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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024071822
(43)【公開日】2024-05-27
(54)【発明の名称】ヘッドユニット、液体を吐出する装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20240520BHJP
   B41J 2/14 20060101ALI20240520BHJP
【FI】
B41J2/01 301
B41J2/14 611
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022182255
(22)【出願日】2022-11-15
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】230100631
【弁護士】
【氏名又は名称】稲元 富保
(72)【発明者】
【氏名】藤川 尚希
【テーマコード(参考)】
2C056
2C057
【Fターム(参考)】
2C056EA18
2C056HA05
2C056HA06
2C056HA09
2C056HA15
2C056HA51
2C056HA52
2C057AF53
2C057AG14
2C057AG65
2C057AG81
2C057AG96
2C057AP25
(57)【要約】
【課題】接合界面からの液体の侵入を抑制するヘッドユニット、液体を吐出する装置を提供する。
【解決手段】ヘッド101のフレーム部材170とカバー部材102とは接着剤107で接合し、フレーム部材170の外側面には、カバー部材102と接合する接合面170aの側方に、接合面170aに対して後退する段差部170bを形成し、カバー部材102の外側面には、フレーム部材170と接合する接合面102aの側方に、接合面102aに対して後退する段差部102bを形成して、フレーム部材170とカバー部材102との接合界面(接着剤107による接合部分)の外側方に接合界面が臨む第1の溝部201を形成し、第1の溝部201内にフレーム部材170とカバー部材102との接合界面を覆うように弾性体108を設けている。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出するヘッドと、
前記ヘッドのフレーム部材に取付けたカバー部材と、を備え、
前記フレーム部材と前記カバー部材とは接着剤で接合され、
前記フレーム部材と前記カバー部材との間には、前記フレーム部材と前記カバー部材との接合界面が臨む第1の溝部が形成されており、
前記第1の溝部内に前記接合界面を覆うように弾性体が設けられている
ことを特徴とするヘッドユニット。
【請求項2】
液体を吐出するヘッドと、
前記ヘッドのフレーム部材に取付けたカバー部材と、
前記カバー部材に取り付けた放熱部材と、を備え、
前記カバー部材と前記放熱部材とは接着剤で接合され、
前記カバー部材と前記放熱部材との間に、前記カバー部材と前記放熱部材との接合界面が臨む第2の溝部が形成され、
前記第2の溝部内に前記接合界面を覆うように弾性体が設けられている
ことを特徴とするヘッドユニット。
【請求項3】
液体を吐出するヘッドと、
前記ヘッドのフレーム部材に取付けたカバー部材と、
前記カバー部材に取り付けた放熱部材と、を備え、
発熱を生じる部品が実装された電装部を覆うカバー部材と、
前記フレーム部材と前記カバー部材とは接着剤で接合され、
前記フレーム部材と前記カバー部材との間には、前記フレーム部材と前記カバー部材との接合界面が臨む第1の溝部が形成されており、
前記第1の溝部内に前記接合界面を覆うように弾性体が設けられ、
前記カバー部材と前記放熱部材とは接着剤で接合され、
前記カバー部材と前記放熱部材との間に、前記カバー部材と前記放熱部材との接合界面が臨む第2の溝部が形成され、
前記第2の溝部内に前記接合界面を覆うように弾性体が設けられている
ことを特徴とするヘッドユニット。
【請求項4】
前記弾性体は、弾性接着剤である
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のヘッドユニット。
【請求項5】
前記弾性接着剤は、シリコーン系接着剤である
