(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024007232
(43)【公開日】2024-01-18
(54)【発明の名称】吸収性物品の収容体
(51)【国際特許分類】
B65D 85/07 20170101AFI20240111BHJP
【FI】
B65D85/07
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022108576
(22)【出願日】2022-07-05
(71)【出願人】
【識別番号】000115108
【氏名又は名称】ユニ・チャーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003247
【氏名又は名称】弁理士法人小澤知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウィー ステンリースルヤウィナタ
(72)【発明者】
【氏名】植田 隆宏
(72)【発明者】
【氏名】谷尾 俊幸
(72)【発明者】
【氏名】横市 綾
【テーマコード(参考)】
3E068
【Fターム(参考)】
3E068AA40
3E068AB02
3E068AC05
3E068BB06
3E068BB17
3E068CC22
3E068CE01
3E068CE03
3E068CE08
3E068EE22
3E068EE40
(57)【要約】
【課題】使用前に吸収性物品の衛生状態を維持しつつ、包装体の開封前に香料を使用者に付与できる吸収性物品の収容体を提供する。
【解決手段】吸収性物品の収容体(1)は、吸収性物品の包装体(10)が積層された積層体(50)を、収容シート(2)によって収容している。包装体は、香料を有する吸収性物品(20)を包装シート(12)によって個別に包装している。収容体は、正面視にて載置した載置状態において、上下方向に延びる縦方向(X)と、縦方向と直交する横方向(Y)と、奥行方向(Z)と、を有する。載置状態において、積層体の横方向の長さをCとし、積層体の奥行方向の長さをDとし、収容体において積層体を収容する収容空間の横方向の長さをFとすると、(C
2+D
2)
1/2>Fを満たす。収容シートの酸素透過度は、包装シートの酸素透過度よりも低く、23℃において、200cc/m
2/day/atm以下である。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸収性物品の包装体が積層された積層体を、収容シートによって収容した吸収性物品の収容体であって、
前記吸収性物品の包装体は、香料を有する吸収性物品を包装シートによって個別に包装しており、
前記収容体は、正面視にて載置した載置状態において、上下方向に延びる縦方向と、前記縦方向と直交する横方向と、前記縦方向及び前記横方向と直交する奥行方向と、を有し、
前記載置状態において、前記積層体の前記横方向の長さをCとし、前記積層体の前記奥行方向の長さをDとし、前記収容体において前記積層体を収容する収容空間の前記横方向の長さをFとすると、
(C2+D2)1/2>Fを満たし、
前記収容シートの酸素透過度は、前記包装シートの酸素透過度よりも低く、23℃において、200cc/m2/day/atm以下である、吸収性物品の収容体。
【請求項2】
吸収性物品の包装体が積層された積層体を、収容シートによって収容した吸収性物品の収容体であって、
前記吸収性物品の包装体は、香料を有する吸収性物品を包装シートによって個別に包装しており、
前記収容体は、正面視にて載置した載置状態において、上下方向に延びる縦方向と、前記縦方向と直交する横方向と、を有し、
前記載置状態において、前記収容体において前記積層体を収容する収容空間の前記横方向の長さと、前記積層体の前記横方向の長さと、の差は、前記積層体の前記縦方向の全域に亘って一定であり、
前記収容シートの酸素透過度は、前記包装シートの酸素透過度よりも低く、23℃において、200cc/m2/day/atm以下である、吸収性物品の収容体。
【請求項3】
前記収容シートの酸素透過度は、23℃において、100cc/m2/day/atm以下であり、
前記包装シートの酸素透過度は、23℃において、200cc/m2/day/atmよりも高い、請求項1に記載の吸収性物品の収容体。
【請求項4】
前記収容シートは、アルミナ系蒸着又はEVOH樹脂(エチレン・ビニルアルコール共重合体)からなる酸素低透過層を含み、
前記包装シートは、前記酸素低透過層を含まない樹脂層である、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の吸収性物品の収容体。
【請求項5】
前記包装体は、前記包装シートを包装接合部によって接合することで、前記吸収性物品を内包しており、
前記収容体は、前記収容シートを収容接合部によって接合することで、前記包装体を密封しており、
前記包装接合部の少なくとも一部は、非連続に設けられ、
前記収容接合部は、連続して設けられている、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の吸収性物品の収容体。
【請求項6】
前記包装体は、厚み方向に直交する第1方向及び第2方向を有し、前記包装シートを包装接合部によって接合することで、前記吸収性物品を内包しており、
前記包装接合部は、前記包装シート及び前記吸収性物品が前記第1方向に延びる折り目を基点に複数回折り畳まれた状態で、前記包装体の前記第1方向の両端部において前記包装シート同士を接合する第1包装接合部と、前記第2方向における前記包装シートの端部を止める第2包装接合部と、を有し、
前記第1包装接合部及び前記第2包装接合部の一方は、連続して設けられ、
前記第1包装接合部及び前記第2包装接合部の他方は、非連続に設けられている、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の吸収性物品の収容体。
【請求項7】
前記包装体は、前記包装シートを包装接合部によって接合することで、前記吸収性物品を内包しており、
前記収容体は、前記収容シートを収容接合部によって接合することで、前記包装体を密封しており、
前記包装接合部の延出方向と直交する直交方向の長さは、前記収容接合部の延出方向と直交する直交方向の長さよりも短い、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の吸収性物品の収容体。
