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特開2024-7248配信サーバ、受信装置、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024007248
(43)【公開日】2024-01-18
(54)【発明の名称】配信サーバ、受信装置、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 21/234 20110101AFI20240111BHJP
   H04N 21/44 20110101ALI20240111BHJP
【FI】
H04N21/234
H04N21/44
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022108621
(22)【出願日】2022-07-05
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.JAVASCRIPT
(71)【出願人】
【識別番号】000004352
【氏名又は名称】日本放送協会
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100161148
【弁理士】
【氏名又は名称】福尾 誠
(72)【発明者】
【氏名】西村 敏
(72)【発明者】
【氏名】福留 大貴
【テーマコード(参考)】
5C164
【Fターム(参考)】
5C164MB13S
5C164MB44S
5C164SB01P
5C164SC11S
5C164UB01P
5C164UB41S
5C164YA18
(57)【要約】
【課題】低遅延セグメント形式のストリーミングコンテンツを、低遅延セグメント形式に非対応の受信装置でも再生可能とする。
【解決手段】配信サーバ10は、イントラフレームを含まないチャンクを有する低遅延セグメントを、全チャンクがイントラフレームを含む通常セグメントに変換するセグメント変換部14と、セグメントをリクエストする受信装置が低遅延セグメント形式に対応しているか否かを判定する低遅延セグメント形式対応判定部18と、受信装置が低遅延セグメント形式に対応している場合には低遅延セグメントを送信し、受信装置が低遅延セグメント形式に対応していない場合には通常セグメントを送信するセグメント送信部19と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のセグメントから構成されるコンテンツをセグメント毎に受信装置に配信する配信サーバであって、
イントラフレームを含まないチャンクを有する低遅延セグメントを、全チャンクがイントラフレームを含む通常セグメントに変換するセグメント変換部と、
セグメントをリクエストする受信装置が低遅延セグメント形式に対応しているか否かを判定する低遅延セグメント形式対応判定部と、
前記受信装置が低遅延セグメント形式に対応している場合には前記低遅延セグメントを送信し、前記受信装置が低遅延セグメント形式に対応していない場合には前記通常セグメントを送信するセグメント送信部と、
を備える配信サーバ。
【請求項2】
前記セグメント変換部は、受信したチャンクのメタ情報を基に、該チャンクの先頭フレームがイントラフレームであるか否かを判定し、先頭フレームがイントラフレームであるチャンクに、先頭フレームがイントラフレームでない後続のチャンクを結合して、前記通常セグメントを生成する、請求項1に記載の配信サーバ。
【請求項3】
配信サーバから、複数のセグメントから構成されるコンテンツをセグメント毎に受信する受信装置であって、
イントラフレームを含まないチャンクを有する低遅延セグメントを、全チャンクがイントラフレームを含む通常セグメントに変換するセグメント変換部と、
当該受信装置が低遅延セグメント形式に対応しているか否かを判定する低遅延セグメント形式対応判定部と、
当該受信装置が低遅延セグメント形式に対応している場合には前記低遅延セグメントを復号して再生し、当該受信装置が低遅延セグメント形式に対応していない場合には前記通常セグメントを復号して再生する復号・再生部と、
を備える受信装置。
【請求項4】
前記セグメント変換部は、受信したチャンクのメタ情報を基に、該チャンクの先頭フレームがイントラフレームであるか否かを判定し、先頭フレームがイントラフレームであるチャンクに、先頭フレームがイントラフレームでない後続のチャンクを結合して、前記通常セグメントを生成する、請求項3に記載の受信装置。
【請求項5】
コンピュータを、請求項1又は2に記載の配信サーバとして機能させるためのプログラム。
【請求項6】
コンピュータを、請求項3又は4に記載の受信装置として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配信サーバ、受信装置、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
