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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024071161
(43)【公開日】2024-05-24
(54)【発明の名称】ペット用吸収性物品
(51)【国際特許分類】
   A01K 23/00 20060101AFI20240517BHJP
【FI】
A01K23/00 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022181966
(22)【出願日】2022-11-14
(71)【出願人】
【識別番号】000115108
【氏名又は名称】ユニ・チャーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100211052
【弁理士】
【氏名又は名称】奥村 大輔
(72)【発明者】
【氏名】小松原 大介
(57)【要約】
【課題】ペット用吸収性物品を適切な装着位置で装着しやすくする。
【解決手段】
一態様では、一態様に係るペット用吸収性物品は、ペットの胴回りに巻きつけて装着されるペット用吸収性物品であって、長手方向及び短手方向を有する横長形状を有する本体部を備え、本体部は、肌面側に配置された表面シートと、非肌面側に配置された裏面シートと、表面シートと裏面シートとの間に配置された吸収体と、短手方向における吸収体の外側に配置された一対の防漏ギャザーと、を含み、一対の防漏ギャザーの一方又は双方の少なくとも一部分は、表面シートとは異なる色で着色されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペットの胴回りに巻きつけて装着されるペット用吸収性物品であって、
長手方向及び短手方向を有する横長形状を有する本体部を備え、
前記本体部は、
肌面側に配置された表面シートと、
非肌面側に配置された裏面シートと、
前記表面シートと前記裏面シートとの間に配置された吸収体と、
前記短手方向における前記吸収体の外側に配置された一対の防漏ギャザーと、
を含み、
前記一対の防漏ギャザーの一方又は双方の少なくとも一部分は、前記表面シートとは異なる色で着色されている、ペット用吸収性物品。
【請求項2】
前記本体部は、前記短手方向の一方側に配置された前端縁と、前記短手方向の他方側に配置された後端縁とを有し、
前記一対の防漏ギャザーは、前記前端縁に沿って設けられた前側防漏ギャザーと、前記後端縁に沿って設けられた後側防漏ギャザーとを含み、
前記後側防漏ギャザーの少なくとも一部分が前記表面シートとは異なる色で着色されている、請求項1に記載のペット用吸収性物品。
【請求項3】
前記前側防漏ギャザー及び前記後側防漏ギャザーの各々は、前記表面シート又は前記裏面シートに部分的に固定されたサイドシートと、前記短手方向における前記サイドシートの内側縁に沿って配置され、前記長手方向に伸長された状態で前記サイドシートに接合された第1弾性部材とを含み、
前記後側防漏ギャザーの前記サイドシートの少なくとも一部の領域が前記表面シートと異なる色で着色されている、請求項2に記載のペット用吸収性物品。
【請求項4】
着色された前記領域の前記長手方向の長さは、前記本体部の前記長手方向の全長の1/4以上である、請求項3に記載のペット用吸収性物品。
【請求項5】
前記長手方向において、着色された前記領域は前記吸収体を跨ぐように形成されている、請求項3に記載のペット用吸収性物品。
【請求項6】
前記短手方向における前記サイドシートの内側部分は折り返され、
前記第1弾性部材は、折り返された前記サイドシートの間に配置されている、請求項3に記載のペット用吸収性物品。
【請求項7】
前記裏面シートは、液不透過性の裏面フィルムと、前記裏面フィルムよりも前記非肌面側に配置された裏面不織布とを含み、前記短手方向において前記裏面フィルムの幅は前記裏面不織布の幅よりも狭く、
着色された前記領域は、前記非肌面側から前記裏面不織布を通して視認可能なように前記裏面フィルムよりも前記短手方向の外側に延出している、請求項3に記載のペット用吸収性物品。
【請求項8】
前記前側防漏ギャザー及び前記後側防漏ギャザーの各々は、前記表面シート又は前記裏面シートに部分的に固定されたサイドシートと、前記短手方向における前記サイドシートの内側縁に沿って配置され、前記長手方向に伸長された状態で前記サイドシートに接合された第1弾性部材とを含み、
前記後側防漏ギャザーの前記第1弾性部材は、前記サイドシートを通して視認可能なように前記表面シートと異なる色で着色されている、請求項2に記載のペット用吸収性物品。
【請求項9】
前記第1弾性部材の有効長は、前記長手方向における前記本体部の全長の1/4以上である、請求項8に記載のペット用吸収性物品。
【請求項10】
前記短手方向における前記後側防漏ギャザーの前記サイドシートの内側縁は、前記長手方向の全長に亘って前記表面シートに接合されていない、請求項8に記載のペット用吸収性物品。
【請求項11】
前記短手方向における前記後側防漏ギャザーの前記サイドシートの内側縁は、前記長手方向の両端部において前記短手方向の外側に折り返された状態で前記表面シートに接合されている、請求項8に記載のペット用吸収性物品。
【請求項12】
前記サイドシートは、前記表面シート又は前記裏面シートに接合された固定部と、前記短手方向において前記固定部よりも内側に配置され、前記固定部の内側縁を起点として起立可能な起立部とを含み、
起立した前記起立部の高さは、前記短手方向における前記固定部の内側縁と前記後端縁との間の幅よりも大きい、請求項3又は8に記載のペット用吸収性物品。
【請求項13】
前記裏面シートは、液不透過性の裏面フィルムと、前記裏面フィルムよりも前記非肌面側に配置された裏面不織布とを含み、前記短手方向において前記裏面フィルムの幅は前記裏面不織布の幅よりも狭く、
起立した前記起立部の高さは、前記短手方向における前記固定部の内側縁と前記裏面フィルムの外側縁との間の幅よりも大きい、請求項12に記載のペット用吸収性物品。
