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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024074264
(43)【公開日】2024-05-30
(54)【発明の名称】ガスインジェクタ
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/205 20060101AFI20240523BHJP
   C23C 16/455 20060101ALI20240523BHJP
【FI】
H01L21/205
C23C16/455
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023194400
(22)【出願日】2023-11-15
(31)【優先権主張番号】63/384,331
(32)【優先日】2022-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519237203
【氏名又は名称】エーエスエム・アイピー・ホールディング・ベー・フェー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】テオドルス・ジー・エム・オーステルレークン
(72)【発明者】
【氏名】ベルト・ヨングブルート
(72)【発明者】
【氏名】ラドコ・バンクラス
(72)【発明者】
【氏名】ベルト・リンデボーム
【テーマコード(参考)】
4K030
5F045
【Fターム(参考)】
4K030EA04
4K030EA05
5F045DP19
5F045DQ05
5F045EC09
5F045EF02
5F045EF03
5F045EF08
5F045EF11
5F045EJ01
5F045EJ09
5F045EJ10
5F045EK06
(57)【要約】
【課題】半導体処理装置のために改善されたガスインジェクタを提供する。
【解決手段】ガスインジェクタと、ガスインジェクタを備える半導体処理装置とが開示されている。本明細書に記載のガスインジェクタの実施形態は、プロセスガスを半導体処理装置のプロセスチャンバに注入するためのインジェクタチューブを備える。ガスインジェクタは、インジェクタチューブを冷却するように構築および配設された冷却流体導管をさらに備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体処理装置のプロセスチャンバにプロセスガスを送達するように構築されたガスインジェクタであって、
第一の端から第二の端に長軸方向に第一の軸に沿って延在するインジェクタチューブであって、それによって前記インジェクタチューブが、前記プロセスガスを受容するように、かつ前記プロセスガスを第二の軸に沿って前記プロセスチャンバに注入するように構築されていて、前記第二の軸が、前記第一の軸に対して実質的に垂直であり、かつ前記ガスインジェクタが、前記インジェクタチューブを冷却するように構築された冷却流体導管をさらに備える、インジェクタチューブ、を備えるガスインジェクタ。
【請求項2】
前記インジェクタチューブが、前記プロセスガスを前記第二の軸に沿って前記プロセスチャンバに注入するための複数のプロセスガス注入穴を備え、前記穴が、前記長軸方向に前記第一の軸に沿って互いに離隔している、請求項1に記載のガスインジェクタ。
【請求項3】
前記冷却流体導管が、冷却流体を提供および除去するように構築および配設された冷却流体供給導管と冷却流体戻し導管とを備える、請求項1または請求項2に記載のガスインジェクタ。
【請求項4】
前記冷却流体供給導管の直径が、前記冷却流体戻し導管の直径と同一である、または異なる、請求項3に記載のガスインジェクタ。
【請求項5】
前記冷却流体戻し導管の前記直径が、前記冷却流体供給導管の前記直径よりも小さく、かつ前記冷却流体供給導管および前記冷却流体戻し導管の各々が、前記長軸方向に前記第一の軸に沿って前記インジェクタチューブの両側に位置付けられている、請求項4に記載のガスインジェクタ。
【請求項6】
前記冷却流体導管が逆U字形状を有し、前記冷却流体供給導管および前記冷却流体戻し導管の各々が、前記第一の軸に沿った冷却流体入口および冷却流体出口を有し、かつ前記冷却流体供給導管の前記冷却流体出口が、前記冷却流体戻し導管の前記冷却流体入口に動作可能に接続されている、請求項5に記載のガスインジェクタ。
【請求項7】
前記冷却流体供給導管が、前記冷却流体戻し導管と異なる熱伝導率を有する、請求項5に記載のガスインジェクタ。
【請求項8】
前記冷却流体供給導管および前記冷却流体戻し導管の各々が、前記インジェクタチューブと少なくとも部分的に熱的に接触している、請求項5に記載のガスインジェクタ。
【請求項9】
前記冷却流体戻し導管が、その周辺で断熱されている、請求項5に記載のガスインジェクタ。
【請求項10】
前記冷却流体戻し導管の前記直径が、前記冷却流体供給導管の前記直径よりも大きく、前記冷却流体供給導管および前記冷却流体戻し導管の各々が、前記インジェクタチューブを部分的に囲んでいて、かつ前記インジェクタチューブと同軸に位置付けられていて、前記冷却流体供給導管が、前記インジェクタチューブと前記冷却流体戻し導管との間に位置付けられている、請求項4に記載のガスインジェクタ。
【請求項11】
前記冷却流体供給導管が、その壁を通して前記冷却流体戻し導管に前記冷却流体の流れを提供するために、前記冷却流体戻し導管と流体連通している、請求項10に記載のガスインジェクタ。
【請求項12】
前記冷却流体供給導管の前記壁が、多孔質材料で作製されている、請求項11に記載のガスインジェクタ。
【請求項13】
使用時に前記冷却流体戻し導管内の前記冷却流体を蒸発させるように構築および配設された、請求項11に記載のガスインジェクタ。
【請求項14】
さらなる導管が、前記冷却流体供給導管と前記冷却流体戻し導管との間で同軸に位置付けられていて、前記さらなる導管が前記プロセスチャンバに動作可能に接続されている、請求項10に記載のガスインジェクタ。
【請求項15】
前記複数のプロセスガス注入穴を備える前記インジェクタチューブの側面が、前記プロセスガスを前記第二の軸に沿って前記プロセスチャンバに注入するために、前記長軸方向に前記第一の軸に沿って少なくとも部分的に覆われていない、請求項2に記載のガスインジェクタ。
【請求項16】
複数のインジェクタチューブを備える、請求項1に記載のガスインジェクタ。
【請求項17】
半導体処理装置のプロセスチャンバにプロセスガスを送達するように構築されたガスインジェクタであって、
プロセスガスを前記プロセスチャンバに注入するためのインジェクタチューブであって、第一の端から第二の端に長軸方向に第一の軸に沿って延在し、それによって前記プロセスガスを受容するように、かつ前記プロセスガスを前記第一の軸に実質的に沿って前記プロセスチャンバに注入するように構築されているインジェクタチューブを備え、前記ガスインジェクタが、前記インジェクタチューブを冷却するように構築された冷却流体導管をさらに備え、前記冷却流体導管が、冷却流体を提供および除去するように構築および配設された冷却流体供給導管および冷却流体戻し導管を備え、かつ前記冷却流体供給導管および前記冷却流体戻し導管の各々が、前記インジェクタチューブと同軸に位置付けられていて、前記冷却流体導管が、前記インジェクタチューブと前記冷却流体戻し導管との間に位置付けられている、ガスインジェクタ。
【請求項18】
周辺に熱シールドをさらに備える、請求項1または請求項17に記載のガスインジェクタ。
【請求項19】
長軸方向に延在する、かつ複数の基材を含む基材ボートを受容するように構築および配設されているプロセスチャンバを備える半導体処理装置であって、前記装置には請求項1または請求項17に記載のガスインジェクタが提供されている、半導体処理装置。
【請求項20】
前記装置が垂直炉である、請求項19に記載の半導体処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はガスインジェクタに関する。より具体的に、本開示は半導体処理装置用のガスインジェクタに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体産業の進歩は、デバイスアーキテクチャと半導体プロセスの両方における開発につながるが、これらの開発は、特に半導体プロセスに関して新たな課題ももたらす。
