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特開2024-71130無線通信装置を内蔵した意匠性に優れた照明装置、その無線通信装置のアンテナの角度調整方法、その敷設方法、マイクロ発泡シート及び広角に放射される所定波長の電波通過時の損失が少ない光反射板
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  • 特開-無線通信装置を内蔵した意匠性に優れた照明装置、その無線通信装置のアンテナの角度調整方法、その敷設方法、マイクロ発泡シート及び広角に放射される所定波長の電波通過時の損失が少ない光反射板 図1
  • 特開-無線通信装置を内蔵した意匠性に優れた照明装置、その無線通信装置のアンテナの角度調整方法、その敷設方法、マイクロ発泡シート及び広角に放射される所定波長の電波通過時の損失が少ない光反射板 図2
  • 特開-無線通信装置を内蔵した意匠性に優れた照明装置、その無線通信装置のアンテナの角度調整方法、その敷設方法、マイクロ発泡シート及び広角に放射される所定波長の電波通過時の損失が少ない光反射板 図3
  • 特開-無線通信装置を内蔵した意匠性に優れた照明装置、その無線通信装置のアンテナの角度調整方法、その敷設方法、マイクロ発泡シート及び広角に放射される所定波長の電波通過時の損失が少ない光反射板 図4
  • 特開-無線通信装置を内蔵した意匠性に優れた照明装置、その無線通信装置のアンテナの角度調整方法、その敷設方法、マイクロ発泡シート及び広角に放射される所定波長の電波通過時の損失が少ない光反射板 図5
  • 特開-無線通信装置を内蔵した意匠性に優れた照明装置、その無線通信装置のアンテナの角度調整方法、その敷設方法、マイクロ発泡シート及び広角に放射される所定波長の電波通過時の損失が少ない光反射板 図6
  • 特開-無線通信装置を内蔵した意匠性に優れた照明装置、その無線通信装置のアンテナの角度調整方法、その敷設方法、マイクロ発泡シート及び広角に放射される所定波長の電波通過時の損失が少ない光反射板 図7
  • 特開-無線通信装置を内蔵した意匠性に優れた照明装置、その無線通信装置のアンテナの角度調整方法、その敷設方法、マイクロ発泡シート及び広角に放射される所定波長の電波通過時の損失が少ない光反射板 図8
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  • 特開-無線通信装置を内蔵した意匠性に優れた照明装置、その無線通信装置のアンテナの角度調整方法、その敷設方法、マイクロ発泡シート及び広角に放射される所定波長の電波通過時の損失が少ない光反射板 図10
  • 特開-無線通信装置を内蔵した意匠性に優れた照明装置、その無線通信装置のアンテナの角度調整方法、その敷設方法、マイクロ発泡シート及び広角に放射される所定波長の電波通過時の損失が少ない光反射板 図11
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  • 特開-無線通信装置を内蔵した意匠性に優れた照明装置、その無線通信装置のアンテナの角度調整方法、その敷設方法、マイクロ発泡シート及び広角に放射される所定波長の電波通過時の損失が少ない光反射板 図13
  • 特開-無線通信装置を内蔵した意匠性に優れた照明装置、その無線通信装置のアンテナの角度調整方法、その敷設方法、マイクロ発泡シート及び広角に放射される所定波長の電波通過時の損失が少ない光反射板 図14
  • 特開-無線通信装置を内蔵した意匠性に優れた照明装置、その無線通信装置のアンテナの角度調整方法、その敷設方法、マイクロ発泡シート及び広角に放射される所定波長の電波通過時の損失が少ない光反射板 図15
  • 特開-無線通信装置を内蔵した意匠性に優れた照明装置、その無線通信装置のアンテナの角度調整方法、その敷設方法、マイクロ発泡シート及び広角に放射される所定波長の電波通過時の損失が少ない光反射板 図16
  • 特開-無線通信装置を内蔵した意匠性に優れた照明装置、その無線通信装置のアンテナの角度調整方法、その敷設方法、マイクロ発泡シート及び広角に放射される所定波長の電波通過時の損失が少ない光反射板 図17
  • 特開-無線通信装置を内蔵した意匠性に優れた照明装置、その無線通信装置のアンテナの角度調整方法、その敷設方法、マイクロ発泡シート及び広角に放射される所定波長の電波通過時の損失が少ない光反射板 図18
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024071130
(43)【公開日】2024-05-24
(54)【発明の名称】無線通信装置を内蔵した意匠性に優れた照明装置、その無線通信装置のアンテナの角度調整方法、その敷設方法、マイクロ発泡シート及び広角に放射される所定波長の電波通過時の損失が少ない光反射板
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20240517BHJP
   H01Q 3/08 20060101ALI20240517BHJP
   H01Q 1/44 20060101ALI20240517BHJP
   H01Q 1/42 20060101ALI20240517BHJP
   H05K 9/00 20060101ALI20240517BHJP
   F21V 19/00 20060101ALI20240517BHJP
   F21V 23/04 20060101ALI20240517BHJP
   F21V 7/05 20060101ALI20240517BHJP
   F21V 7/10 20060101ALI20240517BHJP
   F21V 7/24 20180101ALI20240517BHJP
【FI】
F21S2/00 340
H01Q3/08
H01Q1/44
H01Q1/42
H05K9/00 M
F21S2/00 311
F21V19/00 150
F21V19/00 170
F21V23/04 500
F21V7/05
F21V7/10 310
F21V7/24
F21S2/00 390
【審査請求】未請求
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022181919
(22)【出願日】2022-11-14
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096091
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 誠一
(72)【発明者】
【氏名】山本 俊司
(72)【発明者】
【氏名】木村 泰樹
(72)【発明者】
【氏名】河井 功一
(72)【発明者】
【氏名】小澤 英史
(72)【発明者】
【氏名】小澤 聡
【テーマコード(参考)】
3K013
3K014
5E321
5J021
5J046
【Fターム(参考)】
3K013BA01
3K013CA05
3K014GA03
5E321AA23
5E321BB21
5E321BB23
5E321GG11
5J021AA01
5J021DA02
5J021DA05
5J021DA06
5J021GA02
5J046AA02
5J046AA12
5J046RA03
5J046RA12
5J046SA00
(57)【要約】
【課題】 LED照明装置からの光取り出し効率に優れ、直接照明装置でありながら、照明装置から取り出す光の輝度分布の差を緩和して輝度分布をより均一なものとすると同時に、アンテナによる光の吸収を防止して照明装置の輝度を高めるとともに照明装置から広角に光を取り出すことができ、さらに無線通信装置の電波の発信を阻害することのない、無線通信装置を内蔵した照明装置等を提供する。
【解決手段】 光反射板5の前方には、複数のLED光源7が規則的に配置される。LED光源7が配置されていない光反射板の後方には、無線通信装置アンテナ11が配置される。回路基板9と無線通信装置アンテナ11の後方には、電磁波吸収部材13が配置される。照明装置1は、LED光源群の発光面が、無線通信装置アンテナ11の放射面を遮蔽しないように、LED光源7と無線通信装置アンテナ11とが、光反射板5の長手方向にずれて配置される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも光透過部材で形成された前方カバー部材と、
回路基板と、
前記回路基板の前方に配置される光反射板と、
前記光反射板の前方に、複数のLED光源の発光面が規則的に配置されるように、回路基板上に配置されたLED光源群と、
前記光反射板の後方に配置される無線通信装置のアンテナと
前記無線通信装置のアンテナの後方に配置された電磁波吸収部材と、
後方カバー部材と、
を具備する照明装置であって、
前記光反射板は、前記光反射板の面に直交する方向からの側面視における形状が、前記光反射板の長手方向の両端部側と中央部のいずれかの少なくとも一部が前方に突出した形状部分を有するか、あるいは略一直線状に形成されており、
前記LED光源群の発光面が、前記無線通信装置のアンテナの放射面を遮蔽しないように、前記光反射板の長手方向には、前記LED光源群と、前記無線通信装置のアンテナの一方が前記光反射板の両端部側に、他方が前記光反射板の中央部側に配置され、
さらに前記前方カバー部材と、前記LED光源の発光面及び前記光反射板の前記無線通信装置のアンテナを覆う部分とが所定距離離間するように配置され、前記無線通信装置のアンテナは、前記光反射板の前記前方に突出した形状部分あるいは略一直線状に形成された部分の後方に配置されることを特徴とする無線通信装置を内蔵した照明装置。
【請求項2】
前記光反射板は、PET樹脂またはPC樹脂のいずれかからなるマイクロ発泡樹脂シートであり、前記マイクロ発泡樹脂シートは、波長450~650nmの可視光帯における硫酸バリウム標準板に対する拡散反射率を100%とすると、拡散反射率が95%以上であり、比誘電率が1.8以下のマイクロ発泡樹脂シートであることを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置を内蔵した照明装置。
【請求項3】
前記LED光源群が平板状の前記光反射板上に格子状、千鳥状、またはアレイ状配置されるか、あるいは格子状、千鳥状、またはアレイ状以外の所定の規則的な配置パターンにて配置されていることを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置を内蔵した照明装置。
【請求項4】
前記光反射板は、カップ形状の窪み部が、所定の配置パターンで多数形成されたマイクロ発泡樹脂シート成形体からなり、
それぞれの前記窪み部の底部に個々の前記LED光源が前記窪み部に囲まれるように配置されていることを特徴とする請求項3に記載の無線通信装置を内蔵した照明装置。
【請求項5】
前記光反射板の長手方向に対して、前記無線通信装置のアンテナが前記光反射板の中央部に配置され、前記LED光源群が前記無線通信装置のアンテナを挟み込むように前記無線通信装置のアンテナの両側に配置され、
少なくとも前記無線通信装置のアンテナの前方に対応する前記光反射板の中央部分が、前記無線通信装置のアンテナの傾斜角を付与するための可動領域を確保するために、前方に所定形状で突出するように形成され、前記光反射板の長手方向または短手方向の少なくともいずれかの前記前方に突出した形状部分の形状が、略台形状、三角形状、あるいは曲率半径の大きな円弧状を含む凸曲線状のいずれかの凸形状に形成されていることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の無線通信装置を内蔵した照明装置。
【請求項6】
前記光反射板の長手方向に対して、前記LED光源群が前記光反射板の中央部に配置され、前記無線通信装置のアンテナが前記LED光源群を挟み込むように前記LED光源群の両側に配置され、
前記光反射板の長手方向の両端部側が、前記無線通信装置のアンテナの傾斜角を付与するための可動領域を確保するために、前記光反射板の中央部から前記無線通信装置のアンテナを覆う長手方向の両端部に向けて所定形状で前方に突出して延出するように形成され、前記無線通信装置のアンテナは、前記光反射板の前記前方に突出した形状部分の後方に配置されることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の無線通信装置を内蔵した照明装置。
【請求項7】
前記光反射板の長手方向に対して、前記無線通信装置のアンテナが前記光反射板の中央部に配置され、前記LED光源群が前記無線通信装置のアンテナを挟み込むように前記無線通信装置のアンテナの両側に配置され、
前記LED光源群の照射方向の中心線に対して、前記無線通信装置のアンテナから出射される電波の主ビームの中心線が所定角度ずれるように、前記無線通信装置のアンテナが前記LED光源群に対して傾けて配置されることを特徴とする請求項5に記載の無線通信装置を内蔵した照明装置。
【請求項8】
前記光反射板の長手方向に対して、前記LED光源群が前記光反射板の中央部に配置され、前記無線通信装置のアンテナが前記LED光源群を挟み込むように前記LED光源群の両側に配置され、
前記LED光源群の照射方向の中心線に対して、前記無線通信装置のアンテナから出射される電波の主ビームの中心線が所定角度ずれるように前記無線通信装置のアンテナが前記LED光源群に対して傾けて配置されることを特徴とする請求項6に記載の無線通信装置を内蔵した照明装置。
【請求項9】
前記前方カバー部材は、光透過性樹脂またはガラスから形成され、前記光透過性樹脂から形成される場合は、PC樹脂、ABS樹脂、PET樹脂、塩ビ樹脂、PMMA樹脂等のアクリル樹脂、ポリスチレン樹脂のいずれかの透明樹脂であるか、透明樹脂に顔料を添加した半透明樹脂、または表面に半透明化構造を有する樹脂であり、前記ガラスから形成される場合は、透明なシリカガラスまたは半透明なガラスであることを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置を内蔵した照明装置。