【請求項8】
前記包装体は、厚み方向に直交する第1方向及び第2方向を有し、前記包装シートを包装接合部によって接合することで、前記吸収性物品を内包しており、
前記包装接合部は、前記包装シート及び前記吸収性物品が前記第1方向に延びる折り目を基点に複数回折り畳まれた状態で、前記包装体の前記第1方向の両端部に配置された包装シート同士を接合する一対の第1包装接合部を有し、
前記包装体の伸長状態において、一対の第1包装接合部の前記第1方向の外端縁同士の距離は、前記収容体の収容空間の前記第1方向の長さよりも長く、
前記一対の第1包装接合部の前記第1方向の内端縁同士の距離は、前記収容体の収容空間の前記第1方向の長さよりも短い、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の吸収性物品の収容体。
【請求項9】
前記香料は、受容体活性化チャネル(TRP)に作用する冷感剤又は温感剤であって、かつ20℃で0.01mbar以下の蒸気圧をする物質を含む、請求項1から請求項3いずれか1項に記載の吸収性物品の収容体。
【請求項10】
前記吸収性物品の厚み方向おける反発力は、0.0539N・cm2以下である、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の吸収性物品の収容体。
【請求項11】
前記収容シートの曲げ剛性Bの値は、0.25g・cm2/cm以下である、請求項1から請求項3いずれか1項に記載の吸収性物品の収容体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、香料を有する吸収性物品を包装シートによって個別に包装した包装体を、収容シート内に収容した吸収性物品の収容体に関する。
【背景技術】
【0002】
香料を有する吸収性物品を包装シートによって個別に包装した吸収性物品の包装体が知られている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。特許文献1の包装シートは、メンチルラクテートに関して当該文献に記載される透過性試験に従って、25%以下の透過性を有するように構成されている。また、特許文献2の包装シートは、23℃において、100cc/m2/day/atm以下の酸素透過度を有するように構成されている。すなわち、特許文献1及び2の包装体は、包装シートの気体透過性を低くし、香料の揮散を防ぐように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2007-525245号公報
【特許文献2】特開2021-159410号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1及び2の包装体によれば、包装体の開封前の香料分の揮散を抑制できる。しかし、包装体の開封前、例えば、包装体を複数収容した収容体を開封した際及び包装体を持ち運んだりする際等においては、香料が包装体外に揮散し難く、香料の存在を使用者が気づかなかったり、包装体の開封前に使用者が香り成分を楽しむことができなかったりする。また、吸収性物品の使用前に使用者が香り成分を楽しむためには、包装体の一部を開封することが考えられる。しかし、使用前に包装体の一部を開封すると、吸収性物品の衛生状態を維持できないことがあった。
【0005】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、使用前に吸収性物品の衛生状態を維持しつつ、包装体の開封前に香料を使用者に付与できる吸収性物品の収容体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様に係る吸収性物品の収容体は、吸収性物品の包装体が積層された積層体を、収容シートによって収容している。前記吸収性物品の包装体は、香料を有する吸収性物品を包装シートによって個別に包装している。前記収容体は、正面視にて載置した載置状態において、上下方向に延びる縦方向と、前記縦方向と直交する横方向と、前記縦方向及び前記横方向と直交する奥行方向と、を有する。前記載置状態において、前記積層体の前記横方向の長さをCとし、前記積層体の前記奥行方向の長さをDとし、前記収容体において前記積層体を収容する収容空間の前記横方向の長さをFとすると、(C2+D2)1/2>Fを満たす。前記収容シートの酸素透過度は、前記包装シートの酸素透過度よりも低く、23℃において、200cc/m2/day/atm以下である。
【0007】
他態様に係る吸収性物品の収容体は、吸収性物品の包装体が積層された積層体を、収容シートによって収容している。前記吸収性物品の包装体は、香料を有する吸収性物品を包装シートによって個別に包装している。前記収容体は、正面視にて載置した載置状態において、上下方向に延びる縦方向と、前記縦方向と直交する横方向と、前記縦方向及び前記横方向と直交する奥行方向と、を有する。前記載置状態において、前記収容体において前記積層体を収容する収容空間の前記横方向の長さと、前記積層体の横方向の長さと、の差は、前記積層体の縦方向の全域に亘って一定である。前記収容シートの酸素透過度は、前記包装シートの酸素透過度よりも低く、23℃において、200cc/m2/day/atm以下である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係る吸収性物品の収容体の正面側から見た斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る吸収性物品の収容体の横方向及び奥行方向に延びる断面の断面図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る吸収性物品の収容体の縦方向及び奥行方向に延びる断面の断面図である。
【
図4】
図4は、吸収性物品の包装体の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(1)実施形態の概要
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
