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特開2024-72586保持具、保持構造及び電力経路切替方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024072586
(43)【公開日】2024-05-28
(54)【発明の名称】保持具、保持構造及び電力経路切替方法
(51)【国際特許分類】
   H01R 29/00 20060101AFI20240521BHJP
   H02G 3/16 20060101ALI20240521BHJP
   H01H 85/24 20060101ALI20240521BHJP
   H01H 27/00 20060101ALI20240521BHJP
【FI】
H01R29/00 A
H02G3/16
H01H85/24
H01H27/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022183503
(22)【出願日】2022-11-16
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】瀬野 俊介
(72)【発明者】
【氏名】氷見 晃浩
【テーマコード(参考)】
5G361
5G502
【Fターム(参考)】
5G361BB01
5G361BC01
5G502CC16
5G502CC25
5G502HH10
(57)【要約】
【課題】電力の供給経路や電力の供給先が誤ったものとなるのを防ぐ。
【解決手段】保持具は、第1バッテリに電気的に接続された第1端子と、第1負荷に電気的に接続された第2端子と、第2バッテリに接続される第3端子と、前記第1端子、前記第2端子、又は前記第3端子が挿入される誤結防止具と、前記第1端子と前記第2端子又は前記第2端子と前記第3端子とを電気的に接続する接続部品と、を保持するハウジングと、を備え、前記ハウジングは、前記第1端子が前記誤結防止具に挿入されているときは、前記第2端子及び前記第3端子を前記接続部品に挿入可能であり、前記第3端子が前記誤結防止具に挿入されているときは、前記第1端子及び前記第2端子を前記接続部品に挿入可能である。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1バッテリに電気的に接続された第1端子と、
第1負荷に電気的に接続された第2端子と、
第2バッテリに接続される第3端子と、
前記第1端子、前記第2端子、又は前記第3端子が挿入される誤結防止具と、前記第1端子と前記第2端子又は前記第2端子と前記第3端子とを電気的に接続する接続部品と、を保持するハウジングと、
を備え、
前記ハウジングは、前記第1端子が前記誤結防止具に挿入されているときは、前記第2端子及び前記第3端子を前記接続部品に挿入可能であり、前記第3端子が前記誤結防止具に挿入されているときは、前記第1端子及び前記第2端子を前記接続部品に挿入可能である
保持具。
【請求項2】
前記ハウジングにおいては、前記誤結防止具は、前記第1端子に対して前記誤結防止具の一端側から挿入可能であって他端側から挿入不可であり、前記第3端子に対して前記誤結防止具の他端側から挿入可能であって一端側から挿入不可である
請求項1に記載の保持具。
【請求項3】
第1バッテリに電気的に接続された第1端子と、
第1負荷に電気的に接続された第2端子と、
第2バッテリに接続される第3端子と、
前記第1端子、前記第2端子、又は前記第3端子が挿入される誤結防止具と、前記第1端子と前記第2端子又は前記第2端子と前記第3端子とを電気的に接続する接続部品と、を保持するハウジングと、
前記誤結防止具と、
を備え、
前記ハウジングは、前記第1端子が前記誤結防止具に挿入されているときは、前記第2端子及び前記第3端子を前記接続部品に挿入可能であり、前記第3端子が前記誤結防止具に挿入されているときは、前記第1端子及び前記第2端子を前記接続部品に挿入可能である
保持構造。
【請求項4】
前記誤結防止具は、前記第1端子に対して挿入可能な一端側と前記第3端子に対して挿入可能な他端側とで外観が異なる
請求項3に記載の保持構造。
【請求項5】
前記誤結防止具は、前記一端側の色と前記他端側の色が異なる
請求項4に記載の保持構造。
【請求項6】
