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特開2024-7369液晶配向膜の製造方法、液晶表示素子の製造方法、液晶配向膜、及び液晶表示素子
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024007369
(43)【公開日】2024-01-18
(54)【発明の名称】液晶配向膜の製造方法、液晶表示素子の製造方法、液晶配向膜、及び液晶表示素子
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1337 20060101AFI20240110BHJP
   C08G 73/10 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
G02F1/1337 525
C08G73/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023097905
(22)【出願日】2023-06-14
(31)【優先権主張番号】202210756037.1
(32)【優先日】2022-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】000003986
【氏名又は名称】日産化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000095
【氏名又は名称】弁理士法人T.S.パートナーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100082887
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 利春
(74)【代理人】
【識別番号】100181331
【弁理士】
【氏名又は名称】金 鎭文
(74)【代理人】
【識別番号】100183597
【弁理士】
【氏名又は名称】比企野 健
(74)【代理人】
【識別番号】100161997
【弁理士】
【氏名又は名称】横井 大一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100090918
【弁理士】
【氏名又は名称】泉名 謙治
(72)【発明者】
【氏名】王 裕
【テーマコード(参考)】
2H290
4J043
【Fターム(参考)】
2H290AA73
2H290BE04
2H290BF13
2H290BF24
2H290BF25
2H290DA01
2H290DA03
4J043PA08
4J043PA19
4J043PB14
4J043PB15
4J043PC015
4J043PC075
4J043QB15
4J043QB26
4J043QB31
4J043RA06
4J043RA35
4J043SA06
4J043SA62
4J043SA63
4J043SB01
4J043SB03
4J043SB04
4J043TA22
4J043TB01
4J043UA022
4J043UA121
4J043UA131
4J043UA132
4J043UA632
4J043UA672
4J043UB011
4J043UB131
4J043UB211
4J043UB241
4J043UB402
4J043XA02
4J043XA04
4J043XA16
4J043ZB23
(57)【要約】      (修正有)
【課題】膜硬度が高い液晶配向膜が得られる、新規な液晶配向膜の製造方法、液晶表示素子の製造方法、液晶配向膜、及び液晶表示素子を提供する。
【解決手段】下記の工程(c)~(e)を含む、液晶配向膜の製造方法。工程(c):高分子膜(P)に光を照射して異方性を付与する工程であって、上記高分子膜(P)が、下記式(I)で表されるイミド結合、アミド結合、ウレア結合、エステル結合、及びカルボキシ基からなる群から選ばれる官能基(p)を少なくとも1種類有する重合体(P)を含む、前記工程、工程(d):工程(c)で得られた処理膜を加熱する工程、工程(e):工程(d)で得られた処理膜に更に減圧雰囲気下で加熱処理を行う工程であって、該加熱処理における加熱温度が、60℃以上である、前記工程

【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の工程(c)~(e)を含む、液晶配向膜の製造方法。
工程(c):高分子膜(P)に光を照射して異方性を付与する工程であって、
前記高分子膜(P)が、下記式(I)で表されるイミド結合、アミド結合、ウレア結合、エステル結合、及びカルボキシ基からなる群から選ばれる官能基(p)を少なくとも1種類有する重合体(P)を含む、前記工程、
工程(d):工程(c)で得られた処理膜を加熱する工程、
工程(e):工程(d)で得られた処理膜に更に減圧雰囲気下で加熱処理を行う工程であって、該加熱処理における加熱温度が、60℃以上である、前記工程
【化1】
(*は結合手を表す。)
【請求項2】
前記工程(e)は、標準大気圧と比較して20kPa以上減圧する減圧雰囲気下で行う、請求項1に記載の液晶配向膜の製造方法。
【請求項3】
前記工程(e)における加熱温度が、250℃以下である、請求項1に記載の液晶配向膜の製造方法。
【請求項4】
前記重合体(P)が、ポリイミドである、請求項1に記載の液晶配向膜の製造方法。
【請求項5】
前記高分子膜(P)が、下記式(1)で表される構造単位(p1)、及び構造単位(p1)のイミド化構造単位からなる群から選ばれる構造単位を有するポリイミド(但し、前記ポリイミドは、少なくとも1種の前記イミド化構造単位を有する。)を含有する、請求項1に記載の液晶配向膜の製造方法。
【化2】
(上記式(1)中、Xは4価の有機基を表し、Yは2価の有機基を表す。R及びZはそれぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基を表す。)
【請求項6】
前記高分子膜(P)が、光反応性高分子膜である、請求項1に記載の液晶配向膜の製造方法。
【請求項7】
前記式(1)におけるXが光反応性を有する4価の有機基である、請求項5に記載の液晶配向膜の製造方法。
【請求項8】
請求項1に記載の液晶配向膜の製造方法により形成された液晶配向膜。
【請求項9】
請求項8の液晶配向膜を形成することを含む、液晶表示素子の製造方法。
【請求項10】
下記の工程(b’)、(c’)、(e’)を含む液晶配向膜の製造方法であって、前記工程(b’)は、工程(c’)の前に行い、以下の条件(i)及び(ii)の少なくとも一つを満たす、前記製造方法。
工程(b’):下記式(1’)で表される繰り返し単位(p1’)を有するポリイミド前駆体及び該ポリイミド前駆体のイミド化物であるポリイミドからなる群から選ばれる少なくとも1種の重合体(P’)を含有する液晶配向剤(P’)を含む膜に、加熱処理を行う工程、
工程(c’):下記式(1’)で表される構造単位(p1’)、及び構造単位(p1’)のイミド化構造単位からなる群から選ばれる構造単位を有するポリイミド(但し、前記ポリイミドは、少なくとも1種の前記イミド化構造単位を有する。)を含有する、高分子膜(P’)にラビング処理を行う工程、
工程(e’):工程(b’)または工程(c’)で得られた処理膜に、減圧雰囲気下で加熱処理を行う工程であって、該加熱処理における加熱温度が、60℃以上である、前記工程
条件(i):前記工程(e’)を前記工程(b’)と工程(c’)の間に含む。
条件(ii):前記工程(e’)を前記工程(c’)後に含む。
【化3】
(上記式(1’)中、X1’は4価の有機基を表し、Y1’は、分子内に、窒素原子含有複素環、第二級アミノ基及び第三級アミノ基よりなる群から選ばれる少なくとも一種の窒素原子含有構造、ウレア結合、アミド結合、カルボキシ基及びヒドロキシ基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を有する、2価の有機基(Y’)を表す。R及びZはそれぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基を表す。)
【請求項11】
前記工程(e’)は、標準大気圧と比較して20kPa以上減圧する減圧雰囲気下で行う、請求項10に記載の液晶配向膜の製造方法。
【請求項12】
前記工程(e’)における加熱温度が、250℃以下である、請求項10に記載の液晶配向膜の製造方法。
【請求項13】
請求項10に記載の液晶配向膜の製造方法により形成された液晶配向膜。
【請求項14】
請求項13の液晶配向膜を形成することを含む、液晶表示素子の製造方法。
【請求項15】
請求項8又は13に記載の液晶配向膜を含む、液晶表示素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶配向膜の製造方法、液晶表示素子の製造方法、液晶配向膜、及び液晶表示素子に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示素子は、例えば、素子基板とカラーフィルタ基板との間に挟持された液晶層、液晶層に電界を印加する画素電極及び共通電極、液晶層の液晶分子の配向性を制御する液晶配向膜、画素電極に供給される電気信号をスイッチングする薄膜トランジスタ(TFT)等を備えている。液晶分子の駆動方式としては、TN(Twisted Nematic)方式、VA(Vertical Alignment)方式等の縦電界方式や、IPS(In-Plane Switching)方式、FFS(Fringe Field Switching)方式等の横電界方式が知られている。
【0003】
現在、工業的に最も普及している液晶配向膜は、電極基板上に形成された、ポリアミック酸及び/又はこれをイミド化したポリイミドに代表される重合体からなる膜の表面を、綿、ナイロン、ポリエステル等の布で一方向に擦る、いわゆるラビング処理を行うことで作製されている(例えば、特許文献1参照)。ラビング処理は、簡便で生産性に優れた工業的に有用な方法である。一方、液晶表示素子の高性能化、高精細化、大型化に伴い、ラビング処理に代わる配向処理方法として、偏光された放射線を照射することにより、液晶配向能を付与する光配向法が知られている。光配向法は、光異性化反応を利用したもの、光架橋反応を利用したもの、光分解反応を利用したもの等が提案されている(例えば、特許文献2、非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】WO2016/063834号公報
【特許文献2】特開2011-107266号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】「液晶光配向膜」木戸脇、市村 機能材料 1997年11月号 Vol.17、 No.11 13~22ページ
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年では、大画面で高精細な液晶テレビが主体となり、またスマートフォン、タブレットPCやカーナビゲーションといった小型の表示端末の普及が進み、液晶表示素子に対する高品質化の要求は従来よりも増してさらに高まっている。スマートフォンなどのモバイル用途及びカーナビゲーションなどの車載用途の液晶表示素子の信頼性試験として、パネルの振動試験を実施することがある。この振動試験では、輝点などの不良が発生しないことが求められる。
振動試験に伴う不良が発生しない液晶表示素子を得るために、例えば液晶配向膜の膜硬度を高める方法が考えられる。液晶配向膜の膜強度を改善する方法として、液晶配向剤に架橋性基を有する架橋性化合物を添加する方法が挙げられる。
しかし、上記手法は、材料コストの上昇に加え、保存安定性などの諸特性が損なわれることがあり、これまでの手段とは異なる、膜硬度を高める手法が求められていた。
【0007】
以上のようなことから、本発明の目的は、膜硬度が高い液晶配向膜が得られる、新規な液晶配向膜の製造方法、該製造方法によって形成された液晶配向膜を形成することを含む、液晶表示素子の製造方法を提供することにある。また、上記液晶配向膜の製造方法により製造された液晶配向膜、及び該液晶配向膜を含む液晶表示素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記課題を達成するために鋭意研究を行った結果、特定の液晶配向膜の製造方法により形成される液晶配向膜が上記の目的を達成するために極めて有効であることを見出し、本発明を完成させた。
【0009】
本発明は、以下の態様を包含するものである。
1.下記の工程(c)~(e)を含む、液晶配向膜の製造方法。
工程(c):高分子膜(P)に光を照射して異方性を付与する工程であって、
上記高分子膜(P)が、下記式(I)で表されるイミド結合、アミド結合、ウレア結合、エステル結合、及びカルボキシ基からなる群から選ばれる官能基(p)を少なくとも1種類有する重合体(P)を含む、前記工程、
工程(d):工程(c)で得られた処理膜を加熱する工程、
工程(e):工程(d)で得られた処理膜に更に減圧雰囲気下で加熱処理を行う工程であって、該加熱処理における加熱温度が、60℃以上である、上記工程。
【化1】
(*は結合手を表す。)
2.上記工程(e)は、標準大気圧と比較して20kPa以上減圧する減圧雰囲気下で行う、上記1に記載の液晶配向膜の製造方法。
3.上記工程(e)における加熱温度が、250℃以下である、上記1に記載の液晶配向膜の製造方法。
4.上記重合体(P)が、ポリイミドである、上記1に記載の液晶配向膜の製造方法。
5.上記高分子膜(P)が、下記式(1)で表される構造単位(p1)、及び構造単位(p1)のイミド化構造単位からなる群から選ばれる構造単位を有するポリイミド(但し、前記ポリイミドは、少なくとも1種の前記イミド化構造単位を有する。)を含有する、上記1に記載の液晶配向膜の製造方法。
【化2】
(上記式(1)中、Xは4価の有機基を表し、Yは2価の有機基を表す。R及びZはそれぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基を表す。)
