(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024074289
(43)【公開日】2024-05-30
(54)【発明の名称】試験測定装置及び試験測定のための機械学習の利用方法
(51)【国際特許分類】
G01R 13/20 20060101AFI20240523BHJP
【FI】
G01R13/20 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023196478
(22)【出願日】2023-11-20
(31)【優先権主張番号】63/426,708
(32)【優先日】2022-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】18/510,234
(32)【優先日】2023-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】391002340
【氏名又は名称】テクトロニクス・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】TEKTRONIX,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】カン・タン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ジェイ・ピカード
(57)【要約】
【課題】機械学習ネットワークをトレーニングするための、より効率の高いテンソル画像を作成する。
【解決手段】試験測定装置10は、波形データを受信するために被試験デバイス(DUT)30に接続されるポート14と、機械学習ネットワーク26への接続部と、1つ以上のプロセッサ12とを有する。プロセッサ12は、3次元(3D)テンソル画像に関する1つ以上の入力を受信し、3Dテンソル画像内に収まるように波形データをスケール調整し、3Dテンソル画像を構築し、3Dテンソル画像を機械学習ネットワーク26に送り、機械学習ネットワーク26から予測結果を受けるよう構成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試験測定装置であって、
該試験測定装置を被試験デバイス(DUT)に接続して波形データを受信できるようにするポートと、
機械学習ネットワークへの接続部と、
1つ以上のプロセッサとを具え、
該1つ以上のプロセッサが、
3次元(3D)テンソル画像に関する1つ以上の入力を受信する処理と、
上記3Dテンソル画像の大きさの範囲内に収まるように波形データをスケール調整する処理と、
上記1つ以上の入力に従って上記3Dテンソル画像を構築する処理と、
上記3Dテンソル画像を上記機械学習ネットワークに送信する処理と、
上記機械学習ネットワークから予測結果を受ける処理と
を上記1つ以上のプロセッサに行わせるプログラムを実行するよう構成される試験測定装置。
【請求項2】
上記1つ以上のプロセッサに上記3Dテンソル画像を構築させるプログラムは、
基準パラメータの1セットそれぞれについて1つの3Dテンソル画像として3つの3Dテンソル画像を構築する処理と、
上記3つの3Dテンソル画像の夫々を赤-緑-青のカラー画像から成る別々のカラー・チャンネルに配置する処理と
を上記1つ以上のプロセッサに行わせる請求項1に記載の試験測定装置。
【請求項3】
上記3Dテンソル画像を構築する処理を上記1以上のプロセッサに行わせるプログラムは、
上記波形データが上記3Dテンソル画像で利用可能な幅よりも多くのサンプルを有する場合に、上記波形データを複数のセグメントに分割する処理と、
上記複数のセグメントの夫々を上記3Dテンソル画像中の複数の行の別々の行に、時間はx軸に沿って、上記複数の行はy軸に沿って、上記セグメント夫々の大きさはz軸に沿った状態で配置する処理と
を上記1つ以上のプロセッサに行わせるプログラムを含む請求項1に記載の試験測定装置。
【請求項4】
上記3Dテンソル画像を構築する処理を上記1以上のプロセッサに行わせるプログラムは、
Sパラメータの波形データである上記波形データを受信する処理と、
上記Sパラメータの波形データを実数波形と虚数波形に分離する処理と、
上記実数波形の夫々及び上記虚数波形の夫々を上記3Dテンソル画像の別々の行に、周波数はx軸に沿って、上記複数の行はy軸に沿って、上記波形夫々の大きさはz軸に沿った状態で配置する処理と
を上記1つ以上のプロセッサに行わせるプログラムを含む請求項1に記載の試験測定装置。
【請求項5】
上記実数波形の夫々及び上記虚数波形の夫々を別々の行に配置する処理を上記1以上のプロセッサに行わせるプログラムは、上記実数波形及び上記虚数波形の夫々を、上記機械学習ネットワーク中の内部ニューラル・ネットワーク畳み込みフィルタのサイズに基づいて、上記実数波形及び上記虚数波形の中の他方の波形から所定の行数だけ離して別々の行に配置する処理を上記1つ以上のプロセッサに行わせるプログラムを含む請求項4に記載の試験測定装置。
【請求項6】
上記3Dテンソル画像を構築する処理を上記1以上のプロセッサに行わせるプログラムは、
上記3Dテンソル画像に関する上記1つ以上の入力によって特定されるショート・パターン波形の複数の反復を捕捉する処理と、
上記ショート・パターン波形の上記反復の夫々を、x軸に沿った時間、y軸に沿った複数の行、z軸に沿った大きさを有する上記3Dテンソル画像の1つの行に配置して、行の間に空きのない複数の行から成るグループを形成する処理と
を上記1つ以上のプロセッサに行わせるプログラムを含む請求項1に記載の試験測定装置。
【請求項7】
1つ以上の被試験デバイス(DUT)から波形データを受信する処理と、
3次元(3D)テンソル画像に関する1つ以上の入力を受ける処理と、
上記3Dテンソル画像の大きさの範囲内に収まるように上記波形データをスケール調整する処理と、
上記1つ以上の入力に従って上記3Dテンソル画像を構築する処理と、
上記3Dテンソル画像を事前学習された機械学習ネットワークに送信する処理と、
上記機械学習ネットワークから予測結果を受信する処理と
を具える試験測定装置のための機械学習の利用方法。
【請求項8】
基準パラメータの1セットそれぞれについて1つの3Dテンソル画像として、3つの3Dテンソル画像を構築する処理と、
上記3つの3Dテンソル画像の夫々を赤-緑-青のカラー画像から成る別々のカラー・チャンネルに配置する処理と
を更に具える請求項7に記載の試験測定装置のための機械学習の利用方法。
【請求項9】
上記3Dテンソル画像を構築する処理は、
波形データが上記3Dテンソル画像の利用可能な幅よりも多くのサンプルを有する場合に、上記波形データを複数のセグメントに分割する処理と、
