(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024071053
(43)【公開日】2024-05-24
(54)【発明の名称】画像形成装置、クリーニングパラメータの設定方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G03G 21/00 20060101AFI20240517BHJP
【FI】
G03G21/00 310
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022181780
(22)【出願日】2022-11-14
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100085660
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 均
(72)【発明者】
【氏名】川田 哲平
【テーマコード(参考)】
2H134
【Fターム(参考)】
2H134GA06
2H134GB02
2H134HA01
2H134HA03
2H134HA11
2H134HA13
2H134HA16
2H134HB16
2H134HD01
2H134KA01
2H134KB03
2H134KB04
2H134KG04
2H134KG10
2H134KH01
2H134KH12
2H134PE02
(57)【要約】
【課題】最適なクリーニングパラメータを設定し易くなる画像形成装置を提供する。
【解決手段】感光体から現像剤を中間転写体へ転写する一次転写部と、中間転写体上の現像剤を記録媒体に転写する二次転写部と、先行して記録媒体に転写される第1画像部分、および第1画像部分と色彩が相違し第1画像部分より後に記録媒体上に転写される第2画像部分を含む調整用画像を記録媒体に形成させる指示部と、調整用画像が形成された記録媒体を読取る読取部と、調整用画像のうち第2画像部分の読取結果に基づいて、クリーニングパラメータを設定する設定部と、設定部が設定したクリーニングパラメータに基づいて、中間転写体上の現像剤をクリーニングするクリーニング部と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光体から現像剤を中間転写体へ転写する一次転写部と、
前記中間転写体上の現像剤を記録媒体に転写する二次転写部と、
先行して転写される第1画像部分、および前記第1画像部分と色彩が相違し前記第1画像部分より後に転写される第2画像部分を含む調整用画像を記録媒体に形成させる指示部と、
前記調整用画像が形成された記録媒体を読取る読取部と、
前記調整用画像のうち前記第2画像部分の読取結果に基づいて、クリーニングパラメータを設定する設定部と、
前記設定部が設定したクリーニングパラメータに基づいて、前記中間転写体上の現像剤をクリーニングするクリーニング部と、
を備える画像形成装置。
【請求項2】
稼働モードおよび調整モードに移行させるモード移行部と、
前記調整モードにおいて、前記クリーニングパラメータを変更しながら、前記調整用画像を記録媒体に複数回形成させる制御部と、を具備し、
前記設定部は、前記調整モードで形成された複数の前記調整用画像の各読取結果に基づいて、前記稼働モードで用いる前記クリーニングパラメータを設定する
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記設定部は、前記調整用画像のうち前記第2画像部分の濃度に基づいて、前記クリーニングパラメータを設定する
請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
感光体から現像剤を中間転写体へ転写する一次転写部と、
前記中間転写体上の現像剤を記録媒体に転写する二次転写部と、
クリーニングパラメータに基づいて、前記中間転写体上の現像剤をクリーニングするクリーニング部と、を具備する画像形成装置における前記クリーニングパラメータの設定方法であって、
第1画像部分および前記第1画像部分と色彩が相違し前記第1画像部分より後に転写される第2画像部分を含む調整用画像を記録媒体に形成させるステップと、
前記調整用画像が形成された記録媒体を読取るステップと、
前記調整用画像のうち前記第2画像部分の読取結果に基づいて、クリーニングパラメータを設定するステップと
をコンピューターに実行させる前記クリーニングパラメータの設定方法。
【請求項5】