前記誤結防止具は、前記一端側に第1目印を有し、及び/または前記他端側に第2目印を有し、前第1目印と第2目印を有する場合には、前記第1目印の形状と前記第2目印の形状が異なる
請求項4に記載の保持構造。
【請求項7】
前記ハウジングは、前記誤結防止具の挿入方向に沿った溝を有し、
前記誤結防止具は、前記ハウジングへの挿入方向に沿った凸部を有し、前記凸部が前記溝に入ることにより前記ハウジングに挿入可能である
請求項3に記載の保持構造。
【請求項8】
第1バッテリに電気的に接続された第1端子と、
第1負荷に電気的に接続された第2端子と、
第2バッテリに接続される第3端子と、
前記第1端子、前記第2端子、又は前記第3端子が挿入される誤結防止具と、前記第1端子と前記第2端子又は前記第2端子と前記第3端子とを電気的に接続する接続部品と、を保持するハウジングにおいて、
前記誤結防止具に前記第1端子を挿入した後に前記接続部品に前記第2端子及び前記第3端子を挿入する、又は前記誤結防止具に前記第3端子を挿入した後に前記接続部品に前記第1端子及び前記第2端子を挿入する
電力経路切替方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保持具、保持構造及び電力経路切替方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載され、複数のバッテリを備える電源システムに係る技術として、例えば特許文献1~3に開示される技術が知られている。これらの特許文献1~3では、冗長性がある給電を実現するためにスイッチを備える構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-140920号公報
【特許文献2】特開2017-169307号公報
【特許文献3】国際公開第2017/159308号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、車両においては、負荷に電力を供給する経路や電力の供給先を仕様変更やオプション装備に応じて変更する場合がある。この場合、より簡易に経路を変更できることが望まれるが、電力を供給する経路や電力の供給先をスイッチにより切り替える場合、スイッチの操作を誤ると仕様変更やオプション装備に対応していない経路や供給先に電力を供給してしまうこととなる。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、電力の供給経路や電力の供給先が誤ったものとなるのを防ぐことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る保持具は、第1バッテリに電気的に接続された第1端子と、第1負荷に電気的に接続された第2端子と、第2バッテリに接続される第3端子と、前記第1端子、前記第2端子、又は前記第3端子が挿入される誤結防止具と、前記第1端子と前記第2端子又は前記第2端子と前記第3端子とを電気的に接続する接続部品と、を保持するハウジングと、を備え、前記ハウジングは、前記第1端子が前記誤結防止具に挿入されているときは、前記第2端子及び前記第3端子を前記接続部品に挿入可能であり、前記第3端子が前記誤結防止具に挿入されているときは、前記第1端子及び前記第2端子を前記接続部品に挿入可能である。
【0007】
本発明の一態様に係る保持具においては、前記ハウジングにおいては、前記誤結防止具は、前記第1端子に対して前記誤結防止具の一端側から挿入可能であって他端側から挿入不可であり、前記第3端子に対して前記誤結防止具の他端側から挿入可能であって一端側から挿入不可である。
【0008】
本発明の一態様に係る保持構造は、第1バッテリに電気的に接続された第1端子と、第1負荷に電気的に接続された第2端子と、第2バッテリに接続される第3端子と、前記第1端子、前記第2端子、又は前記第3端子が挿入される誤結防止具と、前記第1端子と前記第2端子又は前記第2端子と前記第3端子とを電気的に接続する接続部品と、を保持するハウジングと、前記誤結防止具と、を備え、前記ハウジングは、前記第1端子が前記誤結防止具に挿入されているときは、前記第2端子及び前記第3端子を前記接続部品に挿入可能であり、前記第3端子が前記誤結防止具に挿入されているときは、前記第1端子及び前記第2端子を前記接続部品に挿入可能である。
【0009】
