(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024072730
(43)【公開日】2024-05-28
(54)【発明の名称】ラテックス組成物および発泡体
(51)【国際特許分類】
C08L 21/02 20060101AFI20240521BHJP
C08J 9/00 20060101ALI20240521BHJP
C08L 9/04 20060101ALI20240521BHJP
C08L 9/08 20060101ALI20240521BHJP
C08L 1/02 20060101ALI20240521BHJP
C08L 11/02 20060101ALI20240521BHJP
C08K 5/09 20060101ALI20240521BHJP
C08K 5/42 20060101ALI20240521BHJP
C08F 236/04 20060101ALI20240521BHJP
C08C 1/00 20060101ALI20240521BHJP
【FI】
C08L21/02
C08J9/00 Z CEQ
C08L9/04
C08L9/08
C08L1/02
C08L11/02
C08K5/09
C08K5/42
C08F236/04
C08C1/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022183749
(22)【出願日】2022-11-16
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.プルロニック
(71)【出願人】
【識別番号】000229117
【氏名又は名称】日本ゼオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000486
【氏名又は名称】弁理士法人とこしえ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】谷山 友哉
【テーマコード(参考)】
4F074
4J002
4J100
【Fターム(参考)】
4F074AA02
4F074AA07
4F074AC13
4F074AC32
4F074AG03
4F074BB01
4F074CB51
4F074CB91
4F074CC06Z
4F074CC22Y
4F074DA53
4F074DA59
4J002AB012
4J002AC011
4J002AC031
4J002AC061
4J002AC071
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4J002BD121
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4J002CH023
4J002CK021
4J002CP031
4J002EG016
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4J002EG027
4J002EV256
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4J002FA082
4J002FD313
4J002FD316
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4J100AM02Q
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4J100AS03R
4J100CA05
4J100EA07
4J100FA06
4J100FA20
4J100GC13
4J100GC19
4J100JA57
4J100JA67
(57)【要約】
【課題】発泡性に優れ、高い発泡倍率にて発泡体を形成した場合に、適度な硬さを有し、外観に優れた発泡体を得ることができるラテックス組成物を提供すること。
【解決手段】合成エラストマーのラテックスと、非水溶性のセルロース系粉末とを含み、前記セルロース系粉末の代表粒径の平均値が100μm以下であり、前記セルロース系粉末の含有量が、前記合成エラストマー100重量部に対して3重量部以上であるラテックス組成物を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成エラストマーのラテックスと、非水溶性のセルロース系粉末と、を含むラテックス組成物であって、
前記セルロース系粉末の代表粒径の平均値が100μm以下であり、
前記セルロース系粉末の含有量が、前記合成エラストマー100重量部に対して3重量部以上であるラテックス組成物。
【請求項2】
固形分濃度が60重量%以上である請求項1に記載のラテックス組成物。
【請求項3】
前記合成エラストマーとして、共役ジエン系重合体を含む請求項1または2に記載のラテックス組成物。
【請求項4】
前記合成エラストマーとして、ニトリル基含有共役ジエン系共重合体またはスチレンブタジエンゴムを含む請求項1または2に記載のラテックス組成物。
【請求項5】
2種以上の界面活性剤を含有する請求項1または2に記載のラテックス組成物。
【請求項6】
2種以上のアニオン性界面活性剤を含有する請求項5に記載のラテックス組成物。
【請求項7】
カルボン酸系アニオン性界面活性剤およびスルホン酸系アニオン性界面活性剤を含有する請求項6に記載のラテックス組成物。
【請求項8】
フォームラバー用ラテックス組成物である請求項1または2に記載のラテックス組成物。
【請求項9】
請求項1または2に記載のラテックス組成物を発泡成形してなる発泡体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラテックス組成物、および、これを用いてなる発泡体に関する。
【背景技術】
【0002】
ラテックス組成物は、マットレス、パフ(化粧用スポンジ)、ロール、衝撃吸収剤等の発泡体(フォームラバー)用途に用いられている。ラテックス組成物としては、発泡体用途に用いられる場合には、発泡性に優れ、高い発泡倍率にて発泡体を形成した場合にも、外観等に優れた発泡体を形成できるものが求められている。
【0003】
たとえば、特許文献1には、脂肪族共役ジエン系単量体50~90重量%、シアン化ビニル単量体10~50重量%およびそれらと共重合可能な他の単量体0~20重量%からなる単量体合計100重量部を乳化重合して得られた共役ジエン系重合体のラテックスであって、固形分濃度が60重量%以上で、ムーニー粘度MS(1+4)100℃が60~150であることを特徴とする化粧パフ用共役ジエン系重合体のラテックスが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
発泡体(フォームラバー)用途の中でも、パフ(化粧用スポンジ)などの用途においては、化粧料の塗布量や塗布位置などを高いレベルで制御する必要がある場合がある。このような場合において、ラテックス組成物としては、得られる発泡体が適度に硬いこと(ヤング率および表面硬度が適度に高いこと)が要求される場合がある。
【0006】
本発明は、このような実状に鑑みてなされたものであり、発泡性に優れ、高い発泡倍率にて発泡体を形成した場合に、適度な硬さを有し、外観に優れた発泡体を得ることができるラテックス組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討を行った結果、特定の粒径を有する非水溶性のセルロース系粉末を、合成エラストマーのラテックスに対して特定量添加してなるラテックス組成物によれば、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