【請求項14】
前記短手方向において前記第1弾性部材よりも外側に配置され、前記本体部の前記前端縁及び前記後端縁に沿ってそれぞれ延在する一対の第2弾性部材を更に備え、
前記一対の第2弾性部材のうち前記後端縁に沿って延在する第2弾性部材は、前記表面シートと異なる色で着色されている、請求項8に記載のペット用吸収性物品。
【請求項15】
前記裏面シートは、液不透過性の裏面フィルムと、前記裏面フィルムよりも前記非肌面側に配置された裏面不織布とを含み、前記短手方向において前記裏面フィルムの幅は前記裏面不織布の幅よりも狭く、
前記一対の第2弾性部材は、前記裏面不織布を通して前記非肌面側から視認可能なように、前記短手方向における前記裏面フィルムの外側で前記裏面不織布に接合されている、請求項14に記載のペット用吸収性物品。
【請求項16】
前記後側防漏ギャザーの少なくとも一部分が、外部から視認可能なように折り畳まれた状態で包装体に収容されている、請求項2に記載のペット用吸収性物品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ペット用吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、犬や猫等のペットの胴回りに巻きつけて装着される腹巻き型のペット用吸収性物品が開示されている。腹巻き型のペット用吸収性物品は、尿道口が後足の付け根よりも前方に位置する雄のペットに好適に使用され、液透過性の表面シートと、液不透過性の裏面シートと、表面シートと裏面シートとの間に配置された吸収体と、吸収体の外側に配置された一対の防漏ギャザーとを備える横長形状を有している。このペット用吸収性物品をペットの尿道口を覆うようにペットの胴回りに巻きつけて装着することで、ペットの尿を吸収する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5624925号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のペット用吸収性物品では、ペットの尿道口が一対の防漏ギャザーの間に配置されるようにペット用吸収性物品を装着することが求められる。例えば、雄のペットに当該ペット用吸収性物品を装着する場合には、一対の防漏ギャザーのうち一方の防漏ギャザーが、尿道口よりもペットの前方(頭部側)に配置され、一対の防漏ギャザーのうち他方の防漏ギャザーは、尿道口よりもペットの後方(臀部側)、より好ましくはペットの性器の根元と睾丸との間に配置することが求められる。一対の防漏ギャザーの間にペットの尿道口が配置されていない場合には、ペットの尿が吸収体に吸収されず、尿漏れが発生することとなる。
【0005】
しかしながら、使用者はペット用吸収性物品の正しい着用方法を認識していない場合がある。正しい着用方法を認識している場合であっても、ペット用吸収性物品をペットに装着する際には、尿道口の位置をペットの側方から覗き込みながらペットに装着する必要があり、ペット用吸収性物品を適切な位置に装着することは容易ではない。
【0006】
したがって、本開示は、適切な位置で装着しやすいペット用吸収性物品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様では、ペットの胴回りに巻きつけて装着されるペット用吸収性物品が提供される。このペット用吸収性物品は、ペットの胴回りに巻きつけて装着されるペット用吸収性物品であって、長手方向及び短手方向を有する横長形状を有する本体部を備え、本体部は、肌面側に配置された表面シートと、非肌面側に配置された裏面シートと、表面シートと裏面シートとの間に配置された吸収体と、短手方向における吸収体の外側に配置された一対の防漏ギャザーと、を含み、一対の防漏ギャザーの一方又は双方の少なくとも一部分は、表面シートとは異なる色で着色されている。
【0008】
上記態様では、防漏ギャザーの少なくとも一部分が表面シートとは異なる色で着色されているので、使用者は防漏ギャザーの位置を容易に認識することができる。これにより、ペットの尿道口と防漏ギャザーとの位置関係を確認しながらペット用吸収性物品を装着することが容易になり、その結果、ペットの尿道口を一対の防漏ギャザーの間に配置することができる。したがって、ペット用吸収性物品を適切な位置に装着しやすくなる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の種々の態様によれば、ペット用吸収性物品を適切な位置で装着しやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一実施形態に係るペット用吸収性物品を概略的に示す斜視図である。
図2】ペット用吸収性物品を肌面側から見た平面図である。
図3】ペット用吸収性物品を非肌面側から見た平面図である。
図4図2のA-A線に沿ったペット用吸収性物品の断面図である。
図5図1のB-B線に沿ったペット用吸収性物品の断面図である。
図6図2のC-C線に沿ったペット用吸収性物品の断面図である。
図7図2のD-D線に沿ったペット用吸収性物品の断面図である。
図8】ペット用吸収性物品をペットに装着する手順について説明する図である。
図9】後側防漏ギャザーを配置すべき位置を示す図である。
図10図8に続く手順を示す図である。
図11図10に続く手順を示す図である。
図12】別の実施形態に係るペット用吸収性物品を肌面側から見た平面図である。
図13】更に別の実施形態に係るペット用吸収性物品を肌面側から見た平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[本開示の実施形態の概要]
以下に列挙する条項を参照して、本開示の実施形態の概要を説明する。なお、本開示は、以下の条項の任意の組み合わせを含む。
【0012】
(条項1)
