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特開2024-71941システム、情報処理装置およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024071941
(43)【公開日】2024-05-27
(54)【発明の名称】システム、情報処理装置およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/04815 20220101AFI20240520BHJP
   G06T 19/00 20110101ALI20240520BHJP
【FI】
G06F3/04815
G06T19/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022182470
(22)【出願日】2022-11-15
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100110607
【弁理士】
【氏名又は名称】間山 進也
(72)【発明者】
【氏名】堀田 波星夫
(72)【発明者】
【氏名】前鼻 毅
(72)【発明者】
【氏名】千壽 朋子
【テーマコード(参考)】
5B050
5E555
【Fターム(参考)】
5B050AA03
5B050BA09
5B050CA07
5B050DA05
5B050EA26
5B050FA02
5B050FA10
5B050FA16
5E555AA27
5E555BC17
5E555BE17
5E555CA21
5E555CB21
5E555CB33
5E555CC22
5E555DA08
5E555DB06
5E555DC10
5E555DC43
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】 操作性を向上した三次元仮想空間を表示するシステム、情報処理装置およびプログラムを提供すること。
【解決手段】 三次元仮想空間内にオブジェクトと仮想切断面表示とを表示する表示部51と、仮想切断面表示を移動する操作を受け付ける操作受付部52と、操作受付部52が受け付けた操作に基づいて、仮想切断面表示を切断面として切断されたオブジェクトの断面画像を生成する断面画像生成部53とを含み、表示部51は、断面画像を表示する。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
三次元仮想空間内にオブジェクトと仮想切断面表示とを表示する表示手段と、
前記仮想切断面表示を移動する操作を受け付ける操作受付手段と、
前記操作受付手段が受け付けた操作に基づいて、前記仮想切断面表示を切断面として切断された前記オブジェクトの断面画像を生成する画像生成手段と
を含み、
前記表示手段は、前記断面画像を表示する、
システム。
【請求項2】
前記表示手段は、前記仮想切断面表示の角度を垂直または水平に固定する第1のモードを有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記表示手段は、前記仮想切断面表示の角度を自由に変更できる第2のモードを有する、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
ユーザが使用するコントローラを含み、
前記操作受付手段は、前記コントローラによる前記第1のモードと前記第2のモードとを切り替える操作を受け付ける、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記表示手段は、前記三次元仮想空間内に、前記仮想切断面表示を操作するカーソルを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
ユーザが使用するコントローラを含み、
前記カーソルは、前記コントローラの動きと連動する、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記カーソルが、手の形状であり、
前記操作受付手段が前記仮想切断面表示を移動する操作を受け付けた場合に、前記表示手段は、前記カーソルの手が、前記仮想切断面表示を掴む画像を表示する、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記仮想切断面表示は、表面と裏面とが定義され、
前記画像生成手段は、前記オブジェクトの一方の面の側を透過した断面画像を生成する、
請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
三次元仮想空間内にオブジェクトと仮想切断面表示とを表示する表示手段と、
前記仮想切断面表示を移動する操作を受け付ける操作受付手段と、
前記操作受付手段が受け付けた操作に基づいて、前記仮想切断面表示を切断面として切断された前記オブジェクトの断面画像を生成する画像生成手段と
を含み、
前記表示手段は、前記断面画像を表示する、
情報処理装置。
