(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024007552
(43)【公開日】2024-01-18
(54)【発明の名称】マスク及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
A41D 13/11 20060101AFI20240111BHJP
【FI】
A41D13/11 D
A41D13/11 E
A41D13/11 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023134893
(22)【出願日】2023-08-22
(62)【分割の表示】P 2022108693の分割
【原出願日】2022-07-05
(71)【出願人】
【識別番号】000115108
【氏名又は名称】ユニ・チャーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100139022
【弁理士】
【氏名又は名称】小野田 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100192463
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 剛規
(74)【代理人】
【識別番号】100169328
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 健治
(72)【発明者】
【氏名】信国 久興
(72)【発明者】
【氏名】古屋 芳織
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 和昌
(72)【発明者】
【氏名】若杉 慶
(72)【発明者】
【氏名】神之田 有紗
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 誠人
【テーマコード(参考)】
3B211
【Fターム(参考)】
3B211CA02
3B211CC06
3B211CD02
3B211CE02
(57)【要約】
【課題】重ね合わされた二つの部材を融着で接合するマスクにおいて、接合箇所で溶融した材料が、重ね合わされた部材の合わせ目からはみ出すことを抑制することと、接合箇所の接合強度を確保することとを両立することが可能なマスクを提供する。
【解決手段】マスク1は、複数の部材で構成され、前記複数の部材のうちの少なくとも第1の部材10a1と第2の部材10a2との接合が融着部10bで形成されたマスク1である。第1の部材10a1は、不織布を含んでいる。融着部10bは、互いに隣り合う、厚さが薄い高圧搾部11と、厚さが厚い低圧搾部12と、を含んでいる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の部材で構成され、前記複数の部材のうちの少なくとも第1の部材と第2の部材との接合が融着部で形成されたマスクであって、前記第1の部材は不織布を含み、
前記融着部は、互いに隣り合う、厚さが薄い高圧搾部と、厚さが厚い低圧搾部と、を含む、
マスク。
【請求項2】
前記融着部において、前記低圧搾部の少なくとも一部は、前記高圧搾部よりも前記融着部の端部の近くに位置する、
請求項1に記載のマスク。
【請求項3】
前記高圧搾部と前記低圧搾部とが隣り合う方向において、前記高圧搾部の幅は、前記低圧搾部の幅よりも狭い、
請求項1又は2に記載のマスク。
【請求項4】
前記高圧搾部と前記低圧搾部とが隣り合う方向において、前記高圧搾部の幅は、前記低圧搾部の幅よりも広い、
請求項1又は2に記載のマスク。
【請求項5】
前記高圧搾部と前記低圧搾部とは隣接している、
請求項1又は2に記載のマスク。
【請求項6】
前記融着部は、前記低圧搾部を挟んで前記高圧搾部と反対の側に、前記低圧搾部と互いに隣り合い、厚さが前記高圧搾部と前記低圧搾部との間である中圧搾部を更に含む、
請求項1又は2に記載のマスク。
【請求項7】
前記融着部には、前記高圧搾部と前記低圧搾部との間に、非圧搾部が配置されている、
請求項1又は2に記載のマスク。
【請求項8】
前記マスクは、マスク本体を備え、
前記マスク本体は、前記複数の部材としての前記マスク本体を区画する第1本体部材及び第2本体部材を含み、
前記第1本体部材及び前記第2本体部材の一方が、前記第1の部材であり、他方が前記第2の部材であり、
前記第1本体部材と前記第2本体部材との接合は、前記融着部で形成されている、
請求項1又は2に記載のマスク。
【請求項9】
前記第1本体部材と前記第2本体部材とがカップ部を構成し、
前記第1本体部材と前記第2本体部材との接合の前記融着部において、前記低圧搾部は、前記マスクが装着者に装着されるときに、前記高圧搾部よりも前記装着者の肌面側に位置する、
請求項8に記載のマスク。
【請求項10】
前記マスクは、マスク本体と、前記マスク本体の横方向の両側部に接合された一対の耳掛け部と、を備え、
前記マスク本体及び前記一対の耳掛け部との一方が、前記第1の部材であり、他方が前記第2の部材であり、
前記マスク本体と前記一対の耳掛け部との接合は、前記融着部で形成されている、
請求項1又は2に記載のマスク。
【請求項11】
前記マスク本体と前記一対の耳掛け部との接合の前記融着部において、前記低圧搾部は、前記マスクが装着者に装着されるときに、高圧搾部よりも、前記装着者の肌面側に位置する、
請求項10に記載のマスク。
【請求項12】
複数の部材で構成され、前記複数の部材のうちの少なくとも第1の部材と第2の部材との接合が融着部で形成されたマスクであって、前記第1の部材は不織布を含む、マスクの製造方法であって、
前記第1の部材用の第1シートと前記第2の部材用の第2シートとの接合を、融着部で形成する形成工程を備え、
前記形成工程は、互いに隣り合う、厚さが薄い高圧搾部と、厚さが厚い低圧搾部と、を含む前記融着部を形成する工程を含む、
マスクの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マスク及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
マスク本体や耳掛け部のような複数の部材から構成され、それら複数の部材のうちの不織布を含む部材と他の部材とを融着で接合するマスクが知られている。例えば、特許文献1に、伸縮性を有するシート材を打ち抜き形成してなる一体型のマスクであり、装着者の口を覆う防護面の中央部に、上下方向へ連続する非伸縮性の縦芯を備えたことを特徴とするマスクが開示されている。このマスクでは、一例として、シート材にプラスチック繊維を含む不織布シートを用い、縦芯を、防護面の中央部をプラスチック繊維の融点以上の温度に加熱し圧縮することにより形成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
マスクにおいて、重ね合わされた、不織布を含む部材と他の部材(不織布を含む部材やフィルム部材など)とを、エネルギーを供給しつつ圧搾する融着で接合する場合(例示:超音波溶着、熱溶着)、不織布の坪量の平面方向のばらつきに起因して、接合箇所で溶融した材料が、接合箇所の端の、重ね合わされた部材の合わせ目からはみ出す事象が生じ得ることが判明した。溶融してはみ出した材料は塊状に固化して突起物のようになり得る。マスクに、そのようなはみ出した材料が存在すると、装着者の肌がそのはみ出した材料に接触してしまい、装着者が違和感を覚えるおそれがある。
【0005】
そうかといって、融着のときの圧搾の程度を低くすると、不織布の坪量の平面方向のばらつきに起因して、接合箇所の接合にばらつきが生じ、接合強度の低い箇所が生じ得ることが判明した。マスクに、そのような接合強度の低い箇所が生じると、マスクの使用時に接合箇所の一部が剥がれるおそれがある。
【0006】
本発明の目的は、重ね合わされた不織布を含む部材と他の部材(不織布を含む部材やフィルム部材など)とを融着で接合するマスクにおいて、接合箇所で溶融した材料が、接合箇所の端の、重ね合わされた部材の合わせ目からはみ出すことを抑制することと、接合箇所の接合強度を確保することとを両立することが可能なマスク及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のマスクは、複数の部材で構成され、前記複数の部材のうちの少なくとも第1の部材と第2の部材との接合が融着部で形成されたマスクであって、前記第1の部材は、不織布を含み、前記融着部は、互いに隣り合う、厚さが薄い高圧搾部と、厚さが厚い低圧搾部と、を含む、マスク、である。
【0008】
本発明のマスクの製造方法は、複数の部材で構成され、前記複数の部材のうちの少なくとも第1の部材と第2の部材との接合が融着部で形成されたマスクであって、前記第1の部材は不織布を含む、マスクの製造方法であって、前記第1の部材用の第1シートと前記第2の部材用の第2シートとの接合を、融着部で形成する形成工程を備え、前記形成工程は、互いに隣り合う、厚さが薄い高圧搾部と、厚さが厚い低圧搾部と、を含む前記融着部を形成する工程を含む、マスクの製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、重ね合わされた不織布を含む部材と他の部材(不織布を含む部材やフィルム部材など)とを融着で接合するマスクにおいて、接合箇所で溶融した材料が、接合箇所の端の、重ね合わされた部材の合わせ目からはみ出すことを抑制することと、接合箇所の接合強度を確保することとを両立することが可能なマスク及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1実施形態に係るマスクの構成例を示す斜視図である。
【
図2】第1実施形態に係るマスクの構成例を示す側面図である。
【
図3】第1実施形態に係るマスクの融着部の構成例及び作用を説明する模式図である。
【
図4】第1実施形態に係るマスクの製造方法を説明する図である。
【
図5】第1実施形態に係るマスクの製造方法の形成工程を説明する模式図である。
【
図6】第1実施形態に係るマスクの融着部及び融着装置の凸部の構成例を説明する模式図である。
【
図7】第1実施形態に係るマスクの融着部及び融着装置の凸部の他の構成例を説明する模式図である。
【
図8】第1実施形態に係るマスクの融着部及び融着装置の凸部の更に他の構成例を説明する模式図である。
【
図9】第1実施形態に係るマスクの融着部及び融着装置の凸部の更に他の構成例を説明する図である。
【
図10】第1実施形態に係るマスクの融着部及び融着装置の凸部の更に他の構成例を説明する模式図である。
【
図11】第2実施形態に係るマスクの構成例を示す側面図である。
【
図12】第3実施形態に係るマスクの構成例を示す背面図である。
【
図13】第3実施形態に係るマスクの装着の状態を説明する図である。
【
図14】第4実施形態に係るマスクの構成例を示す正面図である。
【
図15】第4実施形態に係るマスクの装着の状態を説明する図である。
【
図16】第5実施形態に係るマスクの構成例を示す背面図である。
【
図17】第5実施形態に係るマスクの装着の状態を説明する図である。
【
図18】第6実施形態に係るマスクの構成例を示す正面図である。
【
図19】第6実施形態に係るマスクの装着の状態を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本実施形態は、以下の態様に関する。
[態様1]
複数の部材で構成され、前記複数の部材のうちの少なくとも第1の部材と第2の部材との接合が融着部で形成されたマスクであって、前記第1の部材は不織布を含み、前記融着部は、互いに隣り合う、厚さが薄い高圧搾部と、厚さが厚い低圧搾部と、を含むマスク。
【0012】
本マスクでは、超音波溶着法や熱溶着法などによる融着で、第1の部材(不織布を含む)と第2の部材(例えば、不織布を含む部材、フィルム部材、など)との接合が形成されている。その融着部は、互いに隣り合う、厚さが薄い高圧搾部と、厚さが厚い低圧搾部と、を含んでいる。
ここで、高圧搾部は、形成時には、相対的に強く圧搾されるので、相対的に大きなエネルギーを供給されて、十分に溶融される。そのため、その密度が高く、その厚さが薄くなる。一方、低圧搾部は、形成時には、相対的に弱く圧搾されるので、相対的に小さなエネルギーが供給されて、溶融が抑えられる。そのため、その密度が低く、その厚さがあまり薄くならない。ただし、高圧搾部は、十分に溶融されるため、溶融した材料が高圧搾部の周囲に容易に移動してしまい、融着部の周囲にはみ出てしまうおそれがある。ところが、本マスクでは、高圧搾部と隣り合うように低圧搾部が存在している。そのため、低圧搾部は、溶融が抑えられ、密度が低く抑えられているため、その後、高圧搾部から移動してきた、溶融した材料を低圧搾部の内部に受け入れることができる。それにより、溶融した材料のうち、融着部の周囲にはみ出し得る分の量を低減することができ、溶融した材料が融着部の周囲にはみ出すことを抑制できる。