【請求項10】
前記前方カバー部材は、前記光透過性樹脂または前記ガラスの内表面または外表面のいずれかが幾何学的凹凸構造を有しており、前記幾何学的凹凸構造と前記光反射板との間で相互拡散反射が繰り返されることで取出し光を間接光とするか、光取出し方向をランダムにすることで間接光化することを特徴とする請求項9に記載の無線通信装置を内蔵した照明装置。
【請求項11】
前記後方カバー部材を形成する材料は、樹脂製または金属製であり、さらに前記後方カバー部材の内部には、電磁波吸収体で形成された前記電磁波吸収部材が配置され、前記電磁波吸収部材は、抵抗性材料電波吸収体、誘電性材料電波吸収体、磁性材料電波吸収体のいずれか、あるいはこれらの電波吸収体を組み合わせたもの、あるいはこれらの電波吸収体を複数層積層したものであることを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置を内蔵した照明装置。
【請求項12】
波長70~100GHz帯における空気の電波吸収による電波減衰量に対するPET樹脂またはPC樹脂の前記マイクロ発泡樹脂シートからなる光反射板を通過する時の光反射板に対する傾き角0°における電波減衰量の増加が0.15dB以下の範囲に含まれることを特徴とする記載の請求項1に記載の無線通信装置を内蔵した照明装置。
【請求項13】
前記マイクロ発泡樹脂シートからなる光反射板は、PET樹脂発泡体あるいはPC樹脂発泡体のいずれかであり、前記光反射板の後方に配置されるアンテナのアンテナ面に対する前記光反射板の傾き角度が0°~45°の範囲の場合、波長22~33GHz帯における空気層通過時の電波減衰量に対する前記光反射板通過時の電波減衰量の増加が0.10dB以下を満足するか、あるいは0°~60°の範囲の場合の同様の電波減衰量の増加が0.15dB以下を満足するかのいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置を内蔵した照明装置。
【請求項14】
前記マイクロ発泡樹脂シートからなる光反射板は、PET樹脂発泡体あるいはPC樹脂発泡体のいずれかであり、前記光反射板の後方に配置されるアンテナのアンテナ面に対する前記光反射板の傾き角度が0°~45°の範囲の場合、波長70~100GHz帯における空気層通過時の電波減衰量に対する前記光反射板通過時の電波減衰量の増加が0.20dB以下を満足するか、あるいは0°~60°の範囲の場合の同様の電波減衰量の増加が0.50dB以下を満足するかのいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置を内蔵した照明装置。
【請求項15】
請求項7に記載の無線通信装置を内蔵した照明装置の無線通信装置のアンテナの角度調整方法であって、
前記LED光源群が前記無線通信装置のアンテナの両端部側に配置され、
前記LED光源群から出射される光線群の中心線が照明装置の下側の空間の所定位置の所定高さで交わるように配置され、前記無線通信装置のアンテナの主ビームの中心線が前記LED光源群の中心線同士が交わる位置を通過するか、あるいは所定距離オフセットした位置を通過することが可能なように、前記無線通信装置のアンテナの配置面の角度調整を行なう角度調整機構を有し、前記角度調整機構を所定角度に調整することで、前記無線通信装置のアンテナの配置角度を調整することを特徴とする無線通信装置を内蔵した照明装置のアンテナの角度調整方法。
【請求項16】
請求項8に記載の無線通信装置を内蔵した照明装置の無線通信装置のアンテナの角度調整方法であって、
前記無線通信装置のアンテナが前記LED光源群の両端部側に配置され、
前記無線通信装置のアンテナから出射される電波の照射空間の主ビームの中心線が照明装置の下側の空間の所定高さの所定位置で交わるように配置され、前記LED光源群の中心線が前記無線通信装置のアンテナの主ビームが交わる位置を通過するか、あるいは所定距離オフセットした位置を通過することが可能なように、前記無線通信装置のアンテナの配置面の角度調整を行なう角度調整機構を有し、前記角度調整機構を調整することで、前記無線通信装置のアンテナの配置角度を調整することを特徴とする無線通信装置を内蔵した照明装置のアンテナの角度調整方法。
【請求項17】
請求項7記載の無線通信装置を内蔵した照明装置の敷設方法であって、
前記光反射板の長手方向に対して、前記無線通信装置のアンテナが前記光反射板の中央部の後方に配置され、前記LED光源群が前記無線通信装置のアンテナを挟み込むように前記無線通信装置のアンテナの両側の前記光反射板上に配置される場合に、
前記無線通信装置のアンテナの放射面が、前記LED光源群の配置面方向に対して一致させるように配置されるか、あるいは所定角度傾けて配置されるように角度を調整することが可能であることを特徴とする無線通信装置を内蔵した照明装置の敷設方法。
【請求項18】
請求項8記載の無線通信装置を内蔵した照明装置の敷設方法であって、
前記光反射板の長手方向に対して、前記LED光源群が前記光反射板の中央部の前記光反射板上に配置され、前記無線通信装置のアンテナが前記LED光源群を挟み込むように前記LED光源群の両側の前記光反射板の後方に配置される場合に、
前記無線通信装置のアンテナの放射面が、前記LED光源群の配置面方向に対して一致させるように配置されるか、あるいは所定角度傾けて配置されるように角度を調整することが可能であることを特徴とする無線通信装置を内蔵した照明装置の敷設方法。
【請求項19】
光反射板にPET樹脂またはPC樹脂からなるマイクロ発泡樹脂シートを用い、波長22~33GHz帯における光反射板の傾斜角度が0~45°の広角な傾きの範囲内における、空気層通過時の電波減衰量に対する光反射板通過時の電波減衰量の増加が0.10dB以下の範囲に含まれることを特徴とするマイクロ発泡シート。
【請求項20】
光反射板にPET樹脂またはPC樹脂からなるマイクロ発泡樹脂シートを用い、波長22~33GHz帯における光反射板の傾斜角度が0~60°の広角な傾きの範囲内における、空気層通過時の電波減衰量に対する光反射板通過時の電波減衰量の増加が0.15dB以下の範囲に含まれることを特徴とするマイクロ発泡シートからなる光反射板。
【請求項21】
光反射板にPET樹脂またはPC樹脂からなるマイクロ発泡樹脂シートを用い、波長70~100GHz帯における光反射板の傾斜角度が0~45°の広角な傾きの範囲内における、空気層通過時の電波減衰量に対する光反射板通過時の電波減衰量の増加が0.20dB以下の範囲に含まれることを特徴とするマイクロ発泡シートからなる光反射板。
【請求項22】
光反射板にPET樹脂またはPC樹脂からなるマイクロ発泡樹脂シートを用い、波長70~100GHz帯における光反射板の傾斜角度が0~60°の広角な傾きの範囲内における、空気層通過時の電波減衰量に対する光反射板通過時の電波減衰量の増加が0.50dB以下の範囲に含まれることを特徴とするマイクロ発泡シートからなる光反射板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LED照明装置と無線通信装置とが一体化した無線通信装置を内蔵した意匠性に優れた照明装置、その無線通信装置のアンテナの角度調整方法、その照明装置の敷設方法、及び広角に放射される所定波長の電波通過時の損失が少ない光反射板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
5Gサービスの拡大や情報通信ニーズの高度化が進められる中、自動車のインテリジェント化などのニーズにより、例えば、高速道路における無線通信装置の設置のニーズが増加しつつある。無線通信装置を高速道路上に設置するには、種々の設置場所が考えられるものの、走行中の自動車や他の通信環境との障害が少ない場所として、高速道路などの道路用外灯が考えられる。
【0003】
例えば、高速道路上の外灯などは、通常所定間隔で配置され、しかも自動車を上方から見下ろす環境となり、障害物も少ない。このため、外部環境に対する電磁波の反射波や透過波の漏洩による悪影響を防止できれば、自動車に対する無線通信装置用のアンテナを設置する場所としては、最適な設置環境であると考えられる。この場合に、道路用外灯に無線通信装置を内蔵させ、照明装置としての性能を低下させずに無線通信装置としての性能を維持できれば、通信装置を最適に配置することができるが、照明装置の内部に無線通信装置を内蔵させると、照明装置の部品による電波吸収により、無線通信装置の性能を低下させる問題があった。
【0004】
このような照明装置としては、例えば、ドライバの視力を含む身体能力等に応じて照明状態を変えることが可能な道路照明システムが提案されている(特許文献1)。特許文献1の道路照明システムは、道路に沿って設置された複数の照明装置と、該照明装置の点灯状態を制御する制御装置と、該制御装置との間で情報の授受を行うと共に道路を走行する車両に搭載された車両側通信装置との間で無線通信を行う道路側通信装置とを備えている。
【0005】
また、夜間等の防犯効果を維持しながら、点灯条件が成立した場合にのみ街灯を点灯することで、街灯における電力消費を低減し、省エネルギー効果などを図った照明灯点灯制御システム及び照明灯点灯制御方法が提案されている(特許文献2)。
【0006】
特許文献2の照明灯を自動的に点灯させる照明灯点灯制御システムでは、電波を発信可能な携帯機器を所持した人物が照明灯付近を通過する際に、携帯機器から発信される電波を受信する。この受信した電波に基づき携帯情報端末機器からの距離を算出し、算出した距離が設定値以下の場合に照明灯を点灯させるものである
【0007】
また、道路付帯設備として設置又は取り付けた場合でも、周囲の視界や光線を遮ること無く、電波を用いた通信又はセンシングを行う周辺の道路付帯設備に起因して発生する不要電波の抑制方法及び不要電波の発生を抑制できる道路付帯設備が提案されている(特許文献3)。
【0008】
特許文献3では、電波を用いた通信又はセンシング時において、周辺の道路付帯設備によって発生する不要な電波を抑制するために、透明な電波吸収体が、電波反射体を挟んでその両側それぞれに配置されて構成される。電波反射体を挟んでその両側それぞれには、適当な表面抵抗を持つ抵抗皮膜と誘電体とが配置されて、両面から到来する電波を吸収する。また、抵抗皮膜および誘電体を透明な材料で構成することで、電波吸収体が光を通す構造で形成される。
【0009】
特許文献3によれば、道路付帯設備に透明な電波吸収体を取り付け、又はこれらの道路付帯設備の主要部を透明な電波吸収体から形成し、不要な電波の反射、透過を防止することにより、設置されたそれぞれの目的に応じた機能を発揮させることができる。また、電波吸収体が透明なものであることから、視野や光線を遮ることなく、電波を用いた通信又はセンシング時における不要電波の抑制を効果的に図ることができる。
【0010】
また、可視光通信システムを利用し、容易に実用化を図ることが可能な位置測定システムが提案されている(特許文献4)。特許文献4は、位置情報を可視光信号で発信する可視光通信ビーコンと、1台のカメラにより撮像した画像情報とを使用して、車両の現在位置を測定する位置測定システムである。可視光通信ビーコンは、道路照明柱に設けられた道路照明灯及び可視光通信装置からなる。車両は、1台のカメラを搭載し、可視光信号から可視光通信ビーコンの位置情報を復調して、現在位置を算出する車両位置計測装置を有する。
【0011】
特許文献4によれば、定位置で、高さ情報を含む位置情報で変調された可視光信号を発信する発信手段と、位置測定対象である移動体に設けられて、発信手段を撮像する単眼型撮像手段と、移動体に設けられて、可視光信号を受信して位置情報を取得する手段と、移動体に設けられて、単眼型撮像手段により撮像された画像情報及び位置情報を使用することで、移動体の位置を測定することができる。
【0012】
また、小型であり、低コストに製造可能であり、電波障害を回避でき、災害時であっても動作し得る基地局装置が提案されている(特許文献5)。
【0013】
特許文献5の基地局装置は、筐体により基地局ユニット、誘導灯ユニットおよび共通電源部が収容一体化されている。この基地局装置は、移動端末と無線接続してその移動端末と相手装置との通信を中継する基地局ユニットと、電力供給を受けて所定の動作を実行する電気設備ユニットとしての誘導灯ユニットと、基地局ユニットおよび誘導灯ユニットに電力を供給する共通電源部と、屋内または屋外において固定的に配備される筐体とを有している。また、特許文献5では、端部に光源を配置した樹脂製の導光板または面状にLED素子を配置したものであり、筐体には、無線通信装置である基地局ユニット、電気設備ユニットの前方に照明装置として発光パネル部と樹脂製の表示パネル部が配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2001-307895号公報
【特許文献2】特開2002-334793号公報
【特許文献3】特開2003-218581号公報
【特許文献4】特開2009-36571号公報
【特許文献5】特開2015-226201号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかし、従来の構造では、無線通信装置を内蔵させた照明装置からの光取り出し効率が必ずしも十分とは言えず、光の輝度分布を全体として均一にすることができるものではない。また、照明装置と無線通信装置とを一体化すると、照明装置が、無線通信装置の電波の発信を阻害するおそれがある。
【0016】
例えば、照明装置から取り出される光を均一にするためには、通常、反射板が使用される。しかし、例えば金属製の反射板などは、上述した比誘電率が高く、電波の透過損失が大きくなる恐れがある。しかし、反射板が適切に配置されていないと、光源からの直接光による輝度ムラの要因となる。
【0017】
