(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024070934
(43)【公開日】2024-05-24
(54)【発明の名称】ケーブル収容容器
(51)【国際特許分類】
H02G 9/04 20060101AFI20240517BHJP
E04H 6/00 20060101ALN20240517BHJP
E04H 6/42 20060101ALN20240517BHJP
【FI】
H02G9/04
E04H6/00 C
E04H6/42 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022181564
(22)【出願日】2022-11-14
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114292
【弁理士】
【氏名又は名称】来間 清志
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(72)【発明者】
【氏名】牧 拓也
【テーマコード(参考)】
5G369
【Fターム(参考)】
5G369AA17
5G369AA19
5G369BA03
5G369DB01
5G369DB05
5G369DB07
(57)【要約】
【課題】収容空間の延在方向における発光器具の取り付け位置を自由に設定することができるケーブル収容容器を提供する。
【解決手段】ケーブルが収容される収容空間の上部に開口部が形成された容器本体20と、収容空間の延在方向に並べて配置することによって開口部を閉鎖する複数の蓋体30と、蓋体30の上面から上側に向かって光を照射する複数の発光器具40と、を備え、蓋体30の上面が地上に露出するように地中に設置されるケーブル収容容器10であって、複数の蓋体30は、発光器具40が設置される複数の器具設置蓋体31と、収容空間の延在方向に並べられた器具設置蓋体31と器具設置蓋体31との隙間を閉鎖する隙間閉鎖蓋体32と、を有し、複数の器具設置蓋体31は、隙間閉鎖蓋体32の収容空間の延在方向の大きさに応じて、それぞれ収容空間の延在方向に位置決めされる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブルが収容される収容空間の上部に開口部が形成された容器本体と、前記収容空間の延在方向に並べて配置することによって前記開口部を閉鎖する複数の蓋体と、前記蓋体の上面から上側に向かって光を照射する複数の発光器具と、を備え、前記蓋体の上面が地上に露出するように地中に設置されるケーブル収容容器であって、
複数の前記蓋体は、前記発光器具が設置される複数の器具設置蓋体と、前記収容空間の延在方向に並べられた前記器具設置蓋体と前記器具設置蓋体との隙間を閉鎖する隙間閉鎖蓋体と、を有し、
複数の前記器具設置蓋体は、前記隙間閉鎖蓋体の前記収容空間の延在方向の大きさに応じて、それぞれ前記収容空間の延在方向に位置決めされる
ケーブル収容容器。
【請求項2】
前記器具設置蓋体は、前記発光器具の上部側が嵌合する嵌合孔を有し、
前記発光器具は、下部側が容器本体に収容された状態で、上部側が前記嵌合孔に嵌合し、上面が前記器具設置蓋体の上面と面一となる
請求項1に記載のケーブル収容容器。
【請求項3】
前記容器本体の下面から前記蓋体の上面までの高さ方向の大きさは、60mm以下である
請求項1に記載のケーブル収容容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地面に沿って設置されるケーブル収容容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、駐車場において、複数の車室の中から特定の車室に車両を誘導するために、車路の路面に発光器具を設置し、発光器具から照射される光によって車路を走行する車両を誘導するようにした車両誘導装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
従来の車両誘導装置は、車路の路面に設置された発光器具に対して電力の供給を可能とするために、電源と発光器具との間の車路を掘削してCD管を埋設し、CD管に電力線を通している。
【0004】
従来の車両誘導装置は、電源と発光器具との間の距離が大きくなる場合や、設置する発光器具の数が多くなる場合に、車路の掘削やCD管の設置に必要な作業工数が多くなるため、設置コストが高くなる。
【0005】
