(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024070791
(43)【公開日】2024-05-23
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
F21S 43/245 20180101AFI20240516BHJP
F21S 43/14 20180101ALI20240516BHJP
F21S 43/15 20180101ALI20240516BHJP
F21S 43/239 20180101ALI20240516BHJP
F21S 43/249 20180101ALI20240516BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20240516BHJP
F21V 7/26 20180101ALI20240516BHJP
F21V 7/28 20180101ALI20240516BHJP
F21W 103/20 20180101ALN20240516BHJP
F21W 103/35 20180101ALN20240516BHJP
F21W 103/45 20180101ALN20240516BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20240516BHJP
【FI】
F21S43/245
F21S43/14
F21S43/15
F21S43/239
F21S43/249
F21S2/00 414
F21S2/00 411
F21V7/26
F21V7/28 250
F21W103:20
F21W103:35
F21W103:45
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】21
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023102669
(22)【出願日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】P 2022181424
(32)【優先日】2022-11-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000707
【氏名又は名称】弁理士法人市澤・川田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 裕二
(72)【発明者】
【氏名】乃一 拓也
(72)【発明者】
【氏名】坂本 昌章
【テーマコード(参考)】
3K244
【Fターム(参考)】
3K244AA09
3K244BA08
3K244BA23
3K244BA48
3K244CA03
3K244DA01
3K244DA13
3K244DA19
3K244EA02
3K244EA13
3K244EA23
3K244EA26
3K244GA04
3K244GA08
3K244LA01
(57)【要約】
【課題】車両用灯具を提供する。
【解決手段】複数の光出射部と、隣り合う前記光出射部の間に位置し、前記光出射部から出射される光の輝度よりも低い輝度の光を出射する低輝度部と、を有する導光板と、前記導光板に420nm以上550nm以下の範囲内に発光ピーク波長を有する光を入射する複数の光源と、前記光出射部上に配置され、前記光出射部から出射された光の波長を変換して、540nm以上700nm以下の範囲内に発光ピーク波長を有する光を発する波長変換部材と、を備える車両用灯具である。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光出射部と、隣り合う前記光出射部の間に位置し、前記光出射部から出射される光の輝度よりも低い輝度の光を出射する低輝度部と、を有する導光板と、
前記導光板に420nm以上550nm以下の範囲内に発光ピーク波長を有する光を入射する複数の光源と、
前記光出射部上に配置され、前記光出射部から出射された光の波長を変換して540nm以上700nm以下の範囲内に発光ピーク波長を有する光を発する波長変換部材と、を備える車両用灯具。
【請求項2】
光出射部を有する複数の導光板と、
前記導光板に420nm以上550nm以下の範囲内に発光ピーク波長を有する光を入射する複数の光源と、
前記光出射部上に配置され、前記光出射部から出射された光の波長を変換して540nm以上700nm以下の範囲内に発光ピーク波長を有する光を発する波長変換部材と、を備える車両用灯具。
【請求項3】
前記導光板を配置する支持部材を備え、前記支持部材は、一つの導光板と、前記一つの導光板以外の他の導光板の間に位置する低輝度部を有する、請求項2に記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記波長変換部材の光の取り出し側から一つの前記光出射部に対向する部位の輝度を、二次元色彩輝度計を用いて一画素ごとに測定し、一画素ごとに測定した輝度の総輝度の算術平均値である光出射部の平均輝度Liaveを100%としたときの、前記波長変換部材の光の取り出し側から前記低輝度部に対向する部位の輝度を、一画素ごとに測定した輝度の総輝度の算術平均値である低輝度部の平均輝度Loaveの割合が20%以下である、請求項1又は3に記載の車両用灯具。
【請求項5】
複数の前記光出射部の光の取り出し側を覆う波長変換部材を備える、請求項1又は2に記載の車両用灯具。
【請求項6】
複数の前記光出射部の光の取り出し側をそれぞれ覆う複数の波長変換部材を備える、請求項1又は2に記載の車両用灯具。
【請求項7】
前記波長変換部材の一つの前記光出射部に対向する部位の輝度を、二次元色彩輝度計を用いて一画素ごとに測定し、一画素ごとに測定した光出射部の輝度Liの総輝度の算術平均値である光出射部の平均輝度Liaveと、前記輝度Liと前記平均輝度Liaveの差分ΔLiを下記式(I)により求め、前記差分ΔLiの最大値ΔLimaxと、前記差分ΔLiの最小値ΔLiminと、前記平均輝度Liaveにより、下記式(II)により求められる輝度ムラEが1.5未満である、請求項1又は2に記載の車両用灯具。
ΔLi=Li-Liave (I)
E=ΔLimax/Liave-ΔLimin/Liave (II)
【請求項8】
前記波長変換部材の光の取り出し側に配置した拡散板、及び/又は、前記波長変換部材の光の取り出し側の反対側に配置した拡散板を備える、請求項1又は2に記載の車両用灯具。
【請求項9】
前記波長変換部材の光の取り出し側に配置したプリズムシートを備える、請求項1又は2に記載の車両用灯具。
【請求項10】
前記光出射部の光の取り出し側の反対側に配置した反射層を備える、請求項1又は2に記載の車両用灯具。
【請求項11】
前記光出射部の光の取り出し側の反対側に配置したダイクロイックミラーを備える、請求項1又は2に記載の車両用灯具。
【請求項12】
前記波長変換部材の厚さが18μm以上100μm以下の範囲内である、請求項1又は2に記載の車両用灯具。
【請求項13】
前記波長変換部材は、下記式(1)で表される組成を有する希土類アルミン酸塩蛍光体、下記式(2)で表される組成を有する第1窒化物蛍光体、下記式(3)で表される組成を有する第2窒化物蛍光体、下記式(4)で表される組成を有する第3窒化物蛍光体、下記式(5)で表される組成を有する第4窒化物蛍光体、下記式(6)で表される組成を有する第5窒化物蛍光体、下記式(7)で表される組成を有する第1フッ化物蛍光体、及び下記式(8)で表される組成を有する第2フッ化物蛍光体からなる群から選択される少なくとも1種の蛍光体を含む、請求項1又は2に記載の車両用灯具。
R1
3(AlcGab)5O12:Cea (1)
(式(1)中、R1は、Y、Gd、Lu及びTbからなる群から選ばれる少なくとも1種であり、a、b及びcは、0<a≦0.22、0≦b≦0.4、0<c≦1.1、0.9≦b+c≦1.1を満たす。)
M1
dSi12-(e+f)Ale+fOfN16-f:Eu (2)
(式(2)中、M1は、Li、Mg、Ca、Sr、Y及びランタノイド元素(但し、LaとCeを除く。)からなる群から選択される少なくとも1種の元素を含み、d、e及びfは、それぞれ0<d≦2.0、2.0≦e≦6.0、0≦f≦1.0を満たす。)
M2
2Si5N8:Eu (3)
(式(3)中、M2は、Ca、Sr及びBaからなる群から選択される少なくとも1種を含むアルカリ土類金属元素である。)
SrgCahAliSijNk:Eu (4)
(式(4)中、g、h、i、j、kは、それぞれ0≦g<1、0<h≦1、g+h≦1、0.9≦i≦1.1、0.9≦j≦1.1、2.5≦k≦3.5を満たす。)
CaAlSiN3:Eu (5)
M3
mM4
nAl3-pSipNq:M5 (6)
(式(6)中、M3は、Ca、Sr、Ba及びMgからなる群より選択される少なくとも1種の元素であり、M4は、Li、Na及びKからなる群より選択される少なくとも1種の元素であり、M5は、Eu、Ce、Tb及びMnからなる群より選択される少なくとも1種の元素であり、m、n、p及びqは、それぞれ0.80≦m≦1.05、0.80≦n≦1.05、0≦p≦0.5、3.0≦q≦5.0を満たす。)
A1
s[M6
rMn4+
rFt] (7)
(前記式(7)中、A1は、K+、Li+、Na+、Rb+、Cs+及びNH4
+からなる群から選択される少なくとも1種のイオンであり、M6は、第4族元素及び第14族元素からなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、rは、0<r<0.2を満たし、sは、[M6
1-rMn4+
rFt]イオンの電荷の絶対値であり、tは、5<t<7を満たす。)
A2
w[M7
1-u―vM8
vMn4+
uFx] (8)
(前記式(8)中、A2は、K+、Li+、Na+、Rb+、Cs+及びNH4
+からなる群から選択される少なくとも1種のイオンであり、M7は、第4族及び第14族からなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、M8は、第13族からなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、uは、0<u<0.2を満たし、wは、[M7
1-u―vM8
vMn4+
uFx]イオンの電荷の絶対値であり、vは、0<v≦0.1、xは、5<x<7を満たす。)
【請求項14】
光の取り出し部を有するランプボディと、
前記光の取り出し部に配置されるカバーと、を備え、
前記カバーを透過して、CIE1931色度図のxy色度座標において、色度座標(x,y)が、(x=0.645,y=0.335)を第1R点とし、(x=0.665,y=0.335)を第2R点とし、(x=0.735,y=0.265)を第3R点とし、(x=0.721,y=0.259)を第4R点とし、前記第1R点と前記第2R点を結ぶ第1R直線と、前記第2R点と前記第3R点を結ぶ第2R直線と、前記第3R点と前記第4R点を結ぶ第3R直線と、前記第4R点と第1R点を結ぶ第4R直線とで画定された領域R内の光を発する、請求項1又は2に記載の車両用灯具。
【請求項15】
少なくとも一つの前記光源は、420nm以上470nm以下の範囲内に発光ピーク波長を有する光を発する、請求項14に記載の車両用灯具。
【請求項16】
光の取り出し部を有するランプボディと、
前記光の取り出し部に配置されるカバーと、を備え、
前記カバーを透過して、CIE1931色度図のxy色度座標において、色度座標(x,y)が、(x=0.545,y=0.425)を第1A点とし、(x=0.557,y=0.442)を第2A点とし、(x=0.609,y=0.390)を第3A点とし、(x=0.597,y=0.390)を第4A点とし、前記第1A点と前記第2A点を結ぶ第1A直線と、前記第2A点と前記第3A点を結ぶ第2A直線と、前記第3A点と前記第4A点を結ぶ第3A直線と、前記第4A点と第1A点を結ぶ第4A直線とで画定された領域A内の光を発する、請求項1又は2に記載の車両用灯具。
【請求項17】
少なくとも一つの前記光源は、500nm以上550nm以下の範囲内に発光ピーク波長を有する光を発する、請求項16に記載の車両用灯具。
【請求項18】
光の取り出し部を有するランプボディと、
前記光の取り出し部に配置されるカバーと、を備え、
前記カバーを透過して、CIE1931色度図のxy色度座標において、色度座標(x,y)が、(x=0.310,y=0.348)を第1W点とし、(x=0.453,y=0.440)を第2W点とし、(x=0.500,y=0.440)を第3W点とし、(x=0.500,y=0.382)を第4W点とし、(x=0.443,y=0.382)を第5W点とし、(x=0.310,y=0.283)を第6W点とし、前記第1W点と前記第2W点を結ぶ第1W直線と、前記第2W点と前記第3W点を結ぶ第2W直線と、前記第3W点と前記第4W点を結ぶ第3W直線と、前記第4W点と第5W点を結ぶ第4W直線と、前記第5W点と前記第6W点を結ぶ第5W直線と、前記第6W点と前記第1W点を結ぶ第6W直線とで画定された領域W内の光を発する、請求項1又は2に記載の車両用灯具。
