(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024071022
(43)【公開日】2024-05-24
(54)【発明の名称】インクジェット式記録装置用の報知装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B41J 29/38 20060101AFI20240517BHJP
B41J 29/42 20060101ALI20240517BHJP
B41J 2/165 20060101ALI20240517BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20240517BHJP
G06F 3/12 20060101ALI20240517BHJP
【FI】
B41J29/38 350
B41J29/42 E
B41J2/165 207
B41J2/165 211
B41J2/01 401
G06F3/12 319
G06F3/12 334
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022181722
(22)【出願日】2022-11-14
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107423
【弁理士】
【氏名又は名称】城村 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120949
【弁理士】
【氏名又は名称】熊野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100093997
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀佳
(72)【発明者】
【氏名】久保木 信吾
【テーマコード(参考)】
2C056
2C061
【Fターム(参考)】
2C056EA14
2C056EC26
2C056EC28
2C056EC41
2C056EC54
2C056EC57
2C061AP01
2C061AQ05
2C061CQ22
2C061CQ34
2C061CQ41
2C061HJ07
2C061HK11
2C061HK19
2C061HV22
2C061HV32
(57)【要約】
【課題】リフレッシュ用インクを印刷ジョブ等の実行用として有効利用することで廃インク量を低減する。
【解決手段】インクジェット式記録装置用の報知装置であって、報知装置はインクジェット記録装置と双方向通信可能な制御装置を有し、制御装置によってインクジェット記録装置のノズルヘッドのメンテナンスの到来時期をユーザーに報知し、制御装置に対するメンテナンスの指令に基づいてメンテナンス用インクをノズルヘッドから空吹き又は吸引可能にした報知装置において、制御装置は、メンテナンスの到来時期の報知に加えて印刷メニューの選択肢をユーザーに報知可能に構成したことを特徴とする。
【選択図】
図4A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクジェット式記録装置用の報知装置であって、当該報知装置はインクジェット記録装置と双方向通信可能な制御装置を有し、当該制御装置によって前記インクジェット記録装置のノズルヘッドのメンテナンスの到来時期をユーザーに報知し、前記制御装置に対するメンテナンスの指令に基づいてメンテナンス用インクを前記ノズルヘッドから空吹き又は吸引可能にした報知装置において、
前記制御装置は、前記メンテナンスの到来時期の報知に加えて印刷メニューの選択肢をユーザーに報知可能に構成したことを特徴とする報知装置。
【請求項2】
前記印刷メニューは、テスト画像又は印刷ジョブリストを含むことを特徴とする請求項1の報知装置。
【請求項3】
前記制御装置は、前記印刷メニューの選択肢の報知を無効化する第1の設定オプションを有することを特徴とする請求項1の報知装置。
【請求項4】
前記制御装置は、前記メンテナンスの到来時期を報知する条件と頻度を設定可能な第2の設定オプションを有することを特徴とする請求項1の報知装置。
【請求項5】
前記第2の設定オプションは、メンテナンス用インクの特性に対応した設定を有することを特徴とする請求項4の報知装置。
【請求項6】
前記制御装置は、前記インクジェット式記録装置の本体に配設され、当該記録装置の操作画面に前記メンテナンスの到来時期や前記印刷メニューを報知することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項の報知装置。
【請求項7】
前記制御装置は、前記インクジェット式記録装置とは別体の情報端末に配設され、当該情報端末のアプリ画面、ウィジェット、ロック画面、ホーム画面、デスクトップ画面、又はスクリーンセーバーに前記メンテナンスの到来時期や前記印刷メニューを報知することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項の報知装置。
【請求項8】
前記制御装置は、前記メンテナンスの到来時期を前回メンテナンスの実行時を基準として所定期間経過したときに次回メンテナンスの到来時期をユーザーに報知することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項の報知装置。
【請求項9】
前記制御装置は、前回メンテナンスの実行時を基準とする経過期間の長さに応じて、次回メンテナンスの実行時に前記ノズルヘッドから空吹き又は吸引するメンテナンス用インクの空吹き量又は吸引量を増大することを特徴とする請求項8の報知装置。
【請求項10】
前記制御装置は、前回メンテナンスの実行時を基準とする経過期間の長さに応じて、前記印刷メニューの選択肢をユーザーに報知することを特徴とする請求項8の報知装置。
【請求項11】
前記制御装置は、前記メンテナンスの到来時期の報知の前に、前記印刷メニューの選択肢をユーザーに報知することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項の報知装置。
【請求項12】
前記制御装置は、前回メンテナンスの実行時を基準とする期間の経過を計時する計時手段を有し、当該計時手段はスタンドアロン型で構成されるか、或いはネットワークでサーバと接続されたサーバクライアント型で構成されていることを特徴とする請求項10の報知装置。
【請求項13】
