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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024074248
(43)【公開日】2024-05-30
(54)【発明の名称】位置決め装置
(51)【国際特許分類】
   G03F 9/00 20060101AFI20240523BHJP
   H01L 21/68 20060101ALI20240523BHJP
【FI】
G03F9/00 Z
H01L21/68 F
H01L21/68 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023179412
(22)【出願日】2023-10-18
(31)【優先権主張番号】22208218
(32)【優先日】2022-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】390014281
【氏名又は名称】ドクトル・ヨハネス・ハイデンハイン・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】DR. JOHANNES HEIDENHAIN GESELLSCHAFT MIT BESCHRANKTER HAFTUNG
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(72)【発明者】
【氏名】アルヤン・バッケル
(72)【発明者】
【氏名】バート・ファン・カンペン
【テーマコード(参考)】
2H197
5F131
【Fターム(参考)】
2H197CD12
2H197CD15
2H197CD17
2H197CD18
2H197CD43
2H197EB23
2H197JA09
5F131AA02
5F131BA13
5F131BA39
5F131CA21
5F131DA33
5F131DA42
5F131EA02
5F131EA14
5F131EA15
5F131EA16
5F131EA22
5F131EA23
5F131EA24
5F131EA25
5F131KA03
5F131KA47
5F131KA72
5F131KB07
5F131KB12
5F131KB32
5F131KB53
5F131KB54
5F131KB55
5F131KB56
(57)【要約】      (修正有)
【課題】支持装置に固定さた器具に対するテーブルの位置決め装置を提供する。
【解決手段】位置決め装置は、2つの互いに線形独立した方向でテーブルSSMを事前位置決めするため交差して鉛直方向Zに重なり合って配置された2つのリニア軸LSX、LSYを含み、テーブルSSMは、両方のリニア軸の一方LSXの上にある第1の磁気浮上ユニットML1によって保持され、かつ6自由度に移動可能である。テーブルSSMの位置は、両方のリニア軸のもう一方LSYの上に配置された測定ヘッドFMHならびに第1および第2の6-DOFエンコーダA、Bにより、第1の6-DOFエンコーダAが支持装置FAPと測定ヘッドFMHとの間に配置されており、かつ第2の6-DOFエンコーダBが測定ヘッドFMHとテーブルSSMとの間に配置されていることによって突き止め可能である。測定ヘッドFMHは6自由度で能動的に移動可能である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持装置(FAP)に固定されている器具(T)に対してテーブル(SSM)を位置決めするための位置決め装置であって、前記位置決め装置が、2つの互いに線形独立した方向(X、Y)で前記テーブル(SSM)を事前位置決めするため交差して鉛直方向(Z)に重なり合って配置された2つのリニア軸(LSX、LSY)を含み、前記テーブル(SSM)が、両方の前記リニア軸の前記一方(LSX)の上にある第1の磁気浮上ユニット(ML1)によって保持されており、かつ6自由度の精密位置決めのために能動的に移動可能であり、前記支持装置(FAP)に対する前記テーブル(SSM)の位置が、両方の前記リニア軸の前記もう一方(LSY)の上に配置された測定ヘッド(FMH)ならびに第1および第2の6-DOFエンコーダ(A、B)により、前記第1の6-DOFエンコーダ(A)が前記支持装置(FAP)と前記測定ヘッド(FMH)との間に配置されており、かつ前記第2の6-DOFエンコーダ(B)が前記測定ヘッド(FMH)と前記テーブル(SSM)との間に配置されていることによって突き止め可能である、位置決め装置において、前記測定ヘッド(FMH)が、前記両方のリニア軸のもう一方(LSY)の上にある第2の磁気浮上ユニット(ML2)により、6自由度で能動的に移動可能であることを特徴とする、位置決め装置。
