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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024072261
(43)【公開日】2024-05-27
(54)【発明の名称】定着装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/20 20060101AFI20240520BHJP
【FI】
G03G15/20 555
G03G15/20 510
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023190257
(22)【出願日】2023-11-07
(31)【優先権主張番号】P 2022182541
(32)【優先日】2022-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 壽
(72)【発明者】
【氏名】瀬下 卓弥
(72)【発明者】
【氏名】今田 高広
【テーマコード(参考)】
2H033
【Fターム(参考)】
2H033AA31
2H033BA11
2H033BA25
2H033BA26
2H033BA31
2H033BA32
2H033BA37
2H033BB03
2H033BB06
2H033BB13
2H033BB14
2H033BB15
2H033BB18
2H033BB29
2H033BB30
2H033BB33
2H033BB34
2H033BE03
2H033CA07
2H033CA30
2H033CA34
2H033CA45
(57)【要約】
【課題】複数の温度応答素子について、組み付け状態を容易に確認することができる定着装置および画像形成装置を提供する。
【解決手段】定着装置100は、定着部材たる定着ベルト101と、定着ベルト101を加圧して定着ニップを形成する加圧部材たる加圧ローラ103と定着ベルトを加熱する熱源たるヒータ102a,102bとを備えている。定着装置の下カバー部材100aには、温度応答素子として、2つの温度検知センサ123a、123b、および2つのサーモスタット121a,121bが、外部に露出するよう組み付けられている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
定着部材と、
定着部材を加圧して定着ニップを形成する加圧部材と、
前記定着部材を加熱する熱源と、
前記定着部材の温度に応じた出力または動作を行う複数の温度応答素子とを備えた定着装置において、
複数の温度応答素子は、当該定着装置の外部に露出するように、当該定着装置に組み付けられることを特徴とする定着装置。
【請求項2】
請求項1に記載の定着装置において、
複数の温度応答素子のうちの少なくとも一つは、前記定着部材の温度が規定温度以上となったら、前記熱源への電力供給を遮断する保護素子であることを特徴とする定着装置。
【請求項3】
請求項1に記載の定着装置において、
複数の温度応答素子のうちの少なくとも一つは、前記定着部材の温度に応じた出力信号を出力する温度検知センサであることを特徴とする定着装置。
【請求項4】
請求項3に記載の定着装置において、
前記温度検知センサの出力信号に基づいて、前記熱源への電力供給を遮断する保護手段を備えることを特徴とする定着装置。
【請求項5】
請求項1に記載の定着装置において、
複数の温度応答素子は、当該定着装置の外側から当該定着装置に組み付けられることを特徴とする定着装置。
【請求項6】
請求項1に記載の定着装置において、
複数の温度応答素子のうちの少なくとも一つは、スナップフィットにより当該定着装置に固定されることを特徴とする定着装置。
【請求項7】
請求項6に記載の定着装置において、
温度応答素子をスナップフィットで固定するスナップフィット固定部は、根元まで当該定着装置から露出していることを特徴とする定着装置。
【請求項8】
請求項1に記載の定着装置において、
複数の温度応答素子は、前記定着部材および前記加圧部材を覆うカバー部材に組み付けられることを特徴とする定着装置。
【請求項9】
請求項1に記載の定着装置において、
前記定着部材の温度が規定温度以上となったら、前記熱源への電力供給を遮断する保護手段を複数備え、
各保護手段は、温度応答素子を有することを特徴とする定着装置。
【請求項10】
請求項9に記載の定着装置において、
前記定着部材の温度が規定温度以上となったら、前記熱源への電力供給を遮断する保護素子を有する保護手段と、
前記定着部材の温度に応じた出力信号を出力する温度検知センサを有する保護手段とを有することを特徴とする定着装置。
【請求項11】
記録材に画像を形成する画像形成部と、
前記記録材に形成された画像を前記記録材に定着させる定着装置とを備えた画像形成装置において、
前記定着装置として、請求項1に記載の定着装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、定着装置及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、定着部材と、定着部材を加圧して定着ニップを形成する加圧部材と、定着部材を加熱する熱源と、定着部材の温度に応じた出力または動作を行う複数の温度応答素子とを備えた定着装置が知られている。
【0003】