【0003】
基材上の膜の堆積は、一つ以上の前駆体の使用を必要とする。これらの前駆体は、液体、固体、または気体状の形態であってもよい。気体状の形態の前駆体は、ガスインジェクタの使用を通して半導体処理装置のプロセスチャンバの中に提供されてもよい。
【0004】
ガスインジェクタの使用に関する課題のうちの一つは、ガスインジェクタ内部で起こる場合がある堆積を低減することである場合がある。ガスインジェクタ内部の堆積は、ガスインジェクタ内部に堆積された膜の厚さの増大がインジェクタの亀裂につながる場合があるため、粒子汚染源である場合がある。これは、故障後にガスインジェクタを交換することによって克服されてもよいが、これはガスインジェクタに対する予防保守サイクルの低減につながる場合があり、またそれによってプロセススループットが低減する。
【0005】
従って、半導体処理装置のために改善されたガスインジェクタを提供する必要性がある場合がある。
【発明の概要】
【0006】
この「発明の概要」は、選択された概念を、単純化した形態で紹介するために提供されている。これらの概念は、以下の本開示の例示的な実施形態の「発明を実施するための形態」において、さらに詳細に説明される。この「発明の概要」は、特許請求される主題の主要な特徴または本質的な特徴を特定することを意図していなく、特許請求される主題の範囲を限定するために使用されることも意図していない。
【0007】
本開示の目的は、半導体処理装置で使用するためのガスインジェクタを提供することでありうる。
【0008】
第一の態様において、本開示はガスインジェクタに関する。ガスインジェクタは、半導体処理装置のプロセスチャンバにプロセスガスを送達するように構築されてもよい。ガスインジェクタは、プロセスガスをプロセスチャンバに注入するためのインジェクタチューブを備えてもよい。インジェクタチューブは、第一の端から第二の端に長軸方向に第一の軸に沿って延在してもよい。インジェクタチューブは、プロセスガスを受容するように、かつプロセスガスを第二の軸に沿ってプロセスチャンバに注入するように構築されてもよい。第二の軸は、第一の軸に対して実質的に垂直であってもよい。ガスインジェクタは、インジェクタチューブを冷却するように構築された冷却流体導管をさらに備えてもよい。
【0009】
本開示の第一の態様の実施形態によるガスインジェクタは、その寿命を改善することを可能にする場合がある。これは、それによって半導体処理装置のプロセス性能のさらなる改善に寄与する場合がある。
【0010】
ガスインジェクタの予防保守サイクルを増加してもよいことは、第一の態様の実施形態の利点である場合がある。
【0011】
ガスインジェクタが処理中により低い温度に保たれる場合があり、それによってインジェクタチューブの内壁上の膜堆積の速度を低減することは、第一の態様の実施形態の利点である場合がある。
【0012】
さらに、ガスインジェクタチューブの亀裂および/または破損のリスクが低減される場合があることは、第一の態様の実施形態の利点である場合がある。
【0013】
ガスインジェクタ内の粒子形成が低減される場合があることは、第一の態様の実施形態の利点である場合がある。
【0014】
インジェクタチューブの内壁上の膜堆積の速度減少のおかげで、インジェクタチューブの内壁上に堆積された膜をクリーニングまたはエッチングする必要性が低減される場合があることは、第一の態様の実施形態の利点である場合がある。
【0015】
第二の態様において、本開示は別のガスインジェクタに関する。ガスインジェクタは、半導体処理装置のプロセスチャンバにプロセスガスを送達するように構築されてもよい。ガスインジェクタは、プロセスガスをプロセスチャンバに注入するためのインジェクタチューブを備えてもよい。インジェクタチューブは、第一の端から第二の端に長軸方向に第一の軸に沿って延在してもよい。インジェクタチューブは、プロセスガスを受容するように、かつプロセスガスを第一の軸に実質的に沿ってプロセスチャンバに注入するように構築されてもよい。ガスインジェクタは、冷却流体導管をさらに備えてもよい。冷却流体導管は、インジェクタチューブを冷却するように構築されてもよい。冷却流体導管は、冷却流体を提供および除去するように構築および配設されてもよい冷却流体供給導管および冷却流体戻し導管を備えてもよい。冷却流体供給導管および冷却流体戻し導管の各々は、インジェクタチューブと同軸に位置付けられてもよい。冷却流体供給導管は、インジェクタチューブと冷却流体戻し導管の間に位置付けられてもよい。
【0016】
本開示の第二の態様の実施形態によるガスインジェクタは、その寿命の改善を可能にする場合がある。これは、それによって半導体処理装置のプロセス性能のさらなる改善に寄与する場合がある。
【0017】
ガスインジェクタの予防保守サイクルを増加してもよいことは、第二の態様の実施形態の利点である場合がある。
【0018】
ガスインジェクタが処理中により低い温度に保たれる場合があり、それによってインジェクタチューブの内壁上の膜堆積の速度を低減することは、第二の態様の実施形態の利点である場合がある。
【0019】
さらに、ガスインジェクタチューブの亀裂および/または破損のリスクが低減される場合があることは、第二の態様の実施形態の利点である場合がある。
【0020】
ガスインジェクタ内の粒子形成が低減される場合があることは、第二の態様の実施形態の利点である場合がある。
【0021】
インジェクタチューブの内壁上の膜堆積の速度減少のおかげで、インジェクタチューブの内壁上に堆積された膜をクリーニングまたはエッチングする必要性が低減される場合があることは、第二の態様の実施形態の利点である場合がある。
【0022】
第三の態様において、本開示は半導体処理装置に関する。半導体処理装置は、長軸方向に延在するプロセスチャンバを備えてもよい。プロセスチャンバは、基材ボートを受容するように構築および配設されてもよい。基材ボートは、複数の基材を備えてもよい。装置には、本開示の第一の態様または第二の態様の実施形態によるガスインジェクタが提供されてもよい。
【0023】
本開示の第三の態様の実施形態による半導体処理装置は、改善されたプロセス性能を提供する場合がある。これは処理中、より低温に保たれる場合がある、装置の中に備えられたガスインジェクタのおかげである場合がある。
【0024】
改善された寿命を有する装置の中に備えられたガスインジェクタのおかげで、改善されたプロセススループットを可能にする場合があることは、第三の態様の実施形態の利点である場合がある。
【0025】
複数の基材をすべて一度に処理することを可能にする場合があり、それによって粒子形成が低減される場合があることは、第三の態様の実施形態の利点である場合がある。
【0026】
当然のことながら、図内の要素は単純化および明瞭化のために図示されていて、必ずしも原寸に比例して描かれていない。例えば、図内の要素のうちの一部の寸法は、本開示の図示された実施形態の理解の向上を助けるために他の要素と相対的に誇張されている場合がある。
【0027】
別段の記載のない限り、図面では同様の要素に対して同様の参照番号が使用されることになる。特許請求の範囲の参照符号は、範囲を限定しているとは理解されないものとする。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1a】本開示の第一の態様の実施形態によるガスインジェクタの概略上面図である。
図1b】本開示の第一の態様の実施形態によるガスインジェクタの概略上面図である。
図2】本開示の第一の態様の実施形態によるマルチホールガスインジェクタの概略正面図である。
図3a】ガスインジェクタの長さに沿って長軸方向開口部を有する、本開示の第一の態様の実施形態によるマルチホールガスインジェクタの概略正面図である。
図3b】ガスインジェクタの長さに沿って中断された開口部を有する、本開示の第一の態様の実施形態によるマルチホールガスインジェクタの概略正面図である。
図4a】本開示の第一の態様の実施形態によるマルチホールガスインジェクタの概略上面図である。
