(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024071065
(43)【公開日】2024-05-24
(54)【発明の名称】三次元形状測定装置における被測定物の位置決め方法
(51)【国際特許分類】
G01B 21/00 20060101AFI20240517BHJP
G01B 5/00 20060101ALI20240517BHJP
【FI】
G01B21/00 L
G01B5/00 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022181800
(22)【出願日】2022-11-14
(71)【出願人】
【識別番号】000004455
【氏名又は名称】株式会社レゾナック
(72)【発明者】
【氏名】吉松 智哉
【テーマコード(参考)】
2F062
2F069
【Fターム(参考)】
2F062AA21
2F062AA51
2F062BC71
2F062CC22
2F062CC23
2F062DD24
2F062DD33
2F062EE01
2F062EE62
2F062FF02
2F062GG17
2F062HH01
2F062MM02
2F069AA31
2F069AA61
2F069BB40
2F069DD16
2F069DD25
2F069GG01
2F069GG62
2F069HH01
2F069JJ04
2F069LL02
2F069MM02
2F069PP02
2F069TT13
(57)【要約】
【課題】三次元形状測定装置により被測定物の形状測定を行う際に、自動測定前のティーチング作業を必要としない、様々な形状の被測定物に対応できる被測定物の位置決め方法を提供する。
【解決手段】三次元測定装置に着脱可能な測定用治具を設置する。測定用治具は1本の固定ピンと1本の固定ガイドピンと固定壁とザグリ穴を備える測定ステージ、1つの位置決めブッシュと長孔とネジ穴を備える治具ステージ、及び2本の位置決めピンとザグリ穴を備える固定ステージ、で構成され、1本の固定ピンを被測定物に当接させたまま、固定壁に被測定物を接触させて測定ステージに載置することにより、被測定物を高精度に位置決めすることができ、ティーチング作業を省いた自動測定が可能となる被測定物の位置決め方法。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平歯車を三次元測定機で測定するための測定用治具であって、前記測定用治具は1本の固定ピンと1本の固定ガイドピンと固定壁とザグリ穴を備える測定ステージ、1つの位置決めブッシュと長孔とネジ穴を備える治具ステージ、及び2本の位置決めピンとザグリ穴を備える固定ステージ、で構成され、
前記固定ステージに設けたザグリ穴に通したネジと、前記三次元測定機の測定機テーブルに設けたネジ穴を締結して、前記固定ステージと前記三次元測定機の測定機テーブルを固定し、
前記治具ステージの位置決めブッシュ及び長孔に、前記固定ステージに設けた位置決めピンを嵌入して、前記治具ステージを位置決めブッシュを基準に前記固定ステージに位置決め固定し、
前記測定ステージに設けたザグリ穴に通したネジと前記治具ステージに設けたネジ穴を締結して、上記測定ステージと上記治具ステージを固定し、
前記測定ステージに設けた1本の固定ピンを前記平歯車の歯底に当接させたまま、前記測定ステージに設けた固定壁に前記平歯車の歯先を接触させ、前記平歯車を前記測定ステージに載置することを特徴とする測定用治具。
【請求項2】
前記測定ステージと、前記治具ステージと、の材質がモノマーキャストナイロン(MC901)である請求項1に記載の測定用治具。
【請求項3】
前記測定ステージに設ける1本の固定ピンと、1本の固定ガイドピンと、の間隔が前記平歯車のピッチと同間隔であり、前記固定ピンと固定ガイドピンが前記測定ステージの上面から10~15mm高さで配置され、材質がSKS3である請求項1又は2のいずれか一項に記載の測定用治具。
【請求項4】
前記固定壁の材質が、A2017である請求項3に記載の測定用治具。
【請求項5】
前記位置決めピンと前記位置決めブッシュの材質がSUJ2である請求項4に記載の測定用治具。
【請求項6】
前記位置決めピンと前記位置決めブッシュ間の寸法公差が0.05以下である請求項5に記載の測定用治具。
【請求項7】
前記固定ステージの材質が、A2017である請求項6に記載の測定用治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三次元形状測定装置により被測定物の形状測定を行う際に、被測定物の座標系と測定装置の座標系との原点補正を自動で行える、被測定物の位置決め方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、製造工程における製品の寸法測定や、中間製品の検査において、高い精度、汎用性の高さ、及び自動化の容易さなどから三次元測定装置の普及が進んでいる。