【請求項10】
ユーザの頭部に装着し、前記表示手段が表示する画像が前記ユーザの視野を覆うことを特徴とする、請求項9に記載の情報処理装置。
【請求項11】
情報処理装置を、
三次元仮想空間内にオブジェクトと仮想切断面表示とを表示する表示手段、
前記仮想切断面表示を移動する操作を受け付ける操作受付手段、
前記操作受付手段が受け付けた操作に基づいて、前記仮想切断面表示を切断面として切断された前記オブジェクトの断面画像を生成する画像生成手段
として機能させ、
前記表示手段は、前記断面画像を表示する、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仮想空間におけるオブジェクトの内部構造を表示するシステム、情報処理装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
情報処理技術の発展に伴って、画像の表示方法が多様化している。例えば、ユーザが三次元仮想空間で表現されるコンテンツを体験できるVR(Virtual Reality)技術には、三次元仮想空間の画像を表示する表示装置として、人の頭部に装着するヘッドマウントディスプレイ(以下、HMDとして参照する)が用いられる。
【0003】
ところで、VR技術においては、ユーザが、三次元仮想空間に配置されたオブジェクトの内部構造を表示することを所望する場合がある。この点につき、例えば、特許第5390377号公報(特許文献1)では、仮想三次元ボリュームモデルコンピュータグラフィクスの断面を表示する技術が開示されている。
【0004】
しかしながら、特許文献1をはじめとする従来技術では、オブジェクトの切断面を移動するのに、例えば、三次元仮想空間内に表示されたボタン、スライダー、ボリュームによる操作や、キーボードやマウスなどの装置による操作などの煩雑な手順が必要であった。そのため、ユーザの直感的な操作が行えず、さらなる利便性の向上が求められていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記従来技術における課題に鑑みてなされたものであり、操作性を向上した三次元仮想空間を表示するシステム、情報処理装置およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、本発明によれば、
三次元仮想空間内にオブジェクトと仮想切断面表示とを表示する表示手段と、
前記仮想切断面表示を移動する操作を受け付ける操作受付手段と、
前記操作受付手段が受け付けた操作に基づいて、前記仮想切断面表示を切断面として切断された前記オブジェクトの断面画像を生成する画像生成手段と
を含み、
前記表示手段は、前記断面画像を表示する、
システムが提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、操作性を向上した三次元仮想空間を表示するシステム、情報処理装置およびプログラムが提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態における表示システム全体のハードウェアの概略構成を示す図。
図2】本実施形態のHMDとコントローラとPCに含まれるハードウェア構成を示す図。
図3】本実施形態のHMDおよびPCに含まれるソフトウェアブロック図。
図4】本実施形態において表示される三次元仮想空間の画像の例を示す図。
図5】本実施形態において仮想切断面表示を動かす操作の例を示す図。
図6】本実施形態において断面画像を表示する処理を示すフローチャート。
図7】本実施形態の操作によって表示される断面画像の例を示す図。
図8】本実施形態の操作によって表示される断面画像の例を示す図。
図9】本実施形態の操作によって表示される断面画像の例を示す図。
図10】本実施形態の操作によって表示される断面画像の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を、実施形態をもって説明するが、本発明は後述する実施形態に限定されるものではない。なお、以下に参照する各図においては、共通する要素について同じ符号を用い、適宜その説明を省略するものとする。
【0010】
図1は、本実施形態における表示システム1全体のハードウェアの概略構成を示す図である。表示システム1は、ユーザの頭部に装着される表示手段として機能するHMD10と、ユーザが手で持って、もしくは手に装着して操作する操作手段として機能するコントローラ11と、情報処理装置として機能するPC12とを備える。また、表示システム1は、HMD10の位置と基準方向に対するHMD10の傾き、コントローラ11の位置と基準方向に対するコントローラ11の傾きを検出する検出手段として機能する位置検知センサ13を備える。
【0011】
HMD10と、コントローラ11と、PC12は、ネットワークまたはケーブルなどにより通信可能に接続されている。各ハードウェア間の接続は、有線接続であってもよいし、Bluetooth(登録商標)やWiFi(登録商標)などの無線接続であってもよい。なお、HMD10と位置検知センサ13も、WiFi(登録商標)などにより無線接続されてもよい。
