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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024074761
(43)【公開日】2024-05-31
(54)【発明の名称】Tie2活性化剤
(51)【国際特許分類】
   A23L 33/105 20160101AFI20240524BHJP
   A61K 36/48 20060101ALI20240524BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240524BHJP
   A61K 31/353 20060101ALI20240524BHJP
   A61P 9/14 20060101ALI20240524BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20240524BHJP
   A61P 19/00 20060101ALI20240524BHJP
   A61K 8/9789 20170101ALI20240524BHJP
   A61K 8/49 20060101ALI20240524BHJP
   C07D 311/62 20060101ALN20240524BHJP
【FI】
A23L33/105
A61K36/48
A61P43/00 111
A61K31/353
A61P9/14
A61P17/00
A61P19/00
A61K8/9789
A61K8/49
C07D311/62
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023114855
(22)【出願日】2023-07-13
(31)【優先権主張番号】P 2022185740
(32)【優先日】2022-11-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】595082696
【氏名又は名称】キューサイ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504173471
【氏名又は名称】国立大学法人北海道大学
(74)【代理人】
【識別番号】100092901
【弁理士】
【氏名又は名称】岩橋 祐司
(74)【代理人】
【識別番号】100188260
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 愼二
(72)【発明者】
【氏名】坂丸 直人
(72)【発明者】
【氏名】加藤 英介
【テーマコード(参考)】
4B018
4C083
4C086
4C088
【Fターム(参考)】
4B018LB01
4B018LB02
4B018LB03
4B018LB07
4B018LB08
4B018LB09
4B018LB10
4B018LE01
4B018LE02
4B018LE03
4B018LE05
4B018MD08
4B018MD48
4B018ME14
4B018MF01
4C083AA111
4C083AA112
4C083AC841
4C083AC842
4C083BB51
4C083CC02
4C083EE12
4C086AA01
4C086AA02
4C086BA08
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA52
4C086MA63
4C086NA14
4C086ZA44
4C086ZA89
4C086ZC41
4C088AB59
4C088AC01
4C088BA08
4C088BA11
4C088BA32
4C088MA02
4C088MA52
4C088MA63
4C088NA14
4C088ZA44
4C088ZA89
4C088ZC41
(57)【要約】
【課題】 毛細血管が徐々に消失する「血管のゴースト化」を予防、改善するTie2活性の向上に関与する植物由来の成分と、それを含む飲食料品を提供することにある。
【解決手段】 Tie2活性化能を有する植物であるインディアンデーツの含有成分からTie2活性化能を有する複数の成分を見つけ出した。また、Tie2活性化能を有するプロアントシアニジン4量体成分の単離に至った。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
EGCG、ミリセチン、モリン、エピカテキンガラート、ガロカテキンガレートから選択される1種または2種以上を含むことを特徴とするTie2活性化剤。