その際、低圧搾部は、高圧搾部から移動してきた、溶融した材料を内部に受け入れて、高圧搾部に近い比較的高い密度となり、高圧搾部よりも厚さが厚い。このように、比較的密度が高く、厚さが厚い低圧搾部を有することにより、低圧搾部の接合強度、延いては低圧搾部と高圧搾部とを合わせた融着部全体としての接合強度を高めることができる。
このように、本マスクでは、融着部(接合箇所)で溶融した材料が、融着部(接合箇所)の端の、重ね合わされた部材の合わせ目からはみ出すことを抑制することと、融着部(接合箇所)の接合強度を確保することとを両立可能なマスクを提供できる。そして、はみ出した材料が装着者の肌と接触して装着者が違和感を覚えることを抑制できる。
【0013】
[態様2]
前記融着部において、前記低圧搾部の少なくとも一部は、前記高圧搾部よりも前記融着部の端部の近くに位置する、態様1に記載のマスク。
本マスクでは、低圧搾部の少なくとも一部が高圧搾部よりも融着部の端部の近くに位置している。そのため、融着部の形成時に、高圧搾部から移動してきた、溶融した材料を、融着部の周囲にはみ出す前に、融着部の端部の近くに位置する低圧搾部に受け入れることができる。それにより、溶融した材料が融着部の周囲にはみ出すことをより抑制でき、かつ、低圧搾部の接合強度をより確保することができる。
【0014】
[態様3]
前記高圧搾部と前記低圧搾部とが隣り合う方向において、前記高圧搾部の幅は、前記低圧搾部の幅よりも狭い、態様1又は2に記載のマスク。
本マスクでは、高圧搾部の幅が低圧搾部の幅よりも狭いため、融着部の形成時に、高圧搾部から移動する、溶融した材料の量を抑制できる。それにより、高圧搾部から移動してきた、溶融した材料を、融着部の周囲にはみ出す前に、低圧搾部の内部に、より確実に受け入れることができ、かつ、低圧搾部の接合に寄与する部分を広く確保することができる。それにより、溶融した材料が融着部の周囲にはみ出すことをより抑制でき、かつ、低圧搾部の接合強度をより確保することができる。
【0015】
[態様4]
前記高圧搾部と前記低圧搾部とが隣り合う方向において、前記高圧搾部の幅は、前記低圧搾部の幅よりも広い、態様1乃至3のいずれか一項に記載のマスク。
本マスクでは、高圧搾部の幅が低圧搾部の幅よりも広いため、融着部の形成時に、高圧搾部による接合強度を高く維持することができる。それにより、高圧搾部の溶融した材料を低圧搾部に受け入れて、融着部の周囲にはみ出すことを抑制し、かつ、低圧搾部を含めた融着部全体の接合強度を高く維持することができる。
【0016】
[態様5]
前記高圧搾部と前記低圧搾部とは隣接している、態様1乃至4のいずれか一項に記載のマスク。
本マスクでは、高圧搾部と低圧搾部とが隣接している。そのため、融着部の形成時に、高圧搾部から移動してきた、溶融した材料を低圧搾部の内部に直ちに受け入れることができ、かつ、低圧搾部の接合強度をより高めることができる。それにより、溶融した材料が融着部の周囲にはみ出すことをより確実に抑制でき、かつ、低圧搾部の接合強度をより確保することができる。
【0017】
[態様6]
前記融着部は、前記低圧搾部を挟んで前記高圧搾部と反対の側に、前記低圧搾部と互いに隣り合い、厚さが前記高圧搾部と前記低圧搾部との間である中圧搾部を更に含む、態様1乃至5のいずれか一項に記載のマスク。
本マスクでは、融着部には、高圧搾部と低圧搾部との間に中圧搾部が配置されている。中圧搾部は、融着部の形成時に、上下から相対的に中程度の力で挟まれつつ、溶融が低圧搾部よりも進み、密度の増加も低圧搾部よりも進んでいる。そのため、中圧搾部は、高圧搾部から移動してきた、溶融した材料が、低圧搾部に受け入れられた後、更に低圧搾部からはみ出そうになった時、堰となり、その溶融した材料の移動を抑えることができる。それにより、中圧搾部が低圧搾部と共に、溶融した材料が融着部の周囲にはみ出すことをより抑制でき、かつ、低圧搾部と中圧搾部とを合わせた接合強度を高めることができる。その結果、得られたマスクでは、はみ出した材料が装着者の肌と接触して装着者が違和感を覚えることを抑制でき、かつ、融着部の接合が剥がれることを抑制できる。
【0018】
[態様7]
前記融着部には、前記高圧搾部と前記低圧搾部との間に、非圧搾部が配置されている、態様1乃至6のいずれか一項に記載のマスク。
本マスクでは、融着部には、高圧搾部と低圧搾部との間に非圧搾部が配置されている。そのため、非圧搾部は、融着部の形成時に、実質的に上下から押圧されず、溶融されず、密度も増加していない。そのため、高圧搾部から移動してきた、溶融した材料を非圧搾部の内部に受け入れることができる。それにより、非圧搾部が低圧搾部と共に、溶融した材料が融着部の周囲にはみ出すことをより抑制でき、かつ、低圧搾部と非圧搾部とを合わせた接合強度を高めることができる。その結果、得られたマスクでは、はみ出した材料が装着者の肌と接触して装着者が違和感を覚えることを抑制でき、かつ、融着部の接合が剥がれることを抑制できる。
【0019】
[態様8]
前記マスクは、マスク本体を備え、前記マスク本体は、前記複数の部材としての前記マスク本体を区画する第1本体部材及び第2本体部材を含み、前記第1本体部材及び前記第2本体部材の一方が、前記第1の部材であり、他方が前記第2の部材であり、前記第1本体部材と前記第2本体部材との接合は、前記融着部で形成されている、態様1乃至7のいずれか一項に記載のマスク。
本マスクでは、マスク本体を区画する第1本体部材及び第2本体部材の一方が第1の部材であり、他方が第2の部材であり、第1本体部材と前記第2本体部材との接合が、互いに隣り合う高圧搾部と低圧搾部と含む上述の融着部で形成されている。そのため、第1本体部材と第2本体部材との接合箇所(融着部)において、融着部で溶融した材料が、その接合箇所からはみ出すことを抑制することができる。それと共に、第1本体部材と第2本体部材との接合箇所(融着部)において、接合強度を確保することができる。
【0020】
[態様9]
前記第1本体部材と前記第2本体部材とがカップ部を構成し、前記第1本体部材と前記第2本体部材との接合の前記融着部において、前記低圧搾部は、前記マスクが装着者に装着されるときに、前記高圧搾部よりも前記装着者の肌面側に位置する、態様8に記載のマスク。
本マスクでは、第1本体部材と第2本体部材とがカップ部を構成し、第1本体部材と第2本体部材との接合が融着部で形成されており、したがって、本マスクは立体型のマスクである。そして、低圧搾部は、マスクが装着者に装着されるときに、高圧搾部よりも装着者の肌面側に位置する。それにより、融着部において、溶融した材料が融着部の肌面側にはみ出すことが抑制されており、かつ、低圧搾部の接合強度がより高められている。その結果、得られたマスクでは、はみ出した材料が装着者の肌と接触して装着者が違和感を覚えることを抑制でき、かつ、融着部の接合が剥がれることを抑制できる。
【0021】
[態様10]
前記マスクは、マスク本体と、前記マスク本体の横方向の両側部に接合された一対の耳掛け部と、を備え、前記マスク本体及び前記一対の耳掛け部との一方が、前記第1の部材であり、他方が前記第2の部材であり、前記マスク本体と前記一対の耳掛け部との接合は、前記融着部で形成されている、態様1乃至9のいずれか一項に記載のマスク。
本マスクでは、マスク本体及び一対の耳掛け部の一方が第1の部材であり、他方が第2の部材であり、マスク本体と一対の耳掛け部との接合が、互いに隣り合う高圧搾部と低圧搾部とを含む上述の融着部で形成されている。そのため、マスク本体と一対の耳掛け部との接合箇所(融着部)において、融着部で溶融した材料が、その接合箇所からはみ出すことを抑制することができる。それと共に、マスク本体と一対の耳掛け部との接合箇所(融着部)において、接合強度を確保することができる。
【0022】
[態様11]
前記マスク本体と前記一対の耳掛け部との接合の前記融着部において、前記低圧搾部は、前記マスクが装着者に装着されるときに、高圧搾部よりも、前記装着者の肌面側に位置する、態様10に記載のマスク。
本マスクでは、マスク本体と一対の耳掛け部との接合は、融着部で形成されており、低圧搾部は、マスクが装着者に装着されるときに、高圧搾部よりも、装着者の肌面側に位置する。それにより、融着部において、溶融した材料が融着部の肌面側にはみ出すことが抑制されており、かつ、低圧搾部の接合強度がより高められている。その結果、得られたマスクでは、はみ出した材料が装着者の肌と接触して装着者が違和感を覚えることを抑制でき、かつ、融着部の接合が剥がれることを抑制できる。
【0023】
[態様12]
複数の部材で構成され、前記複数の部材のうちの少なくとも第1の部材と第2の部材との接合が融着部で形成されたマスクであって、前記第1の部材は不織布を含む、マスクの製造方法であって、前記第1の部材用の第1シートと前記第2の部材用の第2シートとの接合を、融着部で形成する形成工程を備え、前記形成工程は、互いに隣り合う、厚さが薄い高圧搾部と、厚さが厚い低圧搾部と、を含む前記融着部を形成する工程を含む、マスクの製造方法。
本マスクの製造方法では、形成工程において、第1シート(不織布を含む)と第2シートとの接合を、超音波溶着法や熱溶着法などの融着部で形成する。その形成工程は、互いに隣り合う、厚さが薄い高圧搾部と、厚さが厚い低圧搾部と、を含む融着部を形成する工程を含んでいる。
ここで、その高圧搾部は、形成時に、相対的に強く圧搾されるので、相対的に大きなエネルギーを供給されて、十分に溶融されるため、その密度が増加して、その厚さが薄くなる。一方、低圧搾部は、形成時に、相対的に弱く圧搾されるので、相対的に小さなエネルギーが供給されて、溶融が抑えられるため、その密度が低く抑えられて、その厚さがあまり薄くならない。ただし、高圧搾部は、十分に溶融されるため、溶融した材料が高圧搾部の周囲に容易に移動してしまい、融着部の周囲にはみ出てしまうおそれがある。ところが、本マスクでは、高圧搾部と隣り合うように低圧搾部が存在している。そのため、低圧搾部は、形成時に、溶融が抑えられ、密度が低く抑えられているため、高圧搾部から移動してきた、溶融した材料を低圧搾部の内部に受け入れることができる。それにより、溶融した材料のうち、融着部の周囲にはみ出し得る分の量を低減することができ、溶融した材料が融着部の周囲にはみ出すことを抑制できる。
その際、低圧搾部は、高圧搾部から移動してきた、溶融した材料を内部に受け入れて、高圧搾部に近い比較的高い密度となり、高圧搾部よりも厚さが厚くなる。このように、比較的密度が高く、厚さが厚い低圧搾部を形成することにより、低圧搾部の接合強度、延いては低圧搾部と高圧搾部とを合わせた融着部全体の接合強度を高めることができる。
このように、本マスクの製造方法では、融着部(接合箇所)で溶融した材料が、融着部(接合箇所)の端の、重ね合わされた部材の合わせ目からはみ出すことを抑制することと、融着部(接合箇所)の接合強度を確保することとを両立することが可能なマスクを製造することができる。
【0024】
以下、実施形態に係るマスク及びその製造方法について図面を参照しながら説明する。
【0025】
(第1実施形態)
本実施形態に係るマスク1について説明する。
図1~
図2は本実施形態に係るマスク1の構成例を示す図である。ただし、
図1はマスク1の装着時の態様を示す斜視図である。
図2はマスク1を二つ折りにした状態を示す側面図である。
【0026】
マスク1は、複数の部材で構成され、それら複数の部材のうちの少なくとも第1の部材と第2の部材との接合が融着部で形成されている。第1の部材は不織布を含んでいる。第2の部材は、不織布を含んでもよいし、含まなくてもよい。そして、融着部は、互いに隣り合う、厚さが薄い高圧搾部と、厚さが厚い低圧搾部と、を含んでいる。ただし、融着部は、接合箇所にエネルギーを供給しつつ接合箇所を圧搾し溶融させて接合する方法、例えば超音波溶融法や熱溶着法などで形成される。第1の部材の不織布は熱融着性繊維を含んで形成される。第2の部材としては、前述の熱融着性繊維を含んだ不織布や、熱融着性樹脂を含んだフィルムなどで形成される。
【0027】
本実施形態では、マスク1は、上下方向Lと横方向Wと厚さ方向Tとを有していて、マスク1を構成する複数の部材としてのマスク本体10及び一対の耳掛け部20を備えている。マスク本体10は、装着者の口及び鼻を覆う部材である。一対の耳掛け部20は、装着者の一対の耳に掛けられる部材であり、マスク本体10の横方向Wの両端部に融着部30で融着(接合)され、マスク本体10の横方向Wの両端部から外側へ延出するように形成されている。マスク本体10は、一層又は複数層の不織布を含むシート状の部材で形成されている。一対の耳掛け部20は、紐状又は帯状の部材(不織布でも可)で形成されている。