【請求項19】
少なくとも一つの前記光源は、470nm以上500nm以下の範囲内に発光ピーク波長を有する光を発する、請求項18に記載の車両用灯具。
【請求項20】
前記蛍光体の体積平均粒径が5μm以上35μm以下の範囲内である、請求項13に記載の車両用灯具。
【請求項21】
波長が400nm以上500nm以下の範囲内の光の透過率が5%以下であり、波長が610nm以上700nm以下の範囲内の波長の光の透過率が60%以上である、カラーフィルターを備える、請求項1又は2に記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車は、車体の後面に、制動灯(ストップランプ、ブレーキランプ)、方向指示器(ターンシグナルランプ、ウインカー)、尾灯(テールランプ)、後退灯(バックランプ)、及び後部反射器(リフレックスリフレクタ)を設けることが義務付けられ、さらにそれぞれ、灯光、反射光の色や明るさ等の基準が規定されている。これらの各種ランプを1つのユニットにまとめ、左右一対のリアコンビネーションランプとして、車体に取り付けられている。一般的なリアコンビネーションランプとしては、制動灯(ストップ)用と尾灯(テール)用を兼用する赤色、並びに方向指示器(ターンシグナル)用のアンバー(橙)色及び後退灯(バックランプ)用の白色の少なくとも一方の、2色又は3色の光を、光の取り出し部となる領域において区画された区画別に光を出射する車両用灯具が使用されている。また、リアコンビネーションランプのような車両用灯具は、自動車の装飾品として、光色による配色や形状によって独自のデザインに設計されることがある。
【0003】
このような車両用灯具は、発光ダイオード(LED)等を有する発光装置を光源として、内面に反射膜等を設けたランプボディに収容し、光の取り出し部となるランプボディの開口部を、透明樹脂等からなるカバー(アウタレンズ)で覆い、光の発光面としている。リアコンビネーションランプのような車両用灯具では、端面と端面と直交する方向に延びる光の取り出し部となる発光面を備える導光部材を用いて、導光部材の端面に発光装置の光を入射させ、その光を導光部材の発光面から取り出す構造が用いられることがある。例えば特許文献1には、導光部材として導光レンズを備え、同一の色調の複数の光源から、導光レンズの発光面において複数に区画された一つの区画ごとに異なる色調の光を出射する車両用灯具が開示されている。特許文献1には、底面と側面とを有し、側面が遮光性隔壁部で構成され、光学的に分離された複数の凹部内に、透光性樹脂にそれぞれ異なる蛍光体を混入された蛍光樹脂が充填され、各凹部の透光性壁部近傍に全て同一種類のLEDがその照射方向を凹部に向けて配設された車両用灯具が開示されている。特許文献1に開示されている車両用灯具は、各凹部に充填される蛍光樹脂に含まれる蛍光体の種類を変えることによって、複数の凹部の底面にあたる部分からそれぞれの凹部ごとに、光源から出射した光とは異なる色調の光が出射される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示の一態様は、光の取り出し部となる領域において、複数に区画された一つの区画ごとに光を出射することが可能であり、一つの区画内で出射する光の輝度ムラを低減することができる車両用灯具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1態様は、複数の光出射部と、隣り合う前記光出射部の間に位置し、前記光出射部から出射される光の輝度よりも低い輝度の光を出射する低輝度部と、を有する導光板と、前記導光板に420nm以上550nm以下の範囲内に発光ピーク波長を有する光を入射する複数の光源と、前記光出射部上に配置され、前記光出射部から出射された光の波長を変換して、540nm以上700nm以下の範囲内に発光ピーク波長を有する光を発する波長変換部材と、を備える車両用灯具である。
【0007】
第2態様は、光出射部を有する複数の導光板と、前記導光板に420nm以上550nm以下の範囲内の発光ピーク波長を有する光を入射する複数の光源と、前記光出射部上に配置され、前記光出射部から出射された光の波長を変換して540nm以上700nm以下の範囲内の発光ピーク波長を有する光を発する波長変換部材と、を備える車両用灯具である。
【発明の効果】
【0008】
本開示の一態様によれば、光の取り出し部となる領域において、複数に区画された一つの区画ごとに光を出射することが可能であり、一つの区画内で出射する光の輝度ムラを低減することができる車両用灯具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1A】車両用灯具の一例を示す概略平面図である。
【
図1B】
図1Aに示す車両用灯具を矢印1B方向からみた概略側面図である。
【
図2A】車両用灯具の概略平面図において各光源から光出射部に入射される光の状態を示すイメージ図である。
【
図2B】
図2Aに示す車両用灯具を矢印3B方向から見た概略断面における光の状態を示すイメージ図である。
【
図3A】車両用灯具に備える導光板の一例を示す概略平面図である。
【
図3B】
図3Aの導光板の矢印3B方向からみた概略側面図である。
【
図3C】車両用灯具に備える導光板の一例を示す側面図の一部拡大図である。
【
図6A】車両用灯具の一例を示す概略平面図である。
【
図6B】
図6Aに示す車両用灯具の矢印6B方向から見た概略断面図である。
【
図7A】車両用灯具に備える導光板の一例を示す概略平面図である。
【
図7B】
図7Aの導光板の矢印7B方向から見た概略断面図である。
【
図11】CIE1931色度図のxy色度座標において、領域R、領域A、領域Wを示す図である。
【
図12】車両用灯具が車体に取り付けられた状態を模式的に示す外観図である。
【
図14】光を出射させた一つの光出射部を波長変換部材の光の取り出し側から撮影した外観写真である。
【
図15】波長変換部材の光の取り出し側から一画素ごとに測定した一つの光出射部の一部と低輝度部の一部の各輝度を示す。
【
図16】波長変換部材の光の取り出し側から一画素ごとに測定した一つの光出射部の一部の各輝度を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施形態を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施形態は、本開示の技術思想を具体化するための、車両用灯具を例示するものであって、本開示は、以下に示す、車両用灯具に限定されない。また、特許請求の範囲に示される部材を、実施形態の部材に限定するものでは決してない。特に実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、本開示の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、色名と色度座標との関係、光の波長範囲と単色光の色名との関係等は、JIS Z8110に従う。図面に示す部材は、大きさや位置関係において誇張していることがあり、また、形状を単純化していることがある。また、以下の説明において、同一の名称、符号は、原則として同一又は同質の部材を示すものである。本明細書において、「板」、「シート」、「フィルム」、「層」等の用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。したがって、例えば、「板」は、シート、フィルム又は層とも呼ばれるような部材も含む意味で用いられ、また「層」は、板、シート又はフィルムとも呼ばれ得るような部材も含む意味で用いられる。本明細書において、「上」、「下」という用語は、発光装置において、光を取り出す側とその反対側を指す用語としても用いる。例えば、「上方」は、光を取り出す方向を意味し、「下方」はその反対の方向を意味する。また、「上面」とは光を取り出す側にある面を意味し、「下面」とはその反対側の面を意味する。また、側面とは、上面又は下面に対して直交する方向の面を意味する。
【0011】
第1態様の車両用灯具は、複数の光出射部と、隣り合う光出射部の間に位置し、光出射部から出射される光の輝度よりも低い輝度の光を出射する低輝度部と、を有する導光板と、導光板に420nm以上550nm以下の範囲内に発光ピーク波長を有する光を入射する複数の光源と、光出射部上に配置され、光出射部から出射された光の波長を変換して540nm以上700nm以下の範囲内に発光ピーク波長を有する光を発する波長変換部材と、を備える。
【0012】
以下、車両用灯具の一例を図面を用いて説明する。図面における各部材の大きさや配置関係は、単なる例示であり、誇張して記載する場合がある。
【0013】
図1Aは、第1態様の車両用灯具10の一例を示す概略平面図である。
図1Bは、
図1Aに示す車両用灯具10を矢印1B方向から見た概略側面図である。車両用灯具10は、複数の光出射部1aと、隣り合う光出射部1a、1aの間に位置し、光出射部1aから出射される光の輝度よりも低い輝度の光を出射する低輝度部1bとを、有する導光板1と、導光板1に420nm以上550nm以下の範囲内に発光ピーク波長を有する光を入射する複数の光源2と、光出射部1a上に配置され、光出射部1aから出射された光の波長を変換して540nm以上700nm以下の範囲内に発光ピーク波長を有する光を発する波長変換部材3と、を備える。波長変換部材3は、後述する少なくとも1種の蛍光体31を含む。光出射部1a及び波長変換部材3から光が出射される方向は、図中の+z方向を意味する。導光板1を備える車両用灯具10が車体に配置された場合、波長変換部材3の光の出射方向に光の取り出し部となる領域が形成される。
図1Bにおいて、波長変換部材3は、導光板1と離隔して、導光板1上に配置されている。なお、波長変換部材3は、導光板1の上面に直接接して配置されてもよい。
【0014】
図2Aは、車両用灯具10の概略平面図において、各光源2から各光出射部1aに入射される光の状態を示すイメージ図である。
図2Aにおいて、矢印は光の状態を表す。
図2Bは、
図2Aに示す車両用灯具を矢印2B方向から見た概略断面における光の状態を示すイメージ図である。
図2Bにおいて、導光板1が有する光出射部1aと低輝度部1bを模式的に表している。
図2Bにおいて、矢印は、光の状態を表す。車両用灯具10は、導光板1に複数の光出射部1aを備え、光出射部1aに光が入射する位置に複数の光源2が配置される。波長変換部材3は、複数の光出射部1aを覆うように配置される。光源2から導光板1に入射された光は、導光板1内で導光され光路偏向して、光出射部1aから拡散されて出射される。光出射部1aから出射された光は、波長変換部材3に含まれる蛍光体31で光の波長が変換され、波長変換部材3でさらに拡散されるため、光出射部1a上の全面において輝度ムラを低減した光を出射することができる。
【0015】
車両用灯具に用いられる導光板の一例について、図面を用いて説明する。
図3Aは、第1態様の車両用灯具に備える導光板1の一例を示す概略平面図である。
図3Bは、
図3Aの導光板1を矢印3B方向からみた概略側面図である。導光板1は、複数の光出射部1aと、隣り合う光出射部1a、1aの間に位置し、光出射部1a、1aから出射される光の輝度よりも低い輝度の光を出射する低輝度部1bと、を有する。導光板1は、光出射部1a及び低輝度部1bによって複数に区画される。導光板1を備える車両用灯具10は、導光板1を面光源として用いる場合に、面光源が配置される光の取り出し部となる領域において、導光板1の光出射部1a及び低輝度部1bによって複数に区画された一つの区画から光が出射される。複数の光出射部1aを有する導光板1が面光源となるように、車両用灯具10が配置された光の取り出し部となる領域において、一つの区画となる一つの光出射部1aから光が出射され、区画された一区画ごとに、異なる色調の光が出射されるようにしてもよい。導光板1は、入射された光を導光し、導光された光を光路偏向して光出射部1aから光を出射させる。導光板1は、透明で屈折率が比較的高い材料で形成することができる。導光板1を形成する材料としては、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂(PMMA)、ポリアクリレート樹脂光、アクリル樹脂、ガラス等が挙げられる。
【0016】
