(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024073016
(43)【公開日】2024-05-29
(54)【発明の名称】車両用窓ガラス
(51)【国際特許分類】
H01Q 1/32 20060101AFI20240522BHJP
H01Q 1/22 20060101ALI20240522BHJP
B60J 1/00 20060101ALI20240522BHJP
【FI】
H01Q1/32 A
H01Q1/22 C
B60J1/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022183980
(22)【出願日】2022-11-17
(71)【出願人】
【識別番号】000000044
【氏名又は名称】AGC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】橋本 直樹
(72)【発明者】
【氏名】三鴨 公樹
【テーマコード(参考)】
5J046
5J047
【Fターム(参考)】
5J046AA04
5J046AB07
5J046LA02
5J046LA13
5J046LA19
5J047AA04
5J047AB07
5J047EC01
(57)【要約】
【課題】伝送線路の配線状態によらず、安定したアンテナ利得を実現できる車両用窓ガラスを提供する。
【解決手段】車両用窓ガラス1は、ガラス板10に設けられるアンテナ20を備え、アンテナ20は、芯線側給電部21と電気的に接続し、左縁12に沿って延伸する、芯線側第1垂直エレメント31と、芯線側給電部21と電気的に接続し、左縁12を基準に、芯線側第1垂直エレメント31よりも離れて配置される、芯線側第2垂直エレメント32と、接地側給電部22と電気的に接続し、上縁11を基準に、芯線側第2垂直エレメント32のうち芯線側給電部21とは反対側の端部32aよりも近くに配置され、上縁11に沿って延伸する、接地側第1水平エレメント41を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体に取り付けられるガラス板と、
前記ガラス板に設けられるアンテナと、を備え、
前記アンテナは、
前記ガラス板を前記車体に取り付けたときに、前記ガラス板の上縁に沿って配置される芯線側給電部と、
前記ガラス板を前記車体に取り付けたときに、前記ガラス板の上縁に沿って配置されると共に、前記上縁と接続する前記ガラス板の一方の側縁を基準に、前記芯線側給電部よりも離れて配置される接地側給電部と、
前記芯線側給電部と電気的に接続する芯線側エレメントと、
前記接地側給電部と電気的に接続する接地側エレメントと、を有し、
前記芯線側エレメントは、
前記芯線側給電部と電気的に接続し、前記側縁に沿って延伸する、芯線側第1垂直エレメントと、
前記芯線側給電部と電気的に接続し、前記側縁に沿って延伸すると共に、前記側縁を基準に、前記芯線側第1垂直エレメントよりも離れて配置される、芯線側第2垂直エレメントと、を有し、
前記接地側エレメントは、前記上縁を基準に、前記芯線側第2垂直エレメントのうち前記芯線側給電部とは反対側の端部よりも近くに配置され、前記上縁に沿って延伸する、接地側第1水平エレメントを有する、
車両用窓ガラス。
【請求項2】
前記芯線側エレメントは、前記芯線側第2垂直エレメントのうち前記芯線側給電部とは反対側の端部に接続し、前記側縁から離れる方向に延伸する、芯線側第1水平エレメントを有する、
請求項1に記載の車両用窓ガラス。
【請求項3】
前記接地側第1水平エレメントは、前記芯線側給電部から離れる方向に延伸する、
請求項1に記載の車両用窓ガラス。
【請求項4】
前記芯線側エレメントは、前記芯線側給電部と電気的に接続し、前記芯線側第1垂直エレメントと接続する、芯線側第1接続エレメントを有する、
請求項1に記載の車両用窓ガラス。
【請求項5】
前記芯線側第1接続エレメントは、前記上縁に沿って延伸する、芯線側第2水平エレメントを有する、
請求項4に記載の車両用窓ガラス。
【請求項6】
前記芯線側第2水平エレメントは、前記芯線側給電部と接続する、
請求項5に記載の車両用窓ガラス。
【請求項7】
前記芯線側エレメントは、前記芯線側第2水平エレメント及び前記芯線側第1垂直エレメントを含む、芯線側第1L字状エレメントを有する、
請求項5に記載の車両用窓ガラス。
【請求項8】
前記芯線側第2垂直エレメントは、前記芯線側第1接続エレメントと接続する、
請求項4に記載の車両用窓ガラス。
【請求項9】
前記芯線側第1接続エレメントは、前記芯線側第2垂直エレメントと接続する、
請求項4に記載の車両用窓ガラス。
【請求項10】
前記ガラス板は、
前記ガラス板の外周縁部に設けられ、可視光を遮光する所定幅の遮光領域と、
前記遮光領域の内側に設けられ、可視光を透過する透過領域と、を有し、
前記芯線側第1接続エレメントは、前記遮光領域と前記透過領域の境界線を交差する遮光領域境界交差エレメントを有し、
前記境界線と前記遮光領域境界交差エレメントとは、45°~90°の角度範囲で交差する、
請求項4に記載の車両用窓ガラス。
【請求項11】
前記接地側第1水平エレメントは、前記接地側給電部と接続する、
請求項1に記載の車両用窓ガラス。
【請求項12】
前記接地側エレメントは、前記接地側給電部と電気的に接続し、前記接地側第1水平エレメントと接続する、接地側第1接続エレメントを有する、
請求項1に記載の車両用窓ガラス。
【請求項13】
前記接地側第1接続エレメントは、前記接地側給電部と接続し、前記上縁から離れる方向に延伸して、前記接地側第1水平エレメントと接続する、接地側第1垂直エレメントを有し、
前記接地側エレメントは、前記接地側第1垂直エレメント及び前記接地側第1水平エレメントを含む、接地側第1L字状エレメントを有する、
請求項12に記載の車両用窓ガラス。
【請求項14】
前記接地側エレメントは、前記接地側第1水平エレメントを含み、前記側縁に向かって開口する、折り返し状エレメントを有する、
請求項1に記載の車両用窓ガラス。
【請求項15】
前記接地側エレメントは、前記接地側第1水平エレメントを含む、クランク状エレメントを有する、
請求項1に記載の車両用窓ガラス。
【請求項16】
前記クランク状エレメントは、前記側縁とは反対側に延伸する、
請求項15に記載の車両用窓ガラス。
【請求項17】
前記ガラス板を前記車体に取り付けたときの前記上縁に対向する前記車体の金属部分に対して、前記接地側第1水平エレメントは、30mm以内に配置される、
請求項1に記載の車両用窓ガラス。
【請求項18】
前記アンテナが送受信する所定周波数帯の電波の空気中の波長をλ、前記ガラス板の波長短縮率をk、とするとき、前記芯線側給電部から前記芯線側第1垂直エレメントを含むエレメントの開放端までの距離L1は、
26/64×k×λ ≦ L1 ≦ 54/64×k×λ
を満足する、
請求項1に記載の車両用窓ガラス。
【請求項19】
前記アンテナが送受信する所定周波数帯の電波の空気中の波長をλ、前記ガラス板の波長短縮率をk、とするとき、前記芯線側給電部から前記芯線側第2垂直エレメントを含むエレメントの開放端までの距離L2は、