特許文献1には、上記定着装置として、定着部材の温度に応じた出力信号を出力する温度応答素子としてのサーミスタと、定着部材の温度が規定温度以上となると熱源への電力供給を遮断するという定着部材の温度に応じた動作を行う温度応答素子としてのサーモカットとが、定着装置に組み付けられているものが記載されている。サーモカットは、定着装置の外部に露出するように定着装置に組み付けられており、サーミスタは、封止部材により塞がれ、定着装置の外部に露出しないように定着装置に組み付けられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、装置の最終チェック時に問題があった場合に、サーミスタおよびサーモカットなどの複数の温度応答素子について、組み付け状態の確認が困難という課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、本発明は、定着部材と、定着部材を加圧して定着ニップを形成する加圧部材と、前記定着部材を加熱する熱源と、前記定着部材の温度に応じた出力または動作を行う複数の温度応答素子とを備えた定着装置において、前記複数の温度応答素子は、当該定着装置の外部に露出するように、当該定着装置に組み付けられることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、複数の温度応答素子について、組み付け状態を容易に確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態に係るプリンタの構成を示す概略構成図。
図2】定着装置の概略構成図。
図3】電力遮断装置のブロック図。
図4】(a)は、定着装置を下方から見た概略図であり、(b)は、図4(a)のA-A断面図であり、(c)は、図4(a)のB-B断面図。
図5図4(b)のCの部分の拡大図。
図6図4(c)のD-D断面図。
図7】従来構成について説明する図。
図8】変形例1の定着装置を示す概略構成図。
図9】変形例2の定着装置を示す概略構成図。
図10】変形例3の定着装置を示す概略構成図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を適用した画像形成装置として、電子写真方式のプリンタ(以下、単にプリンタという。)の一実施形態について説明する。まず、プリンタの概略構成について説明する。図1は、本プリンタの構成を示す概略構成図である。プリンタ200は、複数の色画像を形成する作像部がベルトの展張方向に沿って並置されたタンデム方式を用いるカラープリンタあるが、本発明はこの方式に限ることはなく、またプリンタだけではなく複写機やファクシミリ装置などを対象とすることも可能である。
【0009】
プリンタ200は、各感光体ドラム20Y、20C、20M、20Bkを備えた作像部としての4つの画像ステーションと、4つの画像ステーションの下方に対向して配設された光書き込み装置としての光書込装置8を有する。またプリンタ200は、4つの画像ステーションの上方に対向して配設された中間転写ベルトユニット10を有する。
【0010】
4つの画像ステーションは、感光体ドラム20Y、20C、20M、20Bkが、A1方向の上流側からこの順で並んでいる。各感光体ドラム20Y、20C、20M、20Bkは、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの画像をそれぞれ形成するものである。各感光体ドラムの周囲に、感光体ドラムの回転に従い画像形成処理するための装置が配置されている。ブラック画像形成を行う感光体ドラム20Bkを対象として説明すると、感光体ドラム20Bkの回転方向に沿って画像形成処理を行う帯電装置30Bk,現像装置40Bk、1次転写ローラ12Bkおよびクリーニング装置50Bkが配置されている。
【0011】
光書込装置8は、光源としての半導体レーザ、カップリングレンズ、fθレンズ、トロイダルレンズ、折り返しミラーおよび偏向手段としての回転多面鏡などを装備している。光書込装置8は、各感光体ドラム20Y,20C,20M,20Bkに対して色毎に対応した書き込み光Lbを出射して感光体ドラム20Y,20C,20M,20Bkに静電潜像を形成する。図1では、便宜上、ブラック画像の画像ステーションのみを対象として符号が付けてあるが、その他の画像ステーションも同様である。
【0012】
中間転写ベルトユニット10は、無端ベルトである中間転写体である中間転写ベルト11、1次転写ローラ12Y、12C、12M、12Bkの他に、中間転写ベルト11が掛け回されている弾性ローラ72及び従動ローラ73を有している。従動ローラ73は、バネなどを用いた付勢手段を備え、中間転写ベルト11に対する張力付勢手段としても機能する。
【0013】
また、プリンタ200は、転写部材としての転写ローラである二次転写ローラ5と、中間転写クリーニング装置13とを有する。二次転写ローラ5は、中間転写ベルト11に対向して配設され中間転写ベルト11に従動し、連れ回りする。中間転写クリーニング装置13は、中間転写ベルト11に対向して配設され中間転写ベルト11上をクリーニングする。
【0014】
中間転写クリーニング装置13は、中間転写ベルト11に当接するように配設されたクリーニングブラシとクリーニングブレードとを有し、これらにより、中間転写ベルト11上の残留トナー等の異物を掻き取って除去し、中間転写ベルト11をクリーニングする。中間転写クリーニング装置13は中間転写ベルト11から除去した残留トナーを搬出し廃棄するための排出手段を有する。
【0015】