態様1に係る吸収性物品の収容体は、吸収性物品の包装体が積層された積層体を、収容シートによって収容している。前記吸収性物品の包装体は、香料を有する吸収性物品を包装シートによって個別に包装している。前記収容体は、正面視にて載置した載置状態において、上下方向に延びる縦方向と、前記縦方向と直交する横方向と、前記縦方向及び前記横方向と直交する奥行方向と、を有する。前記載置状態において、前記積層体の前記横方向の長さをCとし、前記積層体の前記奥行方向の長さをDとし、前記収容体において前記積層体を収容する収容空間の前記横方向の長さをFとすると、(C2+D2)1/2>Fを満たす。前記収容シートの酸素透過度は、前記包装シートの酸素透過度よりも低く、23℃において、200cc/m2/day/atm以下である。収容シートの酸素透過度は、所定の酸素透過度を有する、すなわち、気密性を有する。従って、吸収性物品の保管時において、収容体から香料が揮散することを抑制できる。また、包装シートの酸素透過度が収容シートの酸素透過度よりも高いため、香料は、包装シートを介して揮散するが、収容シートを介して揮散し難い。よって、収容体が開封され、かつ包装体の開封前の状態で、香料の一部が包装体外に揮散し、使用者に付与される。使用者は、包装体によって吸収性物品を衛生的に維持された状態で香料の香り成分を楽しむことができる。また、前記収容体において前記積層体を収容する収容空間の前記横方向の長さが積層体の対角線長さよりも長いと、収容空間の容積が積層体の容積に比して大きくなりすぎ、収容体内での香料の揮散が多くなりすぎ、吸収性物品の使用時に香料を使用者に十分付与できないおそれがある。しかし、収容空間の容積が積層体の容積に比して大きくなり過ぎないため、収容体内での香料の過度な揮散を抑制でき、長期間保管することも可能となる。よって、使用前に吸収性物品の衛生状態を維持しつつ、包装体の開封前に香料を使用者に付与できる。
【0010】
態様2に係る吸収性物品の収容体は、吸収性物品の包装体が積層された積層体を、収容シートによって収容している。前記吸収性物品の包装体は、香料を有する吸収性物品を包装シートによって個別に包装している。前記収容体は、正面視にて載置した載置状態において、上下方向に延びる縦方向と、前記縦方向と直交する横方向と、前記縦方向及び前記横方向と直交する奥行方向と、を有する。前記載置状態において、前記収容体において前記積層体を収容する収容空間の前記横方向の長さと、前記積層体の横方向の長さと、の差は、前記積層体の縦方向の全域に亘って一定である。前記収容シートの酸素透過度は、前記包装シートの酸素透過度よりも低く、23℃において、200cc/m2/day/atm以下である。収容シートの酸素透過度は、所定の酸素透過度を有する、すなわち、気密性を有する。従って、吸収性物品の保管時において、収容体から香料が揮散することを抑制できる。また、包装シートの酸素透過度が収容シートの酸素透過度よりも高いため、香料は、包装シートを介して揮散するが、収容シートを介して揮散し難い。よって、収容体が開封され、かつ包装体の開封前の状態で、香料の一部が包装体外に揮散し、使用者に付与される。使用者は、包装体によって吸収性物品を衛生的に維持された状態で香料の香り成分を楽しむことができる。また、前記収容体において前記積層体を収容する収容空間の前記横方向の長さと、前記積層体の横方向の長さと、の差が一定であることにより、収容空間の容積が積層体の容積に比して大きくなり過ぎないため、収容体内での香料の過度な揮散を抑制でき、長期間保管することも可能となる。よって、使用前に吸収性物品の衛生状態を維持しつつ、包装体の開封前に香料を使用者に付与できる。
【0011】
好ましい態様によれば、態様3に係る発明は、態様1又は態様2に係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記収容シートの酸素透過度は、23℃において、100cc/m2/day/atm以下である。前記包装シートの酸素透過度は、23℃において、200cc/m2/day/atmよりも高い。本態様によれば、包装シートの酸素透過度と、収容シートの酸素透過度と、の差が大きいため、包装シートを介して揮散するが、収容シート内に留まる香料が存在し易くなる。
【0012】
好ましい態様によれば、態様4に係る発明は、態様1から態様3のいずれかに係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記収容シートは、アルミナ系蒸着又はEVOH樹脂(エチレン・ビニルアルコール共重合体)からなる酸素低透過層を含む。前記包装シートは、前記酸素低透過層を含まない樹脂層である。本態様によれば、包装シートの酸素透過度と、収容シートの酸素透過度と、の差が大きくなり、包装シートを介して揮散するが、収容シート内に留まる香料が存在し易くなる。
【0013】
好ましい態様によれば、態様5に係る発明は、態様1から態様4のいずれかに係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記包装体は、前記包装シートを包装接合部によって接合することで、前記吸収性物品を内包している。前記収容体は、前記収容シートを収容接合部によって接合することで、前記包装体を密封している。前記包装接合部の少なくとも一部は、非連続に設けられている。前記収容接合部は、連続して設けられている。本態様によれば、収容体における密封性を高めつつ、包装体の密封性を低くし、包装体を介して香料を揮散させつつ、収容シートを介して香料を揮散させずに収容体内に香料を留めておくことができる。
【0014】
好ましい態様によれば、態様6に係る発明は、態様1から態様5のいずれかに係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記包装体は、厚み方向に直交する第1方向及び第2方向を有する。前記包装接合部は、前記包装シート及び前記吸収性物品が前記第1方向に延びる折り目を基点に複数回折り畳まれた状態で、前記包装体の前記第1方向の両端部において前記包装シート同士を接合する第1包装接合部と、前記第2方向における前記包装シートの端部を止める第2包装接合部と、を有する。前記第1包装接合部及び前記第2包装接合部の一方は、連続して設けられている。前記第1包装接合部及び前記第2包装接合部の他方は、非連続に設けられている。本態様によれば、非連続の包装接合部を介して包装体内の香料を揮散させつつ、連続の包装接合部を介して香料の過度な揮散を抑制できる。
