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  • 特開-発光素子 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024072849
(43)【公開日】2024-05-28
(54)【発明の名称】発光素子
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/32 20100101AFI20240521BHJP
   H01S 5/343 20060101ALI20240521BHJP
【FI】
H01L33/32
H01S5/343 610
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024038017
(22)【出願日】2024-03-12
(62)【分割の表示】P 2021146483の分割
【原出願日】2021-09-08
(71)【出願人】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100138863
【弁理士】
【氏名又は名称】言上 惠一
(74)【代理人】
【識別番号】100187584
【弁理士】
【氏名又は名称】村石 桂一
(72)【発明者】
【氏名】白▲濱▼ 達夫
(72)【発明者】
【氏名】岩生 直也
(72)【発明者】
【氏名】兼平 真吾
(72)【発明者】
【氏名】福森 孝典
(57)【要約】
【課題】高い光取り出し効率を有する発光素子を提供する。
【解決手段】n側半導体層と、p側半導体層と、n側半導体層とp側半導体層との間に配置され井戸層を含む活性層と、を含む窒化物半導体からなる半導体構造体を含む発光素子であって、p側半導体層は、活性層側から順に、Ga、Al、及びInを含む第1層と、Ga及びAlを含み、第1層の厚さよりも薄い第2層と、Gaを含む第3層と、を有し、第2層のバンドギャップエネルギーは、井戸層のバンドギャップエネルギーよりも大きく、第3層のp型不純物濃度は、第1層のp型不純物濃度よりも高く、第2層のAl組成比は、第1層のAl組成比よりも大きい発光素子。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
n側半導体層と、p側半導体層と、前記n側半導体層と前記p側半導体層との間に配置され井戸層を含む活性層と、を含む窒化物半導体からなる半導体構造体を含む発光素子であって、
前記p側半導体層は、前記活性層側から順に、Ga、Al、及びInを含む第1層と、Ga及びAlを含み、前記第1層の厚さよりも薄い第2層と、Gaを含む第3層と、を有し、
前記第2層のバンドギャップエネルギーは、前記井戸層のバンドギャップエネルギーよりも大きく、
前記第3層のp型不純物濃度は、前記第1層のp型不純物濃度よりも高く、
前記第2層のAl組成比は、前記第1層のAl組成比よりも大きい発光素子。
【請求項2】
前記第1層のバンドギャップエネルギーは、前記井戸層のバンドギャップエネルギーよりも大きい請求項1に記載の発光素子。
【請求項3】
前記第2層のp型不純物濃度は、前記第1層のp型不純物濃度よりも高い請求項1又は2に記載の発光素子。
【請求項4】
前記第2層のp型不純物濃度は、前記第3層のp型不純物濃度よりも低い請求項1~3のいずれか1つに記載の発光素子。
【請求項5】
前記p側半導体層は、前記活性層と前記第1層の間に配置され、Gaを含む第4層をさらに含み、
前記第4層の厚さは、前記第1層よりも厚い請求項1~4のいずれか1つに記載の発光素子。
【請求項6】
前記第1層のAl組成比と前記第2層のAl組成比との差は5%以上10%以下である請求項1~5のいずれか1つに記載の発光素子。
【請求項7】
前記第2層の厚さは、前記第2層及び前記第3層の合計厚さの60%以上80%以下である請求項1~6のいずれか1つに記載の発光素子。
【請求項8】
前記活性層が発する光の発光ピーク波長は、430nm以上490nm以下である請求項1~7のいずれか1つに記載の発光素子。
【請求項9】
前記n側半導体層と電気的に接続されたn電極と、