尚、本願では直交する3軸をそれぞれX、Y、及びZとするとき、三次元測定装置では、XY平面における基準点の位置と基準点からのベクトル、YZ平面における基準点の位置と基準点からのベクトル、及び、ZX平面における基準点の位置と基準点からのベクトル、の6自由度で測定点の座標を決定している。
三次元測定装置を用いて座標測定を行うためには、被測定物の座標系と三次元測定装置の座標系とを正確に一致させる必要がある。そのため、被測定物を測定装置に固定するか、又は、形状の測定を開始する前に、被測定物の座標系と三次元測定装置の座標系との原点補正を行う必要がある。
【0003】
被測定物の座標系と三次元測定装置の座標系とを一致させ、測定箇所、測定順序等の自動測定プログラムを作成することをティーチングと呼んでいる。そして、ティーチングをする前は、被測定物の座標系と測定装置の座標系との相対関係が不明である。
従来、ティーチングの方法としては、三次元測定装置の測定子を、被測定物の所定の測定位置に手動で当てて行うことが一般的であり、ティーチングに技術や時間を要するものであった。したがって、このティーチングは、自ずと熟練又は経験が要求され、手数と時間とを要するものである。
また、別のティーチング方法として、カメラを用いて被測定物の座標系を認識させる方法等があるが、装置が大きくなり、高価であるという問題がある。
【0004】
特許文献1には、被測定物固定用の治具に3個の球体を配置し、三次元測定機で該3個の球体の位置を測定して被測定物固定用治具の座標系を定義し、被測定物を正確に測定できる被測定物固定用治具が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1では、被測定物を固定する治具が測定装置に固定されていないため、自動測定前に、該3個の球体の位置を測定するティーチング作業が必要となることが考えられる。
また、被測定物固定用の治具は、様々な形状に対応していないので、形状の異なる測定物を測定するためには、被測定物固定用の治具を変更して、自動測定前に再度ティーチング作業を行う必要がある。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、三次元形状測定装置により被測定物の形状測定を行う際に、自動測定前のティーチング作業を必要としない、様々な形状の被測定物に対応できる被測定物の位置決め方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は、下記[1]~[7]の実施形態を含むものである。
[1]平歯車を三次元測定機で測定するための測定用治具であって、上記測定用治具は1本の固定ピンと1本の固定ガイドピンと固定壁とザグリ穴を備える測定ステージ、1つの位置決めブッシュと長孔とネジ穴を備える治具ステージ、及び2本の位置決めピンとザグリ穴を備える固定ステージ、で構成され、
前記固定ステージに設けたザグリ穴に通したネジと、前記三次元測定機の測定機テーブルに設けたネジ穴を締結して、前記固定ステージと前記三次元測定機の測定機テーブルを固定し、
前記治具ステージの位置決めブッシュ及び長孔に、前記固定ステージに設けた位置決めピンを嵌入して、前記治具ステージを位置決めブッシュを基準に前記固定ステージに位置決め固定し、
前記測定ステージに設けたザグリ穴に通したネジと前記治具ステージに設けたネジ穴を締結して、上記測定ステージと上記治具ステージを固定し、
前記測定ステージに設けた1本の固定ピンを前記平歯車の歯底に当接させたまま、前記測定ステージに設けた固定壁に前記平歯車の歯先を接触させ、前記平歯車を前記測定ステージに載置することを特徴とする測定用治具。
[2]上記測定ステージと上記治具ステージの材質がモノマーキャストナイロン(MC901)である[1]項に記載の測定用治具。
[3]上記測定ステージに設ける1本の固定ピンと、1本の固定ガイドピンと、の間隔が上記平歯車のピッチと同間隔であり、上記固定ピンと上記固定ガイドピンが上記測定ステージの上面から10~15mm高さで配置され、材質がSKS3である[1]又は[2]のいずれか一項に記載の測定用治具。
[4]上記固定壁の材質が、A2017である[1]~[3]のいずれか一項に記載の測定用治具。
[5]上記位置決めピンと上記位置決めブッシュの材質が、SUJ2である[1]~[4]のいずれか一項に記載の測定用治具。
