IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日清フーズ株式会社の特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024073885
(43)【公開日】2024-05-30
(54)【発明の名称】澱粉含有液状調味料
(51)【国際特許分類】
   A23L 23/00 20160101AFI20240523BHJP
   A23L 27/00 20160101ALI20240523BHJP
【FI】
A23L23/00
A23L27/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022184851
(22)【出願日】2022-11-18
(71)【出願人】
【識別番号】398012306
【氏名又は名称】株式会社日清製粉ウェルナ
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】弁理士法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平井 捺津美
(72)【発明者】
【氏名】菅野 明彦
(72)【発明者】
【氏名】川崎 英俊
【テーマコード(参考)】
4B036
4B047
【Fターム(参考)】
4B036LE02
4B036LE05
4B036LF03
4B036LF04
4B036LH12
4B036LP01
4B036LP18
4B036LP19
4B036LP21
4B047LB09
4B047LE01
4B047LF02
4B047LF08
4B047LG27
4B047LP04
4B047LP05
4B047LP14
(57)【要約】
【課題】レトルト処理のような高温加熱処理を受けた後にも、適度な艶のある良好な外観と、固形食材に対する良好な付着性を有する液状調味料を提供すること。
【解決手段】全質量中に下記澱粉A及び澱粉Bを合計質量で1~10質量%含有し、澱粉Aと澱粉Bとの質量比(澱粉A:澱粉B)が9:1~1:1である、液状調味料。
澱粉A:RVAピーク粘度が1000~2000mPa・Sであり且つブレークダウンが500mPa・S未満である澱粉
澱粉B:RVAピーク粘度が1000mPa・S以上であり且つブレークダウンが500mPa・S以上である澱粉
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
全質量中に下記澱粉A及び澱粉Bを合計質量で1~10質量%含有し、澱粉Aと澱粉Bとの質量比(澱粉A:澱粉B)が9:1~1:1である、液状調味料。
澱粉A:RVAピーク粘度が1000~2000mPa・Sであり且つブレークダウンが500mPa・S未満である澱粉
澱粉B:RVAピーク粘度が1000mPa・S以上であり且つブレークダウンが500mPa・S以上である澱粉
【請求項2】
レトルト処理物である、請求項1に記載の液状調味料。
【請求項3】
クリーム系ソースである、請求項1又は2に記載の液状調味料。
【請求項4】
前記澱粉Bがもち種の未加工澱粉である、請求項1~3のいずれか一項に記載の液状調味料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、麺類やご飯類などの固形食材とともに食すのに適した液状調味料に関し、詳細には、艶のある優れた外観を有し、固形食材に対する付着性にも優れる液状調味料に関する。
【背景技術】
【0002】
液状調味料は、スープのように単独で喫食する場合と、他の固形食材に付着させて喫食する場合とがあり、両者の間では好ましい物性が異なる場合が多い。例えば前者では、比較的流動性を高くして口当たりを良好にするように調理され、一方、後者では、付着性を高めるために比較的流動性を低く、また、たれ落ちにくいよう粘着性を高くするよう調理される。後者において、固形食材に対する付着性を高めるため、澱粉質食品や増粘剤を用いて液状調味料に粘性を付与することもよく行われている。しかしながら、澱粉質食品や増粘剤を用いると、得られる液状調味料は、べたついた口当たりになる場合や、乾いたような艶の無い外観になるか又は逆にぎらついた過度に艶々した外観になる場合が多い。
【0003】