6.上記高分子膜(P)が、光反応性高分子膜である、上記1に記載の液晶配向膜の製造方法。
7.上記式(1)におけるXが光反応性を有する4価の有機基である、上記5に記載の液晶配向膜の製造方法。
8.上記1に記載の液晶配向膜の製造方法により形成された液晶配向膜。
9.上記8に記載の液晶配向膜を形成することを含む、液晶表示素子の製造方法。
10.下記の工程(b’)、(c’)、(e’)を含む液晶配向膜の製造方法であって、前記工程(b’)は、工程(c’)の前に行い、以下の条件(i)及び(ii)の少なくとも一つを満たす、上記製造方法。
工程(b’):下記式(1’)で表される繰り返し単位(p1’)を有するポリイミド前駆体及び該ポリイミド前駆体のイミド化物であるポリイミドからなる群から選ばれる少なくとも1種の重合体(P’)を含有する液晶配向剤(P’)を含む膜に、加熱処理を行う工程、
工程(c’):下記式(1’)で表される構造単位(p1’)、及び構造単位(p1’)のイミド化構造単位からなる群から選ばれる構造単位を有するポリイミド(但し、前記ポリイミドは、少なくとも1種の前記イミド化構造単位を有する。)を含有する、高分子膜(P’)にラビング処理を行う工程、
工程(e’):工程(b’)または工程(c’)で得られた処理膜に、減圧雰囲気下で加熱処理を行う工程であって、該加熱処理における加熱温度が、60℃以上である、前記工程
条件(i):前記工程(e’)を前記工程(b’)と工程(c’)の間に含む。
条件(ii):前記工程(e’)を前記工程(c’)後に含む。
【化3】
(上記式(1’)中、X1’は4価の有機基を表し、Y1’は、分子内に、窒素原子含有複素環、第二級アミノ基及び第三級アミノ基よりなる群から選ばれる少なくとも一種の窒素原子含有構造、ウレア結合、アミド結合、カルボキシ基及びヒドロキシ基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を有する、2価の有機基(Y’)を表す。R及びZはそれぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基を表す。)
11.上記工程(e’)は、標準大気圧と比較して20kPa以上減圧する減圧雰囲気下で行う、上記10に記載の液晶配向膜の製造方法。
12.上記工程(e’)における加熱温度が、250℃以下である、上記10に記載の液晶配向膜の製造方法。
13.上記10に記載の液晶配向膜の製造方法により形成された液晶配向膜。
14.上記13に記載の液晶配向膜を形成することを含む、液晶表示素子の製造方法。
15.上記8又は13に記載の液晶配向膜を含む、液晶表示素子。
【発明の効果】
【0010】
本発明の液晶配向膜の製造方法を用いることにより、高い膜硬度を有する液晶配向膜が得られる。また、本発明の液晶配向膜を用いることで、IPS駆動方式やFFS駆動方式に代表される液晶表示素子において、表示特性が優れ、且つ、振動試験などの耐久性に優れた液晶表示素子が得られる。
振動試験時に発生する輝点は、配向膜の削れが主要因である。この現象は、主にカラーフィルター上のあるPS(フォトスペーサー;カラムスペーサーとも言う)と接触する対向側の配向膜が振動に摩擦されることにより、配向膜が削れることにより発生する。一般的に、配向膜の硬度を高くすることで、改善する。膜硬度を向上させるためには、架橋剤を添加するなどの方法があるが、その場合、液晶配向性も低下させる場合があるため、残像特性やコントラストに影響を与える恐れがある。本発明の液晶配向膜の製造方法を用いることで、架橋剤を増量することなく、膜の硬度を高くすることが可能である。
【0011】
本発明の上記効果が得られるメカニズムは必ずしも明らかではないが、ほぼ次のように推定される。液晶配向膜の形成過程において、真空条件下で加熱処理を行うことにより、液晶配向膜の膜密度が変化したため、上記効果が得られたと考えられる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、新規な液晶配向膜の製造方法、該製造方法によって形成された液晶配向膜を形成することを含む液晶表示素子の製造方法、上記液晶配向膜の製造方法によって形成された液晶配向膜、及び上記液晶表示素子の製造方法によって形成された液晶表示素子について詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の一実施態様としての一例であり、これらの内容に特定されるものではない。
以下の説明において、「ハロゲン原子」として、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。「Boc」は、tert-ブトキシカルボニル基を表し、「*」は結合手を表す。
本発明における重合体の「主鎖」とは、重合体のうち最も長い原子の連鎖からなる「幹」の部分をいう。
【0013】
(液晶配向膜)
本発明の液晶配向膜の一つの態様は、上記工程(c)~(e)を含む、液晶配向膜の製造方法により形成される液晶配向膜(以下、本発明の光配向膜ともいう。)である。工程(c)、工程(d)、工程(e)の順に行われることが、好ましい。
【0014】
(工程(c))
上記工程(c)において照射する光としては、例えば150~800nmの波長の光を含む紫外線及び可視光線を用いることができるが、100~400nmの波長の光を含む紫外線及び可視光線がより好ましく、200~400nmの波長を有する紫外線が更に好ましい。
また、直線偏光または無偏光を用いることができる。これらの光は、前記高分子膜(P)に異方性を付与することができる光であれば特に限定されないが、液晶に対して強い配向規制力を発現させたい場合、直線偏光が好ましい。
また、偏光光の消光比が高いほどより高い異方性を付与できることから、例えば、紫外線の場合には、偏光紫外線の消光比は10:1以上がより好ましく、20:1以上が更に好ましい。
上記光の照射は、基板面に垂直の方向から行っても斜め方向から行ってもよく、あるいはこれらを組み合わせて行ってもよい。
照射光の光源としては、例えば低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、Deep UVランプ、重水素ランプ、メタルハライドランプ、アルゴン共鳴ランプ、キセノンランプ、水銀キセノンランプ、エキシマレーザー(例えば、KrFエキシマレーザー)、蛍光ランプ、LEDランプ、ハロゲンランプ(例えば、ナトリウムランプ)、マイクロウェーブ励起無電極ランプなどを使用することができる。
光の照射量は、好ましくは1~10,000mJ/cmであり、より好ましくは100~5,000mJ/cmである。
なお、工程(c)において、光の照射は複数回に分けて行ってもよい。
【0015】
工程(c)における高分子膜(P)は、上記式(I)で表されるイミド結合、アミド結合(例えば、-C(=O)-NR-(Rは水素原子又は1価の有機基を表す。)が挙げられ、より好ましくは、-C(=O)-NH-、-C(=O)-N(CH)-、又は-C(=O)-N(Boc)-である。)、ウレア結合(例えば、-NR-C(=O)-NR-(Rは水素原子又は1価の有機基を表す。)が挙げられ、より好ましくは、-NH-C(=O)-NH-、又は-NH-C(=O)-N(Boc)-である。)、エステル結合(例えば、-C(=O)-O-など)、及びカルボキシ基からなる群から選ばれる官能基(p)を少なくとも1種類有する重合体(P)を含む。高分子膜(P)は、重合体(P)を2種類以上含む重合体成分であってもよい。
上記-C(=O)-NR-又は-NR-C(=O)-NR-におけるRの1価の有機基としては、炭素数1~3のアルキル基、炭素数1~3のアルコキシ基、炭素数2~3のアルケニル基、炭素数2~3のアシル基、炭素数1~3のアルキルシリル基、炭素数1~3のアルコキシシリル基、又はBoc基が挙げられる。
重合体(P)は、上記官能基(p)を重合体の主鎖に有してもよく、重合体の側鎖に有してもよい。
【0016】
上記重合体(P)は、より好ましくは、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン、ポリウレア、無水マレイン酸ポリマー、マレイミドポリマー、上記官能基(p)を有するポリシロキサン、上記官能基(p)を有するポリオルガノシロキサン、上記官能基(p)を有するセルロース誘導体、上記官能基(p)を有するポリアセタール、又は上記官能基(p)を有するポリスチレン誘導体、及びポリメタ(ア)クリレートからなる群から選ばれる重合体であり、さらに好ましくは、ポリイミド、ポリアミド、ポリウレア、及びポリメタ(ア)クリレートからなる群から選ばれる重合体である。
上記無水マレイン酸ポリマーのより好ましい具体例として、ポリ(スチレン-マレイン酸無水物)共重合体、ポリ(イソブチレン-マレイン酸無水物)共重合体、ポリ(ビニルエーテル-マレイン酸無水物)共重合体などが挙げられる。
上記マレイミドポリマーのより好ましい具体例として、ポリ(スチレン-フェニルマレイミド)誘導体などが挙げられる。
【0017】
上記重合体(P)におけるポリイミドは、上記式(I)を有するイミド構造単位だけではなく、アミック酸構造単位、又はアミック酸エステル構造単位などのアミック酸誘導体構造を含む重合体であってもよい。
上記高分子膜(P)は、重合体(P)に加えて、上記重合体(P)以外の重合体を含む重合体成分で構成されていてもよい。上記重合体(P)以外の重合体の具体例として、上記官能基(p)を有しないポリシロキサン、上記官能基(p)を有しないポリオルガノシロキサン、上記官能基(p)を有しないセルロース誘導体、上記官能基(p)を有しないポリアセタール、又は上記官能基(p)を有しないポリスチレン誘導体等が挙げられる。
【0018】
上記高分子膜(P)は、高い異方性が付与される観点から、光反応性高分子膜であることがより好ましい。光反応性高分子膜としては、高分子膜(P)を形成する成分の少なくとも一部に、光に応答して化学反応を生じる構造を含んでいれば特に限定されないが、例えば、高分子膜(P)を形成する成分の少なくとも一部が、光照射による光異性化反応、光二量化反応、光フリース転位反応又は光分解反応等の光反応によって膜に異方性を付与することが可能な官能基(以下、光配向性基ともいう。)を含む態様を挙げることができる。高分子膜(P)は、中でも、高い異方性が付与される観点から、上記光配向性基を重合体成分の少なくとも一部に含む重合体成分を含むことがより好ましい。上記重合体成分は、上記光配向性基を有する重合体(以下、該重合体を光配向性重合体(ph)ともいう。)のみで構成されてもよく、光配向性重合体(ph)以外の重合体を含有してもよい。光配向性重合体(ph)は、安定した液晶配向性が得られる観点から、光配向性基を有するポリイミドであることがより好ましい。
【0019】
上記光配向性基の具体例としては、例えば、アゾベンゼン又はその誘導体を基本骨格として含むアゾベンゼン含有基、桂皮酸又はその誘導体(桂皮酸構造)を基本骨格として含む桂皮酸構造含有基;カルコン又はその誘導体を基本骨格として含むカルコン含有基、ベンゾフェノン又はその誘導体を基本骨格として含むベンゾフェノン含有基、クマリン又はその誘導体を基本骨格として含むクマリン含有基、シクロブタン又はその誘導体を基本骨格として含むシクロブタン含有構造、スチルベン又はその誘導体を基本骨格とするスチルベン含有基、フェニルベンゾエート又はその誘導体を基本骨格として含むフェニルベンゾエート含有基等が挙げられる。これらのうち、光配向性基は、アゾベンゼン含有基、桂皮酸構造含有基、カルコン含有基、スチルベン含有基、シクロブタン含有構造、及びフェニルベンゾエート含有基よりなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、光に対する感度が高い点及び重合体中に導入しやすい点で、桂皮酸構造含有基又はシクロブタン含有構造であることが特に好ましい。
【0020】
上記高分子膜(P)は、例えば、下記式(1)で表される構造単位(p1)、及び構造単位(p1)のイミド化構造単位からなる群から選ばれる構造単位を有するポリイミド(但し、前記ポリイミドは、少なくとも1種の前記イミド化構造単位を有する。)を含有する重合体成分が挙げられる。なお、構造単位(p1)、及び構造単位(p1)のイミド化構造単位は、1種又は2種類以上であってもよい。
【化4】
(上記式(1)中、Xは4価の有機基を表し、Yは2価の有機基を表す。R及びZはそれぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基を表す。)
【0021】
上記高分子膜(P)が光反応性高分子である場合、高い異方性が得られる観点から、上記式(1)におけるX及びYの少なくとも一つが光反応性を有する有機基(より好ましくは、上記光配向性基を有する有機基である。)であることがより好ましく、上記式(1)におけるXが光反応性を有する4価の有機基(より好ましくは、上記光配向性基を有する4価の有機基である。)であることがより好ましく、下記式(tc)で表される構造を有することが更に好ましい。
【化5】
(上記式(tc)中、R~Rは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数2~6のアルケニル基、炭素数2~6のアルキニル基、フッ素原子を含有する炭素数1~6の1価の有機基、又はフェニル基を表し、R~Rの少なくとも一つは上記定義中の水素原子以外の基を表す。)
【0022】
上記高分子膜(P)は、高い異方性が得られる観点から、上記式(1)におけるX及びYの少なくとも一つが上記官能基(p)を有する有機基であることがより好ましく、上記式(1)におけるYが上記官能基(p)を有する有機基であることがさらに好ましい。
【0023】
