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特開2024-72786半導体フォトレジスト用組成物およびこれを用いたパターン形成方法
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  • 特開-半導体フォトレジスト用組成物およびこれを用いたパターン形成方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024072786
(43)【公開日】2024-05-28
(54)【発明の名称】半導体フォトレジスト用組成物およびこれを用いたパターン形成方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/004 20060101AFI20240521BHJP
   G03F 7/26 20060101ALI20240521BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20240521BHJP
【FI】
G03F7/004
G03F7/004 531
G03F7/26 511
G03F7/20 501
G03F7/20 521
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023177314
(22)【出願日】2023-10-13
(31)【優先権主張番号】10-2022-0153722
(32)【優先日】2022-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】590002817
【氏名又は名称】三星エスディアイ株式会社
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI Co., LTD.
【住所又は居所原語表記】150-20 Gongse-ro,Giheung-gu,Yongin-si, Gyeonggi-do, 446-902 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】任 相 均
(72)【発明者】
【氏名】蔡 承 龍
(72)【発明者】
【氏名】徐 也 隱
(72)【発明者】
【氏名】成 太 根
(72)【発明者】
【氏名】李 旻 映
(72)【発明者】
【氏名】金 智 敏
【テーマコード(参考)】
2H196
2H197
2H225
【Fターム(参考)】
2H196AA25
2H196BA13
2H196EA07
2H196KA08
2H196KA18
2H197CA06
2H197CA08
2H197CA09
2H197CA10
2H197CE01
2H197CE10
2H197HA03
2H225AB03
2H225AN39P
2H225AN80P
2H225CA12
2H225CB14
2H225CC01
2H225CD05
(57)【要約】
【課題】保存安定性およびコーティング性が向上した半導体フォトレジスト用組成物およびこれを用いたパターン形成方法を提供する。
【解決手段】化学式1で表される有機スズ化合物および溶媒を含む半導体フォトレジスト用組成物。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表される有機スズ化合物;および
溶媒
を含む半導体フォトレジスト用組成物:
【化1】

上記化学式1中、
~Xは、それぞれ独立して、OまたはSであり、
~Lは、それぞれ独立して、単結合、置換もしくは非置換の2価の炭素数1~20の飽和脂肪族炭化水素基、置換もしくは非置換の2価の炭素数3~20の飽和もしくは不飽和の脂環式炭化水素基、1つ以上の二重結合もしくは三重結合を含む置換もしくは非置換の2価の炭素数2~20の不飽和脂肪族炭化水素基、置換もしくは非置換の2価の炭素数6~20の芳香族炭化水素基、-C(=O)-、またはこれらの組み合わせであり、
、R、R、R、R、RおよびR~Rは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、またはこれらの組み合わせであり、
は、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、またはこれらの組み合わせである。
【請求項2】
前記化学式1中のRは置換もしくは非置換の炭素数3~20の分枝状アルキル基である、請求項1に記載の半導体フォトレジスト用組成物。
【請求項3】
前記化学式1中のR~Rは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、またはこれらの組み合わせである、請求項1に記載の半導体フォトレジスト用組成物。
【請求項4】
前記化学式1中のR~Rは、それぞれ独立して、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-へプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、iso-プロピル基、iso-ブチル基、iso-ペンチル基、iso-ヘキシル基、iso-へプチル基、iso-オクチル基、iso-ノニル基、iso-デシル基、sec-ブチル基、sec-ペンチル基、sec-ヘキシル基、sec-へプチル基、sec-オクチル基、tert-ブチル基、tert-ペンチル基、tert-ヘキシル基、tert-へプチル基、tert-オクチル基、tert-ノニル基、またはtert-デシル基である、請求項1に記載の半導体フォトレジスト用組成物。
【請求項5】
前記化学式1中のL~Lは、それぞれ独立して、単結合、または置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキレン基である、請求項1に記載の半導体フォトレジスト用組成物。
【請求項6】
前記化学式1中のR、R、R、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、または置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキル基である、請求項1に記載の半導体フォトレジスト用組成物。
【請求項7】
前記化学式1中のX、XおよびXは、それぞれOである、請求項1に記載の半導体フォトレジスト用組成物。
【請求項8】
前記化学式1中のX~Xは、それぞれOである、請求項1に記載の半導体フォトレジスト用組成物。
【請求項9】
前記有機スズ化合物は、下記グループ1に列記された化合物の群より選択される化合物の1種である、請求項1に記載の半導体フォトレジスト用組成物。
【化2】
【請求項10】
前記半導体フォトレジスト用組成物の全質量100質量%を基準にして、前記有機スズ化合物の含有量は、1質量%~30質量%である、請求項1に記載の半導体フォトレジスト用組成物。
【請求項11】