【0015】
好ましい態様によれば、態様7に係る発明は、態様1から態様6のいずれかに係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記包装体は、前記包装シートを包装接合部によって接合することで、前記吸収性物品を内包している。前記収容体は、前記収容シートを収容接合部によって接合することで、前記包装体を密封している。前記包装接合部の延出方向と直交する直交方向の長さは、前記収容接合部の延出方向と直交する直交方向の長さよりも短い。本態様によれば、収容体における密封性を高めつつ、包装体の密封性を低くし、包装体を介して香料を揮散させつつ、収容シートを介して香料を揮散させずに収容体内に香料を留めておくことができる。
【0016】
好ましい態様によれば、態様8に係る発明は、態様1から態様7のいずれかに係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記包装体は、厚み方向に直交する第1方向及び第2方向を有する。前記包装接合部は、前記包装シート及び前記吸収性物品が第1方向に延びる折り目を基点に複数回折り畳まれた状態で、前記包装体の前記第1方向の両端部に配置された包装シート同士を接合する一対の第1包装接合部を有する。前記包装体の伸長状態において、一対の第1包装接合部の前記第1方向の外端縁同士の距離は、前記収容体の収容空間の前記第1方向の長さよりも長い。前記一対の第1包装接合部の前記第1方向の内端縁同士の距離は、前記収容体の収容空間の前記第1方向の長さよりも短い。本態様によれば、第1包装接合部の第1方向の外端縁同士の長さが、収容体の収容空間の第1方向の長さよりも長いため、一対の第1包装接合部の少なくとも一方は、収容体内で折れ曲がる。よって、当該包装接合部の折りによって、包装体の第1方向の端部からの香料の揮散を抑制でき、好適に長期間保管することができる。また、第1包装接合部の第1方向の内端縁同士の長さが、収容体の収容空間の第1方向の長さよりも短いため、第1包装接合部によって挟まれた包装体の包装空間が、外力によって収容体内で押圧され難く、内部の吸収性物品の変形を抑制し、外力による吸収性物品の変形によって香料が揮散することを抑制できる。
【0017】
好ましい態様によれば、態様9に係る発明は、態様1から態様8のいずれかに係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記香料は、受容体活性化チャネル(TRP)に作用する冷感剤又は温感剤であって、かつ20℃で0.01mbar以下の蒸気圧をする物質を含む。揮発性が低い冷感剤または温感剤の香料を用いることで、使用者は、香りを楽しむとともに、冷感又は温感の効果を感じることができる。
【0018】
好ましい態様によれば、態様10に係る発明は、態様1から態様9のいずれかに係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記吸収性物品の厚み方向おける反発力は、0.0539N・cm2以下である。本態様によれば、吸収性物品の反発力が低く、包装体の外側から力が掛かった際に、変形し易い。よって、包装体を持ち運ぶ際等、包装体単体の状態で内部の吸収性物品の変形が生じ、当該変形によって吸収性物品の香料が揮発し、香り成分を使用者に付与できる。
【0019】
好ましい態様によれば、態様11に係る発明は、態様1から態様10のいずれかに係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記収容シートの曲げ剛性Bの値は、0.25g・cm2/cm以下である。本態様によれば、収容シートの曲げ剛性が比較的に低く、外力が加わった際に柔軟に変形し易い。収容シートが柔軟に変形しにくい形態にあっては、収容シートが外圧によって破れやすくなるので内部の匂い成分が抜けて長期間保管ができなくなることがある。しかし、収容シートが柔軟に変形することで意図しない破損を抑制し、香料を留めておきつつ長期間保管することができる。
【0020】
(2)吸収性物品の収容体の構成
以下、図面を参照して、実施形態に係る吸収性物品の収容体1(以下、収容体1とする)について説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な寸法等は、以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれ得る。
【0021】
図1は、収容体1の斜視図である。
図2は、収容体1の横方向Y及び奥行方向Zに延びる断面の断面図である。
図3は、収容体1の縦方向X及び奥行方向Zに延びる断面の断面図である。収容体1は、吸収性物品の包装体(以下、包装体とする)10が積層された積層体50を、収容シート2によって収容している。
図4は、吸収性物品の包装体10の平面図である。収容体1は、収容シート2が折り畳まれ、かつ収容シート2が収容接合部5を介して接合されることにより、その内部に積層体50を収容した収容空間7を有する。収容空間7には、積層体50が収容されている。積層体50は、吸収性物品20(
図4参照)の少なくとも厚み方向Tにおいて包装体10が積層されている。収容空間7に収容される包装体10は、複数である。積層体50は、厚み方向Tに包装体10が積層された集合体が吸収性物品20の幅方向W又は前後方向Lに並んでいてもよい。すなわち、積層体50は、厚み方向T及び幅方向Wにおいて包装体10が積層されていてもよいし、厚み方向T及び前後方向Lにおいて包装体10が積層されていてもよいし、厚み方向Tのみにおいて包装体10が積層されていてもよい。本実施の形態の積層体50は、厚み方向Tのみにおいて包装体10が積層されている。
【0022】
包装体10は、香料を有する吸収性物品20を包装シート12によって個別に包装している。
図4に示すように、包装シート12は、吸収性物品20と共に折り畳まれて、吸収性物品20を個別に包装してもよい。または、包装シート12は、予め袋状に成形されており、折り畳み状態の吸収性物品20を収容するように構成されてもよい。吸収性物品20は、例えば、使い捨ておむつ、生理用ナプキン、失禁パッド、パンティライナーを例示できる。吸収性物品20は、香料を有しており、少なくとも使用時に、使用者に香り成分を付与できるように構成されている。香料は、吸収性物品20に付されていればよく、トップシート、バックシート、吸収コアのいずれかに付されていてもよいし、部材同士を接着する接着剤に付されていてもよい。
