(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024072772
(43)【公開日】2024-05-28
(54)【発明の名称】回転角センサ、回転角センサの較正方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G01D 5/244 20060101AFI20240521BHJP
【FI】
G01D5/244 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023127974
(22)【出願日】2023-08-04
(31)【優先権主張番号】P 2022183096
(32)【優先日】2022-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】303046277
【氏名又は名称】旭化成エレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中西 大貴
(72)【発明者】
【氏名】片山 貴登
【テーマコード(参考)】
2F077
【Fターム(参考)】
2F077AA20
2F077CC02
2F077NN02
2F077PP05
2F077PP19
2F077QQ03
2F077QQ10
2F077TT06
2F077TT31
2F077UU20
(57)【要約】 (修正有)
【課題】回転角センサであって、回転体の基準機械角における、回転体の動径の誤差を較正する方法等を提供する。
【解決手段】第1相の第1信号と、第1相と予め定められた位相角をなす第2相の第2信号とが、回転体の一回転当たりN周期(N>1)出力される回転角センサであって、回転体の基準機械角における、回転体の動径の誤差を較正する較正パラメータを、基準機械角とは異なる第1機械角を起点とする一の角度範囲の機械角において、第1信号と第2信号とに基づいて算出する、較正パラメータ算出部を備える回転角センサを提供する。一の角度範囲は、第1機械角を起点としてよく、第2機械角を終点としてよい。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1相の第1信号と、前記第1相と予め定められた位相角をなす第2相の第2信号とが、回転体の一回転当たりN周期(N>1)出力される回転角センサであって、
前記回転体の基準機械角における、前記回転体の動径の誤差を較正する較正パラメータを、前記基準機械角とは異なる第1機械角を起点とする一の角度範囲の機械角において、前記第1信号と前記第2信号とに基づいて算出する、較正パラメータ算出部を備える、
回転角センサ。
【請求項2】
第1相の第1信号と、前記第1相と予め定められた位相角をなす第2相の第2信号とが、回転体の一回転当たりN周期(N>1)出力される回転角センサであって、
前記回転体の基準機械角における、前記第1信号に基づく誤差および前記第2信号に基づく誤差の少なくとも一方を較正する較正パラメータを、前記基準機械角とは異なる第1機械角を起点とする一の角度範囲の機械角において、前記第1信号と前記第2信号とに基づいて算出する、較正パラメータ算出部を備える、
回転角センサ。
【請求項3】
第1相の第1信号と、前記第1相と予め定められた位相角をなす第2相の第2信号とが、回転体の一回転当たりN周期(N>1)出力される回転角センサであって、
前記回転体の基準機械角における、前記回転体の動径の誤差を較正する較正パラメータを、一の角度範囲の機械角において、前記第1信号と前記第2信号とに基づいて算出する、較正パラメータ算出部と、
前記較正パラメータを、前記動径における予め定められた角度、変換する変換部と、
を備える回転角センサ。
【請求項4】
前記一の角度範囲は、前記第1機械角を起点とし、第2機械角を終点とし、
前記第1機械角および前記第2機械角は、前記基準機械角よりも小さい、
請求項1に記載の回転角センサ。
【請求項5】
前記第2機械角における前記動径の角度は、前記基準機械角における前記動径の角度よりも180°小さい、請求項4に記載の回転角センサ。
【請求項6】
前記一の角度範囲は、前記第1機械角を起点とし、第2機械角を終点とし、
前記第1機械角は前記基準機械角よりも小さく、前記第2機械角は前記基準機械角よりも大きい、
請求項1に記載の回転角センサ。
【請求項7】
前記第1機械角における前記動径の角度は、前記基準機械角における前記動径の角度よりも180°小さい、請求項6に記載の回転角センサ。
【請求項8】
前記一の角度範囲は、前記第1機械角を起点とし、第2機械角を終点とし、
前記第1機械角および前記第2機械角は、前記基準機械角よりも大きい、
請求項1に記載の回転角センサ。
【請求項9】
前記第1機械角における前記動径の角度は、前記基準機械角における前記動径の角度よりも180°大きい、請求項8に記載の回転角センサ。
【請求項10】
前記基準機械角から前記第2機械角までの前記第1信号と前記第2信号とを予測する予測部をさらに備え、
前記較正パラメータ算出部は、前記基準機械角から前記第2機械角までの角度範囲において、前記予測部により予測された前記第1信号と前記第2信号とに基づいて、前記較正パラメータを算出する、
請求項6から9のいずれか一項に記載の回転角センサ。
【請求項11】
前記一の角度範囲は、前記第1機械角を起点とする、前記動径の360°の角度範囲である、請求項1に記載の回転角センサ。
【請求項12】
決定部をさらに備え、
前記基準機械角は、前記第1信号が最大となる前記回転体の第3機械角以上であり、且つ、前記第1信号が最小となる前記回転体の第4機械角以下であり、
前記決定部は、前記基準機械角と第3機械角との差分である第1角度、または、前記基準機械角と第4機械角との差分である第2角度に基づいて、前記第1機械角を決定する、
請求項1に記載の回転角センサ。
【請求項13】
前記第1信号と前記第2信号とに基づいて、前記回転体の動径の角度および大きさを演算する動径演算部をさらに備え、
前記較正パラメータ算出部は、前記動径演算部により演算された前記回転体の動径の前記角度および前記大きさに基づいて、前記較正パラメータを算出する、
請求項1から9、11、12のいずれか一項に記載の回転角センサ。
【請求項14】
第1相の第1信号と、前記第1相と予め定められた位相角をなす第2相の第2信号とが、回転体の一回転当たりN周期(N>1)出力される回転角センサの較正方法であって、
較正パラメータ算出部が、前記回転体の基準機械角における、前記回転体の動径の誤差を較正する較正パラメータを、前記基準機械角とは異なる第1機械角を起点とする一の角度範囲の機械角において、前記第1信号と前記第2信号とに基づいて算出する較正パラメータ算出ステップを備える、
回転角センサの較正方法。
【請求項15】
第1相の第1信号と、前記第1相と予め定められた位相角をなす第2相の第2信号とが、回転体の一回転当たりN周期(N>1)出力される回転角センサの較正方法であって、
較正パラメータ算出部が、前記回転体の基準機械角における、前記第1信号に基づく誤差および前記第2信号に基づく誤差の少なくとも一方を較正する較正パラメータを、前記基準機械角とは異なる第1機械角を起点とする一の角度範囲の機械角において、前記第1信号と前記第2信号とに基づいて算出する較正パラメータ算出ステップを備える、
回転角センサの較正方法。
【請求項16】
第1相の第1信号と、前記第1相と予め定められた位相角をなす第2相の第2信号とが、回転体の一回転当たりN周期(N>1)出力される回転角センサの較正方法であって、
較正パラメータ算出部が、前記回転体の基準機械角における、前記回転体の動径の誤差を較正する較正パラメータを、一の角度範囲の機械角において、前記第1信号と前記第2信号とに基づいて算出する、較正パラメータ算出ステップと、
変換部が、前記動径の角度を、予め定められた角度、変換する変換ステップと、
を備える回転角センサの較正方法。
【請求項17】