図4b】本開示の第一の態様の実施形態によるマルチホールガスインジェクタの概略上面図である。
図4c】本開示の第一の態様の実施形態によるマルチホールガスインジェクタの概略上面図である。
図5】本開示の第二の態様の実施形態によるダンプガスインジェクタの概略正面図である。
図6a】本開示の第二の態様の実施形態によるダンプガスインジェクタの概略上面図である。
図6b】本開示の第二の態様の実施形態によるダンプガスインジェクタの概略上面図である。
図6c】本開示の第二の態様の実施形態によるダンプガスインジェクタの概略上面図である。
図6d】本開示の第二の態様の実施形態によるダンプガスインジェクタの概略上面図である。
図6e】本開示の第二の態様の実施形態によるダンプガスインジェクタの概略上面図である。
図7】本開示の第三の態様の実施形態による半導体処理装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
ある特定の実施形態および実施例を以下に開示するが、本発明の具体的に開示された実施形態および/または使用、ならびにその明白な修正および均等物を超えて本発明が延長することは、当業者によって理解されるであろう。それ故に、開示された本発明の範囲は、以下に記載の特定の開示された実施形態によって限定されるべきではないことが意図されている。
【0030】
本明細書で使用される「基材」という用語は、修正されうる、またはデバイス、回路、もしくは膜が形成されうる任意の下地材料(複数可)を含む、任意の下地材料(複数可)を指す場合がある。「基材」は、連続的または非連続的、剛直または可撓性、中実または多孔質、およびそれらの組み合わせであってもよい。基材は、粉末、プレート、またはワークピースなどの任意の形態であってもよい。プレートの形態の基材は、様々な形状およびサイズのウエハを含んでもよい。基材は、例えばケイ素、シリコンゲルマニウム、酸化ケイ素、ヒ化ガリウム、窒化ガリウム、炭化ケイ素を含む半導体材料から作製されてもよい。
【0031】
例として、粉末の形態の基材は、医薬品製造のための用途を有する場合がある。多孔質基材はポリマーを含んでもよい。ワークピースの例としては、医療機器(例えば、ステントおよびシリンジ)、宝石類、ツーリングデバイス、バッテリ製造のための構成要素(例えば、アノード、カソード、またはセパレータ)、または光起電力セルの構成要素などが挙げられてもよい。
【0032】
連続基材は、堆積プロセスが生じるプロセスチャンバの境界を越えて延在してもよい。一部のプロセスにおいて、基材の端に達するまでプロセスが継続するように、連続基材はプロセスチャンバを通して移動してもよい。連続基材は、任意の適切な形態で連続基材の製造および生産を可能にするために、連続基材供給システムから供給されてもよい。
【0033】
連続基材の非限定的な例としては、シート、不織布膜、ロール、箔、ウェブ、可撓性材料、連続フィラメントの束、または繊維(例えば、セラミック繊維またはポリマー繊維)が挙げられてもよい。連続基材はまた、非連続基材が取り付けられる担体またはシートを含んでもよい。
【0034】
本明細書に提示された図は、任意の特定の材料、構造、またはデバイスの実際の姿であることを意味せず、本開示の実施形態を記述するために使用されている、単に理想化された表現にすぎない。
【0035】
示された、かつ記述された特定の実装は、本発明およびその最良の形態の例示であり、態様および実施の範囲をいかなるやり方でも、別の方法で限定することを意図していない。実際に、簡潔のために、従来の製造、関連、調製、およびシステムの他の機能的態様を詳細に記述していない場合がある。さらに、様々な図に示された接続線は、様々な要素間の例示的な機能的関係および/または物理的連結を表すことが意図されている。多くの代替的もしくは追加的な機能的関係、または物理的接続が実際のシステムにおいて存在してもよく、かつ/または一部の実施形態では存在しなくてもよい。
【0036】
数多くの変形が可能であるため、本明細書に記載の構成および/または手法は本質的に例示的であること、およびこれらの特定の実施形態または実施例は限定的な意味で熟考されるべきではないことが理解されるべきである。本明細書に記載の特定のルーチンまたは方法は、任意の数の処理方策のうちの一つ以上を代表する場合がある。それ故に、例示された様々な動作は、例示された順序で実施されてもよく、または他の順序で実施されてもよく、または場合によっては省略されてもよい。
【0037】
本開示の主題は、本明細書で開示された様々なプロセス、システム、および構成、ならびに他の特徴、機能、動作および/または特性のすべての新規かつ非自明の組み合わせおよび部分的な組み合わせ、ならびにその任意のおよびすべての均等物を含む。
【0038】
本明細書で使用される「備える(comprising)」という用語は、その後に列挙される手段に制限されるものとして解釈されるべきではないことに留意されたい。この用語は他の要素や工程を除外するものではない。それ故に、この用語は、記載された特徴、工程、または構成要素の存在を、言及される通りに明示するものとして解釈されるべきである。しかしながら、一つ以上の他の工程、構成要素、もしくは特徴、またはそれらの群が存在すること、または追加されることを妨げない。
【0039】
本明細書全体での様々な所における「実施形態」への言及は必ずしもすべて、同じ実施形態への言及とは限らないが、そうである場合もある。さらに、特定の特徴、構造、または特性は、本開示から当業者に明らかであることになるように、一つ以上の実施形態において、任意の好適な様態で組み合わせられてもよい。
【0040】
本明細書全体での「一部の実施形態」への言及は、これらの実施形態に関連して記述された特定の構造、特徴工程が、本発明の実施形態の一部の中に含まれることを意味する。それ故に、本明細書全体での様々な所における「一部の実施形態において」などの語句は必ずしも、同じ一連の実施形態への言及とは限らないが、そうである場合もある。
【0041】
以下の用語は、本開示の理解を助けるためにのみ提供されている。
【0042】
本明細書で使用される「予防保守サイクル」という用語は別段の定めがない限り、ユニット、デバイス、装置が設計された目的の通りに機能することを確実にするためのそれらの定期的かつ日常的な制御および保守を指す場合がある。
【0043】
本明細書で使用される「プロセスガス注入穴のピッチ値」という用語は別段の定めがない限り、プロセスガス注入穴のうちの一つの直径と、そのプロセスガス注入穴と隣接のプロセスガス注入穴の間の間隔との和を指す場合がある。
【0044】
本明細書で使用される「マトリクス構成」という用語は別段の定めがない限り、幾つかの行および列に配設された構造の構成を指してもよく、行および列の数は互いに同一であってもよく、または異なっていてもよい。
【0045】
本明細書で使用される「ダンプガスインジェクタ」という用語は別段の定めがない限り、プロセスガスをプロセスチャンバの中に注入するためにその遠位端に単一の開口部を有するインジェクタチューブを有するガスインジェクタを指してもよく、遠位端はインジェクタチューブの第二の端に対応する。
【0046】
本明細書で使用される「半導体処理装置のダウンタイム」という用語は別段の定めがない限り、装置が機能不全である期間を指してもよい。
【0047】
ここで、本開示の幾つかの実施形態の詳細な記述によって本開示を記述する。本開示の技術的教示から逸脱することなく、当業者の知識に従って、本開示の他の実施形態を構成することができることは明らかである。本開示は、本明細書に含まれる特許請求の範囲の条件によってのみ制限される。
【0048】
ここで、本開示の第一の態様の実施形態によるガスインジェクタの上面図および正面図を概略的に表す、図1および図2に戻る。
【0049】
ガスインジェクタ(100、101、102)は、半導体処理装置のプロセスチャンバにプロセスガスを送達するように構築されてもよい。
【0050】
実施形態において、半導体処理装置は、少なくとも一つの基材上に金属の層、半導体材料の層を堆積させるための装置、酸化物の層を形成するための装置、窒化物の層を形成するための装置、または炭化物の層を形成するための装置であってもよい。