前記第3層と電気的に接続されたp電極と、を有する請求項1~8のいずれか1つに記載の発光素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光素子に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数の窒化物半導体からなる層を積層させた発光素子が開示されている。このような発光素子において、光取り出し効率を向上することが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-077480号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の一実施形態は、高い光取り出し効率を有する発光素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施形態に係る発光素子は、n側半導体層と、p側半導体層と、前記n側半導体層と前記p側半導体層との間に配置され井戸層を含む活性層と、を含む窒化物半導体からなる半導体構造体を含む発光素子であって、前記p側半導体層は、前記活性層側から順に、Ga、Al、及びInを含む第1層と、Ga及びAlを含み、前記第1層の厚さよりも薄い第2層と、Gaを含む第3層と、を有し、前記第2層のバンドギャップエネルギーは、前記井戸層のバンドギャップエネルギーよりも大きく、前記第3層のp型不純物濃度は、前記第1層のp型不純物濃度よりも高く、前記第2層のAl組成比は、前記第1層のAl組成比よりも大きい。
【発明の効果】
【0006】
本発明の一実施形態によれば、高い光取り出し効率を有する発光素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の一実施形態に係る発光素子の構成を示す模式断面図である。
図2A】本発明の一実施形態に係る発光素子の構成を示す模式断面図である。
図2B】本発明の一実施形態に係る発光素子の構成を示す模式断面図である。
図3】本発明の一実施形態に係る発光素子のバンド構造を模式的に示すバンドダイヤグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明に係る発光素子の実施形態について説明する。なお、以下の説明において参照する図面は、本発明を概略的に示したものであるため、各部材のスケールや間隔、位置関係などが誇張、あるいは、部材の一部の図示が省略されている場合がある。また、以下の説明では、同一の名称及び符号については原則として同一又は同質の部材を示しており、詳細な説明を適宜省略することとする。
【0009】
図1は、発光素子1の模式断面図である。図2A及び図2Bは、p側半導体層40の積層構造を示す模式断面図である。図3は、活性層30及びp側半導体層40のバンド構造を模式的に示すバンドダイヤグラムである。
【0010】
図1に示すように、発光素子1は、基板10と、基板10上に配置された半導体構造体100を有する。半導体構造体100は、n側半導体層20と、p側半導体層40と、n側半導体層20とp側半導体層40との間に位置する活性層30と、を含む。発光素子1は、n側半導体層20に電気的に接続されたn電極51と、p側半導体層40に電気的に接続されたp電極52と、を有する。
【0011】
基板10の材料は、例えば、サファイア、シリコン、SiC、GaNなどを用いることができる。基板10上に半導体構造体100との間にバッファ層を配置してよい。バッファ層としては、例えば、AlGaNやAlNからなる層を用いることができる。基板10は、最終的に取り除いてよい。
【0012】
半導体構造体100は、窒化物半導体からなる複数の半導体層が積層された積層体である。窒化物半導体は、InAlGa1-x-yN(0≦x≦1,0≦y≦1,x+y≦1)からなる化学式において組成比x及びyをそれぞれの範囲内で変化させた全ての組成の半導体を含み得る。
【0013】
下地層22は、基板10とn側半導体層20との間に配置されている。下地層22は、例えば、アンドープのGaN層である。下地層22の厚さは、例えば、5μm以上10μm以下とすることができる。なお、下地層22は、配置しなくてもよい。ここで、アンドープの層とは、n型不純物やp型不純物を意図的にドープしていない層である。アンドープの層がn型不純物及び/又はp型不純物を意図的にドープした層と隣接している場合は、その隣接した層からの拡散等によって、アンドープの層にn型不純物及び/又はp型不純物が含まれる場合がある。なお、本明細書において各半導体層の厚さとは、半導体構造体100の積層方向における厚さである。
【0014】
n側半導体層20は、1以上のn型半導体層を含む。n型半導体層としては、シリコン(Si)やゲルマニウム(Ge)等のn型不純物を含有する半導体層が挙げられる。n型半導体層は、例えば、ガリウム(Ga)及び窒素(N)を含むGaNからなる層であり、インジウム(In)、アルミニウム(Al)を含んでいてもよい。例えば、Siをn型不純物として含むn型半導体層のn型不純物濃度は、1×1018/cm以上2×1019/cm以下である。n側半導体層20は、電子を供給する機能を有していればよく、アンドープの層を含んでいてもよい。また、n側半導体層20は、異なる材料からなる複数の半導体層が交互に積層された超格子層を含んでいてもよい。
