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特開2024-7520非接触通信機器を有する半導体製造装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024007520
(43)【公開日】2024-01-18
(54)【発明の名称】非接触通信機器を有する半導体製造装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/02 20060101AFI20240111BHJP
   H01L 21/677 20060101ALI20240111BHJP
【FI】
H01L21/02 Z
H01L21/68 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023108817
(22)【出願日】2023-06-30
(31)【優先権主張番号】63/358285
(32)【優先日】2022-07-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519237203
【氏名又は名称】エーエスエム・アイピー・ホールディング・ベー・フェー
(74)【代理人】
【識別番号】100175178
【弁理士】
【氏名又は名称】桑野 敦司
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 晃平
【テーマコード(参考)】
5F131
【Fターム(参考)】
5F131AA02
5F131AA03
5F131AA32
5F131AA33
5F131BA01
5F131BA11
5F131BA17
5F131BA37
5F131BA39
5F131BB02
5F131BB03
5F131CA43
5F131CA47
(57)【要約】
【課題】本開示は容易かつ正確に組み立てることができる半導体製造装置を提供することを目的とする。
【解決手段】第1筐体と、該第1筐体に固定され、該第1筐体から露出した第1非接触通信面を有する第1通信機器と、該第1筐体に固定された第2筐体と、該第2筐体に固定され、該第2筐体から露出した第2非接触通信面を有する第2通信機器と、を備える。該第1非接触通信面と該第2非接触通信面は、接触せずに対向した状態となっている。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1筐体と、
前記第1筐体に固定され、前記第1筐体から露出した第1非接触通信面を有する第1通信機器と、
前記第1筐体に固定された第2筐体と、
前記第2筐体に固定され、前記第2筐体から露出した第2非接触通信面を有する第2通信機器と、を備え、
前記第1非接触通信面と前記第2非接触通信面は接触せずに対向している、半導体製造装置。
【請求項2】
前記第1筐体の中に設けられた第1固定板と、
前記第2筐体の中に設けられた第2固定板と、を備え、
前記第1通信機器は前記第1固定板にねじ止めされ、前記第2通信機器は前記第2固定板にねじ止めされた請求項1に記載の半導体製造装置。
【請求項3】
前記第1通信機器を複数有し、前記第2通信機器を複数有する請求項1に記載の半導体製造装置。
【請求項4】
前記第2通信機器に接続されたセンサを備えた請求項1に記載の半導体製造装置。
【請求項5】
前記センサは、変位センサ、圧力センサ又は光電センサである請求項4に記載の半導体製造装置。
【請求項6】
前記第2通信機器に接続されたLEDを備えた請求項1に記載の半導体製造装置。
【請求項7】
前記第2通信機器に接続されたアクチュエータを備えた請求項1に記載の半導体製造装置。
【請求項8】
前記第1通信機器に接続されたIO-Linkマスタと、
前記第2通信機器に接続されたセンサと、を備えた請求項1に記載の半導体製造装置。
【請求項9】
前記第1筐体の中に設けられモジュールコントローラと、
前記第2筐体の中に設けられたウエハ搬送ロボットと、
前記第2筐体の中に設けられたファンフィルタユニットと、を備えた請求項1に記載の半導体製造装置。
【請求項10】
前記第1筐体の中に設けられたファンフィルタユニットと、
前記第2筐体、ロードロックチャンバ、第1ウエハハンドリングチャンバ及びウエハ搬送ロボットを有するサブアセンブリと、を備えた請求項1に記載の半導体製造装置。
【請求項11】
前記第1筐体の中に設けられたプログラマブルロジックコントローラを備え、
前記第1通信機器は前記プログラマブルロジックコントローラに接続された請求項1に記載の半導体製造装置。
【請求項12】
前記第1筐体と、第1ウエハハンドリングチャンバと、前記第1ウエハハンドリングチャンバの中の第1ウエハ搬送ロボットと、を有する第1サブアセンブリと、
