(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024074050
(43)【公開日】2024-05-30
(54)【発明の名称】基板処理装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/677 20060101AFI20240523BHJP
B24B 37/10 20120101ALI20240523BHJP
B24B 41/06 20120101ALI20240523BHJP
B25J 9/06 20060101ALI20240523BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20240523BHJP
【FI】
H01L21/68 A
B24B37/10
B24B41/06 A
B25J9/06 B
H01L21/304 621D
H01L21/304 622Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022185102
(22)【出願日】2022-11-18
(71)【出願人】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100118500
【弁理士】
【氏名又は名称】廣澤 哲也
(74)【代理人】
【氏名又は名称】渡邉 勇
(74)【代理人】
【識別番号】100174089
【弁理士】
【氏名又は名称】郷戸 学
(74)【代理人】
【識別番号】100186749
【弁理士】
【氏名又は名称】金沢 充博
(72)【発明者】
【氏名】宮▲崎▼ 充
(72)【発明者】
【氏名】外崎 宏
(72)【発明者】
【氏名】武渕 健一
(72)【発明者】
【氏名】井上 拓也
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 正三
(72)【発明者】
【氏名】石井 亮平
【テーマコード(参考)】
3C034
3C158
3C707
5F057
5F131
【Fターム(参考)】
3C034AA07
3C034BB84
3C034DD10
3C158AA07
3C158AA18
3C158AB03
3C158AB04
3C158AC04
3C158CB03
3C158DA12
3C158DA17
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3C158EB01
3C707AS03
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3C707BS10
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5F057AA12
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5F131BA33
5F131BA37
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5F131CA35
5F131DA22
5F131DA34
5F131DA42
5F131DB02
5F131DB53
5F131DB62
5F131DB73
(57)【要約】
【課題】複数の研磨モジュールから同じ時間で基板を洗浄モジュールまで搬送することができる基板処理装置を提供する。
【解決手段】基板処理装置は、研磨階層内に配置され、基板を研磨する複数の研磨モジュール1A~1Dと、後処理階層内に配置され、研磨された基板に洗浄および乾燥を含む後処理を行う後処理レーン2A,2Bと、研磨された基板を複数の研磨モジュール1A~1Dのうちの1つから取り出し、後処理レーン2A,2Bに直接搬入する昇降搬送装置5を備える。後処理階層は、研磨階層の上に位置する上層階、または研磨階層の下に位置する下層階である。昇降搬送装置5は、複数の研磨モジュール1A~1Dから同じ距離に配置されており、昇降搬送装置5は、研磨階層と後処理階層との間で昇降可能な保持ハンド40を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
研磨階層内に配置され、基板を研磨する複数の研磨モジュールと、
後処理階層内に配置され、前記研磨された基板に洗浄および乾燥を含む後処理を行う後処理レーンと、
前記研磨された基板を前記複数の研磨モジュールのうちの1つから取り出し、前記後処理レーンに直接搬入する昇降搬送装置を備え、
前記後処理階層は、前記研磨階層の上に位置する上層階、または前記研磨階層の下に位置する下層階であり、
前記昇降搬送装置は、前記複数の研磨モジュールから同じ距離に配置されており、
前記昇降搬送装置は、前記基板を保持する保持ハンドと、前記保持ハンドを前記研磨階層と前記後処理階層との間で昇降させる昇降機構を備えている、基板処理装置。
【請求項2】
前記複数の研磨モジュールは、4つの研磨モジュールを含み、
前記昇降搬送装置は、前記4つの研磨モジュールから同じ距離に配置され、かつ前記4つの研磨モジュールに囲まれている、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記昇降搬送装置は、前記保持ハンドを反転させる反転装置をさらに備えている、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項4】
研磨すべき前記基板をカセットストレージから取り出し、前記後処理された基板を前記後処理レーンから取り出して前記カセットストレージに戻す基板搬送ロボットと、
前記基板搬送ロボットを前記研磨階層と前記後処理階層の間で昇降させる上下移動機構をさらに備えている、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記後処理レーンは、第1後処理レーンであり、
前記基板処理装置は、前記後処理階層内に配置された第2後処理レーンをさらに備えており、
前記昇降搬送装置は、前記第1後処理レーンおよび第2後処理レーンから同じ距離にある、請求項4に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記第1後処理レーンおよび前記第2後処理レーンのそれぞれは、一列に配列された洗浄モジュールおよび乾燥モジュールを有する、請求項5に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記第1後処理レーンおよび前記第2後処理レーンは、前記基板搬送ロボットに隣接している、請求項5に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記複数の研磨モジュールのそれぞれは、基板を研磨する研磨ヘッドと、基板を前記昇降搬送装置から受け取り、前記研磨ヘッドに渡す基板ローダーを有しており、