【0028】
ここで、上下方向Lは、マスク本体10を二つ折りにしたとき、その折り目の成す直線の方向である。ただし、本実施形態のように、その折り目が曲線を成す場合(
図2)、上下方向Lは、その曲線における、装着時に顔面上で最も上方に位置することになる頂部Caと、最も下方に位置することになる頂部Cbとを結んだ直線CLの方向とする。横方向Wは、上下方向Lと直交し、かつ、二つ折りにしたマスク本体10の外側の表面に沿う方向とする。そして、厚さ方向Tは、上下方向L及び横方向Wと直交する方向であり、したがって、マスク本体10を構成するシートの厚さの方向である。なお、マスク本体10の形状は、鼻や口を覆うことが可能ならばこれらの図の例に限定されず、例えば、略楕円の形状、略逆三角の形状、略多角形の形状、それらの組み合わせなどが挙げられる。
【0029】
マスク本体10は、マスク1を構成する複数の部材としての、マスク本体10を区画する第1本体部材10a1及び第2本体部材10a2を含んでいる。本実施形態では、第1本体部材10a1は、装着者の顔面の右半分(向かって左半分)を覆う部材であり、第2本体部材10a2は、装着者の顔面の左半分(向かって右半分)を覆う部材である。第1本体部材10a1と第2本体部材10a2とは、向かい合う端部同士が端縁に沿って、マスク1を構成する融着部としての融着部10bで融着(接合)されることにより、一体化されている。そのとき、その端部の端縁が互いに凸な略曲線形状を有することで、一体化された第1本体部材10a1及び第2本体部材10a2は、装着者の顔面に対して凹面となる立体形状(カップ部)を形成している。以下では、第1本体部材10a1及び第2本体部材10a2のいずれか一方が、マスク1を構成する複数の部材のうちの第1の部材で、他方が第2の部材である場合について説明する。
【0030】
本実施形態では、マスク本体10(第1本体部材10a1及び第2本体部材10a2)は、複数層のシート状の部材が、互いに積層され、外縁を縁取る複数の融着部16で互いに融着されることにより、形成されている。なお、第1本体部材10a1及び第2本体部材10a2の各々における横方向Wの融着部10bと反対側の端部には、それぞれ耳掛け部20の端部が、融着部としての融着部30で融着(接合)されている。なお、第1本体部材10a1及び第2本体部材10a2の各々が、マスク1を構成する複数の部材のうちの第1の部材で、一対の耳掛け部20の各々が第2の部材であってもよい。その場合については後述される。
【0031】
なお、マスク本体10は第1本体部材10a1及び第2本体部材10a2の二つの領域に区画されているが、マスク本体10は更に別の領域(区画)を有していてもよいし、第1本体部材10a1及び第2本体部材10a2の少なくとも一方が更に複数の領域に区画されていてもよい。
【0032】
図3は実施形態に係るマスク1の融着部10bの構成例及び作用を説明する模式図である。ただし、
図3(a)は
図2におけるIIIa-IIIa線に沿った部分断面を示し、
図3(b)は従来技術のマスクの融着部210bにおける、
図3(a)に対応する図である。ただし、融着部の厚さと、融着装置の凸部の高さの縮尺は同一でなく、分かり易さのために、模式的に、融着部の厚さを厚く強調している。したがって、例えば、融着部10bの高圧搾部11及び低圧搾部12の厚さと、融着装置の凸部50の高圧搾用部分51及び低圧搾用部分52高さの縮尺は同一でなく、模式的に、融着部10bの高圧搾部11及び低圧搾部12の厚さを厚くして強調している。以下、
図6~
図10についても同様である。
【0033】
図3(a)の左側の図に示すように、(第1本体部材対応領域110a1(後述)の)第1本体部材10a1と(第2本体部材対応領域110a2(後述)の)第2本体部材10a2とを接合する融着部10bは、厚さが薄い高圧搾部11と、厚さが厚い低圧搾部12と、を備えている。融着部10bは、接合箇所にエネルギーを供給しつつ接合箇所を圧搾し溶融させて接合する方法(超音波溶着法や熱溶着法)で形成されるが、そのとき圧搾の程度が強い箇所が高圧搾部11となり、低い箇所が低圧搾部12となる。
【0034】
具体的には、まず、融着部10bを形成する装置(例示:超音波溶着装置、熱溶着装置)における、部材が押し付けられる台60の平坦面61と、エネルギーを供給する凸部50の頂面50tとで、第1本体部材10a1及び第2本体部材10a2を挟持する。そして、平坦面61と頂面50tとの距離を縮めることにより、平坦面61と頂面50tとで第1本体部材10a1と第2本体部材10a2とを圧搾しつつ、頂面50tから第1本体部材10a1及び第2本体部材10a2にエネルギーを加える。例えば、頂面50tが超音波ホーンの場合、超音波を印加し、発熱体の場合、熱を印加する。このとき、凸部50の頂面50tには、高圧搾用部分51と、高圧搾用部分51よりも相対的に高さが低い低圧搾用部分52とが存在している。そのため、高圧搾用部分51は、第1本体部材10a1及び第2本体部材10a2を平坦面61に相対的に強く押圧するが、低圧搾用部分52は、相対的に弱く押圧することになる。
【0035】
その結果、第1本体部材10a1及び第2本体部材10a2のうちの、高圧搾用部分51で圧搾される部分は、相対的に強く圧搾(高圧搾)されるので、相対的に大きなエネルギーを供給されて、十分に溶融される。そのため、その密度が高く、その厚さが薄くなる。その部分が、高圧搾部11となる。そのとき、高圧搾部11が十分に溶融されることに伴い、高圧搾部の周囲に溶融した材料がはみ出す。一方、第1本体部材10a1及び第2本体部材10a2のうちの、低圧搾用部分52で圧搾される部分は、相対的に弱く圧搾(低圧搾)されるので、エネルギーの伝達の度合いが相対的に低下して、相対的に小さなエネルギーが供給されて、溶融が抑えられる。そのため、その密度が低く(不織布の繊維間に隙間が残る)、その厚さがあまり薄くならない。その部分が、低圧搾部12となる。そして、低圧搾部12は、密度が低いため、高圧搾部11からその周囲に溶融した材料が移動した(はみ出した)場合には、その溶融した材料を内部(繊維間など)に受け入れることができ、それにより、その密度が最終的に高くなることができる。なお、高圧搾部11の先端部及びその先の部材(図示されず)は、最終製品では切断線15の位置で切断されて除去される。
【0036】
その後、マスク1が装着者に装着されるときに、低圧搾部12が、高圧搾部11よりも装着者の肌面側に位置することで、融着部10bのうちの少なくとも低圧搾部12の側から溶融した材料がはみ出すことを抑制できる。それにより、
図3(a)の右側の図に示すように、マスク1の装着時に、融着部10bを基点(基線)として、第1本体部材10a1と第2本体部材10a2とを開くと、第1本体部材10a1と第2本体部材10a2との境界の領域Qに、融着部10bからはみ出した材料が存在する事象を生じ難くすることができる。
【0037】
その際、低圧搾部12は、高圧搾部11から移動してきた、溶融した材料を内部に受け入れて、高圧搾部11に近い比較的高い密度となり、かつ、高圧搾部11よりも厚さが厚い。このように、比較的密度が高く、厚さが厚い低圧搾部12を有することにより、低圧搾部12の接合強度、延いては低圧搾部12と高圧搾部11とを合わせた融着部10b全体としての接合強度を高めることができる。
【0038】
このように、高圧搾部11は、厚みの薄い薄肉部であり、低圧搾部は、厚みの厚い厚肉部である。そして、本マスクでは、融着部(接合箇所)で溶融した材料が、融着部(接合箇所)の端の、重ね合わされた部材の合わせ目からはみ出すことを抑制することと、融着部(接合箇所)の接合強度を確保することとを両立可能なマスクを提供できる。そして、はみ出した材料が装着者の肌と接触して装着者が違和感を覚えることを抑制できる。
【0039】
一方、従来技術のマスクでは、
図3(b)の左側の図に示すように、第1本体部材210a1と第2本体部材210a2とを接合する融着部210bは、厚さが薄い高圧搾部211を備えているが、厚さが厚い低圧搾部を備えていない(なお、高圧搾部211の先端部及びその先の部材(図示されず)は、切断線215の位置で切断されて除去される)。そのため、高圧搾部211は、十分に溶融されるため、溶融した材料が高圧搾部211の周囲に容易に移動してしまい、融着部210bの周囲にはみ出てしまう。そうなると、
図3(b)の右側の図に示すように、従来技術のマスクの装着時に、融着部210bを基点(基線)として、第1本体部材210a1と第2本体部材210a2とを開くと、第1本体部材210a1と第2本体部材210a2との境界の領域Qに、融着部210bからはみ出した材料Pが突出した状態になってしまう事象が起こり得る。その場合、装着者の肌がそのはみ出した材料Pに接触してしまい、装着者が違和感を覚えるおそれがある。
【0040】
本実施形態の好ましい態様のマスク1では、第1本体部材10a1と第2本体部材10a2とがカップ部を構成し、第1本体部材10a1と第2本体部材10a2との接合が融着部10bで形成されており、したがって、本マスク1は立体型のマスクである。そして、低圧搾部12は、マスク1が装着者に装着されるときに、高圧搾部11よりも装着者の肌面側に位置する。それにより、融着部10bにおいて、溶融した材料が融着部10bの肌面側にはみ出すことが抑制されており、かつ、低圧搾部12の接合強度がより高められている。その結果、得られたマスク1では、はみ出した材料が装着者の肌と接触して装着者が違和感を覚えることを抑制でき、かつ、融着部10bの接合が剥がれることを抑制できる。
【0041】
本実施形態の好ましい態様のマスク1では、高圧搾部11と低圧搾部12とは隣接している。そのため、融着部10bの形成時に、高圧搾部11から移動してきた、溶融した材料を低圧搾部12の内部に直ちに受け入れることができる。それにより、溶融した材料が融着部の周囲にはみ出すことをより確実に抑制できる。それに加えて、低圧搾部12の接合強度をより高めることができ、低圧搾部12の接合強度をより確保することができる。
【0042】
本実施形態では、
図3(a)に示すように、低圧搾部12を、高圧搾部11の一方側に配置している。ただし、低圧搾部12の配置はその例に限定されるものではなく、例えば、低圧搾部12を、高圧搾部11の他方側にも、したがって、高圧搾部11の両側に配置してもよい。その場合、高圧搾部11の両側から溶け出す材料を、両側の低圧搾部12で受け入れることができ、その外側にはみ出し難くすることができる。更に、低圧搾部12を、高圧搾部11を囲むように配置してもよい。その場合には、高圧搾部11の周囲から溶け出す材料を、周囲の低圧搾部12で受け入れることができ、その外側にはみ出し難くすることができる。
【0043】
本実施形態では、
図3(a)に示すように、高圧搾部11の先端部及びその先の部材は、最終製品では切断線15の位置で切断されて除去されるため、先の部材での材料のはみ出しは問題にならない。ただし、切断の位置はその例に限定されるものではなく、高圧搾部11の先端部よりも先の部材で切断されてもよい。この場合、融着部10b(高圧搾部11)よりも先の融着されていない部分に溶け出した部材がはみ出す可能性はあるが、その部分は肌面側に向いていないため大きな影響はない。
【0044】
次に、本実施形態に係るマスク1の製造方法について説明する。
図4は本実施形態に係るマスクの製造方法を説明する図である。
【0045】
マスク1の製造方法は、第1の部材(例示:第1本体部材10a1及び第2本体部材10a2のいずれか一方)用の第1シートと第2の部材(例示:第1本体部材10a1及び第2本体部材10a2のいずれか他方)用の第2シートとの接合を、融着部(例示:融着部10b)で形成する形成工程を備えている。そして、その形成工程は、互いに隣り合う、厚さが薄い高圧搾部(例示:高圧搾部11)と、厚さが厚い低圧搾部(例示:低圧搾部12)と、を形成する工程を含んでいる。
【0046】
本実施形態の製造方法は、上記された高圧搾部11及び低圧搾部12を形成する工程を含んだ上記の形成工程S5を備えており、準備工程S1、縁取り融着工程S2、耳掛け接合工程S3、二つ折り工程S4,切断工程S6の各工程を更に備えている。
【0047】
準備工程S1は、第1の部材用の第1シート及び第2の部材用の第2シートを準備する工程である。本実施形態では、第1シート及び第2シートは、同一シート(一枚のシート)150における、機械方向(搬送方向)に直交する横断方向の一方側(例示:左側)の部分と他方側(例示:右側)の部分である。シート150は、横断方向の中心を通り、機械方向に沿った中心線CCBを有している。シート150は、複数層(例示:三層)のシートでもよいし、一層のシートでもよい。本実施形態では、三層のシートである。その三層としては、特に制限はないが、例えば、内側シート用のスパンボンド(SB)層(繊維径大、密度低)、フィルタ層用のメルトブロー(MB)層(繊維径小、密度高)、及び外側シート用のスパンボンド(SB)層(繊維径大、密度低)が挙げられる。
