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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024006951
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】吐出ヘッド及び吐出装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/14 20060101AFI20240110BHJP
   B05C 11/10 20060101ALI20240110BHJP
   B05C 11/00 20060101ALI20240110BHJP
   B05C 5/00 20060101ALI20240110BHJP
   B41J 2/18 20060101ALI20240110BHJP
   B41J 2/175 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
B41J2/14 605
B05C11/10
B05C11/00
B05C5/00 101
B41J2/18
B41J2/175 111
B41J2/14 603
B41J2/175 501
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023057974
(22)【出願日】2023-03-31
(31)【優先権主張番号】P 2022107666
(32)【優先日】2022-07-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100090527
【弁理士】
【氏名又は名称】舘野 千惠子
(72)【発明者】
【氏名】山中 健太郎
【テーマコード(参考)】
2C056
2C057
4F041
4F042
【Fターム(参考)】
2C056KB03
2C056KB04
2C056KB15
2C056KC00
2C057AF80
2C057AG71
2C057AG72
2C057AG74
2C057AG76
4F041AA02
4F041AB01
4F041BA01
4F041BA10
4F041BA13
4F041BA35
4F042AA02
4F042AB00
4F042BA07
4F042BA08
4F042BA12
4F042BA15
4F042CA01
4F042CA07
4F042CB03
4F042CB08
4F042CB10
4F042CB20
4F042DH01
(57)【要約】
【課題】初期充填時及び/又はメンテナンス時における気泡排出性を向上させ、吐出時における吐出安定性を向上させた吐出ヘッドを提供する。
【解決手段】被吐出物を吐出する複数のノズルと、複数のノズルに各々連通する複数の圧力室と、2以上の圧力室に通じる複数の供給流路支流と、2以上の圧力室に通じる複数の回収流路支流と、複数の供給流路支流に通じる供給流路本流156と、複数の回収流路支流に通じる回収流路本流157と、供給流路本流と回収流路本流とを通じる第1バイパス流路253と、第1バイパス流路を開閉する第1開閉手段257と、を備える。第1バイパス流路を流れる被吐出物の流量は、第1開閉手段の上流側と下流側の圧力差が大きくなるに伴って小さくなる。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被吐出物を吐出する複数のノズルと、
前記複数のノズルに各々連通する複数の圧力室と、
2以上の前記圧力室に通じる複数の供給流路支流と、
2以上の前記圧力室に通じる複数の回収流路支流と、
前記複数の供給流路支流に通じる供給流路本流と、
前記複数の回収流路支流に通じる回収流路本流と、
前記供給流路本流と前記回収流路本流とを通じる第1バイパス流路と、
前記第1バイパス流路を開閉する第1開閉手段と、を備え、
前記供給流路支流は、前記被吐出物を前記2以上の圧力室に供給する流路であり、
前記回収流路支流は、前記2以上の圧力室から前記被吐出物を回収する流路であり、
前記供給流路本流は、前記被吐出物を前記複数の供給流路支流に供給する流路であり、
前記回収流路本流は、前記複数の回収流路支流から前記被吐出物を回収する流路であり、
前記第1バイパス流路を流れる前記被吐出物の流量は、前記第1開閉手段の上流側と下流側の圧力差が大きくなるに伴って小さくなることを特徴とする吐出ヘッド。
【請求項2】
前記供給流路支流と前記回収流路本流とを通じる第2バイパス流路と、
前記回収流路支流と前記供給流路本流とを通じる第3バイパス流路と、
前記第2バイパス流路を開閉する第2開閉手段と、
前記第3バイパス流路を開閉する第3開閉手段と、を備え、
前記第2開閉手段は、当該第2開閉手段の上流側と下流側の圧力差によって開閉し、
前記第3開閉手段は、当該第3開閉手段の上流側と下流側の圧力差によって開閉し、
前記第2開閉手段と前記第3開閉手段は、前記第1開閉手段よりも大きい圧力差で開く状態になることを特徴とする請求項1に記載の吐出ヘッド。
【請求項3】
前記第2バイパス流路と前記供給流路支流との接続部は、前記供給流路支流の端部に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の吐出ヘッド。
【請求項4】
前記第3バイパス流路と前記回収流路支流との接続部は、前記回収流路支流の端部に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の吐出ヘッド。
【請求項5】
前記供給流路本流に通じる供給側タンクと、
前記回収流路本流に通じる回収側タンクと、
前記供給側タンクと前記回収側タンクとを通じる第4バイパス流路と、
前記第4バイパス流路を開閉する第4開閉手段と、を備え、
前記第4開閉手段は、当該第4開閉手段の上流側と下流側の圧力差によって開閉し、
前記第1開閉手段は、前記第4開閉手段よりも大きい圧力差で開く状態になることを特徴とする請求項1に記載の吐出ヘッド。
【請求項6】
前記第4バイパス流路は、前記供給側タンク及び前記回収側タンクの最上部に設けられていることを特徴とする請求項5に記載の吐出ヘッド。
【請求項7】
前記第1開閉手段は、片持ち梁構造であり、一端側を固定端とし他端側を自由端とした弁体を有し、前記第1バイパス流路に設けられた前記弁体の自由端を所定の位置で規制する規制部材と前記弁体の自由端とが接触している場合、閉じた状態になり、
前記弁体の自由端は、前記第1開閉手段の上流側と下流側の圧力差が閾値よりも小さい場合、前記規制部材と接触する位置よりも前記被吐出物が流れる方向の上流側に位置することを特徴とする請求項1に記載の吐出ヘッド。
【請求項8】
前記弁体の固定端と自由端とを結ぶ直線を第1直線とし、前記第1バイパス流路の前記被吐出物が流れる方向を第2直線としたとき、
前記第1直線と前記第2直線との角度は、前記第1開閉手段の上流側と下流側の圧力差が大きくなるに伴って変化し、圧力差が閾値よりも大きくなった場合、前記弁体の自由端が前記規制部材と接触する角度になることを特徴とする請求項7に記載の吐出ヘッド。
【請求項9】
請求項1~8のいずれかに記載の吐出ヘッドを備えていることを特徴とする吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吐出ヘッド及び吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば液体を吐出するヘッドとして、複数のノズルを二次元マトリクス状に配置し、供給流路本流から供給流路支流を通じて圧力室に液体を供給し、圧力室から回収流路支流を通じて回収流路本流に液体を回収するものがある。
【0003】