昨今のインターネットにおけるストリーミング動画配信では、汎用的なWebサーバによりHTTPプロトコルを用いてストリーミング配信する方式が主流となっている。このようなHTTPプロトコルによるストリーミング配信方式(アダプティブストリーミング)の一例としては、国際標準規格のMPEG-DASH(ISO/IEC23009-1)がある。
【0003】
MPEG-DASHでは、Webサーバに、初期化セグメント、メディアセグメント、及びそれらのURLや動画コンテンツの属性を記述したマニフェストファイルを用意する。メディアセグメントは、動画コンテンツを一つ又は複数の品質(画面サイズやビットレート等のパラメータ)でエンコードしたストリームをそれぞれ数秒から数十秒程度のファイルに分割したセグメントである。初期化セグメントは、各ストリームの符号化や暗号化等に関する生成パラメータ等、セグメントの提示に必要なメタデータを含む。受信装置は、マニフェストファイルから当該受信装置の画面サイズや伝送路のネットワーク帯域の状態等を考慮して、適時品質を選択して次々とセグメントを受信し、1本の動画コンテンツにつなぎ合わせて再生する(例えば、非特許文献1参照)。
【0004】
セグメントのメディアコンテナ形式としては、ISO-BMFF(ISO-Base Media File Format)形式が主に用いられるが、当該形式をベースにセグメントの中にチャンクと呼ばれるより細かい単位が定義されたCMAF(Common Media Application Format)が標準化されている(例えば、非特許文献2参照)。
【0005】
図6に、従来のセグメントと、CMAFによるセグメント(CMAFセグメント)とを比較して示す。mdat(Media Data Box)は、映像、音声等のメディアデータを格納するボックスであり、moof(Movie Fragment Box)は直後のmdatのメタ情報を格納するボックスである。1組のmoof及びmdatを「チャンク」という。
【0006】
従来のセグメントでは、メディアデータが映像の場合、イントラフレームとそれに続く複数のインターフレームをグループ化したGOP(Group of Pictures)単位、又は複数GOP単位で、セグメント内に1つのチャンクを構成するのが一般的であった。図6では従来のセグメントとして、2GOP単位で1つのチャンクを構成する例を示している。一方、CMAFセグメントにおいては、1から数フレーム単位で1つのチャンク(CMAFチャンク)を構成する。すなわち、CMAFセグメントは、複数のCMAFチャンクにより構成される。図6に示すCMAFセグメントは、イントラフレームを含むCMAFチャンクa,cと、イントラフレームを含まないCMAFチャンクb,dにより構成される。
【0007】
図6の従来のセグメントでは、mdatの最終バイトまでのエンコードが完了するまでセグメントを配信できなかったのに対し、CMAFセグメントの形式にすることにより、最初のCMAFチャンクにおけるmdatの最終バイトのエンコードが終了した時点から順次セグメントの配信を開始できるため、より低遅延なライブ配信が可能となる(例えば、非特許文献3参照)。
【0008】
また、特許文献1には、メディアコンテナ形式としてCMAFを適用したMMT(MPEG Media Transport)ストリームをCMAF非適用のMMTに変換することにより、CMAFを適用したMMTストリームに非対応の受信機でも再生できるようにする多重信号変換装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2021-197584号公報
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】平林 光浩, “次世代動画配信技術「MPEG-DASH」技術概要と標準化・関連技術動向”, 映像情報メディア学会誌, Vol.67, No.2, 2013, p.109-115
【非特許文献2】“ISO/IEC 23000-19:2020 Information technology - Multimedia application format (MPEG-A) - Part 19: Common media application format(CMAF) for segmented media”,International Organization for Standardization,2020年3月
【非特許文献3】Yuhki Hanada, 2018年4月5日, “CMAF と CMAFを使用した低遅延LIVE 配信の実現”, [online], [2022年6月20日検索], インターネット<URL:https://www.akamai.com/ja/blog/performance/cmaf-cmaf-low-lalatency-live>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