【0048】
次いで、縁取り融着工程S2は、複数層のシート150を、マスク1の形状を縁取るように、互いに融着部16で接合する。融着部16は、例えば超音波溶着法で形成される。融着部16により、シート150における中心線CCBを挟んだ両側に、線対称に、横断方向に並んだ、第1本体部材10a1を含む第1本体部材対応領域110a1及び第2本体部材10a2を含む第2本体部材対応領域110a2が区画(形成)される。
【0049】
次いで、耳掛け接合工程S3は、第1本体部材対応領域110a1及び第2本体部材対応領域110a2の各々に、一対の耳掛け部20を、融着部30により接合する。融着部30は、例えば超音波溶着法、熱溶着法などの方法で形成されるが、超音波溶着法の方が、意図する部分だけ融着させられるのでより好ましい。そこで、本実施形態では超音波溶着法を用いる。
【0050】
次いで、二つ折り工程S4は、シート150に、横断方向に沿って、横断方向の一方の端縁から中心線CCBまで切り込みを入れる。そして、切り込みが入ったシート150を、中心線CCBと重なる折り線で、横断方向の一方側(例示:左側)の部分が他方側(例示:右側)の部分と重なるように折り畳む(二つ折りにする)。そのとき、融着部30が外側になるように折り畳む。折り畳まれたシート150を、シート151とする。
【0051】
次いで、形成工程S5は、シート151における、第1シート(の第1本体部材対応領域110a1)と第2シート(の第2本体部材対応領域110a2)とを、互いに融着部10bで接合する。融着部10bは、例えば超音波溶着法、熱溶着法などの方法で形成されるが、超音波溶着法の方が、意図する部分だけ融着させられるのでより好ましい。そこで、本実施形態では、ここでも超音波溶着法を用いる。その形成工程S5は、互いに隣り合う、厚さが薄い高圧搾部11と、厚さが厚い低圧搾部12と、を含む融着部10bを形成する工程を含んでいる。融着部10bと融着部16とにより、第1本体部材対応領域110a1内に第1本体部材10a1が区画(形成)され、第2本体部材対応領域110a2内に第2本体部材10a2が区画(形成)される。
【0052】
次いで、切断工程S6は、シート151(第1シート及び第2シートの積層体)から、マスク1となる部分以外の部分150bを切り取る。言い換えると、シート151から、マスク1を切り抜く。それにより、マスク1が製造される。
【0053】
ここで、
図5は、その形成工程S5を説明する模式図である。まず、
図5(a)に示すように、直前の二つ折り工程S4によって、第1本体部材対応領域110a1と第2本体部材対応領域110a2とが折り畳まれて積層されたシート150が、形成工程S5に供給される。
【0054】
次に、
図5(b)に示すように、第1本体部材対応領域110a1と第2本体部材対応領域110a2との積層体が、融着部を形成する融着装置(例示:超音波溶着装置、熱溶着装置)における、台60の平坦面61と、凸部50の頂面50tと、の間に挟持される。このとき、第1本体部材対応領域110a1と第2本体部材対応領域110a2との積層体が、凸部50の頂面50tにおける、相対的に高さが高い高圧搾用部分51により、相対的に強く押圧され、相対的に高さが低い低圧搾用部分52により、相対的に弱く押圧される。高圧搾用部分51における台60の平坦面61に対向する面と台60の平坦面61との距離は相対的に短く、低圧搾用部分52における台60の平坦面61に対向する面と台60の平坦面61との距離は相対的に長くなる。
【0055】
その結果、
図5(c)に示すように、第1本体部材対応領域110a1と第2本体部材対応領域110a2との積層体のうちの、高圧搾用部分51で圧搾される部分は、相対的に強く圧搾(高圧搾)されるので、相対的に大きなエネルギーを供給されて、十分に溶融される。そのため、その密度が高く、その厚さが薄くなる。その部分が、高圧搾部11となる。一方、第1本体部材対応領域110a1と第2本体部材対応領域110a2との積層体のうちの、低圧搾用部分52で圧搾される部分は、相対的に弱く圧搾(低圧搾)されるので、エネルギーの伝達の度合いが相対的に低下して、相対的に小さなエネルギーが供給されて、溶融が抑えられる。そのため、その密度が低く、その厚さがあまり薄くならない。その部分が、低圧搾部12となる。そして、低圧搾部12は、密度が低いため、高圧搾部11が十分に溶融されることに伴って高圧搾部11の周囲に溶融した材料が移動した場合には、その溶融した材料を内部に受け入れて密度が最終的に高くなる。
【0056】
その後、第1本体部材対応領域110a1と第2本体部材対応領域110a2との積層体から、マスク1となる部分以外の部分151bが、マスクの形状を縁取る切断線15の位置(融着部10bでは高圧搾部11の先端よりも少し手前の位置)で切り取られ、マスク1が形成される。すなわち、上記方法により、マスク1を製造することができる。
【0057】
上記のマスク1の製造方法では、形成工程S5において、超音波接合法やヒートシール法などによる融着で、第1シート(不織布を含む;シート150における横断方向の一方側の部分)と第2の部材(シート150における横断方向の他方側の部分)との接合を形成する。その形成工程S5は、互いに隣り合う、厚さが薄い高圧搾部11と、厚さが厚い低圧搾部12と、を含む融着部10bを形成する工程を含んでいる。そして、高圧搾部は、形成時に、相対的に強く圧搾されるので、相対的に大きな熱量を供給されて、十分に溶融されるため、その密度が高く、その厚さが薄くなる。一方、低圧搾部12は、形成時に、相対的に弱く圧搾されるので、相対的に小さな熱量が供給されて、溶融が抑えられるため、その密度が低く、その厚さがあまり薄くならない。
ここで、高圧搾部11は、形成時に、十分に溶融されるため、溶融した材料が高圧搾部11の周囲に容易に移動してしまい、融着部10bの周囲にはみ出てしまうおそれがある。ところが、本マスク1では、高圧搾部11と隣り合うように低圧搾部12が存在している。低圧搾部12は、形成時に、溶融が抑えられ、密度が低く抑えられる。そのため、高圧搾部11から移動してきた、溶融した材料を低圧搾部12の内部に受け入れることができる。それにより、溶融した材料のうち、融着部10bの周囲にはみ出し得る分の量を低減することができ、溶融した材料が融着部10bの周囲にはみ出すことを抑制できる。
一方、低圧搾部12は、高圧搾部11から移動してきた、溶融した材料を内部に受け入れて、高圧搾部11に近い比較的高い密度となり、高圧搾部11よりも厚さが厚い。このように、比較的密度が高く、厚さが厚い低圧搾部12を有することにより、低圧搾部12の接合強度、延いては低圧搾部12と高圧搾部11とを合わせた融着部10b全体としての接合強度を高めることができる。
このように、本マスクでは、融着部10b(接合箇所)で溶融した材料が、融着部10b(接合箇所)の端の、重ね合わされた部材の合わせ目からはみ出すことを抑制することと、融着部10b(接合箇所)の接合強度を確保することとを両立可能なマスク1を提供できる。そして、はみ出した材料が装着者の肌と接触して装着者が違和感を覚えることを抑制できる。
【0058】
なお、上記のマスク1の製造方法において、第1本体部材対応領域110a1及び第2本体部材対応領域110a2の各々に一対の耳掛け部20を融着部30で接合する耳掛け接合工程S3において、形成工程S5のような融着を行ってもよい。
【0059】
図6は、本実施形態に係るマスクの融着部及び融着装置の凸部の構成例を説明する模式図である。以下、
図6~
図10において、同様である。
【0060】
この構成例では、
図5の構成例と同じく、(第1本体部材対応領域110a1の)第1本体部材10a1と(第2本体部材対応領域110a2の)第2本体部材10a2とを接合する融着部10bに関し、融着装置の凸部50は、頂面50tに、相対的に高さが高い高圧搾用部分51と、相対的に高さが低い低圧搾用部分52と、を備えている。
【0061】
それら高圧搾用部分51の高さと低圧搾用部分52の高さとの差e2により、第1本体部材10a1と第2本体部材10a2との積層体は、高圧搾用部分51で相対的に強く押圧され、低圧搾用部分52で相対的に弱く押圧される。それにより、形成される高圧搾部11の厚さD11が相対的に薄くなり、低圧搾部12の厚さD12が相対的に厚くなる。そして、低圧搾部12の存在により、第1本体部材10a1と第2本体部材10a2との境界の領域Qに、融着部10b(高圧搾部11)からはみ出した材料が延出する事象を生じ難くすることができる。それと共に、低圧搾部12の厚さD12が厚く、かつ、高圧搾部11から溶け出した材料を吸収することで融着部10bの接合強度を高められる。
【0062】
ただし、図において、高圧搾部11における低圧搾部12側とは反対の側からはみ出した材料は、低圧搾部12が存在しない場合には、高圧搾部11の外側に延出し得る。しかし、そのはみ出した材料は、切断工程S6において、高圧搾部11の先端部及びその先の部材(図示されず)と共に、切断線15の位置で切断されて除去されるので、問題にはならない(以下、
図8~
図10において同じ)。
【0063】
凸部50の高さh及び幅d0は、特に制限はなく、形成される融着部において接合されるシート部材の積層体の厚さや坪量、形成すべき融着部の幅などに基づき、適宜設定可能である。本実施形態では、凸部の高さhは、例えば、1~6mmが挙げられ、2~4mmが好ましい。凸部の幅d0は、例えば、1~6mmが挙げられ、2~4mmが好ましい。
【0064】
高圧搾用部分51の高さは凸部50の高さhと同じであり、低圧搾用部分52の高さは、高圧搾用部分51の高さよりも低く、その差はe2(>0)である。e2の大きさは、低圧搾部12の厚さを高圧搾部11の厚さよりも厚くできれば、特に制限はなく、少なくとも0.05mm以上であればよい。高圧搾用部分51の高さhに対する差e2の割合e2/hの大きさとしては、例えば、0.01~0.5が挙げられ、0.02~0.3が好ましい。その場合、e2の大きさとしては、例えば、0.05~2mmが挙げられ、0.1~1mmが好ましい。e2/hやe2の大きさが小さすぎると、低圧搾部12の厚さを十分に厚くできず、低圧搾部12が高圧搾部11から溶け出した材料を受け入れ難くなり、材料のはみだしが生じ易くなる。大きさが大きすぎると、低圧搾部12の厚さが厚くなりすぎて、高圧搾部11から溶け出した材料を受け入れても、低圧搾部12の密度が高くなり難くなり、融着部10bの接合強度が高くなり難くなる。
【0065】
高圧搾用部分51の幅d1と低圧搾用部分52の幅d2との合計が、凸部50の幅d0である(d0=d1+d2)。本実施形態では、高圧搾用部分51と低圧搾用部分52とが隣り合う方向において、高圧搾用部分51の幅d1は、低圧搾用部分52の幅d2よりも大きい。凸部の幅d0に対する高圧搾用部分51の幅d1の割合d1/d0の大きさとしては、例えば、0.5より大きく、0.8以下であり、0.6~0.7が好ましい。そのとき、d1の大きさとしては、例えば、0.5mmより大きく、5mm以下が挙げられ、1~3mmが好ましい。d1/d0やd1の大きさが小さすぎると、高圧搾部12による接合強度が高くなり難く、かつ、低圧搾部12の体積が大きくなりすぎて、高圧搾部11から溶け出した材料を受け入れても、低圧搾部12の密度が高くなり難くなり、低圧搾部12の接合強度が高くなり難くなる。大きさが大き過ぎると、低圧搾部12の体積が小さくなりすぎて、低圧搾部12が高圧搾部11から溶け出した材料を受け入れ難くなり、材料のはみだしが生じ易くなる。(なお、高圧搾用部分51及び低圧搾用部分52の奥行きは、
図2における第1本体部材10a1及び第2本体部材10a2の縁に沿って延びる融着部10bの平面視の形状と略同様である。)
【0066】
高圧搾部11の厚さD11及び低圧搾部12の厚さD12としては、D11<D12の大小関係を満たし、高圧搾部11から融け出した材料を低圧搾部12で受け入れ可能とすることができれば、特に制限はない。D11としては、例えば、0.01~0.5mmが挙げられ、0.02~0.3mmが好ましい。D12としては、例えば、0.1~3mmが挙げられ、0.2~2mmが好ましい。高圧搾部11の幅は、概ね、高圧搾用部分51の幅d1から、切断工程S6で切断される部分(0.5~1mm程度)を除いた幅である。低圧搾部12の幅は、低圧搾用部分52の幅d2と概ね同じ幅である。(なお、高圧搾用部分51及び低圧搾用部分52の奥行きは、
図2における第1本体部材10a1及び第2本体部材10a2の縁に沿って延びる融着部10bの平面視の形状と略同様である。)
【0067】