前記昇降搬送装置は、前記複数の研磨モジュールの前記基板ローダーから同じ距離に配置されている、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記複数の研磨モジュールは、6つの研磨モジュールを含み、
前記昇降搬送装置は、第1昇降搬送装置であり、
前記第1昇降搬送装置は、前記複数の研磨モジュールのうちの少なくとも3つの研磨モジュールから同じ距離に配置されており、
前記基板処理装置は、
前記複数の研磨モジュールのうち残りの複数の研磨モジュールから同じ距離に配置された第2昇降搬送装置と、
前記後処理階層内に配置された第3後処理レーンと、
前記第3後処理レーンにより後処理された基板を前記基板搬送ロボットまで搬送する戻り搬送装置をさらに備えており、
前記第2昇降搬送装置は、研磨された基板を前記残りの複数の研磨モジュールのうちの1つから取り出し、前記第3後処理レーンに直接搬入するように構成されている、請求項5に記載の基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェーハ、パネルなどの半導体デバイスに使用される基板を研磨および後処理するための基板処理装置に関し、特に基板の研磨と後処理を高さの異なる階層で実行する基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造では、ウェーハの上に多くの種類の材料が膜状に繰り返し形成され、積層構造を形成する。この積層構造を形成するためには、ウェーハの表面を平坦にする技術が重要となっている。このようなウェーハの表面を平坦化する一手段として、化学機械研磨(CMP)を行う研磨装置が用いられている。
【0003】
研磨装置は、一般に、研磨パッドが取り付けられた研磨テーブルと、ウェーハを研磨テーブル上の研磨パッドに押し付ける研磨ヘッドと、研磨液を研磨パッド上に供給するノズルとを備えている。ノズルから研磨液を研磨パッド上に供給しながら、研磨ヘッドによりウェーハを研磨パッドに押し付け、さらに研磨ヘッドと研磨パッドとを相対移動させることにより、ウェーハを研磨する。
【0004】
基板処理装置は、このような研磨装置に加え、研磨後のウェーハを洗浄する洗浄装置と、洗浄されたウェーハを乾燥させる乾燥装置を有する装置である。特許文献1は、複数の研磨モジュールと、洗浄モジュールと、乾燥モジュールと、研磨されたウェーハを洗浄モジュールに搬送する搬送ロボットを備えた基板処理装置を開示する。研磨モジュールによって研磨されたウェーハは、その表面に露出する金属が研磨液により腐食することを防止するために、できるだけ速やかに洗浄モジュールに搬送することが必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の基板処理装置では、複数の研磨モジュールは一列に配列されており、研磨されたウェーハを洗浄モジュールまで搬送する時間が研磨モジュールごとに異なる。特に、洗浄モジュールまでの搬送距離が長い研磨モジュールで研磨された場合は、ウェーハを洗浄モジュールに搬送するのに比較的長い時間がかかり、ウェーハの表面に露出した金属の腐食が進行する懸念がある。
【0007】
そこで、本発明は、複数の研磨モジュールから同じ時間で基板を洗浄モジュールまで搬送することができる基板処理装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一態様では、研磨階層内に配置され、基板を研磨する複数の研磨モジュールと、後処理階層内に配置され、前記研磨された基板に洗浄および乾燥を含む後処理を行う後処理レーンと、前記研磨された基板を前記複数の研磨モジュールのうちの1つから取り出し、前記後処理レーンに直接搬入する昇降搬送装置を備え、前記後処理階層は、前記研磨階層の上に位置する上層階、または前記研磨階層の下に位置する下層階であり、前記昇降搬送装置は、前記複数の研磨モジュールから同じ距離に配置されており、前記昇降搬送装置は、前記基板を保持する保持ハンドと、前記保持ハンドを前記研磨階層と前記後処理階層との間で昇降させる昇降機構を備えている、基板処理装置が提供される。
【0009】
一態様では、前記複数の研磨モジュールは、4つの研磨モジュールを含み、前記昇降搬送装置は、前記4つの研磨モジュールから同じ距離に配置され、かつ前記4つの研磨モジュールに囲まれている。
一態様では、前記昇降搬送装置は、前記保持ハンドを反転させる反転装置をさらに備えている。
一態様では、前記基板処理装置は、研磨すべき前記基板をカセットストレージから取り出し、前記後処理された基板を前記後処理レーンから取り出して前記カセットストレージに戻す基板搬送ロボットと、前記基板搬送ロボットを前記研磨階層と前記後処理階層の間で昇降させる上下移動機構をさらに備えている。
一態様では、前記後処理レーンは、第1後処理レーンであり、前記基板処理装置は、前記後処理階層内に配置された第2後処理レーンをさらに備えており、前記昇降搬送装置は、前記第1後処理レーンおよび第2後処理レーンから同じ距離にある。
【0010】
一態様では、前記第1後処理レーンおよび前記第2後処理レーンのそれぞれは、一列に配列された洗浄モジュールおよび乾燥モジュールを有する。
一態様では、前記第1後処理レーンおよび前記第2後処理レーンは、前記基板搬送ロボットに隣接している。
一態様では、前記複数の研磨モジュールのそれぞれは、基板を研磨する研磨ヘッドと、基板を前記昇降搬送装置から受け取り、前記研磨ヘッドに渡す基板ローダーを有しており、前記昇降搬送装置は、前記複数の研磨モジュールの前記基板ローダーから同じ距離に配置されている。
