスク92は、研磨パッド30を横切って径方向に、ディスク92を掃引するように回動することができるアーム94の端部に位置付けることができる(
図2の矢印Bを参照)。
【0026】
キャリアヘッド70は、研磨パッド30に接して基板10を保持するように動作可能である。キャリアヘッド70は、支持構造72、例えばカルーセルまたはトラックから懸架され、キャリアヘッドが軸線71を中心にして回転できるように、駆動軸74によってキャリアヘッド回転モータ76に接続される(
図2の矢印Cを参照)。任意に、キャリアヘッド70は、トラックに沿った移動によって、またはカルーセル自体の回転振動によって、横方向に(
図2の矢印Dを参照)、例えばカルーセルのスライダ上で振動することができる。
【0027】
キャリアヘッド70は、基板を保持する保定リング84を含むことができる。いくつかの実現例では、保定リング84は、研磨パッドに接触する下側のプラスチック部分86と、より硬質の材料の上側部分88とを含んでもよい。
【0028】
動作の際、プラテンはその中心軸25を中心にして回転させられ、キャリアヘッドは、その中心軸71を中心にして回転させられ、研磨パッド30の上面を横切って横方向に並進させられる。
【0029】
キャリアヘッド70は、基板10の裏面に接触する基板取付け面を有する可撓性メンブレン80と、基板10上の異なる区域に、例えば異なる径方向区域に異なる圧力を印加する複数の加圧可能なチャンバ82とを含むことができる。キャリアヘッドは、基板を保持する保定リング84を含むこともできる。
【0030】
いくつかの実現例では、研磨ステーション20は、研磨ステーションの、または研磨ステーションの/研磨ステーション内の構成要素の温度、例えば、研磨パッドおよび/または研磨パッド上のスラリーの温度をモニタリングする、温度センサ64を含む。例えば、温度センサ64は、研磨パッド30の上方に位置付けられ、研磨パッド30および/または研磨パッド上のスラリー38の温度を測定するように構成された、赤外(IR)センサ、例えばIRカメラであり得る。特に、温度センサ64は、径方向温度プロファイルを生成するために、研磨パッド30の半径に沿った複数のポイントで温度を測定するように構成される。例えば、IRカメラは、研磨パッド30の半径にわたる視野を有することができる。
【0031】
いくつかの実現例では、温度センサは非接触センサではなく接触センサである。例えば、温度センサ64は、プラテン24の上もしくは中に位置付けられた、熱電対またはIR温度計であることができる。加えて、温度センサ64は研磨パッドと直接接触することができる。
【0032】
いくつかの実現例では、研磨パッド30の半径に沿った複数のポイントにおける温度を提供するために、複数の温度センサを、研磨パッド30にわたる異なる径方向位置で離隔させることができる。この技法は、IRカメラの代わりに、またはIRカメラに加えて使用することができる。
【0033】
図1では、研磨パッド30および/またはパッド30上のスラリー38の温度をモニタリングするように位置付けられるが、温度センサ64は、基板10の温度を測定するように、キャリアヘッド70内部に位置付けることができる。温度センサ64は、基板10の半導体ウェハと直接接触することができる(即ち、接触センサ)。いくつかの実現例では、例えば、研磨ステーションの/研磨ステーション内の異なる構成要素の温度を測定するため、複数の温度センサが研磨ステーション22に含まれる。
【0034】
研磨システム20はまた、研磨パッド30および/または研磨パッド上のスラリー38の温度を制御する、温度制御システム100を含む。温度制御システム100は、冷却システム102および/または加熱システム104を含むことができる。冷却システム102および加熱システム104の少なくとも1つ、いくつかの実現例では両方は、温度制御された媒体、例えば液体、水蒸気、もしくは霧を、研磨パッド30の研磨面36上に(または研磨パッド上に既にある研磨液上に)送達することによって動作する。
【0035】
加熱システム104の場合、加熱媒体はガス、例えば蒸気もしくは加熱された空気、または液体、例えば加熱された水、またはガスと液体の組み合わせであることができる。媒体は、室温よりも高温であり、例えば40~120℃、例えば90~110℃である。媒体は、実質的に純粋な脱イオン水などの水、または添加物もしくは化学物質を含む水であることができる。いくつかの実現例では、加熱システム104は蒸気の霧を使用する。蒸気は添加物もしくは化学物質を含むことができる。
【0036】
加熱媒体は、加熱送達アーム上の、例えば、1つまたは複数のノズルによって提供されるアパーチャに、例えば穴もしくはスロットに流すことによって送達することができる。アパーチャは、加熱媒体源に接続されたマニホルドによって提供することができる。
