(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024069387
(43)【公開日】2024-05-21
(54)【発明の名称】特定の架橋剤を含む保護膜形成組成物及びそれを用いたパターン形成方法
(51)【国際特許分類】
G03F 7/11 20060101AFI20240514BHJP
G03F 7/40 20060101ALI20240514BHJP
C08G 59/18 20060101ALI20240514BHJP
C08G 18/80 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
G03F7/11 503
G03F7/40 521
C08G59/18
C08G18/80
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024037443
(22)【出願日】2024-03-11
(62)【分割の表示】P 2018515425の分割
【原出願日】2017-04-21
(31)【優先権主張番号】P 2016092727
(32)【優先日】2016-05-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2016205489
(32)【優先日】2016-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000003986
【氏名又は名称】日産化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】弁理士法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】大橋 智也
(72)【発明者】
【氏名】緒方 裕斗
(72)【発明者】
【氏名】橋本 雄人
(72)【発明者】
【氏名】臼井 友輝
(72)【発明者】
【氏名】境田 康志
(72)【発明者】
【氏名】岸岡 高広
(57)【要約】 (修正有)
【課題】塩基性過酸化水素水溶液に対する保護膜形成組成物を提供する。
【解決手段】グリシジル基、末端エポキシ基、エポキシシクロペンチル基、エポキシシクロヘキシル基、オキセタニル基、ビニルエーテル基、イソシアネート基及びブロックイソシアネート基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を1分子中に2つ以上有する架橋剤、下記式(1)で表される基を側鎖又は末端に有し重量平均分子量が800以上である化合物、及び有機溶剤を含む、塩基性過酸化水素水溶液に対する保護膜形成組成物。
(式中、X
1は前記架橋剤と反応する置換基を表し、R
0は直接結合又は炭素原子数1又は2のアルキレン基を表し、X
2は炭素原子数1又は2のアルキル基、炭素原子数1又は2のアルコキシ基、又はフルオロ基を表し、aは0乃至2の整数を表し、bは1乃至3の整数を表し、bとcは1≦(b+c)≦5の関係式を満たす。)
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
グリシジル基、末端エポキシ基、エポキシシクロペンチル基、エポキシシクロヘキシル基、オキセタニル基、ビニルエーテル基、イソシアネート基及びブロックイソシアネート基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を1分子中に2つ以上有する架橋剤、下記式(1)で表される基を側鎖又は末端に有し重量平均分子量が800以上である化合物、及び有機溶剤を含む、塩基性過酸化水素水溶液に対する保護膜形成組成物である。
【化1】
(式中、X
1は前記架橋剤と反応する置換基を表し、R
0は直接結合又は炭素原子数1又は2のアルキレン基を表し、X
2は炭素原子数1又は2のアルキル基、炭素原子数1又は2のアルコキシ基、又はフルオロ基を表し、aは0乃至2の整数を表し、bは1乃至3の整数を表し、bが2又は3を表すとき-R
0-X
1で表される基は互いに異なってもよく、cは0乃至4の整数を表し、cが2、3又は4を表すときX
2で表される基は互いに異なってもよく、bとcは1≦(b+c)≦5の関係式を満たす。)
【請求項2】
前記架橋剤と反応する置換基X
1は下記式(3)、式(4)、式(5)、式(6)、式(7)、式(8)、式(9)、式(10)又は式(11)で表される基である請求項1に記載の塩基性過酸化水素水溶液に対する保護膜形成組成物。
【化2】
(式中、R
2は炭素原子数1乃至8の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基を表し、R
3は水素原子又は炭素原子数1乃至8の直鎖状、分岐鎖状もしくは環状の炭化水素基を表し、eは0又は1を表す。)
【請求項3】
前記架橋剤と反応する置換基X1は前記式(3)、式(5)又は式(6)で表される基である請求項2に記載の塩基性過酸化水素水溶液に対する保護膜形成組成物。
【請求項4】
前記架橋剤の添加量は、前記重量平均分子量が800以上である化合物中の前記架橋剤と反応する置換基X1全てを100モル%としたとき該置換基X1を20モル%乃至150モル%封止可能な量である請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の塩基性過酸化水素水溶液に対する保護膜形成組成物。
【請求項5】
前記架橋剤はグリシジル基、末端エポキシ基又はエポキシシクロヘキシル基を1分子中に2つ以上有する請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の塩基性過酸化水素水溶液に対する保護膜形成組成物。
【請求項6】
前記ブロックイソシアネート基は下記式(12)又は式(13)で表される基である請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の塩基性過酸化水素水溶液に対する保護膜形成組成物。
【化3】
(式中、R
4及びR
5それぞれ独立に炭素原子数1乃至5のアルキル基を表し、R
6は炭素原子数1乃至5のアルキル基を表し、dは1乃至3の整数を表し、dが2又は3を表すときR
6で表される炭素原子数1乃至5のアルキル基は互いに異なってもよい。)
【請求項7】
架橋触媒をさらに含む請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の塩基性過酸化水素水溶液に対する保護膜形成組成物。
【請求項8】
界面活性剤をさらに含む請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の塩基性過酸化水素水溶液に対する保護膜形成組成物。
【請求項9】
表面に無機膜が形成されていてもよい半導体基板上に請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載の塩基性過酸化水素水溶液に対する保護膜形成組成物を用いて保護膜を形成し、前記保護膜上にレジストパターンを形成し、前記レジストパターンをマスクとして前記保護膜をドライエッチングし前記無機膜又は前記半導体基板の表面を露出させ、ドライエッチング後の前記保護膜をマスクとして、塩基性過酸化水素水溶液を用いて前記無機膜又は前記半導体基板をウエットエッチング及び洗浄する、パターン形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リソグラフィープロセスにおいて、塩基性過酸化水素水溶液に対する耐性に優れた保護膜を形成するための組成物に関する。さらに前記保護膜を適用してパターンを形成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板とその上に形成されるレジスト膜との間にレジスト下層膜を設け、所望の形状のレジストパターンを形成する、リソグラフィープロセスが知られている。しかしながら、従来のレジスト下層膜、例えば特許文献1に記載されている、アミノプラスト系架橋剤を含む組成物から形成されたレジスト下層膜は、塩基性過酸化水素水溶液に対する耐性に劣る。そのため、このようなレジスト下層膜を、塩基性過酸化水素水溶液を用いたエッチングプロセスにおけるマスクとして使用することができなかった。
【0003】
下記特許文献2には、保護されたカルボキシル基を有する化合物、カルボキシル基と反応可能な基を有する化合物、及び溶剤を含むリソグラフィー用下層膜形成組成物、又はカルボキシル基と反応可能な基と保護されたカルボキシル基とを有する化合物、及び溶剤を含むリソグラフィー用下層膜形成組成物が記載されており、当該組成物はアミノプラスト系架橋剤を必須成分として含まない。しかしながら特許文献2には、当該組成物から形成されたレジスト下層膜の塩基性過酸化水素水溶液に対する耐性について、何ら記載も示唆もない。
【0004】