本実施形態では、上述のように、高圧搾用部分51と低圧搾用部分52とが隣り合う方向において、高圧搾用部分51の幅d1は、低圧搾用部分52の幅d2よりも広い。したがって、高圧搾部11と低圧搾部12とが隣り合う方向において、高圧搾部11の幅は、低圧搾部12の幅よりも広い、ということができる。そのため、融着部10bの形成時に、高圧搾部11による接合強度を高く維持することができる。それにより、高圧搾部11の溶融した材料を低圧搾部12に受け入れて、融着部10bの周囲にはみ出すことを抑制する効果に加えて、低圧搾部12を含めた融着部10b全体の接合強度を高く維持することができる。
【0068】
なお、別の実施形態では、高圧搾用部分51と低圧搾用部分52とが隣り合う方向において、高圧搾用部分51の幅d1は、低圧搾用部分52の幅d2よりも狭くてもよい。したがって、高圧搾部11と低圧搾部12とが隣り合う方向において、高圧搾部11の幅は、低圧搾部12の幅よりも狭くてもよい、ということができる。そのため、融着部10bの形成時に、高圧搾部11から移動する、溶融した材料の量を抑制できる。それにより、高圧搾部11から移動してきた、溶融した材料を、融着部10bの周囲にはみ出す前に、低圧搾部12の内部に、より確実に受け入れることができ、かつ、低圧搾部12の接合に寄与する部分を広く確保することができる。それにより、溶融した材料が融着部10bの周囲にはみ出すことをより抑制でき、かつ、低圧搾部の12接合強度をより確保することができる。
【0069】
図7は、本実施形態に係るマスクの融着部及び融着装置の凸部の他の構成例を説明する模式図である。この構成例では、(第1本体部材対応領域110a1の)第1本体部材10a1及び(第2本体部材対応領域110a2の)第2本体部材10a2の各々と一対の耳掛け部20の各々とを接合する融着部30に関し、融着装置の凸部50は、頂面50tに、相対的に高さが高い高圧搾用部分51と、相対的に高さが低い低圧搾用部分52と、を備えている。
【0070】
それら高圧搾用部分51の高さと低圧搾用部分52の高さとの差e2により、第1本体部材10a1及び第2本体部材10a2の各々と一対の耳掛け部20の各々との積層体は、高圧搾用部分51で相対的に強く押圧され、低圧搾用部分52で相対的に弱く押圧される。それにより、形成される高圧搾部31の厚さD31が相対的に薄くなり、低圧搾部32の厚さD32が相対的に厚くなる。そして、低圧搾部32の存在により、第1本体部材10a1及び第2本体部材10a2の各々と一対の耳掛け部20の各々との境界の領域Qに、融着部30からはみ出した材料が延出する事象を生じ難くすることができる。それと共に、低圧搾部32の厚さD32が厚く、かつ、高圧搾部31から溶け出した材料を吸収することで融着部30の接合強度を高めることができる。
【0071】
凸部50の高さh及び幅d0、高圧搾用部分51及び低圧搾用部分52の高さの差e2及びその凸部50の高さhに対する割合e2/h、並びに、高圧搾用部分51の幅d1及びその凸部の幅d0に対する割合d1/d0については、基本的に、
図6の構成例と同様である。また、高圧搾部31の厚さD31及び低圧搾部32の厚さD32については、基本的に、
図6の構成例の高圧搾部11の厚さD11及び低圧搾部12の厚さD12と同様である。
【0072】
このように、マスク1では、マスク本体10及び一対の耳掛け部20の一方が第1の部材であり、他方が第2の部材であり、マスク本体10と一対の耳掛け部20との接合が、互いに隣り合う高圧搾部31と低圧搾部32と含む上述の融着部30で形成されている。そのため、マスク本体10と一対の耳掛け部20との接合箇所(融着部30)において、融着部30で溶融した材料が、その接合箇所からはみ出すことを抑制することができる。それと共に、マスク本体10と一対の耳掛け部20との接合箇所(融着部)において、接合強度を確保することができる。
【0073】
図8は、本実施形態に係るマスクの融着部及び融着装置の凸部の更に他の構成例を説明する模式図である。この構成例では、(第1本体部材対応領域110a1の)第1本体部材10a1と(第2本体部材対応領域110a2の)第2本体部材10a2とを接合する融着部10bに関し、融着装置の凸部50は、頂面50tに、相対的に高さが高い高圧搾用部分51と、相対的に高さが低い低圧搾用部分52と、相対的に高さが中程度の中圧搾用部分53と、を備えている。すなわち、融着装置の凸部50は、低圧搾用部分52を挟んで高圧搾用部分51と反対の側に、低圧搾用部分52と互いに隣り合い(本実施形態ではより好ましい態様として、隣接し)、厚さが高圧搾用部分51と低圧搾用部分52との間である中圧搾用部分53を更に含んでいる。
【0074】
それら高圧搾用部分51の高さと低圧搾用部分52の高さとの差e2、及び、高圧搾用部分51の高さと中圧搾用部分53の高さとの差e3により、第1本体部材10a1と第2本体部材10a2との積層体は、高圧搾用部分51で相対的に強く押圧され、低圧搾用部分52で相対的に弱く押圧され、中圧搾用部分53で相対的に中程度の強さで押圧される。ここで、中圧搾部13は、相対的に中程度の力で圧搾されるので、相対的に中程度の熱量が供給されて、溶融が中程度となり、その密度が中程度の、その厚さが中程度になる(ただし、中程度とは、高圧搾部11の場合と、低圧搾部12の場合との間という意味である)。したがって、形成される高圧搾部11の厚さD11が相対的に薄くなり、低圧搾部12の厚さD12が相対的に厚くなり、中圧搾部13の厚さD13が相対的に中程度の厚さになる。このとき、中圧搾部13は、高圧搾部11から移動してきた、溶融した材料が、低圧搾部12に受け入れられた後、更に低圧搾部12からはみ出そうになった時、堰となり、塞き止めて、その溶融した材料の移動を抑えることができる。それにより、中圧搾部13が低圧搾部12と共に、第1本体部材10a1と第2本体部材10a2との境界の領域Qに、融着部10bからはみ出した材料が延出する事象を生じ難くすることができる。かつ、それと共に、低圧搾部12の厚さD12及び中圧搾部13の厚さD13が厚く、かつ、それらが高圧搾部11から溶け出した材料を吸収することで低圧搾部12と中圧搾部13とを合わせた接合強度をより高めることができる。高圧搾部11は、厚みの薄い薄肉部であり、低圧搾部12は、厚みの厚い厚肉部であり、中圧搾部13は、厚みの中位な中肉部である。
【0075】
本実施形態では、中圧搾部13は、高圧搾部11に対して低圧搾部12よりも遠くに配置すればよい。したがって、低圧搾部12が高圧搾部11の両側に配置されていれば、中圧搾部13も同様に、高圧搾部11に対して両側の低圧搾部12の両外側に配置すればよい。更に、低圧搾部12が高圧搾部11の周囲に配置されていれば、中圧搾部13も同様に、高圧搾部11に対して周囲の低圧搾部12の周囲に配置すればよい。
【0076】
凸部50の高さh及び幅d0、高圧搾用部分51及び低圧搾用部分52の高さの差e2及びその凸部50の高さhに対する割合e2/h、並びに、高圧搾用部分51の幅d1及びその凸部の幅d0に対する割合d1/d0については、基本的に、
図6の構成例と同様である。
【0077】
中圧搾用部分53の高さは、高圧搾用部分51の高さよりも低く、その差はe3(>0、<e2)である。e3の大きさは、中圧搾部13の厚さを、低圧搾部12の厚さより薄く、高圧搾部11の厚さよりも厚くできれば、特に制限はなく、少なくとも0.02mm以上であればよい。高圧搾用部分51の高さhに対する差e3の割合e3/hの大きさとしては、例えば、0.005~0.25が挙げられ、0.01~0.15が好ましい。その場合、e3の大きさとしては、例えば、0.025~1mmが挙げられ、0.05~0.5mmが好ましい。e3/hやe3の大きさが小さすぎると、中圧搾部13の厚さを十分に厚くできず、高圧搾部11と同じようになり、中圧搾部13から材料が溶け出して、融着部10bからはみ出し易くなる。大きさが大きすぎると、中圧搾部13の厚さが厚くなりすぎて、低圧搾部12と同じようになり、低圧搾部12で受け入れた、溶け出した材料を塞き止め難くなる。
【0078】
高圧搾用部分51の幅d1と低圧搾用部分52の幅d2と中圧搾用部分53の幅d3との合計が、凸部50の幅d0である(d0=d1+d2+d3)。本実施形態では、高圧搾用部分51と低圧搾用部分52と中圧搾用部分53とが隣り合う方向において、高圧搾用部分51の幅d1は低圧搾用部分52の幅d2よりも大きく、かつ、中圧搾用部分53の幅d3は、高圧搾用部分51の幅d1及び低圧搾用部分52の幅d2よりも小さい。凸部の幅d0に対する中圧搾用部分53の幅d3の割合d3/d0の大きさとしては、例えば、0.04~0.4以下であり、0.08~0.2が好ましい。その場合、d3の大きさとしては、例えば、0.1~1mm以下が挙げられ、0.2~0.5mmが好ましい。d3/d0やd3の大きさが小さすぎると、溶けた材料を塞き止め難くなり、大きさが大き過ぎると、相対的に高圧搾部11及び/又は低圧搾部12が小さくなり、高圧搾部11による接合強度が低下すること、及び/又は、低圧搾部12が高圧搾部11から溶け出した材料を受け入れ難くなること、が生じ得る。なお、高圧搾用部分51の幅d1及び低圧搾用部分52の幅d2については、基本的に、
図6の構成例と同様であるが、中圧搾用部分53の幅d3の分だけいずれかを小さくしてよい。
【0079】
高圧搾部11の厚さD11、中圧搾部13の厚さD13及び低圧搾部12の厚さD12としては、D11<D13<D12の大小関係を満たし、高圧搾部11から融け出した材料を低圧搾部12で受け入れ、中圧搾部13で塞き止め可能とすることができれば、特に制限はない。D11としては、例えば、0.01~0.5mmが挙げられ、0.02~0.3mmが好ましい。D12としては、例えば、0.1~3mmが挙げられ、0.2~2mmが好ましい。D13としては、例えば、0.05~2mmが挙げられ、0.1~1mmが好ましい。高圧搾部11の幅は、概ね、高圧搾用部分51の幅d1から、切断工程S6で切断される部分(0.5~1mm程度)を除いた幅である。中圧搾部13及び低圧搾部12の幅は、それぞれ、中圧搾用部分53の幅d3及び低圧搾用部分52の幅d2と概ね同じ幅である。(なお、高圧搾用部分51、中圧搾部13及び低圧搾用部分52の奥行きは、
図2における第1本体部材10a1及び第2本体部材10a2の縁に沿って延びる融着部10bの平面視の形状と略同様である。)
【0080】
図9は、本実施形態に係るマスクの融着部及び融着装置の凸部の更に他の構成例を説明する模式図である。この構成例では、(第1本体部材対応領域110a1の)第1本体部材10a1と(第2本体部材対応領域110a2の)第2本体部材10a2とを接合する融着部10bに関し、融着装置の凸部50は、頂面50tに、相対的に高さが高い高圧搾用部分51と、相対的に高さが非常に低い非圧搾用部分54と、相対的に高さが低い低圧搾用部分52と、を備えている。すなわち、融着装置の凸部50は、高圧搾用部分51と低圧搾用部分52との間に、非圧搾用部分54を更に含んでいる。
【0081】
それら高圧搾用部分51の高さと非圧搾用部分54の高さとの差e4、及び、高圧搾用部分51の高さと低圧搾用部分52の高さとの差e2により、第1本体部材10a1と第2本体部材10a2との積層体は、高圧搾用部分51で相対的に強く押圧され、非圧搾用部分54でほとんど押圧されず、低圧搾用部分52で相対的に弱く押圧される。ここで、非圧搾用部分54は、ほとんど圧搾されないので、ほとんど熱量が供給されず、ほとんど溶融が起こらず、その密度が低いままあまり変化せず、その厚さが厚いままあまり変化しない(ただし、両側の高圧搾用部分51及び低圧搾用部分52の押圧に引っ張られるので、少々密度が上がり、少々厚みが薄くなる)。したがって、形成される高圧搾部11の厚さD11が相対的に薄くなり、非圧搾部14の厚さD14が相対的に非常に厚くなり、低圧搾部12の厚さD12が相対的に厚くなる。このとき、非圧搾部14は、高圧搾部11から移動してきた、溶融した材料を、非圧搾部14の内部に受け入れることができる。それにより、非圧搾部14が低圧搾部12と共に、その溶融した材料の移動を抑えることができ、第1本体部材10a1と第2本体部材10a2との境界の領域Qに、融着部10bからはみ出した材料が延出する事象を生じ難くすることができる。それと共に、非圧搾部14の厚さD14及び低圧搾部12の厚さD12が厚く、かつ、それらが高圧搾部11から溶け出した材料を吸収することで非圧搾部14と低圧搾部12とを合わせた接合強度をより高めることができる。高圧搾部11は、厚みの薄い薄肉部であり、低圧搾部12は、厚みの厚い厚肉部であり、非圧搾部14は、厚みの非常に厚い大厚肉部である。
【0082】
本実施形態では、非圧搾部14は、高圧搾部11と低圧搾部12との間に配置すればよい。したがって、低圧搾部12が高圧搾部11の両側に配置されていれば、非圧搾部14も同様に、高圧搾部11に対して両側の、高圧搾部11と低圧搾部12との間に配置すればよい。更に、低圧搾部12が高圧搾部11の周囲に配置されていれば、非圧搾部14も同様に、高圧搾部11に対して周囲の、高圧搾部11と低圧搾部12との間に配置すればよい。
