(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024072446
(43)【公開日】2024-05-28
(54)【発明の名称】環境状態評価システム、環境状態評価方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G16H 10/00 20180101AFI20240521BHJP
【FI】
G16H10/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022183268
(22)【出願日】2022-11-16
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(72)【発明者】
【氏名】鴇田 才明
(72)【発明者】
【氏名】船橋 一樹
(72)【発明者】
【氏名】吉井 雅子
(72)【発明者】
【氏名】坂井 直樹
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA15
(57)【要約】
【課題】所定の人物が活動する環境の環境状態を適切に評価できるようにする。
【解決手段】環境状態評価システムは、所定の環境で活動する人物の脈波を測定した脈波データを取得する取得部と、前記脈波データから、前記環境の環境状態を判定する環境状態判定部と、前記環境状態の情報を所定の通知先に通知する通知部と、を有し、前記環境状態判定部は、前記環境における活動前、活動中、及び活動後から選ばれる2つ以上の時間帯に測定した前記脈波データを用いて、前記環境状態を判定する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の環境で活動する人物の脈波を測定した脈波データを取得する取得部と、
前記脈波データから、前記環境の環境状態を判定する環境状態判定部と、
前記環境状態の情報を所定の通知先に通知する通知部と、
を有し、
前記環境状態判定部は、前記環境における活動前、活動中、及び活動後から選ばれる2つ以上の時間帯に測定した前記脈波データを用いて、前記環境状態を判定する、
環境状態評価システム。
【請求項2】
前記取得部は、前記環境で活動する複数の人物の前記脈波データを取得し、
前記環境状態判定部は、前記2つ以上の時間帯に測定した前記複数の人物の前記脈波データを用いて、前記環境状態を判定する、
請求項1に記載の環境状態評価システム。
【請求項3】
前記取得部は、前記環境で活動する人物が利用するパーソナルコンピュータが、前記パーソナルコンピュータが備えるカメラ、又は前記パーソナルコンピュータに接続されたカメラを用いて測定した前記脈波データを取得する、請求項1又は2に記載の環境状態評価システム。
【請求項4】
前記通知部が通知する前記環境状態の情報は、前記環境の快適度に関する判定結果を含み、
前記環境状態判定部は、脈波変動の低周波領域のパワースペクトル成分LFと、前記脈波変動の高周波領域のパワースペクトル成分HFとの比率(LF/HF)を用いて、前記快適度に関する判定を行う、
請求項1又は2に記載の環境状態評価システム。
【請求項5】
前記通知部が通知する前記環境状態の情報は、前記環境の活性度に関する判定結果を含み、
前記環境状態判定部は、脈波変動の低周波領域のパワースペクトル成分LFと、前記脈波変動の高周波領域のパワースペクトル成分HFとの和TPを用いて、前記活性度に関する判定を行う、
請求項1又は2に記載の環境状態評価システム。
【請求項6】
前記環境状態判定部は、物理化学的環境因子である温度、湿度、照度、気圧、二酸化炭素濃度、総揮発性有機化合物の濃度、及び騒音のいずれかを用いて前記環境状態の判定を補正する、請求項1又は2に記載の環境状態評価システム。
【請求項7】
前記環境で活動する人物の前記環境状態の判定結果を基準値と比較して、前記人物の精神的な健康状態を判定する健康状態判定部を有し、
前記通知部が通知する前記環境状態の情報は、前記健康状態の判定結果を含む、
請求項1又は2に記載の環境状態評価システム。
【請求項8】
前記通知部が通知する前記環境状態の情報は、前記環境状態を改善するための提案を含む、請求項1又は2に記載の環境状態評価システム。
【請求項9】
前記脈波データと、前記環境状態判定部による判定結果とを管理する情報管理部を有する、請求項1又は2に記載の環境状態評価システム。
【請求項10】
コンピュータが、
所定の環境で活動する人物の脈波を測定した脈波データを取得する取得処理と、
前記脈波データから、前記環境の環境状態を判定する判定処理と、
前記環境状態の情報を所定の通知先に通知する通知処理と、
を実行し、
前記判定処理は、前記環境における活動前、活動中、及び活動後から選ばれる2つ以上の時間帯に測定した前記脈波データを用いて、前記環境状態を判定する、
環境状態評価方法。
【請求項11】
コンピュータに、
所定の環境で活動する人物の脈波を測定した脈波データを取得する取得処理と、
前記脈波データから、前記環境の環境状態を判定する判定処理と、
前記環境状態の情報を所定の通知先に通知する通知処理と、
を実行させ、
前記判定処理は、前記環境における活動前、活動中、及び活動後から選ばれる2つ以上の時間帯に測定した前記脈波データを用いて、前記環境状態を判定する、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、環境状態評価システム、環境状態評価方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
職場、又は学校等の組織の環境状態を評価する環境状態評価システムがある。例えば、複数の人物が装着する端末装置が測定した測定データに基づいて、所定数の人物の集団を設定し、当該集団の活動状態の指標を算出する情報処理システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
所定の人物が活動する環境における、例えば、快適度、又は活性度等の環境状態を適切に評価したいという要求がある。
【0004】
特許文献1に開示された技術では、例えば、加速度センサが検出した加速度周波数を、予め定めた閾値と比較し、加速度周波数が閾値以上である場合に、個人の状態が活性状態にあると判断している。しかし、この方法では、例えば、活性状態が、生き生きとした快適な状態なのか、イライラしたストレス状態であるのかを判断することができないという問題がある。
【0005】