本発明の一態様に係る保持構造においては、前記誤結防止具は、前記第1端子に対して挿入可能な一端側と前記第3端子に対して挿入可能な他端側とで外観が異なる。
【0010】
本発明の一態様に係る保持構造においては、前記誤結防止具は、前記一端側の色と前記他端側の色が異なる。
【0011】
本発明の一態様に係る保持構造においては、前記誤結防止具は、前記一端側に第1目印を有し、前記他端側に第2目印を有し、前記第1目印の形状と前記第2目印の形状が異なる。
【0012】
本発明の一態様に係る保持構造においては、前記ハウジングは、前記誤結防止具の挿入方向に沿った溝を有し、前記誤結防止具は、前記ハウジングへの挿入方向に沿った凸部を有し、前記凸部が前記溝に入ることにより前記ハウジングに挿入可能である。
【0013】
本発明の一態様に係る電力経路切替方法は、第1バッテリに電気的に接続された第1端子と、第1負荷に電気的に接続された第2端子と、第2バッテリに接続される第3端子と、前記第1端子、前記第2端子、又は前記第3端子が挿入される誤結防止具と、前記第1端子と前記第2端子又は前記第2端子と前記第3端子とを電気的に接続する接続部品と、を保持するハウジングにおいて、前記誤結防止具に前記第1端子を挿入した後に前記接続部品に前記第2端子及び前記第3端子を挿入する、又は前記誤結防止具に前記第3端子を挿入した後に前記接続部品に前記第1端子及び前記第2端子を挿入する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、電力の供給経路や電力の供給先が誤ったものとなるのを防ぐことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、仕様変更前の車両の構成図である。
図2図2は、仕様変更後の車両の構成図である。
図3図3は、車両の仕様変更時のヒューズの繋ぎ替えの説明図である。
図4図4は、ヒューズの繋ぎ替えの説明図である。
図5図5は、ヒューズホルダーの斜視図である。
図6図6は、ヒューズホルダーの平面図である。
図7図7は、誤結防止具の斜視図である。
図8図8は、ヒューズホルダー、誤結防止具及びヒューズの斜視図である。
図9図9は、ヒューズホルダー、誤結防止具及びヒューズの斜視図である。
図10図10は、誤結防止具の斜視図である。
図11図11は、ヒューズホルダー、誤結防止具及びヒューズの斜視図である。
図12図12は、ヒューズホルダー、誤結防止具及びヒューズの斜視図である。
図13図13は、誤結防止具の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態により本発明が限定されるものではない。また、図面の記載において、同一又は対応する要素には適宜同一の符号を付している。さらに、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係などは、現実のものとは異なる場合があることに留意する必要がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。また、図中では適宜XYZ座標軸を示し、これにより方向を説明する。XYZ座標軸で示される空間においてX成分が増加する方向を+X方向といい、X成分が減少する方向を-X方向という。同様に、Y、Z成分についても、+Y方向、-Y方向、+Z方向、-Z方向と定義する。なお、Z軸方向は、鉛直方向であって、+Z方向は鉛直上向きであり、-Z方向は鉛直下向きでもある。
【0017】
[実施形態]
図1は、仕様変更前の車両の構成図である。車両1は、バッテリからの電力の供給先や供給経路を変更可能な車両の一例である。車両1は、第1室11と、第2室12とを備えている。第1室11は、例えばエンジンルームであり、第2室12は、例えばキャビンである。また、車両1は、第1室11と第2室12との間で電力線を配線するために、例えばダッシュボードに設けられたグロメット13を備えている。
【0018】
車両1は、電源システム10を搭載している。電源システム10は、バッテリ21と、バッテリ22とを備えている。バッテリ21は第1室11に搭載され、バッテリ22は第2室12に搭載されている。バッテリ21、22は、例えば鉛蓄電池やリチウムイオン電池やニッケル水素電池やキャパシタである。バッテリ21、22は、第1バッテリの一例である。
【0019】