そこで、設置コストの低減が可能な車両誘導装置としては、電力線等のケーブルを収容するためのケーブル収容容器を駐車場の車路に設置するとともに、ケーブル収容容器を構成する蓋に発光器具を設置することにより、駐車場を利用する車両を複数の車室から特定の車室に案内するようにしたものが考えられている。この場合には、ケーブル収容容器を設置することによって、ケーブルを敷設する作業が容易になるとともに、発光器具を直接車路の路面に設置する必要がないため、車両誘導装置の設置コストの低減が可能となる。
【0006】
ケーブル収容容器を用いた車両誘導装置では、幅方向に並べられた複数の車室の前方において、ケーブルが収容される収容空間が車室の幅方向に沿って延在するようにケーブル収容容器を設置し、複数の車室のそれぞれの幅方向の中央部に対応する部分に発光器具を配置している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
駐車場に配置される複数の車室は、駐車場によってそれぞれの幅方向の大きさが異なっていたり、駐車場によって隣り合う車室間の距離が異なっていたりする場合がある。ケーブル収容容器は、長手方向の大きさが所定の大きさに形成された複数の蓋を並べることによって容器本体の開口部を閉鎖しているため、蓋に設置された発光器具を車室の幅方向中央部の前方に配置することが困難である。
【0009】
本発明の目的とするところは、収容空間の延在方向における発光器具の取り付け位置を自由に設定することができるケーブル収容容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るケーブル収容容器は、ケーブルが収容される収容空間の上部に開口部が形成された容器本体と、前記収容空間の延在方向に並べて配置することによって前記開口部を閉鎖する複数の蓋体と、前記蓋体の上面から上側に向かって光を照射する複数の発光器具と、を備え、前記蓋体の上面が地上に露出するように地中に設置されるケーブル収容容器であって、複数の前記蓋体は、前記発光器具が設置される複数の器具設置蓋体と、前記収容空間の延在方向に並べられた前記器具設置蓋体と前記器具設置蓋体との隙間を閉鎖する隙間閉鎖蓋体と、を有し、複数の前記器具設置蓋体は、前記隙間閉鎖蓋体の前記収容空間の延在方向の大きさに応じて、それぞれ前記収容空間の延在方向に位置決めされる。
【0011】
また、本発明に係るケーブル収容容器は、前記器具設置蓋体は、前記発光器具の上部側が嵌合する嵌合孔を有し、前記発光器具は、下部側が容器本体に収容された状態で、上部側が前記嵌合孔に嵌合し、上面が前記器具設置蓋体の上面と面一となる。
【0012】
また、本発明に係るケーブル収容容器は、前記容器本体の下面から前記蓋体の上面までの高さ方向の大きさは、60mm以下である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、収容空間の延在方向の大きさが調整された隙間閉鎖蓋体および器具設置蓋体によって開口部を閉鎖することによって、要求される間隔で発光器具を設置することが可能となるので、収容空間の延在方向における発光器具の取り付け位置を自由に設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る駐車場の概略図である。
【
図2】
図2は、本発明の一実施形態に係るケーブル収容容器の断面図である。
【
図3】
図3は、本発明の一実施形態に係るケーブル収容容器の側面図である。
【
図4】
図4は、本発明の一実施形態に係る隣り合う車室の間隔が大きい場合を示す駐車場の平面図である。
【
図5】
図5は、本発明の一実施形態に係る隣り合う車室の間隔が小さい場合を示す駐車場の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1乃至
図5は、本発明の一実施形態を示すものである。
図1は駐車場の概略図であり、
図2はケーブル収容容器の断面図であり、
図3はケーブル収容容器の側面図であり、
図4は隣り合う車室間の隙間が大きい場合を示す駐車場の平面図であり、
図5は隣り合う車室間の隙間が小さい場合を示す駐車場の平面図である。
【0016】
本実施形態のケーブル収容容器10は、例えば、
図1に示すように、駐車場1の地面に沿って設置される。ケーブル収容容器10は、駐車場1において使用される機器に供給する電力を伝送するケーブル2が収容されるとともに、地上に向けて光を照射することによって、車両Aを複数の車室3の中から特定の車室(例えば、
図1中の車室3a)に案内するものである。ケーブル収容容器10は、複数の車室3のそれぞれの前方において車室3の幅方向に延在している。
【0017】
ケーブル収容容器10は、
図2に示すように、ケーブル2が収容される収容空間20aの上部に開口部20bが形成された複数の容器本体20と、
図1および