上記R~Rにおける炭素数1~6のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基等が挙げられる。上記R~Rにおける炭素数2~6のアルケニル基の具体例としては、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基等が挙げられ、これらは直鎖状でも分岐状でもよい。上記R~Rにおける炭素数2~6のアルキニル基の具体例としては、エチニル基、1-プロピニル基、2-プロピニル基、1-ブチニル基、2-ブチニル基、3-ブチニル基等が挙げられる。上記R~Rにおける、フッ素原子を含有する炭素数1~6の1価の有機基としては、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ペンタフルオロプロピル基等が挙げられる。光反応性が高い観点から、R~Rがそれぞれ独立して水素原子又はメチル基であり、R~Rの少なくとも1つがメチル基であることが好ましく、R~Rの少なくとも2つがメチル基であることがより好ましい。更に好ましいのは、R及びRがメチル基であり、R及びRが水素原子である場合である。
【0024】
上記式(1)におけるR、Zにおける1価の有機基としては、炭素数1~20の1価の炭化水素基、該炭化水素基のメチレン基を-O-、-S-、-CO-、-COO-、-COS-、-NR-、-CO-NR-、-Si(R-、-SO-等で置き換えてなる1価の基A(但し、Rは、水素原子又は炭素数1~10の1価の炭化水素基であり、Rが複数ある場合、各Rは同一であっても良く、異なっていても良い。)、かかる1価の炭化水素基若しくは1価の基Aの炭素原子に結合する水素原子の少なくとも1個をハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、ニトロ基、アミノ基、メルカプト基、ニトロソ基、アルキルシリル基、アルコキシシリル基、シラノール基、スルフィノ基、ホスフィノ基、カルボキシ基、シアノ基、スルホ基、アシル基等で置換してなる1価の基、複素環を有する1価の基、等が挙げられる。上記式(1)におけるR、Zにおける1価の有機基としては、炭素数1~10のアルキル基、炭素数2~10のアルケニル基、炭素数2~10のアルキニル基、tert-ブトキシカルボニル基、又は9-フルオレニルメトキシカルボニル基が好ましく、炭素数1~3のアルキル基が更に好ましく、メチル基がより一層好ましい。
R及びZは、本発明の効果を良好に得る観点から、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~3のアルキル基が好ましく、水素原子又はメチル基がより好ましい。
【0025】
上記Xにおける4価の有機基としては、非環式脂肪族テトラカルボン酸二無水物又はその誘導体に由来する4価の有機基、脂環式テトラカルボン酸二無水物又はその誘導体に由来する4価の有機基、又は芳香族テトラカルボン酸二無水物又はその誘導体に由来する4価の有機基が挙げられる。上記誘導体としては、テトラカルボン酸ジハロゲン化物、テトラカルボン酸ジエステル、又はテトラカルボン酸ジエステルジハロゲン化物等が挙げられる。
ここで、非環式脂肪族テトラカルボン酸二無水物は、鎖状炭化水素構造に結合する4つのカルボキシ基が分子内脱水することにより得られる酸二無水物である。但し、鎖状炭化水素構造のみで構成されている必要はなく、その一部に脂環式構造や芳香環構造を有していてもよい。
脂環式テトラカルボン酸二無水物は、脂環式構造に結合する少なくとも1つのカルボキシ基を含めて4つのカルボキシ基が分子内脱水することにより得られる酸二無水物である。但し、これら4つのカルボキシ基はいずれも芳香環には結合していない。また、脂環式構造のみで構成されている必要はなく、その一部に鎖状炭化水素構造や芳香環構造を有していてもよい。
芳香族テトラカルボン酸二無水物は、芳香環に結合する少なくとも1つのカルボキシ基を含めて4つのカルボキシ基が分子内脱水することにより得られる酸二無水物である。但し、芳香環構造のみで構成されている必要はなく、その一部に鎖状炭化水素構造や脂環式構造を有していてもよい。
本発明の効果を良好に得る観点において、上記脂肪族若しくは脂環式テトラカルボン酸二無水物は、なかでも液晶配向性を高める観点から、シクロブタン環構造、シクロペンタン環構造及びシクロヘキサン環構造よりなる群から選ばれる少なくとも一種の部分構造を有するテトラカルボン酸二無水物が好ましい。上記芳香族テトラカルボン酸二無水物は、なかでも液晶配向性を高める観点から、ベンゼン環構造を有するテトラカルボン酸二無水物が好ましい。
【0026】
上記式(1)におけるXの4価の有機基の具体例としては、以下のテトラカルボン酸二無水物又はその誘導体由来の4価の有機基が挙げられる。ここで、テトラカルボン酸二無水物又はその誘導体由来の4価の有機基とは、例えば、テトラカルボン酸二無水物を原料に用いて重合体が合成される場合、テトラカルボン酸二無水物から2つの酸無水基を除いた4価の有機基を意味する。
【0027】
1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸二無水物等の非環式脂肪族テトラカルボン酸二無水物;1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2-ジメチル-1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3-ジメチル-1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3-ジクロロ-1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-テトラメチル-1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3-ジフルオロ-1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3-ビス(トリフルオロメチル)-1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5-シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ジシクロヘキシルテトラカルボン酸二無水物、2,3,5-トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、4-(2,5-ジオキソテトラヒドロフラン-3-イル)テトラヒドロナフタレン-1,2-ジカルボン酸無水物、5-(2,5-ジオキソテトラヒドロフラン-3-イル)-3a,4,5,9b-テトラヒドロナフト[1,2-c]フラン-1,3-ジオン、5-(2,5-ジオキソテトラヒドロフラン-3-イル)-8-メチル-3a,4,5,9b-テトラヒドロナフト[1,2-c]フラン-1,3-ジオン、ビシクロ[2.2.2]オクタ-7-エン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクタン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物、2,4,6,8-テトラカルボキシビシクロ[3.3.0]オクタン-2:4,6:8-二無水物等の脂環式テトラカルボン酸二無水物;ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、4,4’-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)-2,2-ジフェニルプロパン二無水物、エチレングリコールビスアンヒドロトリメリテート、4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物、4,4’-カルボニルジフタル酸無水物、4,4’-(1,4-フェニレンジオキシ)ビス(フタル酸無水物)、又は4,4’-(1,4-フェニレンジメチレン)ビス(フタル酸無水物)等の芳香族テトラカルボン酸二無水物;そのほか、特開2010-97188号公報に記載のテトラカルボン酸二無水物等。
【0028】
上記特定のテトラカルボン酸誘導体の好ましい例としては、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2-ジメチル-1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3-ジメチル-1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-テトラメチル-1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3-ジフルオロ-1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3-ビス(トリフルオロメチル)-1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5-シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ジシクロヘキシルテトラカルボン酸二無水物、2,3,5-トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、5-(2,5-ジオキソテトラヒドロフラン-3-イル)-3a,4,5,9b-テトラヒドロナフト[1,2-c]フラン-1,3-ジオン、5-(2,5-ジオキソテトラヒドロフラン-3-イル)-8-メチル-3a,4,5,9b-テトラヒドロナフト[1,2-c]フラン-1,3-ジオン、2,4,6,8-テトラカルボキシビシクロ[3.3.0]オクタン-2:4,6:8-二無水物、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、又はこれらの誘導体である。
【0029】
上記式(1)におけるYの2価の有機基の具体例としては、以下のジアミン由来の2価の有機基が挙げられる。ここで、ジアミン由来の2価の有機基とは、例えば、ジアミンから2つのアミノ基を除いた2価の有機基が挙げられる。
【0030】
p-フェニレンジアミン、2,3,5,6-テトラメチル-p-フェニレンジアミン、2,5-ジメチル-p-フェニレンジアミン、m-フェニレンジアミン、2,4-ジメチル-m-フェニレンジアミン、2,5-ジアミノトルエン、2,6-ジアミノトルエン、2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジメトキシ-4,4’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジヒドロキシ-4,4’-ジアミノビフェニル、2,2’-ジフルオロ-4,4’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジフルオロ-4,4’-ジアミノビフェニル、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)-4,4’-ジアミノビフェニル、3,3’-ビス(トリフルオロメチル)-4,4’-ジアミノビフェニル、3,4’-ジアミノビフェニル、4,4’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジアミノビフェニル、2,2’-ジアミノビフェニル、2,3’-ジアミノビフェニル、下記式(dAL)で表されるジアミン(好ましくは、下記式(dAL-1)~(dAL-11)で表されるジアミン、1,7-ビス(4-アミノフェノキシ)ヘプタン、1,7-ビス(3-アミノフェノキシ)ヘプタン、1,8-ビス(4-アミノフェノキシ)オクタン、1,8-ビス(3-アミノフェノキシ)オクタン、1,9-ビス(4-アミノフェノキシ)ノナン、1,9-ビス(3-アミノフェノキシ)ノナン、1,10-ビス(4-アミノフェノキシ)デカン、1,10-ビス(3-アミノフェノキシ)デカン、1,11-ビス(4-アミノフェノキシ)ウンデカン、1,11-ビス(3-アミノフェノキシ)ウンデカン、1,12-ビス(4-アミノフェノキシ)ドデカン、1,12-ビス(3-アミノフェノキシ)ドデカン、1,2-ビス(6-アミノ-2-ナフチルオキシ)エタン、1,2-ビス(6-アミノ-2-ナフチル)エタン、又は、6-[2-(4-アミノフェノキシ)エトキシ]-2-ナフチルアミンである。)