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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024071148
(43)【公開日】2024-05-24
(54)【発明の名称】重合性組成物
(51)【国際特許分類】
   C08F 290/14 20060101AFI20240517BHJP
   C08F 2/50 20060101ALN20240517BHJP
【FI】
C08F290/14
C08F2/50
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022181943
(22)【出願日】2022-11-14
(71)【出願人】
【識別番号】000004455
【氏名又は名称】株式会社レゾナック
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100169454
【弁理士】
【氏名又は名称】平野 裕之
(74)【代理人】
【識別番号】100160897
【弁理士】
【氏名又は名称】古下 智也
(72)【発明者】
【氏名】吉成 保彦
(72)【発明者】
【氏名】川守 崇司
(72)【発明者】
【氏名】田中 徹
【テーマコード(参考)】
4J011
4J127
【Fターム(参考)】
4J011PA28
4J011PA29
4J011PA46
4J011PB40
4J011PC02
4J011PC08
4J011QA03
4J011QA12
4J011QA13
4J011QA15
4J011QA24
4J011QA33
4J011QA34
4J011QA38
4J011QA39
4J011QA42
4J011QA45
4J011QA46
4J011QB03
4J011QB16
4J011QB19
4J011QB24
4J011RA07
4J011RA10
4J011SA76
4J011SA85
4J011SA87
4J011TA10
4J011VA01
4J127AA03
4J127BB031
4J127BB111
4J127BB221
4J127BC021
4J127BC131
4J127BD481
4J127BE241
4J127BE24Y
4J127BF141
4J127BF14X
4J127BF611
4J127BG041
4J127BG281
4J127CB151
4J127CB272
4J127CB273
4J127CC022
4J127CC293
4J127CC331
4J127DA42
4J127DA45
4J127EA05
4J127EA13
4J127FA16
4J127FA37
4J127FA41
(57)【要約】
【課題】重合性組成物の調製後における反応開始温度の経時変化を抑制することが可能な重合性組成物を提供する。
【解決手段】重合性化合物を含有する重合性組成物であって、光酸発生剤と、酸成分と、を含有する、重合性組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
重合性化合物を含有する重合性組成物であって、
光酸発生剤と、酸成分と、を含有する、重合性組成物。
【請求項2】
前記光酸発生剤が、ボレートアニオンを有するホウ素塩を含む、請求項1に記載の重合性組成物。
【請求項3】
前記ホウ素塩がスルホニウムカチオンを更に有する、請求項2に記載の重合性組成物。
【請求項4】
前記スルホニウムカチオンが、硫黄原子に結合するアリール基を有する、請求項3に記載の重合性組成物。
【請求項5】
前記光酸発生剤の含有量が0.01~20.00質量%である、請求項1~4のいずれか一項に記載の重合性組成物。
【請求項6】
前記酸成分がリン化合物を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の重合性組成物。
【請求項7】
前記酸成分が、P=O(OH)構造を有するリン化合物を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の重合性組成物。
【請求項8】
前記酸成分の含有量が0.01~10.00質量%である、請求項1~4のいずれか一項に記載の重合性組成物。
【請求項9】
前記光酸発生剤の含有量に対する前記酸成分の含有量の質量比が0.01~10.00である、請求項1~4のいずれか一項に記載の重合性組成物。
【請求項10】
前記重合性化合物が(メタ)アクリレート化合物を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の重合性組成物。
【請求項11】
有機過酸化物を更に含有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の重合性組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、重合性組成物等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、各種機器の製造に際して、重合性組成物が各種部材の接着に用いられている。例えば、下記特許文献1では、重合性化合物を含有する熱硬化性組成物が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-156522号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者の知見によれば、各成分を混合して重合性組成物を調製してから時間が経過した後に重合性組成物を熱硬化させると、重合性組成物の調製直後と比較して反応開始温度が変化する場合がある。そのため、重合性組成物に対しては、当該重合性組成物の調製後における反応開始温度の経時変化を抑制する手法が求められる。
【0005】
本開示の一側面は、重合性組成物の調製後における反応開始温度の経時変化を抑制することが可能な重合性組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、いくつかの側面において、下記の[1]~[11]等に関する。
[1]重合性化合物を含有する重合性組成物であって、光酸発生剤と、酸成分と、を含有する、重合性組成物。
[2]前記光酸発生剤が、ボレートアニオンを有するホウ素塩を含む、[1]に記載の重合性組成物。
[3]前記ホウ素塩がスルホニウムカチオンを更に有する、[2]に記載の重合性組成物。
[4]前記スルホニウムカチオンが、硫黄原子に結合するアリール基を有する、[3]に記載の重合性組成物。
[5]前記光酸発生剤の含有量が0.01~20.00質量%である、[1]~[4]のいずれか一つに記載の重合性組成物。
[6]前記酸成分がリン化合物を含む、[1]~[5]のいずれか一つに記載の重合性組成物。
[7]前記酸成分が、P=O(OH)構造を有するリン化合物を含む、[1]~[6]のいずれか一つに記載の重合性組成物。
[8]前記酸成分の含有量が0.01~10.00質量%である、[1]~[7]のいずれか一つに記載の重合性組成物。
[9]前記光酸発生剤の含有量に対する前記酸成分の含有量の質量比が0.01~10.00である、[1]~[8]のいずれか一つに記載の重合性組成物。
[10]前記重合性化合物が(メタ)アクリレート化合物を含む、[1]~[9]のいずれか一つに記載の重合性組成物。
[11]有機過酸化物を更に含有する、[1]~[10]のいずれか一つに記載の重合性組成物。
【発明の効果】
【0007】