【0083】
凸部50の高さh及び幅d0、高圧搾用部分51及び低圧搾用部分52の高さの差e2及びその凸部50の高さhに対する割合e2/h、並びに、高圧搾用部分51の幅d1及びその凸部の幅d0に対する割合d1/d0については、基本的に、
図6の構成例と同様である。
【0084】
非圧搾用部分54の高さは、高圧搾用部分51及び低圧搾用部分52の高さよりも低く、その差はe4(>0、>e2)である。e4の大きさは、非圧搾部14の厚さを、高圧搾部11の厚さ及び低圧搾部12の厚さよりも厚くできれば、特に制限はなく、少なくとも0.05mmを越えていればよい。高圧搾用部分51の高さhに対する差e4の割合e4/hの大きさとしては、例えば、0.015~0.8が挙げられ、0.025~0.5が好ましい。その場合、e4の大きさとしては、例えば、0.07~3mmが挙げられ、0.15~1.5mmが好ましい。e4/hやe4の大きさが小さすぎると、非圧搾部14の厚さを十分に厚くできず、低圧搾部12と同じようになり、高圧搾部11から溶け出して材料を低圧搾部12以上に受け入れ難くなる。大きさが大きすぎると、凸部50の強度が低下し易くなる。
【0085】
高圧搾用部分51の幅d1と非圧搾用部分54の幅d4と低圧搾用部分52の幅d2との合計が、凸部50の幅d0である(d0=d1+d4+d2)。本実施形態では、高圧搾用部分51と非圧搾用部分54と低圧搾用部分52とが隣り合う方向において、高圧搾用部分51の幅d1は低圧搾用部分52の幅d2及び非圧搾用部分54の幅d4よりも大きい。非圧搾用部分54の幅d4は、低圧搾用部分52の幅d2よりも大きくても小さくてもよい。凸部の幅d0に対する非圧搾用部分54の幅d4と低圧搾用部分52の幅d2との和の割合(d4+d2)/d0の大きさとしては、例えば、0.2~0.5であり、0.3~0.4が好ましい。その場合、(d4+d2)の大きさとしては、例えば、0.25~2.5mm以下が挙げられ、0.5~1.5mmが好ましい。d4とd2との比は、例えば、2:8~8:2が挙げられ、3:7~7:3が好ましい。(d4+d2)/d0や(d4+d2)の大きさが大きすぎると、高圧搾部12による接合強度が高くなり難く、かつ、非圧搾部14及び低圧搾部12の体積が大きくなりすぎて、高圧搾部11から溶け出した材料を受け入れても、非圧搾部14及び低圧搾部12の密度が高くなり難くなり、非圧搾部14及び低圧搾部12の接合強度が高くなり難くなる。大きさが小さすぎると、非圧搾部14及び低圧搾部12の体積が小さくなりすぎて、非圧搾部14及び低圧搾部12が高圧搾部11から溶け出した材料を受け入れ難くなり、材料のはみだしが生じ易くなる。なお、高圧搾用部分51の幅d1及び低圧搾用部分52の幅d2については、基本的に、
図6の構成例と同様であるが、非圧搾用部分54の幅d4の分だけいずれかを小さくしてよい。
【0086】
高圧搾部11の厚さD11、非圧搾部14の厚さD14及び低圧搾部12の厚さD12としては、D11<D12<D14の大小関係を満たし、高圧搾部11から融け出した材料を非圧搾部14及び低圧搾部12で受け入れ可能とすることができれば、特に制限はない。D11としては、例えば、0.01~0.5mmが挙げられ、0.02~0.3mmが好ましい。D14としては、例えば、0.15~4mmが挙げられ、0.25~3mmが好ましい。D12としては、例えば、0.1~3mmが挙げられ、0.2~2mmが好ましい。高圧搾部11の幅は、概ね、高圧搾用部分51の幅d1から、切断工程S6で切断される部分(0.5~1mm程度)を除いた幅である。非圧搾部14及び低圧搾部12の幅は、それぞれ、非圧搾用部分54の幅d4及び低圧搾用部分52の幅d2と概ね同じ幅である。(なお、高圧搾用部分51、非圧搾部14及び低圧搾用部分52の奥行きは、
図2における第1本体部材10a1及び第2本体部材10a2の縁に沿って延びる融着部10bの平面視の形状と略同様である。)
【0087】
図10は、本実施形態に係るマスクの融着部及び融着装置の凸部の更に他の構成例を説明する模式図である。この構成例では、(第1本体部材対応領域110a1の)第1本体部材10a1と(第2本体部材対応領域110a2の)第2本体部材10a2とを接合する融着部10bに関し、融着装置の凸部50は、頂面50tに、相対的に高さが高い高圧搾用部分51と、相対的に高さが非常に低い非圧搾用部分54と、相対的に高さが低い低圧搾用部分52と、相対的に高さが非常に低い非圧搾用部分54と、相対的に高さが中程度の中圧搾用部分53と、を備えている。すなわち、融着装置の凸部50は、
図8の構成において、高圧搾用部分51と低圧搾用部分52との間、及び、低圧搾用部分52と中圧搾用部分53との間に、それぞれ非圧搾用部分54を挟んで形成されている。
【0088】
それら高圧搾用部分51の高さと非圧搾用部分54の高さとの差e4、高圧搾用部分51の高さと低圧搾用部分52の高さとの差e2、及び、高圧搾用部分51の高さと中圧搾用部分53の高さとの差e3により、第1本体部材10a1と第2本体部材10a2との積層体は、高圧搾用部分51で相対的に強く押圧され、非圧搾用部分54でほとんど押圧されず、低圧搾用部分52で相対的に弱く押圧され、非圧搾用部分54でほとんど押圧されず、中圧搾用部分53で相対的に中程度の強さで押圧される。このとき、並んだ非圧搾部14、低圧搾部12及び非圧搾部14は、高圧搾部11から移動してきた、溶融した材料を、非圧搾部14の内部に受け入れることができる。中圧搾部13は、高圧搾部11から移動してきた、溶融した材料が、非圧搾部14や低圧搾部12に受け入れられた後、更に非圧搾部14からはみ出そうになった時、堰となり、塞き止めて、その溶融した材料の移動を抑えることができる。それにより、中圧搾部13が非圧搾部14及び低圧搾部12と共に、第1本体部材10a1と第2本体部材10a2との境界の領域Qに、融着部10bからはみ出した材料が延出する事象を生じ難くすることができる。かつ、それと共に、非圧搾部14の厚さD14、低圧搾部12の厚さD12及び中圧搾部13の厚さD13が厚く、かつ、それらが高圧搾部11から溶け出した材料を吸収することで非圧搾部14、低圧搾部12及び中圧搾部13を合わせた接合強度をより高めることができる。
【0089】
凸部50、高圧搾用部分51、非圧搾用部分54、低圧搾用部分52、及び中圧搾用部分53の高さや幅、高圧搾部11、非圧搾部14、低圧搾部12、及び中圧搾部13の厚さや幅や位置関係については、
図6,
図8及び
図9の場合と同様であるので、それらの説明を省略する。
【0090】
(第2実施形態)
本実施形態に係るマスク1及びマスク1の製造方法について説明する。
図11は本実施形態に係るマスク1の構成例を示す図である。ただし、
図11はマスク1を二つ折りにした状態を示す側面図である。本実施形態のマスク1は、第1の実施形態のマスクと比較すると、融着部10bの横方向Wの端部の構成と、一対の耳掛け部20の形状及び接合が相違する。以下では、主にその相違点について説明する。
【0091】
横方向Wにおいて、融着部10bにおける耳掛け部20とは反対の側の端部は、先端部分を切断されていない。その代わりに、融着部10bよりも先の融着されていない部分が切断される。この場合、融着部10bよりも先の融着されていない部分に部材がはみ出す可能性はあるが、その部分は肌面側に向いていないため大きな影響はない。
【0092】
一対の耳掛け部20の各々は、マスク1を構成する複数の部材の一つであり、マスク本体10の横方向Wの両端部の各々に、融着部30で接合されている。具体的には、一対の耳掛け部20の各々は、略三角形の外形を有する環状のシート部材で形成されている。そして、その三角形の一辺に相当する、上下方向Lに沿った帯状の部分が、第1本体部材10a1及び第2本体部材10a2の各々における融着部10bと反対側の端部に、上下方向Lに沿って、融着部30で接合されている。
【0093】
このとき、融着部30において、一対の耳掛け部20の各々が肌面側に位置し、第1本体部材10a1及び第2本体部材10a2の各々が非肌側に位置している。この場合、一対の耳掛け部20の各々における横方向Wの融着部10b側の端縁から、材料がはみ出す可能性がある。したがって、融着部30では、高圧搾部11に対して、横方向Wの融着部10b側に低圧搾部12を配置することが好ましい。
【0094】
本実施形態では、融着部30は、小さな複数の融着部30aが格子状に配置されて形成されている。その場合、複数の融着部30aの各々に、
図6に記載されているような融着部及び融着装置の凸部の技術が適用される。ただし、複数の融着部30aの全てに、その技術が適用される必要はなく、少なくとも、マスク1の装着時に、溶けだした材料が着用者の肌面側に接触するおそれのある融着部30aにその技術を適用すればよい(例えば、全体の50%;複数の融着部30aのうちの横方向Wの融着部10b側(内側)のもの)。また、複数の融着部30aの各々の平面視の形状は、円形であるが、その例に限定されるものではなく、任意の形状、例えば楕円形や多角形や星形などであってもよい。また、複数の融着部30aの配置方法は、格子状であるが、その例に限定されるものではなく、任意の配置、例えば千鳥格子状などの配置であってもよい。また、本実施形態の融着部30に、
図8~
図10に記載の融着部及び融着装置の凸部の技術が適用されてもよい。
【0095】
なお、本実施形態の融着部10bについては、
図3~
図5に示される第1実施形態の融着部10bと同様である。なお、本実施形態の融着部10bに、
図8~
図10に記載の融着部及び融着装置の凸部の技術が適用されていてもよい。
【0096】
マスク1の製造方法については、第1実施形態の融着部10bと同様である。
【0097】
本実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0098】
(第3実施形態)
本実施形態に係るマスク1及びマスク1の製造方法について説明する。
図12は本実施形態に係るマスク1の構成例を示す背面図である。本実施形態のマスク1は、第1の実施形態のマスクと比較すると、マスク本体10の構成及び一対の耳掛け部20の形状及び接合が相違する。以下では、主にその相違点について説明する。
【0099】
マスク本体10は、マスク1を構成する複数の部材の一つであり、横方向Wに長い略矩形状を有し、一層又は複数層の不織布を含むシート部材で形成されている。上述のシート部材は上下方向Lに折り畳まれた複数の襞部を備えている。
【0100】
一対の耳掛け部20の各々は、マスク1を構成する複数の部材の一つであり、マスク本体10の横方向Wの両端部の各々に、融着部30で接合されている。具体的には、一対の耳掛け部20の各々は、略矩形の外形を有する環状のシート部材で形成されている。そして、それらの矩形の一辺に相当する、上下方向Lに沿った帯状の部分が、マスク本体10の横方向Wの両端部の各々に、上下方向Lに沿って、融着部30で接合されている。
【0101】
図13はマスク1の装着の状態を説明する図である。
図12のマスク1を装着するとき、装着者は、一対の耳掛け部20を図面の手前側に開き、一対の耳掛け部20に覆われ、一対の耳掛け部20に接していたマスク本体10の表面を顔面に向けると共に、一対の耳掛け部20の耳孔を耳に掛ける。その後、マスク本体10の横方向Wの中央付近で、複数の襞部を上下方向Lに展開する。
【0102】
このとき、
図13において、マスク本体10と耳掛け部20との境界の領域Q(融着部30の横方向Wの内側の端縁の領域)において、融着部30から、溶け出した材料がはみ出した状態になってしまう事象が起こり得る。そこで、本実施形態では、融着部30に
図6に記載の融着部及び融着装置の凸部の技術が適用されていている。すなわち、低圧搾部32(図示されず)は、マスク1が装着者に装着されるときに、高圧搾部31(図示されず)よりも、装着者の肌面側(
図13におけるQと示された側)に位置する。そのため、その事象を抑制できる。
【0103】
本実施形態では、融着部30は、小さな複数の融着部が間欠的に線状に配置されて形成されている。その場合、複数の融着部の各々に、
図6に記載されているような融着部及び融着装置の凸部の技術が適用される。ただし、複数の融着部の全てに、その技術が適用される必要はなく、少なくとも、マスク1の装着時に、溶けだした材料が着用者の肌面側に接触するおそれのある融着部にその技術を適用すればよい(例えば、全体の50%)。また、複数の融着部の各々の平面視の形状は、線状であるが、その例に限定されるものではなく、任意の形状、例えば円形や楕円形や多角形や星形などであってもよい。また、小さな複数の融着部の配置方法は、線状であるが、その例に限定されるものではなく、任意の配置、例えば格子状や千鳥格子状などの配置であってもよい。また、本実施形態の融着部30に、
