(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024075081
(43)【公開日】2024-06-03
(54)【発明の名称】給紙装置、画像処理システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
B65H 3/48 20060101AFI20240527BHJP
B65H 43/04 20060101ALI20240527BHJP
B65H 3/12 20060101ALI20240527BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20240527BHJP
【FI】
B65H3/48 320Z
B65H43/04
B65H3/12 310Z
G03G15/00 405
G03G15/00 480
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022186258
(22)【出願日】2022-11-22
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】玉手 知紀
【テーマコード(参考)】
2H072
3F048
3F343
【Fターム(参考)】
2H072AA09
2H072AA12
2H072AA22
2H072BA05
2H072HB05
3F048AA01
3F048AB01
3F048BA11
3F048BB02
3F048CB04
3F048CB06
3F048CB12
3F048CB13
3F048DA01
3F048DB02
3F048DC14
3F048EB13
3F048EB22
3F343FA02
3F343FB01
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3F343FC29
3F343GA01
3F343GB01
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3F343HA17
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3F343JB05
3F343JB19
3F343JD28
3F343JD33
3F343JD34
3F343KB03
3F343LA02
3F343LC27
3F343MA02
3F343MA09
3F343MA26
3F343MA55
3F343MB04
3F343MB09
3F343MC13
(57)【要約】
【課題】用紙媒体の不良部分の矯正を行うことを可能にする。
【解決手段】本発明の給紙装置は、用紙媒体を載置する載置台と、載置台に載置されている用紙媒体を給紙する給紙手段と、載置台に載置されている用紙媒体の用紙状態を検知する検知手段と、エアを吐出するエア吐出手段と、エア吐出手段のエア吐出制御を行う制御手段と、を有し、制御手段は、検知手段により検知された用紙状態に応じて、載置台に載置されている用紙媒体の用紙状態の矯正を行うエア吐出制御を行うことを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙媒体を載置する載置台と、
前記載置台に載置されている前記用紙媒体を給紙する給紙手段と、
前記載置台に載置されている前記用紙媒体の用紙状態を検知する検知手段と、
エアを吐出するエア吐出手段と、
前記エア吐出手段のエア吐出制御を行う制御手段と、
を有し、
前記制御手段は、前記検知手段により検知された前記用紙状態に応じて、前記載置台に載置されている前記用紙媒体の用紙状態の矯正を行うエア吐出制御を行う、
給紙装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記検知手段により検知された前記用紙状態の大きさを示す値と所定の閾値との大小関係に基づき前記エアの風量または風向の段階的な変更を行う、
請求項1に記載の給紙装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記検知手段により検知された前記用紙状態の大きさを示す値が第1の閾値以上である場合に、前記載置台に載置されている前記用紙媒体へ前記エア吐出手段からエアを吐出する、
請求項2に記載の給紙装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記検知手段により検知された前記用紙状態の大きさを示す値が第2閾値以上である場合、または前記載置台に載置されている前記用紙媒体への前記エアの吐出により第1の閾値未満に至らなかった場合に、操作部に前記用紙媒体の給紙継続の可否の入力を要求する、
請求項2に記載の給紙装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記閾値の変更を受け付ける変更手段を有する、
請求項2に記載の給紙装置。
【請求項6】
前記給紙手段は、前記載置台に載置されている前記用紙媒体を分離する分離手段または前記載置台に載置されている前記用紙媒体を吸着する吸着手段を有し、
前記制御手段は、前記載置台に載置されている前記用紙媒体の分離または吸着の際に、前記用紙媒体に第2のエア吐出制御を行う、
請求項1に記載の給紙装置。
【請求項7】
長尺紙の用紙媒体を給紙する給紙拡張部を有する、
請求項1に記載の給紙装置。
【請求項8】
前記用紙状態は、前記用紙媒体がカールである状態を含み、
前記制御手段は、前記用紙媒体のカールの大きさに応じて前記エア吐出手段が吐出するエアの風量または風向を変更する、
請求項1乃至7のうちの何れか一項に記載の給紙装置。
【請求項9】
用紙媒体を載置する載置台と、
前記載置台に載置されている前記用紙媒体を給紙する給紙手段と、
前記載置台に載置されている前記用紙媒体の用紙状態を検知する検知手段と、
エアを吐出するエア吐出手段と、
前記エア吐出手段のエア吐出制御を行う制御手段と、
を有し、
前記制御手段は、前記検知手段により検知された前記用紙状態に応じて、前記載置台に載置されている前記用紙媒体の用紙状態の矯正を行うエア吐出制御を行う、
給紙装置と、
前記給紙装置から給紙を行う画像形成装置と、
を有する画像処理システム。
【請求項10】
給紙装置が給紙を行う方法であって、
