(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024070550
(43)【公開日】2024-05-23
(54)【発明の名称】画像形成装置、画像の位置ずれ補正方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G03G 15/01 20060101AFI20240516BHJP
B41J 29/393 20060101ALI20240516BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20240516BHJP
【FI】
G03G15/01 Y
B41J29/393 101
B41J29/38 301
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022181111
(22)【出願日】2022-11-11
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(72)【発明者】
【氏名】前田 雄久
【テーマコード(参考)】
2C061
2H300
【Fターム(参考)】
2C061AP07
2C061AQ06
2C061AR01
2C061AS02
2C061HJ06
2C061HK10
2C061HK11
2C061HK15
2C061HV18
2C061KK13
2C061KK26
2C061KK28
2H300EB04
2H300EB07
2H300EB12
2H300EC02
2H300EC05
2H300EF03
2H300EF06
2H300EG05
2H300EH16
2H300EH36
2H300EJ09
2H300EJ10
2H300EK03
2H300GG22
2H300GG23
2H300GG27
2H300QQ10
2H300RR20
2H300RR38
2H300TT03
2H300TT04
(57)【要約】 (修正有)
【課題】所定の基準色を用いない印刷モードに切り替えられた場合、補正前の画像に対しても位置ずれせずに画像形成を行うことを目的とする。
【解決手段】画像形成装置は、複数の像担持体と、各像担持体に潜像画像を書き込む複数の光書込み手段と、潜像画像をそれぞれ現像する複数の現像手段と、現像された画像が転写される転写体と、転写体における画像を検出する検出手段と、その検出結果に基づき画像の位置ずれ補正を行う補正手段とを有し、補正手段は、複数の像担持体のうちの第1の像担持体と第2の像担持体とを含む複数の像担持体上で現像された画像に基づいて、第1の像担持体上で現像された画像に対する位置ずれ補正を行う第1補正処理と、複数の像担持体のうち、第1の像担持体を含まず、第2の像担持体を含む複数の像担持体上で現像された画像に基づいて、第2の像担持体上で現像された画像に対する位置ずれ補正を行う第2補正処理と、を順に実行する。
【選択図】
図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の像担持体と、
前記複数の像担持体のそれぞれに光ビームを照射することで、各像担持体に潜像画像を書き込む複数の光書込み手段と、
前記複数の像担持体に書き込まれた前記潜像画像をそれぞれ現像する複数の現像手段と、
前記複数の現像手段によって現像された画像が転写される転写体と、
前記転写体における前記画像を検出する検出手段と、
前記検出手段の検出結果に基づき、前記画像の位置ずれ補正を行う補正手段と、
を有し、
前記補正手段は、
前記複数の像担持体のうちの第1の像担持体と、前記第1の像担持体とは異なる第2の像担持体とを含む複数の像担持体上で現像された画像に基づいて、前記第1の像担持体上で現像された画像に対する位置ずれ補正を行う第1補正処理と、
前記複数の像担持体のうち、前記第1の像担持体を含まず、前記第2の像担持体を含む複数の像担持体上で現像された画像に基づいて、前記第2の像担持体上で現像された画像に対する位置ずれ補正を行う第2補正処理と、
を順に実行する
画像形成装置。
【請求項2】
前記第2補正処理を実行した後に、前記複数の像担持体のうちの前記第1の像担持体で現像された画像を含まない前記画像の画像形成処理を実行する
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記転写体は、
前記複数の像担持体で現像された前記画像が1次転写される中間転写ベルトを有し、
前記補正手段が前記第2補正処理を実行する場合、前記第1の像担持体は、前記中間転写ベルトから離隔し、前記複数の像担持体のうちの前記第1の像担持体で現像された画像を含まない前記画像が、前記中間転写ベルトに転写される
請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記転写体における前記画像において、前記第1補正処理の実行によって形成される、前記第1の像担持体上で現像された前記画像の位置と、前記第2補正処理の実行によって形成される、前記第2の像担持体上で現像された前記画像の位置とが、対応する
請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記複数の像担持体のうち、前記中間転写ベルトの走行方向の最上流側に位置する像担持体と、最下流側に位置する像担持体とが入れ替え可能に構成される
請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項6】
複数の像担持体と、前記複数の像担持体のそれぞれに光ビームを照射することで、各像担持体に潜像画像を書き込む複数の光書込み手段と、前記複数の像担持体に書き込まれた前記潜像画像をそれぞれ現像する複数の現像手段と、前記複数の現像手段によって現像された画像が転写される転写体と、を有する画像形成装置による画像の位置ずれ補正方法であって、
前記転写体における前記画像を検出する検出工程と、
前記検出工程での検出結果に基づき、前記画像の位置ずれ補正を行う補正工程と、
を有し、
前記補正工程において、前記画像形成装置が、
前記複数の像担持体のうちの第1の像担持体と、前記第1の像担持体とは異なる第2の像担持体とを含む複数の像担持体上で現像された画像に基づいて、前記第1の像担持体上で現像された画像に対する位置ずれを補正する第1補正工程と、
前記複数の像担持体のうち、前記第1の像担持体を含まず、前記第2の像担持体を含む複数の像担持体上で現像された画像に基づいて、前記第2の像担持体上で現像された画像に対する位置ずれを補正する第2補正工程と、
を順に実行する
画像の位置ずれ補正方法。
【請求項7】
複数の像担持体と、前記複数の像担持体のそれぞれに光ビームを照射することで、各像担持体に潜像画像を書き込む複数の光書込み手段と、前記複数の像担持体に書き込まれた前記潜像画像をそれぞれ現像する複数の現像手段と、前記複数の現像手段によって現像された画像が転写される転写体と、を有する画像形成装置を、
前記転写体における前記画像を検出する検出手段、
前記検出手段の検出結果に基づき、前記画像の位置ずれ補正を行う補正手段、
として機能させ、
前記補正手段は、
前記複数の像担持体のうちの第1の像担持体と、前記第1の像担持体とは異なる第2の像担持体とを含む複数の像担持体上で現像された画像に基づいて、前記第1の像担持体上で現像された画像に対する位置ずれ補正を行う第1補正処理と、
前記複数の像担持体のうち、前記第1の像担持体を含まず、前記第2の像担持体を含む複数の像担持体上で現像された画像に基づいて、前記第2の像担持体上で現像された画像に対する位置ずれ補正を行う第2補正処理と、
を順に実行する
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像形成装置、画像の位置ずれ補正方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成前に、各色の所定のパターン像を形成し、形成されたパターン像を検出手段で検出することによって、所定の基準色に対する他の色の色ずれの補正を行う技術が用いられている。
【0003】
また、画像形成装置が、所定の基準色を用いない印刷モードに切り替えられた場合に、画像形成に用いる複数の色毎に形成されたパターン像間の位置のずれに基づき色ずれの補正を行う技術が、下記特許文献1に開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示の技術では、補正前に形成した画像に対して位置のずれが生じる可能性がある。
【0005】
開示の技術は、所定の基準色を用いない印刷モードに切り替えられた場合、補正前の画像に対しても位置ずれせずに画像形成を行うことが可能な画像形成装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
開示の技術の一態様に係る画像形成装置は、複数の像担持体と、前記複数の像担持体のそれぞれに光ビームを照射することで、各像担持体に潜像画像を書き込む複数の光書込み手段と、前記複数の像担持体に書き込まれた前記潜像画像をそれぞれ現像する複数の現像手段と、前記複数の現像手段によって現像された画像が転写される転写体と、前記転写体における前記画像を検出する検出手段と、前記検出手段の検出結果に基づき、前記画像の位置ずれ補正を行う補正手段と、を有し、前記補正手段は、前記複数の像担持体のうちの第1の像担持体と、前記第1の像担持体とは異なる第2の像担持体とを含む複数の像担持体上で現像された画像に基づいて、前記第1の像担持体上で現像された画像に対する位置ずれ補正を行う第1補正処理と、前記複数の像担持体のうち、前記第1の像担持体を含まず、前記第2の像担持体を含む複数の像担持体上で現像された画像に基づいて、前記第2の像担持体上で現像された画像に対する位置ずれ補正を行う第2補正処理と、を順に実行する。