また、車両1は、負荷31、32、33、34を備えている。負荷31、32、33、34は、車両1の走行に関係する電気装置や、これらの電気装置を制御するコントローラである。これらの負荷31、32、33、34は、例えば、車両1における駆動、操舵、制動、変速などに係る電気装置であり、電源システム10のバッテリ21、22の一方または両方から、電力線を介して電力を供給される。なお、負荷31、32、33は第1室11に搭載され、負荷34は第2室12に搭載されている。
【0020】
第1電力線としての電力線41は、例えばバスバーであり、電源システム10が備えるリレーボックス51に設けられている。リレーボックス51は第1室11に搭載されている。電力線41はバッテリ21に電気的に接続されており、バッテリ21からの電力を負荷に供給するための経路となる。
【0021】
第2電力線としての電力線42は、第1負荷としての負荷31に電気的に接続されている。電力線42と電力線41とは、ヒューズ101によって電気的に接続されている。ヒューズ101は、定格以上の電流がバッテリから電気回路へ流れるのを防ぎ、電気回路を保護する部品であり、接続部品の一例である。ヒューズ101は、例えば、プラグイン型のスローブローヒューズである。負荷31は、電力線41、ヒューズ101、及び電力線42を経由してバッテリ21から電力を供給される。第3電力線としての電力線43は、ヒューズ101の近傍からグロメット13に至る。仕様変更前の車両1においては、電力線43は、他の電力線や負荷やバッテリとは電気的に接続されていない。
【0022】
図2は、仕様変更後の車両の構成図である。仕様変更後の車両1Aには、車両1に対して、仕様変更により負荷35が追加で搭載されている。負荷35は、例えば車両1の走行性能の高性能化を図るための電気装置である。
【0023】
車両1Aは、仕様変更された電源システム10Aを搭載している。電源システム10Aは、バッテリ22に替えて第2バッテリとしてのバッテリ22Aを有している。バッテリ22Aは、バッテリ22より高性能なバッテリである。また、電源システム10Aは、電力線44と、電力線45とを有している。電力線44は、第4電力線の一例である。電力線45は、バッテリ22Aから負荷35に電力を供給する電力線である。
【0024】
さらに、電源システム10Aでは、仕様変更時にヒューズ101を繋ぎ替えることにより、ヒューズ101が、第2電力線としての電力線42と第3電力線としての電力線43を電気的に接続する。さらに、第3電力線としての電力線43は、追加された第4電力線としての電力線44を介してバッテリ22Aに電気的に接続する。これにより、負荷31は、バッテリ21に替えてバッテリ22Aから電力を供給される。
【0025】
ここで、ヒューズの繋ぎ替えについてより具体的に接続する。図3は、車両の仕様変更時のヒューズの繋ぎ替えの説明図である。負荷31は、上述した仕様変更時においては、電力の供給元をバッテリ21からバッテリ22Aに変更する必要がある負荷である。このような負荷として、例えば自動運転装置があるが、これには限定されない。
【0026】
車両1においては、負荷31は、図3(a)に示されるようにバッテリ21に接続された電力線41、ヒューズ101、及び電力線42を経由して電力を供給されている。一方、車両1では、コネクタ61が一端に設けられた電力線43は、特に他の電力線や負荷に接続されていない。
【0027】
これに対して車両1Aにおいては、負荷31は、図3(b)に示されるようにバッテリ22Aから電力線44、43、ヒューズ101、及び電力線42を経由して電力を供給される。なお、電力線44と電力線43との電気的な接続は、コネクタ61と、電力線44の一端に設けられたコネクタ62とのコネクタ接続によって実現される。
【0028】
したがって、電力線43は、将来的な仕様変更に備えて車両1の製造時などに予め設けておく電力線であるといえる。電力線43を車両1に予め設けておくことにより、例えばエンジンルームのような機器が多く内部が複雑な第1室11に対して、後付けで電力線43を増設するような煩雑な作業が不要になる。
【0029】