これに対し、照明装置と無線通信装置とを異なる位置に配置すれば、無線通信装置からの電波が照明装置によって影響を受けないようなレイアウトとすることは可能である。しかし、このようにすると、照明装置と無線通信装置とを別個に配置する必要があるため小型化が困難である。
【0018】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、LED照明装置からの光取り出し効率に優れ、直接照明装置でありながら、反射光を拡散反射率が高い光反射板のLED光源が配置されていない部分に導光することで照明装置から取り出す光の輝度分布の差を緩和してより均一なものとすると同時に、無線通信装置の電波の発信を阻害することのない、無線通信装置を内蔵した意匠性に優れた照明装置、その無線通信装置のアンテナの角度調整方法、その敷設方法及び広角に放射される所定波長の電波通過時の損失が少ない光反射板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
前述した目的を達するために、第1の発明は、少なくとも光透過部材で形成された前方カバー部材と、回路基板と、前記回路基板の前方に配置される光反射板と、前記光反射板の前方に、複数のLED光源の発光面が規則的に配置されるように、回路基板上に配置されたLED光源群と、前記光反射板の後方に配置される無線通信装置のアンテナと前記無線通信装置のアンテナの後方に配置された電磁波吸収部材と、後方カバー部材と、を具備する照明装置であって、前記光反射板は、前記光反射板の面に直交する方向からの側面視における形状が、前記光反射板の長手方向の両端部側と中央部のいずれかの少なくとも一部が前方に突出した形状部分を有するか、あるいは略一直線状に形成されており、前記LED光源群の発光面が、前記無線通信装置のアンテナの放射面を遮蔽しないように、前記光反射板の長手方向には、前記LED光源群と、前記無線通信装置のアンテナの一方が前記光反射板の両端部側に、他方が前記光反射板の中央部側に配置され、さらに前記前方カバー部材と、前記LED光源の発光面及び前記光反射板の前記無線通信装置のアンテナを覆う部分とが所定距離離間するように配置され、前記無線通信装置のアンテナは、前記光反射板の前記前方に突出した形状部分あるいは略一直線状に形成された部分の後方に配置されることを特徴とする無線通信装置を内蔵した照明装置である。
【0020】
前記光反射板は、PET樹脂またはPC樹脂のいずれかからなるマイクロ発泡樹脂シートであり、前記マイクロ発泡樹脂シートは、波長450~650nmの可視光帯における硫酸バリウム標準板に対する拡散反射率を100%とすると、拡散反射率が95%以上であり、比誘電率が1.8以下のマイクロ発泡樹脂シートであることが望ましく、比誘電率が1.5以下であることが更に望ましい。
【0021】
前記LED光源群が平板状の前記光反射板上に格子状、千鳥状、またはアレイ状配置されるか、あるいは格子状、千鳥状、またはアレイ状以外の所定の規則的な配置パターンにて配置されていることが望ましい。
【0022】
前記光反射板は、カップ形状の窪み部が、所定の配置パターンで多数形成されたマイクロ発泡樹脂シート成形体からなり、それぞれの前記窪み部の底部に個々の前記LED光源が前記窪み部に囲まれるように多数配置されていてもよい。
【0023】
前記光反射板の長手方向に対して、前記無線通信装置のアンテナが前記光反射板の中央部に配置され、前記LED光源群が前記無線通信装置のアンテナを挟み込むように前記無線通信装置のアンテナの両側に配置され、少なくとも前記無線通信装置のアンテナの前方に対応する前記光反射板の中央部分が、前記無線通信装置のアンテナの傾斜角を付与するための可動領域を確保するために、前方に所定形状で突出するように形成され、前記光反射板の長手方向または短手方向の少なくともいずれかの前記前方に突出した形状部分の形状が、略台形状、三角形状、あるいは曲率半径の大きな円弧状を含む凸曲線状のいずれかの凸形状に形成されていてもよい。
【0024】
このように、無線通信装置のアンテナを覆う光反射板の中央部分の形状は、光反射板の長手方向または短手方向の少なくともずれかに対して、前方に突出する略台形状、三角形状、あるいは曲率半径の大きな円弧状を含む凸曲線状であってもよい。この場合に、無線通信装置のアンテナを挟み込むように配置されるLED光源群の発光面の光軸方向が平行になるように光反射板が同一方向を向いて配置されていてもよいし、あるいは光軸方向が相互に少し近づくように、LED光源群の発光面が互いに斜めに配置されていてもよい。
【0025】
前記光反射板の長手方向に対して、前記LED光源群が前記光反射板の中央部に配置され、前記無線通信装置のアンテナが前記LED光源群を挟み込むように前記LED光源群の両側に配置され、前記光反射板の長手方向の両端部側が、前記無線通信装置のアンテナの傾斜角を付与するための可動領域を確保するために、前記光反射板の中央部から前記無線通信装置のアンテナを覆う長手方向の両端部に向けて所定形状で前方に突出して延出するように形成され、前記無線通信装置のアンテナは、前記光反射板の前記前方に突出した形状部分の後方に配置されていてもよい。前記光反射板の長手方向の両端部側の所定形状で前方に突出して延出するものであれば、その形状は、平板状であってもよい。
【0026】
前記光反射板の長手方向に対して、前記無線通信装置のアンテナが前記光反射板の中央部に配置され、前記LED光源群が前記無線通信装置のアンテナを挟み込むように前記無線通信装置のアンテナの両側に配置され、前記LED光源群の照射方向の中心線に対して、前記無線通信装置のアンテナから出射される電波の主ビームの中心線が所定角度ずれるように、前記無線通信装置のアンテナが前記LED光源群に対して傾けて配置されていてもよい。
【0027】
前記光反射板の長手方向に対して、前記LED光源群が前記光反射板の中央部に配置され、前記無線通信装置のアンテナが前記LED光源群を挟み込むように前記LED光源群の両側に配置され、前記LED光源群の照射方向の中心線に対して、前記無線通信装置のアンテナから出射される電波の主ビームの中心線が所定角度ずれるように前記無線通信装置のアンテナが前記LED光源群に対して傾けて配置されていてもよい。
【0028】
前記前方カバー部材は、光透過性樹脂またはガラスから形成され、前記光透過性樹脂から形成される場合は、PC樹脂、ABS樹脂、PET樹脂、塩ビ樹脂、PMMA樹脂等のアクリル樹脂、ポリスチレン樹脂のいずれかの透明樹脂であるか、透明樹脂に顔料を添加した半透明樹脂、または表面に半透明化構造を有する樹脂であり、前記ガラスから形成される場合は透明なシリカガラスまたは半透明なガラスであってもよい。
【0029】
前記前方カバー部材は、光透過性樹脂またはガラスの内表面または外表面のいずれかが幾何学的凹凸構造を有しており、前記幾何学的凹凸構造と前記光反射板との間で相互拡散反射が繰り返されることで取出し光を間接光とするか、光取出し方向をランダムにすることで間接光化してもよい。
【0030】
前記後方カバー部材を形成する材料は、樹脂製または金属製であり、さらに前記後方カバー部材の内部には、電磁波吸収体で形成された前記電磁波吸収部材が配置され、前記電磁波吸収部材は、抵抗性材料電波吸収体、誘電性材料電波吸収体、磁性材料電波吸収体のいずれか、あるいはこれらの電波吸収体を組み合わせたもの、あるいはこれらの電波吸収体を複数層積層したものであってもよい。
【0031】
波長70~100GHz帯における空気の電波吸収による電波減衰量に対するPET樹脂またはPC樹脂の前記マイクロ発泡樹脂シートからなる光反射板を通過する時の光反射板に対する傾き角0°における電波減衰量の増加が0.15dB以下の範囲に含まれることが望ましい。
【0032】
無線通信装置を内蔵した照明装置において、光反射にマイクロ発泡樹脂製の光反射板を使用することで、広角な範囲での光反射板通過時の電波減衰量が小さい照明とすることが期待できる。マイクロ発泡樹脂シートからなる光反射板は、PET樹脂発泡体あるいはPC樹脂発泡体のいずれかであり、光反射板の後方に配置されるアンテナのアンテナ面に対する光反射板の傾き角度が0°~45°の範囲の場合、波長22~33GHz帯における空気層通過時の電波減衰量に対する前記光反射板通過時の電波減衰量の増加量が0.10dB以下を満足するか、あるいは0°~60°の範囲の場合の同様の電波減衰量の増加が0.15dB以下を満足するかのいずれかである無線通信装置を内蔵した照明装置とすることができる。
【0033】
そのため、電波減衰量の増加の角度依存性がほとんどなく、前記光反射板は広角に電波を発信するアンテナの前面に配置され、電波が光反射板を斜めに通過することで光反射板のマイクロ発泡樹脂シートの見かけ厚さが増加しても、樹脂シート通過時の電波減衰量の増加がほとんどない。
【0034】
マイクロ発泡樹脂シートからなる光反射板は、PET樹脂発泡体あるいはPC樹脂発泡体のいずれかであり、光反射板の後方に配置されるアンテナのアンテナ面に対する光反射板の傾き角度が0°~45°の範囲の場合、波長70~100GHz帯における空気層通過時の電波減衰量に対する前記光反射板通過時の電波減衰量の増加が0.20dB以下を満足するか、あるいは0°~60°の範囲の場合の同様の電波減衰量の増加が0.50dB以下を満足するかのいずれかである無線通信装置を内蔵した照明装置とすることができる。
【0035】
そのため、電波減衰量の増加の角度依存性がほとんどなく、前記光反射板は広角に電波を発信するアンテナの前面に配置され、電波が光反射板を斜めに通過することで光反射板のマイクロ発泡樹脂シートの見かけ厚さが増加しても、樹脂シート通過時の電波減衰量の増加がほとんどない。
【0036】
本発明においては、光反射板通過時の電波減衰量は,入力端子側から出力端子側に光反射板通過時の損失を表すことから、単に光反射板通過時における吸収損失だけでなく散乱や反射による損失も含むものと考えられるため、以下光反射板通過時の電波減衰量は吸収損失に加えて反射損失も含むものとする。
【0037】
第1の発明によれば、無線通信装置のアンテナがLED光源群とは重ならないように、光反射板の長手方向に、LED光源群と、無線通信装置のアンテナのいずれか一方が光反射板の両端部側に、他方が光反射板の中央部側に配置される。このため、LED光源群の発光面が、無線通信装置のアンテナの放射面を遮蔽することがない。このため、無線通信装置のアンテナから発信される電磁波の吸収を抑制することができる。
【0038】
また、無線通信装置を内蔵した照明装置のカバー部材が、前方カバー部材と後方カバー部材により形成され、後方カバー部材が電磁波吸収部材を覆うことで、無線通信装置から発信される電波やこれを透過する電波による外部環境に対する影響を少なくすることができる。例えば、照明装置が道路用外灯である場合には、無線通信装置から発信される電波等による、道路上を走行する目的とする車両以外の他の車両や近隣の外部環境に対する影響を少なくすることができる。
【0039】
また、マイクロ発泡樹脂シートの拡散反射率が十分に高ければ、反射によって輝度の分布を均一化することができる。また、マイクロ発泡樹脂シートの比誘電率が1.8以下であれば、電波がマイクロ発泡樹脂シートを透過する際における電波の透過損失をより確実に抑制することができる。例えば、通常の透明樹脂の比誘電率は2.0を超えるのに対して、マイクロ発泡樹脂シートの比誘電率は低いため、電波透過時の反射吸収散乱等のロスが少ない。
【0040】
また、LED光源群の配置パターンを規則的な所定のパターンにすることで、LED光源群から取り出す光をより均一にすることができる。
【0041】
また、マイクロ発泡樹脂シートに多数のカップ状の窪み部が形成された成形体を用いることで、LED光源を光取り出し部である前方カバー部材の方向に向けて配置しても、窪み部の内周面による拡散反射量を増やすことができる。このため、LED光源群から取り出す光の輝度分布の差を緩和してより均一なものとすることができる。さらに反射光の光束を広げる効果があり、照明装置の照射光の照射範囲を広げることができる。
【0042】
また、光反射板の長手方向に対して、無線通信装置のアンテナを光反射板の中央部に配置する場合において、無線通信装置のアンテナに対応する光反射板の中央部分を、前方に所定形状で突出するように形成することで、アンテナを所定角度で傾ける稼働空間あるいは設置空間を確保することができる。また、前方カバー部材と光反射板との間に導光空間を形成することができるため、無線通信装置のアンテナの前面に位置する光反射板の表面に拡散光を導光することができる。このため、無線通信装置のアンテナを覆う光反射板に所定の輝度を付与し、輝度の均一化を図ることができる。
【0043】
また、光反射板の長手方向に対して、無線通信装置のアンテナを光反射板の両端部に配置する場合において、光反射板の中央部から無線通信装置のアンテナを覆う長手方向の両端部に向けて所定形状で前方に突出するように延出して形成することで、アンテナを所定角度で傾ける稼働空間あるいは設置空間を確保することができる。
【0044】
また、無線通信装置のアンテナの前面に位置する光反射板の表面に、LED光源からの光を拡散反射させることができるため、無線通信装置のアンテナを覆う光反射板に所定の輝度を付与することができる。このように、無線通信装置のアンテナ前面を光反射板で覆ったとしても、アンテナ前面の意匠性を保持することができる。なお、前述したように、アンテナの前面がマイクロ発泡樹脂シート製の光反射板で覆われた場合でも、光反射板の比誘電率が低いために、アンテナから発信する電波の障害とはならない。
【0045】
また、光反射板の長手方向に対して、LED光源群を光反射板の両端部に配置し、照射方向を中心方向にそれぞれ傾けて配置することで、光反射板の両端部に配置されたそれぞれのLED光源群から出射される光を重ねることができる。このため、LED光源群からの照射光の拡散を防止して、所定領域の照射範囲における輝度を高めることができる。また、さらに、アンテナの配置角を調整し、アンテナから放射される主ローブの放射角度を調整することで、主ローブの放射位置を調整することもできる。
【0046】