一態様では、前記複数の研磨モジュールは、6つの研磨モジュールを含み、前記昇降搬送装置は、第1昇降搬送装置であり、前記第1昇降搬送装置は、前記複数の研磨モジュールのうちの少なくとも3つの研磨モジュールから同じ距離に配置されており、前記基板処理装置は、前記複数の研磨モジュールのうち残りの複数の研磨モジュールから同じ距離に配置された第2昇降搬送装置と、前記後処理階層内に配置された第3後処理レーンと、前記第3後処理レーンにより後処理された基板を前記基板搬送ロボットまで搬送する戻り搬送装置をさらに備えており、前記第2昇降搬送装置は、研磨された基板を前記残りの複数の研磨モジュールのうちの1つから取り出し、前記第3後処理レーンに直接搬入するように構成されている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、昇降搬送装置は、複数の研磨モジュールから同じ距離に配置されている。したがって、複数の研磨モジュールのいずれかで研磨された基板は、同じ搬送時間で後処理レーンに搬送される。結果として、基板処理装置は、研磨された基板に対して速やかに後処理(洗浄、乾燥を含む)を実行することができる。さらに、研磨された基板の後処理(洗浄、乾燥を含む)が行われる後処理階層は、基板の研磨が行われる研磨階層の上または下に位置しているので、基板処理装置の全体の設置面積を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】基板処理装置の一実施形態を示す斜視図である。
【
図3】
図1に示す基板処理装置を示す側面図である。
【
図4】
図1に示す基板処理装置の研磨階層を示す上面図である。
【
図5】
図1に示す基板処理装置の後処理階層を示す上面図である。
【
図6】
図6(a)乃至
図6(c)は、第1後処理レーンの後処理搬送装置を示す平面図である。
【
図7】基板処理装置の他の実施形態を示す斜視図である。
【
図8】基板処理装置のさらに他の実施形態を示す斜視図である。
【
図10】
図8に示す基板処理装置の研磨階層を示す上面図である。
【
図11】
図8に示す基板処理装置の後処理階層を示す上面図である。
【
図12】戻り搬送装置の一実施形態を示す斜視図である。
【
図13】基板処理装置の研磨階層のさらに他の実施形態を示す上面図である。
【
図14】基板処理装置のさらに他の実施形態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、基板処理装置の一実施形態を示す斜視図である。
図1に示すように、基板処理装置は、研磨階層および後処理階層を含む複数階層構造を有する。基板処理装置は、研磨階層内に配置された、基板を研磨する複数の研磨モジュール1A,1B,1C,1Dと、後処理階層内に配置された、研磨された基板に洗浄および乾燥を含む後処理を行う後処理レーン2A,2Bと、研磨された基板を複数の研磨モジュール1A~1Dのうちの1つから取り出し、後処理レーン2A,2Bに直接搬入する昇降搬送装置5を備えている。基板の具体例としては、ウェーハ、パネルなどが挙げられる。以下に説明する実施形態では、基板として円形ウェーハが使用される。
【0014】
図1に示す実施形態では、4つの研磨モジュール1A~1Dが研磨階層内に配置されている。研磨モジュールの数は、本実施形態に限定されず、2つまたは3つの研磨モジュール、または5つ以上の研磨モジュールが設けられてもよい。
【0015】
本実施形態では、研磨階層は下層階(すなわち、第1階層)であり、後処理階層は研磨階層の上に位置する上層階(すなわち、第2階層)である。したがって、本実施形態の基板処理装置は、2階層構造を有する。研磨された基板の後処理(洗浄、乾燥を含む)が行われる後処理階層は、基板の研磨が行われる研磨階層の上に位置しているので、基板処理装置の全体の設置面積を小さくすることができる。昇降搬送装置5は、4つの研磨モジュール1A~1Dから同じ距離に配置されており、4つの研磨モジュール1A~1Dに囲まれている。言い換えれば、昇降搬送装置5は、4つの研磨モジュール1A~1Dの中央に位置している。
【0016】
図1に示す実施形態の基板処理装置は、第1後処理レーン2Aおよび第2後処理レーン2Bを有している。第1後処理レーン2Aおよび第2後処理レーン2Bは、後処理階層内の同じ高さに並列に配置されている。第1後処理レーン2Aおよび第2後処理レーン2Bは、基板処理装置の長手方向に延びている。第1後処理レーン2Aおよび第2後処理レーン2Bのそれぞれは、3つの洗浄モジュール7,8,9と、1つの乾燥モジュール10を含む。ただし、各後処理レーン2A,2Bに含まれる洗浄モジュールの数および乾燥モジュールの数は、本実施形態に限定されない。一実施形態では、単一の後処理レーンが設けられてもよい。他の実施形態では、各後処理レーンは、基板を洗浄および乾燥する単一の後処理モジュールのみを含んでもよい。
【0017】
昇降搬送装置5は、研磨階層と後処理階層との間で移動することが可能な保持ハンド40を有している。すなわち、昇降搬送装置5の保持ハンド40は、研磨された基板を4つの研磨モジュール1A~1Dのいずれかから取り出し、基板とともに研磨階層から後処理階層まで上昇し、そして第1後処理レーン2Aまたは第2後処理レーン2Bの洗浄モジュール7に基板を直接搬入する。洗浄モジュール7は、その正面壁に、基板および昇降搬送装置5の保持ハンド40の進入を許容する開口部7aを有している。研磨された基板は、昇降搬送装置5によって直接(すなわち、仮置き台などを経由せずに)洗浄モジュール7に搬入されるので、研磨された基板の搬送時間が短くできる。基板を洗浄モジュール7に搬入した後、保持ハンド40は後処理階層から研磨階層まで下降する。
【0018】
昇降搬送装置5(より具体的には、保持ハンド40のホームポジション)は、4つの研磨モジュール1A,1B,1C,1D(より具体的には、基板ローダー33の位置)から同じ距離にある。したがって、4つの研磨モジュール1A~1Dで研磨された複数の基板は、同じ搬送時間で第1後処理レーン2Aまたは第2後処理レーン2Bの洗浄モジュール7に搬送される。後処理レーン2A,2Bは、研磨された基板に対して速やかに後処理(洗浄、乾燥を含む)を実行することができる。研磨モジュール1A,1B,1C,1Dから昇降搬送装置5までの距離が同じであることは、研磨モジュール1A,1B,1C,1Dから昇降搬送装置5までの距離が完全に同じであることのみならず、本発明の意図した目的、特に研磨から後処理までの基板搬送時間のばらつきを無くすという目的を達成できる限りにおいて、研磨モジュール1A,1B,1C,1Dから昇降搬送装置5までの距離が実質的に同じであることも含む。
【0019】
本実施形態では、4つの研磨モジュール1A,1B,1C,1Dに対して2つの後処理レーン2A,2Bが設けられているので、後処理レーン2A,2Bが基板の処理の律速因子となることを避けることができる。
【0020】
4つの研磨モジュール1A~1Dは同じ構成を有しているので、以下、研磨モジュール1Aに付いて詳細に説明する。