本開示の一側面によれば、重合性組成物の調製後における反応開始温度の経時変化を抑制することが可能な重合性組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の実施形態について詳細に説明する。但し、本開示は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0009】
本明細書において、「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。数値範囲の「A以上」とは、A、及び、Aを超える範囲を意味する。数値範囲の「A以下」とは、A、及び、A未満の範囲を意味する。本明細書に段階的に記載されている数値範囲において、ある段階の数値範囲の上限値又は下限値は、他の段階の数値範囲の上限値又は下限値と任意に組み合わせることができる。本明細書に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実験例に示されている値に置き換えてもよい。「A又はB」とは、A及びBのどちらか一方を含んでいればよく、両方とも含んでいてもよい。本明細書に例示する材料は、特に断らない限り、一種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート、及び、それに対応するメタクリレートの少なくとも一方を意味する。「(メタ)アクリル」等の他の類似の表現においても同様である。(メタ)アクリレート化合物の含有量は、アクリレート化合物及びメタクリレート化合物の合計量を意味する。「アルキル基」は、特に断らない限り、直鎖状、分岐又は環状のいずれであってもよい。「重合性組成物の全質量」は、重合性組成物の固形分の全質量を対象とする。重合性組成物の固形分は、揮発し得る揮発分(水、有機溶媒等)を除いた不揮発分を指す。すなわち、当該固形分は、重合性組成物の乾燥において揮発せずに残る成分を指し、25℃で液状、水飴状、ワックス状等の成分も含む。
【0010】
本明細書において、「重量平均分子量」は、下記測定条件のゲル浸透クロマトグラフ(GPC)により、標準ポリスチレンを用いた検量線から換算することにより測定できる。
(測定条件)
装置:東ソー株式会社製、GPC-8020
検出器:東ソー株式会社製、RI-8020
カラム:昭和電工マテリアルズ株式会社製、Gelpack GL-A-160-S+GL-A150
試料濃度:120mg/3mL
溶媒:テトラヒドロフラン
注入量:60μL
圧力:294×10Pa(30kgf/cm
流量:1.00mL/min
【0011】
本実施形態に係る重合性組成物は、重合性化合物を含有する重合性組成物であって、(A)光酸発生剤(以下、場合により「(A)成分」という)と、(B)酸成分(以下、場合により「(B)成分」という)と、を含有する。
【0012】
本実施形態に係る重合性組成物は、少なくとも一種の重合性化合物を含有しており、重合性化合物として、(A)成分及び(B)成分からなる群より選ばれる少なくとも一種を含有してよく、(A)成分及び(B)成分からなる群より選ばれる少なくとも一種に該当しない重合性化合物を含有してよい。(A)成分及び(B)成分からなる群より選ばれる少なくとも一種が重合性化合物である場合、本実施形態に係る重合性組成物は、(A)成分及び(B)成分からなる群より選ばれる少なくとも一種に該当しない重合性化合物を含有してよい。
【0013】
本実施形態に係る重合性組成物は、熱硬化性の重合性組成物として用いることができる。本実施形態に係る重合性組成物によれば、当該重合性組成物の調製後における反応開始温度の経時変化を抑制することが可能であり、例えば、各成分を混合して調製された重合性組成物を用いてフィルム状の重合性組成物を得た後における反応開始温度の経時変化を抑制することができる。本実施形態に係る重合性組成物によれば、後述の実験例に記載の評価方法において、反応開始温度T1と反応開始温度T2との温度差の絶対値|T2-T1|として例えば0.50℃以下(好ましくは0.40℃以下、0.30℃以下、0.20℃以下、0.15℃以下等)を得ることができる。
【0014】
近年の各種機器の小型化、高性能化等に伴い、高熱に曝すことを避けるべき部材の近傍で重合性組成物を熱硬化させる場合、高熱に曝すことを避けるべき部材に接触した重合性組成物を熱硬化させる場合等がある。これらの場合、熱硬化を低温で行うことによって当該部材の劣化を避ける観点から、重合性組成物に対しては、反応開始温度を低下させることが求められる。本実施形態に係る重合性組成物の一態様によれば、低温(例えば、100℃以下)で熱硬化が可能な重合性組成物を保管した際にも、重合性組成物の調製直後と比較して反応開始温度が経時変化することを抑制することができる。
【0015】
本実施形態に係る重合性組成物の用途としては、特に限定されず、表示装置、半導体装置、電子デバイス用部材等が挙げられる。本実施形態に係る重合性組成物は、マイクロLED(Light Emitting Diode)、マイクロOLED(Organic Light Emitting Diode)等において用いられてよい。
【0016】
本実施形態に係る重合性組成物は、(A)成分として、光酸発生剤を含有する。光酸発生剤は、活性エネルギー線を照射することにより分解して酸を発生する化合物の総称であり、例えば、波長150~750nm(波長250~440nm等)の活性エネルギー線を照射することにより分解して酸を発生する化合物であってよい。
【0017】
(A)成分は、反応開始温度の経時変化を抑制しやすい観点から、ボレートアニオンを有する化合物を含んでよく、ボレートアニオンを有するホウ素塩(ボレートアニオンと対カチオンとの塩。以下、「(a1)成分」という)を含んでよい。本実施形態に係る重合性組成物においてボレートアニオンは、対カチオンと結合していてよく、対カチオンと結合することなく遊離していてもよい。
【0018】
ボレートアニオンにおいて、ホウ素原子の数(一分子中の数)は、反応開始温度の経時変化を抑制しやすい観点から、1~4、1~3、又は、1~2であってよい。
【0019】
ボレートアニオンは、反応開始温度の経時変化を抑制しやすい観点から、ベンゼン環(置換又は無置換のフェニル基)を有してよく、ホウ素原子に結合するベンゼン環(置換又は無置換のフェニル基)を有してよい。ボレートアニオンは、ナフタレン環を有さなくてよい。
【0020】
ボレートアニオンにおいて、ベンゼン環の数(一分子中の数)、又は、ホウ素原子に結合するベンゼン環の数(一分子中の数)は、反応開始温度の経時変化を抑制しやすい観点から、1~4、2~4、又は、3~4であってよい。
【0021】
ボレートアニオンは、置換基を有するベンゼン環を有してよい。置換基としては、ハロゲン原子(例えばフルオロ基)、アルキル基、アリール基、アルコキシ基等が挙げられる。ボレートアニオンは、反応開始温度の経時変化を抑制しやすい観点から、フルオロ基で置換されたベンゼン環を有してよく、5つのフルオロ基で置換されたベンゼン環を有してよい。
【0022】
ボレートアニオンとしては、(C(テトラキスペンタフルオロフェニルボレートアニオン)、(C(C)B、(C(C、(C)(C等が挙げられる。
【0023】