上記複数のセグメントの夫々を上記3Dテンソル画像中の複数の行の中の1つの行に、時間はx軸に沿って、上記複数の行はy軸に沿って、上記セグメント夫々の大きさはz軸に沿った状態で配置する処理と
を有する請求項7に記載の試験測定装置のための機械学習の利用方法。
【請求項10】
上記3Dテンソル画像を構築する処理は、
Sパラメータ波形データである上記波形データを受信する処理と、
上記Sパラメータ波形データ夫々の上記波形データを実数波形と虚数波形に分割する処理と、
上記実数波形の夫々及び上記虚数波形の夫々を上記3Dテンソル画像の別々の行に、周波数はx軸に沿って、上記複数の行はy軸に沿って、上記波形夫々の大きさはz軸に沿った状態で配置する処理と
を有する請求項7に記載の試験測定装置のための機械学習の利用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、試験測定システム及び方法、より詳細には、機械学習を利用する試験測定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
2022年5月18日に出願された米国特許出願第17/747,954号(特許文献1参照)、発明の名称「ショート・パターン波形データベースに基づく測定用機械学習」(以下、「'954出願」)は、ショート・パターン波形のデータベースから構築されたテンソル画像を、機械学習システムへの入力として利用することを説明している。'954出願の内容は、参照により、本開示に援用される。
【0003】
2023年5月19日に出願された米国特許出願第18/199,846号、発明の名称「機械学習を用いた自動キャビティ・フィルタ・チューニング」(以下「'846出願」)は、その内容が参照により本願に援用されるが、被試験デバイスの測定されたSパラメータのプロットから構築されたテンソル画像を機械学習システムへの入力として利用することを説明している。
【0004】
2022年7月29日に出願された米国特許出願第17/877,829号(特許文献2参照)、発明の名称「機械学習を用いた複合TDECQ測定及びトランスミッタ・チューニング」(以下、「'829出願」)は、その内容の全体が参照により本開示に援用されるが、機械学習コンポーネントを利用した試験システムについて記載しており、これは、例えば、光トランシーバやトランスミッタなどの被試験デバイス(DUT)の最適なチューニング・パラメータを予測するために使用できる。'829出願に記載の試験システムは、例えば、TDECQ測定など、DUTの性能測定値又は属性を予測するための機械学習コンポーネントも採用しても良い。どちらの予測セットも、トレーニング済みの深層学習ニューラル・ネットワークによって支援される。'829出願に記述された試験システムは、深層学習ネットワークへの入力として'954出願に記述されたテンソル画像などのテンソル画像を構築するためのテンソル画像ビルダを有していても良い。深層学習ネットワークは、ソフトウェア・アプリケーションのコンポーネントであってもよく、これは、本開示では、OptaMLTMアプリケーション、OptaMLTM Proアプリケーション又は単に「OptaML」若しくは「OptaML Pro」と言い換えて呼ぶことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2022/0373598号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2023/0050303号明細書
【特許文献3】特開2022-179459号公報
【特許文献4】特開2023-026402号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】「resnet18 ResNet-18 畳み込みニューラル ネットワーク」、The MathWorks, Inc.、[online]、[2023年11月17日検索]、インターネット<https://jp.mathworks.com/help/deeplearning/ref/resnet18_ja_JP.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述のように、機械学習ネットワークは、光トランスミッタ(送信器)のチューニング・パラメータを予測し、TDECQ測定値を予測するために使用される。はるかに短いエンジニアリング時間でより正確な結果を得るには、機械学習ネットワークをトレーニングするための基準チューニング・パラメータやSパラメータ又はその他のタイプのデータを組み込んだ、より効率的なテンソル画像を作成することが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示技術の実施形態は、概して、3つのチャンネルの基準チューニング・パラメータ又はSパラメータ又は他のタイプのデータを組み込んだ、より高効率の3次元(3D)RGB画像テンソルを作成する方法を含む。RGB画像テンソルの以前の実現形態、例えば、'954出願及び'829出願で記述されたものでは、X対Y波形データに関する2次元画像を使用し、第3の次元は、ショート波形パターンを反復して重ねたもののヒストグラムであった。対照的に、本開示技術の実施形態は、多くのSパラメータ・ベクトルを単一の画像内に配置することを可能とし、これは、以前の実現形態では実現不可能であった。加えて、本開示技術の実施形態によれば、画像の幅よりも長い波形を画像内に配置することが可能になる。これが重要なのは、それぞれ244ピクセル×244ピクセル×256ピクセル(明るさ/強度レベル)の3つのカラー・チャンネルの画像空間サイズを持つResNet18などの事前学習済み(pretrained:事前トレーニング済み)ネットワークを転移学習で利用できることである。これは、業界最高性能のニューラル・ネットワークで波形を処理するという競争上の大きな優位性をもたらす重要な要素である。これにより、より正確な結果が得られ、これらの結果を達成するためのエンジニアリング時間が大幅に短縮される。
【0009】
概して、本開示技術の実施形態に従って作成されたテンソル画像は、多数の新規な特性を有する。これらには、被試験デバイス(DUT)の3つの異なる基準チューニングから生じる波形の3つのカラー・チャンネル、温度やノイズなどのパラメータを画像内の棒グラフとして表現すること、XYZ画像空間での波形の配置が含まれる。このとき、Xは、時間又は周波数を表し、Zは、データの大きさを表し、Yは、別の波形又はSパラメータ・ベクトルを表し、これは、行(row)の個数として表されることがある。
【0010】