【0015】
n側半導体層20は、他の半導体層が配置されていない上面を有する。他の半導体層が配置されていないn側半導体層20の上面にn電極51が配置される。
【0016】
活性層30は、n側半導体層20とp側半導体層40との間に配置されている。活性層30は、井戸層31及び障壁層32を含む。活性層30は、例えば、複数の井戸層31と、複数の障壁層32とを含む多重量子井戸構造を有する。図3に示すように、障壁層32のバンドギャップエネルギーは、井戸層31のバンドギャップエネルギーよりも大きい。
活性層30に含まれる井戸層31から、その井戸層31のバンドギャップエネルギーに応じた波長の光が出射される。複数の井戸層31には、例えば、InGaN、GaN、AlGaNからなる層を用いる。複数の障壁層には、例えば、GaNやAlGaNからなる層を用いる。活性層30に含まれる井戸層31及び障壁層32は、例えば、アンドープの層である。活性層30に含まれる井戸層31及び障壁層32の少なくとも一部にn型不純物及び/又はp型不純物を含有してもよい。
【0017】
活性層30が発する光は、例えば、紫外光又は可視光である。活性層30は、例えば、可視光として青色光や緑色光を発することができる。青色光の発光ピーク波長は、430nm以上490nm以下である。緑色光の発光ピーク波長は、500nm以上540nm以下である。紫外光の発光ピーク波長は、400nm以下である。
【0018】
p側半導体層40は、1以上のp型半導体層を含む。p型半導体層としては、マグネシウム(Mg)等のp型不純物を含有する半導体層が挙げられる。図2Aに示すように、p側半導体層40は、活性層30側から順に、第1層41と、第2層42と、第3層43と、を有する。p側半導体層40は、さらに、活性層30と第1層41との間に配置された第4層44と、活性層30と第4層44との間に配置された第5層45と、を有する。
【0019】
第1層41は、Ga、Al、及びInを含む半導体層である。第2層42は、Ga及びAlを含む半導体層である。第3層43は、Gaを含む半導体層である。第4層44は、Gaを含む半導体層である。第5層45は、Ga、Alを含む半導体層を有している。第1層41は、例えばAlInGaNからなる層である。第2層42は、例えば、AlGaNからなる層である。第3層43は、例えば、GaNからなる層である。第4層44は、例えば、GaNからなる層である。第5層45は、例えば、AlGaNやGaNからなる層を含む。
【0020】
活性層30上にGa、Al、及びInを含む半導体層からなる第1層41を配置することで、活性層30を形成した後の半導体層の上面に形成されたVピットを埋め込みやすくできる。これは、第1層41を形成する際、Al及びInが含まれることでVピット内での成長が促され、例えば、GaNからなる層を形成する場合に比べて、Vピットが埋め込まれやすくなったことが要因であると推測される。なお、Vピットとは半導体層の上面に形成される凹部のことである。このようなVピットが埋め込まれやすくなることで、活性層30の上面が露出された状態で第1層41、第2層42、及び第3層43が形成されることによる活性層30への熱ダメージが低減される。その結果、活性層30の結晶性の悪化が低減されることで発光素子1の発光効率を高くすることができる。
【0021】
第3層43のp型不純物濃度は、第1層41のp型不純物濃度よりも高い。第3層43のp型不純物濃度を高くすることで、p側半導体層40から活性層30にホールを供給しやすくし、発光素子1の発光効率を高くすることができる。また、第2層42及び第3層43のp型不純物濃度は、第1層41のp型不純物濃度よりも高いことが好ましい。これにより、第3層43のみを配置する場合よりも、さらにp側半導体層40から活性層30にホールを供給しやすくできる。第2層42及び第3層43のp型不純物濃度は、例えば、1×1020/cm以上5×1020/cm以下である。第1層41は、例えば、アンドープの層からなる。第1層41のp型不純物濃度は、例えば、5×1018/cm以上3×1019/cm以下である。
【0022】