【発明の効果】
【0007】
開示の技術によれば、所定の基準色を用いない印刷モードに切り替えられた場合、補正前の画像に対しても位置ずれせずに画像形成を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態に係る画像形成装置の構成例を示す模式図である。
【
図2】実施形態に係る作像部の構成例を示す図である。
【
図3】中間転写ベルトの走行方向における配置を変更した作像部の図である。
【
図4】画像形成に使用しない作像部を離隔させた場合を示す図である。
【
図5】実施形態に係る走査光学系の構成例を示す図である。
【
図6】実施形態に係る光ビーム走査部のハードウェア構成例のブロック図である。
【
図7】実施形態に係るVCOクロック発生部の構成例を示すブロック図である。
【
図8】実施形態に係る書出開始位置制御部の構成例を示すブロック部である。
【
図9】実施形態に係る主走査方向書出開始制御のタイミングチャートである。
【
図10】実施形態に係る副走査方向書出開始制御のタイミングチャートである。
【
図11】実施形態に係るラインメモリの構成例を示す図である。
【
図12】実施形態に係る画像形成動作例のフローチャートである。
【
図13】第1実施形態に係るプリンタ制御部の機能構成例を示す図である。
【
図14】第1実施形態の第1補正処理における補正用トナー像例の図である。
【
図15】第1実施形態の第1補正処理における補正用トナー像例の図である。
【
図16】第1実施形態の第1補正処理における補正用トナー像例の図である。
【
図17】第1実施形態の第2補正処理における補正用トナー像例の図である。
【
図18】第1実施形態における位置ずれ補正動作例のフローチャートである。
【
図19】第2実施形態に係るプリンタ制御部の機能構成例を示す図である。
【
図20】第2実施形態の第1補正処理における補正用トナー像例の図である。
【
図21】第2実施形態の第2補正処理における補正用トナー像例の図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0010】
実施形態は、転写体における画像の検出結果に基づき、複数の像担持体に書き込まれる画像の位置ずれ補正を行う補正手段を有する。
【0011】
実施形態の補正手段は、以下の第1補正処理と第2補正処理を順に実行する。
(第1補正処理) 複数の像担持体のうちの第1の像担持体と、前記第1の像担持体とは異なる第2の像担持体とを含む複数の像担持体上で現像された画像に基づいて、前記第1の像担持体上で現像された画像に対する位置ずれ補正を行う。
(第2補正処理) 複数の像担持体のうち、第1の像担持体を含まず、第2の像担持体を含む複数の像担持体上で現像された画像に基づいて、前記第2の像担持体上で現像された画像に対する位置ずれ補正を行う。
ただし、実施形態の補正手段は、第1補正処理及び第2補正処理以外の位置ずれ補正の処理を実行してもよい。
【0012】
これにより、所定の基準色を用いない印刷モードに切り替えられた場合、補正前の画像に対しても位置ずれせずに画像形成を行うことができる。
【0013】
<実施形態における用語について>
(印刷モード)
「印刷モード」とは、所定の基準色を用いて画像形成するか否かを示す情報をいう。実施形態では、基準色を用いて画像形成する印刷モードを第1印刷モードとし、基準色を用いずに画像形成する印刷モードを第2印刷モードとする。
【0014】
(色ずれ)
「色ずれ」とは、複数の色で形成される画像における、各色の画像の主走査方向の位置ずれと、主走査方向の倍率誤差と、副走査方向の位置ずれを総称したものをいう。また、「色ずれの補正」とは、例えば、記録媒体に記録されたカラー画像の色ずれがなくなるよう、画像形成装置の各像担持体(例えば、感光体ドラム)上で現像される各色の画像(各色の補正用トナー像)の位置を補正することをいう。なお、本明細書において、「色ずれ」の同義の用語として、カラー画像を構成する各色の画像の「位置ずれ」なる用語を使用する場合がある。また、「色ずれの補正」の同義の用語として、各色の画像の「位置ずれ補正」なる用語を使用する場合がある。
【0015】
(主走査方向)
「主走査方向」とは、感光体ドラム上で光ビーム走査部により光ビームが走査される方向をいう。感光体ドラムの回転軸に沿った方向に該当する。
【0016】
(副走査方向)
「副走査方向」とは、主走査方向と直交する方向をいう。中間転写ベルトや2次転写ベルトの走行方向は、副走査方向に該当する。
【0017】
(主走査方向の倍率誤差)
「主走査方向の倍率」とは、走査レンズにより感光体ドラム上に結像される像の主走査方向における結像倍率をいう。また、主走査方向の倍率誤差とは、走査レンズの屈折率や表面形状等の特性の変動により生じる主走査方向の倍率の誤差をいう。
【0018】
(補正用トナー像)
位置ずれ補正のために用いるトナー像であり、パターン像の一例である。実施形態における補正用トナー像は、中間転写ベルトや2次転写ベルト上に形成されたトナー像である。
【0019】
なお、実施形態における画像形成と印刷とは、同義の用語であるとする。
【0020】
以下では、タンデム方式といわれる2次転写機構を備える電子写真方式の画像形成装置を一例として、実施形態を説明する。また、画像形成装置は、コピー機能、プリント機能、ファクシミリ機能等を一つの筐体に搭載したMFP(Multifunction Peripheral Printer Product)である。
【0021】
<画像形成装置100の全体構成例>
図1は、画像形成装置100の全体構成の一例を説明する図である。画像形成装置100は、中央に中間転写ユニットを備え、中間転写ユニットは、無端ベルトである中間転写ベルト10を備える。中間転写ベルト10は、第1支持ローラ14、第2支持ローラ15及び第3支持ローラ16に掛け廻され、時計廻りに回動駆動される。
【0022】
また、画像形成装置100は、第2支持ローラ15の右方に、記録媒体Pへのトナー像の転写後に、中間転写ベルト10上に残留する残留トナーを除去する中間転写体クリーニングユニット17を備える。
【0023】
第1支持ローラ14と第2支持ローラ15との間に配置された中間転写ベルト10に対向して、イエロー(Y)の作像部、マゼンタ(M)の作像部、シアン(C)の作像部、及びブラック(K)の作像部から構成される作像部20が設けられ、各色の作像部が中間転写ベルト10の走行方向に沿って並置されている。
【0024】
なお、各色の作像部は、使用するトナーの色が異なる点以外は同様の構成となっている。そのため、説明及び図面では、使用するトナーの色を示す「Y」、「M」、「C」、「K」という添字は適宜省略して説明する。また、画像形成装置100は、中間転写ベルト10の走行方向におけるイエロー(Y)の作像部の上流側にホワイト(W)の作像部も備えているが、
図1ではこの図示を省略し、
図2で図示する。
【0025】
作像部20は、各色の感光体ドラム40と、帯電ユニット18と、現像ユニットと、クリーニングユニットとを備え、画像形成装置100に対して脱着可能に装着されている。なお、感光体ドラム40は、「像担持体」の一例である。
【0026】
また、画像形成装置100は、作像部20の上方に、光ビーム走査部21を備える。光ビーム走査部21は、各色の感光体ドラム40に、画像形成のための光ビーム(レーザ光)を照射することで、各色の感光体ドラム40に画像データに応じた静電潜像画像(潜像画像)を形成することができる。なお、光ビーム走査部21は、「光書込み手段」の一例である。
【0027】
各色の感光体ドラム40の潜像画像は現像ユニットにより現像され、現像された各色のトナー像は、中間転写ベルト10上に重ね合わせされて1次転写される。これにより、中間転写ベルト10上にカラーのトナー像が形成される。トナー像は、中間転写ベルト10に担持され、中間転写ベルト10の走行方向に沿って移動(搬送)される。なお、作像部20の構成は、別途、
図2を参照して詳述する。
【0028】
画像形成装置100は、中間転写ベルト10の下方に2次転写ユニット22を備える。2次転写ユニット22は、複数のローラ23間に、無端ベルトである2次転写ベルト24を架け渡し、中間転写ベルト10を押し上げて第3支持ローラ16に押し当てるようにして配置されている。2次転写ベルト24は、中間転写ベルト10上に形成されたトナー像を、記録媒体P上に2次転写させることができる。なお、中間転写ベルト10及び2次転写ベルト24は、「転写体」の一例である。
【0029】
また、画像形成装置100は、2次転写ユニット22の側方に、定着ユニット25を備える。定着ユニット25は、トナー像が2次転写された状態で搬送されてきた記録媒体P上のトナー像を記録媒体Pに定着させる。定着ユニット25は、定着ローラ26と、加圧ローラ27とを備え、定着ローラ26及び加圧ローラ27による熱と圧力とにより、記録媒体Pの表面に転写されたトナー像を記録媒体Pに定着させることができる。