【請求項2】
前記第1および第2の6-DOFエンコーダ(A、B)が、前記測定ヘッド(FMH)の側面に配置された、走査ヘッド(IP、OP)を備えた走査ヘッド群(EA、EB)をそれぞれ含み、前記走査ヘッド群(EA、EB)が、前記第1の6-DOFエンコーダ(A)の場合には、前記支持装置(FAP)に配置された少なくとも1つの第1のスケール(SA)に位置合わせされており、および前記第2の6-DOFエンコーダ(B)の場合には、前記テーブル(SSM)に配置された少なくとも1つの第2のスケール(SB)に位置合わせされていることを特徴とする、請求項1に記載の位置決め装置。
【請求項3】
前記走査ヘッド群(EA、EB)が、それぞれ走査される前記第1および第2のスケール(SA、SB)の平面に平行なおよびそれに垂直な位置測定を可能にする走査ヘッド(IP、OP)をそれぞれ含むことを特徴とする、請求項2に記載の位置決め装置。
【請求項4】
前記走査ヘッド群(EA、EB)内の前記走査ヘッド(IP、OP)が、それぞれ走査される前記第1および第2のスケール(SA、SB)の平面での傾きならびにそれぞれ走査される前記第1および第2のスケール(SA、SB)の平面への垂線を中心とした回転が捕捉可能であるように配置されていることを特徴とする、請求項3に記載の位置決め装置。
【請求項5】
交差する前記リニア軸(LSX、LSY)が基礎フレーム(BF)の上に取り付けられていること、および前記支持装置(FAP)と前記基礎フレーム(BF)との間に、振動の伝達を減らすためのダンパー機構(AD)が配置されていることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の位置決め装置。
【請求項6】
前記器具(T)がカメラまたは露光装置の対象物であることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の位置決め装置。
【請求項7】
前記テーブル(SSM)がウエハテーブルであることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の位置決め装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の位置決め装置の動作のための方法において、前記第1および第2の磁気浮上ユニット(ML1、ML2)が、上位に置かれた制御部により、前記第1のエンコーダ(A)によって測定される値が一定に保たれることで前記測定ヘッド(FMH)が前記支持装置(FAP)についていくように、ならびに前記第2のエンコーダ(B)によって測定される値が一定に保たれることで前記テーブル(SSM)が前記測定ヘッド(FMH)についていくか、または前記第1および第2のエンコーダ(A、B)によって測定される値の合計が一定に保たれることで前記テーブル(SSM)が前記支持装置(FAP)についていくかのいずれかであるように制御され、これにより前記器具(T)に対する前記テーブル(SSM)の位置の望ましくないズレが相殺されることを特徴とする、方法。
【請求項9】
前記器具(T)に対する前記テーブル(SSM)の、前記上位に置かれた制御部によって制御された位置変化が相殺されることはない、請求項8に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばウエハテーブル上のウエハを、支持装置に取り付けられた検査機器または露光機の対象物に対して非常に正確に位置決めできる位置決め装置に関する。
【背景技術】
【0002】
不動の対象物に対する可動の対象物の6自由度(デカルト座標系では、これは互いに対して、ここではX、Y、Zで表す垂直な3つの直線的な空間方向およびこれらの直線的な空間方向を中心とした3つの回転dX、dY、dZである)での位置決めは、この技術において絶えず繰り返されるタスクである。コントロールされた駆動部によって1つの対象物をもう1つの対象物に対して位置決めし得るためには、全自由度での相対位置の測定が必要である。このために使用される位置測定機器は、エンコーダとしばしば呼ばれ、非常に様々な実施形態において公知である。測定は、非常に様々な物理原理に基づき得る。例えば、両方の対象物の一方の上での光学的、磁気的、容量性、または誘導性の構造が公知であり、これらの構造に合った走査ヘッドによる両方の対象物の走査が信号をもたらし、これらの信号から所望の位置情報が取得され得る。エンコーダに応じて、少なくとも1つの、複数の、または全6つの自由度に関する位置情報が取得され得る。
【0003】