ペットの胴回りに巻きつけて装着されるペット用吸収性物品であって、長手方向及び短手方向を有する横長形状を有する本体部を備え、本体部は、肌面側に配置された表面シートと、非肌面側に配置された裏面シートと、表面シートと裏面シートとの間に配置された吸収体と、短手方向における吸収体の外側に配置された一対の防漏ギャザーと、を含み、一対の防漏ギャザーのうち少なくとも一方の防漏ギャザーの少なくとも一部分は、表面シートとは異なる色で着色されている、ペット用吸収性物品。
【0013】
上記態様では、防漏ギャザーの少なくとも一部分が表面シートとは異なる色で着色されているので、使用者は防漏ギャザーの位置を容易に認識することができる。これにより、ペットの尿道口と防漏ギャザーとの位置関係を確認しながらペット用吸収性物品を装着することが容易になり、その結果、ペットの尿道口を一対の防漏ギャザーの間に配置することができる。したがって、ペット用吸収性物品を適切な位置に装着しやすくなる。
【0014】
(条項2)
条項1に記載のペット用吸収性物品において、本体部は、短手方向の一方側に配置された前端縁と、短手方向の他方側に配置された後端縁とを有し、一対の防漏ギャザーは、前端縁に沿って設けられた前側防漏ギャザーと、後端縁に沿って設けられた後側防漏ギャザーとを含み、後側防漏ギャザーの少なくとも一部分が表面シートとは異なる色で着色されていてもよい。本態様では、後側防漏ギャザーの少なくとも一部分が表面シートとは異なる色で着色されているので、ペット用吸収性物品の装着時に、使用者が後側防漏ギャザーの位置を認識しやすくなる。したがって、後側防漏ギャザーを適切な位置に配置しやすくなる。
【0015】
(条項3)
条項2に記載のペット用吸収性物品において、前側防漏ギャザー及び後側防漏ギャザーの各々は、表面シート又は裏面シートに部分的に固定されたサイドシートと、短手方向におけるサイドシートの内側縁に沿って配置され、長手方向に伸長された状態でサイドシートに接合された第1弾性部材とを含み、後側防漏ギャザーのサイドシートの少なくとも一部の領域が表面シートと異なる色で着色されていてもよい。サイドシートの少なくとも一部の領域が表面シートと異なる色で着色されることで、ペット用吸収性物品の装着時に後側防漏ギャザーの位置を使用者に容易に認識させることができる。
【0016】
(条項4)
条項3に記載のペット用吸収性物品において、着色された領域の長手方向の長さは、本体部の長手方向の全長の1/4以上であってもよい。着色された領域の長手方向の長さを本体部の長手方向の全長の1/4以上にすることで、着色された領域の長さがペットの胴幅よりも長くなる。したがって、ペット用吸収性物品の装着時に、ペットの上方から着色された領域を視認することができる。したがって、後側防漏ギャザーの位置を使用者に認識させることができる。
【0017】
(条項5)
条項3又は4に記載のペット用吸収性物品において、長手方向において、着色された領域は吸収体を跨ぐように形成されていてもよい。本態様によれば、後側防漏ギャザーの位置を使用者に認識させることができる。
【0018】
(条項6)
条項3~5の何れか一項に記載のペット用吸収性物品において、短手方向におけるサイドシートの内側部分は折り返され、第1弾性部材は、折り返されたサイドシートの間に配置されていてもよい。サイドシートの内側部分が折り返されることで、サイドシートが部分的に二重に重なり、サイドシートの内側縁の色が濃くなる。したがって、後側防漏ギャザーの内側縁の位置をより確実に使用者に認識させることができる。
【0019】
(条項7)
条項3~6の何れか一項に記載のペット用吸収性物品において、裏面シートは、液不透過性の裏面フィルムと、裏面フィルムよりも非肌面側に配置された裏面不織布とを含み、短手方向において裏面フィルムの幅は裏面不織布の幅よりも狭く、着色された領域は、非肌面側から裏面不織布を通して視認可能なように裏面フィルムよりも短手方向の外側に延出していてもよい。本態様では、ペット用吸収性物品の装着時に、本体部の後端縁が捲り返って内側に巻き込まれるとサイドシートの着色された領域が裏面フィルムに隠れて視認できなくなるので、本体部の後端縁が内側に巻き込まれたことを使用者に認識させることができる。したがって、本態様によれば、後端縁の巻き込みによる尿漏れを抑制することができる。
【0020】
(条項8)
条項2~7の何れか一項に記載のペット用吸収性物品において、前側防漏ギャザー及び後側防漏ギャザーの各々は、表面シート又は裏面シートに部分的に固定されたサイドシートと、短手方向におけるサイドシートの内側縁に沿って配置され、長手方向に伸長された状態でサイドシートに接合された第1弾性部材とを含み、後側防漏ギャザーの第1弾性部材は、サイドシートを通して視認可能なように表面シートと異なる色で着色されていてもよい。サイドシート通して視認可能なように第1弾性部材が着色されていることで、ペット用吸収性物品の装着時に、後側防漏ギャザーの内側縁の位置を使用者に認識させることができる。
【0021】
(条項9)
条項3~8の何れか一項に記載のペット用吸収性物品において、第1弾性部材の有効長は、長手方向における本体部の全長の1/4以上であってもよい。第1弾性部材の有効長を本体部の長手方向の全長の1/4以上にすることで、第1弾性部材の有効長がペットの胴幅よりも長くなる。したがって、ペット用吸収性物品の装着時に、着色された第1弾性部材をペットの上方から視認することができるので、後側防漏ギャザーの位置を使用者に認識させることができる。
【0022】
(条項10)
条項3~9の何れか一項に記載のペット用吸収性物品において、短手方向における後側防漏ギャザーのサイドシートの内側縁は、長手方向の全長に亘って表面シートに接合されていなくてもよい。後側防漏ギャザーのサイドシートの内側縁が長手方向の全長に亘って表面シートに接合されないことで、後側防漏ギャザーが短手方向の外側に倒れやすくなる。後側防漏ギャザーが外側に倒れることで、着色された第1弾性部材を視認しやすくなる。
【0023】
(条項11)