本発明の一実施形態は、上記の問題点に鑑みてなされたものであって、所定の人物が活動する環境の環境状態をより適切に評価できるようにする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、一実施形態に係る環境状態評価システムは、所定の環境で活動する人物の脈波を測定した脈波データを取得する取得部と、前記脈波データから、前記環境の環境状態を判定する環境状態判定部と、前記環境状態の情報を所定の通知先に通知する通知部と、を有し、前記環境状態判定部は、前記環境における活動前、活動中、及び活動後から選ばれる2つ以上の時間帯に測定した前記脈波データを用いて、前記環境状態を判定する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一実施形態によれば、所定の人物が活動する環境の環境状態をより適切に評価できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】一実施形態に係る環境状態評価システムのシステム構成の例を示す図である。
【
図2】一実施形態に係るコンピュータのハードウェア構成の例を示す図である。
【
図3】一実施形態に係る情報端末のハードウェア構成の例を示す図である。
【
図4】第1の実施形態に係る環境状態評価システムの機能構成の例を示す図である。
【
図5】第1の実施形態に係る環境状態評価処理の例を示すフローチャートである。
【
図6】第1の実施形態に係る環境状態の情報の例を示す図(1)である。
【
図7】第1の実施形態に係る環境状態の情報の例を示す図(2)である。
【
図8】第1の実施形態に係る管理者端末の表示画面のイメージを示す図である。
【
図9】第2の実施形態に係る環境状態評価システムの機能構成の例を示す図である。
【
図10】第2の実施形態に係る環境状態評価処理の例を示すフローチャートである。
【
図11】第3の実施形態に係る環境状態評価システムの機能構成の例を示す図である。
【
図12】第3の実施形態に係る健康状態評価処理の例を示すフローチャートである。
【
図13】第3の実施形態に係る環境状態の情報の例を示す図である。
【
図14】第4の実施形態に係る環境状態評価システムの機能構成の例を示す図である。
【
図15】第4の実施形態に係る環境状態の情報の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
<システム構成>
図1は、一実施形態に係る環境状態評価システムのシステム構成の例を示す図である。環境状態評価システム1は、1人以上の人物が活動する環境における、例えば、快適度、又は活性度等の環境状態を評価するシステムである。
【0010】
図1の例では、環境状態評価システム1は、評価対象となる環境2に設置された複数のユーザ端末10a、10b、10c、・・・、環境状態評価装置100、及び管理者端末20等を含む。なお、上記の各装置は、例えば、インターネット、又はLAN(Local Area Network)等の通信ネットワークNを介して、互いに通信可能に接続されている。また、以下の説明において、複数のユーザ端末10a、10b、10c、・・・のうち、任意のユーザ端末を示す場合、「ユーザ端末10」を用いる。
【0011】
環境状態評価装置100は、例えば、コンピュータの構成を備えた情報処理装置、又は複数のコンピュータを含むシステムである。環境状態評価装置100は、環境状態評価装置100が備えるコンピュータで所定のプログラムを実行することにより、例えば、職場、又は学校等の評価対象となる環境2の環境状態を評価する。なお、以下の説明において、1人以上の人物101a、101b、101c、・・・のうち、任意の人物を示す場合、「人物101」を用いる。
【0012】
環境状態評価装置100は、評価対象となる環境2で活動する人物101a、101b、101c、・・・の脈波を測定した脈波データを取得し、取得した脈波データから、環境2の環境状態を判定する。ここで、脈波は、例えば、心臓が血液を送り出すことに伴い発生する血管の容量変化である。本実施形態に係るユーザ端末10は、ユーザ端末10を利用する人物101の脈波データを取得する機能を有している。
【0013】
ユーザ端末10は、評価対象となる環境2で、人物101が利用するパーソナルコンピュータ等の情報端末である。ユーザ端末10は、例えば、当該ユーザ端末10が備えるカメラ11、又はユーザ端末10に接続されたカメラ12で、当該ユーザ端末10を利用する人物101を撮影し、撮影した映像における人物101の顔色の変化等から脈波データを測定する。また、ユーザ端末10は、取得した脈波データを、通信ネットワークNを介して、環境状態評価装置100に送信する。
【0014】
なお、ユーザ端末10は、パーソナルコンピュータに限られず、評価対象となる環境2の所定の位置で、人物101の映像を撮影し、脈波データを取得可能な他の情報端末(例えば、タブレット端末、又はスマートフォン等)であってもよい。また、ユーザ端末10は、評価対象となる環境2の所定の位置で、人物101の映像を撮影し、脈波データを取得可能な専用端末であってもよい。
【0015】
脈波変動の低周波領域のパワースペクトル成分LF(Low Frequency)と、脈波変動の高周波領域のパワースペクトル成分HF(High Frequency)との比率(LF/HF)は、快適なときに値が下がることが知られている。また、LFとHFとの和(LF+HF)は、TP(Total Power)と呼ばれ、HF/TPの値が高いほど爽快感が高いと言われている(例えば、非特許文献1参照)。
【0016】
そこで、環境状態評価装置100は、例えば、脈波変動の低周波領域のパワースペクトル成分LFと、脈波変動の高周波領域のパワースペクトル成分HFとを用いて、評価対象となる環境2の快適度に関する判定を行う。例えば、環境状態評価装置100は、LF/HFを用いて、評価対象となる環境2の快適度に関する判定を行う。また、LF/HFの他に、LF/(LF+HF)も、快適度と相関があることが知られている(例えば、非特許文献2参照)。そこで、環境状態評価装置100は、LF/(LF+HF)を用いて、評価対象となる環境2の快適度に関する判定を行ってもよい。
【0017】
また、環境状態評価装置100は、脈波変動の低周波領域のパワースペクトル成分LFと、前記脈波変動の高周波領域のパワースペクトル成分HFとの和TPを用いて、評価対象となる環境2の活性度に関する判定を行う。例えば、環境状態評価装置100は、HF/TPを用いて、評価対象となる環境2の活性度に関する判定を行う。また、環境状態評価装置100は、快適時に値が低下するLF/HFでHF/TPを除算した関数HP2/(TP・LF)を用いて、評価対象となる環境2の活性度に関する判定を行ってもよい。
