(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024075750
(43)【公開日】2024-06-04
(54)【発明の名称】光スイッチングシステム、光通信システム及び光通信方法
(51)【国際特許分類】
H04L 49/112 20220101AFI20240528BHJP
H04L 12/44 20060101ALI20240528BHJP
H04B 10/27 20130101ALI20240528BHJP
【FI】
H04L49/112
H04L12/44 300
H04B10/27
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024049776
(22)【出願日】2024-03-26
(62)【分割の表示】P 2021566825の分割
【原出願日】2020-09-29
(31)【優先権主張番号】PCT/JP2019/051305
(32)【優先日】2019-12-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】PCT/JP2020/005782
(32)【優先日】2020-02-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】PCT/JP2020/033760
(32)【優先日】2020-09-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り NTT技術ジャーナル、「オールフォトニクス・ネットワークを支える光フルメッシュネットワーク構成技術」、第32巻、第3号、第18~21頁 発行日 2020年3月1日 日本電信電話株式会社 NTT技術ジャーナルの掲載アドレス https://journal.ntt.co.jp/article/1272 https://journal.ntt.co.jp/wp-content/uploads/2020/05/JN20200318.pdf
(71)【出願人】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金井 拓也
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 裕生
(72)【発明者】
【氏名】可児 淳一
(72)【発明者】
【氏名】金子 慎
(72)【発明者】
【氏名】本田 一暁
(72)【発明者】
【氏名】吉野 學
(72)【発明者】
【氏名】吉田 智暁
(57)【要約】
【課題】光増幅器における異常検出精度を向上させる。
【解決手段】光スイッチングシステムは、光スイッチと、波長管理制御部と、光スイッチ制御部とを備える。光スイッチは、複数の伝送路と接続され、いずれかの伝送路から入力した光信号を他の伝送路へ出力する。波長管理制御部は、加入者装置に通信先までの経路において空きの波長を割り当てる。光スイッチ制御部は、波長が割り当てられた加入者装置から送信された光信号を、通信先への経路上の転送先に応じた伝送路に出力するよう光スイッチを制御する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の伝送路と接続され、いずれかの前記伝送路から入力した光信号を他の前記伝送路へ出力する光スイッチと、
加入者装置に通信先までの経路において空きの波長を割り当てる波長管理制御部と、
波長が割り当てられた前記加入者装置から送信された光信号を、前記通信先への前記経路上の転送先に応じた伝送路に出力するよう前記光スイッチを制御する光スイッチ制御部と、
を備える光スイッチングシステム。
【請求項2】
複数の伝送路と接続され、いずれかの前記伝送路から入力した光信号を他の前記伝送路へ出力する光スイッチと、
加入者装置に通信先までの経路において空きの波長を動的に割り当てる波長管理制御部と、
前記伝送路から入力した光信号を、入力した前記光信号を送信した前記加入者装置と入力した前記光信号の波長との組み合わせにより特定される通信先に応じた前記伝送路に出力するよう前記光スイッチを制御する光スイッチ制御部と、
を備える光スイッチングシステム。
【請求項3】
複数の伝送路と接続され、いずれかの前記伝送路から入力した光信号を他の前記伝送路へ出力する光スイッチと、
加入者装置に通信先に応じた波長を割り当てる波長管理制御部と、
波長が割り当てられた前記加入者装置から送信された光信号を、前記通信先への経路上の転送先に応じた伝送路に出力するよう前記光スイッチを制御する光スイッチ制御部と、
を備え、
前記光スイッチ制御部は、前記波長管理制御部が前記加入者装置に通信先に応じた波長を割り当てている間、前記加入者装置と前記波長管理制御部との間で光信号を送受信するよう前記光スイッチを制御する、
光スイッチングシステム。
【請求項4】
複数の伝送路と接続され、いずれかの前記伝送路から入力した光信号を他の前記伝送路へ出力する光スイッチと、
加入者装置に通信先に応じた波長を動的に割り当てる波長管理制御部と、
前記伝送路から入力した光信号を、入力した前記光信号を送信した前記加入者装置と入力した前記光信号の波長との組み合わせにより特定される通信先に応じた前記伝送路に出力するよう前記光スイッチを制御する光スイッチ制御部と、
を備え、
前記光スイッチ制御部は、前記波長管理制御部が前記加入者装置に通信先に応じた波長を割り当てている間、前記加入者装置と前記波長管理制御部との間で光信号を送受信するよう前記光スイッチを制御する、
光スイッチングシステム。
【請求項5】
複数の加入者装置と、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の光スイッチングシステムとを有する光通信システムであって、
前記加入者装置は、
前記光スイッチングシステムにより割り当てられた波長の光信号を送信する光送信部と、
前記光スイッチングシステムにより割り当てられた波長の光信号を受信する光受信部とのいずれか一方又は両方を備える、
光通信システム。
【請求項6】
複数の伝送路と接続される光スイッチが、いずれかの前記伝送路から入力した光信号を他の前記伝送路へ出力する転送ステップと、
波長管理制御部が、加入者装置に通信先までの経路において空きの波長を割り当てる割当ステップと、
光スイッチ制御部が、前記転送ステップにおいて、波長が割り当てられた前記加入者装置から送信された光信号を、前記通信先への前記経路上の転送先に応じた伝送路に出力するよう前記光スイッチを制御する光スイッチ制御ステップと、
を有する光通信方法。
【請求項7】
複数の伝送路と接続される光スイッチが、いずれかの前記伝送路から入力した光信号を他の前記伝送路へ出力する転送ステップと、
波長管理制御部が、加入者装置に通信先までの経路において空きの波長を動的に割り当てる割当ステップと、
光スイッチ制御部が、前記転送ステップにおいて、前記伝送路から入力した光信号を、入力した前記光信号を送信した前記加入者装置と入力した前記光信号の波長との組み合わせにより特定される通信先に応じた前記伝送路に出力するよう前記光スイッチを制御する光スイッチ制御ステップと、
を有する光通信方法。
【請求項8】
複数の伝送路と接続される光スイッチが、いずれかの前記伝送路から入力した光信号を他の前記伝送路へ出力する転送ステップと、
波長管理制御部が、加入者装置に通信先に応じた波長を割り当てる割当ステップと、
光スイッチ制御部が、前記割当ステップにおいて前記波長管理制御部が前記加入者装置に通信先に応じた波長を割り当てている間、前記加入者装置と前記波長管理制御部との間で光信号を送受信するよう前記光スイッチを制御する第一光スイッチ制御ステップと、
前記光スイッチ制御部が、前記転送ステップにおいて、波長が割り当てられた前記加入者装置から送信された光信号を、前記通信先への経路上の転送先に応じた伝送路に出力するよう前記光スイッチを制御する第二光スイッチ制御ステップと、
を有する光通信方法。
【請求項9】
複数の伝送路と接続される光スイッチが、いずれかの前記伝送路から入力した光信号を他の前記伝送路へ出力する転送ステップと、
波長管理制御部が、加入者装置に通信先に応じた波長を動的に割り当てる割当ステップと、
光スイッチ制御部が、前記割当ステップにおいて前記波長管理制御部が前記加入者装置に通信先に応じた波長を割り当てている間、前記加入者装置と前記波長管理制御部との間で光信号を送受信するよう前記光スイッチを制御する第一光スイッチ制御ステップと、
前記光スイッチ制御部が、前記転送ステップにおいて、前記伝送路から入力した光信号を、入力した前記光信号を送信した前記加入者装置と入力した前記光信号の波長との組み合わせにより特定される通信先に応じた前記伝送路に出力するよう前記光スイッチを制御する第二光スイッチ制御ステップと、
を有する光通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光スイッチングシステム、光通信システム及び光通信方法に関する。
本願は、2019年12月26日に出願されたPCT/JP2019/051305、2020年2月14日に出願されたPCT/JP2020/005782及び2020年9月7日に出願されたPCT/JP2020/033760に対して優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
FTTH(Fiber To The Home)やモバイルサービスによる高速インターネットを利用するユーザの数は増大し続けている。高速インターネットは、人々の生活に欠かすことのできないものとなっている。一方で、FTTHやモバイルサービスを提供するバックボーンネットワークでは、それぞれのサービスごとにネットワークが独立して構築されている。そのため、運用面においては、非効率である。そこで、1つの装置で複数のサービスを収容するアクセスネットワークが提案されている(例えば、非特許文献1参照)。さらに、マルチサービスの収容が可能なアクセスネットワークを実現するために、複数の波長を利用するWDM-PON(Wavelength Division Multiplexing PON)やTDM-PON(Time Division Multiplexing PON)等のPON(Passive Optical Network:受動光ネットワーク)がITU-T(International Telecommunication Union Telecommunication Standardization Sector)によって標準化されている(例えば、非特許文献2参照)。
【0003】
一方で、現有の光アクセスシステムでは、加入者側の装置と局舎の間の通信は、更に上位であるコアネットワークに接続されている。加入者側の装置は、例えば、ONU(Optical Network Unit)である。また、コアネットワークへの接続は、局舎側の装置内にある終端装置を介して行われる。終端装置は、例えば、OLT(Optical Line Terminal)である。パケット交換でコアネットワークに接続する光アクセスでは、信号に対してユーザ情報や、宛先情報を付与又は削除する処理、ルーティング処理などを行っており、ユーザ情報や、宛先情報を付与又は削除する際には、光信号を一度電気信号に変換する場合もある。そのため、通信にある程度の遅延が発生する。さらに、データ量が多くなると、バッファに信号を溜め、優先度制御などを行うこともある。これにより、遅延がさらに大きくなる。遅延が大きくなると、光サービスの品質が大きく下がる。従って、可能な限り遅延を小さくすることが重要である。
【0004】