動画配信の低遅延化に対する需要の高まりから、CMAF等による低遅延セグメント形式のストリーミング配信が今後ますます普及していくと考えられる。しかしながら、従来のセグメント形式によるストリーミング配信に早くから対応していた装置においては、mdat内にイントラフレームを含まないチャンクを含む低遅延セグメント形式のストリーミング配信の再生に非対応な場合がある。このような低遅延セグメント形式に非対応な受信装置に対しては、従来のセグメント形式によるストリーミング配信を行うことも可能であるが、常に2種類のストリームのエンコードが必要となる。なお、特許文献1に開示された技術も、この課題を解決するものではなかった。
【0012】
かかる事情に鑑みてなされた本発明の目的は、低遅延セグメント形式のストリーミングコンテンツを、低遅延セグメント形式に非対応の受信装置でも再生できるようにする配信サーバ、受信装置、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するため、一実施形態に係る配信サーバは、複数のセグメントから構成されるコンテンツをセグメント毎に受信装置に配信する配信サーバであって、イントラフレームを含まないチャンクを有する低遅延セグメントを、全チャンクがイントラフレームを含む通常セグメントに変換するセグメント変換部と、セグメントをリクエストする受信装置が低遅延セグメント形式に対応しているか否かを判定する低遅延セグメント形式対応判定部と、前記受信装置が低遅延セグメント形式に対応している場合には前記低遅延セグメントを送信し、前記受信装置が低遅延セグメント形式に対応していない場合には前記通常セグメントを送信するセグメント送信部と、を備える。
【0014】
さらに、一実施形態に係る配信サーバにおいて、前記セグメント変換部は、受信したチャンクのメタ情報を基に、該チャンクの先頭フレームがイントラフレームであるか否かを判定し、先頭フレームがイントラフレームであるチャンクに、先頭フレームがイントラフレームでない後続のチャンクを結合して、前記通常セグメントを生成してもよい。
【0015】
上記課題を解決するため、一実施形態に係る受信装置は、配信サーバから、複数のセグメントから構成されるコンテンツをセグメント毎に受信する受信装置であって、イントラフレームを含まないチャンクを有する低遅延セグメントを、全チャンクがイントラフレームを含む通常セグメントに変換するセグメント変換部と、当該受信装置が低遅延セグメント形式に対応しているか否かを判定する低遅延セグメント形式対応判定部と、当該受信装置が低遅延セグメント形式に対応している場合には前記低遅延セグメントを復号して再生し、当該受信装置が低遅延セグメント形式に対応していない場合には前記通常セグメントを復号して再生する復号・再生部と、を備える。
【0016】
さらに、一実施形態に係る受信装置において、前記セグメント変換部は、受信したチャンクのメタ情報を基に、該チャンクの先頭フレームがイントラフレームであるか否かを判定し、先頭フレームがイントラフレームであるチャンクに、先頭フレームがイントラフレームでない後続のチャンクを結合して、前記通常セグメントを生成してもよい。
【0017】
また、上記課題を解決するため、一実施形態に係るプログラムは、コンピュータを、上記配信サーバとして機能させる。
【0018】
また、上記課題を解決するため、一実施形態に係るプログラムは、コンピュータを、上記受信装置として機能させる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、低遅延セグメント形式のストリーミングコンテンツを、低遅延セグメント形式に非対応の受信装置でも再生できるようになる。そのため、後方互換性を確保しつつ、効率的に低遅延配信を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】第1の実施形態に係る配信システムの構成例を示すブロック図である。
図2】第1の実施形態に係る配信サーバの構成例を示すブロック図である。
図3】第1の実施形態に係る配信サーバにおけるセグメント変換部による処理の一例を示すフローチャートである。
図4】第2の実施形態に係る配信システムの構成例を示すブロック図である。
図5】第2の実施形態に係る受信装置の構成例を示すブロック図である。
図6】従来のセグメントとCMAFによるセグメントとを比較して示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0022】
本明細書において、「低遅延セグメント」とは、図6に示したCMAFセグメントのように1から数フレーム単位で1つのチャンクを構成するセグメントであって、イントラフレームを含まないチャンクを有するセグメントのことをいう。また、「通常セグメント」とは、図6に示した従来のセグメントのように1以上のGOP単位で1つのチャンクを構成するセグメントであって、イントラフレームを含まないチャンクを有さないセグメントのことをいう。
【0023】
<第1の実施形態>
(コンテンツ配信システム)