【0037】
一例の加熱システム104は、プラテン24および研磨パッド30の上を、研磨パッドの縁部から研磨パッド30の中心まで、または少なくとも中心付近(例えば、研磨パッドの総半径の5%以内)まで延在するアーム140を含む。アーム140は基部142によって支持することができ、基部142はプラテン24と同じフレーム40上で支持することができる。基部142は、1つまたは複数のアクチュエータ、例えば、アーム140を上下させるリニアアクチュエータ、および/またはアーム140をプラテン24の上で横方向に回動させる回転アクチュエータを含むことができる。アーム140は、研磨ヘッド70、パッドコンディショニングディスク92、およびスラリー分配アーム39など、他のハードウェア構成要素との衝突を回避するように位置付けられる。
【0038】
プラテン24の回転方向に沿って、加熱システム104のアーム140を、冷却システム110のアーム110とキャリアヘッド70との間に位置付けることができる。プラテン24の回転方向に沿って、加熱システム104のアーム140を、冷却システム110のアーム110とスラリー送達アーム39との間に位置付けることができる。例えば、冷却システム110のアーム110、加熱システム104のアーム140、スラリー送達アーム39、およびキャリアヘッド70を、その順序でプラテン24の回転方向に沿って位置付けることができる。
【0039】
複数の開口部144がアーム140の底面に形成される。各開口部144は、ガスまたは水蒸気、例えば蒸気を、研磨パッド30上に方向付けるように構成される。アーム140は、開口部144がギャップによって研磨パッド30から分離されるように、基部142によって支持することができる。ギャップは0.5~5mmであることができる。特に、ギャップは、加熱流体が研磨パッドに達する前に流体の熱が大幅に散逸しないように選択することができる。例えば、ギャップは、開口部から放射された蒸気が研磨パッドに達する前に凝集しないように選択することができる。
【0040】
加熱システム104は、配管によってアーム140に接続することができる、蒸気源146を含むことができる。各開口部144は、蒸気を研磨パッド30に向かって方向付けるように構成することができる。
【0041】
いくつかの実現例では、プロセスパラメータ、例えば流量、圧力、温度、および/または液体対ガスの混合比は、各ノズルに対して独立して制御することができる。例えば、各開口部144に対する流体を、独立して制御可能なヒータに流して、加熱流体の温度、例えば蒸気の温度を独立して制御することができる。
【0042】
様々な開口部144が、研磨パッド30上の異なる径方向区域上に蒸気を方向付けることができる。隣接する径方向区域は重なり合う場合がある。任意に、開口部144のいくつかは、その開口部からの霧の中心軸が研磨面36に対して斜角であるように、配向することができる。蒸気は、プラテン24の回転によって生じるような衝突の領域における、研磨パッド30の運動方向に対向する方向の水平成分を有するように、開口部144の1つまたは複数から方向付けることができる。
【0043】
図2は、均等な間隔で離隔された開口部144を示しているが、これは要件ではない。ノズル120は、径方向で、もしくは角度方向で、または両方で不均一に分配することができる。例えば、開口部144は、研磨パッド30の中心に向かってより緊密に密集させることができる。別の例として、開口部144は、研磨液39がスラリー送達アーム39によって研磨パッド30に送達される半径に対応する半径において、より緊密に密集させることができる。加えて、
図2は9つの開口部を示しているが、より多数またはより少数の開口部があり得る。
【0044】
研磨システム20はまた、高圧すすぎシステム106を含むことができる。高圧すすぎシステム106は、洗浄流体、例えば水を、高強度で研磨パッド30上に方向付けて、パッド30を洗浄し、使用済みスラリー、研磨デブリなどを除去する、複数のノズル154、例えば3~20個のノズルを含む。
【0045】
図2に示されるように、一例のすすぎシステム106は、プラテン24および研磨パッド30の上を、研磨パッドの縁部から研磨パッド30の中心まで、または少なくとも中心付近(例えば、研磨パッドの総半径の5%以内)まで延在するアーム150を含む。アーム150は基部152によって支持することができ、基部152はプラテン24と同じフレーム40上で支持することができる。基部152は、1つまたは複数のアクチュエータ、例えば、アーム150を上下させるリニアアクチュエータ、および/またはアーム150をプラテン24の上で横方向に回動させる回転アクチュエータを含むことができる。アーム150は、研磨ヘッド70、パッドコンディショニングディスク92、およびスラリー分配アーム39など、他のハードウェア構成要素との衝突を回避するように位置付けられる。