【0018】
なお、本実施形態に係る環境状態評価装置100は、評価対象となる環境2における活動前、活動中、及び活動後から選ばれる2つ以上の時間帯に測定した脈波データを用いて、当該環境2の環境状態を判定することを特徴の一つとしている。
【0019】
例えば、評価対象となる環境2で人物101が業務に従事すると、業務開始時から業務終了時にかけて疲労が溜まるため、通常は、LF/HFの値が徐々に低下する傾向がある。一方、例えば、評価対象となる環境に上述した傾向がない場合、又は人物101ごとにばらつきが大きい場合、評価対象となる環境に何らかの問題がある可能性がある。
【0020】
そこで、本実施形態では、環境状態評価装置100は、活動前、活動中、及び活動後から選ばれる2つ以上の時間帯に測定した脈波データから算出したLF、HFの変化に基づいて、評価対象となる環境2の環境状態(例えば、快適度、又は活性度等)を評価する。
【0021】
また、環境状態評価装置100は、評価した環境状態の情報を、例えば、人物101を管理する管理者、又は評価対象となる環境2を管理する管理者等が利用する管理者端末20(所定の通知先の一例)に通知する。
【0022】
管理者端末20は、管理者等が利用する、例えば、パーソナルコンピュータ、タブレット端末、又はスマートフォン等の情報端末である。管理者等は、管理者端末20を用いて、環境状態評価装置100が評価した環境状態の情報を表示することができる。
【0023】
上記のシステム構成により、本実施形態によれば、所定の人物101が活動する環境2の環境状態を適切に評価できる。また、本実施形態によれば、人物101が、例えば、測定用のセンサ、又は音声データを測定し記録されることによるストレスを感じることを抑制することができる。
【0024】
<ハードウェア構成>
環境状態評価装置100は、一例として、
図2に示すようなコンピュータ200のハードウェア構成を備えている。別の一例として、環境状態評価装置100は、複数のコンピュータ200によって構成される。
【0025】
ユーザ端末10、及び管理者端末20は、一例として、
図2に示すようなコンピュータ200のハードウェア構成を備えている。別の一例として、ユーザ端末10、及び管理者端末20は、
図3に示すような情報端末300のハードウェア構成を備えていてもよい。
【0026】
(コンピュータのハードウェア構成)
図2は、一実施形態に係るコンピュータのハードウェア構成の例を示す図である。コンピュータ200は、例えば、
図2に示されるように、CPU(Central Processing Unit)201、ROM(Read Only Memory)202、RAM(Random Access Memory)203、HD(Hard Disk)204、HDD(Hard Disk Drive)コントローラ205、ディスプレイ206、外部機器接続I/F(Interface)207、ネットワークI/F208、キーボード209、ポインティングデバイス210、DVD-RW(Digital Versatile Disk Rewritable)ドライブ212、メディアI/F214、及びバスライン215等を備えている。
【0027】
これらのうち、CPU201は、コンピュータ200全体の動作を制御する。ROM202は、例えば、起動用ファイル等のコンピュータ200の起動に用いられるプログラム、及びデータ等を記憶する。RAM203は、例えば、CPU201のワークエリア等として使用される。
【0028】
HD204は、例えば、OS(Operating System)、アプリケーション、デバイスドライバ等のプログラムや、各種データを記憶する。HDDコントローラ205は、例えば、CPU201の制御に従ってHD204に対する各種データの読み出し又は書き込みを制御する。なお、HD204、及びHDDコントローラ205は、ストレージデバイスの一例である。
【0029】
ディスプレイ206は、例えば、カーソル、メニュー、ウィンドウ、文字、又は画像などの各種情報を表示する。なお、ディスプレイ206は、コンピュータ200の外部に設けられていてもよい。外部機器接続I/F207は、コンピュータ200に、様々な外部装置を接続するためのインタフェースである。ここで、外部機器には、例えば、カメラ12等が含まれる。なお、コンピュータ200は、カメラ11を内蔵していてもよい。
【0030】
ネットワークI/F208は、例えば、通信ネットワークN等を利用してデータ通信をするためのインタフェースである。キーボード209は、文字、数値、各種指示などの入力のための複数のキーを備えた入力手段の一種である。ポインティングデバイス210は、各種指示の選択や実行、処理対象の選択、カーソルの移動などを行なう入力手段の一種である。なお、キーボード209、及びポインティングデバイス210は、コンピュータ200の外部に設けられていてもよい。
【0031】
DVD-RWドライブ212は、着脱可能な記録媒体の一例としてのDVD-RW211に対する各種データの読み出し又は書き込みを制御する。なお、DVD-RW211は、DVD-RWに限らず、他の着脱可能な記録媒体であってもよい。メディアI/F214は、フラッシュメモリ等のメディア213に対するデータの読み出し又は書き込み(記憶)を制御する。バスライン215は、上記の各構成要素を電気的に接続するためのアドレスバス、データバス及び各種の制御信号等を含む。
【0032】
なお、
図2に示したコンピュータ200の構成は一例である。コンピュータ200は、例えば、CPU201、ROM202、RAM203、ストレージデバイス、及びネットワークI/F208等を有していれば、他は任意の構成であってよい。
【0033】
(情報端末のハードウェア構成)
図3は、一実施形態に係る情報端末のハードウェア構成の一例を示す図である。
図3に示されているように、情報端末300は、CPU301、ROM302、RAM303、ストレージデバイス304、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサ305、撮像素子I/F306、加速度・方位センサ307、メディアI/F309、GPS(Global Positioning System)受信部310を備えている。
【0034】
これらのうち、CPU301は、所定のプログラムを実行することにより情報端末300全体の動作を制御する。ROM302は、例えば、IPL等のCPU301の起動に用いられるプログラムを記憶する。RAM303は、CPU301のワークエリア等として使用される。ストレージデバイス304は、OS、アプリ等のプログラム、及び各種のデータ等を記憶する大容量の記憶装置である。