ことを特徴とする請求項4に記載のヘッドユニット。
【請求項6】
請求項1ないし7のいずれかに記載のヘッドユニットを備えている
ことを特徴とする液体を吐出する装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はヘッドユニット、液体を吐出する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体を吐出するヘッドの電気電装部品をカバー部材で保護したヘッドユニットが知られている。
【0003】
従来、流路部材に設けた溝内にカバー部材を立設し、封止部材によってカバー部材と流路部材とを封止する液体吐出ヘッドが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】WO2020/110909
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、例えば、ヘッドのフレーム部材とカバー部材、あるいは、カバー部材と放熱部材とを接着剤接合したとき、経時的に、環境温湿度変化などによって接合界面に隙間が発生し、カバー部材などに付着した液体が隙間からカバー内部に侵入することがあるという課題が生じる。
【0006】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、接合界面からの液体の侵入を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明の請求項1に係るヘッドユニットは、
液体を吐出するヘッドと、
前記ヘッドのフレーム部材に取付けたカバー部材と、を備え、
前記フレーム部材と前記カバー部材とは接着剤で接合され、
前記フレーム部材と前記カバー部材との間には、前記フレーム部材と前記カバー部材との接合界面が臨む第1溝部が形成されており、
前記第1溝部内に前記接合界面を覆うように弾性体が設けられている
構成とした。
【0008】
本発明によれば、接合界面からの液体の侵入を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1実施形態に係るヘッドユニットの外観正面説明図である。
図2】同じく外観側面説明図である。
図3】同ヘッドユニットの側断面説明図である。
図4】同実施形態におけるフレーム部材、カバー部材及びヒートシンクの接合の説明に供する図3の要部拡大説明図である。
図5図4の要部拡大説明図である。
図6図5の要部拡大説明図である。
図7】本発明の第2実施形態に係るヘッドユニットの図6と同様な要部断面説明図である。
図8】本発明の第3実施形態に係るヘッドユニットの図6と同様な要部断面説明図である。
図9】本発明の第4実施形態に係る液体を吐出する装置としての印刷装置の概略説明図である。
図10】吐出ユニットの一例をノズル面側から見た平面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。本発明の第1実施形態について図1ないし図3を参照して説明する。図1は同実施形態に係るヘッドユニットの外観正面説明図、図2は同じく外観側面説明図、図3は同ヘッドユニットの側断面説明図である。
【0011】
ヘッドユニット100は、液体を吐出するヘッド101と、カバー部材102と、放熱部材としてのヒートシンク103などを備えている。
【0012】
ヘッド101は、ノズル板110と、流路板120、振動板部材130、圧電素子140を含むアクチュエータ基板106と、フレーム部材170とを備えている。
【0013】
ノズル板110には液体を吐出する複数のノズル111が形成されている。本実施形態では、複数のノズル111を配列したノズル列を4列有している。
【0014】
流路板120は、ノズル111に通じる圧力室121などの流路を形成している。振動板部材130は、圧力室121の復元可能に変形可能な壁面を形成している。圧電素子140は、ベース部材141に固定され、先端部は振動板部材130の圧力室121とは反対側の面に接合固定されている。
【0015】
フレーム部材170は、共通流路部材を兼ねる筐体部であって、圧力室121に通じる共通流路171を形成している。フレーム部材170は、例えばSUS304で形成している。
【0016】