請求項4に記載の各ステップをコンピューターに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、クリーニングパラメータの設定方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、感光体から現像剤(例えば、トナー)を中間転写体へ一次転写し、中間転写体上の現像剤を記録媒体(例えば、印刷用紙)に二次転写する画像形成装置において、中間転写体上の現像剤をクリーニングするクリーニング部を設ける技術が知られている(例えば、特許文献1)。以上の従来技術では、クリーニングパラメータが予め設定され、当該クリーニングパラメータに基づいて中間転写体上の現像剤が除去される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
クリーニング不良を生じさせないために、最適なクリーニングパラメータを設定する必要がある。しかし、例えば画像形成装置が設けられる場所の湿度および温度に応じて、最適なクリーニングパラメータが変化し得る。したがって、最適なクリーニングパラメータを設定することが困難な場合がある。以上の事情を考慮して、本発明は、最適なクリーニングパラメータを設定し易くすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明の画像形成装置は、感光体から現像剤を中間転写体へ転写する一次転写部と、中間転写体上の現像剤を記録媒体に転写する二次転写部と、先行して転写される第1画像部分および第1画像部分と色彩が相違し第1画像部分より後に転写される第2画像部分を含む調整用画像を記録媒体に形成させる指示部と、調整用画像が形成された記録媒体を読取る読取部と、調整用画像のうち第2画像部分の読取結果に基づいて、クリーニングパラメータを設定する設定部と、設定部が設定したクリーニングパラメータに基づいて、中間転写体上の現像剤をクリーニングするクリーニング部と、を備える。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、最適なクリーニングパラメータを設定し易くなる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】画像形成装置の一例であるMFPの概略構成を説明するための図である。
【
図4】残存トナーが発生する具体例を説明するための図である。
【
図5】クリーニングユニットの詳細を説明するための図である。
【
図7】クリーニングパラメータの具体例を説明するための図である。
【
図8】画像形成装置の読取時処理の具体例のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
<第1実施形態>
以下、本発明を図面に示した実施形態により詳細に説明する。
図1(a)は、本発明に係る画像形成装置の一例であるMFP(Multifunction Peripheral Product Printer)100の概略構成を説明するための図である。また、
図1(b)は、MFP100の内部に収納された各構成を説明するための図である。本実施形態のMFP100は、印刷用紙S(記録媒体の一例)に各種の画像を印刷可能である。
【0008】
図1(b)に示す通り、本実施形態のMFP100は、中間転写ベルト101、画像形成ユニット102(y、m、c、k)、二次転写ユニット103、クリーニングユニット104、定着ユニット105および濃度測定ユニット106を含む。画像形成ユニット102は、画像形成ユニット102y、画像形成ユニット102m、画像形成ユニット102c、および、画像形成ユニット102kを含む。
【0009】
画像形成ユニット102yは、印刷する画像のうち、黄色の画像が作像される感光体ドラムを具備する。また、画像形成ユニット102mは、印刷する画像のうち、マゼンタ色の画像が作像される感光体ドラムを具備する。同様に、画像形成ユニット102cは、印刷する画像のうち、シアン色の画像が作像される感光体ドラムを具備し、画像形成ユニット102kは、印刷する画像のうち、黒色の画像が作像される感光体ドラムを具備する。また、画像形成ユニット102の各々は、感光体ドラムの画像を中間転写ベルト101に転写(一次転写)するための転写ブラシを具備する。
【0010】
中間転写ベルト101には、画像形成ユニット102の画像が転写(一次転写)される。具体的には、中間転写ベルト101は、無端ベルト状に形成され、複数の支持ローラおよび駆動ローラに掛け回して図中時計回りに回転搬送可能に構成される。中間転写ベルト101には、画像形成ユニット102(y、m、c、k)の感光体ドラムに作像された画像が転写され、当該画像が二次転写ユニット103により印刷用紙Sに転写(二次転写)される。画像が転写された印刷用紙Sは、定着ユニット105へ搬送される。定着ユニット105は加熱ローラを具備し、印刷用紙Sに画像(トナー)を加熱しながら圧着する。
【0011】