図3Cは、導光板1の一例を示す側面図の一部拡大図である。一例として導光板1は、光出射部1a側及び/又は光出射部1aの反対側に、凹凸1cが形成される。凹凸1cは、導光板1に入射されて導光された光を光路偏向して、光出射部1aから光を出射させる。隣り合う光出射部1a、1aの間は、凹凸1cが形成されていない若しくは凹凸1cの数が少ない等の低輝度部1bが配置される。低輝度部1bは、例えば凹凸1cが形成されていないため、導光板1の外部に光を出射し難く、導光板1の低輝度部1b内で光が光路偏向される。なお、凹凸1cを設ける代わりに、例えば、光出射部1aの下方に位置する導光板1の下面側に導光板1の母材よりも高屈折率の光拡散剤を含む樹脂層を配置し、低輝度部1bの下方に位置する導光板1の下面側に導光板1の母材より低屈折率の光拡散剤を含む樹脂層を配置してもよい。光出射部1aとなる凹凸1cは、導光板1の成形時に金型によって凹凸1cを形成してもよく、スクリーン印刷又はシルク印刷等の印刷加工によって、凹凸1cを形成してもよい。また、凹凸1cは、サンドブラスト等で形成してもよい。
【0017】
光源は、420nm以上550nm以下の範囲内に発光ピーク波長を有する光を発することが好ましい。光源は、発光素子でもよく、発光素子と発光素子を配置するパッケージとを備える発光装置でもよい。また、複数の光源は、それぞれ発光ピーク波長の異なる光を発するものであってもよい。光源は、420nm以上470nm以下の範囲内に発光ピーク波長を有する光を発する光源であってもよい。光源は、500nm以上550nm以下の範囲内に発光ピーク波長を有する光を発する光源であってもよい。光源は、470nm以上550nm以下の範囲内に発光ピーク波長を有する光源であってもよい。発光素子は、例えば発光ダイオード(LED)又はレーザダイオード(LD)を用いることができる。発光素子は、InXAlYGa1-X-YN(0≦X、0≦Y、X+Y≦1)で表される窒化物半導体を用いた半導体発光素子を用いることができる。窒化物半導体は、半導体層の材料やその混晶度によって発光の波長を種々選択することができる。発光素子は、車両用灯具に必要な光量を発光するものであれば、形状や大きさ、実装形態(フリップチップ、ワイヤボンディング)等は特に限定されない。
【0018】
波長変換部材は、透光性材料と蛍光体を含む、板状、シート状又は層状の部材を用いることができる。透光性材料は、樹脂、ガラス及び無機物からなる群から選択される少なくとも一種が挙げられる。透光性材料に用いる樹脂は、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、及びポリイミド樹脂からなる群から選択される少なくとも一種であることが好ましい。透光性材料に用いる無機物は、酸化アルミニウム及び窒化アルミニウムからなる群から選択される少なくとも一種が挙げられる。波長変換部材は、透光性材料と蛍光体の他に、必要に応じて光拡散剤や着色剤等を含んでいてもよい。光拡散剤としては、例えば酸化ケイ素、チタン酸バリウム、酸化チタン、酸化アルミニウム等が挙げられる。波長変化部材が光拡散剤を含む場合は、光拡散剤は、透光性材料の屈折率とは異なる屈折率を有する材料からなるものを用いることが好ましい。波長変換部材の透光性材料が例えばシリコーン樹脂であるとき、光拡散剤は、シリコーン樹脂の屈折率とは屈折率が異なる、酸化アルミニウム及び窒化アルミニウムからなる群から選択される少なくとも1種の無機物を用いることができる。
【0019】
波長変換部材の厚さは、18μm以上100μm以下の範囲内であることが好ましく、20μm以上100μm以下の範囲内であることがより好ましく、22μm以上90μm以下の範囲内であることがさらに好ましく、23μm以上90μm以下の範囲内であることがよりさらに好ましく、30μm以上90μm以下の範囲内でもよく、40μm以上80μm以下の範囲内でもよい。波長変換部材の厚さが18μm以上100μm以下の範囲内であれば、波長変換部材の放熱性を維持した状態で、目的とする波長範囲になるように所望の含有量の蛍光体を波長変換部材中に含有させることができる。また、波長変換部材の厚さが18μm以上100μm以下の範囲内であれば、車体に搭載するランプボディ内に車両用灯具を収納しやすい。
【0020】
波長変換部材は、少なくとも1種の蛍光体を含み、組成又は発光ピーク波長が異なる2種以上の蛍光体を含んでもよい。
【0021】
波長変換部材は、下記式(1)で表される組成を有する希土類アルミン酸塩蛍光体(以下、「YAG蛍光体」ともいう。)、下記式(2)で表される組成を有する第1窒化物蛍光体(以下、「αサイアロン蛍光体」ともいう。)、下記式(3)で表される組成を有する第2窒化物蛍光体(以下、「BSESN蛍光体」ともいう。)、下記式(4)で表される組成を有する第3窒化物蛍光体(以下、「SCASN蛍光体」ともいう。)、下記式(5)で表される組成を有する第4窒化物蛍光体(以下、「CASN蛍光体」ともいう。)、下記式(6)で表される組成を有する第5窒化物蛍光体(以下、「SLA蛍光体」ともいう。)、下記式(7)で表される組成を有する第1フッ化物蛍光体(以下、「KSF蛍光体」ともいう。)、及び下記式(8)で表される組成を有する第2フッ化物蛍光体(以下、「KSAF蛍光体」ともいう。)からなる群から選択される少なくとも1種の蛍光体を含むことが好ましい。
R1
3(AlcGab)5O12:Cea (1)
式(1)中、R1は、Y、Gd、Lu及びTbからなる群から選ばれる少なくとも1種であり、a、b及びcは、0<a≦0.22、0≦b≦0.4、0<c≦1.1、0.9≦b+c≦1.1を満たす。
M1
dSi12-(e+f)Ale+fOfN16-f:Eu (2)
式(2)中、M1は、Li、Mg、Ca、Sr、Y及びランタノイド元素(但し、LaとCeを除く。)からなる群から選択される少なくとも1種の元素を含み、d、e及びfは、それぞれ0<d≦2.0、2.0≦e≦6.0、0≦f≦1.0を満たす。
M2
2Si5N8:Eu (3)
式(3)中、M2は、Ca、Sr及びBaからなる群から選択される少なくとも1種を含むアルカリ土類金属元素である。
SrgCahAliSijNk:Eu (4)
式(4)中、g、h、i、j、kは、それぞれ0≦g<1、0<h≦1、g+h≦1、0.9≦i≦1.1、0.9≦j≦1.1、2.5≦k≦3.5を満たす。
CaAlSiN3:Eu (5)
M3
mM4
nAl3-pSipNq:M5 (6)
式(6)中、M3は、Ca、Sr、Ba及びMgからなる群より選択される少なくとも1種の元素であり、M4は、Li、Na及びKからなる群より選択される少なくとも1種の元素であり、M5は、Eu、Ce、Tb及びMnからなる群より選択される少なくとも1種の元素であり、m、n、p及びqは、それぞれ0.80≦m≦1.05、0.80≦n≦1.05、0≦p≦0.5、3.0≦q≦5.0を満たす。
A1
s[M6
rMn4+
rFt] (7)
前記式(7)中、A1は、K+、Li+、Na+、Rb+、Cs+及びNH4
+からなる群から選択される少なくとも1種のイオンであり、M6は、第4族元素及び第14族元素からなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、rは、0<r<0.2を満たし、sは、[M6
1-rMn4+
rFt]イオンの電荷の絶対値であり、tは、5<t<7を満たす。前記式(7)中、A1は、少なくともK+を含むことが好ましく、M6は、少なくともSiを含むことが好ましい。
A2
w[M7
1-u―vM8
vMn4+
uFx] (8)
前記式(8)中、A2は、K+、Li+、Na+、Rb+、Cs+及びNH4
+からなる群から選択される少なくとも1種のイオンであり、M7は、第4族及び第14族からなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、M8は、第13族からなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、uは、0<u<0.2を満たし、wは、[M7
1-u―vM8
vMn4+
uFx]イオンの電荷の絶対値であり、vは、0<v≦0.1、xは、5<x<7を満たす。)前記式(8)中、A2は、少なくともK+を含むことが好ましく、M7は、少なくともSiを含むことが好ましく、M8は、少なくともAlを含むことが好ましい。
【0022】
蛍光体は、体積平均粒径が、5μm以上35μm以下の範囲内であることが好ましく、6μm以上35μm以下の範囲内であることがより好ましく、6μm以上30μm以下の範囲内であることがさらに好ましく、6μm以上20μm以下の範囲内であることがよりさらに好ましく、6μm以上15μm以下の範囲内であることが特に好ましい。蛍光体の体積平均粒径が5μm以上35μm以下の範囲内であれば、蛍光体を含む波長変換部材の厚さを薄くすることができ、車体に搭載するランプボディ内に車両用灯具を収納しやすい。また、蛍光体の体積平均粒径が6μm以上35μm以下であれば、波長変換部材の厚さを薄くすることができ、軽量化することができる。蛍光体の体積平均粒径は、体積基準の粒度分布において、小径側からの累積50%に達する粒径をいう。蛍光体の体積基準の粒度分布は、レーザー回折式粒度分布測定装置(例えばMaster Sizer 3000、Malvern Panalytical製)によって測定することができる。
【0023】
蛍光体の体積平均粒径が5μm以上35μm以下の範囲内であると、蛍光体を含む波長変換部材は、厚さを18μm以上100μm以下の範囲内と薄くすることができ、好ましい。蛍光体の体積平均粒径が6μm以上35μm以下の範囲内である蛍光体を含む波長変換部材は、厚さを薄くすることができ、好ましい。蛍光体の体積平均粒径が6μm以上30μm以下の範囲内である蛍光体を含む波長変換部材は、厚さを18μm以上70μm以下の範囲内と薄くすることができ、より好ましい。蛍光体の体積平均粒径が6μm以上20μm以下の範囲内であると、蛍光体を含む波長変換部材は、厚さを22μm以上35μm以下の範囲内と薄くすることができ、さらに好ましい。蛍光体の体積平均粒径が6μm以上15μm以下の範囲内であると、蛍光体を含む波長変換部材は、厚さを22μm以上30μm以下の範囲内と薄くすることができ、よりさらに好ましい。また、体積平均粒径が5μm以上35μm以下の範囲内である蛍光体を含む波長変換部材は、波長変換部材の厚さを薄くした場合であっても、光度が高い光を発することができる。高い光度の光を発することができる波長変換部材を用いることによって、光出射部から発する光の輝度ムラもより低減できる。
【0024】
同一の面積を有する波長変換部材の場合は、波長変換部材の厚さが、各波長変換部材の体積比となる。波長変換部材の体積比を考慮して、波長変換部材の厚さと、波長変換部材中の透光性材料の100質量部に対する波長変換部材中の蛍光体の含有量(質量部)の積で表される波長変換部材の体積を考慮した蛍光体の量が、2000質量部以上14000質量部以下の範囲内である、ことが好ましい。波長変換部材の体積を考慮した蛍光体の量が、2000質量部以上14000質量部以下の範囲内であると、波長変換部材の厚さが18μm以上100μm以下の範囲と薄い場合であっても、光度が高い光を発することができる。
波長変換部材の厚さが20μm以上70μm以下の範囲内である場合、波長変換部材の体積を考慮したの蛍光体の量が、2500質量部以上13200質量部以下の範囲内でもよい。
波長変換部材の厚さが22μm以上35μm以下の範囲内である場合、波長変換部材の体積を考慮した蛍光体の量が、2500質量部以上10000質量部以下の範囲内でもよい。
波長変換部材の厚さが22μm以上30m以下の範囲内である場合、波長変換部材の体積を考慮した蛍光体の量が、2500質量部以上8000質量部以下の範囲内でもよく、2600質量部以上6000質量部以下の範囲内でもよい。
【0025】
蛍光体の体積平均粒径が5μm以上35μm以下の範囲内であると、蛍光体を含む波長変換部材は、厚さを18μm以上100μm以下の範囲内と薄くすることができ、同一の面積を有する波長変換部材の厚さと、波長変換部材中の透光性材料の100質量部に対する波長変換部材中の蛍光体の含有量の積で表される、波長変換部材の体積を考慮した蛍光体の量が、2000質量部以上14000質量部以下の範囲内とすることができ、同一の主波長を有する光を発する場合に、光度の高い光を発することができる。
蛍光体の体積平均粒径が6μm以上30μm以下の範囲内であると、蛍光体を含む波長変換部材は、厚さを20μm以上70μm以下の範囲内と薄くすることができ、波長変換部材の厚さが薄い場合であっても、波長変換部材の体積を考慮した蛍光体の量が、2500質量部以上13200質量部以下の範囲内とすることができ、同一の主波長を有する光を発する場合に、光度の高い光を発することができる。
蛍光体の体積平均粒径が6μm以上20μm以下の範囲内であると、蛍光体を含む波長変換部材は、厚さを22μm以上35μm以下の範囲内とより薄くすることができ、波長変換部材の厚さがより薄い場合であっても、波長変換部材の体積を考慮した蛍光体の量が、2500質量部以上10000質量部以下の範囲内とすることができ、同一の主波長を有する光を発する場合に、光度の高い光を発することができる。