フレーム部材170には、液体を吐出させるための制御機構を含む電気電装部となるPCB基板180が設けられている。
【0017】
このヘッド101のフレーム部材170にはPCB基板180や圧電素子140を覆うカバー部材102に取り付けられている。カバー部材102は、例えば、PPT樹脂で形成できる。
【0018】
カバー部材102の内部には、中継基板1811が配置され、中継基板181に設けた中継部182とPCB基板180とが配線部材183を介して接続されている。また、中継基板181と各圧電素子140とがフレキシブル配線基板などの配線部材142を介して接続されて、PCB基板180と各圧電素子140が接続される。
【0019】
カバー部材102には放熱部材としてのヒートシンク103が取り付けられている。ヒートシンク103は、金属部材、高熱伝導度ポリカーボネイト樹脂などの樹脂で形成できる。
【0020】
次に、本実施形態におけるフレーム部材、カバー部材及びヒートシンクの接合について図4ないし図6も参照して説明する。図4図3の要部拡大説明図、図5図4の要部拡大説明図、図6図5の要部拡大説明図である。
【0021】
フレーム部材170とカバー部材102とは接着剤107で接合している。
【0022】
フレーム部材170の外側面には、カバー部材102と接合する接合面170aの側方に、接合面170aに対して後退する段差部170bを形成している。同様に、カバー部材102の外側面には、フレーム部材170と接合する接合面102aの側方に、接合面102aに対して後退する段差部102bを形成している。
【0023】
これにより、フレーム部材170とカバー部材102との接合界面(接着剤107による接合部分)の外側方に接合界面が臨む第1溝部201を形成している。言い換えれば、フレーム部材170の接合面170a及びカバー部材102の接合面102aは、いずれも第1溝部201に臨んでいる。
【0024】
そして、この第1溝部201内にフレーム部材170とカバー部材102との接合界面を覆うように弾性体108を設けている。弾性体108としては、弾性接着剤、例えばシリコーン樹脂接着剤を使用する。
【0025】
このように、フレーム部材170とカバー部材102との接合界面の側方に接合界面が臨む第1溝部201を形成し、第1溝部201内にフレーム部材170とカバー部材102との接合界面を覆うように弾性体108を設けている。
【0026】
これにより、フレーム部材170とカバー部材102との接合系面に隙間が生じたような場合でも弾性体108によって隙間が塞がれた状態に維持されるので、液体が隙間からヘッド100内に侵入することが抑制される。
【0027】
つまり、フレーム部材170とカバー部材102との接合界面には、環境温湿度などによって経時的に隙間が生じることがある。特に、フレーム部材170とカバー部材102とが異種材料であるような場合、例えばフレーム部材170が金属部材で、カバー部材102が樹脂部材のような場合には線膨張係数の差によって、経時的に、より隙間を生じ易くなる。このような隙間が生じた場合でも、弾性体108が隙間を塞いでいるので、ミストなどによる液体が隙間に侵入することを防止できる。
【0028】
カバー部材102とヒートシンク103も接着剤107で接合している。
【0029】
カバー部材102の外側面には、ヒートシンク103と接合する接合面102cの側方に接合面102cに対して後退する段差部102dを形成している。同様に、ヒートシンク103の外側面には、凸状部103bを設けて、カバー部材102と接合する接合面103aの側方に接合面103aに対して後退する段差部103cを形成している。
【0030】
これにより、カバー部材102とヒートシンク103との接合界面(接着剤107による接合部分)の側方に接合界面が臨む第2溝部202を形成している。言い換えれば、カバー部材102の接合面102a及びヒートシンク103の接合面103aは、いずれも第2溝部201に臨んでいる。
【0031】
そして、この第2溝部202内にカバー部材102とヒートシンク103との接合界面を覆うように弾性体108を設けている。弾性体108としては、弾性接着剤、例えばシリコーン系接着剤を使用する。
【0032】