【0023】
収容体1は、正面視にて載置した載置状態において、上下方向に延びる縦方向Xと、縦方向Xと直交する横方向Yと、縦方向X及び横方向Yと直交する奥行方向Zと、を有してよい。載置状態は、収容体1の文字8の向きを上下方向に合わせた状態で収容体1のデザインから正面101を選定し、当該正面を前にして載置した状態である。
図1は、載置状態の収容体1の正面側からの斜視図である。正面のデザインは、使用者に向けてのデザインを有しており、一般的に、商品の名称、用途(夜用、昼用)、構造(ウイングあり、ウイングなし)等の情報を有する。通常、陳列されている状態で、前向きに配置される面が正面となる。なお、収容体1は、上記載置状態(正面を上下に配置した状態)における下面104が一定の長さを有しない形態にあっては、他の状態を載置状態としてよい。具体的には、下面104を構成する辺のうち短い辺の長さが30mm以内の場合、又は短い辺の長さが2個分の包装体10の厚みよりも短い場合には、下面を底面として収容体を立て難いため、デザインから選定した正面を上面とした状態を載置状態としてよい。その場合には、デザインから選定した正面を上面103とする。また、収容体にマチが形成されていない(いわゆるガセット折りでない)形態にあって、デザインから選定した正面に対する下側の面(下面)に収容接合部5が形成されている形態にあっては、収容接合部5が配置された下面を底面として収容体1を立て難いため、デザインから選定した正面を上面とした状態を載置状態としてよい。その場合には、デザインから選定した正面を上面103とする。なお、デザインから選定した正面に対する下側の面(下面)にマチが形成され、デザインから選定した正面に対する上側の面(上面)にマチが形成されていない場合には、下面を底面として収容体1を立て易いため、デザインから選定した正面を正面101として載置状態を規定する。
【0024】
収容体1は、本実施の形態のように、略直方体であってよい。収容体1は、載置状態において、互いに対向する正面101及び背面102と、上側に位置する上面103と、下側に位置する下面104と、左側に位置する左側面105と、右側に位置する右側面106と、を有してよい。正面101及び背面102は、縦方向X及び横方向Yに延びる面である。上面103及び下面104は、奥行方向Z及び横方向Yに延びる面であり、互いに対向している。左側面105及び右側面106は、縦方向X及び奥行方向Zに延びる面であり、互いに対向している。本実施の形態の包装体10は、厚み方向Tに積層されており、厚み方向Tは、横方向Yに沿っている。しかし、変形例において、厚み方向Tは、奥行方向Zに沿ってもよい。
【0025】
収容体1は、収容シート2同士を接合した収容接合部5を有している。収容接合部5は、例えば、熱溶着によって形成されてよい。収容体1は、収容シート2を収容接合部5によって接合することで、包装体10を密封してよい。ここで、密封した状態とは、特段の荷重をかけずに台等に載置した状態で、14日経過時にほぼ変化がない状態である。本実施の形態の収容シート2は、横方向Yに延びる筒状に成形された状態で積層体50が収容され、左側面105及び右側面106において収容シート2がガセット折りされて、収容シート2同士が接合されている。収容接合部5は、左側面105及び右側面106においてそれぞれ設けられ、縦方向Xに延びている。なお、変形例において、収容接合部5は、上面103及び下面104にそれぞれ設けられ、横方向Yに延びていてもよい。
【0026】
収容体1は、使用時に包装体10を出し入れするための開封口9を有してよい。本実施の形態の開封口9は、ミシン目によって構成されている。使用時に、使用者がミシン目を切ることにより、包装体10を出し入れするため開口が形成される。開封口9は、左側面105において縦方向Xに沿って延び、収容接合部5を挟んで一対で配置されている。
【0027】
包装体10は、包装シート12を包装接合部15によって接合することで、吸収性物品20を内包してよい。なお、内包した状態は、吸収性物品20の全体を包んでいればよい。当該構成によれば、吸収性物品20の衛生状態を包装シート12によって維持できる。また、好適には、包装体10は、包装シート12を包装接合部15によって接合することで、吸収性物品20を密封してもよい。当該構成によれば、吸収性物品20の香料の揮散を、包装シート12によって抑制できる。
図4に示す包装体10は、収容体1から取り出し、包装体10を平面視にて伸長させた伸長状態である。一般的に、包装体10の包装シート12は、収容体1内で折れ曲がっており、包装体10の厚み部分を覆っている。伸長状態の包装体10は、収容状態で折れ曲がっていた包装シート12を可能な限り伸ばした状態である。
【0028】
包装体10は、厚み方向Tに直交する第1方向D1及び第2方向D2を有する。本実施の形態では、第1方向は、吸収性物品20の幅方向Wに沿っており、第2方向D2は、吸収性物品20の前後方向Lに沿っている。なお、変形例において、第1方向D1が前後方向Lに沿っており、第2方向D2が幅方向Wに沿ってもよい。包装体10は、包装シート12及び吸収性物品20が第1方向D1に延びる折り目FLを基点に複数回折り畳まれている。包装接合部15は、当該折り畳まれた状態で、包装体10の第1方向D1の両端部に配置された包装シート12同士を接合する一対の第1包装接合部151を有してよい。第1包装接合部151は、例えば、熱溶着によって形成されてよい。第1方向D1と直交する第2方向D2における包装シート12の一方の端部は、折り畳まれた状態で包装体10の内側に位置し、他方の端部は、包装体10の外面に位置している。包装接合部15は、包装シート12の他方の端部(包装体10の外面に位置する端縁)を止める第2包装接合部152を有してよい。本実施の形態の第2包装接合部152は、テープ部材であり、包装シート12の端部の第2方向D2の中央のみが接合されている。しかし、変形例において、第2包装接合部152は、HMA型接着剤等の接着剤、熱溶着等によって第2方向D2に連続して設けられていてもよい。
【0029】