下記特許文献3には、塩基性過酸化水素水溶液に対する耐性を有するレジスト下層膜を用いたパターン形成方法が記載されている。そして、当該レジスト下層膜を形成するための組成物は、重量平均分子量1000乃至100,000の、エポキシ基を有するポリマー、及び溶剤を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4145972号公報
【特許文献2】国際公開第2005/013601号
【特許文献3】国際公開第2015/030060号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
塩基性過酸化水素水溶液に対する耐性を、従来よりも更に向上させた保護膜の要求は、近年ますます強まっている。本発明は、塩基性過酸化水素水溶液に対する耐性を有する保護膜を形成するための新規な組成物、及び当該保護膜を用いたパターン形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の発明者は、アミノプラスト系架橋剤を除いた特定の架橋剤と、当該特定の架橋剤と反応する置換基を含む重量平均分子量が800以上である化合物との組み合わせを見出し、上記課題を解決することができた。すなわち、本発明の第一態様は、グリシジル基、末端エポキシ基、エポキシシクロペンチル基、エポキシシクロヘキシル基、オキセタニル基、ビニルエーテル基、イソシアネート基及びブロックイソシアネート基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を1分子中に2つ以上有する架橋剤、下記式(1)で表される基を側鎖又は末端に有し重量平均分子量が800以上である化合物、及び有機溶剤を含
む、塩基性過酸化水素水溶液に対する保護膜形成組成物である。
【化1】
(式中、X
1は前記架橋剤と反応する置換基を表し、R
0は直接結合又は炭素原子数1又は2のアルキレン基を表し、X
2は炭素原子数1又は2のアルキル基、炭素原子数1又は2のアルコキシ基、又はフルオロ基を表し、aは0乃至2の整数を表し、bは1乃至3の整数を表し、bが2又は3を表すとき-R
0-X
1で表される基は互いに異なってもよく、cは0乃至4の整数を表し、cが2、3又は4を表すときX
2で表される基は互いに異なってもよく、bとcは1≦(b+c)≦5の関係式を満たす。)
【0008】
前記保護膜形成組成物は、前記式(1)で表される基を側鎖又は末端に有し重量平均分子量が800以上である化合物に代えて、下記式(2)で表される基を側鎖又は末端に有し重量平均分子量が800以上である化合物を含むものであってもよい。
【化2】
(式中、R
1は直接結合又は炭素原子数1乃至8の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基を表し、X
1は前記架橋剤と反応する置換基を表す。)
【0009】
前記架橋剤と反応する置換基X
1は、架橋剤と直接反応する基又は架橋剤と直接反応する基を含む基を表す。また、架橋剤と直接反応する基には、保護基を有する基であって、該保護基が外れることにより架橋剤と反応する基も含み得る。
前記架橋剤と反応する置換基X
1は、例えば下記式(3)、式(4)、式(5)、式(6)、式(7)、式(8)、式(9)、式(10)又は式(11)で表される基である。
【化3】
(式中、R
2は炭素原子数1乃至8の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基を表し、R
3は水素原子又は炭素原子数1乃至8の直鎖状、分岐鎖状もしくは環状の炭化水素基を表し、eは0又は1を表す。)
【0010】
前記架橋剤と反応する置換基X1は、好ましくは前記式(3)、式(5)又は式(6)で表される基である。
【0011】
前記架橋剤の添加量は、例えば、前記重量平均分子量が800以上である化合物中の前記架橋剤と反応する置換基X1全てを100モル%としたとき、該置換基X1を20モル%乃至150モル%封止可能な量である。また、前記架橋剤は、好ましくは、グリシジル基、末端エポキシ基又はエポキシシクロヘキシル基を1分子中に2つ以上有する。
【0012】
前記ブロックイソシアネート基は、例えば下記式(12)又は式(13)で表される基である。
【化4】
(式中、R
4及びR
5それぞれ独立に炭素原子数1乃至5のアルキル基を表し、R
6は炭素原子数1乃至5のアルキル基を表し、dは1乃至3の整数を表し、dが2又は3を表すときR
6で表される炭素原子数1乃至5のアルキル基は互いに異なってもよい。)
【0013】
本発明の保護膜形成組成物は、架橋触媒をさらに含有してもよい。また、本発明の保護膜形成組成物は、界面活性剤をさらに含有してもよい。
【0014】
本発明の第二態様は、表面に無機膜が形成されていてもよい半導体基板上に本発明の第一態様の塩基性過酸化水素水溶液に対する保護膜形成組成物を用いて保護膜を形成し、前記保護膜上にレジストパターンを形成し、前記レジストパターンをマスクとして前記保護膜をドライエッチングし前記無機膜又は前記半導体基板の表面を露出させ、ドライエッチン
グ後の前記保護膜をマスクとして、塩基性過酸化水素水溶液を用いて前記無機膜又は前記半導体基板をウエットエッチング及び洗浄する、パターン形成方法である。
【0015】
前記塩基性過酸化水素水溶液は、例えば、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、シアン化ナトリウム、シアン化カリウム、トリエタノールアミン又は尿素を含む。前記塩基性過酸化水素水溶液がアンモニアを含む場合、当該塩基性過酸化水素水溶液は、例えば、25質量%乃至30質量%のアンモニア水溶液(A)、30質量%乃至36質量%の過酸化水素水溶液(B)及び水(C)の混合物であり、前記アンモニア水溶液(A)に対する前記過酸化水素水溶液(B)の体積比:(B)/(A)は例えば0.1乃至20.0、及び前記アンモニア水溶液(A)に対する前記水(C)の体積比:(C)/(A)は例えば1.0乃至50.0である。
【発明の効果】
【0016】
本発明の保護膜形成組成物から形成される保護膜は、塩基性過酸化水素水溶液に対する耐性を有する。特に、グリシジル基、末端エポキシ基、又はエポキシシクロヘキシル基を1分子中に2つ以上有する架橋剤を用いた保護膜形成組成物から形成される保護膜は、塩基性過酸化水素水溶液に対し優れた耐性を有する。そのため、本発明の保護膜形成組成物から形成される保護膜は、塩基性過酸化水素水溶液を用いたエッチングプロセス及び洗浄プロセスにおけるマスクとして使用できる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の保護膜形成組成物に含まれる成分について、以下に詳細を説明する。
【0018】
[重量平均分子量が800以上である化合物]
本発明の保護膜形成組成物は、前記式(1)で表される基又は前記式(2)で表される基を側鎖又は末端に有し、重量平均分子量が800以上である化合物を含む。前記化合物の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、標準試料としてポリスチレンを用いて得られる値である。前記重量平均分子量の上限値は、例えば500,000である。前記重量平均分子量が800以上である化合物は、ポリマーに限定されず、単量体、二量体、三量体及びオリゴマーからなる群から選択される1種、又は2種以上の混合物でもよい。当該ポリマーは、コポリマー(共重合体)、ホモポリマー(単独重合体)いずれでもよい。
【0019】
前記式(1)で表される基として、例えば下記式(1-1)乃至式(1-111)で表される基が挙げられる。
【化5】
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】
【化13】
【化14】
【化15】
【0020】
前記式(2)で表される基として、例えば下記式(2-1)乃至式(2-28)で表される基が挙げられる。
【化16】
【化17】
【0021】
前記重量平均分子量が800以上である化合物は、193nmの波長に吸収を持つ吸光部位又は248nmの波長に吸収を持つ吸光部位をさらに有することができる。193nmの波長に吸収を持つ吸光部位として、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、トリアジン環、イソシアヌル環が挙げられ、248nmの波長に吸収を持つ吸光部位として、例えば、ナフタレン環、アントラセン環、トリアジン環が挙げられる。
【0022】
[架橋剤]
本発明の保護膜形成組成物は、グリシジル基、末端エポキシ基、エポキシシクロペンチル基、エポキシシクロヘキシル基、オキセタニル基、ビニルエーテル基、イソシアネート基及びブロックイソシアネート基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を、1分子中に2つ以上有する架橋剤を含む。当該架橋剤は、上記基のうち1種を1分子中に2つ以上有してもよいし、上記基のうち例えば2種を1分子中に1つずつ(合計2つ)有してもよい。