すなわち、本発明によれば、以下のラテックス組成物が提供される。
[1]合成エラストマーのラテックスと、非水溶性のセルロース系粉末と、を含むラテックス組成物であって、前記セルロース系粉末の代表粒径の平均値が100μm以下であり、前記セルロース系粉末の含有量が、前記合成エラストマー100重量部に対して3重量部以上であるラテックス組成物。
[2]固形分濃度が60重量%以上である[1]に記載のラテックス組成物。
[3] 前記合成エラストマーとして、共役ジエン系重合体を含む[1]または[2]記載のラテックス組成物。
[4] 前記合成エラストマーとして、ニトリル基含有共役ジエン系共重合体またはスチレンブタジエンゴムを含む[1]~[3]のいずれかに記載のラテックス組成物。
[5]2種以上の界面活性剤を含有する[1]~[4]のいずれかに記載のラテックス組成物。
[6]2種以上のアニオン性界面活性剤を含有する[1]~[5]のいずれかに記載のラテックス組成物。
[7]カルボン酸系アニオン性界面活性剤およびスルホン酸系アニオン性界面活性剤を含有する[1]~[6]のいずれかに記載のラテックス組成物。
[8]フォームラバー用ラテックス組成物である[1]~[7]のいずれかに記載のラテックス組成物。
【0009】
また、本発明によれば、以下の発泡体が提供される。
[9][1]~[8]のいずれかに記載のラテックス組成物を発泡成形してなる発泡体。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、発泡性に優れ、高い発泡倍率にて発泡体を形成した場合に、適度な硬さを有し、外観に優れた発泡体を得ることができるラテックス組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明のラテックス組成物は、合成エラストマーのラテックスと、非水溶性のセルロース系粉末とを含み、前記セルロース系粉末の代表粒径の平均値が100μm以下であり、前記セルロース系粉末の含有量が、前記合成エラストマー100重量部に対して3重量部以上であるものである。
【0012】
本発明のラテックス組成物は、得られる発泡体を構成する成分として、合成エラストマーに加えて、植物由来成分であるセルロースを比較的多く含有するものである。そのため、本発明のラテックス組成物は、カーボンニュートラルや発泡体中の石油由来成分の削減にも資するものである。
【0013】
<合成エラストマーのラテックス>
本発明で用いる合成エラストマーのラテックスは、合成エラストマーが水中に分散してなるものである。合成エラストマーのラテックスを構成する、合成エラストマーとしては、特に限定されないが、たとえば、ニトリルゴム(NBR)、天然ゴム(NR)、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、合成ポリイソプレンゴム(IR)、ポリブタジエンゴム(BR)、スチレン-イソプレン共重合ゴム、スチレン-イソプレン-スチレン共重合ゴムなどの共役ジエン系重合体;アクリルゴム;ウレタンゴム;フッ素ゴム;シリコンゴムなどが挙げられる。これらのなかでも、本発明の効果がより顕著になるという観点から、共役ジエン系重合体が好ましく、ニトリルゴム(NBR)、天然ゴム(NR)およびスチレン-ブタジエンゴム(SBR)がより好ましく、ニトリルゴム(NBR)などの、ニトリル基を含有する共役ジエン系重合体(以下、適宜、「ニトリル基含有共役ジエン系重合体」とする。)がさらに好ましい。これらの合成エラストマーは、単独で、または2種以上を組合せて用いることができる。
【0014】
ニトリル基含有共役ジエン系共重合体は、共役ジエン単量体と、エチレン性不飽和ニトリル単量体とを共重合してなる共重合体であり、これらに加えて、必要に応じて用いられる、これらと共重合可能な他のエチレン性不飽和単量体を共重合してなる共重合体であってもよい。
【0015】
エチレン性不飽和ニトリル単量体としては、ニトリル基を含有するエチレン性不飽和単量体であれば特に限定されないが、たとえば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、フマロニトリル、α-クロロアクリロニトリル、α-シアノエチルアクリロニトリルなどが挙げられる。なかでも、アクリロニトリルおよびメタクリロニトリルが好ましく、アクリロニトリルがより好ましい。これらのエチレン性不飽和ニトリル単量体は、単独で、または2種以上を組合せて用いることができる。
【0016】
ニトリル基含有共役ジエン系共重合体中における、エチレン性不飽和ニトリル単量体により形成されるエチレン性不飽和ニトリル単量体単位の含有割合は、好ましくは25~60重量%であり、より好ましくは30~50重量%、さらに好ましくは32~45重量%である。エチレン性不飽和ニトリル単量体単位の含有割合を上記範囲とすることにより、得られる発泡体の外観を一層向上させながら、耐油性および耐久性を高めることができる。
【0017】
共役ジエン単量体としては、たとえば、1,3-ブタジエン、イソプレン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、2-エチル-1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエンおよびクロロプレンなどが挙げられる。これらのなかでも、1,3-ブタジエン、イソプレンが好ましく、、1,3-ブタジエンがより好ましい。これらの共役ジエン単量体は、単独で、または2種以上を組合せて用いることができる。
【0018】
ニトリル基含有共役ジエン系共重合体中における、共役ジエン単量体により形成される共役ジエン単量体単位の含有割合は、好ましくは40~75重量%であり、より好ましくは50~70重量%、さらに好ましくは55~68重量%である。共役ジエン単量体単位の含有割合を上記範囲とすることにより、得られる発泡体の外観を一層向上させながら、耐油性および耐久性を高めることができる。
【0019】
また、得られる発泡体の外観を一層向上させながら、耐油性および耐久性を高めることができる観点から、1,3-ブタジエンおよびイソプレンの両方を使用することが好ましく、ニトリル基含有共役ジエン系共重合体中における、1,3-ブタジエン単位およびイソプレン単位の比率を、1,3-ブタジエン単位/イソプレン単位の比で5/5~9/1の範囲とすることが好ましく、6/4~8/2の範囲とすることがより好ましい。
【0020】