光サービスの品質を向上させ、様々なサービスを光アクセスネットワークで提供するためには、発生する遅延を削減する必要がある。光信号を電気信号に変換することなくルーティングなどの処理を行える光スイッチなどを用いることにより、遅延を大きく削減することができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Shunji Kimura,"Elastic Lambda Aggregation Network (EλAN) -Proposal for Future Optical Access Network-",2013 18th OptoElectronics and Communications Conference held jointly with 2013 International Conference on Photonics in Switching(OECC/PS),WP4-4,2013年
【非特許文献2】"ITU-T G.989.1",International Telecommunication Union,2013年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、光スイッチを用いたルーティングでは、加入者装置の宛先に応じた光信号の経路を設定し、さらには加入者装置の送受信器の設定(波長など)を行う必要がある。
【0007】
上記事情に鑑み、本発明は、加入者装置に宛先に応じた経路を利用可能な設定を行い、加入者装置から送信された光信号を宛先に応じて中継することができる光スイッチングシステム、光通信システム及び光通信方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、複数の伝送路と接続され、いずれかの前記伝送路から入力した光信号を他の前記伝送路へ出力する光スイッチと、加入者装置に通信先までの経路において空きの波長を割り当てる波長管理制御部と、波長が割り当てられた前記加入者装置から送信された光信号を、前記通信先への前記経路上の転送先に応じた伝送路に出力するよう前記光スイッチを制御する光スイッチ制御部と、を備える光スイッチングシステムである。
【0009】
本発明の一態様は、複数の伝送路と接続され、いずれかの前記伝送路から入力した光信号を他の前記伝送路へ出力する光スイッチと、加入者装置に通信先までの経路において空きの波長を動的に割り当てる波長管理制御部と、前記伝送路から入力した光信号を、入力した前記光信号を送信した前記加入者装置と入力した前記光信号の波長との組み合わせにより特定される通信先に応じた前記伝送路に出力するよう前記光スイッチを制御する光スイッチ制御部と、を備える光スイッチングシステムである。
【0010】
本発明の一態様は、複数の伝送路と接続され、いずれかの前記伝送路から入力した光信号を他の前記伝送路へ出力する光スイッチと、加入者装置に通信先に応じた波長を割り当てる波長管理制御部と、波長が割り当てられた前記加入者装置から送信された光信号を、前記通信先への経路上の転送先に応じた伝送路に出力するよう前記光スイッチを制御する光スイッチ制御部と、を備え、前記光スイッチ制御部は、前記波長管理制御部が前記加入者装置に通信先に応じた波長を割り当てている間、前記加入者装置と前記波長管理制御部との間で光信号を送受信するよう前記光スイッチを制御する、光スイッチングシステムである。
【0011】
本発明の一態様は、複数の伝送路と接続され、いずれかの前記伝送路から入力した光信号を他の前記伝送路へ出力する光スイッチと、加入者装置に通信先に応じた波長を動的に割り当てる波長管理制御部と、前記伝送路から入力した光信号を、入力した前記光信号を送信した前記加入者装置と入力した前記光信号の波長との組み合わせにより特定される通信先に応じた前記伝送路に出力するよう前記光スイッチを制御する光スイッチ制御部と、を備え、前記光スイッチ制御部は、前記波長管理制御部が前記加入者装置に通信先に応じた波長を割り当てている間、前記加入者装置と前記波長管理制御部との間で光信号を送受信するよう前記光スイッチを制御する、光スイッチングシステムである。
【0012】
本発明の一態様は、複数の加入者装置と、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の光スイッチングシステムとを有する光通信システムであって、前記加入者装置は、前記光スイッチングシステムにより割り当てられた波長の光信号を送信する光送信部と、前記光スイッチングシステムにより割り当てられた波長の光信号を受信する光受信部とのいずれか一方又は両方を備える、光通信システムである。
【0013】
本発明の一態様は、複数の伝送路と接続される光スイッチが、いずれかの前記伝送路から入力した光信号を他の前記伝送路へ出力する転送ステップと、波長管理制御部が、加入者装置に通信先までの経路において空きの波長を割り当てる割当ステップと、光スイッチ制御部が、前記転送ステップにおいて、波長が割り当てられた前記加入者装置から送信された光信号を、前記通信先への前記経路上の転送先に応じた伝送路に出力するよう前記光スイッチを制御する光スイッチ制御ステップと、を有する光通信方法である。
【0014】
本発明の一態様は、複数の伝送路と接続される光スイッチが、いずれかの前記伝送路から入力した光信号を他の前記伝送路へ出力する転送ステップと、波長管理制御部が、加入者装置に通信先までの経路において空きの波長を動的に割り当てる割当ステップと、光スイッチ制御部が、前記転送ステップにおいて、前記伝送路から入力した光信号を、入力した前記光信号を送信した前記加入者装置と入力した前記光信号の波長との組み合わせにより特定される通信先に応じた前記伝送路に出力するよう前記光スイッチを制御する光スイッチ制御ステップと、を有する光通信方法である。
【0015】
本発明の一態様は、複数の伝送路と接続される光スイッチが、いずれかの前記伝送路から入力した光信号を他の前記伝送路へ出力する転送ステップと、波長管理制御部が、加入者装置に通信先に応じた波長を割り当てる割当ステップと、光スイッチ制御部が、前記割当ステップにおいて前記波長管理制御部が前記加入者装置に通信先に応じた波長を割り当てている間、前記加入者装置と前記波長管理制御部との間で光信号を送受信するよう前記光スイッチを制御する第一光スイッチ制御ステップと、前記光スイッチ制御部が、前記転送ステップにおいて、波長が割り当てられた前記加入者装置から送信された光信号を、前記通信先への経路上の転送先に応じた伝送路に出力するよう前記光スイッチを制御する第二光スイッチ制御ステップと、を有する光通信方法である。
【0016】
本発明の一態様は、複数の伝送路と接続される光スイッチが、いずれかの前記伝送路から入力した光信号を他の前記伝送路へ出力する転送ステップと、波長管理制御部が、加入者装置に通信先に応じた波長を動的に割り当てる割当ステップと、光スイッチ制御部が、前記割当ステップにおいて前記波長管理制御部が前記加入者装置に通信先に応じた波長を割り当てている間、前記加入者装置と前記波長管理制御部との間で光信号を送受信するよう前記光スイッチを制御する第一光スイッチ制御ステップと、前記光スイッチ制御部が、前記転送ステップにおいて、前記伝送路から入力した光信号を、入力した前記光信号を送信した前記加入者装置と入力した前記光信号の波長との組み合わせにより特定される通信先に応じた前記伝送路に出力するよう前記光スイッチを制御する第二光スイッチ制御ステップと、を有する光通信方法である。
【発明の効果】
【0017】
本発明により、加入者装置に宛先に応じた経路を利用可能な設定を行い、加入者装置から送信された光信号を宛先に応じて中継することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施形態による光通信システムの構成例を示す図である。
【
図7】実施形態による光SWにおける波長変更前のルーティングの例を示す図である。
【
図8】実施形態による光SWにおける波長変更後のルーティングの例を示す図である。
【
図10】実施形態による光SWの例を示す図である。
【
図11】実施形態による光SWの例を示す図である。
【
図12】実施形態による光SWの例を示す図である。
【
図13】実施形態による光SWの例を示す図である。
【
図14】実施形態による光SWの例を示す図である。
【
図15】実施形態によるアクセストポロジーの例を示す図である。
【
図16】実施形態によるアクセストポロジーの例を示す図である。
【
図17】実施形態によるアクセストポロジーの例を示す図である。
【
図18】実施形態によるアクセストポロジーの例を示す図である。
【
図19】実施形態によるアクセストポロジーの例を示す図である。
【
図20】実施形態によるアクセストポロジーの例を示す図である。
【
図21】実施形態によるアクセストポロジーの例を示す図である。
【
図22】実施形態によるアクセストポロジーの例を示す図である。
【
図23】実施形態によるアクセストポロジーの例を示す図である。
【
図24】実施形態による光SWのスケーラビリティが求められる例を示す図である。
【
図25】実施形態による光SWスケーラビリティの例を示す図である。
【
図26】実施形態による光SWスケーラビリティの例を示す図である。
【
図27】第1の実施形態による光アクセスシステムの構成例を示す図である。
【
図28】同実施形態によるSW接続テーブルの例を示す図である。
【
図29】同実施形態によるユーザ波長テーブルの例を示す図である。
【
図30】同実施形態による局舎間波長テーブルの例を示す図である。
【
図31】同実施形態による加入者装置の構成例を示す図である。
【
図32】同実施形態による加入者装置の構成例を示す図である。
【
図33】同実施形態による光アクセスシステムの初期設定処理を示すフローチャートである。
【
図34】同実施形態による光アクセスシステムの構成例を示す図である。
【
図35】同実施形態による光アクセスシステムの構成例を示す図である。
【
図36】同実施形態による光アクセスシステムの構成例を示す図である。
【
図37】同実施形態による光アクセスシステムの構成例を示す図である。
【
図38】第2の実施形態による光アクセスシステムの構成例を示す図である。
【
図39】同実施形態による光アクセスシステムの構成例を示す図である。
【
図40】同実施形態による光アクセスシステムの構成例を示す図である。
【
図41】第3の実施形態による光アクセスシステムの構成例を示す図である。
【
図42】同実施形態による光アクセスシステムの構成例を示す図である。
【
図43】同実施形態による光アクセスシステムの構成例を示す図である。
【
図44】第4の同実施形態による光アクセスシステムの構成例を示す図である。
【
図45】同実施形態による光アクセスシステムの構成例を示す図である。
【
図46】同実施形態による光アクセスシステムの構成例を示す図である。
【
図47】同実施形態による光アクセスシステムの構成例を示す図である。
【
図48】第5の実施形態による光アクセスシステムの構成例を示す図である。
【
図49】第6の実施形態による光アクセスシステムの構成例を示す図である。
【
図50】同実施形態による光アクセスシステムの構成例を示す図である。
【
図51】第7の実施形態による光アクセスシステムの構成例を示す図である。
【
図52】第8の実施形態による光アクセスシステムの構成例を示す図である。
【
図53】同実施形態による光アクセスシステムの構成例を示す図である。
【
図54】同実施形態によるシャッター装置の構成例を示す図である。
【
図55】同実施形態によるシャッター装置の構成例を示す図である。
【
図56】同実施形態による光アクセスシステムの動作を説明するための図である。
【