【請求項2】
Tie2を活性化させる成分が下記一般式(1)で示されるプロアントシアニジン4量体であることを特徴とするTie2活性化剤。
[化1]

・・・(1)
【請求項3】
請求項1または2に記載の成分を含むことを特徴とする加工飲食料品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は体内でのTie2活性化剤、特に新規の植物由来成分に関する。
【背景技術】
【0002】
サプリメントなどの宣伝として近年、「血管のゴースト化」を防ぐというような表現を聞くことがある。「ゴースト血管化」とは、ヒトの毛細血管がダメージを受けることによって末端まで血液が流れなくなることで、毛細血管が徐々に消失し始めることを指す。「血管のゴースト化」が生じると、毛細血管から機能維持のための成分を受けている組織は徐々に機能維持に支障を来し、衰え始める。その原因として、毛細血管の壁細胞と内皮細胞が本来密着して安定を保っているところ、加齢、紫外線、疾患等によって血管の外側に位置する壁細胞がダメージを受け、毛細血管に隙間が生じて血管やリンパ管の構造が徐々に不安定になることが挙げられる。通常は壁細胞から分泌される成分「アンジオポエチン-1」が内皮細胞に存在する受容体Tie2(tyrоsin kinase with Ig and EGF hоmоlоgy dоmain-2)を活性化することで内皮細胞と壁細胞が密着し、毛細血管の安定を保っている。そこで前述の毛細血管の「ゴースト血管化」を予防・改善するためにTie2を活性化することで血管の維持を図ることができるとされている。
これは体内に留まらず、肌や毛髪(頭皮)などについても同様で毛細血管のゴースト化はヒトの外見にも影響を及ぼす。そこでTie2を活性化することでアンチエイジングにも繋がるとして医学分野や美容分野において研究がなされている。
健康食品や化粧品の分野においては、様々な食品抽出物にTie2活性向上機能があることが報告されている。例えば、ヒハツエキス(特許文献1)、エゾウコギ、高麗人参(特許文献2)などである。
今回、発明者らが選択したインディアンデーツにもTie2活性化向上機能があることも報告がされている(特許文献3)。しかし、具体的にどの成分が関与しているかは分かっていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6293402号
【特許文献2】特許第5926895号
【特許文献3】特許第6246859号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の解決すべき課題は、Tie2活性の向上に寄与する植物由来成分を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らが検討した結果、インディアンデーツ((タマリンド) Tamarindus indica L.)中にあるTie2活性を向上させる成分を特定して以下の発明を完成させるに至った。
(1) EGCG、ミリセチン、モリン、エピカテキンガラート、ガロカテキンガレートから選択される1種または2種以上を含むことを特徴とするTie2活性化剤。
(2) Tie2を活性化させる成分が下記一般式(1)で示されるプロアントシアニジン4量体であることを特徴とするTie2活性化剤。
[化1]
・・・(1)
(3) 上記(1)、(2)に記載の成分を含むことを特徴とする加工飲食料品。
【発明の効果】
【0006】
本発明に係るTie2活性化剤を経口で摂取することにより、血管の不安定化を予防し、血管の成熟化を促す。さらに、血管の透過性を抑制し、血管を正常化する機能、及び、リンパ管を安定化する機能が期待できる。また、外用として肌等に塗布することによって、しわなどの改善が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】インディアンデーツエキスパウダーの初期分離後の活性試験結果とそれぞれのウェスタンブロッティングの結果図である。
図2】EGCGのリン酸化Tie2と総Tie2の比(p-Tie2/Tie2)を示した結果とウェスタンブロッティングの結果図である。
図3】エピカテキン、ガロカテキンガレート、ミリセチン、モリン、D-ピニトールのリン酸化Tie2と総Tie2の比(p-Tie2/Tie2)を示した結果である。