その他の新しい特性としては、1つの画像で多数のSパラメータを表現すること、画像幅よりも長い波形を表現することがある。更に、データ・ベクトルの行(row)は、ニューラルネット相関フィルタの大きさ(demension)以上の最小間隔を有していても良いし、又は、波形セグメントが繰り返される場合には、ニューラルネット相関フィルタがこれら波形セグメントと重なるように、1の行間隔を有していても良い。この1の間隔は、どのような場合にも適用できる。更に、画像内の個々のカラー・チャンネルが、XY画像平面で互いに重なり合っていないショート・パターン(短いパターン)波形を多数含んでいても良い。
【0011】
しかし、深層学習ネットワーク内の畳み込み層フィルタが、画像内で分離されたままにしておく必要がある異なる波形を相関させないようにするために、Y軸上の波形は、畳み込みフィルタのスパン以上の距離に離しても良い。この概念を使用すると、画像に配置されたショート・パターン波形を、ネットワーク層の畳み込みフィルタの長さだけ間隔を空けたセグメントで折りたたんで、エイリアシングの影響を回避できる。
【0012】
上述したように、これら実施形態は、より長いショート・パターン波形を、固定画像サイズのX軸の244の長さに適合させることができ、転移学習を用いて、ResNet18の事前学習済み(pretrained)ネットワークに適合させることができる。この画像テンソルの構造の全ての要素の中の競争上の優位性の1つは、事前学習済みの深層学習ネットワークを使用して、波形入力を特定し処理できることである。これらネットワークは、業界で最もパフォーマンスが高く、最も正確なネットワークである。このため、これらのネットワークの1つを実装してトレーニングし、波形処理に必要な精度を得るのにかかるエンジニアリング時間を大幅に短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図2】
図2は、試験測定装置におけるユーザ・メニューの一例を示す。
【
図3】
図3は、2つの異なるテンソル画像の配置の例を示す。
【
図4】
図4は、長い波形を連続したセグメントに分割して3次元テンソル画像を構築する実施形態のブロック図を示す。
【
図5】
図5は、Sパラメータ波形を実数波形と虚数波形に分離して3次元テンソル画像を構築する実施形態のブロック図を示す。
【
図6】
図6は、反復パターンを検出して3次元テンソル画像を構築する実施形態のブロック図を示す。
【
図8】
図8は、波形セグメントをテンソル画像にマッピングした例を示す。
【
図10】
図10は、RGB画像の各カラー・チャンネルの3つの3次元テンソル画像の例を示す。
【
図11】
図11は、ダイプレクサの3ポートのSパラメータのグラフ(周波数対dB)を示す。
【
図12】
図12は、Sパラメータ波形データの実数成分と虚数成分を、これら成分間に間隔を空けて画像にマッピングしたものである。
【
図14】
図14は、SパラメータのRGB画像の各カラー・チャンネルの形で、成分間に間隔を空けずに3つの3次元テンソル画像を配置した例を示す。
【
図16】
図16は、3つのショート波形(パルス)画像のグラフを示す。
【
図17】
図17は、あるショート波形の反復と、別のショート波形の反復のマッピングを示す。
【
図19】
図19は、テンソル・ビルダのユーザ・インタフェースのブロック図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
この機械学習システムは、プロセッサのうちの1つ以上で動作するプログラムされたモデルの形態をとっても良い。この実施形態には、プロセッサに様々なタスクを実行させるコード(プログラム)を実行する1つ以上のプロセッサを有する試験測定装置が含まれても良い。
図1は、被試験デバイス(DUT)として光トランスミッタ(送信器)30の事例における試験セットアップの実施形態を示す。試験セットアップとしては、試験測定システムがあり、これは、オシロスコープのような試験測定装置10を有していても良い。試験測定装置10は、計測器プローブ32を介してDUT30からの信号を受信する。光トランスミッタの場合、プローブは、典型的には、光電変換器34に結合された試験ファイバを有し、この光電変換器34は、1つ以上のポート14を介して試験測定装置に信号を供給する。差動シグナリングには2つのポートが使用されることがある一方、シングル・エンド・チャンネル・シグナリングには1つのポートが使用されても良い。これら信号は、試験測定装置によってサンプリングされ、デジタル化されて波形になる。クロック・リカバリ・ユニット(CRU)18は、試験測定装置10が、例えば、サンプリング・オシロスコープから構成される場合に、データ信号からクロック信号をリカバリしても良い。リアルタイム・オシロスコープでは、ソフトウェア・クロック・リカバリが使用されても良い。
【0015】
試験測定装置は、プロセッサ12によって表される1つ以上のプロセッサ、メモリ20及びユーザ・インタフェース16を有する。メモリは、実行可能な命令をコード(プログラム)の形式で記憶し、これがプロセッサによって実行されると、プロセッサにタスクを実行させる。試験測定装置のユーザ・インタフェース16は、ユーザが、設定の入力、試験の設定等を行うなど、試験測定装置10のインタラクティブな操作を可能にする。また、試験測定装置は、基準イコライザ及び分析モジュール24を含んでもよい。
【0016】
本願の実施形態は、深層学習ネットワークのような機械学習ネットワーク26の形態の機械学習を利用する。機械学習ネットワークは、プロセッサを有していても良く、このプロセッサは、試験測定装置の一部として機械学習ネットワークを使ってプログラムされるか、又は、試験測定装置が、このプロセッサに接続してアクセスする。試験装置の機能及びプロセッサは、進化しているので、12のような1つ以上のプロセッサが、両方の機能を含んでいても良い。
【0017】
ある実施形態では、ユーザ・インタフェースが、
図2に示されるようなOptaML
TM Proトレーニング・メニューを提示しても良い。このメニューは、OptaML
TM Proのトレーニング・メニューのテンソル・ビルダ・メニューのタブにおいて、制御パラメータ・オプションを提示する。深層学習ネットワークの学習に使用されるこれらのパラメータの設定は、学習後にネットワークによって行われる実行時(ランタイム)予測にも使用される。本願の実施形態は、波形又はSパラメータのデータを画像中にどのようにして収容するかを設定するために、新しいメニュー制御要素が追加されることになる。また、いくつかの実施形態では、水面下(バックグラウンド)で、メニューを使用せずに、画像セットアップを行っても良い。
【0018】