また、調理後すぐに喫食される液状調味料では問題とならないが、常温で流通される液状調味料は、通常、製造後に喫食されるまでの間に微生物によって変敗しないよう、容器に充填して密封後に、レトルト処理などの高温での加熱処理が施されている。しかしながら、このような高温加熱処理によって、液状調味料の物性が変化してしまう場合があり、製造直後に得られていた固形具材に対する付着性や口当たり等の性質が、喫食する際には喪失している場合も少なくなかった。
【0004】
特許文献1には、湿熱処理小麦粉および油脂を含むパスタソース用ルウと、さらにα化澱粉を含むパスタソース用ルウが記載され、このルウを用いてソースを製造すると、粉っぽさが低減しており、さらにパスタに対するソースののりが良いことが記載されている。特許文献2には、ソース全量に対して5~15質量%の粉末状の種実類を含むレトルト用ソースが記載され、このソースは喫食時における米飯や麺への絡みが良好であることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012-39897号公報
【特許文献2】特開2022-98050号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、レトルト処理のような高温加熱処理を受けた後にも、適度な艶のある良好な外観と、固形食材に対する良好な付着性を有する液状調味料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、全質量中に下記澱粉A及び澱粉Bを合計質量で1~10質量%含有し、澱粉Aと澱粉Bとの質量比(澱粉A:澱粉B)が9:1~1:1である、液状調味料である。
澱粉A:RVAピーク粘度が1000~2000mPa・Sであり且つブレークダウンが500mPa・S未満である澱粉
澱粉B:RVAピーク粘度が1000mPa・S以上であり且つブレークダウンが500mPa・S以上である澱粉
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、レトルト処理のような高温加熱処理を受けた後にも、適度な艶のある良好な外観と、固形食材に対する良好な付着性を有する液状調味料を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の液状調味料は、澱粉A及び澱粉Bの2種の澱粉を含有する。一般的に澱粉は、水に懸濁して加熱すると、溶解(膨潤)するとともに粘性を示すようになる。本発明で用いる澱粉A及び澱粉Bは、それぞれ、加熱した際の粘性の挙動が異なる。
【0010】
澱粉は、常温では水に溶解せず懸濁する。澱粉の懸濁液は低粘度である。澱粉懸濁液の加熱時の粘度変化を測定する装置として、ラピッドビスコアナライザー(迅速粘度測定装置;略称「RVA」)が知られている。RVAを用いた測定法では、一定の濃度に懸濁した澱粉懸濁液を徐々に加熱して粘度を測定する。澱粉懸濁液を加熱すると、澱粉粒がα化して吸水・膨潤し、澱粉懸濁液の粘度が上昇する。やがて最高粘度(RVAピーク粘度)を示した後、澱粉粒が崩壊することで粘度は減少する。このRVAピーク粘度と、その後のRVA最低粘度との差をブレークダウンという。RVA最低粘度は、RVAピーク粘度を示した後、澱粉懸濁液を降温させたときの最低粘度である。
【0011】
本発明の液状調味料に用いる澱粉Aは、RVAピーク粘度が1000~2000mPa・S、好ましくは1000~1500mPa・Sであり、また、ブレークダウンが500mPa・S未満、好ましくは300mPa・S未満である。ブレークダウンが小さいことは、RVAピーク粘度とRVA最低粘度との差が小さいことを意味し、澱粉Aのブレークダウンは小さいほど好ましいが、一般的に、ブレークダウンは小さくても100mPa・S程度はある。
【0012】
また、本発明の液状調味料に用いる澱粉Bは、RVAピーク粘度が1000mPa・S以上、好ましくは1000~1500mPa・Sであり、また、ブレークダウンが500mPa・S以上、好ましくは600mPa・S以上である。ブレークダウンが大きいことは、RVAピーク粘度とRVA最低粘度との差が大きいことを意味し、澱粉Bのブレークダウンは大きいほど好ましいが、一般的に、ブレークダウンは大きくても1000mPa・S程度である。