クリーニングユニット104は、中間転写ベルト101に残るトナー(現像剤の一例)を除去する。具体的には、上述した通り中間転写ベルト101に一次転写された画像(トナー)が当該中間転写ベルト101から印刷用紙Sに二次転写される。ただし、二次転写が実行された後に中間転写ベルト101にトナーが残る場合がある。クリーニングユニット104は、二次転写後において中間転写ベルト101に残るトナー(以下「残存トナー」)を除去する。
【0012】
詳細には後述するが、クリーニングユニット104は、予め設定されているクリーニングパラメータPc(後述の
図7参照)に基づいて残存トナーを除去する。また、本実施形態では、以上のクリーニングパラメータPcが適宜に調整(変更)可能に構成される。濃度測定ユニット106は、クリーニングパラメータPcを調整するために設けられる。
【0013】
具体的には、MFP100は、稼働モードおよび調整モードへ移行可能に構成される。例えば、MFP100(後述の操作パネル140)が適宜に操作されると調整モードへ移行する。利用者は、稼働モードにおいて印刷した画像に残存トナーを発見した場合(クリーニング不良が発生した場合)、調整モードへ移行させる。クリーニング不良は、例えば、MFP100が設けられる場所の湿度および温度に応じて生じ得る。また、クリーニング不良は、クリーニングユニット104が経年により劣化した場合に生じ得る。
【0014】
調整モードでは、後述の調整用画像Gt(
図6参照)が印刷用紙Sに印刷され、濃度測定ユニット106により読取られる。濃度測定ユニット106は、主走査方向(印刷用紙Sの搬送方向に直行する方向)に配列される複数個の濃度センサを含んで構成される。調整モードにおいて、調整用画像Gtが濃度測定ユニット106により読取られると、当該読取結果に基づいて、クリーニングパラメータPcが変更される。以上の構成については詳細に後述する。
【0015】
図2は、MFP100のハードウェア構成図である。
図2に示されているように、MFP100は、コントローラ210、近距離通信回路220、エンジン制御部230、操作パネル240、ネットワークI/F250を備えている。
【0016】
コントローラ210は、コンピュータの主要部であるCPU201、システムメモリ(MEM-P)202、ノースブリッジ(NB)203、サウスブリッジ(SB)204、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)205、記憶部であるローカルメモリ(MEM-C)206、HDDコントローラ207、および、記憶部であるHD208を具備する。NB203とASIC205との間は、AGP(Accelerated Graphics Port)バス261で接続される。
【0017】
CPU201は、MFP100の全体制御を行う制御部である。NB203は、CPU201と、MEM-P202、SB204、およびAGPバス261とを接続するためのブリッジであり、MEM-P202に対する読み書きなどを制御するメモリコントローラと、PCI(Peripheral Component Interconnect)マスタおよびAGPターゲットとを有する。
【0018】
MEM-P202は、コントローラ210の各機能を実現させるプログラムやデータの格納用メモリであるROM202a、プログラムやデータの展開、及びメモリ印刷時の描画用メモリなどとして用いるRAM202bとを含む。なお、RAM202bに記憶されているプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、CD-R、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0019】
SB204は、NB203とPCIデバイス、周辺デバイスとを接続するためのブリッジである。ASIC205は、画像処理用のハードウェア要素を有する画像処理用途向けのIC(Integrated Circuit)であり、AGPバス261、PCIバス262、HD208およびMEM-C206を相互に接続するブリッジとして機能する。
【0020】
ASIC205は、PCIターゲットおよびAGPマスタ、ASIC205の中核をなすアービタ(ARB)、MEM-C206を制御するメモリコントローラ、ハードウェアロジックなどにより画像データの回転などを行う複数のDMAC(Direct Memory Access Controller)、並びに、スキャナ部2、プリンタ部4およびクリーニング部6との間でPCIバス262を介したデータ転送を行うPCIユニットとからなる。ASIC205には、USB(Universal Serial Bus)のインターフェースや、IEEE1394(Institute of Electrical and Electronics Engineers 1394)のインターフェースを接続するようにしてもよい。