【0035】
CMOSセンサ305は、CPU301の制御に従って被写体(主に自画像)を撮像して画像データを得る内蔵型の撮像手段の一種である。なお、情報端末300は、CMOSセンサ305に代えて、CCD(Charge Coupled Device)センサ等の撮像手段を有していてもよい。撮像素子I/F306は、CMOSセンサ305の駆動を制御する回路である。加速度・方位センサ307は、地磁気を検知する電子磁気コンパスやジャイロコンパス、加速度センサ等の各種センサである。メディアI/F309は、フラッシュメモリ等のメディア(記憶メディア)308に対するデータの読み出し又は書き込み(記憶)を制御する。GPS受信部310は、GPS衛星からGPS信号(測位信号)を受信する測位デバイスである。
【0036】
また、情報端末300は、遠距離通信回路311、遠距離通信回路311のアンテナ311a、CMOSセンサ312、撮像素子I/F313、マイク314、スピーカ315、音入出力I/F316、ディスプレイ317、外部機器接続I/F318、近距離通信回路319、近距離通信回路319のアンテナ319a、及びタッチパネル320等を備えている。
【0037】
これらのうち、遠距離通信回路311は、例えば、通信ネットワークNを介して、他の装置と通信する回路である。CMOSセンサ312は、CPU301の制御に従って被写体を撮像して画像データを得る内蔵型の撮像手段の一種である。撮像素子I/F313は、CMOSセンサ312の駆動を制御する回路である。マイク314は、音を電気信号に変える内蔵型の回路である。スピーカ315は、電気信号を物理振動に変えて音楽や音声などの音を生み出す内蔵型の回路である。音入出力I/F316は、CPU301の制御に従ってマイク314及びスピーカ315との間で音波信号の入出力を処理する回路である。
【0038】
ディスプレイ317は、被写体の画像や各種アイコン等を表示する液晶や有機EL(Electro Luminescence)等の表示手段の一種である。外部機器接続I/F318は、各種の外部機器を接続するためのインタフェースである。なお、外部機器には、例えば、情報端末300(ユーザ端末10)に接続するカメラ12等が含まれる。近距離通信回路319は、近距離無線通信を行う回路を含む。タッチパネル320は、利用者がディスプレイ317を押下することで、情報端末300を操作する入力手段の一種である。
【0039】
また、情報端末300は、バスライン321を備えている。バスライン321は、
図3に示されているCPU301等の各構成要素を電気的に接続するためのアドレスバス、データバス、及び各種の制御信号等を含む。
【0040】
[第1の実施形態]
<機能構成>
図4は、第1の実施形態に係る環境状態評価システムの機能構成の例を示す図である。(環境状態評価装置の機能構成)
環境状態評価装置100は、環境状態評価装置100が備えるコンピュータ200が、記憶媒体に記憶した所定のプログラムを実行することにより、例えば、
図4に示すような各機能構成を実現している。
図4の例では、環境状態評価装置100は、通信部401、取得部402、環境状態判定部403、通知部404、及び情報管理部405等の機能構成を有する。なお、上記の各機能構成のうち、少なくとも一部は、ハードウェアによって実現されるものであってもよい。
【0041】
また、環境状態評価装置100は、例えば、HD204、及びHDDコントローラ205等のストレージデバイスにより、記憶部406を実現している。なお、記憶部406は、環境状態評価装置100の外部に設けられたストレージサーバ、又はクラウドサービス等によって実現されるものであってもよい。
【0042】
通信部401は、例えば、ネットワークI/F208等を用いて、環境状態評価装置100を通信ネットワークNに接続し、他の装置と通信する通信処理を実行する。
【0043】
取得部402は、評価対象となる環境2(所定の環境)で活動する人物101の脈波を測定した脈波データを取得する取得処理を実行する。例えば、取得部402は、ユーザ端末10aが測定した人物101aの脈波データ、ユーザ端末10bが測定した人物101bの脈波データ、ユーザ端末10cが測定した人物101cの脈波データ、・・・等を取得する。別の一例として、取得部402は、ユーザ端末10a、10b、10c、・・・が測定した、人物101a、101b、101c、・・・の脈波データを記憶するストレージサーバ、又はクラウドサービス等から、脈波データ407を取得してもよい。
【0044】
環境状態判定部403は、取得部402が取得した脈波データ407から、評価対象となる環境2の環境状態を判定する環境状態判定処理を実行する。なお、環境状態判定部403は、評価対象となる環境2における活動前、活動中、及び活動後から選ばれる2つ以上の時間帯に測定した脈波データ407を用いて、当該環境2の環境状態を判定する。
【0045】
例えば、環境状態判定部403は、第1の時間帯に測定した脈波データを用いて、各人物101のLF、HF、及びTP等を算出する。また、環境状態判定部403は、各人物101のLF、HF、及びTPの代表値(例えば、平均値、中央値、最頻値等)を算出して、評価対象となる環境2の第1の時間帯における快適度、及び活性度等を求める。
【0046】
同様にして、環境状態判定部403は、第2の時間帯に測定した脈波データを用いて、評価対象となる環境2の第2の時間帯における快適度、及び活性度を求める。なお、ここで、第1の時間帯、及び第2の時間帯は、活動前、活動中、及び活動後から選ばれる2つ以上の時間帯の一例である。
【0047】
さらに、環境状態判定部403は、第1の時間帯における快適度、及び活性度と、第2の時間帯における快適度、及び活性度とを用いて、評価対象となる環境2の環境状態を判定する。一例として、環境状態判定部403は、評価対象の環境2の業態、又は業務内容等に合わせて予め決定した所定の関数と、活動前、活動中、及び活動後から選ばれる2つ以上の時間帯の快適度、及び活性度とを用いて、当該環境2の快適度、及び活性度を求める。なお、評価対象となる環境2の快適度、及び活性度は、当該環境2の環境状態の一例である。
【0048】
別の一例として、環境状態判定部403は、評価対象の環境2の業態、又は業務内容等に合わせて予め機械学習した機械学習モデルと、活動前、活動中、及び活動後から選ばれる2つ以上の時間帯の快適度、及び活性度とを用いて、当該環境2の快適度、及び活性度を求めてもよい。
【0049】