コンピュータを、請求項1から9、11、12のいずれか一項に記載の回転角センサとして機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転角センサ、回転角センサの較正方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、「内挿精度を悪化させる成分を回転位置ごとに除去することによって、内挿精度を向上させる。」と記載されている(要約書)。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1] 特開2008-232649号公報
【発明の概要】
【0003】
本発明の第1の態様においては、回転角センサを提供する。回転角センサは、第1相の第1信号と、第1相と予め定められた位相角をなす第2相の第2信号とを、回転体の一回転当たりN周期(N>1)出力する。回転角センサは、回転体の基準機械角における、回転体の動径の誤差を較正する較正パラメータを、基準機械角とは異なる第1機械角を起点とする一の角度範囲の機械角において、第1信号と第2信号とに基づいて算出する、較正パラメータ算出部を備える。
【0004】
本発明の第2の態様においては、回転角センサを提供する。回転角センサは、第1相の第1信号と、前記第1相と予め定められた位相角をなす第2相の第2信号とを、回転体の一回転当たりN周期(N>1)出力する。回転角センサは、回転体の基準機械角における、第1信号に基づく誤差および第2信号に基づく誤差の少なくとも一方を較正する較正パラメータを、基準機械角とは異なる第1機械角を起点とする一の角度範囲の機械角において、第1信号と第2信号とに基づいて算出する、較正パラメータ算出部を備える。
【0005】
本発明の第3の態様においては、回転角センサを提供する。回転角センサは、第1相の第1信号と、第1相と予め定められた位相角をなす第2相の第2信号とを、回転体の一回転当たり複数周期出力する。回転角センサは、回転体の基準機械角における、回転体の動径の誤差を較正する較正パラメータを、一の角度範囲の機械角において、第1信号と第2信号とに基づいて算出する、較正パラメータ算出部と、較正パラメータを、動径における予め定められた角度、変換する変換部とを備える。
【0006】
上記いずれかの回転角センサにおいて、一の角度範囲は、第1機械角を起点としてよく、第2機械角を終点としてよい。第1機械角および第2機械角は、基準機械角よりも小さくてよい。
【0007】
第2機械角における動径の角度は、基準機械角における動径の角度よりも180°小さくてよい。
【0008】
上記いずれかの回転角センサにおいて、一の角度範囲は、第1機械角を起点としてよく、第2機械角を終点としてよい。第1機械角は基準機械角よりも小さくてよく、第2機械角は基準機械角よりも大きくてよい。
【0009】
第1機械角における動径の角度は、基準機械角における動径の角度よりも180°小さくてよい。
【0010】
上記いずれかの回転角センサにおいて、一の角度範囲は、第1機械角を起点としてよく、第2機械角を終点としてよい。第1機械角および第2機械角は、基準機械角よりも大きくてよい。
【0011】
第1機械角における動径の角度は、基準機械角における動径の角度よりも180°大きくてよい。
【0012】
上記いずれかの回転角センサは、基準機械角から第2機械角までの第1信号と第2信号とを予測する予測部をさらに備えてよい。較正パラメータ算出部は、基準機械角から第2機械角までの角度範囲において、予測部により予測された第1信号と第2信号とに基づいて、較正パラメータを算出してよい。
【0013】
上記いずれかの回転角センサにおいて、一の角度範囲は、第1機械角を起点とする、動径の360°の角度範囲であってよい。
【0014】
上記いずれかの回転角センサは、決定部をさらに備えてよい。基準機械角は、第1信号が最大となる回転体の第3機械角以上であり、且つ、第1信号が最小となる回転体の第4機械角以下であってよい。決定部は、基準機械角と第3機械角との差分である第1角度、または、基準機械角と第4機械角との差分である第2角度に基づいて、第1機械角を決定してよい。
【0015】
上記いずれかの回転角センサは、第1信号と第2信号とに基づいて、回転体の動径の角度および大きさを演算する動径演算部をさらに備えてよい。較正パラメータ算出部は、動径演算部により演算された回転体の動径の角度および大きさに基づいて、較正パラメータを算出してよい。
【0016】
本発明の第4の態様においては、回転角センサの較正方法を提供する。回転角センサは、第1相の第1信号と、第1相と予め定められた位相角をなす第2相の第2信号とを、回転体の一回転当たりN周期(N>1)出力する。回転角センサの較正方法は、較正パラメータ算出部が、回転体の基準機械角における、回転体の動径の誤差を較正する較正パラメータを、基準機械角とは異なる第1機械角を起点とする一の角度範囲の機械角において、第1信号と第2信号とに基づいて算出する較正パラメータ算出ステップを備える。
【0017】
本発明の第5の態様においては、回転角センサの較正方法を提供する。回転角センサは、第1相の第1信号と、第1相と予め定められた位相角をなす第2相の第2信号とを、回転体の一回転当たりN周期(N>1)出力する。回転角センサの較正方法は、較正パラメータ算出部が、回転体の基準機械角における、第1信号に基づく誤差および第2信号に基づく誤差の少なくとも一方を較正する較正パラメータを、基準機械角とは異なる第1機械角を起点とする一の角度範囲の機械角において、第1信号と第2信号とに基づいて算出する較正パラメータ算出ステップを備える。
【0018】
本発明の第6の態様においては、回転角センサの較正方法を提供する。回転角センサは、第1相の第1信号と、第1相と予め定められた位相角をなす第2相の第2信号とを、回転体の一回転当たり複数周期出力する。回転角センサの較正方法は、較正パラメータ算出部が、回転体の基準機械角における、回転体の動径の誤差を較正する較正パラメータを、一の角度範囲の機械角において、第1信号と第2信号とに基づいて算出する、較正パラメータ算出ステップと、変換部が、動径の角度を、予め定められた角度、変換する変換ステップとを備える。
【0019】
本発明の第7の態様においては、プログラムを提供する。プログラムは、コンピュータを回転角センサとして機能させる。
【0020】
なお、上記の発明の概要は、本発明の特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の一つの実施形態に係るセンサ装置200の一例を示す図である。
【
図2】
図1に示される回転体230の上面視における図である。
【
図3】
図1および
図2に示される回転体230、回転角センサ100および信号発生部110の近傍をY軸方向に見た図である。
【
図4】
図1および
図2に示される回転体230、回転角センサ100および信号発生部110の近傍をY軸方向に見た図である。
【
図5】
図1および
図2に示される回転体230、回転角センサ100および信号発生部110の近傍をY軸方向に見た図である。
【
図6】回転角センサ100の出力Vと回転体230の機械角ψとの関係の一例を示す図である。
【
図7】回転角センサ100の出力Vと回転体230の機械角ψとの関係を、回転体230の一回転につき示す図である。
【
図8】回転角センサ100の出力Vと回転体230の機械角ψとの関係の一例を示す図である。
【
図9】本発明の一つの実施形態に係る回転角センサ100の一例を示すブロック図である。
【
図10】第1信号S1と第2信号S2との関係の一例を示す図である。
【
図11】センサ装置200における、回転体230と回転軸215との位置関係の一例を示す図である。
【
図12】
図11のセンサ装置200における回転角センサ100の出力Vと回転体230の回転角θとの関係の一例を示す図である。
【
図13】
図12における第1機械角ψ1から基準機械角ψsにわたる、第1信号S1と第2信号S2との関係の一例を示す図である。
【
図14】
図12における第1機械角ψ1から基準機械角ψsにわたる、第1信号S1と第2信号S2との関係の一例を示す図である。
【