従来、圧力室(個別液室)を経由しないで共通液室と循環共通液室とをつなぐバイパス流路と、バイパス流路を流れる液体の流量を制御する流量制御手段とを備えるものが知られている(特許文献1)。特許文献1では、気泡排出性の向上と循環による粘度変化の抑制効果を確保できるようにすることを目的にしている。
【0004】
また、液体が共通供給流路から圧力室を経て共通回収流路に流れ、共通回収流路の一部が共通供給流路の上方に配置され、共通供給流路から共通回収流路に通じる連通路が設けられるものが知られている(特許文献2)。特許文献2では、共通供給流路内の気泡の排出性を向上することを目的としている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、従来技術ではヘッド内の気泡排出性を向上させることを目的として、バイパス流路を有する構成が提案されている。しかしながら、従来技術のように、供給側の共通液室と回収側の共通液室との間に、被吐出物の流量を調整できる手段を有するバイパス流路を設けるだけでは気泡を十分に排出することが難しかった。例えば、初期充填やメンテナンスの時に、個別液室に気泡が残ってしまうという問題がある。また、印刷動作時に、共通液室やタンクからの気泡が個別液室に流れて吐出が不安定になる場合があった。
【0006】
そこで本発明は、初期充填時及び/又はメンテナンス時における気泡排出性を向上させ、印刷動作時における吐出安定性を向上させた吐出ヘッドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の吐出ヘッドは、
被吐出物を吐出する複数のノズルと、
前記複数のノズルに各々連通する複数の圧力室と、
2以上の前記圧力室に通じる複数の供給流路支流と、
2以上の前記圧力室に通じる複数の回収流路支流と、
前記複数の供給流路支流に通じる供給流路本流と、
前記複数の回収流路支流に通じる回収流路本流と、
前記供給流路本流と前記回収流路本流とを通じる第1バイパス流路と、
前記第1バイパス流路を開閉する第1開閉手段と、を備え、
前記供給流路支流は、前記被吐出物を前記2以上の圧力室に供給する流路であり、
前記回収流路支流は、前記2以上の圧力室から前記被吐出物を回収する流路であり、
前記供給流路本流は、前記被吐出物を前記複数の供給流路支流に供給する流路であり、
前記回収流路本流は、前記複数の回収流路支流から前記被吐出物を回収する流路であり、
前記第1バイパス流路を流れる前記被吐出物の流量は、前記第1開閉手段の上流側と下流側の圧力差が大きくなるに伴って小さくなる
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、初期充填時及び/又はメンテナンス時における気泡排出性を向上させ、印刷動作時における吐出安定性を向上させた吐出ヘッドを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係る吐出ヘッドの一例を示す断面説明図である。
図2】同吐出ヘッドの流路配置構成を説明する平面説明図である。
図3図2のA-A線に沿う断面説明図である。
図4図2のD-D線に沿う断面説明図である。
図5】比較例1を示す断面説明図(a)及び(b)である。(a)は圧力差が小さい場合であり、(b)は圧力差が大きい場合である。
図6】比較例1の開閉手段を示す説明図(a)及び(b)である。(a)は圧力差が小さい場合であり、(b)は圧力差が大きい場合である。
図7】実施例1を示す断面説明図(a)及び(b)である。(a)は圧力差が小さい場合であり、(b)は圧力差が大きい場合である。
図8】第1開閉手段の一例を示す説明図(a)~(c)である。(a)は圧力差が小さい場合であり、(b)は圧力差が中程度の場合であり、(c)は圧力差が大きい場合である。
図9】本発明の他の例に係る吐出ヘッドの断面説明図である。
図10】本発明の他の例に係る吐出ヘッドの断面説明図である。
図11】本発明の他の例に係る吐出ヘッドの流路構成を説明する平面説明図である。
図12】本発明に係る吐出装置としての印刷装置の一例の概略説明図である。
図13】同印刷装置の吐出ユニットの平面説明図である。
図14】循環式インク供給システムの一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る吐出ヘッド及び吐出装置について図面を参照しながら説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、修正、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【0011】
本発明の吐出ヘッドは、
被吐出物を吐出する複数のノズルと、
前記複数のノズルに各々連通する複数の圧力室と、
2以上の前記圧力室に通じる複数の供給流路支流と、
2以上の前記圧力室に通じる複数の回収流路支流と、
前記複数の供給流路支流に通じる供給流路本流と、
前記複数の回収流路支流に通じる回収流路本流と、
前記供給流路本流と前記回収流路本流とを通じる第1バイパス流路と、
前記第1バイパス流路を開閉する第1開閉手段と、を備え、
前記供給流路支流は、前記被吐出物を前記2以上の圧力室に供給する流路であり、
前記回収流路支流は、前記2以上の圧力室から前記被吐出物を回収する流路であり、
前記供給流路本流は、前記被吐出物を前記複数の供給流路支流に供給する流路であり、
前記回収流路本流は、前記複数の回収流路支流から前記被吐出物を回収する流路であり、
前記第1バイパス流路を流れる前記被吐出物の流量は、前記第1開閉手段の上流側と下流側の圧力差が大きくなるに伴って小さくなる
ことを特徴とする。
【0012】
図1は、本実施形態に係る吐出ヘッドの断面説明図であり、(a)は図2のB-B線に相当する断面説明図、(b)は図2のC-C線に相当する断面説明図である。図2は、同吐出ヘッドの流路配置構成を説明する平面説明図、図3図2のA-A線に沿う断面説明図である。
【0013】
この吐出ヘッド100は、ノズル板110と、アクチュエータ部材101と、フレーム部材を兼ねる共通流路部材170とを備えている。アクチュエータ部材101は、個別流路部材(流路板)120と、振動板部材130と、圧電素子140と、共通流路部材150とを含む。
【0014】
ノズル板110には、被吐出物である液体を吐出する複数のノズル111を有している。複数のノズル111は、二次元マトリクス状に配置されている。
【0015】
個別流路部材120は、複数のノズル111に各々連通する複数の圧力室(個別液室)121と、複数の圧力室121に各々通じる複数の個別供給流路122と、複数の圧力室121に各々通じる複数の個別回収流路123とを形成している。個別供給流路122には供給側流体抵抗部126を、個別回収流路123には回収側流体抵抗部127を含む。
【0016】
振動板部材130は、圧力室121の変形可能な壁面である振動板131を形成し、振動板131には圧電素子140が一体に設けられている。また、振動板部材130には、個別供給流路122に通じる供給側開口132と、個別回収流路123に通じる回収側開口133とが形成されている。圧電素子140は、振動板131を変形させて圧力室121内の液体を加圧する圧力発生手段である。
【0017】
共通流路部材150は、共通流路支流部材であり、2以上の個別供給流路122に通じる複数の共通の供給流路支流152と、2以上の個別回収流路123に通じる複数の共通の回収流路支流153とを交互に隣接して形成している。供給流路支流152は、被吐出物であるの液体を2以上の圧力室121に供給する流路であり、回収流路支流153は、2以上の圧力室121から被吐出物である液体を回収する流路である。
【0018】
共通流路部材150には、個別供給流路122の供給側開口132と供給流路支流152を通じる供給口154と、個別回収流路123の回収側開口133と回収流路支流153を通じる回収口155が形成されている。