図57】同実施形態による光アクセスシステムの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、複数の図面において同一の部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。本実施形態では、各加入者装置からの接続要求に応じて、波長コントローラ及び光スイッチコントローラ、さらには全加入者の接続情報を管理している管理データベースと連携し、加入者装置が使用する波長をそれぞれ割り当てる。このとき、加入者装置制御用の装置を用いて、使用する波長などの設定情報を各加入者装置に送信する。この制御用の装置と加入者装置との間は、例えば、加入者装置間の光信号である主信号より低速であり、主信号に重畳可能な制御信号を用いて通信を行う。これにより、主信号に影響を与えることなく、設定変更や監視を行うことが可能となる。また、本実施形態では、波長が割り当てられた加入者装置から送信された光信号を、通信先への経路上の転送先に応じた伝送路に出力するよう光スイッチを制御する。本実施形態では、例えば、波長を宛先情報として用いる場合、波長を宛先情報として用いることで、ルーティングを行うように光スイッチを制御する。これにより、加入者装置に宛先に応じた経路を利用可能な設定を行い、加入者装置から送信された光信号を、その経路を利用して宛先に応じて中継する。また、パケットを転送する際に、ユーザ情報や、宛先情報を付与又は削除する処理、ルーティング処理により発生していた遅延を削減することが可能となる。
【0020】
なお、宛先情報として、加入者装置、入力ポート、加入者装置と波長との組、入力ポートと波長との組、入力ポートと加入者装置と波長との組を用いてもよい。以下の実施形態では主に、加入者装置と波長の組を宛先情報として用いる場合を説明する。
【0021】
図1は、本実施形態の光通信システム1の構成例を示す図である。光通信システム1は、複数の光SW(スイッチ)10を有する。同図では光SW10を2台のみ示しているが、光SW10の台数は任意である。光SW10は、制御部20と接続される。光SW10は、他の光SW10と、光通信ネットワーク30を介して通信する。光通信ネットワーク30には、例えば、様々なトポロジーを含むWDM(Wavelength Division Multiplexing)ネットワーク等を用いることができる。光SW10には、1台以上の加入者装置40が接続される。加入者装置40は、例えば、PON(Passive Optical Network;受動光ネットワーク)などの光アクセスネットワークにより光SW10に接続される。加入者装置40は、光トランシーバ41を有する。光トランシーバ41は、加入者装置における光送信部及び光受信部構成の一例である。光トランシーバ41は、光送信器(Tx)42及び光受信器(Rx)43を有する。光トランシーバ41は、波長可変光送受信器である。光トランシーバ41として、例えば、従来のAMCC(Auxiliary Management and Control Channel)機能付き光トランシーバを用いることができる。
【0022】
制御部20は、光トランシーバ21を有する。光トランシーバ21は、制御部20における光送信部及び光受信部構成の一例である。光トランシーバ21は、光送信器(Tx)22及び光受信器(Rx)23を有する。光トランシーバ21は、可変波長光送受信器である。制御部20は、波長管理テーブルを記憶している。波長管理テーブルは、各加入者装置40に割り当てられた波長を示すデータである。制御部20は、AMCC機能を用いて、加入者装置40が通信に用いる波長を割り当てる。以下、加入者装置40と制御部20との通信を、AMCC機能により例示するが、それに限らない。
【0023】
加入者装置40に宛先に応じた波長を割り当てるため、まず、加入者装置40の光トランシーバ41と制御部20の光トランシーバ21とがAMCCを用いて通信を行う。制御部20は、波長テーブルを参照して、宛先に応じて加入者装置40に割り当てる波長を選択する。一例として、制御部20は、経路上で波長多重するリンクで他のパスで利用されていない空き波長の中から波長を選択する。また、制御部20は、加入者装置40に個別の波長が割り当てられるようにしてもよい。制御部20は、AMCCを用いた制御信号により、加入者装置40に選択した波長を設定する。その後、制御部20は、加入者装置40から送信された光信号の宛先に応じたルーティングを行うよう光SW10を切替える。例えば、波長を宛先情報として用いる場合、制御部20は、波長が示す宛先にルーティングを行うように光SWを切替する。これにより、対向する加入者装置40間を接続する。
【0024】
光SW10は、例えば、光ゲートウェイ(GW)に備えられる。
図2~
図14を用いて、光GWに備えられる光SW10の例を説明する。
【0025】
図2は、光SW10aの構成例を示す図である。光SW10aは、複数の伝送路50と接続され、いずれかの伝送路50から入力した光信号を他の伝送路50へ出力する。伝送路50は、例えば、光ファイバである。光SW10aは、ポート11-1-1~11-1-P(Pは2以上の整数)と、ポート11-2-1~11-2-Q(Qは2以上の整数)とを有する。ポート11-1-1~11-1-Pのいずれかを特定しない場合、又は、総称して、ポート11-1と記載し、ポート11-2-1~11-2-Qのいずれかを特定しない場合、又は、総称して、ポート11-2と記載する。ポート11-1と接続される伝送路50を伝送路50-1と記載し、ポート11-2と接続される伝送路50を伝送路50-2と記載する。
【0026】
各ポート11-1は、伝送路50-1を介して加入者装置40と接続される。各ポート11-2は、伝送路50-2を介して加入者装置40と接続される。加入者装置40は、例えば、ONUである。伝送路50-2は、上位ネットワークである光通信ネットワーク30に接続されてもよい。この場合、伝送路50-1を介して接続される加入者装置40の方向は下り方向であり、伝送路50-2を介して接続される上位ネットワークの方向は上り方向である。また、伝送路50-2には、他の光SW10などの光通信装置が備えられることがある。
【0027】
ポート11-1-1、11-1-2、11-1-3、…はそれぞれ伝送路50-1を介して、対地Aの加入者装置40である加入者装置40a-1、40a-2、40a-3、…と接続される。加入者装置40a-1、40a-2、40a-3、…を総称して、または、いずれかを特定しない場合、加入者装置40aと記載する。いずれかのポート11-2(同図では、ポート11-2-1)は、後述する波長管理制御部25と接続される。一部のポート11-2-i、11-2-(i+1)、11-2-(i+2)、…はそれぞれ伝送路50-2を介して、対地Bの加入者装置40である加入者装置40b-1、40b-2、40b-3、…と接続される(iは2以上の整数)。加入者装置40b-1、40b-2、40b-3、…を総称して、または、いずれかを特定しない場合、加入者装置40bと記載する。対地Bの加入者装置40と接続されるポート11-2とは異なる一部のポート11-2-j、11-2-(j+1)、11-2-(j+2)、…はそれぞれ伝送路50-2を介して、対地Cの加入者装置40である加入者装置40c-1、40c-2、40c-3、…と接続される(jは2以上の整数)。加入者装置40c-1、40c-2、40c-3、…を総称して、または、いずれかを特定しない場合、加入者装置40cと記載する。光SW10aは、ポート11-1から入力した光信号をポート11-2に出力し、ポート11-2から入力した光信号をポート11-1に出力する。ここで、対地Aの加入者装置40と、対地Bの加入者装置40及び対地Cの加入者装置40との間に、他の光SWなどの光通信装置や光通信ネットワーク30を介する構成としてもよい。
【0028】
光SW10aは、制御部20と接続される。制御部20は、波長管理制御部25と、光SW制御部26とを有する。波長管理制御部25は、光信号により加入者装置40から波長の割り当ての要求を受信し、要求を送信した加入者装置40に通信先に応じた波長を割り当て、割り当てた波長を光信号により加入者装置40に通知する波長割当処理を行う。例えば、波長管理制御部25は、要求を送信した加入者装置40に通信先に応じた波長を動的に割り当ててもよい。波長管理制御部25と加入者装置40との間で送受信される光信号には、加入者装置40間の光信号(主信号)の通信プロトコルに依存しない管理制御信号の重畳方式が用いられることが望ましい。波長管理制御部25と加入者装置40との間で送受信される光信号には、例えば、プロトコルフリーのAMCCが用いられる。
【0029】
光SW制御部26は、波長割当処理が実行されている間、加入者装置40と波長管理制御部25との間で光信号を送受信するよう光SW10aを制御する。光SW制御部26は、波長割当処理の後、伝送路50から入力した光信号を、入力した光信号を送信した加入者装置40と入力した光信号の波長との組み合わせにより特定される通信先に応じた伝送路50-2に出力するよう光SW10aを制御する。
【0030】
各伝送路50-2には、監視回路60が備えられる。同図では、監視回路60を1つだけ示している。監視回路60は、監視部の一例である。監視回路60は、パワースプリッタ61を有する。パワースプリッタ61は、伝送路50-2を伝送する光信号を分岐する。監視回路60は、パワースプリッタ61が分岐した光信号を監視する。監視回路60は、監視の結果に基づく監視情報を生成し、生成した監視情報を出力する。監視情報は、監視の結果を示す情報、又は、監視の結果から得られた情報である。監視情報の出力先としては、例えば、制御部20が挙げられる。また、他の加入者装置40との通信中に、パワースプリッタ61により、加入者装置40が送信した制御信号を分岐したり、加入者装置40間の信号に、制御信号を重畳して送信したりすることができる。
【0031】
なお、伝送路50-2に加入者装置40が接続される場合は、制御部20がポート11-1に接続されてもよい。あるいは、伝送路50-2に加入者装置40が接続される場合は、伝送路50-2に接続される加入者装置40を、折り返し伝送路73を経由して制御部20に接続してもよい。折り返し伝送路73は、ポート11-1-p1が出力した光信号を他のポート11-1-p2(p1、p2は1以上P以下の整数)に入力する光ファイバである。この場合、加入者装置40b又は40cから送信された光信号は、伝送路50-2を介して光SW10aに入力する。光SW10aは、伝送路50-2から入力した光信号を、ポート11-1-p1に出力し、折り返し伝送路73を伝送した光信号をポート11-1-p2から入力する。光SW10aは、ポート11-1-p2から入力した光信号を、ポート11-2-1から制御部20に出力する。これにより、加入者装置40b又は40cと、制御部20とが接続される。
【0032】
波長管理制御部25は、波長割当処理を行った加入者装置40に対して波長の変更を指示する波長変更処理を行ってもよい。例えば、波長管理制御部25は、監視回路60から出力された監視情報に基づいて波長変更対象の加入者装置40を特定し、特定した加入者装置40に対して波長変更処理を行う。光SW制御部26は、波長変更処理の間、加入者装置40と波長管理制御部25との間で光信号が送受信されるよう光SW10aを制御する。光SW制御部26は、波長変更処理の後、加入者装置40から変更後の波長の光信号を入力した場合、入力した光信号を、通信先に応じた伝送路50-2に出力するよう光SW10aを制御する。例えば、光SW制御部26は、波長変更処理の後、加入者装置40から変更後の波長の光信号を入力し、入力した光信号を、送信元の加入者装置40と変更前の波長との組み合わせが用いられていた通信先に応じた伝送路50-2に出力するよう光SW10aを制御する。あるいは、光SW制御部26は、送信元の加入者装置40から変更後の波長を用いて送信された光信号を、波長変更前とは異なる伝送路50-2に出力するよう光SW10aを制御してもよい。この場合、波長変更処理の前後で通信先の加入者装置40は異なる。また、波長管理制御部25は、通信中又は通信終了後の加入者装置40からの波長変更の要求を受け、要求元の加入者装置40に対して波長変更処理を行ってもよい。波長変更処理によって、加入者装置40が送信に用いる波長と受信に用いる波長の両方を変更してもよく、いずれかを変更してもよい。