以上の中間転写ベルトユニット10と、1次転写ローラ12Y、12C、12M、12Bkと、二次転写ローラ5と、中間転写クリーニング装置13とで転写装置71が構成されている。
【0016】
プリンタ200は、記録材としての用紙Sを積載したシート給送装置61を本体下部に備えている。シート給送装置61は、最上位の用紙Sの上面に当接する給送ローラ3を有しており、給送ローラ3が反時計回り方向に回転駆動されることにより、最上位の用紙Sをレジストローラ対4に向けて給送する。
【0017】
レジストローラ対4は、シート給送装置61から搬送されてきた用紙Sを、中間転写ベルト上のトナー像が、二次転写ニップに到達するタイミングに合わせた所定のタイミングで、二次転写ニップに向けて繰り出す。プリンタ200は、用紙Sの先端がレジストローラ対4に到達したことを検知するセンサも備える。
【0018】
プリンタ200は、トナー像が転写された用紙S(定着対象)上にトナー像を定着させるための定着ユニットとしての接触加熱方式の定着装置100を有する。また、プリンタ200は、定着済みの用紙Sをプリンタ200の本体外部に排出する排紙ローラ7と、プリンタ200の本体上部に配設されて排紙ローラ7によりプリンタ200の本体外部に排出された用紙Sを積載する排紙トレイ17とを有する。また、プリンタ200は、排紙トレイ17の下側に、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各色のトナーを収容したトナーボトル9Y、9C、9M、9Bkを有する。
【0019】
プリンタ200の画像形成動作は次のとおりである。4つの画像形成ステーションで各感光体ドラム20Y、20C、20M、20Bkに可視像を形成する。各感光体ドラム20Y、20C、20M、20Bkに形成された可視像は、各感光体ドラム20Y、20C、20M、20Bkに対峙しながら矢印A1方向に移動する中間転写ベルト11に対し1次転写行程を実行してそれぞれの画像が重畳転写される。中間転写ベルト11に重畳転写された可視像は、用紙Sに対して二次転写ローラ5で二次転写行程を実行することで一括転写される。トナー像が一括転写された用紙Sは定着装置100でトナー像が定着され、定着済みの用紙Sは排紙ローラ7によりプリンタ200の本体外部に排出される。
【0020】
図2は、定着装置100の概略構成図である。定着装置100は、回転可能な定着部材としての無端状の定着ベルト101と、これに対向配置されて回転可能な加圧部材としての加圧ローラ103とを有している。定着装置100は、定着ベルト101の内側に、メインヒータ102aとサブヒータ102bとを有するヒータ部102、ニップ形成部材としてのパッド106および支持部材107を有する。また、定着装置100は、定着ベルト101の内側に、反射板であるリフレクタ109と、摺動部材116を有する。これら、定着ベルト101の内側に配置されているメインヒータ102a、サブヒータ102b、パッド106、摺動部材116及び支持部材107は、いずれも定着ベルト101の幅方向長さ以上の長さを有している。図中、用紙Sは下方から上方に向けて搬送され、定着ベルト101の移動方向は図中反時計回りである。
【0021】
定着ベルト101は、ニッケルやSUSなどの金属ベルトやポリイミドなどの樹脂材料を用いた無端ベルトまたはフィルムで構成される。ベルトの表層はPFAまたはPTFE層などの離型層を有し、トナーが付着しないように離型性を持たせている。ニッケルやSUSなどからなるベルトの基材とPFAまたはPTFE層の間にはシリコーンゴムの層などで形成された弾性層があっても良い。シリコーンゴム層の変形により、微小な凹凸が吸収されユズ肌画像が改善する。さらには、ベルトの基材と弾性層との間に銅やニッケルなどの高熱伝導性で形成された金属層としての高熱伝導層があってもよい。高熱伝導層を設けることで、高熱伝導層により幅方向に定着ベルトの熱を移動することができ、定着ベルトの幅方向の温度の均一化を図ることができる。
【0022】
加圧ローラ103は芯金105に弾性ゴム層104があり、離型性を得るために表面に離型層(PFAまたはPTFE層)103aが設けてある。加圧ローラ103は、画像形成装置に設けられたモータなどの駆動源からギヤを介して駆動力が伝達され回転する。また、加圧ローラ103は、スプリングなどにより定着ベルト101側に押し付けられており、弾性ゴム層104が押し潰されて変形することにより、所定のニップ幅を有している。加圧ローラ103は中空のローラであっても良く、加圧ローラ103にハロゲンヒータなどの加熱源を有していても良い。
【0023】
定着ベルト101の内側に配置されたニップ形成部材としてのパッド106は、定着ベルト101を介して加圧ローラ103との間で定着部である定着ニップNを形成する。パッド106は、定着ベルト内面と摺動する摺動部材116が設けられている。このパッド106は、支持部材107に支持されている。支持部材107は、加圧ローラ103により圧力を受けるパッド106の撓みを防止し、軸方向で均一なニップ幅を得られるようにしている。
【0024】
メインヒータ102aおよびサブヒータ102bは、ハロゲンヒータであり、定着ベルト101は、内周側からこれらヒータ102a,102bの輻射熱で直接加熱される。ここで、各ヒータ102a,102bは、定着ベルト101を加熱できればよく、IHであっても良いし、抵抗発熱体、カーボンヒータ等であっても良い。
【0025】
メインヒータ102aは、用紙の幅方向の中央の発熱量が幅方向両端の発熱量よりも多い発熱分布を有している。一方、サブヒータ102bは、幅方向両端の発熱量が、中央の発熱量よりも多い発熱分布を有している。