図3は、例えば、'954出願及び'829出願に記載の試験システムによって使用される現在の画像テンソルの例を示す。左の画像はモノクロ画像で、画像の3色チャンネル全てに同じショート・パターン波形セグメントがある。その長いレコードの入力波形は、PAM4のPRBS波形である。2つのテンソル画像の中の垂直な直線(40など)は、それぞれ1つの波形の中の1つセグメントを表し、このとき、コード/シンボルが複数のUIインターバルにわたって、一定に保たれる。これらの「レベル」の画像は、パルス画像と重ならないように、画像に配置する前に90度回転させたものである。これらレベル画像により、深層学習は、利得、オフセット及びレベル間の距離の線形性に影響を与えるDUTチューニング・パラメータの影響を確認できる。深層学習ネットワークの目的は、これらの画像を見て、DUTの最適なチューニング・パラメータを予測できるようにすることである。DUTには、フィード・フォワード・イコライザ(feed forward equalizer:FFE)のFFEタップであるパラメータがある。画像内のショート・パターン・パルス・シーケンスは、端から端までにレイアウトされており、ネットワークがFFEタップ設定の効果を最も簡単に確認できる表示である。
【0019】
左の画像は、深層学習ネットワークに供給して、TDECQの1つの測定値を予測できるようにするためのものである。そのために必要な波形入力は、1つだけである。左の画像には、2つの棒グラフ42と44もある。棒グラフ44は、波形が測定された温度を表しても良く、また、棒グラフ42は、ノイズを表しても良く、このノイズは、深層学習ネットワークが、ショート波形に関連する特徴をより良く見えるようにするために、ショート波形からフィルタ処理で除去されたものである。
【0020】
右側の3色の画像テンソルは、DUTの最適なチューニング・パラメータを予測するために使用される。このアルゴリズムは、3つの基準パラメータ・セットをDUTに対して使用して3つの波形を取得し、各波形のショート・パターン出力を画像内の3つのカラー・チャンネルの1つに配置し、画像の上部には、全3色の形式で直線(46など)を配置する。これは、画像の各カラー・チャンネル中のノイズ及び温度に関する、それぞれ別個の棒グラフ48及び49を含む。
【0021】
しかし、この電流テンソル画像の構成では、各波形が、XYZ画像空間のXY軸に制限される。Z軸は、長いレコード中の各波形の複数のインスタンスのヒストグラムを作成するために使用される。対照的に、本開示技術の実施形態は、ショート・パターン波形セグメント又はSパラメータ・セグメントを画像内で編成する方法を修正し、画像内の利用可能なデータ空間をより効率的に使用して、波形の特徴を最も良く認識できるように波形の向きを配置する方法でこれを行う、つまり、深層学習ネットワークの畳み込み層を使用して波形の特徴を最も良く抽出できるようにする。
【0022】
図4~
図6は、3次元(3D)テンソルが構築される様々な方法を示している。これらの図では、ユーザがテンソル・ビルダ・メニュー50を利用して、システムがテンソル画像を構築する方法を設定する。
図4では、この選択によって、テンソル画像が得られるが、これは、最初に長い波形を53において連続するセグメントに分割することで構築される。スケール調整ブロック52は、RGB画像のZ軸に関する0~255の大きさの範囲内に収まるように波形データをスケール調整する。棒グラフ・ビルダ・ブロック54は、温度、ノイズ、その他などの外部パラメータを受け、このパラメータに比例する大きさの値を有する面積の画像を作成する。これらの棒グラフ領域の画像は、画像を適切なカラー・チャンネルに配置するために、画像テンソル構築ブロックに与えられる。
【0023】
この画像テンソル構築ブロック56は、データ・ベクトルと棒グラフと、どの波形の間にどのような間隔を使用するかの仕様を受け取り、次いで、トレーニングとトレーニング後の予測の両方のために深層学習ネットワークへの入力として使用されるRGB画像テンソルを構築する。システムは、これらのブロックを、上述したハードウェア又は1つ以上のプロセッサにおけるソフトウェアで実装しても良い。
【0024】
図5は、55において、各Sパラメータに関する実数波形と虚数波形を分離するオプションを示している。このブロック55は、テンソル・ビルダ・メニュー50からSパラメータ・セットとパラメータを受け取り、このデータ・セットからどのパラメータを使用するかを指示する。各Sパラメータは、周波数の関数としての1つの実数波形と、周波数の関数としての1つの虚数波形とによって表される。例えば、3ポートのパッシブ・ダイプレクサには9つのSパラメータがある。そのうちの6つだけが一意に定まるもの(unique)である。それぞれに実数波形と虚数波形がある。画像テンソル・ビルダに入力される波形は、全部で12個ある。上述したように、機械学習ニューラル・ネットワークは、特定のサイズを有する相関フィルタを有しても良い。これら波形の配置は、これらのフィルタのサイズによって決まる間隔(spacing:空きスペース)を有していても良い。
【0025】
図6は、波形中のショート・パターン又はパルスを検出するためにパターン検出器を使用するオプションを示している。パターン検出ブロック51は、長い波形と、この波形にアライメントされた復号されたパターンとを受信する。テンソル・ビルダ・メニュー50は、このブロックが波形中のどのタイプのショート・パターンを見つけるかを指定する。1つの例で7つの異なるパターンを検索しても良い。7つのパターン全てのインスタンスが、画像テンソルで使用するために出力される。しかし、画像テンソルに各パターンの中の20個のインスタンスという制限がある場合は、その数のみを使用し、残りは無視される。
【0026】
空きスペースの配置に関しては、テンソル画像ビルダは、グループ内の類似したパターン間には、余分な行のスペースを配置しないであろう。画像には、パターンのグループ間に空きスペース()があり、別のグループは異なるパターンを有している。非類似の波形グループ間の最小空きスペースは、ニューラル・ネットワークの相関フィルタのサイズに対応する。
【0027】
ここでは、テンソル画像を構築するこれら3つの方法を順番に説明する。
図7~
図11は、長い波形を複数の連続したセグメントに分割するアプローチを扱っている。この例では、1つの画像テンソルで利用可能な幅(いくつかの実施形態では、244ピクセルに等しいとしても良い)よりも10倍多くのサンプルを含むDUTからの波形を考える。
図7は、そのような例の1つを示している。このアプローチを使用する実施形態は、波形を10のセグメントに分割することによって、その状況を処理できる。次に、テンソル・ビルダは、これらセグメントの中の1つを、XY画像の1行にX軸の時間次元で配置し、Z軸に大きさを配置する。Y軸には、それぞれ異なるセグメントが含まれることになろう。
図8は、これらのセグメントをXY上で視覚的に表現したものを示す。複数の行の間のスペースは、最小行空きスペース(minimum row spacing)から生じたものである。図は、右側に棒グラフを示している。
【0028】