、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノフェニル)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェニル)ベンゼン、4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ジフェニルエーテル、1,4-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェノキシ]ベンゼン;N,N’-ビス(4-アミノフェニル)-シクロブタン-(1,2,3,4)-テトラカルボン酸ジイミド、N,N’-ビス(4-アミノフェニル)-1,3-ジメチルシクロブタン-(1,2,3,4)-テトラカルボン酸ジイミド、N,N’-ビス(2,2’-ビス(トリフルオロメチル)-4’-アミノ-1,1’-ビフェニル-4-イル)-シクロブタン-(1,2,3,4)-テトラカルボン酸ジイミドなどのテトラカルボン酸ジイミド構造を有するジアミン、1,4-フェニレンビス(4-アミノベンゾエート)、1,4-フェニレンビス(3-アミノベンゾエート)、1,3-フェニレンビス(4-アミノベンゾエート)、1,3-フェニレンビス(3-アミノベンゾエート)、ビス(4-アミノフェニル)テレフタレート、ビス(3-アミノフェニル)テレフタレート、ビス(4-アミノフェニル)イソフタレート、ビス(3-アミノフェニル)イソフタレート;4,4’-ジアミノアゾベンゼン、ジアミノトラン、4,4’-ジアミノカルコン、4-アミノ安息香酸 4-アミノフェニル、又は、(E)-4-アミノフェニル 3-(4-アミノフェニル)アクリレート、(E)-4-アミノ-2-メチルフェニル 3-(4-アミノフェニル)アクリレート、(E)-4-アミノフェネチル 3-(4-アミノフェニル)アクリレート、(E,E)-ビス-(4’-アミノフェニル) 1,3-ベンゼンジアクリレート、(E,E)-ビス-(4’-アミノフェニル) 1,4-ベンゼンジアクリレート、4-アミノフェニル (2E)-3-(4-アミノフェニル)-2-メチル-2-プロペノエート、[4-[(E)-3-[2-(2,4-ジアミノフェニル)エトキシ]-3-オキソ-プロパ-1-エニル]フェニル]4-(4,4,4-トリフルオロブトキシ)ベンゾエート、若しくは[4-[(E)-3-[[5-アミノ-2-[4-アミノ-2-[[(E)-3-[4-[4-(4,4,4-トリフルオロブトキシ)ベンゾイル]オキシフェニル]プロパ-2-エノイル]オキシメチル]フェニル]フェニル]メトキシ]-3-オキソ-プロパ-1-エニル]フェニル]4-(4,4,4-トリフルオロブトキシ)ベンゾエートに代表されるシンナメート構造を有する芳香族ジアミンなどの光配向性基を有するジアミン;メタクリル酸2-(2,4-ジアミノフェノキシ)エチル又は2,4-ジアミノ-N,N-ジアリルアニリン等の光重合性基を末端に有するジアミン;1-(4-(2-(2,4-ジアミノフェノキシ)エトキシ)フェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパノン、2-(4-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロパノイル)フェノキシ)エチル 3,5-ジアミノベンゾエートなどのラジカル重合開始剤機能を有するジアミン;4,4’-ジアミノベンズアニリドなどのアミド結合を有するジアミン、1,3-ビス(4-アミノフェニル)ウレア、1,3-ビス(4-アミノベンジル)ウレア、1,3-ビス(4-アミノフェネチル)ウレアなどのウレア結合を有するジアミン;3,3’-ジアミノジフェニルエーテル、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス(4-アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス(3-アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス(3-アミノ-4-メチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス(4-アミノフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-アミノフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-アミノ-4-メチルフェニル)プロパン、4,4’-ジアミノベンゾフェノン、1,4-ビス(4-アミノフェニル)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェニル)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノベンジル)ベンゼン;2,6-ジアミノピリジン、3,4-ジアミノピリジン、2,4-ジアミノピリミジン、3,6-ジアミノカルバゾール、N-メチル-3,6-ジアミノカルバゾール、1,4-ビス-(4-アミノフェニル)-ピペラジン、3,6-ジアミノアクリジン、N-エチル-3,6-ジアミノカルバゾール、N-フェニル-3,6-ジアミノカルバゾール、N-[3-(1H-イミダゾール-1-イル)プロピル] 3,5-ジアミノベンズアミド、4-[4-[(4-アミノフェノキシ)メチル]-4,5-ジヒドロ-4-メチル-2-オキサゾリル]-ベンゼンアミン、若しくは下記式(z-1)~式(z-13)で表されるジアミンなどの複素環含有ジアミン、又は、4,4’-ジアミノジフェニルアミン、4,4’-ジアミノジフェニル-N-メチルアミン、N,N’-ビス(4-アミノフェニル)-ベンジジン、N,N’-ビス(4-アミノフェニル)-N,N’-ジメチルベンジジン、若しくは、N,N’-ビス(4-アミノフェニル)-N,N’-ジメチル-1,4-ベンゼンジアミンなどのジフェニルアミン構造を有するジアミンに代表される、窒素原子含有複素環、第二級アミノ基及び第三級アミノ基よりなる群から選ばれる少なくとも一種の窒素原子含有構造(以下、特定の窒素原子含有構造ともいう。)を有するジアミン(但し、加熱によって脱離し、水素原子に置き換わる保護基が結合したアミノ基を分子内に有しない。);2,4-ジアミノフェノール、3,5-ジアミノフェノール、3,5-ジアミノベンジルアルコール、2,4-ジアミノベンジルアルコール、4,6-ジアミノレゾルシノール、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジヒドロキシビフェニル;2,4-ジアミノ安息香酸、2,5-ジアミノ安息香酸、3,5-ジアミノ安息香酸、4,4’-ジアミノビフェニル-3-カルボン酸、4,4’-ジアミノジフェニルメタン-3-カルボン酸、1,2-ビス(4-アミノフェニル)エタン-3-カルボン酸、4,4’-ジアミノビフェニル-3,3’-ジカルボン酸、4,4’-ジアミノビフェニル-2,2’-ジカルボン酸、3,3’-ジアミノビフェニル-4,4’-ジカルボン酸、3,3’-ジアミノビフェニル-2,4’-ジカルボン酸、4,4’-ジアミノジフェニルメタン-3,3’-ジカルボン酸、1,2-ビス(4-アミノフェニル)エタン-3,3’-ジカルボン酸、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル-3,3’-ジカルボン酸などのカルボキシ基を有するジアミン;4-(2-(メチルアミノ)エチル)アニリン、4-(2-アミノエチル)アニリン、1-(4-アミノフェニル)-1,3,3-トリメチル-1H-インダン-5-アミン、1-(4-アミノフェニル)-2,3-ジヒドロ-1,3,3-トリメチル-1H-インデン-6-アミン;下記式(5-1)~(5-6)などの基「-N(D)-」(Dは加熱によって脱離し水素原子に置き換わる保護基を表し、好ましくはカルバメート系保護基であり、より好ましくはtert-ブトキシカルボニル基である。)を有するジアミン、コレスタニルオキシ-3,5-ジアミノベンゼン、コレステニルオキシ-3,5-ジアミノベンゼン、コレスタニルオキシ-2,4-ジアミノベンゼン、3,5-ジアミノ安息香酸コレスタニル、3,5-ジアミノ安息香酸コレステニル、3,5-ジアミノ安息香酸ラノスタニル及び3,6-ビス(4-アミノベンゾイルオキシ)コレスタン等のステロイド骨格を有するジアミン、下記式(V-1)~(V-2)で表されるジアミン;1,3-ビス(3-アミノプロピル)-テトラメチルジシロキサン等のシロキサン結合を有するジアミン;メタキシリレンジアミン、1,3-プロパンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4-ジアミノシクロヘキサン、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、WO2018/117239号に記載の式(Y-1)~(Y-167)のいずれかで表される基に2つのアミノ基が結合したジアミン等。
【0031】
【化6】
(Ar、及びAr1’は、それぞれ、ベンゼン環、ビフェニル構造、又はナフタレン環を表し、該ベンゼン環、該ビフェニル構造、又は該ナフタレン環上の1つ以上の水素原子は1価の基で置換されてもよい。L及びL1’は、それぞれ、単結合、-O-、-C(=O)-、又は-O-C(=O)-を表す。Aは、-CH-、炭素数2~12のアルキレン基、又は該アルキレン基の炭素-炭素結合の間に、-O-、-C(=O)-O-、及び-O-C(=O)-の少なくともいずれかの基が挿入されてなる2価の有機基を表す。Aが有する任意の水素原子は、ハロゲン原子で置換されていてもよい。
上記ベンゼン環、ビフェニル構造、又はナフタレン環上の1つ以上の水素原子は1価の基で置換されてもよく、該1価の基としては、ハロゲン原子、炭素数1~3のアルキル基、炭素数2~3のアルケニル基、炭素数1~3のアルコキシ基、炭素数1~3のフルオロアルキル基、炭素数2~3のフルオロアルケニル基、炭素数1~3のフルオロアルコキシ基、炭素数2~3のアルキルオキシカルボニル基、シアノ基、ニトロ基等が挙げられる。)
【化7】
(式(dAL-6)において、m1、m2及びnの合計は、3~12である。式(dAL-8)において、m1、m2及びnの合計は、3~12である。式(dAL-11)において、m1、m2及びnの合計は、3~12である。)
【0032】
【化8】
【0033】
【化9】
【0034】
【化10】
【0035】
【化11】
上記式(V-1)中、m、nは0~3の整数であり、1≦m+n≦4を満たす。jは0又は1の整数である。Xは、-(CH-(aは1~15の整数である。)、-CONH-、-NHCO-、-CO-N(CH)-、-NH-、-O-、-CHO-、-CH-OCO-、-COO-、又は-OCO-を表す。Rは、フッ素原子、炭素数1~10のフッ素原子含有アルキル基、炭素数1~10のフッ素原子含有アルコキシ基、炭素数1~10のアルキル基、炭素数1~10のアルコキシ基、及び炭素数2~10のアルコキシアルキル基などの1価の基を表す。上記式(V-2)中、Xは-O-、-CHO-、-CH-OCO-、-COO-、又は-OCO-を表す。m、n、X、Rが2つ存在する場合、それぞれ独立して上記定義を有する。
【0036】
上記特定の窒素原子含有構造における窒素原子含有複素環としては、例えば、ピロール環、イミダゾール環、ピラゾール環、トリアゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、ピラジン環、インドール環、ベンゾイミダゾール環、プリン環、キノリン環、イソキノリン環、ナフチリジン環、キノキサリン環、フタラジン環、トリアジン環、カルバゾール環、アクリジン環、ピペリジン環、ピペラジン環、ピロリジン環、ヘキサメチレンイミン環等が挙げられる。これらのなかでも、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピペリジン環、ピペラジン環、キノリン環、カルバゾール環又はアクリジン環が好ましい。
【0037】
(工程(d))
上記工程(d)は、上記工程(c)で得られた処理膜を加熱する工程である。処理膜の加熱温度としては、50~300℃がより好ましく、120~250℃がさらに好ましく、180℃~230℃がより一層好ましい。加熱する時間としては、1~60分がより好ましく、1~30分がさらに好ましい。なお、工程(d)において、加熱は複数回に分けて行ってもよい。
【0038】
(工程(e))
上記工程(e)における減圧雰囲気下とは、標準大気圧(100.325kPa)未満の状態のことをいう。また、工程(e)は標準大気圧と比較して20kPa以上減圧する減圧雰囲気下で行うことがより好ましく、標準大気圧と比較して30kPa以上減圧する減圧雰囲気下で行うことが更に好ましい。なお、工程(e)は複数回に分けて行ってもよい。
減圧雰囲気下に晒す時間としては、1分以上がより好ましく、5分以上が更に好ましく、10分以上が最も好ましい。また、24時間以下がより好ましく、12時間以下が更に好ましく、1時間以下が最も好ましい。
【0039】
上記工程(e)における加熱温度は、250℃以下であることが好ましく、230℃以下であることがより好ましい。また、80℃以上であることがより好ましく、120℃以上であることがさらに好ましい。
【0040】
上記高分子膜(P)は、例えば、上記重合体(P)を形成する重合体成分を含む液晶配向剤(以下、液晶配向剤(P)ともいう。)によって形成される。
上記重合体(P)を形成する重合体成分として、ポリイミド前駆体(例えば、ポリアミック酸、ポリアミック酸エステルなど)、又はそのイミド化物であるポリイミドを含む場合は、これらの重合体は、例えば、WO2013/157586号公報に記載されるような既知の方法で合成できる。
上記重合体(P)の一つの態様は、例えば、上記構造単位(p1)、及び構造単位(p1)のイミド化構造単位からなる群から選ばれる構造単位を有する重合体である。
上記構造単位(p1)、及び構造単位(p1)のイミド化構造単位からなる群から選ばれる構造単位を有する重合体を得るためのジアミン成分及びテトラカルボン酸誘導体成分は、重合体(P)が有する構造単位に応じて、かかる構造単位の構造が得られるように選択して使用される。
より具体的には、ジアミン成分としては、例えば、-N(Z)-Y-N(Z)-の構造(Y、Zの定義は上記と同じである。)を有するジアミンが使用され、また、テトラカルボン酸誘導体成分としては、上記Xの構造を有するテトラカルボン酸誘導体が使用される。上記テトラカルボン酸誘導体成分としては、テトラカルボン酸二無水物若しくはその誘導体(テトラカルボン酸ジハロゲン化物、テトラカルボン酸ジエステル、又はテトラカルボン酸ジエステルジハロゲン化物)が挙げられる。そして、上記ジアミン成分と、上記テトラカルボン酸誘導体成分と、を溶媒中で(縮重合)反応させることにより合成される。溶媒としては、生成した重合体が溶解するものであれば特に限定されない。
【0041】
上記重合体(P)がポリアミドである場合、該ポリアミドは、例えば、ジカルボン酸及びその誘導体から選択される少なくとも一種のジカルボン酸成分とジアミン成分とを反応させることで得ることができる。
上記重合体(P)がポリエステルである場合、該ポリエステルは、例えば、ジカルボン酸及びその誘導体から選択される少なくとも一種のジカルボン酸成分とジオール成分とを反応させることで得ることができる。
上記重合体(P)がポリウレタンである場合、該ポリウレタンは、例えば、イソシアネート化合物とヒドロキシ基を有する化合物とを反応させることで得ることができる。
上記重合体(P)がポリウレアである場合、該ポリウレアは、例えば、ビスイソシアネート誘導体とジアミン成分とを反応させることで得ることができる。
上記重合体(P)がマレイミドポリマーである場合は、該ポリマーは、例えば、マレイミド誘導体を含むモノマー成分を重合することで得られる。
上記重合体(P)が無水マレイン酸ポリマーである場合、該ポリマーは、例えば、無水マレイン酸を含むモノマー成分を重合することで得られる。
