(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024072721
(43)【公開日】2024-05-28
(54)【発明の名称】発光装置
(51)【国際特許分類】
H01S 5/0239 20210101AFI20240521BHJP
H01L 33/50 20100101ALI20240521BHJP
H01S 5/02255 20210101ALI20240521BHJP
【FI】
H01S5/0239
H01L33/50
H01S5/02255
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022183736
(22)【出願日】2022-11-16
(71)【出願人】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003225
【氏名又は名称】弁理士法人豊栖特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山下 利章
【テーマコード(参考)】
5F142
5F173
【Fターム(参考)】
5F142AA56
5F142BA32
5F142CD13
5F142CD18
5F142DA16
5F142DA22
5F142DB20
5F142GA21
5F173MC01
5F173ME22
5F173MF18
5F173MF28
5F173MF40
(57)【要約】
【課題】コンパクトな発光装置を提供する。
【解決手段】発光装置100は、第一の光LT1を出射する発光素子10と、第一の光LT1と、第一の光LT1を受けて波長変換した光とを出射する光取り出し面を有する波長変換ユニット2とを備える。波長変換ユニット2は、第一面21と、第二面22と、第一の光LT1を部分的に反射し、かつ部分的に透過する光学作用層27とを有する光学部材20と、第一面21側に設けられ、光学作用層27を反射した第一の光LT1を受けて波長変換した第二の光LT2を発する第一波長変換部材30と、第二面22側に設けられ、光学作用層27を透過した第一の光LT1を受けて波長変換した第三の光LT3を発する第二波長変換部材40とを備える。波長変換ユニット2は、光学作用層27を透過した第一の光LT1、第二の光LT2、及び第三の光LT3を光取り出し面から出射させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の光を出射する発光素子と、
前記第一の光と、前記第一の光を受けて波長変換した光とを出射する光取り出し面を有する波長変換ユニットと、
を備える発光装置であって、
前記波長変換ユニットは、
第一面と、
第二面と、
前記第一の光を部分的に反射し、かつ、部分的に透過する光学作用層と、
を有する光学部材と、
前記第一面側に設けられ、前記光学作用層を反射した前記第一の光を受けて波長変換した第二の光を発する第一波長変換部材と、
前記第二面側に設けられ、前記光学作用層を透過した前記第一の光を受けて波長変換した第三の光を発する第二波長変換部材と、
を備え、
前記波長変換ユニットは、前記光学作用層を透過した前記第一の光、前記第二の光、及び、前記第三の光を前記光取り出し面から出射させるよう構成してなる発光装置。
【請求項2】
請求項1に記載の発光装置であって、
前記光学部材は、前記光取り出し面を有し、
前記光学作用層によって反射され、更に前記光学作用層を透過した第一成分と、
前記光学作用層を透過し、更に前記光学作用層によって反射された第二成分と、
を含む前記第一の光を前記光取り出し面から出射させるよう構成してなる発光装置。
【請求項3】
請求項2に記載の発光装置であって、
前記発光素子は、前記第一の光を出射する光出射面を有し、、
前記光学部材は、さらに、
前記第一面の反対側にある第三面と、
前記第二面の反対側にある第四面と
を備え、
前記第一面は、第一方向に延びる平面であり、前記第一面に、前記第一波長変換部材を配置し、
前記第二面は、前記第一方向に交差する第二方向に延びる平面であり、前記第二面に、前記第二波長変換部材を配置しており、
前記第三面を、前記光取り出し面とし、
前記第四面を、前記発光素子の前記光出射面と対向させる発光装置。
【請求項4】
請求項1に記載の発光装置であって、
前記第二の光が、前記第三の光よりも長波長である発光装置。
【請求項5】
請求項4に記載の発光装置であって、
前記光学作用層が、青色光の波長域の光を50%以上透過させる発光装置。
【請求項6】
請求項4に記載の発光装置であって、
前記光学作用層が、少なくとも500nm~560nmの波長域の光を反射させ、少なくとも430nm~480nmの波長域の光を50%以上透過させる発光装置。
【請求項7】
請求項1に記載の発光装置であって、
前記第二の光が、前記第三の光よりも短波長である発光装置。
【請求項8】
請求項7に記載の発光装置であって、
前記光学作用層が、青色光の波長域の光を50%以下透過させる発光装置。
【請求項9】
請求項7に記載の発光装置であって、
前記光学作用層が、少なくとも430nm~480nmの波長域の光を50%以下透過させ、少なくとも500nm~560nmの波長域の光を80%以上透過させ、少なくとも560nm以上の波長域の光を95%以上反射させるよう構成してなる発光装置。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の発光装置であって、さらに、
前記発光素子及び前記波長変換ユニットが載置される載置面を有し、前記発光素子及び前記光学部材を封止空間に収容するパッケージを備える発光装置。
【請求項11】
請求項10に記載の発光装置であって、さらに、
前記第二波長変換部材の、前記光学部材の第二面側に対向する面と反対側の面を支持し、かつ、前記パッケージに接合される支持基板を備える発光装置。
【請求項12】
請求項1に記載の発光装置であって、
前記光学部材は、さらに、前記光学作用層を透過した前記第一の光を反射する反射層を備え、
前記第二面は、前記第一面と同じ平面上にあり、
前記第二波長変換部材は、前記反射層によって反射された前記第一の光を受けて波長変換した前記第三の光を発するよう構成してなる発光装置。
【請求項13】
請求項1に記載の発光装置であって、
前記第二波長変換部材は、前記光学部材の第二面側に対向する面と反対側の面を前記光取り出し面とする発光装置。
【請求項14】
請求項1~9のいずれか一項に記載の発光装置であって、