[6]上記位置決めピンと位置決めブッシュ間の寸法公差が0.05以下である[1]~[5]のいずれか一項に記載の測定用治具。
[7]上記固定ステージの材質が、A2017である[1]~[6]のいずれか一項に記載の測定用治具。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、三次元形状測定装置により被測定物の形状測定を行う際に、被測定物の座標系と測定装置の座標系との原点補正を自動で行える、ティーチィング作業が不要な測定が可能となる、被測定物の位置決め方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】固定ステージと治具ステージが組み合った状態の概略図である。
【
図3】治具ステージと固定ステージを外した状態の概略図である。
【
図4】測定ステージの正面概略図及び平面概略図である。
【
図5】固定ステージの正面概略図及び平面概略図である。
【
図6】治具ステージの正面概略図及び平面概略図である。
【
図7】平歯車を測定ステージに載置した状態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本明細書において、「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。本明細書中に段階的に記載されている数値範囲において、ある段階の数値範囲の上限値又は下限値は、他の段階の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。本明細書中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
【0012】
三次元測定機テーブルと固定ステージとの設置位置決めには、ネジ止め、または接着材を用いる固定方法等が好ましい。これにより、X、Y、及びZの3方向に対して高精度な位置決めが可能となる。固定ステージと治具ステージの固定には、位置決めピンと位置決めブッシュを用いて行い、取り外しを容易にしておくと被測定物の入れ替えが容易に行える。治具ステージと測定ステージは、ネジ止めや接着剤又は、一体成型等で、取り外せないようにすることが好ましい。測定ステージを、被測定物の種類毎に作製し、治具ステージに付け替えすれば、治具ステージを共用化することができ、機種毎の生産量に見合う測定ステージの作製数を調整することができるので、また、測定ステージと被測定物の位置決めは、固定ピンや固定壁に被測定物を押し当てて位置決めする方法であれば、高度な技術を必要とすることなく測定を行うことができる。
【0013】
一般に、多品種に対応するための被測定物の載置方法として、マグネットチャックを利用することが多く、被測定物の固定は簡単にできるが、精度よく位置決めするのは困難である。また、マグネットチャックを使用した後、被測定物が磁化し、脱磁処理が必要となることがある。そのため、脱磁処理の工数が掛り、脱磁処理での被測定物への擦り傷の発生、及び未脱磁品の製品が次工程へ流出する懸念がある。
本発明では、例えば上記測定ステージに設けた1本の固定ピンに平歯車の歯底を当接させ、上記測定ステージに設けた固定壁に上記平歯車の歯先を接触させて、上記平歯車を上記測定ステージに載置することで、位置決めを行う。そのため、被測定物を高精度に位置決めすることができるので、ティーチング作業を行わなくても自動測定が可能となる。
また、例えば左右非対称の被測定物を測定するときは、上記測定ステージに設けた1本の固定ピンに、該被測定物の端面を当接させ、上記固定壁に該被測定物の他の端面を接触させて、2点接触の状態で載置することにより、位置決めが可能となる。
【0014】
<三次元測定機>
図1は、本発明の実施の形態における三次元測定機、及び測定用治具の構成例の概略図である。
図4に示すように、1本の固定ピン、1本の固定ガイドピン、固定壁、及びザグリ穴を備える測定ステージと、
図6に示すように、1つの位置決めブッシュ、長孔、及びネジ穴を備える治具ステージと、
図5に示すように、2本の位置決めピン、及びザグリ穴を備える固定ステージと、三次元測定機の測定テーブルで構成される。接触式三次元測定機の測定プローブは、先端に鋼球、サファイア等を高精度な球形に加工して使用する。測定プローブの移動は、X、Y、及びZ軸方向にNC制御で移動することが可能である。
【0015】
三次元測定機の自動運転モードには、予め作成した測定パスを使用し、自動で被測定物の各ポイントに測定プローブを接触させて被測定物の形状を認識する方法がある。 また、測定パスの作成方法は、3DCADデータから測定パスを作成する方法、手作業で被測定物の各ポイントに測定プローブを接触させることにより、測定ポイントを覚え込ませて測定パスを作成する方法等がある。