【0030】
さらに画像形成装置100は、2次転写ユニット22、及び定着ユニット25の下方に、表面に画像形成された直後の記録媒体Pの裏面にも画像形成するために、記録媒体Pの表裏を反転させて送り出すシート反転ユニット28を備える。
【0031】
次に、画像形成装置100において、記録媒体P上に画像が形成される一連の流れを説明する。
【0032】
画像形成装置100は、操作部(図示を省略)における「コピー」のスタートボタンが押されると、原稿自動搬送部であるADF(Auto Document Feeder)400の原稿給紙台30上に原稿が載置されている場合には、ADF400に、原稿をコンタクトガラス320上に向けて搬送させる。一方、原稿給紙台30上に原稿が載置されていない場合には、コンタクトガラス320上に手置きされた原稿を読むために、第1キャリッジ33、及び第2キャリッジ34を備える画像読み取りユニット300を駆動させる。
【0033】
画像読み取りユニット300において、第1キャリッジ33に含まれる光源は、コンタクトガラス320に光を照射する。原稿面からの反射光は、第1キャリッジ33に含まれる第1ミラーにより第2キャリッジ34に向けて反射され、第2キャリッジ34に含まれるミラーで反射される。そして、原稿面からの反射光は、結像レンズ35により読取りセンサであるCCD(Charge Coupled Device)36の撮像面上で結像させられる。CCD36は原稿面の像を撮像し、CCD36により撮像された画像信号に基づいてY、M、C、Kの各色の画像データが生成される。
【0034】
また、画像形成装置100は、「プリント」のスタートボタンが押された時や、PC(Personal Computer)等の外部装置から画像形成の指示があった時、FAX(Facsimile)の出力指示があった時には、中間転写ベルト10の回動駆動を開始させるとともに、作像部20の各ユニットの作像準備を行う。
【0035】
その後、画像形成装置100は、各色の作像プロセスを開始する。各色用の感光体ドラム40に各色の画像データに基づいて変調されたレーザが照射され、潜像画像が形成される。そして、潜像画像が現像された各色のトナー像が、中間転写ベルト10上に、一枚の画像として重ね合わされて形成される。
【0036】
その後、中間転写ベルト10上のトナー画像の先端が2次転写ユニット22に進入するタイミングで、記録媒体Pの先端が2次転写ユニット22に進入するように、タイミングをはかって記録媒体Pが2次転写ユニット22に送り込まれる。そして、2次転写ユニット22により、中間転写ベルト10上のトナー像が記録媒体Pに2次転写される。トナー像が2次転写された用紙は、定着ユニット25に送り込まれ、トナー像が記録媒体Pに定着される。
【0037】
ここで、2次転写位置までの記録媒体Pの給紙について説明する。記録媒体Pは、給紙テーブル200の給紙ローラ42のうちの1つが回転駆動することで、給紙ユニット43に多段に備えられた給紙トレイ44のうちの1つから繰り出される。その後、分離ローラ45で1枚だけ分離され、搬送コロユニット46に進入し、搬送ローラ47により搬送される。その後、画像形成装置100内の搬送コロユニット48に導かれ、搬送コロユニット48のレジストローラ49に突き当てられて一時停止された後、上述したように、2次転写のタイミングに合わせて2次転写ユニット22に向けて送り出される。
【0038】
また、ユーザが手差しトレイ51に記録媒体Pを差し込んで給紙することもできる。ユーザが手差しトレイ51に記録媒体Pを差し込んだ場合には、画像形成装置100は、給紙ローラ50を回転駆動して手差しトレイ51上の記録媒体Pの一枚を分離して手差し給紙路53に引き込む。そして、上述したものと同様に、レジストローラ49に突き当てて一旦停止させてから、上述した2次転写のタイミングに合わせて2次転写ユニット22に送り出す。
【0039】
定着ユニット25で定着されて排出された記録媒体Pは、切換爪55で排出ローラ56に案内され、排出ローラ56により排出されて、排紙トレイ57上にスタックされる。或いは、切換爪55でシート反転ユニット28に案内され、シート反転ユニット28により反転されて再び2次転写位置に導かれる。その後、記録媒体Pの裏面にも画像が形成された後、排出ローラ56により排紙トレイ57上に排出される。
【0040】
一方、画像転写後の中間転写ベルト10上に残留する残留トナーは、中間転写体クリーニングユニット17で除去され、再度の画像形成に備えられる。
【0041】
画像形成装置100は、このようにして、記録媒体Pにカラー画像を形成することができる。
【0042】
<作像部20の構成例>
次に、画像形成装置100における作像部20の構成について、
図2を参照して説明する。
図2は、画像形成装置100の作像部20の構成の一例を説明する図である。画像形成装置100は、5色(ホワイト、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)の画像を重ね合わせたカラー画像を形成するために5組の作像部20と5組の光ビーム走査部21とを備える。5組の作像部20と5組の光ビーム走査部21は、中間転写ベルト10の走行方向5の上流から下流に沿って、ホワイト(W)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の順に並置されている。
【0043】
光ビーム走査部21は、画像データに応じて駆動変調され、選択的に光ビームを射出する。射出された光ビームは、ポリゴンモータを駆動源にして回転するポリゴンミラーによって偏向され、感光体ドラム40上を走査する。この光ビーム走査部21については、別途、
図5及び
図6を参照して詳述する。
【0044】
各色の作像部20は、感光体ドラム40の周りに、帯電ユニット18と、現像ユニット29と、転写ユニット62と、クリーニングユニット63と、除電器19とを備える。
【0045】
画像形成装置100は、電子写真方式の作像プロセスである帯電、露光、現像、転写により中間転写ベルト10上に1色目(W色)のトナー像を形成し、次に2色目(Y色)、3色目(M色)、4色目(C色)、5色目(K色)の順にトナー像を形成することで、5色の画像が重ね合わさったカラーのトナー像を形成する。
【0046】
さらに、2次転写ユニット22によって、中間転写ベルト10上に形成されたトナー像を、搬送されてくる記録媒体Pに転写する。これにより5色のトナー像が重ね合わさったカラーのトナー像を記録媒体P上に形成できる。その後、図示を省略する定着ユニット25により記録媒体P上のトナー像が記録媒体Pに定着される。
【0047】
また、画像形成装置100は、2次転写ベルト24を介してローラ23と対向する位置に、2次転写ベルト24上に形成された補正用トナー像を検出する第1センサ31、第2センサ32、及び第3センサ33を備える。
【0048】
この第1センサ31、第2センサ32、及び第3センサ33は、それぞれ反射型の光学センサであり、2次転写ベルト24の走行方向6と直交する方向(紙面と垂直な方向)の3箇所に設置されている。第1センサ31、第2センサ32、及び第3センサ33は照射した光の反射光の光強度に応じた電圧信号を出力する。なお、以下、第1センサ31、第2センサ32、及び第3センサ33を総称して、「第1センサ31から第3センサ33」と言う場合がある。
【0049】
2次転写ベルト24の表面で補正用トナー像が形成されていない領域での反射光の光強度と、補正用トナー像が形成されている領域での反射光の光強度は異なる。そのため、画像形成装置100は、第1センサ31から第3センサ33の出力する反射光の光強度に応じた電圧信号に基づき補正用トナー像を検出できる。
【0050】
画像形成装置100は、第1センサ31から第3センサ33の各々から電圧信号を入力し、2次転写ベルト24上に形成された各色の補正用トナー像の主走査方向及び副走査方向の位置ずれ、主走査方向の倍率誤差を検出する。そして、検出結果に基づき、中間転写ベルト10上のトナー像が転写されて画像形成される記録媒体P上で、所定の基準色の画像(例えば、WやK)に対する各色の画像間の主走査方向、副走査方向の位置ずれ及び主走査方向の倍率誤差を補正できる。
【0051】
画像形成装置100は、各色の作像部20の配置変更が可能な構成となっており、中間転写ベルト10の走行方向5において、作像する色の順番を変えることができる。
図3はブラック(K)とホワイト(W)を入れ替えた場合の作像部20の構成の一例を示している。この場合、中間転写ベルト10上に形成されるトナー像はホワイト(W)のトナー像が最上層に形成されるため、記録媒体Pにトナー像を2次転写するとホワイトのトナー像が最下層となって、下地画像となる。
【0052】
また、
図4に示すようにブラック(K)とホワイト(W)の配置を入れ替えた状態で、4色(Y、M、C、K)のカラー画像形成を行う場合に、ホワイト(W)の作像位置において、転写ユニット62及び中間転写ベルト10を作像部20に対して離隔可能にしている。この離隔により、ホワイト(W)を用いずに画像形成が行われる。
【0053】