【0033】
図3は、折り返し通信のための折り返し回路を有する光SW10bの構成例を示す図である。同図において、
図2に示す光SW10aと同一の部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。また、
図3では、制御部20の記載を省略している。光SW10bは、折り返し伝送路51と接続される。折り返し伝送路51は、ポート11-2が出力した光信号を他のポート11-2に入力する光ファイバである。これにより、光SW10bは、折り返し通信を可能とする。
【0034】
なお、送信元の加入者装置40と波長との組み合わせにより光信号の出力先のポートを設定する場合、ポート11-1から折り返し伝送路51が接続されるポート11-2の方向と、折り返し伝送路51が接続されるポート11-2からポート11-1の方向の場合とで、宛先を別としてもよい。
【0035】
図4は、上り方向マルチキャストを行う光SW10cの構成例を示す図である。同図において、
図2に示す光SW10aと同一の部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。また、
図4では、制御部20の記載を省略している。光SW10cは、ポート11-2が出力した光信号を複数に分配し、分配され複数の光信号をそれぞれ異なるポート11-1に入力する分配部58を有する。分配部58は、第一分配部の一例である。
図4では、光SW10cは、ポート11-2が出力した光信号を、折り返し伝送路を介して他のポート11-2に入力する。光SW10cは、この入力された光信号を、1×Nのパワースプリッタ71が接続されているポート11-1に出力する。ポート11-1から出力された光信号は、パワースプリッタ71により分配されて複数の他のポート11-1に入力される。光SW10cは、これら複数のポート11-1から入力した光信号をそれぞれ、異なるポート11-2に出力する。なお、双方向通信も可能である。下り方向の光信号は、上り方向と逆にルーティングされる。
【0036】
なお、光SW10cは、ポート11-1から複数波長の光信号を入力してもよい。この場合、光SW10cは、ポート11-1から入力した複数波長の光信号を分配部58により分配し、分配された光信号を、ポート11-2に接続される各加入者装置40又は他対地に接続される伝送路に出力する。ポート11-2に接続される加入者装置40は、複数波長の光信号のうち所定の波長の光信号を選択して受信する。また、他対地に接続される伝送路は、複数波長の光信号をそのまま伝送してもよいし、後述の
図6に示すWDM装置により選択した波長の光信号を伝送してもよい。
【0037】
図5は、下り方向マルチキャストを行う光SW10dの構成例を示す図である。同図において、
図2に示す光SW10aと同一の部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。また、
図5では、制御部20の記載を省略している。光SW10dは、ポート11-1が出力した光信号を複数に分配し、分配され複数の光信号をそれぞれ異なるポート11-2に入力する分配部59を有する。分配部59は、第二分配部の一例である。
図5では、光SW10dは、ポート11-1が出力した光信号を、折り返し伝送路を介して他のポート11-1に入力する。光SW10dは、この入力された光信号を、1×Nのパワースプリッタ72が接続されているポート11-2に出力する。ポート11-2から出力された光信号は、パワースプリッタ72により分配されて複数の他のポート11-2に入力される。光SW10dは、これら複数のポート11-2から入力した光信号をそれぞれ、異なるポート11-1に出力する。
【0038】
なお、光SW10dは、ポート11-2から複数波長の光信号を入力してもよい。この場合、光SW10cは、ポート11-2から入力した複数波長の光信号を分配部59により分配し、分配された光信号を、ポート11-1に接続される各加入者装置40に出力する。ポート11-1に接続される各加入者装置40は、受信した複数波長の光信号のうち、所定の波長の光信号を選択して受信する。
【0039】
図6は、WDM伝送を行う光SW10eの構成例を示す図である。同図において、
図2に示す光SW10aと同一の部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。光SW10eは、1台以上のWDM装置80と接続される。WDM装置80は、合分波装置の一例である。WDM装置80は、複数のポート11-2のそれぞれから出力された異なる波長の光信号を合波して多重通信伝送路90に出力する。また、WDM装置80は、多重通信伝送路90を介して受信した光信号を波長により分波し、分波した光信号をそれぞれ複数のポート11-2に入力する。このようにWDM装置80は、光SW10eの複数のポート11-2から出力された異なる波長の光信号を合波して多重通信伝送路90に出力する合波装置と、多重通信伝送路90を介して受信した光信号を波長により分波し、分波した光信号それぞれを光SW10eの異なる複数のポート11-2に入力する分波装置との機能を有する。WDM伝送を行う光SW10eは、WDM装置80と接続されていないポート11-2に、
図3に示す折り返し伝送路51を接続してもよい。
【0040】
多重通信伝送路90には、監視回路65が備えられる。監視回路65は、パワースプリッタ66及びWDM装置67、68を有する。パワースプリッタ66は、多重通信伝送路90を伝送する光信号を分岐する。WDM装置67は、パワースプリッタ66が分岐した上りの光信号を分波する。WDM装置68は、パワースプリッタ66が分岐した下りの光信号を分波する。監視回路65は、WDM装置67及びWDM装置68が分波した光信号を監視する。監視回路65は、監視の結果に基づく監視情報を生成し、生成した監視情報を出力する。監視情報は、監視の結果を示す情報、又は、監視の結果から得られた情報である。例えば、監視回路65は、光信号の監視により、加入者装置40間の通信状況の異常を検出すると、通信状況の異常が生じた旨と、通信状況の異常が生じた加入者装置40を特定する情報とを設定した監視情報を出力する。監視情報の出力先としては、例えば、制御部20が挙げられる。
【0041】
なお、監視回路65は、ポート11-2とWDM装置80との間の伝送路それぞれにパワースプリッタ69を備えてもよい。パワースプリッタ69は、ポート11-2とWDM装置80との間の伝送路を伝送する光信号を分岐し、分岐した光信号を制御部20に出力する。
【0042】
波長管理制御部25は、波長割当処理を行った加入者装置40に対して波長の変更を指示する波長変更処理を行ってもよい。例えば、波長管理制御部25は、監視回路65から出力された監視情報に基づいて波長変更対象の加入者装置40を特定し、特定した加入者装置40に対して波長変更処理を行う。光SW制御部26は、波長変更処理の間、加入者装置40と波長管理制御部25との間で光信号が送受信されるよう光SW10eを制御する。光SW制御部26は、波長変更処理の後、加入者装置40から変更後の波長の光信号を入力した場合、入力した光信号を、通信先に応じたポート11-2から出力するよう光SW10eを制御する。また、波長管理制御部25は、通信中又は通信終了後の加入者装置40からの波長変更の要求を受け、要求元の加入者装置40に対して波長変更処理を行ってもよい。
【0043】
図7及び
図8を用いて、光SW10eにおける波長変更の例を説明する。
図7は、光SW10eにおける波長変更前のルーティングの例を示す図である。光SW10eは、対地Aの加入者装置40である40a-1、40a-2、40a-3、…と接続される。対地Bと接続されるWDM装置80をWDM装置80bと記載し、対地Cと接続されるWDM装置80をWDM装置80cと記載する。WDM装置80bは、光SW10eとの間で波長λ
1~λ
10の光信号を送受信し、WDM装置80cは、光SW10eとの間で波長λ
11~λ
20の光信号を送受信する。
【0044】
図7において、波長変更前、光SW10eは、加入者装置40a-1から入力した波長λ
1の光信号と、加入者装置40a-2から入力した波長λ
2の光信号とをそれぞれ異なるポート11-2からWDM装置80bへ出力している。加入者装置40a-2は、通信中又は通信終了後に、波長管理制御部25に制御信号により波長変更の要求を送信する。波長管理制御部25は、加入者装置40a-2から波長変更の要求を受信すると、加入者装置40a-2に波長λ
10への変更を指示する波長変更処理を行う。光SW制御部26は、加入者装置40a-2から受信した波長λ
10の光信号を、波長λ
10に対応したポート11-2からWDM装置80bへ出力するよう光SW10eを制御する。なお、波長管理制御部25は、加入者装置40a-2が受信に用いる波長をさらに変更してもよい。
【0045】
また、光SW制御部26は、波長変更処理後、送信元の加入者装置40から変更後の波長を用いて送信された光信号を、波長変更前とは異なるWDM装置80に出力するよう光SW10eを制御してもよい。
図8は、出力先のWDM装置80が変更になる場合の光SW10eにおける波長変更後のルーティングの例を示す図である。波長変更前、
図7に示すように、加入者装置40a-1は波長λ
1を用いて、加入者装置40a-2は、波長λ
2又は波長λ
10を用いて通信している。加入者装置40a-2は、通信中又は通信終了後に、波長管理制御部25に制御信号により波長変更の要求を送信する。波長管理制御部25は、加入者装置40a-2から波長変更要求を受信すると、加入者装置40a-2に対地Cの加入者装置40と通信するため波長λ
11への変更を指示する波長変更処理を行う。光SW制御部26は、加入者装置40a-2から受信した波長λ
11の光信号を、波長λ
11に対応したポート11-2からWDM装置80cへ出力するよう光SW10eを制御する。なお、波長管理制御部25は、加入者装置40a-2が受信に用いる波長をさらに変更してもよい。
【0046】
なお、加入者装置40a-2が、波長を宛先情報として用い、かつ受信に用いる波長を変更しない場合は、波長管理制御部25は、以下のいずれかのように動作してもよい。なお、宛先情報として波長を用いない場合は下記によらない。
【0047】
(1)波長管理制御部25は、波長切替前の通信先である対地Bの加入者装置40が使用していた送信波長を解放する。送信波長の解放により、当該波長を宛先情報とした該加入者装置40a-2から対地Bの加入者装置40に至る経路がリセットされる。その後、波長管理制御部25は、解放により空波長となった当該波長を、新たな通信先である対地Cの加入者装置40から加入者装置40a-2宛ての信号の受信用に割当し直す。これは、加入者装置40毎に使用する波長が一意であり、空き波長以外は割当しない場合に行われる。
【0048】
(2)加入者装置40a-2の波長変更前後で異なる多重通信伝送路90を介して接続される加入者装置40が通信先となる場合、波長変更前に使用していた波長を、そのまま再利用が可能である。ただし、波長を宛先情報として用いるが、例えば、異なる伝送路を経由する場合や、光スイッチの入力ポート又は出力ポートが異なる場合は、同じ波長でも異なる経路として扱う。上記のような再利用を可能とするために、例えば、光信号の出力先を決定する条件としての引数に「入力伝送路」又は「出力伝送路」又は「経路を構成する全伝送路の組合せ」を追加する。例えば、光信号を入力した伝送路又はポートと光信号の波長との組み合わせや、光信号を入力した伝送路又はポートと光信号を送信した加入者装置40と光信号の波長との組み合わせにより出力先が定められる。