20/64×k×λ ≦ L2 ≦ 43/64×k×λ
を満足する、
請求項1に記載の車両用窓ガラス。
【請求項20】
前記アンテナが送受信する所定周波数帯の電波の空気中の波長をλ、前記ガラス板の波長短縮率をk、とするとき、前記接地側給電部から前記接地側第1水平エレメントを含むエレメントの開放端までの距離L3は、
10/64×k×λ ≦ L3 ≦ 33/64×k×λ
を満足する、
請求項1に記載の車両用窓ガラス。
【請求項21】
前記ガラス板は、前記車体に取り付けられるウィンドシールドであり、
前記アンテナは、ITSの電波を受信する、
請求項1から20のいずれか一項に記載の車両用窓ガラス。
【請求項22】
前記ウィンドシールドには、導体を含む点検ステッカーが貼り付けられ、
前記芯線側第1垂直エレメントは、前記側縁と前記点検ステッカーとの間に配置される、
請求項21に記載の車両用窓ガラス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用窓ガラスに関する。
【背景技術】
【0002】
車両用窓ガラスには、放送波等を受信できるアンテナなど様々な機能部材が備えられている。このようなアンテナは、例えば、ITS(Intelligent Transport Systems:高度道路交通システム)で使用され、車両に搭載された通信機器と車両外部との間で電波を送受信する場合がある。ITSでは、垂直偏波が利用されており、下記特許文献1では、垂直偏波のアンテナ利得を向上させるべく、所定パターンのアンテナを備えたアンテナ付き窓ガラスが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このような車両用窓ガラスのアンテナの給電部には、同軸ケーブルを代表とした伝送線路によって、受信した信号を取り出し、アンテナ側から伸びた伝送線路を経由して該信号がECU(Electronic Control Unit)に伝送され、然るべき信号処理が行われる。
ところが、ITSで利用する電波では、アンテナから取り出す伝送線路の配線状態によって、アンテナ利得が変化する問題が生じる場合があり、安定した受信信号をECUで的確に処理できない、という問題があった。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、伝送線路の配線状態によらず、安定したアンテナ利得を実現できる車両用窓ガラスを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するために、以下の構成を備える。
[1]車体に取り付けられるガラス板と、前記ガラス板に設けられるアンテナと、を備え、前記アンテナは、前記ガラス板を前記車体に取り付けたときに、前記ガラス板の上縁に沿って配置される芯線側給電部と、前記ガラス板を前記車体に取り付けたときに、前記ガラス板の上縁に沿って配置されると共に、前記上縁と接続する前記ガラス板の一方の側縁を基準に、前記芯線側給電部よりも離れて配置される接地側給電部と、前記芯線側給電部と電気的に接続する芯線側エレメントと、前記接地側給電部と電気的に接続する接地側エレメントと、を有し、前記芯線側エレメントは、前記芯線側給電部と電気的に接続し、前記側縁に沿って延伸する、芯線側第1垂直エレメントと、前記芯線側給電部と電気的に接続し、前記側縁に沿って延伸すると共に、前記側縁を基準に、前記芯線側第1垂直エレメントよりも離れて配置される、芯線側第2垂直エレメントと、を有し、前記接地側エレメントは、前記上縁を基準に、前記芯線側第2垂直エレメントのうち前記芯線側給電部とは反対側の端部よりも近くに配置され、前記上縁に沿って延伸する、接地側第1水平エレメントを有する、車両用窓ガラス。
【0007】
[2]前記芯線側エレメントは、前記芯線側第2垂直エレメントのうち前記芯線側給電部とは反対側の端部に接続し、前記側縁から離れる方向に延伸する、芯線側第1水平エレメントを有する、[1]に記載の車両用窓ガラス。
【0008】
[3]前記接地側第1水平エレメントは、前記芯線側給電部から離れる方向に延伸する、[1]又は[2]に記載の車両用窓ガラス。
【0009】
[4]前記芯線側エレメントは、前記芯線側給電部と電気的に接続し、前記芯線側第1垂直エレメントと接続する、芯線側第1接続エレメントを有する、[1]から[3]のいずれかに記載の車両用窓ガラス。
【0010】
[5]前記芯線側第1接続エレメントは、前記上縁に沿って延伸する、芯線側第2水平エレメントを有する、[4]に記載の車両用窓ガラス。
【0011】
[6]前記芯線側第2水平エレメントは、前記芯線側給電部と接続する、[5]に記載の車両用窓ガラス。
【0012】
[7]前記芯線側エレメントは、前記芯線側第2水平エレメント及び前記芯線側第1垂直エレメントを含む、芯線側第1L字状エレメントを有する、[5]又は[6]に記載の車両用窓ガラス。
【0013】
[8]前記芯線側第2垂直エレメントは、前記芯線側第1接続エレメントと接続する、[4]から[7]のいずれかに記載の車両用窓ガラス。
【0014】
[9]前記芯線側第1接続エレメントは、前記芯線側第2垂直エレメントと接続する、[4]から[7]のいずれかに記載の車両用窓ガラス。
【0015】
[10]前記ガラス板は、前記ガラス板の外周縁部に設けられ、可視光を遮光する所定幅の遮光領域と、前記遮光領域の内側に設けられ、可視光を透過する透過領域と、を有し、前記芯線側第1接続エレメントは、前記遮光領域と前記透過領域の境界線を交差する遮光領域境界交差エレメントを有し、前記境界線と前記遮光領域境界交差エレメントとは、45°~90°の角度範囲で交差する、[4]から[9]のいずれかに記載の車両用窓ガラス。
【0016】
[11]前記接地側第1水平エレメントは、前記接地側給電部と接続する、[1]から[10]のいずれかに記載の車両用窓ガラス。
【0017】
[12]前記接地側エレメントは、前記接地側給電部と電気的に接続し、前記接地側第1水平エレメントと接続する、接地側第1接続エレメントを有する、[1]から[10]のいずれかに記載の車両用窓ガラス。
【0018】
[13]前記接地側第1接続エレメントは、前記接地側給電部と接続し、前記上縁から離れる方向に延伸して、前記接地側第1水平エレメントと接続する、接地側第1垂直エレメントを有し、前記接地側エレメントは、前記接地側第1垂直エレメント及び前記接地側第1水平エレメントを含む、接地側第1L字状エレメントを有する、[12]に記載の車両用窓ガラス。
【0019】
[14]前記接地側エレメントは、前記接地側第1水平エレメントを含み、前記側縁に向かって開口する、折り返し状エレメントを有する、[1]から[13]のいずれかに記載の車両用窓ガラス。
【0020】
[15]前記接地側エレメントは、前記接地側第1水平エレメントを含む、クランク状エレメントを有する、[1]から[13]のいずれかに記載の車両用窓ガラス。
【0021】
[16]前記クランク状エレメントは、前記側縁とは反対側に延伸する、[15]に記載の車両用窓ガラス。
【0022】
[17]前記ガラス板を前記車体に取り付けたときの前記上縁に対向する前記車体の金属部分に対して、前記接地側第1水平エレメントは、30mm以内に配置される、[1]から[16]のいずれかに記載の車両用窓ガラス。