共役ジエン単量体およびエチレン性不飽和ニトリル単量体と共重合可能な、その他のエチレン性不飽和単量体としては、たとえば、(メタ)アクリル酸、(無水)マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等のエチレン性不飽和カルボン酸;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、マレイン酸モノまたはジメチル、フマル酸モノまたはジエチル、フマル酸モノまたはジ-n-ブチル、イタコン酸モノまたはジ-n-ブチル等のエチレン性不飽和カルボン酸のモノまたはジアルキルエステル;メトキシアクリレート、エトキシアクリレート、メトキシエトキシエチルアクリレート等のエチレン性不飽和カルボン酸のアルコキシアルキルエステル;2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル基を有する(メタ)アクリレート;グリシジル(メタ)アクリレート;(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリル酸アミド及びその誘導体;ジメチルアミノメチルアクリレート、ジエチルアミノメチルアクリレート等のアミノ基を有するアクリレート;スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、クロロスチレン等の芳香族ビニル単量体;エチレン、プロピレン等のα-オレフィン;ジシクロペンタジエン、ビニルノルボルネン等の非共役ジエン単量体などを挙げることができる。これらの単量体は、単独で、または2種以上を組合せて用いることができる。ニトリル基含有共役ジエン系共重合体中における、その他のエチレン性不飽和単量体により形成されるその他の単量体単位の含有割合は、好ましくは30重量%以下であり、より好ましくは20重量%以下、さらに好ましくは10重量%以下である。
【0021】
また、合成エラストマーとして、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)を用いることもできる。スチレン-ブタジエンゴム(SBR)は、共役ジエン単量体としての1,3-ブタジエンと、スチレンとを共重合してなる共重合体であり、これらに加えて、必要に応じて用いられる、これらと共重合可能な他のエチレン性不飽和単量体を共重合してなる共重合体であってもよい。
【0022】
スチレン-ブタジエンゴム(SBR)中における、1,3-ブタジエンにより形成されるブタジエン単位の含有割合は、好ましくは50~90重量%であり、より好ましくは60~80重量%、さらに好ましくは65~75重量%である。
【0023】
スチレン-ブタジエンゴム(SBR)中における、スチレンにより形成されるスチレン単位の含有割合は、好ましくは10~50重量%であり、より好ましくは20~40重量%、さらに好ましくは25~35重量%である。
【0024】
1,3-ブタジエンおよびスチレンと共重合可能な、その他のエチレン性不飽和単量体としては、たとえば、イソプレン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、2-エチル-1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエンおよびクロロプレンなどの、1,3-ブタジエン以外の共役ジエン単量体;スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、クロロスチレン等の、スチレン以外の芳香族ビニル単量体;(メタ)アクリル酸、(無水)マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等のエチレン性不飽和カルボン酸;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、マレイン酸モノまたはジメチル、フマル酸モノまたはジエチル、フマル酸モノまたはジ-n-ブチル、イタコン酸モノまたはジ-n-ブチル等のエチレン性不飽和カルボン酸のモノまたはジアルキルエステル;メトキシアクリレート、エトキシアクリレート、メトキシエトキシエチルアクリレート等のエチレン性不飽和カルボン酸のアルコキシアルキルエステル;2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル基を有する(メタ)アクリレート;グリシジル(メタ)アクリレート;(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリル酸アミド及びその誘導体;ジメチルアミノメチルアクリレート、ジエチルアミノメチルアクリレート等のアミノ基を有するアクリレート;エチレン、プロピレン等のα-オレフィン;ジシクロペンタジエン、ビニルノルボルネン等の非共役ジエン単量体などを挙げることができる。これらの単量体は、単独で、または2種以上を組合せて用いることができる。スチレン-ブタジエンゴム(SBR)中における、その他のエチレン性不飽和単量体により形成されるその他の単量体単位の含有割合は、好ましくは10重量%以下であり、より好ましくは5重量%以下、さらに好ましくは3重量%以下である。
【0025】
また、合成エラストマーとして、天然ゴム(NR)、蛋白質を除去した天然ゴム(脱蛋白質天然ゴム)、合成ポリイソプレンゴム(IR)、ポリブタジエンゴム(BR)などの、共役ジエン単量体単量体単位を主成分(好ましくは90重量%以上、より好ましくは95重量%以上)とするゴムを用いることもできる。
【0026】
本発明で用いる合成エラストマーのラテックスは、たとえば、合成エラストマーのラテックス中に含まれる合成エラストマーを構成する単量体を、乳化重合法により共重合する工程を経て製造することができる。
【0027】
乳化重合法としては、従来公知の方法を採用することができる。たとえば、単量体混合物を乳化重合する際には、通常用いられる、乳化剤(界面活性剤)、重合開始剤、キレート剤、酸素補足剤、分子量調整剤等の重合副資材を使用することができる。これら重合副資材の添加方法は特に限定されず、初期一括添加法、分割添加法、連続添加法などいずれの方法でもよい。
【0028】
乳化剤としては、特に限定されないが、たとえば、アニオン性乳化剤(アニオン性界面活性剤)、ノニオン性乳化剤(ノニオン性界面活性剤)などが挙げられる。アニオン性乳化剤としては、たとえば、牛脂脂肪酸カリウム、部分水添牛脂脂肪酸カリウム、オレイン酸カリウム、オレイン酸ナトリウム等の脂肪酸塩;ロジン酸カリウム、ロジン酸ナトリウム、水添ロジン酸カリウム、水添ロジン酸ナトリウム等の樹脂酸塩;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸カリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩;ナフタリンスルホン酸ホルマリン縮合物等が挙げられる。ノニオン性乳化剤としては、たとえば、ポリエチレングリコールエステル型、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドのブロック共重合体等のプルロニック型等の乳化剤が挙げられる。これらは、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0029】
これらのなかでも、アニオン性乳化剤(アニオン性界面活性剤)が好ましく、脂肪酸塩、樹脂酸塩などのカルボン酸系乳化剤(カルボン酸系界面活性剤);アルキルベンゼンスルホン酸塩、ナフタリンスルホン酸ホルマリン縮合物等のスルホン酸系乳化剤(スルホン酸系界面活性剤)がより好ましく、脂肪酸塩がさらに好ましく、オレイン酸塩が特に好ましい。乳化剤の使用量は、単量体混合物100重量部(得られる合成エラストマー100重量部)に対して、好ましくは0.5~5重量部、より好ましくは1~3重量部である。
【0030】