上記重合体(P)がポリメタ(ア)クリレートである場合、該ポリ(メタ)アクリレートは、例えば、(メタ)アクリル酸若しくはその誘導体を含むモノマー成分を重合することで得られる。該(メタ)アクリル酸若しくはその誘導体は、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸3,4-エポキシシクロヘキシルメチル、又は(メタ)アクリル酸3,4-エポキシブチルなどのエポキシ骨格を有する(メタ)アクリル酸若しくはその誘導体であってもよい。
上記重合体(P)がポリシロキサン又はポリオルガノシロキサンである場合、該重合体は、例えば、加水分解性のシラン化合物を加水分解・縮合することにより得ることができる。該加水分解性のシラン化合物は、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、又は2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン等のエポキシ基含有シラン化合物であってもよい。
【0042】
上記重合体(P)が光配向性基を有する重合体は、例えば、
(1)光配向性基を有するモノマーを用いて重合する方法、
(2)エポキシ基を側鎖に有する重合体を合成し、当該合成により得られたエポキシ基含有重合体と、光配向性基を有するカルボン酸とを反応させる方法、
(3)無水マレイン酸ポリマーと、光配向性基と反応性基(例えば、アミノ基、ヒドロキシ基等)とを有する化合物とを反応させる方法、等により得ることができる。
上記(2)の具体例として、上記エポキシ骨格を有する(メタ)アクリル酸若しくはその誘導体を含むモノマー成分からポリメタ(ア)クリレートを合成し、光配向性基を有するカルボン酸とを反応させる方法、又は、上記エポキシ基含有シラン化合物を含むモノマー成分からポリオルガノシロキサンを合成し、光配向性基を有するカルボン酸とを反応させる方法、等が挙げられる。
【0043】
重合体(P)が、ポリアミド、ポリウレアである場合、本発明の効果を好適に得る観点から、光配向性基をさらに有してもよく、重合体を得るためのジアミン成分として、上記光配向性基を有するジアミンを用いることがより好ましい。
また、重合体(P)が、マレイミドポリマー、無水マレイン酸ポリマー、ポリメタ(ア)クリレート、ポリシロキサン、又はポリオルガノシロキサンである場合、本発明の効果を好適に得る観点から、光配向性基をさらに有してもよく、重合体を得るためのモノマー成分として、例えば、下記式(cn)で表される基を重合体の側鎖に形成し得る化合物を用いてもよい。
【化12】
【0044】
(式中、nは0~4の整数を表す。Rは、ハロゲン原子、又は1価の有機基(ハロゲン原子含有アルキル基、ハロゲン原子含有アルコキシ基、炭素数1~10のアルキル基、炭素数1~10のアルコキシ基、炭素数2~10のアルケニル基、カルボキシ基、ヒドロキシ基など)を表す。Rが複数存在する場合、それぞれ独立して上記定義を有する。)
【0045】
上記重合体(P)が、光配向性基を有する場合、上記式(cn)で表される基を重合体の側鎖に有してもよく、下記式(cn-1)~(cn-4)のいずれかで表される基を重合体の側鎖に有してもよい。
【化13】
(式中、R1、は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~10のハロゲン原子含有アルキル基、炭素数1~10のハロゲン原子含有アルコキシ基、炭素数1~10のアルキル基、炭素数1~10のアルコキシ基、又は炭素数2~10のアルケニル基を表す。
は、水素原子、炭素数1~10のハロゲン原子含有アルキル基、炭素数1~10のアルキル基、又は炭素数2~10のアルケニル基を表す。
は、炭素数1~10のハロゲン原子含有アルキル基、炭素数1~10のアルキル基を表す。
m、nは、それぞれ独立して、0~3の整数であり、mとnの和は、1以上3以下の整数である。
尚、式(cn-1)~(cn-4)において、フェニレン基、又はシクロヘキシレン基上の水素原子は、ハロゲン原子、又は1価の有機基(ハロゲン原子含有アルキル基、ハロゲン原子含有アルコキシ基、炭素数1~10のアルキル基、炭素数1~10のアルコキシ基、炭素数2~10のアルケニル基、カルボキシ基、ヒドロキシ基など)で置換されていてもよい。)
【0046】
液晶配向剤(P)は、重合体(P)以外のその他の重合体(以下、その他の重合体(P)ともいう。)を含有してもよい。その他の重合体(P)の具体例として、例えば、上記官能基(p)を有しないポリシロキサン、上記官能基(p)を有しないポリオルガノシロキサン、上記官能基(p)を有しないセルロース誘導体、上記官能基(p)を有しないポリアセタール、上記官能基(p)を有しないポリスチレン誘導体、又は上記官能基(p)を有しないポリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0047】
液晶配向剤(P)は、好ましくは、均一な薄膜を形成させるという観点から、塗布液の形態をとる。本発明の液晶配向剤(P)において上記した重合体成分と、有機溶媒とを含有する塗布液であることがより好ましい。その際、液晶配向剤(P)中の重合体成分の濃度は、形成させようとする塗膜の厚みの設定によって適宜変更することができる。均一で欠陥のない塗膜を形成させるという点から、1質量%以上が好ましく、溶液の保存安定性の点からは、10質量%以下が好ましい。特に好ましい重合体の濃度は、2~8質量%である。
重合体(P)の含有量は、液晶配向剤(P)に含まれる重合体成分100質量部に対して、1~100質量部が好ましく、10~100質量部がより好ましく、20~100質量部が特に好ましい。
【0048】
液晶配向剤(P)に含有される有機溶媒は、重合体成分が均一に溶解するものであれば特に限定されない。その具体例としては、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルラクトアミド、N,N-ジメチルプロピオンアミド、テトラメチル尿素、N,N-ジエチルホルムアミド、N-メチル-2-ピロリドン、N-エチル-2-ピロリドン、ジメチルスルホキシド、γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド、3-ブトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド、N-(n-プロピル)-2-ピロリドン、N-イソプロピル-2-ピロリドン、N-(n-ブチル)-2-ピロリドン、N-(tert-ブチル)-2-ピロリドン、N-(n-ペンチル)-2-ピロリドン、N-メトキシプロピル-2-ピロリドン、N-エトキシエチル-2-ピロリドン、N-メトキシブチル-2-ピロリドン、N-シクロヘキシル-2-ピロリドン(これらを総称して「良溶媒」ともいう)が挙げられる。なかでも、N-メチル-2-ピロリドン、N-エチル-2-ピロリドン、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド、3-ブトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド又はγ-ブチロラクトンが好ましい。良溶媒の含有量は、液晶配向剤(P)に含まれる溶媒全体の20~99質量%であることが好ましく、20~90質量%であることがより好ましく、30~80質量%であることが特に好ましい。
【0049】
また、液晶配向剤(P)に含有される有機溶媒は、上記溶媒に加えて液晶配向剤(P)を塗布する際の塗布性や塗膜の表面平滑性を向上させる溶媒(貧溶媒ともいう。)を併用した混合溶媒の使用が好ましい。貧溶媒の含有量は、液晶配向剤(P)に含まれる溶媒全体の1~80質量%が好ましく、10~80質量%がより好ましく、20~70質量%が特に好ましい。貧溶媒の種類及び含有量は、液晶配向剤(P)の塗布装置、塗布条件、塗布環境等に応じて適宜選択される。
【0050】
上記貧溶媒の具体例を下記するが、これらに限定されない。
ジイソプロピルエーテル、ジイソブチルエーテル、ジイソブチルカルビノール(2,6-ジメチル-4-ヘプタノール)、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、1,2-ブトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、3-エトキシブチルアセタート、1-メチルペンチルアセタート、2-エチルブチルアセタート、2-エチルヘキシルアセタート、エチレングリコールモノアセタート、エチレングリコールジアセタート、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノイソアミルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、1-(2-ブトキシエトキシ)-2-プロパノール、2-(2-ブトキシエトキシ)-1-プロパノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート、プロピレングリコールジアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセタート、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセタート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセタート、2-(2-エトキシエトキシ)エチルアセタート、ジエチレングリコールアセタート、プロピレングリコールジアセテート、酢酸n-ブチル、酢酸プロピレングリコールモノエチルエーテル、酢酸シクロヘキシル、酢酸4-メチル-2-ペンチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-メトキシプロピオン酸プロピル、3-メトキシプロピオン酸ブチル、乳酸n-ブチル、乳酸イソアミル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジイソブチルケトン(2,6-ジメチル-4-ヘプタノン)等を挙げることができる。
【0051】
(添加剤)
本発明の液晶配向剤(P)は、上記重合体(P)、上記その他の重合体(P)、及び上記有機溶媒に加えて、それ以外の成分(以下、添加剤成分ともいう。)を含有してもよい。かかる添加剤成分としては、例えば、オキシラニル基、オキセタニル基、ブロックイソシアネート基、オキサゾリン基、シクロカーボネート基、ヒドロキシ基及びアルコキシ基から選ばれる少なくとも1種の置換基を有する架橋性化合物(c-1)、並びに重合性不飽和基を有する架橋性化合物(c-2)からなる群から選ばれる少なくとも1種の架橋性化合物、官能性シラン化合物、金属キレート化合物、硬化促進剤、界面活性剤、酸化防止剤、増感剤、防腐剤、得られる液晶配向膜の誘電率や電気抵抗を調整するための化合物、イミド化を促進するための化合物などが挙げられる。
【0052】
上記架橋性化合物(c-1)及び(c-2)の好ましい具体例としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,3,5,6-テトラグリシジル-2,4-ヘキサンジオール、エピコート828(三菱ケミカル社製)などのビスフェノールA型エポキシ樹脂、エピコート807(三菱ケミカル社製)などのビスフェノールF型エポキシ樹脂、YX-8000(三菱ケミカル社製)などの水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、YX6954BH30(三菱ケミカル社製)などのビフェニル骨格含有エポキシ樹脂、EPPN-201(日本化薬社製)などのフェノールノボラック型エポキシ樹脂、EOCN-102S(日本化薬社製)などの(o,m,p-)クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、TEPIC(日産化学社製)などのトリグリシジルイソシアヌレート、セロキサイド2021P(ダイセル社製)などの脂環式エポキシ樹脂、N,N,N’,N’-テトラグリシジル-m-キシリレンジアミン、1,3-ビス(N,N-ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、又はN,N,N’,N’-テトラグリシジル-4,4’-ジアミノジフェニルメタンに代表される第三級窒素原子を含有する化合物、テトラキス(グリシジルオキシメチル)メタンなどのオキシラニル基を2つ以上有する化合物;WO2011/132751号公報の段落[0170]~[0175]に記載のオキセタニル基を2つ以上有する化合物;コロネートAPステーブルM、コロネート2503、2515、2507、2513、2555、ミリオネートMS-50(以上、東ソー社製)、タケネートB-830、B-815N、B-820NSU、B-842N、B-846N、B-870N、B-874N、B-882N(以上、三井化学社製)等のブロックイソシアネート基を有する化合物;2,2’-ビス(2-オキサゾリン)、2,2’-ビス(4-メチル-2-オキサゾリン)、2,2’-ビス(5-メチル-2-オキサゾリン)、1,2,4-トリス(2-オキサゾリニル)-ベンゼン、エポクロス(日本触媒社製)のようなオキサゾリン基を有する化合物;WO2011/155577号公報の段落[0025]~[0030]、[0032]に記載のシクロカーボネート基を有する化合物;N,N,N’,N’-テトラキス(2-ヒドロキシエチル)アジポアミド、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジヒドロキシメチルフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメトキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジヒドロキシメチルフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパンなどのヒドロキシ基やアルコキシ基を有する化合物;グリセリンモノ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート(1,2-,1,3-体混合物)、グリセリントリス(メタ)アクリレート、グリセリン1,3-ジグリセロラートジ(メタ)アクリレート、ペンタエリストールトリ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ペンタエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ヘキサエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートで示される化合物が挙げられる。