界面活性剤、架橋剤、レベリング剤、またはこれらの組み合わせの添加剤をさらに含む、請求項1に記載の半導体フォトレジスト用組成物。
【請求項12】
基板の上にエッチング対象膜を形成する段階;
前記エッチング対象膜の上に、請求項1~11のいずれか1項に記載の半導体フォトレジスト用組成物を塗布してフォトレジスト膜を形成する段階;
前記フォトレジスト膜をパターニングしてフォトレジストパターンを形成する段階;および
前記フォトレジストパターンをエッチングマスクとして用いて前記エッチング対象膜をエッチングする段階を含む、パターン形成方法。
【請求項13】
前記フォトレジストパターンを形成する段階は、波長5nm~150nmの光を使用する、請求項12に記載のパターン形成方法。
【請求項14】
前記基板と前記フォトレジスト膜との間にレジスト下層膜を形成する段階をさらに含む、請求項12に記載のパターン形成方法。
【請求項15】
前記フォトレジストパターンは、5nm~100nmの幅を有する、請求項12に記載のパターン形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体フォトレジスト用組成物およびこれを用いたパターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
次世代の半導体デバイスを製造するための要素技術の一つとして、EUV(極端紫外線)リソグラフィが注目されている。EUVリソグラフィは露光光源として波長13.5nmのEUV光を用いるパターン形成技術である。EUVリソグラフィによれば、半導体デバイス製造プロセスの露光工程で、極めて微細なパターン(例えば、20nm以下)を形成することができることが実証されている。
【0003】
極端紫外線(extreme ultraviolet、EUV)リソグラフィの実現は、16nm以下の空間解像度で行うことができる互換可能なフォトレジストの現像を必要とする。現在、伝統的な化学増幅型(CA:chemically amplified)フォトレジストは、次世代デバイスのための解像度、光速度、およびフィーチャー粗さ(feature roughness)、ラインエッジ粗さ(line edge roughnessまたはLER)に対する仕様を満足させるために日々研究が行われている。
【0004】
これら化学増幅型フォトレジストは、一般に有機高分子を含むが、この化学増幅型フォトレジストで起こる酸触媒反応に起因した固有の画像のボケは小さなフィーチャー(feature)の大きさで解像度を制限し、これは電子ビーム(e-beam)リソグラフィにおいて長い間知られてきた事実である。化学増幅型(CA)フォトレジストは、高い感度のために設計されたが、それらの典型的な元素の構成が、13.5nmの波長でフォトレジストの吸光度を低下させてしまい、その結果、感度は低くなり、部分的にはEUV露光下でさらなる困難を生じることがある。
【0005】
CAフォトレジストはまた、小さなフィーチャーの大きさで粗さの問題によって困難を生じることがあり、部分的に酸触媒工程の本質に起因して、光速度が減少するにつれて、ラインエッジ粗さ(LER)が増加することが実験で確認された。CAフォトレジストの欠点および問題に起因して、半導体産業では新たな類型の高性能フォトレジストに対する要求がある。
【0006】
上記において説明した化学増幅型の有機系フォトレジストの問題を克服するために、無機系の感光性組成物が研究されてきた。無機系の感光性組成物の場合、主に非化学増幅型機構による化学的変性で、現像剤組成物による除去に耐性を有するネガティブトーンパターニングに使用される。無機系の感光性組成物の場合、炭化水素に比べて高いEUV吸収率を有する無機系元素を含有していて、非化学増幅型機構でも感度を確保することができ、確率論的なばらつきにもあまり敏感でなくて、ラインエッジ粗さおよび欠陥個数も少ないことが知られている。
【0007】
タングステン、ならびにニオブ、チタン、および/またはタンタルと混合されたタングステンのペルオキソポリ酸に基づいた無機フォトレジストは、パターニングのための放射線感受性材料(radiation sensitive materials)用として報告されてきた(特許文献1および非特許文献1)。
【0008】
これら材料は、遠紫外線、x線、および電子ビームソースで二重層構成に大きなフィーチャーをパターニングすることにおいて効果的であった。さらに最近は、プロジェクションEUV露光によって15nmハーフピッチを現像するために、ペルオキソ錯化剤と共に、陽イオンハフニウム金属オキシドスルフェート(HfSOx)材料を使用する場合、印象的な性能を示したことが報告されている(特許文献2および非特許文献2)。このシステムは、非CAフォトレジストの最上級の性能を示し、実行可能なEUVフォトレジストのための要件に近づく光速度を有する。しかし、ペルオキソ錯化剤を有するハフニウム金属オキシドスルフェート材料は、いくつかの現実的な欠点を有する。第一に、この材料は高い腐食性の硫酸/過酸化水素の混合物でコーティングされ、保存安定性が良くない。第二に、複合混合物として性能改善のための構造変更が容易でない。第三に、25質量%程度の極めて高濃度のTMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)溶液などで現像されなければならない。
【0009】
最近は、スズを含む分子が極端紫外線吸収に優れているということが知られるにつれて、活発な研究が行われている。そのうちの1つである有機スズ高分子は、光吸収またはこれによって生成された二次電子によって、有機配位子が解離しながら、周辺の高分子鎖とのオキソ結合による架橋を通じて、有機系現像液で除去されないネガティブトーンパターニングが可能である。このような有機スズ高分子は、解像度、ラインエッジ粗さを維持しながら、飛躍的に感度が向上することを示したが、商用化のためには上記のようなパターニング特性のさらなる向上が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第5061599号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2011/0045406号明細書
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】H.Okamoto、T.Iwayanagi、K.Mochiji、H.Umezaki、T.Kudo、Applied Physics Letters、49(5)、298-300、1986
【非特許文献2】J.K.Stowers、A.Telecky、M.Kocsis、B.L.Clark、D.A.Keszler、A.Grenville、C.N.Anderson、P.P.Naulleau、Proc.SPIE、7969、796915、2011