また、光反射板の長手方向に対して、無線通信装置のアンテナを光反射板の両端部に配置し、放射方向を中心方向にそれぞれ傾けて配置することで、光反射板の両端部に配置されたそれぞれの無線通信装置のアンテナから出射される電波を重ねることができる。このため、無線通信装置のアンテナからの電波強度を高めることができる。アンテナの角度を調整は、例えば、ブラケット、球状部、アンテナ支持部からなる支持構造を蝶ねじとナットなどで、ブラケットと球状部の接触位置を変えることで角度調整することができる。
【0047】
また、前方カバー部材として、透明な光透過部材だけでなく、半透明な光透過部材や、透明樹脂または透明ガラスの表面に半透明な樹脂フィルムを張り付けた半透明積層体などを用いることができる。このようにすることで、より複雑で高級感のある色彩表現が可能になる。
【0048】
また、前方カバー部材の内側に、幾何学的な凹凸構造を形成することで、前方カバー部材の内面と光反射板との間で多重反射を繰り返すことができ、間接光化を図る効果がある。
【0049】
また、後方カバー部材の内部に、抵抗性材料電波吸収体、誘電性材料電波吸収体、磁性材料電波吸収体のいずれかの電磁波吸収部材を配置することで、無線通信装置から発信される電波やこれを透過する電波による外部環境に対する影響を少なくすることができる。
【0050】
また、波長70~100GHz帯における空気の電波吸収による電波減衰量に対するマイクロ発泡樹脂シートの電波減衰量の増加が、0から0.15dBの範囲に含まれるものであれば、反射板を通過する際の電波の吸収が少ないため、無線通信装置と一体化した照明装置であっても、通信性能を損なうことがない。
【0051】
第2の発明は、第1の発明にかかる無線通信装置を内蔵した照明装置の無線通信装置のアンテナの角度調整方法であって、前記LED光源群が前記無線通信装置のアンテナの両端部側に配置され、前記LED光源群から出射される光線群の中心線が照明装置の下側の空間の所定位置の所定高さで交わるように配置され、前記無線通信装置のアンテナの主ビームの中心線が前記LED光源群の中心線同士が交わる位置を通過するか、あるいは所定距離オフセットした位置を通過することが可能なように、前記無線通信装置のアンテナの配置面の角度調整を行なう角度調整機構を有し、前記角度調整機構を所定角度に調整することで、前記無線通信装置のアンテナの配置角度を調整することを特徴とする無線通信装置を内蔵した照明装置のアンテナの角度調整方法である。この角度調整は、例えば、ブラケットと球状部を用いた構造などにより可能である。
【0052】
また、第2の発明は、第1の発明にかかる無線通信装置を内蔵した照明装置の無線通信装置のアンテナの角度調整方法であって、前記無線通信装置のアンテナが前記LED光源群の両端部側に配置され、前記無線通信装置のアンテナから出射される電波の照射空間の主ビームの中心線が照明装置の下側の空間の所定高さの所定位置で交わるように配置され、前記LED光源群の中心線が前記無線通信装置のアンテナの主ビームが交わる位置を通過するか、あるいは所定距離オフセットした位置を通過することが可能なように、前記無線通信装置のアンテナの配置面の角度調整を行なう角度調整機構を有し、前記角度調整機構を調整することで、前記無線通信装置のアンテナの配置角度を調整することを特徴とする無線通信装置を内蔵した照明装置のアンテナの角度調整方法である。また、この場合の角度調整も、ブラケットと球状部を用いた構造により可能であるが、その他の公知の角度調整機構を用いることも可能である。
【0053】
第2の発明によれば、無線通信装置のアンテナから放射される電波の主ローブの放射方向を調整することができる。
【0054】
第3の発明は、第1の発明にかかる無線通信装置を内蔵した照明装置の敷設方法であって、前記光反射板の長手方向に対して、前記無線通信装置のアンテナが前記光反射板の中央部の後方に配置され、前記LED光源群が前記無線通信装置のアンテナを挟み込むように前記無線通信装置のアンテナの両側の前記光反射板上に配置される場合に、前記無線通信装置のアンテナの放射面が、前記LED光源群の配置面方向に対して一致させるように配置されるか、あるいは所定角度傾けて配置されるように角度を調整することが可能であることを特徴とする無線通信装置を内蔵した照明装置の敷設方法である。
【0055】
また、第3の発明は、第1の発明にかかる無線通信装置を内蔵した照明装置の敷設方法であって、前記光反射板の長手方向に対して、前記LED光源群が前記光反射板の中央部の前記光反射板上に配置され、前記無線通信装置のアンテナが前記LED光源群を挟み込むように前記LED光源群の両側の前記光反射板の後方に配置される場合に、前記無線通信装置のアンテナの放射面が、前記LED光源群の配置面方向に対して一致させるように配置されるか、あるいは所定角度傾けて配置されるように角度を調整することが可能であることを特徴とする無線通信装置を内蔵した照明装置の敷設方法であってもよい。
【0056】
第3の発明によれば、無線通信装置のアンテナの放射面の配置角を調整することができる。このようにすることで、照明装置のLED光源群の照射光の中心線と無線通信装置のアンテナから放射される電波の主ローブの放射方向を調整することができる。このように、アンテナの放射面とLED光源群の配置面方向の配置角度の調整を伴う照明装置の敷設方法を提供することができる。
【0057】
第4の発明は、光反射板にPET樹脂またはPC樹脂からなるマイクロ発泡樹脂シートを用い、波長22~33GHz帯における光反射板の傾斜角度が0~45°の広角な傾きの範囲内における、空気層通過時の電波減衰量に対する光反射板通過時の電波減衰量の増加が0.10dB以下の範囲に含まれることを特徴とするマイクロ発泡シートである。
【0058】
また、第5の発明は、光反射板にPET樹脂またはPC樹脂からなるマイクロ発泡樹脂シートを用い、波長22~33GHz帯における光反射板の傾斜角度が0~60°の広角な傾きの範囲内における、空気層通過時の電波減衰量に対する光反射板通過時の電波減衰量の増加が0.15dB以下の範囲に含まれることを特徴とするマイクロ発泡シートからなる光反射板である。
【0059】
また、第6の発明は、光反射板にPET樹脂またはPC樹脂からなるマイクロ発泡樹脂シートを用い、波長70~100GHz帯における光反射板の傾斜角度が0~45°の広角な傾きの範囲内における、空気層通過時の電波減衰量に対する光反射板通過時の電波減衰量の増加が0.20dB以下の範囲に含まれることを特徴とするマイクロ発泡シートからなる光反射板である。
【0060】
また、第7の発明は、光反射板にPET樹脂またはPC樹脂からなるマイクロ発泡樹脂シートを用い、波長70~100GHz帯における光反射板の傾斜角度が0~60°の広角な傾きの範囲内における、空気層通過時の電波減衰量に対する光反射板通過時の電波減衰量の増加が0.50dB以下の範囲に含まれることを特徴とするマイクロ発泡シートからなる光反射板である。
【0061】
第4の発明によれば、光反射板にPET樹脂またはPC樹脂からなるマイクロ発泡樹脂シート発泡体を用いれば、波長22~33GHz帯における光反射板の傾斜角度が0~45°の広角な傾きの範囲内における、空気層通過時の電波減衰量に対する光反射板通過時の電波減衰量の増加が0.10dB以下の範囲に含まれることを特徴とするマイクロ発泡シートからなる光反射板を得ることができる。
【0062】
たとえば、前記波長帯における上記の傾き角が45°の場合マイクロ発泡PET樹脂の電波減衰量の増加は、0.06dBであり、上記の傾き角が45°の場合マイクロ発泡PC樹脂の電波減衰量の増加は、0.07dBであるため、いずれの材料を用いても、電波減衰量の増加は、0.10dB以下を満足する。
【0063】
また、第5の発明によれば、光反射板にPET樹脂またはPC樹脂からなるマイクロ発泡樹脂シート発泡体を用いれば、波長22~33GHz帯における光反射板の傾斜角度が0~60°の広角な傾きの範囲内における、空気層通過時の電波減衰量に対する光反射板通過時の電波減衰量の増加が0.15dB以下の範囲に含まれることを特徴とするマイクロ発泡シートからなる光反射板を得ることができる。
【0064】
たとえば、前記波長帯における上記の傾き角が60°の場合マイクロ発泡PET樹脂の電波減衰量の増加は、0.11dBであり、上記の傾き角が60°の場合マイクロ発泡PC樹脂の電波減衰量の増加は、0.14dBであるため、いずれの材料を用いても、電波減衰量の増加は、0.15dB以下を満足する。
【0065】
また、第6の発明によれば、光反射板にPET樹脂またはPC樹脂からなるマイクロ発泡樹脂シート発泡体を用いれば、波長70~100GHz帯における光反射板の傾斜角度が0~45°の広角な傾きの範囲内における、空気層通過時の電波減衰量に対する光反射板通過時の電波減衰量の増加が0.20dB以下の範囲に含まれることを特徴とするマイクロ発泡シートからなる光反射板を得ることができる。
【0066】
たとえば、前記波長帯における上記の傾き角が45°の場合マイクロ発泡PET樹脂の電波減衰量の増加は、0.15dBであり、上記の傾き角が45°の場合マイクロ発泡PC樹脂の電波減衰量の増加は、0.18dBであるため、いずれの材料を用いても、電波減衰量の増加は、0.20dB以下を満足する。
【0067】
さらに、第7の発明によれば、光反射板にPET樹脂またはPC樹脂からなるマイクロ発泡樹脂シート発泡体を用いれば、波長70~100GHz帯における光反射板の傾斜角度が0~60°の広角な傾きの範囲内における、空気層通過時の電波減衰量に対する光反射板通過時の電波減衰量の増加が0.50dB以下の範囲に含まれることを特徴とするマイクロ発泡シートからなる光反射板を得ることができる。
【0068】
たとえば、前記波長帯における上記の傾き角が60°の場合マイクロ発泡PET樹脂の電波減衰量の増加は、0.41dBであり、上記の傾き角が60°の場合マイクロ発泡PC樹脂の電波減衰量の増加は、0.48dBであるため、いずれの材料を用いても、電波減衰量の増加は、0.50dB以下を満足する。
【0069】
このような光反射板を用いれば、傾き角が45°の場合に比べて、60°の場合の電波減衰率の増加は認められるものの、全体としてみれば広角に放射される電波の光反射板通過時の電波減衰量の増加の角度依存性がそれほど大きくなく、電波減衰量が少ない無線通信装置を内蔵した照明装置のアンテナの前面に使用する照明装置を得ることができる。
【発明の効果】
【0070】
本発明によれば、LED照明装置からの光取り出し効率に優れ、直接照明装置でありながら、照明装置から取り出す光の輝度分布の差を緩和してより均一なものとし、さらにアンテナを拡散反射率の高い光反射板で被うことでアンテナによる光の吸収を防止して照明装置の輝度レベルを向上して照明装置の照射範囲を広げると同時に、無線通信装置の電波の発信を阻害することのない、無線通信装置を内蔵した意匠性に優れた照明装置を提供できる。
【0071】
さらに前記無線通信装置はアンテナの角度調整機構を有し、アンテナの配置角を調整することが可能で、アンテナの配置角度調整方法や無線通信装置のアンテナから放射される電波の主ローブの放射方向を調整する照明装置の敷設方法を提供することができる。
【0072】
本発明の無線通信装置を内蔵した照明装置は、無線通信装置を内蔵し、LED光源群の光反射板として、マイクロ発泡樹脂シートをLED光源の背面に配置して、LED光源を配置していない光反射板上に反射光を導光することで、輝度分布の差を緩和し、直接照明でありながらグレア感を低減可能な間接照明的な効果を有し、照明装置の照射範囲を拡張することが可能な照明装置を実現することができる。また、無線通信装置のアンテナの電波放射面の前方を光反射板で被っているにも係わらず、光反射板透過時の電波の透過損失が極端に少ないため、無線通信装置の性能を損なわずに、照明装置の意匠性を向上させることができる。これにより、アンテナを覆う光反射板を所定の輝度の発光体とすることができ、これによる電波の透過損失がほとんどない無線通信装置を内蔵した意匠性に優れた照明装置を実現できると同時に及び広角に放射される所定波長の電波の電波透過時の損失が少ない光反射板を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
図1】照明装置1を示す平面図。
図2】(a)は図1のA-A線断面図、(b)は図1のB-B線断面図。
図3】照明装置1におけるLED光源7の他のレイアウトを示す図。
図4】マイクロ発泡PET樹脂シートまたはマイクロ発泡PC樹脂シートからなる光反射板通過時における電波減衰量の角度依存性をホーンアンテナを用いて測定する方法を示す図。
図5】所定周波数帯におけるマイクロ発泡PET樹脂シート通過時の電波減衰量の角度依存性の測定結果を示す図であり、(a)は22~33GHz帯における0°~45°それぞれの場合の通過時の電波減衰量を示す図、(b)は22~33GHz帯における60°の場合の通過時の電波減衰量を示す図、(c)は70~100GHz帯における0°~45°それぞれの場合の通過時の電波減衰量を示す図、(d)は70~100GHz帯における60°の場合の通過時の電波減衰量を示す図。
図6】所定周波数帯におけるマイクロ発泡PC樹脂シート通過時の電波減衰量の角度依存性の測定結果を示す図であり、(a)は22~33GHz帯における0°~45°それぞれの場合の通過時の電波減衰量を示す図、(b)は22~33GHz帯における60°の場合の通過時の電波減衰量を示す図、(c)は70~100GHz帯における0°~45°それぞれの場合の通過時の電波減衰量を示す図、(d)は70~100GHz帯における60°の場合の通過時の電波減衰量を示す図。
図7】(a)はアンテナ固定部17の平面図、(b)はアンテナ固定部17の側面図。
図8】(a)はアンテナ固定部17aの平面図、(b)はアンテナ固定部17の側面図。
図9】(a)はアンテナ固定部17bの平面図、(b)はアンテナ固定部17の側面図。
図10】(a)、(b)は、照明装置1の使用状態を示す図。
図11】照明装置1aを示す平面図。
図12】(a)は図11のD-D線断面図、(b)は図11のE-E線断面図。