【0023】
グリシジル基、末端エポキシ基、エポキシシクロペンチル基及びエポキシシクロヘキシル基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を、1分子中に2つ以上有する化合物として、例えば、トリス(2,3-エポキシプロピル)イソシアヌレート、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸ジグリシジル、1,2-エポキシ-4-(エポキシエチル)シクロヘキサン、4,4’-メチレンビス[N,N-ビス(オキシラニルメチル)アニリン]、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ビスフェノール-A-ジグリシジルエーテル、日産化学工業(株)製のTEPIC〔登録商標〕-L、TEPIC-SS、TEPIC-PAS B26L、TEPIC-PAS B22、TEPIC-VL、TEPIC-UC、(株)ダイセル製のエポフレンドAT501、同CT301、セロキサイド〔登録商標〕2021、同2081、同8000、エポリード〔登録商標〕GT-401、同PB3600、同PB4700、EHPE
3150、EHPE3150CE、三菱化学(株)製の152、154、157S70、168V70、604、630、801N、801PN,802、806、807、811、813、816A,816C,819、825、827、828、828EL、828US、828XA、834X90、871、872、1001、1002、1003、1004、1007、1009、1010、1031S、1032H60、1256、4004P、4005P、4007P、4010P、4250、4275、5046B80、YL980、YL983U、YL6810、YL6121L、YX4000、YX4000H、YX8000、YX8034、YX8800、日本化薬(株)製のNC-3000、NC-3000―L、NC-3000―H、NC-3000-FH-75M、NC-3100、CER-3000-L、NC-2000―L、XD-1000、NC-7000L、NC-7300L、EPPN-501H、EPPN-501HY、EPPN-502H、EOCN-1020、EOCN-102S、EOCN-103S、EOCN-104S、CER-1020、EPPN201、BREN-S、BREN-105、GAN、GOT、RE-3035-L、RE-310S、ナガセケムテックス(株)製のデナコール〔登録商標〕EX-211、同EX-212、同EX-252、同EX-810、同EX-811、同EX-850、同EX-851、同EX-821、同EX-830、同EX-832、同EX-841、同EX-861、同EX-911、同EX-941、同EX-920、同EX-931、同EX-313、同EX-314、同EX-321、同EX-411、同EX-421、同EX-512、同EX-612、同EX-614、BASFジャパン(株)製のCY175、CY177、CY179、CY182、CY184、CY192、DIC(株)製のエピクロン840、同804-S、同850、同850-S、同850-CRP、同850-LC、同860、同1050、同1055、同3050、同4050、同7050、同AM-020-P、同AM-040-P、同HM-091、同HM-101、同830、同830-S、同EXA-830LVP、同835、同EXA-835LV、同1051-75M、同7070-40K、同HM-091-40AX、同152、同153、同153-60T、同153-60M、同1121N-80M、同1123P-75M、同N-660、同N-665、同N-670、同N-673、同N-680、同N-695、同N-655-EXP-S、同N-662-EXP-S、同N-665-EXP、同N-672-EXP、同N-670-EXP-S、同N-685-EXP-S、同N-673-80M、同N-680-75M、同N-690-75M、同N-740、同N-770、同N-775、同N-865、同HP-4032、同HP-4032D、同HP-4700、同HP-4710、同HP-4770、同HP-5000、同HP-7200、同HP-7200H、同HP-820、同5500、同5800、四国化成(株)製のMA-DGIC、DAG-G、TG-G、新日鉄住金化学(株)製のエポトート〔登録商標〕YD-127、同YD-128、同YDF-170、同YD-8125、同YDF-8170C、同ZX-1059、同YD-825GS、同YD-825GSH、同YDF-870GS、同YDPN-138、同YDCN-700、同YDC-1312、同YSLV-80XY、同YSLV-120TE、同ST-3000、同ST-4000D、同YD-171、同YH-434、同YH-434L、同FX-289BEK75、同FX-305EK70、同ERF-001M30を挙げることができる。
【0024】
加えて、グリシジル基、末端エポキシ基、エポキシシクロペンチル基及びエポキシシクロヘキシル基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を、1分子中に2つ以上有する化合物として、ポリマーを使用することもできる。前記ポリマーとしては、グリシジル基、末端エポキシ基、エポキシシクロペンチル基及びエポキシシクロヘキシル基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を、1分子中に2つ以上有するポリマーであれば、特に制限なく使用することができる。このようなポリマーは、エポキシ基を有する付加重合性モノマーを用いた付加重合により製造することができ、又は水酸基を有する高分子化合物と、エピクロルヒドリン、グリシジルトシレート等のエポキシ基を有する化合物との反応に
より製造することができる。例えば、ポリグリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート及びエチルメタクリレートの共重合体、グリシジルメタクリレートとスチレンと2-ヒドロキシエチルメタクリレートの共重合体等の付加重合ポリマー、エポキシノボラック等の縮重合ポリマーを挙げることができる。当該ポリマーの重量平均分子量としては、例えば、1000乃至200,000である。
【0025】
1分子中に2つ以上のオキセタニル基を有する化合物として、例えば、7-オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタン-3-カルボン酸(7-オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタン)-3-イルメチル、東亞合成(株)製のアロンオキセタン〔登録商標〕OXT-121、同OXT-221を挙げることができる。
【0026】
加えて、1分子中に2つ以上のオキセタニル基を有する化合物として、ポリマーを使用することもできる。前記ポリマーとしては、1分子中に2つ以上のオキセタニル基を有するポリマーであれば、特に制限なく使用することができる。このようなポリマーは、オキセタニル基を有する付加重合性モノマーを用いた付加重合により製造することができる。当該ポリマーの重量平均分子量としては、例えば、1000乃至200,000である。
【0027】
1分子中に2つ以上のビニルエーテル基を有する化合物として、例えば、1,3,5-トリス(4-ビニルオキシブチル)トリメリテート、ビス(4-ビニルオキシブチル)イソフタレートを挙げることができる。
【0028】
加えて、1分子中に2つ以上のビニルエーテル基を有する化合物として、ポリマーを使用することもできる。前記ポリマーとしては、1分子中に2つ以上のビニルエーテル基を有するポリマーであれば、特に制限なく使用することができる。このようなポリマーは、ビニルエーテル基を有する付加重合性モノマーを用いた付加重合により製造することができる。当該ポリマーの重量平均分子量としては、例えば、1000乃至200,000である。
【0029】
1分子中に2つ以上のイソシアネート基を有する化合物として、例えば、DIC(株)製のバーノック〔登録商標〕D-750、同D-800、同DN-920、同DN-950、同DN-955、同DN-980、同DN-981、三井化学(株)製タケネート〔登録商標〕500、同600、同D-110N、同D-120N、同D-140N、同D-165N、同D-170N、同D-177Nが挙げられる。
【0030】
加えて、1分子中に2つ以上のイソシアネート基を有する化合物として、ポリマーを使用することもできる。前記ポリマーとしては、1分子中に2つ以上のイソシアネート基を有するポリマーであれば、特に制限なく使用することができる。このようなポリマーは、イソシアネート基を有する付加重合性モノマーを用いた付加重合により製造することができる。当該ポリマーの重量平均分子量としては、例えば、1000乃至200,000である。
【0031】