(a1)成分における対カチオンとしては、スルホニウムカチオン、第四級アンモニウムイオン、第三級アンモニウムイオン、第二級アンモニウムイオン、第一級アンモニウムイオン、アンモニウムイオン、イミダゾリウムイオン、イミダゾリニウムイオン、ピリジニウムイオン、アルカリ金属イオン(ナトリウムイオン、カリウムイオン等)、ホスホニウムカチオン、ヨードニウムカチオンなどが挙げられる。(a1)成分は、金属イオンを有さなくてよく、金属イオンを有してもよい。金属イオンとしては、アルカリ金属イオン(ナトリウムイオン、カリウムイオン等)などが挙げられる。(a1)成分は、反応開始温度の経時変化を抑制しやすい観点から、対カチオンとして、スルホニウムカチオンを有してよい。
【0024】
(A)成分は、反応開始温度の経時変化を抑制しやすい観点から、スルホニウムカチオン有する化合物を含んでよく、スルホニウムカチオンを有する塩(スルホニウムカチオンと対アニオンとの塩。以下、「(a2)成分」という)を含んでよい。本実施形態に係る重合性組成物においてスルホニウムカチオンは、対アニオンと結合していてよく、対アニオンと結合することなく遊離していてもよい。対アニオンとしては、ボレートアニオン(例えば、(a1)成分に関して上述した特徴を有する各種ボレートアニオン)、SbF 、AsF 、PF 、CHSO 、CFSO 等が挙げられる。(a2)成分は、反応開始温度の経時変化を抑制しやすい観点から、対アニオンとして、ボレートアニオンを有してよい。
【0025】
(a1)成分又は(a2)成分におけるスルホニウムカチオンにおいて、硫黄原子(正電荷の硫黄原子)に結合する置換基としては、アルキル基、アリール基等が挙げられる。アリール基としては、置換又は無置換のフェニル基、置換又は無置換のビフェニル基、置換又は無置換のチオキサントン基等が挙げられる。置換フェニル基は、置換又は無置換のビフェニル基を包含しないものとする。硫黄原子(正電荷の硫黄原子)に結合する置換基は、硫黄原子(正電荷の硫黄原子とは異なる硫黄原子)を含む置換基であってよい。
【0026】
(a1)成分又は(a2)成分におけるスルホニウムカチオンは、反応開始温度の経時変化を抑制しやすい観点から、硫黄原子(正電荷の硫黄原子)に結合するアリール基を有してよい。スルホニウムカチオンにおいて、硫黄原子(正電荷の硫黄原子)に結合するアリール基の数(一分子中の数)は、反応開始温度の経時変化を抑制しやすい観点から、1~3、又は、2~3であってよい。スルホニウムカチオンにおいて、硫黄原子(正電荷の硫黄原子)に結合する置換又は無置換のフェニル基の数(一分子中の数)は、反応開始温度の経時変化を抑制しやすい観点から、1~3、1~2、又は、2~3であってよい。
【0027】
(a1)成分又は(a2)成分におけるスルホニウムカチオンは、反応開始温度の経時変化を抑制しやすい観点から、硫黄原子(正電荷の硫黄原子)に結合するアリール基として、置換又は無置換のフェニル基を有してよく、置換又は無置換のビフェニル基を有してよく、置換又は無置換のチオキサントン基を有してよい。硫黄原子(正電荷の硫黄原子)に結合するフェニル基は、反応開始温度の経時変化を抑制しやすい観点から、硫黄原子(正電荷の硫黄原子とは異なる硫黄原子)で置換されてよく、当該硫黄原子を介してアリール基(置換又は無置換のフェニル基、置換又は無置換のビフェニル基、置換又は無置換のチオキサントン基等)に結合してよい。(a1)成分又は(a2)成分は、反応開始温度の経時変化を抑制しやすい観点から、(4-フェニルチオフェニル)ジフェニルスルホニウムカチオンを有してよい。
【0028】
(a1)成分の含有量又は(a2)成分の含有量は、反応開始温度の経時変化を抑制しやすい観点から、(A)成分の全質量を基準として、50.00質量%以上、50.00質量%超、70.00質量%以上、80.00質量%以上、90.00質量%以上、92.00質量%以上、95.00質量%以上、97.00質量%以上、98.00質量%以上、99.00質量%以上、又は、実質的に100.00質量%であってよい。
【0029】
(A)成分の含有量は、反応開始温度の経時変化を抑制しやすい観点から、重合性組成物の全質量を基準として下記の範囲であってよい。(A)成分の含有量は、0.01質量%以上、0.05質量%以上、0.10質量%以上、0.20質量%以上、0.30質量%以上、0.35質量%以上、0.40質量%以上、0.45質量%以上、0.50質量%以上、0.55質量%以上、0.60質量%以上、0.65質量%以上、0.70質量%以上、0.80質量%以上、1.00質量%以上、1.20質量%以上、1.50質量%以上、1.60質量%以上、1.80質量%以上、又は、1.90質量%以上であってよい。(A)成分の含有量は、20.00質量%以下、15.00質量%以下、10.00質量%以下、8.00質量%以下、6.00質量%以下、5.00質量%以下、4.00質量%以下、3.00質量%以下、2.50質量%以下、2.20質量%以下、2.00質量%以下、1.90質量%以下、1.80質量%以下、1.50質量%以下、1.20質量%以下、1.00質量%以下、0.80質量%以下、0.70質量%以下、0.65質量%以下、0.60質量%以下、0.55質量%以下、又は、0.50質量%以下であってよい。これらの観点から、(A)成分の含有量は、0.01~20.00質量%、0.30~20.00質量%、1.00~20.00質量%、0.01~5.00質量%、0.30~5.00質量%、1.00~5.00質量%、0.01~3.00質量%、0.30~3.00質量%、1.00~3.00質量%、0.01~1.00質量%、又は、0.30~1.00質量%であってよい。
【0030】
本実施形態に係る重合性組成物は、(B)成分として酸成分(但し、(A)成分に該当する化合物を除く)を含有する。(B)成分としては、酸及び酸誘導体からなる群より選ばれる少なくとも一種を用いることができる。酸としては、無機酸、有機酸等を挙げられる。無機酸としては、リン酸、塩酸、硝酸、硫酸等が挙げられる。有機酸としては、カルボン酸、スルホン酸等が挙げられる。酸誘導体としては、塩、無水物、エステル等が挙げられる。
【0031】
(B)成分は、反応開始温度の経時変化を抑制しやすい観点から、リン化合物(リン原子を含む化合物)を含んでよく、P-OH構造を有するリン化合物を含んでよく、P=O(OH)構造を有するリン化合物(以下、「(b1)成分」という)を含んでよい。(b1)成分では、下記一般式(b1)に示すとおり、二重結合を介してリン原子に酸素原子が結合すると共に、単結合を介して当該リン原子にヒドロキシ基が結合している。(b1)成分において、P=O(OH)構造の数(一分子中の数)は、1であってよい。
【0032】
【化1】

[式中、b11は1~3の整数を示し、b12は0~2の整数を示し、b11+b12は3であり、Rb1は1価の基を示す。]
【0033】
b11は、反応開始温度の経時変化を抑制しやすい観点から、1~2、又は、2~3であってよい。
【0034】
(b1)成分は、リン原子に結合する官能基として、ヒドロキシ基とは異なる1価の基(一般式(b1)のRb1)を有してよい。当該1価の基としては、置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のアリール基(例えばフェニル基)、(メタ)アクリロイル基含有基等が挙げられる。(メタ)アクリロイル基含有基は、アクリロイル基及びメタクリロイル基からなる群より選ばれる少なくとも一種を有する基である。
【0035】
(b1)成分は、反応開始温度の経時変化を抑制しやすい観点から、P=O(OH)構造を有する(メタ)アクリレート化合物、リン酸、及び、フェニルホスホン酸からなる群より選ばれる少なくとも一種を含んでよく、P=O(OH)構造を有する(メタ)アクリレート化合物を含んでよく、下記一般式(b2)で表される化合物を含んでよい。