【0016】
<測定ステージ>
測定ステージは、
図4に示すように、1本の固定ピン、1本の固定ガイドピン、固定壁、及びザグリ穴を備える。測定ステージの材質は、被測定物の磁化対策、及び傷対策の観点からモノマーキャストナイロン(MC901)を使用するのが好ましい。1本の固定ピンと1本の固定ガイドピンは、測定のし易さ及び治具への取り付け易さから、その直径は5~6mmとするのが好ましい。また、固定ピンと固定ガイドピンは、測定ベース面からの高さが10~15mm突出させて設置するのが好ましい。1本の固定ピンと1本の固定ガイドピンは、ピンの緩みを防止するため、測定ステージに圧入して固定するのが好ましい。
【0017】
固定壁の材質は、磁化対策、及び耐摩耗性の観点からA2017(アルミニウム合金:JIS H4000:2014準拠)が好ましい。固定壁は、測定ステージにネジ止めで固定される。固定壁は、測定ベース面からの高さが15~20mm突出していることが好ましい。また、固定壁の幅は、4~6mmとするのが好ましい。ザグリ穴は、測定ステージと治具ステージの固定に使用され、ザグリ穴に通したネジと治具ステージ上の測定ベース固定用ネジ穴を締結し固定する。固定は、六角ボルト呼び径M5~M8が好ましい。ザグリ穴径は、使用するネジ径に対応して、六角ボルト呼び径M5の場合は、下穴加工径5.5mm、ザグリ加工径9.5mm、ザグリ加工深さ5.4mm以上で、呼び径M6の場合は、下穴加工径6.6mm、ザグリ加工径11mm、ザグリ加工深さ6.5mm以上で、呼び径M8の場合は、下穴加工径9mm、ザグリ加工径14mm、ザグリ加工深さ8.6mm以上に設定するのが好ましい。測定ステージと治具ステージは、固定後は外すことはない。
【0018】
<治具ステージ>
治具ステージは、1つの位置決めブッシュ、1つの長孔、及びネジ穴を備える。治具ステージの材質は、被測定物の磁化対策、及び傷対策からモノマーキャストナイロン(MC901)を使用するのが好ましい。1つの位置決めブッシュは、耐摩耗性の観点からSUJ2を用いるのが好ましい。ブッシュ径は、固定のしやすさから、その直径は、8~15mmの範囲に設定するのが好ましい。
治具ステージの熱膨張の影響を吸収するために、長孔を設ける。長孔の直径は、ブッシュ径と同じ径に加工するのが好ましい。ネジ穴は、測定ステージの固定に使用する。ネジ穴の数は固定する測定ステージ1個に付き、4か所以上設けると精度よく固定することができる。固定は、六角ボルト呼び径M5~M8を用いるのが好ましい。ネジ穴径は、使用するネジ径に対応し、ネジ深さは、10mm以上で測定ステージを貫通しないことが好ましい。
治具ステージの位置決めブッシュ、及び位置決め長孔に固定ステージに設けた位置決めピンを嵌入し固定する。
【0019】
<固定ステージ>
固定ステージは、2本の位置決めピン、及びザグリ穴を備える。固定ステージの材質は、磁化対策と耐摩耗性の観点からA2017が好ましい。2本の位置決めピンは、耐摩耗性の観点からSUJ2が好ましく、ピン径は、8~15mmで、ブッシュ径より細くし、位置精度を上げる観点から寸法公差を0.05以下に設定するのが好ましい。
ザグリ穴は、三次元測定機テーブルとネジを用いて締結するために使用する。
ザグリ穴は、三次元測定機テーブル上のネジ穴径に合わせて開けることが好ましい。
例として、六角ボルト呼び径M6、M8のネジ穴が開いている場合、ザグリ穴径は、呼び径M6の場合は、下穴加工径6.6mm、ザグリ加工径11mm、ザグリ加工深さ6.5mmで、呼び径M8の場合は、下穴加工径9mm、ザグリ加工径14mm、ザグリ加工深さ8.6mm以上に設定するのが好ましい。
その他、特に指示しない寸法は、公差を±0.25で仕上げればよい。
【実施例0020】
以下に、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
実施例及び比較例で用いた材料について以下に示す。
(実施例1)
[被測定物]
被測定物は、歯幅4.2mm、ピッチ8.00、ピッチ円径φ91.79、歯底径φ86.14、歯数36の標準平歯車を使用した。歯車には加工の基準、噛合いのためのマークが打刻等の方法で設けられる。
【0021】
[測定ステージ1]
MCナイロンプレートを用意し、
図4に示すように、六角ボルト呼び径M8用の9.測定ベース固定用ザグリ穴を4か所設けた。また、5.固定ピンと6.固定ガイドピンを、上記MCナイロンプレート面上の高さ15mm、上記2本のピン間距離を、測定する歯車のピッチ円の円周の1/36とする位置に圧入した。8.固定壁は、5.固定ピンと6.固定ガイドピンを結ぶ仮想線分の仮想垂直二等分線に平行で、上記仮想垂直二等分線から垂直方向に歯先円半径分離れた位置が、固定壁の刃先当接面となる位置にネジ固定した。