請求項1から4のいずれか1項の報知装置を有することを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はインクジェット式記録装置用の報知装置及び画像形成装置に係り、特にプリントヘッドノズルのリフレッシュ用空吹きインク又は吸引インクを印刷ジョブ実行用に使用することをユーザーに報知(提案)する報知装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット式記録装置は、電源OFF状態で長期間放置されたり、電源ON状態でもプリントヘッドノズルから長期間インク吐出が行われなかったりすると、インクの増粘、固化等により印刷不良が発生する。
【0003】
この印刷不良を防止するため、例えば特許文献1(特許第4000778号公報)のインクジェット式記録装置のように、プリントヘッドノズルから定期的にリフレッシュ用インクを空吹き又は吸引することでノズルをクリーニング処理することが行われている(
図7のメンテナンス報知フローを参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このクリーニング処理は、インク不吐出期間が長くなるほどリフレッシュ用空吹き又は吸引インクの使用量が増大する処理であり、インク不吐出期間が長くなるほど廃インク量が増える(
図8のフローを参照)。また、マシンが電源OFF状態で長期間放置された場合は、次回電源ONと同時に廃インク量の多いメンテナンスが直ちに実行されてしまう。
【0005】
そこで本発明の目的は、リフレッシュ用インクを印刷ジョブ等の実行用として有効利用することで廃インク量を低減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
当該課題を解決するため本発明のインクジェット式記録装置用の報知装置は、インクジェット式記録装置用の報知装置であって、当該報知装置はインクジェット記録装置と双方向通信可能な制御装置を有し、当該制御装置によって前記インクジェット記録装置のノズルヘッドのメンテナンスの到来時期をユーザーに報知し、前記制御装置に対するメンテナンスの指令に基づいてメンテナンス用インクを前記ノズルヘッドから空吹き又は吸引可能にした報知装置において、前記制御装置は、前記メンテナンスの到来時期の報知に加えて印刷メニューの選択肢をユーザーに報知可能に構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、リフレッシュ用インクを印刷メニュー実行用として有効利用することで廃インク量を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施形態に係るインクジェットプリンタの斜視図である。
【
図2】インクジェットプリンタ内の機構部の断面図である。
【
図3】インクジェットプリンタ内の機構部の平面図である。
【
図4A】インクジェットプリンタのメンテナンスフローを示す図である。
【
図4B】クリーニング兼用印刷ジョブリストを示す図である。
【
図5】オフィスフロアにおける本実施形態のインクジェットプリンタと複合機とを含むネットワークシステムの構成例を示す図である。
【
図6】
図5の複合機の構成を示すブロック図である。
【
図7】従来のインクジェットプリンタのメンテナンスのフロー図である。
【
図8】従来のメンテナンスフローの具体例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態を図面に基づいて具体的に説明する。
(●インクジェットプリンタの概略構成)
図1は、本発明による画像形成装置の一実施形態であるインクジェットプリンタ(インクジェット式記録装置とも称す)を前方側から見た外観斜視図である。このインクジェットプリンタ(以下単に「プリンタ」という)は、装置本体1と、その装置本体1にそれぞれ着脱自在に装着される給紙トレイ2及び排紙トレイ3とを備えている。
【0010】
給紙トレイ2には、インク滴によって文字や図形等の画像を形成し得る記録媒体として、一般に用紙を積載して収納する。排紙トレイ3上には、画像が記録(形成)された記録媒体である用紙をストックする。
【0011】
また、装置本体1の上部には、内部の機構部を覆う上カバー4を開閉可能に設けている。この装置本体1の上面を形成する上カバー4の表面は略平坦な面に形成し、さらに、上カバー4には、その幅方向に沿って内部の機構部を外部から視認することができる透明又は半透明の部材からなる細長い窓部5を設けている。
【0012】
また、装置本体1の前面6の一端部側(給紙トレイ2の側方)には、前面6から装置本体1の前方側に突き出し、上カバー4よりも低くなったカートリッジ装填部7を有している。そのカートリッジ装填部7の上面には、後述する各種の操作ボタンや、液晶ディスプレイ(LCD)による表示器18などを設けた操作パネルである操作表示部8を備えている。
【0013】
このカートリッジ装填部7には、色の異なる記録液であるインクカートリッジ9を、装置本体1の前面側から後方側に向って挿入して装填可能にしている。インクカートリッジ9は、例えば、黒(K)インク、シアン(C)インク、マゼンタ(M)インク、イエロー(Y)インクのインクカートリッジ9k,9c,9m,9yである。これら複数のインクカートリッジ9k,9c,9m,9yを収容したものを総称してインクカートリッジ9という。
【0014】
また、このカートリッジ装填部7の前面側には、インクカートリッジ9を着脱するときに開く前カバー10を開閉可能に設けている。各色のインクカートリッジ9k,9c,9m,9yは、縦置き状態で横方向に並べて装填される。そして、前カバー10は、閉じた状態でカートリッジ装填部7内に装填されている各色のインクカートリッジ9k,9c,9m,9yを外部から視認することができるように、全体が透明又は半透明の部材で形成されている。
【0015】
また、操作表示部8には、各色のインクカートリッジ9k,9c,9m,9yの装着位置に対応する配置位置に、各色のインクカートリッジ9k,9c,9m,9yの残量がニアーエンド及びエンドになったことを表示するための各色(黒、シアン、マゼンタ、及びイエロー)の残量表示部11k,11c,11m,11y(色を区別しないときは「残量表示部11」という)を配置している。
【0016】
この残量表示部11は、例えば対応するインクカートリッジ9に収容されたインクの色と同じ色(但し黒インクに対しては例えば白色)で発光するLEDで構成し、例えば、点滅でインクニアーエンドを、連続点灯でインクエンドを表示する。この操作表示部8は操作パネルでもあり、電源ボタン12、キャリッジ待機位置等の選択ボタン13とキャンセルボタン14等も設けられている。