図1に示すように、研磨モジュール1Aは、研磨パッド20を支持する研磨テーブル21と、研磨テーブル21を回転させるテーブルモータ22と、研磨液を研磨パッド20上に供給する研磨液供給ノズル24と、基板を研磨パッド20に押し付けて基板を研磨する2つの研磨ヘッド25,25と、研磨ヘッド25,25をそれらの軸心を中心に回転させる研磨ヘッドモータ(図示せず)を有している。2つの研磨ヘッド25,25は、ヘッドアーム28に回転可能に支持されており、上記研磨ヘッドモータはヘッドアーム28内に配置されている。ヘッドアーム28の中央部は支持軸29により支持されている。
【0021】
研磨モジュール1Aは、基板を昇降搬送装置5から受け取り、基板を2つの研磨ヘッド25,25のうちの一方に渡す基板ローダー33をさらに備えている。基板ローダー33は、研磨テーブル21の外側に配置されている。昇降搬送装置5は、基板の被研磨面が下方を向くように基板を反転させるように構成されており、基板の被研磨面が下方を向いた状態で基板を基板ローダー33に渡す。
【0022】
研磨モジュール1Aは、ヘッドアーム28および2つの研磨ヘッド25,25を支持軸29を中心に回転させるアーム旋回モータ(図示せず)をさらに備えている。このアーム旋回モータは、ヘッドアーム28または支持軸29に設置されている。ヘッドアーム28がアーム旋回モータによって180度の角度だけ回転されると、2つの研磨ヘッド25,25のうちの一方は研磨パッド20の上方位置に移動され、他方の研磨ヘッド25は基板ローダー33の上方位置に移動される。基板ローダー33は、基板を持ち上げ、研磨テーブル21の外側にある研磨ヘッド25に渡すように構成されている。各研磨ヘッド25,25は、真空吸引によりその下面に基板を保持することが可能に構成されている。一実施形態では、研磨モジュール1A~1Dのうちの少なくとも1つは、単一の研磨ヘッドを有してもよい。
【0023】
基板の研磨は、次のようにして行われる。研磨すべき基板が研磨ヘッド25により保持されると、ヘッドアーム28は180度だけ回転し、研磨ヘッド25は基板とともに、研磨パッド20の上方位置に移動する。研磨テーブル21および研磨パッド20は、テーブルモータ22により回転し、研磨液供給ノズル24から研磨液(典型的にはスラリー)が研磨パッド20上に供給される。研磨ヘッド25は、ヘッドアーム28内に配置された研磨ヘッドモータ(図示せず)により回転されながら、基板の下面(被研磨面)を研磨パッド20に押し付ける。基板の下面は、研磨液の化学的作用と、研磨液に含まれる砥粒および/または研磨パッド20の機械的作用の組み合わせにより研磨される。本実施形態の研磨モジュール1A~1Dは、基板を化学機械的に研磨する化学機械研磨装置(CMP装置)である。
【0024】
基板の研磨が終了すると、ヘッドアーム28は180度だけ回転し、研磨ヘッド25は研磨された基板とともに、基板ローダー33の上方位置に移動する。研磨ヘッド25は、基板をリリースし、基板は基板ローダー33上に置かれる。昇降搬送装置5の保持ハンド40は、基板を基板ローダー33から取り出し、基板とともに上昇して後処理レーン2Aまたは2Bに基板を搬入する。
【0025】
本実施形態の基板処理装置は、研磨される前の基板に対して前洗浄を行う前洗浄装置35をさらに備えている。研磨すべき基板は、昇降搬送装置5により前洗浄装置35に搬送され、前洗浄装置35により基板の被研磨面が洗浄される。昇降搬送装置5の保持ハンド40は、基板の被研磨面が上を向いた状態で、基板を前洗浄装置35に搬入し、前洗浄装置35は基板の被研磨面を洗浄する。前洗浄装置35のタイプは特に限定されないが、例えば、バフ洗浄装置、スクラブ洗浄装置などが挙げられる。前洗浄装置35は、研磨すべき基板からパーティクルを除去し、次に行われる基板の研磨において基板のスクラッチを防止することができる。
【0026】
前洗浄された基板は、昇降搬送装置5の保持ハンド40により前洗浄装置35から取り出され、4つの研磨モジュール1A~1Dのうちのいずれかに搬送される。一実施形態では、前洗浄装置35は設けられないこともある。
【0027】
図2は、昇降搬送装置5の一実施形態を示す図である。
図2に示すように、昇降搬送装置5は、基板Wを保持する保持ハンド40と、保持ハンド40を反転させる反転装置41と、反転装置41が固定されたロボットアーム42と、保持ハンド40、反転装置41、およびロボットアーム42を研磨階層と後処理階層との間で昇降させる昇降機構44を備えている。保持ハンド40は、基板Wの周縁部を保持するように構成されており、反転装置41によって基板Wおよび保持ハンド40が反転されたときに、基板Wが保持ハンド40から落下しないようになっている。反転装置41は、基板Wを保持した保持ハンド40を、基板Wが反転するまで水平軸まわりに回転させるように構成されている。
【0028】
昇降機構44は、リンク機構45と、このリンク機構45を駆動するリンクアクチュエータ46を備えている。リンク機構45の一端は、ロボットアーム42に連結され、リンク機構45の他端はリンクアクチュエータ46に連結されている。リンクアクチュエータ46がリンク機構45を駆動すると、リンク機構45は縦方向に伸張および収縮し、これにより保持ハンド40、反転装置41、およびロボットアーム42は、研磨階層と後処理階層との間を移動することができる。本実施形態では、保持ハンド40、反転装置41、およびロボットアーム42は、基板とともに一体に昇降する昇降ステージを構成する。
【0029】
昇降機構44は、保持ハンド40、反転装置41、およびロボットアーム42を研磨階層と後処理階層との間で昇降させることができる限りにおいて、本実施形態のリンク機構45とリンクアクチュエータ46との組み合わせに限られない。例えば、昇降機構44は、縦軸に沿って上下に移動可能な走行ロボットであってもよいし、あるいはボールねじ機構とモータとの組み合わせであってもよいし、あるいはリニアモータであってもよい。
【0030】
基板Wは、その被研磨面が上向きの状態で、基板処理装置に搬送される。昇降搬送装置5の反転装置41は、基板Wの被研磨面が下向きになるように基板Wを反転させ、その後、研磨モジュール1A~1Dのいずれかの基板ローダー33に基板Wを置く。研磨モジュール1A~1Dのいずれかによって研磨された基板Wは、研磨された面が下向きの状態で、研磨ヘッド25から基板ローダー33上にリリースされる。昇降搬送装置5の保持ハンド40は、研磨された基板Wを基板ローダー33から取り出す。その後、昇降搬送装置5の反転装置41は、研磨された面が上向きとなるように保持ハンド40および基板Wを反転させる。