前記給紙装置が載置台に載置されている用紙媒体の用紙状態を検知するステップと、
前記給紙装置が前記用紙状態に応じて前記載置台に載置されている前記用紙媒体の前記用紙状態の矯正を行うエア吐出制御を行うステップと、
前記給紙装置が前記用紙状態の矯正後の前記用紙媒体を給紙するステップと、
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給紙装置、画像処理システムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置の給紙装置において、用紙媒体から用紙を吸着して給紙する方式のものがある。この方式の給紙装置では、浮上した用紙を吸着する際に、その用紙にエアを送り、用紙の姿勢を安定させる。
【0003】
特許文献1には、カールの生じている用紙の浮上姿勢をエアの風量調整で安定させる給紙装置が開示されている(特許文献1)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、給紙装置には通常の用紙媒体よりも長辺が長い「長尺紙」と呼ばれる用紙媒体がセットされる機種もある。長尺紙は通常の用紙媒体よりも長辺が長く且つ重量が重い。長尺紙にカールなどの不良があると浮上中の姿勢を安定させることが困難になり、給紙率が低下するという問題があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、用紙媒体の不良部分の矯正を行うことが可能な給紙装置、画像処理システムおよび方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の給紙装置は、用紙媒体を載置する載置台と、前記載置台に載置されている前記用紙媒体を給紙する給紙手段と、前記載置台に載置されている前記用紙媒体の用紙状態を検知する検知手段と、エアを吐出するエア吐出手段と、前記エア吐出手段のエア吐出制御を行う制御手段と、を有し、前記制御手段は、前記検知手段により検知された前記用紙状態に応じて、前記載置台に載置されている前記用紙媒体の用紙状態の矯正を行うエア吐出制御を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、用紙媒体の不良部分の矯正を行うことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1の実施の形態にかかる給紙装置の構成の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、給紙装置1の内部構成の一部を平面視した図である。
【
図3】
図3は、エア吐出手段の構成を説明する図である。
【
図4】
図4は、検知手段の検知結果により不良状態を検出する検出方法の説明図である。
【
図5】
図5は、エア吐出手段が用紙媒体の不良解消を行う時の動作説明図である。
【
図6】
図6は、給紙装置1を含む制御システム全体の構成の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、給紙制御フローの一例を示す図である。
【
図9】
図9は、画像形成装置から給紙装置の閾値の設定を変更する場合の概要図である。
【
図10】
図10は、画像処理システムの全体構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に添付図面を参照して、給紙装置、画像処理システムおよび方法の実施の形態を詳細に説明する。
【0010】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態にかかる給紙装置の構成の一例を示す図である。
図1(a)は、給紙装置1の平面視、正面視、および側面視の向きを示した図である。ここでは給紙装置1の正面側から見た方向を正面視としている。また、Z矢印は、給紙装置1の上面部側を指すものとする。
【0011】
図1(b)は給紙装置1の内部構成の側面視である。給紙装置1は、用紙載置台10、エア吐出手段20、分離手段30、および吸着搬送手段40を備えている。用紙載置台10は「載置台」の一例である。分離手段30および吸着搬送手段40は「給紙手段」の一例である。なお、「給紙手段」は、載置台に載置されている用紙媒体1000を給紙する手段の総称であり、分離手段30および吸着搬送手段40の構成に限るものではない。これに他の手段が含まれていてもよい。また、分離手段30および吸着搬送手段40は、他の給紙装置で必須なければ適宜選択的に設けてもよい。また、吸着搬送手段40は「吸着手段」の一例であり、搬送機能を含めているが、給紙装置の構成に応じてこの機能は含めても含めなくてもよい。
【0012】
給紙装置1は、さらにセンサ群からなる検知手段を備えている。側面検知手段51、紙面位置検知手段52、および角部検知手段53、54は、「検知手段」の一例である。このうちの角部検知手段53、54は「第1検知手段」の一例であり、側面検知手段51または紙面位置検知手段52が「第2検知手段」の一例である。なお、検知手段は、これらに限定されない。各部の状態を検知する検知手段を適宜備えている。
【0013】
用紙載置台10は、用紙媒体1000を載置可能な載置台で、モータなどの駆動源により上下に昇降動作する。
【0014】
エア吐出手段20は、用紙媒体1000の矯正などのためにエアを吐出する。エアは、主に空気を想定しているが、用紙媒体1000の矯正に適する気体を適宜使用してよい。
【0015】
エア吐出手段20は、
図1(b)において手前側と奥側、つまり用紙媒体1000を挟む2箇所に備えられている。
図1(b)の側面視の図では手前側のエア吐出手段20により奥側のエア吐出手段20は隠れており図示されていない。
【0016】
また、用紙媒体1000には、A4等の定型のサイズである通常の用紙媒体の他に、通常よりも長辺が長い「長尺紙」と呼ばれる用紙媒体が使用される場合がある。給紙装置1は、給紙装置拡張部1-1を備え、長尺紙の載置も可能にしている。
【0017】
給紙装置拡張部1-1にもエア吐出手段20と同等の機能を有するエア吐出手段20-1が備えられている。エア吐出手段20-1も
図1(b)において手前側と奥側、つまり用紙媒体1000を挟む2箇所に備えられている。
【0018】