【0022】
[治具ステージ2]
MCナイロンプレートを用意し、
図6に示すように六角ボルト呼び径M8用の17.測定ベース固定用ネジ穴を計12か所設けた。内径12mmの14.位置決めブッシュを圧入し、16.位置決め長孔を加工した。本例では、測定ステージを3ケ固定できるようにした。
【0023】
[固定ステージ3]
A2017のアルミプレートを用意し、
図5に示すように三次元測定機のテーブルネジ穴に合わせて、13.固定ベース固定用ザグリ穴を6か所加工し、φ12の11.位置決めピン2本を、上記アルミプレート面から高さ10mmになるように圧入した。
【0024】
[測定ステージ1と治具ステージ2の固定]
本実施例では、測定ステージ1を3セットと、治具ステージ2をそれぞれ用意した。測定ステージ1に設けた測定ベース9の固定用ザグリ穴に通した六角ボルト呼び径M8と治具ステージ2に設けた測定ベース17の固定用ネジ穴を締結して、測定ステージ1と上記治具ステージ2をネジ固定する。測定ステージ1と治具ステージ2はネジ固定後、位置精度を保つため、生産が終了するまではボルトを緩めない。同様にして、残り2セットをネジ固定した。
【0025】
[固定ステージ3と三次元測定機テーブル4の固定]
固定ステージ3に設けたザグリ穴に通した六角ボルト呼び径M8と三次元測定機テーブル4に設けたネジ穴とを締結して、固定ステージ3と三次元測定機テーブル4とをネジ固定した。固定ステージ3と三次元測定機テーブル4はネジ固定後、位置精度を保つため、生産が終了するまではボルトを緩めない。
【0026】
[治具ステージ2と固定ステージ3の固定]
測定ステージ1を締結した治具ステージ2の位置決めブッシュ14及び位置決め長孔16に、固定ステージに設けた位置決めピン11を嵌入し固定した。
【0027】
[被測定物1個の載置]
図7のように、測定ステージ上の1本の固定ピンと1本の固定ガイドピンの間に、タイミングマークを設けた位置の歯を差し込み、固定ピン5側の歯底を固定ピンの周面に当接させたまま、固定壁に歯車の歯が接触するまで歯車を移動させた。
本例では、治具ステージ上の3個の測定ステージの内、1個の測定ステージを使用した。
【0028】
[1個用三次元自動測定プログラムの作成]
測定ステージ上に載置した1個の平歯車の各測定ポイントに、手作業で測定プローブを接触させ、測定パスを作成した。作成した測定パスを元に、測定ステージの平歯車1個を測定する、1個用自動測定プログラムを作成した。
【0029】
[被測定物1個の測定]
平歯車は、測定環境温度(室温:20℃)に4時間放置した後測定を行った。
作成した1個用自動測定プログラムを起動し、平歯車1個の測定を行った結果、平歯車の載置から測定終了までの時間は、85秒であった。
【0030】
(実施例2)
[被測定物3個の載置]
治具ステージ上の3個の測定ステージ全てに実施例1と同様にして平歯車を載置した。
[3個用三次元自動測定プログラムの作成]
測定ステージ上に載置した3個の平歯車の各測定ポイントに、手作業で測定プローブを接触させ、測定パスを作成した。作成した測定パスを元に、測定ステージの平歯車3個を測定する、3個用自動測定プログラムを作成した。
【0031】
[被測定物3個の測定]
平歯車は、測定環境温度(室温:20℃)に4時間放置した後測定を行った。
作成した3個用自動測定プログラムを起動し、平歯車3個の測定を行った結果、平歯車の載置から測定終了までの時間は、220秒であった。
【0032】
(比較例1)
[被測定物の固定]
永磁マグネットチャックに、平歯車1個を固定した。
[三次元自動測定プログラムの作成]
永磁マグネットチャックに固定した1個の平歯車の各測定ポイントに測定プローブを接触させ、1個用の自動測定プログラム測定パスを作成した。
【0033】
[測定]
平歯車は、測定環境温度(室温:20℃)に4時間放置した後測定を行った。
マグネットチャックに、平歯車1個を固定後、平歯車の位置、角度を認識させるためにティーチング作業を実施する。作成した自動測定プログラムを起動して測定を行った結果、平歯車の固定から測定終了までの時間は、120秒であった。
いずれの例でも、問題なく測定ができた。また測定に要した時間の詳細を表1に示した。
【0034】
【0035】
表1から明らかなように、実施例1~2の場合は、比較例1と比較して1個当たりの所要時間が短くなっていることがわかる。平歯車の測定において、実施例で製作した測定用治具は、所要時間の短縮に効果的であると判断できる。