なお、画像形成で用いない色の作像部20を離隔しなくても4色での画像形成は可能であるが、画像形成で使用しない色の作像部20を離隔せずに動作させると、この色のトナーが劣化したり、トナーを無駄に消費したりする場合がある。そのため、画像形成で使用しない色については、作像部20を離隔させて動作させない方が好ましい。なお、作像部20を離隔させるための手段は、特に限定されないが、離隔対象の作像部20及び中間転写ベルト10のうちの一方を、他方に対して相対移動させるアクチュエータ等であってもよい。また、アクチュエータの動作は、プリンタ制御部によって制御されてもよい。
【0054】
<走査光学系210の構成例>
次に、画像形成装置100の光ビーム走査部21に含まれる走査光学系210の構成について、
図5を参照して説明する。
図5は、走査光学系210の構成の一例を説明する図である。
図2における光ビーム走査部21を上方(正のZ方向)から見た場合の走査光学系210を示している。
図5は、5色のうちの1色分の走査光学系210のみを示しているが、他の4色の走査光学系210も同様の構成であるため、ここでは重複する説明を省略する。
【0055】
LD211から射出された光ビームは、シリンダレンズ212によりビーム整形された後にポリゴンミラー213に到達する。到達した光ビームはポリゴンミラー213の回転に応じて偏向され、fθレンズ214を通った後、折り返しミラー215により折り返されて感光体ドラム40に照射される。ポリゴンミラー213の回転に応じて偏向角度が変化することで、感光体ドラム40上で光ビームが主走査方向(X方向)に走査される。
【0056】
主走査方向における書出し開始側(負のX方向側)には、同期ミラー216と、同期レンズ217と、同期センサ218とが設けられている。なお、「書出し」は、「露光」と同義である。fθレンズ214を通過した光ビームのうちの書出し開始側の光ビームは、同期ミラー216で反射され、同期レンズ217で同期センサ218の受光面に向けて集光される。同期センサ218は、フォトダイオード等で構成され、受光した光ビームの強度に応じた電気信号を出力する。
【0057】
この場合、光ビームはポリゴンミラー213の回転に応じた所定の周期で同期センサ218の受光面に到達するため、同期センサ218が出力する電気信号を書出し開始の同期をとるための同期検知信号として利用できる。光ビーム走査部21は、同期センサ218による同期検知信号に基づき、主走査方向における書出し開始タイミングを決定できる。
【0058】
<光ビーム走査部21のハードウェア構成>
次に、
図6は、光ビーム走査部21のハードウェア構成の一例を説明するブロック図である。なお、
図6は、5色のうちの1色分の光ビーム走査部21のみを示しているが、他の4色の光ビーム走査部21も同様の構成であるため、ここでは重複する説明を省略する。
【0059】
図6に示すように、光ビーム走査部21は、ポリゴンモータ制御部221と、書出開始位置制御部222と、LD制御部223と、同期検知用点灯制御部224と、画素クロック生成部225とを備えている。
【0060】
これらは、ASIC(application specific integrated circuit)、又はFPGA(Field-Programmable Gate Array)等の電子回路で構成される。但し、これに限定されるものではなく、CPU(Central Processing Unit)等で構成してもよい。
【0061】
また、光ビーム走査部21はプリンタ制御部1とデータや信号を送受可能に電気的に接続され、プリンタ制御部1の制御下で動作する。プリンタ制御部1は、CPU(Central Processing Unit)101、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103、及びI/Oポート104等により構成される。これらの各ハードウェアは、バスを介して相互に接続される。
【0062】
CPU101は、画像形成装置100の動作を制御するプログラムを実行し、所定の処理を行う装置である。ROM102は、CPU101が実行するプログラムやファームウェアなどを記憶するための不揮発性の記憶装置である。RAM103は、CPU101が実行するプログラムの実行空間を提供するための揮発性の記憶装置であり、プログラムやデータの格納用、展開用として使用される。I/Oポート104は、CPU101で制御される各部への出力情報、各種センサからの入力情報等を処理する装置である。
【0063】
I/Oポート104は、第1センサ31から第3センサ33と接続する。また、CPU101は、ポリゴンモータ制御部221、書出開始位置制御部222、LD制御部223、同期検知用点灯制御部224、画素クロック生成部225、及び補正データ記憶部229ともバスを介して接続され、CPU101からの指示により、補正データ等の各種データの設定、ON/OFF制御、データの保存と読み出し等が行われる。
【0064】
次に、光ビーム走査部21の備える各構成部の動作について説明する。
【0065】
走査光学系210により走査される光ビームが同期センサ218上を通過したタイミングで、同期センサ218は、画素クロック生成部225、同期検知用点灯制御部224、及び書出開始位置制御部222のそれぞれに同期検知信号XDETPを出力する。
【0066】
画素クロック生成部225は、同期検知信号XDETPに同期した画素クロック信号PCLKを生成し、書出開始位置制御部222、及び同期検知用点灯制御部224に出力する。
【0067】
同期検知用点灯制御部224は、最初に同期検知信号XDETPを検出するために、LD強制点灯信号BDをONしてLD211を強制点灯させる。同期検知用点灯制御部224は、同期検知信号XDETPを検出した後には、同期検知信号XDETPと画素クロック信号PCLKを用いて、フレア光が発生しない程度で確実に同期検知信号XDETPが検出できるようなタイミングでLD211を点灯させる。同期検知信号XDETPを検出後、LD211を消灯するようなLD強制点灯信号BDを生成し、LD制御部223に出力する。
【0068】
また、同期検知用点灯制御部224は、5色分の各LD211の光量制御タイミング信号APCを同期検知信号XDETPと画素クロック信号PCLKを用いて生成し、LD制御部223に出力する。この信号は、光ビームが感光体ドラム40上に書き出す(露光する)期間以外の期間である書出し外期間に出力され、この書出し外期間に、LD211の射出する光ビームの光量が、所定の光量に制御される。
【0069】
LD制御部223は、LD強制点灯信号BD、光量制御タイミング信号APC、及び画素クロック信号PCLKに同期した画像データに応じて、LD211を点灯制御する。光ビームがLD211から出射され、ポリゴンミラー213により偏向され、fθレンズ214を介して感光体ドラム40上で走査される。
【0070】
ポリゴンモータ制御部221は、プリンタ制御部1からの制御信号により、ポリゴンミラー213を所定の回転数で回転制御する。
【0071】
書出開始位置制御部222は、同期検知信号XDETP、画素クロック信号PCLK、及びプリンタ制御部1からの制御信号等により、書出開始タイミング及び書出幅(トナー像の幅)を決定する主走査ゲート信号XRGATE、副走査ゲート信号XFGATEを設定する。
【0072】
画素クロック生成部225は、位相同期クロック発生部226と、VCO(Voltage Controller Oscillator)クロック発生部227と、基準クロック発生部228とを備え、書出しのタイミングの基準となる画素クロックを生成する。
【0073】
位相同期クロック発生部226には、VCOクロック発生部227から入力されるVCOクロック信号VCLKと、同期検知信号XDETPとが入力される。また、位相同期クロック発生部226は、同期検知信号XDETPに同期させた画素クロック信号PCLKを同期検知用点灯制御部224等に出力できる。
【0074】
基準クロック発生部228は、基準クロック信号FREFを発生させ、また、VCOクロック発生部227はVCOクロック信号VCLKを発生させる。
【0075】
第1センサ31から第3センサ33は、補正用トナー像を検出した電圧信号をプリンタ制御部1に出力し、プリンタ制御部1は、この電圧信号に基づき、各色の補正用トナー像の位置ずれ量及び主走査方向の倍率誤差を取得し、これらを補正する補正データを取得する。プリンタ制御部1は、取得した補正データを書出開始位置制御部222、画素クロック生成部225、及び補正データ記憶部229に出力し、補正データを設定又は更新する。書出開始位置制御部222は補正データに応じて書出開始位置を制御し、画素クロック生成部225は補正データに応じて画素クロックを生成する。
【0076】
補正データ記憶部229は、画像形成装置100の備えるHDD(Hard Disk Drive)等により構成され、補正データを記憶する。記憶された補正データは画像形成の際に読み出され、これを用いて位置ずれが補正される。
【0077】
<VCOクロック発生部227の構成例>
次に、VCOクロック発生部227の構成について、
図7を参照して説明する。
図7は、VCOクロック発生部227の構成の一例を説明するブロック図である。
【0078】
図7に示すように、VCOクロック発生部227は、位相比較器231と、LPF(Low Pass Filter)232と、VCO233と、1/N分周器234とを備える。
【0079】
位相比較器231には、基準クロック発生部228から基準クロック信号FREFと、1/N分周器234によって1/Nに分周されるクロック信号とが入力される。また、位相比較器231は、入力される2つの信号の立ち下がりエッジの位相を比較し、誤差成分を定電流出力する。