各エア吐出手段20、20-1は、共に用紙載置台10に備えられ、用紙載置台10と一体に昇降動作をする。この例では各エア吐出手段20、20-1は、共に用紙載置台10の側面部に備えられている。従って本実施の形態の構成では最大4箇所から用紙載置台10の用紙媒体1000にエアを吐出することが可能である。なお、エア吐出手段の数は一例であり、これに限定するものではない。
【0019】
吸着搬送手段40は、用紙を吸着して搬送する。
図1(b)において、吸着搬送手段40は給紙装置1の上面部側に備えられている。吸着搬送手段40は、用紙載置台10が昇降動作して停止する規定位置の用紙媒体1000から、用紙を吸着して搬送する。一例として、吸着搬送手段40は吸着ベルト41を有し、規定位置の用紙媒体1000から分離された用紙を吸着ベルト41の表面に吸引装置42で負圧をかけて吸着する。そして吸着搬送手段40は、吸着ベルト41に吸着した用紙を吸着ベルト41の回転走行により、その用紙を正面部11の給紙ローラ60を有する給紙口61に受け渡す。
【0020】
分離手段30は、用紙媒体1000から用紙を分離する。
図1(b)において、分離手段30は、給紙装置1の正面部11に備えられており、用紙載置台10の昇降動作で既定位置に達した用紙媒体1000から用紙を分離する。
【0021】
側面検知手段51は、用紙媒体1000の側面上部を検知する。
図1(b)において、側面検知手段51は給紙装置1の正面部11に備えられている。用紙載置台10の昇降動作で側面検知手段51が用紙媒体1000の側面を検知することにより側面上部が検知される。
【0022】
紙面位置検知手段52は、用紙載置台10の用紙媒体1000の上面の紙面位置を検知する。
図1(b)において、紙面位置検知手段52は給紙装置1の上面部に備えられており、上面部から用紙媒体1000の上面の紙面位置を検知する。なお、紙面位置検知手段52が検知する位置は一例であり、より紙面位置を検知しやすい位置であれば、他の一部を検知してもよい。
【0023】
角部検知手段53、54は、用紙媒体1000に不良があることを検知するための検知手段である。一例として用紙媒体1000の角部に上向きカールの不良が生じていることを検出するための配置となっている。不良は用紙媒体1000の「用紙状態」の一つに含まれる。角部検知手段53、54の詳しい説明については後述する。
【0024】
このような構成により、給紙装置1は、用紙媒体1000が用紙載置台10上にセットされた後、用紙載置台10の昇降動作、一例として上昇により、側面検知手段51と紙面位置検知手段52の検知情報から用紙媒体1000の側面上部を検知し、用紙載置台10を規定位置で停止する。給紙装置1は、用紙載置台10を規定位置で停止した後、用紙載置台10にセットされている用紙媒体1000の用紙状態を角部検知手段53、54の検知結果などから検出して、用紙媒体1000に用紙状態の不良箇所がある場合には不良そのものを矯正を行う不良解消の制御を行う。その後、給紙装置1は、用紙媒体1000から用紙を分離し、分離した用紙を吸着搬送手段40によって吸着搬送する。分離はエアの分離制御であってよい。
【0025】
本実施の形態では、規定位置で停止した後に用紙媒体1000の不良そのものの矯正を行うが、不良そのものの矯正は、用紙媒体1000の規定位置で検知後~給紙手段による給紙が始まる分離制御前までに行えばよい。
【0026】
(制御機構)
続いて、
図2~
図5参照し、給紙装置1における用紙媒体1000の不良解消の制御について詳しく説明する。なお、給紙装置1の構成は、例として挙げたものであり、給紙装置の構成をこれに限定するものではない。用紙媒体を載置する用紙載置台と、用紙媒体の用紙状態を検知する検知手段と、用紙媒体にエアを吐出するエア吐出手段とを備える構成であれば、異なる構成であってもよい。また、給紙搬送手段または分離手段などは他の方式の給紙装置であっても同様に適用が可能である。
【0027】
図2は、給紙装置1の内部構成の一部を平面視した図である。説明を分かり易くするために、用紙媒体1000の不良解消の制御に係る主な構成を抜き出したものを模式的に示している。
図3は、エア吐出手段20、20-1の構成を説明する図である。
図4は、検知手段の検知結果により不良状態を検出する検出方法の説明図である。
図5は、エア吐出手段20、20-1が用紙媒体1000の不良解消を行う時の動作説明図である。
【0028】
図2の平面視の図に示されるように、エア吐出手段20は、用紙媒体1000の一端側において用紙媒体1000を挟む2箇所に用紙載置台10の側面部に設けられ、用紙載置台10の用紙媒体1000に対してノズル23からエアを吐出することができる。また、エア吐出手段20-1は用紙媒体1000の他端側、この例では給紙装置拡張部1-1側において用紙媒体1000を挟む2箇所に用紙載置台10の側面部に設けられ、用紙載置台10の用紙媒体1000に対してノズル23からエアを吐出することができる。このように本実施の形態ではエア吐出手段は計4箇所に備えられ、用紙媒体1000が長尺紙であっても、その長手方向の範囲をエアの吹き付けが可能になっている。
【0029】
また、平面視した場合の側面検知手段51、紙面位置検知手段52、および角部検知手段53、54の各配置が示されている。検知手段については後に
図4と共に参照して説明する。
【0030】
図3には、エア吐出手段20の一つが側面視されている。
図3に示されるようにエア吐出手段20は、ブロワ21、通気口22、およびノズル23などにより構成されている。
【0031】
ブロワ21は、エアの風量の段階的な制御が可能である。通気口22は、発生させたエアを外部に送る通気口である。ノズル23は、通気口22から送られたエアを対象部に吹き付ける。
【0032】
本実施の形態では、ノズル23は
図3に矢印で示すように上下および左右方向へ駆動可能に構成されており、ソレノイドまたはモータなどの駆動源24(
図5参照)によりノズル23が駆動されて、エアの風向が段階的に変更される。なお、エア吐出手段20一つにつき一つのノズル23を備えてもよいし、複数のノズル23を備えてもよい。また、風向の変更手段は、その他、任意の方式を適宜採用してよい。
【0033】
図2および