前記発光素子が、半導体レーザである発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車載用のヘッドライトや、照明用の光源として、半導体レーザ(LD)や発光ダイオード(LED)等の半導体発光素子が利用されている。例えば特許文献1には、
図19に示すように紫外光または近紫外光(以下「UV光」と称する)を励起光として発生する固体発光素子であるUV発光レーザダイオード(励起光源)を備えた光源側組立体910と、励起光であるUV光(図中の矢印UVで示す)の照射を受けて緑光Gを発生する緑発光の蛍光物質930Gを含む緑光発光部931G、青発光の蛍光物質930Bを含む青光発光部931B、赤発光の蛍光物質930Rを含む赤光発光部931Rとを備える光源装置が開示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の光源装置では、緑発光の蛍光物質930G、青発光の蛍光物質930B、赤発光の蛍光物質930Rを要し、さらに互いに逆方向に45°傾けてX型に配置された青光反射のダイクロイックミラー927Aおよび緑光反射のダイクロイックミラー927Bを配置する必要があり、装置が大掛かりで小型化に不利という問題があった。
【0005】
本開示の目的の一つは、コンパクトな発光装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態に係る発光装置は、第一の光を出射する発光素子と、前記第一の光と、前記第一の光を受けて波長変換した光とを出射する光取り出し面を有する波長変換ユニットと、を備える発光装置であって、前記波長変換ユニットは、第一面と、第二面と、前記第一の光を部分的に反射し、かつ、部分的に透過する光学作用層と、を有する光学部材と、前記第一面側に設けられ、前記光学作用層を反射した前記第一の光を受けて波長変換した第二の光を発する第一波長変換部材と、前記第二面側に設けられ、前記光学作用層を透過した前記第一の光を受けて波長変換した第三の光を発する第二波長変換部材と、を備え、前記波長変換ユニットは、前記光学作用層によって透過された前記第一の光、前記第二の光、及び、前記第三の光を前記光取り出し面から出射させる。
【発明の効果】
【0007】
上記形態に係る発光装置によれば、構成を簡素化したコンパクトな発光装置を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態1に係る発光装置を示す模式断面図である。
【
図2】
図1における第一の光の軌跡を示す模式断面図である。
【
図3】
図1における第二の光の軌跡を示す模式断面図である。
【
図4】
図1における第三の光の軌跡を示す模式断面図である。
【
図7】
図1の発光装置の蓋部を外した状態を示す模式平面図である。
【
図8】実施形態2に係る発光装置を示す模式断面図である。
【
図9】実施形態3に係る発光装置を示す模式断面図である。
【
図10】変形例に係る発光装置を示す模式断面図である。
【
図11】
図9における第一の光の軌跡を示す模式断面図である。
【
図12】
図9における第二の光の軌跡を示す模式断面図である。
【
図13】
図9における第三の光の軌跡を示す模式断面図である。
【
図14】実施形態4に係る発光装置を示す模式断面図である。
【
図15】
図14における第一の光の軌跡を示す模式断面図である。
【
図16】
図14における第二の光の軌跡を示す模式断面図である。
【
図17】
図14における第三の光の軌跡を示す模式断面図である。
【
図18】実施形態5に係る発光装置を示す模式平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書または特許請求の範囲において、三角形や四角形などの多角形に関しては、多角形の隅に角丸め、面取り、角取り、丸取り等の加工が施された形状も含めて、多角形と呼ぶものとする。また、隅(辺の端)に限らず、辺の中間部分に加工が施された形状も同様に、多角形と呼ぶものとする。つまり、多角形をベースに残しつつ、部分的な加工が施された形状は、本明細書及び特許請求の範囲で記載される“多角形”の解釈に含まれるものとする。
【0010】
また、多角形に限らず、台形や円形や凹凸など、特定の形状を表す言葉についても同様である。また、その形状を形成する各辺を扱う場合も同様である。つまり、ある辺において、隅や中間部分に加工が施されていたとしても、“辺”の解釈には加工された部分も含まれる。なお、部分的な加工のない“多角形”や“辺”を、加工された形状と区別する場合は“厳密な”を付して、例えば、“厳密な四角形”などと記載するものとする。
【0011】
また、本明細書または特許請求の範囲において、上下(上方/下方)、左右、表裏、前後(前方/後方)、手前と奥などの記載は、相対的な位置、向き、方向などの関係を述べるに過ぎず、使用時における関係と一致していなくてもよい。
【0012】
また、本明細書または特許請求の範囲において、ある構成要素が複数あり、それぞれを区別して表現する場合に、その構成要素の頭に“第一”、“第二”と付記して区別することがある。また、本明細書と特許請求の範囲とで区別する対象が異なる場合があり得る。そのため、特許請求の範囲において本明細書と同一の付記がされた構成要素が記載されていても、この構成要素によって特定される対象が、本明細書と特許請求の範囲との間で一致しないことがあり得る。
【0013】
例えば、本開示において“第一”、“第二”、“第三”と付記されて区別される構成要素があり、本開示において“第一”及び“第三”が付記された構成要素を特許請求の範囲に記載する場合に、見易さの観点から特許請求の範囲においては“第一”、“第二”と付記して構成要素を区別することがある。この場合、特許請求の範囲において“第一”、“第二”と付記された構成要素はそれぞれ、本開示において“第一”“第三”と付記された構成要素を指すことになる。なお、このルールの適用対象は構成要素に限らず、その他の対象に対しても、合理的かつ柔軟に適用される。
【0014】
以下に、本発明を実施するための形態を説明する。またさらに、図面を参照しながら、本発明を実施するための具体的な形態を説明する。なお、本発明を実施するための形態は、この具体的な形態に限定されない。つまり、図示される実施形態は、本発明が実現される唯一の形態ではない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、理解の便宜を図るために誇張していることがある。