図15】機械角ψと、動径Rの角度θの角度誤差INLとの関係の一例を示す図である。
【
図16】
図11のセンサ装置200における回転角センサ100の出力Vと回転体230の機械角ψとの関係の一例を示す図である。
【
図17】
図16における第1機械角ψ1から第2機械角ψ2にわたる、第1信号S1と第2信号S2との関係の一例を示す図である。
【
図18】
図11のセンサ装置200における回転角センサ100の出力Vと回転体230の機械角ψとの関係の一例を示す図である。
【
図19】
図18における第1機械角ψ1から第2機械角ψ2にわたる、第1信号S1と第2信号S2との関係の一例を示す図である。
【
図20】
図11のセンサ装置200における回転角センサ100の出力Vと回転体230の機械角ψとの関係の一例を示す図である。
【
図21】
図20における第1機械角ψ1から第2機械角ψ2にわたる、第1信号S1と第2信号S2との関係の一例を示す図である。
【
図22】本発明の一つの実施形態に係る回転角センサ100の他の一例を示すブロック図である。
【
図23】第1信号S1と第2信号S2との関係の一例を示す図である。
【
図24】本発明の一つの実施形態に係る回転角センサ100の他の一例を示すブロック図である。
【
図25】本発明の一つの実施形態に係る回転角センサ100の他の一例を示すブロック図である。
【
図26】本発明の一つの実施形態に係る回転角センサ100の較正方法の一例を示す図である。
【
図27】本発明の一つの実施形態に係る回転角センサ100の較正方法の他の一例を示す図である。
【
図28】本発明の一つの実施形態に係る回転角センサ100の較正方法の他の一例を示す図である。
【
図29】本発明の一つの実施形態に係る回転角センサ100が全体的または部分的に具現化されてよいコンピュータ2200の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0023】
図1は、本発明の一つの実施形態に係るセンサ装置200の一例を示す図である。本例のセンサ装置200は、回転角センサ100、信号発生部110、モータ210、固定部材220および回転体230を備える。本例において、回転角センサ100および信号発生部110は、固定部材220に固定されている。
【0024】
本例の回転角センサ100は、磁気センサである。回転角センサ100は、光学センサであってもよい。本例の信号発生部110は、磁界を発生する磁界発生部である。当該磁界発生部は、磁石であってよい。本例の回転体230は、磁気ディスクである。回転体230は、モータ210の回転軸215に固定されている。
【0025】
本明細書においては、X軸、Y軸およびZ軸の直交座標軸を用いて技術的事項を説明する場合がある。本明細書においては、回転体230の板面と平行な面をXY面とし、モータ210から回転体230への方向であって回転軸215に沿った方向をZ軸方向とする。本明細書において、XY面内において回転軸215の中心と回転角センサ100とを通る方向をY軸方向とし、XY面内においてY軸に直交する方向をX軸方向とする。Z軸方向は鉛直方向に平行な方向であってよく、XY面は水平面であってよい。
【0026】
本明細書においては、センサ装置200における回転体230側を「上」、モータ210側を「下」と称する。本明細書において、回転体230からモータ210への方向に見た場合を、上面視と称する。
【0027】
図2は、
図1に示される回転体230の上面視における図である。
図2において、上面視における回転角センサ100の位置および信号発生部110の位置が、粗い破線にて示されている。
図2において、回転軸215の中心Cを通りX軸方向に平行な方向、および、回転軸215の中心Cを通りY軸方向に平行な方向が、太い一点鎖線で示されている。
【0028】
本例の回転体230には、主尺(Master)232および副尺(Nonius)236が設けられている。主尺232および副尺236は、回転軸の中心Cを中心とする円状の領域である。本例においては、主尺232および副尺236は同心円状に設けられ、且つ、副尺236が主尺232の内側に設けられている。
【0029】
主尺232には、複数のスリット234が設けられている。副尺236には、複数のスリット238が設けられている。複数のスリット234は、隣り合う二つのスリット234と中心Cとで形成される中心角が全て等しくなるように放射状に形成されている。複数のスリット238は、隣り合う二つのスリット238と中心Cとで形成される中心角が全て等しくなるように放射状に形成されている。本明細書では、当該中心角を機械角ψとする。
【0030】
スリット234およびスリット238には、回転体230の回転方向に沿ってスリット番号が付与されてよい。
図2において、スリット234のスリット番号が、#1~#3まで示されている。本例においては、主尺232には40個のスリット234が設けられ、副尺236には39個のスリット238が設けられている。
【0031】
図3~
図5は、
図1および
図2に示される回転体230、回転角センサ100および信号発生部110の近傍をY軸方向に見た図である。
図3~
図5は、回転体230と回転角センサ100との位置関係を示している。本例の回転角センサ100は、二つの検出部102(検出部102-1および検出部102-2)を有する。スリット234の周期を、周期Tsとする。本例において、二つの検出部102は、回転体230の回転方向に沿って周期Tsと同じ距離、離隔して配置されている。
【0032】
図3は、検出部102-2が検出する信号が最も大きくなり、検出部102-1が検出する信号が最も小さくなる場合の、回転体230と回転角センサ100との位置関係である。
図4は、検出部102-2が検出する信号と、検出部102-1が検出する信号とが等しくなる場合の、回転体230と回転角センサ100との位置関係である。
図5は、検出部102-2が検出する信号が最も小さくなり、検出部102-1が検出する信号が最も大きくなる場合の、回転体230と回転角センサ100との位置関係である。
【0033】
図6は、回転角センサ100の出力Vと回転体230の機械角ψとの関係の一例を示す図である。上述したとおり、回転体230と回転角センサ100との位置関係は、回転体230の回転に伴い変化する。このため、回転角センサ100の出力Vは、機械角ψの変化に対して正弦波状に変化する。
図6において、回転体230と回転角センサ100との位置関係が
図3、
図4および
図5の場合の機械角ψが、それぞれ丸印、四角印、三角印で示されている。
図3は、正の出力電圧Vが最も大きくなる場合である。
図4は、出力電圧Vがゼロの場合である。
図5は、負の出力電圧Vが最も大きくなる場合である。
【0034】
図7は、回転角センサ100の出力Vと回転体230の機械角ψとの関係を、回転体230の一回転につき示す図である。
図7には、スリット234(
図2参照)のスリット番号が合わせて示されている。本例において、スリット番号Nは40である。現在、回転体230の機械角ψが、白い丸印で示される位置にあるとする。スリット番号4における機械角ψの始点から、白い丸印までの回転角を、機械角ψ'とする。機械角ψが0°から白い丸印までの回転角を、機械角ψpとする。回転角センサ100は、機械角ψpをスリット番号と機械角ψ'に基づいて算出する。
【0035】
図8は、回転角センサ100の出力Vと回転体230の機械角ψとの関係の一例を示す図である。
図8において、
図7に示される回転角センサ100の出力Vと回転体230の機械角ψとの関係が実線で示されている。当該実線で示される信号を第1信号S1とし、第1信号S1の位相を第1相P1とする。第1相と位相の異なる信号を、第2信号S2とする。第2信号のS2の位相を第2相P2とする。第2相P2は、第1相P1と予め定められた位相角φをなす。
図8において、第2信号S2が一点鎖線にて示されている。
【0036】
回転角センサ100は、第1信号S1と第2信号S2とを、回転体230の一回転当たりN周期出力する。Nは、1より大きい。本例においては、Nは40である。Nは、整数でなくてもよい。