図4には一例として用紙媒体1000の角部に上向きカールPcの不良が生じているものを検知する検知手段の配置が示されている。用紙媒体1000の不良は、角部の上向きカールPcの他にも、角部の下向きカール、用紙媒体1000全体が上に凸となるカール、および用紙媒体1000全体が下に凸となるカールなどがある。これらの他の種類の不良状態も検出することは可能であるが、検知手段の配置や数を変更する必要がる場合には適宜変更してよい。検知手段は、狙いとする不良を検出できるような配置に適宜変更すればよい。
【0034】
側面検知手段51は用紙媒体1000の側面上部を検知する。
図4に示されているように側面検知手段51は用紙載置台10の上昇により側面上部1001を検知する。側面上部1001の検知により、用紙媒体1000が規定の位置に達したことを検知する。
【0035】
具体的に、側面検知手段51は、光学的な閾値をもって検知する光学センサであり、用紙媒体1000の外周の4つの端部の側面のうち、給紙装置1の正面部11側に位置する端部の側面の側面上部1001を検知する。検知対象とする側面上部1001の位置は、
図2に示されているように端部のエッジの中点付近に合わせている。
【0036】
以下において、用紙媒体1000の外周の4つの端部の内、正面部11側に位置する端部のことを第1端部とし、第1端部とは反対側の端部つまり給紙装置拡張部1-1側の端部ことを第2端部とする。
【0037】
紙面位置検知手段52は、用紙媒体1000の紙面高さを検知する。
図4に示される構成において、紙面位置検知手段52は、光学的な閾値をもって検知する光学センサであり、用紙媒体1000の紙面高さが所定の位置に到達したことを検知する。
【0038】
角部検知手段53、54は、それぞれ、用紙媒体1000の第1端部の2つの角部の上向きカールPcを検知する。
図4に示される構成において、角部検知手段53、54は、光学的な閾値をもって検知する光学センサであり、それぞれ、用紙媒体1000に対して対向位置にある角部の紙面高さを検知することで上向きカールPcを検知する。
【0039】
これら検知手段の検知結果から、一例として角部の上向きカールPcを次のようにして検出することができる。
【0040】
給紙装置1は、用紙載置台10上の用紙媒体1000が規定位置の到達を検知すると、その用紙媒体1000に対し、紙面位置検知手段52による紙面高さの検知結果と、その紙面高さでの角部検知手段53、54による角部の紙面高さの検知結果とを取得する。
【0041】
給紙装置1は、紙面位置検知手段52により得られる検知結果と角部検知手段53、54から得られる各角部の検知結果とを比較し、紙面の状態に差異がある場合に、用紙端が正常でない、角部などにカール有りと判定する。
【0042】
図4には、用紙媒体1000の第1端部にフェイスカールと呼ばれる上向きのカールPcが生じている。少しでもカールがあると、紙面位置検知手段52の位置における用紙媒体1000そのものの紙面高さまでの検知量と、角部検知手段53、54の位置における検知量とにカールPcの分の差異を生じる。このように差異が検出された場合にカール有となる。この差異の大きさが「用紙状態の大きさを示す値」に対応する。
【0043】
また、本実施の形態では、差異の大きさに対して一定の閾値を設けている。給紙装置1は用紙状態の大きさを示す値と閾値との大小関係に基づきエアの風量または風向の段階的な変更を行う。
【0044】
図4には閾値の一例として、2つの閾値A、Bを設けた例を示している。給紙装置1は、基準となる紙面高さの位置からカールPcの高さが閾値Aを超えない場合に少ない矯正でよいと判定し、紙面高さの位置からカールPcの高さが閾値Aを超え閾値Bを超えない場合に大きな矯正が必要であるものと判定する。つまり、給紙装置1は、差異の大きさが閾値A未満の場合に小さい風量に変更して矯正し、閾値A以上且つ閾値B未満の場合に大きな風量に変更して矯正する。
【0045】
図4に示される例においてカールPcの差異は閾値Aと閾値Bの間と判定され、小さい風量で矯正される。
【0046】
給紙装置1は、差異の大きさに応じた矯正の風量および風向の調整量を設定情報などに設定しておくことができる。一例としては、「通常」と、「閾値A」と、「閾値B」のケースのそれぞれの調整量を設定する。ここで「通常」とは、風量および風向を変更する必要がない通常の設定である。後述する第2吐出制御などで使用される。「閾値A」は差異が閾値A未満のケースで、「閾値B」は差異が閾値A以上閾値B未満のケースである。このようにすることにより、給紙装置1は、検出した差異情報を予め設けられている所定の閾値Aおよび閾値Bと比較して設定情報に基づいてエア吐出手段20のエアの風量および風向を変更する。設定情報の具体的な設定例は、
図7に示しているため後述する。
【0047】
なお、差異が閾値B以上の場合にはカール量が過剰であるため、エア吐出制御での矯正に限界がある。この場合には、例えばユーザに通知して別処理などに移行するようにしてもよい。
【0048】
なお、使用する検知手段は、センサ等による光学的検出に限らず、他の手段でもよい。また、閾値ではなく、他の数量的手段によって判定を行ってもよい。
【0049】
エア吐出手段20は、用紙媒体1000の角部のカールPcを解消する場合、
図5に示されるように規定位置に達した分離制御前の用紙媒体1000に対して、
図5(a)の状態から
図5(b)の状態にノズル23の風向を変更し、設定された風量で角部のカールPcにエアを吹き付ける。このようにエア吐出手段20が用紙媒体1000の角部のカールPcに設定された風量でエアを吹き付けることによりカールPcの矯正を行い、用紙媒体1000の不良状態を分離前に解消する。
【0050】
なお、各エア吐出手段20は、2組共にエア吐出制御が行われてもよいし、個別にエア吐出制御が行われてもよい。また、片方の角部のみにカールPcが検出された場合に、その角部に対応するエア吐出手段20だけ風量等を変更してエア吐出を行うようにしてもよい。
【0051】
また、各エア吐出手段20と各エア吐出手段20-1は4組共にエア吐出制御が行われてもよいし、個別にエア吐出制御が行われてもよい。エア吐出手段20-1はエア吐出手段20と同様の構成であるため、エア吐出手段20-1についての説明は省略する。
【0052】
(給紙装置の制御システム)
図6は、給紙装置1を含む制御システム全体の構成の一例を示す図である。