ここで、機械学習とは、コンピュータに人のような学習能力を獲得させるための技術であり、コンピュータが、データ識別等の判断に必要なアルゴリズムを、事前に取り込まれる学習データから自律的に生成し、新たなデータについてこれを適用して予測を行う技術のことをいう。機械学習のための学習方法は、教師あり学習、教師なし学習、半教師学習、強化学習、深層学習のいずれかの方法でもよく、さらに、これらの学習方法を組み合わせた学習方法でもよく、機械学習のための学習方法は問わない。
【0050】
通知部404は、環境状態判定部403が判定した環境状態の情報を、例えば、管理者端末20等の所定の通知先に通知する通知処理を実行する。
【0051】
情報管理部405は、取得部402が取得した脈波データ407、及び環境状態判定部403が判定した判定結果408等を、記憶部406等に記憶して管理する。ここで、判定結果408には、例えば、環境状態判定部403が算出した環境2の快適度、及び活性度等が含まれる。また、判定結果408には、例えば、各時間帯における各人物の101の快適度、及び活性度等が含まれていてもよい。また、情報管理部405は、脈波データ407、及び判定結果408を、通信ネットワークNを介して通信可能なストレージサーバ、又はクラウドサービス等に記憶して管理してもよい。
【0052】
記憶部406は、例えば、上述した脈波データ407、及び判定結果ら408等を含む様々な情報を記憶する。
【0053】
(ユーザ端末の機能構成)
ユーザ端末10は、例えば、CPU201(又はCPU301)が、記憶媒体に記憶した所定のプログラムを実行することにより、例えば、通信部411、脈波測定部412、及び撮影部413等の機能構成を実現している。なお、上記の各機能構成のうち、少なくとも一部は、ハードウェアによって実現されるものであってもよい。また、
図4において、ユーザ端末10b、・・・は、ユーザ端末10aと同様の機能構成を有しているものとする。
【0054】
通信部411は、例えば、ネットワークI/F208(又は遠距離通信回路311)等を用いて、ユーザ端末10を通信ネットワークNに接続し、他の装置と通信する通信処理を実行する。
【0055】
撮影部413は、ユーザ端末10が備えるカメラ11、又はユーザ端末10に接続されるカメラ12等を用いて、ユーザ端末10を利用する人物101の映像を撮影する撮影処理を実行する。
【0056】
脈波測定部412は、撮影部413が撮影した人物101の映像データから、人物101の脈波を測定した脈波データを取得する脈波測定処理を実行する。例えば、脈波測定部412は、撮影部413が撮影した映像における人物101の顔色の変化等から脈波データを測定する。また、脈波測定部412は、測定した脈波データを、通信部411を介して、例えば、環境状態評価装置100等の所定の宛先に送信する。なお、人物101を撮影した映像から、人物101の脈波データを取得する方法は、例えば、特許文献2等に開示された公知の脈波検出技術を適用することができる。
【0057】
(管理者端末の機能構成)
管理者端末20は、例えば、CPU201(又はCPU301)が、記憶媒体に記憶した所定のプログラムを実行することにより、通信部421、表示制御部422、及び操作受付部423等の機能構成を実現している。なお、上記の各機能構成のうち、少なくとも一部は、ハードウェアによって実現されるものであってもよい。
【0058】
通信部421は、例えば、ネットワークI/F208(又は遠距離通信回路311)等を用いて、管理者端末20を通信ネットワークNに接続し、他の装置と通信する通信処理を実行する。
【0059】
表示制御部422は、例えば、環境状態評価装置100から通知される、評価対象となる環境2の環境状態の情報を、ディスプレイ206(又はディスプレイ317)等の表示部に表示する表示制御処理を実行する。
【0060】
操作受付部423は、管理者等による管理者端末20への操作を受け付ける操作受付処理を実行する。
【0061】
<処理の流れ>
続いて、第1の実施形態に係る環境状態評価方法の処理の流れについて説明する。
図5は、第1の実施形態に係る環境状態評価処理の例を示すフローチャートである。この処理は、例えば、
図1、4で説明した環境状態評価システム1が実行する環境状態評価処理の一例を示している。
【0062】
ステップS501において、取得部402は、評価対象となる環境2に設置されたユーザ端末10a、10b、10c、・・・が測定した、人物101a、101b、101c、・・・の脈波データを取得する。
【0063】
ステップS502において、環境状態判定部403は、取得した脈波データを用いて、評価対象となる環境2の快適度、及び活性度を算出する。例えば、環境状態判定部403は、各人物101の脈波データを用いて、各人物101のLF、HF、及びTPを算出する。
【0064】
また、環境状態判定部403は、各人物101のLFとHFとの比率(LF/HF)を用いて、各人物101の快適度を算出する。例えば、環境状態判定部403は、LFとHFとの比率(LF/HF)を算出し、算出した(LF/HF)の値を、例えば、0~100の範囲の数値に変換して、各人物101の快適度とする。一例として、環境状態判定部403は、(LF/HF)の値と、快適度を示す0~100の値との対応関係を示す対応テーブル等を用いて、(LF/HF)の値を、0~100の範囲の数値に変換する。ただし、(LF/HF)の値を、所定の範囲の数値に変換する方法は、これに限られない。また、所定の範囲は、0~100に限られない。
【0065】
さらに、環境状態判定部403は、LFとHFとの和であるTPを用いて、各人物101の活性度を算出する。一例として、環境状態判定部403は、LFとHFとを加算してTPを算出し、算出したTPの値を、例えば、0~100の範囲の数値に変換して、各人物101の活性度とする。なお、TPの値を、所定の範囲の数値に変換する方法については、(LF/HF)の値を所定の範囲の数値に変換する方法と同様でよい。
【0066】
また、環境状態判定部403は、算出した各人物101の快適度、及び活性度から、評価対象となる環境2の快適度、及び活性度を求める。例えば、環境状態判定部403は、各人物101の快適度の代表値(例えば、平均値)を、環境2の快適度とする。また、環境状態判定部403は、各人物101の活性度の代表値を、環境2の活性度とする。なお、代表値は、平均値に限られず、例えば、中央値、又は最頻値等の他の代表値を用いてもよい。
【0067】
ステップS503において、環境状態判定部403は、評価対象となる環境2における活動前、活動中、及び活動後から選ばれる2つ以上の時間帯で、環境2の快適度、及び活性度を算出したか否かを判断する。2つ以上の時間帯で算出していない場合、環境状態判定部403は、処理をステップS501に戻す。一方、2つ以上の時間帯で算出した場合、環境状態判定部403は、処理をステップS504に移行させる。