【0012】
HMD10は、ユーザに対して画像を表示するためのディスプレイを有し、HMD10の位置や基準方向に対する傾きに対応した画像をディスプレイ上に表示させる情報処理装置である。画像は、ユーザの左右の目の視差を用いて画像を立体的に見せるため、左右の目のそれぞれに対応した2つの画像とされる。このため、HMD10は、左右の目のそれぞれに対応した画像を表示する2つのディスプレイを備えている。基準方向は、例えば床に平行な任意の方向である。HMD10は、赤外線LED(Light Emitting Diode)などの光源を有し、赤外線を放射する。
【0013】
コントローラ11は、ユーザが手で握る、もしくは手の位置に装着する操作手段で、ボタン、ホイール、タッチセンサなどを有し、ユーザからの入力を受け付け、受け付けた情報をHMD10へ送信する。コントローラ11も、赤外線LEDなどの光源を有し、赤外線を放射する。図1に示すコントローラ11は、ユーザが手で把持する形態が示されているが、特に実施形態を限定するものではなく、例えば、センサを備える手袋タイプの形態などであってもよい。
【0014】
位置検知センサ13は、ユーザが向いた前方の任意の位置に配置され、HMD10およびコントローラ11から放射される赤外線から、HMD10およびコントローラ11の位置や傾きを検出し、それらの位置情報および傾き情報を出力する。位置検知センサ13は、例えば赤外線カメラなどとされ、撮像された画像に基づき、HMD10およびコントローラ11の位置や傾きを検出することができる。なお、HMD10およびコントローラ11が備える光源は、HMD10やコントローラ11の位置や傾きを高い精度で検出するため、複数設けられる。位置検知センサ13は、1以上のセンサから構成され、複数のセンサを用いる場合は、側方や後方などにも設けることができる。
【0015】
PC12は、位置検知センサ13から出力されたHMD10の位置情報および傾き情報、コントローラ11の位置情報、必要に応じてコントローラ11の傾き情報に基づき、HMD10のディスプレイに表示される三次元仮想空間にユーザ入力を支援するためのユーザオブジェクトを生成する。そして、PC12は、HMD10の位置情報および傾き情報、三次元仮想空間データに基づき、三次元仮想空間におけるユーザの視野方向(正確にはHMD10の傾き方向)の画像であって、左右の目に対応した画像を生成し、HMD10のディスプレイに表示させる処理を実行する。
【0016】
表示システム1は、三次元仮想空間内に配置されたオブジェクトを任意の切断面で切断して透過させ、内部構造とともに表示することで、例えば建築物の構造を把握する場合に利用することができる。なお、これは1つの利用形態であるため、この利用形態に限定されるものではない。したがって、例えば、人体の内部構造(臓器、骨格、脳など)の表示や、手術シミュレーションなどの医療分野への応用や、その他の分野への応用も可能である。
【0017】
図1に示した例では、HMD10およびコントローラ11が光源を有し、位置検知センサ13を任意の位置に配置することを説明したが、HMD10およびコントローラ11が位置検知センサ13を備え、任意の位置に光源や赤外線を反射するマーカーを配置する構成であってもよい。マーカーを使用する場合、HMD10およびコントローラ11が光源および位置検知センサ13を備え、光源から出射した赤外線がマーカーに反射し、反射した赤外線を位置検知センサ13により検出することにより、HMD10およびコントローラ11の位置や傾きを検出することができる。また、他の好ましい実施形態では、HMD10およびコントローラ11が、ジャイロセンサ、加速度センサなどの慣性センサを備えることで、HMD10およびコントローラ11の動きを検出する構成とすることができる。
【0018】
位置検知センサ13とHMD10およびコントローラ11との間に何らかの物体が存在する場合、赤外線が遮られ、正確に位置や傾きを検出することができなくなる。このため、HMD10およびコントローラ11を使用して、操作や表示を行う場合、開けた空間で実行することが望ましい。
【0019】
図1に示す例では、ユーザがHMD10を装着し、コントローラ11を手に握り、腕を伸ばしたり、広げたりすることができる空間が設けられ、その空間の外側にPC12、位置検知センサ13が配置されている。
【0020】
図2は、本実施形態のHMD10とコントローラ11とPC12に含まれるハードウェア構成を示す図である。HMD10は、外部I/F20と、CPU21と、ディスプレイ22と、メモリ23と、HDD24と、光源25と、マイク26とを備える。CPU21は、HMD10全体を制御し、光源25の発光、外部との通信、ディスプレイ22への表示などの処理を実行する。外部I/F20は、PC12との通信を行うインタフェースである。ディスプレイ22は、液晶ディスプレイであってもよいし、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイであってもよい。