【0080】
LPF232は、位相比較器231の出力から高周波成分を取り除き、VCO233に出力する。
【0081】
VCO233は、ローパスフィルタ232の出力に基づき、所定周波数のVCOクロック信号VCLKを出力する。
【0082】
1/N分周器234は、入力されるVCOクロック信号VCLKを設定される分周比Nで1/Nに分周する。プリンタ制御部1からの制御信号でFREFの周波数と分周比Nを変更することで、VCLKの周波数を変更できる。VCLKの周波数が変更されることで、画素クロックPCLKの周波数も変更される。
【0083】
<書出開始位置制御部222の構成例>
図8は、画像形成装置100における書出開始位置制御部222の構成の一例を説明するブロック図である。
図8に示すように、書出開始位置制御部222は、主走査ライン同期信号発生部240と、主走査制御信号発生部250と、副走査制御信号発生部260とを備える。
【0084】
主走査ライン同期信号発生部240は、主走査制御信号発生部250内の主走査カウンタ251と、副走査制御信号発生部260内の副走査カウンタ261とを動作させるための信号XLSYNCを生成する。
【0085】
主走査制御信号発生部250は、画像信号の取り込みタイミング(主走査方向の書出開始タイミング)を決定する主走査ゲート信号XRGATEを生成する。また、副走査制御信号発生部260は画像信号の取り込みタイミング(副走査方向の書出開始タイミング)を決定する副走査ゲート信号XFGATEを生成する。
【0086】
主走査制御信号発生部250は、XLSYNCと画素クロック信号PCLKで動作する主走査カウンタ251と、プリンタ制御部1を介して補正データ記憶部229から入力した補正データに含まれる第1設定値SET1と主走査カウンタ251によるカウント値との比較結果を出力するコンパレータ252と、コンパレータ252からの比較結果に基づき、主走査ゲート信号XRGATEを生成するゲート信号生成部253とで構成されている。
【0087】
副走査制御信号発生部260は、プリンタ制御部1からの印刷開始信号SRTと信号XLSYNCと画素クロック信号PCLKで動作する副走査カウンタ261と、カウント値とプリンタ制御部1を介してからの補正データに含まれる第2設定値SET2を比較し、その結果を出力するコンパレータ262と、コンパレータからの比較結果から副走査ゲート信号XFGATEを生成するゲート信号生成部263とで構成されている。
【0088】
書出開始位置制御部222は、主走査方向では、画素クロック信号PCLKの1周期単位、つまり1ドット単位で書出位置を補正し、副走査方向では信号XLSYNCの1周期単位、つまり1ライン単位で書出位置を補正することができる。
【0089】
<画像形成装置100による書出位置制御の動作>
次に、画像形成装置100による書出開始位置制御の動作について、
図9を参照して説明する。なお、以下の説明では、同期検知信号XDETP、カウンタ動作信号XLSYNC、主走査ゲート信号XRGATE及び副走査ゲート信号XFGATEは、ローレベルを有効とする信号、すなわちローアクティブ信号とする例で説明する。
【0090】
図9は、画像形成装置100による主走査方向の書出開始位置制御の一例を説明するタイミングチャートである。
【0091】
カウンタ動作信号XLSYNCによって、主走査カウンタが、リセットされる。なお、主走査カウンタは、
図8の主走査カウンタ251によるカウント値である。主走査カウンタ251は、画素クロック信号PCLKによって、カウントアップする。主走査カウンタ251のカウント値が第1設定値SET1になると、主走査用のコンパレータ252は、比較結果の信号を出力する。
図9の例では、第1設定値SET1は、「X」として表示されている。
【0092】
次に、主走査用のコンパレータ252から、第1設定値SET1となったことを示す信号が出力されると、主走査制御信号発生部250は、主走査ゲート信号XRGATEをローレベルにする。なお、主走査ゲート信号XRGATEは、主走査方向のトナー像の幅に該当する期間だけローレベルとなる信号である。
【0093】
図10は、画像形成装置100による副走査方向の書出開始位置制御の一例を説明するタイミングチャートである。
【0094】
印刷開始信号SRTによって、副走査カウンタが、リセットされる。なお、副走査カウンタは、
図8に示す副走査カウンタ261によるカウント値である。
【0095】
副走査カウンタ261は、カウンタ動作信号XLSYNCによって、カウントアップする。副走査カウンタ261によるカウント値が第2設定値SET2になると、副走査用のコンパレータ262は、比較結果の信号を出力する。なお、
図10の例では、第2設定値SET2は、「Y」として表示されている。
【0096】
次に、この副走査用のコンパレータ262から、第2設定値SET2となったことを示す信号が出力されると、副走査制御信号発生部260は、副走査ゲート信号XFGATEをローレベルにする。なお、副走査ゲート信号XFGATEは、副走査方向のトナー像の幅に該当する期間だけ、ローレベルとなる信号である。
【0097】
<ラインメモリLMEMの構成>
次に、
図11は、画像形成装置100に含まれるラインメモリLMEMの構成の一例を説明する図である。ラインメモリLMEMは、
図6に示した光ビーム走査部21周辺のハードウェア構成の前段等に設けられている。
【0098】
ラインメモリLMEMには、副走査ゲート信号XFGATE等が示すタイミングで、プリンタコントローラ、フレームメモリ又はスキャナ等から取り込まれる画像データが記憶される。また、記憶される画像データは、画素クロック信号PCLKに同期して出力されるとする。また、ラインメモリLMEMから出力される信号は、LD制御部223に出力され、信号が示すタイミングで点灯するようにLD211が制御される。
【0099】
<画像形成装置100による画像形成動作例>
次に、画像形成装置100による画像形成動作について、
図12を参照して説明する。
図12は、画像形成装置100による画像形成動作の一例を示すフローチャートである。
【0100】
まず、ステップS121において、画像形成装置100の操作パネルのスタートボタンが押されると、プリンタ制御部1からの指示に応じて、ポリゴンモータ制御部221は、ポリゴンモータを回転させて、ポリゴンミラー213を所定の回転数で回転させる。
【0101】
続いて、ステップS122において、プリンタ制御部1は、主走査及び副走査の書出し開始位置や主走査倍率等を補正する補正データを、補正データ記憶部229から読み出す。そして、ポリゴンモータ制御部221、書出開始位置制御部222、LD制御部223、同期検知用点灯制御部224及び画素クロック生成部225に出力する。各制御部は入力した補正データを設定する。
【0102】
続いて、ステップS123において、同期検知用点灯制御部224は、LD211を点灯させ、LD211を所定の光量で点灯させるためにAPC(Automatic Power Control)動作等を行う。
【0103】
続いて、ステップS124において、ポリゴンモータ制御部221、書出開始位置制御部222、LD制御部223、同期検知用点灯制御部224及び画素クロック生成部225が連動して画像形成を行う。
【0104】
続いて、ステップS125において、プリンタ制御部1は、次に画像形成すべき画像があるか否かを判定する。
【0105】
ステップS125で次に画像形成すべき画像があると判定された場合は(ステップS125、Yes)、ステップS124に戻り、再度画像形成が行われる。一方、ステップS125で次に画像形成すべき画像がないと判定された場合は(ステップS125、No)、ステップS126に移行し、プリンタ制御部1からの指示に応じて、LD制御部223はLD211を消灯する。
【0106】
続いて、ステップS127において、プリンタ制御部1からの指示に応じて、ポリゴンモータ制御部221は、ポリゴンモータの回転を停止させ、画像形成動作は終了する。
【0107】
このようにして、画像形成装置100は記録媒体Pに画像形成を行うことができる。
【0108】
[第1実施形態]
<プリンタ制御部1の機能構成例>
次に、プリンタ制御部1の機能構成について、
図13を参照して説明する。
図13は、プリンタ制御部1の機能構成の一例を説明するブロック図である。具体的には、プリンタ制御部1が、ROM102に記憶されている画像位置ずれ補正プログラムを実行することで実現される各機能部を示す機能ブロック図である。
【0109】
図13に示すように、プリンタ制御部1は、補正データ設定部110、パターン形成制御部120、パターン検出部130、ずれ量算出部140、判断部150、補正データ算出部160、記憶制御部170、画像形成制御部180の各機能部(各手段)を有する。
【0110】