[実施形態1]
【0015】
実施形態1に係る発光装置100の模式断面図を、
図1に示す。この図に示す発光装置100は、発光素子10と、波長変換ユニット2を備える。これらの発光素子10、波長変換ユニット2は、パッケージ50に収納される。
(パッケージ50)
【0016】
パッケージ50は、発光素子10及び波長変換ユニット2が載置される載置面を有する。これら発光素子10及び光学部材20は、パッケージ50内の封止空間に収容される。このようなパッケージ50は、基部52と蓋部51を備える。基部52は上面を開口した箱状に形成している。また基部52の内部には、発光素子10等、発光装置100が備える1以上の構成要素を収納するキャビティが形成されている。基部52は、放熱性に優れたセラミック製や金属製とすることが好ましい。また基部52の上面の開口端は、蓋部51により閉塞される。蓋部51は、サファイアやガラス等の透光性を有する部材とする。ここでは、蓋部51で基部52を封止している。基部52を蓋部51で封止することで、パッケージ50が構成される。パッケージ50の内部に形成される閉空間は、封止された空間である。また、この内部空間は、所定の雰囲気で気密された状態で封止された空間である。
【0017】
基部52は、上面及び下面を有している。基部52の外形は、上面視で矩形である。この矩形は、長辺と短辺を有する矩形であってよい。なお、上面視でみた基部52の外形は、矩形でなくてもよい。特に正方形を除外するような言及がされていない限り、矩形には正方形も含まれてよいものとする。
【0018】
基部52は、載置面となる第一実装面を有する。例えば、基部52の上面が、第一実装面となり得る。第一実装面には、他の構成要素が実装される。
【0019】
蓋部51は、上面と、下面とを有している。蓋部51の下面は、基部52の上面と対向する。蓋部51は、所定波長の光を透過させる。蓋部51は、下面から上面に亘って透光性を有している。ここで、所定波長の光に対して透光性を有するとは、所定波長の光に対する透過率が80%以上であることを意味するものとする。
【0020】
基部52は、実装基板53と枠部材54で構成される。実装基板53は、基部52のキャビティの底面をなす。実装基板53の上面に発光素子10、波長変換ユニット2が実装される。実装基板53の上面は載置面として機能する。また枠部材54は、キャビティの周壁を構成する。
【0021】
実装基板53の主材料は金属、または、金属を含む複合物である。例えば、実装基板53の主材料は銅である。枠部材54の主材料はセラミックである。例えば、枠部材54の主材料は、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、または、酸化アルミニウムのいずれかである。蓋部51の主材料は、例えば、石英、炭化ケイ素、サファイア、又は、ガラスのいずれかである。
【0022】
ここで、主材料とは、対象となる形成物において、重量または体積が最も多くの割合を占める材料をいうものとする。なお、1つの材料から対象となる形成物が形成される場合には、その材料が主材料である。つまり、ある材料が主材料であるとは、その材料の占める割合が100%となり得ることを含む。
【0023】
実装基板53と枠部材54とを、同じ材料で一体的に形成した基部52であってもよい。実装基板53を金属とすることで、放熱性に優れた基部52となるが、このような基部に限らなくてよい。基部52の熱伝導性を高めることで、波長変換部材の放熱性が向上され、長寿命化に寄与する。また高出力時や高温時の発光効率の向上も得られる。
(発光素子10)
【0024】
発光素子10は、第一の光LT1を出射する。第一の光LT1は第一発光色を呈しており、第一波長変換部材30及び第二波長変換部材40を励起する。このため発光素子10は、第一波長変換部材30及び第二波長変換部材40を励起する励起光源ともなる。第一の光LT1は、例えば、青色の光である。例えば、発光素子10から、発光ピーク波長が、320nm~530nmの範囲、典型的には、430nm~480nmの範囲にある光が出射される。
【0025】
発光素子10は、第一の光LT1を出射する光出射面11を有する。このような発光素子10は、半導体レーザ(LD)や発光ダイオード(LED)等の半導体発光素子を好適に利用できる。例えば半導体発光素子を、サブマウント15上に予め実装したCoS(Chip on Substrate)で構成し、パッケージ50に実装する。好ましくは、発光素子10を構成する半導体発光素子をサブマウント15上に予め実装したCoSで構成し、発光素子10と同時にパッケージ50に実装する。この際、熱による劣化を防止するため、光学部材20をパッケージ50に実装した後に、CoSを実装することが好ましい。
【0026】
発光素子10は、上面、下面、複数の側面を有する。発光素子10側面が、光出射面11となる。発光素子10には、半導体レーザ素子を採用することができる。なお、発光素子10には、半導体レーザ素子に限らず、発光ダイオードなどを採用してもよい。
(波長変換ユニット2)
【0027】
波長変換ユニット2は、光学部材20と、第一波長変換部材30と、第二波長変換部材40を有する。また、波長変換ユニット2は、光取り出し面を有する。波長変換ユニット2の外表面が、光取り出し面となり得る。また、波長変換ユニット2の光取り出し面からは、第一の光LT1と、第一の光を受けて波長変換した光とが出射される。第一波長変換部材30は、発光素子10からの第一発光色を呈する第一の光LT1を受けて波長変換した第一波長変換光(第二の光LT2)を発する。また第二波長変換部材40は、発光素子10からの第一発光色を呈する第一の光LT1を受けて波長変換した第二波長変換光(第三の光LT3)を発する。波長変換ユニット2において、光取り出し面から、第一の光LT1、第二の光LT2、及び、第三の光LT3が出射される。光取り出し面から出射される第一の光LT1は、光学部材20の光学作用層27を透過した光である。
(第一波長変換部材30)
【0028】
第一波長変換部材30は、光学部材20の第一面21側に設けられる。第一波長変換部材30は、光学部材20の光学作用層27を反射した第一の光LT1を受けて波長変換した第二の光LT2を発する。第一波長変換部材30は、蛍光体を含むことができる。第一波長変換部材30には、例えば、第一の光LT1によって励起され赤色の蛍光を発する蛍光体が利用できる。