一方、この画像を「傾ける」と、3次元で見ることができ、画像は
図9に示すようになる。波形はX軸に沿って「広がって」いて、行はY軸に沿って広がっているので、60で示される空きスペース(spacing)を観察できる。62などの棒グラフが3Dで表示され、各セグメントの大きさが、Z軸に沿って上方向に伸びている。3D画像には、上述した以前のテンソル画像よりも多くの情報が含まれている。いくつかの実施形態では、DUTは、動作パラメータに対して3回(1セット中の複数の基準パラメータのそれぞれについて1回ずつ)、チューニングを受ける。
図10は、これらのセットのそれぞれについて得られた3Dテンソル画像を示し、それぞれが画像の左から右へ赤-緑-青(RGB)画像の中の別個のチャンネルに含まれている。
【0029】
図11~
図15は、いくつかの実施形態によって、1つのテンソル画像で、どのようにして3ポートの完全なSパラメータのセットを表すことができるかの一例を示す。3ポートのパッシブ・ダイプレクサを検討すると、これは、9つのSパラメータを持ち、そのうち6つが一意に定まるもの(unique)である。各Sパラメータは、周波数の関数としての複素数値のセットで構成される。従って、各Sパラメータには、実数と虚数の周波数領域波形があり、これが、テンソル画像の1行に配置され、テンソル画像のZ軸に大きさを有する。
【0030】
図11は、縦軸にdB単位の大きさ、横軸に周波数のプロットを示し、ダイプレクサの6つの一意のSパラメータの全てが、このプロットに示されている。
図12は、この例の12個の波形をXY表示で示している。棒グラフが、右側に表示されている。
図13は、傾けた表示を示す。
図13の画像の色は、DUTからの基準チューニング・パラメータ・セットのどれが結果を生成したかに依存する。
図14は、3つの別々の画像を示す。
【0031】
図13の傾けた表示が示すように、波形の行(row)の間の空きスペースを見ることができる。これの代わりとしては、行(row)の間の空きスペースがないものがあり、本開示のいくつかの実施形態は、Sパラメータの行の間に空きスペースがない可能性も許容する。その相関フィルタは、複数の行にオーバーラップするが、これら相関フィルタは、決定論的な方法で相関付けを行い、それでも、これは、所望の予測を行う目的に適していることもある。しかし、もしこれでは、所望の特徴を求めるのに十分な解像度が得られない場合は、空きスペースを追加しても良い。空きスペースを使用しない場合、より多くの入力データをテンソル画像のチャンネルに詰め込むことができる。
図15は、空きスペースを設けないXYレイアウト及び傾けたバージョンを示している。見ればわかるように、この画像には、より多くのデータのための、より多くの余裕がある。
【0032】
図16~
図18は、ショート・パターン波形又はパルスを使用する実施形態のグラフを示す。
図16は、3つのPAM4(4値パルス振幅変調)パルス・シーケンスを示す。これにより、長いレコード波形の中からショート・パターン波形の複数の反復を収集し、これらの全てを1つの画像中に含めることができる。現在、このアプローチでは、波形をXY軸に配置し、Z軸に反復波形サイクルをヒストグラムにする。本開示のいくつかの実施形態によれば、反復する波形セグメントを隣接する行に配置し、これら行の間の空きスペースをなしとしても良い。このようにして、ニューラル・ネットワークの入力層の相関フィルタは、フィルタの幅だけ、反復波形に対して広がることになろう。ResNet18には、7×7のフィルタがある。
【0033】
現在、OptaML
TM Proで使用されているPAM4のレベル0から1、0から2、0から3までの3つの異なるパルス・シーケンスを検討する。各パルス・インスタンスは、長いレコード中で10回繰り返され、空きスペースのないグループとして1つの画像に配置されても良い。振幅の異なる10個のパルスの第2のグループは、ResNet18ネットワークの最後の7行のグループからスペースを空けて画像に配置しても良く、よって、このグループ内のパルスには空きスペースがない。最後に、3番目のパルスは、最後のグループから7つの空きスペースを空けて、かつ、グループ内のパルスについては空きスペースなしで、画像に配置される。
図17は、3つの異なる行のグループ70、72及び74を示し、複数の行からなる各グループ内において同じパルスの反復を表している。他の例と同様に、棒グラフが画像の右側にある。
図18は、その傾けた画像を示す。この1つの画像は、RGB画像の3つのカラー・チャンネルの1つに存在する。
【0034】
テンソル・ビルダのクラス、オブジェクト、ユーザ・インタフェースの相互作用により、3Dテンソル画像を構築するためのこれらの様々なアプローチを実装できる。
図19は、これらの要素のブロック図を示す。
【0035】
テンソル・ビルダのユーザ・インタフェース(UI)80は、どのテンソル・ビルダのアルゴリズム又はフォーマットを使用するかを制御して、設定するためのUIの制御を提供する。このブロックには、様々なタイプの操作部が含まれている。棒グラフ操作部90は、棒グラフを含むかどうかと、メイン・テンソル画像に配置する棒グラフ画像の種類などの制御を提供する。利得ベクトルUI操作部92は、利得制御のためのアルゴリズムのタイプを選択するための制御を提供し、次いで、必要となることのある主要な制御要素を提供する。利得ベクトルのプロット・ビジュアライザ(視覚化部)94は、顧客が利得制御ベクトルの設定を可視化して、利得制御ベクトルをセットアップし、結果が正しく使用可能であることを確認するのを助けることができる。これは、トレーニングとランタイム予測のためのシステム設定のデバッグの一部を構成する。テンソル画像のタイプに関する選択メニュー96により、ユーザは、構築するテンソル画像のタイプを選択することができる。上述のように、システムにはテンソル画像を構築するための様々な方法がある。このメニューには、各タイプに必要なUIも用意されている。テンソル画像プロット・ビジュアライザ98は、トレーニング中にテンソルを構築するためのメニューの操作部(コントロール)の設定を支援する。これは、システムのメンテナンスやデバッグのためにも必要である。
【0036】
テンソル・ビルダUIメニュー・ブロック80には、行間隔制御UIもある。これは、データをどのように画像の行に詰め込むかを定める。上述したように、空きスペースがない場合、深層学習ネットワークの7×7の相関フィルタは、決定論的な方法で複数の行に対してオーバーラップする。しかし、アプリケーションによっては、相関関係が他のデータ行とオーバーラップしないように、スペースを空ける必要がある場合がある。この制御により、テンソル画像の構築方法に柔軟性が加わる。ブロック80は、パルス応答の低レベル部分の分解能を増加させるための利得ベクトル操作メニュー92もあり、これは、深層学習ネットワークがユーザのために予測できるFFEタップの数を増加させる。