前記第2筐体と、第2ウエハハンドリングチャンバと、前記第2ウエハハンドリングチャンバの中の第2ウエハ搬送ロボットと、を有する第2サブアセンブリと、を備えた請求項1に記載の半導体製造装置。
【請求項13】
前記第1筐体の中に設けられたリモートIOユニットと、
前記第2筐体、ウエハハンドリングチャンバ、及びセンサを有するサブアセンブリと、を備え、
前記第1通信機器は前記リモートIOユニットに接続された請求項1に記載の半導体製造装置。
【請求項14】
前記第1筐体と前記第2筐体はねじ固定された請求項1に記載の半導体製造装置。
【請求項15】
前記第1通信機器と前記第2通信機器は、非接触でデータの授受と電力の供給が可能なように構成され、
前記第1筐体を含む第1サブアセンブリと、前記第2筐体を含む第2サブアセンブリとの間の有線接続が存在しない、請求項1に記載の半導体製造装置。
【請求項16】
前記第1筐体を含む第1サブアセンブリと、前記第2筐体を含む第2サブアセンブリとの間を有線接続する電源配線を有する請求項1に記載の半導体製造装置。
【請求項17】
センサと、
前記センサで得られた情報を非接触で授受する非接触通信機器と、
ウエハ搬送ロボットと、
ウエハ処理チャンバと、を備えた半導体製造装置。
【請求項18】
電気機器を有するボックスと、
ウエハ搬送ロボットとチャンバを有する搬送用モジュールと、を備え、
前記非接触通信機器は、前記ボックスと、前記搬送用モジュールとの間で非接触でデータを授受するように配置された請求項17に記載の半導体製造装置。
【請求項19】
前記ボックスと、前記搬送用モジュールはねじ締め固定された請求項18に記載の半導体製造装置。
【請求項20】
前記電気機器はモジュールコントローラ又はプログラマブルロジックコントローラである請求項18に記載の半導体製造装置。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は非接触通信機器を有する半導体製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、基板の搬送と基板処理を担う半導体製造装置は、構成が複雑であり、全体としてかなり大きい。そのような半導体製造装置は、組み立ての過程で多くの配線接続作業を要する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-211216号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
配線作業数が多いこと自体が生産性の向上を妨げる。さらに、配線作業時に接続ミスが生じるおそれもある。多数の配線作業の中に、高い位置での配線接続又は低い位置での配線接続が含まれると、作業者の作業性が悪い。
【0005】
本開示は、上述のような課題を解決するためになされたもので、組み立てが容易な半導体製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る半導体製造装置は、第1筐体と、該第1筐体に固定され、該第1筐体から露出した第1非接触通信面を有する第1通信機器と、該第1筐体に固定された第2筐体と、該第2筐体に固定され、該第2筐体から露出した第2非接触通信面を有する第2通信機器と、を備え、該第1非接触通信面と該第2非接触通信面は接触せずに対向している。
【発明の効果】
【0007】
半導体製造装置の組み立てを容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】半導体製造装置の構成例を示す図である。
図2】配線接続の一例を示す図である。
図3図3AはELEC BOXとEFEMをドッキングさせる際の配線方法の一例を示す図である。図3B図3Aの第1通信機器とその近傍の平面図である。図3Cは第2通信機器の具体例を示す図である。
図4】第1非接触面と第2非接触面を、非接触且つ近接させた状態を示す図である。
図5】別の例に係るELEC BOXとEFEMの接続方法を示す図である。
図6】非接触の通信機器をIO-Linkシステムに適用した例を示す図である。
図7】別の2つのブロックに非接触の通信機器を設けた例を示す図である。
図8】別の2つのブロックに非接触の通信機器を設けた例を示す図である。
図9】PLCBOXとセンターモジュールの間で非接触の通信を可能とする例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
半導体製造装置について図面を参照して説明する。同じ又は対応する構成要素には同じ符号を付し、説明の繰り返しを省略する場合がある。
【0010】
実施の形態.