【0046】
プラテン24の回転方向に沿って、すすぎシステム106のアーム150を、冷却システム110のアーム110と加熱システム140のアーム140との間に位置付けることができる。例えば、冷却システム110のアーム110、すすぎシステム106のアーム150、加熱システム104のアーム140、スラリー送達アーム39、およびキャリアヘッド70を、その順序でプラテン24の回転方向に沿って位置付けることができる。あるいは、プラテン24の回転方向に沿って、冷却システム104のアーム110は、すすぎシステム106のアーム150と加熱システム140のアーム140との間にあり得る。例えば、すすぎシステム106のアーム150、冷却システム110のアーム110、加熱システム104のアーム140、スラリー送達アーム39、およびキャリアヘッド70を、その順序でプラテン24の回転方向に沿って位置付けることができる。
【0047】
複数のノズル154がアーム150から懸架される。各ノズル150は、洗浄液体を高圧で研磨パッド30上に噴霧するように構成される。アーム150は、ノズル120がギャップによって研磨パッド30から分離されるように、基部152によって支持することができる。すすぎシステム106は、配管によってアーム150に接続することができる、洗浄流体源156を含むことができる。
【0048】
様々なノズル154が、研磨パッド30上の異なる径方向区域上に噴霧することができる。隣接する径方向区域は重なり合う場合がある。いくつかの実現例では、ノズル154は、研磨パッド上に洗浄液体が衝突する領域が重なり合わないように配向される。例えば、少なくともいくつかのノズル154は、衝突領域が角度的に分離されるように位置付けし配向することができる。
【0049】
少なくともいくつかのノズル154は、そのノズルからの霧の中心軸が研磨面36に対して斜角であるように、配向することができる。特に、洗浄流体は、各ノズル154から、径方向外向きの(研磨パッドの縁部に向かう)水平成分を有して噴霧することができる。これにより、洗浄流体をパッド30からより迅速に離れさせ、研磨パッド30上に残る流体の領域をより薄くすることができる。これは、加熱および/または冷却媒体と研磨パッド30との熱結合であり得る。
【0050】
図2は、均等な間隔で離隔されたノズル154を示しているが、これは要件ではない。加えて、
図1および
図2は9つのノズルを示しているが、より多数またはより少数のノズル、例えば3~20個のノズルがあり得る。
【0051】
いくつかの実現例では、研磨システム20は、研磨液38を研磨パッド30にわたって均等に分配する、ワイパーブレードまたは本体170を含む。プラテン24の回転方向に沿って、ワイパーブレード170は、スラリー送達アーム39とキャリアヘッド70との間にあり得る。
【0052】
図2は、各サブシステム、例えば加熱システム102、冷却システム104、およびすすぎシステム106のための別個のアームを示しており、様々なサブシステムは、共通のアームによって支持される単一のアセンブリに含めることができる。例えば、アセンブリは、冷却モジュール、すすぎモジュール、加熱モジュール、スラリー送達モジュール、および任意にワイパーモジュールを含むことができる。各モジュールは、共通の取付けプレートに固定することができる本体、例えば円弧状本体を含むことができ、共通の取付けプレートは、アセンブリが研磨パッド30の上に位置付けられるようにして、アームの端部で固定することができる。様々な流体送達構成要素、例えば配管、通路などが、各本体の内部に延在することができる。いくつかの実現例では、モジュールは取付けプレートから別個に分離可能である。各モジュールは、上述の関連付けられたシステムのアームの機能を実施する、類似の構成要素を有することができる。
【0053】
冷却システム102の場合、冷却媒体は、ガス、例えば空気、および/または液体、例えば水であることができる。冷却媒体のガス状成分が存在する場合、空気、あるいは研磨プロセスに対して不活性である別のガス、例えば窒素、二酸化炭素、アルゴン、もしくは別の希ガス、またはそれらの混合物であることができる。冷却媒体の液体成分が存在する場合、水、あるいはエタノール、もしくはイソプロピルアルコール、またはそれらの混合物など、別の液体であることができる。液体成分は研磨プロセスに対して不活性であることができる。媒体は、室温であるか、または室温未満に、即ち20℃未満に冷やすことができる。例えば、媒体は5~15℃であることができる。いくつかの実現例では、媒体は0℃以下である。
【0054】