【0037】
テンソル・ビルダのクラス82には、深層学習ネットワークへの入力用のテンソル画像を作成するための基本的なブロック要素が含まれている。入力は、通常、波形データ又はSパラメータデータで構成される。しかし、システムは、他のタイプの入力データに拡張できる。このブロックには、棒グラフ画像生成部100もあり、これは、温度、ノイズ、その他などの様々なパラメータを受ける。これは、次いで、小さな棒グラフ画像を作成し、小さな棒グラフ画像は、最終的なテンソル画像に合成されても良い。ブロック82には、様々なマルチプレクサもあるが、これらは、このUIがどのアルゴリズムを選択できることや、Sパラメータ及び波形の場合には、アルゴリズムによって複数のループを実行して、データをテンソル画像に取込むことができることを例示しているに過ぎない。
【0038】
テンソル画像ビルダは、指定された画像構築ブロックを使用して画像テンソルを作成する。マルチプレクサ(MUX)102は、画像構築ブロック用の複数の入力を受ける。上側のグループは、RGBデータとして構成される3つの基準グループの入力を表し、下側の矢印はモノクロ入力である。マルチプレクサ106には、3セットの入力があり、6つの入力から成る上側のセットのような入力のセットの夫々は、3つの基準パラメータ・セットの夫々のSパラメータの実数部及び虚数部を表す。Sパラメータは3つしか示されていないが、更に多くのSパラメータがあっても良い。利得ベクトル104のブロックは、利得ベクトルUI92によって設定された利得を適用して、時間の関数として分解能を増加させる。MUX102によって選択された出力は、第2MUX108に送られ、第2MUX108は、画像構築ブロックの夫々にデータを送信する。これら画像構築ブロックは、XY又はXZのいずれかであり、そして、棒グラフ・データ(BG)を含む。次に、MUX110は、いつ、どのブロックに出力信号86として事前学習されたニューラル・ネットワークへと出力させるかを管理する。
【0039】
メイン・システムのコントローラ・クラス84は、トレーニング中に全ての入力データとメタデータをループ処理して、メタデータに関連付ける画像テンソルの配列を構築することについて責任を持っている。また、これは、学習後の深層学習ネットワークを使用したランタイム(実行時)予測中に使用する同じ画像構築手順も制御する。
【0040】
本開示は、転移学習を用いて、事前学習済みの深層学習ネットワークへの入力として、波形及びSパラメータを表現する3次元RGB画像テンソルを構築する方法の3つの例を説明してきた。これは、DUTからの3つの基準チューニング・データを具体的に表現しており、各チューニングの出力波形を別々のRGBカラー・チャンネルに配置している。これは、温度、ノイズ、その他などの入力パラメータを表す画像の棒グラフを作成するコンセプトについても扱っている。これは、大きさは画像のZ軸にあり、時間又は周波数はX軸にあるというような画像内の波形配置のコンセプトを含む。そして、Y軸は、複数の波形又はSパラメータ・データ・セットを表す。
【0041】
この開示技術の別の側面は、類似波形から成るグループ間又は非類似波形間の最小空きスペースが、深層学習ネットワーク相関フィルタの大きさということである。ResNet18は、事前学習済みのネットワークの例を与え、フィルタ・サイズは7×7である。これにより、非類似波形間の最小空きスペースは7になる。本開示技術の実施形態によれば、業界において最高性能かつ最も正確な事前学習済みネットワークを、波形及びSパラメータを関連付けて、DUTの試験測定及び最適なチューニングに使用するために、転移学習を使用して再学習することができる。また、この画像ベースのアプローチには、生の波形データをディープ・ラーニングネットワークへの入力として使用する場合に比べて、複数の利点がある。例えば、画像ベースの手法では、長いデータ波形から不要な要素が除去され、ニューラルネットの予測がより正確になる。また、これにより、ネットワークへの入力を、レコード長、ボー・レート、パターン・タイプなどに依存しないようにできる。全体として、これらの入力により、機械学習ネットワークは、所望の予測を出力でき、これには、最適なチューニング・パラメータ、TDECQ、FFEタップなどを含んでも良い。
【0042】
本開示技術の態様は、特別に作成されたハードウェア、ファームウェア、デジタル・シグナル・プロセッサ又はプログラムされた命令に従って動作するプロセッサを含む特別にプログラムされた汎用コンピュータ上で動作できる。本願における「コントローラ」又は「プロセッサ」という用語は、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、ASIC及び専用ハードウェア・コントローラ等を意図する。本開示技術の態様は、1つ又は複数のコンピュータ(モニタリング・モジュールを含む)その他のデバイスによって実行される、1つ又は複数のプログラム・モジュールなどのコンピュータ利用可能なデータ及びコンピュータ実行可能な命令で実現できる。概して、プログラム・モジュールとしては、ルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造などを含み、これらは、コンピュータその他のデバイス内のプロセッサによって実行されると、特定のタスクを実行するか、又は、特定の抽象データ形式を実現する。コンピュータ実行可能命令は、ハードディスク、光ディスク、リムーバブル記憶媒体、ソリッド・ステート・メモリ、RAMなどのコンピュータ可読記憶媒体に記憶しても良い。当業者には理解されるように、プログラム・モジュールの機能は、様々な実施例において必要に応じて組み合わせられるか又は分散されても良い。更に、こうした機能は、集積回路、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)などのようなファームウェア又はハードウェア同等物において全体又は一部を具体化できる。特定のデータ構造を使用して、本開示技術の1つ以上の態様をより効果的に実施することができ、そのようなデータ構造は、本願に記載されたコンピュータ実行可能命令及びコンピュータ使用可能データの範囲内と考えられる。
【0043】
開示された態様は、場合によっては、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア又はこれらの任意の組み合わせで実現されても良い。開示された態様は、1つ以上のプロセッサによって読み取られ、実行され得る1つ又は複数のコンピュータ可読媒体によって運搬されるか又は記憶される命令として実現されても良い。そのような命令は、コンピュータ・プログラム・プロダクトと呼ぶことができる。本願で説明するコンピュータ可読媒体は、コンピューティング装置によってアクセス可能な任意の媒体を意味する。限定するものではないが、一例としては、コンピュータ可読媒体は、コンピュータ記憶媒体及び通信媒体を含んでいても良い。