【0017】
その選択ボタン13とキャンセルボタン14は、表示器18にキャリッジ待機位置の設定に関するメッセージが表示されたときに、ユーザーが操作して、設定位置を変更するか否かの意志を入力するためのボタンとしても使用する。その詳細は後述する。
【0018】
給紙トレイ2は、用紙を収納するトレイ本体と、このトレイ本体の上部を覆う透明又は半透明の部材からなるトレイカバーとを備えている。そして、給紙トレイ2のトレイ本体の前面壁部には、収納された用紙を視認できる覗き窓15を形成している。
【0019】
この覗き窓15は切欠部で形成するとよい。また、給紙トレイ2のトレイカバーの横方向(
図1では用紙送り方向に直交する左右方向)の中央部前面側には排紙トレイ3を下側から支えるトレイ支え部16を立ち上げて設けている。
【0020】
さらに、給紙トレイ2のトレイカバーの横方向の両端部には、用紙送り方向に沿ってリブ17を形成している。このように、排紙トレイ3の下側に位置する給紙トレイ2のトレイカバー上にリブ17を設けることによって、排紙トレイ3に排紙される用紙の両端部が下方向に撓んだ場合でも、リブ17によって横方向へのズレを規制することができる。
【0021】
(●プリンタの機構部の説明)
次に、このプリンタの機構部の一例を説明する。
図2は、
図1に示したプリンタ内の機構部を示す側断面図であり、その断面を
図1における左側から見た図である。
【0022】
給紙トレイ2と排紙トレイ3は破断して一部分だけ示している。
図3は、
図1及び
図2に示したプリンタの機構部の要部を示す平面図である。
【0023】
このプリンタの機構部は、
図3に示すフレーム20を構成する左右の側板20a,20b間に、板金製の支持ガイド部材であるガイドレール21が固定して設けられている。そして、キャリッジ23がそのガイドレール21にその移動範囲に亘ってスライド可能に、且つ上下動可能に支持されて、
図1に示した装置本体1内に搭載されている。そのキャリッジ23は、後述する主走査モータとタイミングベルト機構等によって、
図3に矢示Xで示す主走査方向に移動走査される。
【0024】
ガイドレール21は、側方から見た形状が
図2に示されるように、上記主走査方向に直交する方向(
図3に矢示Yで示す副走査方向)に所定の幅を有して主走査方向に延びる水平部21aと、その幅方向の一端縁から上方に直角に折れ曲がった下部ガイドレール21bと、他端縁から上方に直角に折れ曲がった上部ガイドレール21cとからなる。水平部21aの長手方向の両端には、側板20a,20bに固着するための取付部21dが下方へ直角に折れ曲げて形成されている。これらの各部は、金属板の板金加工によって一体に折り曲げ形成されている。
【0025】
下部ガイドレール21bは高さが低く、キャリッジ23の下部に設けられた後述する突起部が当接(当って接触すること)してスライドする。上部ガイドレール21cは高く延びており、その上端部が内側に直角に折れ曲がっている。この、上部ガイドレール21cにはキャリッジ23の上部に設けられた後述する垂下片の突起部が当接してスライドする。
【0026】
水平部21aの上面には、キャリッジ23の下部に設けられたカムロッド55の後述するカム部がスライド可能に当接している。このように、ガイドレール21とキャリッジ23とが少なくとも3箇所の副走査方向及び高さ方向に異なる位置で当接し、そのキャリッジ23は、主走査方向にはスライド移動可能で副走査方向には移動しないように、そして、若干上下動可能にガイドレール21に支持されている。
【0027】
このキャリッジ23には、前述した各色のインク滴を吐出する4個のインクジェットヘッドからなる記録ヘッド24を、それぞれ多数のノズルによるノズル列を主走査方向と直交する方向(副走査方向)に配列して、その各インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。その記録ヘッド24は、
図3に示すように、黒(K)のインク滴を吐出する記録ヘッド24k、シアン(C)のインク滴を吐出する記録ヘッド24c、マゼンタ(M)のインク滴を吐出する記録ヘッド24m、及びイエロー(Y)のインク滴を吐出する記録ヘッド24yで構成されている。色を区別しないときは総称して「記録ヘッド24」という。
【0028】
記録ヘッド24を構成するインクジェットヘッドとしては、圧電素子などの圧電アクチュエータ、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いて液体の膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエータ、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエータ、静電力を用いる静電アクチュエータなどを、インクを吐出するためのエネルギー発生手段として備えたものを使用できる。
【0029】
しかし、記録ヘッドの構成は上述した例に限られるものではなく、一つまたは複数の色のインク滴を吐出する一つまたは複数のノズル列を有する記録ヘッドを、一つまたは複数用いて構成することができる。この記録ヘッド24にはドライバICを搭載しており、
図1乃至
図3では図示を省略した制御部との間で、
図3のハーネス(フレキシブルプリントケーブル)25を介してデータのやり取りが可能に接続されている。
【0030】
また、キャリッジ23には、記録ヘッド24に各色のインクを供給するための各色のインクを保持するサブタンク26を搭載している。そのサブタンク26は、例えば、
図3に示すように、黒(K)インクのサブタンク26k、シアン(C)インクのサブタンク26c、マゼンタ(M)インクのサブタンク26m、及びイエロー(Y)インクのサブタンク26yの4つから構成されている。色を区別しないときは総称して「サブタンク26」という(
図2では仮想線で示している)。
【0031】
この各色のサブタンク26には、
図3に示すように、前述したカートリッジ装填部7に装着された各色のインクを保持するインクカートリッジ9k,9c,9m,9yから、各色用のインク供給チューブ27を介して各色のインクがそれぞれ補充供給される。なお、このカートリッジ装填部7には、各インクカートリッジ9内のインクを送液するための供給ポンプユニット28が設けられている。
【0032】