【0026】
また、本実施形態では、各ヒータ102a,102bと支持部材107との間にリフレクタ109が設けられている。リフレクタ109を備える代わりに、支持部材107の表面に断熱もしくは鏡面処理を行っても同様の効果を得ることが可能となる。
【0027】
定着ベルト101は加圧ローラ103により連れ回り回転する。図2の場合は加圧ローラ103が駆動源により回転し、定着ニップNでベルトに駆動力が伝達されることにより定着ベルト101が回転する。用紙上の画像たるトナー像は定着ニップNにおいて加熱・加圧により定着される。
【0028】
また、定着装置100は、定着ベルト101の外部に、定着ベルト101の表面温度の異常を検知してヒータへの電力供給を停止させる電力遮断手段たる電力遮断装置を有している。
【0029】
図3は、電力遮断装置120のブロック図である。
電力遮断装置120は、メインヒータ102aへの電力供給を遮断する第一メイン用保護部を構成するメイン用サーモスタット121a、第二メイン用保護部122aとを有している。また、電力遮断装置120は、サブヒータ102bへの電力供給を遮断する第一サブ用保護部を構成するサブ用サーモスタット121b、第二サブ用保護部122bとを有している。
【0030】
温度応答素子であり、保護素子であるメイン用サーモスタット121aは、電源部150の電力をメインヒータ102aへ供給するメイン電気回路に設けられている。メイン用サーモスタット121aは、定着ベルト101の温度が規定温度以上となると、メインヒータ102aへの電力供給を遮断する。上記規定温度は、一般的に、定着装置の正常動作における定着ベルト101の温度より高く、定着ベルト101およびその周りの部品に悪影響が及ばないように設定される。
【0031】
温度応答素子であり、保護素子であるサブ用サーモスタット121bは、電源部150の電力をサブヒータ102bへ供給するサブ電気回路に設けられており、定着ベルト101の温度が規定温度以上となるのと、サブヒータ102bへの電力供給を遮断する。
【0032】
第二メイン用保護部122aは、温度応答素子としてのメイン用温度検知センサ123aと、制御部124とメイン電気回路に設けられたリレースイッチ125aとで構成されている。メイン用温度検知センサ123aが、定着ベルト101の温度が規定温度以上であることを検知したら、制御部124はリレースイッチ125aをOFFにして、メインヒータ102aへの電力供給を遮断する。
【0033】
第二サブ用保護部122bは、温度応答素子としてのサブ用温度検知センサ123bと、制御部124とサブ電気回路に設けられたリレースイッチ125bとで構成されている。サブ用温度検知センサ123bが、定着ベルト101の温度が規定温度以上であることを検知したら、制御部124はリレースイッチ125bをOFFにして、サブヒータ102bへの電力供給を遮断する。
【0034】
本実施形態の電力遮断装置120は、一つのヒータに対して2つの保護部を有している。これにより、2つの保護部のうち、ひとつが故障しても、もう一方の保護部が機能し、ヒータへの電力を遮断することができる。これにより、一つのヒータに対して保護部がひとつの場合に比べて、より確実に、装置の保護を行うことができる。
【0035】
また、本実施形態では、一つのヒータに対して、サーモスタットの保護部と、温度検知センサを用いた保護部とを用いているが、保護部の組み合わせは、これに限られない。例えば、サーモスタットの保護部と温度ヒューズの保護部の組み合わせ、サーモスタットの保護部とサーモスタットの保護部との組み合わせ、温度ヒューズの保護部と温度検知センサを用いた保護部の組み合わせ等、装置の構成によって適宜組み合わせればよい。
【0036】
温度検知センサを用いた保護部は、温度検知センサが規定温度以上であることを検知した時点で、ヒータの電力供給を遮断できる。従って、サーモスタットや温度ヒューズに比べて定着ベルト101の温度が規定温度以上となってからヒータの電力供給を遮断するまでの時間が短い。特に、熱容量が少なく、省エネ性が向上した定着装置であるほど、定着ベルト101の昇温速度が速いため、定着ベルト101の温度が規定温度以上となった場合により早くヒータの電力供給を遮断する必要がある。
【0037】
よって、2つの保護部のうち少なくとも一方を、温度検知センサを用いた保護部とすることで、定着ベルト101の温度が規定温度以上となって場合にすばやくヒータの電力供給を遮断することが可能となり好ましい。
【0038】
図4(a)は、定着装置100を下方(用紙Sの搬送方向上流側)から見た概略図であり、図4(b)は、図4(a)のA-A断面図であり、図4(c)は、図4(a)のB-B断面図である。
定着装置100は、定着ベルト101と加圧ローラ103とを覆う樹脂成型品である下カバー部材100aと上カバー部材100bとを有している。下カバー部材100aには、二次転写ニップを通過した後の用紙Sが搬入される搬入部100cを有しており、上カバー部材100bには、トナー画像が定着された用紙Sが排出される排出部100dを有している。
【0039】