図13】照明装置1bを示す平面図。
図14】(a)は図13のG-G線断面図、(b)は図13のH-H線断面図。
図15】照明装置1cを示す平面図。
図16】(a)は図15のJ-J線断面図、(b)は図15のK-K線断面図。
図17】照明装置1dを示す平面図。
図18】(a)は図17のM-M線断面図、(b)は図17のN-N線断面図。
【発明を実施するための形態】
【0074】
(第1の実施形態)
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。図1は、無線通信装置を内蔵した照明装置1を示す図であって図2(a)のC-C線断面図、図2(a)は、図1のA-A線断面図、図2(b)は、図1のB-B線断面図である。なお、以下の説明において配線等は図示を省略する。
【0075】
ここで、以下の説明では、図2(a)における上方(図2(b)における左側)が光及び電波の出射方向であり、この方向を照明装置1の前方とし、図2(a)の下方(図2(b)の右側)を照明装置1の後方(背面側)とする。また、図2(a)の左右方向を照明装置1の短手方向とし、図2(b)の上下方向を照明装置1の長手方向とする。
【0076】
図2(a)、図2(b)に示すように、照明装置1は、主に、前方カバー部材3、光反射板5、LED光源7、回路基板9、無線通信装置アンテナ11、電磁波吸収部材13、後方カバー部材15等から構成される。
【0077】
(LED光源の配置)
図1に示すように、LED光源7は、回路基板9の前方の光反射板5の前方に規則性をもって配置される。また、回路基板9の前方において、LED光源7以外の部位は光反射板5が配置される。すなわち、光反射板5の前方にLED光源7の発光面が規則的に配置されるように、回路基板9上には、複数のLED光源7が、光反射板5の略中央部を除き、光反射板5の略中央部の周囲を囲むように配置される。なお、配列された複数のLED光源7を総称してLED光源群とする。なお、光反射板5は、光反射板5の面に直交する方向からの側面視(図2(a)、図2(b))における形状が、光反射板5の長手方向(図2(b)の上下方向)に対して略一直線状に形成される。
【0078】
なお、図1に示す例では、LED光源群が平板状の光反射板5の前方にLED光源7が位置するように格子状に配置されている例を示すが、これには限られない。例えば、図3は、LED光源7の他の配列の例を示す図である。図3に示すように、LED光源群は、平板状の光反射板5の前方に千鳥状に配置されてもよい。このように、LED光源群は、平板状の光反射板5の前方にLED光源の発光面が位置するように格子状、千鳥状、またはアレイ状配置されるか、あるいは格子状、千鳥状、またはアレイ状以外の所定の規則的な配置パターンにて回路基板9上に配置されていればよい。
【0079】
通常は、回路基板9上に積層されたLED光源群の発光面を光反射板5の前方に配置するためには、光反射板5の各LED光源7に対応する位置を切り欠いたものを回路基板9に被せることで、この構造を得ることができる。例えば、回路基板9上へのLED光源7を所定位置に配置したLED光源群の積層構造を得るためには、LED光源7を回路基板9の所定位置に配置してリフロー炉などを使用して半田固定すればよい。そして、回路基板9上の所定位置にLED光源7を固定した回路基板9に、これと対応するように所定位置を切り欠いた光反射板5を回路基板9に被冠することで、光反射板5の前面にLED光源7の発光面が配置され、回路基板9の前面に光反射板5が積層された、回路基板9と光反射板5の積層構造を得ることができる。
【0080】
(マイクロ発泡樹脂シート製光反射板の比誘電率、電波の透過損失等)
光反射板5は、例えば、PET樹脂またはPC樹脂のいずれかからなるマイクロ発泡樹脂シート製である。マイクロ発泡樹脂シートは、波長450~650nmの可視光帯における硫酸バリウム標準板の拡散反射率を100%とすると、硫酸バリウム標準板に対するマイクロ発泡樹脂シートの拡散反射率が95%以上、より望ましいく96%以上、さらに望ましくは98%以上である。また、マイクロ発泡樹脂シートの比誘電率は1.8以下であることが望ましく、さらに比誘電率は1.5以下であることが望ましい。拡散反射率が高いほど、多重反射後にもより高い輝度を得ることができる。
【0081】
なお、マイクロ発泡樹脂シートの比誘電率として、基板の平面方向の複素比誘電率は空洞共振器法により測定することができる。本発明において、比誘電率は空洞共振器法により、2GHzの共振周波数により、長さ78mm×幅2.4mm×板厚1mmの試料を使用して測定が行われる。この際測定に使用する装置としては、空洞共振器は、株式会社関東電子応用開発製CP461を用い、ネットワークアナライザには、Agilent Technologies社製E8361Aを用いることができる。
【0082】
なお、通常の非発泡材のPET樹脂、PC樹脂の比誘電率は2.9~3.0であるが、PET樹脂発泡体の比誘電率は1.8以下、さらには1.5以下とすることもできる。このように、通常の透明樹脂の比誘電率が2.0を超えるのに対して、発泡体の比誘電率は低いため、電波が透過する際の反射吸収散乱等の損失を小さくすることができる。例えば、PET樹脂のマイクロ発泡樹脂シートの比誘電率の測定結果は、1.31、tanδは0.0020であり、PC樹脂のマイクロ発泡樹脂シート比誘電率は、1.39、tanδは0.0022である。このように、PET樹脂、PC樹脂の場合ともに、比誘電率は、1.50以下となっており、さらにtanδも0.0022以下を満足するため、電波の熱損失も少ないことが分かる。
【0083】
上記に加え、電波吸収損失の評価を、Sパラメーター法により行った。すなわち、2つのホーンアンテナを所定距離400mm離間して対向配置し、その間の空間の所定位置に寸法210mm×297mm×板厚1mmのマイクロ発泡樹脂シートを配置した時のアンテナ間の受信レベルを透過損失(通過時の損失)として評価した。なお、マイクロ発泡樹脂シートを配置しない場合の両アンテナ間の透過損失を0dBとした。電波吸収損失の評価は22~33GHz、70~100GHzの周波数帯域における透過損失を、ネットワークアナライザ(KEYSIGHT社製型番N5291A)を用いてSパラメーターのS21から得た。
本発明においては、透過損失とは、マイクロ発泡樹脂シート通過時におけるすべての損失を意味し、吸収、散乱、反射等の対象となる物質を透過する場合に生じるすべての損失を意味し、透過損失と通過時の損失とは同義である。
【0084】
(マイクロ発泡樹脂シートからなる光反射板の電波の単なる透過損失)
ここで、波長70~100GHz帯における空気の電波吸収による電波減衰量に対するPET樹脂またはPC樹脂からなるマイクロ発泡樹脂シート製の光反射板を通過する時の電波減衰量の増加が0.15dB以下の範囲に含まれるようにすることができる。ここで、前記の樹脂発泡シートを用いた電波減衰量は、通常の傾き角0°における電波減衰量を指す。このように電波減衰量を空気の場合より最大でも0.15dB以下の範囲内に抑制することで、光反射板の背面に配置される無線通信装置アンテナ11から放射される電波が透過する際の損失を低減することができる。
【0085】
(マイクロ発泡樹脂シートからなる光反射板の電波の透過損失の角度依存性)
通常、発信装置であるアンテナの前に樹脂材料を配置し、シート状樹脂材料を電波が通過する場合には、樹脂材料による電波の吸収散乱などの影響で、上記のように光反射板通過後の電波の強度が低下する。照明装置の内部に配置される光反射板は、平板状に形成される場合もあるが、光学設計の都合やあるいは光反射板の後方にアンテナを配置する場合のアンテナの可動域の確保などの理由により、アンテナの前方の光反射板を突形状に形成したり、反射板を斜めに傾けたりする場合がある。また、広角に電波を出射する広角アンテナから斜めに光反射板を横切るように出射される場合がある。
【0086】
このような場合には、シート状の樹脂材料を電波が透過する透過長さ(透過距離)がシート状樹脂材料をアンテナ面に平行に配置する場合よりも増加する場合があり、このような場合にアンテナから発信される電波の透過損失や電界の強度分布が変化するなどの問題が生じることがある。一方、マイクロ発泡樹脂は、もともと低誘電率であるため、マイクロ発泡樹脂シート製の光反射板の場合、光反射板透過時に損失があるとしてもその影響が少ないことも考えられるが、透過角度依存性に関しては不明である。このため、念のために光反射板透過時の電波減衰量の確認試験を行なった。
【0087】
マイクロ発泡PET樹脂シートとマイクロ発泡PC樹脂シートを電波の放射方向に対して0°~60°の所定角度範囲で傾けた場合の電波の透過損失の評価を、Sパラメーター法により行った。この場合の試験方法は、既に説明したシート材の電波の透過損失と全く同様である。
【0088】
図4は、マイクロ発泡PET樹脂シートとマイクロ発泡PC樹脂シート通過時における電波減衰量の角度依存性のホーンアンテナ61を用いて測定する方法を示す。図4に示すように、2つのホーンアンテナ61を所定距離400mm離間して対向配置し、その間の空間の所定位置に寸法210mm×297mm×板厚1mmのマイクロ発泡樹脂シートを、アンテナを結ぶ軸線に対して垂直な方向及び垂直な方向からθ=0°~60°(30°、45°、60°)の所定角度傾けて配置した時のアンテナ間の受信レベルを透過損失(通過時の損失)として評価した。なお、マイクロ発泡樹脂シートを配置しない場合の両アンテナ間の透過損失を0dBとした。ここで、透過損失の評価は、22~33GHzの周波数帯域及び70~100GHzの周波数帯域における透過損失を、ネットワークアナライザ57(KEYSIGHT社製型番N5291A)を用いてSパラメーターのS21から得た。
【0089】
図5は所定周波数帯におけるマイクロ発泡PET樹脂シート通過時の電波減衰量の角度依存性の測定結果を示す。図5(a)、図5(b)は22~33GHz帯におけるマイクロ発泡PET樹脂シート通過時の電波減衰量の角度依存性を示す。図5(a)、図5(b)により、22~33GHz帯における0°~45°の電波減衰量と60°における電波減衰量を対比すると、角度による差はそれほど大きくないが、高角度の60°の場合の電波減衰量が大きくなることが分かる。
【0090】
図5(c)、図5(d)は70~100GHz帯におけるマイクロ発泡PET樹脂シート通過時の電波減衰量の角度依存性を示す。図5(c)、図5(d)より、70~100GHz帯における0°~60°の範囲では、図5(a)、図5(b)に示した22~33GHzの場合と同様に角度増加につれて電波減衰量が増加することが分かる。また、0~45°における損失はそれほど大きくないが、60°では損失が0~45°の場合より大きくなる。また、22~33GHz帯と70~100GHz帯の比較では、高周波数の70~100GHz帯の損失が大きくなる傾向を示す。
【0091】
図6は、所定周波数帯におけるマイクロ発泡PC樹脂シート通過時の電波減衰量の角度依存性の測定結果を示す。図6(a)、図6(b)は22~33GHz帯におけるマイクロ発泡PC樹脂シート通過時の電波減衰量の角度依存性を示す。図6(a)、図6(b)の測定結果を見ると、22~33GHz帯における0°~45°の電波減衰量は角度による差はそれほど大きくないが、高角度の60°の場合の電波減衰量の増加が少し大きくなることが分かる。図6(c)、図6(d)より、70~100GHz帯における0°~60°の範囲では角度増加につれて電波減衰量が増加することが分かる。また、22~33GHz帯と70~100GHz帯の比較では、高周波数の70~100GHz帯の損失が大きくなる傾向を示す。
【0092】
(各傾斜角における電波減衰量の最大値と波長の関係)
次に、表1は、所定周波数におけるPET樹脂またはPC樹脂製のマイクロ発泡樹脂シートからなる光反射板を通過時の電波減衰量に及ぼす傾斜角度の影響を示す。
【0093】
【表1】
【0094】
表1は、各樹脂シートにおける電波減衰量が最大となる周波数とその際の電波減衰量を示す。下記は、表1を参照して、各周波数帯における光反射板通過時の光反射板の傾斜角と電波減衰量の最大値と波長の関係を見たものである。
【0095】
表1からは、波長22~33GHz帯の帯域では、0°~60°いずれの傾斜角においても前記帯域の高周波数側の端部33GHzにて電波減衰量の最大値を示す。また、表1には、波長70~100GHz帯の帯域では、0°~60°の傾斜角範囲において、傾斜角が小さい場合は、低周波数側に電波減衰量の最大値があるのに対して、傾斜角が大きくなると最大電波減衰量を示す波長が100GHzの近傍の波長に移動する傾向を示し、傾斜角60°でマイクロ発泡PET樹脂シートは98GHzで、0.41dB、マイクロ発泡PC樹脂シートでは94GHzで0.48GHzの電波減衰量を示す。
【0096】
(波長22~33GHzにおける光反射板通過時の電波減衰量)
マイクロ発泡樹脂シートからなる光反射板が、PET樹脂発泡体あるいはPC樹脂発泡体のいずれかであり、光反射板の後方に配置されるアンテナのアンテナ面に対する光反射板の傾き角度が0°~45°の広角な範囲の場合、波長22~33GHz帯における空気層を通過する場合における電波減衰量に対する前記光反射板を通過する時の電波減衰量の増加を、各グラフの当該周波数帯における最大値で見ると、マイクロ発泡樹脂シートがPET樹脂の場合には、0.06dB、PC樹脂の場合には0.08dBであり、両者を含めてみると010dB以下を満足することになる。
【0097】
同様に、光反射板の角度が0°~60°の広角な範囲で傾きを有している場合、波長22~33GHz帯における空気層を通過する場合における電波減衰量に対する前記光反射板を通過する時の電波減衰量の増加を、各グラフの当該周波数帯における最大値で見ると、マイクロ発泡樹脂シートがPET樹脂の場合には、0.11dB、PC樹脂の場合には0.14dBであり、両者を含めてみると、015dB以下を満足することになる。
【0098】
(波長70~100GHzにおける光反射板通過時の電波減衰量)