【0021】
HD208は、画像データの蓄積、印刷時に用いるフォントデータの蓄積、フォームの蓄積を行うためのストレージである。HDDコントローラ207は、CPU201の制御にしたがってHD208に対するデータの読出又は書込を制御する。
【0022】
MEM-C206は、コピー用画像バッファおよび符号バッファとして用いるローカルメモリである。AGPバス261は、グラフィック処理を高速化するために提案されたグラフィックスアクセラレータカード用のバスインタフェースであり、MEM-P202に高スループットで直接アクセスすることにより、グラフィックスアクセラレータカードを高速にすることができる。近距離通信回路220には、近距離通信回路220aが備わっている。近距離通信回路220は、NFC、Bluetooth等の通信回路である。
【0023】
エンジン制御部230は、スキャナ部2、プリンタ部4およびクリーニング部6を含んで構成される。また、操作パネル240は、現在の設定値や選択画面等を表示させ、操作者からの入力を受け付けるタッチパネル等のパネル表示部240a、並びに、濃度の設定条件などの画像形成に関する条件の設定値を受け付けるテンキー及びコピー開始指示を受け付けるスタートキー等からなる操作パネル240bを備える。
【0024】
コントローラ210は、MFP100全体の制御を行い、例えば、描画、通信、操作パネル240からの入力等を制御する。スキャナ部2またはプリンタ部4には、誤差拡散やガンマ変換などの画像処理部分が含まれている。クリーニング部6には、上述のクリーニングユニット104を制御するための各構成が含まれる。例えば、クリーニング部6は、クリーニングユニット104の各ローラ(後述の
図4(b)参照)を駆動するための信号を生成する。
【0025】
なお、MFP100は、操作パネル240のアプリケーション切り替えキーにより、ドキュメントボックス機能、コピー機能、プリンタ機能、およびファクシミリ機能を順次に切り替えて選択することが可能となる。ドキュメントボックス機能の選択時にはドキュメントボックスモードとなり、コピー機能の選択時にはコピーモードとなり、プリンタ機能の選択時にはプリンタモードとなり、ファクシミリモードの選択時にはファクシミリモードとなる。
【0026】
また、ネットワークI/F250は、通信ネットワークを利用してデータ通信をするためのインターフェースである。近距離通信回路220およびネットワークI/F250は、PCIバス262を介して、ASIC205に電気的に接続される。
【0027】
図3は、画像形成装置10の機能ブロック図である。例えば、上述のCPU101がプログラムを実行することでMFP100が画像形成装置10として機能する。本実施形態の画像形成装置10は、
図3に示す通り、一次転写部11、二次転写部12、クリーニング部13、モード移行部14、指示部15、制御部16、読取部17および設定部18を含んで構成される。
【0028】
一次転写部11は、感光体(感光ドラム)から現像剤(トナー)を中間転写体(中間転写ベルト101)へ転写する。例えば、上述の画像形成ユニット102(y、m、c、k)が一次転写部11として機能する。二次転写部12は、中間転写体上の現像剤を記録媒体(印刷用紙S)に転写する。例えば、上述の二次転写ユニット103が二次転写部12として機能する。クリーニング部13は、設定部18が設定したクリーニングパラメータPcに基づいて中間転写体上の現像剤をクリーニングする。例えば、上述のクリーニング部6とクリーニングユニット104との組合せがクリーニング部13として機能する。
【0029】
モード移行部14は、稼働モードおよび調整モードに移行させる。上述した通り、調整モードに移行することで、クリーニングパラメータPcが調整され、クリーニング不良が解消される。
【0030】
具体的には、調整モードへ移行すると、画像形成装置10の指示部15は、調整用画像Gt(後述の
図6参照)を記録媒体に形成させる。詳細には後述するが、調整用画像Gtは、第1画像部分(同図のRk)および第1画像部分と色彩が相違し第1画像部分より後に転写される第2画像部分(同図のRy)を含む。以上の調整用画像Gtは、クリーニング不良の度合いを判別し易い画像である。
【0031】
画像形成装置10の制御部16は、調整モードにおいて、クリーニングパラメータPcを変更しながら、調整用画像Gtを記録媒体に複数回形成させる。また、画像形成装置10の読取部17は、調整用画像Gtが形成された記録媒体を読取る。例えば、上述の濃度測定ユニット106が読取部17として機能する。
【0032】