また、インク供給チューブ27は這い回しの途中で、フレーム20を構成する後板20cにホルダ29を用いて固定保持されている。さらに、そのインク供給チューブ27はキャリッジ23上でも固定リブ30を用いて固定されている。
【0033】
一方、
図2に示すように、給紙トレイ2の用紙積載部(昇降板)31上に積載した用紙Pを給紙するための給紙部として、矢示方向に回転して用紙積載部31から用紙Pを1枚ずつ給送する半月状の給紙コロ32と、その給紙コロ32に対向する摩擦係数の大きな部材からなる分離パッド33とを備えている。その分離パッド33は、給紙コロ32側に押し付けられている。
【0034】
そして、この給紙部から1枚ずつ分離されて給紙される用紙Pを記録ヘッド24の下方へ送り込むための搬送部として、その用紙Pを静電吸着して記録ヘッド24に対向する位置へ搬送するための搬送ベルト34を備えている。さらに、給紙部からガイド35を介して送られる用紙Pを、搬送ベルト34との間で挟んで搬送するためのカウンタローラ36と、
図2において略鉛直上方に送られる用紙を略90°方向転換させて、搬送ベルト34上に倣わせるための搬送ガイド37と、その用紙を搬送ベルト34側に押し付ける押さえ部材38も備えている。
【0035】
搬送ベルト34は無端状であり、搬送ローラ41とテンションローラ42との間に掛け渡され、後述する副走査モータによって搬送ローラ41が矢示方向に回転されることにより、
図3に矢示Yで示す副走査方向に周回移動(以下「回動」と云う)する。この搬送ベルト34は、例えば、抵抗制御を行っていない厚さ40μm程度の純粋な樹脂材、例えば、ETFE(熱可塑性フッ素樹脂)ピュア材で形成した用紙吸着面となる表層と、この表層と同材質でカーボンによる抵抗制御を行った裏層(例えば、中抵抗層又はアース層)とを有している。
【0036】
一方、
図2に示す帯電ローラ40は、搬送ベルト34の表面を帯電させるための帯電手段であり、搬送ベルト34の表層に接触して、搬送ベルト34の回動に従って連れ回りすなわち従動回転する。さらに、搬送ベルト34に対して加圧力を与えるように、その軸の両端に所定の押圧力をかけている。
【0037】
また、搬送ローラ41はアースローラの役目も担っており、搬送ベルト34の中抵抗層(裏層)と接触しており、それを接地する。搬送ベルト34の裏側には、記録ヘッド24による印刷領域に対応してプラテン43を配置している。このプラテン43は、上面が搬送ベルト34を支持する2つのローラ(搬送ローラ41とテンションローラ42)に共通の外接線よりも記録ヘッド24側に突出して配置された平板状のガイド部材である。
【0038】
これにより、搬送ベルト34は印刷領域ではプラテン43の上面によって押し上げられてガイドされるので、高精度な平面性を維持される。さらに、記録ヘッド24で記録された用紙Pを排紙するための排紙部として、搬送ベルト34から用紙を分離するための分離爪52と、排紙ローラ53及び排紙コロ54とを備え、排紙ローラ53の下方に排紙トレイ3を備えている。
【0039】
ここで、排紙ローラ53と排紙コロ54との間から排紙トレイ3までの高さは、排紙トレイ3にストックできる量を多くするためにある程度高くしている。また、装置本体1の背面部には、両面給紙ユニット44が着脱自在に装着されている。この両面給紙ユニット44は、両面印刷時に、搬送ベルト34の逆方向回転で戻される用紙を取り込んで反転させ、押さえ部材38と搬送ベルト34との間に給紙する機能を有する。
【0040】
この両面給紙ユニット44の上面には、手差しの用紙を給紙するための手差し給紙部45が設けられている。
一方、
図3に示すように、キャリッジ23の走査方向の一方側(右側)の非印字領域には、記録ヘッド24のノズルの状態を維持し、回復するための維持回復機構部46を配置している。
【0041】
この維持回復機構部46には、記録ヘッド24の各ノズル面をキャッピングするための各キャップ部材(以下「キャップ」という)47a~47d(区別しないときは「キャップ47」と総称する)と、そのノズル面のインクを拭取る(ワイピングする)ためのブレード部材であるワイパーブレード48と、記録に寄与しない増粘したインク滴を吐出させる空吐出を行うときのインク滴を受ける廃インク受け49などを備えている。
【0042】
ここでは、キャップ47aを吸引及び保湿用キャップにし、他のキャップ47b~47dは保湿用キャップのみにしている。また、キャリッジ23の走査方向の他方側(
図3では左側)の非印刷領域にも、記録ヘッド24の各ノズル面をキャッピングするための4個のキャップ47等を備えた維持回復機構部50を設けている。これは、キャリッジ23が
図3における左端部側で待機する場合にも、記録ヘッド24の各ノズル面をキャッピングできるようにするためである。
【0043】
このように構成したこの実施形態のプリンタにおいては、
図2に示した給紙トレイ2から用紙Pが1枚ずつ分離給紙され、その用紙Pがガイド35によって同図中で略鉛直上方に案内され、さらに搬送ベルト34とカウンタローラ36との間に挟まれて搬送される。その後、先端を搬送ガイド37で案内されて略90°搬送方向を転換され、押さえ部材38によって搬送ベルト34に押し付けられる。
【0044】
このとき、プリンタの制御部によって帯電ローラ40に対してプラス出力とマイナス出力とが交互に繰り返す交番電圧が印加され、搬送ベルト34が交番する帯電電圧パターン、すなわち、回動方向である副走査方向にプラスとマイナスの電荷が所定の幅で帯状に交互に帯電した状態になる。
【0045】
このプラスとマイナスに交互に帯電した搬送ベルト34上に用紙が給紙されると、その用紙にも静電誘導によって搬送ベルト34の帯電極性と反対極性のプラスとマイナスに交互に帯電が生じる。そのため、用紙が搬送ベルト34に静電引力によって吸着されると共に、相対的な位置ずれが生じることなく、その搬送ベルト34の回動によって用紙が副走査方向に正確に搬送される。
【0046】
そこで、キャリッジ23を主走査方向へ移動させながら、画像信号に応じて記録ヘッド24を駆動することにより、停止している用紙にインク滴を吐出してノズル数に応じた複数行分の画像を記録(印刷、画像形成)する。その後、当該用紙を所定量搬送した後、次の複数行の記録を行う。
【0047】
そして、記録終了信号又は用紙の後端が記録領域の副走査端に達した信号を受けることにより、記録動作を終了して、その記録済みの用紙を排紙トレイ3に排紙する。一連のジョブの印刷が完了していなければ、キャリッジ23は一旦非印字領域へ移動するが、すぐに次の用紙への記録動作を開始する。
【0048】