1分子中に2つ以上のブロックイソシアネート基を有する化合物として、例えば、三井化学(株)製タケネート〔登録商標〕B-815N、同B-830、同B-842N、同B-870N、同B-874N、同B-882N、同B-7005、同B-7030、同B-7075、同B-5010、エボニック社製VESTAGON〔登録商標〕B1065、同B1400、同B1530、エボニック社製VESTANAT〔登録商標〕B1358/100、同B1370、同EP-DS1076、同EP-DS1205が挙げられる。
【0032】
加えて、1分子中に2つ以上のブロックイソシアネート基を有する化合物として、ポリマ
ーを使用することもできる。前記ポリマーとしては、1分子中に2つ以上のブロックイソシアネート基を有するポリマーであれば、特に制限なく使用することができる。このようなポリマーは、ブロックイソシアネート基を有する付加重合性モノマーを用いた付加重合により製造することができる。当該ポリマーの重量平均分子量としては、例えば、1000乃至200,000である。
【0033】
前記架橋剤の添加量は、例えば、前記重量平均分子量が800以上である化合物中の前記架橋剤と反応する置換基X1全てを100モル%としたとき、当該置換基X1を、20モル%乃至150モル%、好ましくは40モル%乃至140モル%、より好ましくは60モル%乃至120モル%封止可能な量である。本発明の保護膜形成組成物中の前記架橋剤の含有量が過少である場合及び過剰である場合には、形成される保護膜の、レジスト溶剤又は塩基性過酸化水素水溶液に対する耐性が得られにくくなることがある。
【0034】
[架橋触媒]
本発明の保護膜形成組成物は、任意成分として、架橋反応を促進させるために、架橋触媒を含有することができる。当該架橋触媒としては、酸性化合物、塩基性化合物に加え、熱により酸又は塩基が発生する化合物を用いることができる。酸性化合物としては、スルホン酸化合物又はカルボン酸化合物を用いることができ、熱により酸が発生する化合物としては、熱酸発生剤を用いることができる。
スルホン酸化合物又はカルボン酸化合物として、例えば、p-トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ピリジニウム-p-トルエンスルホネート、サリチル酸、カンファースルホン酸、5-スルホサリチル酸、4-クロロベンゼンスルホン酸、4-ヒドロキシベンゼンスルホン酸、ピリジニウム-4-ヒドロキシベンゼンスルホン酸、ベンゼンジスルホン酸、1-ナフタレンスルホン酸、4-ニトロベンゼンスルホン酸、クエン酸、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸が挙げられる。
熱酸発生剤として、例えば、K-PURE〔登録商標〕CXC-1612、同CXC-1614、同TAG-2172、同TAG-2179、同TAG-2678、同TAG2689(以上、King Industries社製)、及びSI-45、SI-60、SI-80、SI-100、SI-110、SI-150(以上、三新化学工業(株)製)が挙げられる。
これら架橋触媒は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、塩基性化合物としては、アミン化合物又は水酸化アンモニウム化合物を用いることができ、熱により塩基が発生する化合物としては、尿素を用いることができる。
アミン化合物として、例えば、トリエタノールアミン、トリブタノールアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリノルマルプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、トリノルマルブチルアミン、トリ-tert-ブチルアミン、トリノルマルオクチルアミン、トリイソプロパノールアミン、フェニルジエタノールアミン、ステアリルジエタノールアミン、及びジアザビシクロオクタン等の第3級アミン、ピリジン及び4-ジメチルアミノピリジン等の芳香族アミンが挙げられる。また、ベンジルアミン及びノルマルブチルアミン等の第1級アミン、ジエチルアミン及びジノルマルブチルアミン等の第2級アミンもアミン化合物として挙げられる。これらのアミン化合物は、単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
水酸化アンモニウム化合物としては、例えば、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラプロピルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム、水酸化ベンジルトリメチルアンモニウム、水酸化ベンジルトリエチルアンモニウム、水酸化セチルトリメチルアンモニウム、水酸化フェニルトリメチルアンモニウム、水酸化フェニルトリエチルアンモニウムが挙げられる。
また、熱により塩基が発生する化合物としては、例えば、アミド基、ウレタン基又はアジリジン基のような熱不安定性基を有し、加熱することでアミンを生成する化合物を使用することができる。その他、尿素、ベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、ベンジルト
リエチルアンモニウムクロリド、ベンジルジメチルフェニルアンモニウムクロリド、ベンジルドデシルジメチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリブチルアンモニウムクロリド、コリンクロリドも熱により塩基が発生する化合物として挙げられる。
前記保護膜形成組成物が架橋触媒を含む場合、その含有量は、当該保護膜形成組成物に含まれる重量平均分子量が800以上である化合物の含有量に対し、例えば0.2質量%乃至20質量%である。
【0035】
[その他の成分]
本発明の保護膜形成組成物は、任意成分として、半導体基板に対する塗布性を向上させるために界面活性剤を含有することができる。前記界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタントリステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類等のノニオン系界面活性剤、エフトップ〔登録商標〕EF301、同EF303、同EF352(三菱マテリアル電子化成(株)製)、メガファック〔登録商標〕F171、同F173、同R-30、同R-30N、同R-40、同R-40-LM(DIC(株)製)、フロラードFC430、同FC431(住友スリーエム(株)製)、アサヒガード〔登録商標〕AG710、サーフロン〔登録商標〕S-382、同SC101、同SC102、同SC103、同SC104、同SC105、同SC106(旭硝子(株)製)等のフッ素系界面活性剤、オルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業(株)製)を挙げることができる。これらの界面活性剤は、単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。前記保護膜形成組成物が界面活性剤を含む場合、その含有量は、当該保護膜形成組成物に含まれる重量平均分子量が800以上である化合物の含有量に対し、例えば、0.01質量%乃至10質量%である。
【0036】
本発明の保護膜形成組成物は、上記各成分を、有機溶剤に溶解させることによって調製でき、均一な溶液状態で用いられる。前記有機溶剤としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノン、4-メチル-2-ペンタノール、2―ヒドロキシイソ酪酸メチル、2―ヒドロキシイソ酪酸エチル、エトキシ酢酸エチル、酢酸2-ヒドロキシエチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、2-ヘプタノン、メトキシシクロペンタン、アニソール、γ-ブチロラクトン、N-メチルピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、及びN,N-ジメチルアセトアミドが挙げられる。これらの溶剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0037】
調製した保護膜形成組成物は、孔径が例えば0.2μm又は0.1μmのフィルター及び
/又は0.01μmのフィルターを用いてろ過した後、使用することが好ましい。
【0038】
本発明の保護膜形成組成物を用いたパターン形成方法について、以下に説明する。
【0039】
本発明の保護膜形成組成物が塗布される半導体基板としては、例えば、シリコンウエハ、ゲルマニウムウエハ、及びヒ化ガリウム、リン化インジウム、窒化ガリウム、窒化インジウム、窒化アルミニウム等の化合物半導体ウエハが挙げられる。