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、保存安定性およびコーティング性が向上した半導体フォトレジスト用組成物を提供することを目的とする。
【0013】
また、本発明は、上記半導体フォトレジスト用組成物を用いたパターン形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明による半導体フォトレジスト用組成物は、下記化学式1で表される有機スズ化合物および溶媒を含む。
【0015】
【化1】
【0016】
上記化学式1中、
~Xは、それぞれ独立して、OまたはSであり、
~Lは、それぞれ独立して、単結合、置換もしくは非置換の2価の炭素数1~20の飽和脂肪族炭化水素基、置換もしくは非置換の2価の炭素数3~20の飽和もしくは不飽和の脂環式炭化水素基、1つ以上の二重結合または三重結合を含む置換もしくは非置換の2価の炭素数2~20の不飽和脂肪族炭化水素基、置換もしくは非置換の2価の炭素数6~20の芳香族炭化水素基、-C(=O)-、またはこれらの組み合わせであり、
、R、R、R、R、RおよびR~Rは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、またはこれらの組み合わせであり、
は、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、またはこれらの組み合わせである。
【0017】
上記化学式1中のRは、置換もしくは非置換の炭素数3~20の分枝状アルキル基であってもよい。
【0018】
上記化学式1中のR~Rは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、またはこれらの組み合わせであってもよい。
【0019】
上記化学式1中のR~Rは、それぞれ独立して、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-へプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、iso-プロピル基、iso-ブチル基、iso-ペンチル基、iso-ヘキシル基、iso-へプチル基、iso-オクチル基、iso-ノニル基、iso-デシル基、sec-ブチル基、sec-ペンチル基、sec-ヘキシル基、sec-へプチル基、sec-オクチル基、tert-ブチル基、tert-ペンチル基、tert-ヘキシル基、tert-へプチル基、tert-オクチル基、tert-ノニル基、またはtert-デシル基であってもよい。
【0020】
上記化学式1中のL~Lは、それぞれ独立して、単結合、または置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキレン基であってもよい。
【0021】
上記化学式1中のR、R、R、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、または置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキル基であってもよい。
【0022】
上記化学式1中のX、XおよびXは、それぞれOであってもよい。
【0023】
上記化学式1中のX~Xは、それぞれOであってもよい。
【0024】
上記化学式1中の有機スズ化合物は、下記グループ1に列記された化合物の群より選択される化合物の1種であってもよい。
【0025】
【化2】
【0026】
上記半導体フォトレジスト用組成物の全質量100質量%を基準にして、前記有機スズ化合物の含有量は、1質量%~30質量%であってもよい。
【0027】
上記半導体フォトレジスト用組成物は、界面活性剤、架橋剤、レベリング剤、またはこれらの組み合わせの添加剤をさらに含むことができる。
【0028】
他の実施形態によるパターン形成方法は、基板の上にエッチング対象膜を形成する段階、エッチング対象膜の上に上述の半導体フォトレジスト用組成物を適用してフォトレジスト膜を形成する段階、上記フォトレジスト膜をパターニングしてフォトレジストパターンを形成する段階、および前記フォトレジストパターンをエッチングマスクとして用いて上記エッチング対象膜をエッチングする段階を含む。
【0029】
上記フォトレジストパターンを形成する段階は、波長5nm~150nmの光を使用することができる。
【0030】
上記パターン形成方法は、上記基板と上記フォトレジスト膜との間にレジスト下層膜を形成する段階をさらに含むことができる。
【0031】
上記フォトレジストパターンは、5nm~100nmの幅を有することができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明の一実施形態による半導体フォトレジスト用組成物は、ラインエッジ粗さは維持しながらも、感度が向上したフォトレジストパターンを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明の一実施形態による半導体フォトレジスト用組成物を用いたパターン形成方法を説明するための断面概略図である。
図2】本発明の一実施形態による半導体フォトレジスト用組成物を用いたパターン形成方法を説明するための断面概略図である。
図3】本発明の一実施形態による半導体フォトレジスト用組成物を用いたパターン形成方法を説明するための断面概略図である。
図4】本発明の一実施形態による半導体フォトレジスト用組成物を用いたパターン形成方法を説明するための断面概略図である。
図5】本発明の一実施形態による半導体フォトレジスト用組成物を用いたパターン形成方法を説明するための断面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、添付した図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。ただし、本発明を説明するのにおいて、既に公知の機能あるいは構成に関する説明は、本発明の要旨を明瞭にするために省略することにする。
【0035】
本発明を明確に説明するために説明上不必要な部分を省略し、明細書全体にわたって同一または類似の構成要素については同一な参照符号を付けるようにする。また、図面に示された各構成の大きさおよび厚さは説明の便宜のために任意に示したので、本発明が必ずしも図示されたところに限定されない。
【0036】
図面において様々な層および領域を明確に表現するために厚さを拡大して示した。そして図面において説明の便宜のために一部層および領域の厚さを誇張して示した。層、膜、領域、板などの部分が他の部分「の上に」または「上に」あるという時、これは他の部分「の直上に」ある場合だけでなく、その中間にまた他の部分がある場合も含む。
【0037】