下カバー部材100aには、電力遮断装置120の温度応答素子としてのサブ用サーモスタット121b、メイン用サーモスタット121a、メイン用温度検知センサ123aおよびサブ用温度検知センサ123bが組み付けられている。サブ用サーモスタット121b、メイン用サーモスタット121a、サブ用温度検知センサ123bおよびメイン用温度検知センサ123aは、異常をより早く検出する必要がある。そのため、これらは、定着ベルト101の表面温度が通常最も高温になる箇所に対向配置している。具体的には、定着ベルト101の最もヒータ102a,102bに近い領域と対向するようにサブ用サーモスタット121b、メイン用サーモスタット121a、サブ用温度検知センサ123bおよびメイン用温度検知センサ123aを配置している。
【0040】
上述したようにメインヒータ102aは、用紙の幅方向の中央の発熱量が幅方向両端の発熱量よりも多い発熱分布を有しており、サブヒータ102bは、幅方向両端の発熱量が、中央の発熱量よりも多い発熱分布を有している。従って、サブ用サーモスタット121bおよびサブ用温度検知センサ123bを軸方向両側に配置し、メイン用サーモスタット121aおよびメイン用温度検知センサ123aを中央に配置している。
【0041】
図4(a)、図4(b)に示すようにメイン用温度検知センサ123aおよびサブ用温度検知センサ123bは、スナップフィットにより下カバー部材100aに取り付けられている。一方、メイン用サーモスタット121aおよびサブ用サーモスタット121bは、ネジ131により下カバー部材100aに組み付けられている。各温度検知センサ123a,123bをスナップフィットで固定することで、安価な構成で、簡単に各温度検知センサ123a,123bを下カバー部材に取り付けることができる。
【0042】
図5は、図4(b)のCの部分の拡大図である。
図5に示すように、下カバー部材100aには、サブ用温度検知センサ123bの検知部123a1が貫通する貫通穴部132が設けられている。また、この貫通穴部132から少し離れた箇所から外側に延び出した一対の弾性固定部133が設けられている。これら弾性固定部133の先端には、爪部133aが設けられている。なお、一対の弾性固定部133の一方のみに爪部133aを設けた構成でもよい。
【0043】
サブ用温度検知センサ123bは、これら弾性固定部133の先端を外側に弾性変形させながら、検知部123b1を貫通穴部132に挿入していく。そして、サブ用温度検知センサ123bが下カバー部材100aに突き当たると、サブ用温度検知センサ123bは、弾性固定部133の爪部133aよりも内側に位置する。その結果、弾性固定部133が復元し、サブ用温度検知センサ123bが下カバー部材100aと爪部133aとにより挟持固定される。
なお、メイン用温度検知センサ123aについても、サブ用温度検知センサ123bと同様にして下カバー部材100aに組み付けられている。
【0044】
図6は、図4(c)のD-D断面図である。
図6に示すように、下カバー部材100aには、サブ用サーモスタット121bが嵌合する嵌合穴134が設けられている。この嵌合穴134にサブ用サーモスタット121bを嵌合させ、サブ用サーモスタット121bの鍔状形状部分を下カバー部材100aに突き当てることで、サブ用サーモスタット121bが仮組み付けされる。その後、ネジ131を下カバー部材100aのネジ穴にねじ込むことで電気ケーブル125をサブ用サーモスタット121bの接続端子に締結するとともに、サブ用サーモスタット121bが下カバー部材100aに締結される。
なお、メイン用サーモスタット121aについても、サブ用サーモスタット121bと同様にして下カバー部材100aに組み付けられている。また、これらサーモスタット121a,121bを、温度検知センサ123a,123bと同様にスナップフィットにより下カバー部材100aに組み付けてもよい。これにより安価な構成で、簡単に各サーモスタット121a,121bを下カバー部材100aに取り付けることができる。
【0045】
図7は、従来構成について説明する図である。
図7に示すように従来は、下カバー部材100aの内周面に電力遮断装置120のサブ用サーモスタット121b、メイン用サーモスタット121a、サブ用温度検知センサ123bおよびメイン用温度検知センサ123a(以下、これらを温度応答素子という)が組み付けられる組み付け部100eが設けられていた。
【0046】
例えば、ネジ131の締め忘れや、弾性固定部133の破損により組み付け部100eに組み付けられた電力遮断装置120の複数の温度応答素子のうちの少なくとも一つが適正に組み付けられていない場合がある。図7に示す従来構成においては、装置出荷時の最終チェックにおいて、組み付け部100eに組み付けられた電力遮断装置120の複数の温度応答素子が適正に組み付けられているかを確認することができない。電力遮断装置120の温度応答素子が適正に組み付けられていない場合、正しく定着ベルトの表面温度を感知できず、定着ベルトの温度が規定温度以上となっても、ヒータへの電力供給を遮断できないおそれがある。
【0047】
一方、本実施形態では、電力遮断装置120の温度応答素子である温度検知センサ123a,123bおよびサーモスタット121a,121bは、定着装置100の外部に露出するように、定着装置の下カバー部材に組み付けられている。これにより、完成状態(下カバー部材100aを取り外すことなく)で電力遮断装置120の温度検知センサ123a,123bおよびサーモスタット121a,121bが正しく組み付けられているか否かを目視で確認することができる。
【0048】