【0023】
[18]前記アンテナが送受信する所定周波数帯の電波の空気中の波長をλ、前記ガラス板の波長短縮率をk、とするとき、前記芯線側給電部から前記芯線側第1垂直エレメントを含むエレメントの開放端までの距離L1は、26/64×k×λ≦L1≦54/64×k×λを満足する、[1]から[17]のいずれかに記載の車両用窓ガラス。
【0024】
[19]前記アンテナが送受信する所定周波数帯の電波の空気中の波長をλ、前記ガラス板の波長短縮率をk、とするとき、前記芯線側給電部から前記芯線側第2垂直エレメントを含むエレメントの開放端までの距離L2は、20/64×k×λ≦L2≦43/64×k×λを満足する、[1]から[18]のいずれかに記載の車両用窓ガラス。
【0025】
[20]前記アンテナが送受信する所定周波数帯の電波の空気中の波長をλ、前記ガラス板の波長短縮率をk、とするとき、前記接地側給電部から前記接地側第1水平エレメントを含むエレメントの開放端までの距離L3は、10/64×k×λ≦L3≦33/64×k×λを満足する、[1]から[19]のいずれかに記載の車両用窓ガラス。
【0026】
[21]前記ガラス板は、前記車体に取り付けられるウィンドシールドであり、前記アンテナは、ITSの電波を受信する、[1]から[20]のいずれかに記載の車両用窓ガラス。
【0027】
[22]前記ウィンドシールドには、導体を含む点検ステッカーが貼り付けられ、前記芯線側第1垂直エレメントは、前記側縁と前記点検ステッカーとの間に配置される、[1]から[21]のいずれかに記載の車両用窓ガラス。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、伝送線路の配線状態によらず、安定したアンテナ利得を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明の第1実施形態による車両用窓ガラスの平面図である。
【
図2】本発明の第2実施形態による車両用窓ガラスの平面図である。
【
図3】本発明の第3実施形態による車両用窓ガラスの平面図である。
【
図4】本発明の第4実施形態による車両用窓ガラスの平面図である。
【
図5】本発明の第5実施形態による車両用窓ガラスの平面図である。
【
図6】本発明の第6実施形態による車両用窓ガラスの平面図である。
【
図7】本発明の第7実施形態による車両用窓ガラスの平面図である。
【
図8】比較例による車両用窓ガラスの平面図である。
【
図9】比較例による車両用窓ガラスのITSの周波数帯におけるアンテナ利得の実測結果を示すグラフである。
【
図10】実施例による車両用窓ガラスのITSの周波数帯におけるアンテナ利得の実測結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態による車両用窓ガラスについて説明する。なお、理解の容易のため、図面における各部の縮尺は、実際とは異なる場合がある。平行、直角、直交、水平、垂直、上下、左右などの方向には、実施形態の効果を損なわない程度のずれが許容される。角部の形状は、直角に限られず、弓状に丸みを帯びてもよい。平行、直角、直交、水平、垂直には、略平行、略直角、略直交、略水平、略垂直が含まれてもよい。
【0031】
略平行、略水平とは、例えば、基準線(平行線、水平線)に対する角度が±15°以下を含んでもよく、±10°の範囲でもよく、±5°の範囲でもよく、±3°の範囲でもよい。基準線(平行線、水平線)に対する角度が0°に近づくと例えばアンテナの意匠性が向上する。
略直角、略直交、略垂直とは、例えば、2つの基準線又は基準面がなす角度の90°に対し±15°以下を含んでもよく、90°に対し±10°の範囲でもよく、90°に対し±5°の範囲でもよく、90°に対し±3°の範囲でもよい。2つの基準線又は基準面がなす角度に対する角度が90°に近づくと例えばアンテナの意匠性が向上する。
【0032】
また、以下では、車両用窓ガラスを窓枠に取り付けた状態で平面視したとき、水平面に平行な方向を水平方向と定義し、当該水平方向に直交する方向を垂直方向と定義する。図中に設定したXY座標において、X軸方向は、水平方向であり、Y軸方向は、垂直方向である。また、数値範囲を示す「~」は、その前後に記載された数値を下限値及び上限値として含むことを意味する。
【0033】
本実施形態における車両用窓ガラスの適用例として、車両の前部に取り付けられるウィンドシールドが挙げられる。ただし、本実施形態における車両用窓ガラスは、ウィンドシールドに限られない。
【0034】
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態による車両用窓ガラス1の平面図である。
図1に示す車両用窓ガラス1は、車両の前部に取り付けられるウィンドシールドに適用される。また、
図1では、車体の窓枠2に取り付けられた状態の車両用窓ガラス1を、車内側からの視点(車内視)で示している。
図1において、点線で示す窓枠2の開口部の外側には、ガラス板10の主面の周縁部と、窓枠2の金属部分とがウレタン樹脂等の接着剤で取り付けられる。
【0035】
図1に示す通り、本実施形態の車両用窓ガラス1は、ガラス板10と、アンテナ20と、を備える。ガラス板10は、平面視において略四角形の外形を有する。ガラス板10の外縁は、ガラス板10を窓枠2に取り付けたときに、垂直方向に対向する上縁11及び図示しない下縁と、水平方向に対向する左縁12(一方の側縁)及び図示しない右縁(他方の側縁)とを含む。
【0036】
なお、上縁11と左縁12は、曲率を有して接続されているが、曲率を有さずに接続されてもよい。その他の縁同士の接続部の形状も同様である。また、以下の説明では、アンテナ20がガラス板10の左上領域に配置された形態を示し、上縁11と接続するガラス板10の左縁12(一方の側縁)を基準に、アンテナ20の位置関係を説明する場合がある。なお、アンテナ20は、ガラス板10の右上領域に配置される形態でもよい。その場合、以下の説明において、左縁12を基準とする位置関係を、図示しない右縁を基準とする位置関係に読み替えられる。
【0037】
アンテナ20は、ガラス板10に設けられる導体パターンである。アンテナ20は、所定周波数帯の電波を送受信可能に形成されている。なお、送受信可能とは、送信及び受信の少なくとも一方が可能である意味である。アンテナ20は、1つの周波数帯の電波を受信可能に形成されてもよいし、異なる2つ以上の周波数帯の電波を受信可能に形成されてもよい。異なる2つの周波数帯は、一部の周波数帯が重なる組み合わせでもよいし、全く重ならない周波数帯の組み合わせでもよい。アンテナ20は、少なくとも1つの所定周波数帯における周波数で共振し、本明細書における第2実施形態以降の各アンテナ20についても同様とする。
【0038】
アンテナ20は、例えば、UHF帯(300MHz~3GHz)の電波を送受信する。アンテナ20は、特に、ITS(Intelligent Transport Systems:高度道路交通システム)で使用される電波(例えば、760MHz帯、帯域幅10MHz(755MHz~765MHz))の送受信に適している。