図8~
図10に記載の融着部及び融着装置の凸部の技術が適用されてもよい。
【0104】
マスク1の製造方法については、マスク本体10の横方向Wの両端部の各々と一対の耳掛け部20の各々とを融着部30で接合するとき、第1実施形態の形成工程S5のような融着を行えば、その他の工程については、公知の工程を用いることができる。
【0105】
本実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0106】
このように、マスク1では、マスク本体10と一対の耳掛け部20との接合は、融着部30で形成されており、低圧搾部32(図示されず)は、マスク1が装着者に装着されるとき、高圧搾部31(図示されず)よりも、装着者の肌面側(横方向Wの内側)に位置する。それにより、融着部30において、溶融した材料が融着部30の肌面側にはみ出すことが抑制されており、かつ、低圧搾部32(図示されず)の接合強度がより高められている。その結果、得られたマスク1では、はみ出した材料が装着者の肌と接触して装着者が違和感を覚えることを抑制でき、かつ、融着部30の接合が剥がれることを抑制できる。
【0107】
(第4実施形態)
本実施形態に係るマスク1及びマスク1の製造方法について説明する。
図14は本実施形態に係るマスク1の構成例を示す正面図である。本実施形態のマスク1は、第1の実施形態のマスクと比較すると、マスク本体10の構成及び一対の耳掛け部20の形状及び接合が相違する。以下では、主にその相違点について説明する。
【0108】
マスク本体10は、マスク1を構成する複数の部材の一つであり、横方向Wに長い略矩形状を有し、一枚又は複数枚の不織布を含むシート部材で形成されている。上述のシート部材は上下方向Lに折り畳まれた複数の襞部を備えている。
【0109】
一対の耳掛け部20の各々は、マスク1を構成する複数の部材の一つであり、マスク本体10の横方向Wの両端部の各々に、融着部30で接合されている。具体的には、一対の耳掛け部20の各々は、略矩形の外形を有する環状のシート部材で形成されている。そして、それらの矩形の一辺に相当する、上下方向Lに沿った帯状の部分が、マスク本体10の横方向Wの両端部の各々に、上下方向Lに沿って、融着部30で接合されている。
【0110】
図15はマスク1の装着の状態を説明する図である。
図14のマスク1を装着するとき、装着者は、一対の耳掛け部20を図面の手前側に開き、一対の耳掛け部20に覆われ、一対の耳掛け部20に接していたマスク本体10の表面を外側に向け、その裏側の表面を顔面に向けると共に、一対の耳掛け部20の耳孔を耳に掛ける。その後、マスク本体10の横方向Wの中央付近で、複数の襞部を上下方向Lに展開する。
【0111】
このとき、
図15において、マスク本体10と耳掛け部20との境界の領域Q(マスク本体10及び一対の耳掛け部20の横方向Wの外側の端縁の領域)において、融着部30から、溶け出した材料がはみ出した状態になってしまう事象が起こり得る。そこで、本実施形態では、融着部30に
図6に記載の融着部及び融着装置の凸部の技術が適用されていている。すなわち、低圧搾部32(図示されず)は、マスク1が装着者に装着されるときに、高圧搾部31(図示されず)よりも、装着者の肌面側(
図15におけるQと示された側)に位置する。そのため、その事象を抑制できる。
【0112】
本実施形態では、融着部30は、小さな複数の融着部30aが格子状に配置されて形成されている。その場合、複数の融着部30aの各々に、
図6に記載されているような融着部及び融着装置の凸部の技術が適用される。ただし、複数の融着部30aの全てに、その技術が適用される必要はなく、少なくとも、マスク1の装着時に、溶けだした材料が着用者の肌面側に接触するおそれのある融着部30aにその技術を適用すればよい(例えば、全体の50%;複数の融着部30aのうちの横方向Wの外側のもの)。また、複数の融着部30aの各々の平面視の形状は、円形であるが、その例に限定されるものではなく、任意の形状、例えば楕円形や多角形や星形などであってもよい。また、複数の融着部30aの配置方法は、格子状であるが、その例に限定されるものではなく、任意の配置、例えば千鳥格子状などの配置であってもよい。また、本実施形態の融着部30に、
図8~
図10に記載の融着部及び融着装置の凸部の技術が適用されてもよい。
【0113】
なお、製造時に、マスク本体10の横方向Wの両端部の各々と一対の耳掛け部20の各々とを融着部30で接合した後、融着部30における横方向Wの外側の端部(左側の融着部30における左側の端部、右側の融着部30における右側の端部)は、余剰部分として、切断される場合がある。その場合、融着部30での材料がはみ出した部分が切断されて除去されるとも考え得る。しかし、本実施形態の融着部30は、複数の融着部30aで構成されており、各融着部30aで高圧搾部11による材料のはみ出しの可能性がある。したがって、余剰部分が切断されるとしても、残りの融着部30aについて、
図6に記載されているような融着部及び融着装置の凸部の技術を適用する。
【0114】
マスク1の製造方法については、マスク本体10の横方向Wの両端部の各々と一対の耳掛け部20の各々とを融着部30で接合するとき、第1実施形態の形成工程S5のような融着を行えば、その他の工程については、公知の工程を用いることができる。
【0115】
本実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0116】
(第5実施形態)
本実施形態に係るマスク1及びマスク1の製造方法について説明する。
図16は本実施形態に係るマスク1の構成例を示す背面図である。本実施形態のマスク1は、第1の実施形態のマスクと比較すると、マスク本体10の構成が相違する。以下では、主にその相違点について説明する。
【0117】
マスク本体10は、横方向Wに長い略六角形状を有し、一枚又は複数枚の不織布を含むシート部材で形成されている。
【0118】
マスク本体10は、複数の部材としての、マスク本体を区画する第1本体部材10a1と、二つの第2本体部材10a2と、を含んでいる。第1本体部材10a1は、装着者の顔面の正面を覆う部材である。二つの第2本体部材10a2の各々は、顔面と第1本体部材10a1とで形成される空間の上下方向Lの上側及び下側を覆う部材である。二つの第2本体部材10a2の各々は、第1本体部材10a1の上下方向Lの両端部、すなわち上側の端部及び下側の端部の各々に、いずれも融着部10b1、10b2により接合されている。
その際、第1本体部材10a1における上下方向Lの上側の端縁と、二つの第2本体部材10a2のうちの上下方向Lの上側に配置される第2本体部材10a2における上下方向Lの上側の端縁とが、融着部としての融着部10b1で融着(接合)される。それと共に、第1本体部材10a1の横方向Wの両端部における、上下方向Lの上側のやや下よりの部分と、上下方向Lの上側に配置される第2本体部材10a2の横方向Wの両端部における、上下方向Lの上側のやや下よりの部分と、が、融着部としての融着部10b2で融着(接合)される。
同様に、第1本体部材10a1における上下方向Lの下側の端縁と、二つの第2本体部材10a2のうちの上下方向Lの下側に配置される第2本体部材10a2における上下方向Lの下側の端縁とが、融着部としての融着部10b1で融着(接合)される。それと共に、第1本体部材10a1の横方向Wの両端部における、上下方向Lの下側のやや上よりの部分と、上下方向Lの下側に配置される第2本体部材10a2の横方向Wの両端部における、上下方向Lの下側のやや上よりの部分と、が、融着部としての融着部10b2で融着(接合)される。
【0119】
図17はマスク1の装着の状態を説明する図である。
図16のマスク1を装着するとき、装着者は、二つの第2本体部材10a2のうちの上下方向Lの上側に配置される第2本体部材10a2を、上下方向Lの上側に開く。次いで、二つの第2本体部材10a2のうちの上下方向Lの下側に配置される第2本体部材10a2を、上下方向の下側に開く。それにより、第1本体部材10a1と二つの第2本体部材10a2とで囲まれた空間が形成される。そして、その空間が、装着者の顔面の正面に来るように、すなわち装着者の鼻及び口を覆うようにして、マスク1を装着する。
【0120】
このとき、
図17において、マスク本体10の第1本体部材10a1と二つの第2本体部材10a2の各々との境界の領域Q(融着部10b1、10b2の上下方向Lの内側の端縁の領域)において、融着部10b1、10b2から、溶け出した材料がはみ出した状態になってしまう事象が起こり得る。そこで、本実施形態では、融着部10b1、10b2に
図5に記載の融着部及び融着装置の凸部の技術が適用されていているので、その事象を抑制できる。なお、融着部10b1、10b2の全部について、
図5に記載の融着部及び融着装置の凸部の技術を適用する必要はなく、溶け出した材料のはみ出し具合に応じて、融着部10b1及び融着部10b2の少なくとも一方、融着部10b1及び融着部10b2の各々の一部において、その技術を適用してもよい。
【0121】
本実施形態では、融着部10b1、10b2は、小さな複数の融着部が間欠的に線状に配置されて形成されている。その場合、複数の融着部の各々に、
図6に記載されているような融着部及び融着装置の凸部の技術が適用される。ただし、複数の融着部の全てに、その技術が適用される必要はなく、少なくとも、マスク1の装着時に、溶けだした材料が着用者の肌面側に接触するおそれのある融着部にその技術を適用すればよい(例えば、全体の50%)。また、複数の融着部の各々の平面視の形状は、それぞれ矩形、円形であるが、その例に限定されるものではなく、任意の形状、例えば円形や楕円形や矩形や多角形や星形などであってもよい。また、複数の融着部の配置方法は、線状であるが、その例に限定されるものではなく、任意の配置、例えば格子状や千鳥格子状などの配置であってもよい。また、本実施形態の融着部30に、
図8~
図10に記載の融着部及び融着装置の凸部の技術が適用されてもよい。
【0122】
また、マスク本体10(第1本体部材10a1及び二つの第2本体部材10a2の各々)の横方向Wの両端部の各々と一対の耳掛け部20の各々とを融着部30で接合するとき、
図6に記載の融着部及び融着装置の凸部の技術が適用されてもよい。
【0123】
マスク1の製造方法については、第1本体部材10a1の上下方向Lの両端部の各々と上下方向Lの上側の第2本体部材10a2における上下方向Lの上側の端部、及び、上下方向Lの下側の第2本体部材10a2における上下方向Lの下側の端部とを融着部10b1,10b2で接合するとき、第1実施形態の形成工程S5のような融着を行えば、その他の工程については、公知の工程を用いることができる。
【0124】
また、マスク本体10の横方向Wの両端部の各々と一対の耳掛け部20とを融着部30で接合するとき、第1実施形態の形成工程S5のような融着を行えば、その他の工程については、公知の工程を用いることができる。
【0125】
なお、第1本体部材10a1の材料としては、マスク1の装着者の口元が見えるように、透明なシート部材を用いてもよい。その際、マスク1のフィルタとしての機能は、第1本体部材10a1の上下方向Lの両端部に融着された二つの第2本体部材10a2が担うことができる。その場合でも、上述されたように、複数の融着部10b1、10b2の各々に、
図6に記載されているような融着部及び融着装置の凸部の技術が適用される。
【0126】
本実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0127】
(第6実施形態)
本実施形態に係るマスク1及びマスク1の製造方法について説明する。
図18は本実施形態に係るマスク1の構成例を示す正面図である。本実施形態のマスク1は、第1の実施形態のマスクと比較すると、マスク本体10の構成及び一対の耳掛け部20の形状及び接合が相違する。以下では、主にその相違点について説明する。
【0128】
マスク本体10は、横方向Wに長い略六角形状を有し、一層又は複数層の不織布を含むシート部材と、マスク1の装着者の口元が見えるように透明なシート部材とで形成されている。
【0129】
マスク本体10は、マスク1を構成する複数の部材としての、マスク本体を区画する第1本体部材10a1と、第2本体部材10a2と、を含んでいる。第1本体部材10a1は、装着者の顔面の正面を覆う透明なシート部材である。第2本体部材10a2は、第1本体部材10a1の周りを囲む枠状の部材である。第2本体部材10a2は、第1本体部材10a1の周縁部分に、融着部により接合されている。
【0130】