本発明の液晶配向剤(P)に含有される上記架橋性化合物(c-1)及び(c-2)の含有量は、液晶配向剤に含まれる重合体成分100質量部に対して、0.1~30質量部が好ましく、より好ましくは0.1~20質量部、さらに好ましくは5~20質量部である。
【0053】
上記誘電率や電気抵抗を調整するための化合物としては、3-ピコリルアミンなどの窒素原子含有芳香族複素環を有するモノアミンが挙げられる。窒素原子含有芳香族複素環を有するモノアミンの含有量は液晶配向剤(P)に含まれる重合体成分100質量部に対して0.1~30質量部であることが好ましく、より好ましくは0.1~20質量部である。
【0054】
上記官能性シラン化合物の好ましい具体例としては、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルジエトキシメチルシラン、2-アミノプロピルトリメトキシシラン、2-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3-ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3-ウレイドプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p-スチリルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、トリス(3-トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。官能性シラン化合物の含有量は、液晶配向剤(P)に含まれる重合体成分100質量部に対して0.1~30質量部であることが好ましく、より好ましくは0.1~20質量部である。
【0055】
上記イミド化を促進するための化合物としては、塩基性の部位(例:第一級アミノ基、脂肪族ヘテロ環(例:ピロリジン骨格)、芳香族ヘテロ環(例:イミダゾール環、インドール環)、又はグアニジノ基等)を有する化合物(但し、上記架橋性化合物及び密着助剤は除く。)、又は、焼成時に上記塩基性の部位が発生する化合物が好ましい。より好ましくは、焼成時に上記塩基性の部位が発生する化合物であり、好ましい具体例を挙げると、アミノ酸が有する塩基性の部位の一部又は全てが保護されたアミノ酸が挙げられる。上記アミノ酸が有する塩基性の部位の保護基としては、Boc基などのカルバメート系保護基が挙げられる。上記アミノ酸の具体例としては、グリシン、アラニン、システイン、メチオニン、アスパラギン、グルタミン、バリン、ロイシン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、プロリン、ヒドロキシプロリン、アルギニン、ヒスチジン、リシン、オルニチンが挙げられる。イミド化を促進するための化合物のより好ましい具体例を挙げると、N-α-(9-フルオレニルメトキシカルボニル)-N-τ-(tert-ブトキシカルボニル)-L-ヒスチジンが挙げられる。本発明の液晶配向剤(P)に含有される上記イミド化を促進するための化合物の含有量は、液晶配向剤(P)に含まれる重合体成分100質量部に対して、0.1~30質量部が好ましく、より好ましくは0.1~20質量部、さらに好ましくは5~20質量部である。
【0056】
本発明の高分子膜(P)は、例えば、上記液晶配向剤(P)の塗膜を形成する工程(a)と、塗膜を加熱乾燥して焼成膜を形成する工程(b)と、を経ることによって得ることができる。上記工程(a)の塗膜を形成する方法としては、後述する液晶表示素子の製造方法における工程(1)で例示する方法が挙げられる。また、上記工程(b)における塗膜を加熱乾燥する方法としては、後述する液晶表示素子の製造方法における工程(2)で例示する方法が挙げられる。
【0057】
本発明の液晶配向膜の別の態様は、下記の工程(b’)、(c’)、(e’)を含む液晶配向膜の製造方法であって、上記工程(b’)は、工程(c’)の前に行い、以下の条件(i)及び(ii)の少なくとも一つを満たす、上記製造方法により形成される液晶配向膜(以下、本発明のラビング配向膜ともいう。)である。
工程(b’):下記式(1’)で表される繰り返し単位(p1’)を有するポリイミド前駆体及び該ポリイミド前駆体のイミド化物であるポリイミドからなる群から選ばれる少なくとも1種の重合体(P’)を含有する液晶配向剤(P’)を含む膜に、加熱処理を行う工程、
工程(c’):下記式(1’)で表される構造単位(p1’)、及び構造単位(p1’)のイミド化構造単位からなる群から選ばれる構造単位を有するポリイミド(但し、前記ポリイミドは、少なくとも1種の前記イミド化構造単位を有する。)を含有する、高分子膜(P’)にラビング処理を行う工程、
工程(e’):工程(b’)または工程(c’)で得られた処理膜に、減圧雰囲気下で加熱処理を行う工程であって、該加熱処理における加熱温度が、60℃以上である、上記工程
条件(i):前記工程(e’)を上記工程(b’)と工程(c’)の間に含む。
条件(ii):前記工程(e’)を上記工程(c’)後に含む。
【化14】
(上記式(1’)中、X1’は4価の有機基を表し、Y1’は、分子内に、窒素原子含有複素環、第二級アミノ基及び第三級アミノ基よりなる群から選ばれる少なくとも一種の窒素原子含有構造、ウレア結合、アミド結合、カルボキシ基及びヒドロキシ基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を有する、2価の有機基(Y’)を表す。R及びZはそれぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基を表す。)
工程(b’)、(c’)、(e’)、または、工程(b’)、(e’)、(c’)の順に行われることが、好ましい。
【0058】
(工程(c’))
工程(c’)における高分子膜(P’)は、上記式(1’)で表される構造単位(p1’)、及び構造単位(p1’)のイミド化構造単位からなる群から選ばれる構造単位を有するポリイミド(但し、前記ポリイミドは、少なくとも1種の前記イミド化構造単位を有する。)を含有する。高分子膜(P’)は、上記ポリイミドを2種類以上含む重合体成分であってもよい。なお、構造単位(p1’)、及び構造単位(p1’)のイミド化構造単位は、1種又は2種類以上であってもよい。また、高分子膜(P’)は、上記ポリイミドに加えて、上記ポリイミド以外の重合体を含む重合体成分で構成されていてもよく、該ポリイミド以外の重合体の具体例として、ポリイミド前駆体、構造単位(p1’)のイミド化構造単位を有さないポリイミド、ポリシロキサン、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレア、ポリウレタン、ポリオルガノシロキサン、セルロース誘導体、ポリアセタール、ポリスチレン誘導体、ポリ(スチレン-マレイン酸無水物)共重合体、ポリ(イソブチレン-マレイン酸無水物)共重合体、ポリ(ビニルエーテル-マレイン酸無水物)共重合体、ポリ(スチレン-フェニルマレイミド)誘導体、又はポリ(メタ)アクリレート等を挙げることが出来る。
【0059】
上記式(1’)におけるX1’の具体例として、上記式(1)におけるXで例示した構造を挙げることが出来る。上記式(1’)におけるR及びZの具体例として、上記式(1)におけるR及びZで例示した構造を挙げることが出来る。
上記2価の有機基(Y’)において、分子内に、窒素原子含有複素環、第二級アミノ基及び第三級アミノ基よりなる群から選ばれる少なくとも一種の窒素原子含有構造、ウレア結合、アミド結合、カルボキシ基及びヒドロキシ基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基は、ポリイミドの主鎖方向に有してもよく、ポリイミドの側鎖方向に有してもよい。
上記2価の有機基(Y’)の具体例として、分子内に、窒素原子含有複素環、第二級アミノ基及び第三級アミノ基よりなる群から選ばれる少なくとも一種の窒素原子含有構造、ウレア結合、アミド結合、カルボキシ基及びヒドロキシ基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基(q)を有するジアミン(DY1’)由来の2価の有機基、又は、外部刺激(例えば、加熱、光等)により上記基(q)を形成することが出来るジアミン(DY2’)由来の2価の有機基を挙げることが出来る。ジアミン(DY1’)の具体例として、例えば、上記式(1)におけるYの具体例で例示したジアミンの内、上記基(q)を有するジアミンが挙げることできる。また、ジアミン(DY2’)の具体例として、例えば、上記式(5-1)、(5-3)、(5-5)、(5-6)などの基「-N(D)-」(Dは加熱によって脱離し水素原子に置き換わる保護基を表し、好ましくはカルバメート系保護基であり、より好ましくはtert-ブトキシカルボニル基である。)を有するジアミンが挙げられる。
上記2価の有機基(Y’)は、本発明の効果を好適に得る観点から、上記特定の窒素原子含有構造を有するジアミン、上記ウレア結合を有するジアミン、上記アミド結合を有するジアミン、上記カルボキシ基を有するジアミン、及び上記ヒドロキシ基を有するジアミンからなる群から選ばれるジアミン由来の2価の有機基が好ましい。
【0060】
上記工程(c’)におけるラビング配向処理の条件は、適宜選択することができる。例えば、ラビングローラの回転数を500rpm~1000rpmとしてもよく、上記塗膜が形成された基板に対するラビングローラの相対移動速度を30mm/秒~100mm/秒としてもよく、ラビング布のパイルの押し込み量を0.3mm~0.6mmとしてもよい。
ラビング布としては、レーヨンあるいは綿で織られたベルット織り布あるいはモケット織り布などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0061】
(工程(b’))
上記工程(b’)の加熱処理における加熱温度としては、50~300℃がより好ましく、120~250℃がさらに好ましく、180℃~230℃がより一層好ましい。加熱する時間としては、1~60分がより好ましく、1~30分がさらに好ましい。なお、工程(b’)において、加熱は複数回に分けて行ってもよい。
尚、工程(b’)の加熱処理は、後述する液晶配向剤(P’)を含む塗膜を加熱乾燥して焼成膜を形成する工程を兼ねてもよく、その場合は、後述する液晶表示素子の製造方法における工程(2)で例示する方法で行うことが出来る。即ち、工程(b’)は、液晶配向剤(P’)を含む塗膜を加熱処理して焼成膜を形成する工程(以下、工程(b’’))であってもよい。
【0062】
(工程(e’))
上記工程(e’)における減圧雰囲気下とは、標準大気圧(100.325kPa)未満の状態のことをいう。また、工程(e’)は標準大気圧と比較して20kPa以上減圧する減圧雰囲気下で行うことがより好ましく、標準大気圧と比較して30kPa以上減圧する減圧雰囲気下で行うことが更に好ましい。なお、工程(e’)は、複数回に分けて行ってもよい。
減圧雰囲気下に晒す時間としては、1分以上がより好ましく、5分以上が更に好ましく、10分以上が最も好ましい。また、24時間以下がより好ましく、12時間以下が更に好ましく、1時間以下が最も好ましい。
【0063】
上記工程(e’)における加熱温度は、250℃以下であることが好ましく、230℃以下であることがより好ましい。また、80℃以上であることがより好ましく、120℃以上であることがさらに好ましい。
【0064】
上記高分子膜(P’)は、好ましくは、上記式(1’)で表される繰り返し単位(p1’)を有するポリイミド前駆体及び該ポリイミド前駆体のイミド化物であるポリイミドからなる群から選ばれる少なくとも1種の重合体(P’)を含有する液晶配向剤(P’)によって形成される。より好ましくは、工程(b’)において、前記液晶配向剤(P’)を含む膜を加熱処理することによって形成され、さらに好ましくは、工程(b’)において、前記液晶配向剤(P’)を含む膜を熱イミド化することによって形成される。
上記構造単位(p1’)、及び構造単位(p1’)のイミド化構造単位からなる群から選ばれる構造単位を有するポリイミド前駆体やポリイミドを得るためのジアミン成分及びテトラカルボン酸誘導体成分は、重合体(P’)が有する構造単位に応じて、かかる構造単位の構造が得られるように選択して使用される。
より具体的には、ジアミン成分としては、例えば、-N(Z)-Y1’-N(Z)-の構造(Y1’、Zの定義は上記と同じである。)を有するジアミンが使用され、また、テトラカルボン酸誘導体成分としては、上記X1’の構造を有するテトラカルボン酸誘導体が使用される。上記テトラカルボン酸誘導体成分としては、上記重合体(P)で例示した化合物と同様のものが挙げられる。そして、上記ジアミン成分と、上記テトラカルボン酸誘導体成分と、を溶媒中で(縮重合)反応させることにより合成される。溶媒としては、生成した重合体が溶解するものであれば特に限定されない。
【0065】
液晶配向剤(P’)は、重合体(P’)以外の重合体を含有してもよく、その具体例としては、上記構造単位(p1’)、及び構造単位(p1’)のイミド化構造単位からなる群から選ばれる構造単位を有しないポリイミド前駆体、該ポリイミド前駆体のイミド化合物であるポリイミド、ポリシロキサン、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレア、ポリウレタン、ポリオルガノシロキサン、セルロース誘導体、ポリアセタール、ポリスチレン誘導体、ポリ(スチレン-マレイン酸無水物)共重合体、ポリ(イソブチレン-マレイン酸無水物)共重合体、ポリ(ビニルエーテル-マレイン酸無水物)共重合体、ポリ(スチレン-フェニルマレイミド)誘導体、又はポリ(メタ)アクリレート等を挙げることが出来る。