本発明において、「置換」とは、水素原子が重水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、-NRR’(ここで、RおよびR’は、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1~30の飽和または不飽和の脂肪族炭化水素基、置換もしくは非置換の炭素数3~30の飽和または不飽和の脂環式炭化水素基、または置換もしくは非置換の炭素数6~30の芳香族炭化水素基である)、-SiRR’R”(ここで、R、R’、およびR”は、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1~30の飽和または不飽和の脂肪族炭化水素基、置換もしくは非置換の炭素数3~30の飽和または不飽和の脂環式炭化水素基、または置換もしくは非置換の炭素数6~30の芳香族炭化水素基である)、炭素数1~30のアルキル基、炭素数1~10のハロアルキル基、炭素数1~10のアルキルシリル基、炭素数3~30のシクロアルキル基、炭素数6~30のアリール基、炭素数1~20のアルコキシ基、またはこれらの組み合わせで置換されたことを意味する。「非置換」とは、水素原子が他の置換基で置換されずに水素原子として残っていることを意味する。
【0038】
本明細書において、「アルキル基」とは、別途の定義がない限り、直鎖状または分枝状の脂肪族炭化水素基を意味する。アルキル基は、いかなる二重結合や三重結合を含んでいない「飽和アルキル基」であってもよい。
【0039】
上記アルキル基は、炭素数1~10のアルキル基であってもよい。例えば、上記アルキル基は炭素数1~8のアルキル基、炭素数1~7のアルキル基、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~5のアルキル基、または炭素数1~4のアルキル基であってもよい。例えば、炭素数1~5のアルキル基は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、iso-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、または2,2-ジメチルプロピル基であってもよい。
【0040】
本発明において、「シクロアルキル基」とは、別途の定義がない限り、1価の環状脂肪族炭化水素基を意味する。
【0041】
シクロアルキル基は、炭素数3~10のシクロアルキル基、例えば、炭素数3~8のシクロアルキル基、炭素数3~7のシクロアルキル基、炭素数3~6のシクロアルキル基、炭素数3~5のシクロアルキル基、炭素数3~4のシクロアルキル基であってもよい。例えば、シクロアルキル基は、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基であってもよく、これらに制限されない。
【0042】
本明細書において、「アリール基」は、環状の置換基の全ての元素がp-軌道を有しており、これらp-軌道が共役を形成している置換基を意味し、単環または縮合多環(すなわち、炭素原子の隣接した対を共有する環)官能基を含む。
【0043】
本明細書において、「アルケニル基」とは、別途の定義がない限り、直鎖状または分枝状の脂肪族炭化水素基であって、1つ以上の二重結合を含んでいる脂肪族不飽和アルケニル基を意味する。
【0044】
本明細書において、「アルキニル基」とは、別途の定義がない限り、直鎖状または分枝状の脂肪族炭化水素基であって、1つ以上の三重結合を含む脂肪族不飽和アルキニル基を意味する。
【0045】
本明細書に記載された化学式中、t-Buまたはtert-Buは、tert-ブチル基を意味する。
【0046】
以下、本発明の一実施形態による半導体フォトレジスト用組成物を説明する。
【0047】
本発明の一実施形態による半導体フォトレジスト用組成物は、下記化学式1で表される有機スズ化合物および溶媒を含む。
【0048】
【化3】
【0049】
上記化学式1中、
~Xは、それぞれ独立して、OまたはSであり、
~Lは、それぞれ独立して、単結合、置換もしくは非置換の2価の炭素数1~20の飽和脂肪族炭化水素基、置換もしくは非置換の2価の炭素数3~20の飽和もしくは不飽和の脂環式炭化水素基、1つ以上の二重結合または三重結合を含む置換もしくは非置換の2価の炭素数2~20の不飽和脂肪族炭化水素基、置換もしくは非置換の2価の炭素数6~20の芳香族炭化水素基、-C(=O)-、またはこれらの組み合わせであり、
、R、R、R、R、RおよびR~Rは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、またはこれらの組み合わせであり、
は、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、またはこれらの組み合わせである。
【0050】
上記有機スズ化合物は、Snに直接結合するOまたはS以外にも2か所以上の配位結合部位を有するので、OまたはSの非共有電子対によって、分子間結合だけでなく分子内配位結合が誘導されて、無定形マトリックス形成に有利である。
【0051】
特に、4価に配位されたクラスター形態と比較して、追加の配位結合によってSnの配位数が満たされることで構造的にSn原子が隠される形態となるため、水分に対し安定性が向上し、クラスター内に含まれている酸素から誘発される核形成による凝集現象が防止され、長期保管安定性も増加できる。これにより、コーティング工程で欠陥が効果的に減少して、コーティング安定性にも影響を与えることができる。
【0052】
また、単分子の形態と比較して、分子間または分子内結合の強化によって基板との結着力が向上して薄膜安定性も向上できる。
【0053】
また、核形成による凝集現象が防止されることによって、スピンコーティング時に添加剤の使用がなくても非晶質形態にコーティングされ、これにより感度向上およびコーティング性が改善できる。
【0054】
一例として、上記化学式1中のRは、置換もしくは非置換の炭素数3~20の分枝状アルキル基であってもよい。
【0055】
分枝状アルキル基とは、金属に結合された炭素原子が、2級炭素、3級炭素または4級炭素である形態を意味し、例えば、iso-プロピル基、iso-ブチル基、iso-ペンチル基、iso-ヘキシル基、iso-へプチル基、iso-オクチル基、iso-ノニル基、iso-デシル基、sec-ブチル基、sec-ペンチル基、sec-ヘキシル基、sec-へプチル基、sec-オクチル基、tert-ブチル基、tert-ペンチル基、tert-ヘキシル基、tert-へプチル基、tert-オクチル基、tert-ノニル基、またはtert-デシル基であってもよい。
【0056】
一例として、上記化学式1中のR~Rは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、またはこれらの組み合わせであってもよい。
【0057】