蛍光体の体積平均粒径が6μm以上15μm以下の範囲内であると、蛍光体を含む波長変換部材は、厚さを22μm以上30μm以下の範囲内とより薄くすることができ、波長変換部材の厚さがより薄い場合であっても、波長変換部材の体積を考慮した蛍光体の量が、2500質量部以上8000質量部以下の範囲内、より好ましくは2600質量部以上6000質量部以下の範囲内とすることができ、同一の主波長を有する光を発する場合に、光度の高い光を発することができる。
【0026】
波長変換部材は、前記式(5)で表される第4窒化物蛍光体(CASN蛍光体)を含む場合に、CASN蛍光体の体積平均粒径が5μm以上35μm以下の範囲内であると、波長変換部材の面積(cm2)に対する蛍光体の質量(mg)が1.50mg/cm2以上9.00mg/cm2以下の範囲内であれば、光度の低下を抑制して、厚さを薄くすることができる。
波長変換部材は、CASN蛍光体を含む場合に、CASN蛍光体の体積平均粒径が6μm以上30μm以下の範囲内であると、波長変換部材の面積(cm2)に対する蛍光体の質量(mg)が2.00mg/cm2以上8.50mg/cm2以下の範囲内とすることができ、面積に対して最適量の蛍光体(質量:mg)を含んだ状態で、厚さを薄くすることができ、光度の高い光を発することができる。
波長変換部材は、CASN蛍光体を含む場合に、CASN蛍光体の体積平均粒径が6μm以上15μm以下の範囲内であると、光拡散剤を含まない場合に、波長変換部材の面積(cm2)に対する蛍光体の質量(mg)を3.00mg/cm2以上4.00mg/cm2以下の範囲内とすることができ、面積に対して最適量の蛍光体を含む状態で、厚さを薄くすることができ、光度の高い光を発することができる。
波長変換部材は、CASN蛍光体を含む場合に、CASN蛍光体の体積平均粒径が6μm以上15μm以下の範囲内であると、光拡散剤を含む場合に、波長変換部材の面積(cm2)に対する蛍光体の質量(mg)を2.00mg/cm2以上4.00mg/cm2以下の範囲内とすることができ、光拡散剤を含まない場合と比較して、面積に対して少ない蛍光体の量でも、厚さを薄くすることができ、光度の高い光を発することができる。
【0027】
波長変換部材は、前記式(7)で表される組成を有する第1フッ化物蛍光体(KSF蛍光体)及び前記式(8)で表される組成を有する第2フッ化物蛍光体(KSAF蛍光体)からなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。KSF蛍光体又はKSAF蛍光体は、組成に含まれる元素やモル比を変えて、組成を調整することで、蛍光体から発せられる光の残光時間を調節することが可能である。蛍光体の発光の残光時間を調節することができると、蛍光体を含む波長変換部材から幻想的に見える光を発することができる。例えば、残光時間が長くなると、光の出射部の輪郭がぼやけて、光の取り出し部における光が幻想的に見えやすくなる。残光時間は、励起光を蛍光体の照射し、励起光の照射を遮断した時点を基準時とし、蛍光体から発せられる光の発光強度の経時変化を測定し、励起光を照射したときの蛍光体の発光強度を基準強度100%とし、基準強度100%に対して発光強度が10%の強度となったときの時間を残光時間とすることができる。励起光は、例えば発光ピーク波長が450nmの光を励起光として蛍光体に照射することができる。蛍光体から発せられる光の発光強度は、分光光度計(例えば製品名F-7000、株式会社日立ハイテクノロジーズ製)を用いて測定することができる。
【0028】
KSF蛍光体又はKSAF蛍光体の発光の残光時間は、5ms以上20ms以下の範囲に調節することが好ましい。蛍光体の残光時間が5ms以上20ms以下の範囲内であれば、光出射部の輪郭がぼやけて、より幻想的な照射光を出射することができる。
KSF蛍光体は、前記式(7)で表される組成において、元素A1がKであり、元素M6がSiであるときに、例えば元素M6をGeにすることで、蛍光体の発光の残光時間を13msにすることができる。
KSF蛍光体は、前記式(7)で表される組成において、元素A1がKであり、元素M6がSiであるときに、例えば元素A1をNaとし、元素M6をGeとすることで、蛍光体の発光の残光時間を9msにすることができる。
KSF蛍光体は、前記式(7)で表される組成において、元素A1がKであり、元素M6がSiであるときに、例えば元素A1をCsとし、元素M6をTiとすることで、蛍光体の発光の残光時間を7msにすることができる。
KSAF蛍光体は、前記式(8)で表される組成において、元素A2がKであり、元素M7がSiであり、元素M8がAlであるときに、例えば元素M7をGeにすることで、蛍光体の発光の残光時間を13msにすることができる。
KSAF蛍光体は、前記式(8)で表される組成において、元素A2がKであり、元素M7がSiであり、元素M8がAlであるときに、例えば元素A2をNaとし、元素M7をGeとすることで、蛍光体の発光の残光時間を9msにすることができる。
KSAF蛍光体は、前記式(8)で表される組成において、元素A2がKであり、元素M7がSiであり、元素M8がAlであるときに、例えば元素A2をCsとし、元素M7をTiとすることで、蛍光体の発光の残光時間を7msにすることができる。
【0029】
図4は、車両用灯具10の一例の概略側面図を示す。車両用灯具10は、導光板1の複数の光出射部1aを覆う、少なくとも1種の蛍光体31を含む波長変換部材3を備える。導光板1及び波長変換部材3は、両端をそれぞれ支持部材41、42によって支持されてもよい。光源2は、導光板1の側面に対向して配置され、光源2から出射した光が導光板1の側面から導光板1に入射されるように支持部材41に支持されてもよい。車両用灯具10は、複数の光出射部1aの光の取り出し側を覆う波長変換部材3を備えることが好ましい。車両用灯具は、導光板1の複数の光出射部1aの全てを覆う1つの波長変換部材を備えてもよい。
【0030】
車両用灯具は、導光板の複数の光出射部のうちいくつかを覆う波長変換部材を備えてもよい。車両用灯具は、複数の光出射部の光の取り出し側を覆う波長変換部材を備えることによって、導光板の光出射部で、光源から導光板に入射された光が、光出射部から拡散して出射され、さらに波長変換部材で拡散されるため、光出射部の全域において輝度ムラを低減した光が出射されるように見える。また、1つの波長変換部材が複数の光出射部の全てを覆うことで、例えば各光出射部上の照射光の輪郭がぼやけるため、光の取り出し部における光が幻想的に見えやすくなる。
【0031】
図5は、車両用灯具10の一例の概略側面図を示す。車両用灯具10は、導光板1上の複数の光出射部1aをそれぞれ覆う、複数の波長変換部材3を備えることが好ましい。複数の波長変換部材3は、導光板1と離隔して、導光板1上に配置されている。波長変換部材3は、蛍光体31と、蛍光体31とは組成又は発光ピーク波長が異なる蛍光体32を含む。なお、複数の波長変換部材3は、導光板1の上面に直接接して配置されてもよい。車両用灯具10は、複数の光出射部1aの光の取り出し側をそれぞれ覆う複数の波長変換部材3を備えることによって、光源2から導光板1に入射された光が、光出射部1aから拡散して出射され、さらに波長変換部材3で拡散されるため、光出射部1aの全域において輝度ムラを低減した光が出射されるように見える。また、複数の波長変換部材3のそれぞれを各光出射部1a上に配置することで、例えば光出射部1a上の輝度と低輝度部1bとの輝度差を大きくすることができコントラストが向上する。さらに、各波長変換部材3を離隔して配置することで、各光出射部1a上に出る光の輪郭が見えやすくなり、車両用灯具における照射光のデザイン性が向上しやすくなる。各光出射部上に出る光の輪郭が見えやすくなり、デザインされた光出射部の輪郭を浮かび上がらせることによって、光の取り出し部における光を幻想的に見せることができる。
【0032】
第2態様の車両用灯具は、光出射部を有する複数の導光板と、導光板に420nm以上550nm以下の範囲内に発光ピーク波長を有する光を入射する複数の光源と、光出射部上に配置され、光出射部から出射された光の波長を変換して540nm以上700nm以下の範囲内に発光ピーク波長を有する光を発する波長変換部材と、を備える。
【0033】
図6Aは、第2態様の車両用灯具20の一例を示す概略平面図である。
図6Bは、
図6Aに示す車両用灯具20を矢印6B方向から見た概略断面図である。車両用灯具20は、光出射部11aを有する複数の導光板11と、導光板11に420nm以上550nm以下の範囲内に発光ピーク波長を有する光を入射する複数の光源2と、光出射部11a上に配置され、光出射部11aから出射された光の波長を変換して540nm以上700nm以下の範囲内に発光ピーク波長を有する光を発する波長変換部材3と、を備える。波長変換部材3は、少なくとも1種の蛍光体31を含む。車両用灯具20は、光出射部11aの全域において輝度ムラを低減した光を出射するために、複数の導光板11を覆う1つの波長変換部材3を備えることが好ましい。1つの波長変換部材が複数の導光板11の全てを覆うことで、例えば各導光板11上の照射光の輪郭がぼやけるため、光の取り出し部における光が幻想的に見えやすくなる。
【0034】
図7Aは、第2態様の車両用灯具に備える複数の導光板11を配置した支持部材12の一例を示す概略平面図である。
図7Bは、
図7Aの導光板1を矢印7B方向からみた概略断面図である。光出射部11aを有する複数の導光板11は、支持部材12に配置される。支持部材12は、例えば光反射性の材料を含む白色部材である。支持部材12は、導光板11を配置する位置に凹部12aを有し、導光板11を配置する凹部12aと凹部12aの間に凸部12bを有し、支持部材12の両端部にも凸部12bを有することが好ましい。支持部材12は、導光板11が配置される凹部12aと、隣り合う導光板11、11の間の低輝度部12bとなる凸部を有することが好ましい。導光板11は、支持部材12に配置されている側の反対側、すなわち光の取り出し側の一面が光出射部11aとなるものでもよい。支持部材12が凹部12aを有し、導光板11が凹部12aに配置されていると、導光板11の側面が低輝度部12bとなる凸部で覆われる。低輝度部12bとなる凸部で側面が覆われた導光板11は、側面から光が漏れ出ることが少なくなり、光出射部11aから出射される光の輝度を高めることができる。複数の導光板11を備える車両用灯具20は、複数の導光板11を面光源として用いる場合に、一つの導光板11の一つの光出射部11a及び支持部材12の低輝度部12bによって、面光源が配置される光の取り出し部となる領域を複数に区画することができる。複数の導光板11及び支持部材12が面光源となるように車両用灯具20が配置された光の取り出し部となる領域において、一つの区画となる一つの光出射部11aから光が出射され、区画された一区画ごとに、異なる色調の光が出射されるようにしてもよい。支持部材12は、複数の導光板11を保持することができる部材であればよく、例えば公知の平板状の基板等を用いることもできる。また、支持部材12は、白色部材である代わりに、例えば導光板11の屈折率よりも低い屈折率の部材を用いてもよい。これにより、低輝度部としてもよい。
【0035】
車両用灯具は、光出射部11aの全域において輝度ムラを低減した光を出射するために、複数の光出射部のそれぞれの光の取り出し側を覆う複数の波長変換部材を備えることが好ましい。各波長変換部材を離隔して配置することで、各光出射部11a上に出る光の輪郭が見えやすくなり、車両用灯具における照射光のデザイン性が向上しやすくなる。
【0036】
図8は、車両用灯具20の一例の概略側面図を示す。車両用灯具20は、低輝度部12bを有する支持部材12に配置された複数の導光板11と、複数の導光板11のそれぞれの光出射部11a上を覆う、複数の波長変換部材3を備える。
波長変換部材3は、少なくとも1種の蛍光体31を含む。
【0037】
第1態様における導光板、又は、第2態様における導光板と支持部材は、光出射部と低輝度部を備えることによって、光が出射される領域が複数に区画され、一つの区画は一つの光出射部によって形成され、一区画ごとに光を出射することができる。車両用灯具から光が出射される領域が複数に区画され、区画された一区画ごとに光を出射することができると、例えば、右側の光出射部から順次左側の光出射部に流れるように光を出射させて、「Welcome」等の意味の表示をしたり、左側の光出射部から順次右側の光出射部に流れるように光を出射させて「Good Bye」等の意味の表示をしたりする、アニメーション表示をすることが可能となる。アニメーション表示をすることにより、光の取り出し部における光が幻想的に見えやすくなる。車両用灯具から光が出射される領域は、後述するように車両用灯具を面光源として車両に搭載した場合に、光の取り出し部となる領域である。車両用灯具から光が出射され、光の取り出し部となる領域は、複数に区画され、区画された一区画ごとに、異なる色調の光が出射されるようにしてもよい。車両用灯具から光が出射される領域であり、車両用灯具が車両に搭載された際に光の取り出し部となる領域が複数に区画され、区画された一区画ごとに、異なる色調の光が出射されると、例えば、後退灯(バックランプ)用の白色光、制動灯(ストップ)用と尾灯(テール)用を兼用する赤色光、並びに方向指示器(ターンシグナル)用のアンバー(橙)色光を発するリアコンビネーションランプに用いることが可能となる。