【0051】
ガスインジェクタ(100、101、102)は、インジェクタチューブ(120)を備えてもよい。インジェクタチューブ(120)は、プロセスガスをプロセスチャンバに注入するために好適である場合がある。インジェクタチューブ(120)は、第一の端(122)から第二の端(123)に長軸方向に第一の軸(121)に沿って延在してもよく、それによってインジェクタチューブ(120)は、プロセスガスを受容するように、かつプロセスガスを第二の軸(126)に沿ってプロセスチャンバに注入するように構築されてもよい。第二の軸(126)は、第一の軸(123)に対して実質的に垂直であってもよい。
【0052】
一部の実施形態において、長軸方向は垂直方向とすることができる。垂直方向は、半導体処理装置が位置する地面を基準に垂直であってもよい。それ故に、半導体処理装置は、垂直に向けられたプロセスチャンバを有してもよい。従って、実施形態において、プロセスチャンバは、長軸方向に第一の軸(121)に沿って延在してもよく、長軸方向は垂直方向である。プロセスチャンバは、複数の基材を備える基材ボートを受容するためにさらに構築および配設されてもよい。基材ボートは、長軸方向に第一の軸(121)に沿ってプロセスチャンバの中に装填可能であってもよい。
【0053】
一部の実施形態において、長軸方向は水平方向とすることができる。水平方向は、半導体処理装置が位置する地面を基準に平行であってもよい。それ故に、半導体処理装置は、水平に向けられたプロセスチャンバを有してもよい。
【0054】
実施形態において、インジェクタチューブ(120)は、プロセスガスを受容するための供給端を備えてもよい。実施形態において、供給端は、一つ以上の前駆体ガスをインジェクタチューブ(120)に提供するように構築および配設されたガス供給部(130)と流体接続していてもよい。実施形態において、供給端は、インジェクタチューブ(120)の第一の端(122)の中に備えられてもよい。一つ以上の前駆体ガスは、プロセスガスを構成してもよい。二つ以上の前駆体ガスがインジェクタチューブ(120)に供給される実施形態において、前駆体ガスは、プロセスチャンバの中に注入される前に、インジェクタチューブ(120)の中で混合されてもよい。
【0055】
ガスインジェクタ(100)は、インジェクタチューブ(120)を冷却するように構築された冷却流体導管(110)をさらに備えてもよい。
【0056】
本開示の第一の態様の実施形態によるガスインジェクタ(100、101、102)は有利なことに、改善された寿命を提供する場合がある。これは、使用時にガスインジェクタを冷却することのおかげである場合がある。ガスインジェクタの寿命の改善は有利なことに、保守による中断の回数の低減につながる場合があり、それによってプロセス性能の改善を可能にする。これはまた有利なことに、改善されたプロセススループットにつながる場合がある。
【0057】
プロセスチャンバの中のガスインジェクタは典型的に、使用時に、プロセスチャンバの中で処理される基材と同じ温度を有する。それ故に、これは望ましくないことに、基材上に堆積されるのと同じ膜がプロセスガスによってインジェクタチューブ(120)の内壁上に堆積されることにつながる場合がある。それ故に、使用時にガスインジェクタに提供される冷却は、インジェクタチューブ(120)の中のプロセスガスによってその内壁上に膜が堆積される速度を低下させることを可能する場合がある。堆積の速度低下は、インジェクタチューブ(120)の内壁上に堆積される膜の厚さの増大を遅らせる場合がある。これは結果として、膜厚さの増大が、インジェクタチューブ(120)の内壁上の引張応力または圧縮応力の蓄積につながる場合があり、それによって亀裂または破損をもたらすため、インジェクタチューブ(120)が頻繁で身近な亀裂を起こしにくくし、またはガスインジェクタの破損を発生しにくくする。
【0058】
従って、第一の態様の実施形態によるガスインジェクタ(100、101、102)は、ガスインジェクタの寿命がプロセス性能にとって主要な制限要因でありうるプロセスにとって有利である場合がある。
【0059】
圧縮応力または引張応力の蓄積はまた、インジェクタチューブ(120)の内壁上に堆積された膜が亀裂する場合に、粒子形成に役割を果たす場合がある。従って、膜の堆積の速度を遅くすることは、インジェクタチューブ(120)の内壁上の膜の厚さの増大を遅くするという結果をもたらす場合がある。これは本質的に、膜厚さの増大とともに亀裂のリスクが増大する場合があるため、膜の亀裂の発生を遅らせるという利点を提供する場合がある。
【0060】
インジェクタチューブ(120)の内壁上の膜厚さの増大が遅くなると、インジェクタチューブの内壁上に堆積された膜をクリーニングまたはエッチングする必要性が低減される場合がある。言い換えれば、堆積された膜をインジェクタチューブの内壁からを除去するためのクリーニング動作またはエッチング動作間の時間間隔は、延長されてもよい。結果として、これはまた、半導体処理装置のダウンタイムの頻度が低減される場合があるので、プロセス性能の改善に寄与する場合がある。
【0061】
実施形態において、ガスインジェクタ(100)は、複数のインジェクタチューブ(120)を備えてもよい。これは有利なことに、基材ボート内に備えられる場合がある基材の各々の表面にわたって形成される層の厚さの均一性を改善することを可能にする場合がある。
【0062】
一部の実施形態において、複数のインジェクタチューブ(120)は、第三の軸(127)に沿って互いに隣り合って整列されてもよく、第三の軸(127)は、第一の軸(121)および第二の軸(126)に対して垂直である。例えば、冷却流体供給導管(110-1)および冷却流体戻し導管(110-2)などの冷却流体導管(110)は、図1bに概略的に表される通り、互いに隣り合って整列された複数のインジェクタチューブの遠位端の各々上に互いに反対側に位置付けられてもよい。複数のガスインジェクタ(120)の各々の互いの間に十分な伝導があり、これによってインジェクタチューブ(120)からの熱を冷却流体導管(110)に伝達することができることが留意される。
【0063】
互いに隣り合って整列されることができるインジェクタチューブ(120)の数は、インジェクタチューブ(120)の各々に十分な冷却が提供されるように構成されてもよい。一部の実施形態において、整列したインジェクタチューブ(120)(図に示さず)の上方および/または下方に追加的な冷却流体チャネルを定置する必要性がある場合がある。
【0064】
一部の実施形態において、複数のインジェクタチューブ(120)は、長軸方向に第一の軸(121)に沿って重なり合って整列されてもよい。次いで、複数のインジェクタチューブ(120)の数は、基材ボートの長さの等しい距離に及ぶように構成されてもよい。これは、基材ボートの高さに沿ったプロセスガスの等しい分配を提供するために有利である場合がある。次いで、これは、基材ボート内の各基材上に堆積される層の厚さ均一性を改善することをさらに可能にする場合がある。
【0065】
実施形態において、インジェクタチューブ(120)は、複数のプロセスガス注入穴(124)を備えてもよい。プロセスガス注入穴(124)は、プロセスガスを第二の軸(126)に沿ってプロセスチャンバに注入するのに好適である場合がある。プロセスガス注入穴(124)は、長軸方向に第一の軸(121)に沿って互いに離隔していてもよい。
【0066】
プロセスガス注入穴(124)は、第一の軸(121)に沿ってインジェクタチューブ(120)内で一直線上に整列されてもよい。これは、プロセスガスを第一の軸(121)に沿って長軸方向に平衡化された様態でプロセスチャンバに分配する場合がある。
【0067】
一部の実施形態において、プロセスガス注入穴(124)は、インジェクタチューブ(101)の高さに沿って互いに均等に分離されてもよく、これはまた、長軸方向に沿った穴(124)の各々の中心点間の距離が同じでありうることを暗示する場合がある。一部の実施形態において、穴(124)の各々の中心点間の距離は、長軸方向に沿って異なってもよい。
【0068】