【0036】
【化2】

[式中、b21は1又は2の整数を示し、b22は1又は2の整数を示し、b21+b22は3であり、b23及びb24は、それぞれ独立に1以上の整数を示し、Rb2は水素原子又はメチル基を示す。]
【0037】
b23は、反応開始温度の経時変化を抑制しやすい観点から、1~8、1~6、1~5、3~8、3~6、3~5、5~8、又は、5~6であってよい。b24は、反応開始温度の経時変化を抑制しやすい観点から、1~4、2~4、1~3、又は、1~2であってよい。
【0038】
(B)成分は、有機酸及び有機酸誘導体からなる群より選ばれる少なくとも一種の有機酸成分を含んでよい。(B)成分は、有機酸成分として、脂肪族カルボン酸、脂肪族カルボン酸の塩、及び、脂肪族カルボン酸の水和物からなる群より選ばれる少なくとも一種を含んでよく、ヒドロキシ基及びエーテル基からなる群より選ばれる少なくとも一種を有する脂肪族カルボン酸、当該脂肪族カルボン酸の塩、及び、前記脂肪族カルボン酸の水和物からなる群より選ばれる少なくとも一種を含んでよい。脂肪族カルボン酸としては、リンゴ酸、クエン酸、グリコール酸、酒石酸、乳酸、グリセリン酸、ヒドロキシ酪酸、タルトロン酸等のヒドロキシ酸;ジグリコール酸等のエーテル系ジカルボン酸(エーテル基を有するジカルボン酸);メトキシ酢酸、エトキシ酢酸等のアルコキシ酢酸などが挙げられる。(B)成分は、有機酸成分として、芳香族カルボン酸、芳香族カルボン酸の塩、及び、芳香族カルボン酸の水和物からなる群より選ばれる少なくとも一種を含んでよく、2以上のヒドロキシ基を有する芳香族カルボン酸、当該芳香族カルボン酸の塩、及び、前記芳香族カルボン酸の水和物からなる群より選ばれる少なくとも一種を含んでよい。芳香族カルボン酸としては、プロトカテク酸、α-レソルシル酸、β-レソルシル酸、γ-レソルシル酸、2-ピロカテク酸、ゲンチジン酸、オルセリン酸、没食子酸、フロログルシノールカルボン酸等が挙げられる。その他の有機酸成分としては、無水フタル酸、無水マレイン酸、無水トリメリット酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、無水ナジック酸、無水グルタル酸、無水ジメチルグルタル酸、無水ジエチルグルタル酸、無水コハク酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、4,4’-ビフタル酸無水物、4,4’-カルボニルジフタル酸無水物、4,4’-スルホニルジフタル酸無水物、4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物、4,4’-オキシジフタル酸無水物、9,9-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)フルオレン二無水物、2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
【0039】
(b1)成分の含有量は、反応開始温度の経時変化を抑制しやすい観点から、重合性組成物に含まれる(B)成分又はリン化合物((B)成分に該当するリン化合物)の全質量を基準として、50.00質量%以上、50.00質量%超、70.00質量%以上、80.00質量%以上、90.00質量%以上、92.00質量%以上、95.00質量%以上、97.00質量%以上、98.00質量%以上、99.00質量%以上、又は、実質的に100.00質量%であってよい。
【0040】
(B)成分の含有量は、反応開始温度の経時変化を抑制しやすい観点から、重合性組成物の全質量を基準として下記の範囲であってよい。(B)成分の含有量は、0.01質量%以上、0.05質量%以上、0.10質量%以上、0.20質量%以上、0.30質量%以上、0.40質量%以上、0.50質量%以上、0.60質量%以上、0.70質量%以上、0.80質量%以上、又は、0.90質量%以上であってよい。(B)成分の含有量は、10.00質量%以下、8.00質量%以下、6.00質量%以下、5.00質量%以下、4.00質量%以下、3.00質量%以下、2.00質量%以下、又は、1.00質量%以下であってよい。これらの観点から、(B)成分の含有量は、0.01~10.00質量%、0.01~2.00質量%、0.01~1.00質量%、0.10~10.00質量%、0.10~2.00質量%、0.10~1.00質量%、0.30~10.00質量%、0.30~2.00質量%、又は、0.30~1.00質量%であってよい。
【0041】
(A)成分の含有量に対する(B)成分の含有量の質量比R1((B)成分/(A)成分)は、反応開始温度の経時変化を抑制しやすい観点から、下記の範囲であってよい。質量比R1は、0.01以上、0.05以上、0.10以上、0.15以上、0.20以上、0.25以上、0.30以上、0.35以上、0.40以上、0.45以上、0.50以上、0.60以上、0.70以上、0.80以上、0.90以上、1.00以上、1.20以上、1.50以上、又は、1.80以上であってよい。質量比R1は、10.00以下、8.00以下、6.00以下、5.00以下、4.00以下、3.00以下、2.00以下、1.80以下、1.50以下、1.20以下、1.00以下、0.90以下、0.80以下、0.70以下、0.60以下、又は、0.50以下であってよい。これらの観点から、質量比R1は、0.01~10.00、0.01~3.00、0.01~1.00、0.10~10.00、0.10~3.00、0.10~1.00、0.50~10.00、又は、0.50~3.00であってよい。
【0042】
本実施形態に係る重合性組成物は、(C)成分として、重合性化合物(但し、(A)成分又は(B)成分に該当する化合物を除く)を含有してよい。
【0043】
(C)成分としては、ラジカル重合性化合物、カチオン重合性化合物、アニオン重合性化合物等が挙げられる。(C)成分は、反応開始温度の経時変化を抑制しやすい観点から、ラジカル重合性化合物を含んでよい。本実施形態に係る重合性組成物では、ラジカル重合性化合物を用いたラジカル硬化系において光酸発生剤を用いることができる。
【0044】
(C)成分としては、(メタ)アクリレート化合物、マレイミド化合物、ビニルエーテル化合物、アリル化合物、スチレン化合物、(メタ)アクリルアミド化合物、ナジイミド化合物、天然ゴム、イソプレンゴム、ブチルゴム、ニトリルゴム、ブタジエンゴム、スチレン-ブタジエンゴム、アクリロニトリル-ブタジエンゴム、カルボキシル化ニトリルゴム、エポキシ化合物、オキセタン化合物、ラクトン化合物等が挙げられる。(C)成分は、反応開始温度の経時変化を抑制しやすい観点から、エチレン性不飽和結合を有する化合物を含んでよく、(メタ)アクリレート化合物を含んでよい。
【0045】