表面に無機膜が形成された半導体基板を用いる場合、当該無機膜は、例えば、ALD(原子層堆積)法、CVD(化学気相堆積)法、反応性スパッタ法、イオンプレーティング法、真空蒸着法、スピンコーティング法(スピンオングラス:SOG)により形成される。前記無機膜として、例えば、ポリシリコン膜、酸化ケイ素膜、窒化珪素膜、BPSG(Boro-Phospho Silicate Glass)膜、窒化チタン膜、窒化酸化チタン膜、タングステン膜、窒化ガリウム膜、及びヒ化ガリウム膜が挙げられる。
【0040】
このような半導体基板上に、スピナー、コーター等の適当な塗布方法により本発明の保護膜形成組成物を塗布する。その後、ホットプレート等の加熱手段を用いてベークすることにより保護膜を形成する。ベーク条件としては、ベーク温度100℃乃至400℃、ベーク時間0.3分乃至60分間の中から適宜、選択される。好ましくは、ベーク温度120℃乃至350℃、ベーク時間0.5分乃至30分間、より好ましくは、ベーク温度150℃乃至300℃、ベーク時間0.8分乃至10分間である。形成される保護膜の膜厚としては、例えば0.001μm乃至10μm、好ましくは0.002μm乃至1μm、より好ましくは0.005μm乃至0.5μmである。ベーク時の温度が、上記範囲より低い場合には架橋が不十分となり、形成される保護膜の、レジスト溶剤又は塩基性過酸化水素水溶液に対する耐性が得られにくくなることがある。一方、ベーク時の温度が上記範囲より高い場合は、保護膜が熱によって分解してしまうことがある。
【0041】
次いで前記保護膜の上に、レジストパターンを形成する。レジストパターンの形成は一般的な方法、すなわち、フォトレジスト溶液を前記保護膜上へ塗布し、プリベーク、露光、PEBと略称される露光後ベーク(必要な場合)、現像、及びリンスによって行なうことができる。前記レジストパターンの形成に使用するフォトレジスト溶液としては、露光に使用される光に感光するものであれば特に限定はなく、ポジ型フォトレジストが使用できる。酸により分解してアルカリ溶解速度を上昇させる基を有するバインダーと光酸発生剤からなる化学増幅型フォトレジスト、酸により分解してフォトレジストのアルカリ溶解速度を上昇させる低分子化合物とアルカリ可溶性バインダーと光酸発生剤とからなる化学増幅型フォトレジスト、酸により分解してアルカリ溶解速度を上昇させる基を有するバインダーと酸により分解してフォトレジストのアルカリ溶解速度を上昇させる低分子化合物と光酸発生剤からなる化学増幅型フォトレジスト、露光部と未露光部のアルカリ溶解速度の差を利用したDNQ-ノボラック型の非化学増幅型フォトレジストが挙げられる。例えば、住友化学(株)製,商品名:PAR710、東京応化工業(株)製,商品名:TDUR-P3435LP、THMR-iP1800及び信越化学工業(株)製,商品名:SEPR430が挙げられる。ポジ型フォトレジストに代えて、ネガ型フォトレジストを使用することもできる。
【0042】
前記露光は、所定のパターンを形成するためのマスク(レチクル)を通して行われ、例えば、i線、KrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、EUV(極端紫外線)またはEB(電子線)が使用される。前記現像にはアルカリ現像液が用いられ、現像温度5℃乃至50℃、現像時間10秒乃至300秒から適宜選択される。前記アルカリ現像液としては、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属水酸化物の水溶液、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、コリンなどの水酸化四級アンモニウムの水溶液、エタノールアミン、プロピルアミン、エチレンジアミ
ンなどのアミン水溶液等のアルカリ性水溶液を挙げることができる。さらに、これらの現像液に界面活性剤などを加えることもできる。アルカリ現像液に代えて、酢酸ブチル等の有機溶媒で現像を行い、フォトレジストのアルカリ溶解速度が向上していない部分を現像する方法を用いることもできる。
【0043】
次いで、形成したレジストパターンをマスクとして、前記保護膜をドライエッチングする。その際、用いた半導体基板の表面に前記無機膜が形成されている場合、その無機膜の表面を露出させ、用いた半導体基板の表面に前記無機膜が形成されていない場合、その半導体基板の表面を露出させる。
【0044】
さらに、ドライエッチング後の保護膜(その保護膜上にレジストパターンが残存している場合、そのレジストパターンも)をマスクとして、塩基性過酸化水素水溶液を用いてウエットエッチングすることにより、所望のパターンが形成される。ウエットエッチングの薬液としては、塩基性を示す物質、例えば、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、シアン化ナトリウム、シアン化カリウム、トリエタノールアミン等の有機アミンと過酸化水素水とを混合し、pHを塩基性にした、塩基性過酸化水素水を挙げることができる。その他、pHを塩基性にすることができるもの、例えば、尿素と過酸化水素水を混合し、加熱により尿素の熱分解を引き起こすことでアンモニアを発生させ、最終的にpHを塩基性にするものも、ウエットエッチングの薬液として使用できる。塩基性過酸化水素水溶液の使用温度は25℃乃至90℃であることが望ましく、40℃乃至80℃であることがさらに望ましい。ウエットエッチング時間としては、0.5分乃至30分であることが望ましく、1分乃至20分であることがさらに望ましい。
【実施例0045】
下記合成例で得られたポリマーの重量平均分子量の測定に用いた装置等を示す。
装置:東ソー(株)製HLC-8220GPC
GPCカラム:Shodex〔登録商標〕KF-803L、同KF-802、同KF-801
カラム温度:40℃
流量:0.2mL/分
溶離液:THF
標準試料:ポリスチレン(東ソー(株))
【0046】
以下、本発明について実施例によってさらに具体的に説明する。ただし、本発明は下記実施例の記載に限定されるものではない。また、塩基性過酸化水素水溶液として、以下の表1又は表3に示す組成の薬液を用いたが、本発明に適用される塩基性過酸化水素水溶液は当該組成に限定されない。
【0047】
<合成例1>
プロピレングリコール中にp-ビニルフェノールモノマーが溶解した固形分濃度10質量%の溶液(LANCASTER社製)100gにプロピレングリコールを40.60g加え、その溶液にメチルメタクリレート(純正化学(株)製)25gを溶解させた後、反応液中に窒素を30分間流した。反応液を70℃に保ちながら、プロピレングリコール40gに溶解させたアゾビスイソブチロニトリル(純正化学(株)製)1.32gを添加し、窒素雰囲気下で撹拌した。反応物は蒸留水1リットル中に再沈することにより得られた沈降物を濾過し、乾燥することにより下記式(1A)で表される構造単位を有するポリマーの粉体を得た。得られたポリマーのGPC分析を行ったところ、標準ポリスチレン換算にて重量平均分子量は約5000であった。また、得られたポリマーの構造は、p-ビニルフェノールとメチルメタクリレートとがモル比で25:75の割合で共重合したものであった。
【化18】
【0048】
<合成例2>
トリス-(2,3-エポキシプロピル)-イソシアヌレート(日産化学工業(株)製、製品名:TEPIC-SS)10g、3,7-ジヒドロキシ-2-ナフトエ酸(東京化成工業(株)製)20.50g、エチルトリフェニルホスホニウムブロミド(ACROSS社製)0.90g、及びプロピレングリコールモノメチルエーテル73.27gを混合した溶液を120℃に加温し、窒素雰囲気化で24時間反応させ、下記式(1B)で表される化合物を含む溶液を得た。得られた化合物を含む溶液のGPC分析を行ったところ、標準ポリスチレン換算にて重量平均分子量は約1000であった。
【化19】
【0049】
<合成例3>
トリス-(2,3-エポキシプロピル)-イソシアヌレート(日産化学工業(株)製、製品名:TEPIC-SS)10g、2,5-ジヒドロキシ安息香酸(東京化成工業(株)製)15.63g、エチルトリフェニルホスホニウムブロミド(ACROSS社製)0.902g、及びプロピレングリコールモノメチルエーテル61.90gを混合した溶液を120℃に加温し、窒素雰囲気化で24時間反応させ、下記式(1C)で表される化合物を含む溶液を得た。得られた化合物を含む溶液のGPC分析を行ったところ、標準ポリスチレン換算にて重量平均分子量は約1000であった。
【化20】
【0050】
<実施例1>
ポリパラヒドロキシスチレン(日本曹達(株)製,商品名:VP-8000)0.50gに、プロピレングリコールモノメチルエーテル11.52g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート7.68g、及びブロックイソシアネート樹脂(エボニックジャパン(株)製,商品名:VESTANAT〔登録商標〕B1358/100)0.30gを添加し、溶液とした。その溶液を、孔径0.02μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過することで、保護膜形成組成物を調製した。前記ポリパラヒドロキシスチレンのGPC分析を行ったところ、標準ポリスチレン換算にて重量平均分子量は約11,000であった。