【0038】
車両用灯具は、波長変換部材の光の取り出し側に配置した拡散板、及び/又は、波長変換部材の光の取り出し側の反対側に配置した拡散板を備えることが好ましい。波長変換部材の光の取り出し側に、拡散板が配置されていると、波長変換部材から出射した光がさらに拡散板で拡散され、輝度ムラをより低減した光が出射される。また、波長変換部材の光の取り出し側の反対側に拡散板が配置されていると、光出射部から出射した光が波長変換部材に入射される前により拡散板でより拡散されて波長変換部材に入射され、波長変換部材でさらに光が拡散されて、輝度ムラをより低減した光が出射される。拡散板は、波長変換部材の光の取り出し側又は波長変換部材の光の取り出し側の反対側のどちらか一方に一つの拡散板が配置されてもよく、両方に二つの拡散板が配置されてもよい。拡散板は、波長変換部材の光の取り出し側の面及び/又は光の取り出し側の反対側の面に接して形成された拡散層であってもよい。拡散板は、透光性材料と光拡散剤を含む、板状、シート状又は層状の部材をいう。透光性材料は、樹脂、ガラス及び無機物からなる群から選択される少なくとも一種が挙げられる。透光性材料に用いる樹脂は、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、及びポリイミド樹脂からなる群から選択される少なくとも一種であることが好ましい。透光性材料に用いる無機物は、酸化アルミニウム及び窒化アルミニウムからなる群から選択される少なくとも一種が挙げられる。拡散板に用いる光拡散剤は、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化亜鉛等が挙げられる。
【0039】
図9は、車両用灯具10の一例の概略側面図を示す。車両用灯具10は、導光板1の光出射部1a上に波長変換部材3を備え、波長変換部材3の光の取り出し側の反対側に拡散板4を備える。
図9及び
図10において、光の取り出し側又は光の取り出し方向は、図中の+z方向を意味する。
【0040】
車両用灯具は、波長変換部材の光の取り出し側に配置したプリズムシートを備えることが好ましい。プリズムシートは、種々の方向から入射する光を、光の取り出し側に向かう方向、すなわち導光板の光の出射側の面及び波長変換部材の光の出射側の面と垂直な方向に屈折させる。これにより、プリズムシートの光の取り出し側の面からプリズムシートに垂直方向の光の成分が多く含まれる光が出射されることになり、光の輝度を高め、一つの光出射部の輝度ムラを低減することができる。プリズムシートの厚さは、例えば0.08μm程度である。プリズムシートは、例えば3M社製の高度構造光学複合体(ASOC)を用いることができる。プリズムシートは、波長変換部材の光の取り出し側に、波長変換部材から間隔をあけて配置してもよく、波長変換部材に直接接するように配置してもよい。波長変換部材の光の取り出し側に拡散板が配置されている場合には、プリズムシートは、拡散板から間隔をあけて配置してもよく、拡散板に直接接するように配置してもよい。
【0041】
車両用灯具は、導光板の光出射部の光の取り出し側の反対側に配置した反射層を備えることが好ましい。導光板の光出射部の光の取り出し側の反対側に配置した反射層を備えることにより、導光板を導光した光を反射層で反射させ、光出射部から光の取り出し側に出射する光の成分を多くして、光出射部から出射する光の輝度を高めることができる。反射層は、導光板の光出射部の光の取り出し側の反対側の面に接して形成されてもよい。導光板の光出射部の光の取り出し側の反対側の面から間隔をあけて配置できる反射板であってもよい。反射層は、透光性材料と反射材を含む。反射層に用いる透光性材料は、樹脂であることが好ましい。透光性材料に用いる樹脂は、アクリレート樹脂、エポキシ樹脂等を主成分とした硬化性樹脂が挙げられる。反射層又は反射板に用いる反射材は、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化亜鉛等の酸化物の粒子が挙げられる。
【0042】
車両用灯具は、波長変換部材の光の取り出し側に配置したダイクロイックミラーを備えることが好ましい。波長変換部材の光の取り出し側にダイクロイックミラーを備えることにより、波長変換部材から出射された光のうち所定の波長の光を透過させることができ、所望の色調の光を光取り出し側から出射させることができる。ダイクロイックミラーは、所定の波長選択性を有する誘電体多層膜によって形成される。誘電体多層膜は、Ta2O5/SiO2、TiO2/SiO2、Nb2O5/SiO2などから形成され得る。
【0043】
拡散板、プリズムシート、反射層、及びダイクロイックミラーは、任意に組み合わせて用いることができる。
【0044】
図10は、車両用灯具10の一例の概略側面図を示す。車両用灯具10は、導光板1の光出射部1a上に波長変換部材3を備え、波長変換部材3の光の取り出し側の反対側に反射層6を備え、波長変換部材の光の取り出し側に拡散板4を備え、拡散板4の光の取り出し側にダイクロイックミラー7を備え、ダイクロイックミラー7の光の取り出し側にプリズムシート5を備える。
【0045】
車両用灯具は、波長が400nm以上500nm以下の範囲内の光の透過率が5%以下であり、波長が610nm以上700nm以下の範囲内の光の透過率が60%以上である、カラーフィルターを備えることが好ましい。
【0046】
車両用灯具は、波長が400nm以上500nm以下の範囲内の光の透過率が5%以下であり、波長が610nm以上700nm以下の範囲内の光の透過率が60%以上でありカラーフィルターを備えることにより、420nm以上550nm以下の範囲内に発光ピーク波長を有する光源からの光の透過を抑制し、波長変換部材で波長変換された光を透過しやすくして、光出射部上に出る光の輪郭を見えやすくすることができる。光出射部上にでる光の輪郭が見やすくなると、デザインされた光出射部の輪郭を浮かび上がらせることによって、光の取り出し部における光を幻想的に見せることができる。
【0047】
カラーフィルターは、波長変換部材の光の取り出し側に配置されることが好ましい。カラーフィルターは、拡散板、プリズムシート、反射層、及びダイクロイックミラーからなる群から選択される1以上の部材と任意に組み合わせて用いることができる。後述するように、ランプボディのカバーがカラーフィルターであってもよい。
【0048】
次に、波長変換部材の光の出射側から一つの光出射部に対向する部位の輝度(以下、「一つの光出射部の輝度Li」ともいう。)及び低輝度部に対向する部位の輝度(以下、「低輝度部の輝度Lo」ともいう。)を測定する手順について説明する。一つの光出射部の輝度Liと低輝度部の輝度Loから、一つの光出射部の平均輝度Liaveと、低輝度部の平均輝度Loaveを次の(a)から(j)の手順で測定することができる。(a)から(j)の手順は、必要に応じて順番の入れ替えが可能である。
(a)二次元色彩輝度計を用いて、波長変換部材の光の取り出し側から、導光板の全面又は複数の導光板が配置された支持部材の全面の輝度を一画素ごとに測定する。
(b)一つの光出射部に対向する部位(一つの光出射部)と、一つの光出射部に対向する部位以外の部位(低輝度部)との境界線では、一つの光出射部の境界線付近の輝度が最も小さい数値になる。
(c)一つの光出射部の境界線付近の最も小さい数値の輝度を、一つの光出射部の境界線を示す輝度LBとして設定する。複数の導光板又は複数の導光板を備えた支持部材の全面を測定する場合において、同一の光出射部を測定する場合には、同一の光出射部の面積又は画素数が、複数の導光板において同じ数値となるように、境界線を示す輝度LBの数値を設定する。
(d)設定した境界線を示す輝度LBの数値以上の輝度となる部位の輝度を、一つの光出射部の輝度Liとする。
(e)一画素ごとに測定した、一つの光出射部の輝度Liの総輝度Litotalを算出する。一つの光出射部の総輝度Litotalは、一画素ごとに測定した一つの光出射部の輝度Liの合計値である。
(f)一つの光出射部の平均輝度Liaveとして、一つの光出射部の総輝度Litotalの算術平均値を算出する。
(g)設定した境界線を示す輝度LBの数値未満の輝度となる部位の輝度を、低輝度部の輝度Loとする。
(h)一画素ごとに測定した、低輝度部の輝度Loの総輝度Lototalを算出する。低輝度部の総輝度Lototalは、一画素ごとに測定した低輝度部の輝度Loの合計値である。
(i)低輝度部の平均輝度Loaveとして、低輝度部の総輝度Litotalの算術平均値を算出する。
(j)一つの光出射部の平均輝度Liaveを100%として、低輝度部の平均輝度Loaveの割合(Liave/Loave×100(%)))を求める。
本明細書において、二次元輝度計は、例えばイメージング色彩輝度計(ProMetric(登録商標)、Radiant Vision Systems社製)を使用することができる。
【0049】
本開示の車両用灯具において、波長変換部材の光の出射側から測定した一つの光出射部の平均輝度Liaveを100%としたときの、低輝度部の平均輝度Loaveの割合は、20%以下であることが好ましい。本開示の車両用灯具において、一つの光出射部の平均輝度Liaveを100%としたときの、低輝度部の平均輝度Loaveの割合が20%以下であれば、低輝度部から光が漏れ出ることが少なく、車両用灯具を面光源として配位した場合における光の取り出し部となる領域を、一つの光出射部と低輝度部によって複数に区画することができ、複数に区画された一つの区画ごとに光を出射することができる。光出射部の平均輝度Liaveを100%としたときに、低輝度部の平均輝度Loaveの割合は20%以下であればよく、15%以下でもよく、10%以下でもよい。低輝度部は、光が出射されなくてもよく、光出射部の平均輝度Liaveを100%としたときの、低輝度部の平均輝度Loaveの割合は0%でもよい。光出射部の平均輝度Liaveを100%としたときの、低輝度部の平均輝度Loaveの割合は、1%以上でもよく、2%以上でもよく、5%以上でもよい。
【0050】
また、波長変換部材の光の取り出し側から測定した一つの光出射部の輝度の輝度ムラEは次の(k)から(n)の手順で測定することができる。(k)から(n)の手順は、必要に応じて順番の入れ替えが可能である。
(k)一画素ごとに測定した一つの光出射部の輝度Liと光出射部の平均輝度Liaveの差分ΔLiを下記式(I)により求める。
(l)差分ΔLiの最大値ΔLimaxを求める。
(m)差分ΔLiの最小値ΔLiminを求める。
(n)光出射部の平均輝度Liaveと、差分ΔLiの最大値ΔLimaxと、差分ΔLiの最小値ΔLiminから、下記式(II)により一つの光出射部の輝度ムラEを求める。
ΔLi=Li-Liave (I)
E=ΔLimax/Liave-ΔLimin/Liave (II)
【0051】
一つの光出射部の輝度ムラEは、1.5未満であることが好ましい。一つの光出射部の輝度ムラEが1.5未満であれば、光出射部から輝度ムラの少ない光を出射することが可能であり、光出射部を輝度ムラの少ない面光源として用いることができる。輝度ムラEは、1.4以下でもよく、1.3以下でもよく、好ましくは1.2以下であり、より好ましくは1.1以下であり、さらに好ましくは1.0以下であり、0.1以上でもよく、0.2以上でもよい。
【0052】
前述の二次元色彩輝度計を用いて測定した一つの光出射部に対向する部位の画素数は、光出射部の大きさによって異なるが、200,000画素(ポイント)から400,000画素(ポイント)の範囲内である。波長変換部材の光の取り出し側から測定した一つの光出射部に対向する部位における輝度の差分ΔLi及び輝度ムラEは、電子情報技術産業協会が規定したEIAJ ED-2810の有機ELディスプレイモジュールの測定方法における輝度ムラの測定方法に準拠して求めることができる。
【0053】
車両用灯具は、光の取り出し部を有するランプボディと、光の取り出し部に配置されるカバーと、を備え、カバーを透過して、CIE1931色度図のxy色度座標において、色度座標(x,y)が、(x=0.645,y=0.335)を第1R点とし、(x=0.665,y=0.335)を第2R点とし、(x=0.735,y=0.265)を第3R点とし、(x=0.721,y=0.259)を第4R点とし、第1R点と第2R点を結ぶ第1R直線と、第2R点と第3R点を結ぶ第2R直線と、第3R点と第4R点を結ぶ第3R直線と、第4R点と第1R点を結ぶ第4R直線とで画定された領域R内の光を発することが好ましい。車両用灯具が、ランプボディと、カバーを備え、カバーを透過して出射される光が、CIE1931色度図のxy色度座標において、領域R内の色調を有する光であると、例えば制動灯(ストップ)用と尾灯(テール)用を兼用する赤色光を発することができる。CIE1931色度図のxy色度座標において、領域R内の色調を有する光は、車両用灯具の少なくとも一つの光出射部から発せられるようにしてもよい。