重合開始剤としては、特に限定されないが、たとえば、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過リン酸カリウム、過酸化水素等の無機過酸化物;ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t-ブチルハイドロパーオキサイド、1,1,3,3-テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、2,5-ジメチルヘキサン-2,5-ジハイドロパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、ジ-α-クミルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、3,5,5-トリメチルヘキサノイルパーオキサイド等の有機過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス-2,4-ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソ酪酸メチル等のアゾ化合物;などを挙げることができる。これらの重合開始剤は、それぞれ単独で、または2種類以上を組み合わせて使用することができる。重合開始剤の使用量は、単量体混合物100重量部に対して、好ましくは0.01~10重量部、より好ましくは0.01~2重量部である。
【0031】
また、過酸化物開始剤は還元剤との組み合わせで、レドックス系重合開始剤として使用することができる。この還元剤としては、特に限定されないが、硫酸第一鉄、ナフテン酸第一銅等の還元状態にある金属イオンを含有する化合物;メタンスルホン酸ナトリウム等のスルホン酸化合物;ジメチルアニリン等のアミン化合物;などが挙げられる。これらの還元剤は単独で、または2種以上を組合せて用いることができる。還元剤の使用量は、過酸化物100重量部に対して3~1000重量部であることが好ましい。
【0032】
分子量調整剤としては、たとえば、n-ヘキシルメルカプタン、n-オクチルメルカプタン、t-オクチルメルカプタン、n-ドデシルメルカプタン、t-ドデシルメルカプタン、n-ステアリルメルカプタン等のアルキルメルカプタン;ジメチルキサントゲンジサルファイド、ジイソプロピルキサントゲンジサルファイド等のキサントゲン化合物;テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィド等のチウラム系化合物;2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、スチレン化フェノール等のフェノール系化合物;アリルアルコール等のアリル化合物;ジクロルメタン、ジブロモメタン、四臭化炭素等のハロゲン化炭化水素化合物;α-ベンジルオキシスチレン、α-ベンジルオキシアクリロニトリル、α-ベンジルオキシアクリルアミド、トリフェニルエタン、ペンタフェニルエタン、アクロレイン、メタアクロレイン、チオグリコール酸、チオリンゴ酸、2-エチルヘキシルチオグリコレート、α-メチルスチレンダイマー、ターピノレンなどが挙げられる。これらの分子量調整剤は、それぞれ単独で、または2種類以上を組み合わせて使用することができる。分子量調整剤の使用量は、単量体混合物100重量部に対し、好ましくは0.1~3重量部、より好ましくは0.2~2重量部、特に好ましくは0.3~1.5重量部である。
【0033】
乳化重合する際に使用する水の量は、使用する全単量体100重量部に対して、80~600重量部が好ましく、100~300重量部が特に好ましい。
【0034】
乳化重合反応は、連続式、回分式のいずれでもよく、重合時間等も特に限定されない。単量体の添加方法としては、たとえば、反応容器に使用する単量体を一括して添加する方法、重合の進行に従って連続的または断続的に添加する方法、単量体の一部を添加して特定の転化率まで反応させ、その後、残りの単量体を連続的または断続的に添加して重合する方法等が挙げられ、いずれの方法を採用してもよい。単量体を混合して連続的または断続的に添加する場合、混合物の組成は、一定としても、あるいは変化させてもよい。また、各単量体は、使用する各種単量体を予め混合してから反応容器に添加しても、あるいは別々に反応容器に添加してもよい。
【0035】
さらに、乳化重合を行う際には、必要に応じて、キレート剤、分散剤、pH調整剤、脱酸素剤、粒子径調整剤等の重合副資材を用いることができ、これらは種類、使用量とも特に限定されない。
【0036】
以上のように単量体混合物を乳化重合し、所定の重合転化率に達した時点で、重合系を冷却したり、重合停止剤を添加したりして、重合反応を停止する。重合を停止する際の重合転化率は、特に限定されないが、好ましくは90重量%以上である。この重合転化率が低すぎると生産性が低下する傾向にある。重合温度は、特に限定されないが、好ましくは0~50℃、より好ましくは2~35℃である。
【0037】
重合停止剤としては、特に限定されないが、たとえば、ヒドロキシルアミン、ヒドロキシアミン硫酸塩、ジエチルヒドロキシルアミン、ヒドロキシアミンスルホン酸およびそのアルカリ金属塩、ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ハイドロキノン誘導体、カテコール誘導体、ならびに、ヒドロキシジメチルベンゼンチオカルボン酸、ヒドロキシジエチルベンゼンジチオカルボン酸、ヒドロキシジブチルベンゼンジチオカルボン酸などの芳香族ヒドロキシジチオカルボン酸およびこれらのアルカリ金属塩などが挙げられる。重合停止剤の使用量は、単量体混合物100重量部に対して、好ましくは0.05~2重量部である。
【0038】
以上のようにして重合反応を行い、乳化液を得ることができる。なお、重合反応を停止して乳化液を得た後には、必要に応じて乳化液から未反応単量体を除去してもよい。
【0039】
重合反応を停止した後、さらに、得られた乳化液に含まれる重合体粒子の体積累積粒径を調整してもよい。
【0040】
体積累積粒径の調整を行う方法としては、(i)乳化液中の粒子同士を合一させることで肥大化させる、粒径肥大化処理を施す方法、(ii)乳化液に含まれる粒子を凝固させて凝固物を得た後、凝固物を有機溶媒に溶解させて溶液を得て、次いで、乳化剤の存在下に、得られた溶液を水中で乳化し、必要により有機溶媒を除去する方法、(iii)体積累積粒径の異なる2以上の乳化液を混合する方法、などが挙げられる。
【0041】
(i)の方法において、粒径肥大化処理の方法としては、特に限定されないが、たとえば、(1)重合終了後、乳化液に対して、1,3-ブタジエン等の共役ジエン化合物やトルエン等を溶剤として加え、強攪拌する方法、(2)合成エラストマーのラテックス等の粒径肥大化剤を乳化液に添加して、強攪拌する方法などが挙げられる。
【0042】
上記(1)の方法で粒径肥大化処理を行う場合には、溶剤の添加量は、乳化液中の合成エラストマー100重量部に対して、好ましくは30~300重量部である。また、上記(1)の方法で粒径肥大化処理を行う場合には、攪拌の条件としては、特に限定されないが、たとえば、パドル型攪拌翼等の攪拌装置を用いて、回転速度を、好ましくは50~2,500rpmとし、攪拌時間を、好ましくは0.5~12.0時間とする方法が挙げられる。
【0043】
また、粒径肥大化処理を行う際には、攪拌に伴う発泡を抑制するという観点より、乳化液に消泡剤を添加し、消泡剤の存在下で、粒径肥大化処理を行うことが好ましい。
【0044】
(ii)の方法において、乳化液に含まれる粒子を凝固させる方法としては、たとえば、乳化液と水溶性の有機溶媒とを混合する方法、乳化液と酸とを混合する方法、乳化液と塩とを混合する方法が挙げられる。
【0045】