【0039】
アンテナ20は、双極型アンテナであって、芯線側給電部21、接地側給電部22、芯線側エレメント23、及び接地側エレメント24を有する。アンテナ20は、例えば、導電性金属を含有するペースト(例えば、銀ペースト等)を、ガラス板10の車内側表面にプリントして焼き付けることによって形成される。しかし、アンテナ20の形成方法は、この方法に限定されない。例えば、アンテナ20は、銅等の導電性物質を含有する線状体又は箔状体をガラス板10の車内側表面又は車外側表面に設けることによって形成されてもよい。あるいは、アンテナ20は、ガラス板10に接着剤等により貼付されてもよく、ガラス板10自体の内部に設けられてもよい。
【0040】
芯線側給電部21は、矩形状に形成された導体パターンであり、図示しない同軸ケーブルの芯線の一端に電気的に接続されている。なお、芯線側給電部21に接続される伝送線路は、同軸ケーブルに限らず、マイクロストリップライン、ストリップライン、コプレーナライン、スロットライン等も使用できる。以降、特にことわりが無い場合、伝送線路は同軸ケーブルとして説明する。また、芯線側給電部21の形状は、円形や他の多角形等の他の形状でもよい。
【0041】
芯線側給電部21は、ガラス板10を車体に取り付けたときに、ガラス板10の上縁11に沿って配置される。接地側給電部22は、ガラス板10を車体に取り付けたときに、ガラス板10の上縁11に沿って配置されると共に、上縁11と接続するガラス板10の左縁12を基準に、芯線側給電部21よりも離れて配置される。接地側給電部22は、矩形状に形成された導体パターンであり、図示しない同軸ケーブルの外部導体に電気的に接続されている。なお、接地側給電部22の形状は、円形や他の多角形等の他の形状でもよい。図示しない同軸ケーブルは、車体側まで延び、アンテナ20が受信した信号を処理する図示しないECUと接続される。
【0042】
芯線側エレメント23は、芯線側給電部21と接続する線状の導体パターンである。芯線側エレメント23は、芯線側第1垂直エレメント31と、芯線側第2垂直エレメント32と、を有する。芯線側第1垂直エレメント31は、芯線側給電部21と電気的に接続し、左縁12に沿って延伸する。具体的に、芯線側第1垂直エレメント31は、ガラス板10の上縁11付近から図示しない下縁に向かうに従って、左縁12に近接するように、略垂直方向に延伸してもよい。
【0043】
芯線側第2垂直エレメント32は、芯線側給電部21と電気的に接続し、左縁12に沿って延伸すると共に、左縁12を基準に、芯線側第1垂直エレメント31よりも離れて配置される。具体的に、芯線側第2垂直エレメント32は、芯線側給電部21と接続し、ガラス板10の図示しない下縁に向かって(上縁11から離れるように)垂直方向(負のY軸方向)に延伸する。なお、芯線側第2垂直エレメント32は、直線に限らず一部が湾曲して、芯線側第1水平エレメント36の端部と接続する形状でもよい。
【0044】
ガラス板10(ウィンドシールド)には、導体を含む点検ステッカー50が貼り付けられている。点検ステッカー50は、例えば、車両の定期点検時期を知らせる定期点検シールであり、助手席が左側にある車両の場合、ガラス板10の左上領域に貼り付けられる。点検ステッカー50は、金属(例えば、アルミニウム)を含有している。芯線側第1垂直エレメント31は、左縁12と点検ステッカー50との間に配置されてもよい。芯線側第2垂直エレメント32は、左縁12を基準に、点検ステッカー50よりも離れて配置される。つまり、点検ステッカー50は、芯線側第1垂直エレメント31と芯線側第2垂直エレメント32との間の領域に、芯線側第1垂直エレメント31及び芯線側第2垂直エレメント32と接しないように貼り付けられてもよい。
【0045】
芯線側エレメント23は、芯線側第1水平エレメント36を有する。芯線側第1水平エレメント36は、芯線側第2垂直エレメント32のうち芯線側給電部21とは反対側の端部32aに接続し、左縁12から離れる方向に延伸する。具体的に、芯線側第1水平エレメント36は、芯線側第2垂直エレメント32の延伸の終端(下端)から、ガラス板10の図示しない右縁に向かって水平方向に延伸する。なお、芯線側第1水平エレメント36は、芯線側第2垂直エレメント32の延伸の終端ではなく、その近傍の位置から、左縁12から離れる方向に延伸してもよい。つまり、エレメントの「端部」とは、エレメントの延伸の始端又は終端でもよいし、その始端又は終端手前の導体部分である始端近傍又は終端近傍でもよい。また、芯線側第2垂直エレメント32と芯線側第1水平エレメント36の接続部は、曲率を有して接続されてもよい。なお、「端部」の定義は、第2実施形態以降も同様とする。
【0046】
芯線側エレメント23は、芯線側給電部21と電気的に接続し、芯線側第1垂直エレメント31と接続する、芯線側第1接続エレメント33を有する。芯線側第1接続エレメント33は、芯線側第2水平エレメント34と、芯線側第1湾曲エレメント35と、を有する。芯線側第2水平エレメント34は、芯線側給電部21と接続し、左縁12に向かって水平方向に延伸する。芯線側第1湾曲エレメント35は、芯線側第2水平エレメント34の終端(左端)と接続し、点検ステッカー50の周縁に沿って湾曲させてもよい。芯線側第1湾曲エレメント35の終端は、芯線側第1垂直エレメント31の始端(上端)と接続する。
【0047】
なお、芯線側第1接続エレメント33は、芯線側第2水平エレメント34及び芯線側第1湾曲エレメント35の少なくとも一方を有すればよい。例えば、芯線側第1接続エレメント33が、芯線側第2水平エレメント34のみ有する場合、芯線側第2水平エレメント34と芯線側第1垂直エレメント31が、略直角のL字状に形成される。一方、芯線側第1接続エレメント33が、芯線側第1湾曲エレメント35のみ有する場合、芯線側給電部21の接続点を起点に(負のY軸方向の成分を有して)上縁11から離れるように湾曲して芯線側第1垂直エレメント31と接続する形状を有する。
【0048】
接地側エレメント24は、接地側給電部22に接続する、接地側第1水平エレメント41を有する。接地側第1水平エレメント41は、上縁11を基準に、芯線側第2垂直エレメント32のうち芯線側給電部21とは反対側の端部32aよりも近くに配置され、上縁11に沿って延伸する。接地側第1水平エレメント41は、水平方向に延伸し、ガラス板10を車体に取り付けたときの上縁11に対向する車体の金属部分(窓枠2)と容量結合する。
【0049】
接地側第1水平エレメント41は、上縁11に対向する窓枠2に対して、垂直方向に距離D1をあけて配置される。距離D1は、接地側第1水平エレメント41と上縁11に対向する窓枠2とを容量結合させる場合、30mm以下が好ましく、25mm以下がより好ましく、20mm以下がさらに好ましい。また、距離D1は、とくに下限は無いが、例えば1mm以上でもよく、3mm以上でもよく、5mm以上でもよい。なお、接地側第1水平エレメント41は、芯線側給電部21から離れる方向に延伸するが、エレメントを屈曲させる等して芯線側給電部21と干渉しないようにすれば、左縁12に近づく方向に延伸してもよい。