いくつかの実現例では、媒体は実質的に純粋なガスである。いくつかの実現例では、冷却媒体はガスおよび液体の霧であり、例えば、空気などのガスキャリア中の、水などの液体のエアロゾル化した霧である。いくつかの実現例では、冷却システムは、室温未満に冷やされた水のエアロゾル化した霧を発生させる、ノズルを有することができる。
【0055】
いくつかの実現例では、クーラント媒体は、ガスおよび/または液体と混合された固体材料の粒子を含む。固体材料は、冷やされた材料、例えば氷、ドライアイス、または凍結したエタノールもしくはイソプロピルアルコールであることができる。いくつかの実現例では、冷却媒体は、ガス、例えば空気の霧、および固体粒子、例えば氷粒子であるが、実質的に液相を有さない。固体材料はまた、水中に溶解させたとき、化学反応によって熱を吸収する材料であることができる。
【0056】
冷却媒体は、クーラント送達アームにおいて、ノズルに任意に形成された1つもしくは複数のアパーチャ、例えば穴またはスロットに流すことによって、送達することができる。アパーチャは、クーラント源に接続されたマニホルドによって提供することができる。
【0057】
図1および
図2に示されるように、一例の冷却システム102は、プラテン24および研磨パッド30の上を、研磨パッドの縁部から研磨パッド30の中心まで、または少なくとも中心付近(例えば、研磨パッドの総半径の5%以内)まで延在するアーム110を含む。アーム110は基部112によって支持することができ、基部112はプラテン24と同じフレーム40上で支持することができる。基部112は、1つまたは複数のアクチュエータ、例えば、アーム110を上下させるリニアアクチュエータ、および/またはアーム110をプラテン24の上で横方向に回動させる回転アクチュエータを含むことができる。アーム110は、研磨ヘッド70、パッドコンディショニングディスク92、およびスラリーディスペンサ39など、他のハードウェア構成要素との衝突を回避するように位置付けられる。
【0058】
例示の冷却システム102は、アーム110から懸架された複数のノズル120を含む。各ノズル120は、液体冷却媒体、例えば水を、研磨パッド30上に噴霧するように構成される。アーム110は、ノズル120がギャップ126によって研磨パッド30から分離されるように、基部112によって支持することができる。
【0059】
各ノズル120は、例えばコントローラ12を使用して、各ノズル120を通る流体流を開始および停止するように構成することができる。各ノズル120は、霧122中のエアロゾル化した水を、研磨パッド30に向かって方向付けるように構成することができる。冷却システム102は、液体冷却媒体源130と、気体冷却媒体源132とを含むことができる(
図2を参照)。媒体源130からの液体および媒体源132からのガスは、ノズル120を通して方向付けられて霧122を形成する前に、例えばアーム110の中または上にある、混合チャンバ134(
図1を参照)内で混合することができる。
【0060】
いくつかの実現例では、プロセスパラメータ、例えば流量、圧力、温度、および/または液体対ガスの混合比は、(例えば、コントローラ12によって)各ノズルに対して独立して制御することができる。例えば、各ノズル120に対するクーラントを、独立して制御可能なチラーに流して、霧の温度を独立して制御することができる。別の例として、1つはガス用、1つは液体用のポンプの別個の対を各ノズルに接続して、流量、圧力、およびガスと液体の混合比を、各ノズルに対して独立して制御することができる。
【0061】
様々なノズルが、研磨パッド30上の異なる径方向区域124上に噴霧することができる。隣接する径方向区域124は重なり合う場合がある。いくつかの実現例では、ノズル120は、細長い領域128に沿って研磨パッド30に衝突する霧を発生させる。例えば、ノズルは、ほぼ平坦な三角形状体積で霧を発生させるように構成することができる。
【0062】
細長い領域128の1つまたは複数、例えば細長い領域128の全ては、領域128を通って延在する半径に平行な長手方向軸線を有することができる(領域128aを参照)。あるいは、ノズル120は円錐状の霧を発生させる。
【0063】
図1は霧自体が重なり合うことを示しているが、細長い領域が重なり合わないように、ノズル120を配向することができる。例えば、少なくともいくつかのノズル120、例えば全てのノズル120を、細長い領域128が細長い領域を通る半径に対して斜角であるように、配向することができる(領域128bを参照)。
【0064】
少なくともいくつかのノズル120は、そのノズルからの霧の中心軸(矢印Aを参照)が研磨面36に対して斜角であるように、配向することができる。特に、霧122は、プラテン24の回転によって生じる衝突の領域における、研磨パッド30の運動方向(矢印Aを参照)に対向する方向の水平成分を有するように、ノズル120から方向付けることができる。