【0049】
上記では、加入者装置40が波長変更を要求することによって行われる波長変更処理を説明したが、監視情報に基づいて行われる波長変更処理も同様である。
【0050】
図9~
図12を用いて、WDM伝送及びマルチキャストを行う光SWを説明する。
図9は、WDM伝送及び上り方向のマルチキャストを行う光SW10fの構成例を示す図である。
図9において、光SW10fは、単一波長によって上り方向のマルチキャストを行う。
図9に示すように、光SW10fは、
図4と同様の分配部58を有する。
図9では、対地B及び対地Cにマルチキャストを行っている。光SW10fは、加入者装置40と接続されるポート11-1から入力した光信号を、折り返し伝送路が接続されているポート11-2から出力し、折り返し伝送路を伝送した光信号を他のポート11-2から入力する。光SW10fは、この入力された光信号を、1×Nのパワースプリッタ71が接続されているポート11-1から出力する。光SW10fは、1×Nのパワースプリッタ71が分配した光信号を複数のポート11-1から入力し、入力したうち1つの光信号を対地Bと接続されるポート11-2に、他の1つの光信号を対地Cと接続されるポート11-2に出力する。
【0051】
なお、加入者装置40がWDM信号を出力してもよい。例えば、加入者装置40は、波長λ1の光信号及び波長λ2の光信号が多重されたWDM信号を出力する。また、WDM装置80bと光SW10fとの間の複数の伝送路は、上から順に波長λ1、λ2、…の光信号を送受信する。同様に、WDM装置80cと光SW10fとの間の複数の伝送路は、上から順に波長λ1、λ2、…の光信号を送受信する。
【0052】
光SW10fは、加入者装置40と接続されるポート11-1から入力した波長λ1及び波長λ2のWDM信号を分配部58により分配する。光SW10fは、分配されたWDM信号を、WDM装置80bに接続されるポート11-2のうち、波長λ1に対応するポート11-2に出力する。さらに、光SW10fは、分配された他のWDM信号を、WDM装置80cに接続されるポート11-2のうち、波長λ2に対応するポート11-2に出力する。WDM装置80bは、波長λ1に対応するポートから入力したWDM信号をフィルタリングして波長λ2を遮断し、波長λ1の光信号を通過させて多重通信伝送路90に出力する。WDM装置80cは、波長λ2に対応するポートから入力したWDM信号をフィルタリングして波長λ1を遮断し、波長λ2の光信号を通過させて多重通信伝送路90に出力する。
【0053】
図10は、複数波長によって光SW10fが複数の対地へ上り方向のマルチキャストを行う場合を示す図である。伝送路50-1に1台以上の1×Mのパワースプリッタ55を備えることにより、一つのポート11-1と接続される伝送路50-1に複数の加入者装置40を接続することができる。
図10では、1つの伝送路50-1に、複数の加入者装置40a-1として、加入者装置40a-1-1、40a-1-2、…が接続されている。加入者装置40a-1-1、40a-1-2、…はそれぞれ異なる波長を用いる。ここでは、加入者装置40a-1-1は、波長λ
1の光信号を送信し、加入者装置40a-1-2は、波長λ
2の光信号を送信する。光SW10fは、加入者装置40a-1-1が送信した波長λ
1の光信号と加入者装置40a-1-2が送信した波長λ
2の光信号とが合波された光信号をポート11-1から入力する。光SW10fは、この入力した光信号を、折り返し伝送路が接続されているポート11-2から出力し、折り返し伝送路を伝送した光信号を他のポート11-2から入力する。光SW10fは、この入力した光信号を、1×Nのパワースプリッタ71が接続されているポート11-1から出力する。光SW10fは、1×Nのパワースプリッタ71が分配した光信号を複数のポート11-1から入力する。
【0054】
光SW10fは、パワースプリッタ71により分配された光信号を、WDM装置80bに接続されるポート11-2のうち、波長λ1に対応するポート11-2及び波長λ2に対応するポート11-2に出力する。さらに、光SW10fは、パワースプリッタ71により分配された光信号を、WDM装置80cに接続されるポート11-2のうち、波長λ1に対応するポート11-2及び波長λ2に対応するポート11-2に出力する。WDM装置80bは、波長λ1に対応するポートから入力した光信号をフィルタリングして波長λ1の光信号を通過させて多重通信伝送路90に出力し、波長λ2に対応するポートから入力した光信号をフィルタリングして波長λ2の光信号を通過させて多重通信伝送路90に出力する。同様に、WDM装置80cは、波長λ1に対応するポートから入力した光信号をフィルタリングして波長λ1の光信号を通過させて多重通信伝送路90に出力し、波長λ2に対応するポートから入力した光信号をフィルタリングして波長λ2の光信号を通過させて多重通信伝送路90に出力する。
【0055】
図11は、WDM伝送及び下り方向マルチキャストを行う光SW10gの構成例を示す図である。光SW10gは、
図5と同様の分配部59を有する。また、
図9及び
図10に示す光SW10fと、
図11に示す光SW10gとは、
図6と同様の監視回路65を有してもよい。波長管理制御部25は、監視回路65が通信状況の異常を検出した加入者装置40に対して上記と同様に波長変更処理を行うことができる。
【0056】
図12は、光SW10gがWDM伝送及び下り方向マルチキャストを行う場合を示す図である。
図12に示す接続構成と、
図11に示す接続構成とが異なる点は、光SW10gの複数のポート11-2と接続されるWDM装置80に代えて、複数のポート11-1と接続されるWDM装置81が配置される点である。WDM装置81には、ポート11-1とは反対側に、1台以上の加入者装置40が接続される。光SW10gは、他対地からの複数波長の光信号をポート11-2から入力し、分配部59の折り返し伝送路が接続されるポート11-1に出力する。複数波長の光信号は、パワースプリッタ72によりそのまま分岐される。光SW10dは、分岐された複数波長の光信号を複数のポート11-2から入力し、入力した光信号をWDM装置81と接続されるいずれかのポート11-1に出力する。WDM装置81は、入力した複数波長の光信号から、光信号を入力したポート11-1に対応した波長の光信号をフィルタリングして通過させ、通過させた光信号を加入者装置40と接続される伝送路に出力する。
【0057】
図13は、光信号に電気処理を行う光SW10hの構成例を示す図である。
図13において、
図3に示す光SW10bと同一の部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。また、
図13では、制御部20の記載を省略している。光SW10hが、上述した光SW10a~10gと異なる点は、ポート12-1及びポート12-2をさらに備える点である。ポート12-1及びポート12-2は、伝送路52を介して電気処理部84と接続される。なお、伝送路52を介して電気処理部84と接続するポートに、ポート11-1及びポート11-2を用いてもよい。
【0058】
光SW10hは、光SW制御部26の制御に従って、加入者装置40から入力した光信号を、光信号の送信元の加入者装置40又は光信号を入力したポート11-1と波長との組み合わせに応じて、ポート11-2又はポート12-1から出力する。また、光SW10hは、光SW制御部26の制御に従って、ポート11-2から入力した光信号の出力先を、光信号を入力したポート11-2と波長との組み合わせに応じて、ポート11-1又はポート12-1から出力する。
【0059】
光SW10hは、ポート12-1から光信号を出力することによって、電気処理部84に光信号をドロップする。電気処理部84は、ドロップされた光信号を電気終端し、誤り訂正や集線などの各種電気処理を加えた後に、光信号に変換して光SW10hのポート12-2に入力する。光SW10hは、電気処理部84から入力した光信号を、ポート12-2と波長との組み合わせにより特定される宛先に応じてポート11-1又はポート11-2から出力する。このように、電気処理部84は、O-E(電気処理付加)-O変換(Oは光、Eは電気を表す。)を行う。なお、電気処理部84は、機能付加のための電気処理を行わずに、単純に、O-E-O変換してもよい。電気処理部84が、O-E-O変換等の際に3R再生(Re-amplification:増幅、Re-timing:タイミング再生、Re-shaping:波形整形)を行ったり、0/1反転して閾値効果を用いたりすることにより、伝送に伴う光波形劣化を低減することも可能である。なお、電気信号に変換する前の光信号の波長と、電気信号から変換された後の光信号の波長とは同じでもよく、異なってもよい。
【0060】
なお、光信号を送信する加入者装置と波長との組み合わせにより光SWの出力先となるポートを定める、即ち、波長を宛先情報として用いる場合は、電気処理部84を経由させるためにポート11-1からポート11-2への方向と、ポート11-2からポート11-1への方向とで、同じ波長であっても、宛先を別としてもよい。
【0061】
電気処理部84は、O/E(光/電気)変換部85と、処理実行部86と、E/O(電気/光)変換部87と、記憶部88とを有する。O/E変換部85は、光SW10hから入力した光信号を、電気信号に変換する。処理実行部86は、プロセッサ861及びアクセラレータ862を備える。プロセッサ861は、例えば、CPU(central processing unit)などの汎用プロセッサである。アクセラレータ862は、例えば、GPU(Graphics Processing Unit)などのプロセッサである。プロセッサ861及びアクセラレータ862は、記憶部88からプログラムを読み出して実行することによって、O/E変換部85により変換された電気信号に対して電気信号処理を行う。処理実行部86は、複数の機能の電気信号処理を行ってもよい。電気信号処理の例は、長距離/高速アクセスのためのDSP(デジタル信号処理、Digital Signal Processing)、モバイルフロントホール処理、誤り訂正などである。E/O変換部87は、電気信号を光SW制御部26から指示された波長の光信号に変換し、光SW10hに出力する。記憶部88は、プロセッサ861及びアクセラレータ862が電気信号処理の機能を実行するためのプログラムを記憶する。
【0062】
処理実行部86を、汎用プロセッサをベースとした装置アーキテクチャとすることによって、電気信号処理の追加及び変更が可能であるとともに、伝送機能以外の様々な機能とも入れ替えが可能である。また、処理実行部86が長距離/高速アクセスのためのDSPを行うことによって、長距離/高速アクセスの専用のLSI(Large-Scale Integration、大規模集積回路)を不要とし、ニーズに応じた柔軟な機能配備を実現できる。
【0063】
光SW10hは、複数の電気処理部84と接続されてもよい。この場合、光SW10hは、各電気処理部84と接続されるポート12-1及び12-2を有する。各電気処理部84のそれぞれが異なる電気信号処理を行ってもよく、一部又は全てが同じ電気処理を行ってもよい。
【0064】
なお、処理実行部86及び記憶部88が、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やPLD(Programmable Logic Device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを用いて実現されてもよい。
【0065】