図1は、本発明の第1の実施形態に係るコンテンツ配信システムの構成例を示す図である。図1に示すコンテンツ配信システム1は、配信サーバ10と、ライブエンコーダ20と、第1受信装置30と、第2受信装置40と、を備える。図1では図面の便宜上、第1受信装置30及び第2受信装置40をそれぞれ1つのみ示しているが、コンテンツ配信システム1は第1受信装置30及び第2受信装置40をそれぞれ1以上備える。
【0024】
配信サーバ10及びライブエンコーダ20は、通信ネットワークNW1を介して接続される。通信ネットワークNW1は、専用のローカルネットワークでもよいし、インターネットでもよい。配信サーバ10、第1受信装置30、及び第2受信装置40は、インターネットなどの通信ネットワークNW2を介して接続される。
【0025】
ライブエンコーダ20は、入力映像をCMAF等の低遅延セグメント形式でエンコードし、エンコードした低遅延セグメントを順次配信サーバ10に出力する。エンコードは、H.264|MPEG-4 AVC(Advanced Video Coding)、H.265|MPEG-H HEVC(High Efficiency Video Coding)といった既存の映像符号化方式により行われる。ライブエンコーダ20は、例えばセグメント単位でHTTP/1.1 Chunked Transfer Encoding形式により配信サーバ10とセッションを確立し、チャンク単位で低遅延セグメントを送信する。
【0026】
配信サーバ10は、複数のセグメントから構成されるコンテンツをセグメント毎に、該セグメントをリクエストする第1受信装置30及び第2受信装置40に配信する。
【0027】
第1受信装置30は、低遅延セグメント形式(MPEG-DASH等のセグメント型ストリーミング方式)に対応した受信装置であり、配信サーバ10に順次セグメントをリクエストして取得し、復号・再生する端末である。第1受信装置30は、配信サーバ10とはセグメント単位で、例えばHTTP/1.1 Chunked Transfer Encoding形式によりセッションを確立し、チャンク単位でセグメントを受信する。
【0028】
第2受信装置40は、基本的な構成は第1受信装置30と共通であるが、低遅延セグメント形式に非対応な受信装置である。すなわち、第2受信装置40は、イントラフレームを含まないチャンク(例えば、CMAFチャンク)の復号・再生に対応していない。
【0029】
(配信サーバ)
次に、配信サーバ10の詳細について説明する。図2は、配信サーバ10の構成例を示すブロック図である。図2に示す配信サーバ10は、第1通信I/F11と、セグメント受信部12と、低遅延セグメント用バッファ13と、セグメント変換部14と、通常セグメント用バッファ15と、第2通信I/F16と、リクエスト受信部17と、低遅延セグメント形式対応判定部18と、セグメント送信部19と、を備える。なお、通信ネットワークNW1及び通信ネットワークNW2が共通である場合には、第1通信I/F11及び第2通信I/F16は共通であってもよい。
【0030】
セグメント受信部12は、ライブエンコーダ20から第1通信I/F11を介して順次低遅延セグメントを受信し、低遅延セグメント用バッファ13に出力する。ライブエンコーダ20からは、例えばHTTP/1.1 Chunked Transfer Encoding形式によりセグメント単位でセッションを確立し、チャンク単位で低遅延セグメントを受信する。セグメント受信部12は、低遅延セグメント用バッファ13へは、セグメントの受信完了を待たずに、チャンク単位で出力する。また、セグメント変換部14にも同時にチャンク単位で出力する。
【0031】
セグメント変換部14は、セグメント受信部12から入力した低遅延セグメントを、全チャンクがイントラフレームを含む通常セグメントに変換し、変換した通常セグメントを通常セグメント用バッファ15に出力する。
【0032】
セグメント変換部14は、受信したチャンクのメタ情報を基に、該チャンクの先頭フレームがイントラフレームであるか否かを判定し、先頭フレームがイントラフレームであるチャンクに、先頭フレームがイントラフレームでない後続のチャンクを結合して、通常セグメントを生成する。セグメント変換部14の処理の詳細については、後述する。
【0033】
リクエスト受信部17は、第1受信装置30又は第2受信装置40から、第2通信I/F16を介してセグメントのリクエストを受信し、当該リクエストに含まれるセグメントのURL、及び第1受信装置30又は第2受信装置40の端末情報を、低遅延セグメント形式対応判定部18に通知する。端末情報として、例えばHTTPリクエストに含まれるUser-Agent情報を利用可能であるが、端末情報はこれに限定されるものではない。
【0034】
低遅延セグメント形式対応判定部18は、リクエスト受信部17から入力した端末情報に基づいて、セグメントをリクエストする受信装置が低遅延セグメント形式に対応しているか否かを判定する。低遅延セグメント形式に対応しているとは、低遅延セグメントを復号・再生できることを意味する。低遅延セグメント形式対応判定部18は、ブラウザ、OS、受信装置の機種などに応じた対応リスト(又は非対応リスト)をあらかじめ作成しておき、端末情報に含まれるそれら情報と照合することにより、低遅延セグメント形式に対応しているか否かを判定してもよい。