【0044】
コンピュータ記憶媒体とは、コンピュータ読み取り可能な情報を記憶するために使用することができる任意の媒体を意味する。限定するものではないが、例としては、コンピュータ記憶媒体としては、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、電気消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EEPROM)、フラッシュメモリやその他のメモリ技術、コンパクト・ディスク読み出し専用メモリ(CD-ROM)、DVD(Digital Video Disc)やその他の光ディスク記憶装置、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスク記憶装置やその他の磁気記憶装置、及び任意の技術で実装された任意の他の揮発性又は不揮発性の取り外し可能又は取り外し不能の媒体を含んでいても良い。コンピュータ記憶媒体としては、信号そのもの及び信号伝送の一時的な形態は除外される。
【0045】
通信媒体とは、コンピュータ可読情報の通信に利用できる任意の媒体を意味する。限定するものではないが、例としては、通信媒体には、電気、光、無線周波数(RF)、赤外線、音又はその他の形式の信号の通信に適した同軸ケーブル、光ファイバ・ケーブル、空気又は任意の他の媒体を含んでも良い。
実施例
【0046】
以下では、本願で開示される技術の理解に有益な実施例が提示される。この技術の実施形態は、以下で記述する実施例の1つ以上及び任意の組み合わせを含んでいても良い。
【0047】
実施例1は、試験測定装置であって、該試験測定装置を被試験デバイス(DUT)に接続して波形データを受信できるようにするポートと、機械学習ネットワークへの接続部と、1つ以上のプロセッサとを具え、該1つ以上のプロセッサが、3次元(3D)テンソル画像に関する1つ以上の入力を受信する処理と、上記3Dテンソル画像の大きさの範囲内に収まるように波形データをスケール調整する処理と、上記1つ以上の入力に従って上記3Dテンソル画像を構築する処理と、上記3Dテンソル画像を上記機械学習ネットワークに送信する処理と、上記機械学習ネットワークから予測結果を受ける処理とを上記1つ以上のプロセッサに行わせるプログラムを実行するよう構成される。
【0048】
実施例2は、実施例1の試験測定装置であって、上記1つ以上のプロセッサに上記3Dテンソル画像を構築させるプログラムは、基準パラメータの1セットそれぞれについて1つの3Dテンソル画像として3つの3Dテンソル画像を構築する処理と、上記3つの3Dテンソル画像の夫々を赤-緑-青のカラー画像から成る別々のカラー・チャンネルに配置する処理とを上記1つ以上のプロセッサに行わせる。
【0049】
実施例3は、実施例1又は2のいずれかの試験測定装置であって、上記1つ以上のプロセッサは、上記1つ以上の動作パラメータの棒グラフを上記3Dテンソル画像に配置する処理を上記1つ以上のプロセッサに行わせるプログラムを実行するよう更に構成される。
【0050】
実施例4は、実施例1から3のいずれかの試験測定装置であって、上記3Dテンソル画像を構築する処理を上記1以上のプロセッサに行わせるプログラムは、上記波形データが上記3Dテンソル画像で利用可能な幅よりも多くのサンプルを有する場合に、上記波形データを複数のセグメントに分割する処理と、上記複数のセグメントの夫々を上記3Dテンソル画像中の複数の行の別々の行に、時間はx軸に沿って、上記複数の行はy軸に沿って、上記セグメント夫々の大きさはz軸に沿った状態で配置する処理とを上記1つ以上のプロセッサに行わせるプログラムを含む。
【0051】
実施例5は、実施例4の試験測定装置であって、上記複数のセグメントのそれぞれを別々の行に配置する処理を上記1以上のプロセッサに行わせるプログラムは、上記複数のセグメントのそれぞれを、上記機械学習ネットワーク中の内部ニューラル・ネットワーク畳み込みフィルタの大きさに基づいて、上記複数のセグメントの中の異なるものを収容する行から、所定数の行だけスペース(間隔)を空けた別の行に配置する処理を上記1つ以上のプロセッサに行わせるプログラムを含む。
【0052】
実施例6は、実施例1から5のいずれかの試験測定装置であって、上記3Dテンソル画像を構築する処理を上記1以上のプロセッサに行わせるプログラムは、Sパラメータの波形データである上記波形データを受信する処理と、上記Sパラメータの波形データを実数波形と虚数波形に分離する処理と、上記実数波形の夫々及び上記虚数波形の夫々を上記3Dテンソル画像の別々の行に、周波数はx軸に沿って、上記複数の行はy軸に沿って、上記波形夫々の大きさはz軸に沿った状態で配置する処理とを上記1つ以上のプロセッサに行わせるプログラムを含む。
【0053】
実施例7は、実施例6の試験測定装置であって、上記実数波形の夫々及び上記虚数波形の夫々を別々の行に配置する処理を上記1以上のプロセッサに行わせるプログラムは、上記実数波形及び上記虚数波形の夫々を、上記機械学習ネットワーク中の内部ニューラル・ネットワーク畳み込みフィルタのサイズに基づいて、上記実数波形及び上記虚数波形の中の他方の波形から所定の行数だけ離して別々の行に配置する処理を上記1つ以上のプロセッサに行わせるプログラムを含む。
【0054】
実施例8は、実施例6の試験測定装置であって、上記実数波形の夫々及び上記虚数波形の夫々を別々の行に配置する処理を上記1以上のプロセッサに行わせるプログラムは、上記実数波形及び上記虚数波形の夫々を、行の間にスペース(間隔)を空けずに別々の行に配置する処理を上記1つ以上のプロセッサに行わせるプログラムを含む。
【0055】
実施例9は、実施例1から8のいずれかの試験測定装置であって、上記3Dテンソル画像を構築する処理を上記1以上のプロセッサに行わせるプログラムは、上記3Dテンソル画像に関する上記1つ以上の入力によって特定されるショート・パターン波形の複数の反復を捕捉する処理と、上記ショート・パターン波形の上記反復の夫々を、x軸に沿った時間、y軸に沿った複数の行、z軸に沿った大きさを有する上記3Dテンソル画像の1つの行に配置して、行の間に空きのない複数の行から成るグループを形成する処理とを上記1つ以上のプロセッサに行わせるプログラムを含む。
【0056】
実施例10は、実施例9の試験測定装置であって、上記1つ以上のプロセッサは、少なくとも1つの別のショート・パターン波形の複数の反復を捕捉する処理と、上記少なくとも1つの別のショート・パターン波形の反復の夫々を、少なくとも1つの別の行のグループに、上記少なくとも1つの別の行のグループの行の間のスペース(間隔)を空けずに配置し、上記機械学習ネットワーク中の内部ニューラル・ネットワーク畳み込みフィルタのサイズに基づいて、行のグループ間にスペースを空ける処理とを上記1つ以上のプロセッサに行わせるプログラムを実行するように更に構成される。