【0037】
位相角φは、90°であってよく、鋭角であってもよく、鈍角であってもよい。位相角φは、85°以上95°以下であってよく、80°以上100°以下であってもよく、70°以上110°以下であってもよい。本例においては、位相角φは90°である。本例において、第1信号S1は余弦波(cos波)であり、第2信号S2は正弦波(sin波)である。
【0038】
図9は、本発明の一つの実施形態に係る回転角センサ100の一例を示すブロック図である。回転角センサ100は、較正パラメータ算出部10を備える。回転角センサ100は、動径演算部12、角度誤差算出部14、較正部16、AD変換部50およびAD変換部52を備えてよい。回転角センサ100は、記憶部18、予測部40および出力部30をさらに備えてよい。
【0039】
回転角センサ100は、コンピュータにより実現されてよい。較正パラメータ算出部10は、当該コンピュータのCPU(Central Processing Unit)であってよい。当該CPUには、動径演算部12、角度誤差算出部14および較正部16がさらに含まれてよい。当該コンピュータには、回転角センサ100として機能させるためのプログラムがインストールされていてよい。
【0040】
本例において、第1信号S1はアナログ信号である。AD変換部50は、当該第1信号S1をデジタル信号に変換する。デジタル信号に変換された第1信号S1を、信号S1'とする。本例において、第2信号S2はアナログ信号である。AD変換部52は、当該第2信号S2をデジタル信号に変換する。デジタル信号に変換された第2信号S2を、信号S2'とする。
【0041】
図10は、第1信号S1と第2信号S2との関係の一例を示す図である。動径演算部12(
図9参照)は、第1信号S1および第2信号S2に基づいて、回転体230の動径Rの角度θおよび大きさrを算出する。本例においては、動径演算部12(
図9参照)は下記式1および式2に基づいて、それぞれ回転体230の動径Rの角度θおよび大きさrを算出する。
【数1】
【数2】
【0042】
図10は、所謂リサージュ図形である。
図10は、動径Rの軌跡を表す。第1信号S1が余弦波であり、第2信号が正弦波である場合、リサージュ図形は理想的には、原点を中心とする円状である。本例において、動径Rの大きさrは円状のリサージュ図形の半径である。
【0043】
較正パラメータ算出部10(
図9参照)は、第1信号S1と第2信号S2とに基づいて、回転体230の動径Rの誤差を算出する較正パラメータを算出する。動径Rの誤差とは、動径Rの角度θの誤差および大きさrの誤差の少なくとも一方を指す。本例においては、較正パラメータ算出部10は、信号S1'と信号S2'とに基づいて較正パラメータを算出する。
【0044】
図11は、センサ装置200における、回転体230と回転軸215との位置関係の一例を示す図である。
図11において、
図1に示される固定部材220およびモータ210は、省略されている。本例においては、回転体230は、回転軸215に直交する方向(
図11における粗い破線部)から傾いている。回転軸215に装着される回転体230は、
図11に示されるように回転軸215に直交する方向から傾く場合がある。
【0045】
図12は、
図11のセンサ装置200における回転角センサ100の出力Vと回転体230の回転角θとの関係の一例を示す図である。
図11の例の場合、回転体230の回転に伴い、回転体230と回転角センサ100との距離d(
図1参照)が変化する。このため、出力Vは機械角ψの変化に伴い変化する。
【0046】
機械角ψにおける一の機械角を、基準機械角ψsとする。基準機械角ψsは、動径R(
図10参照)の現在の機械角ψの位置であってよい。基準機械角ψsは、回転角センサ100が現在測定している、機械角ψの測定点であってよい。本例において、基準機械角ψsは360°である。
【0047】
基準機械角ψsと予め定められた角度範囲Rcの角度をなす回転角を、機械角ψ'とする。
図12の例では、角度範囲Rcは、第1信号S1および第2信号S2の一周期に相当する。第1機械角ψ1と一の角度範囲Raの角度をなす機械角を、第2機械角ψ2とする。
図12の例では、角度範囲Raは、第1信号S1および第2信号S2の一周期に相当する。角度範囲Raは、予め定められてよく、動径Rの角度θに基づいて定められてもよい。
【0048】
第1機械角ψ1および第2機械角ψ2は、基準機械角ψsと異なる。基準機械角ψs、第1機械角ψ1および第2機械角ψ2は、予め定められてよく、動径Rの角度θに基づいて定められてもよい。本例においては、第1機械角ψ1および第2機械角ψ2は、基準機械角ψsよりも小さい。本例において、基準機械角ψsと第2機械角ψ2とは、第1信号S1および第2信号S2の半周期に相当する角度をなす。本例においては、第1機械角ψ1は第2機械角ψ2よりも小さい。
【0049】
図13は、
図12における第1機械角ψ1から基準機械角ψsにわたる、第1信号S1と第2信号S2との関係の一例を示す図である。本例においては、出力Vが機械角ψの変化に伴い変化する。このため、動径Rが機械角ψにより異なり得る。本例においては、動径Rの軌跡は螺旋状となる。
【0050】
図13に示される第1信号S1と第2信号S2との関係において、基準機械角ψsに対応する位置を位置P0とし、第2機械角ψ2に対応する位置を位置P1とし、機械角ψ'に対応する位置を位置P2とし、第1機械角ψ1に対応する位置を位置P3とする。
図13においては、位置P3から位置P2までの動径Rの軌跡が太い粗い破線で示され、位置P2と位置P0までの動径Rの軌跡が実線で示されている。点位置2と位置P0までの動径Rの軌跡は、
図12における角度範囲Rcに対応する。
【0051】
図13において、位置P1から位置P0までにおける動径Rの軌跡の中心を、位置Q0とする。
図13において、位置Q0が黒い丸印で示されている。第1信号S1の軸をx軸、第2信号S2の軸をy軸とし、動径Rの大きさrを下記式(3-1)すると、位置Q0の座標(Cx、Cy)は下記式(3-2)で表される。
【数3】
式3より、位置Q0は位置P0における法線上に配置される。位置Q0は、動径R上の位置P0における理論上の中心位置である。
図13において、位置P0における法線が細かい破線にて示されている。
【0052】
図13において、
図12における角度範囲Rc(即ち位置P2から位置P0まで)の動径R(即ち
図13における実線)の中心を、位置Q1とする。
図13において、位置Q1が黒い四角印で示されている。本例においては、動径Rの軌跡が螺旋状であるので、位置Q1は位置Q0と異なり得る。このため、動径Rの角度θには、
図13に示される角度誤差INLが生じ得る。本例においては、位置P2から位置P1までの動径Rの大きさrは、位置P1から位置P0までの動径Rの大きさrよりも大きい。このため、位置Q1は、x軸(第1信号S1の軸)を基準に位置Q0とは反対側に配置される。
【0053】
図14は、
図12における第1機械角ψ1から基準機械角ψsにわたる、第1信号S1と第2信号S2との関係の一例を示す図である。
図14においては、
図13において太い破線で示される位置P3から位置P2までの動径Rの軌跡が太い実線で示され、太い実線で示される位置P1から位置P0までの動径Rの軌跡が太い粗い破線で示されている。
図14において、
図12における角度範囲Ra(即ち位置P3から位置P1まで)の動径R(即ち
図14における実線)の中心を、位置Q2とする。
【0054】
動径Rの誤差には、動径Rの中心の位置ずれ(オフセット)による誤差、動径Rの振幅誤差および動径Rの位相誤差が含まれ得る。動径Rの中心のx軸方向(第1信号S1の軸方向)の位置ずれをσx、y軸方向(第2信号S2の軸方向)の位置ずれをσyとする。動径Rの振幅誤差を、αとする。動径Rの位相誤差を、βとする。信号S1'(
図9参照)をVx(θ)とし、信号S2'(
図9参照)をVy(θ)とする。理想の動径Rの大きさをr
idealとする。理想の動径Rとは、リサージュ図形が原点を中心とする円状の場合(