(メタ)アクリレート化合物としては、(ポリ)ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリブタジエン(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2-シアノエチル(メタ)アクリレート、2-(2-エトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2-エトキシエチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n-ラウリル(メタ)アクリレート、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、2-フェノキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニロキシエチル(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸アルキレンオキシド変性ジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸アルキレンオキシド変性トリ(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-1,3-ジ(メタ)アクリロキシプロパン、2,2-ビス〔4-((メタ)アクリロキシメトキシ)フェニル〕プロパン、2,2-ビス[4-((メタ)アクリロキシポリエトキシ)フェニル]プロパン等が挙げられる。「ポリウレタン(メタ)アクリレート」及び「ウレタン(メタ)アクリレート」を合わせて「(ポリ)ウレタン(メタ)アクリレート」と表記する。(C)成分は、反応開始温度の経時変化を抑制しやすい観点から、2官能(メタ)アクリレート化合物を含んでよい。
【0046】
(C)成分は、反応開始温度の経時変化を抑制しやすい観点から、ポリカーボネート骨格を有するウレタン(メタ)アクリレート化合物(以下、「(c1)成分」という)を含んでよく、ポリカーボネートポリオール由来の構造を有するウレタン(メタ)アクリレート化合物を含んでよく、下記一般式(c1)で表される化合物を含んでよい。
【0047】
【化3】

[式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、jは1~3の整数を示し、kは2~7の整数を示し、mは1~8の整数を示し、nは5~7の整数を示す。]
【0048】
一般式(c1)において、反応開始温度の経時変化を抑制しやすい観点から、jは1~2又は2~3であってよく、kは2~3又は3~5であってよく、mは1~6、1~4又は1~2であってよく、nは5~6又は6~7であってよい。
【0049】
(c1)成分の重量平均分子量は、反応開始温度の経時変化を抑制しやすい観点から、1000以上、3000以上、5000以上、8000以上、10000以上、12000以上、13000以上、14000以上、又は、15000以上であってよい。(c1)成分の重量平均分子量は、反応開始温度の経時変化を抑制しやすい観点から、100000以下、50000以下、30000以下、25000以下、20000以下、18000以下、又は、15000以下であってよい。これらの観点から、(c1)成分の重量平均分子量は、1000~100000、5000~50000、又は、10000~30000であってよい。
【0050】
(c1)成分の含有量は、反応開始温度の経時変化を抑制しやすい観点から、(C)成分の全質量を基準として下記の範囲であってよい。(c1)成分の含有量は、10.00質量%以上、15.00質量%以上、20.00質量%以上、25.00質量%以上、30.00質量%以上、35.00質量%以上、40.00質量%以上、45.00質量%以上、50.00質量%以上、又は、55.00質量%以上であってよい。(c1)成分の含有量は、90.00質量%以下、85.00質量%以下、80.00質量%以下、75.00質量%以下、70.00質量%以下、65.00質量%以下、又は、60.00質量%以下であってよい。これらの観点から、(c1)成分の含有量は、10.00~90.00質量%、10.00~80.00質量%、10.00~70.00質量%、20.00~90.00質量%、20.00~80.00質量%、20.00~70.00質量%、40.00~90.00質量%、40.00~80.00質量%、又は、40.00~70.00質量%であってよい。
【0051】
(c1)成分の含有量は、反応開始温度の経時変化を抑制しやすい観点から、重合性組成物の全質量を基準として下記の範囲であってよい。(c1)成分の含有量は、5.00質量%以上、10.00質量%以上、15.00質量%以上、又は、20.00質量%以上であってよい。(c1)成分の含有量は、50.00質量%以下、45.00質量%以下、40.00質量%以下、35.00質量%以下、30.00質量%以下、又は、25.00質量%以下であってよい。これらの観点から、(c1)成分の含有量は、5.00~50.00質量%、5.00~40.00質量%、5.00~30.00質量%、10.00~50.00質量%、10.00~40.00質量%、10.00~30.00質量%、20.00~50.00質量%、20.00~40.00質量%、又は、20.00~30.00質量%であってよい。
【0052】
(C)成分は、反応開始温度の経時変化を抑制しやすい観点から、イソシアヌル酸アルキレンオキシド変性ジ(メタ)アクリレート((c1)成分に該当する化合物を除く;以下、「(c2)成分」という)を含んでよく、イソシアヌル酸エチレンオキシド変性ジ(メタ)アクリレートを含んでよい。
【0053】
(c2)成分の含有量は、反応開始温度の経時変化を抑制しやすい観点から、(C)成分の全質量を基準として下記の範囲であってよい。(c2)成分の含有量は、1.00質量%以上、5.00質量%以上、10.00質量%以上、15.00質量%以上、又は、20.00質量%以上であってよい。(c2)成分の含有量は、50.00質量%以下、45.00質量%以下、40.00質量%以下、35.00質量%以下、30.00質量%以下、又は、25.00質量%以下であってよい。これらの観点から、(c2)成分の含有量は、1.00~50.00質量%、1.00~40.00質量%、1.00~30.00質量%、10.00~50.00質量%、10.00~40.00質量%、10.00~30.00質量%、20.00~50.00質量%、20.00~40.00質量%、又は、20.00~30.00質量%であってよい。
【0054】
(c2)成分の含有量は、反応開始温度の経時変化を抑制しやすい観点から、重合性組成物の全質量を基準として下記の範囲であってよい。(c2)成分の含有量は、1.00質量%以上、3.00質量%以上、5.00質量%以上、7.00質量%以上、8.00質量%以上、又は、9.00質量%以上であってよい。(c2)成分の含有量は、30.00質量%以下、25.00質量%以下、20.00質量%以下、15.00質量%以下、又は、10.00質量%以下であってよい。これらの観点から、(c2)成分の含有量は、1.00~30.00質量%、1.00~20.00質量%、1.00~10.00質量%、5.00~30.00質量%、5.00~20.00質量%、5.00~10.00質量%、7.00~30.00質量%、7.00~20.00質量%、又は、7.00~10.00質量%であってよい。
【0055】
(C)成分は、反応開始温度の経時変化を抑制しやすい観点から、ジシクロペンタニル構造及びジシクロペンテニル構造からなる群より選ばれる少なくとも一種を有するジ(メタ)アクリレート化合物((c1)成分又は(c2)成分に該当する化合物を除く;以下、「(c3)成分」という)を含んでよく、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、及び、トリシクロデカンジオールジ(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる少なくとも一種を含んでよい。
【0056】