【0066】
液晶配向剤(P’)は、均一な薄膜を形成させるという観点から、塗布液の形態をとる。本発明の液晶配向剤(P’)において、上記した重合体成分と、有機溶媒とを含有する塗布液であることがより好ましい。その際、液晶配向剤(P’)中の重合体の濃度は、形成させようとする塗膜の厚みの設定によって適宜変更することができる。均一で欠陥のない塗膜を形成させるという点から、1質量%以上が好ましく、溶液の保存安定性の点からは、10質量%以下が好ましい。特に好ましい重合体の濃度は、2~8質量%である。
重合体(P’)の含有量は、液晶配向剤(P’)中に含まれる重合体成分100質量部に対して、1~100質量部が好ましく、10~100質量部がより好ましく、20~100質量部が特に好ましい。
【0067】
液晶配向剤(P’)に用いられる有機溶媒の具体例は、上記液晶配向剤(P)で例示した化合物と同様のものを挙げることが出来る。
【0068】
(添加剤)
本発明の液晶配向剤(P’)は、上記重合体(P’)、上記重合体(P’)以外の重合体、及び上記有機溶媒に加えて、それ以外の成分である添加剤成分を含有してもよい。かかる添加剤成分としては、上記液晶配向剤(P)で例示した化合物と同様のものを挙げることが出来る。
【0069】
本発明の高分子膜(P’)は、例えば、上記液晶配向剤(P’)の塗膜を形成する工程(a’)と、上記工程(b’’)と、を経ることによって得ることができる。上記工程(a’)の塗膜を形成する方法としては、後述する液晶表示素子の製造方法における(1)で例示する方法が挙げられる。
【0070】
上記本発明の光配向膜、又はラビング配向膜を得るための液晶配向膜の製造方法において、膜に溶媒等で洗浄を行う洗浄工程を有していてもよい。該洗浄工程において使用できる溶媒は、例えば、水、メタノール、エタノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-メチル-1-プロパノール、2-ブタノール、2-メチル2-プロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、1-メトキシ-2-プロパノール、1-メトキシ-2-プロパノールアセテート、ブチルセロソルブ、乳酸エチル、乳酸メチル、ジアセトンアルコール、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、又は酢酸シクロヘキシル等が挙げられる。溶媒は、1種類でも、2種類以上組み合わせてもよい。
【0071】
(液晶表示素子)
次に、本発明の液晶表示素子について説明する。
本発明の液晶表示素子は、本発明の光配向膜又はラビング配向膜を有する。
即ち、本発明の液晶表示素子の一実施形態は、上記工程(c)~(e)を含む、液晶配向膜の製造方法により形成される液晶配向膜を形成することを含む、液晶表示素子の製造方法によって形成された液晶表示素子である。
また、本発明の液晶表示素子の別の実施形態は、上記工程(b’)、(c’)、(e’)を含む液晶配向膜の製造方法であって、上記工程(b’)は、工程(c’)の前に行い、上記条件(i)及び(ii)の少なくとも一つを満たす、上記製造方法により形成される液晶配向膜を形成することを含む、液晶表示素子の製造方法によって形成された液晶表示素子である。
液晶表示素子の動作モードは特に限定せず、例えば、TN方式、STN方式、垂直配向方式(VA-MVA方式、VA-PVA方式などを含む。)、面内スイッチング方式(IPS方式、FFS方式)、光学補償ベンド方式(OCB方式)など種々の動作モードに適用することができるが、中でも、面内スイッチング方式(IPS方式、FFS方式)がより好ましい。
【0072】
本発明の液晶表示素子は、例えば、以下の工程(1)~(4)を含む方法により製造することができる。
【0073】
<工程(1):液晶配向剤を基板上に塗布する工程>
工程(1)は、液晶配向剤を基板上に塗布する工程である。工程(1)の具体例は以下のとおりである。
パターニングされた透明導電膜が設けられている基板の一面に、液晶配向剤を、例えばロールコーター法、スピンコート法、印刷法、インクジェット法などの適宜の塗布方法により塗布する。ここで基板の材質としては、透明性の高い基板であれば特に限定されず、ガラス、窒化珪素とともに、アクリル樹脂(ポリメチルメタクリレート等)、ポリエステル樹脂(ポリエチレンテレフタレート等)、ポリオレフィン樹脂(ポリプロピレン等)、セルロース系樹脂(トリアセチルセルロース等)、シクロオレフィンポリマー、又はポリカーボネート樹脂、等のプラスチック素材を用いることもできる。また、反射型の液晶表示素子では、片側の基板のみにならば、シリコンウエハー等の不透明な物でも使用でき、この場合の電極にはアルミニウム等の光を反射する材料も使用できる。また、IPS方式又はFFS方式の液晶表示素子を製造する場合には、櫛歯型にパターニングされた透明導電膜又は金属膜からなる電極が設けられている基板と、電極が設けられていない対向基板とを用いる。
IPS方式の液晶表示素子において使用される櫛歯電極基板であるIPS基板は、例えば、基材と、基材上に形成され、櫛歯状に配置された複数の線状電極と、基材上に線状電極を覆うように形成された液晶配向膜とを有する。
なお、FFS方式の液晶表示素子において使用される櫛歯電極基板であるFFS基板は、例えば、基材と、基材上に形成された面電極と、面電極上に形成された絶縁膜と、絶縁膜上に形成され、櫛歯状に配置された複数の線状電極と、絶縁膜上に線状電極を覆うように形成された液晶配向膜とを有する。
【0074】
液晶配向剤を基板に塗布し、成膜する方法としては、スクリーン印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、インクジェット法、又はスプレー法等が挙げられる。なかでも、インクジェット法による塗布、成膜法が好適に使用できる。
【0075】
<工程(2):塗布した液晶配向剤を焼成する工程>
工程(2)は、基板上に塗布した液晶配向剤を焼成し、膜を形成する工程である。工程(2)の具体例は以下のとおりである。
工程(1)において液晶配向剤を基板上に塗布した後は、ホットプレート、熱循環型オーブン又はIR(赤外線)型オーブンなどの加熱手段により、溶媒を蒸発させたり、ポリアミック酸の熱イミド化を行ったりすることができる。液晶配向剤を塗布した後の乾燥、焼成工程は、任意の温度と時間を選択することができ、複数回行ってもよい。液晶配向剤を焼成する温度としては、例えば40~180℃で行うことができる。プロセスを短縮する観点で、40~150℃で行ってもよい。焼成時間としては特に限定されないが、1~10分又は、1~5分が挙げられる。上記工程の後、例えば150~300℃、又は150~250℃で焼成する工程を追加してもよい。焼成時間としては特に限定されないが、5~40分、又は、5~30分の焼成時間が挙げられる。
焼成後の膜状物の膜厚は、薄すぎると液晶表示素子の信頼性が低下する場合があるので、5~300nmが好ましく、10~200nmがより好ましい。
【0076】
<工程(3):工程(2)で得られた膜に配向処理する工程>
工程(3)は、工程(2)で得られた膜に配向処理を施し、液晶配向膜を形成する工程である。本工程は、上記光配向膜を形成するための液晶配向膜の製造方法、又は、上記ラビング配向膜を形成するための液晶配向膜の製造方法を適用することが出来る。即ち、各条件の好ましい態様や、追加される好ましい態様については、上記光配向膜を形成するための液晶配向膜の製造方法、又は、上記ラビング配向膜を形成するための液晶配向膜の製造方法を参照することが出来る。
【0077】
得られる液晶配向膜が光配向膜である場合、例えば、以下の工程(3c)~(3e)を含む方法により、液晶配向膜を形成することができる。
工程(3c):工程(2)で得られた膜に光を照射して異方性を付与する工程、
工程(3d):工程(3c)で得られた処理膜を加熱する工程、
工程(3e):更に減圧雰囲気下で加熱処理を行う工程であって、該加熱処理における加熱温度が、60℃以上である、上記工程。
【0078】
得られる液晶配向膜がラビング配向膜である場合、例えば、以下の工程(3c’)~(3e’)、又は工程(3e’’)~(3c’’)を含む方法により、液晶配向膜を形成することができる。
工程(3c’):工程(2)で得られた膜にラビング処理を行う工程、
工程(3e’):工程(3c’)で得られた処理膜に、更に減圧雰囲気下で加熱処理を行う工程であって、該加熱処理における加熱温度が、60℃以上である、上記工程。
工程(3e’’):工程(2)で得られた膜を、減圧雰囲気下で加熱処理を行う工程であって、該加熱処理における加熱温度が、60℃以上である、上記工程、
工程(3c’’):工程(3e’’)で得られた膜にラビング処理を行う工程。
【0079】
<工程(4):液晶セルを作製する工程>
上記のようにして液晶配向膜が形成された基板を2枚準備し、対向配置した2枚の基板間に液晶を配置する。具体的には以下の2つの方法が挙げられる。
第一の方法は、先ず、それぞれの液晶配向膜が対向するように間隙(セルギャップ)を介して2枚の基板を対向配置する。次いで、2枚の基板の周辺部をシール剤を用いて貼り合わせ、基板表面及びシール剤により区画されたセルギャップ内に液晶組成物を注入充填して膜面に接触した後、注入孔を封止する。
【0080】
また、第二の方法は、ODF(One Drop Fill)方式と呼ばれる手法である。液晶配向膜を形成した2枚の基板のうちの一方の基板上の所定の場所に、例えば紫外光硬化性のシール剤を塗布し、更に液晶配向膜面上の所定の数箇所に液晶組成物を滴下する。その後、液晶配向膜が対向するように他方の基板を貼り合わせて液晶組成物を基板の全面に押し広げて膜面に接触させる。次いで、基板の全面に紫外光を照射してシール剤を硬化する。いずれの方法による場合でも、更に、用いた液晶組成物が等方相をとる温度まで加熱した後、室温まで徐冷することにより、液晶充填時の流動配向を除去することが望ましい。
なお、塗膜に対してラビング配向処理を行った場合には、2枚の基板は、各塗膜におけるラビング方向が互いに所定の角度、例えば直交又は逆平行となるように対向配置される。
シール剤としては、例えば硬化剤及びスペーサーとしての酸化アルミニウム球を含有するエポキシ樹脂等を用いることができる。
上記液晶組成物としては、特に制限はなく、少なくとも一種の液晶化合物(液晶分子)を含む組成物であって、ネマチック相を呈する液晶組成物(以下、ネマチック液晶ともいう。)、スメクチック相を呈する液晶、又はコレステリック相を呈する液晶組成物を挙げることができ、そのなかでもネマチック液晶が好ましい。また、誘電率異方性が正または負の各種の液晶組成物を用いることができる。なお、以下では、誘電率異方性が正の液晶組成物を、ポジ型液晶ともいい、誘電率異方性が負の液晶組成物を、ネガ型液晶ともいう。
上記液晶組成物は、フッ素原子、ヒドロキシ基、アミノ基、フッ素原子含有基(例えば、トリフルオロメチル基)、シアノ基、アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、イソチオシアネート基、複素環、シクロアルカン、シクロアルケン、ステロイド骨格、ベンゼン環、又はナフタレン環を有する液晶化合物を含んでもよく、分子内に液晶性を発現する剛直な部位(メソゲン骨格)を2つ以上有する化合物(例えば、剛直な二つのビフェニル構造、又はターフェニル構造がアルキル基で連結されたバイメソゲン化合物)を含んでもよい。
また、上記液晶組成物は、液晶配向性を向上させる観点から、添加物をさらに含有してもよい。このような添加物は、重合性基を有する化合物などの光重合性モノマー;光学活性な化合物(例:メルク(株)社製のS-811など);酸化防止剤;紫外線吸収剤;色素;消泡剤;重合開始剤;又は重合禁止剤などが挙げられる。
ポジ型液晶としては、メルク社製のZLI-2293、ZLI-4792、MLC-2003、MLC-2041、MLC-3019、又はMLC-7081などが挙げられる。
ネガ型液晶としては、例えばメルク社製のMLC-6608、MLC-6609、MLC-6610、MLC-7026、又はMLC-7026-100などが挙げられる。
また、重合性基を有する化合物を含有する液晶として、メルク社製のMLC-3023が挙げられる。
【0081】
本発明の液晶配向膜は、電極を備えた一対の基板の間に液晶層を有してなり、一対の基板の間に活性エネルギー線及び熱の少なくとも一方により重合する重合性化合物を含む液晶組成物を配置し、電極間に電圧を印加しつつ、活性エネルギー線の照射及び加熱の少なくとも一方により、重合性化合物を重合させる工程を経て製造される液晶表示素子(PSA方式の液晶表示素子)にも好ましく用いられる。
また、本発明の液晶配向膜は、電極を備えた一対の基板の間に液晶層を有してなり、上記一対の基板の間に活性エネルギー線及び熱の少なくとも一方により重合する重合性基を含む液晶配向膜を配置し、電極間に電圧を印加する工程を経て製造される液晶表示素子(SC-PVA方式の液晶表示素子)にも好ましく用いられる。
【0082】
そして、必要に応じて液晶セルの外側表面に偏光板を貼り合わせることにより液晶表示素子を得ることができる。液晶セルの外表面に貼り合わされる偏光板としては、ポリビニルアルコールを延伸配向させながらヨウ素を吸収させた「H膜」と称される偏光フィルムを酢酸セルロース保護膜で挟んだ偏光板又はH膜そのものからなる偏光板を挙げることができる。
【実施例0083】
以下に実施例を挙げ、本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。本実施例及び比較例で使用した化合物の略号、及び各特性の測定方法は、以下のとおりである。
【0084】
(溶媒)