具体的な一例として、上記化学式1中のR~Rは、それぞれ独立して、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-へプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、iso-プロピル基、iso-ブチル基、iso-ペンチル基、iso-ヘキシル基、iso-へプチル基、iso-オクチル基、iso-ノニル基、iso-デシル基、sec-ブチル基、sec-ペンチル基、sec-ヘキシル基、sec-へプチル基、sec-オクチル基、tert-ブチル基、tert-ペンチル基、tert-ヘキシル基、tert-へプチル基、tert-オクチル基、tert-ノニル基、またはtert-デシル基であってもよい。
【0058】
一例として、上記化学式1中のL~Lは、それぞれ独立して、単結合、または置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキレン基であってもよい。
【0059】
具体的な一例として、上記化学式1中のL~Lは、それぞれ独立して、単結合、または置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキレン基であってもよい。
【0060】
例えば、上記化学式1中のL~Lは、それぞれ独立して、単結合、または置換もしくは非置換の炭素数1~5のアルキレン基であってもよい。
【0061】
本発明の一実施形態では、上記化学式1中のL~Lは、それぞれ独立して、単結合、置換もしくは非置換のメチレン基、または置換もしくは非置換のエチレン基、置換もしくは非置換のトリメチレン基、または置換もしくは非置換のプロピレン基であってもよい。
【0062】
一例として、上記化学式1中のR、R、R、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、または置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキル基であってもよい。
【0063】
具体的な一例として、上記化学式1中のR、R、R、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、または置換もしくは非置換の炭素数1~5のアルキル基であってもよい。
【0064】
例えば、上記化学式1中のR、R、R、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、メチル基、エチル基、n-プロピル基、またはn-ブチル基であってもよい。
【0065】
一例として、上記化学式1中のX、XおよびXは、それぞれOであってもよい。
【0066】
一例として、上記化学式1中のX~Xは、それぞれOであってもよい。
【0067】
上記有機スズ化合物のさらに具体的な例としては、下記グループ1に列記された化合物が挙げられる。
【0068】
【化4】
【0069】
上記有機スズ化合物は、波長13.5nmの極端紫外線光を強く吸収して高エネルギーを有する光に対する感度が優れる。
【0070】
本発明の一実施形態による半導体フォトレジスト用組成物では、上記半導体フォトレジスト用組成物の全質量100質量%を基準にして、上記有機スズ化合物は1質量%~30質量%、例えば、1質量%~25質量%、例えば、1質量%~20質量%、例えば、1質量%~15質量%、例えば、1質量%~10質量%、例えば、1質量%~5質量%の含有量で含まれてもよく、これらに限定されない。有機スズ化合物が上記範囲の含有量で含まれる場合、半導体フォトレジスト用組成物の保管安定性および耐エッチング性が向上され、解像度特性が改善される。
【0071】
本発明の一実施形態による半導体フォトレジスト用組成物は上述の有機スズ化合物を含むことによって、優れた感度およびパターン形成性を有する半導体フォトレジスト用組成物を提供することができる。
【0072】
なお、上記の有機スズ化合物は、従来公知の合成方法を適宜参照して合成することができる。より具体的には、実施例に記載の合成方法を参照しながら、当業者であれば容易に合成することができる。
【0073】
本発明の一実施形態による半導体フォトレジスト用組成物に含まれる溶媒は、有機溶媒であってもよく、一例として、芳香族化合物類(例えば、キシレン、トルエン等)、アルコール類(例えば、4-メチル-2-ペンタノール、4-メチル-2-プロパノール、1-ブタノール、メタノール、イソプロピルアルコール、1-プロパノール等)、エーテル類(例えば、アニソール、テトラヒドロフラン等)、エステル類(酢酸n-ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸エチル、乳酸エチル等)、ケトン類(例えば、メチルエチルケトン、2-ヘプタノン等)、これらの混合物などを含むことができるが、これらに限定されるものではない。
【0074】
本発明の一実施形態では、上記半導体フォトレジスト用組成物は、上記有機スズ化合物、および溶媒以外に、追加的に樹脂をさらに含むことができる。
【0075】
上記樹脂としては、下記グループ2に列記された芳香族モイエティのうち少なくとも1種を含むフェノール系樹脂であってもよい。
【0076】
【化5】
【0077】
上記樹脂は、重量平均分子量が500~20,000であってもよい。なお、樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定することができる。
【0078】
当該樹脂は、半導体レジスト用組成物の総質量に対して0.1質量%~50質量%の含有量で含まれてもよい。
【0079】
上記樹脂が上記含有量の範囲で含まれる場合、優れた耐エッチング性および耐熱性を有することができる。
【0080】
一方、本発明の一実施形態による半導体レジスト用組成物は、上述の有機スズ化合物、溶媒、および樹脂からなることが好ましい。ただし、上述の実施形態による半導体レジスト用組成物は、場合によって添加剤をさらに含むことができる。上記添加剤の例示としては、界面活性剤、架橋剤、レベリング剤、有機酸、抑制剤(quencher)、またはこれらの組み合わせが挙げられる。
【0081】
界面活性剤は、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルピリジニウム塩、ポリエチレングリコール、第4級アンモニウム塩、またはこれらの組み合わせを使用することができるが、これらに限定されるものではない。
【0082】
架橋剤は、例えば、メラミン系架橋剤、置換尿素系架橋剤、アクリル系架橋剤、エポキシ系架橋剤、またはポリマー系架橋剤などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。少なくとも2つの架橋形成置換基を有する架橋剤であって、例えば、メトキシメチル化グリコルリル、ブトキシメチル化グリコルリル、メトキシメチル化メラミン、ブトキシメチル化メラミン、メトキシメチル化ベンゾグアナミン、ブトキシメチル化ベンゾグアナミン、4-ヒドロキシブチルアクリレート、アクリル酸、ウレタンアクリレート、アクリルメタクリレート、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル、グリシドール、ジグリシジル1,2-シクロヘキサンジカルボキシレート、トリメチルプロパントリグリシジルエーテル、1,3-ビス(グリシドキシプロピル)テトラメチルジシロキサン、メトキシメチル化尿素、ブトキシメチル化尿素、またはメトキシメチル化チオ尿素などの化合物を使用することができる。