【0021】
メモリ23は、CPU21に対して作業領域を提供する。HDD24は、三次元仮想空間に表示する画像データなどを記憶する。光源25は、赤外線LEDなどで、赤外線を放射する。赤外線は、所定のパターンで点滅するように放射することができる。マイク26は、音声によりユーザ入力を行う音声入力装置である。
【0022】
コントローラ11は、操作I/F30と、外部I/F31と、光源32を備える。操作I/F30は、ボタン、ホイール、タッチセンサなどであり、コントローラ11の外面に配置され、ユーザによる操作を可能とし、操作情報の入力を受け付ける。外部I/F31は、PC12と無線接続し、操作I/F30が受け付けた操作情報をPC12へ送信する。光源32は、所定のパターンで点滅するように赤外線を放射する。光源32は、HMD10の光源とは異なるパターンで点滅することで、HMD10と区別することが可能となる。
【0023】
PC12は、CPU40と、ROM41と、RAM42と、HDD43と、外部I/F44と、入出力I/F45と、入力装置46と、表示装置47とを備える。
【0024】
CPU40は、PC12全体を制御し、上記のユーザオブジェクトを生成し、三次元仮想空間におけるユーザの視野方向の画像を生成してHMD10のディスプレイに表示させる処理を実行する。ROM41は、PC12を起動させるためのブートプログラムや、HDD43や外部I/F44などを制御するためのファームウェアなどを格納する。RAM42は、CPU40に対して作業領域を提供する。
【0025】
HDD43は、OS(Operating System)、上記の処理を実行するためのプログラム、画像データなどを格納する。外部I/F44は、図1に示すネットワークと接続し、ネットワークを介して他の装置と通信を行う。また、外部I/F44は、HMD10および位置検知センサ13とケーブルなどにより接続し、コントローラ11と無線接続し、HMD10、コントローラ11および位置検知センサ13と通信を行う。
【0026】
入力装置46は、マウスやキーボードなどであり、ユーザにより使用され、情報の入力や操作を受け付ける。表示装置47は、ユーザに対して表示画面を提供し、入力された情報や処理結果などを表示する。入出力I/F45は、入力装置46からの情報の入力、表示装置47への情報の出力を制御するインタフェースである。
【0027】
以上、本実施形態の表示システム1を構成する各装置に含まれるハードウェア構成について説明した。次に、本実施形態における各ハードウェアによって実行される機能手段について、図3を以て説明する。図3は、本実施形態のHMD10およびPC12に含まれるソフトウェアブロック図である。
【0028】
図3に示すように、HMD10は、表示部51を含む。また、PC12は、操作受付部52、断面画像生成部53、記憶部54を含む。以下に、各期の手段の詳細を説明する。
【0029】
表示部51は、ディスプレイ22の動作を制御し、画像を表示する手段である。本実施形態の表示部51は、三次元仮想空間の画像を表示することができる。表示部51が表示する画像は、例えば、PC12から提供される。
【0030】
操作受付部52は、HMD10またはコントローラ11の動きを、位置検知センサ13を介して受け付ける手段である。また、本実施形態の操作受付部52は、コントローラ11のボタン操作などを受け付けることができる。
【0031】
断面画像生成部53は、三次元仮想空間内に配置されたオブジェクトを、所定の面で切断して透過した断面画像を生成する手段である。本実施形態の断面画像生成部53は、生成した断面画像をHMD10に送信し、表示部51に表示させることができる。また、生成された断面画像は、記憶部54に保存されてもよい。
【0032】
記憶部54は、HDD43を制御し、表示部51に表示させる各種画像を保存する手段である。本実施形態の記憶部54には、例えば、三次元仮想空間を構成する画像、オブジェクトの画像、オブジェクトの内部構造の画像などを格納できる。また、記憶部54は、断面画像生成部53が生成した断面画像を格納してもよい。
【0033】
なお、上述したソフトウェアブロックは、CPUが本実施形態のプログラムを実行することで、各ハードウェアを機能させることにより、実現される機能手段に相当する。また、各実施形態に示した機能手段は、全部がソフトウェア的に実現されても良いし、その一部または全部を同等の機能を提供するハードウェアとして実装することもできる。
【0034】
さらに、上述した各機能手段は、必ずしも全てが図3に示すような構成で含まれていなくてもよい。例えば、他の好ましい実施形態では、各機能手段は、HMD10と、コントローラ11と、PC12との協働によって実現されてもよい。また、他の好ましい実施形態では、図3に示した各機能手段が、全てHMD10に含まれていてもよい。
【0035】