条項3~9の何れか一項に記載のペット用吸収性物品において、短手方向における後側防漏ギャザーのサイドシートの内側縁は、長手方向の両端部において短手方向の外側に折り返された状態で表面シートに接合されていてもよい。後側防漏ギャザーのサイドシートの内側縁が長手方向の両端部において短手方向の外側に折り返された状態で表面シートに接合されることで、後側防漏ギャザーが短手方向の外側に倒れやすくなる。後側防漏ギャザーが外側に倒れることで、着色された第1弾性部材を視認しやすくなる。
【0024】
(条項12)
条項3~11の何れか一項に記載のペット用吸収性物品において、サイドシートは、表面シート又は裏面シートに接合された固定部と、短手方向において固定部よりも内側に配置され、固定部の内側縁を起点として起立可能な起立部とを含み、起立した起立部の高さは、短手方向における固定部の内側縁と後端縁との間の幅よりも大きくてもよい。起立部の高さを固定部の内側縁と後端縁との間の幅よりも大きくすることで、起立部が起立した状態でペット用吸収性物品を装着したときに、着色された領域が後端縁よりも外側に延出して、外部から視認可能となる。使用者は、起立部を視認することによりペット用吸収性物品を適切に装着ができたことを確認することができる。したがって、使用者は、起立部を視認することで適切な装着に自信を持ち、尿漏れの不安を解消することができる。
【0025】
(条項13)
条項12に記載のペット用吸収性物品において、裏面シートは、液不透過性の裏面フィルムと、裏面フィルムよりも非肌面側に配置された裏面不織布とを含み、短手方向において裏面フィルムの幅は裏面不織布の幅よりも狭く、起立した起立部の高さは、短手方向における固定部の内側縁と裏面フィルムの外側縁との間の幅よりも大きくてもよい。起立部の高さを短手方向における固定部と裏面フィルムの外側縁との間の幅よりも大きくすることで、ペット用吸収性物品の装着時に外部から起立部を視認することができる。したがって、適切な位置にペット用吸収性物品を装着することができる。
【0026】
(条項14)
条項3~13の何れか一項に記載のペット用吸収性物品において、短手方向において第1弾性部材よりも外側に配置され、本体部の前端縁及び後端縁に沿ってそれぞれ延在する一対の第2弾性部材を更に備え、一対の第2弾性部材のうち後端縁に沿って延在する第2弾性部材は、表面シートと異なる色で着色されていてもよい。本態様では、ペット用吸収性物品を適切に装着したときに着色された第2弾性部材が視認可能となる。一方、本体部の後端縁が内側に巻き込まれると着色された第2弾性部材が隠れて視認できなくなるので、本体部の後端縁が内側に巻き込まれたことを使用者に認識させることができる。
【0027】
(条項15)
条項14に記載のペット用吸収性物品において、裏面シートは、液不透過性の裏面フィルムと、裏面フィルムよりも非肌面側に配置された裏面不織布とを含み、短手方向において裏面フィルムの幅は裏面不織布の幅よりも狭く、一対の第2弾性部材は、裏面不織布を通して非肌面側から視認可能なように、短手方向における裏面フィルムの外側で裏面不織布に接合されていてもよい。本態様では、裏面不織布を通して着色された第2弾性部材を視認することができる。
【0028】
(条項16)
条項2~15の何れか一項に記載のペット用吸収性物品において、後側防漏ギャザーの少なくとも一部分が、外部から視認可能なように折り畳まれた状態で包装体に収容されていてもよい。本態様では、ペット用吸収性物品を広げる前にペット用吸収性物品の前後を使用者に認識させることができる。
【0029】
[本開示の実施形態の例示]
以下、図面を参照しながら本開示の実施形態が詳細に説明される。図面の説明において同一要素には同一符号が付され、重複する説明は省略される。図面は、理解の容易化のために一部を簡略化又は誇張して描いている場合があり、寸法比率は図面に記載のものに限定されない。
【0030】
以下、一実施形態に係るペット用吸収性物品について説明する。図1は、一実施形態に係るペット用吸収性物品1の斜視図である。図2は、ペット用吸収性物品1を肌面側Z1から見た平面図であり、図3は、ペット用吸収性物品1を非肌面側Z2から見た平面図である。図4は、図2のA-A線に沿ったペット用吸収性物品1の断面図である。図5は、図1のB-B線に沿ったペット用吸収性物品1の断面図である。図6は、図2のC-C線に沿ったペット用吸収性物品1の断面図である。図7は、図2のD-D線に沿ったペット用吸収性物品1の断面図である。図1図7に示すペット用吸収性物品1は、ペットの尿を吸収するペット用使い捨ておむつである。
【0031】
図2及び図3では、皺が形成されない状態までペット用吸収性物品1を伸長させた展開状態のペット用吸収性物品1を示している。肌面側Z1とはペット用吸収性物品1を着用状態のときにペットの肌面に向けられる側であり、非肌面側Z2とはペット用吸収性物品1を着用状態のときにペットの肌面とは反対側に向けられる側である。以下の説明では、ペット用吸収性物品1をペットに装着する者を「使用者」という。典型的には、使用者はペットの飼い主である。以下の説明では、特段の説明がない限り展開状態における位置関係について説明する。
【0032】
本明細書において、ペットは、脊椎動物や無脊椎動物を広く包含し、典型的には、犬、猫、ウサギ、ハムスターなどの愛玩動物を含む。ペット用吸収性物品1は、尿道口が後足の付け根よりも前方に位置する雄のペットに特に好適に使用される。図2及び図3に示すように、ペット用吸収性物品1は、ペットの前後方向(頭部と臀部とを結ぶ方向)に沿って配置される短手方向X、及び、ペットの胴回り方向に沿って配置される長手方向Yに延在している。短手方向X及び長手方向Yは互いに垂直な方向である。厚み方向Zは、短手方向X及び長手方向Yに垂直な方向であり、着用状態のときにペットの肌面に向けられる肌面側Z1、及び、着用状態のときにペットの肌面とは反対側に向けられる非肌面側Z2とを含む。ペット用吸収性物品1は、ペットの胴回りに巻きつけて装着される。
【0033】