【0068】
ステップS504に移行すると、環境状態判定部403は、活動前、活動中、及び活動後から選ばれる2つ以上の時間帯で算出した、評価対象となる環境2の快適度、及び活性度を用いて、当該環境2の環境状態を判定する。
【0069】
前述したように、評価対象となる環境2で人物101が業務に従事すると、業務開始時から業務終了時にかけて疲労が溜まるため、通常は、LF/HFの値が徐々に低下する傾向がある。また、このLF、HFの変化の傾向は、例えば、評価対象となる環境2の業態、又は業務内容によって異なる。
【0070】
そこで、環境状態判定部403は、例えば、評価対象となる環境2の業態、又は業務内容等に合わせて予め作成した関数に、2つ以上の時間帯で算出した快適度、及び活性度の値を代入して、当該環境2の快適度、及び活性度を求める。或いは、環境状態判定部403は、2つ以上の時間帯で算出した快適度、及び活性度の値を入力データとし、環境2の快適度、及び活性度の値を正解データとして予め機械学習した機械学習モデルを用いて、当該環境2の快適度、及び活性度を求めてもよい。
【0071】
また、環境状態判定部403は、環境状態の判定結果に基づいて、例えば、
図6、又は
図7に示すような環境状態の情報を作成する。
図6は、第1の実施形態に係る環境状態の情報の例を示す図(1)である。この図は、例えば、職場Aで活動する複数の人物A~Gを管理する管理者等に通知する、職場Aの環境状態の情報600の一例を示している。なお、職場Aは、評価対象となる環境2の一例である。
【0072】
図6の例では、環境状態の情報600には、第1の時間帯(8:00~9:00)に測定した脈波データから算出した人物A~Gの快適度、及び活性度の値と、職場Aの快適度、及び活性度の値601が含まれる。なお、快適度、及び活性度の値は、0~100の範囲の数値で表されており、数値が高いほど快適度、及び活性度が高いことを示している。例えば、
図6の例では、環境状態の情報600は、人物Aの第1の時間帯における快適度が「40」であり、活性度が「25」であることを示している。また、環境状態の情報600は、職場Aの第1の時間帯における快適度が「51」であり、活性度が「40」であることを示している。
【0073】
また、環境情報状態の情報600には、第2の時間帯(15:00~15:30)に測定した脈波データから算出した人物A~Gの快適度、及び活性度の値と、職場Aの快適度、及び活性度の値602が含まれる。さらに、環境情報状態の情報600には、第3の時間帯(17:30~18:00)に測定した脈波データから算出した人物A~Gの快適度、及び活性度の値と、職場Aの快適度、及び活性度の値603が含まれる。
【0074】
また、
図6の例では、環境状態の情報600には、環境状態判定部403が判定した職場Aの職場快適度、及び職場活性度で表される、職場Aの環境状態604が含まれる。環境状態判定部403は、例えば、第1~第3の時間帯から選択された2つの時間帯の職場Aの快適度、及び活性度と、前述した所定の関数(又は機械学習モデル)とを用いて、職場Aの環境状態604を算出する。或いは、環境状態判定部403は、例えば、第1~第3の時間帯の職場Aの快適度、及び活性度と、前述した所定の関数(又は機械学習モデル)とを用いて、職場Aの環境状態604を算出してもよい。
【0075】
このような環境状態の情報600に基づいて、職場Aを管理する管理者等は、例えば、ある時期から職場Aの快適度、又は活性度が低下した場合、当該時期に発生したイベント等と照らし合わせて、原因の究明、又は対処等の判断することが容易になる。また、職場Aを管理する管理者等は、各人物101の快適度、及び活性度の値から、各人物A~Gの精神的な健康状態(例えば、疲れている、又は悩みがある等)を把握することが容易になる。
【0076】
図7は、第1の実施形態に係る環境状態の情報の例を示す図(2)である。この図は、例えば、複数の職場A~Cを管理する管理者等に通知する、複数の職場A~Cの環境状態の情報700の一例を示している。なお、職場A~Cは、評価対象となる環境2の別の一例である。
【0077】
図7の例では、環境状態の情報700には、第1の時間帯における複数の職場A~Cの快適度、及び活性度の値701が含まれる。また、環境状態の情報700には、第2の時間帯における複数の職場A~Cの快適度、及び活性度の値702が含まれる。さらに、環境状態の情報700には、第3の時間帯における複数の職場A~Cの快適度、及び活性度の値703が含まれる。
【0078】
また、
図7の例では、環境状態の情報700には、環境状態判定部403が判定した、複数の職場A~Cの職場快適度、及び職場活性度の情報704が含まれる。このような環境状態の情報700に基づいて、複数の職場A~Cを管理する管理者等は、例えば、他の職場A、Bと比較して、職場Cの快適度、又は活性度が低い場合、職場Cのマネージメントに注意を払う必要があると判断することが容易になる。
【0079】
ここで、
図5に戻り、フローチャートの説明を続ける。ステップS505において、通知部404は、環境状態判定部403が作成した環境状態の情報を、管理者端末20等の所定の通知先に通知する。これにより、管理者端末20の表示制御部422は、例えば、
図8に示すような表示画面800を表示するとともに、環境状態の情報の表示欄801に、
図6で説明した環境状態の情報600、又は
図7で説明した環境状態の情報700を表示する。
【0080】
[第2の実施形態]
<機能構成>
図9は、第2の実施形態に係る環境状態評価システムの機能構成の例を示す図である。第2の実施形態に係る環境状態評価装置100は、
図4で説明した第1の実施形態に係る環境状態評価装置100の機能構成に加えて、環境データ収集部901を有している。
【0081】
環境データ収集部901は、例えば、CPU201(又はCPU301)によって実行されるプログラム等によって実現される。環境データ収集部901は、評価対象となる環境2の物理化学的環境因子である、温度、湿度、照度、気圧、二酸化炭素濃度、総揮発性有機化合物の濃度、又は騒音等の環境データを収集する環境データ収集処理を実行する。なお、環境データ収集部901は、上述した環境データを、例えば、ビル管理システム、又は空調管理システム等の他のシステムから収集してもよいし、当該環境2に設置したセンサ等を用いて収集してもよい。
【0082】