次に本実施形態において表示される画像について、図4を以て説明する。図4は、本実施形態において表示される三次元仮想空間の画像の例を示す図である。図4(a)は、ユーザが頭部にHMD10を装着した例を示し、図4(b)は、図4(a)のユーザが視認する、HMD10に表示された三次元仮想空間の画像を示している。
【0036】
図4(b)に示すように、本実施形態のHMD10に表示される三次元仮想空間には、オブジェクト61、仮想切断面表示62、カーソル63が含まれている。なお、図4(b)内の数字(「61」、「62」、「63」)および数字に付随する線は、単なる参照符号および引き出し線であり、三次元仮想空間の画像を構成するものではない点に留意されたい。
【0037】
オブジェクト61は、三次元仮想空間内に配置された物体であり、図4(b)の例では建築物である。ユーザは、コントローラ11を使用した各種操作によって、オブジェクト61をさまざまな角度から見ることができる。なお、オブジェクト61の形態は、図4(b)に示すような建築物に限らず、任意の物体を採用することができる。
【0038】
仮想切断面表示62は、三次元仮想空間内に配置された仮想的な面であり、当該面でオブジェクト61の切断面を定義することができる。本実施形態の仮想切断面表示62は、ユーザの操作によって移動させることができ、これによってユーザは、オブジェクト61の任意の箇所の内部構造を見ることができる。なお、図4(b)では矩形形状の仮想切断面表示62が示されているが、一例であって特に実施形態を限定するものではない。したがって、仮想切断面表示62の形状は、任意の形状とすることができ、例えば、角度の異なる2以上の面から構成される形状や、一部に曲面を有する形状などであってもよい。
【0039】
カーソル63は、三次元仮想空間内における各種操作を行うためのグラフィックであり、図4(b)に示す例では、手の形状をしている。本実施形態のカーソル63は、コントローラ11の動きに連動して三次元仮想空間内を移動することができる。また、カーソル63を介して、コントローラ11のボタン操作に応じた操作を行うことができる。図4(b)では、手の形状をした1つのカーソル63が表示された例を示しているが、特に実施形態を限定するものではない。したがって、例えば、両手を模した2つのカーソル63が表示されてもよいし、手以外の形状であってもよい。
【0040】
説明する実施形態の例では、ユーザは、図4(b)に示す画面を見ながら、コントローラ11を動かす操作およびボタン操作を行うことで、カーソル63で仮想切断面表示62を掴んで移動させることができ、これによって、ユーザが所望する箇所のオブジェクト61の断面画像を表示させることができる。
【0041】
ここで、図4(b)に示した三次元仮想空間の画面での操作について、図5を以て説明する。図5は、本実施形態において仮想切断面表示62を動かす操作の例を示す図である。
【0042】
図5(a)は、垂直状態の仮想切断面表示62を水平方向に移動させる例を示している。例えば、ユーザはコントローラ11を介して三次元仮想空間内に垂直に配置された仮想切断面表示62を掴む操作を行い、手を前後に動かすと、仮想切断面表示62は、図5(a)に示すように水平方向に移動する。これによって、ユーザは、所望の位置でオブジェクト61を垂直方向に切断した断面画像を見ることができる。なお、説明する実施形態における仮想切断面表示62を掴む操作は、例えば、コントローラ11のボタンを押下することなどが挙げられるが、特に実施形態を限定するものではない。
【0043】
また、図5(b)は、水平状態の仮想切断面表示62を垂直方向に移動させる例を示している。例えば、ユーザはコントローラ11を介して三次元仮想空間内に水平に配置された仮想切断面表示62を掴む操作を行い、手を上下に動かすと、仮想切断面表示62は、図5(b)に示すように垂直方向に移動する。これによって、ユーザは、所望の位置でオブジェクト61を水平方向に切断した断面画像を見ることができる。
【0044】
また、図5(c)は、垂直状態の仮想切断面表示62を水平状態にする例を示している。例えば、ユーザはコントローラ11を介して三次元仮想空間内に垂直に配置された仮想切断面表示62を掴む操作を行い、コントローラ11を把持する手を90度回転すると、仮想切断面表示62は、図5(c)に示すように垂直状態から水平状態になる。
【0045】
なお、仮想切断面表示62は任意の角度で置くことができ、コントローラ11の操作によって位置や角度を固定することができる。また、仮想切断面表示62の角度の切り替えは、図5(c)に示す操作に限らず、コントローラ11のボタン操作によって切り替えることとしてもよい。例えば、三次元仮想空間内の仮想切断面表示62を、垂直または水平に配置するモード、自由な角度で配置するモードの2つのモードを、コントローラ11のボタン操作によって切り替える構成とすることができる。これによって、モードの切り替えを、仮想切断面表示62を三次元仮想空間内で持ち替えるなどの煩雑な操作によらず、単純なアクションで(例えば、ボタン操作を1回行うだけで)、行うことができ、より利便性を向上した操作が可能となる。
【0046】