そして、一連のジョブの印刷が完了すると、キャリッジ23は維持回復機構部46側又は維持回復機構部50側に移動され、そこで待機する。その待機位置において、記録ヘッド24の各ノズル面をキャップ47でキャッピングして、各ノズルを湿潤状態に保つことによりインクの乾燥による吐出不良を防止する。キャリッジ23を
図3における左右どちら側の待機位置で待機させるかは、予め設定されている。その詳細は後述する。
【0049】
さらに、維持回復機構部46,50においては、図示を省略した吸引ポンプによってノズルからインクを吸引し、増粘したインクや気泡を排出する回復動作を行うこともできる。また、維持回復機構部46では、記録ヘッド24をワイピングする前にワイパーブレード48でノズル面のインクを拭取る(ワイピングする)ことや、記録開始前や記録途中などに、記録と関係しない増粘したインクを空吹き又は吸引により廃インク受け49に吐出させる空吹き動作又は吸引動作を行わせることもできる。維持回復機構部50にも、ワイパーブレード48や廃インク受け49を備えることができる。
【0050】
また、このプリンタには
図3に示すように、ガイドレール21の両端部の水平部21aの少し上方に、一対の固定押し部材であるドッグ22Aとドッグ22Bが、それぞれフレーム20を構成する左右の側板20a,20bの内面に固着されて、水平部21aと平行に互いに対向するように突設されている。ドッグ22Aは、キャリッジ23が主走査方向の
図3における右端位置に移動したときに、それを降下させてギャップを小さくするための降下用のドッグである。ドッグ22Bは、キャリッジ23が主走査方向の左端位置に移動したときに、それを上昇させてギャップを大きくするための上昇用のドッグである。
【0051】
キャリッジ23の下部に水平に設けられた記録ヘッド支持板の下面に、各色のインク滴を吐出する記録ヘッド24を構成する4個の記録ヘッド24y,24m,24c,24kが取り付けられる。また、キャリッジ本体内には、各記録ヘッド24に各色のインクを供給するための各色のインクを保持するサブタンク26(
図3に示した4個のサブタンク26k,26c,26m,26y)が収容されている。
【0052】
(●メンテナンスのフロー図)
図4Aは、インクジェットプリンタ110のメンテナンスのフロー図である。このメンテナンスには、1)吸引ポンプによるノズルからのインク吸引、2)増粘したインクや気泡の排出、3)ノズル面のワイピング、4)増粘したインクの空吹きなどが含まれる。
【0053】
このフロー図に示すように、インクジェットプリンタ110の印刷を実行すると、まずステップS1で、前回印刷時(又は前回メンテナンス時)から「○○日以内に再度印刷?」かどうかが判断される。この「○○日以内」は、ノズルヘッドをノーメンテナンスで余裕を持って良好に作動可能な期間である。当該「○○日以内」に再度印刷する場合は、印刷用インクでノズルヘッドがリフレッシュされるのでメンテナンス不要である(ステップS2)。「○○日」の日数は任意に設定可能なことは勿論である。
【0054】
ステップS3で、メンテ前報知として「印刷?」が判断される。印刷する場合は、この場合も印刷用インクでノズルヘッドがリフレッシュされるのでメンテナンス不要である(ステップS4)。
【0055】
ステップS3の左側に、インクジェットプリンタ110の操作画面(例えば
図1の操作表示部8)の表示を示す。この操作画面でメンテ前報知を行う。これにより、ユーザーに対してメンテ前報知を視覚的に分かりやすく認知させることができる。
【0056】
すなわち、ステップS3ではインクジェットプリンタ110の操作画面に、例えば「省インク用印刷を実行しますか?⇒Yes/No」と表示される。Yesの場合は、前述のように印刷用インクでノズルヘッドがリフレッシュされるので、メンテナンス用のインク空吹き又は吸引を省略した省インク用印刷となる。
【0057】
この省インク用印刷では、
図4Bに示す印刷ジョブリスト1、2、3の中から印刷する文書・画像を選択することができる。文書・画像の選択と印刷実行は、操作画面に表示される選択対応のボタンの押下でワンタッチで行うようにしてもよい。印刷ジョブリストに代えて、或いは印刷ジョブリストと共に、1種又は複数種のテスト画像の選択画面を表示するようにしてもよい。
【0058】
印刷ジョブリスト1、2、3やテスト画像は、予めインクジェットプリンタ110に登録しておくことができる。従来は、
図7、
図8のように、メンテナンスを実行する前段階で
図4Bに示すような印刷ジョブリストの選択画面が表示されなかったので、省インク用印刷を選択する余地がなく廃インク大が発生していた。
【0059】
図4Bに示す印刷ジョブリスト1、2、3は、優先順位(例えばインク消費量の少ない順)を付けることができる。この優先順位に従って、マシンのメンテナンスの切り替わり時期(報知タイミング)に、印刷ジョブリストを自動で実行することができる。これにより、報知タイミングで自動的にメンテナンスに切り替わって廃インクが発生するのを回避することができる。
【0060】
或いは、印刷ジョブリストを自動で実行するかどうかをユーザーが操作画面により設定可能にすることができる。或いは、印刷ジョブリストを実行してよいかどうかをメッセージとして操作画面に表示(報知)することができる。
【0061】
また、前回メンテナンスの実行時を基準とする経過期間の長さに応じて、印刷メニューの選択肢をユーザーに報知することができる。例えば、前回メンテナンスの実行時を基準とする経過期間が短い場合はインク消費量の少ない文書・画像を優先的に印刷し、経過期間が長い場合はインク消費量の大きい文書・画像を優先的に印刷する。
【0062】
ユーザーによっては、廃インクの発生を許容して
図4Aのメンテ前報知が必要ない場合もある。このような場合、前記印刷メニューの選択肢の報知を無効化することを選択可能にしてもよい(第1の設定オプション)。また、前記メンテナンスの到来時期を報知する条件と頻度を選択可能にしてもよい(第2の設定オプション)。
【0063】
この第2の設定オプションでは、例えば7日(一週間)以上の比較的長い放置期間に該当するメンテナンス動作のみ報知することができる。また、2cc以上の廃インクが発生するメンテナンスの場合にのみメンテ前報知を行うことができる。これにより、ユーザーに影響の大きいメンテナンスのみ選択的に報知対象とすることでユーザーの煩わしさ感を低減する。第2の設定オプションでは、複数種類のインクへの対応を可能とするため、メンテナンス用インクの特性に対応した設定を選択可能にしてもよい。
【0064】
(●メンテ前報知用の制御装置)