評価対象となる環境2の快適度、又は活性度等は、当該環境2の物理化学的環境因子である、温度、湿度、照度、気圧、二酸化炭素濃度、総揮発性有機化合物の濃度、又は騒音等の影響を受ける。そこで、第2の実施形態に係る環境状態判定部403は、環境データ収集部901が収集した環境データのいずれかを用いて、環境状態の判定を補正する機能を有している。
【0083】
<処理の流れ>
図10は、第2の実施形態に係る環境状態評価処理の例を示すフローチャートである。なお、
図10に示す処理のうち、ステップS501~S504、S505の処理は、
図5で説明した第1の実施形態に係る環境状態評価処理と同様なので、ここでは説明を省略する。
【0084】
ステップS1001において、環境状態判定部403は、環境データ収集部901が収集した環境データがあるか否かを判断する。環境データがある場合、環境状態判定部403は、処理をステップS1002に移行させる。一方、環境データがない場合、環境状態判定部403は、処理をステップS505に移行させる。
【0085】
なお、ステップS1001の処理は一例である。例えば、ステップS1001において、環境状態判定部403は、環境データによる補正機能設定が有効であるか否かを判断するものであってもよい。この場合、環境状態判定部403は、環境データによる補正機能設定が有効である場合、処理をステップS1002に移行させ、環境データによる補正機能が有効でない場合、処理をステップS505に移行させる。
【0086】
ステップS1002に移行すると、環境状態判定部403は、ステップS504で判定した環境状態の判定結果を補正する。例えば、騒音が大きい環境では、快適度が低下するため、環境状態判定部403は、評価対象となる環境2の騒音レベルが閾値を超えた場合、環境2の快適度を所定の割合で下げてもよい。或いは、湿度、温度、又は二酸化炭素等の濃度が適切な環境では、快適度、又は活性度が向上するため、環境状態判定部403は、湿度、温度、又は二酸化炭素等の濃度が所定の範囲内である場合、環境2の快適度、又は活性度を、所定の割合で上げてもよい。
【0087】
このように、環境状態の判定結果を、評価対象となる環境2の温度、湿度、照度、気圧、二酸化炭素濃度、総揮発性有機化合物の濃度、又は騒音等により補正することにより、当該環境2の環境状態をより正確に判定できるようになる。
【0088】
なお、環境状態評価システム1は、環境データ収集部901が収集した環境データを、例えば、
図8に示すような表示画面800の環境状態の情報の表示欄801に、環境状態の情報とともに表示してもよい。
【0089】
[第3の実施形態]
<機能構成>
図11は、第3の実施形態に係る環境状態評価システムの機能構成の例を示す図である。第3の実施形態に係る環境状態評価装置100は、
図4で説明した第1の実施形態に係る環境状態評価装置100の機能構成に加えて、健康状態判定部1101を有している。
【0090】
健康状態判定部1101は、例えば、CPU201(又はCPU301)によって実行されるプログラム等によって実現される。健康状態判定部1101は、評価対象者の環境状態の評価結果(快適度、又は活性度)を基準値と比較して、評価対象者の健康状態を判定する健康状態判定処理を実行する。ここで、基準値は、予め設定した値であってもよいし、評価対象となる環境2で活動する複数の人物101の環境状態の評価結果の代表値(例えば、平均値、又は中央値等)であってもよい。
【0091】
<処理の流れ>
図12は、第3の実施形態に係る健康状態の評価処理の例を示すフローチャートである。健康状態判定部1101は、例えば、
図5のステップS505の処理を実行する前に、評価対象となる環境2で活動する複数の人物101の各々に対して、
図12に示すような健康状態の評価処理を実行する。
【0092】
ステップS1201において、健康状態判定部1101は、評価対象者の環境状態の表結果(快適度、活性度、又は快適度と活性度)を、例えば、記憶部406等から取得する。
【0093】
ステップS1202において、健康状態判定部1101は、取得した評価対象者の環境状態の評価結果と、基準値との差が閾値以上であるか否かを判断する。基準値との差が閾値以上である場合、健康状態判定部1101は、処理をステップS1203に移行させる。一方、基準値との差が閾値以上である場合、健康状態判定部1101は、
図12の処理を終了する。
【0094】
ステップS1203において、健康状態判定部1101は、評価対象者の健康状態の情報を、環境状態判定部403、又は通知部404等に出力する。
【0095】
図12の処理で出力された評価対象者の健康状態の情報に基づいて、通知部404は、例えば、
図13に示すような環境状態の情報1300を、所定の通知先に通知する。
【0096】
図13は、第3の実施形態に係る環境状態の情報の例を示す図である。
図13の例では、環境状態の情報1300には、
図6で説明した第1の実施形態に係る環境状態の情報600に対して、健康状態の情報の1301が追加されている。また、
図13の例では、他の人物101と比較して、快適度、及び活性度の値が低い人物Fの健康状態の情報1301の欄に健康状態の情報1302の一例として、「疲れています」というメッセージを表示している。
【0097】
このように、環境状態評価システム1が提供する環境状態の情報1300には、評価対象となる環境2で活動する人物101の健康状態を示す情報が含まれていてもよい。
【0098】
[第4の実施形態]
<機能構成>
図14は、第4の実施形態に係る環境状態評価システムの機能構成の例を示す図である。第4の実施形態に係る環境状態評価装置100は、
図4で説明した第1の実施形態に係る環境状態評価装置100の機能構成に加えて、改善提案部1401を有している。また、記憶部406には、対応情報1402が記憶されている。
【0099】
改善提案部1401は、例えば、CPU201(又はCPU301)によって実行されるプログラム等によって実現される。改善提案部1401は、例えば、
図15に示すような環境状態の情報1500に、環境状態を改善するための提案1501を表示させる改善提案処理を実行する。
【0100】
例えば、記憶部406に記憶した対応情報1402には、快適度、活性度、又は快適度と活性度の値と、環境状態を改善するための提案とを対応付けて予め記憶した対応テーブルが記憶されている。改善提案部1401は、例えば、各職場A~Cの快適度(職場快適度)、活性度(職場活性度)、又は快適度と活性度の値が、対応情報1402に登録されている場合、その値に対応する環境状態を改善するための提案1501を、環境状態の情報1500に表示させる。
【0101】