図1の例では、光取り出し面から出射される第二の光LT2は、光学作用層27を透過した光である。
【0029】
図1の例では第一波長変換部材30は光学部材20の第一面21に接合されている。ただ、第一波長変換部材30は、光学部材20の第一面21に直接接するように配置する必要はなく、例えば第一面21と第一波長変換部材30の間に中間層を介在させてもよい。本開示において、第一面側に第一波長変換部材30を設けるとは、第一面に第一波長変換部材30を直接、接合する構成に限らず、間接的に接合させる形態も含む意味で使用する。光学部材20の第二面22に接合した第二波長変換部材40も同様である。
(第二波長変換部材40)
【0030】
第二波長変換部材40は、光学部材20の第二面22側に設けられる。第二波長変換部材40は、光学部材20の光学作用層27を透過した第一の光LT1を受けて波長変換した第三の光LT3を発する。第二波長変換部材40は、蛍光体を含むことができる。第二波長変換部材40には、例えば、第一の光LT1によって励起され緑色の蛍光を発する蛍光体が利用できる。
図1の例では、光取り出し面から出射される第二の光LT2は、光学作用層27によって反射された光である。
【0031】
ここで、青色の光は、その発光ピーク波長が420nm~494nmの範囲内にある光をいうものとする。緑色の光は、その発光ピーク波長が495nm~570nmの範囲内にある光をいうものとする。赤色の光は、その発光ピーク波長が605nm~750nmの範囲内にある光をいうものとする。
【0032】
第二の光LT2は、第三の光LT3よりも長波長である。これにより、より長波長の蛍光を発する第一波長変換部材30が
図1に示すように光学部材20の第一面21側に配置される。第一波長変換部材30をパッケージ50の上面に広い面積で接触させて熱結合状態を高め、放熱し易くすることで、第一波長変換部材30の長寿命化を図ることができる。第一波長変換部材30よりも、第二波長変換部材40の方が温度特性に優れる場合、第一波長変換部材30をこのように配置することで、好適な波長変換ユニット2を構成することができる。
(支持基板55)
【0033】
支持基板55は、パッケージ50に接合される。支持基板55は、パッケージ50の第一実装面に接合される。第二波長変換部材40は、支持基板55を介してパッケージ50に接合される。支持基板55は、第二波長変換部材40の、光学部材20の第二面22側に対向する面とは反対側の面を支持する。このような構成とすることで、第一波長変換部材30をパッケージ50と広い面積で熱結合して放熱性を向上させる一方で、第二波長変換部材40については、その背面側を支持基板55で支持して、さらに支持基板55をパッケージ50と熱結合状態とすることで、その放熱性を担保できる。このため支持基板55は、放熱性に優れた材質で構成することが好ましい。例えば、金属製やセラミック製の放熱部材を支持基板55に用いることができる。
(光学部材20)
【0034】
光学部材20は、第一面21と、第二面22と、光学作用層27と、を有する。また、光学部材20は、光取り出し面を有する。第一面21側には第一波長変換部材30が設けられる。また第二面22側には第二波長変換部材40が設けられる。光学作用層27は、第一の光LT1を部分的に反射し、かつ部分的に第一の光LT1を透過する性質を有する。光取り出し面は、第一の光LT1と、波長変換した光を出射する面である。ここでは波長変換した光として、第一の光LT1を第一波長変換部材30で波長変換した第二の光LT2と、第一の光LT1を第二波長変換部材40で波長変換した第三の光LT3が含まれる。
【0035】
図1の例では、光学部材20は外形を直方体状とし、断面視において第一面21、第二面22、第三面23、第四面24を有する。第三面23は、第一面21の反対側にある面である。第四面24は、第二面22の反対側にある面である。第一面21は第一方向に沿った平面状であり、この第一面21側に第一波長変換部材30が配置される。また第二面22は、第一方向に交差する第二方向に沿った平面状であり、この第二面22側に第二波長変換部材40が配置される。図の例では、第一面21に対し、第二面22は垂直である。また第三面23は光取り出し面となる。さらに第四面24は、発光素子10の光出射面11と対向させている。
(光学作用層27)
【0036】
図1の例では、光学作用層27は、光学部材20の内部で斜めに配置される。好ましくは直方体状の光学部材20の、第一面21と第二面22が接合する線から、第三面23と第四面24が接合する領域に向かって、第一面21に対して約45°に(図において右下から左上に)傾斜させた層状に形成される。
【0037】
光学作用層27は、第一の光LT1の一部を反射し、一部を透過する性質を有する。このような光学作用層27の、光の波長に応じて反射、透過させる光学特性は、発光素子10の発光色や第一波長変換部材30、第二波長変換部材40の励起波長に応じて選択される。例えば発光素子10が青色光を出射する場合、光学作用層27が青色光の波長域の光を50%以上80%以下透過させることが望ましい。また第一波長変換部材30が赤色の蛍光を発する場合、光学作用層27が赤色光を80%以上、透過させることが望ましい。さらに第二波長変換部材40が緑色の蛍光を発する場合、光学作用層27が緑色光を70%以上、反射させることが望ましい。好ましくは、光学作用層27が少なくとも500nm~560nmの波長域の光を反射させ、少なくとも430nm~480nmの波長域の光を50%以上透過させる。このような光学作用層27を有する光学部材20は、ダイクロイックミラーで構成できる。ダイクロイックミラーは、発光素子10の出射光を、第一波長変換部材30を励起する第一励起光、第二波長変換部材40を励起する第二励起光に分離すると共に、第一励起光を波長変換した第一波長変換光と、第二励起光を波長変換した第二波長変換光を第三面23側に集めて、効率よく出射光と第一波長変換光と第二波長変換光の混色光を光取り出し面から出力させることが可能となる。
【0038】
ここで、発光素子10から出射された第一の光LT1が、光学作用層27で反射、透過される様子の詳細を、
図2~
図4に示す。発光素子10の光出射面11から出射された第一の光LT1は、光学部材20の第四面24から入射されて、光学作用層27に至り、
図2に示すように一部は反射され、残りは透過される。反射された成分は光学部材20の第一面21側に向かう。ここで、反射された成分の光の内、一部の反射光LT1-P2は