マイクロ発泡樹脂シートからなる光反射板は、PET樹脂発泡体あるいはPC樹脂発泡体のいずれかであり、光反射板の後方に配置されるアンテナのアンテナ面に対する光反射板の傾き角度が0°~45°の広角な範囲で傾きを有している場合、波長70~100GHz帯における空気層を通過する場合における電波減衰量に対する前記光反射板を通過する時の電波減衰量の増加を、各グラフの当該周波数帯における最大値で見ると、マイクロ発泡樹脂シートがPET樹脂の場合には0.15dB、PC樹脂の場合には0.18dBであり、両者を含めてみると、0.20dB以下を満足する。
【0099】
同様に、光反射板の角度が0°~60°の広角な範囲で傾きを有している場合、波長70~100GHz帯における空気層を通過する場合における電波減衰量に対する前記光反射板を通過する時の電波減衰量の増加を、各グラフの当該周波数帯における最大値で見ると、マイクロ発泡樹脂シートがPET樹脂の場合には0.41dB、PC樹脂の場合には0.48dBであり、両者を含めてみると、0.50dB以下を満足する。
【0100】
その結果、マイクロ発泡樹脂シート製の光反射板の後方に配置されるアンテナのアンテナ面に対する光反射板の角度が0°~60°の範囲で傾きを有していても、22~33GHzの周波数帯域と波長70~100GHz帯における空気層の通過による電波減衰量に対する前記光反射板を通過する時の電波減衰量の増加が22~33GHz帯の場合が0.15dB以下であり、70~100GHz帯の場合には、0.50dB以下の範囲に含まれ、上記マイクロ発泡樹脂シートからなる光反射板は、電波通過時の角度依存性がほとんどないことが確認された。
【0101】
比較のために、40%GF繊維強化のPPS樹脂シート(マイクロ発泡樹脂シートでない)を、アンテナ面に対する樹脂シートの傾きを0°~45°の範囲で変化させて、PPS樹脂シート通過時の電波減衰量の増加を評価した結果、傾斜角の増加に伴って損失が増加し、本発明の規定範囲である空気の場合との減衰量の対比において、波長が70~100GHzの場合には0.50dBを超える減衰が認められるが、光反射板がPET樹脂製のマイクロ発泡樹脂シートの場合には0.20dBで、樹脂シートをアンテナ面に対して傾けて配置しても、電波の透過損失の角度依存性がそれほど大きくないことから電波の透過損失は増加しないという特性があることが確認された。
【0102】
なお、マイクロ発泡樹脂シートは、例えば、平均気泡径が0.2μmから10μmの範囲であることが好ましい。平均気泡径が0.2μmより小さすぎると、光の透過度が高くなり反射率が低下する。また、平均気泡径が大きすぎると拡散反射率が低下するため、平均気泡径は0.2μm以上10μm以下であることが望ましい。
【0103】
(前方カバー部材とその後に形成される導光空間)
LED光源群(光反射板5)の前方には、少なくとも光透過部材で形成された前方カバー部材3が配置され、全てのLED光源7が前方カバー部材3によって覆われる。なお、前方カバー部材3と、LED光源7の発光面及び光反射板5の無線通信装置アンテナ11を覆う部分とは、所定距離離間するように形成されている。これにより、前方カバー部材3と、LED光源群が配置された光反射板5との間に導光空間が形成されている。
【0104】
前方カバー部材3は、光透過性樹脂またはガラスから形成される。前方カバー部材3が光透過性樹脂から形成される場合は、例えば、PC樹脂、ABS樹脂、PET樹脂、塩ビ樹脂、PMMA樹脂等のアクリル樹脂、ポリスチレン樹脂のいずれかの透明樹脂であるか、透明樹脂に顔料を添加した半透明樹脂、または表面に半透明化構造を有する樹脂が適用可能である。また、前方カバー部材3がガラスから形成される場合は、透明なシリカガラスまたは半透明なガラスを適用可能である。
【0105】
このように、前方カバー部材3を構成する光透過部材は、透明な光透過部材に限らず半透明な光透過部材であってもよい。より詳細には、半透明化構造を有する樹脂としては、例えば、光透過性の透明樹脂の光取出し部側の表面に凹凸構造を形成することで半透明化した半透明樹脂も適用可能である。
【0106】
また、半透明な光透過部材は、透明樹脂に例えば、白色顔料としては、酸化チタンや酸化亜鉛、タルク、マイカ、カオリンを用いることができる。半透明なガラスとしては、半透明な着色ガラス、または表面に半透明な樹脂フィルムを貼り付けたガラスのいずれかを適用可能である。または、透明樹脂やガラスの表面に半透明な樹脂フィルムなどを貼り付けた半透明樹脂であってもよい。このように、透明樹脂やガラスの表面に半透明な樹脂フィルムなどを貼り付けた積層体を用いてもよいが、ポリエステルフィルムに塩ビ樹脂でコーティングしたフィルムであるFFシートなどを用いてもよい。
【0107】
なお、照明装置1が道路用外灯の場合には、照明装置1の輝度低下を考慮すると、前方カバー部材3としては、基本的には透明樹脂、透明ガラスを用いることが好ましいが、半透明化することで、運転者が道路用外灯を見上げた時に、グレア感を感じることを抑制することができる。なお、大きな輝度低下につながるような半透明化は本用途を考慮すると好ましくない。
【0108】
(前方カバー部材表面の凹凸構造による取出し光の間接光化)
また、前方カバー部材3は、光透過性樹脂またはガラスの内表面または外表面のいずれかが幾何学的な凹凸構造を有していてもよい。このように幾何学的な凹凸構造を形成することで、幾何学的凹凸構造と光反射板5との間で相互拡散反射を繰り返すことができる。この結果、照明装置1から取出される光を間接光とするか、光取出し方向をランダムにすることで間接光化することができる。また、相互反射を繰り返さない光成分も幾何学的凹凸構造を形成することにより前方カバー部材3への入射光の入射角や出射光の出射角をランダムにすることで均一化することができる。
【0109】
回路基板9(光反射板5の略一直線状に形成された部分)の後方には、無線通信装置アンテナ11が配置される。無線通信装置アンテナ11は、電波を放射することが可能な装置であり、例えば、現状の5G通信などに適用される周波数帯に適用できる。
【0110】
(後方カバー部材と電磁波吸収部材とその効果)
また、回路基板9と無線通信装置アンテナ11の後方には、電磁波吸収部材13が配置される。電磁波吸収部材13は、照明装置1の背面側と側面とを覆うように配置される。また、照明装置1の背面側は、後方カバー部材15が配置される。後方カバー部材15を形成する材料は、樹脂製または金属製である。後方カバー部材15の内部には、電磁波吸収体で形成された電磁波吸収部材13が配置される。
【0111】
ここで、電磁波吸収部材13としては、電磁波に対して反射も透過も小さく、吸収が大きいことが必要になる。電磁波吸収部材13で吸収された電磁波のエネルギーは全て熱に変換される。電磁波吸収部材13の素材としては、電磁波を熱に変換される機構により、抵抗性材料、誘電性材料、磁性材料の3種に分類できる。電波吸収体で吸収した熱は、吸収体自体の温度が上がらないように、全て外部に放出することが望ましい。
【0112】
電磁波吸収部材13で吸収する電波は、航空機や船舶のレーダなどの比較的遠方からくる反射波、電子機器筐体内部のノイズ、両者の中間であり室内無線LANなどを設置した時に発生する反射波などに分類され、遠方電磁界、近傍電磁界、準近傍電磁界などに分類される。ここで、第1の抵抗性材料電波吸収体による熱の吸収は、電気抵抗による熱の発生と同様で、抵抗性材料に外部電波の電界により加速されて抵抗性材料内部の格子に衝突して停止する際の運動エネルギーが、熱エネルギーに変換される。抵抗性材料電波吸収体には、抵抗被膜、抵抗繊維、導電性塗料などがある。
【0113】
また、第2の誘電損失を示す誘電性材料電波吸収体の多くは、ゴムや発泡体などの絶縁体にカーボンなどの導電粉末を混ぜ込んだものが使用される。このような材料に電波による電界が付与されても、低周波数では電流が流れないが、周波数が高くなると、周波数の増加に反比例してコンデンサのインピーダンスが低下するため、抵抗にも電流が流れることで、抵抗体における熱の発生が起こる。この誘電損失タイプの場合、導電粉末の含有量によって吸収性能が得られる周波数帯が変化するため、例えば複数の含有パターンのものを積層することで吸収性能を広帯域化させることができる。
【0114】
第3の磁気損失を示す磁性材料電波吸収体としては、ゴムや樹脂に透磁率を有するフェライト、カルボニル鉄やセンダストといった磁性粉末を混ぜ込んだ材料が使用される。この磁気損失は、電波が基本的には磁界に対して作用し、磁界を内部に取り込んで熱に変換することで吸収損失が得られる。この磁気損失タイプの場合、比較的サイズが小さくても吸収効果が得られるが、シートの「透磁率」と「厚み」が吸収性能に直結する傾向にあるため、取り込む磁界の量を多くするためには、これらの値を制御する必要がある。以上の他、誘電性材料電波吸収体、磁性材料電波吸収体などを複数の電波吸収体を組み合わせたものを用いてもよい。
【0115】
ここで、第1の抵抗性材料電波吸収体は、λ/4吸収体として、ミリ波帯までの波長帯域で実用化されている。電磁波吸収部材13は、これらの抵抗性材料電波吸収体、誘電性材料電波吸収体、磁性材料電波吸収体のいずれか、あるいはこれらの電波吸収体を組み合わせたもの、あるいはこれらの電波吸収体を複数層積層したものが適用可能である。
【0116】
このように、電波波吸収体は、第2の誘電体タイプでも第3の磁性タイプのいずれでもよく、例えば、誘電体タイプとしては、アルミニウムフィルム上に、誘電体シートを張るか、カーボン入りの誘電体塗料を塗布したものを使用可能である。また、磁性タイプとしては、酸化鉄の粉末に亜鉛やニッケル、マンガン等を添加物として加え、タイル状に成型した後、高温で焼き固めたフェライトタイルや酸化鉄などの粉末を分散させた樹脂シートなどを使用することができる。
【0117】
このように、照明装置1の後方に電磁波吸収部材13を配置することで、電波の照射方向(照明装置1の前方)以外の部位からの電波の漏れを抑制することができる。例えば、照明装置1が道路用外灯である場合には、無線通信装置アンテナ11から発信される電波等による、道路上を走行する目的とする車両以外の他の車両や近隣の外部環境に対する影響を少なくすることができる。
【0118】
(LED光源群とアンテナの配置関係)
ここで、照明装置1は、LED光源群の発光面が、無線通信装置アンテナ11の放射面を遮蔽しないように、LED光源7(回路基板9)と無線通信装置アンテナ11とが、光反射板5の長手方向にずれて配置される。例えば、LED光源群と、無線通信装置アンテナ11の一方が光反射板5の両端部側に配置され、他方が光反射板5の中央部側に配置される。
【0119】
図2(b)に示すように、本実施形態では、光反射板5の長手方向に対して、無線通信装置アンテナ11が光反射板5の中央部の後方に配置され、LED光源群が無線通信装置アンテナ11を挟み込むように無線通信装置アンテナ11の両側の光反射板5の前方に各LED光源7の発光面が配置されるように回路基板9上に配置される。すなわち、光反射板5の略中央には、LED光源7及び回路基板9が配置されず、無線通信装置アンテナ11は、このLED光源7が配置されていない部位における光反射板5の背面側に配置される。すなわち、回路基板9は、中央部が切りかかれた環状の形状である。
【0120】
(LED光源の照射方向とアンテナからの電波の放射方向の関係)
なお、LED光源7の光の照射方向は、光反射板5(照明装置1の前面)に対して略垂直な方向となる。これに対し、無線通信装置アンテナ11から放射される主ローブの放射角度を、光反射板5(照明装置1の前面)に対して垂直とはせずに傾けてもよい。すなわち、LED光源群の照射方向の中心線に対して、無線通信装置アンテナ11から出射される電波の主ビームの中心線が所定角度ずれるように、無線通信装置アンテナ11がLED光源群に対して傾けて配置されてもよい。
【0121】
例えば、図2(a)に示すように、照明装置1の短手方向に対して垂直な方向(光の放射方向(照射光の中心線))に対して、無線通信装置アンテナ11から放射される主ローブの放射角度を、照明装置1の短手方向に傾けてもよい(図中角度θ1)。同様に、図2(b)に示すように、照明装置1の長手方向に対して垂直な方向(光の放射方向(照射光の中心線))に対する、無線通信装置アンテナ11から放射される主ローブの放射角度を、照明装置1の長手方向に傾けてもよい(図中角度θ2)。
【0122】
なお、無線通信装置アンテナ11の放射面が、LED光源群の配置面方向(回路基板9の面方向)に対して一致させるように配置されるか、あるいは所定角度傾けて配置されるように、アンテナ固定部17に角度調整機構を設けて、無線通信装置アンテナ11の角度を調整することが可能であってもよい。
【0123】
(アンテナ固定部の角度調整機構の構造及びアンテナ角度の設定)
図7(a)は、アンテナ固定部17の平面図、図7(b)は、アンテナ固定部17の側面図である。アンテナ固定部17は、例えば、ブラケット19、球状部25、アンテナ支持部材23、アンテナ支持板24等から構成される。無線通信装置アンテナ11は、図に示すようにアンテナ支持板24に固定されるか、あるいは、アンテナ支持部材23に直接固定されてもよい。ブラケット19は、一対の板状部を有し、互いに所定の間隔をあけて略平行に配置される。
【0124】
ブラケット19の板状部には、たがいに対向する位置に丸穴が設けられる。また、互いの板状部を貫通する蝶ねじ27と蝶ねじ27を固定するナット21が設けられる。無線通信装置アンテナ11の背面側にはアンテナ支持部材23が設けられ、アンテナ支持部材23の端部には略球状である球状部25が配置される。
【0125】
球状部25は、ブラケット19の板状部の丸穴に嵌まり、板状部によって挟み込まれる。蝶ねじ27を緩めた状態では、球状部25は、丸穴に嵌まった状態で、自由に回転可能である。したがって、アンテナ支持部材23をブラケット19に対して、自由に向きを変えることができる。このため、無線通信装置アンテナ11の角度を全方向に対して自由に調整することができる。なお、無線通信装置アンテナ11の角度を調整した後は、蝶ねじ27を締めこむことで、無線通信装置アンテナ11の角度を固定することができる。