画像形成装置10の設定部18は、調整用画像Gtのうち第2画像部分(Ry)の読取結果に基づいて、クリーニングパラメータPcを設定する。具体的には、設定部18は、調整モードで形成された複数の調整用画像Gtの各読取結果に基づいて、稼働モードで用いるクリーニングパラメータPcを設定する。以上の構成について以下で詳細に説明する。
【0033】
図4は、中間転写ベルト101に残存トナーが生じる具体例を説明するための図である。
図4には、MFP100(画像形成装置10)の各構成のうち画像形成ユニット102(一次転写部11)、二次転写ユニット103(二次転写部12)およびクリーニングユニット104(クリーニング部13)を抜粋して示す。なお、
図4の具体例では、説明を簡単にするため、各構成の縮尺および形状を相違させて示す。後述の
図4(b)においても同様である。
【0034】
本実施形態では、説明を簡単にするため、画像形成ユニット102により画像が中間転写ベルト101に一次転写される領域を一次転写位置P1と記載する場合がある。また、
図4に示す通り、中間転写ベルト101に一次転写された画像が二次転写ユニット103により印刷用紙Sに二次転写される領域を二次転写位置P2と記載する場合がある。さらに、二次転写位置P2を通過した中間転写ベルト101がクリーニングユニット104によりクリーニングされる領域をクリーニング位置P3と記載する場合がある。
【0035】
また、本実施形態では、中間転写ベルト101が設けられる領域のうち一次転写位置P1と二次転写位置P2との間の領域を領域Paと記載する場合がある。領域Paの中間転写ベルト101には、一次転写された画像(トナー)が形成されている。同様に、中間転写ベルト101が設けられる領域のうち二次転写位置P2とクリーニング位置P3との間の領域を領域Pbと記載する場合がある。領域Pbには、二次転写の際に中間転写ベルト101から印刷用紙に転写しきれなかったトナーが残存する。
【0036】
さらに、本実施形態では、中間転写ベルト101が設けられる領域のうちクリーニング位置P3と一次転写位置P1との間の領域を領域Pcと記載する場合がある。前回の画像のトナーがクリーニング位置P3において全て除去された場合、領域Pcにおける中間転写ベルト101にはトナーが残存しない。ただし、上述した通り、クリーニング不良が生じた場合、領域Pcにおける中間転写ベルト101に残存トナー(前回の画像のトナー)が生じる。
【0037】
クリーニング不良により生じた残存トナーは、
図4から理解される通り、次回の画像が転写される一次転写位置P1へそのまま搬送される。また、前回の画像の残存トナーを覆う様に次回の画像のトナーが一次転写される。以上の場合、残存トナーは新たな画像のトナーより先に中間転写ベルト101に転写されていることとなる。また、中間転写ベルト101に転写された順序が先のトナーほど、印刷用紙Sにおいて画像の表面側に二次転写される。
【0038】
以上の説明から理解される通り、クリーニング不良により残存トナーが生じた場合、当該残存トナーが新たな画像より表面側に印刷されることになる。本実施形態では、調整用画像Gtを印刷した際の残存トナーの多少(有無)を濃度測定ユニット106(読取部17)により測定する。また、測定結果(読取結果)に基づいて、残存トナーが最小となるクリーニングパラメータPcが複数種類の中から設定される。
【0039】
図5は、クリーニングユニット104の具体例を説明するための図である。クリーニングユニット104は、クリーニングローラ104a、回収ローラ104bおよびブレード104cを含んで構成される。なお、
図5には、中間転写ベルト101、上述の
図4で説明したクリーニング位置P3、領域Pbおよび領域Pcが示される。また、
図5における白色の矢印は、中間転写ベルト101の移動方向を意味する。
【0040】
上述した通り、領域Pbには、二次転写の際に中間転写ベルト101から印刷用紙Sに転写しきれなかったトナーが残存する。クリーニングユニット104のクリーニングローラ104aは、クリーニング位置P3において、中間転写ベルト101に残存するトナーを除去する。具体的には、
図5に示す通り、クリーニングローラ104aには電圧V1が印加される。以上の構成では、中間転写ベルト101のトナーは静電気によりクリーニングローラ104aに吸着される。なお、クリーニングローラ104aに替えてクリーニングブラシを採用してもよい。
【0041】
回収ローラ104bは、中間転写ベルト101からクリーニングローラ104aに吸着されたトナーを回収する。具体的には、
図5に示す通り、回収ローラ104bには電圧V2が印加される。クリーニングローラ104aのトナーは静電気により回収ローラ104bに吸着される。また、ブレード104cは、回収ローラ104bに吸着されたトナーを物理的に除去する。以上の説明から理解される通り、本実施形態では、クリーニングローラ104aに電圧V1を印加し、回収ローラ104bに電圧V2を印加することで、中間転写ベルト101に残存していたトナーが除去される。