前記メンテ前報知は、
図1の操作表示部8に限らず、後述する複合機111や、携帯端末、スマートフォン、PC(パーソナルコンピュータ)などの各種情報処理装置等によって行うことも可能である。情報処理装置のアプリ画面、ウィジェット、ロック画面、ホーム画面、デスクトップ画面、又はスクリーンセーバーに前記メンテナンスの到来時期や前記印刷メニューを報知することができる。
【0065】
情報処理装置等はLED等の光源を備えることができ、この光源の点灯や明滅によってもメンテ前報知を行うことが可能である。メンテ前報知は、具体的にはインクジェットプリンタ110の制御装置や、各種情報処理装置の制御装置からの指令よって行うことができる。この制御装置は、インクジェットプリンタ110と双方向通信可能に構成されている。
【0066】
前記制御装置は、前回メンテナンスの実行時を基準とする期間の経過を計時する計時手段(タイマー)を有することができる。当該計時手段はスタンドアロン型で構成するか、或いはネットワークでサーバと接続されたサーバクライアント型で構成することができる。
【0067】
サーバクライアント型で構成する場合、マシン側の保守情報(内部タイマー)とサーバを連携させることができる。これにより、マシンが電源OFF状態でもネットワーク上のタイマーをトリガーとしてメンテ前報知を実施可能である。
【0068】
次に、ステップS5で「〇〇週間以内に再度印刷?」が判断される。この「〇〇週間以内」は、ノズルヘッドをノーメンテナンスでは良好に作動させることができない期間である。そこで、再度印刷する場合はステップS6で印刷前にメンテナンス実行指示が行われる。「〇〇週間」の週数は任意に設定可能なことは勿論である。
【0069】
このメンテナンス実行により、ノズルヘッドがリフレッシュされる。このときのメンテナンスは前回印刷から「〇〇週間以内」であるため、リフレッシュ用インクの量は最低限ですみ、廃インク量は少ない。
【0070】
次に、ステップS7でメンテ前報知として「印刷?」が判断される。印刷する場合は、ステップS8でメンテナンス実行指示が行われる。このメンテナンス実行によりノズルヘッドがリフレッシュされる。このときのメンテナンスは前回印刷から「〇〇週間」の直後であるため、リフレッシュ用インクの量は最低限ですみ、廃インク量は少ない。
【0071】
ステップS7の左側に、インクジェットプリンタ110の操作画面(例えば
図1の操作表示部8)の表示を示す。この操作画面でメンテ前報知を行う。
【0072】
すなわち、ステップS7ではインクジェットプリンタ110の操作画面に、例えば「機械の未使用期間が45日を超えます。本日中に使用がない場合は、明日以降機械の品質保持のためのインク消費の大きいメンテナンスが発生します。」と表示される。Yes(印刷)の場合は、前述のようにステップS8でメンテナンス実行指示が行われる。45日の日数は例示であり、45日に限定されるものではない。
【0073】
この場合、ステップS8に移行する前にインクジェットプリンタ110の操作画面に
図4Bの印刷ジョブリスト1、2、3を表示することも可能であり、これらリストの中から省インク用印刷を実行する文書・画像を選択して印刷することも可能である。これにより廃インク量をさらに低減することができる。
【0074】
ステップS8のメンテ前報知は、ステップS9に移行する前日に発信することができる。これにより、ユーザーに当該報知を認知させる時間的余裕を与えることができる。
【0075】
ステップS8のメンテ前報知は、ステップS9に移行する直前(例えば5分前)に停止することができる。これにより、省インク用印刷に手間取って廃インク抑制が失敗するのを防止することができる。
【0076】
次に、ステップS9で「〇〇ヵ月以内に再度印刷?」かどうかが判断される。この「〇〇ヵ月以内」は、ノズルヘッドをノーメンテナンス又は通常メンテナンスでは良好に作動させることができない期間である。
【0077】
そこで、ステップS10で入念メンテナンス実行指示が行われる。この入念メンテナンス実行によりノズルヘッドが入念にリフレッシュされる。このときのメンテナンスは前回印刷から「〇〇ヵ月以内」であるため、リフレッシュ用インクの量はステップS6とS8よりも多くなり、廃インク量は大である。
【0078】
(●ネットワークシステムの実施例)
次に、上述したインクジェットプリンタ110と複合機を含むネットワークシステムの実施例について、
図5及び
図6によって説明する。
図5は、オフィスフロアでのインクジェット方式のプリンタと複合機とを含むネットワークシステムの構成例を示す図である。
図6は、
図5に示した複合機111の構成を示すブロック図である。
【0079】
このネットワークシステムは、
図5に示すように、インクジェットプリンタ110と、インクジェット方式で画像を形成する複合機111と、ノート型パソコンなどホスト装置である情報処理装置112と、サーバ113がハブ114を介してローカルエリアネットワーク(LAN)により相互接続されている。なお、この
図5中には、2台のプリンタ110と、1台の複合機111と、2台の情報処理装置112と、1台のサーバ113を図示したが、さらに多くのプリンタ、複合機、及び情報処理装置が接続されていてもよい。また、サーバも複数台設けてもよい。
【0080】
情報処理装置には、携帯端末、スマートフォン、PC(パーソナルコンピュータ)、タブレット端末、PDA(Personal Digital Assistant)、デジタルカメラ、スマートスピーカ等が含まれる。スマートスピーカとは、ユーザーが発する音声に従って、同一のネットワークに存在する機器に対して処理を指示したり、ユーザーが発する音声に対応して、ネットワークを介して取得した情報をユーザーに通知したりするための装置である。
【0081】
プリンタ110、複合機111、情報処理装置112、及びサーバ113は、ハブ114を介して媒体アクセス制御(MAC)アドレス及びIPアドレスを使用した相互通信を行うことができる。ハブ114は、さらにルータ115を介して、プリンタ110、複合機111、情報処理装置112、及びサーバ113をインターネットやワイドエリアネットワーク(WAN)などのネットワーク116に接続している。
【0082】
ネットワーク116には、POPサーバ117が接続されており、プリンタ110、複合機111、情報処理装置112、及びサーバ113との間でSMTPプロトコルを使用した電子メールの伝送を可能としている。なお、ネットワーク116には、ウェブサーバなどが接続されていてもよい。また、POPサーバ117は、ISPなどが提供するメールサーバであっても良く、また、社内に設置された専用メールサーバとして実装することもできる。