【0031】
昇降搬送装置5の昇降機構44は、基板Wを保持した保持ハンド40を後処理階層まで上昇させる。基板Wの反転は、基板Wを上昇させる前、または基板Wを上昇させているとき、または基板Wを上昇させた後に実行されてもよい。昇降搬送装置5は、研磨された面が上向きの状態で、基板Wを第1後処理レーン2Aまたは第2後処理レーン2Bの洗浄モジュール7に搬入する。保持ハンド40は、洗浄モジュール7内に進入し、洗浄モジュール7内の基板保持機構(例えば、保持チャック)に基板Wを渡す。
【0032】
このように、昇降搬送装置5は、基板Wの研磨モジュール1A~1Dからの取り出し、基板Wの反転、基板Wの上昇、および基板Wの洗浄モジュール7への搬入を含む一連の動作を実行できるので、研磨された基板Wの研磨モジュール1A~1Dから洗浄モジュール7への搬送時間を短くすることができる。
【0033】
図3は、
図1に示す基板処理装置を示す側面図である。
図3では、前洗浄装置35の図示は省略されている。
図3に示すように、基板処理装置は、複数の基板が収納されたカセットストレージ100が置かれるカセットローダー53と、研磨すべき1つの基板をカセットストレージ100から取り出して、昇降搬送装置5に渡す基板搬送ロボット55をさらに備えている。基板搬送ロボット55は、カセットローダー53と昇降搬送装置5との間に配置されている。基板処理装置は、基板搬送ロボット55を水平方向および上下方向に移動させる水平移動機構56および上下移動機構57をさらに備えている。上下移動機構57は、基板搬送ロボット55を研磨階層と後処理階層の間で昇降させるように構成されている。すなわち、基板搬送ロボット55は、上下移動機構57により後処理階層まで上昇して、後処理された基板を後処理レーン2Aまたは2Bから取り出し、その後、後処理された基板とともに上下移動機構57により研磨階層まで下降して基板をカセットストレージ100に戻す。
【0034】
研磨ヘッド25,25は、研磨階層と後処理階層の間にあるフレーム60から吊り下げられている。より具体的には、研磨モジュール1Aは、フレーム60から下方に延びる支持軸29を有しており、ヘッドアーム28は、支持軸29の下部に回転可能に支持されている。ヘッドアーム28または支持軸29には、ヘッドアーム28および2つの研磨ヘッド25,25を支持軸29を中心に回転させるアーム旋回モータ(図示せず)が設置されている。他の研磨モジュール1B,1C,1Dも同様の構成を有している。
【0035】
図3に示すように、基板処理装置は、研磨モジュール1A~1D、基板搬送ロボット55、水平移動機構56、上下移動機構57、昇降搬送装置5、基板ローダー33、洗浄モジュール7,8,9、乾燥モジュール10を含む各構成要素の動作を制御する動作制御部63を備えている。動作制御部63は、少なくとも1台のコンピュータから構成されている。動作制御部63は、基板処理装置の動作を制御するためのプログラムが格納された記憶装置63aと、プログラムに含まれる命令に従って演算を実行する処理装置63bを備えている。記憶装置63aは、ランダムアクセスメモリ(RAM)などの主記憶装置と、ハードディスクドライブ(HDD)、ソリッドステートドライブ(SSD)などの補助記憶装置を備えている。処理装置63bの例としては、CPU(中央処理装置)、GPU(グラフィックプロセッシングユニット)が挙げられる。ただし、動作制御部63の具体的構成はこれらの例に限定されない。
【0036】
図4は、
図1に示す基板処理装置の研磨階層を示す上面図である。
図4に示すように、4つの研磨モジュール1A~1Dは一列には配置されていなく、基板処理装置の上から見たときに、4つの研磨モジュール1A~1Dは矩形状を形成するように配置されている。すなわち、研磨モジュール1Aおよび研磨モジュール1Bは、研磨モジュール1Cおよび研磨モジュール1Dと平行であり、かつ第1および研磨モジュール1A,1Bと、第3および研磨モジュール1C,1Dは、昇降搬送装置5に関して対称に配置されている。
【0037】
4つの研磨モジュール1A~1Dの基板ローダー33と昇降搬送装置5の距離が同一であるので、研磨ヘッド25から基板をリリースしてから基板を洗浄するまでの時間を同じにできる。
4つの研磨モジュール1A~1Dは同一の構成であり、基板の研磨位置と基板ローダー33との距離も同一である。したがって、基板を研磨してから洗浄するまでの時間も同じにできる。
4つの研磨モジュール1A~1Dの基板ローダー33、基板の研磨位置、研磨テーブル21は昇降搬送装置5を中心に、基板処理装置の長手方向および幅方向に関して対称になっている。
基板ローダー33と昇降搬送装置5の距離は、基板の研磨位置と昇降搬送装置5の距離よりも短い。したがって、基板の搬送に無駄がなく、スループットが上がる。
【0038】
昇降搬送装置5(より具体的には、保持ハンド40のホームポジション)は、4つの研磨モジュール1A~1D(より具体的には、基板ローダー33の位置)から同じ距離にある。すなわち、昇降搬送装置5は、4つの研磨モジュール1A~1Dの中央に配置されている。したがって、昇降搬送装置5は、4つの研磨モジュール1A~1Dで研磨された複数の基板を、同じ搬送時間で後処理レーン2A,2Bに搬送することができる。
【0039】
基板処理装置は、昇降搬送装置5と基板搬送ロボット55との間に配置された仮置き台66を備えている。研磨すべき基板は、基板搬送ロボット55によってカセットストレージ100から取り出され、基板搬送ロボット55によって仮置き台66に置かれる。昇降搬送装置5は、仮置き台66から基板を取り出し、2つの前洗浄装置35のいずれかに搬送する。前洗浄された基板は、昇降搬送装置5によって4つの研磨モジュール1A~1Dのいずれかの基板ローダー33に搬送される。
【0040】
図5は、
図1に示す基板処理装置の後処理階層を示す上面図である。
図5に示すように、第1後処理レーン2Aおよび第2後処理レーン2Bのそれぞれは、洗浄モジュール7、洗浄モジュール8、洗浄モジュール9、および乾燥モジュール10を含む。ただし、後処理レーン2A,2Bのそれぞれに含まれる洗浄モジュールの数および乾燥モジュールの数は、本実施形態に限定されない。一実施形態では、単一の後処理レーンが設けられてもよい。他の実施形態では、各後処理レーンは、基板を洗浄および乾燥する単一の後処理モジュールのみを含んでもよい。洗浄モジュール7、洗浄モジュール8、洗浄モジュール9、および乾燥モジュール10は、基板を1枚ずつ処理する、枚葉式の処理モジュールであり、それぞれ基板を保持するための保持チャック(図示せず)を有する。