さらに、自由な角度で配置するモードから垂直または水平に配置するモードに切り替える際、仮想切断面表示62の垂直状態および水平状態は、コントローラ11の動きに追従する仮想切断面表示62の角度に応じて切り替えることができる。例えば、仮想切断面表示62の角度が垂直状態に近い場合(例えば、三次元仮想空間上の垂直方向の角度から±45度以内である場合)には、仮想切断面表示62を垂直状態とすることができる。また、例えば、仮想切断面表示62の角度が水平状態に近い場合(例えば、三次元仮想空間上の水平方向の角度から±45度以内である場合)には、仮想切断面表示62を水平状態とすることができる。
【0047】
次に、本実施形態の表示システム1が実行する処理について、図6を以て説明する。図6は、本実施形態において断面画像を表示する処理を示すフローチャートである。本実施形態の表示システム1は、図6のステップS1000から処理を開始する。
【0048】
ステップS1001では、表示部51は、オブジェクト61と仮想切断面表示62を含む三次元仮想空間を表示する。ユーザは、HMD10を介して当該三次元仮想空間の画面を見ることができ、視点移動などの各種操作を行うことができる。
【0049】
その後、ステップS1002では、仮想切断面表示62を掴む操作があったか否かによって処理を分岐する。ステップS1002において、操作受付部52が仮想切断面表示62を掴む操作を受け付けた場合には(YES)、ステップS1003に進む。仮想切断面表示62を掴む操作の一例としては、コントローラ11のボタンの押下などが挙げられる。また、ステップS1002において、操作受付部52が仮想切断面表示62を掴む操作を受け付けていない場合には(NO)、ステップS1002の処理を繰り返し、仮想切断面表示62を掴む操作を待機する。
【0050】
次に、ステップS1003では、仮想切断面表示62を動かす操作があったか否かによって処理を分岐する。ステップS1003において、操作受付部52が仮想切断面表示62を動かす操作を受け付けた場合には(YES)、ステップS1004に進む。仮想切断面表示62を動かす操作の一例としては、図5(a)~(c)に示した操作などが挙げられる。また、ステップS1003において、操作受付部52が仮想切断面表示62を動かす操作を受け付けていない場合には(NO)、ステップS1003の処理を繰り返し、仮想切断面表示62を動かす操作を待機する。
【0051】
ステップS1004において断面画像生成部53は、仮想切断面表示62が移動した位置でオブジェクト61を切断した断面画像を生成する。すなわち、ステップS1004では、オブジェクト61の内部構造を含む画像が生成される。断面画像生成部53が生成した画像は、HMD10に送信される。
【0052】
その後、ステップS1005において、表示部51は、HMD10のディスプレイ22上に、ステップS1004で生成された断面画像を表示する。したがって、ユーザは、断面画像を見ることができる。
【0053】
続くステップS1006では、仮想切断面表示62を放す操作があったか否かによって処理を分岐する。仮想切断面表示62を放す操作がない場合には(NO)、ステップS1003に戻り、仮想切断面表示62を動かす動作を待機する。仮想切断面表示62を放す操作があった場合には(YES)、ステップS1002に戻り、仮想切断面表示62を掴む動作を待機する。このようにして、ステップS1006からステップS1002またはS1003に戻って、処理を繰り返すことで、コントローラ11の動きに連動した断面画像をリアルタイムで生成でき、ユーザは、所望する位置の断面画像を見ることができる。なお、図6に示す処理と並行して、三次元仮想空間内の視点移動などの操作が行われてもよい。
【0054】
図6に示した処理によって、ユーザは、所望する位置でオブジェクト61を切断した断面画像を見ることができる。特に、三次元仮想空間内に配置された仮想切断面表示62を掴んで移動させることにより任意の位置で切断した断面画像を生成できるため、ユーザは直感的な操作が可能となり、所望する断面画像を容易にみることができる。
【0055】
以下では、断面画像の例を説明する。図7図10は、本実施形態の操作によって表示される断面画像の例を示す図である。なお、図7(b)、(c)、図8(b)、(c)、図9(b)、(c)、図10(b)、(c)内の数字(「61」、「62」、「63」)および数字に付随する線は、単なる参照符号および引き出し線であり、三次元仮想空間の画像を構成するものではない点に留意されたい。
【0056】
図7は、垂直に配置された仮想切断面表示62を水平方向に移動して表示される断面画像の例を示している。例えば、ユーザが、図7(b)に示す三次元仮想空間において仮想切断面表示62を掴む操作をした場合について考える。この場合に、ユーザが、図7(a)に示すように、コントローラ11を手前から奥へ移動させると、仮想切断面表示62も三次元仮想空間内を手前から奥に移動する。したがって、オブジェクト61の切断面が奥に移動し、図7(c)に示すような断面画像を含む三次元仮想空間の画像が生成され、表示される。