(c3)成分の含有量は、反応開始温度の経時変化を抑制しやすい観点から、(C)成分の全質量を基準として下記の範囲であってよい。(c3)成分の含有量は、1.00質量%以上、5.00質量%以上、10.00質量%以上、15.00質量%以上、又は、20.00質量%以上であってよい。(c3)成分の含有量は、50.00質量%以下、45.00質量%以下、40.00質量%以下、35.00質量%以下、30.00質量%以下、又は、25.00質量%以下であってよい。これらの観点から、(c3)成分の含有量は、1.00~50.00質量%、1.00~40.00質量%、1.00~30.00質量%、10.00~50.00質量%、10.00~40.00質量%、10.00~30.00質量%、20.00~50.00質量%、20.00~40.00質量%、又は、20.00~30.00質量%であってよい。
【0057】
(c3)成分の含有量は、反応開始温度の経時変化を抑制しやすい観点から、重合性組成物の全質量を基準として下記の範囲であってよい。(c3)成分の含有量は、1.00質量%以上、3.00質量%以上、5.00質量%以上、7.00質量%以上、8.00質量%以上、又は、9.00質量%以上であってよい。(c3)成分の含有量は、30.00質量%以下、25.00質量%以下、20.00質量%以下、15.00質量%以下、又は、10.00質量%以下であってよい。これらの観点から、(c3)成分の含有量は、1.00~30.00質量%、1.00~20.00質量%、1.00~10.00質量%、5.00~30.00質量%、5.00~20.00質量%、5.00~10.00質量%、7.00~30.00質量%、7.00~20.00質量%、又は、7.00~10.00質量%であってよい。
【0058】
(C)成分の含有量は、反応開始温度の経時変化を抑制しやすい観点から、重合性組成物の全質量を基準として下記の範囲であってよい。(C)成分の含有量は、10.00質量%以上、15.00質量%以上、20.00質量%以上、25.00質量%以上、30.00質量%以上、35.00質量%以上、38.00質量%以上、又は、40.00質量%以上であってよい。(C)成分の含有量は、80.00質量%以下、75.00質量%以下、70.00質量%以下、65.00質量%以下、60.00質量%以下、55.00質量%以下、50.00質量%以下、45.00質量%以下、又は、43.00質量%以下であってよい。これらの観点から、(C)成分の含有量は、10.00~80.00質量%、10.00~60.00質量%、10.00~50.00質量%、30.00~80.00質量%、30.00~60.00質量%、30.00~50.00質量%、35.00~80.00質量%、35.00~60.00質量%、又は、35.00~50.00質量%であってよい。
【0059】
(A)成分の含有量に対する(C)成分の含有量の質量比R2((C)成分/(A)成分)は、反応開始温度の経時変化を抑制しやすい観点から、下記の範囲であってよい。質量比R2は、1.00以上、5.00以上、10.00以上、15.00以上、20.00以上、25.00以上、30.00以上、40.00以上、50.00以上、60.00以上、70.00以上、又は、80.00以上であってよい。質量比R2は、300.00以下、250.00以下、200.00以下、150.00以下、120.00以下、100.00以下、90.00以下、85.00以下、80.00以下、70.00以下、60.00以下、50.00以下、40.00以下、30.00以下、又は、25.00以下であってよい。これらの観点から、質量比R2は、1.00~300.00、1.00~120.00、1.00~50.00、10.00~300.00、10.00~120.00、10.00~50.00、30.00~300.00、又は、30.00~120.00であってよい。
【0060】
(B)成分の含有量に対する(C)成分の含有量の質量比R3((C)成分/(B)成分)は、反応開始温度の経時変化を抑制しやすい観点から、下記の範囲であってよい。質量比R3は、1.00以上、5.00以上、10.00以上、15.00以上、20.00以上、25.00以上、30.00以上、35.00以上、40.00以上、又は、45.00以上であってよい。質量比R3は、500.00以下、450.00以下、400.00以下、350.00以下、300.00以下、250.00以下、200.00以下、180.00以下、150.00以下、120.00以下、100.00以下、80.00以下、60.00以下、又は、50.00以下であってよい。これらの観点から、質量比R3は、1.00~500.00、1.00~100.00、1.00~50.00、10.00~500.00、10.00~100.00、10.00~50.00、30.00~500.00、30.00~100.00、又は、30.00~50.00であってよい。
【0061】
本実施形態に係る重合性組成物は、(D)成分として、重合開始剤(但し、(A)成分、(B)成分又は(C)成分に該当する化合物を除く)を含有してよい。(D)成分は、熱重合開始剤を含んでよい。(D)成分としては、ラジカル重合開始剤、カチオン重合開始剤、アニオン重合開始剤等が挙げられる。(D)成分は、反応開始温度の経時変化を抑制しやすい観点から、ラジカル重合開始剤を含んでよい。本実施形態に係る重合性組成物では、ラジカル重合開始剤を用いたラジカル硬化系において光酸発生剤を用いることができる。
【0062】
(D)成分としては、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド;1,1-ビス(tert-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1-ビス(tert-ブチルパーオキシ)-2-メチルシクロヘキサン、1,1-ビス(tert-ブチルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ビス(tert-ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1-ビス(tert-ヘキシルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン等のパーオキシケタール;p-メンタンヒドロパーオキサイド等のヒドロパーオキサイド;α,α’-ビス(tert-ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジクミルパーオキサイド、tert-ブチルクミルパーオキサイド、ジ-tert-ブチルパーオキサイド等のジアルキルパーオキサイド;オクタノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ステアリルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド;ビス(4-tert-ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ-2-エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジ-2-エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ-3-メトキシブチルパーオキシカーボネート等のパーオキシカーボネート;tert-ブチルパーオキシピバレート、tert-ヘキシルパーオキシピバレート、