【0041】
昇降搬送装置5(より具体的には、保持ハンド40のホームポジション)は、第1後処理レーン2A(例えば洗浄モジュール7の保持チャックの位置)および第2後処理レーン2B(例えば洗浄モジュール7の保持チャックの位置)から同じ距離にある。基板処理装置の上から見たときに、第1後処理レーン2Aの洗浄モジュール7および第2後処理レーン2Bの洗浄モジュール7は、昇降搬送装置5に関して対称に配置されている。昇降搬送装置5から第1後処理レーン2Aおよび第2後処理レーン2Bまでの距離が同じであることは、昇降搬送装置5から第1後処理レーン2Aおよび第2後処理レーン2Bまでの距離が完全に同じであることのみならず、本発明の意図した目的、特に研磨から後処理までの基板搬送時間のばらつきを無くすという目的を達成できる限りにおいて、昇降搬送装置5から第1後処理レーン2Aおよび第2後処理レーン2Bまでの距離が実質的に同じであることも含む。
【0042】
洗浄モジュール7,8,9のタイプは特に限定されない。一例では、洗浄モジュール7はバフ洗浄装置であり、洗浄モジュール8はスポンジスクラブ洗浄装置であり、洗浄モジュール9は二流体ジェット洗浄装置である。洗浄モジュール7,8,9の洗浄メカニズムは、公知の構成を使用することができる。乾燥モジュール10のタイプも特に限定されない。例えば、乾燥モジュール10は、イソプロピルアルコールの蒸気を基板に吹き付けて基板を乾燥させるIPA乾燥装置であってもよく、あるいは、基板を高速で回転させることで液体を基板から除去するスピン乾燥装置であってもよい。
【0043】
第1後処理レーン2Aおよび第2後処理レーン2Bは、基板搬送ロボット55に隣接している。洗浄モジュール7、洗浄モジュール8、洗浄モジュール9、および乾燥モジュール10は一列に配列されている。昇降搬送装置5は、基板搬送ロボット55から最も離れた位置にある洗浄モジュール7に基板を搬入するように動作する。乾燥モジュール10は3つの洗浄モジュール7,8,9よりも基板搬送ロボット55に近い。
【0044】
研磨された基板は、後述する後処理搬送装置によって、洗浄モジュール7、洗浄モジュール8、洗浄モジュール9、および乾燥モジュール10の順に搬送され、洗浄および乾燥を含む後処理が基板に対して実行される。乾燥モジュール10によって乾燥された基板は、基板搬送ロボット55によって乾燥モジュール10から取り出され、
図3に示すカセットストレージ100に戻される。
【0045】
図6(a)乃至
図6(c)は、第1後処理レーン2Aの後処理搬送装置を示す平面図である。
図6(a)乃至
図6(c)に示すように、第1後処理レーン2Aは、3つの後処理搬送装置70A,70B,70Cを備えている。これら3つの後処理搬送装置70A,70B,70Cは、3つの洗浄モジュール7,8,9内にそれぞれ配置されている。乾燥モジュール10には、後処理搬送装置は設けられない。後処理搬送装置70A,70B,70Cの数は、洗浄モジュール7,8,9の数に対応する。すなわち、本実施形態では3つの洗浄モジュール7,8,9が設けられているので、3つの後処理搬送装置70A,70B,70Cが設けられる。2つの洗浄モジュールが設けられる実施形態では、2つの後処理搬送装置が設けられる。洗浄モジュール7の正面壁は、昇降搬送装置5の保持ハンド40(
図2参照)の進入を許容する開口部7aを有している。
【0046】
3つの後処理搬送装置70A,70B,70Cは、同じ構成を有しているので、以下、後処理搬送装置70Aについて説明する。後処理搬送装置70Aは、基板Wを保持するためのクランプ71と、クランプ71に連結されたリンクアーム72と、リンクアーム72を駆動させるアームアクチュエータ74を備えている。
図6(a)は、洗浄モジュール7,8,9および乾燥モジュール10で基板Wの洗浄および乾燥が行われている状態を示している。クランプ71およびリンクアーム72は退避位置にある。洗浄モジュール7,8,9の側壁および乾燥モジュール10の側壁にはシャッター76,77,78,79が設けられており、基板Wの洗浄および乾燥中は、
図6(a)に示すように、シャッター76,77,78,79は閉じられている。開口部7aも、基板Wの洗浄および乾燥中は、図示しないシャッターにより閉じられる。
【0047】
図6(b)に示すように、基板Wの洗浄および乾燥が終了すると、まず、乾燥モジュール10のシャッター79が開き、基板搬送ロボット55は、基板Wを乾燥モジュール10から取り出す。次いで、3つの後処理搬送装置70A,70B,70Cのクランプ71は洗浄モジュール7,8,9内の3つの基板Wをそれぞれ保持する。そして、
図6(c)に示すように、洗浄モジュール7,8,9のシャッター76,77,78が開き、3つの後処理搬送装置70A,70B,70Cは、基板Wを次の洗浄モジュール8,9および乾燥モジュール10に搬送する。
【0048】
後処理搬送装置70A,70B,70Cの動作は、動作制御部63(
図3参照)によって制御される。3つの後処理搬送装置70A,70B,70Cは、3つの基板Wを同時に搬送してもよく、あるいは次の洗浄モジュール8,9または乾燥モジュール10内の基板Wが取り出された後に、異なるタイミングで基板Wを搬送してもよい。
【0049】
後処理搬送装置70A,70B,70Cの具体的構成は、後処理搬送装置70A,70B,70Cの意図した機能が発揮できる限りにおいて、
図6(a)乃至
図6(c)に示す実施形態に限定されない。
【0050】
次に、基板を研磨、洗浄、乾燥する動作の一例について説明する。動作制御部63(
図3参照)は、研磨モジュール1A~1D、基板搬送ロボット55、水平移動機構56、上下移動機構57、昇降搬送装置5、前洗浄装置35、基板ローダー33、洗浄モジュール7,8,9、乾燥モジュール10、後処理搬送装置70A,70B,70Cを含む基板処理の各構成要素に指令を与えて、以下に説明する動作を実行させる。以下に説明する例では、4つの研磨モジュール1A~1Dのうちの2つを用いた第1研磨および第2研磨を含む、基板の2ステップ研磨が実行される。
【0051】
基板は、その被研磨面が上向きの状態でカセットストレージ100に収納されている。基板搬送ロボット55は、カセットローダー53上のカセットストレージ100から1枚の基板を取り出し、基板を仮置き台66上に置く。昇降搬送装置5の保持ハンド40は、基板を仮置き台66から取り出し、基板を前洗浄装置35に搬入する。前洗浄装置35は、被研磨面が上向きの状態で、基板の被研磨面を洗浄する。基板の前洗浄が終わると、昇降搬送装置5の保持ハンド40は、基板を前洗浄装置35から取り出す。昇降搬送装置5の反転装置41は、基板を保持した保持ハンド40を、基板の被研磨面が下向きとなるまで反転させる。そして、昇降搬送装置5は、基板を、4つの研磨モジュール1A~1Dのうちの1つの基板ローダー33上に置く。