【0083】
レベリング剤は、印刷時のコーティング平坦性を向上させるためのものであって、商業的な方法で入手可能な公知のレベリング剤を使用することができる。
【0084】
有機酸はp-トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-ドデシルベンゼンスルホン酸、1,4-ナフタレンジスルホン酸、メタンスルホン酸、フルオロ化スルホニウム塩、マロン酸、クエン酸、プロピオン酸、メタクリル酸、シュウ酸、乳酸、グリコール酸、コハク酸、またはこれらの組み合わせであってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0085】
抑制剤(quencher)は、ジフェニル(p-トリル)アミン、メチルジフェニルアミン、トリフェニルアミン、フェニレンジアミン、ナフチルアミン、ジアミノナフタレン、またはこれらの組み合わせであってもよい。
【0086】
これらの添加剤の使用量は所望の物性によって容易に調節することができ、また、添加してなくてもよい。
【0087】
また、上記半導体レジスト用組成物は、基板との密着力などの向上のために(例えば、半導体レジスト用組成物の基板との密着力向上のために)、密着性増進剤としてシランカップリング剤をさらに使用することができる。シランカップリング剤の例としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリス(β-メトキシエトキシ)シラン;または3-メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、p-スチリルトリメトキシシラン、3-メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン;トリメトキシ[3-(フェニルアミノ)プロピル]シランなどの炭素-炭素不飽和結合含有シラン化合物などを使用することができるが、これらに限定されるものではない。
【0088】
上記半導体フォトレジスト用組成物は高いアスペクト比を有するパターンを形成してもパターン崩壊が発生しないか、ほとんど発生しなくなる。したがって、例えば、5nm~100nmの幅を有する微細パターン、例えば、5nm~80nmの幅を有する微細パターン、例えば、5nm~70nmの幅を有する微細パターン、例えば、5nm~50nmの幅を有する微細パターン、例えば、5nm~40nmの幅を有する微細パターン、例えば、5nm~30nmの幅を有する微細パターン、例えば、5nm~20nmの幅を有する微細パターンを形成するために、5nm~150nm波長の光を使用するフォトレジスト工程、例えば、5nm~100nm波長の光を使用するフォトレジスト工程、例えば、5nm~80nm波長の光を使用するフォトレジスト工程、例えば、5nm~50nm波長の光を使用するフォトレジスト工程、例えば、5nm~30nm波長の光を使用するフォトレジスト工程、例えば、5nm~20nm波長の光を使用するフォトレジスト工程に使用することができる。したがって、本発明の一実施形態による半導体フォトレジスト用組成物を使用すれば、波長13.5nmのEUV光源を使用する極端紫外線リソグラフィを実現することができる。
【0089】
一方、本発明の他の一実施形態によれば、上述の半導体フォトレジスト用組成物を使用してパターンを形成する方法が提供され得る。一例として、製造されたパターンは、フォトレジストパターンであってもよい。
【0090】
本発明の一実施形態によるパターン形成方法は、基板の上にエッチング対象膜を形成する段階、上記エッチング対象膜の上に上述の半導体フォトレジスト用組成物を塗布してフォトレジスト膜を形成する段階、上記フォトレジスト膜をパターニングしてフォトレジストパターンを形成する段階、および上記フォトレジストパターンをエッチングマスクとして用いて上記エッチング対象膜をエッチングする段階を含む。
【0091】
以下、上述の半導体フォトレジスト用組成物を使用してパターンを形成する方法について、図1~5を参照して説明する。図1図5は、本発明による半導体フォトレジスト用組成物を用いたパターン形成方法を説明するための断面概略図である。
【0092】
図1を参照すれば、まずエッチング対象物を準備する。エッチング対象物の例としては、半導体基板100上に形成される薄膜102であってもよい。以下では、エッチング対象物が薄膜102である場合に限って説明する。前記薄膜102上に残留する汚染物などを除去するために薄膜102の表面を洗浄する。薄膜102は、例えば、シリコン窒化膜、ポリシリコン膜またはシリコン酸化膜であってもよい。
【0093】
次に、洗浄された薄膜102の表面上にレジスト下層膜104を形成するためのレジスト下層膜形成用組成物をスピンコーティング方式を適用してコーティングする。ただし、本発明が必ずしもこれに限定されるものではなく、公知の多様なコーティング方法、例えば、スプレーコーティング、ディップコーティング、ナイフエッジコーティング、例えば、インクジェット印刷およびスクリーン印刷等の印刷法などを用いることもできる。
【0094】
上記レジスト下層膜コーティングの工程は省略することができるが、以下ではレジスト下層膜をコーティングする場合について説明する。
【0095】
その後、乾燥およびベーキング工程を行って薄膜102上にレジスト下層膜104を形成する。ベーキング処理は、100~500℃で行い、例えば100℃~300℃で行うことができる。
【0096】
レジスト下層膜104は、基板100とフォトレジスト膜106との間に形成されて、基板100とフォトレジスト膜106との界面または層間のハードマスクから反射される照射線が、意図されないフォトレジスト領域に散乱する場合、フォトレジスト線幅の不均一およびパターン形成性を妨害するのを防止することができる。
【0097】
図2を参照すれば、レジスト下層膜104の上に上述の半導体フォトレジスト用組成物をコーティングしてフォトレジスト膜106を形成する。フォトレジスト膜106は、基板100上に形成された薄膜102の上に上述の半導体フォトレジスト用組成物をコーティングした後、熱処理工程により硬化した形態であってもよい。
【0098】
より具体的には、半導体フォトレジスト用組成物を使用してパターンを形成する段階は、上述の半導体レジスト用組成物を薄膜102が形成された基板100上にスピンコーティング、スリットコーティング、インクジェット印刷などの方法により塗布する工程、および塗布された半導体フォトレジスト用組成物を乾燥してフォトレジスト膜106を形成する工程、を含むことができる。