図4は、ヒューズ101の一例としてのプラグイン型のヒューズの繋ぎ替えの説明図である。ヒューズ101は、手や工具にて容易に挿し替え可能なヒューズである。例えば、電力線41にはオス型の端子71が設けられ、電力線42にはオス型の端子72が設けられている。ヒューズ101は、仕様変更前においては、図4(a)に示すように端子71、72が挿し込まれることによって、電力線41と電力線42とを電気的に接続している。ヒューズ101は、仕様変更後においては、図4(b)に示すように端子72と、電力線43の一端に設けられたオス型の端子73が挿し込まれる。その結果、電力線42と電力線43とが電気的に接続される。端子71は、第1端子の一例であり、端子72は、第2端子の一例であり、端子73は、第3端子の一例である。
【0030】
図5は、本発明の実施形態に係るヒューズホルダー200の斜視図である。ヒューズホルダー200は、例えば、車両内でヒューズ101を保持する部品であり、保持具の一例である。ヒューズホルダー200は、ヒューズ101、102が挿入される部分であるハウジングと、ヒューズ101に挿入される端子71、72、73とを備える。ヒューズホルダー200のハウジングは、例えば合成樹脂により形成されている。ヒューズホルダー200は、ヒューズ101とヒューズ102とを保持する。ヒューズ102も、ヒューズ101と同じプラグイン型のスローブローヒューズである。なお、図5においては、端子71、72、73の図示を省略している。
【0031】
図6は、ヒューズホルダー200の平面図である。ヒューズホルダー200のハウジングは、底面をなす底部201a、201bと、側面をなす側壁202a~側壁202fと、Y軸方向に沿って側壁202bと側壁201fとの間に設けられた仕切り壁203とを備える。底部201a及び底部201bは、XY平面に平行である。側壁202a、側壁202c、及び側壁202eは、XZ平面に平行であり、側壁202b、側壁202d、側壁201f、及び仕切り壁203は、YZ平面に平行である。
【0032】
図6において破線で示され、+Z方向から見て側壁202a、側壁202e、側壁202f、及び仕切り壁203で囲まれた領域は、ヒューズ102が挿入される領域ARbである。領域ARbにおいては、端子74、75が底部201bを貫通している。例えば、端子74は電力線を介してバッテリ21に接続され、端子75は、車両内に配置された標準装備の電気回路に電力線を介して接続されている。図6において破線で示され、+Z方向から見て側壁202a、側壁202b、側壁202c、側壁202d及び仕切り壁203で囲まれた領域は、ヒューズ101と、後述する誤結防止具300が挿入される領域ARaである。領域ARaにおいては、端子71、72、73が底部201aを貫通している。また、側壁202aにおいては、内面側から+Y方向に凹んで厚さが薄くなった凹部205bが形成され、側壁202cは、内面側から-Y方向に凹んで厚さが薄くなった凹部205aが形成されている。
【0033】
仕切り壁203においては、Y軸方向に所定の幅で仕切り壁203の上端から所定の深さの溝204bが設けられ、側壁202dにおいては、Y軸方向に所定の幅で側壁202dの上端から所定の深さの溝204aが設けられている。
【0034】
図7は、本発明の実施形態に係る誤結防止具300の斜視図である。誤結防止具300は、ヒューズホルダー200に挿入されて端子71又は端子73に取り付けられる部品である。誤結防止具300は、例えば合成樹脂により形成されている。誤結防止具300は、Z軸方向に貫通しており、端子71又は端子73が挿入される貫通孔301を有する。誤結防止具300は、Z軸方向の中央を境に上下方向で異なる色であり、第1の色である第1着色部302aと、第2の色である第2着色部302bとで構成されている。即ち、誤結防止具300は、ヒューズホルダー200に対して挿入される一端側と他端側とで色の違いにより外観が異なる。例えば、第1着色部302aの色は青色であり、第2着色部302bの色は赤色である。なお、第1着色部302aの色と第2着色部302bの色は、前述の色に限定されるものではなく、他の色であってもよい。第1着色部302aと第2着色部302bには、Y軸方向の端面からY軸方向の中央側に向かって凹んだ凹部303が形成されている。凹部303により、例えばラジオペンチで誤結防止具300を容易に掴むことができる。また、誤結防止具300の-X方向の端部には、-X方向に所定の高さの凸部304が形成され、-Y方向の端部には、-Y方向に所定の高さの凸部305が形成されている。
【0035】