【0013】
RVAピーク粘度及びブレークダウンは、例えばニューポートサンエンティフィック社製ラピッドビスコアナライザーを用い、次のようにして測定される。
(RVAピーク粘度及びブレークダウンの測定方法)
ラピッドビスコアナライザーに付属するアルミ缶(測定対象物の収容容器)に、澱粉を固形分量として1.5g(例えば水分含量14質量%の澱粉の場合1.74g)を入れ、蒸留水を加えて25gにし、6質量%の澱粉懸濁液にした後、さらにパドル(攪拌子)を入れ、タワーにセットする。そして、アルミ缶内のパドルを回転数160rpm/minで回転させながら、該アルミ缶を加熱してその内容物(澱粉懸濁液)の温度を上昇・下降させつつ該内容物の粘度を測定する。このときのアルミ缶内容物の加温・降温条件は以下の通りである:はじめにアルミ缶内容物の品温を50℃で1分間保持した後、7分30秒をかけて95℃まで昇温させ、同温度で5分間保持し、次いで7分30秒をかけて50℃まで降温した後、同温度で2分間保持する。このようにしてアルミ缶を加熱・降温した際の内容物の粘度曲線を得て、該粘度曲線に基づいて、粘度上昇後の最高粘度を「RVAピーク粘度」、降温時の最低粘度を「RVA最低粘度」として求める。ブレークダウンは、「RVAピーク粘度-RVA最低粘度」により算出する。
【0014】
本発明の液状調味料に用いる澱粉A及び澱粉Bは、市販されている澱粉の中から、RVAを用いて前記の測定方法により粘度を測定して、適宜選択することができる。また、特開2014-70643号公報に記載の技術等の公知の技術を参考にして、市販の澱粉を原料にしてRVAピーク粘度及びブレークダウンがそれぞれ前記の範囲となるように調節して用いてもよい。
【0015】
本発明の液状調味料に用いる澱粉A及び澱粉Bとしては、前述のRVAピーク粘度及びブレークダウンを有し且つ食用に用いることができる澱粉であれば、特に制限なく使用することができる。そのような澱粉としては、例えば、タピオカ澱粉、ワキシータピオカ澱粉、馬鈴薯澱粉、小麦澱粉、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ等の未加工澱粉、及びこれらの未化工澱粉に、アセチル化、ヒドロキシプロピル化、エーテル化、架橋、酸化、α化等の加工を施した加工澱粉が挙げられ、これらの2つ以上を組み合わせて用いてもよい。
【0016】
以上の中でも、澱粉Aとしては、タピオカ澱粉及びアセチル化タピオカ澱粉から選択される1種以上を用いることが好ましく、澱粉Bとしては、もち種(一般に「ワキシー種」とも呼ばれる)の澱粉、特にもち種の未加工澱粉、例えばワキシータピオカ澱粉やワキシーコーンスターチ等から選択される1種以上を用いるのが好ましい。本発明において、もち種は、澱粉中に含まれるアミロース含有量が好ましくは5質量%未満のものをいう。
【0017】
本発明の液状調味料は、澱粉A及び澱粉Bを、液状調味料の全質量中、合計質量で1~10質量%、好ましくは2~8質量%、より好ましくは3~6質量%含有する。澱粉A及び澱粉Bの合計含有量が少なすぎると、液状調味料の付着性が低下する場合があり、逆に多すぎると、液状調味料の艶が低下する場合がある。
【0018】
また、液状調味料の艶を照りすぎず適度なものとする観点から、澱粉Aを澱粉Bと比較して同量であるか多量に配合することが好ましい。液状調味料中の澱粉Aと澱粉Bとの質量比(澱粉A:澱粉B)は、9:1~1:1、好ましくは7:1~2:1である。
【0019】
本発明の液状調味料は、前記澱粉A及び澱粉Bに加えて、典型的には、水(水分)を含有する。水の含有量は、液状調味料の食味食感や製造効率の向上等の観点から、液状調味料の全質量に対して、好ましくは50~85質量%、より好ましくは60~80質量%である。
【0020】
本発明の液状調味料は、澱粉A、澱粉B及び水に加えて更に、他の成分を含有してもよい。他の成分としては、例えば、小麦粉、大麦粉、米粉等の穀粉;澱粉A、澱粉B以外の澱粉;糖類;牛乳、生クリーム、チーズ等の乳製品;卵;油脂類;蛋白質;砂糖、塩、しょうゆ、酢等の調味料;ブイヨン、コンソメ等の出汁類;香料、香辛料、酸味料、安定剤、着色料、乳化剤、増粘剤等が挙げられ、液状調味料の種類、用途等に応じて、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0021】