プロセスガス注入穴(124)のサイズは、プロセスガスをプロセスチャンバ内に分配する上で重要な役割を果たす場合がある。ガスインジェクタ内部の圧力は、プロセスガス注入穴(124)の各々を通して平衡化された流れを提供するように、プロセスチャンバ内の圧力よりも高くてもよい。しかしながら、インジェクタ内部のより高い圧力は、インジェクタチューブ(120)の内壁上の高い堆積速度の原因である場合があり、それによって、その中の堆積膜がより速く厚くなることにつながる。ガスインジェクタ内部の圧力を減少するための努力の一環は、プロセスガス注入穴(124)のサイズを増大させることであってもよい。しかしながら、これには、穴(124)を通した平衡化された分布を減少させるというリスクがある場合がある。この観点から、本開示の第一の態様の実施形態によるガスインジェクタは、ガスインジェクタ内の堆積速度を低減するのに役立つ一方で、平衡化された流れを保つという利点を提供する場合がある。
【0069】
実施形態において、プロセスガス注入穴(124)の各々の直径は、実質的に同じであってもよい。
【0070】
一部の実施形態において、プロセスガス注入穴の各々の直径は、1mm~1.5mmの範囲内であってもよい。これらの実施形態において、ピッチ値は、20mm~35mmの範囲内であってもよい。
【0071】
一部の実施形態において、プロセスガス注入穴の各々の直径は、4mm~6mmの範囲内であってもよい。これらの実施形態において、ピッチ値は、15mm~200mmの範囲内であってもよい。
【0072】
実施形態において、冷却流体導管は、冷却流体を提供および除去するように構築および配設された冷却流体供給導管(110-1)および冷却流体戻し導管(110-2)を備えてもよい。
【0073】
冷却流体の提供および除去は、ガスインジェクタ(100)が動作中である時に、連続モードで行われてもよい。冷却流体の連続的な提供および除去は、インジェクタチューブ(120)の内壁上で低減された堆積速度を提供する場合がある定常温度にガスインジェクタを保つことを可能にする場合がある。
【0074】
実施形態において、冷却流体は液体、液体混合物、気体、または気体混合物であってもよい。
【0075】
一部の実施形態において、冷却流体は水であってもよい。
【0076】
冷却流体導管(110)によって提供される冷却の割合は、プロセス温度に依存する場合がある。
【0077】
実施形態において、冷却流体供給導管(110-1)の直径は、冷却流体戻し導管(110-2)と同じであってもよく、または異なってもよい。これは、ガスインジェクタに必要な冷却を提供するように、冷却流体導管を設計する上での柔軟性を提供する場合がある。
【0078】
実施形態において、冷却流体導管(110)の直径は、内径を指してもよい。内径は、送られることができる冷却流体の冷却速度および流量を決定する役割を果たす場合がある。
【0079】
冷却流体供給導管(110-1)の直径が冷却流体戻し導管(110-2)と同じであってもよい実施形態において、導管(110)の各々の断面は、互いに異なってもよい。導管(110)の断面における差異は、供給導管(110-1)とインジェクタチューブ(120)の間の熱伝達が、戻し導管(110-2)とインジェクタチューブ(120)の間の熱伝達よりも高いように構成されてもよい。これは、供給導管(110-1)内に流入する冷却流体によってインジェクタチューブ(120)に冷却を提供するという、かつ戻し導管(110-2)内を流れる加熱された冷却流体に起因する場合がある、戻し導管(110-2)とインジェクタチューブ(120)の間の熱伝達を最小化するという利点を有してもよい。さらに、断面の差異は、導管(110)内部の圧力に耐えることを担う場合がある。これは例えば、導管の各々の壁厚さを変化させることによって調整されてもよい。
【0080】
一部の実施形態において、冷却流体供給導管(110-1)の直径は、冷却流体戻し導管(110-2)の直径と異なってもよい。これは、冷却流体に相変化がある場合に特に有利である場合がある。冷却流体が水である実施形態において、冷却流体供給導管内の水は例えば、プロセス温度に応じて冷却流体戻し導管内で蒸気になる場合がある。
【0081】
一部の実施形態において、冷却流体戻し導管(110-2)の直径は、冷却流体供給導管(110-1)の直径よりも小さくてもよい。冷却流体戻し導管(110-2)のより小さい直径は、戻し導管(110-2)内の冷却流体の流量を増加させるのに役立つ場合がある。
【0082】
冷却流体供給導管(110-1)および冷却流体戻し導管(110-2)の各々は、長軸方向に第一の軸(121)に沿って、インジェクタチューブ(120)の両側に位置付けられてもよい。
【0083】
実施形態において、インジェクタチューブ(120)の周りの冷却流体供給導管(110-1)および冷却流体戻し導管(110-2)の位置付けは、互いに対して180度であってもよい。それ故に、冷却流体供給導管(110-1)、インジェクタチューブ(120)、冷却流体戻し導管(110-2)は、第三の軸(127)に沿って互いに整列されてもよく、第三の軸(127)は、第一の軸(121)および第二の軸(126)に対して垂直である(図2)。言い換えれば、冷却流体供給導管(110-1)は、冷却流体戻し導管(110-2)の反対側に位置付けられてもよい。
【0084】
一部の実施形態において、インジェクタチューブ(120)は金属で作製されてもよい。これは、改善された冷却をガスインジェクタ(100)に提供することを可能する場合がある。
【0085】
一部の実施形態において、インジェクタチューブ(120)は石英または炭化ケイ素で作製されてもよい。インジェクタチューブ(120)の材料の選択は、プロセス温度に依存してもよい。プロセス温度が高いほど、インジェクタチューブ(120)はより低温に保たれる必要がある場合がある。
【0086】
実施形態において、冷却流体導管(110)は、図2に概略的に示される通り、逆U字形状を有してもよい。これは、フランジがプロセスチャンバの下側部に位置するため、冷却流体導管(110)への接続をより簡単にするという利点を提供する場合がある。フランジは、基材の処理のためにプロセスチャンバ内に閉空間を作り出すのに役立つ場合がある。フランジには、基材を備える基材ボートのアクセスのための流入口開口部が提供されてもよい。冷却流体導管に関する他の形状も、プロセスチャンバへの接続を作ることを形状が妨げない限り、使用されてもよい。冷却流体供給導管(110-1)および冷却流体戻し導管(110-2)の各々は、第一の軸(121)に沿って冷却流体入口(111、113)および冷却流体出口(112、114)を有してもよい。冷却流体供給導管(110-1)の冷却流体出口(112)は、冷却流体戻し導管(110-2)の冷却流体入口(113)に動作可能に接続されてもよい。これは、冷却流体導管内の冷却流体の連続的な循環という利点を提供してもよい。冷却流体供給導管(110-1)の冷却流体出口(112)と冷却流体戻し導管(110-2)の冷却流体入口(113)との間の接続は、実質的に曲がった部分によって提供されてもよく、実質的に曲がった部分はインジェクタチューブ(120)を部分的に囲んでいる。一部の実施形態において、実質的に曲がった部分は円弧形状であってもよい。結果として、冷却流体供給導管(110-1)に供給される冷却流体は、冷却流体供給導管を通してその流入口(111)からその出口(112)に流れ、次いで冷却流体戻し導管(110-2)の流入口(113)の中に入る前に、実質的に曲がった部分(115)を通して流れる。実質的に曲がった部分は、冷却流体供給導管(110-1)の一部であってもよく、これによって冷却流体供給導管は、その出口部分(112)で曲げられて、冷却流体戻し導管(110-2)に溶接されてもよい。これは有利なことに、冷却流体導管(110)内の冷却流体の漏れを低減することを可能する場合がある。
【0087】
実施形態において、冷却流体は、冷却流体供給導管(110-1)の中にポンプ注入されてもよい。
【0088】
一部の実施形態において、冷却流体供給導管は、冷却流体タワーに動作可能に接続されてもよく、それによってポンプを必要とすることなく、冷却流体供給導管(110-1)への冷却流体の供給を可能にする。冷却流体タワーおよび冷却流体供給導管(110-1)の位置付けは、冷却流体が重力の影響下で流れてもよいように構成されてもよい。