【0054】
車両用灯具の少なくとも一つの光出射部から、カバーを透過して、CIE1931色度図のxy色度座標において領域R内の光を発する場合は、420nm以上470nm以下の範囲内に発光ピーク波長を有する光を発する少なくとも一つの光源を備えることが好ましい。420nm以上470nm以下の範囲内に発光ピーク波長を有する光源は、前述の発光素子を用いることができる。
【0055】
車両用灯具は、光の取り出し部を有するランプボディと、光の取り出し部に配置されるカバーと、を備え、カバーを透過して、CIE1931色度図のxy色度座標において、色度座標(x,y)が、(x=0.545,y=0.425)を第1A点とし、(x=0.557,y=0.442)を第2A点とし、(x=0.609,y=0.390)を第3A点とし、(x=0.597,y=0.390)を第4A点とし、第1A点と第2A点を結ぶ第1A直線と、第2A点と第3A点を結ぶ第2A直線と、第3A点と第4A点を結ぶ第3A直線と、第4A点と第1A点を結ぶ第4A直線とで画定された領域A内の光を発することが好ましい。車両用灯具が、ランプボディと、カバーを備え、カバーを透過して出射される光が、CIE1931色度図のxy色度座標において、領域A内の色調を有する光であると、例えば方向指示器用の灯光の橙色光を発することができる。CIE1931色度図のxy色度座標において、領域A内の色調を有する光は、車両用灯具の少なくとも一つの光出射部から発せられるようにしてもよい。
【0056】
車両用灯具の少なくとも一つの光出射部から、カバーを透過して、CIE1931色度図のxy色度座標において領域A内の光を発する場合は、500nm以上550nm以下の範囲内に発光ピーク波長を有する光を発する少なくとも一つの光源を備えることが好ましい。500nm以上550nm以下の範囲内に発光ピーク波長を有する光源は、前述の発光素子を用いることができる。
【0057】
車両用灯具は、光の取り出し部を有するランプボディと、光の取り出し部に配置されるカバーと、を備え、カバーを透過して、CIE1931色度図のxy色度座標において、色度座標(x,y)が、(x=0.310,y=0.348)を第1W点とし、(x=0.453,y=0.440)を第2W点とし、(x=0.500,y=0.440)を第3W点とし、(x=0.500,y=0.382)を第4W点とし、(x=0.443,y=0.382)を第5W点とし、(x=0.310,y=0238)を第6W点とし、第1W点と第2W点を結ぶ第1W直線と、第2W点と第3W点を結ぶ第2W直線と、第3W点と第4W点を結ぶ第3W直線と、第4W点と第5W点を結ぶ第4W直線と、第5W点と第6W点を結ぶ第5W直線と、第6W点と第1W点を結ぶ第6W直線とで画定された領域W内の光を発することが好ましい。車両用灯具が、ランプボディと、カバーを備え、カバーを透過して出射される光が、CIE1931色度図のxy色度座標において、領域W内の色調を有する光であると、例えば後退灯の灯光の白色光を発することができる。CIE1931色度図のxy色度座標において、領域A内の色調を有する光は、車両用灯具の少なくとも一つの光出射部から発せられるようにしてもよい。
【0058】
車両用灯具の少なくとも一つの光出射部から、カバーを透過して、CIE1931色度図のxy色度座標において領域A内の光を発する場合は、470nm以上500nm以下の範囲内に発光ピーク波長を有する光を発する少なくとも一つの光源を備えることが好ましい。470nm以上500nm以下の範囲内に発光ピーク波長を有する光源は、前述の発光素子を用いることができる。
【0059】
図11は、CIE1931色度図のxy色度座標において、車両用灯具が発する光の領域R、領域A、及び領域Wを示す図である。
図11中、弧を描く線はスペクトル軌跡であり、スペクトル軌跡近くの数値は波長を示す。以下、「CIE1931色度図」は「色度図」という場合があり、「CIE1931色度図の色度座標」を、「色度座標」という場合がある。色度図における領域Rの光は、赤色の発光色を呈する。色度図における領域Aの光は、橙色の発光色を呈する。色度図における領域Wの光は、白色の発光色を呈する。色度図における領域R、領域A及び領域Wの光は、車両用灯具の光の取り出し部となる領域において、区画されたそれぞれ異なる一部の領域から発せられてもよい。一つの光出射部から発せられる光が色度図において領域R内の赤色光を発してもよく、他の光出射部から発せられる光が色度図において領域A内の橙色光を発してもよく、赤色光及び橙色光を発する光出射部とは異なる光出射部から色度図において領域W内の白色光を発してもよい。
【0060】
色度図において、領域R、領域A及び領域W内の色調の光は、欧州経済委員会が定めた自動車用試験規格であるECE(Economic Commision for Europe)規格の制動灯又は尾灯の赤色、方向指示器用の灯光の橙色、後退灯の白色の色調に適合している。色度図において、領域W内の色調の光は、JIS D5500で規定されている白色領域内の色度座標を有する。色度図において、領域A内の色調の光は、JIS Z8701において規定される、色度座標において、0.429≧y≧0.398、z≦0.007の範囲を満たしている。領域R内の色調の光は、JIS Z8701において規定される、色度座標において、y≦0.335、z≦0.008の範囲を満たしている。また、車両用灯具のカバーの照射面で反射した光は、光色が領域Rと同じ色度範囲となることが好ましい。
【0061】
ランプボディと、カバーを備えた車両用灯具の一例を図面を用いて説明する。
図12は、ランプボディとカバーを備えた車両用灯具100が車体200に取り付けられた状態を模式的に示す外観図である。
図13は、車両用灯具100を模式的に示す断面図である。なお、
図13の断面図において、別途記載のない限り、+Z方向を上方向として説明し、-Z方向を下方向として説明する場合がある。
図13において、上側又は上方向は、光の取り出し側又は光の取り出し方向を示す。
【0062】
図12及び
図13を用いて説明する車両用灯具100は、ランプボディ8と、ランプボディ8の開口部である光の取り出し部8aにカバー9を備える。ランプボディ8には、両端をそれぞれ支持部材41,42によって支持された導光板1と、波長変換部材3とを配置してもよい。カバー9は、カラーフィルターであってもよい。車両用灯具100の一つの光出射部1aから出射された光は、少なくとも波長変換部材3により波長変換されて、カバー9を透過する。カバー9を透過した光は、例えば
図11に示す色度図において領域R内の色調を呈することが好ましい。カラーフィルターは、波長が400nm以上500nm以下の範囲内の光の透過率が5%以下であり、波長が610nm以上700nm以下の範囲内の光の透過率が60%以上であるこことが好ましい。
【0063】
車両用灯具は、車体後方において左右対称な2台を1組として使用される。車両用灯具は、取り付けられる自動車の車幅方向においてよく見えるように、車両用灯具からの光の出射面となり、外部からの光の反射面となるカバーが車体後面に露出するように車体に埋め込まれて取り付けられてもよい。車両用灯具は、カバーの出射面から、各領域ごとに白色光LW、赤色光LR、橙色光LAを出射するものであることが好ましい。また、車両用灯具は、外部からの光により、照射面全体を覆うカバーから赤色光を反射することが好ましい。なお、本明細書において、橙色はアンバーを含む。白色光LWは自動車の後退灯の灯光、橙色光LAは方向指示器の灯光、赤色光LRは制動灯と尾灯の灯光であり、それぞれ色度図における領域W、領域R、領域A内の色度範囲の発光色を満たし、それぞれECE規格の後退灯用の白色光、方向指示器用の灯光の橙色光、制動灯又は尾灯の灯光の赤色の色調を満たしていることが好ましい。
【0064】
カバーは、カラーフィルターとして機能してもよく、アウタレンズとしての機能を有してもよい。カバーは、車両用灯具の照射面の少なくとも一部に反射器としての機能を付与するために設けらてもよく、カバーに、外部から光が入射されると、赤色光を反射し、反射器としての機能を有してもよい。カバーがカラーフィルターとして機能する場合は、波長が400nm以上500nm以下の範囲内の光の透過率が5%以下であり、波長が610nm以上700nm以下の範囲内の光の透過率が60%以上であるこことが好ましい。
【0065】
カバーがカラーフィルターとしての機能も有する場合は、アゾ化合物、シアニン化合物、ペリレン化合物、ジオキサジン化合物等の赤色の顔料で着色された、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等の透明かつ必要な強度を有する樹脂で形成されたものを用いることができる。カバーは、アウタレンズとしての機能も有し、アウタレンズとも称されるが、レンズ機能を有してもよく、レンズ機能を有さず光をそのままの配光で透過してもよい。カバーは、少なくとも一部の領域が再帰性反射体となるように、裏面(内面)又は表面に凹凸(レンズカット、マイクロプリズム)が形成されてもよい。
【0066】
ランプボディは、照射面となる光の取り出し部が開口した筐体であり、車両用灯具の外装を構成する。ランプボディは、導光板、波長変換部材及び光源を収容し、光の取り出し部となる開口を覆うようにカバーが配置され、カバーを支持する。ランプボディは、内面を反射面とする光反射体であることが好ましい。このようなランプボディを備えた車両用灯具は、少なくとも一つの光出射部から波長変換部材等を透過した出射光がカバーに向けて発せられ、光の取り出し部からカバーを透過した白色光LW、橙色光LA、赤色光LRが、車両における後方から発せられる。車両用灯具は、光の取り出し部において、区画された領域ごとに光を出射することが可能であり、カバー透過後に、ECEで規定された白色、赤色、橙色の各色調の光を発することができ、車体のリアコンビネーションランプとして用いることができる。また、車両用灯具は、光の取り出し部において、複数に区画された区画ごとに光を出射することが可能であるので、区画ごとの特定の意味を有するように光を点灯させるアニメーション表示を行うことが可能となる。
【0067】
本開示に係る実施形態は、以下の車両用灯具を含む。
【0068】
[項1]
複数の光出射部と、隣り合う前記光出射部の間に位置し、前記光出射部から出射される光の輝度よりも低い輝度の光を出射する低輝度部と、を有する導光板と、
前記導光板に420nm以上550nm以下の範囲内に発光ピーク波長を有する光を入射する複数の光源と、
前記光出射部上に配置され、前記光出射部から出射された光の波長を変換して540nm以上700nm以下の範囲内に発光ピーク波長を有する光を発する波長変換部材と、を備える車両用灯具。
[項2]
光出射部を有する複数の導光板と、
前記導光板に420nm以上550nm以下の範囲内に発光ピーク波長を有する光を入射する複数の光源と、
前記光出射部上に配置され、前記光出射部から出射された光の波長を変換して540nm以上700nm以下の範囲内に発光ピーク波長を有する光を発する波長変換部材と、を備える車両用灯具。
[項3]
前記導光板を配置する支持部材を備え、前記支持部材は、一つの導光板と、前記一つの導光板以外の他の導光板の間に位置する低輝度部を有する、項2に記載の車両用灯具。
[項4]
前記波長変換部材の光の取り出し側から一つの前記光出射部に対向する部位の輝度を、二次元色彩輝度計を用いて一画素ごとに測定し、一画素ごとに測定した輝度の総輝度の算術平均値である光出射部の平均輝度Liaveを100%としたときの、前記波長変換部材の光の取り出し側から前記低輝度部に対向する部位の輝度を、一画素ごとに測定した輝度の総輝度の算術平均値である低輝度部の平均輝度Loaveの割合が20%以下である、項1又は3に記載の車両用灯具。
[項5]
複数の前記光出射部の光の取り出し側を覆う波長変換部材を備える、項1から4のいずれか1項に記載の車両用灯具。
[項6]
複数の前記光出射部の光の取り出し側をそれぞれ覆う複数の波長変換部材を備える、項1から4のいずれか1項に記載の車両用灯具。
[項7]
前記波長変換部材の一つの前記光出射部に対向する部位の輝度を、二次元色彩輝度計を用いて一画素ごとに測定し、一画素ごとに測定した光出射部の輝度Liの総輝度の算術平均値である光出射部の平均輝度Liaveと、前記輝度Liと前記平均輝度Liaveの差分ΔLiを下記式(I)により求め、前記差分ΔLiの最大値ΔLimaxと、前記差分ΔLiの最小値ΔLiminと、前記平均輝度Liaveにより、下記式(II)により求められる輝度ムラEが1.5未満である、請求項1から6のいずれか1項に記載の車両用灯具。
ΔLi=Li-Liave (I)
E=ΔLimax/Liave-ΔLimin/Liave (II)
[項8]