水溶性の有機溶媒としては、ラテックス中の重合体が溶解しない溶媒を選択することがより好ましい。このようは有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール等が挙げられる。酸としては、酢酸、蟻酸、リン酸、塩酸等が挙げられる。塩としては、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、硫酸アルミニウム、塩化カリウム等が挙げられる。
【0046】
(ii)の方法で用いる有機溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶媒;シクロペンタン、シクロペンテン、シクロヘキサン、シクロヘキセン等の脂環族炭化水素溶媒;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素溶媒;塩化メチレン、クロロホルム、二塩化エチレン等のハロゲン化炭化水素溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルヘキシルケトン、ジイソブチルケトン、ブチルアルデヒド、プロピルアセテート、ブチルアセテート、アミルアセテート等のケトン系溶媒;エチルプロピオネート、エチルイソブチレート、ブチルブチレート等のエステル系溶媒;ジメチルエーテル、ジヘキシルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル等のエーテル系溶媒;等を挙げることができる。
【0047】
(ii)の方法において、乳化剤の存在下に、得られた溶液を水中で乳化させるために、乳化装置を用いることができる。また、乳化剤の添加方法は、特に限定されず、予め溶液に添加しても、乳化操作を行っている最中に、溶液に添加してもよく、一括添加しても、分割添加してもよい。
【0048】
(ii)の方法で用いる乳化剤としては、アニオン性乳化剤、ノニオン性乳化剤などが挙げられるが、アニオン性乳化剤が好ましい。アニオン性乳化剤としては、ラテックスに含有させ得るアニオン性乳化剤として上述したものを用いることができる。乳化剤の使用量は、粒子100重量部に対して、好ましくは0.5~50重量部であり、より好ましくは0.5~30重量部、さらに好ましくは5~25重量部である。乳化剤の使用量を適切に調整することにより、体積累積粒径を所望の範囲に調整することができる。
【0049】
(ii)の方法において、有機溶媒を除去する方法としては、たとえば、減圧蒸留、常圧蒸留、水蒸気蒸留、遠心分離等の方法が挙げられる。
【0050】
(iii)の方法においては、所望の体積累積粒径になるように2以上の乳化液を混合すればよく、混合方法は特に限定されない。乳化液の組み合わせも限定されず、たとえば、(i)の方法により得られた体積累積粒径の異なる2つの乳化液を混合してもよいし、(ii)の方法により得られた体積累積粒径の異なる2つの乳化液を混合してもよい。また、重合により得られた乳化液と、(i)および/または(ii)の方法により得られた乳化液とを公知の方法で混合してもよいし、(i)の方法により得られた乳化液と、(ii)の方法により得られた乳化液とを混合してもよい。
【0051】
本発明のラテックス組成物における、合成エラストマーの含有割合は、好ましくは45重量%以上であり、より好ましくは50~80重量%、さらに好ましくは55~70重量%である。
【0052】
<非水溶性のセルロース系粉末>
本発明のラテックス組成物は、合成エラストマーのラテックスに加えて、非水溶性のセルロース系粉末を含む。
【0053】
本発明で用いるセルロース系粉末は、代表粒径の平均値が100μm以下であるものである。セルロース系粉末の代表粒径の平均値が大きすぎると、ラテックス組成物が発泡性に劣るものとなり、高い発泡倍率にて発泡体を形成することが困難となる。
【0054】
本発明で用いるセルロース系粉末の代表粒径の平均値は、100μm以下であればよく、特に限定されないが、30~90μmであることが好ましく、40~90μmであることがより好ましく、50~80μmであることがさらに好ましい。代表粒径の平均値が上記範囲内であるセルロース系粉末を用いることにより、発泡性を一層向上させることができ、得られる発泡体の硬さおよび外観を一層好適に向上させることができる。
【0055】
本発明において、セルロース系粉末の代表粒径の平均値とは、顕微鏡画像解析により求められる、セルロース系粉末の最長径の個数平均値を意味する。セルロース系粉末が球形である場合には、セルロース系粉末の代表粒径の平均値とは、セルロース系粉末の直径の個数平均値を意味する。セルロース系粉末の代表粒径の平均値は、具体的には、実施例に記載の測定方法により測定する。
【0056】
また、本発明で用いるセルロース系粉末は、非水溶性である。本発明において、非水溶性のセルロース系粉末とは、25℃の水100gに対する溶解量が0.5g未満であるセルロース系粉末を意味する。
【0057】
本発明で用いるセルロース系粉末は、たとえば、パルプに対して、加水分解処理または機械粉砕処理を行うことにより得られるものであってよい。本発明で用いるセルロース系粉末の具体例としては、商品名「KCフロック W-400G」(日本製紙株式会社)、商品名「Cellulose, microcrystalline」(Thermo Scientific社製)、商品名「セルロース,粉末,38μm(400mesh)通過」(富士フィルム和光純薬社製)などが挙げられる。
【0058】
本発明においては、セルロース系粉末として、代表粒径の平均値が100μm以下であり、かつ非水溶性であるセルロース系粉末を用いることにより、セルロース系粉末を比較的多量に(合成エラストマー100重量部に対して3重量部以上)配合することができる。そして、このような配合を有する本発明のラテックス組成物は、発泡性に優れ、高い発泡倍率にて発泡体を形成した場合に、適度な硬さを有し、外観に優れた発泡体を得ることができるものである。
【0059】
本発明のラテックス組成物におけるセルロース系粉末の含有量は、ラテックス組成物中の合成エラストマー100重量部に対して3重量部以上である。本発明のラテックス組成物におけるセルロース系粉末の含有量は、上記範囲内であれば特に限定されないが、ラテックス組成物中の合成エラストマー100重量部に対して、5~101重量部であることが好ましく、5~50重量部であることがより好ましく、10~26重量部であることがさらに好ましく、12~15重量部であることが特に好ましい。セルロース系粉末の含有量を上記の好適な範囲内とすることにより、発泡性を一層向上させることができ、得られる発泡体の硬さおよび外観を一層好適に向上させることができ、さらに、カーボンニュートラルおよび発泡体中の石油由来成分の削減にも一層資する結果となる。
【0060】
<その他の配合剤>
本発明のラテックス組成物は、界面活性剤を含有することが好ましい。たとえば、本発明で用いる合成エラストマーのラテックスが、乳化重合により得られたものである場合、本発明のラテックス組成物は、通常、当該乳化重合において用いられた乳化剤(界面活性剤)を含有する。
【0061】