図6に示す給紙装置1は給紙制御部90を備える。画像形成装置2は給紙制御部90と通信し、給紙装置1にセットされている用紙媒体1000を給紙する。
【0053】
一例として、画像形成装置2が給紙設定を給紙装置1に送信すると、給紙制御部90が給紙設定に含まれる用紙媒体1000を対象に給紙動作を行い、その用紙が給紙装置1から給紙される。給紙設定には、画像形成装置2が指定した用紙情報などが含まれている。
【0054】
給紙装置1側では給紙設定に基づいて給紙動作を行う。例えば長尺紙が指定されている場合、長尺紙の用紙昇降台から給紙を行う。
【0055】
また、給紙制御部90は、画像形成装置2に通知なども行う。
図6に示される一例では、給紙制御部90は、給紙装置1側で風量変更があると画像形成装置2に風量変更の情報を通知する。また、給紙制御部90は、画像形成装置2に媒体状態情報と給紙可否判定とを通知する。
【0056】
媒体状態情報は、給紙設定された用紙媒体1000の状態を示す情報である。例えば用紙媒体の再セットを示す情報とカールなどの不良状態を示す情報とがある。また、給紙可否判定は、不良状態が解消されない場合などにおいて給紙継続の可否をユーザに判定させる通知情報などである。このような通知情報は画像形成装置2がパネル3に表示してユーザ操作を受け付ける。画像形成装置2との通信については制御フロー図の説明において詳しく説明する。
【0057】
給紙制御部90は、一例としてCPU(Central Processing Unit)91およびメモリ92を含むコンピュータである。メモリ92は、ROM(Read Only Memory)またはRAM(Random Access Memory)であり、給紙制御などのプログラムとデータを記憶する。給紙制御部90は、CPU91がメモリ92のプログラムを実行することにより、給紙制御および不良矯正制御などの機能を発揮して給紙および不良矯正の動作を実施する。
【0058】
図6に示されるエア制御部911、搬送制御部912、分離制御部913、および昇降制御部914は、給紙制御を行う機能部の一例である。なお、給紙制御を行う機能部はこれらに限定されるものではない。給紙制御を行う機能に関係するものであれば適宜設けてよい。また、給紙制御のための各機能部は、プログラムの実行で実現してもよいし、これらの機能部の一部またはすべてをASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の専用回路で設けてもよい。
【0059】
また、
図6に示される検知手段80、エア制御機構81、搬送機構82、分離機構83、および昇降機構84は、それぞれ、検知手段(
図1参照)、エア吐出御手段(
図1参照)、吸着搬送手段40(
図1参照)、分離手段30(
図1参照)、および用紙載置台10(
図1参照)として既に説明したものである。従って、ここでは説明の繰り返しとなるため各機構についての説明は省略する。
【0060】
図6に示される画像形成装置2は、外部機器の一例である。外部機器は、給紙装置1から用紙を給紙する機器のことである。画像形成装置2は、給紙装置1から用紙を給紙して、その用紙に対し画像形成を行うため外部機器である。
【0061】
なお、外部機器と給紙制御部90とは有線でも無線でもどちらで接続されてもよい。また、外部機器は画像形成装置2に限らず、外部から用紙を給紙する機器であれば給紙装置1を組み合わせて使用してよい。
【0062】
パネル3は、ユーザ操作を行うパネルでありモニタを有する。モニタは液晶などの表示ディスプレイなどでよい。パネル3は画像形成装置2に設けられたものでもよいし、画像形成装置2とは別体のものでもよい。パネル3は画像形成装置2と通信可能に接続されているが、給紙装置1と通信可能にしてもよい。
【0063】
(機能の説明)
次に、給紙制御部90の各機能について説明する。エア制御部911は、用紙媒体1000の不良箇所を矯正するためのエア吐出制御を行う。
【0064】
具体的に、エア制御部911は、用紙載置台10にセットされている用紙媒体1000の位置、およびカール量の情報を検知手段の検知結果から検出して、その用紙媒体1000の不良状態に該当する風向および風量を決定し、決定した風向および風量への変更とエア吐出をエア制御機構81に指示する。用紙媒体1000の不良状態に該当する風向および風量の変更は、エア制御部911にて外部機器からの用紙情報とメモリ92の設定情報920とに基づいて行う。
【0065】
エア制御部911は、まず第1に、規定位置に移動した用紙媒体1000の不良箇所にエア吐出制御を行う。第1のエア吐出制御は、用紙媒体1000の分離制御前に行われるエア吐出制御である。すなわち、第1のエア吐出制御は、用紙載置台10にセットされている用紙媒体1000に対して規定位置において予め不良箇所そのものを解消しておくエア吐出制御と言うことができる。
【0066】
第2に、エア制御部911は、用紙媒体1000から用紙の分離制御を行ったときにエア吐出制御を行う。用紙媒体1000から分離されて浮上した用紙を吸着搬送部で吸着する際に、良好な状態で安定して吸着させるために、浮上中の用紙の姿勢をエアの吐出制御により安定させることで良好な状態で吸着をさせる。このエア吐出制御は、「第2のエア吐出制御」に相当する。
【0067】
なお、第2のエア吐出制御においても、エア制御部911が、用紙載置台10にセットされている用紙媒体1000の位置、およびカール量の矯正後の情報を検知手段の検知結果から検出して、その用紙媒体1000の状態に該当する風向および風量を設定情報920に基づいて変更するようにしてもよい。
【0068】
このような給紙装置1の構成であれば、用紙媒体1000の事前の不良箇所そのものの矯正と、用紙の吸着時の姿勢安定化とを、エア制御機構81を兼用して実施することが可能である。なお、エア制御機構81を兼用で使用せずに、第1と第2のそれぞれのエア吐出制御用の個別のエア制御機構を設けるようにしてもよい。
【0069】
搬送制御部912は、用紙載置台10の用紙媒体1000からの用紙の吸着および搬送を搬送機構82に指示する。
【0070】
分離制御部913は、用紙載置台10の用紙媒体1000からの用紙の分離を分離機構83に指示する。
【0071】