図10参照)の動径Rである。Vx(θ)およびVy(θ)は、下記式4で表される。
【数4】
【0055】
式4を下記式(5-1)により複素平面上で表すと、式(5-2)が得られる。
【数5】
【0056】
式(5-2)より、動径Rの大きさr、動径Rの大きさrの誤差Δrおよび動径Rの角度誤差INLは、それぞれ下記式(6-1)、式(6-2)および式(6-3)で表される。
【数6】
式6に示されるとおり、rおよびINLは、動径Rの角度θ、動径Rの中心の位置ずれσx、σy、動径Rの振幅誤差α、および、動径Rの位相誤差βで表される。動径Rの角度θは、動径Rの較正前の角度θであってもよい。位置P1から位置P3までの動径Rの大きさrの平均値をr
aveとする。式(6-3)において、r
idealはr
aveを用いて算出されてよく、較正後の動径Rの大きさr-Δrを用いて算出されてもよい。
【0057】
較正パラメータ算出部10(
図9参照)は、基準機械角ψs(即ち位置P0)における、動径Rの誤差を較正する較正パラメータを、第1機械角ψ1を起点とする角度範囲Ra(即ち位置P3から位置P1まで)の機械角ψにおいて、第1信号S1と第2信号S2とに基づいて算出する。較正パラメータPrを角度範囲Raの機械角φにおいて第1信号S1と第2信号S2とに基づいて算出するとは、第1機械角φ1から第2機械角φ2までの複数の機械角φにおいて、各機械角φにおける第1信号S1と第2信号S2とに基づいて、較正パラメータPrを算出することを指す。角度範囲Raは、第1信号S1および第2信号S2の一周期であってよい。
【0058】
較正パラメータ算出部10は、動径演算部12により演算された回転体230の動径Rの角度θ(
図10参照)および大きさrに基づいて、較正パラメータPrを算出してよい。当該較正パラメータを、較正パラメータPrとする。本例においては、較正パラメータPrはσx、σy、α、βおよびr
aveである。
【0059】
予め定められた機械角ψが第1信号S1および第2信号S2の1周期である場合、σx、σy、α、βおよびr
aveは、下記式7により算出されてよい。
【数7】
【0060】
角度誤差算出部14(
図9参照)は、較正パラメータPrに基づいて動径Rの角度誤差INLを算出する。角度誤差算出部14は、角度誤差INLを式(6-3)により算出してよい。式(6-3)において、r
idealはr
aveを用いて算出されてよい。本例では、動径Rの軌跡は螺旋状である。動径Rの軌跡が螺旋状の場合、r
aveはr
idealに対して誤差を含み得る。このため、r
idealは、較正後の動径Rの大きさr-Δrを用いて算出されてもよい。較正部16(
図9参照)は、角度誤差INLに基づいて、動径Rの角度θを較正する。較正部16(
図9参照)は、角度誤差INLに基づいて、角度範囲Raにおける予め定められた機械角ψごとに角度θを較正してよい。較正部16により較正された角度θを、角度θ'とする。出力部30(
図9参照)は、角度θ'を出力する。
【0061】
本例においては、較正パラメータ算出部10(
図9参照)は、基準機械角ψsとは異なる第1機械角ψ1を起点とする角度範囲Raの機械角において、較正パラメータPrを算出する。本例においては、較正部16(
図9参照)が当該算出された較正パラメータPrに基づいて動径Rの角度θを較正する。このため、較正部16が、基準機械角ψsを起点とする角度範囲Rc(
図12参照)の機械角において算出された較正パラメータPrに基づいて、動径Rの角度θを較正する場合よりも、角度θの角度誤差INLが小さくなりやすい。
【0062】
動径演算部12により演算された回転体230の動径Rの角度θ(
図10参照)および大きさrは、記憶部18(
図9)に記憶されてよい。角度誤差算出部14(
図9参照)は、較正パラメータ算出部10により算出される較正パラメータPrと、記憶部18に記憶された較正パラメータPrと基づいて、動径Rの角度誤差INLを算出してよい。
【0063】
図14の例では、角度範囲Ra(
図12参照)は第1機械角ψ1を起点とし、第2機械角ψ2を終点とする。第1機械角ψ1および第2機械角ψ2は、基準機械角ψsよりも小さい。基準機械角ψsにおける動径の角度θ(
図10参照)と、第2機械角ψ2における動径の角度θ(
図10参照)との差は、0°+(n×360°)より大きく360°+(n×360°)未満であってよく、45°+(n×360°)以上315°+(n×360°)以下であってよく、90°+(n×360°)以上270°+(n×360°)以下であってよく、135°+(n×360°)以上225°+(n×360°)以下であってもよい。ここで、nは0または正の整数である。
図14の例では、第2機械角ψ2における動径の角度θは基準機械角ψsにおける動径の角度θよりも180°小さい。
【0064】
回転体230の動径Rの角度θ(
図10参照)および大きさrは、
図14に示される位置P3(第1機械角ψ1に対応)から位置P1(第2機械角ψ2)までの第1信号S1の平均および第2信号S2の平均に基づいて、算出されてもよい。動径Rの角度θおよび大きさrが第1信号S1の平均および第2信号S2の平均に基づいて算出される場合、動径演算部12は、式1および式2に基づいて、動径Rの角度θおよび大きさrを演算しなくてよい。
【0065】
図15は、機械角ψと、動径Rの角度θの角度誤差INLとの関係の一例を示す図である。
図11の例のように、回転体230が回転軸215に直交する方向(
図11における粗い破線部)から傾いている場合、回転角センサ100の出力Vは回転体230の回転に伴い周期的に変化する。このため、角度誤差INLは、機械角ψの変化に対して周期的に変化し得る。
図15から分かるとおり、
図14の例は
図13の例よりも、角度誤差INLを抑制できる。
【0066】
図16は、
図11のセンサ装置200における回転角センサ100の出力Vと回転体230の機械角ψとの関係の一例を示す図である。本例において、第1機械角ψ1を起点とし第2機械角ψ2を終点とする角度範囲を、角度範囲Ra'とする。本例においては、第1機械角ψ1は基準機械角ψsよりも小さく、第2機械角ψ2は基準機械角ψsよりも大きい。
【0067】
図17は、
図16における第1機械角ψ1から第2機械角ψ2にわたる、第1信号S1と第2信号S2との関係の一例を示す図である。
図17においては、
図14における位置P3から位置P1までの動径Rの軌跡である太い実線が、太い粗い破線で示されている。
図17において、
図16における角度範囲Ra'(即ち位置P3から位置P1まで)の動径R(即ち
図14における実線)の中心を、位置Q2'とする。
【0068】
本例においては、較正パラメータ算出部10(
図9参照)は、第1機械角ψ1を起点とする角度範囲Ra'(即ち位置P3から位置P1まで)の機械角において、較正パラメータPrを算出する。
図14の例と同様に、角度誤差算出部14(
図9参照)は、当該算出された較正パラメータPrに基づいて動径Rの角度誤差INLを算出する。本例においても、較正パラメータ算出部10(
図9参照)は、基準機械角ψsとは異なる第1機械角ψ1を起点とする角度範囲Ra'の回転角において、較正パラメータPrを算出する。このため、動径Rの角度誤差INLが小さくなりやすい。
【0069】
図17の例では、角度範囲Ra'(
図16参照)は第1機械角ψ1を起点とし、第2機械角ψ2を終点とする。第1機械角ψ1は、基準機械角ψsよりも小さい。第2機械角ψ2は、基準機械角ψsよりも大きい。基準機械角ψsにおける動径の角度θ(
図10参照)と、第1機械角ψ1における動径の角度θ(
図10参照)との差は、0°+(n×360°)より大きく360°+(n×360°)未満であってよく、45°+(n×360°)以上315°+(n×360°)以下であってよく、90°+(n×360°)以上270°+(n×360°)以下であってよく、135°+(n×360°)以上225°+(n×360°)以下であってもよい。ここで、nは0または正の整数である。
図17の例では、第1機械角ψ1における動径の角度θは基準機械角ψsにおける動径の角度θよりも180°小さい。