図1は半導体製造装置の構成例を示す図である。この半導体製造装置は、ELEC BOX12を備えている。一例によれば、ELEC BOX12にはTransfer Module Controller(TMC)とProcess Module Controller(PMC)などの複数のコントローラ12aが格納されている。TMCは基板搬送系を制御し、PMCは基板処理プロセスを制御する。図1においてELEC BOX12は説明の便宜上太線で囲まれている。このELEC BOX12はEquipment Front End Module (EFEM)14によって支持されて、例えば地面から180cm以上の高さにある。
【0011】
EFEM14は例えばN2-Equipment Front End Module(N2-EFEM)である。EFEM14は、例えば1つの筐体に複数の機器が格納又は固定されて構成されている。EFEM14は例えば基板を搬送する搬送チャンバ14aを備えている。この搬送チャンバ14aとは別に、データ通信及び電力供給のための配線を格納する配線ハウジング14cが提供されている。配線ハウジング14cは、図1の例ではz方向に長く伸びる縦長の箱である。一例によれば、配線ハウジング14cは、上部14bと下部14dを有し、上部14bと下部14dに配線の端部がある。
【0012】
一例によれば、EFEM14は、搬送チャンバ14aの上にファンフィルタユニット(FFU)14eを備える。FFU14eは、搬送チャンバ14aの中に例えばN2ガスを含むガスのダウンフローを生じさせることで、搬送チャンバ14aの中の酸素濃度を低下させるものである。一例によれば、FFU14eから出て搬送チャンバ14aの下部に到達したガスの少なくとも一部を、循環パイプを経由させて、再度FFU14eへ導き、N2ガスを循環させることができる。
【0013】
EFEM14の横には例えばセンターモジュール16が設けられている。一例によれば、センターモジュール16は、ロードロックチャンバ(LLC)16aと、第1ウエハハンドリングチャンバ(WHC)16bを備えている。一例によれば、LLC16aは、EFEM14と第1WHC16bの間にあり、これらにねじ固定されている。一例によれば、よく知られているように、LLC16aは、搬送チャンバ14aと第1WHC16bの間でウエハを移動させる際に利用される。第1WHC16bには、ウエハを搬送するためのウエハ搬送ロボットを格納することができる。
【0014】
一例によればセンターモジュール16は配線ハウジング16cを備える。例えば、配線ハウジング16cと、前述の下部14dは、両者の開口を対向させた状態でねじ固定され得る。
【0015】
一例によれば、センターモジュール16の近傍にプログラマブルロジックボックス(PLC BOX)18が設けられている。PLC BOX18は、センターモジュール16の下部又はセンターモジュール16に囲まれた位置に設けることができる。PLC BOX18によって、プラットフォーム全体のセーフティIOを管理することができる。
【0016】
センターモジュール16の横にリアモジュール20が設けられている。リアモジュール20は、パススルーチャンバ20aと第2WHC20bを備えている。パススルーチャンバ20aは、コントローラからの指令に基づき、第1WHC16bと第2WHC20bの間でウエハを移動することを許可または禁止するものである。第2WHC20bの中にはウエハ搬送ロボットを設けることができる。
【0017】
一例によれば、センターモジュール16の一部である配線ハウジング16dの開口と、リアモジュール20の一部である配線ハウジング20cの開口を対向させた状態で両者を固定する。リアモジュール20の下方またはリアモジュール20に覆われた場所にはユーティリティボックス22が設けられている。ユーティリティボックス22には、例えばリアモジュール20に付いているセンサ、電源、および入出力情報を管理するためのリモートIPユニットを格納することができる。
【0018】