界面活性剤としては、特に限定されないが、たとえば、乳化重合に用いることができる乳化剤として上述したアニオン性乳化剤(アニオン性界面活性剤)およびノニオン性乳化剤(ノニオン性界面活性剤)が挙げられる。これらは、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのなかでも、アニオン性乳化剤(アニオン性界面活性剤)が好ましく、脂肪酸塩、樹脂酸塩などのカルボン酸系乳化剤(カルボン酸系界面活性剤);アルキルベンゼンスルホン酸塩、ナフタリンスルホン酸ホルマリン縮合物等のスルホン酸系乳化剤(スルホン酸系界面活性剤)がより好ましく、脂肪酸塩がさらに好ましく、オレイン酸カリウム、オレイン酸ナトリウムが特に好ましい。
【0062】
本発明のラテックス組成物は、2種以上の界面活性剤を含有することが好ましく、2種以上のアニオン性界面活性剤を含有することがより好ましく、カルボン酸系アニオン性界面活性剤およびスルホン酸系アニオン性界面活性剤を含有することがさらに好ましく、脂肪酸塩およびアルキルベンゼンスルホン酸塩を含有することが特に好ましく、オレイン酸塩およびドデシルベンゼンスルホン酸塩を含有することが最も好ましい。
【0063】
本発明のラテックス組成物における界面活性剤の含有量(2種以上の界面活性剤を含有する場合には、その合計量)は、特に限定されないが、ラテックス組成物中の合成エラストマー100重量部に対して、0.5~6重量部であることが好ましく、1~5重量部であることがより好ましい。界面活性剤の含有量を上記範囲内とすることにより、発泡性を一層向上させることができ、得られる発泡体の硬さおよび外観を一層好適に向上させることができる。
【0064】
本発明のラテックス組成物が、カルボン酸系アニオン性界面活性剤を含有する場合、
カルボン酸系アニオン性界面活性剤の含有量は、ラテックス組成物中の合成エラストマー100重量部に対して、0.5~5重量部であることが好ましく、1~4重量部であることがより好ましい。カルボン酸系アニオン性界面活性剤の含有量を上記範囲内とすることにより、発泡性を一層向上させることができ、得られる発泡体の硬さおよび外観を一層好適に向上させることができる。
【0065】
本発明のラテックス組成物が、スルホン酸系アニオン性界面活性剤を含有する場合、
スルホン酸系アニオン性界面活性剤の含有量は、ラテックス組成物中の合成エラストマー100重量部に対して、0.1~1.5重量部であることが好ましく、0.3~1重量部であることがより好ましい。スルホン酸系アニオン性界面活性剤の含有量を上記範囲内とすることにより、発泡性を一層向上させることができ、得られる発泡体の硬さおよび外観を一層好適に向上させることができる。
【0066】
本発明のラテックス組成物は、さらに気泡安定剤を含有することが好ましい。気泡安定剤としては、特に限定されないが、たとえば、塩化エチルなどの塩化アルキルを、ホルムアルデヒドおよびアンモニアと反応させて得られる反応生成物、例えばエチルクロリド・ホルムアルデヒド・アンモニア反応生成物;アルキル第四級アンモニウムクロリド;アルキルアリールスルホン酸塩;高級脂肪酸アンモニウムなどが挙げられる。なかでも、エチルクロリド・ホルムアルデヒド・アンモニア反応生成物が好ましい。これらは、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。気泡安定剤の含有量は、ラテックス組成物中の合成エラストマー100重量部に対して、好ましくは0.1~5重量部、より好ましくは0.5~3重量部である。
【0067】
本発明のラテックス組成物は、さらに架橋剤を含有することが好ましい。架橋剤としては、たとえば、粉末硫黄、硫黄華、沈降硫黄、コロイド硫黄、表面処理硫黄、不溶性硫黄等の硫黄;塩化硫黄、二塩化硫黄、モルホリン・ジスルフィド、アルキルフェノール・ジスルフィド、N,N’-ジチオ-ビス(ヘキサヒドロ-2H-アゼピノン-2)、含りんポリスルフィド、高分子多硫化物、2-(4’-モルホリノジチオ)ベンゾチアゾール等の硫黄含有化合物が挙げられる。これらのなかでも、硫黄が好ましく使用できる。架橋剤は、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。架橋剤の含有量は、特に限定されないが、ラテックス組成物中の合成エラストマー100重量部に対して、好ましくは0.1~10重量部、より好ましくは0.2~3重量部である。架橋剤の含有量を上記範囲とすることにより、得られる発泡体の硬さを一層好適に向上させることができる。
【0068】
本発明のラテックス組成物は、さらに架橋促進剤を含有することが好ましい。架橋促進剤としては、発泡体の製造において通常用いられるものが使用でき、たとえば、ジエチルジチオカルバミン酸、ジブチルジチオカルバミン酸、ジ-2-エチルヘキシルジチオカルバミン酸、ジシクロヘキシルジチオカルバミン酸、ジフェニルジチオカルバミン酸、ジベンジルジチオカルバミン酸などのジチオカルバミン酸類およびそれらの亜鉛塩;2-メルカプトベンゾチアゾール、2-メルカプトベンゾチアゾール亜鉛、2-メルカプトチアゾリン、ジベンゾチアジル・ジスルフィド、2-(2,4-ジニトロフェニルチオ)ベンゾチアゾール、2-(N,N-ジエチルチオ・カルバイルチオ)ベンゾチアゾール、2-(2,6-ジメチル-4-モルホリノチオ)ベンゾチアゾール、2-(4′-モルホリノジチオ)ベンゾチアゾール、4-モルホニリル-2-ベンゾチアジル・ジスルフィド、1,3-ビス(2-ベンゾチアジル・メルカプトメチル)ユリアなどが挙げられるが、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛、2-メルカプトベンゾチアゾール亜鉛が好ましい。架橋促進剤は、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。架橋促進剤の含有量は、ラテックス組成物中の合成エラストマー100重量部に対して、好ましくは0.1~5重量部であり、より好ましくは0.2~4重量部である。架橋促進剤の含有量を上記範囲とすることにより、得られる発泡体の硬さを一層好適に向上させることができる。
【0069】
本発明のラテックス組成物は、さらに酸化亜鉛を含有することが好ましい。酸化亜鉛の含有量は、特に限定されないが、ラテックス組成物中の合成エラストマー100重量部に対して、好ましくは0.5~10重量部、より好ましくは1~8重量部である。酸化亜鉛の含有量を上記範囲とすることにより、乳化安定性を良好なものとしながら、得られる発泡体の硬さを一層好適に向上させることができる。
【0070】
本発明のラテックス組成物には、さらに、老化防止剤、着色剤、紫外線吸収剤、増粘剤(たとえば、ポリアクリル酸及びそのナトリウム塩、アルギン酸ソーダ、ポリビニルアルコール等)、防腐剤、抗菌剤などを、必要に応じて配合することができる。
【0071】
<ラテックス組成物の製造方法>
ラテックス組成物を製造する方法としては、特に限定されないが、たとえば、ボールミル、ニーダー、ディスパー等の分散機を用いて、合成エラストマーのラテックスと、セルロース系粉末および必要に応じて配合される各種配合剤を混合する方法や、上記の分散機を用いて、合成エラストマーのラテックス以外の配合成分の水性分散液を調製した後、該水性分散液を、合成エラストマーのラテックスと混合する方法などが挙げられる。また、合成エラストマーのラテックスを発泡させる前に、合成エラストマーのラテックスに、セルロース系粉末および各種配合剤を添加してもよいし、合成エラストマーのラテックスを発泡させた後、発泡させた合成エラストマーのラテックスに、セルロース系粉末および各種配合剤を添加してもよく、これらを組み合わせてもよい。
【0072】
<ラテックス組成物の特性>