【0051】
<実施例2>
ポリパラヒドロキシスチレン(日本曹達(株)製,商品名:VP-8000)0.50gに、プロピレングリコールモノメチルエーテル11.52g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート7.68g、及び1,3,5-トリス(4-ビニルオキシブチル)トリメリテート0.30gを添加し、溶液とした。その溶液を、孔径0.02μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過することで、保護膜形成組成物を調製した。
【0052】
<実施例3>
ポリパラヒドロキシスチレン(日本曹達(株)製,商品名:VP-8000)0.49gに、プロピレングリコールモノメチルエーテル11.52g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート7.68g、ブタンテトラカルボン酸テトラ(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)修飾ε-カプロラクトン((株)ダイセル製,商品名:エポリード〔登録商標〕GT-401)0.29g、及びピリジニウムp-トルエンスルホナート0.01gを添加し、溶液とした。その溶液を、孔径0.02μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過することで、保護膜形成組成物を調製した。
【0053】
<実施例4>
ポリパラヒドロキシスチレン(日本曹達(株)製,商品名:VP-8000)0.60gに、プロピレングリコールモノメチルエーテル11.52g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート7.68g、トリス(4,5-エポキシペンチル)イソシアヌレート(日産化学工業(株)製,商品名:TEPIC〔登録商標〕-VL)0.18g、及びピリジニウムp-トルエンスルホナート0.02gを添加し、溶液とした。その溶液を、孔径0.02μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過することで、保護膜形成組成物を調製した。
【0054】
<実施例5>
ポリパラヒドロキシスチレン(日本曹達(株)製,商品名:VP-8000)0.33gに、プロピレングリコールモノメチルエーテル11.52g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート7.68g、及び1,3,5-トリス(4-ビニルオキシブチル)トリメリテート0.47gを添加し、溶液とした。その溶液を、孔径0.02μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過することで、保護膜形成組成物を調製した。
【0055】
<実施例6>
ポリパラヒドロキシスチレン(日本曹達(株)製,商品名:VP-8000)0.43gに、プロピレングリコールモノメチルエーテル11.52g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート7.68g、及び新日鉄住金化学(株)製エポトート〔登録商標〕YH-434Lを0.37g添加し、溶液とした。その溶液を、孔径0.02μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過することで、保護膜形成組成物を調製した
。
【0056】
<実施例7>
ポリパラヒドロキシスチレン(日本曹達(株)製,商品名:VP-8000)0.45gに、プロピレングリコールモノメチルエーテル11.52g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート7.68g、及び四国化成(株)製TG-Gを0.35g添加し、溶液とした。その溶液を、孔径0.02μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過することで、保護膜形成組成物を調製した。
【0057】
<実施例8>
ポリパラヒドロキシスチレン(日本曹達(株)製,商品名:VP-8000)0.40gに、プロピレングリコールモノメチルエーテル5.76g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート13.44g、及び新日鉄住金化学(株)製エポトート〔登録商標〕YH-434Lを0.40g添加し、溶液とした。その溶液を、孔径0.02μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過することで、保護膜形成組成物を調製した。
【0058】
<実施例9>
ポリパラヒドロキシスチレン(日本曹達(株)製,商品名:VP-8000)0.36gに、プロピレングリコールモノメチルエーテル5.76g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート13.44g、及び新日鉄住金化学(株)製エポトート〔登録商標〕YH-434Lを0.44g添加し、溶液とした。その溶液を、孔径0.02μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過することで、保護膜形成組成物を調製した。
【0059】
<実施例10>
合成例1で得たポリマー0.64gを含むプロピレングリコールモノメチルエーテル溶液3.20gに、プロピレングリコールモノメチルエーテル3.20g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート13.44g、及び新日鉄住金化学(株)製エポトート〔登録商標〕YH-434Lを0.16g添加し、溶液とした。その溶液を、孔径0.02μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過することで、保護膜形成組成物を調製した。
【0060】
<実施例11>
合成例1で得たポリマー0.62gを含むプロピレングリコールモノメチルエーテル溶液3.08gに、プロピレングリコールモノメチルエーテル3.30g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート13.44g、及び新日鉄住金化学(株)製エポトート〔登録商標〕YH-434Lを0.18g添加し、溶液とした。その溶液を、孔径0.02μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過することで、保護膜形成組成物を調製した。
【0061】
<実施例12>
合成例1で得たポリマー0.64gを含むプロピレングリコールモノメチルエーテル溶液3.20gに、プロピレングリコールモノメチルエーテル3.20g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート13.44g、及び四国化成(株)製TG-Gを0.16g添加し、溶液とした。その溶液を、孔径0.02μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過することで、保護膜形成組成物を調製した。
【0062】
<実施例13>
合成例2で得た化合物0.44gを含むプロピレングリコールモノメチルエーテル溶液2
.22gに、プロピレングリコールモノメチルエーテル3.99g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート13.44g、及び新日鉄住金化学(株)製エポトート〔登録商標〕YH-434Lを0.36g添加し、溶液とした。その溶液を、孔径0.02μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過することで、保護膜形成組成物を調製した。
【0063】
<実施例14>
合成例2で得た化合物0.62gを含むプロピレングリコールモノメチルエーテル溶液3.08gに、プロピレングリコールモノメチルエーテル3.30g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート13.44g、及び四国化成(株)製TG-Gを0.18g添加し、溶液とした。その溶液を、孔径0.02μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過することで、保護膜形成組成物を調製した。
【0064】
<実施例15>