ペット用吸収性物品1は、本体部2を備えている。本体部2は、短手方向X及び長手方向Yを有する略長方形状(横長形状)の平面形状を有している。本体部2は、短手方向Xの一端側に配置された前端縁3と、短手方向Xの他端側に配置された後端縁4とを有する。ペット用吸収性物品1がペットに装着されたときに、前端縁3はペットの前足側に配置され、後端縁4はペットの後足側に配置される。以下の説明では、短手方向のうち前端縁3に近い方向を前側といい、短手方向のうち後端縁4に近い方向を後側ということがある。また、本体部2は、長手方向Yの一端側に配置された第1側端縁5と、長手方向Yの他端側に配置された第2側端縁6とを有する。
【0034】
図1~6に示すように、本体部2は、表面シート10、裏面シート20、吸収体30、及び、一対の防漏ギャザー40を含んでいる。表面シート10は、本体部2においてペットに当てられる面を構成し、肌面側Z1に配置されている。表面シート10は、例えばペットの尿を吸収体30側に透過させる液透過性を有する。表面シート10は、短手方向Xの略中央に位置している。典型的には、表面シート10は、白色で無地の不織布によって構成される。
【0035】
裏面シート20は、本体部2において着用時に外側に位置する面を構成し、非肌面側Z2に配置されている。裏面シート20は、液不透過性の裏面フィルム21と、裏面フィルム21よりも非肌面側Z2に配置された裏面不織布22とを含んでいる。短手方向Xにおいて、裏面フィルム21の幅は、裏面不織布22の幅よりも狭く、裏面不織布22が裏面フィルム21よりも短手方向Xの両側に延出している。裏面不織布22は、ペット用吸収性物品1の最外層を構成する。
【0036】
吸収体30は、表面シート10と裏面シート20の間に配置されている。吸収体30は、ペットの尿を吸収する。吸収体30は、長手方向Yに延在する略長方形状を呈する。一実施形態では、吸収体30は、吸水性を有するパルプ及び高分子吸収剤(SAP)を含む吸収性コアと、当該吸収性コアの表面を覆うコアラップとを含む。吸収性コアのパルプとしては、例えば、化学パルプ、セルロース繊維、レーヨン、アセテート等のセルロース繊維が利用される。高分子吸収剤としては、例えばデンプン系、アクリル酸系、アミノ酸系の粒子状又は繊維状のポリマーが利用される。典型的には、コアラップは、白色で無地のティッシュ又は不織布によって構成される。なお、コアラップは着色されていてもよい。
【0037】
一対の防漏ギャザー40は、短手方向Xにおいて吸収体30の外側に配置され、吸収体30に排泄されたペットの尿が短手方向Xに漏れることを抑制する。一対の防漏ギャザー40は、肌面側Z1から表面シート10の短手方向Xの両側部を覆うように配置され、長手方向Yにおいて本体部2の全長に亘って長手方向Yに延在している。一対の防漏ギャザー40は、前端縁3に沿って設けられた前側防漏ギャザー41と、後端縁4に沿って設けられた後側防漏ギャザー51とを含む。以下の説明では、特に区別する必要がない場合には、前側防漏ギャザー41及び後側防漏ギャザー51をまとめて防漏ギャザー40と称することがある。
【0038】
一実施形態では、前側防漏ギャザー41は、表面シート10又は裏面シート20に部分的に固定されたサイドシート42と、サイドシート42に接合された第1弾性部材43とを含んでいる。後側防漏ギャザー51は、表面シート10又は裏面シート20に部分的に固定されたサイドシート52と、サイドシート52に接合された第1弾性部材53とを含んでいる。一対のサイドシート42,52の各々は、撥水性又は疎水性を有する不織布によって構成される。例えば、サイドシート42,52は、スパンレース不織布、スパンボンド不織布、サーマルボンド不織布、メルトブローン不織布、SMS不織布、ニードルパンチ不織布、エアスルー不織布等によって構成される。
【0039】
一対のサイドシート42,52の各々は、長手方向Yに長い縦長形状を有し、長手方向Yにおいて本体部2の全長に亘って長手方向Yに延在している。図4図6に示すように、一対の防漏ギャザー40は、裏面フィルム21よりも外側に延出している。より具体的には、短手方向Xにおける前側防漏ギャザー41の外側縁は、短手方向Xにおける裏面不織布22の一方の外側縁に一致しており、当該裏面不織布22の一方の外側縁と共に前端縁3を構成している。短手方向Xにおける後側防漏ギャザー51の外側縁は、短手方向における裏面不織布22の他方の外側縁に一致しており、当該裏面不織布22の他方の外側縁と共に後端縁4を構成している。
【0040】
図5に示すように、サイドシート42,52は、表面シート10又は裏面シート20に接合された固定部45と、表面シート10に対して接合されていない起立部46とを含む。固定部45は、例えばホットメルト接着剤で表面シート10又は裏面シート20に接合される。起立部46は、短手方向Xにおいて固定部45よりも本体部2の内側に配置され、固定部45の内側縁45aを起点として起立可能である。
【0041】
図5に示すように、固定部45の内側縁45aを起点として起立した起立部46の高さHは、短手方向Xにおける内側縁45aと裏面フィルム21の外側縁との間の幅W1よりも大きい。また、起立部46の高さHは、短手方向Xにおける固定部45の内側縁45aと後端縁4との間の幅W2よりも大きい。なお、起立部46の高さHは、内側縁45aを基準とする厚み方向Zの起立部46の最大高さである。
【0042】
図4及び図6に示すように、長手方向Yにおける前側防漏ギャザー41のサイドシート42の内側縁44の両端部は、表面シート10に接合されている。より具体的には、前側防漏ギャザー41のサイドシート42は、第1側端縁5及び第2側端縁6の付近において、短手方向Xの内側に倒れた状態で表面シート10に接合される。長手方向Yにおける前側防漏ギャザー41のサイドシート42の内側縁44の両端部を除く部分は、表面シート10に接合にされていない。長手方向Yにおける前側防漏ギャザー41のサイドシート42の内側縁44の両端部は、長手方向Yにおける当該サイドシート42の起立支点となる。上記のように、長手方向Yにおける前側防漏ギャザー41のサイドシート42の内側縁44の両端部が短手方向Xの内側に倒れた状態で表面シート10に接合されることで、展開状態のときに前側防漏ギャザー41のサイドシート42が、短手方向Xの内側に倒れた状態になる。