本発明のラテックス組成物の固形分濃度は、60重量%以上であることが好ましく、62~80重量%であることがより好ましく、64~75重量%であることがさらに好ましい。
【0073】
本発明のラテックス組成物の粘度は、200~2000cpsであることが好ましく、300~1500cpsであることがより好ましい。なお、本発明において、ラテックス組成物の粘度は、B型粘度計を用いて、温度25℃、回転速度60rpmの条件にて測定する値である。
【0074】
また、固形分濃度を66重量%とした時の、ラテックス組成物の粘度は、1500cps以下であることが好ましく、1400cps以下であることがより好ましい。ここで、固形分濃度を66重量%に調整する方法としては、ラテックス組成物に水を添加して希釈する方法、ラテックス組成物を加熱して濃縮する方法が挙げられる。
【0075】
本発明のラテックス組成物の、25℃におけるpHは、9.0~12.0であることが好ましく、10.0~11.5であることがより好ましい。
【0076】
本発明のラテックス組成物は、発泡性に優れるものである。具体的には、本発明のラテックス組成物を攪拌して空気を巻き込むことで泡立てる場合、本発明のラテックス組成物の体積発泡倍率は、好ましくは4倍以上、より好ましくは5倍以上に到達することができる。そのため、本発明のラテックス組成物を用いることにより、高い発泡倍率にて発泡体を形成することができる。さらに、本発明のラテックス組成物を用いて、高い発泡倍率にて発泡体を形成した場合には、適度な硬さを有し、外観に優れた発泡体を得ることができる。これらの優れた効果を奏する本発明のラテックス組成物は、発泡体(フォームラバー)の製造用途に好適に用いることができる。すなわち、本発明のラテックス組成物は、フォームラバー用ラテックス組成物であることが好ましい。
【0077】
<発泡体>
本発明のラテックス組成物に対し、所望の発泡倍率で発泡および凝固させて、発泡成形することにより、本発明の発泡体を得ることができる。
【0078】
発泡には通常空気が用いられるが、炭酸アンモニウム、重炭酸ソーダ等の炭酸塩;アゾジカルボン酸アミド、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物;ベンゼンスルフォニルヒドラジド等のガス発生物質を使用することもできる。空気を用いる場合には、ラテックス組成物を攪拌し、空気を巻き込むことで泡立てることができる。この際、たとえば、ミキサー、オークス発泡機、超音波発泡機等を用いることができる。
【0079】
ラテックス組成物を発泡させた後には、通常、発泡状態を固定化するために、発泡させたラテックス組成物を、凝固させる。凝固方法は、ラテックスをゲル化し、固化させることができる方法であればよく、従来公知の方法を用いることができる。たとえば、ヘキサフルオロ珪酸ナトリウム(珪フッ化ナトリウム)、ヘキサフルオロ珪酸カリウム(珪フッ化カリウム)、チタン珪フッ化ソーダ等のフッ化珪素化合物などの常温凝固剤を、発泡させたラテックス組成物に添加するダンロップ法(常温凝固法);オルガノポリシロキサン、ポリビニルメチルエーテル、硫酸亜鉛アンモニウム錯塩などの感熱凝固剤を、発泡させたラテックス組成物に添加する感熱凝固法;冷凍凝固法等が使用される。常温凝固剤、感熱凝固剤などの凝固剤の使用量は、特に限定されないが、ラテックス組成物中の合成エラストマー100重量部に対して、好ましくは0.1~10重量部、より好ましくは0.2~5重量部である。
【0080】
そして、発泡させたラテックス組成物について、凝固剤を添加した後、所望の形状の型に移し、凝固を行うことで、発泡体を得ることができる。また、凝固を行った後に、ラテックス組成物を架橋させるために、加熱してもよい。架橋の条件は、好ましくは100~160℃の温度で、好ましくは15~120分の加熱処理を施す条件とすることができる。
【0081】
得られた発泡体については、型から取り出した後、洗浄することが好ましい。洗浄の方法としては、特に限定されないが、たとえば、洗濯機等を用い、20~70℃程度の水で、5~15分程度攪拌して洗浄する方法が挙げられる。洗浄後、水切りをし、発泡体の風合いを損なわないように30~90℃程度の温度で乾燥することが好ましい。このようにして得られた発泡体は、たとえば、所定の厚さにスライスし、所定形状に切断した後、側面を回転砥石等で研磨することによって、パフ(化粧用スポンジ)等として用いることができる。
【0082】
本発明の発泡体は、マットレス、パフ(化粧用スポンジ)、ロール、衝撃吸収剤等の各種用途に好適に用いることができる。特に、本発明の発泡体は、本発明のラテックス組成物を用いて得られるものであるため、高い発泡倍率にて形成された発泡体である場合であっても、適度な硬さを有し、外観にも優れるものである。そのため、本発明の発泡体は、パフ(化粧用スポンジ)として好適に用いることができる。
【実施例0083】
以下に、実施例を挙げて、本発明についてより具体的に説明するが、本発明はこの実施例に限られるものではない。以下において、特記しない限り、「部」は重量基準である。物性および特性の試験または評価方法は以下のとおりである。
【0084】
<固形分濃度>
アルミ皿(重量:X1)に試料2gを精秤し(重量:X2)、これを105℃の熱風乾燥器内で2時間乾燥させた。次いで、デシケーター内で冷却した後、アルミ皿ごと重量を測定し(重量:X3)、下記の計算式にしたがって、固形分濃度を算出した。
固形分濃度(重量%)=(X3-X1)×100/X2
【0085】
<ラテックス組成物の粘度>
ラテックス組成物の粘度は、B型粘度計を用いて、温度25℃、回転速度60rpmの条件にて測定した。
【0086】
<ラテックス組成物の発泡性>
ラテックス組成物に、ラテックス組成物中のニトリル基含有共役ジエン系共重合体100部に対して、加硫系水分散液(コロイド硫黄/ジチオカルバミン酸塩系加硫促進剤ノクセラーEZ(大内新興化学工業社製)/チアゾール系加硫促進剤ノクセラーMZ(大内新興化学工業社製)=2/1/1(重量比)、固形分濃度50重量%)固形分換算で4部、酸化亜鉛水分散液(固形分濃度50重量%)固形分換算で3部、気泡安定剤(トリメンベース:CromptonCorp製)1部を添加し、十分に分散させることで、分散液を得た。得られた分散液を、スタンドミキサー(型式「ESM945」、エレクトロラックス社製)を用いて、架橋性ラテックス組成物を最大5分間撹拌した場合の、最大の体積発泡倍率を測定した。そして、以下の基準に従い、発泡性を評価した。
A:最大の体積発泡倍率が5.0倍以上であった。
B:最大の体積発泡倍率が4.0倍以上5.0倍未満であった。
C:最大の体積発泡倍率が4.0倍未満であった。
【0087】
<架橋発泡体の外観>
架橋発泡体の円形面が、2つの半円形の面に分かれるように、架橋発泡体を半分に切断し、断面を目視にて観察した。そして、観察結果に基づき、以下の基準従って外観を評価した。
A:断面に、粗大な空隙(空隙断面の最長径が3mm以上である空隙)は存在せず、かつ、比較的大きな気泡(空隙断面の最長径が1mm以上3mm未満である気泡)がほとんど存在しなかった(比較的大きな気泡が、1cm2の視野あたり1個未満であった)。
B:断面に、粗大な空隙(空隙断面の最長径が3mm以上である空隙)は存在しなかったが、比較的大きな気泡(空隙断面の最長径が1mm以上3mm未満である気泡)が多く存在した(比較的大きな気泡が、1cm2の視野あたり1個以上であった)。
C:断面に、粗大な空隙(空隙断面の最長径が3mm以上である空隙)が存在した。