図3に示すように、第一面21側に配置された第一波長変換部材30で波長変換されて、第二の光LT2である第一波長変換光が発せられる。この第一波長変換光は、光学作用層27を透過して、第三面23の光取り出し面から出射される。
【0039】
また光学作用層27で反射された光の内、残りの反射光LT1-P1は、
図2に示すように、第一面21側の第一波長変換部材30で波長変換されず、更に一部が光学作用層27を透過して、第三面23の光取り出し面から出射される。つまり、光取り出し面から出射される第一の光LT1には、光学作用層27によって反射され、更に光学作用層27を透過した第一成分LT1-1が含まれる。
【0040】
一方で、発光素子10から出射された第一の光LT1の内、光学作用層27を透過した光は、その一部である透過光LT1-P3が
図4に示すように第二面22側に配置された第二波長変換部材40で波長変換されて、第三の光LT3である第二波長変換光が発せられる。この第二波長変換光は、光学作用層27で反射されて、第三面23の光取り出し面から出射される。
【0041】
また光学作用層27を透過した光の内、残りの透過光LT1-P4は、
図2に示すように、第二面22側の第二波長変換部材40で波長変換されず、更に光学作用層27で一部が反射されて、第三面23の光取り出し面から出射される。つまり、光取り出し面から出射される第一の光LT1には、光学作用層27を透過し、更に光学作用層27によって反射された第二成分LT1-2が含まれる。このように光取り出し面から出射される第一の光LT1は、光学作用層27によって一旦反射され、更に光学作用層27を透過された第一成分LT1-1と、光学作用層27によって一旦透過され、更に光学作用層27で反射された第二成分LT1-2が含まれる。また結果として光取り出し面からは、
図2~
図4に示すように第一の光LT1と第二の光LT2と第三の光LT3の混色光として観察される。
【0042】
なお
図5の断面図に示すように、光学部材20の光学作用層27の上端は、第二面22とは交わらず、第三面23の上端よりも距離dだけ下方で第三面23と交わるよう構成することが好ましい。これにより、光学部材20の光路長を長くして出力光のスポット径を拡げて出射させることができる。
(サブマウント15)
【0043】
発光素子10を上面に実装するサブマウント15は、上面、及び、下面を有する。サブマウント15は、直方体の形状で構成される。サブマウント15は、上面視で、長辺及び短辺を有する矩形の外形を有する。サブマウント15は、上下方向の幅が最も小さい。サブマウント15の上下方向の幅は、50μm以上1000μm以下とすることができる。なお、サブマウント15の形状は直方体に限らなくてよい。サブマウント15は、例えば、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、又は炭化ケイ素を用いて形成することができる。また、接合面には、接合のための金属膜が設けられている。
(反射透過膜70)
【0044】
また光学部材20は、反射透過膜70を備えることが好ましい。反射透過膜70は、第一の光LT1を透過させる一方で、第一波長変換光や第二波長変換光を反射させる波長選択性を有している。
【0045】
図1の断面図に示す例では、反射透過膜70は、光学部材20の第四面24に設けられる。反射透過膜70は、第一の光LT1を透過させ、第一波長変換光や第二波長変換光を反射する。このような反射透過膜70は、誘電体多層膜(DBR)などで構成できる。
【0046】
なお、
図1、
図3等において一部の第一波長変換光は、入射角度などの関係から光学作用層27を透過できずに反射される成分も僅かに存在するが、
図6に示すように第四面24に設けられた反射透過膜70で反射される等して光学作用層27に再度入射され、最終的には一部が光学作用層27を透過して第三面23から取り出される。また
図4等における第二波長変換光も、その一部は光学作用層27で反射されずに透過されて第四面24に向かうが、同様に
図6に示すように反射透過膜70で反射される等して光学作用層27に再度入射され、最終的には一部が第三面23から取り出される。
(反射膜80)
【0047】
さらに光学部材20は、その側面の一部に反射膜80を設けてもよい。これにより、光学部材20に入射された光を有効に利用できる。
図7の平面図に示す例では、光学部材20は第一面21、第二面22、第三面23、第四面24と交差する第五面25(図において下側)と、第一面21、第二面22、第三面23、第四面24と交差し、第五面25と対向する第六面26(図において上側)を有している。第五面25には、第一反射膜81が設けられる。また第六面26には、第二反射膜82が設けられる。これら第一反射膜81や第二反射膜82は、第一の光LT1、第二の光LT2、第三の光LT3を反射する。このような第一反射膜81や第二反射膜82は、例えば金属膜とすることができる。
[実施形態2]
【0048】
実施形態2に係る発光装置200を
図8に示す。この図に示す発光装置200において、上述した実施形態1と同じ部材については、同じ符号を付して詳細説明を適宜省略する。
図8に示す発光装置200は、発光素子10と、波長変換ユニット2Bと、パッケージ50を備える。ここでは第二波長変換部材40Bとして、第一波長変換部材30Bよりも長波長の光に波長変換する部材を用いている。つまり、第二の光LT2が、第三の光LT3よりも短波長である。例えば、第一波長変換部材30Bとして緑色色蛍光体を用いる。また第二波長変換部材40Bとして、赤色光蛍光体を用いている。
【0049】
発光素子10は、青色光を呈する第一の光LT1を出射する。また光学作用層27は、青色光の波長域の光を20%以上50%以下透過させる。具体的には、光学作用層27が少なくとも青色光の波長域である430nm~480nmの波長域の光を50%以下透過させ、少なくとも500nm~560nmの波長域の光を80%以上透過させ、少なくとも560nm以上の波長域の光を95%以上反射させる。また反射透過膜70も、青色光の波長域である430nm~480nmを透過させ、第一波長変換部材30の第一波長変換光、第二波長変換部材40の第二波長変換光の波長域である490nm又は500nm以上の波長域の光を95%以上反射させる。
[実施形態3]
【0050】