前記波長変換部材の光の取り出し側に配置した拡散板、及び/又は、前記波長変換部材の光の取り出し側の反対側に配置した拡散板を備える、項1から7のいずれか1項に記載の車両用灯具。
[項9]
前記波長変換部材の光の取り出し側に配置したプリズムシートを備える、項1から8のいずれか1項に記載の車両用灯具。
[項10]
前記光出射部の光の取り出し側の反対側に配置した反射層を備える、項1から9のいずれか1項に記載の車両用灯具。
[項11]
前記光出射部の光の取り出し側の反対側に配置したダイクロイックミラーを備える、項1から10のいずれか1項に記載の車両用灯具。
[項12]
前記波長変換部材の厚さが18μm以上100μm以下の範囲内である、項1から11のいずれか1項に記載の車両用灯具。
[項13]
前記波長変換部材は、下記式(1)で表される組成を有する希土類アルミン酸塩蛍光体、下記式(2)で表される組成を有する第1窒化物蛍光体、下記式(3)で表される組成を有する第2窒化物蛍光体、下記式(4)で表される組成を有する第3窒化物蛍光体、下記式(5)で表される組成を有する第4窒化物蛍光体、下記式(6)で表される組成を有する第5窒化物蛍光体、下記式(7)で表される組成を有する第1フッ化物蛍光体、及び下記式(8)で表される組成を有する第2フッ化物蛍光体からなる群から選択される少なくとも1種の蛍光体を含む、項1から12のいずれか1項に記載の車両用灯具。
R1
3(AlcGab)5O12:Cea (1)
(式(1)中、R1は、Y、Gd、Lu及びTbからなる群から選ばれる少なくとも1種であり、a、b及びcは、0<a≦0.22、0≦b≦0.4、0<c≦1.1、0.9≦b+c≦1.1を満たす。)
M1
dSi12-(e+f)Ale+fOfN16-f:Eu (2)
(式(2)中、M1は、Li、Mg、Ca、Sr、Y及びランタノイド元素(但し、LaとCeを除く。)からなる群から選択される少なくとも1種の元素を含み、d、e及びfは、それぞれ0<d≦2.0、2.0≦e≦6.0、0≦f≦1.0を満たす。)
M2
2Si5N8:Eu (3)
(式(3)中、M2は、Ca、Sr及びBaからなる群から選択される少なくとも1種を含むアルカリ土類金属元素である。)
SrgCahAliSijNk:Eu (4)
(式(4)中、g、h、i、j、kは、それぞれ0≦g<1、0<h≦1、g+h≦1、0.9≦i≦1.1、0.9≦j≦1.1、2.5≦k≦3.5を満たす。)
CaAlSiN3:Eu (5)
M3
mM4
nAl3-pSipNq:M5 (6)
(式(6)中、M3は、Ca、Sr、Ba及びMgからなる群より選択される少なくとも1種の元素であり、M4は、Li、Na及びKからなる群より選択される少なくとも1種の元素であり、M5は、Eu、Ce、Tb及びMnからなる群より選択される少なくとも1種の元素であり、m、n、p及びqは、それぞれ0.80≦m≦1.05、0.80≦n≦1.05、0≦p≦0.5、3.0≦q≦5.0を満たす。)
A1
s[M6
rMn4+
rFt] (7)
(前記式(7)中、A1は、K+、Li+、Na+、Rb+、Cs+及びNH4
+からなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、M6は、第4族元素及び第14族元素からなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、rは、0<r<0.2を満たし、sは、[M6
1-rMn4+
rFt]イオンの電荷の絶対値であり、tは、5<t<7を満たす。)
A2
w[M7
1-u―vM8
vMn4+
uFx] (8)
(前記式(8)中、A2は、K+、Li+、Na+、Rb+、Cs+及びNH4
+からなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、M7は、第4族及び第14族からなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、M8は、第13族からなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、uは、0<u<0.2を満たし、wは、[M7
1-u―vM8
vMn4+
uFx]イオンの電荷の絶対値であり、vは、0<v≦0.1、xは、5<x<7を満たす。)
[項14]
光の取り出し部を有するランプボディと、
前記光の取り出し部に配置されるカバーと、を備え、
前記カバーを透過して、CIE1931色度図のxy色度座標において、色度座標(x,y)が、(x=0.645,y=0.335)を第1R点とし、(x=0.665,y=0.335)を第2R点とし、(x=0.735,y=0.265)を第3R点とし、(x=0.721,y=0.259)を第4R点とし、前記第1R点と前記第2R点を結ぶ第1R直線と、前記第2R点と前記第3R点を結ぶ第2R直線と、前記第3R点と前記第4R点を結ぶ第3R直線と、前記第4R点と第1R点を結ぶ第4R直線とで画定された領域R内の光を発する、項1から13のいずれか1項に記載の車両用灯具。
[項15]
少なくとも一つの前記光源は、420nm以上470nm以下の範囲内に発光ピーク波長を有する光を発する、項14に記載の車両用灯具。
[項16]
光の取り出し部を有するランプボディと、
前記光の取り出し部に配置されるカバーと、を備え、
前記カバーを透過して、CIE1931色度図のxy色度座標において、色度座標(x,y)が、(x=0.545,y=0.425)を第1A点とし、(x=0.557,y=0.442)を第2A点とし、(x=0.609,y=0.390)を第3A点とし、(x=0.597,y=0.390)を第4A点とし、前記第1A点と前記第2A点を結ぶ第1A直線と、前記第2A点と前記第3A点を結ぶ第2A直線と、前記第3A点と前記第4A点を結ぶ第3A直線と、前記第4A点と第1A点を結ぶ第4A直線とで画定された領域A内の光を発する、項1から15のいずれか1項に記載の車両用灯具。
[項17]
少なくとも一つの前記光源は、500nm以上550nm以下の範囲内に発光ピーク波長を有する光を発する、請求項16に記載の車両用灯具。
[項18]
光の取り出し部を有するランプボディと、
前記光の取り出し部に配置されるカバーと、を備え、
前記カバーを透過して、CIE1931色度図のxy色度座標において、色度座標(x,y)が、(x=0.310,y=0.348)を第1W点とし、(x=0.453,y=0.440)を第2W点とし、(x=0.500,y=0.440)を第3W点とし、(x=0.500,y=0.382)を第4W点とし、(x=0.443,y=0.382)を第5W点とし、(x=0.310,y=0.283)を第6W点とし、前記第1W点と前記第2W点を結ぶ第1W直線と、前記第2W点と前記第3W点を結ぶ第2W直線と、前記第3W点と前記第4W点を結ぶ第3W直線と、前記第4W点と第5W点を結ぶ第4W直線と、前記第5W点と前記第6W点を結ぶ第5W直線と、前記第6W点と前記第1W点を結ぶ第6W直線とで画定された領域W内の光を発する、項1から17のいずれか1項に記載の車両用灯具。
[項19]
少なくとも一つの前記光源は、470nm以上500nm以下の範囲内に発光ピーク波長を有する光を発する、項18に記載の車両用灯具。
[項20]
前記蛍光体の体積平均粒径が5μm以上35μm以下の範囲内である、項13に記載の車両用灯具。
[項21]
同一の面積を有する波長変換部材の厚さと、波長変換部材中の透光性材料の100質量部に対する波長変換部材中の蛍光体の含有量(質量部)の積で表される、波長変換部材の体積当たりの蛍光体の量が、2000質量部以上14000質量部以下の範囲内である、項13又は20に記載の車両用灯具。
[項22]
波長が400nm以上500nm以下の範囲内の光の透過率が5%以下であり、波長が610nm以上700nm以下の範囲内の波長の光の透過率が60%以上である、カラーフィルターを備える、項1から21のいずれか1項に記載の車両用灯具。
【実施例0069】
以下、本開示を実施例により具体的に説明する。なお、本開示は、これらの実施例に限定されるものではない。
【0070】
実施例1
図3A及び
図3Bに示す複数の光出射部1aと低輝度部1bとを有するポリメチルメタクリレート樹脂(PMMA)製の導光板1を準備した。発光ピーク波長が450nmである、光を発する窒化物半導体を用いた半導体発光素子を光源とし準備した。前記式(5)で表される組成を有するCASN蛍光体と、シリコーン樹脂を含む、厚さが60μmの波長変換部材を準備した。
図1Aに示す、複数の光出射部1aと、隣り合う光出射部1aの間に位置する低輝度部1bと、を有する導光板1と、導光板1に、450nmの発光ピーク波長を有する光源2と、光出射部1aを覆うように光出射部1a上に配置され、光出射部1aから出射された光の波長を変換して660nmに発光ピーク波長を有する光を発する波長変換部材3と、を備える車両用灯具10を形成した。後述する輝度を測定した装置を用いて、実施例1に係る車両用灯具10の一つの光出射部1aから出射された光のCIE色度図における色度座標(x、y)を波長変換部材3の光の取り出し側から一画素ごとに測定した。一画素ごとに測定した色度座標(x,y)の算術平均値を求めた。実施例1に係る車両用灯具10の波長変換部材3の光の取り出し側から測定した一つの光出射部1aから出射された光の色度座標(平均値)は、(x=0.695,y=0.305)であり、
図11に示すCIE色度図における領域Rの光を発した。
【0071】
実施例2
図3A及び
図3Bに示す複数の光出射部1aと低輝度部1bとを有するポリメチルメタクリレート樹脂(PMMA)製の導光板1を準備した。発光ピーク波長が450nmである、光を発する窒化物半導体を用いた半導体発光素子を光源とし準備した。前記式(5)で表される組成を有するCASN蛍光体と、シリコーン樹脂を含む、厚さが60μmの波長変換部材を準備した。
図9に示す、複数の光出射部1aと、隣り合う光出射部1aの間に位置する低輝度部1bと、を有する導光板1と、導光板1に、450nmの発光ピーク波長を有する光源2と、光出射部1aを覆うように光出射部1a上に配置され、光出射部1aから出射された光の波長を変換して660nmに発光ピーク波長を有する光を発する波長変換部材3と、波長変換部材3の光の取り出し側の反対側に拡散板4と、を備える車両用灯具10を形成した。実施例1と同様にして、実施例2に係る車両用灯具10の一つの光出射部1aから出射された光のCIE色度図における色度座標(x、y)の平均値を測定した。実施例2に係る車両用灯具10の波長変換部材3の光の取り出し側から測定した一つの光出射部1aから出射された光の色度座標(平均値)は、(x=0.696,y=0.304)であり、
図11に示すCIE色度図における領域Rの光を発した。
【0072】
比較例1
複数の光出射部と低輝度部とを有するポリメチルメタクリレート樹脂(PMMA)製の導光板を準備した。発光ピーク波長が630nmである、光を発する半導体発光素子を光源とし準備した。複数の光出射部と、隣り合う光出射部の間に位置する低輝度部と、を有する導光板と、導光板に、630nmの発光ピーク波長を有する光を入射する光源と、光出射部を覆うように光出射部上に配置された拡散板と、を備える車両用灯具を形成した。比較例1は、660nmに発光ピーク波長を有する光を発する波長変換部材の代わりに、630nmの発光ピーク波長を有する光源を用いる点で実施例1及び実施例2と異なる。実施例1と同様にして、比較例1に係る車両用灯具の一つの光出射部から出射された光のCIE色度図における色度座標(x、y)の平均値を測定した。比較例1に係る車両用灯具の拡散板の光の取り出し側から測定した一つの光出射部から出射された光の色度座標(平均値)は、(x=0.686,y=0.314)であり、
図11に示すCIE色度図における領域Rの光を発した。
【0073】
輝度及び輝度ムラの測定
実施例1、実施例2及び比較例1の各車両用灯具の一つの光出射部から光を出射し、波長変換部材の光の取り出し側から、導光板の全面に対向する部位となる輝度を、二次元色彩輝度計である、イメージング色彩輝度計(ProMetric(登録商標)、Radiant Vision Systems社製)を使用して、一画素ごとに測定した。波長変換部材の特定の一つの光出射部に対向する部位と、低輝度部に対向する部位との境界線付近の輝度がもっとも小さい数値となる輝度を、境界線の輝度LBとして設定した。実施例1、実施例2及び比較例1の各車両用灯具は、それぞれ同じ形状の光出射部から光を出射するようにし、各車両用灯具において、一つの光出射部の面積が同じ面積となるように境界線付近の輝度LBを設定した。境界線となる輝度LB以上の数値となる輝度の総輝度の算術平均値を光出射部の平均輝度Liaveとして導き出した。境界線となる輝度LB未満の数値となる輝度の総輝度の算術平均値を低輝度部の平均輝度Loaveとして導きだした。具体的には、前述の(a)から(j)の手順に従って測定した。実施例1において、光出射部の画素数(測定ポイント数)は、約31万2千画素数(ポイント数)であった。