本発明の液状調味料は、澱粉A及び澱粉Bを特定量且つ特定比で含有するほかは、通常の液状調味料と同様である。本発明の液状調味料は、その種類にも特に制限はなく、クリームソース、ホワイトソース、トマトソース、ミートソース、カレーソース、和風ソース、つゆ、たれ等であり得る。尚、本発明でいう「液状」とは、常温常圧下にて液状乃至ペースト状であり流動性を持つことを意味する。
【0022】
本発明の液状調味料は、クリームソース又はホワイトソース等のクリーム系ソースであると、適度な艶のある良好な外観及び固形食材に対する良好な付着性を有するという本発明の効果がとりわけ有効に発揮されるため、好ましい。クリーム系ソースは、乳原料及び/又は豆乳を用いて製造された、常温常圧で乳化状の液状食品を指す。ここで言う「乳原料」は、乳又は乳を原料とする食材を広く包含し、例えば、牛乳、ヤギ乳、クリーム、バター、チーズ、全粉乳、脱脂粉乳、クリームパウダーが挙げられる。一般的にはクリーム系ソースはさらに油脂分を含有しており、また小麦粉を含有する場合も多い。
【0023】
本発明の液状調味料は、固形具材を含有してもよい。固形具材としては、例えば、鶏肉、豚肉、ベーコン、パンチェッタ等の肉類;エビ、イカ、あさり、貝柱、魚卵等の魚介類;たまねぎ、にんじん、ピーマン、にんにく等の野菜類;マッシュルーム、ポルチーニ、しめじ、しいたけ等のキノコ類が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0024】
尚、本発明の液状調味料が固形具材を含有している場合、前述の澱粉A及び澱粉Bの合計含有量は、固形具材を除いた液状部分においてその値を求めるものとする。液状調味料から固形具材を除去するには、例えば、固形具材を含有する液状調味料、すなわち混合状態となっている液状部分と固形具材を、目開き5mmの篩に通せばよい。より詳しくは、混合状態となっている液状部分と固形具材を目開き5mmの篩上に載置し5分間放置して自重で篩下になった画分を液状部分とすることができ、この液状部分に含まれる澱粉A及び澱粉Bの含有量を求めればよい。また、前述の水の含有量についても、この液状部分においてその値を求めるものとする。
【0025】
本発明の液状調味料は、前記澱粉A及び澱粉Bを原材料として用いる限り、常法に従って製造することができる。例えば、先に、澱粉Aと澱粉Bを除く原材料を用いて常法に従って液状調味料を調製し、ここに澱粉Aと澱粉Bを添加して本発明の液状調味料としてもよく、あるいは、常法に従って液状調味料を調製する最初又は途中で澱粉Aと澱粉Bを添加して本発明の液状調味料を得てもよい。この際、澱粉Aと澱粉Bを添加するタイミングや順番は特に限定されない。
【0026】
製造した本発明の液状調味料は、そのまま喫食することも可能であるが、これを容器に密封して冷蔵又は冷凍保存してもよく、又は加熱殺菌処理することで、常温で長期間保存可能な液状調味料を提供することもできる。冷凍保存の場合は、常法に従って、品温-5℃以下、好ましくは-10℃以下で保存すればよい。加熱殺菌処理についても、公知の処理方法を特に制限無く用いることができ、複数の処理方法を組み合わせてもよい。加熱殺菌処理の条件は、従来知られている一般的な加熱殺菌処理の条件に従うことができる。加熱殺菌処理の好ましい一例として、レトルト処理、すなわち、100℃を超える温度での加熱殺菌処理を挙げることができる。レトルト処理についても、常法に従って行えばよい。本発明の液状調味料は、レトルト処理のような高温での加熱殺菌処理や繰り返しの加熱処理を受けた後にも、適度な艶のある良好な外観と、固形食材に対する良好な付着性を有するため、殺菌処理による常温での保存性の向上と合わせ、非常に有用である。従って、本発明の液状調味料は、レトルト処理物である場合、つまりレトルトソースとして利用する場合に特に有利である。
【0027】
本発明の液状調味料は、そのまま単独で食してもよいが、典型的には、固形食材にかける、和える、塗る、混ぜる等して、固形食材とともに食される。固形食材としては、例えば、麺類、ご飯類、パン類、ダンプリング類、肉類、魚介類、野菜類、サラダ等が挙げられる。本発明の液状調味料は、穀粉類を主たるベースとし水等の水性成分を加えて練った生地を成形して得られる麺類又はダンプリング類との相性に特に優れており、麺類又はダンプリング類とともに食した場合には、該液状調味料がこれらに十分に絡み、両者の一体感が十分に感じられ、良好な食感が得られる。従って、本発明の液状調味料は、麺類用又はダンプリング類用として特に有用である。