昇降制御部914は、昇降機構84を制御して用紙載置台10を上昇または下降させる。例えば、昇降制御部914は、用紙載置台10に用紙媒体1000がセットされたことを検知手段で検知して昇降機構84に用紙載置台10の上昇を指示する。また、昇降制御部914は、用紙載置台10の上昇後、用紙媒体1000の側面位置が規定位置に到達すると、それを検知手段で検知して昇降機構84に用紙載置台10の動作停止を指示する。
【0072】
(設定情報)
図7は、設定情報920の一例を示す図である。
図7(a)は風量設定情報の一例であり、
図7(b)は風向設定情報の一例である。風量設定情報と風向設定情報は、共に、カール量が「通常」と、「閾値A以下」と、「閾値B以下」との3段階に分けられて、それぞれの段階で、最大風量に対して設定する風量のパーセンテージと、紙面に対する風向の向きとが設定されている。また、坪量に応じてエアを吹き付ける設定も変えるようにしている。全くう同じカールの大きさも用紙の重量により矯正に必要な風量等が異なる。このため坪量が大きくなるに連れ、風量は、10%(パーセント)、20%、30%などと大きくなり、紙面に対する風向も、∠(角)10°、∠20°などと角度が増し、対象箇所により強くエアを吹き付ける設定にしている。
【0073】
一例として風向および風量の変更は、一定量のカールが生じていることが確認された場合に、エア吐出手段20から吐出するエアの風量を、本来の吐出の風量に対して10%、20%などと制御量を上げる。また、これに合わせてノズル23の風向を用紙媒体1000のカールPcのある下方向に10度ずつ下げ、給送前の用紙媒体1000のカールPcにエアを一定時間吐出する。一定時間後、再びカールPcの状態を確認し、カールPcが改善されている場合は、エアの風量および風向などの設定を本来の制御量に戻し、通常の給紙動作に移行する。
【0074】
具体的な説明は後述するフロー図でも行うが、カールPcが改善されていない場合は、再度カールPcの矯正を行うか、あるいは、操作部に用紙載置台1の用紙がカール状態にあり不給紙となる可能性があることを通知する。前者の再度の矯正は1度でもよいし、繰り返し行ってもよい。後者の通知は操作部に通知して、給紙継続の要否つまり継続か中断かをユーザ選択により受け付けてから選択された処理に移る。
【0075】
なお、これらカールを矯正するための風量および風向の制御量は、予め用紙種類毎に規定の数値を設定した情報として画像形成装置2の制御部、ないし、給紙装置1の制御部などに格納されており、制御の際に参照可能である。
【0076】
また、設定情報920では、「通常」と、「閾値A」と、「閾値B」との3段階の設定をしているが、設定を3段階に限るものではない。「通常」と「閾値A」などとの2段階としてもよいし、閾値を更に増やして4段階以上にしてもよい。
【0077】
(用紙媒体1000の不良解消を行う給紙制御フロー)
図8は、給紙制御フローの一例を示す図である。画像形成装置2にて普通紙または長尺紙等の給紙設定の条件が設定されるなどして(S100)、給紙装置1が以下の制御フローを実行する。
【0078】
まず、給紙制御部90は、画像形成装置2から給紙条件の用紙情報を取得する(S101)。次に、給紙制御部90は、対象の用紙載置台10を所定の位置まで昇降動作する(S102)。所定の位置は、給紙装置1が用紙載置台10の用紙媒体1000から用紙を分離制御する位置である。給紙制御部90は、センサによる用紙媒体1000の側面位置の検知により、対象の用紙昇降台を所定の位置まで昇降動作する。次に、給紙制御部90は、各種センサにより用紙昇降台上の用紙媒体1000の位置と用紙媒体1000の用紙状態を検出し(S103)、用紙媒体1000のカール有無を判定する(S104)。
【0079】
給紙制御部90は、用紙媒体1000がカール無しの判定の場合(S105:No)、S106に移行し、用紙媒体1000がカール有りの判定の場合(S105:Yes)、S200に移行する。
【0080】
S106からは通常の給紙フローとなる。S200からはカール矯正のフローとなる。ここで、通常の給紙フローとは、前処理のカール矯正を含まない給紙動作のことを指す。
【0081】
給紙制御部90は、S106に移行すると、用紙の矯正は不要と判定し、カール矯正動作を行わずに通常の給紙動作を開始する。給紙制御部90は、通常の給紙動作終了(S107)、つまり吸着搬送手段40により用紙を吸着して画像形成装置2側へ搬送した後、制御フローを終了する。
【0082】
また、給紙制御部90は、S105にてS200に移行した場合には、前処理として用紙矯正を行うために用紙媒体1000のカール量を判定する。本実施の形態において給紙制御部90は、給紙装置1に予め設けられている閾値Aと閾値Bとをそれぞれ基準にしてカール量を判定する(S200)。
【0083】
給紙制御部90は、用紙媒体1000のカール量が閾値Aに対して少ないと判定した場合は(S201:No判定)、S202に移行し、用紙媒体1000のカール量が閾値Aに対して多いと判定した場合は(S201:Yes判定)、S400に移行する。以下において先ずS202からS303の制御フローを説明し、その後にS400からの制御フローを説明する。
【0084】
給紙制御部90は、用紙媒体1000のカール量が閾値Aに対して少ないと判定した場合に、エア吐出手段20の風量および風向の設定を小さな値に変更する(S202)。本実施の形態において給紙制御部90は、設定情報の「閾値A以下」の小さな値と「閾値B以下」の大きな値のうちの「閾値A以下」の値に基づいて小さな値に変更する。そして、給紙制御部90は、カールの矯正のために規定時間エアを吐出する(S203)。
【0085】
次に、給紙制御部90は、用紙媒体1000のカールが解消したかどうかカール有無を再判定する(S204)。給紙制御部90は、用紙媒体1000がカール無しの判定の場合(S205:No)、S106に移行し、用紙媒体1000がカール有りの判定の場合(S205:Yes)、S300に移行する。
【0086】
給紙制御部90は、用紙媒体1000をカール有りと判定した場合、カールを解消できないため給紙不良を起こす「不給紙リスク」有りと判定し(S300)、不給紙リスクが有ることを画像形成装置2に通知してパネル3のモニタに表示させる(S301)。
【0087】
画像形成装置2がパネル3で給紙継続のユーザ操作を受け付けると(S302:Yes判定)、給紙制御部90は、S106に移行し、そのまま給紙を継続する。