【0035】
低遅延セグメント形式対応判定部18は、受信装置が低遅延セグメント形式に対応していると判定した場合には、リクエスト受信部17から入力したセグメントのURLに該当する低遅延セグメントを低遅延セグメント用バッファ13から取得し、セグメント送信部19に出力する。一方、低遅延セグメント形式対応判定部18は、受信装置が低遅延セグメント形式に対応していないと判定した場合には、セグメントのURLに該当する通常セグメントを通常セグメント用バッファ15から取得し、セグメント送信部19に出力する。
【0036】
セグメント送信部19は、低遅延セグメント形式対応判定部18から入力した低遅延セグメントを第2通信I/F16を介して第1受信装置30に出力し、低遅延セグメント形式対応判定部18から入力した通常セグメントを第2通信I/F16を介して第2受信装置40に出力する。すなわち、セグメント送信部19は、受信装置が低遅延セグメント形式に対応している場合には低遅延セグメントを送信し、受信装置が低遅延セグメント形式に対応していない場合には通常セグメントを送信する。
【0037】
(セグメント変換方法)
次に、セグメント変換部14による1セグメント分の低遅延セグメントの変換方法について、図3に示すフローチャートを参照して説明する。ここでは、低遅延セグメントのメディアコンテナ形式はISO-BMFF又はCMAFに従うものとする。
【0038】
ステップS001では、セグメント変換部14は、セグメント受信部12から1チャンクを受信する。
【0039】
ステップS002では、セグメント変換部14は、受信したチャンクのmoofボックスを解析し、mdatボックスに含まれるメディアデータのメタ情報を取得する。メタ情報には、例えば、先頭フレームのデコード時刻(baseMediaDecodeTime)、チャンク内のフレーム数(sample_count)、フレーム毎の時間長(sample_duration)、データサイズ(sample_size)、フラグ(sample_flag)、及び時刻オフセット値(sample_composition_time_offset)が含まれる。
【0040】
ステップS003では、セグメント変換部14は、メタ情報を基に受信したチャンクの先頭フレームがイントラフレームであるか否かを判定する。例えば、メタ情報における先頭フレームのsample_flagにおけるsample_depends_on値が2である場合には、先頭フレームがイントラフレームであると判定する。セグメント変換部14は、先頭フレームがイントラフレームでないと判定した場合には(ステップS003-NO)、処理をステップS004に進め、先頭フレームがイントラフレームであると判定した場合には(ステップS003-YES)、処理をステップS006に進める。
【0041】
ステップS004では、セグメント変換部14は、受信したチャンクのメタ情報とmdatを、セグメント変換部14内の一次バッファに格納する。なお、一次バッファはセグメント変換部14の外部にあってもよい。
【0042】
ステップS005では、セグメント変換部14は、一次バッファに格納したチャンクが1つの低遅延セグメント内の最後のチャンクであるか否かを判定する。格納したチャンクが低遅延セグメントの最後のチャンクでない場合には(ステップS005-NO)、処理をステップS001に戻し、格納したチャンクが低遅延セグメントの最後のチャンクである場合には(ステップS005-YES)、処理をステップS007に進める。
【0043】
ステップS006では、セグメント変換部14は、一次バッファにデータが格納されているか否かを確認する。一次バッファにデータが格納されていない場合には(ステップS006-NO)、処理をステップS004に進め、一次バッファにデータが格納されている場合には(ステップS006-YES)、処理をステップS007に進める。
【0044】
ステップS007では、セグメント変換部14は、一次バッファに格納されているデータを取り出す。そして、チャンク毎のmdatに含まれるメディアデータを、一次バッファに格納された順に連結し、ISO-BMFF仕様に従って再構成したmdatを生成する。これにより、イントラフレームを含むmdatを生成することができる。
【0045】
ステップS008では、セグメント変換部14は、一次バッファに格納されたチャンク毎のメタ情報を基に、ISO-BMFF仕様に従ってmdatに対応するmoofを生成する。
【0046】
ステップS009では、セグメント変換部14は、生成したmoofとmdatを連結して通常セグメント形式のチャンクを生成し、セグメント変換部14内の二次バッファに格納する。なお、二次バッファはセグメント変換部14の外部にあってもよい。
【0047】