【0099】
半導体フォトレジスト用組成物についてはすでに詳しく説明したので、重複する説明は省略する。
【0100】
次に、フォトレジスト膜106が形成されている基板100を加熱する第1ベーキング工程を行う。第1ベーキング工程は、80℃~120℃の温度で行うことができる。
【0101】
図3を参照すれば、フォトレジスト膜106を選択的に露光する。
【0102】
一例として、露光工程で使用できる光の例としては、i線(波長365nm)、KrFエキシマレーザ(波長248nm)、ArFエキシマレーザ(波長193nm)などの短波長を有する光だけでなく、EUV(Extreme UltraViolet;波長13.5nm)、E-Beam(電子ビーム)などの高エネルギー波長を有する光などが挙げられる。
【0103】
より具体的には、本発明の一実施形態による露光用の光は、5nm~150nmの波長範囲を有する短波長光であってもよく、EUV(Extreme UltraViolet;波長13.5nm)、E-Beam(電子ビーム)などの高エネルギー波長を有する光であってもよい。
【0104】
フォトレジスト膜106中の露光された領域106bは、有機金属化合物間の縮合などの架橋反応等によって重合体を形成することにより、フォトレジスト膜106の未露光の領域106aと互いに異なる溶解度を有するようになる。
【0105】
次に、基板100に第2ベーキング工程を行う。第2ベーキング工程は、90℃~200℃の温度で行うことができる。第2ベーキング工程を行うことによって、フォトレジスト膜106の露光された領域106bは、現像液に溶解し難い状態となる。
【0106】
図4には、現像液を用いて、未露光の領域に該当するフォトレジスト膜106aを溶解させて除去することによって形成されたフォトレジストパターン108が示されている。具体的には、2-ヘプタノンなどの有機溶媒を使用して、未露光の領域に該当するフォトレジスト膜106aを溶解させた後に除去することによって、ネガティブトーンイメージに該当するフォトレジストパターン108が完成する。
【0107】
先に説明したように、本発明の一実施形態によるパターン形成方法で使用される現像液は、有機溶媒であってもよい。本発明の一実施形態によるパターン形成方法で使用される有機溶媒の一例としては、メチルエチルケトン、アセトン、シクロヘキサノン、2-ヘプタノンなどのケトン類、4-メチル-2-プロパノール、1-ブタノール、イソプロパノール、1-プロパノール、メタノールなどのアルコール類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸エチル、乳酸エチル、酢酸n-ブチル、γ-ブチロラクトンなどのエステル類、ベンゼン、キシレン、トルエンなどの芳香族化合物、またはこれらの組み合わせが挙げられる。
【0108】
ただし、本発明によるフォトレジストパターンが必ずしもネガティブトーンイメージに形成されることに制限されるわけではなく、ポジティブトーンイメージを有するように形成されてもよい。この場合、ポジティブトーンイメージ形成のために使用できる現像剤としては水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラプロピルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム、またはこれらの組み合わせのような第4級アンモニウム水酸化物の組成物などが挙げられる。
【0109】
先に説明したように、i線(波長365nm)、KrFエキシマレーザ(波長248nm)、ArFエキシマレーザ(波長193nm)などの波長を有する光だけでなく、EUV(Extreme UltraViolet;波長13.5nm)、E-Beam(電子ビーム)などの高エネルギーを有する光などによって露光されて形成されたフォトレジストパターン108は5nm~100nmの幅を有することができる。一例として、フォトレジストパターン108は、5nm~90nm、5nm~80nm、5nm~70nm、5nm~60nm、5nm~50nm、5nm~40nm、5nm~30nm、5nm~20nmの幅に形成することができる。
【0110】
一方、フォトレジストパターン108は、50nm以下、例えば40nm以下、例えば30nm以下、例えば20nm以下、例えば15nm以下のハーフピッチおよび、10nm以下、5nm以下、3nm以下、2nm以下の線幅粗さを有するピッチを有することができる。
【0111】
次に、フォトレジストパターン108をエッチングマスクにしてレジスト下層膜104をエッチングする。上記のようなエッチング工程で有機膜パターン112が形成される。形成された有機膜パターン112もフォトレジストパターン108に対応する幅を有することができる。
【0112】
図5を参照すれば、フォトレジストパターン108をエッチングマスクとして適用して露出された薄膜102をエッチングする。その結果、薄膜102は、薄膜パターン114として形成される。
【0113】
薄膜102のエッチングは、例えばエッチングガスを使用した乾式エッチングで行うことができ、エッチングガスは例えばCHF、CF、Cl、BCl、またはこれらの混合ガスを使用することができる。
【0114】
EUV光源を使用して行われた露光工程において形成されたフォトレジストパターン108を用いて形成された薄膜パターン114は、フォトレジストパターン108に対応する幅を有することができる。一例として、フォトレジストパターン108と同様に、5nm~100nmの幅を有することができる。例えば、EUV光源を使用して行われた露光工程によって形成された薄膜パターン114は、フォトレジストパターン108と同様に、5nm~90nm、5nm~80nm、5nm~70nm、5nm~60nm、5nm~50nm、5nm~40nm、5nm~30nm、5nm~20nmの幅を有することができ、より具体的に、20nm以下の幅に形成することができる。
【実施例0115】
以下、上述の半導体フォトレジスト用組成物の製造に関する実施例を通じて本発明をさらに詳しく説明する。しかし、下記実施例によって本発明の技術的特徴が限定されるものではない。
【0116】
(有機スズ化合物の合成)
(合成例1)
250mLの2口丸底フラスコにtert-BuSn[N(CH20g(64.7mmol)を200mlのトルエンに溶かし、ドライアイスバス(Dryice bath)で温度を-20℃に低下させた。その後、2-メトキシエタノール14.8g(200.0mmol)を徐々に滴下し、室温まで徐々に昇温させた。その後、120℃で6時間還流して、下記化学式1aで表される化合物tert-BuSn(O(CHOCHを得た。
【0117】
【化6】
【0118】
(合成例2)