本実施の形態の収容体1は、使用前に吸収性物品20の衛生状態を維持しつつ、包装体10の開封前に香料を使用者に付与できるように構成されている。収容体1の載置状態において、積層体50の横方向Yの長さをCとし、積層体50の奥行方向Zの長さをDとし、収容体1において積層体50を収容する収容空間の横方向の長さをFとすると、(C2+D2)1/2>Fを満たしてよい。(C2+D2)1/2は、積層体50の対角線の長さQである。積層体50の横方向Y及び奥行方向Zのいずれか一方に、吸収性物品20の厚み方向Tが沿っている。そのため、積層体50の対角線の長さQは、複数の包装体10が積層された面における対角線の長さである。Fは、収容空間7の横方向Yの長さである。収容空間7の寸法は、収容シート2の内面によって画定される。よって、収容空間7の横方向Yの長さFは、左側面105における収容シート2の内面と、右側面106における収容シート2の内面と、の横方向Yの距離である。なお、本実施の形態のように、収容空間7の横方向Yの寸法Fが奥行方向Zの位置によって変化する形態にあっては、奥行方向Zの中心における寸法としてよい。また、収容空間7の横方向Yの寸法Fが縦方向Xの位置によって変化する形態にあっては、縦方向Xの中心における寸法としてよい。例えば、収容体1における収容空間7の横方向Yの長さFが積層体50の対角線の長さQよりも長いと、収容空間7の容積が積層体50の容積に比して大きくなりすぎ、収容体1内での香料の揮散が多くなりすぎ、吸収性物品20の使用時に香料を使用者に十分付与できないおそれがある。しかし、収容空間7の容積が積層体50の容積に比して大きくなり過ぎないため、収容体1内での香料の過度な揮散を抑制でき、吸収性物品20を長期間保管することも可能となる。
【0030】
また、(C2+D2)1/2>Fを満たさない場合であっても、収容体1は、載置状態において、収容体1の収容空間7の横方向の長さFと、積層体50の横方向Yの長さCと、の差(F―C)は、積層体50の縦方向Xの全域に亘って一定であってよい。載置状態における積層体の下面側の位置における差(F―C)、載置状態における積層体50の上面側の位置における差(F―C)、及び載置状態における積層体50の縦方向Xの中心の位置における差(F―C)が一定の場合には、縦方向Xの全域に亘って一定とみなしてよい。ここで、本発明において差が一定の範囲は、差が0mmのみならず、製造誤差による所定の範囲内を含むものであり、例えば、一方の長さに対する5%の範囲内(5%×F、又は5%×C)の差、又は5mm以下の差は、差が一定の範囲内とする。例えば、収容空間7の横方向Yの長さFと、積層体50の横方向Yの長さCと、の差が大きく変化すると、積層体50に対する収容空間7の寸法が長すぎる部分が形成され、収容体1内での香料の揮散が多くなりすぎ、吸収性物品20の使用時に香料を使用者に十分付与できないおそれがある。特に、収容体1の横方向Yの長さが縦方向Xの長さ、及び奥行方向Zの長さに比して長い場合には、香料の揮発もより発生し易い。しかし、差(F―C)が一定であることにより、収容空間7の容積が積層体50の容積に比して大きくなり過ぎないため、収容体1内での香料の過度な揮散を抑制でき、吸収性物品20を長期間保管することも可能となる。
【0031】
また、収容体1は、載置状態において、収容体1の収容空間7の奥行方向Zの長さGと、積層体50の奥行方向Zの長さDと、の差(G―D)は、積層体50の縦方向Xの全域に亘って一定であってもよい。当該構成によっても、収容空間の容積が積層体50の容積に比して大きくなり過ぎないため、収容体1内での香料の過度な揮散を抑制でき、長期間保管することも可能となる。より好適には、収容体1は、(C2+D2)1/2>Fを満たし、差(F―C)及び差(G―D)が一定であってよい。
【0032】
収容シート2の酸素透過度は、包装シート12の酸素透過度よりも低く、23℃において、200cc/m2/day/atm以下である。収容シート2の酸素透過度は、所定の酸素透過度(23℃において、200cc/m2/day/atm以下)を有し、すなわち、気密性を有する。従って、吸収性物品20の保管時において、収容体1から香料が揮散することを抑制できる。また、包装シート12の酸素透過度が収容シート2の酸素透過度よりも高いため、香料は、包装シート12を介して揮散するが、収容シート2を介して揮散し難い。よって、収容体1が開封され、かつ包装体10の開封前の状態で、香料の一部が包装体10外に揮散し、使用者に付与される。使用者は、包装体10によって吸収性物品を衛生的に維持された状態で香料の香り成分を楽しむことができる。よって、使用前に吸収性物品の衛生状態を維持しつつ、包装体10の開封前に香料を使用者に付与できる。
【0033】
収容シート2の酸素透過度は、23℃において、100cc/m2/day/atm以下であってよく、好適には、50cc/m2/day/atm以下であってよく、より好適には、25cc/m2/day/atm以下であってよい。また、包装シート12の酸素透過度は、23℃において、200cc/m2/day/atmよりも高くてよい。当該構成によれば、包装シート12の酸素透過度と、収容シート2の酸素透過度と、の差が大きいため、包装シート12を介して揮散するが、収容シート2内に留まる香料が存在し易くなる。上記酸素透過度は、クーロメトリック法に従い、23℃0%RHの条件下で測定される。
【0034】
収容シート2は、アルミナ系蒸着又はEVOH樹脂(エチレン・ビニルアルコール共重合体)からなる酸素低透過層を含んでよい。酸素低透過層は、酸素透過度が比較的低く構成されており、具体的には、例えば、収容シート2は、ポリエチレン層、EVOH層、及びポリエチレン層の3層構造であってもよいし、ポリエチレンテレフタレート層、アルミニウム箔層及びポリエチレン層の3層構造であってもよいし、アルミ状蒸着ポリエチレン層と、ポリエチレン層の2層構造であってもよい。なお、各層は、接着剤によって接着されていてよい。一方、包装シート12は、酸素低透過層を含まない樹脂層であってよい。包装シート12は、ポリエチレン又はポリエチレンテレフタレートからなるフィルムであってもよいし、不織布であってもよい。当該構成によれば、包装シート12の酸素透過度と、収容シート2の酸素透過度と、の差がより大きくなり、包装シート12を介して揮散するが、収容シート2内に留まる香料が存在し易くなる。
【0035】