補正データ設定部110は、補正データ記憶部229に記憶されている補正データを書出開始位置制御部222、画素クロック生成部225に設定する。パターン形成制御部120は、各色の画像の位置ずれ補正用パターン(補正用トナー像)を形成する。パターン検出部130は、2次転写ベルト24上に形成された位置ずれ補正用トナー像を、第1センサ31、第2センサ32、及び第3センサ33の各センサ出力に基づいて検出する。ずれ量算出部140は、パターン検出部130で検出された補正用トナー像に基づいて、所定の基準色に対する各色の位置ずれ量(色ずれ量)を算出する。判断部150は、算出された基準色に対する各色の位置ずれ量に基づいて、位置ずれ補正を行うか否かの判断を行う。補正データ算出部160は、位置ずれ補正を行う場合に、補正データの算出を行う。記憶制御部170は、算出された補正データで、補正データ記憶部229に記憶されている補正データを更新処理する。画像形成制御部180は、算出された補正データに基づいて、印刷処理を行う。なお、パターン検出部130は、「検出手段」の一例である。また、補正データ設定部110、パターン形成制御部120、ずれ量算出部140、判断部150、補正データ算出部160を総称して、「補正部(手段)190」と言う場合がある。
【0111】
光ビーム走査部21における書出開始位置制御部222は、補正データ記憶部229を参照して取得した補正データに応じて主走査方向及び副走査方向の書出開始位置を制御する。これにより色毎の主走査方向及び副走査方向における潜像画像の位置の調整が行われる。また画素クロック生成部225は補正データに応じて画素クロックを生成することで、主走査方向の倍率誤差が調整される。
【0112】
<第1印刷モードにおける位置ずれ補正の処理例(その1)>
ここで、第1印刷モードにおける位置ずれ補正の処理について、
図14を参照して詳細に説明する。第1印刷モードでは、所定の作像部20で現像された補正用トナー像に対する、それ以外の作像部20で現像された補正用トナー像の位置ずれが補正される。第1印刷モードに対する位置ずれ補正の処理を「第1補正処理」と言う場合がある。また、所定の作像部20で現像された補正用トナー像の色を「第1基準色」という場合がある。また、「第1基準色」の補正用トナー像を「第1基準画像」という場合がある。
【0113】
ここで
図14は、第1センサ31から第3センサ33が検出する補正用トナー像の一例について説明する図であり、走行方向6の方向に走行する2次転写ベルト24上に形成された補正用トナー像を示したものである。なお、
図14は、
図2に示した作像部20の構成に対応する補正用トナー像である。
【0114】
W1~W6はホワイト(W)の補正用トナー像を表し、M1~M6はマゼンタ(M)の補正用トナー像を表し、K1~K6はブラック(K)の補正用トナー像を表している。またY1~Y6はイエロー(Y)の補正用トナー像を表し、C1~C6はシアン(C)の補正用トナー像を表している。
【0115】
主走査方向112の上流側(
図14の左側)に配置された第1センサ31は、主走査方向112の上流側に形成された補正用トナー像W1、M1、K1、Y1、C1、W3、M3、K3、Y3及びC3を検出する。第1センサ31は、2次転写ベルト24の走行に伴って移動するこれらの補正用トナー像を検出し、時系列に電圧が変化する電圧信号を補正部190に出力する。
【0116】
主走査方向112の下流側(
図14の右側)に配置された第2センサ32は、主走査方向112の下流側に形成された補正用トナー像W2、M2、K2、Y2、C2、W4、M4、K4、Y4及びC4を検出する。第2センサ32も同様に、2次転写ベルト24の走行に伴って移動するこれらの補正用トナー像を検出し、時系列に電圧が変化する電圧信号を補正部190に出力する。
【0117】
主走査方向112の中央(
図14の中央)に配置された第3センサ33は、主走査方向112の中央に形成された補正用トナー像W5、M5、K5、Y5、C5、W6、M6、K6、Y6及びC6を検出する。第3センサ33も同様に、2次転写ベルト24の走行に伴って移動するこれらの補正用トナー像を検出し、時系列に電圧が変化する電圧信号を補正部190に出力する。
【0118】
補正用トナー像W1~W6、M1~M6、K1~K6、Y1~Y6及びC1~C6は、補正用トナー像群140を構成している。
【0119】
パターン検出部130は、第1センサ31から第3センサ33の各々から入力された電圧信号が補正用トナー像に対応する電圧値になるタイミングから、2次転写ベルト24上の各補正用トナー像を検出する。
【0120】
第1印刷モードでは、中間転写ベルト10の走行方向5における最下流の作像部により形成されるブラック(K)を第1基準色として補正を行う。そのため、ブラック(K)の補正用トナー像K1~K6の位置に対する各色の補正用トナー像の位置が取得される。
【0121】
補正用トナー像群140のうちの斜め線の補正用トナー像W3,W4,W6と、M3,M4,M6と、K3,K4,K6と、Y3,Y4,Y6と、C3,C4,C6は、主走査方向の位置ずれ量及び倍率誤差を取得するために用いられる。また、補正用トナー像群140のうちの横線の補正用トナー像W1,W2,W5と、M1,M2,M5と、K1,K2,K5と、Y1,Y2,Y5と、C1,C2,C5は、副走査方向の位置ずれ量を取得するために用いられる。
【0122】
シアン(C)の補正用トナー像C1~C6を例にして、より具体的に説明する。まず主走査方向の位置ずれ補正について説明する。
【0123】
補正部190は、補正用トナー像K1の検出から補正用トナー像K3の検出までの経過時間tk1に対する、補正用トナー像C1の検出から補正用トナー像C3の検出までの経過時間tc1の時間差TKC13を取得する。また補正用トナー像K2の検出から補正用トナー像K4の検出までの経過時間tk2に対する、補正用トナー像C2の検出から補正用トナー像C4の検出までの経過時間tc2の時間差TKC24を取得する。
【0124】
時間差TKC24と時間差TKC13の時間差分値が、ブラック(K)の補正用トナー像に対するシアン(C)の補正用トナー像の主走査方向の倍率誤差になる。この主走査方向の倍率誤差が補正データとして補正データ記憶部229に記憶される。画素クロック生成部225は、主走査方向の倍率誤差に応じて画素クロックの周波数を変更することで、主走査方向の倍率誤差を補正する。
【0125】
また、時間差TKC13から第1センサ31の位置における上記で求めた倍率誤差補正分を差し引いた値がブラック(K)の補正用トナー像に対するシアン(C)の補正用トナー像の主走査方向の位置ずれ量になる。この主走査方向の位置ずれ量が補正データとして補正データ記憶部229に記憶される。書出開始位置制御部222は、主走査方向の位置ずれ量に応じて書出し開始タイミングを決定するための主走査ゲート信号XRGATEのタイミングを変更することで、主走査方向の位置ずれ調整を行う。
【0126】
このようにしてシアン(C)の補正用トナー像に対する主走査方向の位置ずれが補正される。
【0127】
次に、副走査方向の位置ずれ補正について説明する。ここで、理想の時間をTcとし、補正用トナー像K1の検出から補正用トナー像C1の検出までの経過時間をTKC1とする。また、補正用トナー像K2の検出から補正用トナー像C2の検出までの経過時間をTKC2とする。また、補正用トナー像K5の検出から補正用トナー像C5の検出までの経過時間をTKC5とする。
【0128】
これらを用いて((TKC5+TKC2+TKC1)/3)-Tcを演算することで、ブラック(K)の補正用トナー像に対するシアン(C)の補正用トナー像の副走査方向の位置ずれ量を取得できる。この副走査方向の位置ずれ量が補正データとして補正データ記憶部229に記憶される。書出開始位置制御部222は、副走査方向の位置ずれ量に応じて書出し開始タイミングを決定するための副走査ゲート信号XFGATEのタイミングを変更することで、副走査方向の位置ずれ調整を行う。
【0129】
このようにしてシアン(C)の補正用トナー像に対する副走査方向の位置ずれが補正される。
【0130】
またシアン(C)の補正用トナー像を例にして上述した補正処理を、他の色のイエロー(Y)、マゼンタ(M)及びホワイト(W)の補正用トナー像を用いて行うことで、各色の主走査方向及び副走査方向の位置ずれと、主走査方向の倍率誤差を補正できる。
【0131】
なお、実施形態では斜め線と横線のパターンの補正用トナー像を例示したが、パターンはこれに限定されるものではなく、任意のパターンを使用できる。また、主走査方向における3箇所に補正用トナー像を形成する例を示したが、これに限定されるものではない。
【0132】
また、実施形態では1組の補正用トナー像群を用いて、各色の画像の位置ずれを補正する例を示したが、
図15に示すように、2次転写ベルト24上に走行方向6に沿って形成した複数組の補正用トナー像群140を用いて、各色の画像の位置ずれを補正することもできる。この場合は、複数組の補正用トナー像群140のそれぞれを用いて取得される複数の主走査方向の位置ずれ量、主走査方向の倍率誤差、及び副走査方向の位置ずれ量のそれぞれの平均値を補正データとする。これにより、平均化効果で検出誤差を低減した補正データを取得できる。
【0133】
<第1印刷モードにおける位置ずれ補正の処理例(その2)>
第1印刷モードにおける位置ずれ補正の処理の他の例について、
図16を参照して詳細に説明する。
図16は、
図3に示した作像部20の構成に対応する補正用トナー像の一例を示す図である。すなわち、
図16に示される補正用トナー像群140aのブラック(K)とホワイト(W)の補正用トナー像の配置順が、
図14に示される補正用トナー像群140に対して入れ替わる。
【0134】