また、外側から電力遮断装置120の温度検知センサ123a,123bおよびサーモスタット121a,121bの取り付け、取り外しを行うことができる。これにより、複数の温度応答素子のうちの少なくとも一つが適正に組み付けられていない場合、下カバー部材100aを取り外すことなく、その温度応答素子の組み付けなおしを行うことができる。また、下カバー部材100aを取り外すことなく、電力遮断装置120の温度検知センサ123a,123bおよびサーモスタット121a,121bの交換を行うことができ、交換作業性を高めることができる。
【0049】
また、温度検知センサ123a,123bをスナップフィット固定する弾性固定部133を下カバー部材100aの外周面から延び出すようにして、根元から露出するようにしている。弾性固定部133は、温度検知センサを組み付ける際に根元が最も折れやすい。そのため、本実施形態のように弾性固定部133を根元から露出するようにすることで、下カバー部材100aを取り外すことなく弾性固定部133の根元を確認することができ、容易に弾性固定部133の破損を発見できる。
【0050】
また、本実施形態では、電力遮断装置120の温度検知センサ123a,123bおよびサーモスタット121a,121bを下カバー部材100aに組み付けている。これにより、電力遮断装置120の温度検知センサ123a,123bおよびサーモスタット121a,121bを組み付けるための部品を別に設ける場合に比べて、部品点数を削減でき、装置のコストダウンを図ることができる。
【0051】
本実施形態では、メイン用温度検知センサ123aおよびサブ用温度検知センサ123bは、外部に露出しているため環境温度の影響を受けやすく、環境温度の影響で精度のよい温度検知ができないおそれがある。そのため、本実施形態では、メイン用温度検知センサ123aおよびサブ用温度検知センサ123bとして、温度補償機能付きのサーミスタを用いている。温度補償機能付きのサーミスタは、定着ベルトの表面温度を検出する検出部と、サーミスタの周囲温度を検出する補償検出部と有している。そして、検出部の定着ベルトの温度に応じた検出出力信号の周囲温度による変動を、補償検出部の周囲温度に応じた補償出力信号に基づいて補正する。具体的には、温度検知センサの制御回路で、定着ベルトの温度に応じた検出出力信号を、補償検出部の周囲温度に応じた補償出力信号に基づいて補正する。
これにより、メイン用温度検知センサ123aおよびサブ用温度検知センサ123bが外部に露出していても、精度よく定着ベルトの温度を検出することができる。
【0052】
また、温度検知センサから検出出力信号と、補償出力信号とを制御部124に出力し、制御部124で、検出出力信号と補償出力信号とに基づいて定着ベルトの温度を特定するようにしてもよい。
【0053】
次に、定着装置の変形例について説明する。
【0054】
[変形例1]
図8は、変形例1の定着装置を示す概略構成図であり、(a)が下から見た図であり、図8(b)は、図8(a)のA-A断面図であり、図8(c)は、図8(a)のB-B断面図である。
図8に示す変形例1の定着装置100は、板金からなる金属フレーム140により加圧ローラ103等を保持し、上カバー部材100bおよび下カバー部材100aは、金属フレーム140に取り付けられる。金属フレーム140は、樹脂よりも剛性が高いため、金属フレーム140に加圧ローラ103等を保持することで、部品の位置精度を高めることができる。一方、金属フレーム140は、熱伝導性が高いため、機内温度上昇防止の観点から、金属フレーム140を下カバー部材100aと上カバー部材100bとによりできるだけ覆う構成としている。
【0055】
また、金属フレーム140には、電力遮断装置120のメイン用温度検知センサ123aとサブ用温度検知センサ123bを保持する樹脂からなる第一素子保持板141が取り付けられている。また、金属フレーム140には、電力遮断装置120のメイン用サーモスタット121aとサブ用サーモスタット121bを保持する樹脂からなる第二素子保持板142も取り付けられている。
【0056】
第一素子保持板141は、メイン用温度検知センサ123aをスナップフィットで固定するための一対の弾性固定部133と、サブ用温度検知センサ123bをスナップフィットで固定するための一対の弾性固定部133とを有している。これら弾性固定部133は、実施形態同様、根元から露出するように第一素子保持板141に形成されている。そして、メイン用温度検知センサ123aおよびサブ用温度検知センサ123bは、スナップフィットにより第一素子保持板141に保持される。
【0057】
第二素子保持板142は、メイン用サーモスタット121aをネジ止めするための一対のネジ穴と、サブ用サーモスタット121bをネジ止めするための一対のネジ穴とを有している。メイン用サーモスタット121aおよびサブ用サーモスタット121bは、一対のネジ131により第二素子保持板142に締結され、第二素子保持板142に保持される。
なお、第一素子保持板141は、弾性固定部が容易に弾性変形可能なように、樹脂材に構成するのが好ましい。一方、ネジで締結するサーモスタット121a,121bに関しては、第二素子保持板142を無くし、直接、金属フレーム140にネジで締結する構成であってもよい。しかし、樹脂製の第二素子保持板142を用いることで、絶縁性を容易に確保でき好ましい。
【0058】
このように、金属フレーム140を設け、この金属フレーム140に素子保持板141,142を介して電力遮断装置120の複数の温度応答素子(温度検知センサ123a,123b、サーモスタット121a,121b)を取り付けることで、以下の利点を得ることができる。すなわち、定着装置の剛性を確保しつつ、電力遮断装置120の複数の温度応答素子(温度検知センサ123a,123b、サーモスタット121a,121b)と定着ベルト101とのギャップ精度を高めることができる。