包装接合部の少なくとも一部は、非連続に設けられてよい。第1包装接合部151と第2包装接合部152を有する形態にあっては、少なくともいずれか一方が非連続であってよい。本実施の形態の第1包装接合部151は、間欠的に配置された熱溶着によって構成されており、非連続である。また、第2包装接合部152は、包装シート12の第2方向の端部の一部のみを接合しており、包装シート12の第2方向の全域に設けられてない。そのため、第2包装接合部152も非連続である。当該構成によれば、内包した吸収性物品20の衛生状態を維持しつつ、内包状態において香料を一部揮散することができる。変形例において、収容接合部5は、連続して設けられてよい。当該構成によれば、収容体1における密封性を高めつつ、包装体10の密封性を低くし、包装体10を介して香料を揮散させつつ、収容シート2を介して香料を揮散させずに収容体1内に香料を留めておくことができる。なお、包装接合部が非連続の形態にあっては、非連続部分の長さ(連続部分同士の間隔)は、連続部分の長さよりも短くてよく、香料の揮散を抑制する観点から5mm未満であってよく、より好適には、3mm未満であってよい。
【0036】
また、変形例において、第1包装接合部151及び第2包装接合部152の一方は、連続して設けられてよく、第1包装接合部151及び第2包装接合部152の他方は、非連続に設けられてよい。本態様によれば、非連続の包装接合部15を介して包装体10内の香料を揮散させつつ、連続の包装接合部15を介して香料の過度な揮散を抑制できる。香料の揮散する量をコントロールすることができ、収容体1の開封時に使用者に付与する香料、包装体10の開封時に使用者に付与する香料を適宜提供できる。
【0037】
包装接合部15及び収容接合部5は、延出方向に延び、延出方向と直交する直交方向において所定幅を有している。具体的には、第1包装接合部151の延出方向は、第2方向D2であり、直交方向は、第1方向D1である。収容接合部5の延出方向は、縦方向Xであり、直交方向は、横方向Yである。包装接合部15の直交方向の長さJ15は、収容接合部5の直交方向の長さJ5よりも短くてよい。収容接合部5の直交方向の長さJ5が比較的長いため、収容接合部5が解除し難く、収容体1の密封性を高めることができる。一方、包装接合部15の直交方向の長さJ15が比較的短いため、包装体10の密封性を低くしつつ、塵や埃から吸収性物品を保護し、衛生状態を維持できる。すなわち、収容体1における密封性を高めつつ、包装体10の密封性を低くし、包装体10を介して香料を揮散させつつ、収容シート2を介して香料を揮散させずに収容体1内に香料を留めておくことができる。
【0038】
包装体10の伸長状態において、一対の第1包装接合部151の第1方向D1の外端縁同士の距離H(
図4参照)は、収容体1の収容空間7の第1方向D1の長さよりも長くてよい。また、一対の第1包装接合部151の第1方向D1の内端縁同士の距離Kは、収容空間7の第1方向の長さよりも短くてよい。収容空間の第1方向は、包装体10の折り目の方向に沿って定められ、本実施の形態では、奥行方向である。よって、収容空間7の第1方向D1の長さは、収容空間7の奥行方向の長さGである。第1包装接合部の第1方向の外端縁同士の距離Hが、収容体1の収容空間の第1方向の長さGよりも長いため、一対の第1包装接合部151の少なくとも一方は、収容体1内で折れ曲がる。よって、当該包装接合部の折りによって、包装体10の第1方向の端部からの香料の揮散を抑制でき、好適に長期間保管することができる。また、第1包装接合部の第1方向の内端縁同士の長さが、収容体1の収容空間の第1方向の長さよりも短いため、第1包装接合部によって挟まれた包装体10の包装空間が、外力によって収容体1内で押圧され難く、内部の吸収性物品の変形を抑制し、外力による吸収性物品の変形によって香料が揮散することを抑制できる。
【0039】
吸収性物品の香料は、香り成分を有し、かつ揮発性を有するものであればよく、特に制限されない。しかし、好適には、香料は、受容体活性化チャネル(TRP)に作用する冷感剤又は温感剤であって、かつ20℃で0.01mbar以下の蒸気圧をする物質を含んでよい。本態様によれば、揮発性が低い冷感剤または温感剤を用いることで、使用者は、香りを楽しむとともに、冷感又は温感の効果を感じることができる。受容体活性化チャネルに作用する冷感剤としては、例えば、メントングリセリンアセタール(MGA)、メンチルエチルアミノシュウ酸、コハク酸メンチル、3-(メンチルオキシ)プロパン-1、2-ジオール、3-l-メントキシ-2-メチルプロパン-1、2-ジオール、N-エチル-p-メンタン-3-カルボアミド、メントール(例えば、l-メントール(分子式:C10H20O))、その誘導体(例えば、乳酸メンチル)、ユーカリプトール、カンファー、イソプレゴール、ユーカリ油、ペパーミント油、サリチル酸メチル、p-メンタン-3、8-ジオール等が挙げられる。また、受容体活性化チャネルに作用する温感剤としては、プシコシド、カプサイシン、カプサイシノイド類(ジヒドロカプサイシン、ノルジヒドロカプサイシン、ホモジヒドロカプサイシン、ホモカプサイシン、ノニバミド等)、カプサンチン、ニコチン酸ベンジル、ニコチン酸β-ブトキシエチル、N-アシルワニルアミド、ノナン酸バニリルアミド、多価アルコール、唐辛子末、唐辛子チンキ、唐辛子エキス、ノナン酸バニリルエーテル、バニリルアルコールアルキルエーテル誘導体(例えば、バニリルエチルエーテル、バニリルブチルエーテル、バニリルペンチルエーテル、バニリルヘキシルエーテル)、イソバニリルアルコールアルキルエーテル、エチルバニリルアルコールアルキルエーテル、ベラトリアルアルコール誘導体、置換ベンジルアルコール誘導体、置換ベンジルアルコールアルキルエーテル、バニリンプロピレングリコールアセタール、エチルバニリンプロピレングリコールアセタール、ショウガエキス、ジンジャーオイル、ジンゲロール、ジンゲロンを例示できる。
【0040】