【0083】
複合機111は、ファクシミリ、コピー、プリンタ、ARDF(原稿自動反転給送装置)などの複合的な機能を提供しており、使用者からの直接指令または情報処理装置112などのジョブ要求、電話回線等の通信網から受信したファクシミリデータを処理して、画像形成を行う。この複合機111は、プリンタ、コピー、ファクシミリなどの機能を提供するための各種機能を含み、インクジェット方式で画像を形成する画像形成装置である。
【0084】
(●複合機の構成)
複合機111は、例えば
図6に示すように、ドキュメントを読み込んで、光学読み取りを行うためのARDF201と、使用者に対して各種設定を可能にする、LCDパネルを含む操作パネル202とを含む。ARDF201は、原稿台上にセットされた原稿(ドキュメント)を、モータ203を起動してドキュメントの光学読み取りを行うスキャナ204に送り、照射光学系、駆動モータ、CCDなどを駆動してドキュメントの画像を読み取ってデジタルデータに変換する。
【0085】
また、複合機111は、コントローラ205と、画像形成を担当するプリンタエンジン206とを備えている。コントローラ205は、UNIX(登録商標)、LINUX(登録商標)、Windows(登録商標)200Xサーバなどのオペレーティングシステム(OS)を動作するCPU(図示省略)を含んでいる。
【0086】
さらに、コントローラ205は、上述したOSの下で、C、C++、JAVA(登録商標)、Perlなどのプログラミング言語で記述されたアプリケーションプログラムやApache、サーブレットなどのサーバプログラムを実行し、ウェブサーバの一部機能も提供する。このコントローラ205はさらに、ストレージ管理部207と、通信処理部208と、イメージ変換部209と、USB制御部214と、メーラ217を備えている。
【0087】
ストレージ管理部207は、SDRAM、ハードディスク装置などの記憶部210の入出力管理を実行する。
また、通信処理部208は、56Kbpsまたは126Kbps程度の通信レートのFAXモデム211から受信したITU-T勧告T.6などのプロトコルでデータを、ランレングス符号化、MR、MMRなどの符号化方法を使用して復号化し、また、この複合機111からのファクシミリ送信のためにデジタルデータをコードする。また、通信処理部208は、IPプロトコル・スイートおよびTCP/IPまたはUDP/IPを使用するデータ伝送も管理する。
【0088】
通信処理部208は、コントローラ205が含むアプリケーションプログラムからのデータ伝送要求を受け付け、IPパケットまたはフレームを作成し、ネットワークインタフェースカード(NIC)212からワイヤレスLANへとデータを伝送し、また入力データをアプリケーションプログラムへと伝送する。なお、通信処理部208は、上述した処理を実行するため、PPP(Point to Point Protocol)およびPPPoEなどのデータ接続プロトコルをサポートする。
【0089】
イメージ変換部209は、複合機111が取得したデータを、GIF、BMP、JPEG、JPEG2000、TIFF、PNGなどのイメージデータに変換し、その変換したイメージデータを使用してPDL(Page Description Language)を作成し、作成したPDLをプリンタエンジン206に渡して画像形成させる。コントローラ205は、フラッシュROM213を実装し、複合機111の起動時のセットアップデータや画像形成に使用する色変換データなどを管理している。
【0090】
また、コントローラ205は、USB制御部214も含んでいて、USBコネクタ215を介してUSBホスト(図示省略)やプリンタエンジン206との間のバス接続を管理する。なお、USB制御部214は、IEEE802.15などにより規定されるUWBプロトコルをサポートしていてもよい。さらに、複合機111は、電源ユニット(PSU)216も実装しており、その電源ユニット216は、その複合機111の電源管理を行っている。
【0091】
プリンタエンジン206は、プリンタ110と同様な画像形成部としての構成を備えており、インクジェット方式によって画像形成を行う。また、このプリンタエンジン206は、PJL(Printer Job Language)をサポートしており、外部からのプリント要求に対応した印刷を実行することができる。
【0092】
記憶部210は、複数のデータセットを管理する。そのデータセットには、例えば、送信元登録データ(SUC_ADDR:source_Address)、通知先登録データ(ACK_ADDR:Acknowledge_Address)、およびMIB(Management Information Base)がある。
【0093】
送信元登録データは、使用者が予め設定し、受信したファクシミリデータの通知を受けるか否かを指定するデータであり、ファクシミリ番号のフォーマットで登録する。また、通知先登録データは、当該使用者の通知先アドレスを登録する。
【0094】
この通知先登録データは、種々のフォーマットで登録することができ、例えば、メーラ217を使用して電子メールとして通知メッセージを送信するための電子メールアドレス、MACアドレス、IPアドレス(プライベートアドレス/サブネットマスクで規定されるローカルドメイン)、または端末名称を使用することができる。また、通知先登録データとしてMACアドレス、IPアドレスを使用する場合、端末名称または使用者識別値と、MACアドレスまたはIPアドレスとの対応テーブルを実装することが、使用者入力の手間を省くためには好ましい。
【0095】
また、ネットワーク基盤がTCP/IPではなく、NETBIOSを使用している場合には、端末名称を使用して、端末名称とIPアドレスとMACアドレスなどを対応させて登録したルックアップテーブルなどを通知先登録データとすることができる。MIBは、RFC1156として規定されているMIB1またはRFC1213で規定されているMIB2を使用して構成される、ネットワーク管理情報を登録するデータセットであり、
図5に示したサーバ113が、管理するべき複合機111に状態をオブジェクト識別値(OID)およびそのステータスデータとして対応づけて管理する。
【0096】
なお、