実施形態1及び実施形態2の例では、第一波長変換部材又は第二波長変換部材のいずれか一方を、パッケージの載置面に寝かせた姿勢で配置し、放熱性を向上できるものの、いずれか他方はパッケージの載置面に直立させた姿勢となるため、支持基板55を介して載置面に固定する構成を採用していた。ただ本発明は、支持基板55等の放熱部材を用いない構成とすることもできる。このような例を実施形態3として、
図9の断面図に示す。この図に示す発光装置300も、上述した実施形態1等と同じ部材については、同じ符号を付して詳細説明を適宜省略する。
図9に示す発光装置300は、発光素子10と、波長変換ユニット2Cと、パッケージ50を備える。波長変換ユニット2Cは、光学部材20Cと、第一波長変換部材30Cと、第二波長変換部材40Cを備える。
(反射層60)
【0051】
この図に示す発光装置300は、光学部材20Cが、光学作用層27Cに加えて、反射層60を備えている。反射層60は、
図11に示すように、光学作用層27Cを透過した第一の光LT1Cを反射する。また、反射層60は、
図13に示すように、第二波長変換部材40Cによって発せられた第三の光LT3Cを反射する。この反射層60は、反射膜80と同様、例えば金属膜とすることができる。好ましくは反射層60は、光学部材20Cの内部において、光学作用層27Cと平行に設けられる。
図9の断面図に示す例では、光学部材20Cの下面の右端から、下面に対し45°に傾斜され、光学部材20Cの上面まで延伸された層状に形成される。
【0052】
第二波長変換部材40Cは、反射層60によって反射された第一の光LT1Cを受けて波長変換した第三の光LT3Cを発する。光学部材20Cは、第二波長変換部材40Cを配置する面(第二面22)を、第一面21と同じ平面上に位置させている。いいかえると、第一波長変換部材30Cと第二波長変換部材40Cを、同一平面上、ここではパッケージ50の載置面上に並べて配置している。このため光学部材20Cは、
図1に示したものよりも下面が横方向に長く形成される。
図9の例では、直方体状に形成した例を示している。なお光取り出し面となる第三面23は、
図1のように上面のすべてでなく、
図9において左側の一部のみ、すなわち第一面21と第三面23が接合する位置から反射層60の上端までの間の領域となる。換言すると、光学部材20Cの上面の内、光取り出し面以外の領域は不要となる。したがって、
図10に示す変形例に係る発光装置300’のように、光学部材20C’の下面を長く形成する一方で、上面は
図1と同様の大きさとした、断面視台形状に形成してもよい。
【0053】
ここで
図9の発光装置300において、発光素子10から出射された第一の光LT1Cが、光学作用層27C及び反射層60で透過、反射される様子を、
図11~
図13に示す。発光素子10の光出射面11から出射された第一の光LT1Cは、光学部材20Cの第四面24から入射されて、光学作用層27Cに至り、
図11に示すように一部は反射され、残りは透過される。反射された成分は光学部材20Cの第一面21側に向かう。ここで、反射された成分の光の内、一部の反射光LT1-P2Cは
図12に示すように、第一面21側に配置された第一波長変換部材30Cで波長変換されて、第二の光LT2Cである第一波長変換光が発せられる。この第一波長変換光は、光学作用層27Cを透過して、第三面23の光取り出し面から出射される。
【0054】
また光学作用層27Cで反射された光の内、残りの反射光LT1-P1Cは
図11に示すように、第一面21側の第一波長変換部材30Cで波長変換されず、更に一部が光学作用層27Cを透過して、第三面23の光取り出し面から出射される。つまり、光取り出し面から出射される第一の光LT1Cには、光学作用層27Cによって反射され、更に光学作用層27Cを透過した第一成分LT1-1Cが含まれる。
【0055】
一方で、発光素子10から出射された第一の光LT1Cの内、光学作用層27Cを透過した光は、その一部である透過光LT1-P3Cが
図13に示すように反射層60で反射されて、光学部材20Cの下面(第二面)側に配置された第二波長変換部材40Cで波長変換されて、第三の光LT3Cである第二波長変換光が発せられる。この第二波長変換光は、反射層60で反射され、さらに光学作用層27Cでも反射されて、第三面23の光取り出し面から出射される。
【0056】
また光学作用層27Cを透過し反射層60で反射された光の内、残りの透過光LT1-P4Cは
図11に示すように、第二波長変換部材40Cで波長変換されず、反射層60で反射され、さらに光学作用層27Cで一部が反射されて、第三面23の光取り出し面から出射される。つまり、光取り出し面から出射される第一の光LT1Cには、光学作用層27Cを透過し、更に反射層60によって反射され、更に光学作用層27Cによって反射された第二成分LT1-2Cが含まれる。
【0057】
このように光取り出し面から出射される第一の光LT1Cは、光学作用層27Cで一旦反射され、第一波長変換部材30Cで波長変換されずに反射されて光学作用層27Cを透過した第一成分LT1-1Cと、光学作用層27Cを透過し反射層60で反射され、第二波長変換部材40Cで波長変換されずに、更に反射層60、光学作用層27Cで反射された第二成分LT1-2Cが含まれる。また結果として光取り出し面からは、
図11~
図13に示すように第一の光LT1Cと第二の光LT2Cと第三の光LT3Cの混色光として観察される。このような構成により、第一波長変換部材30Cと第二波長変換部材40Cを共にパッケージ50の載置面に配置して、放熱構造を採り易くなり、これら第一波長変換部材30Cと第二波長変換部材40Cの熱劣化を防ぎ長寿命化を図ることが可能となる。
【0058】
なお
図9の例では、第一波長変換部材30Cと第二波長変換部材40Cを、密着させて配置する例を示しているが、両者を離間させてもよい。また、第一波長変換部材30Cと第二波長変換部材40Cの境目に、光学作用層27Cの下端が配されているが、光学作用層27Cの下端は、第一波長変換部材30Cに配されていてもよい。あるいは、光学作用層27Cの下端は、第二波長変換部材40Cに配されていてもよい。
[実施形態4]
【0059】
実施形態4に係る発光装置400を
図14の断面図に示す。この図においても、上述した実施形態1等と同じ部材については、同じ符号を付して詳細説明を適宜省略する。
図14に示す発光装置400は、発光素子10と、波長変換ユニット2Dと、パッケージ50Dを備える。波長変換ユニット2Dは、光学部材20Dと、第一波長変換部材30Dと、第二波長変換部材40Dを備える。
【0060】
この発光装置400は、光取り出し面を、第二波長変換部材40Dの、光学部材20Dの第二面22側に対向する面(