【0050】
芯線側エレメント23は、芯線側第1L字状エレメント25と、芯線側第2L字状エレメント26と、を有する。芯線側第1L字状エレメント25は、上述した芯線側第1垂直エレメント31及び芯線側第1接続エレメント33(芯線側第2水平エレメント34、芯線側第1湾曲エレメント35)を含む。芯線側第2L字状エレメント26は、上述した芯線側第2垂直エレメント32及び芯線側第1水平エレメント36を含む。
【0051】
芯線側給電部21から芯線側第1垂直エレメント31を含む芯線側第1L字状エレメント25の開放端25aまでの距離L1は、アンテナ20が送受信する所定周波数帯(例えば、760MHz)の空気中の電波の波長をλ、ガラス板10の波長短縮率をk、とするとき、下の関係式(1)を満足するとよい。
26/64×k×λ ≦ L1 ≦ 54/64×k×λ …(1)
【0052】
また、距離L1は、
29/64×k×λ ≦ L1 ≦ 52/64×k×λ …(1a)
を満足すると好ましく、
33/64×k×λ ≦ L1 ≦ 49/64×k×λ …(1b)
を満足するとより好ましい。
【0053】
また、芯線側給電部21から芯線側第2垂直エレメント32を含む芯線側第2L字状エレメント26の開放端26aまでの距離L2は、アンテナ20が送受信する所定周波数帯(例えば、760MHz)の電波の空気中の波長をλ、ガラス板10の波長短縮率をk、とするとき、下の関係式(2)を満足するとよい。
20/64×k×λ ≦ L2 ≦ 43/64×k×λ …(2)
【0054】
また、距離L2は、
23/64×k×λ ≦ L2 ≦ 41/64×k×λ …(2a)
を満足すると好ましく、
26/64×k×λ ≦ L2 ≦ 39/64×k×λ …(2b)
を満足するとより好ましい。
【0055】
また、接地側給電部22から接地側第1水平エレメント41を含む接地側エレメント24の開放端24aまでの距離L3は、アンテナ20が送受信する所定周波数帯(例えば、760MHz)の電波の空気中の波長をλ、ガラス板10の波長短縮率をk、とするとき、下の関係式(3)を満足するとよい。
10/64×k×λ ≦ L3 ≦ 33/64×k×λ …(3)
【0056】
また、距離L3は、
12/64×k×λ ≦ L3 ≦ 32/64×k×λ …(3a)
を満足すると好ましく、
15/64×k×λ ≦ L3 ≦ 30/64×k×λ …(3b)
を満足するとより好ましい。
【0057】
以上の通り、第1実施形態の車両用窓ガラス1は、車体に取り付けられるガラス板10と、ガラス板10に設けられるアンテナ20と、を備え、アンテナ20は、ガラス板10を車体に取り付けたときに、ガラス板10の上縁11に沿って配置される芯線側給電部21と、ガラス板10を車体に取り付けたときに、ガラス板10の上縁11に沿って配置されると共に、上縁11と接続するガラス板10の左縁12を基準に、芯線側給電部21よりも離れて配置される接地側給電部22と、芯線側給電部21と電気的に接続する芯線側エレメント23と、接地側給電部22と電気的に接続する接地側エレメント24と、を有し、芯線側エレメント23は、芯線側給電部21と電気的に接続し、左縁12に沿って延伸する、芯線側第1垂直エレメント31と、芯線側給電部21と電気的に接続し、左縁12に沿って延伸すると共に、左縁12を基準に、芯線側第1垂直エレメント31よりも離れて配置される、芯線側第2垂直エレメント32と、を有し、接地側エレメント24は、上縁11を基準に、芯線側第2垂直エレメント32のうち芯線側給電部21とは反対側の端部32aよりも近くに配置され、上縁11に沿って延伸する、接地側第1水平エレメント41を有する。この構成によれば、芯線側第1垂直エレメント31及び芯線側第2垂直エレメント32によって、所定周波数帯の垂直偏波に対するアンテナ利得を向上できる。また、接地側第1水平エレメント41が、ガラス板10の上縁11に対向する窓枠2の金属部分と容量結合することで、伝送線路の配線状態によらず、安定したアンテナ利得を実現できる。
【0058】
また、第1実施形態では、芯線側エレメント23は、芯線側第2垂直エレメント32のうち芯線側給電部21とは反対側の端部32aに接続し、左縁12から離れる方向に延伸する、芯線側第1水平エレメント36を有する。この構成によれば、芯線側第1水平エレメント36と芯線側第1垂直エレメント31との干渉や、芯線側第1水平エレメント36と点検ステッカー50との干渉を避けられる。
【0059】
また、第1実施形態では、接地側第1水平エレメント41は、接地側給電部22と接続し、芯線側給電部21から離れる方向に延伸する。この構成によれば、接地側第1水平エレメント41と芯線側給電部21との干渉を避けられる。
【0060】
また、第1実施形態では、芯線側エレメント23は、芯線側給電部21と電気的に接続し、芯線側第1垂直エレメント31と接続する、芯線側第1接続エレメント33を有する。この構成によれば、点検ステッカー50との干渉を避けつつ、芯線側第1垂直エレメント31と芯線側給電部21とを電気的に接続できる。
【0061】
また、第1実施形態では、芯線側第1接続エレメント33は、芯線側給電部21と接続し、上縁11に沿って延伸する、芯線側第2水平エレメント34を有する。この構成によれば、点検ステッカー50の垂直方向上側を通過するように、芯線側第1接続エレメント33を配置できる。また、第1実施形態では、芯線側エレメント23は、芯線側第2水平エレメント34及び芯線側第1垂直エレメント31を含む、芯線側第1L字状エレメント25を有する。この構成によれば、点検ステッカー50との干渉しないように、点検ステッカー50と左縁12との間に芯線側第1垂直エレメント31を配置できる。
【0062】
また、第1実施形態では、ガラス板10を車体に取り付けたときの上縁11に対向する車体の金属部分(窓枠2)に対して、接地側第1水平エレメント41は、30mm以内に配置される。この構成によれば、接地側第1水平エレメント41は、上縁11に対向する窓枠2と容量結合できる。
【0063】
また、第1実施形態では、アンテナ20が送受信する所定周波数帯の電波の空気中の波長をλ、ガラス板10の波長短縮率をk、とするとき、芯線側給電部21から芯線側第1垂直エレメント31を含むエレメント(芯線側第1L字状エレメント25)の開放端25aまでの距離L1は、26/64×k×λ≦L1≦54/64×k×λを満足する。この構成によれば、所定周波数帯の垂直偏波のアンテナ利得を向上できる。
【0064】
また、第1実施形態では、アンテナ20が送受信する所定周波数帯の電波の空気中の波長をλ、ガラス板10の波長短縮率をk、とするとき、芯線側給電部21から芯線側第2垂直エレメント32を含むエレメント(芯線側第2L字状エレメント26)の開放端26aまでの距離L2は、20/64×k×λ≦L2≦43/64×k×λを満足する。この構成によれば、所定周波数帯の垂直偏波のアンテナ利得を向上できる。
【0065】
また、第1実施形態では、アンテナ20が送受信する所定周波数帯の電波の空気中の波長をλ、ガラス板10の波長短縮率をk、とするとき、接地側給電部22から接地側第1水平エレメント41を含むエレメントの開放端24aまでの距離L3は、10/64×k×λ≦L3≦33/64×k×λを満足する。この構成によれば、所定周波数帯の垂直偏波のアンテナ利得を向上できる。