第2層42のp型不純物濃度は、第3層43のp型不純物濃度よりも低いことが好ましい。第2層42のp型不純物濃度を低くすることで、高い濃度でp型不純物が含まれることによる第2層42における光の透過率の低下を低減できる。そのため、第2層42及び第3層43のp型不純物濃度を同じとする場合に比べて、第2層42により活性層30が発する光が吸収されることを低減でき、光取り出し効率を高くすることができる。第2層42のp型不純物濃度を、第3層43のp型不純物濃度よりも低くする場合、例えば、第2層42のp型不純物濃度を、第3層43のp型不純物濃度の60%以上80%以下とすることができる。具体的には、第2層42のp型不純物濃度を1×1020/cm以上3×1020/cm以下とし、第3層43のp型不純物濃度を3×1020/cm以上5×1020/cm以下とすることができる。
【0023】
第2層42は、Alを含む半導体層からなり、図3に示すように、活性層30の井戸層31のバンドギャップエネルギーよりも大きいバンドギャップエネルギーを有する。第2層42は、例えば、InGaNからなる井戸層31に比べてバンドギャップエネルギーが大きく、活性層30が発する光が吸収されにくい半導体層である。このような第2層42を配置することで、活性層30が発する光の吸収を低減し、光取り出し効率を高くすることができる。また、第1層41及び第2層42は、図3に示すように、活性層30の井戸層31のバンドギャップエネルギーよりも大きいバンドギャップエネルギーを有することが好ましい。このような第1層41を配置することで、上述した第2層42と同様に、活性層30が発する光の吸収を低減し、光取り出し効率を高くすることができる。なお、活性層30の井戸層31のバンドギャップエネルギーは、活性層30が発する光の発光ピーク波長から算出する。例えば、活性層30が発する光の発光ピーク波長が450nmである場合、活性層30の井戸層31のバンドギャップエネルギーは、バンドギャップエネルギー[eV]=1240/発光ピーク波長[nm]から約2.76eVと算出する。また、各半導体層のバンドギャップエネルギーは、半導体層を構成する材料の組成比から算出する。
【0024】
第2層42のAl組成比は、第1層41のAl組成比よりも大きい。例えば、第1層41がInx1Aly1Ga1-x1-y1Nからなり、第2層42がInx2Aly2Ga1-x2-y2Nからなる場合、y1はy2よりも大きい。これにより、第2層42のバンドギャップエネルギーを第1層41のバンドギャップエネルギーよりも大きくし、第2層42により活性層30が発する光が吸収されることを低減できる。
【0025】
第2層42は第1層41よりもAl組成比が高い半導体層からなる。このような第2層42を、例えばGaN層上に形成する場合、第2層42とGaN層との格子定数差により格子緩和が生じ第2層42の結晶性が悪化するおそれがある。本実施形態では、第2層42をAl組成比が第2層42よりも低い第1層41上に形成することで、第1層41と第2層42との格子定数差を小さくし格子緩和の発生を低減している。これにより、第2層42及び第2層42上に配置される第3層43の結晶性を向上させることができる。
【0026】
第1層41のAl組成比と第2層42のAl組成比との差は5%以上10%以下とすることが好ましい。第1層41のAl組成比と第2層42のAl組成比との差を5%以上とすることで、活性層30が発する光が第2層42により吸収されることを低減しやすい。
第1層41のAl組成比と第2層42のAl組成比との差を10%以下とすることで、第1層41と第2層42とによる格子緩和の発生を低減し第2層42を結晶性よく形成することができる。
【0027】
第1層41のAl組成比は、例えば、1%以上4%以下とすることができる。第2層のAl組成比は、例えば、3%以上10%以下とすることができる。例えば、第1層41のAl組成比を3%程度とし、第2層42のAl組成比を8%程度とすることができる。
【0028】
第1層41のIn組成比は、1%以上3%以下とすることが好ましい。第1層41のIn組成比を1%以上とすることで、第4層44の上面に形成されたVピットを第1層41により埋め込む効果が得られやすい。第1層41のIn組成比を3%以下とすることで、第1層41の結晶性の悪化を低減することができる。
【0029】
第2層42の厚さは、第1層41の厚さよりも薄い。第1層41よりもAl組成比が大きく結晶性が悪くなりやすい第2層42を比較的薄く配置することでp側半導体層40の結晶性の悪化を低減することができる。
【0030】