【0089】
実施形態において、冷却流体供給導管(110-1)は、冷却流体戻し導管(110-2)と異なる熱伝導率を有してもよい。熱伝導率の差異は、インジェクタチューブ(120)と導管(110)の間の熱伝達のバランスを取るのに役立つ場合があり、それによってインジェクタチューブ(120)の改善された冷却を得ることができる。
【0090】
一部の実施形態において、冷却流体供給導管(110-1)の熱伝導率は、冷却流体戻し導管(110-2)の熱伝導率よりも高い場合がある。これは、流入する冷却流体によるインジェクタチューブ(120)への熱伝達を改善し、それによってインジェクタチューブ(120)へのより良好な冷却を提供する一方で、インジェクタチューブ(120)と戻し導管(110-2)内の冷却流体との間の熱伝達を低減し、それによって供給導管(110-1)を通して流れた後に温められる場合がある冷却流体によってインジェクタチューブ(120)を温めるリスクを低減するという利点を提供する場合がある。
【0091】
実施形態において、冷却流体供給導管(110-1)および冷却流体戻し導管(110-2)の各々は、インジェクタチューブ(120)と少なくとも部分的に熱的に接触していてもよい。これは有利なことに、導管(110)とインジェクタチューブ(120)の間の熱伝達を調整することを可能にする場合がある。
【0092】
冷却流体供給導管(110-1)および冷却流体戻し導管(110-2)が、長軸方向に第一の軸(121)に沿ってインジェクタチューブ(120)と途切れることなく物理的に接触していてもよい実施形態において、冷却流体供給導管(110-1)および冷却流体戻し導管(110-2)の各々は、インジェクタチューブ(120)と完全に熱的に接触していると考えられてもよい。
【0093】
実施形態において、冷却流体供給導管(110-1)および冷却流体戻し導管(110-2)は、少なくとも一対の支持構造(125)を使用してインジェクタチューブ(120)に取り付けられてもよい(図2)。支持構造(125)は、導管(110)のための機械的支持を提供することを可能にする場合がある。それ故に、少なくとも一対の支持構造(125)の各支持片は、インジェクタチューブ(120)の両側に位置し、かつ導管(110)をインジェクタチューブ(120)に物理的に接続していてもよい。一部の実施形態において、支持構造(125)の各対は、長軸方向に第一の軸(121)に沿って互いから等しい距離で分配されてもよい。
【0094】
支持構造(125)はまた、導管(110)とインジェクタチューブ(120)の間の部分的な熱的接触を可能にする場合がある。それ故に、一部の実施形態において、支持構造(125)は熱伝導性材料で作製されてもよい。
【0095】
一部の実施形態において、インジェクタチューブと冷却流体供給導管(110-1)の間に位置付けられた支持構造(125)の対の各一つは、熱伝導性材料で作製されてもよく、その一方でインジェクタチューブと冷却流体戻し導管(110-2)の間に位置付けられた支持構造(125)の対の各々の相補的な一つは、断熱材料から作製されてもよい。これは、インジェクタチューブ(120)と冷却流体供給導管(110-1)の間の熱伝達を強化する一方で、インジェクタチューブ(120)と冷却流体戻し導管(110-2)の間の熱伝達を抑制し、それによってインジェクタチューブ(120)は、冷却流体供給導管(110-1)を通して流れる間に温められている場合がある冷却流体によって再加熱される。
【0096】
実施形態において、冷却流体戻し導管(110-2)は、その周辺で絶縁されてもよい。これは、冷却流体戻し導管(110-2)からのインジェクタチューブ(120)の熱的分離を提供する場合がある。これは、プロセスチャンバの内部環境から、冷却流体戻し導管(110-2)内を流れる冷却流体に伝達される場合がある熱を分離するのに有利である場合がある。こうした分離が提供されない場合、プロセスチャンバの内部環境から冷却流体戻し導管(110-2)内を流れる冷却流体に伝達される熱は、インジェクタチューブ(120)を通して流れているプロセスガスにさらに伝達される場合がある。これは結果として、冷却流体によって提供されているガスインジェクタの冷却効率に悪影響を及ぼす場合がある。
【0097】
ここで、本開示の第一の態様の実施形態によるマルチホールインジェクタの正面図を概略的に示す図3、およびその上面図を概略的に示す図4aに戻る。
【0098】
一部の実施形態において、冷却流体戻し導管(110-2)の直径は、冷却流体供給導管(110-1)の直径よりも大きくてもよい。冷却流体供給導管(110-1)および冷却流体戻し導管(110-2)の各々は、インジェクタチューブ(120)を部分的に囲んでいてもよく、またインジェクタチューブ(120)と同軸に位置付けられてもよい。冷却流体供給導管(110-1)は、インジェクタチューブ(120)と冷却流体戻し導管(110-2)の間に位置付けられてもよい。
【0099】
図3aおよび図3bは、冷却流体供給導管(110-1)および冷却流体戻し導管(110-2)がインジェクタチューブ(120)を部分的に囲んでいる、マルチホールガスインジェクタ(101、102)の正面図を概略的に示す。部分的に囲むことは、導管(110)がインジェクタチューブ(120)の円周の周りを塞がないこと、および導管(110)全体を通して長軸方向に第一の軸(121)に沿って残された開口部があってもよいことを示唆する場合がある。言い換えれば、実施形態において、複数のプロセスガス注入穴(124)を備えるインジェクタチューブ(120)の側面は、プロセスガスを第二の軸(127)に沿ってプロセスチャンバに注入するために、長軸方向に第一の軸に沿って少なくとも部分的に覆われない場合がある。インジェクタチューブの部分的に覆われていない側面は、これによって複数のプロセスガス注入穴(124)の各々が周囲に露出されているようになっている。ガスインジェクタ(100)が半導体処理装置のプロセスチャンバの中に定置されている時に、プロセスガス注入穴(124)は次いで、プロセスチャンバ内の周囲に曝露されていて、それによってプロセスガス注入穴は、インジェクタチューブ(120)から第二の軸(127)に沿ったプロセスチャンバの中への開口部を通してプロセスガスを注入する。
【0100】
一部の実施形態において、開口部は、図3aに概略的に表される通り、長軸方向に第一の軸(121)に沿った単一の中断されていない開口部(160)であってもよい。それ故に、一部の実施形態において、単一の中断されていない開口部は、スリットであってもよい。言い換えれば、開口部は、冷却流体導管(110)の長さに沿った長くかつ狭い切断部であってもよく、それによってプロセスガス注入穴(124)の各々、および穴(124)の間のインジェクタチューブの一部を露出する。
【0101】
一部の実施形態において、単一の中断されていない開口部(160)は、円弧形状であってもよい。
【0102】
一部の実施形態において、単一の開口部はバッフル(140)によって中断されてもよく、それによって、図3bに概略的に表される通り、長軸方向に第一の軸(121)に沿った複数の中断された開口部(161)を作り出す。プロセスガス注入穴(124)の各一つは、中断された開口部(151)の各々を通して、二つの隣り合うバッフル(140)の間の周囲に露出される場合がある。これは使用時に、プロセスガスがインジェクタチューブ(120)からプロセスチャンバに注入される際に、プロセスガスの均一かつ方向性のある流れを提供する場合がある。バッフル(140)は、プロセスガス注入穴(124)の各々が、すぐ上およびすぐ下のバッフルから等しく距離を置いて見えるように位置付けられてもよい。
【0103】
実施形態において、複数の中断された開口部(151)の各一つは、円弧形状を有してもよい。
【0104】
実施形態において、複数の円弧形状の中断された開口部(151)または円弧形状の単一の中断されていない開口部の各々は、インジェクタチューブ(120)の中心線に対して、5度~60度の範囲内の開口部角度(α)を有してもよい。
【0105】