つまり、本実施形態では、液体を吐出するヘッドと、ヘッドのフレーム部材に取付けたカバー部材と、カバー部材に取り付けた放熱部材と、を備え、発熱を生じる部品が実装された電装部を覆うカバー部材と、フレーム部材とカバー部材とは接着剤で接合され、フレーム部材とカバー部材との間には、フレーム部材とカバー部材との接合界面が臨む第1溝部が形成されており、第1溝部内に接合界面を覆うように弾性体が設けられ、カバー部材と放熱部材とは接着剤で接合され、カバー部材と放熱部材との間に、カバー部材と放熱部材との接合界面が臨む第2溝部が形成され、第2溝部内に接合界面を覆うように弾性体が設けられているヘッドユニットを構成したものである。
【0033】
このように、カバー部材102とヒートシンク103との接合界面の側方に接合界面が臨む第2溝部202を形成し、第2溝部202内にカバー部材102とヒートシンク103との接合界面を覆うように弾性体108を設けている。
【0034】
これにより、カバー部材102とヒートシンク103との接合系面に隙間が生じたような場合でも弾性体108によって隙間が塞がれた状態に維持されるので、液体が隙間からカバー部材102内に侵入することが抑制される。
【0035】
つまり、カバー部材102とヒートシンク103との接合界面には、環境温湿度などによって経時的に隙間が生じることがある。特に、カバー部材102とヒートシンク103とが異種材料であるような場合、例えばカバー部材102が樹脂部材で、ヒートシンク103が金属部材のような場合には線膨張係数の差によって、経時的に、より隙間を生じ易くなる。このような隙間が生じた場合でも、弾性体108が隙間を塞いでいるので、ミストなどによる液体が隙間に侵入することを防止できる。
【0036】
次に、本発明の第2実施形態について図7を参照して説明する。図7は同実施形態に係るヘッドユニットの図6と同様な要部断面説明図である。
【0037】
本実施形態では、前記第1実施形態と同様に、フレーム部材170とカバー部材102との接合界面が臨む第1溝部201を設けて、第1溝部201内に弾性体108を設けている。弾性体108としては、弾性接着剤、例えばシリコーン系接着剤を使用する。
【0038】
これに対し、カバー部材102とヒートシンク103との接合界面が臨む第2溝部202は設けていない。
【0039】
つまり、本実施形態は、液体を吐出するヘッドと、ヘッドのフレーム部材に取付けたカバー部材と、カバー部材に取り付けた放熱部材と、を備え、カバー部材と放熱部材とは接着剤で接合され、カバー部材と放熱部材との間に、カバー部材と放熱部材との接合界面が臨む第2溝部が形成され、第2溝部内に接合界面を覆うように弾性体が設けられているヘッドユニットを構成したものである。
【0040】
例えば、フレーム部材170とカバー部材102とが異種材料であるが、カバー部材102とヒートシンク103が同種材料であるような場合がある。この場合、カバー部材102とヒートシンク103との接合界面における経時的な隙間の発生は、異種材料の場合に比べて抑制される。
【0041】
したがって、このような場合には、フレーム部材170とカバー部材102との接合界面が臨む第1溝部201を設けて弾性体108を設けることで、ヘッドユニット100内部への液体の侵入を抑制できる。
【0042】
次に、本発明の第3実施形態について図8を参照して説明する。図8は同実施形態に係るヘッドユニットの図6と同様な要部断面説明図である。
【0043】
本実施形態では、前記第1実施形態と同様に、カバー部材102とヒートシンク103との接合界面が臨む第2溝部202は設け、第2溝部202内に弾性体108を設けている。弾性体108としては、弾性接着剤、例えばシリコーン系接着剤を使用する。
【0044】
これに対し、フレーム部材170とカバー部材102との接合界面が臨む第1溝部201は設けていない。
【0045】
つまり、本実施形態は、液体を吐出するヘッドと、ヘッドのフレーム部材に取付けたカバー部材と、カバー部材に取り付けた放熱部材と、を備え、カバー部材と放熱部材とは接着剤で接合され、カバー部材と放熱部材との間に、カバー部材と放熱部材との接合界面が臨む第2溝部が形成され、第2溝部内に接合界面を覆うように弾性体が設けられているヘッドユニットを構成したものである。
【0046】
例えば、フレーム部材170とカバー部材102とが同種材料であるが、カバー部材102とヒートシンク103が異種材料であるような場合がある。この場合、フレーム部材170とカバー部材102との接合界面における経時的な隙間の発生は、異種材料の場合に比べて抑制される。