NMP:N-メチル-2-ピロリドン
GBL:γ-ブチロラクトン
BCS:ブチルセロソルブ
BCA:ブチルセロソルブアセテート
【0085】
(テトラカルボン酸二無水物)
ADA-1~ADA-4:それぞれ、下記式(ADA-1)~(ADA-4)で表される化合物
【化15】
【0086】
(ジアミン)
DA-1~DA-7:それぞれ、下記式(DA-1)~(DA-7)で表される化合物
【化16】
【0087】
(添加剤)
AD-1:下記式(AD-1)で表される化合物
AD-2:3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン
AD-3:N-α-(9-フルオレニルメトキシカルボニル)-N-τ-t-ブトキシカルボニル-L-ヒスチジン
【化17】
【0088】
[粘度の測定]
合成例において、ポリアミック酸溶液の粘度は、E型粘度計TVE-22H(東機産業社製)を用い、サンプル量1.1mL、コーンロータTE-1(1°34’、R24)を用いて、温度25℃で測定した。
【0089】
[重合体の合成]
<合成例1>
撹拌装置付き及び窒素導入管付きの200mL四つ口フラスコに、DA-1を2.16g(20.0mmol)、DA-2を2.93g(12.0mmol)、DA-5を52.73g(8.0mmol)秤取し、NMPを94.8g加えて、窒素を送りながら撹拌し溶解させた。このジアミン溶液を撹拌しながらADA-2を8.34g(37.0mmol)添加し、更に固形分濃度が12質量%になるようにNMPを23.7g加え、40℃下で24時間撹拌してポリアミック酸溶液(PAA-1)を得た。このポリアミック酸の粘度は、351mPa・sであった。
【0090】
<合成例2>
撹拌装置付き及び窒素導入管付きの200mL四つ口フラスコに、DA-4を6.38g(32.0mmol)、DA-6を1.22g(8.0mmol)秤取し、NMPを110.1g加えて、窒素を送りながら撹拌し溶解させた。このジアミン溶液を撹拌しながら、ADA-1を11.18g(38.0mmol)添加し、更に固形分濃度が12質量%になるようにNMPを27.5g加え、25℃下で24時間撹拌してポリアミック酸溶液(PAA-2)を得た。このポリアミック酸の粘度は、398mPa・sであった。
【0091】
<合成例3>
撹拌子を入れた100mLの四つ口フラスコに、DA-3を5.17g(20.0mmol)取り、NMPを67.2g加え、窒素を送りながら撹拌して溶解させた。このジアミン溶液を撹拌しながら、ADA-3を4.17g(19.1mmol)添加し、更にNMPを16.8g加え、窒素雰囲気下、23℃で2時間撹拌した後に、50℃で24時間撹拌して10質量%のポリアミック酸溶液(PAA-3)を得た。このポリアミック酸溶液の温度25℃における粘度は135mPa・sであった。
【0092】
<合成例4>
撹拌装置付き及び窒素導入管付きの200ml四つ口フラスコにDA-7を2.18g(11.0mmol)と、DA-4を8.77g(44.0mmol)加え、NMPを131.5g加え、窒素を送りながら撹拌し溶解させた。このジアミン溶液を水冷下で撹拌しながらADA-4を9.92g(50.6mmol)とNMPを56.4g加えて、窒素雰囲気下、水冷下で5時間攪拌して10質量%のポリアミック酸溶液(PAA-4)を得た。このポリアミック酸溶液の温度25℃における粘度は115mPa・sであった。
【0093】
【表1】
【0094】
[液晶配向剤の調製]
【0095】
<調製例1>
撹拌子を入れた50mL三角フラスコに、合成例1で得られたポリアミック酸溶液(PAA-1)を12.50g取り、AD-2のNMP1.0質量%希釈溶液を1.8g、NMPを9.70g、BCSを6.00g加え、マグネチックスターラーで30分間撹拌し、液晶配向剤(AL-1)を得た。
【0096】
<調製例2>
撹拌子を入れた50mL三角フラスコに、合成例2で得られたポリアミック酸溶液(PAA-2)を12.50g秤取し、AD-2のNMP1.0質量%希釈溶液を1.8g、NMPを9.70g、BCSを6.00g加え、マグネチックスターラーで30分間撹拌し、液晶配向剤(AL-2)を得た。
【0097】
<調製例3>
撹拌子を入れた50mL三角フラスコに、合成例1で得られたポリアミック酸溶液(PAA-1)を3.40g、合成例2で得られたポリアミック酸溶液(PAA-2)を3.83g、AD-2のNMP1.0質量%希釈溶液1.02g、添加剤AD-1のNMP10質量%希釈溶液を0.51g、BCSを6.00g加え、更に添加剤AD-3を0.14g加えて、マグネチックスターラーで30分間撹拌し、液晶配向剤(AL-3)を得た。
【0098】
<調製例4>
撹拌子を入れた50mL三角フラスコに、合成例3で得られたポリアミック酸溶液(PAA-3)を2.00g、合成例4で得られたポリアミック酸溶液(PAA-4)を8.00g、NMPを3.27g、BCSを3.33g加えて、マグネチックスターラーで30分間撹拌し、液晶配向剤(AL-4)を得た。
【0099】
【表2】
【0100】
[液晶配向膜の作製]
<実施例1-1~1-7>
得られた液晶配向剤を用いて、下記方法で液晶配向膜を作製した。
調製例1又は3で得られた液晶配向剤(AL-1)又は(AL-3)を1.0μmのフィルターで濾過した後、全面にITO膜が成膜されているガラス基板(以下、ITO基板)に、スピンコート塗布にて塗布した。80℃のホットプレート上で5分間乾燥させた後、230℃の熱風循環式オーブンで30分間焼成を行い、膜厚100nmの塗膜を形成させた。
次に、偏光板を介して消光比10:1以上の直線偏光した波長254nmの紫外線を照射した。次いで、230℃のホットプレート上で30分間加熱する加熱工程を行った。さらに、真空定温乾燥機(ヤマト科学製 型番:DP300)を用いて、表3に記載の真空加熱処理を実施し、液晶配向膜付き基板を得た。
使用した液晶配向剤、紫外線照射量、紫外線照射後の230℃加熱の有無、及び真空加熱条件(真空度、加熱温度、時間)の詳細を下記表3にまとめる。
尚、表3中の真空度とは、減圧しない常圧(標準大気圧、100.325kPa)を真空度0kPaとし、そこから減圧して低下した圧力の絶対値を意味する。即ち、表中の真空度の値が大きいほど低い圧力状態であることを示す。
【0101】
【表3】
【0102】
<比較例1-1~1-7>
得られた液晶配向剤を用いて、下記方法で液晶配向膜を作製した。
調製例1又は3で得られた液晶配向剤を1.0μmのフィルターで濾過した後、全面にITO膜が成膜されているガラス基板(以下、ITO基板)に、スピンコート塗布にて塗布した。80℃のホットプレート上で5分間乾燥させた後、230℃の熱風循環式オーブンで30分間焼成を行い、膜厚100nmの塗膜を形成させた。
次に、偏光板を介して消光比10:1以上の直線偏光した波長254nmの紫外線を照射した。次いで、230℃のホットプレート上で30分間加熱する加熱工程を行った。さらに、真空定温乾燥機(ヤマト科学製 型番:DP300)を用いて、表4に記載の真空加熱処理を実施し、液晶配向膜付き基板を得た。
使用した液晶配向剤、紫外線照射量、紫外線照射後の230℃加熱の有無、及び真空加熱条件(真空度、加熱温度、時間)の詳細を下記表4にまとめる。
尚、真空度における「無」とは、減圧しない常圧(標準大気圧、100.325kPa)を意味する。
【0103】
【表4】
【0104】
<実施例1-8~1-9>
得られた液晶配向剤を用いて、下記方法で、液晶配向膜を作製した。
上記調製例2又は4で得られた液晶配向剤(AL-2)又は(AL-4)を1.0μmのフィルターで濾過した後、全面にITO膜が成膜されているガラス基板(以下、ITO基板)に、スピンコート塗布にて塗布した。80℃のホットプレート上で5分間乾燥させた後、230℃の熱風循環式オーブンで30分間焼成を行い、膜厚100nmの塗膜を形成させた。
次いで、真空定温乾燥機(ヤマト科学製 型番:DP300)を用いて、表5に記載の真空加熱処理を実施し、液晶配向膜付き基板を得た。
使用した液晶配向剤、及び、真空加熱条件(真空度、加熱温度、時間)の詳細を下記表5にまとめる。
【表5】
【0105】
<比較例1-8>
真空加熱処理を除外した以外は、実施例1-8と同様の条件で、液晶配向膜を作製した。
【0106】
<比較例1-9>
真空加熱処理を除外した以外は、実施例1-9と同様の条件で、液晶配向膜を作製した。
【0107】
<実施例2-1~2-9および比較例2-1~2-9>
上記実施例1-1~1-9及び比較例1-1~1-9で、得られた液晶配向膜について、下記方法にて、膜硬度評価を実施した。
【0108】
[膜硬度の評価]
ITOを全面に蒸着したガラス基板上に形成した配向膜を、レーヨン布でラビング処理(ローラー直径:140mm、ローラー回転数:1000rpm、移動速度:30mm/sec、押し込み長:0.5mm)した後、ヘイズメーター(スガ試験機製 HZ-V3)を用いて、膜のHaze値を測定した。ラビング処理により、傷や削れが発生した場合、膜のヘイズ値は、大きくなり、膜硬度が低いことを意味する。一方、ラビング処理により、傷や削れが発生しない場合、Haze値が小さくなり、膜硬度が高く、良好であることを意味する。
硬度評価結果を下記表6にまとめた。
【表6】
【0109】
実施例2-1と比較例2-1は、どちらも液晶配向剤AL-1を使用しているところ、真空加熱処理が無い場合には(比較例2-1)、膜硬度が6.11であったが、真空加熱処理が有る場合には(実施例2-1)、膜硬度が0.88に改善した。
実施例2-2~2-9においても、膜硬度が良好な液晶配向膜が得られた。
上記実施例に記載の結果より、本発明に記載の真空加熱処理を実施することにより、膜硬度が良好な液晶配向膜が得られることが示された。
【0110】
[液晶セルの作製]
<実施例3-1>
FFS方式液晶表示素子の構成を備えた液晶セルを作製する。
初めに電極付きの基板を準備した。基板は、30mm×50mmの大きさで、厚さが0.7mmのガラス基板とした。基板上には第1層目として対向電極を構成する、ベタ状のパターンを備えたITO電極が形成されていた。第1層目の対向電極の上には第2層目として、CVD法により成膜されたSiN(窒化珪素)膜が形成されている。第2層目のSiN膜の膜厚は500nmであり、第2層目のSiN膜の上には、第3層目としてITO膜をパターニングして形成された櫛歯状の画素電極が配置され、第1画素および第2画素の2つの画素を形成していた。各画素のサイズは、縦10mmで横約5mmである。このとき、第1層目の対向電極と第3層目の画素電極とは、第2層目のSiN膜の作用により電気的に絶縁されていた。
第3層目の画素電極は、中央部分が内角160°で屈曲した幅3μmの電極要素が6μmの間隔を開けて平行になるように複数配列された櫛歯形状を有しており、1つの画素は、複数の電極要素の屈曲部を結ぶ線を境に第1領域と第2領域を有していた。
次に、調製例1で得られた液晶配向剤(AL-1)を1.0μmのフィルターで濾過した後、準備された上記電極付き基板と裏面にITO膜が成膜されている高さ4μmの柱状スペーサーを有するガラス基板に、スピンコート塗布にて塗布した。
液晶配向膜は、上記実施例1-1に記載の条件で作製した。なお、上記電極付き基板に形成する液晶配向膜は、画素屈曲部の内角を等分する方向と液晶の配向方向とが直交するように配向処理し、第2のガラス基板に形成する液晶配向膜は、液晶セルを作製した時に第1のガラス基板上の液晶の配向方向と第2のガラス基板上の液晶の配向方向とが一致するように配向処理した。
上記の2枚の基板を一組とし、基板上にシール剤(三井化学社製 XN-1500T)を印刷し、もう1枚の基板を、液晶配向膜面が向き合い配向方向が0°になるようにして張り合わせた後、150℃で60分間の加熱処理を行い、シール剤を硬化させて空セルを作製した。この空セルに液晶MLC-7026-100(メルク社製、ネガ型液晶)を常温で真空注入した後、注入口を封止してアンチパラレル配向の液晶セルとした。得られた液晶セルは、FFS方式液晶表示素子を構成した。その後、液晶セルを120℃で1時間加熱し、23℃で一晩放置して(以下、iso処理ともいう。)、液晶の配向状態を、偏光顕微鏡を用いて、クロスニコルの状態で観察した結果、配向欠陥がなく、良好な配向状態であった。
【0111】
<実施例3-2~3-7>
液晶配向膜の作製条件を実施例1-2~1-7に変更した以外は、実施例3-1と同様の手順でFFS方式液晶表示素子を作製した。また、上記iso処理を行い、液晶の配向状態を、偏光顕微鏡を用いて、クロスニコルの状態で観察した結果、いずれも配向欠陥がなく、良好な配向状態であった。
【0112】
<実施例3-8~3-9>
調製例2、又は4で得られた液晶配向剤(AL-2)、又は(AL-4)を用いた以外は、実施例1と同様にして、電極付き基板及び裏面にITO膜が成膜されている高さ4μmの柱状スペーサーを有するガラス基板に、スピンコート塗布にて液晶配向剤を塗布した。
次に、実施例1-8、又は実施例1-9と同様の処理を行ってポリイミド焼成膜を得た。
このポリイミド膜をレーヨン布でラビング配向処理(ローラー直径:120mm、ローラー回転数:1000rpm、移動速度:20mm/sec、押し込み長:0.4mm)した後、純水中にて1分間超音波照射をして洗浄を行い、エアブローにて水滴を除去した後、80℃で10分間乾燥して液晶配向膜付き基板を得た。
次に、液晶配向膜面が向き合い配向方向が180°になるようにして張り合わせた以外は、実施例3-1と同様の手順でFFS駆動方式液晶表示素子を作製した。また、上記iso処理を行い、液晶の配向状態を、偏光顕微鏡を用いて、クロスニコルの状態で観察した結果、いずれも配向欠陥がなく、良好な配向状態であった。
【産業上の利用可能性】
【0113】
本発明の液晶配向膜の製造方法を用いることにより、膜硬度が良好な液晶配向膜が得られる。本発明の液晶配向膜を用いることで、IPS駆動方式やFFS駆動方式の液晶表示素子において、表示特性が優れ、且つ、振動試験などの耐久性に優れたIPS駆動方式やFFS駆動方式の液晶表示素子が得られる。そのため、高い表示品位が求められる液晶表示素子における利用が可能である。