なお、対応情報1402に記憶した対応テーブルは、機械学習の学習効果によって生成されたものでもよい。また、改善提案部1401は、快適度、活性度、又は快適度と活性度の値と、環境状態を改善するための提案との関係を予め機械学習した機械学習モデルを用いて、環境状態を改善するための提案1501を表示させるものであってもよい。
【0102】
以上、本発明の各実施形態によれば、所定の人物が活動する環境の環境状態を適切に評価できるようになる。
【0103】
<補足>
上記で説明した各実施形態の各機能は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(digital signal processor)、FPGA(field programmable gate array)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。
【0104】
また、実施例に記載された装置群は、本明細書に開示された実施形態を実施するための複数のコンピューティング環境のうちの1つを示すものに過ぎない。ある実施形態では、環境状態評価装置100は、サーバクラスタといった複数のコンピューティングデバイスを含む。複数のコンピューティングデバイスは、ネットワークや共有メモリなどを含む任意のタイプの通信リンクを介して互いに通信するように構成されており、本明細書に開示された処理を実施する。また、環境状態評価装置100の各要素は、1つのサーバ装置にまとめられていてもよいし、複数の装置に分けられていてもよい。
【0105】
<付記>
本明細書には、下記の各項の環境状態評価システム、環境状態評価方法、及びプログラムが開示されている。
(第1項)
所定の環境で活動する人物の脈波を測定した脈波データを取得する取得部と、
前記脈波データから、前記環境の環境状態を判定する環境状態判定部と、
前記環境状態の情報を所定の通知先に通知する通知部と、
を有し、
前記環境状態判定部は、前記環境における活動前、活動中、及び活動後から選ばれる2つ以上の時間帯に測定した前記脈波データを用いて、前記環境状態を判定する、
環境状態評価システム。
(第2項)
前記取得部は、前記環境で活動する複数の人物の前記脈波データを取得し、
前記環境状態判定部は、前記2つ以上の時間帯に測定した前記複数の人物の前記脈波データを用いて、前記環境状態を判定する、
第1項に記載の環境状態評価システム。
(第3項)
前記取得部は、前記環境で活動する人物が利用するパーソナルコンピュータが、前記パーソナルコンピュータが備えるカメラ、又は前記パーソナルコンピュータに接続されたカメラを用いて測定した前記脈波データを取得する、第1項又は第2項に記載の環境状態評価システム。
(第4項)
前記通知部が通知する前記環境状態の情報は、前記環境の快適度に関する判定結果を含み、
前記環境状態判定部は、脈波変動の低周波領域のパワースペクトル成分LFと、前記脈波変動の高周波領域のパワースペクトル成分HFとの比率(LF/HF)を用いて、前記快適度に関する判定を行う、
第1項~第3項のいずれかに記載の環境状態評価システム。
(第5項)
前記通知部が通知する前記環境状態の情報は、前記環境の活性度に関する判定結果を含み、
前記環境状態判定部は、脈波変動の低周波領域のパワースペクトル成分LFと、前記脈波変動の高周波領域のパワースペクトル成分HFとの和TPを用いて、前記活性度に関する判定を行う、
第1項~第4項のいずれかに記載の環境状態評価システム。
(第6項)
前記環境状態判定部は、物理化学的環境因子である温度、湿度、照度、気圧、二酸化炭素濃度、総揮発性有機化合物の濃度、及び騒音のいずれかを用いて前記環境状態の判定を補正する、第1項~第5項のいずれかに記載の環境状態評価システム。
(第7項)
前記環境で活動する人物の前記環境状態の判定結果を基準値と比較して、前記人物の精神的な健康状態を判定する健康状態判定部を有し、
前記通知部が通知する前記環境状態の情報は、前記健康状態の判定結果を含む、
第1項~第6項のいずれかに記載の環境状態評価システム。
(第8項)
前記通知部が通知する前記環境状態の情報は、前記環境状態を改善するための提案を含む、第1項~第7項のいずれかに記載の環境状態評価システム。
(第9項)
前記脈波データと、前記環境状態判定部による判定結果とを管理する情報管理部を有する、第1項~第8項のいずれかに記載の環境状態評価システム。
(第10項)
コンピュータが、
所定の環境で活動する人物の脈波を測定した脈波データを取得する取得処理と、
前記脈波データから、前記環境の環境状態を判定する判定処理と、
前記環境状態の情報を所定の通知先に通知する通知処理と、
を実行し、
前記判定処理は、前記環境における活動前、活動中、及び活動後から選ばれる2つ以上の時間帯に測定した前記脈波データを用いて、前記環境状態を判定する、
環境状態評価方法。
(第11項)
コンピュータに、
所定の環境で活動する人物の脈波を測定した脈波データを取得する取得処理と、
前記脈波データから、前記環境の環境状態を判定する判定処理と、
前記環境状態の情報を所定の通知先に通知する通知処理と、
を実行させ、
前記判定処理は、前記環境における活動前、活動中、及び活動後から選ばれる2つ以上の時間帯に測定した前記脈波データを用いて、前記環境状態を判定する、
プログラム。
【0106】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、及び応用が可能である。
【符号の説明】
【0107】
1 環境状態評価システム
2 環境(所定の環境)
10、10a、10b、10c ユーザ端末(パーソナルコンピュータ)
11、12 カメラ
101、101a、101b、101c 人物
200 コンピュータ
300 情報端末(コンピュータ)
402 取得部
403 環境状態判定部
404 通知部
405 情報管理部
406 記憶部
901 環境データ収集部
1101 健康状態判定部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0108】
【特許文献1】特許6837151号公報
【特許文献2】特開2022-160891号公報
【非特許文献】
【0109】
【非特許文献1】経済産業省製造産業局繊維課、東洋紡績株式会社、"心理生理快適性素材の開発"、第1回繊維分野におけるエネルギー 使用合理化技術開発補助金プロジェクト事後評価検討会資料6-1、平成20年11月10日
【非特許文献2】岡林春雄、"生体信号・指尖脈波のリアルタイム解析:若者のストレス対処メカニズム"、山梨大学教育学部紀要、第25号、2016年度抜刷