EP1019669B1は、一方の対象物の、もう一方の対象物に対する位置に関する情報を提示し得るエンコーダの一例を提供している。このために一方の対象物には、十字格子を有するスケールが付けられている。もう一方の対象物は、スケールの平面内の2つの直線的な空間方向(面内自由度)のために3つの走査部を備えた走査ヘッドを支持しており、これらの走査部から、第3の空間方向(面外自由度、ここではスケールの平面に対して垂直)を中心とした回転も取得され得る。また走査ヘッド内には3つの間隔センサがあり、これらの間隔センサはそれぞれ、面外自由度に関する位置値をもたらし、これにより、面外自由度と、面内自由度を中心とした回転との決定を可能にする。
【0004】
米国特許第9979262(B2)号は、ガントリーアセンブリの横桁に取り付けられているウエハテーブルのための位置決め装置を記載している。処理能力のために必要な、ウエハテーブルの高い加速度の故に、横桁は大きな力に曝されており、位置測定のための基準として良好には適していない。したがってウエハテーブルなしの第2の横桁が随伴し、この第2の横桁はその比較的小さな質量の故に、位置基準としてより良く適している。第1のエンコーダで、第2の横桁に対するウエハテーブルの位置が捕捉され、第2のエンコーダで、不動の基準に対する第2の横桁の位置が捕捉される。これらのエンコーダのためにそれぞれ複数の走査ヘッドおよび複数のスケールが用いられることにより、それぞれ全6自由度での位置が決定され得る。このようなエンコーダはここでは6-DOFエンコーダとも呼ばれる。つまり第2の横桁は可動の基準構造として役立ち、この基準構造を介して、第2のエンコーダにより、不動の基準に対するウエハテーブルの位置が確定され得る。
【0005】
EP1762828B1は、走査光学系が、光学格子の走査から、面内自由度(格子平面内)も面外自由度(格子平面に垂直)も測定できる走査ヘッドを記載している。この場合、両方の次元がサブナノメートル範囲の非常に高い精度で測定され得る。この文献の図2に示されているように、位置合わせの異なるこの種類の走査ヘッドを組み合わせることで、6自由度の位置測定のための1つの6-DOFエンコーダが形成され得る。
【0006】
EP1715384B1は、ウエハのための位置決め装置を記載している。ウエハテーブルは磁気浮上ユニットの上に配置されており、磁気浮上ユニットは、テーブルを6自由度で、ただし小さな移動でのみ、位置決めし得る。設置平面に平行な水平平面内での大きな変位のためには、ウエハテーブルの下に2つの交差するリニア軸が配置されており、これらのリニア軸のうち上側のリニア軸が磁気浮上ユニットを支持している。不動の器具、例えば露光機器のレンズに対するウエハテーブルの位置決めは、一緒に移動する測定ヘッドに対するウエハテーブルの位置が第1の6-DOFエンコーダによって捕捉され、かつ不動の器具に対する測定ヘッドの位置が第2の6-DOFエンコーダによって捕捉されることによって行われる。一緒に移動する測定ヘッドは、2つの交差するリニア軸の下側のリニア軸上に配置されており、よってウエハテーブルが下側のリニア軸によって変位される場合はウエハテーブルの近傍に留まっている。たとえ交差するリニア軸による移動が、両方の6-DOFエンコーダの走査間隔に相応に大きな変化を生じさせないとしても、これらの変化は、例えばガイド欠陥に基づき、非常に正確な位置を決定するには依然として大きすぎる。例えば、6-DOFエンコーダにおける走査間隔の変化またはスケールに対する走査ヘッドの傾きの影響を、エンコーダモデルに基づいてモデル化または較正することは、確かにある程度までは可能であるが、非常に正確な位置評価は、この構成では困難であり、かつそのためのコストが非常に高いか、または大きすぎる変動の場合は失敗し得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】EP1019669B1
【特許文献2】米国特許第9979262(B2)号
【特許文献3】EP1762828B1
【特許文献4】EP1715384B1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
それゆえ本発明の課題は、器具に対するテーブルの位置捕捉がさらに改善されることにより、器具に対してテーブルをさらにより高い精度で位置決め可能な位置決め装置を提示することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題は請求項1に基づく装置によって解決される。この装置の有利な詳細およびこの装置の動作のための方法は、請求項1に従属する請求項からも明らかである。