第1基準色は、中間転写ベルト10の走行方向5における最下流に配置された作像部20によるホワイト(W)である。ホワイト(W)以外の各色は、ホワイト(W)を基準に位置ずれが補正される。この補正処理は、第1基準色が異なるだけで、
図14を用いて説明した第1補正処理と同様であるため、ここでは重複した説明を省略する。
【0135】
<第2印刷モードにおける位置ずれ補正の処理例>
次に、第2印刷モードにおける位置ずれ補正の処理について、
図17を参照して説明する。第2印刷モードでは、第1補正処理における第1基準色を画像形成で用いない。そのため、第1補正処理での第1基準色の補正用トナー像を現像する作像部20とは異なる作像部20で現像される補正用トナー像の色を新たな基準色とし、補正部190は、新たな基準色で形成された補正用トナー像に対する、それ以外の色で形成された補正用トナー像の位置ずれを補正する。なお、第2印刷モードに対する位置ずれ補正の処理を「第2補正処理」と言う場合がある。また、第2補正処理における基準色を「第2基準色」と言う場合がある。また、「第2基準色」の補正用トナー像を「第2基準画像」と言う場合がある。
【0136】
図17に示される補正用トナー像を形成するための作像部20の構成は、
図4に示すものと同様である。すなわち、補正用トナー像K1~K6、M1~M6、Y1~Y6及びC1~C6は、補正用トナー像群140bを構成している。
【0137】
補正部190は、新たに第2基準色とされたブラック(B)の補正用トナー像に対する各色の補正用トナー像の位置ずれ量を算出する。第2補正処理は、基準色の位置が変わったことに伴う副走査方向の理想の時間Tcが変わる以外は、
図14を用いて説明した第1補正処理と同様であるため、ここでは重複した説明を省略する。
【0138】
<画像形成装置100による位置ずれ補正動作例>
次に、画像形成装置100による位置ずれ補正動作について、
図18を参照して説明する。
図18は、画像形成装置100による位置ずれ補正動作の一例を示すフローチャートである。
【0139】
各色の画像の位置ずれ補正の実行は、プリンタ制御部1によって制御される。プリンタ制御部1は、例えば、印刷モードが切り替わる場合、規定した印刷枚数に到達した場合、温度を監視して規定以上の変化があった場合などの所定のタイミングで、位置ずれ補正を実行する。
【0140】
図3に示した構成の作像部20を含む画像形成装置100で実行される位置ずれ補正に関して、以下説明する。まず、ステップS181において、プリンタ制御部1の補正部190は、記憶しておいた補正データを書出開始位置制御部222及び画素クロック生成部225に設定する。この補正データは、前回の補正動作で設定された補正データであり、補正データ記憶部229に保存されている。
【0141】
続いて、ステップS182において、プリンタ制御部1からの制御信号に基づき、ポリゴンモータ制御部221は、ポリゴンモータを回転させる。ポリゴンモータの回転に応じて、ポリゴンミラー213が回転する。
【0142】
続いて、ステップS183において、プリンタ制御部1からの制御信号に基づき、同期検知用点灯制御部224は、LD221を点灯させる。
【0143】
続いて、ステップS184において、補正部190は、前回の補正動作が第1印刷モードに対するものであるか否かを確認する。前回の補正動作が、第1印刷モードに対するものである場合(ステップS184、YES)、補正部190は、第1補正処理を実行するか否かを判断するための続くステップを実行する。
【0144】
これに対して、前回の補正動作が、第1印刷モードに対するものでない場合(ステップS184、No)、補正部190は、
図18に示されるように、補正動作を実行しないと判断してもよい。他方、補正部190は、前回の補正動作が、第1印刷モードに対するものでないことを確認した場合であっても、さらに、印刷枚数や温度変化等の他の条件が満たされるか否かを判定してもよい。補正部190は、これらの条件が満たされると判定する場合、第1補正処理を実行するか否かを判断するための続くステップを実行してもよい。
【0145】
続いて、ステップS185において、補正部190が、前回の補正動作が第1印刷モードに対するものであることを確認すると、ステップS185において、補正部190は、補正用トナー像を形成するよう、作像部20及び光ビーム走査部21等を制御する。
【0146】
続いて、ステップS186において、プリンタ制御部1のパターン検出部130は、第1センサ31から第3センサ33から出力された、2次転写ベルト24上の補正用トナー像の検出情報を取得する。
【0147】
続いて、ステップS187において、補正部190は、パターン検出部130で取得した補正用トナー像の検出情報に基づき、第1基準画像に対する、各色の補正用トナー像の位置ずれ量(補正用トナー像の主走査方向及び副走査方向の位置ずれ量、並びに主走査方向の倍率誤差)を算出する。
【0148】
続いて、ステップS188において、補正部190は、算出した各色の補正用トナー像の位置ずれ量に基づき、第1補正処理を実行するか否かを判断する。具体的には、算出した位置ずれ量が所定値を上回る場合(ステップS188、Yes)、補正部190は、第1補正処理に係る続くステップを実行する。具体的には、補正部190は、位置ずれ量が補正分解能の1/2以上であると判断する場合、第1補正処理に係る続くステップを実行する。
【0149】
続いて、ステップS189において、補正部190は、補正データを生成する。また、ステップS190において、補正部190は、補正データを補正データ記憶部229に記憶する。また、ステップS191において、補正部190は、補正データを書出開始位置制御部222及び画素クロック生成部225に設定する。これにより、第1補正処理が実行される。
【0150】
これに対して、ステップS188において、補正部190は、第1補正処理を実行しないと判断する場合(ステップS188、No)、ステップS189からステップS191の処理を行わない。
【0151】
次に、補正部190は、第2補正処理を実行する。具体的には、第2補正処理の実行前に、第1基準色の補正用トナー像を現像した作像部20が、中間転写ベルト10から離隔される。このとき、中間転写ベルト10の走行方向5における最上流に位置する作像部20によって形成される補正用トナー像のブラック(K)が、第2基準色になる。補正部190は、2次転写ベルト24に形成されたブラック(K)の補正用トナー像に対する、他の色の補正用トナー像の位置ずれ量に基づき、第2補正処理を行う。実施形態における第2補正処理の具体的なステップS192~S198は、基準色が変わることを除き、第1補正処理のステップS185~S191と同様であるため、説明を省略する。
【0152】
続いて、プリンタ制御部1の画像形成制御部180は、作像部20及び光ビーム走査部21等を制御して、記録媒体Pへの画像形成処理を実行する。画像形成処理におけるステップS199~S202は、
図12で説明したステップS124~S127と同様であるため、説明を省略する。
【0153】
<画像形成装置100による作用効果>
以上説明してきたように、実施形態によれば、複数の像担持体のうちの第1の像担持体(例えば、第1基準色の補正用トナー像を現像する作像部に含まれる感光体ドラム)と、第1の像担持体とは異なる第2の像担持体とを含む複数の像担持体上で現像された画像に基づいて、前記第1の像担持体上で現像された画像に対する位置ずれ補正を行う第1補正処理と、前記複数の像担持体のうち、前記第1の像担持体を含まず、前記第2の像担持体を含む複数の像担持体上(例えば、第2基準色の補正用トナー像を現像する作像部に含まれる感光体ドラム)で現像された画像に基づいて、前記第2の像担持体上で現像された画像に対する位置ずれ補正を行う第2補正処理と、を順に実行する。
【0154】
これにより、まず、第1補正処理において、各色の補正用トナー像の位置ずれが、第1基準画像の補正用トナー像を基準に補正され、その上で、第2補正処理において、第1基準画像の補正用トナー像を除く各色の補正用トナー像の位置ずれが、第2基準画像の補正用トナー像を基準に補正される。すなわち、第2補正処理において、第2基準画像の補正用トナー像を通じて間接的に第1基準画像の補正用トナー像の位置が参照されている。その結果、第2補正処理に伴い算出された補正データを用いて、例えば、画像形成装置100が第2印刷モードに切り替えられた場合でも、補正前の画像に対しても位置ずれせずに画像形成を行うことができる。
【0155】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態に係る画像形成装置100aについて説明する。
【0156】
図19は、画像形成装置100aにおけるプリンタ制御部1aの機能構成の一例を示すブロック図である。
図19に示すように、プリンタ制御部1aは、補正部190aを有する。
【0157】
<第1印刷モードにおける位置ずれ補正の処理例>
画像形成装置100aの第1印刷モードにおける位置ずれ補正の処理(第1補正処理)について、
図20を参照して詳細に説明する。ここで、
図20は、2次転写ベルト24上に形成された補正用トナー像の一例について説明する図である。なお、
図20は、
図3に示した作像部20の構成に対応する補正用トナー像である。
【0158】