図14は、光SW10hを用いた接続の例を示す図である。光SW10hと接続される3台の加入者装置40を、加入者装置40-1、40-2、40-3と記載する。加入者装置40-1、40-2、40-3は、例えば、ONUである。加入者装置40-1を利用するユーザ46-1は、長距離又は高速の通信を行うユーザである。ユーザ46-1の1以上の通信装置は、加入者装置40-1と接続される。加入者装置40-1は、長距離回線P1により通信先の装置と通信する。モバイル基地局46-2は、加入者装置40-2と接続される。
図14では、パワースプリッタ55により複数の加入者装置40-2が1本の伝送路50-1に接続されている。加入者装置40-2は、中距離回線P2によって通信先の装置と通信する。加入者装置40-3を利用するユーザ46-3は、中距離又は中速の通信を行うユーザである。ユーザ46-3の1以上の通信装置は、加入者装置40-3を介して中距離回線P3により通信先の装置と通信する。長距離回線P1、中距離回線P2、中距離回線P3の光信号は波長多重され、コアNW(ネットワーク)と接続される多重通信伝送路90を伝送する。電気処理部84は、長距離/高速アクセスのためのDSP機能、モバイルフロントホール処理機能、誤り訂正機能などを有する。
【0066】
図13及び
図14を用いて、光SW10hの動作を説明する。光SW10hは、加入者装置40-1が送信した上りの光信号を、電気処理部84へ出力する。電気処理部84のO/E変換部85は、入力した光信号を電気信号に変換する。処理実行部86は、変換された電気信号に対して、長距離/高速アクセスのためのDSP処理を行う。E/O変換部87は、DSP処理が行われた電気信号を光信号に変換し、光SW10hに出力する。変換後の波長は、電気処理部84に入力されたときの波長と同じでもよく、異なってもよい。光SW10hは、電気処理部84から入力した光信号を、ポート11-2から多重通信伝送路90に出力する。
【0067】
また、光SW10hは、多重通信伝送路90を伝送した加入者装置40-1宛ての下りの光信号を入力する。光SW10hは、入力した下りの光信号を、入力されたポート51-2と波長との組み合わせに応じてポート12-1から電気処理部84へ出力する。電気処理部84のO/E変換部85は、入力した光信号を電気信号に変換し、処理実行部86は、変換された電気信号に対して長距離/高速アクセスのためのDSP処理を行う。E/O変換部87は、DSP処理が行われた電気信号を光信号に変換し、光SW10hに出力する。光信号の変換後の波長は、電気処理部84に入力されたときの波長と同じでもよく異なってもよい。光SW10hは、電気処理部84から入力した光信号を、加入者装置40-1と接続されるポート11-1に出力する。
【0068】
加入者装置40-2が送受信する光信号に対しても、上述した加入者装置40-1が送受信する光信号と同様の処理が行われる。ただし、処理実行部86は、加入者装置40-2が送受信する光信号に対して、モバイルフロントホール処理を行う。処理実行部86は、電気信号に含まれる任意の情報に基づいて、電気信号に行う信号処理を決定する。
【0069】
一方、光SW10hは、加入者装置40-3から入力した上りの光信号を、ポート11-2から多重通信伝送路90に出力する。また、光SW10hは、多重通信伝送路90を伝送した加入者装置40-3宛ての下りの光信号を入力し、光信号が入力されたポート11-2と波長との組み合わせに応じて、加入者装置40-3と接続されるポート11-1に出力する。
【0070】
続いて、
図15~
図23を用いて、光SWへのアクセストポロジーを説明する。
【0071】
図15は、時分割多重を用いたPDS(Passive Double Star)型のアクセストポロジーを示す図である。光SW1001として、上述した光SW10a~10hを用いることができる。光SW1001は、ポート11-1-1~11-1-Pとポート11-2-1~11-2-Qとを有する。ポート11-1-p(pは1以上P以下の整数)に接続される伝送路50-1を、伝送路50-1-pとも記載し、ポート11-2-q(qは1以上Q以下の整数)に接続される伝送路50-2を、伝送路50-2-qとも記載する。
図15において、ポート11-2-qは、伝送路50-2-qにより対地#qと接続される。
【0072】
伝送路50-1-pには、パワースプリッタ56が設けられる。パワースプリッタ56には、Np台(Npは2以上の整数)の加入者装置40-pがスター型で接続される。Np台の加入者装置40-pを、加入者装置40-p-1~40-p-Npと記載し、加入者装置40-p-np(npは1以上のNp以下の整数)と、パワースプリッタ56との間の伝送路50-1-pを、50-1-p-npと記載する。加入者装置40-p-1~40-p-Npは、時分割多重により同じ波長を利用する。上りの光信号に用いられる波長と、下りの光信号に用いられる波長は異なる。
【0073】
光SW1001は、ポート11-2-qから時分割多重された加入者装置40-p-1~40-p-Npそれぞれ宛ての波長λ1の下りの光信号を入力する。光SW1001は、入力した下りの光信号を、ポート11-2-qと波長λ1との組み合わせに応じた出力先のポート11-1-pから出力する。パワースプリッタ56は、伝送路50-1-pから時分割多重された下りの光信号を入力し、入力した光信号を分岐して伝送路50-1-p-1~50-1-p-Npに出力する。加入者装置40-p-1~40-p-Npは、時分割多重された光信号を受信し、受信した光信号から自装置宛ての下りの光信号を選択する。
【0074】
また、加入者装置40-p-1~40-p-Npは、TDMA(時分割多重アクセス)によって同じ波長λ2の時分割多重された上りの光信号を送信する。パワースプリッタ56は、伝送路50-1-p-1~50-1-p-Npそれぞれから波長λ2の上りの光信号を入力し、入力した光信号を時分割多重して伝送路50-1-pに出力する。光SW1001は、時分割多重された上りの光信号を、ポート11-1-pと波長λ2との組み合わせに応じたポート11-2-qから出力する。
【0075】
なお、伝送路50-1-1~50-1-Pのうち任意の1以上に、PDS型のアクセストポロジーを適用可能である。
【0076】
図16は、波長多重を用いたPDS型のアクセストポロジーを示す図である。光SW1002として、上述した光SW10a~10hを用いることができる。光SW1002は、1台以上のWDM装置81と接続される。WDM装置81は、複数のポート11-1のそれぞれから出力された異なる波長の下りの光信号を合波して多重通信伝送路91に出力する。また、WDM装置81は、多重通信伝送路91を介して受信した上りの波長多重光信号を分波し、分波した光信号をそれぞれ異なるポート11-1に入力する。多重通信伝送路91には、パワースプリッタ56が設けられる。パワースプリッタ56には、N台(Nは2以上の整数)の加入者装置40がスター型で接続される。加入者装置40とパワースプリッタ56との間は、伝送路92により接続される。パワースプリッタ56と接続される複数の加入者装置40はそれぞれ異なる波長の光信号を送受信する。
【0077】
図16では、光SW1002のポート11-1-p~11-1-(p+N)が、伝送路50-1を介してWDM装置81と接続されている(p及びNは1以上の整数、p+NはP以下の整数)。また、パワースプリッタ56には、加入者装置40-p~40-(p+N)が接続されている。
【0078】
光SW1002は、ポート11-2-(q+n)から波長λ
1(q+n)の加入者装置40-(p+n)宛ての下りの光信号を入力する(qは1以上の整数、nは0以上N以下の整数)。
図16は、q=1の場合の例である。光SW1002は、ポート11-2-(q+n)から入力した波長λ
1(1+n)の下りの光信号を、ポート11-2-(q+n)と波長λ
1(1+n)との組み合わせ応じた出力先のポート11-1-(p+n)へルーティングする。これにより、光SW1002は、ポート11-2-1から入力した波長λ
11の下りの光信号をポート11-1-pへルーティングし、ポート11-2-2から入力した波長λ
12の下りの光信号をポート11-1-(p+1)へルーティングする。
【0079】
WDM装置81は、ポート11-1-p~11-1-(p+N)のそれぞれから出力された波長λ11~λ1Nの下りの光信号を合波して多重通信伝送路91に出力する。パワースプリッタ56は多重通信伝送路91から波長多重された下りの光信号を入力し、入力した下りの光信号をそのまま分岐して、加入者装置40-p~40-(p+N)それぞれとの間の伝送路92に出力する。加入者装置40-p~40-(p+N)は、波長多重された下りの光信号を受信し、受信した光信号から自装置が用いる波長の下りの光信号を選択する。
【0080】
また、加入者装置40-(p+n)は、波長λ
2(1+n)の上りの光信号を送信する。パワースプリッタ56は、加入者装置40-p~40-(p+N)のそれぞれから伝送路92を介して上りの光信号を入力し、入力した波長λ
21~λ
2(1+N)それぞれの上りの光信号を波長多重して多重通信伝送路91に出力する。WDM装置81は、多重通信伝送路91から波長多重された上りの光信号を入力し、波長分離する。WDM装置81は、波長λ
2(1+n)の上りの光信号をそれぞれ、ポート11-1-(p+n)に入力する。光SW1002は、波長λ
2(1+n)の上りの光信号を、入力されたポート11-1-(p+n)と波長λ
2(1+n)との組み合わせに応じた出力先のポート11-2-(q+n)から出力する。これにより、加入者装置40-pが送信した波長λ
21の上りの光信号は、ポート11-1-pから入力され、ポート11-2-1から出力される。また、加入者装置40-(p+1)が送信した波長λ
22の上りの光信号は、ポート11-1-(p+1)から入力され、ポート11-2-2から出力される。なお、
図17に示すように、光SWの後段にWDM装置を置く構成としてもよい。
【0081】
図17は、波長多重を用い、かつ、光SWの後段にWDM装置を置いたPDS型のアクセストポロジーを示す図である。光SW1003として、上述した光SW10a~10hを用いることができる。光SW1003のポート11-2-q(qは1以上Q以下の整数)は、伝送路50-2-qを介してWDM装置97と接続される。WDM装置97は、対地#n(nは1以上N以下の整数)と伝送路50-2-q-nを介して接続される。光SW1003のポート11-1-pと接続される伝送路50-1-pには、パワースプリッタ56が設けられる。パワースプリッタ56には、N台の加入者装置40-p-1~40-p-Nがスター型で接続される。
【0082】
WDM装置97は、対地#nから送信された波長λ1nの加入者装置40-p-n宛ての下りの光信号を、伝送路50-2-q-nから入力する。WDM装置97は、対地#1~対地#Nのそれぞれから入力したλ11~λ1Nの下りの光信号を多重した波長多重信号を光SW1003に入力する。光SW1003は、ポート11-2-qから入力した下りの波長多重信号を、出力先のポート11-1-pから出力する。パワースプリッタ56は、伝送路50-1-pから入力した波長多重信号を分岐して伝送路50-1-p-1~50-1-p-Nに出力する。加入者装置40-p-1~40-p-Nは、波長多重信号を受信し、受信した光信号から自装置宛ての下りの光信号を選択する。これにより、加入者装置40-p-nは、対地#nから波長λ1nの光信号を受信する。
【0083】
また、加入者装置40-p-nは、波長λ2nの上りの光信号を送信する。パワースプリッタ56は、加入者装置40-p-1~40-p-Nのそれぞれから伝送路50-1-p-1~50-1-p-Nを介して波長λ21~λ2Nの上りの光信号を入力する。パワースプリッタ56は、波長λ21~λ2Nの上りの光信号を波長多重した波長多重信号を伝送路50-1-pに出力する。光SW1003は、波長λ21~λ2Nの上りの光信号が波長多重された波長多重信号をポート11-1-pから入力する。光SW1003は、上りの波長多重信号を出力先のポート11-2-qから伝送路50-2-qに出力する。WDM装置97は、伝送路50-2-qから波長多重された上りの光信号を入力し、波長分離する。WDM装置97は、波長λ2nの上りの光信号を対地#nと接続される伝送路50-2-nに出力する。これにより、加入者装置40-p-nが送信した波長λ2nの光信号は、対地#nに送信される。