【0070】
図18は、
図11のセンサ装置200における回転角センサ100の出力Vと回転体230の機械角ψとの関係の一例を示す図である。本例において、第1機械角ψ1を起点とし第2機械角ψ2を終点とする角度範囲を、角度範囲Ra''とする。本例においては、第1機械角ψ1および第2機械角ψ2は、基準機械角ψsよりも大きい。
【0071】
図19は、
図18における第1機械角ψ1から第2機械角ψ2にわたる、第1信号S1と第2信号S2との関係の一例を示す図である。
図19においては、
図17における位置P3から位置P1までの動径Rの軌跡である太い実線が、太い粗い破線で示されている。
図19において、
図18における角度範囲Ra''(即ち位置P3から位置P1まで)の動径R(即ち
図14における実線)の中心を、位置Q2''とする。
【0072】
本例においては、較正パラメータ算出部10(
図9参照)は、第1機械角ψ1を起点とする角度範囲Ra''(即ち位置P3から位置P1まで)の回転角において、較正パラメータPrを算出する。
図14および
図17の例と同様に、角度誤差算出部14(
図9参照)は、当該算出された較正パラメータPrに基づいて動径Rの角度誤差INLを算出する。本例においても、較正パラメータ算出部10(
図9参照)は、基準機械角ψsとは異なる第1機械角ψ1を起点とする角度範囲Ra''の回転角において、較正パラメータPrを算出する。このため、動径Rの角度誤差INLが小さくなりやすい。
【0073】
図19の例では、角度範囲Ra''(
図18参照)は第1機械角ψ1を起点とし、第2機械角ψ2を終点とする。第1機械角ψ1および第2機械角ψ2は、基準機械角ψsよりも大きい。第1機械角ψ1における動径の角度θ(
図10参照)と、基準機械角ψsにおける動径の角度θ(
図10参照)との差は、0°+(n×360°)より大きく360°+(n×360°)未満であってよく、45°+(n×360°)以上315°+(n×360°)以下であってよく、90°+(n×360°)以上270°+(n×360°)以下であってよく、135°+(n×360°)以上225°+(n×360°)以下であってもよい。ここで、nは0または正の整数である。
図19の例では、第1機械角ψ1における動径の角度θは基準機械角ψsにおける動径の角度θよりも180°大きい。
【0074】
図12の例における角度範囲Ra、
図16の例における角度範囲Ra'および
図18の例における角度範囲Ra''は、第1機械角ψ1を起点とする、動径Rの360°の角度範囲であってよい。角度範囲Ra、角度範囲Ra'および角度範囲Ra''は、動径Rの、180°よりも大きく360°以下の角度範囲であってよい。
【0075】
図20は、
図11のセンサ装置200における回転角センサ100の出力Vと回転体230の機械角ψとの関係の一例を示す図である。
図20において、回転体230(
図1および
図2参照)は現在、基準機械角ψsの位置にあるとする。予測部40(
図9参照)は、基準機械角ψsから第2機械角ψ2までの角度範囲における一の角度範囲において、第1信号S1と第2信号S2とを予測してよい。本例においては、予測部40(
図9参照)は、基準機械角ψsから第2機械角ψ2までの第1信号S1と第2信号S2とを予測する。
図20において、予測部40により予測される第1信号S1および第2信号S2が、それぞれ太い実線および太い一点鎖線にて示されている。基準機械角ψsから第2機械角ψ2までの角度範囲を、角度範囲Rpとする。
【0076】
図21は、
図20における第1機械角ψ1から第2機械角ψ2にわたる、第1信号S1と第2信号S2との関係の一例を示す図である。
図21において、予測部40により予測される第1信号S1および第2信号S2による、動径Rの軌跡が太い二点鎖線で示されている。
【0077】
図11の例のように、回転体230が回転軸215に直交する方向(
図11における粗い破線部)から傾いている場合、回転角センサ100の出力Vは回転体230の回転に伴い周期的に変化する。記憶部18(
図9参照)は、回転体230の一の機械角ψにおける動径Rの角度θおよび大きさrを記憶してよい。予測部40は、記憶部18に記憶された当該一の機械角ψにおける動径Rの角度θおよび大きさrに基づいて、角度範囲Rpにおける動径Rの角度θおよび大きさrを予測してよい。当該一の機械角ψは、現在の機械角ψよりも一周(360°)前の、回転体230の機械角ψであってよい。
【0078】
較正パラメータ算出部10(
図9参照)は、基準機械角ψsから第2機械角ψ2までの角度範囲Rpにおいて、予測部40により予測された第1信号S1と第2信号S2とに基づいて較正パラメータPrを算出してよい。較正パラメータ算出部10は、角度範囲Ra'のうち角度範囲Rpについて、予測部40により予測された第1信号S1と第2信号S2とに基づいて較正パラメータPrを算出してよい。
【0079】
図22は、本発明の一つの実施形態に係る回転角センサ100の他の一例を示すブロック図である。本例の回転角センサ100は、決定部70をさらに備える点で
図9に示される回転角センサ100と異なる。
【0080】
図23は、第1信号S1と第2信号S2との関係の一例を示す図である。第1信号S1が最大値Vmaxとなる機械角ψを、第3機械角ψ3とする。第1信号S1が最小値Vminとなる機械角ψを、第4機械角ψ4とする。基準機械角ψsは、第3機械角ψ3以上、第4機械角ψ4以下であるとする。基準機械角ψsと第3機械角ψ3との差分を、第1角度Ag1とする。基準機械角ψsと第4機械角ψ4との差分を、第2角度Ag2とする。
【0081】
本例において、決定部70(
図22参照)は第1角度Ag1または第2角度Ag2に基づいて、第1機械角ψ1を決定する。較正パラメータ算出部10(
図22参照)が、第1機械角ψ1を起点とする角度範囲Raの機械角において較正パラメータPrを算出する場合、回転体230(
図1および
図2参照)の機械角ψにおける第1機械角ψ1の位置により、位置Q2(
図14参照)および較正パラメータPrが変化し得る。
【0082】
決定部70(
図22参照)は、第1角度Ag1または第2角度Ag2に基づいて、位置Q2(
図14参照)が位置Q0(
図14参照)に最も近くなる第1機械角ψ1を決定してよい。これにより、較正部16(
図22参照)は、動径Rの角度θを最も精度良く較正できる。
【0083】
図24は、本発明の一つの実施形態に係る回転角センサ100の他の一例を示すブロック図である。本例の回転角センサ100は、較正部54および較正部56をさらに備え、角度誤差算出部14および較正部16を備えない点で、
図22に示される回転角センサ100と異なる。
【0084】
本例においては、較正パラメータ算出部10は、第1信号S1に基づく誤差および第2信号S2に基づく誤差の少なくとも一方を較正する較正パラメータPrを、第1機械角ψ1を起点とする一の角度範囲Raの機械角ψにおいて、第1信号S1と第2信号S2とに基づいて算出する。第1信号S1に基づく誤差を、誤差Er1とする。第2信号S2に基づく誤差を、誤差Er2とする。
【0085】
較正部54は、較正パラメータPrに基づいて誤差Er1を較正する。較正部54は、誤差Er1が較正された信号S1''を出力する。較正部56は、較正パラメータPrに基づいて誤差Er2を較正する。較正部56は、誤差Er2が較正された信号S2''を出力する。較正部54は、下記式(8-1)に基づいて信号S1''を演算してよい。較正部56は、下記式(8-2)に基づいて信号S2''を演算してよい。
【数8】
【0086】
信号S1''および信号S2''は、動径演算部12に入力される。本例においては、動径演算部12は下記式9および式10に基づいて、それぞれ回転体230の動径Rの角度θおよび大きさrを算出する。
【数9】
【数10】
【0087】
本例においては、較正パラメータ算出部10は、第1機械角ψ1を起点とする一の角度範囲Raの機械角ψにおいて、信号S1''と信号S2''とに基づいて較正パラメータPrを算出する。これにより、回転角センサ100は、角度誤差INLを小さくできる。