【0057】
また、図8は、水平に配置された仮想切断面表示62を垂直方向に移動して表示される断面画像の例を示している。例えば、ユーザが、図8(b)に示す三次元仮想空間において仮想切断面表示62を掴む操作をした場合について考える。この場合に、ユーザが、図8(a)に示すように、コントローラ11を上から下へ移動させると、仮想切断面表示62も三次元仮想空間内を上から下に移動する。したがって、オブジェクト61の切断面が下に移動し、図8(c)に示すような断面画像を含む三次元仮想空間の画像が生成され、表示される。
【0058】
また、図9は、任意の角度で配置された仮想切断面表示62を任意の角度で移動して表示される断面画像の例を示している例えば、ユーザが、図9(b)に示す三次元仮想空間において仮想切断面表示62を掴む操作をした場合について考える。この場合に、ユーザが、図9(a)に示すように、コントローラ11を手前から下前方へ移動させると、仮想切断面表示62も三次元仮想空間内を手前から下前方に移動する。したがって、オブジェクト61の切断面が下前方に移動し、図7(c)に示すような断面画像を含む三次元仮想空間の画像が生成され、表示される。
【0059】
ところで、図7図9で説明した例は、仮想切断面表示62を単純に一方向に移動した場合を示したものである。一方で、仮想切断面表示62に表面と裏面を定義し、例えば、図10のように、切断面の表面側の部分のオブジェクト61を透過させ、切断面の裏面側の部分のオブジェクト61の断面画像を表示することとしてもよい。すなわち、仮想切断面表示62を回転させる操作を行うことで、オブジェクト61の反対側の断面を表示させ、また、移動させることもできる。
【0060】
図10は、仮想切断面表示62を裏返して表示される断面画像の例を示している。ここで、図10(b)の三次元仮想空間は、図8(b)に示したものと同じ状態である。この状態において、図8(a)に示したようにユーザが仮想切断面表示62を掴む操作を行い、その後、図10(a)のようにコントローラ11を把持する手をひねって、コントローラ11の上下を反転したとする。この場合、仮想切断面表示62の表面と裏面が逆転し、図10(c)に示すように、オブジェクト61の下部が透過した断面画像が生成される。なお、仮想切断面表示62の表面と裏面を替える操作は、上述したような操作に限らず、例えば、コントローラ11のボタン操作によって切り替えることとしてもよい。また、断面画像を見るための視点は、仮想切断面表示62を移動させる操作に合わせて、当該断面画像を視認できる位置に自動的に移動することとしてもよいが、特に実施形態を限定するものではない。したがって、例えば、コントローラ11によって、視点を移動する操作を行うこととしてもよいし、HMD10を装着したユーザの動きに合わせて視点を移動してもよい。
【0061】
以上、説明した本発明の実施形態によれば、操作性を向上した三次元仮想空間を表示するシステム、情報処理装置およびプログラムを提供することができる。
【0062】
上述した本発明の実施形態の各機能は、C、C++、C#、Java(登録商標)等で記述された装置実行可能なプログラムにより実現でき、本実施形態のプログラムは、ハードディスク装置、CD-ROM、MO、DVD、フレキシブルディスク、EEPROM(登録商標)、EPROM等の装置可読な記録媒体に格納して頒布することができ、また他装置が可能な形式でネットワークを介して伝送することができる。
【0063】
上記で説明した実施形態の各機能は、一または複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(digital signal processor)、FPGA(field programmable gate array)や従来の回路モジュールなどのデバイスを含むものとする。
【0064】
以上、本発明について実施形態をもって説明してきたが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、当業者が推考しうる実施態様の範囲内において、本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0065】
1…表示システム、10…HMD、11…コントローラ、12…PC、13…位置検知センサ、20…外部I/F、21…CPU、22…ディスプレイ、23…メモリ、24…HDD、25…光源、26…マイク、30…操作I/F、31…外部I/F、32…光源、40…CPU、41…ROM、42…RAM、43…HDD、44…外部I/F、45…入出力I/F、46…入力装置、47…表示装置、51…表示部、52…操作受付部、53…断面画像生成部、54…記憶部、61…オブジェクト、62…仮想切断面表示、63…カーソル
【先行技術文献】
【特許文献】
【0066】
【特許文献1】特許第5390377号公報
図1
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