【0043】
一方、後側防漏ギャザー51のサイドシート52の内側縁54は、長手方向Yの全長に亘って表面シート10に接合されていない。後側防漏ギャザー51のサイドシート52の内側縁54が長手方向Yの全長に亘って表面シート10に接合されないことで、図2、4、6に示すように、展開状態のときに後側防漏ギャザー51のサイドシート52が、短手方向Xの外側に倒れた状態になる。サイドシート52が外側に倒れることで、短手方向Xにおける一対の防漏ギャザー40の内側縁44,54の間の距離が長くなり、ペットの尿道口を配置する領域が広げられる。したがって、ペット用吸収性物品1を適切な位置に装着しやすくなり、尿漏れを抑制することができる。また、展開状態のときに後側防漏ギャザー51が外倒しになることで、後側防漏ギャザー51のサイドシート52の内側縁54が後端縁4に近づけられるので、後足の近くに尿道口があるペットにもペット用吸収性物品1を装着しやすくなる。
【0044】
また、上記のように、展開状態のときに、前側防漏ギャザー41が短手方向Xの内側に倒れ、後側防漏ギャザー51が短手方向Xの外側に倒れるように構成されている。使用者は、この構成の違いに基づいて、ペット用吸収性物品1の前後の向きを容易に認識することができる。その結果、ペット用吸収性物品1を装着する向きを容易に理解することができ、使用者に安心感を与えることができる。
【0045】
図5に示すように、短手方向Xにおけるサイドシート42,52の内側部分は折り返されており、折り返されたサイドシート42,52の間には第1弾性部材43,53がそれぞれ配置されている。したがって、図2に示すように、前側防漏ギャザー41の第1弾性部材43は、サイドシート42の内側縁44に沿って配置され、後側防漏ギャザー51の第1弾性部材53は、サイドシート52の内側縁54に沿って配置されている。第1弾性部材43,53は、長手方向Yに伸長された状態でサイドシート42,52にそれぞれ接合されている。第1弾性部材43,53は、例えば長さ方向に収縮可能なゴム又はスパンデックス等の伸縮性材料によって構成されている。
【0046】
第1弾性部材43,53の有効長は、長手方向Yにおける本体部2の全長の1/4以上、又は、1/2以上であってもよい。有効長とは第1弾性部材43,53のうち実際に収縮する部分の展開状態での長さである。図2に示すように、第1弾性部材43,53の両端部は、長手方向Yにおいて吸収体30の外側に配置されている。すなわち、第1弾性部材43,53は、長手方向において吸収体30を跨ぐように形成されている。サイドシート42,52の起立部46は、第1弾性部材43,53が長手方向Yに収縮することで、吸収体30の短手方向Xの外側で固定部45の内側縁45aを起点に起立する。一対の防漏ギャザー40の起立部46が起立することにより、ペットの尿が表面シート10の表面を伝って漏れることが防止される。
【0047】
一対の防漏ギャザー40の一方又は双方の少なくとも一部分は、表面シート10とは異なる色で着色されている。例えば、一対の防漏ギャザー40のうち一方の防漏ギャザーのみが着色され、一対の防漏ギャザー40のうち他方の防漏ギャザーは着色されていなくてもよい。図2に示す実施形態では、一対の防漏ギャザー40のうち後側防漏ギャザー51のサイドシート52が表面シート10とは異なる色で着色されている。すなわち、ペット用吸収性物品1では、一対の防漏ギャザー40のうち後側防漏ギャザー51のサイドシート52のみが着色され、前側防漏ギャザー41のサイドシート42は着色されていない。なお、着色とは、顔料又は染料等の着色剤を用いて一対の防漏ギャザー40の一部又は全体に所望の色を付与することを意味する。異なる色とは、目視で区別できる程度に明度、彩度又は色相が異なる色を意味する。より具体的には、JISZ8729等に規定されるCIE1976色空間に基づいて数値化された色差が、1.5以上又は3.0以上である場合に異なる色であるものとする。
【0048】
サイドシート52の着色された領域は、図2において斜線で網掛けされた領域である。すなわち、図2に示す実施形態では、後側防漏ギャザー51のサイドシート52の全域が着色されている。着色されたサイドシート52は、裏面フィルム21よりも短手方向Xの外側に延出しているため、裏面不織布22を通して非肌面側Z2から視認可能である。着色されたサイドシート52が裏面不織布22を通して視認可能であることで、ペット用吸収性物品1が折り畳まれた状態でもサイドシート52を視認することができる。その結果、ペット用吸収性物品1を広げる前にペット用吸収性物品1の前後の向きを把握することができる。したがって、ペット用吸収性物品1をスムーズにペットに装着することができる。
【0049】
ところで、ペット用吸収性物品1をペットに装着するときに、本体部2の後端縁4が捲れ返って内側に巻き込まれると、後側防漏ギャザー51が裏面不織布22に覆われて、後側防漏ギャザー51の起立を阻害することがある。後側防漏ギャザー51が適切に起立していないと、その部分から尿漏れが発生することがある。上記のように、着色されたサイドシート52を裏面不織布22を通して視認できるようにすることで、使用者は後側防漏ギャザー51が起立していることを外部から視認することができるので、ペット用吸収性物品1を適切に着用できたか否かを確認することができる。したがって、使用者の尿漏れの不安を抑制することができる。なお、吸収体30のコアラップが着色されている場合には、サイドシート52はコアラップとも異なる色を有していてもよい。表面シート10と吸収体30との間に中間シート等の別のシート部材が設けられている場合には、サイドシート52は当該別のシート部材とも異なる色を有していてもよい。
【0050】
表面シート10とサイドシート52とが同じ色であると、目視で表面シート10とサイドシート52とを区別しにくく、ペット用吸収性物品1の装着時に、使用者が後側防漏ギャザー51の位置を認識しにくい。これに対し、後側防漏ギャザー51のサイドシート52が表面シート10とは異なる色で着色されることで、後側防漏ギャザー51の位置を容易に認識することが可能となる。表面シート10とサイドシート52とを区別しやすくするために、サイドシート52は、赤、青又は緑等の目立つ色で着色されていてもよい。