支持装置に固定されている器具に対してテーブルを位置決めするための位置決め装置が開示される。この位置決め装置は、2つの互いに線形独立した方向でテーブルを事前位置決めするため交差して鉛直方向に重なり合って配置された2つのリニア軸を含み、テーブルは、両方のリニア軸の一方の上にある第1の磁気浮上ユニットによって保持されており、かつ6自由度の精密位置決めのために能動的に移動可能である。支持装置に対するテーブルの位置は、両方のリニア軸のもう一方の上に配置された測定ヘッドならびに第1および第2の6-DOFエンコーダにより、第1の6-DOFエンコーダが支持装置と測定ヘッドとの間に配置されており、かつ第2の6-DOFエンコーダが測定ヘッドとテーブルとの間に配置されていることによって突き止め可能である。測定ヘッドはこのために、両方のリニア軸のもう一方の上にある第2の磁気浮上ユニットにより、6自由度で能動的に移動可能である。
【0010】
ここではテーブルと支持装置との間に配置された測定ヘッドも磁気浮上ユニットの上に配置されていることにより、測定ヘッドが、両方のリニア軸での意図した移動を除いて、すべてのほかの意図しない移動を相殺することができる。両方の6-DOFエンコーダは、ここでは走査間隔または傾きの変動が著しく小さくなっているおかげで、より正確に測定でき、つまり較正およびモデル化のためのコストがかなり減少する。
【0011】
本発明のさらなる利点および詳細は、図に基づく様々な実施形態の以下の説明から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】従来技術から公知の位置決め装置の概略図である。
図2】本発明に基づく位置決め装置の概略図である。
図3】本発明に基づく位置決め装置の具体的な一形態を示す図である。
図4図3からの6-DOFエンコーダの構成の詳細側面図である。
図5図3からの6-DOFエンコーダの構成の詳細透視図である。
図6図3の6-DOFエンコーダの走査ヘッドの詳細図である。
図7図3の6-DOFエンコーダのスケールの詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、従来技術から公知の原理に基づいて組み立てられており、本発明の例示的実施形態ではない位置決め装置を非常に概略的に示している。
それ自体は例えば機械作業室またはクリーンルームの床Fに置かれている台座PEDの上に、基礎フレームBFが、アクティブダンパーADによって振動絶縁されて設置されている。基礎フレームBFは、交差するリニア軸LSYおよびLSXを支持しており、これらのリニア軸LSYおよびLSXは、重なり合って配置されており、かつ器具TがウエハW上のあらゆる箇所に届き得るように、ウエハWを据えるためのテーブルSSMを床Fに平行な方向XおよびYに移動させ得る。
【0014】
これに関しテーブルSSMは磁気浮上ユニットMLの上に配置されており、磁気浮上ユニットMLの方は上側のリニア軸LSXの上に固定されている。磁気浮上ユニットMLは、テーブルを全6自由度に小さな量だけ動かすことができ、この他にはアクチュエータが存在していないZ方向においても、精密位置決めのために役立つ。全回転自由度dX、dY、dZも、磁気浮上ユニットMLによってある程度は調整可能である。可動の測定ヘッドMMHは、下側のリニア軸LSYと一緒にY方向に移動する。Y方向でのこのような移動の際、可動の測定ヘッドMMHとテーブルSSMとの間隔は変化しないか、またはこの構成内の機械的欠陥による小さな移動のみが発生する。6-DOFエンコーダBは、可動の測定ヘッドMMHとテーブルSSMとの間の相対位置を全6自由度で測定する。エンコーダBのスケールが、テーブルSSMのうちの図平面に垂直な縁に沿って十分に長ければ、エンコーダBにより、上側のリニア軸LSXの移動(図平面に垂直)が捕捉され得る。
【0015】
また台座PEDの上には、さらなるアクティブダンパーADによって振動絶縁されて支持装置FAPが取り付けられており、支持装置FAPは、ウエハWを加工するべき器具Tを支持している。これは、ウエハWの露光または検査のためのレンズであり得る。いかなる場合にも、ウエハWは器具Tに対して非常に正確に位置決めされなければならない。このために、さらなる6-DOFエンコーダAが、支持装置FAPと可動の測定ヘッドMMHとの間で、移動の全6自由度を測定する。ここで、両方のエンコーダAおよびBの測定を足し合わせれば、支持装置FAPに対するテーブルSSMの位置が、したがって器具Tに対するテーブルSSMの位置も得られる。
【0016】
ただし支持装置FAPは、アクティブダンパー機構AD上で、台PEDに対して比較的自由に移動し、それ以外の構造から切り離されている。したがって、とりわけエンコーダAは、支持装置FAP上のスケールに対するその走査ヘッドの走査間隔および傾きに関する大きな変動を補正できなければならない。これは、エンコーダモデルを較正するための高いコストと、高い計算コストとを意味する。ある限界を超えると、正確な測定も得られなくなる。