図4】エピガロカテキン、エピカテキンガラート、タキシフォリン、アピゲニン、ケンペロールのリン酸化Tie2と総Tie2の比(p-Tie2/Tie2)を示した結果とウェスタンブロッティングの結果図である。
図5】SephadexLH-20分画後のリン酸化Tie2と総Tie2の比(p-Tie2/Tie2)を示した結果とウェスタンブロッティングの結果図である。
図6】SephadexLH-20分画前(画分2-3)と分画後(画分2-3-1~2-3-3)のNMRスペクトル図である。
図7】画分2-3-3のLC-MS分析図である。
図8】プロアントシアニジン4量体のリン酸化Tie2と総Tie2の比(p-Tie2/Tie2)を示した結果(とウェスタンブロッティングの結果)図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
発明者らは、インディアンデーツの含有化合物を調べたところ、一部の含有化合物にTie2活性を向上させる機能があることが示された。
さらに、インディアンデーツエキスからTie2活性を向上させる成分の単離に至った。
【0009】
以下にインディアンデーツに含まれる代表的な化合物を示す。
【0010】
[カテキン類]
主要なカテキン類として、[化2]の構造式で示されるEC(エピカテキン)とそのヒドロキシ体である[化3]の構造式で示されるEGC(エピガロカテキン)、及びそれらの没食子酸エステルである[化4]の構造式で示されるECG(エピカテキンガラート)と[化5]の構造式で示されるECGC(没食子酸エピガロカテキン)がある。これらのカテキンの一部が容易にエピマー化され、[化6]の構造式で示されるGCG(ガロカテキンガレート)などの異性体が生成される。
[化2]
[化3]
[化4]

[化5]
[化6]
【0011】
[タキシフォリン]
タキシフォリンは[化7]の構造式で示され、天然ではシベリアカラマツやヒマラヤスギなどの針葉樹でも見られることが知られている。
[化7]
【0012】
[ミリセチン]
ミリセチンは[化8]の構造式で示され、多くのベリー、野菜、ハーブ等の植物に含まれているフラボノイドの一つである。ミリセチンは抗酸化活性を有することが知られている。
[化8]
【0013】
[アピゲニン]
アピゲニンは[化9]の構造式で示され、タンパク質を分解する仕組みであるオートファジーの過程を誘導することが明らかとなっている。
[化9]
【0014】
[ケンペロール]
ケンペロールは[化10]の構造式で示され、フラボノイドの一種である。茶、野菜、豆等の種々の植物から単離され、水に溶けにくいが、熱エタノールおよびジエチルエーテルには可溶であるという性質を有する。
[化10]
【0015】
[モリン]
モリンは[化11]の構造式で示され、海藻に含まれるマリンフラボノイドとしても知られている。
[化11]
【0016】
[D-ピニトール]
D-ピニトールはマメ科やマツ科など種々の植物に含まれているシクリトールの一種で、[化12]の構造式で示される。D-ピニトールには、インスリン感作を含む多様な生物活性があることが近年報告されている。
[化12]
【0017】
本発明に係る活性化剤は、一般食品、健康食品、保健機能食品(特定保健用食品、機能性表示食品等)に配合して摂取することも可能である。
インディアンデーツエキスの場合、その摂取量は成人で一日に80~450mg、好ましくは120~400mg、さらに好ましくは180~360mg程度である。
【0018】
本発明に係るТie2活性化剤は、単独で摂取してもよく、また、医薬的に許容される担体、賦形剤、可塑剤、着色剤、防腐剤等と混合して経口用組成物の形で摂取してもよい。当該経口用組成物に用いる担体としては、例えば、糖アルコール(例として、マンニトール)、無機物(例として、炭酸カルシウム)、微結晶性セルロース、セルロース(例として、カルボキシメチルセルロース)、ゼラチン、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、寒天、ステアリン酸マグネシウム、タルク等が挙げられる。
前記経口用組成物の形態は特に限定されることはなく、錠剤、丸剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、粉末剤、トローチ剤、または溶液(飲料)等の形態とすることができる。
【0019】
また、本発明に係るТie2活性化剤は、一般食品、健康食品、保険機能食品(特定保健用食品、機能性表示食品等)に配合された状態で、好適に摂取することができる。