【0088】
また、画像形成装置2がパネル3で給紙中断のユーザ操作を受け付けると(S302:No判定)、用紙媒体1000の再セットが必要であると判定し(S303)、給紙装置1の制御フローを終了する。
【0089】
なお、画像形成装置2は、給紙継続か中断かのユーザ選択をパネル3で受け付けて給紙装置1に通知するなどすることで、給紙装置1で給紙継続または中断の処理を行う。
【0090】
次に、S201(Yes判定)のS400からの制御フローについて説明する。給紙制御部90は用紙媒体1000のカール量を閾値A以上と判定した場合に(S201:Yes)、S400の判定を行う。給紙制御部90は、用紙媒体1000のカール量が閾値Bに対して少ないと判定した場合(S400:No判定)、S401に移行し、用紙媒体1000のカール量が閾値B以上と判定した場合(S400:Yes判定)、S300に移行する。
【0091】
給紙制御部90は、用紙媒体1000のカール量が閾値Bに対して少ないと判定した場合、エア吐出手段20の風量および風向の設定を大きな値に変更する(S401)。本実施の形態において給紙制御部90は、設定情報の「閾値B以下」の大きな値に変更する。そして、給紙制御部90は、カールの矯正のために規定時間エアを吐出する(S402)。
【0092】
次に、給紙制御部90は、用紙媒体1000のカールが解消したかどうかカール有無を再判定する(S403)。給紙制御部90は、用紙媒体1000のカール量が閾値Aに対して少ないと判定した場合(S404:No判定)、S106に移行し、用紙媒体1000のカール量が閾値Aに対して多いと判定した場合は(S404:Yes判定)、S300に移行する。
【0093】
以上のように、給紙制御部90は、用紙載置台10にセットされた用紙媒体1000のカール量が閾値Aに対して少なくなるように用紙媒体1000の対象部にエアを突き付ける。エアを吹き付けてもカール量が閾値A以上になる場合は、不給紙リスクをユーザに通知する。また、閾値として、最大の値を閾値Bとし、中間の値を閾値Aとすることで、値が大きい設定することで、エア吐出手段20の風量および風向の設定を、カール量に応じて段階的に変更し、エア吐出時の音量や消費電力を抑えるようにしている。ここで閾値は、閾値Aと閾値Bの2つを使用しているが、2つに限らず3つ以上にしてもよい。
【0094】
(変形例)
画像形成装置2から給紙装置1の閾値の設定を変更できるようにしてもよい。
【0095】
図9は、画像形成装置2から給紙装置1の閾値の設定を変更する場合の概要図である。
図9に示されるように、給紙装置1は画像形成装置2からの閾値の変更を受け付ける変更手段915を有する。閾値はユーザが任意に変更可能であってもよいし、いくつかの閾値から選択させるようにしてもよい。
【0096】
変更手段915は、例えば画像形成装置2に閾値情報を通知し、画像形成装置2から閾値の変更があると、その変更情報に基づいて閾値を変更する。
【0097】
このように変更手段915を備えて、ユーザによる閾値設定を可能にしたことにより、ユーザの利便性が向上する。
【0098】
(画像処理システム全体の構成)
図10は、画像処理システムの全体構成の一例を示す図である。
図10に示される画像処理システムは、画像形成装置2、後処理装置4および給紙装置5を有する。この画像処理システムでは、給紙装置5から給紙した用紙に対し画像形成装置2で画像形成処理を行い、画像形成後の用紙を後処理装置4側に排紙する。
【0099】
画像形成装置2は、画像形成装置2の制御部200により、給紙段から画像形成部201に搬送した用紙に画像形成を行う。
図10に示される例では、画像形成装置2の本体が3つの給紙段200-1、200-2、200-3を備える。また、用紙搬送経路に示す複数のローラは、搬送ローラ等である。
【0100】
画像形成部201は、例えば電子写真方式で用紙に画像を形成する画像形成部である。電子写真方式の場合、画像形成部201は、作像部でCMYK等の各トナー画像を作像し、作像した各トナー画像を搬送ベルトに一次転写し、搬送ベルトの画像を、給紙した用紙に二次転写することで画像を形成するように構成されている。ここでは画像形成部201の一例を示した。このような構成は一例に過ぎず、この限りではない。なお、画像形成部201のその他の構成は、従来方式の採用により適宜実施できるため説明を省略する。
【0101】
画像形成装置2は、画像形成部201にて画像を形成した用紙を定着部および乾燥部を介して後処理装置4側へ出力する。後処理装置4は画像形成装置2から出力された用紙を制御部400により排紙部401に蓄積する。
【0102】
給紙装置5は、画像形成装置2からの給紙設定の条件に基づいて画像形成装置2へ給紙条件の用紙を給紙する。給紙装置5は、通常の用紙媒体1000と、長尺紙の用紙媒体1000とをそれぞれセット可能な給紙段を備える。給紙装置5は、この例では2段の給紙段100-1、100-2を備えている。第1の給紙段100-1は通常の用紙媒体1000がセットされる給紙段である。第2の給紙段100-2は、通常の給紙段の用紙媒体1000のサイズを給紙装置拡張部1-1により長尺紙のサイズにまで拡張することにより、長尺紙のセットが可能になっている。
【0103】
従って、この画像処理システムでは、画像形成装置2は、画像形成装置2の本体に備えられている給紙段200-1、200-2、200-3と、給紙装置5の給紙段100-1、100-2の何れかから、給紙条件の用紙を給紙することができる。また、画像形成装置2は、給紙装置5の給紙段100-1、100-2から給紙する場合、給紙設定の条件に応じて給紙装置5が通常サイズの給紙段100-1または長尺紙の給紙段100-2を選択して、選択した給紙段から給紙動作を行う。
【0104】
なお、
図10に示される画像処理システムでは、画像形成装置2、後処理装置4および給紙装置5を設けているが、画像形成装置2と給紙装置5を少なくとも含む構成であればよい。その他の装置は適宜含めてよい。
【0105】
以上のように、本実施の形態では、給紙装置が第1のエア吐出制御を行うので、用紙媒体1000からの用紙の分離前に用紙媒体1000の不良部分の矯正を行うことができる。この矯正により不良が低減し、より好ましくは解消されれば、良好な姿勢で安定的に吸着されるようになり、給紙不良も低減されるという効果を奏する。