【0126】
また、アンテナ固定部17に代えて、図8に示すアンテナ固定部17aを用いてもよい。図8(a)は、アンテナ固定部17aの平面図であり、図8(b)は、アンテナ固定部17aの側面図である。アンテナ固定部17aは、主に、支持軸32、回転部材39、アンテナ支持部材35、アンテナ支持板34等から構成される。
【0127】
支持軸32は、後方カバー部材15等に固定され、例えば上方に向けて起立する軸部材である。支持軸32は回転部材39の軸受け部に挿入される。すなわち、回転部材39は、支持軸32を回転軸として水平方向に向けて回動可能である。なお、回転部材39には角度固定ねじ33が貫通し、角度固定ねじ33を締めこむことで、回転部材39が支持軸32にその角度で固定される。
【0128】
回転部材39には、一対の対向する板状部材が固定され、板状部材を貫通する支持軸41と、それぞれの板部材に形成されるスリット43とを有する。スリット43は、支持軸41を中心とした円弧状に形成される。無線通信装置アンテナ11は、図示のようにアンテナ支持部材35の一端にアンテナ支持板34を介して固定されてもよく、アンテナ支持部材35に直接固定されてもよい。アンテナ支持部材35の他端近傍は、支持軸41によって回転部材39と連結する。
【0129】
アンテナ支持部材35には、角度固定ねじ37が設けられ、角度固定ねじ37は、スリット43の両外側に配置される。角度固定ねじ37を緩めた状態では、アンテナ支持部材35は、支持軸41を回転中心として上下方向に回転可能である。アンテナ支持部材35を所定の角度とした状態で、角度固定ねじ37を締めこむことで、アンテナ支持部材35が、回転部材39にその角度で固定される。このように、互いに異なる方向の支持軸32、支持軸41によって、無線通信装置アンテナ11の角度を自在に可変することができ、角度固定ねじ33、37によって無線通信装置アンテナ11の角度を固定することができる。
【0130】
また、図9に示すアンテナ固定部17bを用いてもよい。図9(a)は、アンテナ固定部17bの平面図であり、図9(b)は、アンテナ固定部17bの側面図である。アンテナ固定部17bは、主に、支持アーム45、47、支持軸53、アンテナ支持部材55、アンテナ支持板54等から構成される。
【0131】
支持アーム45は、後方カバー部材15等に固定される。支持アーム45の端部近傍には、支持アーム47の一端側が連結される。この際、支持アーム45と支持アーム47は、例えば水平方向に対して貫通する支持軸によって、上下方向に対して回動可能に連結される。支持軸には角度固定ねじ49が配置され、角度固定ねじ49を締めこむことで、支持アーム45と支持アーム47とが固定される。
【0132】
支持アーム47の他方の端部側には、支持軸53が配置される。支持軸53は、例えば、支持アーム47の上方から、支持アーム47に形成された軸受け部に挿入される。また、支持軸53には、アンテナ支持部材55上に図示のようにアンテナ支持板54を介して無線通信装置アンテナ11が固定されるか、アンテナ支持部材55に無線通信装置アンテナ11が直接固定されてもよい。すなわち、無線通信装置アンテナ11は、支持軸53を回転軸として、支持アーム47に対して水平方向に向けて回動可能である。
【0133】
支持アーム47には角度固定ねじ51が貫通する。角度固定ねじ51を締めこむことで、支持軸53が支持アーム47にその角度で固定される。このように、互いに異なる方向の回転軸によって、無線通信装置アンテナ11の角度を自在に可変することができ、角度固定ねじ49、51によって無線通信装置アンテナ11の角度を固定することができる。
【0134】
なお、アンテナ固定部の構造は、図7図9に示した、アンテナ固定部17、17a、17bには限られず、無線通信装置アンテナ11の角度を調整して固定することが可能であれば、他の公知の構造であっても特に問題はなく、いずれの構造であっても無線通信装置アンテナ11の角度調整機構として使用することができる。
【0135】
なお、LED光源群からの光の照射方向(照射光の中心線)に対する、無線通信装置アンテナ11の主ローブの中心線の角度の相違としては、例えば、0-45°が望ましく、さらに望ましい範囲は5~30°であり、さらに望ましい範囲は、5~20°程度である。この両者の角度は、所定角度の相違(オフセット角度)は通常は小さい場合が多いが、使用用途や設置場所によっては大きく設定したり、小さく設定したり、または両者の角度を一致させる場合もある。
【0136】
(照明装置の使用方法及び設置場所)
図10(a)は、照明装置1の使用方法(無線通信装置を内蔵した照明装置1の敷設方法)を示す図である。本実施形態は、照明装置1が道路用外灯である場合を示す。照明装置1は、道路を照らすことができるとともに、無線通信装置アンテナ11から発信される電波によって、道路上を走行する車両と通信を行うことができる。この際、照明装置1からの光によって、道路全体を照らすことができるとともに、無線通信装置アンテナ11から発信される電波の向きを、それとは異なる自動車の受信装置の配置部に向けることができる。
【0137】
この際、前述したように、LED光源群からの光の照射方向(照射光の中心線)に対して、無線通信装置アンテナ11の主ローブの中心線の角度を調整可能であるため、設置場所に応じて光の照射方向と電波の放射方向とを別々に調整することができる。
【0138】
なお、照明装置1は、道路用外灯以外にも適用可能である。図10(b)は、照明装置1の他の使用方法を示す図である。図10(b)に示すように、照明装置1を他の屋内外用の照明として使用することもできる。例えば、照明装置1は、市役所、公民館、大型商業施設などの屋内施設、あるいは公園、野球場、スタジアムなどの屋外施設にも設置することが可能であり、通信機能を活用した照明装置として使用することができる。
【0139】
(第1の実施形態の照明装置の特徴)
以上、本実施の形態によれば、無線通信装置アンテナ11がLED光源群(回路基板9)とは重ならないように配置されるため、LED光源群(回路基板9)が、無線通信装置アンテナ11の放射面を遮蔽することがない。このため、無線通信装置アンテナ11から発信される電磁波が、回路基板9で吸収されることがない。
【0140】
また、光反射板5は、回路基板9と比較して比誘電率が低く電波吸収性が低いマイクロ発泡樹脂シートからなるため、無線通信装置アンテナ11の前方に回路基板9を配置する場合と比較して、電波の損失を低減することができる。例えば、光反射板5を構成するマイクロ発泡樹脂シートの比誘電率が1.8以下であることが望ましいのに対し、ガラエポ基板の比誘電率は、4.5~5.2である。
【0141】
ここで、無線通信装置アンテナ11を前方カバー部材3の後方(光反射板5の前方)に露出配置すると、無線通信装置アンテナ11の前方にLED光源7が配置されないため、LED光源7が配置された部分と比べて、無線通信装置アンテナ11の部位の輝度レベルが低下して暗くなる。これに対して、無線通信装置アンテナ11の前方に光反射板5を配置することで、このような部分的な輝度レベルの低下を防止して、照明装置1の輝度レベルを向上させることができ、照明装置1の意匠性が低下するのを防止し、さらに光反射板5の拡散反射性により、照明装置1から出射される照射光の範囲を広角に拡げることができる。なお、無線通信装置アンテナ11の前方に光反射板5を配置しても、光反射板5がマイクロ発泡樹脂シート製のため、光反射板5の比誘電率が低く電波吸収を少なくすることができる。
【0142】
また、光反射板5の拡散反射率が高いため、無線通信装置アンテナ11の前方の、LED光源7が配置されていない部位の光反射板5においても、周囲のLED光源7からの前方カバー部材3及び光反射板5による拡散反射によって、当該部位が暗くならずに、輝度を付与することができ、意匠性が確保できる。
【0143】
また、無線通信装置アンテナ11の後方に電磁波吸収部材13が設けられるため、無線通信装置から発信されるサイドローブやバックローブを遮蔽することができる。このため、照明装置1の側方や後方から漏洩する電波による外部環境に対する影響を少なくすることができる。
【0144】
また、アンテナ固定部17によって、無線通信装置アンテナ11の配置角を調整可能とすることで、無線通信装置アンテナ11から放射される主ローブの放射角度を調整することができる。このため、例えば、道路用外灯として使用した際には、無線通信装置アンテナ11の主ローブ方向を自動車の所定の位置となるように調整し、LED光源7の光は、道路を効率良く照らす方向に向けて光を出射することができる。
【0145】
また、前方カバー部材3として、透明な光透過部材だけでなく、半透明な光透過部材や、透明樹脂または透明ガラスの表面に半透明な樹脂フィルムを張り付けた半透明積層体などを用いることができる。このようにすることで、より複雑で高級感のある色彩表現が可能になる。
【0146】
また、前方カバー部材3の内側に、幾何学的な凹凸構造を形成することで、前方カバー部材3の内面と光反射板5との間で多重反射を繰り返すことができ、間接光化を図る効果がある。
【0147】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。図11は、第2の実施形態にかかる照明装置1aを示す図であって、図12(a)のF-F線断面図(前方カバー部材3の所定高さにおいて切断した図)であり、図12(a)は、図11のD-D線断面図、図12(b)は、図11のE-E線断面図である。なお、以下の説明において、照明装置1と同様の機能等を奏する構成については、図1図10と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0148】
照明装置1aは、照明装置1と略同様の構造であるが、光反射板5の形態が異なる。照明装置1aは、照明装置1と同様に、光反射板5の長手方向に対して、無線通信装置アンテナ11が光反射板5の中央部に配置され、LED光源群が無線通信装置アンテナ11を照明装置の短手方向、長手方向の両方向から両側を挟み込むように囲んで無線通信装置アンテナ11の2つの方向の両側に配置される。
【0149】
光反射板5は、光反射板5の面に直交する方向からの側面視(図12(a)、図12(b))における形状が、光反射板5の長手方向(図12(b)の上下方向)の中央部に突起部29が設けられる。突起部29は、光反射板5の一部が前方に突出した形状である。より詳細には、突起部29は、断面が略台形であり、前方に向けてわずかに縮径するように突出し、突出段差部分以外は略平坦に形成される。なお、前方カバー部材3とLED光源7の発光面又は光反射板5の表面とが所定距離離間するように形成される。
【0150】
突起部29(光反射板5の前方に突出した形状部分)の後方には、無線通信装置アンテナ11が配置される。また、前述したように、アンテナ固定部17は、無線通信装置アンテナ11の向きを自由に変えることができる。例えば、図12(a)に示すように、光の放射方向(照射光の中心線)に対する、無線通信装置アンテナ11から放射される主ローブの放射角度を、照明装置1aの短手方向にずらしてもよい(図中角度θ3)。同様に、図12(b)に示すように、光の放射方向(照射光の中心線)に対する、無線通信装置アンテナ11から放射される主ローブの放射角度を照明装置1aの長手方向にずらしてもよい(図中角度θ4)。
【0151】
また、光反射板5の突起部29には、その外周に配置されたLED光源7の光が拡散反射や前方カバー部材3との相互反射により導光され、突起部29上にLED光源7が配置されていなくても所定レベルの輝度を付与することができるため、意匠性が確保できる。これと同時に、無線通信装置アンテナ11による光の吸収を防止することで照明装置1aの輝度レベルの向上を図ることができ、さらに光反射板5は拡散反射性が高いので、照明装置1aから出射される照射光を広角に取り出すことが可能になる。
【0152】
この際、少なくとも無線通信装置アンテナ11の前方に対応する光反射板5の中央部分が、前方に所定形状で突出するように形成されているため、無線通信装置アンテナ11の傾斜角を付与するための可動領域を確保することができる。すなわち、照明装置1と比較して、無線通信装置アンテナ11の傾斜角度の調整範囲を広げることができる。
【0153】
このような照明装置1aでも、前述した照明装置1と同様の効果を得ることができる。また、無線通信装置アンテナ11の前方に対応する光反射板5の中央部分にと突起部29を設けることで、無線通信装置アンテナ11の傾斜角を付与するためのより広い領域を確保することができる。
【0154】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について説明する。図13は、第3の実施形態にかかる照明装置1bを示す図であって、図14(a)のI-I線断面図(図11と同様の前方カバー部材3の所定高さにおいて切断した図)であり、図14(a)は、図13のG-G線断面図、図14(b)は、図13のH-H線断面図である。照明装置1bは、照明装置1aと略同様の構造であるが、突起部29の形態が異なる。
【0155】
照明装置1bも、照明装置1aと同様に、光反射板5の長手方向に対して、無線通信装置アンテナ11が光反射板5の中央部に配置され、LED光源群が無線通信装置アンテナ11を照明装置の短手方向、長手方向の両方向から両側を挟み込むように囲んで無線通信装置アンテナ11の2つの方向の両側に配置される。また、光反射板5は、光反射板5の面に直交する方向からの側面視(図14(a)、図14(b))における形状が、光反射板5の長手方向(図14(b)の上下方向)の中央部に突起部29が設けられる。突起部29は、光反射板5の一部が前方に突出した形状である。
【0156】