次に、ヒューズ101及び誤結防止具300のヒューズホルダー200への挿入例について説明する。まず、仕様変更前の車両1においては、端子71、72をヒューズ101へ挿し込む必要があり、誤って端子72、73がヒューズ101に挿し込まれると、バッテリ21から負荷31へ電力が供給されないこととなる。そこで車両1の製造の際には、作業者は、図8(a)に示すように、ヒューズ101をヒューズホルダー200へ挿し込む前に、端子73が誤結防止具300に挿し込まれるように誤結防止具300をヒューズホルダー200に挿入する。ここで誤結防止具300は、第1着色部302aが上で第2着色部302bが下となり、凸部304が溝204bに入るようにしてヒューズホルダー200に挿入される。誤結防止具300は、第2着色部302bを上にした場合、凸部304を-X方向に向けたとしても、凸部305が凹部205bに入らないため、凸部304が溝204bの位置に合わず、ヒューズホルダー200へ挿入することができない。誤結防止具300は、ヒューズホルダー200を製造する会社でヒューズホルダー200に挿入してもよく、車両1を製造する会社でヒューズホルダー200に挿入してもよい。作業者は、予め誤結防止具300が挿入されているヒューズホルダー200に対して、図8(b)に示すようにヒューズ101を挿入し、端子71、72をヒューズ101に挿し込む。ここで、予め端子73が誤結防止具300に挿し込まれているため、作業者が端子72、73をヒューズ101に挿し込むことを防ぐことができる。
【0036】
次に仕様変更後の車両1Aにおいては、端子72、73をヒューズ101へ挿し込む必要があり、誤って端子71、72がヒューズ101に挿し込まれると、バッテリ22Aから負荷31へ電力が供給されないこととなる。そこで車両1Aの製造の際には、作業者は、図9(a)に示すように、ヒューズ101をヒューズホルダー200へ挿し込む前に、端子71が誤結防止具300に挿し込まれるように誤結防止具300をヒューズホルダー200に挿入する。ここで誤結防止具300は、第1着色部302aが下で第2着色部302bが上となり、凸部304が溝204bに入るようにしてヒューズホルダー200に挿入される。誤結防止具300は、第1着色部302aを上にした場合、凸部304を-X方向に向けたとしても、凸部305が凹部205aに入らないため、凸部304が溝204aの位置に合わず、ヒューズホルダー200へ挿入することができない。作業者は、予め誤結防止具300が挿入されているヒューズホルダー200に対して、図9(b)に示すようにヒューズ101を挿入し、端子72、73をヒューズ101に挿し込む。ここで、予め端子71が誤結防止具300に挿し込まれているため、作業者が端子71、72をヒューズ101に挿し込むことを防ぐことができる。
【0037】
以上に説明したように、本実施形態では、負荷に電力を供給する経路又は電力供給先を、ヒューズの繋ぎ替えという簡易な作業で変更することができる。そのため、リレーボックス51に経路切替え用のスイッチ機構のような特殊な構造が不要となる。さらに、既に車両に搭載されているヒューズを用いて経路の変更を行い、ヒューズに電力線保護の機能と経路変更の機能との両方を持たせる構成としているため、新たにヒューズを追加する必要が無く、部品点数の削減や低コスト化の点で有益である。また、本実施形態では、ヒューズ101へ端子が挿し込まれる前に誤結防止具300に端子が挿し込まれることにより、電力の供給経路や電力の供給先が誤ったものとなるのを防ぐことができる。
【0038】
なお、電力の供給経路が誤ったものとなるのを防ぐための部品は、前述の誤結防止具300の形状に限定されるものではなく、他の形状であってもよい。図10は、電力の供給経路が誤ったものとなるのを防ぐ誤結防止具300Aの斜視図である。誤結防止具300Aは、所謂ヒューズプラーの形状であり、合成樹脂で形成されている。
【0039】
次に、ヒューズ101及び誤結防止具300Aのヒューズホルダー200への挿入例について説明する。まず、車両1の製造の際には、作業者は、図11(a)に示すように、ヒューズ101をヒューズホルダー200へ挿し込む前に、誤結防止具300Aで端子73を挟むようにして誤結防止具300Aヒューズホルダー200へ挿し込む。作業者は、予め誤結防止具300Aが挿入されているヒューズホルダー200に対して、図11(b)に示すようにヒューズ101を挿入し、端子71、72をヒューズ101に挿し込む。ここで、予め誤結防止具300Aがヒューズホルダー200に挿し込まれているため、作業者が端子72、73をヒューズ101に挿し込むことを防ぐことができる。