【0088】
図25は、本発明の一つの実施形態に係る回転角センサ100の他の一例を示すブロック図である。本例の回転角センサ100は、変換部60をさらに備える点で、
図22に示される回転角センサ100と異なる。本例においては、角度範囲Raは基準機械角φsを起点とする一の角度範囲である。
【0089】
図13に示される第1信号S1と第2信号S2との関係において、第1信号S1の軸をx軸、第2信号S2の軸をy軸とし、動径Rを下記式(11-1)すると、上述したσxおよびσyは下記式(11-2)で表される。
【数11】
【0090】
式11及び式(3-2)より、下記式12が成立する。
【数12】
式12より、σxおよびσyは、位置Q0(
図13参照)の座標(Cx、Cy)に回転行列を積算することにより得られる。
【0091】
変換部60は、較正パラメータPrを、動径Rの予め定められた角度、変換する。当該予め定められた角度は、0°より大きく360°未満であってよく、45°以上315°以下であってよく、90°以上270°以下であってよく、135°以上225°以下であってもよい。本例においては、当該予め定められた角度は、180°(π[rad])である。
【0092】
本例においては、較正パラメータ算出部10は、基準機械角ψsを起点とする角度範囲Rc(
図12参照)の機械角ψにおいて較正パラメータPrを算出する。本例においては、変換部60が当該較正パラメータPrを、動径Rの予め定められた角度、変換する。これにより、回転角センサ100は、角度誤差INLを小さくできる。
【0093】
図26は、本発明の一つの実施形態に係る回転角センサ100の較正方法の一例を示す図である。本発明の一つの実施形態に係る回転角センサ100の較正方法を、
図22に示される回転角センサ100を例に説明する。
【0094】
較正方法は、較正パラメータ算出ステップS100を備える。較正方法は、信号取得ステップS90、AD変換ステップS92、決定ステップS93および動径演算ステップS94を備えてよい。較正方法は、記憶ステップS102、予測ステップS104、角度誤差算出ステップS106、較正ステップS108および出力ステップS110を備えてよい。
【0095】
信号取得ステップS90は、回転角センサ100が第1信号S1および第2信号S2を取得するステップである。AD変換ステップS92は、AD変換部50が第1信号S1を信号S1'に変換し、AD変換部52が第2信号S2を信号S2'に変換するステップである。決定ステップS93は、決定部70が、第1角度Ag1または第2角度Ag2に基づいて第1機械角ψ1を決定するステップである。動径演算ステップS94は、動径演算部12が、第1信号S1および第2信号S2に基づいて、動径Rの角度θおよび大きさrを演算するステップである。
【0096】
較正パラメータ算出ステップS100は、較正パラメータ算出部10が、基準機械角ψsにおける較正パラメータPrを、第1機械角ψ1を起点とする角度範囲Ra、角度範囲Ra'または角度範囲Ra''の機械角において、第1信号S1と第2信号S2とに基づいて算出するステップである。第1機械角ψ1は、予め定められてよく、決定ステップS93において決定されてもよく、予測ステップS104において予測されてもよい。
【0097】
記憶ステップS102は、記憶部18が、較正パラメータ算出ステップS100において算出された較正パラメータPrを記憶するステップである。記憶ステップS102は、記憶部18が、当該較正パラメータ、および、動径演算ステップSS94において演算された動径Rの角度θおよび大きさrを記憶するステップであってもよい。記憶ステップS102は、記憶部18が、動径演算ステップS94において演算された動径Rの角度θおよび大きさrを記憶するステップであってよい。
【0098】
予測ステップS104は、予測部40が、基準機械角ψsから第2機械角ψ2までの角度範囲における一の角度範囲において、第1信号S1と第2信号S2とを予測するステップである。予測ステップS104は、予測部40が、基準機械角ψsから第2機械角ψ2までの第1信号S1と第2信号S2とを予測するステップであってよい。予測ステップS104は、記憶ステップS102において記憶された動径Rの角度θおよび大きさrに基づいて、予測部40が、角度範囲Rp(
図20参照)における動径Rの角度θおよび大きさrを予測するステップであってよい。
【0099】
角度誤差算出ステップS106は、角度誤差算出部14が、較正パラメータ算出ステップS100において算出された較正パラメータPrに基づいて、動径Rの角度誤差INLを算出するステップである。角度誤差算出ステップS106は、角度誤差算出部14が、較正パラメータ算出ステップにおいて算出された較正パラメータPrと、記憶ステップにおいて記憶された較正パラメータPrと基づいて、動径Rの角度誤差INLを算出するステップであってもよい。
【0100】
較正ステップS108は、較正部16が、角度誤差算出ステップS106において算出された角度誤差INLに基づいて、動径Rの角度θを較正するステップである。較正ステップS108は、較正部16が、当該角度誤差INLに基づいて、角度範囲Ra(
図12参照)における予め定められた機械角ψごとに、角度θを較正するステップであってよい。出力ステップS110は、出力部30が、較正ステップS108において較正された角度θ'を出力するステップである。
【0101】
図27は、本発明の一つの実施形態に係る回転角センサ100の較正方法の他の一例を示す図である。本較正方法は、
図26の較正方法における動径演算ステップS94、角度誤差算出ステップS106および較正ステップS108を有さず、較正ステップS103および動径演算ステップS107を備える点で、
図26の較正方法と異なる。本発明の一つの実施形態に係る回転角センサ100の較正方法を、
図24に示される回転角センサ100を例に説明する。
【0102】
較正ステップS103は、較正部54が較正パラメータPrに基づいて誤差Er1を較正し、較正した信号S1''を出力するステップであり、且つ、較正部56が較正パラメータPrに基づいて誤差Er2を較正し、較正した信号S2''を出力するステップである。本例においては、動径演算ステップS107は、動径演算部12が、信号S1''および信号S2''の少なくとも一方に基づいて、動径Rの角度θおよび大きさrを演算するステップである。本例においては、較正パラメータ算出ステップS100は、較正パラメータ算出部10が、回転体230の基準機械角ψsにおける、誤差Er1および誤差Er2の少なくとも一方を較正する較正パラメータPrを、第1機械角ψ1を起点とする一の角度範囲Raの機械角ψにおいて、第1信号S1と第2信号S2とに基づいて算出するステップである。
【0103】
図28は、本発明の一つの実施形態に係る回転角センサ100の較正方法の他の一例を示す図である。本較正方法は、
図26の較正方法における較正ステップS108に代えて変換ステップS105をさらに備える点で、
図26の較正方法と異なる。本発明の一つの実施形態に係る回転角センサ100の較正方法を、
図25に示される回転角センサ100を例に説明する。
【0104】
本例においては、較正パラメータ算出ステップS100は、較正パラメータ算出部10が、基準機械角ψsにおける較正パラメータPrを、角度範囲Ra、角度範囲Ra'または角度範囲Ra''の機械角において、第1信号S1と第2信号S2とに基づいて算出するステップである。本例において、角度範囲Ra、角度範囲Ra'または角度範囲Ra''は、基準機械角φsを起点とする一の角度範囲である。
【0105】
変換ステップS105は、較正パラメータ算出ステップS100において算出された較正パラメータPrを、動径Rの予め定められた角度、変換するステップである。当該予め定められた角度は、例えば180°(π[rad])である。
【0106】