合成例2で得た化合物0.50gを含むプロピレングリコールモノメチルエーテル溶液2.50gに、プロピレングリコールモノメチルエーテル3.76g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート13.44g、及び四国化成(株)製TG-Gを0.30g添加し、溶液とした。その溶液を、孔径0.02μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過することで、保護膜形成組成物を調製した。
【0065】
<実施例16>
合成例2で得た化合物0.47gを含むプロピレングリコールモノメチルエーテル溶液2.35gに、プロピレングリコールモノメチルエーテル3.88g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート13.44g、及び四国化成(株)製TG-Gを0.33g添加し、溶液とした。その溶液を、孔径0.02μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過することで、保護膜形成組成物を調製した。
【0066】
<実施例17>
合成例2で得た化合物0.44gを含むプロピレングリコールモノメチルエーテル溶液2.22gに、プロピレングリコールモノメチルエーテル3.98g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート13.44g、及び四国化成(株)製TG-Gを0.36g添加し、溶液とした。その溶液を、孔径0.02μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過することで、保護膜形成組成物を調製した。
【0067】
<実施例18>
合成例3で得た化合物0.47gを含むプロピレングリコールモノメチルエーテル溶液2.33gに、プロピレングリコールモノメチルエーテル3.90g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート13.44g、及び四国化成(株)製TG-Gを0.33g添加し、溶液とした。その溶液を、孔径0.02μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過することで、保護膜形成組成物を調製した。
【0068】
<比較例1>
ポリパラヒドロキシスチレン(日本曹達(株)製,商品名:VP-8000)0.60gに、プロピレングリコールモノメチルエーテル11.52g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート7.68g、1,3,4,6-テトラキス(メトキシメチル)グリコールウリル0.18g、及びピリジニウムp-トルエンスルホナート0.02gを添加し、溶液とした。その溶液を、孔径0.02μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過することで、膜形成組成物を調製した。本比較例の膜形成組成物は、グリシジル基、末端エポキシ基、エポキシシクロペンチル基、エポキシシクロヘキシル基、オキセタニル基、ビニルエーテル基、イソシアネート基及びブロックイソシアネート基からな
る群から選ばれる少なくとも1種の基を1分子中に2つ以上有する架橋剤を含有しない。
【0069】
<比較例2>
ポリパラヒドロキシスチレン(日本曹達(株)製,商品名:VP-8000)0.49gに、プロピレングリコールモノメチルエーテル11.52g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート7.68g、1,3,4,6-テトラキス(メトキシメチル)グリコールウリル0.29g、及びピリジニウムp-トルエンスルホナート0.01gを添加し、溶液とした。その溶液を、孔径0.02μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過することで、膜形成組成物を調製した。本比較例の膜形成組成物は、グリシジル基、末端エポキシ基、エポキシシクロペンチル基、エポキシシクロヘキシル基、オキセタニル基、ビニルエーテル基、イソシアネート基及びブロックイソシアネート基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を1分子中に2つ以上有する架橋剤を含有しない。
【0070】
<比較例3>
ポリパラヒドロキシスチレン(日本曹達(株)製,商品名:VP-8000)0.60gに、プロピレングリコールモノメチルエーテル11.52g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート7.68g、3,3’,5,5’-テトラキス(メトキシメチル)-[1,1’-ビフェニル]-4,4’-ジオール(本州化学工業(株)製,商品名:TMOM-BP)0.18g、及びピリジニウムp-トルエンスルホナート0.02gを添加し、溶液とした。その溶液を、孔径0.02μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過することで、膜形成組成物を調製した。本比較例の膜形成組成物は、グリシジル基、末端エポキシ基、エポキシシクロペンチル基、エポキシシクロヘキシル基、オキセタニル基、ビニルエーテル基、イソシアネート基及びブロックイソシアネート基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を1分子中に2つ以上有する架橋剤を含有しない。
【0071】
<比較例4>
ポリパラヒドロキシスチレン(日本曹達(株)製,商品名:VP-8000)0.49gに、プロピレングリコールモノメチルエーテル11.52g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート7.68g、3,3’,5,5’-テトラキス(メトキシメチル)-[1,1’-ビフェニル]-4,4’-ジオール(本州化学工業(株)製,商品名:TMOM-BP)0.29g、及びピリジニウムp-トルエンスルホナート0.01gを添加し、溶液とした。その溶液を、孔径0.02μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過することで、膜形成組成物を調製した。本比較例の膜形成組成物は、グリシジル基、末端エポキシ基、エポキシシクロペンチル基、エポキシシクロヘキシル基、オキセタニル基、ビニルエーテル基、イソシアネート基及びブロックイソシアネート基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を1分子中に2つ以上有する架橋剤を含有しない。
【0072】
<比較例5>
ポリパラヒドロキシスチレン(日本曹達(株)製,商品名:VP-8000)0.34gに、プロピレングリコールモノメチルエーテル11.52g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート7.68g、1,3,4,6-テトラキス(メトキシメチル)グリコールウリル0.45g、及びピリジニウムp-トルエンスルホナート0.01gを添加し、溶液とした。その溶液を、孔径0.02μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過することで、膜形成組成物を調製した。本比較例の膜形成組成物は、グリシジル基、末端エポキシ基、エポキシシクロペンチル基、エポキシシクロヘキシル基、オキセタニル基、ビニルエーテル基、イソシアネート基及びブロックイソシアネート基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を1分子中に2つ以上有する架橋剤を含有しない。
【0073】
<比較例6>
合成例1で得たポリマー0.57gを含むプロピレングリコールモノメチルエーテル溶液2.84gに、プロピレングリコールモノメチルエーテル3.49g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート13.44g、1,3,4,6-テトラキス(メトキシメチル)グリコールウリル0.22g、及びピリジニウムp-トルエンスルホナート0.02gを添加し、溶液とした。その溶液を、孔径0.02μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過することで、膜形成組成物を調製した。本比較例の膜形成組成物は、グリシジル基、末端エポキシ基、エポキシシクロペンチル基、エポキシシクロヘキシル基、オキセタニル基、ビニルエーテル基、イソシアネート基及びブロックイソシアネート基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を1分子中に2つ以上有する架橋剤を含有しない。
【0074】
<比較例7>