【0059】
また、下カバー部材100aには、これら素子保持板141,142に取り付けられた温度検知センサ123a,123bおよびサーモスタット121a,121bを外部に露出させるための開口部135が設けられている。これにより、素子保持板141,142に保持された温度検知センサ123a,123bおよびサーモスタット121a,121bを、下カバー部材100aの開口部135を介して外側から取り付け、取り外しを行うことができる。これに実施形態と同様に、下カバー部材100aを取り外すことなく、電力遮断装置120の温度検知センサ123a,123bおよびサーモスタット121a,121bの交換を行うことができ、交換作業性を高めることができる。
【0060】
また、この開口部135を介して、電力遮断装置120の温度検知センサ123a,123bおよびサーモスタット121a,121bが正しく組み付けられているか否かの確認を行うことができる。よって、実施形態と同様に、下カバー部材を取り外すことなく、電力遮断装置120の温度検知センサ123a,123bおよびサーモスタット121a,121bが正しく組み付けられているか否かを目視で確認することができる。また、各弾性固定部133の破損も、下カバー部材を取り外すことなく、確認することができる。
【0061】
[変形例2]
図9は、変形例2の定着装置を示す概略構成図であり、(a)が下から見た図であり、図9(b)は、図9(a)のA-A断面図であり、図9(c)は、図9(a)のB-B断面図である。
この変形例2は、電力遮断装置120の複数の温度応答素子(温度検知センサ123a,123bおよびサーモスタット121a,121b)を実施形態と同様に下カバー部材100aに取り付けている。そして、この変形例2は、これら温度応答素子が、定着ベルトの温度を感知するための感知開口部140aを金属フレーム140に設けている。
【0062】
この変形例2では、素子保持板141,142がないため変形例1に比べて部品点数を削減でき、変形例1に比べて、装置のコストアップを抑制できるというメリットがある。
【0063】
[変形例3]
図10は、変形例3の定着装置を示す概略構成図であり、(a)が下から見た図であり、図10(b)は、図10(a)のA-A断面図であり、図10(c)は、図10(a)のB-B断面図である。
この変形例3では、下カバー部材100aの電力遮断装置120の温度検知センサ123a,123bが取り付けられる部分と、サーモスタット121a,121bが取り付けられる部分とを凹状としたものである。これにより、定着装置の装置本体への組み付け時や、装置本体からの取り外し時に電力遮断装置120の温度検知センサ123a,123b、サーモスタット121a,121bおよび弾性固定部133がものにぶつかるのを抑制できる。これにより、定着装置の着脱時に温度検知センサ123a,123b、サーモスタット121a,121bおよび弾性固定部133が破損するのを抑制することができる。
なお、この変形例3では、金属フレーム140を備えた定着装置であるが、図4に示した金属フレーム140を有さない定着装置にも、適用可能である。
【0064】
以上、本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、上述の説明で特に限定していない限り、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0065】
以上に説明したものは一例であり、次の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様1)
定着ベルト101などの定着部材と、定着部材を加圧して定着ニップを形成する加圧ローラ103などの加圧部材と、定着部材を加熱するヒータ102a,102bなどの熱源と、定着部材の温度に応じた出力または動作を行う複数の温度応答素子(温度検知センサやサーモスタット)とを備えた定着装置において、複数の温度応答素子は、当該定着装置の外部に露出するように、当該定着装置に組み付けられる。
これによれば、実施形態で説明したように、複数の温度応答素子が定着装置の外部に露出するように定着装置に組み付けられているため、複数の温度応答素子について、組み付け状態を容易に確認することができる。
【0066】
(態様2)
態様1において、複数の温度応答素子のうちの少なくとも一つは、定着ベルト101などの定着部材の温度が規定温度以上となったら、ヒータなどの熱源への電力供給を遮断するサーモスタットなどの保護素子である。
これによれば、実施形態で説明したように、サーモスタットなどの保護素子の組み付け状態を容易に確認することができる。これにより、サーモスタットなどの保護素子が正しく組み付けられておらず、定着ベルト101などの定着部材の温度が規定温度以上となっても、熱源への電力供給が遮断されない事態が生じるのを抑制することができる。
【0067】
(態様3)
態様1または2において、複数の温度応答素子のうちの少なくとも一つは、定着ベルト101の定着部材の温度に応じた出力信号を出力する温度検知センサである。
これによれば、実施形態で説明したように、温度検知センサの組み付け状態を容易に確認することができる。これにより、温度検知センサが正しく組み付けられておらず、定着ベルト101などの定着部材の温度を精度よく検知できない事態が生じるのを抑制することができる。