前記食品としては、例えば、乳飲料、乳酸菌飲料、清涼飲料、炭酸飲料、果汁飲料、野菜飲料、アルコール飲料、粉末飲料、コーヒー飲料、紅茶飲料、緑茶飲料、麦茶飲料等の飲料類;プリン、ゼリー、ババロア、ヨーグルト、アイスクリーム、ガム、チョコレート、キャンディー、キャラメル、ビスケット、クッキー、おかき、煎餅等の菓子類;コンソメスープ、ポタージュスープ等のスープ類;味噌、醤油、ドレッシング、ケチャップ、たれ、ソース、ふりかけなどの各種調味料;ストロベリージャム、ブルーベリージャム、マーマレード、リンゴジャム等のジャム類;赤ワイン等の果実酒;シロップ漬のチェリー、アンズ、リンゴ、イチゴ、桃等の加工用果実;うどん、冷麦、そうめん、ソバ、中華そば、スパゲッティ、マカロニ、ビーフン、はるさめ及びワンタン等の麺類;その他、各種加工食品等が挙げられる。
【0020】
以下に実施例を挙げて説明をするが、本発明はこれらに制約されない。
[実施例1]インディアンデーツのエキス粉末のTie2リン酸化活性
【0021】
まず発明者らは、インディアンデーツのエキス粉末について以下の通りに初期分離を行った。分離方法は溶媒分配と固液抽出の二通りで行った。
溶媒分配はエキス粉末(特許文献3、丸善製薬株式会社製)を水に懸濁後、酢酸エチル、1-ブタノール、水で順次抽出した(サンプル1-1~1-3)。固液抽出はエキス粉末を直接、ヘキサン、酢酸エチル、メタノールで順番に抽出した(サンプル1-4~1-6)。
それぞれで得られた画分を抽出したエキス粉末の重量に比例した量の溶媒に溶解してTie2リン酸化活性を測定した。
2回行った試験結果を図1に示す。
【0022】
図1から分かる通り、インディアンデーツのエキスのサンプル1-2、1-6にTie2活性を向上させる機能をもつ成分が含まれていることが分かる。

[実施例2]EGCGの活性
【0023】
発明者らは、インディアンデーツに含まれていることが公知であるEGCGがTie2活性を有するかを測定した。活性の測定は以下のように行った。
【0024】
1.細胞の刺激
HeLa細胞(JCRB細胞バンクより分譲)を抗生物質(ゲンタマイシン、ストレプトマイシン、ペニシリン)、非必須アミノ酸及び10%牛胎児血清を添加したDMEM(富士フィルム和光純薬製)中で培養し、5×10cellを24ウェルプレートに藩種した。藩種の翌日に、Tie2プラスミド1μg/wellをトランスフェクション試薬(タカラバイオ製)を用いてプロトコールに従ってトランスフェクションし、48時間後に試験に用いた。
試験当日に培地を除去し、サンプル(DMSOに溶解)を添加したDMEMに交換し、37℃で15分間もしくは60分間刺激を行う。培地中のDMSO濃度は0.1体積%以下とした。刺激後の細胞を冷PBSで洗浄し、EzRIPA Lysis kit(アト―製)50μLを用いて細胞を溶解してライセ-トを得た。
なお、陽性コントロールにはAngiopoietin-1(R&D systems製)500ng/mLを用いた。
【0025】
2.SDS-PAGEとウェスタンブロッティング
ライセ-トをSDS-PAGE用のサンプルバッファーと混合し、95℃で5分間処理した後、7.5質量%のゲルを用いたSDS-PAGEにより分離し、PVDF膜に転写した。転写後の膜は、Everyblоt Blocking buffer(バイオラッド製)によりブロッキング後、10%EB/TBS-Tに希釈した一次抗体p-Tie2 antibody(R&D systems)を加え、4℃で振盪しながら一晩処理をした。その後、二次抗体Anti-rabbit IgGantibody(CST)を加えて室温で1時間処理後、イムノスター(登録商標)ゼータ(富士フィルム和光純薬)により1時間検出した。p-Tie2を検出したメンブレンはストリッピング溶液中で20分間振盪をした。その後、一次抗体Tie2 antibody(CST)で4℃で振盪しながら一晩処理をした。さらに、二次抗体Anti-rabbit IgG antibody(CST)で室温で1時間処理をした後にEzWestLumi One(アト―)により検出した。
結果を図2に示す。なお、EGCGの細胞刺激時間は15分である。
【0026】
図2から分かる通り、EGCGには高いTie2活性化能があった。

[実施例3]インディアンデーツに含まれる化合物のスクリーニング
【0027】
発明者らは、どの化合物がTie2活性向上に関与しているかを調べるためにインディアンデーツに含まれると公知の化合物(EGCG以外)を選定し、それらが活性化合物であるかを確認するためにTie2活性測定実験を行った。