合成例2で得た化合物0.56gを含むプロピレングリコールモノメチルエーテル溶液2.81gに、プロピレングリコールモノメチルエーテル3.51g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート13.44g、1,3,4,6-テトラキス(メトキシメチル)グリコールウリル0.22g、及びピリジニウムp-トルエンスルホナート0.02gを添加し、溶液とした。その溶液を、孔径0.02μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過することで、膜形成組成物を調製した。本比較例の膜形成組成物は、グリシジル基、末端エポキシ基、エポキシシクロペンチル基、エポキシシクロヘキシル基、オキセタニル基、ビニルエーテル基、イソシアネート基及びブロックイソシアネート基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を1分子中に2つ以上有する架橋剤を含有しない。
【0075】
<比較例8>
合成例2で得た化合物0.44gを含むプロピレングリコールモノメチルエーテル溶液2.20gに、プロピレングリコールモノメチルエーテル4.00g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート13.44g、1,3,4,6-テトラキス(メトキシメチル)グリコールウリル0.35g、及びピリジニウムp-トルエンスルホナート0.01gを添加し、溶液とした。その溶液を、孔径0.02μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過することで、膜形成組成物を調製した。本比較例の膜形成組成物は、グリシジル基、末端エポキシ基、エポキシシクロペンチル基、エポキシシクロヘキシル基、オキセタニル基、ビニルエーテル基、イソシアネート基及びブロックイソシアネート基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を1分子中に2つ以上有する架橋剤を含有しない。
【0076】
<比較例9>
合成例3で得た化合物0.41gを含むプロピレングリコールモノメチルエーテル溶液2.03gに、プロピレングリコールモノメチルエーテル4.14g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート13.44g、1,3,4,6-テトラキス(メトキシメチル)グリコールウリル0.38g、及びピリジニウムp-トルエンスルホナート0.01gを添加し、溶液とした。その溶液を、孔径0.02μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過することで、膜形成組成物を調製した。本比較例の膜形成組成物は、グリシジル基、末端エポキシ基、エポキシシクロペンチル基、エポキシシクロヘキシル基、オキセタニル基、ビニルエーテル基、イソシアネート基及びブロックイソシアネート基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を1分子中に2つ以上有する架橋剤を含有しない。
【0077】
(シリコン基板上への塗膜の形成)
シリコン基板上に、実施例1乃至実施例7で調製した保護膜形成組成物及び比較例1乃至
比較例5で調製した膜形成組成物をスピンコートにて塗布し、220℃で60秒ベークすることで、100nmの膜厚の塗膜を作製した。
【0078】
(シリコン基板上に成膜された窒化チタン膜上への塗膜の形成)
シリコン基板の表面に形成された50nmの厚さの窒化チタン膜上に、実施例8乃至実施例18で調製した保護膜形成組成物及び比較例5乃至比較例9で調製した膜形成組成物をスピンコートにて塗布し、260℃で60秒ベークすることで、100nmの膜厚の塗膜を作製した。
【0079】
(フォトレジスト溶剤への溶出試験)
実施例1乃至実施例7で調製した保護膜形成組成物を用いて、220℃で60秒ベークすることでシリコン基板上に作製した塗膜、及び実施例8乃至実施例18で調製した保護膜形成組成物を用いて、260℃で60秒ベークすることで窒化チタン膜上に作製した塗膜を、フォトレジスト塗布時に使用する溶剤であるOK73シンナー(東京応化工業(株)製、プロピレングリコールモノメチルエーテル及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートの混合物)に1分間浸漬し、浸漬の前後での塗膜の膜厚の変化が5%以下であることを確認した。この結果は、実施例1乃至実施例18で調製した塗膜は、上層にレジストを積層することが可能であることを示している。
【0080】
(レジスト現像液への溶出試験)
実施例1乃至実施例7で調製した保護膜形成組成物を用いて、220℃で60秒ベークすることでシリコン基板上に作製した塗膜、及び実施例8乃至実施例18で調製した保護膜形成組成物を用いて、260℃で60秒ベークすることで窒化チタン膜上に作製した塗膜を、フォトレジスト現像時に使用される現像液であるNMD-3(東京応化工業(株)製)に1分間浸漬し、浸漬の前後での塗膜の膜厚の変化が5%以下であることを確認した。
【0081】
(シリコン基板上での塗膜の塩基性過酸化水素水溶液への耐性試験)
実施例1乃至実施例7で調製した保護膜形成組成物及び比較例1乃至比較例5で調製した膜形成組成物を用いて作製した塗膜を、下記表1で示した組成の塩基性過酸化水素水溶液に、同表に示す温度で規定の時間(4分間、8分間、12分間)浸し、その後水洗、乾燥後の塗膜の状態を目視で観察した。その結果を下記表2に示す。表2中の“□”は4分処理後も塗膜に剥がれが見られない状態を、“○”は8分処理後も塗膜に剥がれが見られない状態を、“◎”は12分処理後も塗膜に剥がれが見られない状態を、“×”は4分処理後に塗膜の一部又は全てにおいて剥がれが観察された状態を示している。
【表1】
【表2】
【0082】
上記表2の結果より、実施例1乃至実施例7で調製した保護膜形成組成物を用いて作製した塗膜は、塩基性過酸化水素水溶液に対して十分な耐性を有することが示された。すなわち、これらの塗膜は、塩基性過酸化水素水溶液に対する保護膜となり得ることがわかった。特に、実施例3乃至実施例7で調製した保護膜形成組成物を用いて作製した塗膜は、塩基性過酸化水素水溶液に対して優れた耐性を有する。一方、比較例1乃至比較例5で調製した膜形成組成物を用いて作製した塗膜は、塩基性過酸化水素水溶液に対する耐性を有さないことが示され、これらの塗膜は、塩基性過酸化水素水溶液に対する保護膜となり得ないことが明らかとなった。
【0083】
(窒化チタン膜上での塗膜の塩基性過酸化水素水溶液への耐性試験)
実施例8乃至実施例18で調製した保護膜形成組成物及び比較例5乃至比較例9で調製した膜形成組成物を用いて作製した塗膜を、下記表3で示した組成の塩基性過酸化水素水溶液に、同表に示す温度で規定の時間(1分間、1.5分間、2分間)浸し、その後水洗、乾燥後の塗膜の状態を目視で観察した。その結果を下記表4に示す。表4中の“□”は1分処理後も塗膜に剥がれが見られない状態を、“○”は1.5分処理後も塗膜に剥がれが見られない状態を、“◎”は2分処理後も塗膜に剥がれが見られない状態を、“×”は1分処理後に塗膜の一部又は全てにおいて剥がれが観察された状態を示している。
【表3】
【表4】
【0084】
上記表4の結果より、実施例8乃至実施例18で調製した保護膜形成組成物を用いて作製した塗膜は、塩基性過酸化水素水溶液に対して十分な耐性を有することが示された。すなわち、これらの塗膜は、塩基性過酸化水素水溶液に対する保護膜となり得ることがわかった。特に、実施例13及び実施例16で調製した保護膜形成組成物を用いて作製した塗膜は、塩基性過酸化水素水溶液に対して優れた耐性を有する。一方、比較例5乃至比較例9で調製した膜形成組成物を用いて作製した塗膜は、塩基性過酸化水素水溶液に対する耐性を有さないことが示され、これらの塗膜は、塩基性過酸化水素水溶液に対する保護膜とな
り得ないことが明らかとなった。
【0085】
(架橋剤による、重量平均分子量が800以上である化合物中の当該架橋剤と反応する置換基の封止量)
実施例1乃至実施例18で調製した保護膜形成組成物を用いて作製した塗膜において、架橋剤が、重量平均分子量が800以上である化合物中の当該架橋剤と反応する置換基(以下、置換基と称する。)を封止する量を、化学構造が既知の架橋剤については下記式(A)に基づいて、化学構造が未知の架橋剤については下記式(B)に基づいて計算した結果を下記表5に示した。
式(A):100×(重量平均分子量が800以上である化合物に対する架橋剤の添加量「質量%」)/
[{100/(重量平均分子量が800以上である化合物の1単位構造の分子量)×(重量平均分子量が800以上である化合物の1単位構造の置換基数)}/(架橋剤1分子の架橋点数)×(架橋剤の分子量)]
式(B):100×(重量平均分子量が800以上である化合物に対する架橋剤の添加量「質量%」)/
[{100/(重量平均分子量が800以上である化合物の1単位構造の分子量)×(重量平均分子量が800以上である化合物の1単位構造の置換基数)}×(架橋剤の架橋点1つ当たりの当該架橋剤の分子量)]
【表5】