【0019】
また、共通流路部材150は、共通流路部材170とともに形成する、複数の供給流路支流152に通じる1又は複数の共通の供給流路本流156の一部156aと、複数の回収流路支流153に通じる1又は複数の共通の回収流路本流157の一部157aを形成している。
【0020】
共通流路部材170は、共通流路本流部材であり、共通流路部材150とともに形成する、複数の供給流路支流152に通じる供給流路本流156の一部156bと、複数の回収流路支流153に通じる回収流路本流157の一部157bを形成している。供給流路本流156の一部156bは供給口171に通じ、回収流路本流157の一部157bは回収口172に通じている。
【0021】
供給流路本流156は、被吐出物である液体を複数の供給流路支流152に供給する流路であり、回収流路本流157は、複数の回収流路支流153から被吐出物である液体を回収する流路である。
【0022】
共通流路部材170の外部には、供給流路本流156に供給口171を介して液体を供給する供給側タンク部181と、回収流路本流157から回収口172を介して液体が排出される回収側タンク部182とが配置されている。供給側タンク部181には外部から液体が供給される供給ポート183が設けられている。回収側タンク部182には外部に液体を排出する回収ポート184が設けられている。
【0023】
本実施形態では、供給流路本流156と回収流路本流157とを通じる第1バイパス流路253を設けている。ここで、第1バイパス流路253は、供給流路本流156の下流端部と回収流路本流157の上流端部とをつなぐ流路とすることが好ましい。図2において、供給流路本流156の左側(つまり供給流路本流156の上流側)に供給ポートが配置されており、回収流路本流157の左側(つまり回収流路本流157の下流側)に回収ポートが配置されている。
【0024】
気泡は、圧力が弱まり、流量も少ない供給流路本流156の下流端部(最下流側)と回収流路本流157の上流端部(最上流側)とに溜まりやすい。そこで、第1バイパス流路253により供給流路本流156の下流端部と回収流路本流157の上流端部とをつなぐことで、気泡排出性を向上できる。
【0025】
また、供給流路支流152と回収流路本流157とを通じる第2バイパス流路251を設けている。第2バイパス流路251は、供給流路支流152の端部(最下流側)と回収流路本流157とを通じている。これにより、充填時に供給流路支流152の端部に気泡が残留することが防止される。
【0026】
また、回収流路支流153と供給流路本流156とを通じる第3バイパス流路252を設けている。第3バイパス流路252は、回収流路支流153の端部(最上流側)と供給流路本流156とを通じている。これにより、充填時に回収流路支流153の端部に気泡が残留することが防止される。
【0027】
第1バイパス流路253には、第1バイパス流路253を開閉する第1開閉手段257を設けている。
第2バイパス流路251には、第2バイパス流路251を開閉する第2開閉手段255を設けている。
第3バイパス流路252には、第3バイパス流路252を開閉する第3開閉手段256を設けている。
【0028】
第1開閉手段257、第2開閉手段255及び第3開閉手段256は、いずれも、圧力差(差圧)によって流路を開閉するとともに、圧力差に応じて(差圧の大きさによって)開放量が変化する構成としている。このように圧力差に応じて開放量が変化する構成にするには、例えば後述の弁体を用いる方法が挙げられる。圧力差に応じて開放量が変化することにより、バイパス流路を流れる被吐出物の流量が圧力差に応じて変化する。
【0029】
ここでいう圧力差は、開閉手段の上流側と下流側の圧力差である。開閉手段の上流側とは、例えば開閉手段の上流側であり開閉手段の近傍が挙げられる。同様に、開閉手段の下流側とは、例えば開閉手段の下流側であり開閉手段の近傍が挙げられる。また、開閉手段の上流側としては、開閉手段の入口が挙げられ、開閉手段の下流側としては、開閉手段の出口が挙げられる。この場合、圧力差は、第1開閉手段257、第2開閉手段255、第3開閉手段256における入口と出口との差圧である。
【0030】
本実施形態では、第1開閉手段257が開く状態になるときの圧力差を第1所定値とも称する。また、第2開閉手段255が開く状態になるときの圧力差を第2所定値とも称し、第3開閉手段256が開く状態になるときの圧力差を第3所定値とも称する。
【0031】
図4は、図2のD-D線に相当する断面説明図である。図4には、供給流路本流156と回収流路本流157とを通じる第1バイパス流路253が図示されている。また、第1バイパス流路253には、第1バイパス流路253を開閉する第1開閉手段257が設けられている。なお、図4では、ノズル板110の図示を省略している。また、圧力室(個別液室)121等は、模式的に図示するものであり、図示される形状に限られるものではない。
【0032】
図5は、本発明に含まれない比較例1の構成を説明するための図であり、図2のD-D線を説明するための断面説明図である。図5(a)は、圧力差が小さい場合であり、図5(b)は、大きい場合である。図中、矢印は被吐出物の流れを模式的に示している。
図6は、比較例1における流量調整機構を示す図である。図6(a)は、圧力差が小さい場合であり、図5(a)の場合に相当する。図6(b)は、圧力差が大きい場合であり、図5(b)の場合に相当する。
【0033】
図6には、弁体273と規制部材271が図示されており、弁体273が規制部材271に接触する場合、閉じた状態になる。弁体273が規制部材271に接触していない場合、開いた状態になる。規制部材271は、別途部材を設けてもよいし、流路の一部であってもよい。
【0034】
図5(a)と図6(a)に示すように、圧力差が小さい場合、弁体273は規制部材271に接触し、第1開閉手段257は閉じた状態となる。そのため、圧力差が小さい場合、被吐出物は第1バイパス流路253を流れない。一方、図5(b)と図6(b)に示すように、圧力差が大きい場合、弁体273が変形して規制部材271から離間し、第1開閉手段257は開いた状態となる。そのため、被吐出物は第1バイパス流路253を流れる。比較例1では、圧力差を大きくすることで第1バイパス流路253の流量を大きくする調整機構になっている。
【0035】
比較例1における初期充填時やメンテナンス時の気泡排出例について説明する。
まず、供給流路本流156と、その下流側(すなわち供給流路支流152と圧力室121)に被吐出物を充填させる。その後、第1開閉手段の圧力差が大きくなるように被吐出物を供給する。これにより、第1開閉手段が開いた状態になり、第1バイパス流路の流量が大きくなる。流量が大きくなることで、例えば供給流路本流156や供給流路支流152に生じた、あるいは混入した気泡が、回収流路本流157に移動し、回収流路本流157から外部の循環経路に排出される。
【0036】
一般的に、初期充填時やメンテナンス時には、ヘッド全体の流量を大きくするために、被吐出物の供給量が調整されて、供給ポート183と回収ポート184との圧力差が大きくなる。このため、比較例において、初期充填時やメンテナンス時には、図5(b)と図6(b)に示すように、第1バイパス流路253の流量が大きくなる。この場合、圧力室121に被吐出物が十分に供給されず、圧力室121内の気泡を十分に排出することができない。圧力室121内に気泡が残っていると、画像の乱れが生じてしまう。
【0037】