【0065】
図1および
図2は、均一な間隔で離隔されたノズル120を示しているが、これは要件ではない。ノズル120は、径方向で、もしくは角度方向で、または両方で不均一に分配することができる。例えば、ノズル120は、径方向に沿って、研磨パッド30の縁部に向かってより緊密に密集させることができる。加えて、
図1および
図2は9つのノズルを示しているが、より多数またはより少数のノズル、例えば3~20個のノズルがあり得る。
【0066】
冷却システム102は、研磨面36の温度を低下させるのに使用することができる。例えば、研磨面36の温度は、霧122を介した液体クーラント130からの液体、および/または霧122を介したガスクーラント132からのガスを使用して低下させることができる。いくつかの実施形態では、研磨面36の温度は20℃以下まで低下させることができる。金属除去ステップまたはオーバー研磨ステップの1つもしくは複数の間、温度を低下させることによって、研磨液38の選択性を低減することにより、CMP中の軟金属のディッシングおよびエロージョンを低減することができる。
【0067】
CMP中の温度の低下は、腐食を低減するのに使用することができる。例えば、金属除去ステップ、オーバー研磨ステップ、または調整ステップの1つもしくは複数の間、温度を低下させることによって、ガルバニック反応は温度依存性であり得るため、様々な構成要素のガルバニック腐食を低減することができる。加えて、CMP中、研磨プロセスにおいて不活性ガスが使用され得る。特に、酸素を含まない(または大気よりも酸素が少ない)ガスを使用して、局所化された不活性環境を作り出して、局所化された不活性環境内の酸素を低減することができ、それによって腐食の低減をもたらすことができる。かかるガスの例としては、例えば、液体窒素またはドライアイスから蒸発した、窒素および二酸化炭素が挙げられる。
【0068】
研磨面36の温度を低下させることで、例えば調整ステップの場合、研磨パッド30の貯蔵弾性率を増加させ、研磨パッド30の粘弾性を低減することができる。増加した貯蔵弾性率および低減した粘弾性を、パッドコンディショニングディスク92に対するダウンフォースの低下および/またはパッドコンディショニングディスク92による調整の積極性の低下と組み合わせて、より均一なパッドアスペリティをもたらすことができる。均一なパッドアスペリティの利点は、後に続く研磨動作中における基板10の引っ掻きが低減されること、ならびに研磨パッド30の寿命が増加することである。
【0069】
図3を参照すると、各ノズル120は先細末広(CD)ノズルであることができる。先細末広(CD)ノズルはまた、ラバールノズルまたは超音速ノズルと説明することができる。各ノズル120は、ガス(例えば、ガス源132からのガス)が亜音速でノズル120に入る、先細区画202(例えば、入力ポート)を有する。ポンプ222は、ガスをガス源132からディスペンサ220を通してCDノズル120内へと方向付けることができる。例えば、先細区画202に入るガスは、室温、例えば20~30℃、または室温未満であることができ、ノズル1つ当たり毎分0~1000リットル、例えばノズル1つ当たり毎分500リットルの速度で入ることができる。先細区画202から、ガスは、ノズル120の断面積が最小であるチョークポイント、即ちスロート204に入る。ガスの速度は、先細区画202からスロート204を通って末広区画206(例えば、出力ポート)に流れるにつれて増加する。スロート204は、スロート204を通って流れるガスの速度を増加させるので、ガスが末広区画206に入って出るとき、ガスの速度は超音速まで増加される。例えば、末広区画206を出るガスは、室温未満の温度、例えば-100~20℃、-90~0℃、-80~-25℃、または-70~-50℃であることができる。
【0070】
冷却システム102で使用されるガスとしては、例えば、空気、窒素、二酸化炭素、アルゴン、または蒸気エタノールもしくはイソプロピルアルコールなどの蒸発ガスを挙げることができる。ガスは、CDノズル120に送達される前であっても冷却することができる。例えば、冷却されたガスは、(例えば、熱交換器に通すことによって冷やされた)低温空気、(例えば、液体窒素からの蒸発による)低温窒素ガス、または(例えば、ドライアイスの昇華による)低温二酸化炭素ガスであることができる。
【0071】
CDノズル120は、研磨パッド30を冷却するのに使用することができる。例えば、末広区画206は、冷却されたガスを研磨パッド30上に直接分配することができる。例えば、末広区画206からの出口は、研磨面36から約1~10cmに配置することができ、ノズル120は、ガス流が研磨面に衝突するように配向することができる。