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、2,5-ジメチル-2,5-ビス(2-エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、tert-ヘキシルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、tert-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、tert-ブチルパーオキシイソブチレート、tert-ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、tert-ブチルパーオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノエート、tert-ブチルパーオキシラウリレート、tert-ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、tert-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキシルモノカーボネート、tert-ブチルパーオキシベンゾエート、tert-ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5-ジメチル-2,5-ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、tert-ブチルパーオキシアセテート等のパーオキシエステル;2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2’-ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物;ヨードニウム塩;スルホニウム塩;ホスホニウム塩;イミダゾール化合物などが挙げられる。
【0063】
本実施形態に係る重合性組成物は、反応開始温度の経時変化を抑制しやすい観点から、(D)成分として、過酸化物を含有してよく、有機過酸化物を含有してよく、ジアシルパーオキサイドを含有してよい。
【0064】
(D)成分の含有量は、反応開始温度の経時変化を抑制しやすい観点から、重合性組成物の全質量を基準として下記の範囲であってよい。(D)成分の含有量は、0.10質量%以上、0.50質量%以上、1.00質量%以上、1.50質量%以上、2.00質量%以上、2.50質量%以上、3.00質量%以上、3.50質量%以上、4.00質量%以上、又は、4.50質量%以上であってよい。(D)成分の含有量は、20.00質量%以下、15.00質量%以下、10.00質量%以下、9.00質量%以下、8.00質量%以下、7.00質量%以下、6.00質量%以下、又は、5.00質量%以下であってよい。これらの観点から、(D)成分の含有量は、0.10~20.00質量%、0.10~10.00質量%、0.10~6.00質量%、1.00~20.00質量%、1.00~10.00質量%、1.00~6.00質量%、3.00~20.00質量%、3.00~10.00質量%、又は、3.00~6.00質量%であってよい。
【0065】
(A)成分の含有量に対する(D)成分の含有量の質量比R4((D)成分/(A)成分)は、反応開始温度の経時変化を抑制しやすい観点から、下記の範囲であってよい。質量比R4は、0.10以上、0.50以上、1.00以上、1.50以上、2.00以上、2.50以上、3.00以上、4.00以上、5.00以上、6.00以上、8.00以上、8.50以上、又は、9.00以上であってよい。質量比R4は、50.00以下、30.00以下、20.00以下、15.00以下、12.00以下、10.00以下、9.00以下、8.50以下、8.00以下、6.00以下、5.00以下、4.00以下、3.00以下、又は、2.50以下であってよい。これらの観点から、質量比R4は、0.10~50.00、0.10~15.00、0.10~8.00、1.00~50.00、1.00~15.00、1.00~8.00、5.00~50.00、又は、5.00~15.00であってよい。
【0066】
(B)成分の含有量に対する(D)成分の含有量の質量比R5((D)成分/(B)成分)は、反応開始温度の経時変化を抑制しやすい観点から、下記の範囲であってよい。質量比R5は、0.10以上、0.50以上、1.00以上、2.00以上、3.00以上、4.00以上、又は、5.00以上であってよい。質量比R5は、50.00以下、30.00以下、25.00以下、20.00以下、18.00以下、15.00以下、12.00以下、10.00以下、8.00以下、6.00以下、又は、5.00以下であってよい。これらの観点から、質量比R5は、0.10~50.00、0.10~30.00、0.10~10.00、1.00~50.00、1.00~30.00、1.00~10.00、3.00~50.00、3.00~30.00、又は、3.00~10.00であってよい。
【0067】
(C)成分の含有量に対する(D)成分の含有量の質量比R6((D)成分/(C)成分)は、反応開始温度の経時変化を抑制しやすい観点から、下記の範囲であってよい。質量比R6は、0.01以上、0.03以上、0.05以上、0.08以上、又は、0.10以上であってよい。質量比R6は、5.00以下、3.00以下、1.00以下、0.50以下、0.30以下、0.20以下、又は、0.15以下であってよい。これらの観点から、質量比R6は、0.01~5.00、0.01~1.00、0.01~0.50、0.05~5.00、0.05~1.00、0.05~0.50、0.10~5.00、0.10~1.00、又は、0.10~0.50であってよい。
【0068】
本実施形態に係る重合性組成物は、(E)成分として、熱可塑性樹脂を含有してよい。
【0069】
(E)成分としては、フェノキシ樹脂、ポリエステル、ポリウレタン(ポリエステルウレタンを除く)、ポリエステルウレタン、エチレン酢酸ビニル共重合体、ブチラール樹脂等が挙げられる。(E)成分は、反応開始温度の経時変化を抑制しやすい観点から、ポリエステルウレタン及びエチレン酢酸ビニル共重合体からなる群より選ばれる少なくとも一種を含んでよい。
【0070】
(E)成分の含有量は、反応開始温度の経時変化を抑制しやすい観点から、重合性組成物の全質量を基準として下記の範囲であってよい。(E)成分の含有量は、10.00質量%以上、15.00質量%以上、20.00質量%以上、25.00質量%以上、30.00質量%以上、35.00質量%以上、40.00質量%以上、45.00質量%以上、又は、50.00質量%以上であってよい。(E)成分の含有量は、90.00質量%以下、85.00質量%以下、80.00質量%以下、75.00質量%以下、70.00質量%以下、65.00質量%以下、60.00質量%以下、又は、55.00質量%以下であってよい。これらの観点から、(E)成分の含有量は、10.00~90.00質量%、10.00~70.00質量%、10.00~60.00質量%、30.00~90.00質量%、30.00~70.00質量%、30.00~60.00質量%、40.00~90.00質量%、40.00~70.00質量%、又は、40.00~60.00質量%であってよい。
【0071】