【0084】
図18は、時分割多重を用いたバス型のアクセストポロジーを示す図である。光SW1004として、上述した光SW10a~10hを用いることができる。
図18に示すアクセストポロジーが、
図15に示すアクセストポロジーと異なる点は、伝送路50-1-pに、バス型で複数の加入者装置40-p-1~40-p-Npが接続されている点である。伝送路50-1-pには、1以上のパワースプリッタ55が設けられる。加入者装置40-p-n(nは1以上Np-1以下の整数)が接続されているパワースプリッタ55を、パワースプリッタ55-nと記載する。
【0085】
加入者装置40-p-1~40-p-Npは、時分割多重により同じ波長を利用する。上りの光信号に用いられる波長と、下りの光信号に用いられる波長は異なる。対地#1と接続される伝送路50-2-1は、加入者装置40-p-1~40-p-Npそれぞれ宛ての時分割多重された波長λ1の下りの光信号を伝送する。光SW1004は、ポート11-2-1から、伝送路50-2-1を伝送した時分割多重された波長λ1の下りの光信号を入力する。光SW1004は、入力した下りの光信号を、ポート11-2-1(又は対地#1)と波長λ1との組み合わせに応じた出力先のポート11-1-pへルーティングする。光SW1004は、時分割多重された波長λ1の下りの光信号をポート11-1-pから伝送路50-1-pに出力する。パワースプリッタ55-nは伝送路50-1-pから時分割多重された下りの光信号を分岐し、分岐した下りの光信号を加入者装置40-p-nに出力する。加入者装置40-p-1~40-p-Npは、時分割多重された下りの光信号を受信し、受信した下りの光信号から自装置宛ての下りの光信号を選択する。
【0086】
また、加入者装置40-p-1~40-p-Npは、TDMA(時分割多重アクセス)によって同じ波長λ2の時分割多重された上りの光信号を送信する。各パワースプリッタ55-nは、伝送路50-1-pを伝送する上りの光信号に、加入者装置40-p-nから入力した波長λ2の上りの光信号を時分割多重する。光SW1004は、時分割多重された上りの光信号をポート11-1-pから入力し、ポート11-1-pと波長λ2との組み合わせに応じた出力先のポート11-2-1へルーティングし、対地#1と接続される伝送路50-2-1に出力する。
【0087】
なお、伝送路50-1-1~50-1-Pのうち任意の1以上に、バス型のアクセストポロジーを適用可能である。
【0088】
図19は、波長多重を用いたバス型のアクセストポロジーを示す図である。光SW1005として、上述した光SW10a~10hを用いることができる。
図19に示すアクセストポロジーが、
図16に示すアクセストポロジーと異なる点は、多重通信伝送路91に、バス型で複数の加入者装置40-p~40-(p+N)が接続されている点である。加入者装置40-p~40-(p+N)は、それぞれ異なる波長の光信号を送受信する。多重通信伝送路91には、1以上のパワースプリッタ55が設けられる。加入者装置40-(p+n)(nは0以上N-1以下の整数、Nは1以上の整数)が接続されているパワースプリッタ55を、パワースプリッタ55-(p+n)と記載する。
【0089】
光SW1005は、
図16に示す光SW1002と同様に、ポート11-2-(q+n)から波長λ
1(1+n)の加入者装置40-(p+n)宛ての下りの光信号を入力する(qは1以上の整数、nは0以上N以下の整数)。
図19は、q=1の場合の例である。光SW1005は、ポート11-2-(q+n)から入力した波長λ
1(1+n)の下りの光信号を、ポート11-2-(q+n)と波長λ
1(1+n)との組み合わせ応じた出力先のポート11-1-(p+n)へルーティングする。
【0090】
WDM装置81は、ポート11-1-p~11-1-(p+N)のそれぞれから出力された波長λ11~λ1Nの下りの光信号を合波して多重通信伝送路91に出力する。パワースプリッタ55-(p+n)は、多重通信伝送路91から波長多重された下りの光信号を分岐し、分岐した下りの光信号を加入者装置40-(p+n)に出力する。加入者装置40-p~40-(p+N)は、波長多重された下りの光信号を受信し、受信した下りの光信号から自装置宛ての下りの光信号を選択する。
【0091】
また、加入者装置40-(p+n)は波長λ
2(1+n)の上りの光信号を送信する。各パワースプリッタ55-(p+n)は、多重通信伝送路91を伝送する上りの波長λ
2(2+n)~λ
2Nの光信号に、加入者装置40-(p+n)から入力した波長λ
2(1+n)の上りの光信号を合波する。WDM装置81は、多重通信伝送路91から波長多重された上りの光信号を入力し、波長λ
21~λ
2Nの上りの光信号に分離する。WDM装置81は、波長λ
2(1+n)の上りの光信号を、ポート11-1-(p+n)に入力する。光SW1005は、
図16に示す光SW1002と同様に、波長λ
2(1+n)の上りの光信号を、入力されたポート11-1-(p+n)と波長λ
2(1+n)との組み合わせに応じた出力先のポート11-2-(q+n)から出力する。これにより、加入者装置40-pが送信した波長λ
21の上りの光信号は、ポート11-1-pから入力され、ポート11-2-1から出力される。また、加入者装置40-(p+1)が送信した波長λ
22の上りの光信号は、ポート11-1-(p+1)から入力され、ポート11-2-2から出力される。なお、
図20に示すように、光SWの後段にWDM装置を置く構成としてもよい。
【0092】
図20は、波長多重を用い、かつ、光SWの後段にWDM装置を置いたバス型のアクセストポロジーを示す図である。光SW1006として、上述した光SW10a~10hを用いることができる。
図20において、
図17と同一の部分には同一の符号を付している。光SW1006のポート11-2-q(qは1以上Q以下の整数)は、伝送路50-2-qを介してWDM装置97と接続される。WDM装置97は、対地#n(nは1以上N以下の整数、Nは2以上の整数)と伝送路50-2-q-nを介して接続される。光SW1006のポート11-1-p(pは1以上P以下の整数)と接続される伝送路50-1-pには、1以上のパワースプリッタ55が設けられる。加入者装置40-p-nが接続されているパワースプリッタ55を、パワースプリッタ55-nと記載する。
【0093】
WDM装置97は、対地#nから送信された波長λ1nの加入者装置40-p-n宛ての下りの光信号を、伝送路50-2-q-nから入力する。WDM装置97は、対地#1~対地#Nのそれぞれから入力した波長λ11~λ1Nの下りの光信号を多重した波長多重信号を光SW1006に入力する。光SW1006は、ポート11-2-qから入力した下りの波長多重信号を、出力先のポート11-1-pから出力する。パワースプリッタ55-nは、伝送路50-1-pから下りの波長多重信号を分岐し、分岐した下りの波長多重信号を加入者装置40-p-nに出力する。加入者装置40-p-1~40-p-Nは、受信した下りの波長多重信号から自装置宛ての下りの光信号を選択する。これにより、加入者装置40-p-nは、対地#nから波長λ1nの光信号を受信する。
【0094】
また、加入者装置40-p-nは、波長λ2nの上りの光信号を送信する。各パワースプリッタ55-nは、伝送路50-1-pを伝送する上りの光信号に、加入者装置40-p-nから入力した波長λ2nの上りの光信号を波長多重する。光SW1006は、波長λ21~λ2Nの上りの光信号が波長多重された波長多重信号をポート11-1-pから入力する。光SW1006は、上りの波長多重信号を出力先のポート11-2-qから伝送路50-2-qに出力する。WDM装置97は、伝送路50-2-qから波長多重信号を入力し、波長分離する。WDM装置97は、波長λ2nの上りの光信号を対地#nと接続される伝送路50-2-q-nに出力する。これにより、加入者装置40-p-nが送信した波長λ2nの光信号は、対地#nに送信される。
【0095】
図21は、ループ型のアクセストポロジーを示す図である。光SW1007として、上述した光SW10a~10hを用いることができる。光SW1007の一部のポート11-1-p1~11-1-pN(p1<pN,p1は1以上の整数、pNはP以下の整数)は、複数波長の光信号を伝送するWDMアクセスリングネットワーク31に接続される。WDMアクセスリングネットワーク31において使用されるいくつかの波長の光信号が、光SW1007を介して通信先の加入者装置40又は上位NWへ伝送される。
図21に示すトポロジーでは、WDM合分波器を使用せず、対向する加入者装置40間を2本の伝送路で接続して通信する。
【0096】
WDMアクセスリングネットワーク31は、R台のAdd/Dropノード32を伝送路53により接続したネットワークである。
図21は、R=4の例である。R台のAdd/Dropノード32をAdd/Dropノード32-1~32-Rと記載し、Add/Dropノード32-r(rは1以上R以下の整数)とAdd/Dropノード32-(r+1)との間の伝送路53を伝送路53-rと記載する。ただし、Add/Dropノード32-(R+1)は、Add/Dropノード32-1とみなす。Add/Dropノード32-1は、光SW1007のポート11-1-pn(pnはp1以上pN以下の整数)と伝送路50-1-pnを介して接続される。
【0097】
Add/Dropノード32は、分波部33と、光SW34と、合波部35とを有する。Add/Dropノード32-r(rは2以上R以下の整数)の分波部33は、伝送路53-(r-1)から入力した波長多重光信号を分波し、分波により得られた光信号を光SW34に出力する。光SW34は、1以上の加入者装置40と接続される。同図では、光SW34に接続される加入者装置40を1台のみ示している。光SW34は、分波部33から入力した光信号のうち、自ノードに対応した波長の光信号をドロップする。加入者装置40の光受信器43は、光SW34がドロップした光信号を受信する。また、光SW34は、加入者装置40の光送信器42が送信した光信号を入力し、入力した光信号とドロップしなかった光信号とを合波部35に出力する。Add/Dropノード32-rの合波部35は、光SW34から入力した光信号を合波して、伝送路53-rに出力する。なお、Add/Dropノード32-1の光SW34は、分波部33が分波した光信号のうち自ノードに対応した波長の光信号をドロップし、各波長の光信号を伝送路50-1-pn1(pn1=1、3、5、…、p(N-1))に入力する。光SW1007のポート11-1-pn1は、Add/Dropノード32-1がドロップした光信号を、伝送路50-1-pn1から入力する。また、Add/Dropノード32-1の光SW34は、光SW1007がポート11-1-pn2(pn2=2、4、6、…、pN)から出力した光信号を伝送路50-1-pn2から入力し、入力した光信号とドロップしなかった光信号とを合波部35に出力する。
【0098】
これにより、WDMアクセスリングネットワーク31のAdd/Dropノード32-4に接続される加入者装置40であるONU#1と、光SW1007のポート11-2-1及びポート11-2-2に接続される加入者装置40であるONU#2とは、以下のように通信する。
【0099】