【0051】
上述したように、短手方向Xにおけるサイドシート52の内側部分は折り返されているので、サイドシート52には、一重の領域と、当該一重の領域よりも内側縁54側に配置された二重の領域とが形成される。この二重の領域は、一重の領域よりも色が濃くなる。したがって、使用者は、一重の領域と二重の領域との色の違いから後側防漏ギャザー51の内側縁54の位置を把握することができる。
【0052】
ペット用吸収性物品1は、一対の第2弾性部材61,62及びフックテープ63を更に備えている。一対の第2弾性部材61,62は、例えば長さ方向に収縮可能なゴム又はスパンデックス等の伸縮性材料によって構成されている。第2弾性部材61は、第1弾性部材43よりも前側に配置され、本体部2の前端縁3に沿って長手方向Yに延在している。第2弾性部材62は、第1弾性部材53よりも後側に配置され、本体部2の後端縁4に沿って長手方向Yに延在している。より具体的には、図5に示すように、一対の第2弾性部材61,62は、短手方向Xにおける裏面フィルム21の外側において、一対の防漏ギャザー40と裏面不織布22との間にそれぞれ配置され、長手方向Yに伸長された状態で本体部2に接合されている。一対の第2弾性部材61,62は、本体部2の全長に亘って設けられていてもよい。
【0053】
図1図3に示すように、フックテープ63は、短手方向Xに長い長方形状を有し、本体部2の第1側端縁5に近接して配置されている。フックテープ63は、本体部2の非肌面側Z2に配置されている。フックテープ63は、例えばメカニカルファスナであり、肌面側Z1から表面シート10に係合可能である。
【0054】
次に、図8図11を参照して、ペット用吸収性物品1をペットに装着する手順について説明する。ペット用吸収性物品1をペットに装着する際には、まず図8に示すように、使用者は、ペット用吸収性物品1の第1側端縁5をペットの背中に押し当てて、第1側端縁5の付近を片手で押さえる。次に、使用者は、ペット用吸収性物品1の第2側端縁6の付近をもう一方の手で持ち、ペット用吸収性物品1をペットの腹部を覆うように巻きつける。
【0055】
このとき、前側防漏ギャザー41が、尿道口よりもペットの前方に配置され、後側防漏ギャザー51は、尿道口よりもペットの後方に配置されるように、ペット用吸収性物品1が装着される。例えば、雄のペットにペット用吸収性物品1を装着する場合には、ペニスの先端(尿道口)が一対の防漏ギャザー40の間に配置されることが重要である。より具体的には、図9に示すように、ペットのペニス71の根元と睾丸72との間の領域73に後側防漏ギャザー51の内側縁54が配置されることが好ましい。この位置に後側防漏ギャザー51を配置することで、後側防漏ギャザー51の位置が安定し、ずれにくくなる。使用者は、適切な位置にペット用吸収性物品1を装着するために、ペットの性器の位置を側方から覗き込みながらペット用吸収性物品1を装着する。このとき、ペット用吸収性物品1の表面シート10及び後側防漏ギャザー51のサイドシート52が同じ色であると、後側防漏ギャザー51の内側縁54の位置を認識しにくく、ペット用吸収性物品1を適切な位置に装着することが容易でない。これに対し、ペット用吸収性物品1では、後側防漏ギャザー51のサイドシート52が表面シート10とは異なる色で着色されているので、後側防漏ギャザー51の位置を容易に認識することができる。したがって、ペットの性器と後側防漏ギャザー51との位置関係を確認しながら、ペット用吸収性物品1を適切な位置に装着することができる。
【0056】
次に、使用者は、図10に示すように、ペット用吸収性物品1がペットの胴回りに密着するように第2側端縁6を上方に引き上げた後に、図11に示すように、第2側端縁6の近傍で表面シート10をフックテープ63に係合させる。これにより、ペット用吸収性物品1が適切な位置でペットに装着される。
【0057】
なお一実施形態では、図12に示すように、後側防漏ギャザー51のサイドシート52の一部分のみが表面シート10と異なる色に着色されていてもよい。図12に示す実施形態では、サイドシート52のうち着色された領域は、長手方向Yにおいて、本体部2の長手方向Yの全長Lの1/4以上、又は、1/2以上の長さL1を有し、吸収体30を跨ぐように形成されている。着色された領域の長手方向Yの長さを本体部2の長手方向Yの全長Lの1/4以上にすることで、着色された領域の長さL1がペットの胴幅よりも長くなる。したがって、使用者がペット用吸収性物品1を着用する際に、背側(上側)からサイドシート52の着色された領域を視認することができる。これにより、サイドシート52の内側縁54の位置を容易に確認することができ、その結果、尿道口に対して後側防漏ギャザー51が適切な位置に配置されているか否かを容易に認識することができる。なお、サイドシート52の着色された領域の面積は、サイドシート52全体の面積に対して1/4以上、1/2以上、又は、3/4以上であってもよい。
【0058】
以上説明したように、ペット用吸収性物品1では、後側防漏ギャザー51のサイドシート52の少なくとも一部分が表面シート10とは異なる色で着色されているので、使用者が後側防漏ギャザー51の位置を認識しやすくなる。したがって、ペットの尿道口が一対の防漏ギャザー40の間に配置されるように、ペットの尿道口と後側防漏ギャザー51との位置関係を確認しながらペット用吸収性物品1を装着することができる。よって、ペット用吸収性物品1を適切な位置に装着することができる。
【0059】
上記のように一対の防漏ギャザー40の構成が異なる場合、具体的には、展開状態のときに前側防漏ギャザー41のサイドシート42が短手方向Xの内側に倒れ、後側防漏ギャザー51のサイドシート52が短手方向Xの外側に倒れる構成とした場合には、ペット用吸収性物品1の前後を正しい向きで装着することが必要である。これに対して、ペット用吸収性物品1では、後側防漏ギャザー51が着色され、前側防漏ギャザー41が着色されていないので、ペット用吸収性物品1の前後の向きを容易に把握することが可能である。