図14において第二波長変換部材40Dの左側の面)と反対側の面(図において右側の面)としている。このように第二波長変換部材40Dの裏面側を光取り出し面として利用することで、発光装置400の側方から光を出射させることができる。
【0061】
パッケージ50Dは、蓋部51Dと基部52Dを備える。基部52Dは、実装基板53Dと枠部材54Dを備える。この例では、
図1等と異なり、枠部材54Dから光が出射される。パッケージ50Dは、枠部材54Dを透光性の部材で構成することにより、側面発光型の発光装置400を実現している。
【0062】
光学部材20Dは、第一面21と第二面22と第三面23と第四面24を含む。第一面21側には第一波長変換部材30Dが、第二面22側には第二波長変換部材40Dが、それぞれ配置される。第三面23及び第四面24には、第三反射膜83、反射透過膜70がそれぞれ配置される。第三反射膜83は、第一の光LT1D、第二の光LT2D(及び必要に応じて第三の光LT3D)を反射する。第三反射膜83は、例えば金属膜とすることができる。一方、反射透過膜70は、発光素子10からの第一の光LT1Dを透過し、第二の光LT2D(及び必要に応じて第三の光LT3D)を反射させる波長選択性を有する。このような反射透過膜70は、例えば誘電体多層膜(DBR)などで構成できる。
【0063】
また光学部材20Dは光学作用層27Dを含んでいる。ただし光学作用層27Dの傾斜方向が、
図1とは異なる。すなわち光学作用層27Dは、第一面21と第四面24が接合する線から、第二面22と第三面23が接合する領域に向かって、第一面21に対して約45°に(図において左下から右上に)傾斜させた層状に形成される。
【0064】
ここで、発光素子10から出射された第一の光LT1Dが、光学作用層27Dで反射、透過される様子を、
図15~
図17に示す。発光素子10の光出射面11から出射された第一の光LT1Dは、光学部材20Dの第四面24から反射透過膜70を透過して入射され、光学作用層27Dに至り、
図15に示すように一部は反射され、残りは透過される。反射された成分は光学部材20Dの第三面23側に向かう。ここで、反射された成分の光の内、一部の反射光LT1-P2Dは
図16に示すように、第三反射膜83で反射され、更に光学作用層27Dを透過して、第一面21側に配置された第一波長変換部材30Dに入射する。第一波長変換部材30Dに入射した光LT1-P2Dは、第一面21側に配置された第一波長変換部材30Dで波長変換されて、第二の光LT2Dである第一波長変換光が発せられる。この第一波長変換光は、光学作用層27Dで反射されて、第三面23と第二波長変換部材40Dを透過し、光取り出し面から出射される。
【0065】
また光学作用層27Dで反射された光の内、残りの反射光LT1-P1Dは
図15に示すように、第三反射膜83で反射され、一部が光学作用層27Dを透過し、更に第一面21側から光学作用層27Dへと進み、一部が光学作用層27Dで反射されて、第三面23と第二波長変換部材40Dを透過し、光取り出し面から出射される。
【0066】
一方で、発光素子10から出射された第一の光LT1Dの内、光学作用層27Dを透過した光は、その一部である透過光LT1-P3Dが
図17に示すように第二面22側に配置された第二波長変換部材40Dで波長変換されて、第三の光LT3Dである第二波長変換光として光取り出し面から出射される。
【0067】
また光学作用層27Dを透過した光の内、残りの透過光LT1-2Dは
図15に示すように、第二面22側の第二波長変換部材40Dで波長変換されず、第一の光LT1-2Dのまま光取り出し面から出射される。このように光取り出し面から出射される第一の光LT1Dは、光学作用層27Dによって一旦反射され、更に第三反射膜83、第一波長変換部材30D、光学作用層27Dで再度反射された第一成分LT1-1Dと、光学作用層27Dを透過して第二波長変換部材40Dで波長変換されなかった第二成分LT1-2Dが含まれる。また結果として光取り出し面からは、
図15~
図17に示すように第一の光LT1Dと第二の光LT2Dと第三の光LT3Dの混色光として観察される。
[実施形態5]
【0068】
図7等の例では、一のパッケージ50内に発光素子10、第一波長変換部材30、第二波長変換部材40を接合した光学部材20をそれぞれ一ずつ、一直線上に配置する例を説明した。ただ本発明はこの構成に限られず、各部材を複数個配置してもよい。例えば
図18の平面図に示す実施形態5に係る発光装置500は、発光素子10A、第一波長変換部材と第二波長変換部材40Aを接合した光学部材20Aを一直線状に配置した組と、発光素子10B、第一波長変換部材、第二波長変換部材40Bを接合した光学部材20Bを一直線状に配置した組を、平行に2組配置した例を示している。この図において、発光装置10A、10B、第一波長変換部材、第二波長変換部材40A、40B、光学部材20A、20Bは、実施形態1の発光装置10の発光装置10、第一波長変換部材30、第二波長変換部材40、光学部材20と同じ部材である。また、この図において、上述した実施形態1と同じ部材については、同じ符号を付して詳細説明を適宜省略する。このように複数の発光素子10A、10B、第一波長変換部材30、第二波長変換部材40を接合した光学部材20A、20Bを用いることで、発光装置500の出力光の光量を高めることができる。また、発光素子10A、10B、第一波長変換部材30、第二波長変換部材40を接合した光学部材20A、20Bで構成される各組で混色される出力光の発光色を、同じとする他、組毎に異なる発光色としてもよい。これにより、組毎に点灯を切り替えて、異なる発光色に発光させることの可能な発光装置を構成できる。
【0069】
さらに、複数の部材を組み合わせる例において、発光素子、波長変換部材を接合した光学部材の使用数を等しくする必要はなく、任意の数としてもよい。例えば波長変換部材の変換効率に応じて、ある組においては励起用の発光素子の数を増やすことができる。
【0070】
本発明は、以下のような態様で実施することもできる。
【0071】
[項1]
第一の光を出射する発光素子と、
前記第一の光と、前記第一の光を受けて波長変換した光とを出射する光取り出し面を有する波長変換ユニットと、
を備える発光装置であって、
前記波長変換ユニットは、
第一面と、
第二面と、
前記第一の光を部分的に反射し、かつ、部分的に透過する光学作用層と、
を有する光学部材と、