【0028】
本発明の液状調味料を適用可能な麺類は特に制限されず、例えば、パスタ類;中華麺、うどん、冷麦、そうめん、きしめん、そば、沖縄そば等の麺線類;ギョーザ皮等の麺皮類が挙げられる。本発明の液状調味料は、特にパスタ類用ソースとして有用である。ここでいう「パスタ類」とは、デュラムセモリナやデュラム小麦粉を主原料とする麺類であり、具体的には、例えば、スパゲティ等のロングパスタ、マカロニ等のショートパスタ、ラザニア等の平打ちパスタ等が挙げられる。また、ダンプリング類としては、だんごやすいとん等が挙げられる。
【実施例0029】
以下、実施例により本発明を更に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0030】
〔実施例1~7及び比較例1~6〕
鍋にバター40gを入れて火にかけ、薄力小麦粉50gを加えて中火で焦がさないように炒めた。牛乳750mLを加え、沸騰しないように撹拌しながら10分間加熱した。ここに、各種澱粉(下記表1参照)を下記表2又は表3の配合量で加え、沸騰しないように撹拌しながら10分間加熱した。火を止めて卵黄液100gを加え、余熱で全体に均一になるよう撹拌した後、清水を加えて全量1000gとして、クリーム系ソースの一種であるカルボナーラソースを得た。各カルボナーラソースを140gずつレトルトパウチに充填し、密封後に加熱殺菌処理として121℃で15分間レトルト処理を実施し、レトルト処理物である液状調味料(カルボナーラソース)を得た。
【0031】
【表1】
【0032】
〔試験例〕
各実施例及び比較例のレトルト処理物であるカルボナーラソースを室温で24時間保管後に湯煎して、品温70℃で5分間維持した。これとは別に、乾燥スパゲティ(マ・マースパゲッティ1.6mm;日清製粉ウェルナ製)を規定時間茹で、茹でスパゲティを製造した。茹でたてのスパゲティ235gを皿にとり、品温70℃で維持したソース140gを上からかけて、フォークでよく和えた。これを和えてから3分後に10名の専門パネラーが観察し、下記評価基準により5点満点でソースの外観とスパゲティへの付着性を評価した。パネラー10名の評価点の平均値を求めた。それらの結果を下記表2及び表3に示す。
なお、参考試験例として、澱粉を添加しなかった点以外は実施例1と同様にして、カルボナーラソースを製造し、同様に評価を行ったところ、外観の評価は1.5点、付着性の評価は2.0点であった。
【0033】
<外観の評価基準>
5点:ソース表面が非常に滑らかで且つ適度な光沢感があり、非常に良好。
4点:ソース表面が滑らかで且つ光沢感があり、良好。
3点:ソース表面にやや艶消し感又はややぎらつき感があるものの、滑らかであり、許容範囲。
2点:ソース表面にやや凹凸があり、艶消しの乾いた感じ又はぎらつき感があり、不良。
1点:ソース表面に凹凸があり、全体に乾いた感じ又は全体にぎらついており、非常に不良。
<付着性の評価基準>
5点:ソースが麺全体に均一に絡み、非常に一体感がある。
4点:ソースが麺のほぼ全体に絡み、一体感がある。
3点:麺の一部でソースが弾かれていて若干ムラがあるが、ソースが麺の大部分に絡み、許容範囲。
2点:麺がソースを弾いていてソースの一部がたれ落ち、一体感にやや欠ける。
1点:麺がソースを弾いていて多くのソースがたれ落ち、一体感にける。
【0034】
【表2】
【0035】
【表3】
【0036】
〔実施例8~13及び比較例7~8〕
澱粉Aと澱粉Bとの配合量を表4のように変えた以外は、実施例1と同様にしてカルボナーラソースを製造し、これを試験例と同様に評価した。その結果を表4に示す。なお、表4には実施例2の結果を再掲する。
【0037】
【表4】
【0038】
〔実施例14~17比較例9〕
澱粉Aと澱粉Bとの配合比を表5のように変えた以外は、実施例1と同様にしてカルボナーラソースを製造し、これを試験例と同様に評価した。その結果を表5に示す。なお、表5には実施例2の結果を再掲する。
【0039】
【表5】