このように、図1の半導体製造装置は、大きく分けて6つのブロックに分けることができる。すなわち、図1の半導体製造装置は、ELEC BOX12、EFEM14、センターモジュール16、PLC BOX18、リアモジュール20及びユーティリティボックス22を備えている。言いかえると、EFEM14、センターモジュール16及びリアモジュール20の3つのモジュールと、ELEC BOX12、PLC BOX18及びユーティリティボックス22の3つのボックスとを備える。3つのモジュールはウエハ処理に利用され、3つのボックスはウエハ処理の制御及び管理に利用されるということができる。図1の例では6つのブロックに大別される半導体製造装置が示されているが、別の例によれば、別のブロック構成を採用することができる。
【0019】
一例によれば、半導体製造装置の組み立ては、上述した6つのブロックを個別に完成又は半完成させることから始めることができる。6つのブロックが少なくとも半完成品となることで、6つのサブアセンブリが得られる。半導体製造装置の製造工場では、この6つのサブアセンブリをドッキングさせて、通電検査を行う。その後、半導体製造装置を、クライアント工場へ搬送しやすいように解体する。一例によれば、半導体製造装置を以下の3つのユニットに解体する。
・ELEC BOX12とEFEM14が一体となった第1ユニット
・センターモジュール16とPLCBOX18が一体となった第2ユニット
・リアモジュール20とユーティリティボックス22が一体となった第3ユニット
【0020】
別の例によれば、半導体製造装置を前述の6つのブロックに解体することもできる。解体された半導体製造装置は、クライアント工場へ搬送される。これは製品の納入である。その後、クライアント工場にて、複数ユニット又は複数ブロックをドッキングさせて、半導体製造装置の通電確認を行い、納品完了となる。
【0021】
したがって、製造工場でも、クライアント工場でも、サブアセンブリ間の配線接続作業が必要になる。様々なデータ通信や電力供給のために多数の配線接続が必要となると、作業者の作業負担が大きく、しかも配線接続ミスが生じやすくなってしまう。本開示における半導体製造装置では、配線接続の少なくとも一部を非接触配線によって実現することで、作業負担を大幅に低減する。
【0022】
図2は、配線接続の一例を示す図である。半導体製造装置の組み立ては、ELEC BOX12をEFEM14に固定する作業を含む。ELEC BOX12の開口12bと、配線ハウジング14cの上部14bに設けられた開口14fが対向するように、ELEC BOX12をEFEM14の上にのせる。
【0023】
図3Aは、ELEC BOX12とEFEM14をドッキングさせる際の配線方法の一例を示す図である。ELEC BOX12には、2つの第1通信機器12A、12Bが設けられている。第1通信機器12A、12Bは、ELEC BOX12の筐体の外には出ず、その筐体のエッジに位置している。第1通信機器12A、12Bは、それぞれ配線12d、12eにつながっている。一例によれば、第1通信機器12A、12Bは、配線12d、12eを通じて、コントローラとデータを授受したり、電力を受けたりする。
【0024】
配線ハウジング14cの上部14bには2つの第2通信機器14A、14Bが設けられている。第2通信機器14A、14Bは、配線ハウジング14cの筐体の外には出ず、その筐体のエッジに位置している。第2通信機器14A、14Bはそれぞれ配線14k、14mにつながっている。一例によれば、第2通信機器14A、14Bは、配線14k、14mを通じて、各機器とデータを授受したり、電力を提供したりする。
【0025】
図3Bは、図3Aの第1通信機器12A、12Bとその近傍の平面図である。一例によれば、第1通信機器12Aは、本体部121と、第1非接触面122と、ねじ止め部123とを備えている。第1非接触面122を他の通信機器の非接触面と近接させることで、2つの通信機器間の非接触通信が可能となる。ねじ止め部123にネジを通して、固定板12rにネジ締めすることで、第1通信機器12Aを固定板12rに固定することができる。同様に、第1通信機器12Bは、本体部124と、第1非接触面125と、ねじ止め部126とを備えている。第1非接触面125を他の通信機器の非接触面と近接させることで、2つの通信機器間の非接触通信が可能となる。ねじ止め部126にネジを通して、固定板12rにネジ締めすることで、第1通信機器12Bを固定板12rに固定することができる。図3Bの例では、2つの第1通信機器12A、12Bが固定板12rにネジ止めされている。この固定板12rは、例えばL字型の板金である。固定板12rをELEC BOX12のどこかに例えばねじ固定することで、ELEC BOX12の中における第1通信機器12A、12Bの位置を固定することができる。