【0042】
以上の構成では、電圧V1と電圧V2との組合せを最適にすることで、クリーニング位置P3以降(領域Pc)の残存トナーが低減される。ただし、最適な電圧V1と電圧V2との組合せは、変化し得るという事情がある。例えば、クリーニングユニット104が経年により劣化した場合、または、MFP100が設けられる場所の湿度および温度によって、最適な電圧V1と電圧V2との組合せが変化する。
【0043】
仮に、電圧V1と電圧V2との組合せが変更不可能な構成では、クリーニング不良が生じた後に解消できないという事情がある。以上の事情を考慮して、本実施形態では、電圧V1と電圧V2との組合せ(クリーニングパラメータPc)を最適に変更可能な構成とした。具体的には、複数種類のクリーニングパラメータPcが設けられ、調整モードにおいて最適なクリーニングパラメータPcが自動で設定される。
【0044】
図6は、調整用画像Gtの具体例を説明するための図である。なお、
図6においては、実際の調整用画像Gtとは縮尺を変更して示す。また、
図6には、調整用画像Gtに加え、当該調整用画像Gtが印刷された印刷用紙Sの外縁が示される。
図6の白色の矢印は印刷用紙Sの搬送方向を示し、
図6における上側に示される調整用画像Gtほど先に印刷される。
【0045】
図6に示す通り、調整用画像Gtは、第1画像部分Rk(1~3)および第1画像部分Rkと色彩が相違し第1画像部分より後に転写される第2画像部分Ryを含む。本実施形態では、第1画像部分Rkはモノクロの画像である。すなわち、画像形成ユニット102(y、m、c、k)のうち画像形成ユニット102kにより黒色のトナーで第1画像部分Rkは印刷される。
図6に示す通り、第1画像部分Rkは、領域Rk1、領域Rk2および領域Rk3を含んで構成される。領域Rk1、領域Rk2および領域Rk3は、各々が略矩形の画像である。領域Rk3より領域Rk2は濃度(画素値)が高く、領域Rk2より領域Rk1の濃度が高い。
【0046】
調整用画像Gtのうち第2画像部分Ryは黄色の画像である。すなわち、画像形成ユニット102(y、m、c、k)のうち画像形成ユニット102yにより黄色のトナーで第2画像部分Ryは印刷される。
図6に示す通り、第2画像部分Ryは略矩形の画像である。以上の調整用画像Gtを印刷するための画像データがMFP100(例えばHD108)に不揮発的に記憶される。
【0047】
以上の調整用画像Gtは、調整モードへ移行すると、複数種類のクリーニングパラメータPcのうちの何れかが設定された後に印刷される。具体的には、調整モードへ移行すると、中間転写ベルト101の1周分の長さの第1画像部分Rkが先ず印刷される。以上の構成では、中間転写ベルト101の全周に黒色のトナーが一次転写され、当該中間転写ベルト101の黒色のトナーが印刷用紙Sに二次転写され、その後、クリーニングユニット104により除去される。ただし、上述した通り、中間転写ベルト101に残存トナーが生じる可能性がある。
【0048】
調整モードにおいて、調整用画像Gtのうち第1画像部分Rkの印刷が完了した後に、第2画像部分Ryの印刷が開始される。具体的には、第1画像部分Rkの印刷が完了した後に、中間転写ベルト101の1周分の長さの第2画像部分Rkが印刷される。以上の構成では、中間転写ベルト101の全周に黄色のトナーが一次転写され、当該中間転写ベルト101の黄色のトナーが印刷用紙Sに二次転写される。
【0049】
上述した通り、先の画像の印刷時に残存トナーが生じた場合、当該残存トナーが新たな画像の表面に(上側に重ねて)印刷されることになる。したがって、調整用画像Gtの第1画像部分Rkの印刷時に残存トナーが生じた場合、当該残存トナーは第2画像部分Ryの表面に印刷されることになる。
【0050】
具体的には、中間転写ベルト101は、第1画像部分Rkを印刷する際に第1画像部分Rkのうち領域Rk1が形成される領域(以下「ベルト領域Rb1」)と、領域Rk2が形成される領域(以下「ベルト領域Rb2」)と、領域Rk3が形成される領域(以下「ベルト領域Rb3」)と、画像が形成されない領域(以下「ベルト領域Rb0」)とが設けられる。以上のベルト領域Rb0には、第1画像部分Rkを印刷する際にはトナーが付着しない。したがって、第2画像部分Rkを印刷する際に、ベルト領域Rb0には残存トナーが原則存在しない。
【0051】
以下、説明のため、印刷用紙Sに印刷された第2画像部分Ryのうち、ベルト領域Rb1から転写された領域を領域Ry1と記載する場合がある。また、印刷用紙Sに印刷された第2画像部分Ryのうち、ベルト領域Rb2から転写された領域を領域Ry2と記載する場合がある。同様に、印刷用紙Sに印刷された第2画像部分Ryのうち、ベルト領域Rb3から転写された領域を領域Ry3と記載する場合がある。