【0028】
活性の測定方法は実施例2と同様である。各化合物の細胞刺激時間は60分、濃度は200μMであり、陽性コントロールにはEGCG(25μM)を用いた。
各化合物のリン酸化Tie2/総Tie2を示したグラフとウェスタンブロッティングの結果を図3図4に示す。
【0029】
図3図4において、EGCGは他の化合物よりも低い25μMでも高い活性を示している。その他の化合物では、ミリセチン、モリン、ECG、GCGも高い活性化力を有することが分かる。一方でカテキン類であるエピカテキンには活性化力が見られなかった。

[実施例4]インディアンデーツ抽出物からの活性成分の単離
【0030】
さらに発明者らは、インディアンデーツ抽出物から、活性成分が単離できないかを試みた。試験方法は以下の通りである。
インディアンデーツの抽出物(11.9g)を、水に懸濁し、酢酸エチルと1-ブタノールで順次抽出して、1-ブタノール層(4.20g)を得た。これを、Diaion HP-20(三菱ケミカル株式会社)に吸着させ、水で洗浄後に50%メタノール水溶液により溶出して2.08gの分画物を得た。この分画物をCosmosil 75C18-OPN(ナカライテスク)を用いた逆相クロマトグラフィーに添加し、10,20,25,30,50,90体積%メタノール水溶液で溶出して、20体積%メタノール水溶液溶出物(54.2mg)を得た。この溶出物(48.0mg)をSephadexLH-20に吸着させ、50体積%メタノール水溶液(画分2-3-1)、メタノール(画分2-3-2)、70体積%アセトン水溶液で順次溶出して、70体積%アセトン水溶液溶出画分(画分2-3-3、14.6mg)を得た。
これらの分画に対して実施例2で行っているTie2活性測定試験を行った。
さらに、NMRスペクトルの測定とLC-MS分析を行った。
【0031】
1.NMRスペクトルの測定
サンプルをメタノールdに溶解し、Bruker AMX500(ブルカーダルトニクス株式会社)によりH-NMRスペクトルを測定した。内部基準としてメタノールdのピーク(3.3ppm)を用いた。
【0032】
2.LC-MS分析
LC-MS分析にはWaters Aquity UPLCsystem(日本ウォーターズ株式会社)とLCT Premier XE(日本ウォーターズ株式会社)を組み合わせて用いた。サンプルはメタノール溶液と調整して分析に用いた。LCによる分離はカラムにINERTSIL HILIC(GLサイエンス株式会社)を用い、移動相には0.1%ギ酸含有アセトニトリル(溶媒A)、0.1%ギ酸、3%水含有メタノール(溶媒B)を8/2~6/4まで60分間グラジエント条件で用いて、0.4mL/分で流した。検出はMS及びUV吸収(275nm)により行った。MSによる検出は陽イオンモードで行い、得られたTIC(tоtal chrоmatgraphy)から、プロアントシアニジンに該当する質量のピークを抽出した。
結果を図5~7に示す。
【0033】
図5から、SephadexLH-20での分画後を比較すると、70質量%アセトン水溶液溶出画分(分画2-3-3)が最も高いTie2リン酸化活性を示した。
図6よりプロアントシアニジンに特徴的なNMRスペクトルが観測された。また、図7の通り、LC-MS分析において、4量体の分子量に相当するピークが観測された。
これらのことから、活性成分は下記一般式(1)の構造式で示される、プロアントシアニジン4量体である。
[化1]
・・・(1)
[実施例5]プロアントシアニジン4量体のTie2リン酸化活性
【0034】
発明者らは、実施例4で単離されたプロアントシアニジン4量体がTie2活性化能を有するかを測定した。測定方法は実施例2と同様である。結果を図8に示す。
【0035】
図8の通り、プロアントシアニジン4量体は高いTie2活性化能を示した。
【0036】
処方例1 ひざ関節痛改善組成物
成分 配合量(質量%)
インディアンデーツ粉末 6.7
コラーゲンペプチド 83.3
デキストリン 10.0
【0037】
処方例2 睡眠・ストレス改善組成物
成分 配合量(質量%)
インディアンデーツ粉末 78.2
ラフマエキス粉末 10.9
GABA 10.9
【0038】
処方例3 認知機能改善組成物
成分 配合量(質量%)
インディアンデーツ粉末 18.6
DHA・EPA 44.3
乳化剤 4.1
ゼラチン 24.3
グリセリン 8.7
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8