【0072】
いくつかの実現例では、液体クーラント媒体源130は、液体、例えば水を、ディスペンサ210を通して送達することができる。ディスペンサ210は、ノズル120を通って流れるガスに水を注入するように位置付けられたインジェクタであることができる。例えば、インジェクタ210は、水滴を先細区画202内に、スロート204内に(
図3に示されるように)、末広区画206内に、または末広区画206の直後に注入するように位置付けることができる。
【0073】
ガス流中への、例えばノズル120内への液体クーラントの流量は、バルブ212によって制御することができる。ディスペンサ210は、例えば毎分0~300ミリリットル、例えば毎分3~50ミリリットルの速度で、水滴208を分配することができる。液体流量は、ガス流量の約0.001%~1%、例えば0.01~0.1%であることができる。ガスがCDノズル120を通って流れるにつれて、CDノズル120を通って流れるガスが冷却されるので、ガスによって水滴208を冷却することができる。いくつかの実現例では、水滴208は冷却されて氷滴を形成する。氷滴は、均一なサイズ、例えば直径約10μmであることができる。
【0074】
いくつかの実現例では、水滴208はまた、研磨パッド30上に直接分配され、冷却されたガスとともに研磨パッド30を更に冷却することができる。加えて、氷滴または水滴は、研磨パッド30が冷却されたガスによって冷却される際に乾燥するのを防ぐことができる。いくつかの実現例では、冷却されたガスは水滴208を凍結させて氷滴を形成し、それが冷却されたガスとともに研磨パッド30を冷却することができる。氷滴が熱を吸収し、溶けて水になる際に、融解潜熱によって研磨パッド30を冷却することができるので、氷滴は研磨パッド30を効率的に冷却することができる。更に、氷滴を使用して、研磨パッド30を研磨し洗浄することができる。
【0075】
上述の研磨装置および方法は、様々な研磨システムにおいて適用することができる。研磨パッドもしくはキャリアヘッドのどちらか、または両方は、研磨面と基板との相対運動をもたらすように移動することができる。例えば、プラテンは回転するのではなく周回してもよい。研磨パッドは、プラテンに固定された円形(または他の何らかの形状)のパッドであることができる。研磨層は、標準的な(例えば、フィルタを有するかもしくは有さないポリウレタン)研磨材料、軟質材料、または固定砥粒材料であることができる。
【0076】
相対的位置付けの用語は、システムまたは基板内における相対的位置付けを指すのに使用され、研磨面および基板は、研磨動作の間、垂直配向または他の何らかの配向で保持することができるものと理解されるべきである。
【0077】
研磨システム20はまた、様々な構成要素、例えば温度制御システム100の動作を制御する、コントローラ90を含むことができる。コントローラ90は、研磨パッドの各径方向区域に対する温度測定値を温度センサ64から受け入れるように構成される。コントローラ90は、測定された温度プロファイルを所望の温度プロファイルと比較し、各ノズルまたは開口部に対する制御メカニズム(例えば、アクチュエータ、電源、ポンプ、バルブなど)へのフィードバック信号を生成することができる。フィードバック信号は、研磨パッドおよび/またはスラリーが所望の温度プロファイルに達する(または少なくとも近付く)ように、制御メカニズムに冷却または加熱の量を調節させるため、例えば内部フィードバックアルゴリズムに基づいて、コントローラ90によって計算される。
【0078】
コントローラ90の機能的動作は、1つまたは複数のコンピュータプログラム製品、即ち、データ処理装置(例えば、プログラマブルプロセッサ、コンピュータ、または複数のプロセッサもしくはコンピュータ)によって実行される、あるいはデータ処理装置の動作を制御する、非一時的コンピュータ可読記憶媒体で有形的に具体化された、1つまたは複数のコンピュータプログラムを使用して実現することができる。
【0079】
本発明の多数の実施形態について説明してきた。それでもなお、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、様々な修正が行われてもよいことが理解されるであろう。
【0080】
例えば、上述の説明は、加熱および/または冷却媒体を研磨パッド上に送達することに焦点を当てているが、加熱および/または冷却媒体は、他の構成要素の温度を制御するためにそれらの構成要素上に送達することができる。例えば、加熱および/または冷却媒体は、基板が移送ステーション内に、例えばロードカップ内に位置付けられた状態で、基板上に噴霧することができる。別の例として、ロードカップ自体に加熱および/または冷却媒体を噴霧することができる。更に別の例として、コンディショニングディスクに加熱および/または冷却媒体を噴霧することができる。