【0052】
基板ローダー33は基板を研磨ヘッド25まで持ち上げ、研磨ヘッド25は、その下面に基板を真空吸引により保持する。ヘッドアーム28は180度の角度だけ回転され、基板を保持した研磨ヘッド25は、研磨パッド20の上方位置に移動される。研磨パッド20および研磨テーブル21が回転されながら、研磨液が研磨液供給ノズル24から研磨パッド20上に供給される。研磨ヘッド25はその軸心まわりに回転しながら、基板の被研磨面(下面)を研磨パッド20に押し付ける。基板の被研磨面は、研磨液の存在下で、研磨パッド20と摺接される。基板は、研磨液の化学的作用と、研磨液に含まれる砥粒および/または研磨パッド20の機械的作用の組み合わせにより研磨される(基板の第1研磨)。
【0053】
基板の研磨終了後、ヘッドアーム28は180度の角度だけ回転され、研磨された基板を保持した研磨ヘッド25は、基板ローダー33の上方位置に移動される。基板ローダー33は、上昇して、基板を研磨ヘッド25から受け取り、その後基板ローダー33は基板とともに下降する。昇降搬送装置5は、研磨された基板を基板ローダー33から受け取り、研磨された面が下向きの状態で、基板を他の研磨モジュール1B,1C,1Dのうちの1つに搬送する。そして、基板は、前記他の研磨モジュールによりさらに研磨される(基板の第2研磨)。
【0054】
このようにして、基板の第1研磨と第2研磨が連続して行われる。基板の第2研磨が終了すると、昇降搬送装置5の保持ハンド40は、第2研磨を実行した研磨モジュールの基板ローダー33から基板を取り出す。その後、昇降搬送装置5の反転装置41は、基板を保持した保持ハンド40を、基板の研磨された面が上向きとなるまで反転させる。昇降搬送装置5の昇降機構44は、基板を保持した保持ハンド40を研磨階層から後処理階層まで上昇させ、保持ハンド40は、基板を第1後処理レーン2Aまたは第2後処理レーン2Bの洗浄モジュール7(より具体的には洗浄モジュール7の保持チャック)に搬入する。基板の反転は、基板を上昇させる前、または基板を上昇させているとき、または基板を上昇させた後に実行されてもよい。
【0055】
洗浄モジュール7は基板を洗浄し、その後、
図6(a)乃至
図6(c)に示す後処理搬送装置70Aは、基板を洗浄モジュール7から洗浄モジュール8に搬送する。洗浄モジュール8は基板をさらに洗浄し、その後、
図6(a)乃至
図6(c)に示す後処理搬送装置70Bは、基板を洗浄モジュール8から洗浄モジュール9に搬送する。洗浄モジュール9は基板をさらに洗浄し、その後、
図6(a)乃至
図6(c)に示す後処理搬送装置70Cは、基板を洗浄モジュール9から乾燥モジュール10に搬送する。乾燥モジュール10は、洗浄された基板を乾燥させる。
【0056】
その後、基板搬送ロボット55は、乾燥された基板を乾燥モジュール10から取り出す。上下移動機構57は、基板搬送ロボット55を基板とともに後処理階層から研磨階層まで下降させ、基板搬送ロボット55は、基板をカセットストレージ100に戻す。このようにして、基板の研磨、洗浄、および乾燥が行われる。
【0057】
一実施形態では、基板処理装置は、4つの研磨モジュール1A~1Dのうちの3つを用いた3ステップ研磨を実行してもよく、あるいは4つの研磨モジュール1A~1Dの全部を用いた4ステップ研磨を実行してもよい。さらに、一実施形態では、基板処理装置は、4つの研磨モジュール1A~1Dで4枚の基板を並列に研磨する1ステップパラレル研磨を実行してもよい。
【0058】
上述した各実施形態では、研磨階層は下層階(すなわち、第1階層)であり、後処理階層は研磨階層の上に位置する上層階(すなわち、第2階層)であるが、一実施形態では、
図7に示すように、研磨階層は上層階であり、後処理階層は研磨階層の下に位置する下層階であってもよい。
【0059】
次に、基板処理装置の他の実施形態について説明する。
図8は、基板処理装置のさらに他の実施形態を示す斜視図であり、
図9は、
図8に示す基板処理装置の側面図であり、
図10は、
図8に示す基板処理装置の研磨階層を示す上面図であり、
図11は、
図8に示す基板処理装置の後処理階層を示す上面図である。特に説明しない本実施形態の構成および動作は、
図1乃至
図6を参照して説明した実施形態と同じであるので、その重複する説明を省略する。
【0060】
本実施形態の基板処理装置は、6つの研磨モジュール1A,1B,1C,1D,1E,1Fと、2つの昇降搬送装置5,80を有している。6つの研磨モジュール1A~1Fは一列には配置されていなく、基板処理装置の上から見たときに、6つの研磨モジュール1A~1Fは矩形状を形成するように配置されている。すなわち、研磨モジュール1A,1B,1Eは、研磨モジュール1C,1D,1Fと平行である。
【0061】
昇降搬送装置5は、4つの研磨モジュール1A~1Dから同じ距離に配置されている。昇降搬送装置80は、研磨モジュール1Eおよび研磨モジュール1Fから同じ距離に配置されている。研磨モジュール1E,1Fから昇降搬送装置80までの距離が同じであることは、研磨モジュール1E,1Fから昇降搬送装置80までの距離が完全に同じであることのみならず、本発明の意図した目的、特に研磨から後処理までの基板搬送時間のばらつきを無くすという目的を達成できる限りにおいて、研磨モジュール1E,1Fから昇降搬送装置80までの距離が実質的に同じであることも含む。研磨モジュール1Eと研磨モジュール1Fは、昇降搬送装置80に関して対称に配置されている。研磨モジュール1A~1Dのそれぞれから昇降搬送装置5までの距離は、研磨モジュール1E,1Fのそれぞれから昇降搬送装置80までの距離と同じである。
【0062】
昇降搬送装置5は、
図1乃至
図6を参照して説明した実施形態と同じように、4つの研磨モジュール1A~1Dに基板を搬送し、4つの研磨モジュール1A~1Dから基板を取り出すために使用される。昇降搬送装置80は、研磨モジュール1Eおよび研磨モジュール1Fに基板を搬送し、研磨モジュール1Eおよび研磨モジュール1Fから基板を取り出すために使用される。
【0063】