図3に示すように、開口部20bを閉鎖する複数の蓋体30と、蓋体30の上面から上側に向かって光を照射する複数の発光器具40と、を備えている。
【0018】
複数の容器本体20は、それぞれ、例えば、樹脂製の部材からなり、押出成型によって形成される。容器本体20は、
図2に示すように、底部21と、底部21の幅方向の両端側のそれぞれから上方に延在する幅方向一対の側部22と、を有し、底部21および側部22に囲まれる部分が、ケーブル2および発光器具40が収容される収容空間20aとなる。容器本体20は、長手方向(収容空間20aの延在方向)の大きさが、例えば2.5mに形成され、他の容器本体20の長手方向の端部と接続することにより、収容空間20aを連続して形成することが可能である。
【0019】
また、容器本体20は、収容空間20aにおいて、底部21から上方に延在し、蓋体30の下面側に当接して蓋体30の幅方向中央部側を下方から支持する一対の支持部23を有している。一対の支持部23は、それぞれ、収容空間20aの延在方向に沿って延在しており、収容空間20aが幅方向に並ぶ3つの空間に仕切られている。支持部23によって仕切られた収容空間20aの一部の空間には、発光器具40が収容され、その他の空間には、ケーブル2が収容されている。本実施形態では、収容空間20aにおける幅方向中央部側の空間に発光器具40が収容され、幅方向外側の空間にケーブル2が収容される。収容空間20aには、ケーブル2および発光器具40以外に、例えば通信機器やセンサ等の他の機器を収容してもよい。
【0020】
複数の蓋体30は、それぞれ、例えば、樹脂製の部材からなり、押出成型によって矩形の板状に形成される。蓋体30は、幅方向の大きさが容器本体20の幅方向の大きさと同一に形成されている。また、複数の蓋体30は、
図1および
図3に示すように、発光器具40が設置される複数の器具設置蓋体31と、収容空間20aの延在方向に並べられた器具設置蓋体31と器具設置蓋体31との隙間を閉鎖する複数の隙間閉鎖蓋体32と、を有している。
【0021】
複数の器具設置蓋体31は、それぞれ、収容空間20aの延在方向の大きさが、例えば、1mに形成されている。器具設置蓋体31は、幅方向の中央部、且つ、収容空間20aの延在方向の中央部に、発光器具40の上部側が嵌合する嵌合孔31aが形成されている。
【0022】
複数の隙間閉鎖蓋体32は、
図4および
図5に示すように、収容空間20aの延在方向の大きさが例えば1.5mに形成された第1隙間閉鎖蓋体32aと、収容空間20aの延在方向の大きさが第1隙間閉鎖蓋体32aよりも小さい例えば1.2mに形成された第2隙間閉鎖蓋体32bと、を有している。即ち、複数の隙間閉鎖蓋体32は、駐車場1における幅方向に隣り合う車室3と車室3との間隔の違いや、車室3の幅方向の大きさの違いに応じて、収容空間20aの延在方向の大きさが異なる複数種類の隙間閉鎖蓋体32を含む。
【0023】
発光器具40は、例えば、LED素子が配置された基板を透明な樹脂で覆うことによって形成され、例えば、長手方向の大きさが50cmで短手方向の大きさが3cmの矩形状の発光面を有している。発光器具40は、
図2に示すように、収容空間20aの底部に配置された台座41の上面に載置されている。発光器具40は、下部側が収容空間20aに収容され、上部側が器具設置蓋体31の嵌合孔31aに嵌合した状態で、上面が器具設置蓋体31の上面と面一となる。発光器具40は、収容空間20aに配置されたケーブル2から電力の供給を受けることによって発光する。
【0024】
また、ケーブル収容容器10は、容器本体20の下面から蓋体30の上面までの高さ方向の大きさが、例えば、60mm以下であることが好ましい。
【0025】
以上のように構成されたケーブル収容容器10を駐車場1の地面Gに設置するには、まず、駐車場1の車室3の前方に位置する部分を覆うアスファルト等の舗装を車室3の幅方向に沿って除去する。次に、舗装を除去した部分に蓋体30の上面が地面Gと面一となる高さとなるように容器本体20を配置し、最後に、隙間をモルタルによって埋める。舗装の厚さがケーブル収容容器10の厚さ方向の大きさよりも大きい場合には、舗装を除去した部分にモルタル等を投入して容器本体20の高さを調整する。
【0026】
駐車場1の地面Gに設置されたケーブル収容容器10において、ケーブル2は、収容空間20aの幅方向外側に位置する部分に配置され、発光器具40は、収容空間20aの幅方向中央部側に位置する部分に配置される。このとき、発光器具40は、収容空間20aの延在方向における各車室3の幅方向の中央部に対応する部分に配置され、上部側が器具設置蓋体31の嵌合孔31aに嵌合した状態となる。
【0027】
ここで、隣り合う車室3の間隔が大きい駐車場1では、