ステップS010では、セグメント変換部14は、1つの低遅延セグメント内の全てのチャンクの処理が終了したか否かを判定する。低遅延セグメント内の全てのチャンクの処理が終了した場合には(ステップS010-YES)、処理をステップS011に進める。低遅延セグメント内に処理が終了していないチャンクがある場合には(S010-NO)、処理をステップS004に戻し、受信したチャンクのメタ情報とmdatを一次バッファに格納する。
【0048】
ステップS011では、セグメント変換部14は、二次バッファに格納されている通常セグメント形式のチャンクを取り出す。そして、二次バッファに格納された順に結合して通常セグメントを生成して通常セグメント用バッファ15に出力し、処理を終了する。
【0049】
このように、配信サーバ10は、ライブエンコーダ20から出力された低遅延セグメントを通常セグメントに変換したうえで、低遅延セグメント形式に非対応の第2受信装置40に送信する。そのため、第2受信装置40においても、復号・再生が可能となる。
【0050】
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。図4は、本発明の第2の実施形態に係るコンテンツ配信システムの構成例を示す図である。図4に示すコンテンツ配信システム2は、配信サーバ10aと、ライブエンコーダ20と、受信装置50と、を備える。図4では図面の便宜上、受信装置50を1つのみ示しているが、コンテンツ配信システム2は受信装置50を1以上備える。なお、配信サーバ10aとライブエンコーダ20は、一体として構成される1つの装置であってもよい。
【0051】
図4では、ライブエンコーダ20及び配信サーバ10aは、通信ネットワークNW1を介して接続される。通信ネットワークNW1は、専用のローカルネットワークでもよいし、インターネットでもよい。配信サーバ10a及び受信装置50は、インターネットなどの通信ネットワークNW2を介して接続される。
【0052】
ライブエンコーダ20は、第1の実施形態と同じであり、チャンク単位で低遅延セグメントを配信サーバ10aに送信する。
【0053】
配信サーバ10aは、ライブエンコーダ20から受信した低遅延セグメントをバッファリングする。そして、配信サーバ10aは、受信装置50からのセグメントのリクエストに応じて、低遅延セグメントを受信装置50に配信する。
【0054】
受信装置50は、MPEG-DASH等のセグメント型ストリーミング方式に従って、配信サーバ10aに順次セグメントをリクエストする。そして、配信サーバ10aから、複数のセグメントから構成されるコンテンツをセグメント毎に受信する。
【0055】
(受信装置)
次に、受信装置50の詳細について説明する。図5は、受信装置50の構成例を示すブロック図である。図5に示す受信装置50は、通信I/F51と、セグメントリクエスト部52と、セグメント受信部53と、低遅延セグメント形式対応判定部54と、バッファ55と、セグメント変換部56と、復号・再生部57と、を備える。
【0056】
セグメントリクエスト部52は、配信サーバ10aと、例えばHTTP/1.1 Chunked Transfer Encoding形式によりセグメント単位でセッションを確立し、所望のセグメントのURLを含むリクエストを配信サーバ10aに要求する。
【0057】
セグメント受信部53は、配信サーバ10aから第1通信I/F11を介して所望のセグメントのURLに対応する低遅延セグメントを受信し、低遅延セグメント形式対応判定部54に出力する。
【0058】
低遅延セグメント形式対応判定部54は、受信装置50における復号・再生部57が低遅延セグメント形式に対応しているか否かを判定する。例えば、受信装置50のブラウザ・OS・端末の機種など基づいて判定してもよい。あるいは、あらかじめ低遅延セグメントをバッファ経由で復号・再生部57に入力し、エラーとなるか否かを検証し、その結果をもって判定してもよい。
【0059】
低遅延セグメント形式対応判定部54は、復号・再生部57が低遅延セグメント形式に対応していると判定した場合は、セグメント受信部53から入力した低遅延セグメントをバッファ55に出力する。一方、低遅延セグメント形式対応判定部54は、復号・再生部57が低遅延セグメント形式に対応していないと判定した場合は、低遅延セグメントをセグメント変換部56に出力する。
【0060】
セグメント変換部56は、第1の実施形態と同様に(図3参照)、イントラフレームを含まないチャンクを有する低遅延セグメントを、全チャンクがイントラフレームを含む通常セグメントに変換し、通常セグメントをバッファ55に出力する。
【0061】
バッファ55は、低遅延セグメント形式対応判定部54から入力したセグメント、又はセグメント変換部56から入力した通常セグメントを復号・再生部57に出力する。
【0062】