図20に示すように、補正用トナー像K1~K6、M1~M6、W1~W6、Y1~Y6及びC1~C6は、補正用トナー像群140aを構成している。補正用トナー像の第1基準色は、中間転写ベルト10の走行方向5における最下流に配置された作像部20によるホワイト(W)である。ホワイト(W)以外の各色は、ホワイト(W)を基準に位置ずれが補正される。第2実施形態における第1補正処理は、第1実施形態における第1補正処理と同様であるため、ここでは重複した説明を省略する。
【0159】
<第2印刷モードにおける位置ずれ補正の処理例>
次に、画像形成装置100aの第2印刷モードにおける位置ずれ補正の処理(第2補正処理)について、
図21を参照して説明する。本実施形態の第2印刷モードに関しても、第1実施形態と同様、第1補正処理における第1基準色を画像形成で用いない。
【0160】
ここで、ホワイト(W)の補正用トナー像W1~W6と、ブラック(K)の補正用トナー像K1~K6の位置を入れ替えるよう、補正用パターン生成のタイミングを変える。また、ホワイト(W)の作像部20を中間転写ベルト10から離隔させる(すなわち、補正用トナー像W1~W6は、中間転写ベルト10及び2次転写ベルト24に形成されない)。この状態で、プリンタ制御部1aの補正部190aは、第2補正処理を実行する。
【0161】
図21に示すように、補正用トナー像M1~M6、K1~K6、Y1~Y6及びC1~C6は、補正用トナー像群140cを構成している。補正用トナー像の第2基準色は、中間転写ベルト10の走行方向5における最上流に配置された作像部20によるブラック(K)である。第2実施形態における第2補正処理は、第1実施形態における第2補正処理と同様であるため、ここでは重複した説明を省略する。
【0162】
<画像形成装置100aによる作用効果>
実施形態によれば、各色の補正用トナー像群において、第1補正処理の実行によって形成される第1基準画像の補正用トナー像の位置と、第2補正処理の実行によって形成される第2基準画像の補正用トナー像の位置とが、対応する。このようにすることで、副走査方向の理想の時間Tcを変更せず、且つ、第1センサ31から第3センサ33を通過する、第1基準画像及び第2基準画像以外の各色の補正用トナー像の配置順も変化しないため、位置ずれ補正の処理を簡素化することができる。
【0163】
以上、本発明の実施形態の例について記述したが、本発明は斯かる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0164】
なお、実施形態では、2次転写ベルト24上に形成された補正用トナー像を用いて位置ずれを補正する例を示したが、例えば、中間転写ベルト10上に形成された補正用トナー像を用いて位置ずれを補正してもよい。また、感光体ドラム40から中間転写ベルト10を介さずに記録媒体Pに直接トナー像を転写する所謂直接転写方式の画像形成装置の場合等には、記録媒体Pに転写する転写体上に形成された補正用トナー像を用いて位置ずれを補正することもできる。
【0165】
また、実施形態は、画像の位置ずれ補正方法も含む。例えば、画像の位置ずれ補正方法は、画像形成装置の転写体における画像を検出する検出工程と、前記検出工程での検出結果に基づき、画像の位置ずれ補正を行う補正工程と、を有し、前記補正工程において、前記画像形成装置が、前記複数の像担持体のうちの第1の像担持体と、前記第1の像担持体とは異なる第2の像担持体とを含む複数の像担持体上で現像された画像に基づいて、前記第1の像担持体上で現像された画像に対する位置ずれを補正する第1補正工程と、前記複数の像担持体のうち、前記第1の像担持体を含まず、前記第2の像担持体を含む複数の像担持体上で現像された画像に基づいて、前記第2の像担持体上で現像された画像に対する位置ずれを補正する第2補正工程と、を順に実行する。このような画像の位置ずれ補正方法により、上述した画像形成装置と同様の効果を得ることができる。
【0166】
上記で説明した実施形態の各機能は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(digital signal processor)、FPGA(field programmable gate array)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。
【0167】
本発明の態様は、例えば、以下のとおりである。
<1> 複数の像担持体と、
前記複数の像担持体のそれぞれに光ビームを照射することで、各像担持体に潜像画像を書き込む複数の光書込み手段と、
前記複数の像担持体に書き込まれた前記潜像画像をそれぞれ現像する複数の現像手段と、
前記複数の現像手段によって現像された画像が転写される転写体と、
前記転写体における前記画像を検出する検出手段と、
前記検出手段の検出結果に基づき、前記画像の位置ずれ補正を行う補正手段と、
を有し、
前記補正手段は、
前記複数の像担持体のうちの第1の像担持体と、前記第1の像担持体とは異なる第2の像担持体とを含む複数の像担持体上で現像された画像に基づいて、前記第1の像担持体上で現像された画像に対する位置ずれ補正を行う第1補正処理と、
前記複数の像担持体のうち、前記第1の像担持体を含まず、前記第2の像担持体を含む複数の像担持体上で現像された画像に基づいて、前記第2の像担持体上で現像された画像に対する位置ずれ補正を行う第2補正処理と、
を順に実行する
画像形成装置。
<2> 前記第2補正処理を実行した後に、前記複数の像担持体のうちの前記第1の像担持体で現像された画像を含まない前記画像の画像形成処理を実行する
前記<1>に記載の画像形成装置。
<3> 前記転写体は、
前記複数の像担持体で現像された前記画像が1次転写される中間転写ベルトを有し、
前記補正手段が前記第2補正処理を実行する場合、前記第1の像担持体は、前記中間転写ベルトから離隔し、前記複数の像担持体のうちの前記第1の像担持体で現像された画像を含まない前記画像が、前記中間転写ベルトに転写される
前記<1>又は前記<2>に記載の画像形成装置。
<4> 前記転写体における前記画像において、前記第1補正処理の実行によって形成される、前記第1の像担持体上で現像された前記画像の位置と、前記第2補正処理の実行によって形成される、前記第2の像担持体上で現像された前記画像の位置とが、対応する
前記<1>から前記<3>のいずれか1つに記載の画像形成装置。
<5> 前記複数の像担持体のうち、前記中間転写ベルトの走行方向の最上流側に位置する像担持体と、最下流側に位置する像担持体とが入れ替え可能に構成される
前記<3>に記載の画像形成装置。
<6> 複数の像担持体と、前記複数の像担持体のそれぞれに光ビームを照射することで、各像担持体に潜像画像を書き込む複数の光書込み手段と、前記複数の像担持体に書き込まれた前記潜像画像をそれぞれ現像する複数の現像手段と、前記複数の現像手段によって現像された画像が転写される転写体と、を有する画像形成装置による画像の位置ずれ補正方法であって、
前記転写体における前記画像を検出する検出工程と、
前記検出工程での検出結果に基づき、前記画像の位置ずれ補正を行う補正工程と、
を有し、
前記補正工程において、前記画像形成装置が、
前記複数の像担持体のうちの第1の像担持体と、前記第1の像担持体とは異なる第2の像担持体とを含む複数の像担持体上で現像された画像に基づいて、前記第1の像担持体上で現像された画像に対する位置ずれを補正する第1補正工程と、
前記複数の像担持体のうち、前記第1の像担持体を含まず、前記第2の像担持体を含む複数の像担持体上で現像された画像に基づいて、前記第2の像担持体上で現像された画像に対する位置ずれを補正する第2補正工程と、
を順に実行する
画像の位置ずれ補正方法。
<7> 複数の像担持体と、前記複数の像担持体のそれぞれに光ビームを照射することで、各像担持体に潜像画像を書き込む複数の光書込み手段と、前記複数の像担持体に書き込まれた前記潜像画像をそれぞれ現像する複数の現像手段と、前記複数の現像手段によって現像された画像が転写される転写体と、を有する画像形成装置を、
前記転写体における前記画像を検出する検出手段、
前記検出手段の検出結果に基づき、前記画像の位置ずれ補正を行う補正手段、
として機能させ、
前記補正手段は、
前記複数の像担持体のうちの第1の像担持体と、前記第1の像担持体とは異なる第2の像担持体とを含む複数の像担持体上で現像された画像に基づいて、前記第1の像担持体上で現像された画像に対する位置ずれ補正を行う第1補正処理と、
前記複数の像担持体のうち、前記第1の像担持体を含まず、前記第2の像担持体を含む複数の像担持体上で現像された画像に基づいて、前記第2の像担持体上で現像された画像に対する位置ずれ補正を行う第2補正処理と、
を順に実行する
プログラム。
【符号の説明】
【0168】
1 プリンタ制御部
5 走行方向
10 中間転写ベルト
21 光ビーム走査部
31 第1センサ
32 第2センサ
33 第3センサ
40 感光体ドラム
100 画像形成装置
140 補正用トナー像群
190 補正部
210 走査光学系
221 ポリゴンモータ制御部
222 書出開始位置制御部
223 LD制御部
224 同期検知用点灯制御部
225 画素クロック生成部
229 補正データ記憶部
P 記録媒体
W1~W6 ホワイトの補正用トナー像
M1~M6 マゼンタの補正用トナー像
K1~K6 ブラックの補正用トナー像
Y1~Y6 イエローの補正用トナー像
C1~C6 シアンの補正用トナー像
【先行技術文献】
【特許文献】
【0169】