この範囲の下端に向かう開口部角度は、ガスインジェクタ内のより低い圧力降下を有するという利点を提供する場合がある一方で、ガスインジェクタの製作の容易さも提供することになる。この範囲の上端に向かう開口部角度は、インジェクタチューブに対する冷却の改善を可能にする場合がある。
【0106】
ここで、本開示の第一の態様の一部の実施形態によるマルチホールガスインジェクタの上面図を概略的に表す図4bに戻る。
【0107】
一部の実施形態において、冷却流体供給導管(110-1)は、冷却流体戻し導管(110-2)と流体連通してもよい。冷却流体供給導管(110-1)は、その壁を通して冷却流体戻し導管(110-2)に冷却流体の流れを提供するために好適である場合がある。冷却流体供給導管(110-1)から冷却流体戻し導管(110-2)への冷却流体の流れはそれ故に、連続的である場合がある。これは、インジェクタチューブ(120)に連続的な冷却を提供する上で有利である場合がある。それ故に、これは、インジェクタチューブ(120)を冷却するために必要とされる時間を短縮することにつながる場合がある。
【0108】
実施形態において、冷却流体供給導管(110-1)の壁は、多孔質材料で作製されてもよい。これは、冷却流体供給導管(110-1)と冷却流体戻し導管(110-2)の間の流体連通を保つという利点を提供する場合がある。
【0109】
実施形態において、多孔質材料は多孔質金属、多孔質セラミック、または多孔質プラスチックであってもよい。当業者に周知の通り、多孔質セラミック材料は、複数の気体の細孔を有する耐熱性の多孔質材料を含んでもよい。多孔質セラミック材料は、オープンセル構造を有するハニカムセラミックまたはセラミック発泡体の形態であってもよく、それによって冷却流体が冷却流体戻し導管(110-2)に通って流れることを可能にする。
【0110】
多孔質金属は実施形態において、金属発泡体であってもよい。
【0111】
実施形態において、ガスインジェクタ(100)は使用時に、冷却流体戻し導管(110-2)内の冷却流体を蒸発させるように構築および配設されてもよい。これは、冷却流体の蒸気圧よりも低い圧力に保たれる冷却流体戻し導管(110-2)内の圧力を有することによって達成されてもよい。このようにして、冷却流体供給導管(110-1)の多孔質壁を通して冷却流体戻し導管(110-2)の中に入る冷却流体は蒸発してもよく、それによってインジェクタチューブ(120)に対する冷却効果を提供する。
【0112】
実施形態において、冷却流体戻し導管(110-2)は、冷却流体戻し導管(110-2)からの気化した冷却流体の連続的な排気を提供するために、ポンプに接続されてもよい。冷却流体は冷却流体供給導管(110-1)に連続的に供給される場合があり、それによって冷却流体戻し導管(110-2)内の気化した冷却流体の連続的な形成につながる場合があるため、冷却流体戻し導管(110-2)のこの連続的な排気は、有利である場合がある。
【0113】
ここで、本開示の第一の態様の一部の実施形態によるマルチホールガスインジェクタの上面図を概略的に表す図4cに戻る。
【0114】
一部の実施形態において、さらなる導管(170)は、冷却流体供給導管(110-1)と冷却流体戻し導管(110-2)の間に同軸に位置付けられてもよい。さらなる導管(170)は、プロセスチャンバに動作可能に接続されてもよい。これは、冷却流体戻し導管(110-2)と冷却流体供給導管(110-1)の間の熱伝達のバランスを取る上で有利である場合がある。このさらなる導管(170)は実施形態において、プロセスチャンバ内の圧力と同じ圧力を有してもよい。
【0115】
実施形態において、ガスインジェクタは、その周辺上に熱シールドをさらに備えてもよい(図に示さず)。言い換えれば、熱シールドは、冷却流体戻し導管(110-2)の外壁上に位置してもよい。熱シールドの使用は、熱流束を低減するのに役立つ場合があるので、プロセスチャンバ内部に提供される冷却がありうる時はいつでも、有利である場合がある。熱シールドは、ガスインジェクタに部分的に固定されてもよい。一部の実施形態において、熱シールドは、ガスインジェクタから緩んでいるように、ガスインジェクタに物理的に取り付けられていない。
【0116】
一部の実施形態において、熱シールドは放射熱シールドであってもよい。
【0117】
一部の実施形態において、熱シールドは単一の熱シールドであってもよい。
【0118】
実施形態において、熱シールドは石英または炭化ケイ素で作製されてもよい。これらは、放射線を吸収し、ガスインジェクタのより低温の部分への流束を低減する場合があるため、有利である場合がある。
【0119】
ここで、本開示の第二の態様の実施形態によるダンプガスインジェクタ(103)の正面図および上面図を概略的に表す図5および図6aに戻る。
【0120】
ガスインジェクタ(103)は、半導体処理装置のプロセスチャンバにプロセスガスを送達するように構築されてもよい。ガスインジェクタ(103)は、プロセスガスをプロセスチャンバに注入するためのインジェクタチューブ(180)を備えてもよい。インジェクタチューブ(180)は、第一の端(122)から第二の端(123)に長軸方向に第一の軸(121)に沿って延在してもよく、それによってインジェクタチューブ(120)は、プロセスガスを受容するように、かつプロセスガスを第一の軸(121)に実質的に沿ってプロセスチャンバに注入するように構築されてもよい。
【0121】
実施形態において、インジェクタチューブ(180)は、プロセスガスをプロセスチャンバに注入するために、その第二の端(123)にて単一の開口部(150)を有してもよい。
【0122】
実施形態において、インジェクタチューブ(120)は供給端を備えてもよい。
【0123】
実施形態において、供給端は、一つ以上の前駆体ガスをインジェクタチューブ(180)に提供するために構築および配設されたガス供給部(130)と流体接続していてもよい。実施形態において、供給端は、インジェクタチューブ(180)の第一の端(122)の中に備えられてもよい。一つ以上の前駆体ガスは、プロセスガスを構成してもよい。二つ以上の前駆体ガスがインジェクタチューブ(180)に供給される実施形態において、前駆体ガスは、プロセスチャンバの中に注入される前に、インジェクタチューブ(180)の中で混合されてもよい。
【0124】
ガスインジェクタ(103)は、冷却流体導管(110-1、110-2)をさらに備えてもよい。冷却流体導管は、インジェクタチューブ(180)を冷却するように構築されてもよい。冷却流体導管は、冷却流体を提供するように構築および配設された冷却流体供給導管(110-1)と、冷却流体を除去するように構築および配設された冷却流体戻し導管(110-2)とを備えてもよい。冷却流体供給導管(110-1)および冷却流体戻し導管(110-2)の各々は、インジェクタチューブ(180)と同軸に位置付けられてもよい。冷却流体供給導管(110-1)は、図6aに概略的に示す通り、インジェクタチューブ(180)と冷却流体戻し導管(110-2)の間に位置付けられてもよい。同軸位置決めは実施形態において、インジェクタチューブ(180)と導管(110-1、110-2)が同じ中心点を共有することを暗示する場合がある。
【0125】
ガスインジェクタ(103)は、本開示の第一の態様の実施形態に従って開示されたガスインジェクタ(100、101、102)と同じ利点を提供する場合がある。
【0126】
実施形態において、ガスインジェクタ(103)は、複数のインジェクタチューブを備えてもよい。これは有利なことに、基材ボート内に備えられる場合がある基材の各々の表面にわたって形成される層の厚さの均一性を改善することを可能にする場合がある。
【0127】
一部の実施形態において、複数のインジェクタチューブは、第三の軸(127)に沿って互いに隣り合って整列されてもよく、第三の軸(127)は、第一の軸(121)および第二の軸(126)に対して垂直である。複数のガスインジェクタ(120)の各々の互いの間に十分な伝導があり、これによってガスインジェクタ(120)からの熱を冷却流体導管(110)に伝達することができることが留意される。
【0128】
例えば、冷却流体供給導管(110-1)および冷却流体戻し導管(110-2)などの冷却流体導管(110)は、互いに隣り合って整列された複数のインジェクタチューブ(123)の遠位端の各々上に互いに反対側に位置付けられてもよい。