【0068】
(態様4)
態様3において、温度検知センサの出力信号に基づいてヒータなどの熱源への電力供給を遮断する保護部などの保護手段を備える。
これによれば、実施形態で説明したように、温度検知センサが正しく組み付けられておらず、定着ベルト101が規定温度以上となっても、熱源への電力供給が遮断されないという事態が生じるのを抑制することができる。
また、温度検知センサの出力信号に基づいてヒータなどの熱源への電力供給を遮断する保護部を有することで、実施形態で説明したように定着部材が異常温度となったときに、サーモスタットなどの保護素子よりも早く熱源への電力供給を遮断することができる。これにより、熱容量の少ない省エネタイプの定着装置であっても、定着ベルト101が異常高温となる前に、熱源への電力を遮断することができる。
【0069】
(態様5)
態様1乃至4いずれかにおいて、複数の温度応答素子は、当該定着装置の外側から当該定着装置に組み付けられる。
これによれば、実施形態で説明したように、温度応答素子が正しく組み付けられていなかったときに定着装置をばらさずに、温度応答素子の再組付けを行うことができる。また、定着装置をばらさずに、温度応答素子の交換を行うことができ、交換作業性を高めることができる。
【0070】
(態様6)
態様1乃至5いずれかにおいて、複数の温度応答素子のうちの少なくとも一つは、スナップフィットにより当該定着装置に固定される。
これによれば、実施形態で説明したように、安価な構成で、簡単に温度応答素子を定着装置に組み付けることができる。
【0071】
(態様7)
態様6において、温度応答素子をスナップフィットで固定する弾性固定部133などのスナップフィット固定部は、根元まで当該定着装置から露出している。
これによれば、実施形態で説明したように、破損しやすい弾性固定部133などのスナップフィット固定部の根元を、定着装置をばらさずに確認することができる。これにより、スナップフィット固定部の破損による異常組み付けを容易に検出することができる。
【0072】
(態様8)
態様1乃至7いずれかにおいて、複数の温度応答素子は、定着ベルト101などの定着部材および加圧ローラ103などの加圧部材を覆う下カバー部材100aなどのカバー部材に組み付けられる。
これによれば、温度応答素子を定着装置の外部に露出するように、定着装置に組み付けることができる。
【0073】
(態様9)
態様1乃至8いずれかにおいて、定着ベルトなどの定着部材の温度が規定温度以上となったら、熱源への電力供給を遮断する保護手段を複数備え、各保護手段には、前記温度応答素子を有する。
これによれば、実施形態で説明したように、保護部などの保護手段を複数備えることで、複数の保護手段のうちひとつが故障しても、別の保護手段により定着ベルトなどの定着部材の温度が規定温度以上となったときにヒータなどの熱源への電力供給を遮断することができる。
【0074】
(態様10)
態様9において、定着ベルト101などの定着部材の温度が規定温度以上となったら、ヒータなどの熱源への電力供給を遮断するサーモスタットなどの保護素子を有する保護部などの保護手段と、定着部材の温度に応じた出力信号を出力する温度検知センサを有する保護部などの保護手段とを有する。
これによれば、定着部材の温度が規定温度以上となったときにヒータなどの熱源への電力供給を遮断することができる。
【0075】
(態様11)
記録材に画像を形成する画像形成部と、記録材に形成された画像を記録材に定着させる定着装置とを備えた画像形成装置において、定着装置として、態様1乃至10いずれかの定着装置を用いた。
これによれば、実施形態で説明したように、複数の温度応答素子が定着装置の外部に露出するように定着装置に組み付けられているため、複数の温度応答素子について、組み付け状態を容易に確認することが可能な画像形成装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0076】
100 :定着装置
100a :下カバー部材(カバー部材)
100b :上カバー部材(カバー部材)
100c :搬入部
100d :排出部
101 :定着ベルト(定着部材)
102 :ヒータ部
102a :メインヒータ(熱源)
102b :サブヒータ(熱源)
103 :加圧ローラ(加圧部材)
120 :電力遮断装置
121a :メイン用サーモスタット(温度応答素子、保護素子)
121b :サブ用サーモスタット(温度応答素子、保護素子)
122a :第二メイン用保護部(保護手段)
122b :第二サブ用保護部
123a :メイン用温度検知センサ(温度応答素子)
123a1 :検知部
123b :サブ用温度検知センサ(温度応答素子)
123b1 :検知部
124 :制御部
125 :電気ケーブル
125a :リレースイッチ
125b :リレースイッチ
131 :ネジ
132 :貫通穴部
133 :弾性固定部
133a :爪部
134 :嵌合穴
135 :開口部
140 :金属フレーム
140a :感知開口部
141 :第一素子保持板
142 :第二素子保持板
150 :電源部
200 :プリンタ
N :定着ニップ
S :用紙(記録材)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0077】
【特許文献1】特開2015-210406号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10