【0026】
図3Cは、第2通信機器14Aの具体例を示す図である。一例によれば、第2通信機器14Aは、本体部141と、第2非接触面142と、ねじ止め部143とを備えている。第2非接触面142を他の通信機器の非接触面と近接させることで、2つの通信機器間の非接触通信が可能となる。ねじ止め部143にネジ15を通して、固定板14rにネジ締めすることで、第2通信機器14Aを固定板14rに固定することができる。一例によれば、第2通信機器14Bは、第2通信機器14Aと同じ構成であり、固定板14rにねじ固定されることができる。固定板14rは、配線ハウジング14cのどこかに例えばねじ固定することで、配線ハウジング14cの中における第2通信機器14A、14Bの位置を固定することができる。
【0027】
図3Aでは、上述したELEC BOX12とEFEM14を固定することが図示されている。この例では、上部14bの四隅にネジ14sをとおし、そのねじをELEC BOX12の筐体に設けたねじ穴12hにねじ締めすることで、ELEC BOX12とEFEM14を固定する。別の位置でのネジ固定を追加することもできる。別の例によればELEC BOX12とEFEM14は別の位置でねじ締め固定されることができる。
【0028】
開口12bから第1通信機器12A、12Bの第1非接触面を露出させ、開口14fから第2通信機器14A、14Bの第2非接触面を露出させていることで、ELEC BOX12とEFEM14をドッキングすると、1つの第1非接触面を1つの第2非接触面に、非接触かつ近接させた状態とすることができる。
【0029】
図4は、第1非接触面と第2非接触面を、非接触且つ近接させた状態を示す図である。より具体的には、前述のELEC BOX12とEFEM14をドッキングした状態における第1通信機器12A、12Bと第2通信機器14A、14Bが示されている。第1非接触面122と第2非接触面142は、接触していないが、例えば数mm程度の距離まで近接している。また、第1非接触面125と第2非接触面145は、接触していないが、例えば数mm程度の距離まで近接している。一例によれば、2つの非接触面の距離を5mm以下とすることができる。これにより、第1通信機器12Aと第2通信機器14Aの間で、データを授受したり、電力を授受したりすることができ、第1通信機器12Bと第2通信機器14Bの間で、データを授受したり、電力を授受したりすることができる。一例によれば、このような非接触の通信機器を備えることで、ELEC BOX12とEFEM14の有線による配線を排除することができる。この場合、ELEC BOX12とEFEM14のドッキング作業自体が、一対の通信機器を近接させる作業を兼ねている。ドッキング作業が終わると、自動的にELEC BOX12とEFEM14が非接触通信機器によって配線された状態となる。
【0030】
図5は、別の例に係るELEC BOX12とEFEM14の接続方法を示す図である。図5の例では、ELEC BOX12とEFEM14のドッキング時に、両者の間に有線接続を提供する。ELEC BOX12の一部として、コントローラ又は電源に接続された配線30、32、34と、これらの端部に設けられたコネクタ30a、32a、34aがある。他方、EFEM14の一部として、コントローラ又は電源に接続された配線40、42、44と、これらの端部に設けられたコネクタ40a、42a、44aがある。ELEC BOX12とEFEM14をねじ締めなどでドッキングさせる作業時に、コネクタ30a、32a、34aをそれぞれコネクタ40a、42a、44aに接続する。図5の例では、ELEC BOX12とEFEM14の間で、非接触の通信又は電力供給と、有線の通信又は電力供給の両方が可能となる。一般的には、非接触通信はデータ通信と、小電力の供給に向いている。他方、有線配線は、比較的電流値の大きい電力供給に利用され得る。例えば、ドッキング対象の2つのブロックの一方に駆動系の機器がある場合、当該駆動系機器に対する電力供給は、有線配線が担う。駆動系機器とは、例えば、ロードロックチャンバの中の昇降機のモータ、WHCの中のウエハ搬送ロボットなどである。しかしながら、非接触通信機器で提供できる電流値が高ければ、有線配線を完全排除し得る。なお、リアクタチャンバと呼ばれるプロセスモジュールでは、ローテーションアーム、サセプタモータ又はゲートバルブを含むが、これらのために個別に電源を確保することができる。