【0081】
したがって、他の実施形態が以下の特許請求の範囲内にある。
【手続補正書】
【提出日】2024-03-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
研磨面を有する研磨パッドを支持するプラテンと、
ガス源に結合される第1の入口を有する第1の導管と、
ディスペンサであって、
前記プラテンの上に懸架された先細末広ノズルであって、前記先細末広ノズルは先細区画、末広区画、および前記先細区画と前記末広区画の間のスロートを含み、前記先細区画は前記第1の導管の第1の出口に結合されて前記ガス源からのクーラントガスを受け、前記先細末広ノズルは、前記クーラントガスが前記末広区画から前記研磨パッドの前記研磨面へ流れるように方向付けられている、先細末広ノズル、および
液体源に結合される第2の入口および前記先細末広ノズルの前記スロートの側壁の開口を形成する第2の出口を有する第2の導管を含み、前記液体源からの液体を前記先細末広ノズルの前記スロートに供給するインジェクタ
を含むディスペンサと、
前記ガス源からのクーラントガスの第1の流量、及び前記液体源からの液体の第2の流量を調節するコントローラと、
を備える、化学機械研磨システム。
【請求項2】
前記第1の導管の第1のバルブおよび前記第2の導管の第2のバルブを備え、前記コントローラは、前記第1の流量および前記第2の流量を調節するために前記第1のバルブおよび前記第2のバルブに結合されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記コントローラは、液体に、前記先細末広ノズルを通るガスの流量を、前記クーラントガスが20℃より高い初期温度から0℃未満まで冷却されるような流量にさせるように構成されている、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記コントローラは、前記先細末広ノズルを通る前記クーラントガスの流量を、前記クーラントガスが前記液体を凍結させるのに十分に冷却されるような流量にするように構成される、請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記クーラントガスは、空気、窒素、二酸化炭素、アルゴン、蒸発エタノール、および/または蒸発イソプロピルアルコールである、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記液体が、水、エタノール、および/またはイソプロピルアルコールである、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
ガス源から先細末広ノズルにガスを供給することであって、前記先細末広ノズルは先細区画、末広区画、および前記先細区画と前記末広区画の間のスロートを含む、前記ガスを供給することと、
液体源からの液体を、前記先細末広ノズルの前記スロートの側壁を通して前記先細末広ノズルの前記スロートの中へ注入することと、
前記ガスを前記先細末広ノズルを通して流すことによって前記ガスを冷却することと、
前記冷却されたガスを研磨パッド上へと方向付けることと、
を含む、化学機械研磨システムの温度制御の方法。
【請求項8】
前記ガスが、空気を冷やすことによって、液体窒素の蒸発によって、液体エタノールの蒸発によって、液体イソプロピルアルコールの蒸発によって、および/またはドライアイスの昇華によって形成される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記液体が、水、エタノール、および/またはイソプロピルアルコールである、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記液体を、前記冷却されたガスに暴露することによって、凍結させて固体粒子にすることを更に含む、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記ガスを、20℃より高い初期温度から20℃未満まで冷却することを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
冷却された前記ガスを0℃未満の温度で前記研磨パッド上に分配することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
冷却された前記ガスを-70から-50℃の温度で前記研磨パッド上に分配することを含む、請求項11に記載の方法。
【外国語明細書】