【0057】
実施例11は、方法であって、1つ以上の被試験デバイス(DUT)から波形データを受信する処理と、3次元(3D)テンソル画像に関する1つ以上の入力を受ける処理と、上記3Dテンソル画像の大きさの範囲内に収まるように上記波形データをスケール調整する処理と、上記1つ以上の入力に従って上記3Dテンソル画像を構築する処理と、上記3Dテンソル画像を事前学習された機械学習ネットワークに送信する処理と、上記機械学習ネットワークから予測結果を受信する処理とを具える。
【0058】
実施例12は、実施例11の方法であって、基準パラメータの1セットそれぞれについて1つの3Dテンソル画像として3つの3Dテンソル画像を構築する処理と、上記3つの3Dテンソル画像の夫々を赤-緑-青のカラー画像から成る別々のカラー・チャンネルに配置する処理とを更に具える。
【0059】
実施例13は、実施例11又は12のいずれかの方法であって、1つ以上の動作パラメータの1つ以上の棒グラフを上記3Dテンソル画像に配置する処理を更に具える。
【0060】
実施例14は、実施例11から13のいずれかの方法であって、上記3Dテンソル画像を構築する処理は、波形データが上記3Dテンソル画像の利用可能な幅よりも多くのサンプルを有する場合に、上記波形データを複数のセグメントに分割する処理と、上記複数のセグメントの夫々を上記3Dテンソル画像中の複数の行の中の1つの行に、時間はx軸に沿って、上記複数の行はy軸に沿って、上記セグメント夫々の大きさはz軸に沿った状態で配置する処理とを有する。
【0061】
実施例15は、実施例14の方法であって、上記複数のセグメントの夫々を1つの行に配置する処理は、上記機械学習ネットワーク中の内部ニューラル・ネットワーク畳み込みフィルタのサイズに基づいて、上記複数のセグメント夫々の行を他の行から所定数の行だけスペース(間隔)を空けて配置する処理を更に有する。
【0062】
実施例16は、実施例11から実施例15のいずれかの方法であって、上記3Dテンソル画像を構築する処理は、Sパラメータ波形データである上記波形データを受信する処理と、上記Sパラメータ波形データ夫々の上記波形データを実数波形と虚数波形に分割する処理と、上記実数波形の夫々及び上記虚数波形の夫々を上記3Dテンソル画像の別々の行に、周波数はx軸に沿って、上記複数の行はy軸に沿って、上記波形夫々の大きさはz軸に沿った状態で配置する処理とを有する。
【0063】
実施例17は、実施例16の方法であって、上記実数波形及び上記虚数波形の夫々を別々の行に配置する処理は、上記実数波形及び虚数波形の夫々を、上記機械学習ネットワーク中の内部ニューラル・ネットワーク畳み込みフィルタのサイズに基づいて、上記実数波形及び虚数波形の他方の波形から所定の行数だけ離間して別々の行に配置する処理を有する。
【0064】
実施例18は、実施例16の方法であって、上記実数波形の夫々と上記虚数波形の夫々を別々の行に配置する処理は、上記実数波形と上記虚数波形の夫々を行間にスペース(間隔)を空けずに別々の行に配置する処理を有する。
【0065】
実施例19は、実施例11から18のいずれかの方法であって、上記3Dテンソル画像を構築する処理は、上記3Dテンソル画像に関する1つ以上の入力によって特定されるショート・パターン波形の複数の反復を捕捉する処理と、上記ショート・パターン波形の上記反復の夫々を、x軸に沿った時間、y軸に沿った複数の行、z軸に沿った大きさを有する上記3Dテンソル画像の1つの行に配置して、上記ショート・パターン波形夫々に関する行の間に空きスペースのない複数の行から成るグループを形成する処理とを有する。
【0066】
実施例20は、実施例19の方法であって、少なくとも1つの別のショート・パターン波形の複数の反復を捕捉する処理と、上記少なくとも1つの別のショート・パターン波形の反復の夫々を、上記少なくとも1つの別の行のグループに行間を空けずに配置し、上記機械学習ネットワーク中の内部ニューラル・ネットワーク畳み込みフィルタのサイズに基づいて、行のグループ間にスペースを空ける処理とを更に具える。
【0067】
加えて、本願の説明は、特定の特徴に言及している。本明細書における開示には、これらの特定の特徴の全ての可能な組み合わせが含まれると理解すべきである。ある特定の特徴が特定の態様又は実施例に関連して開示される場合、その特徴は、可能である限り、他の態様及び実施例との関連においても利用できる。
【0068】
また、本願において、2つ以上の定義されたステップ又は工程を有する方法に言及する場合、これら定義されたステップ又は工程は、状況的にそれらの可能性を排除しない限り、任意の順序で又は同時に実行しても良い。
【0069】
明細書、特許請求の範囲、要約書及び図面に開示される全ての機能、並びに開示される任意の方法又はプロセスにおける全てのステップは、そのような機能やステップの少なくとも一部が相互に排他的な組み合わせである場合を除いて、任意の組み合わせで組み合わせることができる。明細書、要約書、特許請求の範囲及び図面に開示される機能の夫々は、特に明記されない限り、同じ、等価、又は類似の目的を果たす代替の機能によって置き換えることができる。
【0070】
説明の都合上、本開示技術の具体的な態様を図示し、説明してきたが、本発明の要旨と範囲から離れることなく、種々の変更が可能なことが理解できよう。従って、本開示技術は、添付の請求項以外では、限定されるべきではない。
【符号の説明】
【0071】
10 試験測定装置
12 プロセッサ
14 ポート
16 ユーザ・インタフェース
18 クロック・リカバリ・ユニット(CRU)
20 メモリ
24 基準イコライザ及び分析モジュール
26 機械学習ネットワーク
30 被試験デバイス(DUT)
32 計測器プローブ
34 光電変換器
50 テンソル・ビルダ・メニュー
51 パターン検出ブロック
52 スケール調整ブロック
53 波形スプリッタ
54 棒グラフ・ビルダ・ブロック
55 実波と虚数波のセパレータ
56 画像テンソル・ビルダ・ブロック
80 テンソル・ビルダ・ユーザ・インタフェース(UI)メニュー・ブロック
82 テンソル・ビルダ・クラス
84 メイン・システム・コントローラ・クラス
90 棒グラフ操作部
92 利得ベクトルUI操作部
94 プロット・ビジュアライザ
96 選択メニュー
98 テンソル画像プロット・ビジュアライザ
100 棒グラフ画像メーカー
102 マルチプレクサ(MUX)
104 利得ベクトル
106 マルチプレクサ(MUX)
108 マルチプレクサ(MUX)
110 マルチプレクサ(MUX)
【外国語明細書】