【0017】
それゆえ図2では、重要な細部が改善された本発明に基づく位置決め装置を示しており、この位置決め装置では、上記の問題が明らかにより小さな程度で生じる。
まず基礎フレームBFは、簡略化されて床Fに直に配置されている。しかし先に図1に示した台PED上での配置は、本発明の代替的な一実施形態である。両方のリニア軸LSXおよびLSYならびに第1の磁気浮上機構ML1およびテーブルSSMの構成は図1に対して変化していない。ここでも、器具Tを備えた支持装置FAPはアクティブダンパー機構ADを介して基盤から(ここでは基礎フレームBFから)切り離されている。
【0018】
図1に示した構成との決定的な違いは、ここでは測定ヘッドFMHも第2の磁気浮上ユニットML2によって支持されることにある。これは、6-DOFエンコーダAによって突き止められる支持装置FAPと測定ヘッドFMHとの間の相対移動を捕捉して、第2の磁気浮上ユニットML2の適切な制御を介して補正することを可能にする。これにより、支持装置FAPでのスケールに対する6-DOFエンコーダAの走査ヘッドの走査間隔および傾きに関する変動が最小限に抑えられ、かつ測定がかなり簡略化され、つまり測定の精度が決定的に上昇する。
【0019】
図1および図2ではそれぞれの測定コンセプトが非常に概略的にのみ示されているので、図3によって本発明の具体的な1つの例示的実施形態を説明するものとする。図3は、その内側の構造が見えるように部分的に除去された領域を有する位置決め装置を示している。
【0020】
図3では、基礎フレームBF上で、ここでも交差するリニア軸LSYおよびLSXが認識され得る。これらは、それぞれ2つのリニアガイドLGY、LGXによって可動に保持され、かつリニアモータLMY1、LMY2、およびLMXによって駆動される。これらのリニア軸LSY、LSXのために、エンコーダEY、EXが提供されており、それらの走査ヘッドはリニアスケールSYおよびSXを走査する。これによりリニア軸LSY、LSXが、上位に置かれた制御部によって位置決めされ得る。
【0021】
テーブルSSM(その上に据えられたウエハWを備えた)と上側のリニア軸LSXとの間に、この図3では認識できない第1の磁気浮上ユニットML1が存在している。測定ヘッドFMHは、同様に図示されていない第2の磁気浮上ユニットML2を介し、下側のリニア軸LSYと一緒に移動する。この第2の磁気浮上ユニットML2は、測定ヘッドFMHの6自由度の補正移動を可能にする。
【0022】
ここでは図示されていない器具Tを備えた支持装置FAPは、両側でアクティブダンパー機構ADを介して基礎フレームBFと結合されている。これら両方のダンパー機構ADによって可能にされた支持装置FAPの移動が、支持装置FAPと6-DOFエンコーダAの走査ヘッドEAとの間の言及した移動を引き起こし、これらの移動は、第2の磁気浮上ユニットML2によって相殺され得る。
【0023】
図4および図5は、図3と一緒に見た6-DOFエンコーダA、Bの構成を認識し易くする。このために図4および図5では、図3からの構成の重要な部分のみを、異なる図で示している。
【0024】
測定ヘッドFMHの異なる側面で、6-DOFエンコーダA、Bの走査ヘッドまたは走査ヘッド群EA、EBが認識され得る。これに関し走査ヘッドEAは、支持装置FAPに固定されている1つまたは複数のスケールSAに位置合わせされている。走査ヘッドEAとスケールSAとが一緒に6-DOFエンコーダAを成している。これらのスケールSAおよび走査ヘッドEAの可能な一形態をさらに下で説明する。
【0025】
6-DOFエンコーダBの走査ヘッドEBは、テーブルSSMにある1つまたは複数のスケールSBに位置合わせされている。走査ヘッドEBとスケールSBとが一緒に6-DOFエンコーダBを成している。
【0026】
つまり、スケールSA、SBおよび走査ヘッドEA、EBが適切に配置されていれば、6-DOFエンコーダA、Bがそれぞれ、6自由度での1つの位置決定をもたらし得る。
図6は、測定ヘッドFMHおよびそれに配置された走査ヘッド群EA、EBを分離して示している。走査ヘッド群EA、EBの各々が、スケールに平行(面内)な方向かまたはそれに垂直(面外)な方向のいずれかに測定できる複数の走査ヘッドIP、OPを含む。始めに説明したように、両方の方向の成分を測定できる走査ヘッドも公知である。1つの走査ヘッド群EA、EBの走査ヘッドIP、OPの数および走査ヘッドIP、OPの測定方向は、いかなる場合にも、共同で測定ヘッドFMHとテーブルSSMとの間(6-DOFエンコーダB)または測定ヘッドFMHと支持装置FAPとの間(6-DOFエンコーダA)での6自由度の測定を可能にしなければならない。