復号・再生部57は、バッファ55から入力した低遅延セグメント又は通常セグメントを復号して再生する。すなわち、復号・再生部57は、受信装置50が低遅延セグメント形式に対応している場合には低遅延セグメントを復号して再生し、受信装置50が低遅延セグメント形式に対応していない場合には通常セグメントを復号して再生する。
【0063】
以上の処理により、受信装置50は、復号・再生部57が、低遅延セグメント形式に対応しているか否かに関わらず、配信サーバ10aから低遅延セグメントを受信し、再生することが可能となる。
【0064】
なお、セグメント変換部56は、JavaScript等のソフトウェアとして実装可能である。そのため受信装置50の出荷の時点で組み込まれている必要はなく、配信サーバ10aからのコンテンツの受信に先立って、外部のWebサイト等から取得して実行することが可能である。よって後方互換性を確保しつつ、効率的に低遅延配信を実現することが可能となる。
【0065】
(プログラム)
上述した配信サーバ10及び受信装置50として機能させるために、それぞれプログラム命令を実行可能なコンピュータを用いることも可能である。ここで、コンピュータは、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、ワークステーション、PC(Personal Computer)、電子ノートパッドなどであってもよい。プログラム命令は、必要なタスクを実行するためのプログラムコード、コードセグメントなどであってもよい。
【0066】
コンピュータは、プロセッサと、記憶部と、入力部と、出力部と、通信インターフェースとを備える。プロセッサは、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、SoC(System on a Chip)などであり、同種又は異種の複数のプロセッサにより構成されてもよい。プロセッサは、記憶部からプログラムを読み出して実行することで、上記各構成の制御及び各種の演算処理を行う。なお、これらの処理内容の少なくとも一部をハードウェアで実現することとしてもよい。
【0067】
プログラムは、コンピュータが読み取り可能な記録媒体に記録されていてもよい。このような記録媒体を用いれば、プログラムをコンピュータにインストールすることが可能である。ここで、プログラムが記録された記録媒体は、非一過性(non-transitory)の記録媒体であってもよい。非一過性の記録媒体は、特に限定されるものではないが、例えば、CD-ROM、DVD-ROM、USB(Universal Serial Bus)メモリなどであってもよい。また、このプログラムは、ネットワークを介して外部装置からダウンロードされる形態としてもよい。
【0068】
例えば、配信サーバ10として機能させるためのプログラムは、低遅延セグメントを通常セグメントに変換するステップと、セグメントをリクエストする受信装置が低遅延セグメント形式に対応しているか否かを判定するステップと、受信装置が低遅延セグメント形式に対応している場合には低遅延セグメントを送信し、受信装置が低遅延セグメント形式に対応していない場合には通常セグメントを送信するステップと、コンピュータに実行させる。
【0069】
例えば、受信装置50として機能させるためのプログラムは、低遅延セグメントを通常セグメントに変換するステップと、受信装置50が低遅延セグメント形式に対応しているか否かを判定するステップと、受信装置50が低遅延セグメント形式に対応している場合には低遅延セグメントを復号して再生し、受信装置50が低遅延セグメント形式に対応していない場合には通常セグメントを復号して再生するステップと、コンピュータに実行させる。
【0070】
また、上述した配信サーバ10及び受信装置50は、それぞれ1つ又は複数の半導体チップにより構成されてもよい。この半導体チップは、配信サーバ10及び受信装置50の各機能を実現する処理内容を記述したプログラムを実行するCPUを搭載してもよい。
【0071】
上述の実施形態は代表的な例として説明したが、本発明の趣旨及び範囲内で、多くの変更及び置換ができることは当業者に明らかである。したがって、本発明は、上述の実施形態によって制限するものと解するべきではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形又は変更が可能である。例えば、実施形態の構成図に記載の複数の構成ブロックを統合したり、1つの構成ブロックを分割したりすることが可能である。
【符号の説明】
【0072】
1,2 コンテンツ配信システム
10,10a 配信サーバ
11 第1通信I/F
16 第2通信I/F
12 セグメント受信部
13 低遅延セグメント用バッファ
14,56 セグメント変換部
15 通常セグメント用バッファ
16 通信I/F
17 リクエスト受信部
18,54 低遅延セグメント形式対応判定部
19 セグメント送信部
20 ライブエンコーダ
30 第1受信装置
40 第2受信装置
50 受信装置
51 通信I/F
52 セグメントリクエスト部
53 セグメント受信部
55 バッファ
57 復号・再生部
図1
図2
図3
図4
図5
図6