【0066】
また、第1実施形態では、ガラス板10は、車体に取り付けられるウィンドシールドであり、アンテナ20は、ITSの電波を受信する。また、ウィンドシールドには、導体を含む点検ステッカー50が貼り付けられ、芯線側第1垂直エレメント31は、左縁12と点検ステッカー50との間に配置される。この構成によれば、伝送線路の配線状態によらず、ITSで使用する周波数帯の垂直偏波を安定して受信できる。
【0067】
〔第2実施形態〕
図2は、本発明の第2実施形態による車両用窓ガラス1の平面図である。なお、
図2においては、上述した実施形態と同様の構成について同一の符号を付してある。
【0068】
図2に示すように、ガラス板10の外周縁部には、可視光を遮光する所定幅の遮光領域13が設けられてもよい。ガラス板10の遮光領域13は、例えば、ガラス板10の外周縁部に成膜された遮光膜として、例えば、黒色セラミックス膜によって形成される。また、
図2において、遮光領域13の内側の領域は、可視光を透過する透過領域14である。
【0069】
遮光膜は、ガラス板10の車内側の表面に配置してもよく、この場合、アンテナ20の少なくとも一部は、遮光膜の表面に形成されてもよい。また、ガラス板10は、2枚のガラス板を、ポリビニルブチラール(PVB)やエチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)系樹脂等の中間層で挟持した合わせガラスの場合、遮光膜は車外側のガラス板と中間層との界面に配置してもよい。
【0070】
図2に示すように、第2実施形態の芯線側第1接続エレメント33は、芯線側第2水平エレメント34の端部と芯線側第1湾曲エレメント35の端部を接続する、遮光領域境界交差エレメント34aを有する。
図2において、遮光領域境界交差エレメント34aは、遮光領域13と透過領域14の境界線15に対して、略直交するように延伸するエレメントであるが、これに限らない。つまり、遮光領域境界交差エレメント34aは、境界線15に対して、45°~90°の角度範囲で交差していればよく、60°~90°の角度範囲で交差していれば好ましく、75°~90°の角度範囲で交差していればより好ましく、85°~90°の角度範囲で交差していればさらに好ましい。これらが、上記の角度範囲で交差することで、見栄えが向上する。
【0071】
また、
図2において、遮光領域境界交差エレメント34aは、境界線15のうち、水平方向(X軸と平行方向)に対して略直交する方向(Y軸方向)に延伸する構成を示したが、これに限らない。例えば、ガラス板10の角部において、境界線15が湾曲した部分に、遮光領域境界交差エレメント34aが配置されてもよく、その場合も、遮光領域境界交差エレメント34aは、境界線15と略直交する方向(Y軸方向から傾いた方向または法線方向ともいう)に延伸させてもよい。
【0072】
なお、第1実施形態や後述する第3実施形態以降の各実施形態では、遮光領域13を省略しているが、遮光領域13を有する場合は、本実施形態の芯線側第1接続エレメント33を適用できる。また、本実施形態において、芯線側第2垂直エレメント32も、遮光領域13の境界線に対して、上記の角度範囲で交差していれば、見栄えの点で好ましい。
【0073】
〔第3実施形態〕
図3は、本発明の第3実施形態による車両用窓ガラス1の平面図である。なお、
図3においては、上述した実施形態と同様の構成について同一の符号を付してある。
【0074】
図3に示すように、第3実施形態の芯線側第1接続エレメント33は、さらに、芯線側第3垂直エレメント37を含む。芯線側第3垂直エレメント37は、芯線側給電部21と接続し、ガラス板10の図示しない下縁に向かって垂直方向(負のY軸方向)に延伸する。芯線側第3垂直エレメント37のうち芯線側給電部21とは反対側の端部には、芯線側第1L字状エレメント25Aが接続されている。
【0075】
芯線側第1L字状エレメント25Aは、上述した芯線側第1垂直エレメント31、芯線側第1湾曲エレメント35、及び芯線側第2水平エレメント34を含む。
図3の例では、芯線側第3垂直エレメント37の終端(下端)に、芯線側第2水平エレメント34の始端(右端)が接続される。第3実施形態において、芯線側給電部21から芯線側第1垂直エレメント31を含むエレメントの開放端25aまでの距離L1は、芯線側第3垂直エレメント37、芯線側第2水平エレメント34、芯線側第1湾曲エレメント35、及び芯線側第1垂直エレメント31を含む距離である。
【0076】
また、第3実施形態の接地側エレメント24は、接地側給電部22と電気的に接続し、接地側第1水平エレメント41と接続する、接地側第1接続エレメント42を有する。接地側第1接続エレメント42は、接地側給電部22と接続し、上縁11から離れる垂直方向(負のY軸方向)に延伸する接地側第1垂直エレメントである。接地側第1接続エレメント42のうち接地側給電部22とは反対側の端部には、接地側第1水平エレメント41が接続されている。なお、接地側第1接続エレメント42は、直線に限らず一部が湾曲して、接地側第1水平エレメント41の端部と接続する形状でもよい。さらに、ガラス板10が第2実施形態で説明した遮光領域13及び透過領域14を有する場合、芯線側第3垂直エレメント37及び接地側第1接続エレメント42は、遮光領域13と透過領域14の境界線15に対して、上記の角度範囲で交差していれば、見栄えの点で好ましい。
【0077】
図3の例では、接地側第1接続エレメント42の終端(下端)に、接地側第1水平エレメント41の始端が接続されている。接地側エレメント24は、接地側第1接続エレメント42(接地側第1垂直エレメント)及び接地側第1水平エレメント41を含む、接地側第1L字状エレメントを有する。第3実施形態において、接地側給電部22から接地側第1水平エレメント41を含むエレメントの開放端24aまでの距離L3は、接地側第1接続エレメント42、及び接地側第1水平エレメント41を含む距離である。
【0078】
このように、上述した第3実施形態によれば、接地側エレメント24は、接地側給電部22と電気的に接続し、接地側第1水平エレメント41と接続する、接地側第1接続エレメント42を有する。また、第3実施形態では、接地側第1接続エレメント42は、接地側給電部22と接続し、上縁11から離れる方向に延伸して、接地側第1水平エレメント41と接続する、接地側第1垂直エレメントを有し、接地側エレメント24は、接地側第1垂直エレメント及び接地側第1水平エレメント41を含む、接地側第1L字状エレメントを有する。この構成によれば、接地側第1接続エレメント42によって、上縁11に対向する窓枠2の金属部分に対する接地側第1水平エレメント41の距離D1を調整できる。なお、第3実施形態では、芯線側第1接続エレメント33は、芯線側第3垂直エレメント37を含んでいるが、第1実施形態のように、芯線側第3垂直エレメント37を含まない形態でもよい。
【0079】
〔第4実施形態〕
図4は、本発明の第4実施形態による車両用窓ガラス1の平面図である。なお、