一方、吐出時には、メニスカスの圧力差を小さくすることが求められる。そのため、被吐出物の供給量が調整されて、供給ポート183と回収ポート184との圧力差が小さくなる。このため、比較例1においては、吐出時には、図5(a)と図6(a)に示すように、第1バイパス流路253の流量が小さくなる。この場合、ヘッド全体の流量が小さくなり、供給側タンクや供給流路本流の気泡が圧力室121に流れることとなり、圧力室121に流れた気泡によって安定な吐出に影響が生じてしまう。
【0038】
このように比較例1では、供給側の共通液室と回収側の共通液室との間に、被吐出物の流量を調整できる手段を有するバイパス流路を設けているが、気泡を十分に排出することが難しい。例えば、初期充填やメンテナンスの時に、個別液室内の気泡を移動させにくく、個別液室内に気泡が残ってしまうという問題がある。また、吐出時に、共通液室やタンクからの気泡が個別液室に流れて吐出が不安定になる場合がある。
【0039】
これに対して本実施形態では、第1開閉手段257の流量調整機構を工夫している。本実施形態において、第1バイパス流路253を流れる被吐出物の流量は、第1開閉手段257の上流側と下流側の圧力差が大きくなるに伴って小さくなる。換言すると、圧力差に応じて第1バイパス流路の流量が変化するものであり、圧力差が大きくなると流量が小さくなり、圧力差が小さくなると流量が大きくなる。本実施形態によれば、初期充填時やメンテナンス時における気泡排出性を向上させることができ、吐出時における吐出安定性を向上させることができる。
【0040】
図7は、本実施形態の一例(実施例1)を説明するための図であり、図2のD-D線に相当する断面説明図である。図7(a)は、圧力差が小さい場合であり、図7(b)は、大きい場合である。図中、矢印は被吐出物の流れを模式的に示している。
図8は、実施例1における流量調整機構を示す図である。図8(a)は、圧力差が小さい場合であり、図7(a)の場合に相当する。図8(b)は、圧力差が中程度の場合である。図8(c)は、圧力差が大きい場合であり、図7(b)の場合に相当する。
【0041】
図8には、弁体273と規制部材271が図示されており、弁体273が規制部材271に接触する場合、閉じた状態になる。第1の開閉手段257は、圧力差に応じて流量が調整されるようになっている。弁体273が規制部材271に接触していない場合、開いた状態になる。規制部材271は、別途部材を設けてもよいし、流路の一部であってもよい。
【0042】
図7(a)と図8(a)に示すように、圧力差が小さい場合、弁体273が変形して規制部材271から離間し、第1開閉手段257は開いた状態となる。そのため、被吐出物は第1バイパス流路253を流れる。実施例1では、圧力差を大きくすることで第1バイパス流路253の流量を大きくする調整機構になっている。
一方、図7(b)と図8(c)に示すように、圧力差が大きい場合、弁体273は規制部材271に接触し、第1開閉手段257は閉じた状態となる。そのため、被吐出物は第1バイパス流路253を流れない。
【0043】
なお、ここでいう圧力差が小さい場合とは、圧力差がない場合の他、所定値よりも小さい場合を意味する。第1開閉手段257が開く状態になるときの圧力差を第1所定値としたとき、ここでいう圧力差が小さい場合とは、圧力差が第1所定値よりも小さい場合を意味する。また、上流側から被吐出物が供給されて下流側で被吐出物が回収されるため、圧力差が生じる場合、上流側の圧力が高くなり、下流側の圧力が低くなる。
【0044】
実施例1における初期充填時やメンテナンス時の気泡排出例について説明する。
まず、供給流路本流156と、その下流側(すなわち供給流路支流152と圧力室121)に被吐出物を充填させる。その後、第1開閉手段257の圧力差が大きくなるように被吐出物を供給する。実施例1では、図7(b)と図8(c)に示すように、第1開閉手段257が閉じた状態になり、第1バイパス流路253を被吐出物が流れない、もしくは流量が小さくなる。第1バイパス流路253を被吐出物が流れない、もしくは流量が小さくなることで、圧力室121への流量が大きくなり、圧力室121に圧力をかけることができる。これにより、圧力室121内の気泡が回収流路本流157に移動し、回収流路本流157から外部の循環経路に排出される。このため、初期充填時やメンテナンス時の気泡排出性を向上させることができる。
【0045】
なお、ここでいう初期充填時やメンテナンス時とは、初期充填時及び/又はメンテナンス時を意味する。すなわち、初期充填時だけでなく、メンテナンス時にも気泡排出性を向上させることができる。
【0046】
吐出時は、メニスカスの圧力を小さくする必要があるため、供給ポート183と回収ポート184との圧力差が小さくなる。そのため、実施例1では、図7(a)と図8(a)に示すように、第1開閉手段257が開いた状態になり、第1バイパス流路253の被吐出物の流量が大きくなる。これにより、ヘッド全体の流量が大きくすることができ、充填性が向上する。また、印刷動作時には、被吐出物が第1バイパス流路253を流れることができるため、圧力室121に過剰に被吐出物が流れ込むことを避けることができ、必要な量の被吐出物が圧力室121に流れ込む。そのため、供給流路本流156や供給側タンク部181に生じた、あるいは混入した気泡が圧力室121に移動することを抑制できる。これにより、印刷動作時の吐出安定性を向上させることができる。
【0047】
また印刷動作時において、ヘッド全体の流量を大きくすることができるため、循環時の温度制御がしやすくなる。このことも、充填性や吐出安定性の向上につながる。このときの充填性は、圧力室121に限られず、供給流路本流156や供給側タンク部181内の充填性も向上させることができる。
【0048】
なお、メンテナンス(初期充填含む)においては、例えば、供給側と回収側の圧力差(例えば供給ポート183と回収ポート184との圧力差)を大きくし、吐出時は、供給側と回収側の圧力差を小さくする。このように圧力差を調整するには、例えば、吐出ヘッドに外付けされる供給側タンク部と回収側タンク部のそれぞれにエアポンプを設け、エアポンプによって圧力を制御することができる。
【0049】
上記エアポンプを説明するための循環式インク供給システムの一例を図14に示す。ただし本発明はこれに限られない。図示するように、供給側タンク部181と回収側タンク部182のそれぞれにエアポンプ281、282が設けられている。図中の矢印は、エアポンプ281、282による正圧、負圧の制御の一例を模式的に示している。エアポンプ281、282、バルブ283、インク供給ポンプ284を調整し、インクタンク285からインクを供給するとともに、インクを循環させることができ、圧力差を調整することができる。
【0050】
本実施形態において、第2開閉手段255と第3開閉手段256は、第1開閉手段257と同様に、圧力差が大きくなると被吐出物の流量が小さくなり、圧力差が小さくなると被吐出物の流量が大きくなる構成にしている。このように、第2開閉手段255と第3開閉手段256についても、圧力差が大きくなると被吐出物の流量が小さくなるようにする目的は、個別流路への圧力をかけることができ、個別流路の気泡を効率よく排出できるようになるためである。
【0051】
本実施形態において、第2開閉手段255と第3開閉手段256は、第1開閉手段257よりも大きい圧力差で開く状態になることが好ましい。
すなわち、第1開閉手段257が開く状態になるときの圧力差を第1所定値とし、第2開閉手段255が開く状態になるときの圧力差を第2所定値とし、第3開閉手段256が開く状態になるときの圧力差を第3所定値としたとき、
第2所定値>第1所定値、かつ、第3所定値>第1所定値
であることが好ましい。
このような関係を満たすことにより、充填後、印刷動作を行うときには、第2開閉手段255及び第3開閉手段256が第1開閉手段257よりも開きにくくなり、ノズル部以外へ被吐出物が流れることを抑制できる。このため、印刷動作時に、圧力室121に被吐出物を供給しやすくなる。