【0031】
上述のとおり、ブロック間のドッキング時に少なくとも2つの非接触通信機器を近接させることで、ブロック間で無線通信を可能とすることができる。これによりブロック間の有線配線を無くしたり減らしたりすることができる。例えば、少なくとも、電力供給以外のデータ通信用途の有線配線は、すべて非接触の通信機器に置き換えることができる。この考え方は、特定の2つのブロックだけでなく、半導体製造装置のすべてのブロックに応用可能である。やや抽象的に表現すると、
1.第1筐体から第1非接触通信面を露出させつつ第1筐体に第1通信機器を固定し、第2筐体から第2非接触通信面を露出させつつ第2筐体に第2通信機器を固定し、
2.第1非接触通信面と前記第2非接触通信面は接触せずに対向させつつ第1筐体を第2筐体に固定する、
ことで有線配線を無くしたり、減らしたりすることができる。そして、第1筐体の中の第1固定板と、第2筐体の中の第2固定板に通信機器をねじ止めすることで、通信機器を安定保持できる。一例によれば、2つのブロックの組み立てをねじ止めで行うことで、無線通信可能な程度に2つの非接触面を近接させることができる。言いかえると、2つのブロックを精密に位置合わせしてドッキングする必要はない。一例によれば、ブロック間のドッキングの際に位置決めピンを用いることは、作業性を損なわずに、位置合わせ精度を確保することに貢献する。
【0032】
近接させる対象である第1通信機器と第2通信機器は、非接触でデータの授受と電力の供給が可能なように構成されてよいし、非接触でデータの授受のみが可能なように構成されてもよいし、非接触で電力の供給のみが可能なように構成されてもよい。図3Aの例は2つのサブアセンブリの間の有線接続が存在しない。他方、図5の例では2つのサブアセンブリとの間を有線接続する電源配線がある。サブアセンブリに求められる機能に応じてどちらを採用するか決めることができる。
【0033】
図6は、非接触の通信機器をIO-Linkシステムに適用した例を示す図である。第2通信機器14Aにはハブ52を介して、複数のセンサ53a、53b、53c、53dと複数のアクチュエータ53e、53f、53g、53hが接続されている。複数のセンサは例えば、変位センサ、圧力センサ又は光電センサである。センサに加えて、又はセンサに代えて、第2通信機器14AにLEDを接続することができる。第2通信機器14Aには、任意のIO-Linkデバイスを接続することができる。第1通信機器12AにはIO-Linkマスタ50が接続されている。IO-Linkマスタ50はIO-Linkデバイスの信号を受け取るターミナルユニットである。IO-Linkマスタ50はPLCなどのコントローラ51と接続されている。図6から明らかなように、非接触の通信機器である第1通信機器12Aと第2通信機器14Aを介して、センサ等から得られた情報を取得したり、センサ等にパワーを供給したり、IO-Linkデバイスに設定情報を伝送したり、IOチェックしたりする。このようなI-Linkシステムを半導体製造装置の任意の2つのブロックに設けることができる。
【0034】
半導体製造装置に前述の第1通信機器と第2通信機器を複数提供することで、ドッキング作業全体で150箇所程度の有線配線作業が必要であったものを、例えば10箇所程度まで有線配線を少なくすることができる。
【0035】
図2-6の例では、モジュールコントローラを格納した第1筐体を有するELEC BOX12と、ウエハ搬送ロボットとファンフィルタユニットを格納した第2筐体を有するEFEM14との間で非接触通信を可能とするものであった。しかし、上述した非接触の通信又は電力供給は、半導体製造装置の別の2つのブロックに応用することができる。
【0036】