図4においては、上述した実施形態と同様の構成について同一の符号を付してある。
【0080】
図4に示すように、第4実施形態では、芯線側第2垂直エレメント32が、芯線側第1接続エレメント33と接続される。具体的に、芯線側第2垂直エレメント32のうち芯線側給電部21側の端部が、芯線側第1接続エレメント33の芯線側第2水平エレメント34に接続される。
図4の例では、芯線側第2垂直エレメント32の始端(上端)が、芯線側第2水平エレメント34の中間部に接続される。芯線側第2水平エレメント34の中間部とは、始端(右端)の位置を0%、終端(左端)を100%としたときに、例えば、25%~75%の間を含んでもよく、30%~70%の間を含んでもよく、35%~65%の間を含んでもよい。
【0081】
第4実施形態において、芯線側給電部21から芯線側第2垂直エレメント32を含むエレメントの開放端26aまでの距離L2は、芯線側給電部21から芯線側第2垂直エレメント32の接続位置までの芯線側第2水平エレメント34、芯線側第2垂直エレメント32、及び芯線側第1水平エレメント36を含む距離である。
【0082】
このように、上述した第4実施形態では、芯線側第2垂直エレメント32は、芯線側第1接続エレメント33と接続する。この構成によっても、伝送線路の配線状態によらず、安定したアンテナ利得を実現できる。なお、第4実施形態では、接地側エレメント24は、接地側第1接続エレメント42を含んでいるが、第1実施形態のように、接地側第1接続エレメント42を含まない形態でもよい。
【0083】
〔第5実施形態〕
図5は、本発明の第5実施形態による車両用窓ガラス1の平面図である。なお、
図5においては、上述した実施形態と同様の構成について同一の符号を付してある。
【0084】
図5に示すように、第5実施形態では、芯線側第1接続エレメント33が、芯線側第2垂直エレメント32と接続される。具体的に、芯線側第1接続エレメント33の芯線側第2水平エレメント34のうち芯線側給電部21側の端部が、芯線側第2垂直エレメント32に接続される。
図5の例では、芯線側第2水平エレメント34の始端(右端)が、芯線側第2垂直エレメント32の中間部に接続される。芯線側第2垂直エレメント32の中間部とは、始端(上端)の位置を0%、終端(下端)を100%としたときに、例えば、25%~75%の間を含んでもよく、30%~70%の間を含んでもよく、35%~65%の間を含んでもよい。
【0085】
第5実施形態において、芯線側給電部21から芯線側第1垂直エレメント31を含むエレメントの開放端25aまでの距離L1は、芯線側給電部21から芯線側第2水平エレメント34の接続位置までの芯線側第2垂直エレメント32、芯線側第1接続エレメント33、及び芯線側第1垂直エレメント31を含む距離である。
【0086】
このように、上述した第5実施形態では、芯線側第1接続エレメント33は、芯線側第2垂直エレメント32と接続する。この構成によっても、伝送線路の配線状態によらず、安定したアンテナ利得を実現できる。なお、第5実施形態では、接地側エレメント24は、接地側第1接続エレメント42を含んでいるが、第1実施形態のように、接地側第1接続エレメント42を含まない形態でもよい。さらに、芯線側第1接続エレメント33は、芯線側第2水平エレメント34を含まず、芯線側第1湾曲エレメント35の端部が、芯線側第2垂直エレメント32と接続してもよい。
【0087】
〔第6実施形態〕
図6は、本発明の第6実施形態による車両用窓ガラス1の平面図である。なお、
図6においては、上述した実施形態と同様の構成について同一の符号を付してある。
【0088】
図6に示すように、第6実施形態では、接地側エレメント24が、接地側第1水平エレメント41を含み、左縁12に向かって開口する、折り返し状エレメント24Aを有する。第6実施形態では、ガラス板10の接地側第1水平エレメント41の延長線上にクリップなど、接地側エレメント24が左縁12から離れる方向(正のX軸方向)において干渉物60が配置されている場合が挙げられる。接地側第1水平エレメント41は、接地側給電部22と接続し、干渉物60の手前まで水平方向に延伸する。
【0089】
折り返し状エレメント24Aは、上述した接地側第1水平エレメント41と、接地側第2垂直エレメント43と、接地側第2水平エレメント44と、を有する。接地側第2垂直エレメント43は、接地側第1水平エレメント41と接続し、上縁11から離れる垂直方向(負のY軸方向)に延伸する。
図6の例では、接地側第1水平エレメント41の終端(右端)に、接地側第2垂直エレメント43の始端(上端)が接続されている。
【0090】
接地側第2水平エレメント44は、接地側第2垂直エレメント43と接続し、左縁12に近づく水平方向に延伸する。つまり、接地側第2水平エレメント44は、接地側第1水平エレメント41と逆方向(負のX軸方向)に延伸する。
図6の例では、接地側第2垂直エレメント43の終端(下端)に、接地側第2水平エレメント44の始端(右端)が接続されている。これにより、折り返し状エレメント24Aは、左縁12に向かって開口する半ループ形状を有する。ここで、「半ループ形状」とは、線状のエレメントで構成され、閉ループではなく、切り欠き部を有してループ状(半ループ形状)となる導体パターンを指す。具体的に、「半ループ形状」とは、ガラス板10の平面視において、少なくとも「U字状」、「C字状」、「J字状」、「L字状」、「Π字状」又は「Ω字状」の形状を含む導体パターンを指し、一部が湾曲した曲線部分を有してもよい。
【0091】
第6実施形態において、接地側給電部22から接地側第1水平エレメント41を含むエレメントの開放端24aまでの距離L3は、接地側第1水平エレメント41、接地側第2垂直エレメント43、及び接地側第2水平エレメント44を含む距離である。
【0092】
このように、上述した第6実施形態では、接地側エレメント24は、接地側第1水平エレメント41を含み、例えば左縁12に向かって開口する、折り返し状エレメント24Aを有する。この構成によっても、伝送線路の配線状態によらず、安定したアンテナ利得を実現できる。また、接地側第1水平エレメント41と干渉物60との干渉を回避して、距離L3を確保できる。なお、干渉物60は、物理的に配線できない部分に限らず、また、誘電体や導体が挙げられる。さらに干渉物60が導体であって電波を送受する対象になり得る場合、アンテナ20のアンテナ利得が低減しないように、所定距離(例えば50mm以上)離間させて、信号的にアイソレーションさせるとよい。
【0093】
〔第7実施形態〕
図7は、本発明の第7実施形態による車両用窓ガラス1の平面図である。なお、
図7においては、上述した実施形態と同様の構成について同一の符号を付してある。
【0094】
図7に示すように、第7実施形態では、接地側エレメント24が、接地側第1水平エレメント41を含み、左縁12から離れる方向(正のX軸方向)に延伸する、クランク状エレメント24Bを有する。第7実施形態においても、ガラス板10の接地側第1水平エレメント41の延長線上にクリップなどの干渉物60が配置されている。
【0095】