【0052】
本実施形態における第1開閉手段は、上述したように、圧力差に応じて被吐出物の流量が変化する構成であり、圧力差が大きくなると流量が小さくなる。本実施形態における第1開閉手段は、図8に示すように、片持ち梁構造であり、一端側を固定端273aとし他端側を自由端273bとした弁体273を有し、弁体273の自由端273bと規制部材271とが接触している場合、閉じた状態になる。この状態が図8(c)である。
【0053】
規制部材271は、第1バイパス流路253に設けられており、規制部材271は、弁体273の自由端273bを所定の位置で規制する。
【0054】
弁体273の自由端273bは、第1開閉手段の上流側と下流側の圧力差が閾値よりも小さい場合、規制部材271と接触する位置よりも被吐出物が流れる方向の上流側に位置する。この状態が図8(a)、(b)である。
【0055】
弁体273としては、例えば、弾性変形可能な部材を用いることができる。
【0056】
本実施形態における第1開閉手段257では、圧力差がない、もしくは所定の圧力差よりも小さい場合、図8(a)のように開いた状態になる。また、図8(a)は、弁体273が大きく開いており、流量が大きくなる。
【0057】
圧力差が大きくなるに従い、図8(a)→(b)→(c)のように弁体273が変化し、第1開閉手段が閉じる構成となっている。逆に、圧力差が小さくなっていくと、図8(c)→(b)→(a)のように第1開閉手段が開く構成となっている。
【0058】
このような構成を別の表現にすると以下のようになる。すなわち、弁体273の固定端273aと自由端273bとを結ぶ直線を第1直線とし、第1バイパス流路253の被吐出物が流れる方向を第2直線としたとき、第1直線と第2直線との角度は、第1開閉手段257の上流側と下流側の圧力差が大きくなるに伴って変化し、圧力差が閾値よりも大きくなった場合、弁体273の自由端273bが規制部材271と接触する角度になる。
このようにすることで、第1開閉手段257において、圧力差が大きくなると流量が小さくなる構成にしやすくなる。
【0059】
ただし、この場合、弁体273は直線状の部材、例えば板状部材である必要はなく、湾曲に変形する場合であっても、第1直線は定義できる。また、図8(b)のように、第1開閉手段のところで被吐出物が流れる方向が変わった場合であっても、例えば紙面の左から右の方向のように、第2直線は定義できる。圧力差が小さい状態において、被吐出物の流れる方向の上流側に弁体273が傾いていることを表現できればよい。
【0060】
次に、本実施形態の他の例(実施例2)について図9を参照して説明する。図9は本例に係る吐出ヘッドの断面説明図であり、(a)は供給流路本流に沿う断面説明図、(b)は回収流路本流に沿う断面説明図である。
【0061】
本例の吐出ヘッド100は、供給側タンク部181と回収側タンク部182とを通じる第4バイパス流路254を有する。第4バイパス流路254には、第4バイパス流路254を開閉する第4開閉手段258を設けている。第4開閉手段258も圧力差によって開閉及び開放量が変化する弁体で構成している。
【0062】
本例において、第1開閉手段257が開く圧力差は、第4開閉手段258が開く圧力差よりも大きく設定している。なお、上記の例と同様に本例においても、第2開閉手段と第3開閉手段は、第1開閉手段よりも大きい圧力差で開放可能である。
本例では、第1開閉手段257が開く状態になるときの圧力差を第1所定値とし、第4開閉手段258が開く状態になるときの圧力差を第4所定値としたとき、
第1所定値>第4所定値
としている。
また本例においては、第4開閉手段258についても、圧力差が大きくなると被吐出物の流量が小さくなるようにしている。
【0063】
本例では、初期充填を行うとき、上記の例と同様にして、供給流路本流156と回収流路本流157との間の第1バイパス流路253が開いた後、圧力差が更に高まることで、第4開閉手段258が開状態になる。第4開閉手段258が開状態になることで、供給側タンク部181と回収側タンク部182とが第4バイパス流路254を介して通じる。
【0064】
これにより、供給側タンク部181から回収側タンク部182に液体が流れて回収側タンク部182が確実に充填される。
【0065】
したがって、まず、圧力室121内を低圧循環で充填した後、徐々に循環圧力を高めていくことで、共通流路本流と共通流路支流間、共通流路本流間、タンク部間の順にバイパス流路が開き、共通流路支流内→共通流路本流→回収側タンク部の順に充填することができる。
【0066】
ここで、供給側タンク部181と回収側タンク部182とを通じる第4バイパス流路254を常時開放流路にすると、初期充填を行うときに、当初から供給側タンク部181から回収側タンク部182に液体が流れることになる。
【0067】
そのため、供給流路本流156、供給流路支流152、回収流路本流157、回収流路支流153、圧力室121、個別供給流路122、個別回収流路123などの流路内に存在する気泡を排出するためには、大きな圧力で液体を供給する必要が生じてくる。
【0068】
これに対し、本例では、第2バイパス流路251及び第3バイパス流路252、第1バイパス流路253、第4バイパス流路254の順に開くので、圧力室121内を低圧循環で充填した後、徐々に循環差圧を高めていくことで、共通流路本流と共通流路支流間、共通流路本流間、タンク部間の順にバイパス流路が開き、共通流路支流内→共通流路本流→タンク部の順に充填することができる。
【0069】
第4バイパス流路254は、図9に示すような位置に設けられていてもよいが、第4バイパス流路254は、供給側タンク部181及び回収側タンク部182の最上部に設けられていることが好ましい。
図10は、第4バイパス流路の他の例を示す図であり、(a)は供給流路本流に沿う断面説明図、(b)は回収流路本流に沿う断面説明図である。
このように、第4バイパス流路が、タンクの最上部にあることで、タンク上部の気泡を循環によって除去することができる。
【0070】
次に、本実施形態の他の例(実施例3)について図11を参照して説明する。図11は同実施形態に係る吐出ヘッドの流路構成を説明する平面説明図である。
【0071】
本例の吐出ヘッド100においては、上記の例と同様に、供給流路本流156と回収流路本流157とを通じる第1バイパス流路253を設けている。そして、第1バイパス流路253には、第1バイパス流路253を開閉する第1開閉手段257を設けている。
【0072】
また、上記の例とは異なり、隣り合う供給流路支流152と回収流路支流153とを通じる供給側の第5バイパス流路261aと回収側の第5バイパス流路261bを設けている。
【0073】
したがって、例えば、1つの回収流路支流153を挟んで両側に配置される2つの供給流路支流152にそれぞれ通じる2つの第5バイパス流路261aが設けられる。同様に、1つの供給流路支流152を挟んで両側に配置される2つの回収流路支流153にそれぞれ通じる2つの第5バイパス流路261bが設けられる。
【0074】
第5バイパス流路261aは、供給流路本流156から供給流路支流152への入口側で、かつ、供給口54及び回収口55よりも供給流路本流156側で、供給流路支流152と回収流路支流153とを通じている。
【0075】
第5バイパス流路261bは、回収流路支流153から回収流路本流157への入口側で、かつ、供給口54及び回収口55よりも回収流路本流157側で、供給流路支流152と回収流路支流153とを通じている。
【0076】
第5バイパス流路261aには、第5バイパス流路261aを開閉する第5開閉手段262aを設けている。また、第5バイパス流路261aには、第5バイパス流路261bを開閉する第5開閉手段262bを設けている。
【0077】