吸収性物品20は、周知の吸収性物品20を適宜用いることができる。しかし、好適には、吸収コアが比較的柔らかい吸収性物品20を好適に用いることができる。具体的には、吸収性物品の厚み方向おける反発力は、0.0539N・cm2以下であってよい。ここで、反発力は、KES圧縮特性試験において測定され、圧縮試験機、例えば、カトーテック株式会社製のKES(ハンディ圧縮試験機、型式:KES-G5)が用いることができ、以下の方法によって測定できる。(1)包装体10(1つ)をハンディ圧縮試験機KES-G5の測定台に乗せる。(2)測定荷重が50fg/cm2になるよう、測定parameter(DEF2mm/V、SENS200g、stroke50%(圧縮子面積2cm2)、speed1mm/sec、range1)を設定する。(3)包装体10が上記の荷重で3cycle加圧し、N=3を測定する。(4)3cycleの内の最終cycleで加圧時の包装体10が1mm凹んだときのenergyの平均を反発力とする。本態様によれば、吸収性物品の反発力が低く、包装体10の外側から力が掛かった際に、吸収性物品20が変形し易い。よって、包装体10を持ち運ぶ際等、包装体10単体の状態で内部の吸収性物品の変形が生じ、当該変形によって吸収性物品の香料が揮発し、香り成分を使用者に付与できる。
【0041】
収容シート2の曲げ剛性Bの値は、0.25g・cm2/cm以下であってよい。収容シート2の曲げ剛性が比較的に低く、外力が加わった際に柔軟に変形し易い。収容シート2が柔軟に変形しにくい形態にあっては、収容シート2が外圧によって破れやすくなるので内部の匂い成分が抜けて長期間保管ができなくなることがある。しかし、収容シート2が柔軟に変形することで意図しない破損を抑制し、香料を留めておきつつ長期間保管することができる。なお、曲げ剛性Bとは、以下の方法によって測定できる。(1)測定するシート(1枚)を100mm×70mmに切断する。(2)純曲げ試験機KES-FB2-Aの測定台に乗せて該当シートをはさみ固定する。(3)測定parameterを設定する(最大曲げ率2.5、SENS20)。(4)シートのMD及びCDを測定し、MD及びCDの測定値を平均化し、曲げ剛性Bとする。また、収容シート2の曲げ剛性Bは、包装シート12の曲げ剛性Bよりも高くてよい。包装シート12の曲げ剛性Bの値は、0.001g・cm2/cm以上であってよい。
【0042】
収容シート2の厚みは、包装シート12の厚みよりも厚くてもよい。本構成によっても、収容体1における密封性を高めつつ、包装体10の密封性を低くし、包装体10を介して香料を揮散させつつ、収容シート2を介して香料を揮散させずに収容体1内に香料を留めておくことができる。また、吸収性物品の液不透過性の裏面シートの厚みは、包装シート12の厚みよりも厚くてもよい。包装体10の状態で、包装シート12よりも内側の裏面シートで香料の揮散を防ぐことができる。また、変形例において、吸収性物品の液不透過性の裏面シートの厚みは、包装シート12の厚みよりも薄くてもよい。包装シート12と吸収性物品を共に折り畳む際に、包装体10の内側に位置する裏面シートが柔らかく、包装体10を折り畳み易くなる。そのため、折り畳んだ後の包装体10の状態で、包装体10の気密性が上がり、香料の揮散を抑制できる。
【0043】
収容体1の開封口9は、包装体10は、厚み方向Tに対向して配置されず、前後方向L及び幅方向Wに延びる平面に対向して配置されてよい。本実施の形態のように、積層体50の包装体10が厚み方向のみに積層された形態にあっては、収容体1の開封前の状態で、複数の包装体10が開封口9に対向して配置されず、1個の包装体10のみが開封口9に対向して配置される。よって、開封口9を介して微量に空気が出し入れされた場合であっても、開封口9に隣接する吸収性物品以外の吸収性物品における香料が収容体1外に流出することを抑制できる。
【0044】
なお、載置状態において収容体1、積層体50、及び包装体10の各寸法を測定する際は、以下にて測定する。
(1)収容体1の横方向Yの長さF及び積層体50の横方向(厚み方向)Yの長さCを測定する際は、平らな面の上に収容体の下面104を底面として配置し、収容体1を載置状態とする。このとき、積層体50が収容体の正面101と背面102の略中央に位置し、かつ積層体50が収容体の左側面105と右側面106の略中央に位置するように置く。
(2)収容体1の左側面105と右側面106に収容接合部5が形成されていない場合には、収容体1の外側から横方向Yの長さを測定する。収容シート2の厚みが1mm未満の場合には、収容体1の左側面105と右側面106の距離(収容体1の横方向Yの長さ)を、収容空間7の横方向Yの長さとする。このとき、収容体1の左側面105と右側面106の距離(収容体1の横方向Yの長さ)は、積層体50と重なる領域における距離とする。また、収容シート2の厚みが1mm以上の場合には、収容体1の左側面と右側面の距離(収容体の横方向Yの長さ)を測定し、当該測定した長さから収容シート2の厚みの2倍を除いた長さを、収容空間7の横方向Yの長さとする。また、収容体1の左側面105と右側面106の少なくとも一方に収容接合部5が形成されている場合には、収容接合部5を除いた部分の長さとする。
(3)収容体1の外側から積層体50の外形を視認できる場合には、積層体50の長さは、収容体1の外側から測定する。収容体1の外側から積層体50を視認し難い場合には、収容体1の外側からLED等の光源を当てて測定する。収容体1の外側から積層体50の外形を視認できない場合には、収容体1の外側から手などで押圧して包装体に接触した位置を積層体の外面としてみなす。このとき、収容空間の長さの測定と同様に、収容シート2の厚みを考慮する。
(4)積層体50の対角線の長さQは、積層体50の横方向Yの長さC、及び積層体50の奥行方向Zの長さDを測定し、以下の式(C2+D2)1/2=Qで求めてよい。または、収容体1の外側から積層体50の外形を視認できる場合には、積層体50の対角線の長さQを直接測定してもよい。
(5)包装体10の測定は、包装体において最も広い面(例えば、前後方向及び幅方向に延びる面)を底面として、平らな面の上に配置する。
(6)収容体1、積層体50及び包装体10の長さの測定は、長尺ノギス、定規等の測定機器を当てて測定してもよいし、画像を撮像して当該画像に基づいて算出してもよい。
【0045】
以上、上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【符号の説明】
【0046】
1 :収容体
2 :収容シート
5 :収容接合部
7 :収容空間
10 :包装体
12 :包装シート
15 :包装接合部
151 :第1包装接合部
152 :第2包装接合部
20 :吸収性物品
50 :積層体
D1 :第1方向
D2 :第2方向
T :厚み方向
X :縦方向
Y :横方向
Z :奥行方向