【0047】
したがって、このような場合には、カバー部材102とヒートシンク103との接合界面が臨む第2溝部201を設けて弾性体108を設けることで、ヘッドユニット100内部への液体の侵入を抑制できる。
【0048】
次に、本発明の第4実施形態について図9及び図10を参照して説明する。図9は同実施形態に係る液体を吐出する装置としての印刷装置の概略説明図、図10は同印刷装置の吐出ユニットをノズル面側から見た平面説明図である。
【0049】
印刷装置1は、シート材Pを搬入する搬入部10と、前処理部20と、印刷部30と、乾燥部40と、搬出部50と、反転機構部60を備えている。印刷装置1は、搬入部10から搬入(供給)されるシート材Pに対し、前処理手段である前処理部20で必要に応じて前処理液を付与(塗布)し、印刷部30で液体を付与して所要の印刷を行い、乾燥部40でシート材Pに付着した液体を乾燥させた後、シート材Pを搬出部50に排出する。
【0050】
搬入部10は、複数のシート材Pを収容する搬入トレイ11(下段搬入トレイ11A、上段搬入トレイ11B)と、搬入トレイ11からシート材Pを1枚ずつ分離して送り出す給送装置12(12A、12B)とを備え、シート材Pを前処理部20に供給する。
【0051】
前処理部20は、例えばインクの色材を凝集させ、裏写りを防止する作用効果を有する処理液をシート材Pの印刷面に付与する処理液付与手段である塗布部21などを備えている。
【0052】
印刷部30は、シート材Pを周面に担持して回転する担持部材(回転体)であるドラム31と、ドラム31に担持されたシート材Pに向けて液体を吐出する液体吐出部32を備えている。
【0053】
また、印刷部30は、前処理部20から送り込まれたシート材Pを受け取ってドラム31との間でシート材Pを渡す渡し胴34と、ドラム31によって搬送されたシート材Pを受け取って乾燥部40に渡す受け渡し胴35を備えている。
【0054】
前処理部20から印刷部30へ搬送されてきたシート材Pは、渡し胴34に設けられた把持手段(シートグリッパ)によって先端が把持され、渡し胴34の回転に伴って搬送される。渡し胴34により搬送されたシート材Pは、ドラム31との対向位置でドラム31へ受け渡される。
【0055】
ドラム31の表面にも把持手段(シートグリッパ)が設けられており、シート材Pの先端が把持手段(シートグリッパ)によって把持される。ドラム31の表面には、複数の吸引穴が分散して形成され、吸引手段によってドラム31の所要の吸引穴から内側へ向かう吸い込み気流を発生させる。
【0056】
そして、渡し胴34からドラム31へ受け渡されたシート材Pは、シートグリッパによって先端が把持されるとともに、吸引手段による吸い込み気流によってドラム31上に吸着担持され、ドラム31の回転に伴って搬送される。
【0057】
液体吐出部32は、液体吐出手段である吐出ユニット33(33A~33D)を備えている。例えば、吐出ユニット33Aはシアン(C)の液体を、吐出ユニット33Bはマゼンタ(M)の液体を、吐出ユニット33Cはイエロー(Y)の液体を、吐出ユニット33Dはブラック(K)の液体を、それぞれ吐出する。また、その他、白色、金色(銀色)などの特殊な液体の吐出を行う吐出ユニットを使用することもできる。
【0058】
吐出ユニット33は、前記第1実施形態ないし第3実施形態のいずれかの複数のヘッドユニット100を千鳥状にヘッド取付け部材302に並べて配置したものである。各ヘッドユニット100のヘッド101は、液体を吐出する複数のノズル111が配列されたノズル列を複数列(ここでは4列を例にしているが、限定されない。)有している。
【0059】
液体吐出部32の各吐出ユニット33は、印刷情報に応じた駆動信号によりそれぞれ吐出動作が制御される。ドラム31に担持されたシート材Pが液体吐出部32との対向領域を通過するときに、吐出ユニット33から各色の液体が吐出され、当該印刷情報に応じた画像が印刷される。
【0060】
乾燥部40は、印刷部30でシート材P上に付着した液体を乾燥させる。これにより、液体中の水分等の液分が蒸発し、シート材P上に液体中に含まれる着色剤が定着し、また、シート材Pのカールが抑制される。
【0061】