【0052】
第1画像部分Rkのうち領域Rk1の印刷時に残存トナーが生じた場合、第2画像部分Ryのうち領域Ry1の表面に当該残存トナーが印刷される。また、第1画像部分Rkのうち領域Rk2の印刷時に生じた残存トナーは、第2画像部分Ryのうち領域Ry2の表面に印刷される。同様に、第1画像部分Rkのうち領域Rk3の印刷時に生じた残存トナーは、第2画像部分Ryのうち領域Ry3の表面に印刷される。一方、第2画像部分Ryのうち領域Ry0には、原則、第1画像部分Rkの残存トナーは印刷されない。
【0053】
以上の通り、第2画像部分Ryのうち領域Ry1、領域Ry2および領域Ry3は、クリーニング不良が発生する領域であるとも換言される。以下、第1画像部分Ryのうち領域Ry1、領域Ry2および領域Ry3を合わせた領域を領域Ryaと記載する場合がある。また、第2画像部分Ryのうち領域Ry0は、クリーニング不良が原則発生しない領域であるとも換言される。
【0054】
濃度測定ユニット106(読取部17)は、印刷用紙Sに印刷された調整用画像Gtのうち領域Ryaの濃度(以下「濃度Na」)と領域Ry0の濃度(以下「濃度N0」)とを別々に測定する。仮に、第1画像部分Rkの印刷時に残存トナー(黒色)が生じない場合、領域Ryaおよび領域Ry0は共通の濃度の黄色画像となるため、濃度Naと濃度N0とが略一致する。すなわち、領域Ryaの濃度と領域Ry0の濃度との差(以下「濃度差M」)が約「0」になる。
【0055】
一方、第1画像部分Rkの印刷時に残存トナー(黒色)が生じた場合、領域Ryaに黒色が含まれ、濃度差Mが数値「0」より大きくなる。具体的には、第1画像部分Rkの印刷時における残存トナーが多い程、濃度差Mが大きくなり、残存トナーが少ない程、濃度差Mが小さくなる。本実施形態の調整モードでは、クリーニングパラメータPcを変更しながら調整用画像Gtが印刷され、各クリーニングパラメータPcでの濃度差Mが算出される。また、濃度差Mが最少となるクリーニングパラメータPcが稼働モードで使用するクリーニングパラメータPcとして設定される。
【0056】
図7は、クリーニングパラメータPcの具体例を説明するための図である。本実施形態では、16種類のクリーニングパラメータPcが設けられる。クリーニングパラメータPcは、クリーニングユニット104のクリーニングローラ104aに印加される電圧V1と回収ローラ104bに印加される電圧V2との組合せ(パラメータパターン)である。例えば、パラメータパターン「1」が設定されると、クリーニングローラ104aの電圧V1が「+200V」に設定され、回収ローラ104bの電圧V2が「+200V」に設定される。なお、クリーニングパラメータPcの種類は以上の例に限定されない。
【0057】
図8は、調整モード処理のフローチャートである。MFP100は、調整モードへ移行した契機で調整モード処理を実行する。調整モード処理が実行されると、最適なクリーニングパラメータPcが自動で設定される。
【0058】
図8に示す通り、調整モード処理が開始されると、最初のクリーニングパラメータPc(電圧V1と電圧V2との組合せ)が設定される(S1)。具体的には、
図7に示すパラメータパターン「1」のクリーニングパラメータPc(V1=+200V、V2=+200V)が設定される。その後、MFP100は、指示処理(S2)を実行する。指示処理では、調整用画像Gtが印刷用紙Sに印刷される。
【0059】
指示処理を実行した後に、MFP100は、読取処理(S3)を実行する。読取処理では、印刷用紙Sに印刷された調整用画像Gtのうち第2画像部分Ryの濃度が読取られる。具体的には、上述した通り第2画像部分Ryのうちクリーニング不良が生じ得る領域Raの濃度Naとクリーニング不良が原則生じない領域Ry0の濃度N0とが測定される。
【0060】
読取処理を実行した後に、MFP100は、上述の濃度差Mを算出する(S4)。具体的には、MFP100は、直前の読取処理で測定した濃度Naと濃度N0との差を濃度差Mとして算出し記憶する。濃度差Mを算出した後に、MFP100は、全種類のクリーニングパラメータPcで調整画像Gtを印刷済みであるか否かを判定する(S5)。
【0061】
今回の調整モード処理で設定していないクリーニングパラメータPcが存在する場合(S5:No)、MFP100は、クリーニングパラメータPcを変更する(S6)。上述した通り、調整モード処理の開始時のステップS1においてパラメータパターン「1」のクリーニングパラメータPcが設定される。最初のステップS6では、パラメータパターン「1」に替えてパラメータパターン「2」のクリーニングパラメータPcが設定される。その後、パラメータパターンが「3→4→5…→16」の順序で変更される様に、上述のステップS2からステップS6が繰り返し実行される。