本実施形態では、図14(a)に示すように、照明装置1bの短手方向の断面では、突起部29の断面形状が略三角形であり、図14(b)に示すように、照明装置1bの長手方向の断面では、突起部29の断面形状が略台形となる。すなわち、突起部29の稜線が照明装置1bの長手方向にほぼ平行に形成され、照明装置1bの短手方向及び長手方向のいずれの方向に対しても稜線から末広がり状のテーパ形状を有する。
【0157】
なお、本実施形態でも、突起部29の背面側には、無線通信装置アンテナ11が配置される。また、前述したように、アンテナ固定部17は、無線通信装置アンテナ11の向きを自由に変えることができる。例えば、図14(a)に示すように、光の放射方向(照射光の中心線)に対する、無線通信装置アンテナ11から放射される主ローブの放射角度を照明装置1bの短手方向にずらしてもよい(図中角度θ5)。同様に、図14(b)に示すように、光の放射方向(照射光の中心線)に対する、無線通信装置アンテナ11から放射される主ローブの放射角度を照明装置1bの長手方向にずらしてもよい(図中角度θ6)。
【0158】
この際、少なくとも無線通信装置アンテナ11の前方に対応する光反射板5の中央部分が、前方に所定形状で突出するように形成されているため、無線通信装置アンテナ11の傾斜角を付与するための領域を確保することができる。すなわち、照明装置1と比較して、無線通信装置アンテナ11の傾斜角度の調整範囲を広げることができる。
【0159】
このような照明装置1bでも、前述した照明装置1aと同様の効果を得ることができる。また、突起部29の周囲のLED光源7に対して、突起部29が前方に向けたテーパ形状を有するため、突起部29における反射光を効率よく前方に出射することができる。このため、LED光源7が配置されていない突起部29における輝度の低下を抑制し、より均一な輝度で光を取り出すことができる。
【0160】
なお、光反射板5の長手方向または短手方向の少なくともいずれかの、前方に突出する突起部29の形状は、略台形状、三角形状、あるいは曲率半径の大きな円弧状を含む凸曲線状のいずれかの凸形状に形成されていればよい。また、この場合も、他の実施形態の場合と同様に、光反射板5の突起部29にLED光源7が配置されていなくても、突起部29に所定レベルの輝度を付与することができるため、LED光源7が配置された部分との輝度差を少なくすることで、意匠性が確保できる。また、第2の実施形態と同様に、無線通信装置アンテナ11による光の吸収を防止することで照明装置1bの輝度レベルの向上を図ることができ、さらに光反射板5は拡散反射性が高いので、照明装置1bから出射される照射光を広角に取り出すことが可能になる。
【0161】
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態について説明する。図15は、第4の実施形態にかかる照明装置1cを示す図であって、図16(a)のL-L線断面図(図15の前方カバー部材3の所定高さにおいて切断した図)であり、図16(a)は、図15のJ-J線断面図、図16(b)は、図15のK-K線断面図である。照明装置1cは、照明装置1と略同様の構造であるが、LED光源7及び光反射板5の形態が異なる。
【0162】
照明装置1cは、照明装置1等と同様に、光反射板5の長手方向に対して、無線通信装置アンテナ11が光反射板5の中央部に配置され、LED光源群が無線通信装置アンテナ11を長手方向から挟み込むように無線通信装置アンテナ11の長手方向のみ両側に配置される。また、光反射板5は、光反射板5の面に直交する方向であって、照明装置1cの長手方向を見た側面視(図16(b)の上下方向)における形状が、光反射板5の長手方向の両端部側が前方に突出した形状を有する。
【0163】
より詳細には、照明装置1cの長手方向の中央部には、LED光源7(回路基板9)が配置されず、光反射板5の背面には無線通信装置アンテナ11が配置される。また、無線通信装置アンテナ11の前方の光反射板5は平坦に形成される。照明装置1cの長手方向の両端部側にはLED光源7が配列され、光反射板5は、長手方向の両端部に行くに連れて徐々に前方に向けて突出するように形成される。無線通信装置アンテナ11の前方の光反射板5は平坦に形成されているが、必要に応じて前方に突出させることもできる。
【0164】
このようにすることで、光の放射方向(照射光の中心線)を照明装置1cの長手方向の両側から中心方向に向けて傾けることができる(図16(b)のθ7)。このため、光反射板5の長手方向の両端部に配置されたそれぞれのLED光源群から出射される光をLED光源7が配置されていない光反射板5の中央部に反射光を拡散反射させて導光することで、所定領域の照射範囲における輝度を高めることができる。
【0165】
なお、この場合には、無線通信装置アンテナ11から放射される主ローブの放射方向を、前方の光反射板5の反射面に垂直な方向に向けてもよく、所定の角度で傾けてもよい。この場合でも、無線通信装置アンテナ11の配置角を調整し、無線通信装置アンテナ11から放射される主ローブの放射角度を調整することで、主ローブの放射位置を調整することができる。したがって、光反射板5の長手方向の両端部の少なくとも一方のLED光源群の照射方向の中心線に対して、無線通信装置アンテナ11から出射される電波の主ビームの中心線が所定角度ずれるように無線通信装置アンテナ11をLED光源群に対して傾けて配置することができる。
【0166】
このような照明装置1cでも、前述した照明装置1等と同様の効果を得ることができる。また、光反射板5の両端側に傾斜を形成し、光反射板5の両端部に配置されたそれぞれのLED光源群から出射される光を重ねることで、LED光源群からの照射光を照明装置1cの内部で拡散反射させて所定領域に導光することができ、所定領域の照射範囲における輝度を高めることができる。このように、光反射板5は、光反射板5の面に直交する方向からの側面視における形状が、光反射板5の長手方向の両端部側と中央部のいずれかの少なくとも一部が前方に突出した形状部分を有するようにすることで、LED光源群からの光の照射方向の調整や、無線通信装置アンテナ11の配置角の調整の自由度を高めることができる。
【0167】
また、LED光源群から出射される光線群の中心線が照明装置1cの下側の空間の所定位置の所定高さで交わるように配置されている状態で、角度調整機構によって、無線通信装置アンテナ11の主ビームの中心線を、LED光源群の中心線同士が交わる位置を通過するか、あるいは所定距離オフセットした位置を通過することが可能なように、無線通信装置アンテナ11の配置面の角度調整を行なうことができる。このように、角度調整機構を所定角度に調整することで、無線通信装置アンテナ11の配置角度を調整することで、無線通信装置を内蔵した照明装置1cの無線通信装置アンテナ11の角度調整方法を提供することができる。
【0168】
(第5の実施形態)
次に、第5の実施形態について説明する。図17は、第5の実施形態にかかる照明装置1dを示す図であって、図18(a)のO-O線断面図(図17の前方カバー部材3の所定高さにおいて切断した図)であり、図18(a)は、図17のM-M線断面図、図18(b)は、図17のN-N線断面図である。照明装置1dは、照明装置1と略同様の構造であるが、LED光源7及び無線通信装置アンテナ11の配置が異なる。
【0169】
照明装置1dは、光反射板5の長手方向に対して、LED光源群が光反射板5の中央部の光反射板5の前方に各LED光源7の発光面が配置されるように回路基板9上に配置され、無線通信装置アンテナ11がLED光源群を挟み込むようにLED光源群の長手方向の両側の光反射板5の後方に配置される。すなわち、無線通信装置アンテナ11が一対配置される。
【0170】
また、図18(b)に示すように、光反射板5の長手方向の両端部側が、所定形状で前方に突出するように延出するように形成される。すなわち、光反射板5は、光反射板5の中央部(LED光源群が配置されている部位)から無線通信装置アンテナ11を覆う光反射板5の長手方向の両端部に向けて徐々に前方に突出するように形成される。このように、光反射板5の長手方向の両端部(無線通信装置アンテナ11の前方)を、前方に向けて突出させることで、無線通信装置アンテナ11の傾斜角を付与するための可動領域が確保されると同時にLED光源7が配置されていない光反射板5の両端部側の輝度を、光反射板5を傾けない場合に比べて高めることができる。
【0171】
このため、無線通信装置アンテナ11から放射される主ローブの放射方向を照明装置1dの長手方向の両側から中心方向に向けて傾けることができる(図18(a)のθ8、図18(b)のθ9)。すなわち、LED光源群の照射方向の中心線に対して、それぞれの無線通信装置アンテナ11から出射される電波の主ビームの中心線が所定角度ずれるように、光反射板5の長手方向の両端部に配置されたそれぞれの無線通信装置アンテナ11が、LED光源群に対して傾けて配置される。
【0172】
このようにすることで、光反射板5の長手方向に対して、光反射板5の長手方向の両端部に配置されたそれぞれの無線通信装置アンテナ11から出射される電波を重ねることができる。このため、無線通信装置アンテナ11からの電波強度を高めることができる。
【0173】
また、本実施形態では、光反射板5は、カップ形状の窪み部31が、所定の配置パターンで多数形成されたマイクロ発泡樹脂シート成形体からなる。それぞれの窪み部31の底部には、個々のLED光源7が窪み部31に囲まれるように配置される。このように、多数の窪み部31には多数のLED光源7がそれぞれ配置される。このように、光反射板5を、多数のカップ状の窪み部31が形成された成形体とすることで、LED光源7からの光に対して、窪み部31の内周面による拡散反射量を増やすことができ、光反射板5のLED光源群が配置されていない部分とLED光源群が配置された部分から取り出す光の輝度分布の差を緩和してより均一なものとすることができる。
【0174】
このような照明装置1dでも、前述した照明装置1等と同様の効果を得ることができる。また、光反射板5の長手方向の両端部に配置されたそれぞれの無線通信装置アンテナ11から出射される電波を重ねることができ、無線通信装置アンテナ11からの電波強度を高めることができる。
【0175】
また、無線通信装置アンテナ11から出射される電波の照射空間の主ビームの中心線が照明装置1dの下側の空間の所定高さの所定位置で交わるように配置されている状態で、角度調整機構によって、LED光源群からの光の中心線が無線通信装置アンテナ11の主ビームが交わる位置を通過するか、あるいは所定距離オフセットした位置を通過することが可能なように、無線通信装置アンテナ11の配置面の角度調整を行なうことができる。このように、角度調整機構を所定角度に調整することで、無線通信装置アンテナ11の配置角度を調整することで、無線通信装置を内蔵した照明装置1dの無線通信装置アンテナ11の角度調整方法を提供することができる。
【0176】
以上のように、本発明の照明装置は、無線通信装置を内蔵し、しかも無線通信装置アンテナ11から発信される電波が所定の方向に向けて発信され、不要な電波は、照明装置の後方カバー部材15内に配置された電磁波吸収部材13により吸収されるため、道路用照明装置の他、公園、野球場、スタジアムなどの屋外の公共施設や市役所、公民館、大型商業施設などの屋内施設などにも設置可能である。また、角度調整機構によって、LED光源群の照射方向の中心線と無線通信装置アンテナ11から出射される電波の主ビームの中心線が相互に所定角度ずれるように調整することが可能であり、その結果、これを用いた照明装置のアンテナの角度調整方法や照明装置の敷設方法を提供することができる。
【0177】
また、無線通信装置アンテナ11の前方にマイクロ発泡樹脂シート製の光反射板5が配置され、さらにこの光反射板5の無線通信装置アンテナ11を覆う部分にLED光源群の発光面よりも背面側に配置された光反射板5からの反射光が導光される。このため、LED光源7が、光反射板5の前方に配置されていなくても所定の輝度レベルを確保できる。また、無線通信装置アンテナ11による光の吸収を防止することで、照明装置の輝度を高めることができるとともに、光反射板5の拡散反射性が高いため、照明装置から広角に光を取り出すことができる。
【0178】
また、無線通信装置アンテナ11が光反射板5の前方に露出せずに、意匠性を高めると同時に、マイクロ発泡樹脂シートによる電波の吸収も少ない、無線通信装置を内蔵した意匠性に優れた照明装置を実現できる。さらに、広角に放射される所定波長の電波、特にミリ波の通過時の損失が少ない光反射板を提供することができる。なお、本発明において、すべての実施例において、LED光源7が規則的に配置された回路基板9に、LED光源7に対応する位置の光反射板5を切り欠いて、LED光源7を実装した回路基板9にこの光反射板5を被冠したものである。
【0179】
以上、添付図を参照しながら、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の技術的範囲は、前述した実施の形態に左右されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0180】
1、1a、1b、1c、1d………照明装置
3………前方カバー部材
5………光反射板
7………LED光源
9………回路基板
11………無線通信装置アンテナ
13………電磁波吸収部材
15………後方カバー部材
17、17a、17b………アンテナ固定部
19………ブラケット
21………ナット
23………アンテナ支持部材
24………アンテナ支持板
25………球状部
27………蝶ねじ
29………突起部
31………窪み部
32………支持軸
33………角度固定ねじ
34………アンテナ支持板
35………アンテナ支持部材
37………角度固定ねじ
39………回転部材
41………支持軸
43………スリット
45………支持アーム
47………支持アーム
49………角度固定ねじ
51………角度固定ねじ
53………支持軸
54………アンテナ支持板
55………アンテナ支持部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18