図29は、本発明の一つの実施形態に係る回転角センサ100が全体的または部分的に具現化されてよいコンピュータ2200の一例を示す図である。コンピュータ2200にインストールされたプログラムは、コンピュータ2200に、本発明の実施形態に係る回転角センサ100に関連付けられる操作、または、回転角センサ100の一または複数のセクションとして機能させることができ、または当該操作または当該一または複数のセクションを実行させることができ、またはコンピュータ2200に、本発明の方法に係る各段階(
図26~
図28参照)を実行させることができる。当該プログラムは、コンピュータ2200に本明細書に記載されたフローチャート(
図26~
図28)およびブロック図(
図9、
図22、
図24および
図25)におけるブロックのうちのいくつかまたはすべてに関連付けられた特定の操作を実行させるべく、CPU2212によって実行されてよい。
【0107】
本発明の一つの実施形態に係るコンピュータ2200は、CPU2212、RAM2214、グラフィックコントローラ2216およびディスプレイデバイス2218を含む。CPU2212、RAM2214、グラフィックコントローラ2216およびディスプレイデバイス2218は、ホストコントローラ2210によって相互に接続されている。コンピュータ2200は、通信インターフェース2222、ハードディスクドライブ2224、DVD-ROMドライブ2226およびICカードドライブ等の入出力ユニットをさらに含む。通信インターフェース2222、ハードディスクドライブ2224、DVD-ROMドライブ2226およびICカードドライブ等は、入出力コントローラ2220を介してホストコントローラ2210に接続されている。コンピュータは、ROM2230およびキーボード2242等のレガシの入出力ユニットをさらに含む。ROM2230およびキーボード2242等は、入出力チップ2240を介して入出力コントローラ2220に接続されている。
【0108】
CPU2212は、ROM2230およびRAM2214内に格納されたプログラムに従い動作することにより、各ユニットを制御する。グラフィックコントローラ2216は、RAM2214内に提供されるフレームバッファ等またはRAM2214の中に、CPU2212によって生成されたイメージデータを取得することにより、イメージデータがディスプレイデバイス2218上に表示されるようにする。
【0109】
通信インターフェース2222は、ネットワークを介して他の電子デバイスと通信する。ハードディスクドライブ2224は、コンピュータ2200内のCPU2212によって使用されるプログラムおよびデータを格納する。DVD-ROMドライブ2226は、プログラムまたはデータをDVD-ROM2201から読み取り、読み取ったプログラムまたはデータを、RAM2214を介してハードディスクドライブ2224に提供する。ICカードドライブは、プログラムおよびデータをICカードから読み取るか、または、プログラムおよびデータをICカードに書き込む。
【0110】
ROM2230は、アクティブ化時にコンピュータ2200によって実行されるブートプログラム等、または、コンピュータ2200のハードウェアに依存するプログラムを格納する。入出力チップ2240は、様々な入出力ユニットをパラレルポート、シリアルポート、キーボードポート、マウスポート等を介して、入出力コントローラ2220に接続してよい。
【0111】
プログラムが、DVD-ROM2201またはICカードのようなコンピュータ可読媒体によって提供される。プログラムは、コンピュータ可読媒体から読み取られ、コンピュータ可読媒体の例でもあるハードディスクドライブ2224、RAM2214、またはROM2230にインストールされ、CPU2212によって実行される。これらのプログラム内に記述される情報処理は、コンピュータ2200に読み取られ、プログラムと、上記様々なタイプのハードウェアリソースとの間の連携をもたらす。装置または方法が、コンピュータ2200の使用に従い、情報の操作または処理を実現することによって構成されてよい。
【0112】
例えば、通信がコンピュータ2200および外部デバイス間で実行される場合、CPU2212は、RAM2214にロードされた通信プログラムを実行し、通信プログラムに記述された処理に基づいて、通信インターフェース2222に対し、通信処理を命令してよい。通信インターフェース2222は、CPU2212の制御下、RAM2214、ハードディスクドライブ2224、DVD-ROM2201またはICカードのような記録媒体内に提供される送信バッファ処理領域に格納された送信データを読み取り、読み取られた送信データをネットワークに送信し、またはネットワークから受信された受信データを記録媒体上に提供される受信バッファ処理領域等に書き込む。
【0113】
CPU2212は、ハードディスクドライブ2224、DVD-ROMドライブ2226(DVD-ROM2201)、ICカード等のような外部記録媒体に格納されたファイルまたはデータベースの全部または必要な部分がRAM2214に読み取られるようにしてよい。CPU2212は、RAM2214上のデータに対し、様々なタイプの処理を実行してよい。CPU2212は、次に、処理されたデータを外部記録媒体にライトバックしてよい。
【0114】
様々なタイプのプログラム、データ、テーブル、およびデータベースのような様々なタイプの情報が記録媒体に格納され、情報処理されてよい。CPU2212は、RAM2214から読み取られたデータに対し、本開示に記載された、プログラムの命令シーケンスによって指定される様々なタイプの操作、情報処理、条件判断、条件分岐、無条件分岐、情報の検索または置換等を含む、様々なタイプの処理を実行してよい。CPU2212は、結果をRAM2214に対しライトバックしてよい。
【0115】
CPU2212は、記録媒体内のファイル、データベース等における情報を検索してよい。例えば、各々が第2の属性の属性値に関連付けられた第1の属性の属性値を有する複数のエントリが記録媒体内に格納される場合、CPU2212は、第1の属性の属性値が指定される、条件に一致するエントリを当該複数のエントリの中から検索し、当該エントリ内に格納された第2の属性の属性値を読み取り、第2の属性値を読み取ることにより、予め定められた条件を満たす第1の属性に関連付けられた第2の属性の属性値を取得してよい。
【0116】
上述したプログラムまたはソフトウェアモジュールは、コンピュータ2200上またはコンピュータ2200のコンピュータ可読媒体に格納されてよい。専用通信ネットワークまたはインターネットに接続されたサーバーシステム内に提供されるハードディスクまたはRAMのような記録媒体が、コンピュータ可読媒体として使用可能である。プログラムは、当該記録媒体によりコンピュータ2200に提供されてよい。
【0117】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0118】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0119】
10・・・較正パラメータ算出部、12・・・動径演算部、14・・・角度誤差算出部、16・・・較正部、18・・・記憶部、30・・・出力部、40・・・予測部、50・・・AD変換部、52・・・AD変換部、54・・・較正部、56・・・較正部、60・・・変換部、70・・・決定部、100・・・回転角センサ、102・・・検出部、110・・・信号発生部、200・・・センサ装置、210・・・モータ、215・・・回転軸、220・・・固定部材、230・・・回転体、232・・・主尺、234・・・スリット、236・・・副尺、238・・・スリット、2200・・・コンピュータ、2201・・・DVD-ROM、2210・・・ホストコントローラ、2212・・・CPU、2214・・・RAM、2216・・・グラフィックコントローラ、2218・・・ディスプレイデバイス、2220・・・入出力コントローラ、2222・・・通信インターフェース、2224・・・ハードディスクドライブ、2226・・・DVD-ROMドライブ、2230・・・ROM、2240・・・入出力チップ、2242・・・キーボード