第2層42の厚さは、第3層43の厚さ以上とすることができ、図2Bに示すように、第2層42の厚さは、第3層43の厚さよりも厚くすることが好ましい。これにより、第2層42と第3層43とを同じ厚さとする場合よりも、活性層30が発する光の吸収を低減できるので光取り出し効率を高くすることができる。第2層42の厚さは、例えば、第2層42及び第3層43の合計厚さの60%以上80%以下とすることができる。第2層42の厚さを、第2層42及び第3層43の合計厚さの60%以上とすることで、光取り出し効率を高くすることができる。第2層42の厚さを、第2層42及び第3層43の合計厚さの80%以下とすることで、Alを含み高いp型不純物濃度の第2層42を厚く配置することによる結晶性の悪化を低減することができる。第2層42の厚さは、例えば、6nm以上10nm以下とすることができる。第3層43の厚さは、例えば、8nm以上12nm以下とすることができる。
【0031】
第4層44は、第5層45の上面に配置される。第4層44は第1層41よりも厚いことが好ましい。第1層41は、第4層44の上面に配置される。活性層30を形成した後の半導体層の上面に形成されたVピットは、第4層44により埋め込まれ、第4層44の上面に形成されたVピットは、第1層41によりさらに埋め込まれる。そのため、第1層41を配置する前に、Gaを含み、第1層41よりも厚い第4層44を配置することで、活性層30を形成した後の半導体層の上面に形成されたVピットを、第1層41のみを配置する場合よりもより埋め込みやすくできる。第1層41の厚さは、例えば、15nm以上25nm以下とすることができる。第4層44の厚さは、例えば、20nm以上40nm以下とすることができる。なお、第4層44は、配置しなくてもよい。
【0032】
第4層44は、例えば、アンドープのGaNからなる層である。第4層44のp型不純物濃度は、例えば、5×1018/cm以上3×1019/cm以下である。なお、第4層44は配置しなくてもよい。
【0033】
第5層45は、活性層30の上面に配置される。第5層45は、キャリアを活性層30に閉じ込めるために配置される層である。第5層45は、例えば、p型不純物を含むGaN層と、p型不純物を含むAlGaN層とを有する積層構造とすることができる。第5層45のp型不純物濃度は、第1層41、第2層42、及び第3層43のp型不純物濃度よりも高いことが好ましい。第5層45のp型不純物濃度は、例えば、5×1019/cm以上3×1020/cm以下である。なお、第5層45は、配置しなくてもよい。
【0034】
第5層45に含まれるAlGaN層のAl組成比は、第1層41のAl組成比及び第2層42のAl組成比よりも高い。これにより、キャリアを活性層30に閉じ込めることができ発光効率を向上させることができる。図3に示すように、第5層45のバンドギャップエネルギーは、第2層42のバンドギャップエネルギーよりも大きい。第5層45に含まれるAlGaN層のAl組成比は、例えば、30%以上40%以下とすることが好ましい。第5層45の厚さは、例えば、10nm以上20nm以下とすることができる。
【0035】
n電極51は、n側半導体層20上に配置され、n側半導体層20と電気的に接続される。p電極52は、p側半導体層40の第3層43上に配置され、p側半導体層40と電気的に接続される。n電極51及びp電極52の材料は、例えば、Ag、Al、Ni、Rh、Au、Cu、Ti、Pt、Pd、Mo、Cr、Wなどの金属、又はこれらの金属を主成分とする合金を用いることができる。n電極51及びp電極52は、例えば、Ti層と、Au層とを含む積層構造とすることができる。
【0036】
n電極51とp電極52との間に、順方向電圧を印加すると、p側半導体層40とn側半導体層20との間に順方向電圧が印加され、活性層30にホールおよび電子が供給されることで活性層30が発光する。
【0037】
以上、説明した通り、本実施形態の発光素子によれば、井戸層31よりもバンドギャップエネルギーの大きい第1層41及び第2層42を配置することで光取り出し効率を高くすることができる。さらに、第1層41により、活性層30上を形成した後の半導体層の上面に形成されたVピットが埋め込まれやすくなることで、活性層30への熱ダメージを低減され発光素子1の発光効率を高くすることができる。
【0038】
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。本発明の上述した実施形態を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての形態も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものである。
【符号の説明】
【0039】
1 発光素子
10 基板
20 n側半導体層
22 下地層
30 活性層
31 井戸層
32 障壁層
40 p側半導体層
41 第1層
42 第2層
43 第3層
44 第4層
45 第5層
51 n電極
52 p電極
100 半導体構造体
図1
図2A
図2B
図3