反転機構部60は、乾燥部40を通過したシート材Pに対して両面印刷を行うときに、スイッチバック方式で、シート材Pを反転する機構であり、反転されたシート材Pは印刷部30の搬送経路61を通じて渡し胴34よりも上流側に逆送される。
【0062】
搬出部50は、複数のシート材Pが積載される搬出トレイ51を備えている。反転機構部60から搬送されてくるシート材Pは、搬出トレイ51上に順次積み重ねられて保持される。
【0063】
本願において、吐出される液体は、ヘッドから吐出可能な粘度や表面張力を有するものであればよく、特に限定されないが、常温、常圧下において、または加熱、冷却により粘度が30mPa・s以下となるものであることが好ましい。より具体的には、水や有機溶媒等の溶媒、染料や顔料等の着色剤、重合性化合物、樹脂、界面活性剤等の機能性付与材料、DNA、アミノ酸やたんぱく質、カルシウム等の生体適合材料、天然色素等の可食材料、などを含む溶液、懸濁液、エマルジョンなどであり、これらは例えば、インクジェット用インク、表面処理液、電子素子や発光素子の構成要素や電子回路レジストパターンの形成用液、3次元造形用材料液等の用途で用いることができる。
【0064】
「ヘッド」には、液体を吐出するエネルギー発生源として、圧電アクチュエータ(積層型圧電素子及び薄膜型圧電素子)、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いるサーマルアクチュエータ、振動板と対向電極からなる静電アクチュエータなどを使用するものが含まれる。
【0065】
また、「液体を吐出する装置」には、液体が付着可能なものに対して液体を吐出することが可能な装置だけでなく、液体を気中や液中に向けて吐出する装置も含まれる。
【0066】
この「液体を吐出する装置」は、液体が付着可能なものの給送、搬送、排紙に係わる手段、その他、前処理装置、後処理装置なども含むことができる。
【0067】
例えば、「液体を吐出する装置」として、インクを吐出させて用紙に画像を形成する装置である画像形成装置、立体造形物(三次元造形物)を造形するために、粉体を層状に形成した粉体層に造形液を吐出させる立体造形装置(三次元造形装置)がある。
【0068】
また、「液体を吐出する装置」は、吐出された液体によって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されるものではない。例えば、それ自体意味を持たないパターン等を形成するもの、三次元像を造形するものも含まれる。
【0069】
上記「液体が付着可能なもの」とは、液体が少なくとも一時的に付着可能なものであって、付着して固着するもの、付着して浸透するものなどを意味する。具体例としては、用紙、記録紙、記録用紙、フィルム、布などの被記録媒体、電子基板、圧電素子などの電子部品、粉体層(粉末層)、臓器モデル、検査用セルなどの媒体、車体、建材などであり、特に限定しない限り、液体が付着するすべてのものが含まれる。
【0070】
上記「液体が付着可能なもの」の材質は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックスなど液体が一時的でも付着可能であればよい。
【0071】
また、「液体を吐出する装置」は、液体吐出ヘッドと液体が付着可能なものとが相対的に移動する装置があるが、これに限定するものではない。具体例としては、液体吐出ヘッドを移動させるシリアル型装置、液体吐出ヘッドを移動させないライン型装置などが含まれる。
【0072】
また、「液体を吐出する装置」としては、他にも、用紙の表面を改質するなどの目的で用紙の表面に処理液を塗布するために処理液を用紙に吐出する処理液塗布装置、原材料を溶液中に分散した組成液を、ノズルを介して噴射させて原材料の微粒子を造粒する噴射造粒装置などがある。
【符号の説明】
【0073】
1 印刷装置
10 搬入部
20 前処理部
30 印刷部
31 ドラム
40 乾燥部
50 搬出部
60 反転機構部
33 吐出ユニット
100 ヘッドユニット
101 ヘッド
102 カバー部材
103 ヒートシンク
108 弾性体
170 フレーム部材
201 第1溝部
202 第2溝部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10