第5開閉手段262a、262bは、いずれも、第1開閉手段151などと同様に、圧力差によって流路を開閉するとともに、圧力差の大きさによって開放量が変化する弁体で構成している。
【0078】
本例では、第5開閉手段262a、262bは、いずれも、第1開閉手段257よりも小さい圧力差で開放可能として、第5バイパス流路261a、261bは第1バイパス流路253よりも小さい圧力差で開くようにようしている。
【0079】
次に、このように構成した吐出ヘッド100に対する液体充填について説明する。
吐出ヘッド100に液体を初期充填するときには、前述したように、供給流路本流156、供給流路支流152、回収流路本流157、回収流路支流153、圧力室121、個別供給流路122、個別回収流路123などの流路内に存在する気泡を回収側タンク部182や回収ポート184まで排出することが必要である。
【0080】
そこで、本例において、吐出ヘッド100の流路に液体を充填するとき、まず、第5開閉手段262a、262bが閉じる圧力差になる圧力で、供給側タンク部181から供給口171を通じて供給流路本流156に液体を供給する。このとき、第1開閉手段257及び第5開閉手段262a、262bは、いずれも閉じた状態にあり、第1バイパス流路253、第5バイパス流路261a、261bは閉じている。
【0081】
これにより、供給流路本流156に供給された液体は、供給流路支流152から個別供給流路122、圧力室121、個別回収流路123を経て、回収流路支流153に至り、回収流路支流153から回収流路本流157に流れる。
【0082】
次いで、供給側タンク部181から供給口171を通じて供給流路本流156に供給する液体の圧力を上げると、供給流路支流152と回収流路支流153との圧力差が第5所定値(第5所定値<第1所定値)以上になり、第5開閉手段262a、262bが開状態になる。第5開閉手段262a、262bが開状態になることで第5バイパス流路261a、261bが開放され、供給流路支流152と回収流路支流153とが第5バイパス流路261a、261bを介して通じる。
【0083】
これにより、供給流路本流156から供給流路支流152に入った液体は、供給流路支流152から第5バイパス流路261aを経て回収流路支流153の上流側に流れ、第5バイパス流路261bを経て回収流路支流153の下流側に流れる。
【0084】
このとき、供給流路支流152内の下流側に残存する気泡は第5バイパス流路261aを通じて回収流路支流153の下流側に排出される。また、回収流路支流153内の上流側に残存する気泡は第5バイパス流路261bから流入する液体によって回収流路支流153の上流側に送られる。これによって、供給流路支流152内及び回収流路支流153内に液体が確実に充填される。
【0085】
そして、供給側タンク部181から供給口71を通じて供給流路本流156に供給する液体の圧力を上げることで、供給流路本流156と回収流路支流153との圧力差が第3所定値以上になり、第1開閉手段257が開状態になる。第1開閉手段257が開状態になることで第1バイパス流路253が開放され、供給流路本流156と回収流路本流157とが第1バイパス流路253を介して通じる。
【0086】
これにより、供給流路本流156に供給された液体は第1バイパス流路253を経て回収流路本流157に流れる。このとき、供給流路本流156内に残存する気泡は回収流路本流157に排出され、供給流路本流156内に液体が確実に充填される。
【0087】
そして、回収流路本流157に移送された気泡は回収口172を通じて回収側タンク部182に送られることで、回収流路本流157内も液体が確実に充填される。
【0088】
なお、本例においても、上記の例を適用して、供給側タンク部181と回収側タンク部182とを通じる第4バイパス流路254と、第4バイパス流路254を開閉する第4開閉手段258とを備えることができる。
【0089】
次に、本発明に係る吐出装置としての印刷装置の一例について図12及び図13を参照して説明する。図12は同印刷装置の概略説明図、図13は同印刷装置の吐出ユニットの平面説明図である。
【0090】
印刷装置1は、液体を吐出する装置であり、シート材Pを搬入する搬入部10と、前処理部20と、印刷部30と、乾燥部40と、搬出部50とを備えている。
【0091】
印刷装置1は、搬入部10から搬入(供給)されるシート材Pに対し、前処理手段である前処理部20で必要に応じて前処理液を付与(塗布)し、印刷部30で液体を付与して所要の印刷を行い、乾燥部40でシート材Pに付着した液体を乾燥させた後、シート材Pを搬出部50に排出する。
【0092】
搬入部10は、複数のシート材Pを収容する搬入トレイ11(下段搬入トレイ11A、上段搬入トレイ11B)と、搬入トレイ11からシート材Pを1枚ずつ分離して送り出す給送装置12(12A、12B)とを備え、シート材Pを前処理部20に供給する。
【0093】
前処理部20は、例えばインクを凝集させ、裏写りを防止する作用効果を有する処理液をシート材Pの印刷面に付与する処理液付与手段である塗布部21などを備えている。
【0094】
印刷部30は、シート材Pを周面に担持して回転する担持部材(回転部材)であるドラム31と、ドラム31に担持されたシート材Pに向けて液体を吐出する液体吐出部32を備えている。
【0095】
また、印刷部30は、前処理部20から送り込まれたシート材Pを受け取ってドラム31との間でシート材Pを渡す渡し胴34と、ドラム31によって搬送されたシート材Pを受け取って乾燥部40に渡す受け渡し胴35を備えている。
【0096】
前処理部20から印刷部30へ搬送されてきたシート材Pは、渡し胴34に設けられた把持手段(シートグリッパ)によって先端が把持され、渡し胴34の回転に伴って搬送される。渡し胴34により搬送されたシート材Pは、ドラム31との対向位置でドラム31へ受け渡される。
【0097】
ドラム31の表面にも把持手段(シートグリッパ)が設けられており、シート材Pの先端が把持手段(シートグリッパ)によって把持される。ドラム31の表面には、複数の吸引穴が分散して形成され、吸引手段によってドラム31の所要の吸引穴から内側へ向かう吸い込み気流を発生させる。
【0098】
そして、渡し胴34からドラム31へ受け渡されたシート材Pは、シートグリッパによって先端が把持されるとともに、吸引手段による吸い込み気流によってドラム31上に吸着担持され、ドラム31の回転に伴って搬送される。
【0099】
液体吐出部32は、吐出手段である吐出ユニット33(33A~33D)を備えている。例えば、吐出ユニット33Aはシアン(C)の液体を、吐出ユニット33Bはマゼンタ(M)の液体を、吐出ユニット33Cはイエロー(Y)の液体を、吐出ユニット33Dはブラック(K)の液体を、それぞれ吐出する。また、その他、白色、金色(銀色)などの特殊な液体の吐出を行う吐出ユニットを使用することもできる。
【0100】
吐出ユニット33は、例えば、図13に示すように、複数のノズル111を二次元マトリクス状に配列した複数の吐出ヘッド100をベース部材331に千鳥状に配置したフルライン型ヘッドである。
【0101】
液体吐出部32の各吐出ユニット33は、印刷情報に応じた駆動信号によりそれぞれ吐出動作が制御される。ドラム31に担持されたシート材Pが液体吐出部32との対向領域を通過するときに、吐出ユニット33から各色の液体が吐出され、当該印刷情報に応じた画像が印刷される。
【0102】
乾燥部40は、印刷部30でシート材P上に付着した液体を乾燥させる。これにより、液体中の水分等の液分が蒸発し、シート材P上に液体中に含まれる着色剤が定着し、また、シート材Pのカールが抑制される。
【0103】