【0088】
<架橋発泡体の硬度>
アスカーゴム硬度計F型(高分子計器社製)を用いて、架橋発泡体の硬度を測定した。
【0089】
<架橋発泡体のヤング率>
架橋発泡体に対し、柔さ計測システム(型式「SOFTMEASURE HG1003-SL」、堀内電機製作所社製)を用いて、ヤング率の測定を行った。具体的には、測定用サンプルを測定台上に設置し、下記条件にて、測定用サンプルの表面から、球状圧子を押し込むことで測定を行った。測定は、各実施例および各比較例につき、それぞれ3つの測定サンプルを用意し、測定結果の平均値を各実施例および比較例のヤング率とした。
球状圧子:直径10mmのSUS製の球状圧子
押込速度:0.5mm/s
【0090】
<セルロース粉の種類>
実施例および比較例で用いた非水溶性のセルロース粉の種類は、以下のとおりである。
非水溶性のセルロース粉A:日本製紙社製、商品名「KCフロック W-400G」、代表粒径の平均値は75.7μm
非水溶性のセルロース粉B:Thermo Scientific社製、商品名「Cellulose, microcrystalline」、代表粒径の平均値は74.9μm
非水溶性のセルロース粉C:富士フィルム和光純薬社製、「セルロース,粉末,38μm(400mesh)通過」、代表粒径の平均値は84.0μm
非水溶性のセルロース粉D:日本製紙社製、商品名「KCフロック W-50GK」、代表粒径の平均値は126.4μm
【0091】
なお、セルロース系粉末の代表粒径の平均値は、以下の方法により特定した。まず、光学顕微鏡を用いて、セルロース系粉末を撮影し、セルロース系粉末の光学顕微鏡画像を得た。得られた画像から50個以上のセルロース系粉末粒子の画像を無作為に抽出し、各粒子の最長径を求めた。そして、最長径の個数平均値を求め、セルロース系粉末の代表粒径の平均値とした。
【0092】
<実施例1>
耐圧反応容器に、水200部、オレイン酸カリウム1.5部、アクリロニトリル38部、t-ドデシルメルカプタン0.5部、ソジウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.03部、硫酸第一鉄0.003部、エチレンジアミン四酢酸・ナトリウム0.008部を添加し、十分に脱気した後、1,3-ブタジエン45部およびイソプレン17部を添加した。
【0093】
次いで、重合開始剤としてクメンハイドロパーオキサイド0.05部を添加して、反応温度5℃で乳化重合を開始した。重合転化率が95%になった時点で、ジエチルヒドロキシルアミン0.25部および水5部からなる重合停止剤溶液を添加して重合反応を停止させて乳化液を得た。
【0094】
次いで、乳化液に溶剤としての1,3-ブタジエンを80部添加し、系内の温度を15℃にして、パドル型攪拌翼を用いて、回転速度1,000rpm、攪拌時間5時間の条件にて強攪拌することで、粒径肥大化処理を行った。次いで、1,3-ブタジエンを除去した後、-0.05MPa(ゲージ圧)の減圧条件下で、70℃にて濃縮処理を行った。濃縮後の乳化液を構成するニトリル基含有共役ジエン系共重合体のエチレン性不飽和ニトリル単量体単位の含有割合を測定したところ、36重量%であった。また、濃縮後の乳化液の固形分濃度は、66重量%であった。
【0095】
濃縮後の乳化液に、濃縮後の乳化液中のニトリル基含有共役ジエン系共重合体100部に対して、オレイン酸カリウム1.5部およびセルロース粉A10部を添加し、ラテックス組成物を得た。ラテックス組成物の25℃におけるpHは、表1に記載の値であった。得られたラテックス組成物中の、オレイン酸カリウムの含有量は、ラテックス組成物中のニトリル基含有共役ジエン系共重合体100部に対して、3.0部であった。得られたラテックス組成物について、上記方法にしたがって、粘度および発泡性を評価した。結果を表1に示す
【0096】
上記にて得られたラテックス組成物に、ラテックス組成物中のニトリル基含有共役ジエン系共重合体100部に対して、加硫系水分散液(コロイド硫黄/ジチオカルバミン酸塩系加硫促進剤ノクセラーEZ(大内新興化学工業社製)/チアゾール系加硫促進剤ノクセラーMZ(大内新興化学工業社製)=2/1/1(重量比)、固形分濃度50重量%)固形分換算で4部、酸化亜鉛水分散液(固形分濃度50重量%)固形分換算で3部、気泡安定剤(トリメンベース:CromptonCorp製)1部を添加し、十分に分散させることで、分散液を得た。
【0097】
得られた分散液を、スタンドミキサー(型式「ESM945」、エレクトロラックス社製)を用いて撹拌し、体積発泡倍率が5.0倍~5.5倍の範囲内になるよう発泡させた。その後、発泡させた分散液中のニトリル基含有共役ジエン系共重合体100部に対して、珪フッ化ナトリウム水分散液(固形分濃度20重量%)1.5部(固形分0.3部)を添加し、さらに1分間撹拌することで、発泡物を得た。
【0098】
次いで、得られた発泡物を、内側の直径約10cm、内側の高さ約1cmの円形シャーレに流し入れ、110℃で40分間加熱することで架橋させた。得られた円柱状の架橋発泡体を、シャーレから取り出した。得られた架橋発泡体について、上記方法にしたがって、外観、硬度およびヤング率を評価した。結果を表1に示す。
【0099】
<実施例2~3>
セルロース粉Aの添加量を、10部から12部に変更し、かつ、セルロース粉Aと共に、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(スルホン酸系アニオン性界面活性剤)を、表1に記載の量(ニトリル基含有共役ジエン系共重合体100部に対する量)添加した以外は、実施例1と同様にして、ラテックス組成物および架橋発泡体を得て、実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
【0100】
<実施例4~5>
セルロース粉の種類および量を表1に記載の種類に変更した以外は、実施例1と同様にして、ラテックス組成物および架橋発泡体を得て、実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
【0101】
<比較例1>
セルロース粉を添加しなかった以外は、実施例1と同様にして、ラテックス組成物および架橋発泡体を得て、実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
【0102】
<比較例2>
セルロース粉の種類を表1に記載の種類に変更した以外は、実施例1と同様にして、ラテックス組成物を得た。得られたラテックス組成物について、上記方法にしたがって、粘度および発泡性を評価した。得られたラテックス組成物は、極めて粘度が高く、スタンドミキサーを用いて発泡させることができなかった。
【0103】
【0104】
表1に示すように、代表粒径の平均値が100μm以下である非水溶性のセルロース系粉末を、合成エラストマーのラテックスに対して特定量添加してなるラテックス組成物によれば、発泡性に優れ、高い発泡倍率にて発泡体を形成した場合に、適度な硬さを有し、外観に優れた発泡体を得ることができる結果となった(実施例1~5)。
【0105】
一方、非水溶性のセルロース系粉末を含まない場合には、高い発泡倍率にて発泡体を形成した場合に、適度な硬さを有する発泡体を得ることができない結果となった(比較例1)。
また、代表粒径の平均値が大きすぎる、非水溶性のセルロース系粉末を用いた場合には、発泡性に劣り、高い発泡倍率にて発泡体を形成することができない結果となった(比較例2)。