図4に示すように、容器本体20の開口部20bを、器具設置蓋体31および第1隙間閉鎖蓋体32aによって隙間なく閉鎖する。これにより、複数の器具設置蓋体31は、それぞれ、各車室3の幅方向の中央部に対応する部分に配置され、複数の器具設置蓋体31のそれぞれに設置された発光器具40についても、車室3の幅方向の中央部に対応する部分に配置される。
【0028】
また、隣り合う車室3の間隔が小さい駐車場1では、
図5に示すように、容器本体20の開口部20bを、器具設置蓋体31および第2隙間閉鎖蓋体32bによって隙間なく閉鎖する。これにより、複数の器具設置蓋体31は、それぞれ、各車室3の幅方向の中央部に対応する部分に配置され、複数の器具設置蓋体31のそれぞれに設置された発光器具40についても、車室3の幅方向の中央部に対応する部分に配置される。
【0029】
即ち、複数の器具設置蓋体31は、隙間閉鎖蓋体32の収容空間20aの延在方向の大きさに応じて、それぞれ収容空間20aの延在方向に位置決めされる。
【0030】
このように、本実施形態のケーブル収容容器10によれば、ケーブル2が収容される収容空間20aの上部に開口部20bが形成された容器本体20と、収容空間20aの延在方向に並べて配置することによって開口部20bを閉鎖する複数の蓋体30と、蓋体30の上面から上側に向かって光を照射する複数の発光器具40と、を備え、蓋体30の上面が地上に露出するように地中に設置されるケーブル収容容器10であって、複数の蓋体30は、発光器具40が設置される複数の器具設置蓋体31と、収容空間20aの延在方向に並べられた器具設置蓋体31と器具設置蓋体31との隙間を閉鎖する隙間閉鎖蓋体32と、を有し、複数の器具設置蓋体31は、隙間閉鎖蓋体32の収容空間20aの延在方向の大きさに応じて、それぞれ収容空間20aの延在方向に位置決めされる。
【0031】
これにより、収容空間20aの延在方向の大きさが調整された隙間閉鎖蓋体32および器具設置蓋体31によって開口部20bを閉鎖することによって、要求される間隔で発光器具40を設置することが可能となるので、収容空間20aの延在方向における発光器具40の取り付け位置を自由に設定することができる。
【0032】
また、器具設置蓋体31は、発光器具40の上部側が嵌合する嵌合孔31aを有し、発光器具40は、収容空間20aに収容された状態で、上部側が嵌合孔31aに嵌合し、上面が器具設置蓋体31の上面と面一となる、ことが好ましい。
【0033】
これにより、発光器具40の発光面が地面Gに露出されるので、発光器具40の光を鮮明に地面Gから照射することが可能となる。
【0034】
また、容器本体20の下面から蓋体30の上面までの高さ方向の大きさは、60mm以下である、ことが好ましい。
【0035】
これにより、舗装のみを除去することによってケーブル収容容器10を設置することが可能となるので、ケーブル収容容器10の設置時の施工工数の低減を図ることが可能となる。
【0036】
尚、前記実施形態では、ケーブル収容容器10を複数の車室3を有する駐車場1に適用したものを示したが、これに限られるものではない。例えば、本発明のケーブル収容容器を道路における車道と歩道との間に設置し、歩行者または車両の搭乗者に対して光による注意の喚起、情報の報知を行ってもよい。
【0037】
また、前記実施形態では、光源としてLED素子を有する発光器具40を示したが、光を照射するものであれば他の光源を有する発光器具であってもよい。
【0038】
また、前記実施形態では、収容空間20aを一対の支持部23によって幅方向に仕切り、収容空間20aにおける幅方向中央部側の空間に発光器具40を収容し、幅方向外側の空間にケーブル2を収容するようにしたものを示したが、これに限られるものではない。例えば、収容空間20aにおける幅方向外側の空間に発光器具40を収容し、幅方向中央部側の空間にケーブルを収容してもよい。また、収容空間20aを一の支持部によって幅方向に2つの空間に仕切り、収容空間の一方の空間に発光器具を収容し、他方の空間にケーブルを収容してもよい。
【0039】
また、前記実施形態では、1つの車室3に対して1つの発光器具40を設置するようにしたものを示したが、これに限られるものではなく、1つの車室に対して収容空間の延在方向に複数の発光器具を設置するようにしてもよい。この場合には、複数の発光器具の全体の中央部が車室の幅方向中央部に対応する部分に位置するように、複数の発光器具を配置すればよい。
【符号の説明】
【0040】
10 ケーブル収容容器
20 容器本体
20a 収容空間
20b 開口部
30 蓋体
31 器具設置蓋体
31a 嵌合孔
32 隙間閉鎖蓋体
32a 第1隙間閉鎖蓋体
32b 第2隙間閉鎖蓋体
40 発光器具