図7は、別の2つのブロックに非接触の通信機器を設けた例を示す図である。EFEM14にはロードポート13が接続されている。EFEMの配線ハウジング14cの下部14dには、第1通信機器14C、14Dが設けられている。EFEM14は、第1筐体と、その中に設けられたファンフィルタユニットを備えている。センターモジュール16の一部である配線ハウジング16cには第2通信機器16A、16Bが設けられている。第1WHC16bには、例えば2つのウエハ搬送ロボット16s、16rが設けられている。センターモジュール16は、第2筐体、ロードロックチャンバ、第1WHC及びウエハ搬送ロボットを有するサブアセンブリである。EFEM14とセンターモジュール16をドッキングすることで、第1通信機器14Cと第2通信機器16Aが通信可能な程度まで近接し、第1通信機器14Dと第2通信機器16Bが通信可能な程度まで近接する。一例によれば、EFEM14とセンターモジュール16をねじ固定することで、有線の配線接続を要せずに、これらを通信可能な状態とすることができる。別の例によれば、図5を参照しつつ説明したとおり、電力供給のための有線配線を追加することができる。
【0037】
さらに、リアクタチャンバ60に第2通信機器60Aを設け、センターモジュール16に第1通信機器18Dを設け、リアクタチャンバ60をセンターモジュール16にドッキングすることで、2つの通信機器を非接触で通信可能な状態とすることができる。一例によれば、第1通信機器18DはPLC BOX18のPLCに接続される。
【0038】
図8は、別の2つのブロックに非接触の通信機器を設けた例を示す図である。第1サブアセンブリは、第1筐体と、第1WHC16bと、第1WHC16bの中の第1ウエハ搬送ロボット16s、16rと、を有する。第2サブアセンブリは、第2筐体と、第2WHC20bと、第2WHC20bの中の第2ウエハ搬送ロボット20h、20iとを有する。図8には、センターモジュール16に第1通信機器16Cが提供され、パススルーチャンバ20aに第2通信機器20Aが提供されたことが示されている。一例によれば、センターモジュール16とリアモジュール20をねじ固定することで、第1通信機器16Cと第2通信機器20Cが近接し、有線の配線接続を要せずにこれらを通信可能な状態とすることができる。別の例によれば、図5を参照しつつ説明したとおり、電力供給のための有線配線を追加することができる。
【0039】
図9は、PLCBOX18とセンターモジュール16の間で非接触の通信を可能とする例を示す図である。一例によれば、PLC BOX18の中に、PLCに接続されたIO-Linkマスタ18bと、IO-Linkマスタ18bに接続された第1通信機器18A、18B、18Cがある。第1WHC16bの中に、第2通信機器16D、16E、16Fと、これらに接続されたハブ16gと、ハブ16gに接続されたセンサー16t、16v、16uがある。PLC BOX18の筐体をセンターモジュール16の筐体に例えばネジで固定したときに、第1通信機器18A、18B、18Cがそれぞれ第2通信機器16D、16E、16Fに近接し、非接触通信可能な状態となる。
【0040】
ユーティリティボックス22とリアモジュール20についても、これらの両方に通信機器を設け、これらをドッキングすることで2つの通信機器を近接させ、非接触通信可能とすることができる。
【0041】
任意の2つのブロックを、上述のいくつかの非接触通信の方法のいずれかによって、非接触通信可能とすることができる。例えば、任意の電気機器を有するボックスと、ウエハ搬送ロボットとチャンバを有する搬送用モジュールと、の間を2つの通信機器で非接触でデータを授受するようにしてもよい。一例によれば、上述の技術を使って、例えば、第1通信機器にリモートIOユニットを接続してもよい。例えば図1のコントローラ12aがリモートIOユニットに該当する。
【符号の説明】
【0042】
12 ELEC BOX、 12A,12B 第1通信機器、 14 EFEM、 14a 搬送チャンバ、 14c 配線ハウジング、 14e FFU、 14A,14B 第2通信機器、 16 センターモジュール、 16a LLC、 16b 第1WHC、 16c 配線ハウジング、 18 PLC BOX、 20 リアモジュール、 22 ユーティリティボックス

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9