前記第一面側に設けられ、前記光学作用層を反射した前記第一の光を受けて波長変換した第二の光を発する第一波長変換部材と、
前記第二面側に設けられ、前記光学作用層を透過した前記第一の光を受けて波長変換した第三の光を発する第二波長変換部材と、
を備え、
前記波長変換ユニットは、前記光学作用層によって透過された前記第一の光、前記第二の光、及び、前記第三の光を前記光取り出し面から出射させるよう構成してなる発光装置。
【0072】
[項2]
項1に記載の発光装置であって、
前記光学部材は、前記光取り出し面を有し、
前記光学作用層によって反射され、更に前記光学作用層を透過した第一成分と、
前記光学作用層を透過し、更に前記光学作用層によって反射された第二成分と、
を含む前記第一の光を前記光取り出し面から出射させるよう構成してなる発光装置。
【0073】
[項3]
項1又は2に記載の発光装置であって、
前記光学部材は、さらに、
前記第一面の反対側にある第三面と、
前記第二面の反対側にある第四面と
を備え、
前記第一面は、第一方向に延びる平面であり、前記第一面に、前記第一波長変換部材を配置し、
前記第二面は、前記第一方向に交差する第二方向に延びる平面であり、前記第二面に、前記第二波長変換部材を配置しており、
前記第三面を、前記光取り出し面とし、
前記第四面を、前記発光素子と対向させる発光装置。
上記構成により、第一波長変換部材に対しては、光学作用層を介して第一の光のみを照射し、第三の光のような必要以上の光を照射せずに済むため、第一波長変換部材の発光効率を高く保つことが可能となる。
【0074】
[項4]
項1~3のいずれか一に記載の発光装置であって、
前記第二の光が、前記第三の光よりも長波長である発光装置。
上記構成により、長波長側の第一波長変換部材を放熱し易くして、長寿命化または高出力化を図ることができる。
【0075】
[項5]
項1~4のいずれか一に記載の発光装置であって、
前記光学作用層が、青色光の波長域の光を50%以上透過させる発光装置。
【0076】
[項6]
項1~5のいずれか一に記載の発光装置であって、
前記光学作用層が、少なくとも500nm~560nmの波長域の光を反射させ、少なくとも430nm~480nmの波長域の光を50%以上透過させる発光装置。
【0077】
[項7]
項1~3のいずれか一に記載の発光装置であって、
前記第二の光が、前記第三の光よりも短波長である発光装置。
【0078】
[項8]
項7のいずれか一に記載の発光装置であって、
前記光学作用層が、青色光の波長域の光を50%以下透過させる発光装置。
【0079】
[項9]
項7又は8のいずれか一に記載の発光装置であって、
前記光学作用層が、少なくとも430nm~480nmの波長域の光を50%以下透過させ、少なくとも500nm~560nmの波長域の光を80%以上透過させ、少なくとも560nm以上の波長域の光を95%以上反射させるよう構成してなる発光装置。
【0080】
[項10]
項1~9のいずれか一項に記載の発光装置であって、さらに、
前記発光素子及び前記波長変換ユニットが載置される載置面を有し、前記発光素子及び前記光学部材を封止空間に収容するパッケージ備える発光装置。
【0081】
[項11]
項10に記載の発光装置であって、さらに、
前記第二波長変換部材の、前記光学部材の第二面側に対向する面と反対側の面を支持し、かつ、前記パッケージに接合される支持基板を備える発光装置。
上記構成により、第一波長変換部材をパッケージと広い面積で熱結合して放熱性を向上させると共に、第二波長変換部材については、その背面側を支持基板で支持し、さらに支持基板をパッケージと熱結合状態とすることで、その放熱性を担保できる。
【0082】
[項12]
項1に記載の発光装置であって、
前記光学部材は、さらに、前記光学作用層を透過した前記第一の光を反射する反射層を備え、
前記第二面は、前記第一面と同じ平面上にあり、
前記第二波長変換部材は、前記反射層によって反射された前記第一の光を受けて波長変換した前記第三の光を発するよう構成してなる発光装置。
上記構成により、光学作用層で第二の光を光取り出し面に集める一方で、反射層で第一の光と第三の光を光取り出し面に集めつつ、第一波長変換部材と第二波長変換部材を同一平面に配置することで放熱構造を採り易くなり、長寿命化または高出力化を図ることができる。
【0083】
[項13]
項1に記載の発光装置であって、
前記第二波長変換部材は、前記光学部材の第二面側に対向する面と反対側の面を前記光取り出し面とする発光装置。
【0084】
[項14]
項1~13のいずれか一項に記載の発光装置であって、
前記発光素子が、半導体レーザである発光装置。
【産業上の利用可能性】
【0085】
各実施形態に記載の発光装置は、スマートライトや間接照明などの照明器具、車載ヘッドライト、ヘッドマウントディスプレイ、プロジェクタ、ディスプレイ等に使用することができる。
【符号の説明】
【0086】
100、200、300、300’、400、500…発光装置
2、2B、2D…波長変換ユニット
10、10A、10B…発光素子
11…第一光出射面
15…サブマウント
20、20C、20C’、20D…光学部材
21…第一面
22…第二面
23…第三面
24…第四面
25…第五面
26…第六面
27、27C、27D…光学作用層
28…第一光学作用層
29…第二光学作用層
30、30B、30C、30D…第一波長変換部材
40、40A、40B、40C、40D…第二波長変換部材
50、50D…パッケージ
51、51D…蓋部
52、52D…基部
53…実装基板
54…枠部材
55…支持基板
60…反射層
70…反射透過膜
80…反射膜
81…第一反射膜
82…第二反射膜
83…第三反射膜
910…光源側組立体
927A…青光反射のダイクロイックミラー
927B…緑光反射のダイクロイックミラー
930R…赤発光の蛍光物質
930G…緑発光の蛍光物質
930B…青発光の蛍光物質
931R…赤光発光部
931G…緑光発光部
931B…青光発光部
LT1、LT1C、LT1D…第一の光
LT1-P1、LT1-P1C、LT1-P1D…残りの反射光
LT1-P2、LT1-P2C、LT1-P2D…一部の反射光
LT1-P3、LT1-P3C、LT1-P3D…透過光
LT1-P4、LT1-P4C…残りの透過光
LT1-1、LT1-1C、LT1-2C、LT1-1D…第一成分
LT1-2、LT1-2C、LT1-2D…第二成分
LT2、LT2C、LT2D…第二の光
LT3、LT3C、LT3D…第三の光