光出射部の平均輝度Liaveを100%としたときの低輝度部の平均輝度Loaveの割合を求めた。(Loave/Liave×100(%))。
また、一画素ごとに測定した光出射部の輝度Liと光出射部の平均輝度Liaveの差分ΔLiを下記式(I)により求め、差分ΔLiの最大値ΔLimaxと、差分ΔLiの最小値ΔLiminと、光出射部の平均輝度Liaveにより、下記式(II)により求められる輝度ムラEを測定した。具体的には、前述の(k)から(n)の手順に従って測定した。結果を表1に記載した。
ΔLi=Li-Liave (I)
E=ΔLimax/Liave-ΔLimin/Liave (II)
【0074】
図14は、実施例1に係る車両用灯具において、光を出射させた一つの光出射部を波長変換部材の光の取り出し側から撮影した外観写真である。
図15は、実施例1に係る車両用灯具において、波長変換部材の光の取り出し側から一画素ごとに測定した一つの光出射部に対向する部位の一部と低輝度部に対向する部位の一部の各輝度を示す。
図16は、実施例1に係る車両用灯具において、波長変換部材の光の取り出し側から一画素ごとに測定した一つの光出射部に対向する部位の一部の各輝度を示す。
【0075】
【0076】
実施例1及び2に係る車両用灯具は、光出射部の平均輝度Liaveを100%としたときの、低輝度部の平均輝度Loaveの割合が20%以下であり、光の取り出し部を複数に区画し、区画された領域ごとに光を出射した。また、実施例1及び2に係る車両用灯具は、輝度ムラEが1.5未満であり、光取り出し部を複数に区画した一つの領域である光出射部から輝度ムラを低減した光を出射することができた。実施例1に係る車両用灯具は、拡散板を備えていないが、光出射部から出射された光が、波長変換部材で拡散され、拡散板を備える比較例1に係る車両用灯具と比較して、一つの光出射部から輝度ムラを低減した光が出射された。実施例2に係る車両用灯具は、波長変換部材の光の取り出し側に、拡散板が配置されているため、波長変換部材から出射した光がさらに拡散板で拡散され、輝度ムラをより低減した光が出射された。
【0077】
比較例1に係る車両用灯具は、420nm以上550nm以下の範囲内に発光ピーク波長を有する光源を備えていないため、一つの光出射部から出射した光の輝度ムラEが1.5を超えて大きくなった。
【0078】
図14に示すように、実施例1に係る車両用灯具は、光の取り出し部の領域を複数に区画した一区画を形成する光出射部から輝度ムラを低減した光を出射することができるので、光の取り出し部において、複数に区画された一区画ごとに光を出射することが可能である。区画された一区画ごとに光を出射することができると、例えば、一区画ごとに特定に意味を有するように光を点灯させるアニメーション表示を行うことが可能である。また、区画された一区画ごとに色調の異なる光を出射させることができると、後退灯(バックランプ)用の白色光、制動灯(ストップ)用と尾灯(テール)用を兼用する赤色光、並びに方向指示器(ターンシグナル)用のアンバー(橙)色光を発するリアコンビネーションランプに用いることができる。
【0079】
図15に示す波長変換部材の光の取り出し側から一画素ごとに測定した導光板に対する部位の各輝度から、光出射部と低輝度の境界線を示す最も小さい値となる輝度L
Bを導き出し、輝度L
B未満の各輝度を削除し、輝度L
B以上の各輝度Liを残した。すると、
図16に示すように、光出射部と同じ形に各輝度Liが残り、光出射部の輝度Liの総輝度の光出射部の平均輝度Li
ave、差分ΔLi、差分ΔLiの最大値ΔLi
max、差分ΔLiの最小値ΔLi
minを算出することができた。
【0080】
実施例3~9
前記式(5)で表される組成を有するCASN蛍光体と、シリコーン樹脂を含み、表2に示す厚さとなる実施例3~9の各波長変換部材を準備した。各実施例の各波長変換部材に用いる各CASN蛍光体の体積平均粒径、及びシリコーン樹脂の100質量部に対するCASN蛍光体の質量部は、表2に記載した。実施例の各波長変換部材に対して、次の後述する測定を行った。
【0081】
実施例10~16
前記式(5)で表される組成を有するCASN蛍光体と、シリコーン樹脂と、光拡散剤として酸化アルミニウム粒子を用いて、表2に示す厚さとなる実施例10~16の各波長変換部材を準備した。各実施例の各波長変換部材に用いる各CASN蛍光体の体積平均粒径、及びシリコーン樹脂の100質量部に対するCASN蛍光体の質量部は、表2に記載した。実施例の各波長変換部材に対して、次の後述する測定を行った。光拡散剤である酸化アルミニウム粒子は、レーザー回折法で測定したカタログ値の体積平均粒径が0.4μmを超えて0.5μm以下の範囲内であり、酸化アルミニウムの純度が99.99質量%以上であった。
【0082】
実施例3~16に係る各波長変換部材について、以下の測定を行った。結果を表2に示す。表2において、記号「-」は、該当する項目が存在しないことを表し、具体的には、波長変換部材が光拡散剤を含まないことを表す。
【0083】
蛍光体の体積平均粒径
実施例の各波長変換部材に用いた蛍光体の体積平均粒径は、体積基準の粒度分布において、小径側から累積50%の粒径とした。蛍光体の体積基準の粒度分布は、レーザー回折式粒度分布測定装置(Master Sizer 3000、Malvern Panalytical製)を用いて測定した。
【0084】
蛍光体の量
実施例の各波長変換部材は、同一の面積を有し、厚さがそれぞれ異なるため、面積を1として各波長変換部材の厚さと、透光性部材であるシリコーン樹脂の100質量部に対する蛍光体の含有量(質量部)の積を、波長変換部材の体積を考慮した蛍光体の量として算出した。具体的には、下記式(III)により波長変換部材の体積を考慮した蛍光体の量を算出した。
波長変換部材を考慮した蛍光体の量=1(μm2)×波長変換部材の厚さ(μm)×透光性部材の100質量部に対する蛍光体の量(質量部) (III)
【0085】
カラーフィルタ透過前の色度座標
実施例の各波長変換部材について、発光ピーク波長が449nmである励起光を照射し、マルチチャンネル分光装置(PMA-11、浜松ホトニクス株式会社製)を用いて、室温(25℃)における各波長変換部材の発光スペクトルを測定した。各波長変換部材の発光スペクトルデータから、CIE(国際照明委員会:Commission Internationale de l’Eclairage)1931表色系における色度座標(x、y)の値を求めた。
【0086】
カラーフィルタ透過後の色度座標、主波長(λd)
実施例の各波長変換部材について、波長が400nm以上500nm以下の範囲内の光の透過率が0%であり、波長が610nm以上700nm以下の範囲内の波長の光の透過率が60%以上である、カラーフィルターの透過率曲線のデータを用いて、波長変換部材の光の取り出し側に配置したカラーフィルターを透過した後の各波長変換部材の発光スペクトルを、シミュレーションにより求めた。求めた各波長変換部材の発光スペクトルデータから、各波長変換部材から発せられた光のカラーフィルター透過後のCIE1931表色系における色度座標(x、y)の値を求めた。また、求めた各波長変換部材の発光スペクトルデータから、カラーフィルター透過後の各波長変換部材の発光の主波長(λd)を求めた。主波長(λd)は、CIE1931表色系における色度座標において、白色光の色度座標(x=0.3333、y=0.3333)と、カラーフィルター透過後の各波長変換部材の発光の色度座標(x、y)を直線で結び、その延長線とスペクトル軌跡が交わる点の波長をいう。
【0087】
相対光度
実施例の各波長変換部材について、発光ピーク波長が449nmである励起光を照射し、マルチチャンネル分光装置(PMA-11、浜松ホトニクス株式会社製)を用いて、室温(25℃)における各波長変換部材の発光スペクトルを測定し、波長変換部材の光の取り出し側にカラーフィルターを配置した場合のカラーフィルターを透過後の各波長変換部材の発光の光度(cd)を、シミュレーションにより求めた。シミュレーションには、波長が400nm以上500nm以下の範囲内の光の透過率が0%であり、波長が610nm以上700nm以下の範囲内の波長の光の透過率が60%以上である、カラーフィルターの透過率曲線のデータを用いた。実施例10の波長変換部材の光度を100%として、実施例10以外の実施例の各波長変換部材の相対光度(%)を求めた。
【0088】
【0089】
実施例3から16に係る各波長変換部材は、発光ピーク波長が449nmmである励起光の光を波長変換して、カラーフィルター透過前に、540nm以上700nm以下の発光ピーク波長を有する光を発した。
実施例3から16に係る波長変換部材は、蛍光体の体積平均粒径が5μm以上35μm以下の範囲内であり、波長変換部材の厚さを18μm以上100μm以下の範囲内と薄くすることができた。また、実施例3から16に係る波長変換部材は、厚さが18μm以上100μmと薄い場合であっても、蛍光体の体積平均粒径が5μm以上35μm以下の範囲内と体積平均粒径が小さいので、波長変換部材の体積を考慮した蛍光体の量が、2000質量部以上14000質量部以下の範囲内であり、カラーフィルター透過後に、所望の主波長を有する光を発し、相対光度も比較的高い光を発した。また、光拡散剤を含んでない実施例3から9に係る各波長変換部材は、光拡散剤を含む実施例10から16に係る各波長変換部材と比べて、相対光度が大きく低下しておらず、同程度の相対光度を有し、光拡散剤を含まない場合であっても十分に光度の高い光を発した。
また、実施例3から16に係る波長変換部材は、蛍光体の体積平均粒径が5μm以上35μm以下の範囲内であり、波長変換部材の面積(cm2)に対する蛍光体の質量(mg)が1.50mg/cm2以上9.00mg/cm2以下の範囲内として、厚さを薄くすることができる。
【0090】
実施例4から9及び実施例11から16に係る各波長変換部材は、蛍光体の体積平均粒径が6μm以上30μm以下の範囲内であり、波長変換部材の厚さを20μm以上70μm以下の範囲内とすることができた。また、実施例4から9及び実施例11から16に係る波長変換部材は、厚さが20μm以上70μmと薄い場合であっても、波長変換部材の体積を考慮した蛍光体の量が、2500質量部以上14000質量部以下の範囲内であり、カラーフィルター透過後に、所望の主波長を有する光を発し、実施例3又実施例10と比較して、相対光度が100%を超えて相対光度の高い光を発した。
また、実施例4から9及び実施例11から16に係る各波長変換部材は、蛍光体の体積平均粒径が6μm以上30μm以下の範囲内であり、波長変換部材の面積(cm2)に対する蛍光体の質量(mg)が2.00mg/cm2以上8.50mg/cm2以下の範囲内として、厚さを薄くすることができ、相対光度の高い光を発することができる。
【0091】
実施例4から6及び実施例11から13に係る各波長変換部材は、蛍光体の体積平均粒径が6μm以上15μm以下の範囲内であり、波長変換部材の厚さを22μm以上30μm以下の範囲内とすることができた。また、実施例4から6及び実施例11から13に係る波長変換部材は、厚さが22μm以上30μmと薄い場合であっても、波長変換部材の体積を考慮した蛍光体の量が、2500質量部以上6000質量部以下の範囲内であり、カラーフィルター透過後に、所望の主波長を有する光を発し、実施例3又実施例10と比較して、相対光度が100%を超えて相対光度の高い光を発した。
また、実施例4から6に係る各波長変換部材は、蛍光体の体積平均粒径が6μm以上15μm以下の範囲内であり、光拡散剤を含まない場合に、波長変換部材の面積(cm2)に対する蛍光体の質量(mg)を3.00mg/cm2以上4.00mg/cm2以下の範囲内とすることができ、厚さを薄くすることができ、相対光度の高い光を発することができる。
また、実施例11から13に係る各波長変換部材は、蛍光体の体積平均粒径が6μm以上15μm以下の範囲内であり、ると、蛍光体を含む波長変換部材は、光拡散剤を含む場合に、波長変換部材の面積(cm2)に対する蛍光体の質量(g)を2.00mg/cm2以上4.00mg/cm2以下の範囲内とすることができ、光拡散剤を含まない場合と比較して、面積に対して少ない蛍光体の量でも、厚さを薄くすることができ、相対光度の高い光を発することができる。
本開示の車両用灯具は、例えば自動二輪車、自動四輪車等の道路運送車両や、鉄道車両、整地・運搬・積込用機械のようなトラクター系又は堀削用機械等のショベル系の車両系建設機械に用いる車両のリアコンビネーションランプに用いることができる。
1:導光板、1a:光出射部、1b:低輝度部、2:光源、3:波長変換部材、4:拡散板、5:プリズムシート、6:反射層、7:ダイクロイックミラー、8:ランプボディ、9:カバー、10:車両用灯具、11:導光板、11a:光出射部、12:支持部材、12b:低輝度部、31、32:蛍光体、41、42、43、44:支持部材、100:車両用灯具、200:車体。