本実施形態に係る重合性組成物は、上述の成分以外の成分を含有してよい。このような成分としては、水、有機溶媒、カップリング剤、フィラー、軟化剤、促進剤、劣化防止剤、着色剤、難燃化剤、チキソトロピック剤等が挙げられる。本実施形態に係る重合性組成物は、これらの成分の少なくとも一種を含有してよく、これらの成分の少なくとも一種を含有しなくてもよい。
【0072】
本実施形態に係る重合性組成物は、フィルム状であってよい。フィルム状の重合性組成物の厚さ、又は、本実施形態に係る硬化物の厚さは、下記の範囲であってよい。厚さは、1μm以上、3μm以上、5μm以上、8μm以上、10μm以上、12μm以上、15μm以上、18μm以上、又は、20μm以上であってよい。厚さは、500μm以下、300μm以下、200μm以下、100μm以下、80μm以下、50μm以下、30μm以下、又は、20μm以下であってよい。これらの観点から、厚さは、1~500μm、1~100μm、1~50μm、5~500μm、5~100μm、5~50μm、10~500μm、10~100μm、又は、10~50μmであってよい。
【実施例0073】
以下、実験例を用いて本開示について更に説明するが、本開示は下記実験例に限定されるものではない。
【0074】
<ウレタンアクリレート(UA1)の合成>
攪拌機、温度計、塩化カルシウム乾燥管を有する還流冷却管、及び、窒素ガス導入管を備えた反応容器に、ポリ(1,6-ヘキサンジオールカーボネート)(商品名:デュラノールT5652、旭化成ケミカルズ株式会社製)2500質量部(2.50mol)と、イソホロンジイソシアネート(シグマアルドリッチ社製)666質量部(3.00mol)とを3時間かけて均一に滴下した。次いで、反応容器に充分に窒素ガスを導入した後、反応容器内を70~75℃に加熱して反応させた。次に、反応容器に、ハイドロキノンモノメチルエーテル(シグマアルドリッチ社製)0.53質量部(4.3mmol)と、ジブチル錫ジラウレート(シグマアルドリッチ社製)5.53質量部(8.8mmol)とを添加した後、2-ヒドロキシエチルアクリレート(シグマアルドリッチ社製)238質量部(2.05mol)を加え、空気雰囲気下、70℃で6時間反応させた。これにより、ポリカーボネート骨格を有するウレタンアクリレート(UA1)を得た。ポリウレタンアクリレート(UA1)の重量平均分子量は15000であった。
【0075】
<ポリエステルウレタン(EU1)の合成>
攪拌機、温度計、コンデンサ、真空発生装置及び窒素ガス導入管が備え付けられたヒーター付きステンレス製オートクレーブに、イソフタル酸48質量部及びネオペンチルグリコール37質量部を投入した後、触媒としてテトラブトキシチタネート0.02質量部を投入した。次いで、窒素気流下220℃まで昇温し、そのまま8時間攪拌した。その後、大気圧(760mmHg)まで減圧し、室温まで冷却した。これにより、白色の沈殿物を析出させた後、この沈殿物を取り出した。この沈殿物を水洗した後、真空乾燥することでポリエステルポリオールを得た。このポリエステルポリオールを充分に乾燥した後、MEK(メチルエチルケトン)に溶解し、攪拌機、滴下漏斗、還流冷却機及び窒素ガス導入管を取り付けた四つ口フラスコに投入した。また、ポリエステルポリオール100質量部に対して0.05質量部の量のジブチル錫ジラウレート(触媒)を投入し、ポリエステルポリオール100質量部に対して50質量部の量の4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートをMEKに溶解して滴下漏斗で投入した。そして、80℃で4時間攪拌することでポリエステルウレタン(EU1)を得た。
【0076】
<重合性組成物の調製>
表1に示す光酸発生剤と、酸成分(メタクリロイル基含有ホスフェート、P=O(OH)構造を有するリン化合物、日本化薬株式会社製、商品名:PM-21)と、ウレタンアクリレート(UA1)と、イソシアヌル酸エチレンオキシド変性ジアクリレート(東亞合成株式会社製、商品名:M-215)と、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート(共栄社化学株式会社製、商品名:ライトアクリレートDCP-A)と、重合開始剤(ジアシルパーオキサイド、日油株式会社製、商品名:パーロイルL)のトルエン溶液(固形分割合:20質量%)と、ポリエステルウレタン(EU1)のメチルエチルケトン/トルエン混合溶液(質量比:1/1、固形分割合:40質量%)と、エチレン酢酸ビニル共重合体(三井・ダウポリケミカル株式会社製、商品名:EV40W)のトルエン溶液(固形分割合:30質量%)と、を混合することにより重合性組成物を調製した。光酸発生剤の使用量(固形分量、単位:質量部)を表1に示す。酸成分の使用量は1.00質量部であり、ウレタンアクリレート(UA1)の使用量は25.00質量部であり、イソシアヌル酸エチレンオキシド変性ジアクリレートの使用量は10.00質量部であり、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレートの使用量は10.00質量部であり、重合開始剤の使用量(固形分量)は5.00質量部であり、ポリエステルウレタン(EU1)の使用量(固形分量)は47.50質量部であり、エチレン酢酸ビニル共重合体の使用量(固形分量)は7.50質量部であった。
【0077】
光酸発生剤としては、下記化合物A~Cを用いた。
A:(4-フェニルチオフェニル)ジフェニルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、サンアプロ株式会社製、商品名「CPI-100B」、固形分濃度40質量%(溶剤:プロピレンカーボネート)
B:正電荷の硫黄原子に結合する3つのアリール基を有するスルホニウムカチオン、及び、(Cアニオンを有する化合物、サンアプロ株式会社製、商品名「CPI-310B」
C:正電荷の硫黄原子に結合する3つのアリール基を有するスルホニウムカチオン、及び、(Cアニオンを有する化合物、サンアプロ株式会社製、商品名「CPI-410B」
【0078】
<積層フィルムの作製>
バーコーター(株式会社康井精機製、商品名「KNIFE COATER SNC-300」)を用いて上述の重合性組成物をPETフィルム(剥離処理あり、厚さ:50μm)に塗布した後、60℃のオーブンで3分間乾燥させることにより、PETフィルム上に配置された厚さ20μmのフィルム状の重合性組成物を備える積層フィルムを作製した。
【0079】
<反応開始温度の測定>
作製直後の上述の積層フィルムからPETフィルムを剥離した後、フィルム状の重合性組成物の硬化発熱挙動を示差走査熱分析(Differential Scanning Calorinetry、以下「DSC」と称する)で測定し、重合の反応開始温度の指標として発熱ピークのオンセット温度を得た。DSC測定は下記条件で行い、反応開始温度T1を得た。また、作製直後の上述の積層フィルムをナイロンポリ袋(福助工業株式会社製、商品名「ナイロンポリSタイプ」)に入れた後、真空脱気シーラーを用いてこの袋を密閉して積層フィルムを封入した。さらに、この袋をアルミニウム製の遮光袋に入れた。この状態で積層フィルムを25℃で24時間放置した後、積層フィルムを遮光袋から取り出し、上述の手順と同様の手順で反応開始温度T2を得た。そして、反応開始温度T1と反応開始温度T2との温度差の絶対値|T2-T1|を算出した。結果を表1に示す。
(DSC測定条件)
測定装置:株式会社パーキンエルマージャパン製、商品名「DSC8500」
サンプル量:10.0±0.5mg
測定温度範囲:25~200℃
昇温速度:30℃/min
測定雰囲気:窒素
【0080】
【表1】