【0129】
互いに隣り合って整列されることができるインジェクタチューブ(123)の数は、インジェクタチューブ(120)の各々に十分な冷却が提供されるように構成されてもよい。一部の実施形態において、整列したインジェクタチューブ(120)の上方および/または下方に追加的な冷却流体チャネルを定置する必要性がある場合がある。
【0130】
一部の実施形態において、複数のインジェクタチューブ(180)は、マトリクス構成で位置付けられてもよい。図6bは、複数のインジェクタチューブ(180)のための2×2マトリクス構成を概略的に表す。原子層堆積(ALD)が実施される基材上の層の形成の場合、例えば複数のインジェクタチューブ(180)のマトリクス構成が実行可能な代替案である場合がある。
【0131】
マトリクス構成は、例えば基材ボートに向かう方向などの、第二の軸(127)に沿ったインジェクタチューブ(180)の数を表す「a」と、第一の軸(121)に沿って互いに隣り合って整列されたインジェクタチューブ(180)の数を表す「b」とを有する、a×bマトリクスの形態であってもよい。
【0132】
実施形態において、「a」は1~3で変化してもよく、「b」は1~10で変化してもよい。
【0133】
一部の実施形態において、追加的な冷却流体導管(110)は、図6cに概略的に表される通り、マトリクス構成で配設された複数のインジェクタチューブ(180)の上および下に定置されてもよい。こうした追加的な冷却流体導管の定置は、プロセス温度に依存してもよい。例えば、600℃を上回る温度などのプロセス温度を必要とするプロセスの場合、追加的な冷却流体導管(110)の使用は、より速い改善された冷却を可能にするために有利である場合がある。
【0134】
図6dは、ダンプガスインジェクタの上面図を概略的に表し、ここで一部の実施形態において、冷却流体供給導管(110-1)は、冷却流体戻し導管(110-2)と流体連通してもよい。冷却流体供給導管(110-1)は、その壁を通して冷却流体戻し導管(110-2)に冷却流体の流れを提供するために好適である場合がある。これは、インジェクタチューブ(180)を冷却するために必要とされる時間を短縮する上で有利である場合がある。
【0135】
実施形態において、冷却流体供給導管(110-1)の壁は、多孔質材料で作製されてもよい。これは、冷却流体供給導管(110-1)と冷却流体戻し導管(110-2)の間の流体連通を保つという利点を提供する場合がある。
【0136】
実施形態において、多孔質材料は多孔質金属、多孔質セラミック、または多孔質プラスチックであってもよい。当業者に周知の通り、多孔質セラミック材料は、複数の気体の細孔を有する耐熱性の多孔質材料を含んでもよい。多孔質セラミック材料は、オープンセル構造を有するハニカムセラミックまたはセラミック発泡体の形態であってもよく、それによって冷却流体が冷却流体戻し導管(110-2)に通って流れることを可能にする。
【0137】
多孔質金属は実施形態において、金属発泡体であってもよい。
【0138】
実施形態において、ガスインジェクタ(103)は使用時に、冷却流体戻し導管(110-2)内の冷却流体を蒸発させるように構築および配設されてもよい。これは、冷却流体の蒸気圧よりも低い圧力に保たれる冷却流体戻し導管(110-2)内の圧力を有することによって達成されてもよい。このようにして、冷却流体供給導管(110-1)の多孔質壁を通して冷却流体戻し導管(110-2)の中に入る冷却流体は蒸発してもよく、それによってインジェクタチューブ(180)に対する冷却効果を提供する。
【0139】
実施形態において、冷却流体戻し導管(110-2)は、冷却流体戻し導管(110-2)からの気化した冷却流体の連続的な排気を提供するために、ポンプに接続されてもよい。冷却流体は冷却流体供給導管(110-1)に連続的に供給される場合があり、それによって冷却流体戻し導管(110-2)内の気化した冷却流体の連続的な形成につながる場合があるため、冷却流体戻し導管(110-2)のこの連続的な排気は、有利である場合がある。
【0140】
図6eは、ダンプガスインジェクタの上面図を概略的に表し、ここで一部の実施形態において、さらなる導管(170)は、冷却流体供給導管(110-1)と冷却流体戻し導管(110-2)の間に同軸に位置付けられてもよい。さらなる導管(170)は、プロセスチャンバに動作可能に接続されてもよい。これは、冷却流体戻し導管(110-2)と冷却流体供給導管(110-1)の間の熱伝達のバランスを取る上で有利である場合がある。このさらなる導管(170)は実施形態において、プロセスチャンバ内の圧力と同じ圧力を有してもよい。
【0141】
実施形態において、ガスインジェクタは、その周辺上に熱シールドをさらに備えてもよい(図に示さず)。言い換えれば、熱シールドは、冷却流体戻し導管(170)の外壁上に位置してもよい。熱シールドの使用は、熱流束を低減するのに役立つ場合があるので、プロセスチャンバ内部に提供される冷却がありうる時はいつでも、有利である場合がある。熱シールドは、ガスインジェクタに部分的に固定されてもよい。一部の実施形態において、熱シールドは、ガスインジェクタから緩んでいるように、ガスインジェクタに物理的に取り付けられていない。
【0142】
一部の実施形態において、熱シールドは放射熱シールドであってもよい。
【0143】
一部の実施形態において、熱シールドは単一の熱シールドであってもよい。
【0144】
実施形態において、熱シールドは石英または炭化ケイ素で作製されてもよい。これらは、放射線を吸収し、ガスインジェクタのより低温の部分への流束を低減する場合があるため、有利である場合がある。
【0145】
本開示の第三の態様において、半導体処理装置が開示されている。
【0146】
半導体処理装置(500)は、プロセスチャンバ(570)を備えてもよい。プロセスチャンバ(570)は、長軸方向に延在してもよく、また基材ボート(520)を受容するように構築および配設されてもよい。基材ボート(520)は、複数の基材(530)を備えてもよい。半導体処理装置(500)には、本開示の第一の態様または第二の態様の実施形態によるガスインジェクタ(100、101、102、103)が提供されてもよい。こうした半導体処理装置(500)は、図7に表される場合がある。
【0147】
実施形態において、半導体処理装置(500)はまた、基材ボート(520)が置かれるペデスタル(540)を備えてもよい。半導体処理装置(500)はまた、プロセスチャンバをプロセス温度に加熱および維持するために好適なヒーターを備えてもよい。これはまた、プロセスチャンバ内で必要とされるプロセス圧力を達成および維持するための圧力コントローラを備えてもよい。これは、ガスインジェクタ(100、101、102、103)の中に一つ以上の前駆体ガスを提供するためのガス供給部(130)をさらに備えてもよい。ガス供給部は、一つ以上の前駆体ガス貯蔵部に接続されてもよい。半導体処理装置(500)は、非一時的コンピュータ可読媒体内に備えられた、かつ垂直炉に複数の基材(530)を処理させる命令を実行するためのコントローラを備えてもよい。
【0148】
実施形態において、半導体処理装置は垂直炉であってもよい。垂直炉内の複数の基材を処理することは、クリーンルームのフロアスペース内の装置の設置面積を減少させるという利点を提供してもよい。垂直炉は、化学蒸着(CVD)、原子層堆積(ALD)だけでなく、酸化、拡散、アニーリングなどの堆積プロセスにとって好適であってもよい。
【0149】
本開示の実施形態は、本明細書に添付の特許請求の範囲およびその法的均等物によって定義されているため、本発明の範囲を限定しない。任意の均等な実施形態は、本発明の範囲内にあることが意図されている。互いに異なる本開示の修正は、本明細書に開示されるものに加えて、当業者に明らかになりうる。こうした修正およびそこから由来する実施形態はまた、本明細書に添付の特許請求の範囲の範囲内に収まることが意図されている。
図1a
図1b
図2
図3a
図3b
図4a
図4b
図4c
図5
図6a
図6b
図6c
図6d
図6e
図7
【外国語明細書】