反転機構部60は、乾燥部40を通過したシート材Pに対して両面印刷をおこなうときに、スイッチバック方式で、シート材Pを反転する機構であり、反転されたシート材Pは印刷部30の搬送経路61を通じて渡し胴34よりも上流側に逆送される。
【0104】
搬出部50は、複数のシート材Pが積載される搬出トレイ51を備えている。乾燥部40から反転機構部60を介して搬送されてくるシート材Pは、搬出トレイ51上に順次積み重ねられて保持される。
【0105】
以上の吐出ヘッド100で吐出する被吐出物は、ヘッドから吐出可能な粘度や表面張力を有するものであればよく、特に限定されないが、常温、常圧下において、または加熱、冷却により粘度が30mPa・s以下となるものであることが好ましい。より具体的には、水や有機溶媒等の溶媒、染料や顔料等の着色剤、重合性化合物、樹脂、界面活性剤等の機能性付与材料、DNA、アミノ酸やたんぱく質、カルシウム等の生体適合材料、天然色素等の可食材料、などを含む溶液、懸濁液、エマルジョンなどであり、これらは例えば、インクジェット用インク、表面処理液、電子素子や発光素子の構成要素や電子回路レジストパターンの形成用液、三次元造形用材料液等の用途で用いることができる。
【0106】
ここで、立体造形物を形成するために用いられる液体(三次元造形用材料液)として、例えば、治療の手技トレーニングに用いられる三次元立体構造体を形成するための、ハイドロゲル形成材料が挙げられる。
【0107】
ハイドロゲル形成材料は、水及び重合性モノマーを含有し、鉱物、有機溶媒を含有することが好ましく、更に必要に応じて、重合開始剤、その他の成分を含有する。重合性モノマーは、不飽和炭素-炭素結合を1つ以上有する化合物であり、紫外線や電子線等の活性エネルギー線により重合する重合性モノマーが好ましい。
【0108】
前記重合性モノマーとしては、例えば、単官能モノマー、多官能モノマーなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記多官能モノマーとしては、例えば、2官能モノマー、3官能モノマー、4官能以上のモノマーなどが挙げられる。
【0109】
鉱物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ハイドロゲルが水を主成分とすることから、粘土鉱物が好ましく、更に、水中で一次結晶のレベルで均一に分散可能な層状粘土鉱物が好ましく、水膨潤性層状粘土鉱物がより好ましい。
【0110】
有機溶媒としては、例えば、水溶性有機溶媒などが挙げられる。前記水溶性有機溶媒の水溶性とは、前記有機溶媒が水に対して30質量%以上溶解可能であることを意味する。
【0111】
前記水溶性有機溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、sec-ブチルアルコール、tert-ブチルアルコール等の炭素数1以上4以下のアルキルアルコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;アセトン、メチルエチルケトン、ジアセトンアルコール等のケトン又はケトンアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;エチレングリコール、プロピレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2,6-ヘキサントリオール、チオグリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン等の多価アルコール;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類;エチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル等の多価アルコールの低級アルコールエーテル類;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン類;N-メチル-2-ピロリドン、2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、保湿性の点から、多価アルコール、グリセリン、プロピレングリコールが好ましく、グリセリン、プロピレングリコールがより好ましい。
【0112】
重合開始剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、光重合開始剤、熱重合開始剤などが挙げられる。
前記光重合開始剤としては、光(特に波長220nm~400nmの紫外線)の照射によりラジカルを生成する任意の物質を用いることができる。
【0113】
なお、ハイドロゲル形成材料を用いて立体造形する場合には、UV照射機構を設け、吐出したハイドロゲル形成材料にUV照射することで硬化して形成する。
【0114】
(ハイドロゲル形成材料具体例)
減圧脱気を30分間実施したイオン交換水120.0質量部を撹拌させながら、層状粘土鉱物として[Mg5.34Li0.66Si20(OH)]Na 0.66の組成を有する合成ヘクトライト(ラポナイトXLG、RockWood社製)12.0質量部を少しずつ添加して撹拌した。更に、エチドロン酸(東京化成工業株式会社製)0.6質量部を加えて撹拌して分散液を作製した。
【0115】
得られた分散液に、重合性モノマーとして、活性アルミナのカラムを通過させ重合禁止剤を除去したアクリロイルモルホリン(KJケミカルズ株式会社製)44.0質量部、メチレンビスアクリルアミド(東京化成工業株式会社製)0.4質量部を添加した。
更に、グリセリン(阪本薬品工業株式会社製)20.0質量、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン(東京化成工業株式会社製)0.8質量部混合し、ハイドロゲル形成用材料を得た。
【0116】
本発明に係る吐出ヘッド100は、上述したように、細胞からなる組織体を人工的に形成するために、細胞を任意に配置するためのインクジェット法にも使用可能であり、細胞懸濁液(細胞インク)を吐出可能である。
【0117】
細胞懸濁液(細胞インク)は、少なくとも細胞及び細胞乾燥抑制剤を含有する。更に、細胞懸濁液(細胞インク)は、細胞を分散させる分散培を含有し、必要に応じて、分散剤、pH調整剤などのその他の添加材料を含有してもよい。
【0118】
細胞は、その種類等については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、分類学的に、例えば、真核細胞、原核細胞、多細胞生物細胞、単細胞生物細胞を問わず、すべての細胞について使用することができる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0119】
真核細胞としては、例えば、動物細胞、昆虫細胞、植物細胞、真菌などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、動物細胞が好ましく、細胞が細胞集合体を形成する場合は、細胞と細胞とが互いに接着し、物理化学的な処理を行わなければ単離しない程度の細胞接着性を有する接着性細胞がより好ましい。
【0120】
細胞乾燥抑制剤としては、細胞の表面を覆い、細胞の乾燥を抑制する働きを有するものであり、例えば、多価アルコール類、ゲル状多糖類、及び細胞外基質から選ばれる蛋白質などが挙げられる。
【0121】
分散培としては、細胞培養用の培地や緩衝液が好ましい。
培地は、細胞組織体の形成と維持に必要な成分を含み、乾燥を防ぎ浸透圧などの外部環境を整える溶液であり、培地として知られているものであれば適宜選択して使用することができる。細胞を常時培地液内に浸しておく必要がない場合には、細胞懸濁液から培地は適宜除去することができる。