【0106】
本実施の形態は、コンピュータ構成の情報処理装置においてメモリに記憶したプログラムをCPUに実行させて上記機能の一部またはすべてを実現するようにしてもよい。
【0107】
また、プログラムは、ROMに予め組み込んで提供してもよい。また、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供されてもよい。また、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。
【0108】
また、本実施の形態にかかる画像処理装置は、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能およびファクシミリ機能のうち少なくとも2つの機能を有する複合機に適用してもよい。
【0109】
最後に、上述の実施の形態は、一例として提示したものであり、本発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことも可能である。また、実施の形態および実施の形態の変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0110】
本発明の態様は例えば以下の通りである。
<1>
用紙媒体を載置する載置台と、
前記載置台に載置されている前記用紙媒体を給紙する給紙手段と、
前記載置台に載置されている前記用紙媒体の用紙状態を検知する検知手段と、
エアを吐出するエア吐出手段と、
前記エア吐出手段のエア吐出制御を行う制御手段と、
を有し、
前記制御手段は、前記検知手段により検知された前記用紙状態に応じて、前記載置台に載置されている前記用紙媒体の用紙状態の矯正を行うエア吐出制御を行う、
給紙装置。
【0111】
<2>
前記制御手段は、前記検知手段により検知された前記用紙状態の大きさを示す値と所定の閾値との大小関係に基づき前記エアの風量または風向の段階的な変更を行う、
1に記載の給紙装置。
【0112】
<3>
前記制御手段は、前記検知手段により検知された前記用紙状態の大きさを示す値が第1の閾値以上である場合に、前記載置台に載置されている前記用紙媒体へ前記エア吐出手段からエアを吐出する、
1または2に記載の給紙装置。
(効果)特定条件において適切な制御量で矯正制御を可能とすることにより、消費電力を低減できる。
【0113】
<4>
前記制御手段は、前記検知手段により検知された前記用紙状態の大きさを示す値が第2閾値以上である場合、または前記載置台に載置されている前記用紙媒体への前記エアの吐出により第1の閾値未満に至らなかった場合に、操作部に前記用紙媒体の給紙継続の可否の入力を要求する、
1乃至3のうちの何れか一項に記載の給紙装置。
(効果)特定条件において矯正不可能な用紙をユーザに通知することで、不給紙率を低減できる。
【0114】
<5>
前記制御手段は、前記閾値の変更を受け付ける変更手段を有する、
2乃至4のうちの何れか一項に記載の給紙装置。
(効果)任意に閾値を設定可能にすることにより、ユーザ利便性につながる。
【0115】
<6>
前記給紙手段は、前記載置台に載置されている前記用紙媒体を分離する分離手段または前記載置台に載置されている前記用紙媒体を吸着する吸着手段を有し、
前記制御手段は、前記載置台に載置されている前記用紙媒体の分離または吸着の際に、前記用紙媒体に第2のエア吐出制御を行う、
1乃至5のうちの何れか一項に記載の給紙装置。
【0116】
<7>
長尺紙の用紙媒体を拡張する給紙拡張部を有する、
1乃至6のうちの何れか一項に記載の給紙装置。
【0117】
<8>
前記用紙状態は、前記用紙媒体のカールを含み、
前記制御手段は、前記用紙媒体のカールの大きさに応じて前記エア吐出手段が吐出するエアの風量または風向を変更する、
1乃至7のうちの何れか一項に記載の給紙装置。
【0118】
<9>
前記制御手段は、前記載置台に載置されている前記用紙媒体に対して、前記用紙状態そのものの矯正を行うエア吐出制御を行う、
1乃至8のうちの何れか一項に記載の給紙装置。
【0119】
<10>
前記載置台に載置されている前記用紙媒体の端部の2つの角部に対してエアを吐出する少なくとも2つの前記エア吐出手段を有する、
1乃至9のうちの何れか一項に記載の給紙装置。
【0120】
<11>
前記検知手段は、
前記用紙媒体の端部を検知する第1検知手段と、
前記用紙媒体の他の一部を検知する第2検知手段と、
を有し、
前記端部と前記一部との値の差異から前記用紙状態を検知する、
1乃至11のうちの何れか一項に記載の給紙装置。
【0121】
<12>
用紙媒体の端部を検知する第1検知手段と、
前記用紙媒体の紙面位置を検知する第2検知手段と、
前記載置台の側面側に設けられ、前記用紙媒体に対してエアを吐出する前記エア吐出手段と、
を有する1乃至11のうちの何れか一項に記載の給紙装置。
【0122】
<13>
前記載置台から前記用紙媒体を、エアによる分離制御により吸着する吸着手段を有する、
1乃至12のうちの何れか一項に記載の給紙装置。
【0123】
<14>
1乃至11のうちの何れか一項に記載の給紙装置と、
前記給紙装置から給紙を行う画像形成装置と、
を有する画像処理システム。
【0124】
<15>
給紙装置が給紙を行う方法であって、
前記給紙装置が載置台に載置されている用紙媒体の用紙状態を検知するステップと、
前記給紙装置が前記用紙状態に応じて前記載置台に載置されている前記用紙媒体の前記用紙状態の矯正を行うエア吐出制御を行うステップと、
前記給紙装置が前記用紙状態の矯正後の前記用紙媒体を給紙するステップと、
を含む方法。
【符号の説明】
【0125】
1 給紙装置
1-1 給紙装置拡張部
2 画像形成装置
3 パネル
10 用紙載置台
20、20-1 エア吐出手段
30 分離手段
40 吸着搬送手段
51 側面検知手段
52 紙面位置検知手段
53、54 角部検知手段
80 検知手段
81 エア制御機構
82 搬送機構
83 分離機構
84 昇降機構
90 給紙制御部
911 エア制御部
912 搬送制御部
913 分離制御部
914 昇降制御部
920 設定情報
1000 用紙媒体
Pc カール
【先行技術文献】
【特許文献】
【0126】