図5に示した情報処理装置112およびサーバ113は、パーソナルコンピュータ、ワークステーション、ブレードサーバやシンサーバなどのサーバ専用の情報処理装置である。また、その情報処理装置112は、アプリケーションソフトによる処理結果を、プリンタドライバを介してプリンタ110又は複合機111に伝送し、プリンタ110又は複合機111に対して処理結果を出力させる。
【0097】
また、サーバ113がプリンタサーバとして提供されている場合には、サーバ113は、情報処理装置112からのプリント要求を受け付け、適切なプリンタ110又は複合機111に印刷ジョブを指令する。このようなネットワークシステムにおいて、ホスト装置である情報処理装置112のいずれかから、プリンタ110又は複合機111のいずれかへ印刷ジョブを送信して印刷を行わせる場合、そのプリンタ110又は複合機111と情報処理装置112のプリンタドライバとの間の双方向通信を利用することができる。
【0098】
以上、本発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載の技術的思想の範囲内で種々変更可能であることは言うまでもない。例えば画像形成装置としてのインクジェットプリンタは、二次元印刷装置(2Dプリンタ)に限定されるものではなく、三次元印刷装置(3Dプリンタ)であってもよい。
【0099】
<付記>
以下、本発明の好ましい態様について付記する。
<第1態様>
インクジェット式記録装置用の報知装置であって、当該報知装置はインクジェット記録装置と双方向通信可能な制御装置を有し、当該制御装置によって前記インクジェット記録装置のノズルヘッドのメンテナンスの到来時期をユーザーに報知し、前記制御装置に対するメンテナンスの指令に基づいてメンテナンス用インクを前記ノズルヘッドから空吹き又は吸引可能にした報知装置において、前記制御装置は、前記メンテナンスの到来時期の報知に加えて印刷メニューの選択肢をユーザーに報知可能に構成したことを特徴とする報知装置。
<第2態様>
前記印刷メニューは、テスト画像又は印刷ジョブリストを含むことを特徴とする第1態様の報知装置。
<第3態様>
前記制御装置は、前記印刷メニューの選択肢の報知を無効化する第1の設定オプションを有することを特徴とする第1態様の報知装置。
<第4態様>
前記制御装置は、前記メンテナンスの到来時期を報知する条件と頻度を設定可能な第2の設定オプションを有することを特徴とする第1態様の報知装置。
<第5態様>
前記第2の設定オプションは、メンテナンス用インクの特性に対応した設定を有することを特徴とする第4態様の報知装置。
<第6態様>
前記制御装置は、前記インクジェット式記録装置の本体に配設され、当該記録装置の操作画面に前記メンテナンスの到来時期や前記印刷メニューを報知することを特徴とする第1態様から第5態様のいずれか1項の報知装置。
<第7態様>
前記制御装置は、前記インクジェット式記録装置とは別体の情報端末に配設され、当該情報端末のアプリ画面、ウィジェット、ロック画面、ホーム画面、デスクトップ画面、又はスクリーンセーバーに前記メンテナンスの到来時期や前記印刷メニューを報知することを特徴とする第1態様から第5態様のいずれか1項の報知装置。
<第8態様>
前記制御装置は、前記メンテナンスの到来時期を前回メンテナンスの実行時を基準として所定期間経過したときに次回メンテナンスの到来時期をユーザーに報知することを特徴とする第1態様から第7態様のいずれか1の態様の報知装置。
<第9態様>
前記制御装置は、前回メンテナンスの実行時を基準とする経過期間の長さに応じて、次回メンテナンスの実行時に前記ノズルヘッドから空吹き又は吸引するメンテナンス用インクの空吹き量又は吸引量を増大することを特徴とする第8態様の報知装置。
<第10態様>
前記制御装置は、前回メンテナンスの実行時を基準とする経過期間の長さに応じて、前記印刷メニューの選択肢をユーザーに報知することを特徴とする第8態様の報知装置。
<第11態様>
前記制御装置は、前記メンテナンスの到来時期の報知の前に、前記印刷メニューの選択肢をユーザーに報知することを特徴とする第1態様から第10態様のいずれか1の態様の報知装置。
<第12態様>
前記制御装置は、前回メンテナンスの実行時を基準とする期間の経過を計時する計時手段を有し、当該計時手段はスタンドアロン型で構成されるか、或いはネットワークでサーバと接続されたサーバクライアント型で構成されていることを特徴とする第10態様又は第11態様の報知装置。
<第13態様>
第1態様から第12態様のいずれか1の態様の報知装置を有することを特徴とする画像形成装置。
【符号の説明】
【0100】
1:装置本体 2:給紙トレイ
3:排紙トレイ 4:上カバー
5:窓部 6:前面
7:カートリッジ装填部 8:操作表示部
9,9k,9c,9m,9y:インクカートリッジ 10:前カバー
11,11k,11c,11m,11y:残量表示部 12:電源ボタン
13:選択ボタン 14:キャンセルボタン
15:覗き窓 16:トレイ支え部
17:リブ 18:表示器
20:フレーム 20a,20b:側板
20c:後板 21:ガイドレール
21a:水平部 21b:下部ガイドレール
21c:上部ガイドレール 21d:取付部
22A、22B:ドッグ 23:キャリッジ
24, 24k,24c,24m,24y:記録ヘッド 25:ハーネス
26,26k,26c,26m,26y:サブタンク 27:インク供給チューブ
28:供給ポンプユニット 29:ホルダ
30:固定リブ 31:用紙積載部(昇降板)
32:給紙コロ 33:分離パッド
34:搬送ベルト 35:ガイド
36:カウンタローラ 37:搬送ガイド
38:押さえ部材 40:帯電ローラ
41:搬送ローラ 42:テンションローラ
43:プラテン 44:両面給紙ユニット
45:給紙部 46:維持回復機構部
46,50:維持回復機構部 47,47b~47d:キャップ
48:ワイパーブレード 50:維持回復機構部
52:分離爪 53:排紙ローラ
54:排紙コロ 55:カムロッド
110:インクジェットプリンタ 110:プリンタ
111:複合機 112:情報処理装置
113:サーバ 114:ハブ
115:ルータ 116:ネットワーク
117:POPサーバ 202:操作パネル
203:モータ 204:スキャナ
205:コントローラ 206:プリンタエンジン
207:ストレージ管理部 208:通信処理部
209:イメージ変換部 210:記憶部
211:FAXモデム 214:USB制御部
215:USBコネクタ 216:電源ユニット
217:メーラ IC:ドライバ
LAN:ワイヤレス P:用紙
213:フラッシュROM
【先行技術文献】
【特許文献】
【0101】