基板処理装置は、昇降搬送装置5と昇降搬送装置80との間に配置された仮置き台82をさらに備えている。研磨モジュール1Eおよび/または研磨モジュール1Fで研磨される基板は、昇降搬送装置5によって仮置き台82に置かれ、昇降搬送装置80は、基板を仮置き台82から取り出して、研磨モジュール1Eまたは研磨モジュール1Fに搬入する。研磨モジュール1Eおよび研磨モジュール1Fの構成および動作は、上述した4つの研磨モジュール1A~1Dの構成および動作と同じであるので、その重複する説明を省略する。
【0064】
基板処理装置は、研磨モジュール1Eおよび研磨モジュール1Fに隣接する前洗浄装置83をさらに備えている。これら前洗浄装置83の構成および動作は、上述した前洗浄装置35と同じであるので、その重複する説明を省略する。
【0065】
基板処理装置は、後処理階層内に配置された第3後処理レーン2Cと、第3後処理レーン2Cにより後処理された基板を基板搬送ロボット55まで搬送する戻り搬送装置88をさらに備えている。第3後処理レーン2Cは、第1後処理レーン2Aおよび第2後処理レーン2Bと同じように、3つの洗浄モジュール7,8,9、1つの乾燥モジュール10、3つの後処理搬送装置70A,70B,70C(
図6参照)を有している。ただし、第3後処理レーン2Cに含まれる洗浄モジュールの数および乾燥モジュールの数は本実施形態に限られない。
【0066】
本実施形態においては、第3後処理レーン2Cの構成は、第1後処理レーン2Aおよび第2後処理レーン2Bと同じである。一実施形態では、基板処理装置は、第3後処理レーン2Cと並列な第4後処理レーンをさらに備えてもよい。
【0067】
昇降搬送装置80は、研磨された基板を研磨モジュール1Eまたは研磨モジュール1Fから取り出し、第3後処理レーン2Cの洗浄モジュール7に直接搬入するように構成されている。昇降搬送装置80の構成は、昇降搬送装置5と同じであるので、その重複する説明を省略する。研磨モジュール1E,1F、昇降搬送装置80、戻り搬送装置88、前洗浄装置83、および第3後処理レーン2Cの動作は、動作制御部63によって制御される。
【0068】
戻り搬送装置88は、基板を第3後処理レーン2Cから基板搬送ロボット55まで搬送するリニアトランスポータ90と、基板を第3後処理レーン2Cの乾燥モジュール10から取り出してリニアトランスポータ90に渡すリフター91を備えている。リニアトランスポータ90は、第1後処理レーン2Aおよび第2後処理レーン2Bよりも高い位置に配置されており、リフター91は、第3後処理レーン2Cの側方に配置されている。
図8に示す実施形態では、リニアトランスポータ90は、第1後処理レーン2Aの上方に位置している。一実施形態では、リニアトランスポータ90は、第2後処理レーン2Bの上方に位置してもよく、あるいは第1後処理レーン2Aと第2後処理レーン2Bとの間に位置してもよい。
【0069】
図12は、戻り搬送装置88の一実施形態を示す斜視図である。
図12に示すように、リニアトランスポータ90は、基板Wを支持する基板ステージ93と、第3後処理レーン2Cの乾燥モジュール10から基板搬送ロボット55まで延びるステージ移動機構94を備えている。ステージ移動機構94は、基板ステージ93を第3後処理レーン2Cの乾燥モジュール10から基板搬送ロボット55まで移動させるように構成されている。リフター91は、基板Wを支持するハンド95と、ハンド95が連結されたロボットアーム96と、ハンド95およびロボットアーム96を上下に移動させる縦移動機構97を有している。
【0070】
リフター91は、第3後処理レーン2Cの乾燥モジュール10から基板Wを取り出し、基板Wをリニアトランスポータ90まで上昇させ、そして基板Wをリニアトランスポータ90の基板ステージ93上に置く。リニアトランスポータ90のステージ移動機構94は、基板Wを支持する基板ステージ93を基板搬送ロボット55まで移動させる。基板搬送ロボット55は、基板Wを基板ステージ93から取り出し、カセットストレージ100(
図3参照)に戻す。
【0071】
6つの研磨モジュール1A~1Fを備えた基板処理装置は、より多くの基板を処理することが可能である。一実施形態では、
図13に示すように、3ステップ研磨を2枚の基板に対して実行することが可能である。
図13に示す実施形態では、昇降搬送装置5は、研磨モジュール1A,1B,1Cに基板を搬送し、これら研磨モジュール1A,1B,1Cから基板を取り出すように動作する。昇降搬送装置80は、研磨モジュール1D,1E,1Fに基板を搬送し、これら研磨モジュール1D,1E,1Fから基板を取り出すように動作する。
【0072】
図8乃至
図13を参照して説明した実施形態では、研磨階層は下層階(すなわち、第1階層)であり、後処理階層は研磨階層の上に位置する上層階(すなわち、第2階層)であるが、一実施形態では、
図14に示すように、研磨階層は上層階であり、後処理階層は研磨階層の下に位置する下層階であってもよい。
【0073】
上述した実施形態は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を実施できることを目的として記載されたものである。上記実施形態の種々の変形例は、当業者であれば当然になしうることであり、本発明の技術的思想は他の実施形態にも適用しうる。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲に解釈されるものである。
【符号の説明】
【0074】
1A,1B,1C,1D,1E,1F 研磨モジュール
2A,2B,2C 後処理レーン
5 昇降搬送装置
7,8,9 洗浄モジュール
7a 開口部
10 乾燥モジュール
20 研磨パッド
21 研磨テーブル
22 テーブルモータ
24 研磨液供給ノズル
25 研磨ヘッド
28 ヘッドアーム
29 支持軸
33 基板ローダー
35 前洗浄装置
40 保持ハンド
41 反転装置
42 ロボットアーム
44 昇降機構
45 リンク機構
46 リンクアクチュエータ
53 カセットローダー
55 基板搬送ロボット
56 水平移動機構
57 上下移動機構
60 フレーム
63 動作制御部
63a 記憶装置
63b 処理装置
66 仮置き台
70A,70B,70C 後処理搬送装置
71 クランプ
72 リンクアーム
74 アームアクチュエータ
76,77,78,79 シャッター
80 昇降搬送装置
82 仮置き台
88 戻り搬送装置
90 リニアトランスポータ
91 リフター
93 基板ステージ
94 ステージ移動機構
95 ハンド
96 ロボットアーム
97 縦移動機構
100 カセットストレージ