一対の耳掛け部20の各々は、複数の部材の一つであり、マスク本体10の横方向Wの両端部の各々に、融着部30で接合されている。具体的には、一対の耳掛け部20の各々は、略矩形の外形を有する環状のシート部材で形成されている。そして、それらの矩形の一辺に相当する、上下方向Lに沿った帯状の部分が、マスク本体10の横方向Wの両端部の各々に、上下方向Lに沿って、融着部30で接合されている。
【0131】
図19はマスク1の装着の状態を説明する図である。
図18のマスク1を装着するとき、装着者は、マスク本体10を顔面にあてがい、一対の耳掛け部20の耳孔を耳に掛けることにより、マスク1を装着する。
【0132】
このとき、
図19において、マスク本体10の第1本体部材10a1と第2本体部材10a2との境界の領域Q(融着部10bの内側の端縁の領域)において、融着部10bから、溶け出した材料がはみ出した状態になってしまう事象が起こり得る。そこで、本実施形態では、融着部10bに
図5に記載の融着部及び融着装置の凸部の技術が適用されていているので、その事象を抑制できる。なお、融着部10bの全部について、
図5に記載の融着部及び融着装置の凸部の技術を適用する必要はなく、溶け出した材料のはみ出し具合に応じて、融着部10bの一部において、その技術を適用してもよい。
【0133】
本実施形態では、融着部10bは、小さな複数の融着部が間欠的に線状に配置されて形成されている。その場合、複数の融着部の各々に、
図5に記載されているような融着部及び融着装置の凸部の技術が適用される。ただし、複数の融着部の全てに、その技術が適用される必要はなく、少なくとも、マスク1の装着時に、溶けだした材料が着用者の肌面側に接触するおそれのある融着部にその技術を適用すればよい(例えば、全体の50%)。また、複数の融着部の各々の平面視の形状は、それぞれ線状であるが、その例に限定されるものではなく、任意の形状、例えば円形や楕円形や矩形や多角形や星形などであってもよい。また、複数の融着部の配置方法は、線状であるが、その例に限定されるものではなく、任意の配置、例えば格子状や千鳥格子状などの配置であってもよい。また、本実施形態の融着部10bに、
図8~
図10に記載の融着部及び融着装置の凸部の技術が適用されてもよい。
【0134】
また、マスク本体10(第1本体部材10a1及び第2本体部材10a2)の横方向Wの両端部の各々と一対の耳掛け部20の各々とを融着部30で接合するとき、
図6に記載の融着部及び融着装置の凸部の技術が適用されてもよい。
【0135】
マスク1の製造方法については、第1本体部材10a1の周縁部分に第2本体部材10a2を融着部10bで接合するとき、第1実施形態の形成工程S5のような融着を行えば、その他の工程については、公知の工程を用いることができる。
【0136】
また、マスク本体10の横方向Wの両端部の各々と一対の耳掛け部20とを融着部30で接合するとき、第1実施形態の形成工程S5のような融着を行えば、その他の工程については、公知の工程を用いることができる。
【0137】
本実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0138】
(資材について)
各実施形態では、マスク本体10(第1本体部材10a1、第2本体部材10a2など)は、肌側の内側シートと、非肌側の外側シートと、内側シートと外側シートとの間に位置するフィルタシートとを備えた積層体である。ただし、積層体は、その例に限定されるものでなく、内側シートの機能も有するフィルタシートと外側シートとの積層体、外側シートの機能も有するフィルタシートと内側シートとの積層体、又は、内側シート及び外側シートの機能も有するフィルタシート(この場合も積層体と呼ぶこととする。)であってもよい。なお、内側シート、外側シート、及びフィタシートは、いずれも一層(一枚)でもよいし、二層(二枚)以上でもよい。
【0139】
内側シート、外側シート及びフィルタシートの材料としては、マスク本体に使用可能で、熱融着可能な材料であれば特に制限はないが、例えば、不織布又は不織布を含むシート部材が挙げられる(以下、単に「不織布等」とも記す)。不織布としては、例えば、スパンレース不織布、エアスルー不織布、スパンボンド不織布、エアレイド不織布、メルトブローン不織布、フラッシュ紡糸不織布、サーマルボンド不織布、カーディング不織布、又はこれらのいくつかを組み合わせた不織布が挙げられる。不織布を構成する繊維としては、例えば、合成樹脂繊維(例示:ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-アクリル酸エチル共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体、アイオノマー樹脂等のポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタラート、ポリトリメチレンテレフタラート、ポリ乳酸等のポリエステル;ナイロン等のポリアミド等)等が挙げられる。なお、天然繊維(例示:羊毛、コットン)や再生繊維(例示:レーヨン、アセテート)が一部含まれてもよい。不織布を構成する繊維は、単一成分で構成されていてもよいし、芯・鞘型繊維、サイド・バイ・サイド型繊維、島/海型繊維等の複合繊維で構成されていてもよい。各シートは、単層の不織布等でも良いし、単層の不織布等が積層された積層体でもよい。内側シート、外側シート及びフィルタシートの坪量としては、例えば10~100g/m2が挙げられる。
【0140】
各実施形態において、耳掛け部20の材料としては、装着者の耳にかけられれば特に制限はないが、例えば断面が円形の丸ゴムや矩形の平ゴムのような弾性部材が挙げられる。弾性部材としては、例えば、合成樹脂繊維(伸縮性を有する繊維でも可)を織って又は編んで形成した織ゴム又は編ゴムが挙げられる。中でも、織ゴムは伸ばしても幅が変わらないので、耳掛け部20が耳に掛けられるときに細くならず、織ゴムにおける使用者の耳に当接する部分の面積を十分に確保することができ、マスク1の着け心地を向上できる。
【0141】
耳掛け部20の材料として不織布を用いる場合(例示:第2~4実施形態など)、その不織布には、特に制限はないが、ポリオレフィン繊維等の伸長性繊維とエラストマー繊維等の伸縮性繊維とを含む、横方向Wに伸縮性を有する伸縮性不織布であることが好ましい。この場合、伸縮性不織布は、例えば、横方向Wにギア延伸加工が行われる(上下方向Lにギア延伸の溝が沿うように加工が行われる)ことにより横方向Wに伸縮性が付与されている。
【0142】
伸長性繊維は、特に限定されないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン系樹脂からなるポリオレフィン繊維やこれらのポリオレフィン系樹脂を複数種類組み合わせてなる芯鞘型の複合繊維などが挙げられる。なお、これらの繊維は単独で用いても、二種類以上の繊維を併用してもよい。また、伸縮性繊維は、特に限定されないが、例えば、ポリウレタン系エラストマー繊維、ポリスチレン系エラストマー繊維、ポリオレフィン系エラストマー繊維、ポリアミド系エラストマー繊維、ポリエステル系エラストマー繊維、ゴム系エラストマー繊維等のエラストマー繊維などが挙げられる。なお、これらのエラストマー繊維は単独で用いても、二種類以上の繊維を併用してもよい。伸縮性不織布の伸長性繊維と伸縮性繊維の混合割合(質量比)は、特に限定されず、例えば、80:20~25:75が挙げられる。
【0143】
第5~6実施形態において、第1本体部材10a1に透明なシート部材を用いる場合、透明なシート部材の材料としては、透明で熱融着可能な材料であれば、特に制限はないが、例えば、ポリエチレンテレフタラート、ポリカーボネートなどの透明性を有するシート部材(フィルム部材)が挙げられる。
【0144】
なお、本明細書において、シートの坪量及び厚さ、各圧搾部の厚さは以下の方法により測定されるものとする。
<シートの坪量>
測定対象のシートの任意の場所から、5cm×5cmの試料を10個切り出す。次いで、試料の質量を測定する。次いで、測定した質量を試料の面積で割り算して試料の目付け(坪量)を算出した。10個の試料の目付け(坪量)を平均した値をシートの目付け(坪量)とする。
<シートの厚さ>
15cm2の測定子を備えた厚さ計 型式FS-60DS(株式会社大栄化学精器製作所製)を用い、3g/cm2の測定荷重の条件でシートの厚さを測定する。測定対象のシートの任意の3か所の厚さを測定し、3か所の厚さの平均値をシートの厚さとする。
<各圧搾部の厚さ>
(i)測定対象の試料としては、マスクの製品そのものを用いる。ただし、融着部を含む3cm×3cmの領域を切り出して試料としてもよい。
(ii)測定装置として、マイクロスコープ(キーエンス社製:VHX-7000)を準備する。そして、測定したい面を上にした試料を、測定装置の試料台に設置し、試料の測定したい部分の位置を、測定装置の測定領域に合わせる。
(iii)倍率30倍で深度合成を行い、寸法を測定することで厚みを求める(倍率は測定対象により適宜調整する)
(iv)測定したい面の裏面にも凹みが存在する場合には、同一箇所を裏面からも測定し、両測定結果から厚みを求める。
なお、別の測定方法として、断面から測定することも可能である。例えば、以下に示す方法である。
<各圧搾部の厚さ(その2)>
(i)マスクから融着部を含む1cm×1cmの領域を鋭利な刃物(例示:カッターナイフ)で切り出して試料とする。
(ii)電子顕微鏡(株式会社日立ハイテク製:FlexSEM1000)の試料台に、融着部の切断面が上側に向くように試料を載置する。
(iii)倍率100倍で試料の切断面の画像を撮影する。
(iv)撮影画像において、切断面における各圧搾部を特定し、その厚さを求める。
【実施例0145】
以下、実施例及び比較例を例示して本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0146】
(1)試料
実施例1~6のマスクとして、
図1~
図2に示すような第1実施形態のマスクを作製した。それらのマスクの融着部は、
図3(a)の左側の図に示すような融着部(高圧搾部+低圧搾部)である。一方、比較例1~3のマスクとして、外観的には、
図1~
図2示すような第1実施形態のマスクと同様だが、それらの融着部が
図3(b)の左側の図に示すような従来技術の融着部(高圧搾部のみ)と同じである、マスクを作製した。
【0147】
(2)評価方法
(a)融着部での材料のはみ出し
実施例1~6及び比較例1~3の各マスクについて、第1本体部材と第2本体部材とを接合している融着部(10bに相当)での材料のはみ出しの有無を、
図3(a)の右側の図のように、第1本体部材と第2本体部材とを互いに開いた状態にして目視で調べた。
(b)融着部の接合強度
実施例1~6及び比較例1~3の各マスクについて、第1本体部材と第2本体部材とを接合している融着部(10bに相当)での接合強度を次の試験方法により測定した。
(i)引張試験機(島津製作所(株)製、オートグラフ、型式AGS-1kNG)を準備する。
(ii)実施例1~6及び比較例1~3の各々のマスクより、融着部及びその融着部で接合された第1本体部材及び第2本体部材を含む部分を、15mm幅の矩形状にサンプルを切り出す。ただし、
図2に示すように、各マスクにおいて、融着部を上下方向に三等分に区画し、各区画の中央の部分から、融着部の長さが15mm長となるように、鼻付近の部分A1、中央の部分A2、及び顎付近の部分A3(以下、それぞれ「鼻部」、「中央部」、「顎部」とも記す。)をサンプルとして切り出す。
(iii)サンプルにおいて、第1本体部材における融着部と反対側の端部と、第2本体部材における融着部と反対側の端部とを、それぞれ引張試験機のチャック(チャック間距離20mm)に挟む。
(iv)引張試験機にて、サンプルの第1本体部材と第2本体部材とを、互いに180°方向に剥離するように引っ張り、荷重値を測定する。
(v)測定された荷重値の最大値を接合強度(N/15mm)とする。
【0148】
(3)評価結果
(a)融着部での材料のはみ出し
実施例1~6の各マスクでは、いずれも融着部での材料のはみ出しは見られなかった。しかし、比較例1~3の各マスクでは、装着者に影響を及ぼすとはいえないものの、材料のはみ出しが見られた。
(b)融着部の接合強度
評価結果を下記の表1に示す。実施例1~6のマスクでは、いずれも接合強度が35N/15mm超と非常に高くなっていた。一方、比較例1~3のマスクでは、接合強度はいずれもマスクの規格である15N/15mmを満たすものの、35N/15mm以下となり低い値にとどまった。
【0149】
【0150】
本発明のマスク及びその製造方法は、上述した各実施形態に制限されることなく、本発明の目的、趣旨を逸脱しない範囲内及び技術的矛盾を生じない範囲内において、各実施形態の技術や当該技術分野の公知の技術の組合せや置換等が可能である。