2-メトキシエタノールの代わりに1-メトキシプロパノール18g(200.0mmol)を使用したことを除いては合成例1と同様に実施して、下記化学式2aで表される化合物tert-BuSn(O(iPr)OCHを得た。
【0119】
【化7】
【0120】
(合成例3)
2-メトキシエタノールの代わりに3-メトキシプロパノール18g(200.0mmol)を使用したことを除いては合成例1と同様に実施して、下記化学式3aで表される化合物tert-BuSn(O(CHOCHを得た。
【0121】
【化8】
【0122】
(比較合成例1)
250mLの2口丸底フラスコにPhSnCl 20g(51.9mmol)を70mlのTHFに溶かし、氷浴で温度を0℃に低下させた。その後、tert-ブチルマグネシウムクロライド(tert-BuMgCl)1M THF溶液(62.3mmol)を徐々に滴下した。滴下が完了した後、25℃で12時間攪拌して、BuSnPh化合物を得た。
【0123】
その後、BuSnPh(10g、24.6mmol)を50mLのCHClに溶かし、3当量の2M HCl ジエチルエーテル溶液(73.7mmol)を-78℃で30分間徐々に滴下した。その後、25℃で12時間攪拌後に溶媒を濃縮し、真空蒸留して、BuSnCl化合物を得た。
【0124】
その後、化合物10g(25.6mmol)に25mLのプロピオン酸を25℃で徐々に滴下した後、12時間加熱還流した。温度を25℃に上げた後、酢酸を真空留去して、最終的にtert-BuSn(OCOC化合物を得た。
【0125】
(比較合成例2)
250mLの2口丸底フラスコにSnCl 20g(77mmol)を100mlのトルエンに溶かし、ドライアイスバスで温度を-30℃に低下させた。その後、tert-BuLi 77mmol(1.7M ペンタン溶液)を徐々に滴下後、室温まで徐々に昇温する。その後、再度ドライアイスバスにより温度を-30℃まで低下させ、アルゴン雰囲気のグローブボックスで計量したリチウムジエチルアミド17.4g(220mmol)をTHFに溶かした後、PTFE材質のカニューレを用いて徐々にデカンテーションを行った。室温まで徐々に昇温しながら、3時間攪拌後、ガラスフィルター(G4)を使用してAr雰囲気でろ過を行った。真空を用いて溶媒を除去し、化合物tert-BuSn[N(Cを得た。
【0126】
(比較合成例3)
2-メトキシエタノールの代わりにエタノール9.214g(200.0mmol)を使用したことを除いては、合成例1と同様に実施して化合物tert-BuSn(OCを得た。
【0127】
(実施例1~実施例5、および比較例1~比較例3:半導体フォトレジスト用組成物の製造)
合成例1~合成例3および比較合成例1~比較合成例3で得られた化合物を下記表1に記載された質量比で1-メチル-2-プロピルアセテートに3質量%の濃度で溶かし、0.1μm PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)シリンジフィルターによってろ過して、半導体フォトレジスト用組成物を製造した。
【0128】
【表1】
【0129】
(フォトレジスト膜の形成)
自然酸化膜表面を有する直径8インチの円形シリコンウェーハを薄膜蒸着用基板として使用し、上記薄膜を蒸着する前にウェーハをUVオゾンクリーニングシステムで10分間処理した。処理された基板上に実施例1~実施例5、および比較例1~比較例3による半導体フォトレジスト用組成物を1500rpmで30秒間スピンコーティングし、160℃で60秒間ベーク(ポストベーク、PAB)して薄膜を形成した。
【0130】
その後、偏光解析法により、コーティングおよびベーク後のフィルムの厚さを測定した結果、25nmであった。
【0131】
(評価1:コーティング性評価)
コーティング方法によって製造された実施例1~実施例5および比較例1~比較例3によるフォトレジスト膜に対して、原子間力顕微鏡法(AFM)を使用して表面粗さ(Rq値)を測定し、その結果を下記表2に示した。
【0132】
(評価2:感度およびラインエッジ粗さ(LER)評価)
直径が500μmである50個の円形パッド直線アレイに、EUV光を微小面積露光装置(Lawrence Berkeley National Laboratory Micro Exposure Tool、MET)を使用して、実施例1~実施例5、および比較例1~比較例3のフォトレジスト用組成物がコーティングされたウェーハに投射した。パッド露出時間を調節してEUV増加線量が各パッドに適用されるようにした。
【0133】
その後、レジストと基板をホットプレート上で160℃で120秒間、露光後ベーク(PEB)を行った。ベークしたフィルムを現像液(2-ヘプタノン)にそれぞれ30秒間浸漬させた後、同じ現像剤でさらに10秒間洗浄して、ネガティブトーンイメージを形成、すなわち、非露光のコーティング部分を除去した。最終的に150℃、2分間ホットプレートでの焼成を行って工程を終結した。
【0134】
偏光解析法を使用して露出されたパッドの残留したレジスト膜の厚さを測定した。露光量に対して残っている厚さを測定し、露光量に対する関数でグラフ化して、レジストの種類別にDg(現像が完了するエネルギーレベル、感度)を測定して下記表2に示した。
【0135】
また、電界放出形走査電子顕微鏡(FE-SEM)の画像から確認された、形成された線のラインエッジ粗さ(LER)を測定し、結果を下記表2に示した。
【0136】
(評価3:保管安定性評価)
実施例1~実施例5および比較例1~比較例3によって製造された半導体フォトレジスト用組成物に対して初期感度値と組成物を常温(25℃)で4週間放置した後の感度値を測定して下記のような式に基づいて保管安定性を評価した。下記の数式1の値が低いほど、保管安定性に優れる。
【0137】
【数1】
【0138】
【表2】
【0139】
表2の結果から、実施例1~実施例5による半導体フォトレジスト用組成物はコーティング性と保管安定性に優れ、これらの半導体フォトレジスト用組成物から形成されたパターンは、比較例1~比較例3に対比してラインエッジ粗さは大きく増加せずに、優れた感度を有することを確認することができる。
【0140】
以上、本発明の特定の実施例が説明され図示されたが、本発明は記載された実施例に限定されるものではなく、本発明の思想および範囲を逸脱せず、多様に修正および変形できることは、この技術の分野における通常の知識を有する者に自明なことである。したがって、そのような修正例または変形例は、本発明の技術的な思想や観点から個別的に理解されてはならず、変形された実施例は、本発明の特許請求の範囲に属すると言うべきである。
【符号の説明】
【0141】
100 基板
102 薄膜
104 レジスト下層膜
106 フォトレジスト膜
106a 未露光の領域
106b 露光された領域
108 フォトレジストパターン
112 有機膜パターン
110 パターン化されたハードマスク
114 薄膜パターン
図1
図2
図3
図4
図5