【0062】
以上の構成では、クリーニングパラメータPcを変更しながら、調整用画像Gtが複数回印刷され、クリーニングパラエータPc毎に濃度差Mが算出される。全てのクリーニングパラメータPcで印刷が完了したと判断した場合(S5:Yes)、MFP100は、設定処理(S7)を実行する。
【0063】
設定処理では、今回の調整モード処理で算出された各濃度差Mを比較し、最少の濃度差Mを特定する。また、最少の濃度差Mが算出された際のクリーニングパラメータPcが稼働モードにおけるクリーニングパラメータPcとして設定される。設定処理を実行した後に、MFP100は、調整モード処理を終了する。
【0064】
以上の本実施形態によれば、最適なクリーニングパラメータPcが変化した場合であっても、クリーニング不良を抑制することができる。なお、最適なクリーニングパラメータPcは、印刷用紙の種類(印刷条件)毎に変化し得る。以上の事情を考慮して、印刷用紙の種類毎にクリーニングパラメータPcを設定するとともに、印刷用紙の種類毎にクリーニングパラメータPcを調整(変更)可能な構成としてもよい。
【0065】
なお、上記で説明した実施形態のコントローラ110で実行される各機能は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるCPUのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(digital signal processor)、FPGA(field programmable gate array)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。
【0066】
<本実施形態の態様例の作用、効果のまとめ>
<第1態様>
第1態様の画像形成装置(10)は、感光体から現像剤を中間転写体へ転写する一次転写部(11)と、
中間転写体上の現像剤を記録媒体に転写する二次転写部(12)と、
第1画像部分(
図6のRy)および第1画像部分と色彩が相違し第1画像部分より後に転写される第2画像部分(同図のRk)を含む調整用画像(Gt)を記録媒体に形成させる指示部(15)と、調整用画像が形成された記録媒体を読取る読取部(17)と、調整用画像のうち第2画像部分の読取結果に基づいて、クリーニングパラメータ(Pc)を設定する設定部(18)と、設定部が設定したクリーニングパラメータに基づいて、中間転写体上の現像剤をクリーニングするクリーニング部(13)と、を備える。以上の態様によれば、最適なクリーニングパラメータを容易に設定し易くなる。
【0067】
<第2態様および第3態様>
第2態様の画像形成装置は、稼働モードおよび調整モードに移行させるモード移行部(14)と、調整モードにおいて、クリーニングパラメータを変更しながら、調整用画像を記録媒体に複数回形成させる制御部(16)と、を具備し、設定部は、調整モードで形成された複数の調整用画像の各読取結果に基づいて、稼働モードで用いるクリーニングパラメータを設定する(
図8参照)。また、第3態様の画像形成装置では、設定部は、調整用画像のうち第2画像部分の濃度に基づいて、クリーニングパラメータを設定する以上の態様では、クリーニングパラメータが高精度に設定される。
【0068】
<第4態様>
本態様のクリーニングパラメータの設定方法は、感光体から現像剤を中間転写体へ転写する一次転写部と、中間転写体上の現像剤を記録媒体に転写する二次転写部と、クリーニングパラメータに基づいて、中間転写体上の現像剤をクリーニングするクリーニング部と、を具備する画像形成装置におけるクリーニングパラメータの設定方法であって、第1画像部分および第1画像部分と色彩が相違し第1画像部分より後に転写される第2画像部分を含む調整用画像を記録媒体に形成させるステップ(指示処理)と、調整用画像が形成された記録媒体を読取るステップ(読取処理)と、調整用画像のうち第2画像部分の読取結果に基づいて、クリーニングパラメータを設定するステップ(設定処理)とをコンピューターに実行させる。本態様によれば、第1態様と同様な効果が奏せられる。
【0069】
<第5態様>
本態様のプログラムは、第4態様の各ステップをコンピューターに実行させる。本態様によれば、第1態様と同様な効果が奏せられる。
【符号の説明】
【0070】
10…画像形成装置、11…一次転写部、12…二次転写部、13…クリーニング部、14…モード移行部、15…指示部、16…制御部、17…読取部、18…設定部。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0071】