【0040】
次に車両1Aの製造の際には、作業者は、図12(a)に示すように、ヒューズ101をヒューズホルダー200へ挿し込む前に、誤結防止具300Aで端子71を挟むようにして誤結防止具300Aをヒューズホルダー200へ挿し込む。作業者は、予め誤結防止具300Aが挿入されているヒューズホルダー200に対して、図12(b)に示すようにヒューズ101を挿入し、端子72、73をヒューズ101に挿し込む。ここで、予め誤結防止具300Aがヒューズホルダー200へ挿し込まれているため、作業者が端子71、72をヒューズ101に挿し込むことを防ぐことができる。
【0041】
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、他の様々な形態で実施可能である。例えば上述の実施形態を以下のように変形して本発明を実施してもよい。なお、上述した実施形態及び以下の変形例は、各々を組み合わせてもよい。上述した各実施形態及び各変形例の構成要素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。また、さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。よって、本発明のより広範な態様は、上記の実施の形態や変形例に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
【0042】
ヒューズホルダー200は、底部201aで第1着色部31a側が挿入される部分の色を第1着色部31aの色と同じ色とし、第2着色部31b側が挿入される部分の色を第2着色部31bの色と同じ色としてもよい。
【0043】
誤結防止具300は、第1着色部31aと第2着色部31bとが同じ色であってもよい。誤結防止具300の全体が同じ色であっても、凸部304、凸部305、溝204a及び溝204bにより、誤結防止具300をヒューズホルダー200へ挿入可能な向きは限定される。
【0044】
誤結防止具300は、挿入位置を識別するための目印をZ軸方向の端部に備える構成であってもよい。図13は、Z軸方向の端部に目印を備える誤結防止具300Bの斜視図である。誤結防止具300Bは、図13(a)に示すように、+Z方向の端部に+Z方向から見て三角形で所定の厚さの凸部306aを有している。また、誤結防止具300Bは、図13(b)に示すように、-Z方向の端部に-Z方向から見て四角形で所定の厚さの凸部306bを有している。即ち、誤結防止具300Bは、ヒューズホルダー200に対して挿入される一端側の目印と他端側の目印とで形状が異なり、一端側と他端側とで外観が異なる。なお、誤結防止具300Bを用いる場合、端子73の近傍に四角形の刻印設け、端子71の近傍に三角形の刻印を設けてもよい。この場合、三角形の凸部306aと三角形の刻印とが対面するように誤結防止具300Bをヒューズホルダー200へ挿入し、四角形の凸部306bと四角形の刻印とが対面するように誤結防止具300Bをヒューズホルダー200へ挿入することとなり、作業者が誤結防止具300Bの挿入位置を認識しやすくなる。また、誤結防止具300Bは、凸部306a又は凸部306bの一方のみを備え、他方を備えていない構成であってもよい。
【0045】
前述の実施形態では、負荷への電力供給の経路を変更する部品がヒューズであるが、負荷への電力供給の経路を変更する部品はヒューズに限定されるものではなく、他の部品であってもよい。例えば、ヒューズ101に替えて端子と端子を接続する所謂ジャンパプラグにより端子71と端子72との接続、又は端子72と端子73の接続を行ってもよい。ジャンパプラグは、接続部品の一例である。
【符号の説明】
【0046】
1、1A 車両
10、10A 電源システム
21、22、22A バッテリ
31、32、33、34、35 負荷
41、42、43、44、45 電力線
51 リレーボックス
61、62 コネクタ
71、72、73、74、75 端子
101、102 ヒューズ
200 ヒューズホルダー
300、300A 誤結防止具
図1
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