クランク状エレメント24Bは、上述した接地側第1水平エレメント41と、上述した接地側第2垂直エレメント43と、接地側第3水平エレメント45と、を有する。接地側第3水平エレメント45は、接地側第2垂直エレメント43と接続し、左縁12から離れる水平方向(正のX軸方向)に延伸する。つまり、接地側第3水平エレメント45は、上述した第6実施形態の接地側第2水平エレメント44とは逆方向に延伸する。
図7の例では、接地側第2垂直エレメント43の終端(下端)に、接地側第3水平エレメント45の始端(左端)が接続されている。なお、クランク状エレメント24Bは、一部が湾曲した曲線部分を有してもよい。
【0096】
第7実施形態において、接地側給電部22から接地側第1水平エレメント41を含むエレメントの開放端24aまでの距離L3は、接地側第1水平エレメント41、接地側第2垂直エレメント43、及び接地側第3水平エレメント45を含む距離である。なお、クランク状エレメント24Bは、芯線側給電部21と干渉しない場合、左縁12に近づく方向に延伸してもよい。具体的には、クランク状エレメント24Bは、接地側給電部22に接続する接地側第1水平エレメント41が、芯線側給電部21の垂直方向上側(正のY軸方向側)を通過するように、左縁12に近づく方向に延伸してもよい。
【0097】
このように、上述した第7実施形態では、接地側エレメント24は、接地側第1水平エレメント41を含む、クランク状エレメント24Bを有する。また、クランク状エレメント24Bは、左縁12とは反対側に延伸する。この構成によっても、伝送線路の配線状態によらず、安定したアンテナ利得を実現できる。また、接地側第1水平エレメント41と干渉物60との干渉を回避して、距離L3を確保できる。
【0098】
以上、本発明の実施形態による車両用窓ガラスについて説明したが、本発明は上記実施形態に制限されず、本発明の範囲内で自由に変更が可能である。例えば、各実施形態の一部又は全部を組み合わせて実施してもよい。
【実施例0099】
以下、実施例により本発明の効果をより明らかにする。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施できる。
【0100】
先ず、実施例と比較する比較例による車両用窓ガラス100について説明する。
【0101】
図8は、比較例による車両用窓ガラス100の平面図である。なお、
図8においては、上述した実施形態と同様の構成について同一の符号を付してある。なお、車両用窓ガラス100の詳細な構成は、先行技術文献の特開2018-207174号公報に開示されている。
【0102】
比較例による車両用窓ガラス100について簡単に説明すると、車両用窓ガラス100は、ガラス板10に設けられるアンテナ120を有する。アンテナ120は、双極型アンテナであって、芯線側給電部121、接地側給電部122、芯線側エレメント123、及び接地側エレメント124を有する。
【0103】
芯線側エレメント123は、芯線側第1垂直エレメント131と、芯線側第2垂直エレメント132と、を有する。芯線側第1垂直エレメント131は、芯線側第1接続エレメント133を介して芯線側給電部21と電気的に接続し、左縁12に沿って延伸する。芯線側第1接続エレメント133は、芯線側第2水平エレメント134と、芯線側第1湾曲エレメント135と、を有する。芯線側第1垂直エレメント131及び芯線側第1接続エレメント133は、芯線側第1L字状エレメント125を形成している。この芯線側第1L字状エレメント125の下端(芯線側第1垂直エレメント131の下端)は、開放端125aとされている。
【0104】
芯線側第1L字状エレメント125は、芯線側給電部121と接続し、ガラス板10の図示しない下縁に向かって垂直方向に延伸する芯線側第2垂直エレメント132の中間部に接続されている。芯線側第2垂直エレメント132の中間部とは、始端(上端)の位置を0%、終端(下端)を100%としたときに、例えば、25%~75%の間を含んでもよく、30%~70%の間を含んでもよく、35%~65%の間を含んでもよい。この芯線側第2垂直エレメント132の下端は、開放端132aとされている。
【0105】
接地側エレメント124は、接地側給電部122と接続し、ガラス板10の図示しない下縁に向かって垂直方向に延伸する接地側第3垂直エレメント143を有する。この接地側第3垂直エレメント143の下端は、開放端124aとされている。芯線側第2垂直エレメント132の中間部は、水平接続エレメント129を介して、接地側第3垂直エレメント143と接続されている。水平接続エレメント129は、上縁11に向かって開口し、芯線側給電部21と接地側給電部22との間を接続する半ループ状エレメントを形成している。
【0106】
[実施例]
実施例による車両用窓ガラス1は、上述した
図1に示すアンテナ20を、以下の寸法で備えた。芯線側給電部21から芯線側第1垂直エレメント31を含むエレメントの開放端25aまでの距離L1は、175mmである。また、芯線側給電部21から芯線側第2垂直エレメント32を含むエレメントの開放端26aまでの距離L2は、135mmである。接地側給電部22から接地側第1水平エレメント41を含むエレメントの開放端24aまでの距離L3は、80mmであり、D1は20mmである。
【0107】
図9は、比較例による車両用窓ガラス100のITSの周波数帯におけるアンテナ利得の実測結果を示すグラフである。
図9及び後述する
図10では、縦軸に伝送線路の配線状態に応じた利得変動幅[dB]をとり、横軸に車両のフロント側の平均利得「Fr ave」と、車両のリア側の平均利得「Rr ave」をとってある。なお、伝送線路の配線状態とは、芯線側給電部121及び接地側給電部122から延伸する伝送線路の配線位置(延伸状態)を種々変化させた状態に相当する。
図9を参照すると、接地側第1水平エレメント41を備えないアンテナ120では、車両のフロント側及びリア側のいずれにおいても、伝送線路の配線状態に依存して、利得変動幅が大きいことが確認できた。
【0108】
図10は、実施例による車両用窓ガラス1のITSの周波数帯におけるアンテナ利得の実測結果を示すグラフである。
図10を参照すると、接地側第1水平エレメント41を備えるアンテナ20では、車両のフロント側及びリア側のいずれにおいても、伝送線路の配線状態によらず、利得変動幅が小さいことが確認できた。
【0109】
ITSで使用する周波数帯の中心周波数は、760MHzであり、その中心波長(λ)は、394mmとなる。また、ガラス板10の波長短縮率(k)が0.64とすると、実施例のアンテナ20寸法は、上述した(1)~(3)の各関係式及び範囲において、好ましい長さに設定されている。
このように、実施例によれば、伝送線路の配線状態によらず、安定したアンテナ利得を実現できる車両用窓ガラス1を提供できた。
【0110】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。
例えば、芯線側エレメント23は、芯線側給電部21に接続する、芯線側第1垂直エレメント31及び芯線側第2垂直エレメント32のみを有する形態であってもよい。
また、アンテナ20には、任意の箇所に補助エレメントを接続してもよい。