【0027】
図7では、複数の平行なスケールSAを走査する複数の走査ヘッドIP、OPを備えた走査ヘッド群EAが示されている。全6自由度を捕捉できるように、スケールSAの平面に平行に測定する走査ヘッドIPは、互いに対して回転している。スケールSAの平面に垂直に測定できる走査ヘッドOPは、互いに対して最大の間隔をとることで走査ヘッドIP、OPとスケールSAの平面との間の傾きをより正確に測定できるように、走査ヘッド群EAの隅に置かれている。全6自由度を決定できるように、走査ヘッドIPも走査ヘッドOPも一列に並んではならない。
【0028】
スケールSA、SBは、独立した要素であってよいか、または位置決め装置の構成要素に直に記入された印であってよい。達し得る高い精度の故に、スケール上での光学構造が好ましいが、冒頭で引用した従来技術から公知の、スケールを製造するためのすべての原理がここでも可能である。
【0029】
複数の平行なスケールSAの代わりに、1つの十字格子プレートが取り付けられてもよいであろう。面内も面外も測定できる走査ヘッドEAにより、課された測定タスクは3つの走査ヘッドによって既に果たされ得る。
【0030】
つまり、図3図7に示した構成およびその言及した形態により、支持装置FAPにおける器具Tに対するテーブルSSMの位置を非常に正確に測定することは、この測定が、それぞれ測定ヘッドFMHに対する2つの位置測定に分割されることによって可能である。第2の磁気浮上ユニットML2のおかげで、たとえ支持装置FAPがアクティブダンパー機構ADによって移動させられても支持装置FAPに対する位置の測定が非常に正確なままであるように、測定ヘッドFMHが制御され得る。
【0031】
位置決め装置を制御するための可能な1つのコンセプトは、第2の磁気浮上機構ML2により、測定ヘッドFMHと支持装置FAPとの間のすべての望ましくない移動を補正することにある。つまり、測定ヘッドFMHは、Y方向でのテーブルSSMの望ましい(上位に置かれた制御部によって設定された)移動の場合を除いて、支持装置FAPに常についていく。またテーブルSSMは、その第1の磁気浮上機構ML1により、X方向でのテーブルの望ましい(上位に置かれた制御部によって設定された)移動の場合を除いて、測定ヘッドFMHに常についていく。
【0032】
位置決め装置の第1の磁気浮上ユニットML1の制御の代替的な1つのコンセプトは、両方の6-DOFエンコーダA、Bの突き止められた位置値を足し合わせることにより、テーブルSSMを、支持装置FAPに直接的についていかせることである(XおよびYでの設定された移動を除いて)。この場合、測定ヘッドは、それまでのように同様に支持装置FAPに引き続きついていく。これは、第2の磁気浮上ユニットML2の制御への要求を少し減らし、かつ欠陥を両方の6-DOFエンコーダにより良好に分配する。ただし位置値の足し合わせは、両方の6-DOFエンコーダA、Bがそれら相互の位置合わせを絶えず変化させており、足し合わせの際にこの変化が考慮されなければならないので簡単ではない。これに関しては特に相互の傾きがかなりの計算コストを生じさせる。
【0033】
磁気浮上機構ML1、ML2は、公知の原理、例えばローレンツアクチュエータもしくはリラクタンスアクチュエータまたは両方からの組合せに基づいていてよい。磁気浮上機構ML1、ML2は、公知の様式で重力補正していてよく、かつ/または非常に小さな~ごく僅かな剛性を有することができ、つまり(ほぼ)力をかけずに変位可能であり得る。
【0034】
ここで位置測定と言う場合、これは絶対的または相対的な位置測定つまり位置変化の測定を意味し得る。よって例えばウエハWには、器具Tに対するその絶対的な位置を突き止めるために、特殊なアライメントマークがたいてい付いている。上位に置かれた制御部によって位置決め装置を制御するには、この場合、6-DOFエンコーダA、Bによる相対的な位置測定で十分である。しかし、適切にコード化されたスケールSA、SBにより、絶対的な位置測定も同様に可能である。
【符号の説明】
【0035】
A 第1の6-DOFエンコーダ
AD ダンパー機構
B 第2の6-DOFエンコーダ
BF 基礎フレーム
EA、EB 走査ヘッド群
FAP 支持装置
FMH 測定ヘッド
IP、OP 走査ヘッド
LSX、LSY リニア軸
ML1 第1の磁気浮上ユニット
ML2 第2の磁気浮上ユニット
SA 第1のスケール
SB 第2のスケール
SSM テーブル
T 器具
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【外国語明細書】