【0060】
次に、別の実施形態に係るペット用吸収性物品について説明する。図13は、別の実施形態に係るペット用吸収性物品1Aを肌面側Z1から見た平面図である。図13に示すペット用吸収性物品1Aは、後側防漏ギャザー51の第1弾性部材53が表面シート10と異なる色で着色されている点で図1に示すペット用吸収性物品1と相違する。以下の説明では、上述したペット用吸収性物品1との相違点について主に説明し、重複する説明は省略する。
【0061】
ペット用吸収性物品1Aでは、後側防漏ギャザー51のサイドシート52は着色されておらず、表面シート10と同系色を有している。一方、後側防漏ギャザー51の第1弾性部材53は、サイドシート52を通して視認可能なように表面シート10と異なる色で着色されている。後側防漏ギャザー51の第1弾性部材53は、サイドシート52の内側縁54に沿って延在しているので、着色された第1弾性部材53をサイドシート52を通して視認できれば、後側防漏ギャザー51の内側縁54の位置を認識することが可能となる。図2に示すペット用吸収性物品1と同様に、ペット用吸収性物品1Aでは、ペットの性器と後側防漏ギャザー51の内側縁54との位置関係を容易に認識することができるので、ペット用吸収性物品1を適切な位置に装着することができる。
【0062】
上述したように、第1弾性部材53の有効長は、長手方向Yにおける本体部2の全長の1/4以上であるので、着色された第1弾性部材53の長さはペットの胴幅よりも長い。したがって、ペット用吸収性物品1Aを着用する際に、使用者が背側(上側)から着色された第1弾性部材53を視認することができる。その結果、尿道口に対して後側防漏ギャザー51が適切な位置に配置されているか否かを容易に認識することができる。
【0063】
一実施形態では、後端縁4に沿って延在する第2弾性部材62は、裏面不織布22を通して肌面側Z1又は非肌面側Z2から視認可能なように、表面シート10と異なる色で着色されていてもよい。ペット用吸収性物品1Aをペットに装着するときに、本体部2の後端縁4が捲れ返って内側に巻き込まれると、その巻き込まれた部分から尿漏れが発生することがある。第2弾性部材62がサイドシート52と異なる色で着色されていると、本体部2の後端縁4が内側に巻き込まれたときに、着色された第2弾性部材62が裏面フィルム21に隠れて見えなくなる。これにより、使用者は、本体部2の後端縁4が内側に巻き込まれたことを認識することができる。よって、ペット用吸収性物品1Aを適切に装着することができる。
【0064】
以上、種々の実施形態に係るペット用吸収性物品について説明してきたが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく発明の要旨を変更しない範囲で種々の変形態様を構成可能である。すなわち、上述した実施形態は例示説明を目的とするものであり、本発明の範囲を制限するものではないことに留意すべきである。
【0065】
例えば、上述した実施形態では、後側防漏ギャザー51のサイドシート52又は第1弾性部材53のみが着色されているが、前側防漏ギャザー41のサイドシート42又は第1弾性部材43と、後側防漏ギャザー51のサイドシート52又は第1弾性部材53との双方が表面シート10とは異なる色で着色されていてもよい。また、一実施形態では、後側防漏ギャザー51のサイドシート52又は第1弾性部材53が着色されず、前側防漏ギャザー41のサイドシート42又は第1弾性部材43が表面シート10とは異なる色で着色されていてもよい。この場合でも前側防漏ギャザー41の位置を認識しやすくなるので、使用者はペット用吸収性物品1,1Aの装着時にペットの尿道口と前側防漏ギャザー41との位置関係を認識しやすくなる。したがって、ペット用吸収性物品1,1Aを適切な位置に装着することができる。
【0066】
図2に示す実施形態では、後側防漏ギャザー51のサイドシート52の内側縁54が、長手方向Yの全長に亘って表面シート10に接合されていないが、一実施形態では、短手方向Xにおける後側防漏ギャザー51のサイドシート52の内側縁54は、長手方向Yの両端部において短手方向Xの外側に折り返された状態で表面シート10に接合されていてもよい。後側防漏ギャザー51のサイドシート52の内側縁54の両端部を外側に折り返された状態で表面シート10に接合することで、展開状態のときに後側防漏ギャザー51のサイドシート52が、短手方向Xの外側に倒れやすくなる。
【0067】
ペット用吸収性物品1,1Aは、後側防漏ギャザー51のサイドシート52又は第1弾性部材53が着色されており、着色されたサイドシート52又は第1弾性部材53が、外部から視認可能なように折り畳まれた状態で包装体に収容されていてもよい。着色された部分が外部から視認可能なように折り畳まれることで、ペット用吸収性物品1,1Aを広げる前にペット用吸収性物品1,1Aの前後を使用者に認識させることができる。したがって、包装体から取り出したペット用吸収性物品1,1Aをペットに適切な向きでスムーズに装着することができる。上述した種々の実施形態は、矛盾のない範囲で組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0068】
1,1A…ペット用吸収性物品、2…本体部、3…前端縁、4…後端縁、10…表面シート、20…裏面シート、21…裏面フィルム、22…裏面不織布、30…吸収体、40…防漏ギャザー、41…前側防漏ギャザー、42,52…サイドシート、43,53…第1弾性部材、44,54…内側縁、45…固定部、46…起立部、51…後側防漏ギャザー、61,62…第2弾性部材、X…短手方向、Y…長手方向、Z1…肌面側、Z2…非肌面側。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13