緩衝液は、細胞や目的に合わせpHを調整するためのものであり、公知のものを適宜選択して使用することができる。
【0122】
(細胞懸濁液(細胞インク)具体例)
緑色蛍光染料(商品名:Cell Tracker Green、Life Technologies社製)を10mmol/L(mM)の濃度でジメチルスルホキシド(以下、「DMSO」と称す)へ溶解させ、無血清ダルベッコ変法イーグル培地(Life Technologies社製)と混合し、濃度10μmol/L(μM)の緑色蛍光染料含有無血清培地を調製した。
【0123】
次に、培養したNIH/3T3細胞(Clone 5611、JCRB Cell Bank)のディッシュに緑色蛍光染料含有無血清培地を5mL添加し、インキュベーター(KM-CC17RU2、パナソニック株式会社製、37℃、5体積%CO2環境))内で30分間培養した。
【0124】
その後、アスピレータを用いて、上澄みを除去した。ディッシュにリン酸緩衝生理食塩水(Life Technologies社製、以下、PBS(-)とも称する)を5mL加え、アスピレータでPBS(-)を吸引除去し、表面を洗浄した。PBS(-)による洗浄作業を2回繰り返した後、0.05質量%トリプシン-0.05質量%EDTA溶液(life technologies社製)をディッシュ1枚あたり2mL加えた。
【0125】
次に、インキュベーター内にて5分間加温し、ディッシュから細胞を剥離した後、10質量%ウシ胎児血清(以下、「FBS」とも称す)及び1質量%抗生物質(Antibiotic-Antimycotic Mixed Stock Solution(100x)、ナカライテスク株式会社製)を含むD-MEMを4mL加えた。
【0126】
次に、トリプシンを失活させた細胞懸濁液を50mL遠沈管1本に移し、遠心分離(商品名:H-19FM、KOKUSAN社製、1,200rpm、5分間、5℃)を行い、アスピレータを用いて上清を除去した。除去後、遠沈管に10質量%FBS及び1質量%抗生物質を含むD-MEMを2mL添加し、穏やかにピペッティングを行い、細胞を分散させ細胞懸濁液を得た。
【0127】
該細胞懸濁液から10μLをエッペンドルフチューブに取り出し、培地を70μL添加後、10μLを別のエッペンドルフチューブに取り出し、0.4質量%トリパンブルー染色液10μLを加えてピペッティングを行った。染色した細胞懸濁液から10μL取り出してPMMA製プラスチックスライドに載せた。商品名:Countess Automated Cell Counter(インビトロジェン社製)を用いて細胞数を計測して細胞数を求めることで、細胞数を計測した細胞懸濁液を得た。
【0128】
分散培としてPBS(-)を用いた。PBS(-)へ、細胞乾燥抑制剤としてグリセリン(分子生物学用グレード、和光純薬工業株式会社製)を質量比0.5質量%となるように溶解させ、NIH/3T3細胞懸濁液を6×106cell/mLとなるように分散培へ分散させて、細胞インクを得た。
【0129】
本発明の態様は、例えば、以下のとおりである。
<1>被吐出物を吐出する複数のノズルと、
前記複数のノズルに各々連通する複数の圧力室と、
2以上の前記圧力室に通じる複数の供給流路支流と、
2以上の前記圧力室に通じる複数の回収流路支流と、
前記複数の供給流路支流に通じる供給流路本流と、
前記複数の回収流路支流に通じる回収流路本流と、
前記供給流路本流と前記回収流路本流とを通じる第1バイパス流路と、
前記第1バイパス流路を開閉する第1開閉手段と、を備え、
前記供給流路支流は、前記被吐出物を前記2以上の圧力室に供給する流路であり、
前記回収流路支流は、前記2以上の圧力室から前記被吐出物を回収する流路であり、
前記供給流路本流は、前記被吐出物を前記複数の供給流路支流に供給する流路であり、
前記回収流路本流は、前記複数の回収流路支流から前記被吐出物を回収する流路であり、
前記第1バイパス流路を流れる前記被吐出物の流量は、前記第1開閉手段の上流側と下流側の圧力差が大きくなるに伴って小さくなることを特徴とする吐出ヘッド。
<2>前記供給流路支流と前記回収流路本流とを通じる第2バイパス流路と、
前記回収流路支流と前記供給流路本流とを通じる第3バイパス流路と、
前記第2バイパス流路を開閉する第2開閉手段と、
前記第3バイパス流路を開閉する第3開閉手段と、を備え、
前記第2開閉手段は、当該第2開閉手段の上流側と下流側の圧力差によって開閉し、
前記第3開閉手段は、当該第3開閉手段の上流側と下流側の圧力差によって開閉し、
前記第2開閉手段と前記第3開閉手段は、前記第1開閉手段よりも大きい圧力差で開く状態になることを特徴とする<1>に記載の吐出ヘッド。
<3>前記第2バイパス流路と前記供給流路支流との接続部は、前記供給流路支流の端部に設けられていることを特徴とする<2>に記載の吐出ヘッド。
<4>前記第3バイパス流路と前記回収流路支流との接続部は、前記回収流路支流の端部に設けられていることを特徴とする<2>又は<3>に記載の吐出ヘッド。
<5>前記供給流路本流に通じる供給側タンクと、
前記回収流路本流に通じる回収側タンクと、
前記供給側タンクと前記回収側タンクとを通じる第4バイパス流路と、
前記第4バイパス流路を開閉する第4開閉手段と、を備え、
前記第4開閉手段は、当該第4開閉手段の上流側と下流側の圧力差によって開閉し、
前記第1開閉手段は、前記第4開閉手段よりも大きい圧力差で開く状態になることを特徴とする<1>から<4>のいずれかに記載の吐出ヘッド。
<6>前記第4バイパス流路は、前記供給側タンク及び前記回収側タンクの最上部に設けられていることを特徴とする<5>に記載の吐出ヘッド。
<7>前記第1開閉手段は、片持ち梁構造であり、一端側を固定端とし他端側を自由端とした弁体を有し、前記第1バイパス流路に設けられた前記弁体の自由端を所定の位置で規制する規制部材と前記弁体の自由端とが接触している場合、閉じた状態になり、
前記弁体の自由端は、前記第1開閉手段の上流側と下流側の圧力差が閾値よりも小さい場合、前記規制部材と接触する位置よりも前記被吐出物が流れる方向の上流側に位置することを特徴とする<1>から<6>のいずれかに記載の吐出ヘッド。
<8>前記弁体の固定端と自由端とを結ぶ直線を第1直線とし、前記第1バイパス流路の前記被吐出物が流れる方向を第2直線としたとき、
前記第1直線と前記第2直線との角度は、前記第1開閉手段の上流側と下流側の圧力差が大きくなるに伴って変化し、圧力差が閾値よりも大きくなった場合、前記弁体の自由端が前記規制部材と接触する角度になることを特徴とする<7>に記載の吐出ヘッド。
<9><1>から<8>のいずれかに記載の吐出ヘッドを備えていることを特徴とする吐出装置。
【符号の説明】
【0130】
1 印刷装置
10 搬入部
20 前処理部
30 印刷部
40 乾燥部
50 搬出部
21 塗布部
33 吐出ユニット
100 吐出ヘッド
110 ノズル板
111 ノズル
120 個別流路部材
121 圧力室
122 個別供給流路
123 個別回収流路
130 振動板部材
140 圧電素子
150 共通流路部材
152 供給流路支流
153 回収流路支流
154 供給口
155 回収口
156 供給流路本流
157 回収流路本流
251 第2バイパス流路
252 第3バイパス流路
253 第1バイパス流路
254 第4バイパス流路
255 第2開閉手段
256 第3開閉手段
257 第1開閉手段
258 第4開閉手段
260 流量制御弁
261a、261b 第5バイパス流路
262a、262b 第5開閉手段
271 規制部材
273 弁体
【先行技術文献】
【特許文献】
【0131】
【特許文献1】特開2017-159561号公報
【特許文献2】特開2019-209595号公報
図1
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