ONU#1は、波長λ1の光信号をAdd/Dropノード32-4に送信する。Add/Dropノード32-4の合波部35は、光SW34が入力した波長λ1の光信号と、光SW34がドロップしなかった光信号とを合波してAdd/Dropノード32-1に出力する。Add/Dropノード32-1の光SW34は、分波部33が分波した波長λ1の光信号をドロップし、ドロップしなかった光信号を合波部35に出力する。光SW1007のポート11-1-p1は、Add/Dropノード32-1がドロップした波長λ1の光信号を伝送路50-1-p1から入力する。光SW1007は、ポート11-1-p1から入力した波長λ1の光信号をポート11-2-1から出力する。ONU#2の光受信器43は、伝送路50-2-1を伝送した波長λ1の光信号を受信する。
【0100】
ONU#2の光送信器42は、波長λ2の下りの光信号を送信する。光SW1007のポート11-2-2は、ONU#2が送信した光信号を伝送路50-2-2から入力する。光SW1007は、ポート11-2-2から入力した波長λ2の下りの光信号をポート11-1-p2から出力する。Add/Dropノード32-1の光SW34は、光SW1007が出力した波長λ2の光信号を伝送路50-1-p2から入力し、入力した光信号とドロップしなかった光信号とを合波部35に出力する。波長λ2の光信号は、Add/Dropノード32-2、32-3を経由してAdd/Dropノード32-4に入力される。Add/Dropノード32-4の光SW34は、波長λ2の光信号をドロップする。ONU#1の光受信器43は、Add/Dropノード32-4がドロップした波長λ2の光信号を受信する。
【0101】
図22は、WDM合分波器を用いたループ型のアクセストポロジーを示す図である。光SW1008として、上述した光SW10a~10hを用いることができる。
図22に示すアクセストポロジーが、
図21に示すアクセストポロジーと異なる点は、光SW1008とWDMアクセスリングネットワーク31とがWDM装置81及びWDM装置89を介して接続される点である。
【0102】
WDMアクセスリングネットワーク31のAdd/Dropノード32-1とWDM装置89とは、伝送路93-1~93-Nにより接続される(Nは2以上の整数)。WDM装置89は、伝送路93-n1(n1=1、3、5、…、N-1)から波長λn1の上りの光信号を受信し、受信した上りの光信号を多重した多重信号を多重通信伝送路91に出力する。また、WDM装置89は、多重通信伝送路91を介して受信した下りの波長多重光信号を分波し、分波した波長λn2の下りの光信号を伝送路93-n2に入力する(n2=2、4、6、…、N)。
【0103】
WDM装置81は、多重通信伝送路91を介して受信した上りの波長多重光信号を分波し、分波した波長λn1の上りの光信号をそれぞれポート11-1-n1に入力する。WDM装置81は、ポート11-1-pn2のそれぞれから出力された波長λn2の下りの光信号を受信し、受信した下り信号を合波して多重通信伝送路91に出力する。
【0104】
これにより、WDMアクセスリングネットワーク31のAdd/Dropノード32-4に接続される加入者装置40であるONU#1と、光SW1008のポート11-2-1及びポート11-2-2に接続される加入者装置40であるONU#2とは、以下のように通信する。なお、N=18の場合を例に説明する。
【0105】
ONU#1は、波長λ1の上りの光信号をAdd/Dropノード32-4に送信する。また、他のONUが、波長λ3、λ5の上りの光信号をAdd/Dropノード32-4に送信する。Add/Dropノード32-4の光SW34は、波長λ1、λ3、λ5の光信号を入力する。Add/Dropノード32-4の合波部35は、光SW34が入力した波長λ1、λ3、λ5の光信号と、光SW34がドロップしなかった光信号とを合波してAdd/Dropノード32-1に出力する。Add/Dropノード32-1の光SW34は、分波部33が分波した波長λ1、λ3、λ5、…λ17の光信号をドロップし、ドロップしなかった光信号を合波部35に出力する。WDM装置89は、伝送路93-1、93-3、93-5、…、93-17のそれぞれから入力した波長λ1、λ3、λ5、…λ17の上りの光信号を多重した多重信号を多重通信伝送路91に出力する。
【0106】
WDM装置81は、多重通信伝送路91から波長多重された上りの光信号を入力し、波長分離する。WDM装置81は、波長λ1、λ3、λ5、…λ17の上りの光信号をそれぞれ、光SW1008のポート11-1-p1、11-1-p3、11-1-p5、…、11-1-p17に入力する。光SW1008は、波長λ1の上りの光信号を出力先のポート11-2-1から出力する。ONU#2の光受信器43は、伝送路50-2-1を伝送した波長λ1の光信号を受信する。
【0107】
ONU#2の光送信器42は、波長λ2の下りの光信号を送信する。光SW1008のポート11-2-2は、ONU#2が送信した光信号を伝送路50-2-2から入力する。光SW1008は、ポート11-2-2から入力した波長λ2の下りの光信号をポート11-1-p2から出力する。さらに、光SW1008は、ポート11-2-4、11-2-6、…、11-2-18のそれぞれから入力した波長λ4、λ6、…、λ18の下りの光信号を、ポート11-1-p4、11-2-p6、…、11-2-p18から出力する。
【0108】
WDM装置81は、ポート11-1-p2、11-1-p4、11-1-p6、…、11-1-p18のそれぞれから出力された波長λ2、λ4、λ6、…、λ18の下りの光信号を多重した波長多重信号を多重通信伝送路91に出力する。WDM装置89は、多重通信伝送路91を伝送した波長多重信号を分離し、分離により得られた波長λ2、λ4、λ6、…、λ18の下りの光信号をそれぞれ、伝送路93-2、93-4、93-6、…、93-18に出力する。Add/Dropノード32-1の光SW34は、WDM装置89が出力した波長λ2、λ4、λ6、…、λ18の光信号をそれぞれ伝送路93-2、93-4、93-6、…、93-18から入力し、入力した光信号とドロップしなかった光信号とを合波部35に出力する。合波部35は、光SW34から入力した光信号を合波して、伝送路53-1に出力する。
【0109】
Add/Dropノード32-2の分波部33は、伝送路53-1から入力した光信号を分波し、光SW34に出力する。光SW34は、自ノードに対応する波長λ14、λ16、λ18の光信号をドロップする。波長λ14、λ16、λ18の光信号は、それぞれの波長に対応した加入者装置40の光受信器43に伝送される。また、Add/Dropノード32-2の光SW34は、各加入者装置40の光送信器42が送信した波長λ13、λ15、λ17の光信号を入力し、入力した光信号とドロップしなかった光信号とを合波部35に出力する。合波部35は、光SW34から入力した光信号を合波して、伝送路53-2に出力する。
【0110】
Add/Dropノード32-3もAdd/Dropノード32-2と同様に動作する。ただし、Add/Dropノード32-3の光SW34は、自ノードに対応する波長λ8、λ10、λ12の光信号をドロップし、波長λ7、λ9、λ11の光信号を入力する。Add/Dropノード32-4の分波部33は、伝送路53-3から入力した波長多重光信号を分波し、光SW34に出力する。Add/Dropノード32-4の光SW34は、自ノードに対応する波長λ2、λ4、λ6の光信号をドロップする。ONU#1の光受信器43は、Add/Dropノード32-4の光SW34がドロップした波長λ2の光信号を受信する。
【0111】
図23は、2か所のアクセス面でひとつのループを形成するアクセストポロジーを示す図である。光SW1009a及び光SW1009bとして、上述した光SW10a~10hを用いることができる。光SW1009aと光SW1009bとを総称して光SW1009と記載する。光SW1009の2つのポート11-1は、1本の伝送路54の両端と接続される。伝送路54には、1台以上のパワースプリッタ57が接続される。パワースプリッタ57は、合波器82及び光SW95を介して1以上の加入者装置40の光送信器42と接続され、分波器83及び光SW96を介して1以上の加入者装置40の光受信器43と接続される。各加入者装置40は、それぞれ異なる波長の光信号を送受信する。
【0112】
光SW1009aと接続される伝送路54を伝送路54a、伝送路54aと接続される2つのポート11-1をポート11a-1-p1、11a-1-p2と記載し、光SW1009bと接続される伝送路54を伝送路54b、伝送路54bと接続される2つのポート11-1をポート11b-1-p1、11b-1-p2と記載する。伝送路54aに接続されるN台(Nは1以上の整数)のパワースプリッタ57をパワースプリッタ57a-1~57a-Nと記載し、伝送路54bに接続されるM台(Mは1以上の整数)のパワースプリッタ57をパワースプリッタ57b-1~57b-Mと記載する。パワースプリッタ57a-n(nは1以上N以下の整数)に接続される合波器82、分波器83をそれぞれ合波器82a-n、分波器83a-nと記載し、パワースプリッタ57b-m(mは1以上M以下の整数)に接続される合波器82、分波器83をそれぞれ合波器82b-m、分波器83b-mと記載する。合波器82a-nと接続される光SW95を光SW95a-nと記載し、分波器83a-nと接続される光SW96を光SW96a-nと記載する。合波器82b-mと接続される光SW95を光SW95b-mと記載し、分波器83b-mと接続される光SW96を光SW96b-mと記載する。
【0113】
光SW1009aと光SW1009bとは、伝送路54c及び伝送路54dにより接続される。伝送路54cと接続される光SW1009aのポート11-2をポート11a-2-q1と記載し、伝送路54dと接続される光SW1009aのポート11-2をポート11a-2-q2と記載する。また、伝送路54cと接続される光SW1009bのポート11-2をポート11b-2-q1と記載し、伝送路54dと接続される光SW1009bのポート11-2をポート11b-2-q2と記載する。
【0114】
上記の構成において、光SW95b-mは、各加入者装置40の光送信器42が送信した異なる波長の光信号を、合波器82b-mの各波長に対応したポートに出力する。合波器82b-mは、各加入者装置40の光送信器42が送信した異なる波長の光信号を光SW95b-mを介して受信し、受信した光信号を合波した波長多重光信号を出力する。パワースプリッタ57b-mは、合波器82b-mが出力した波長多重光信号を、ポート11b-1-p2からポート11b-1-p1の方向に伝送路54bを伝送する波長多重光信号に合波して出力する。
【0115】
光SW1009bのポート11b-1-p1は、伝送路54bから波長多重光信号を入力し、ポート11b-2-q1から出力する。光SW1009aのポート11a-2-q1は、光SW1009bのポート11b-2-q1から出力された波長多重光信号を伝送路54cから入力する。光SW1009aは、ポート11a-2-q1から入力した波長多重光信号をポート11a-1-p1から伝送路54aに出力する。
【0116】
パワースプリッタ57a-nは、ポート11a-1-p1からポート11a-1-p2の方向に伝送路54aを伝送する波長多重光信号を分岐し、分岐した波長多重光信号を分波器83a-nに出力する。分波器83a-nは、パワースプリッタ57a-nから受信した波長多重光信号を分波し、分波した光信号を波長に対応したポートから光SW96a-nに出力する。光SW96a-nは、分波器83a-nから入力した各波長の光信号を、その波長の光信号を受信する加入者装置40の光受信器43に出力する。
【0117】
一方で、光SW95a-nは、各加入者装置40の光送信器42が送信した異なる波長に光信号を、合波器82a-nの各波長に対応したポートに出力する。合波器82a-nは、各加入者装置40の光送信器42が送信した異なる波長の光信号を光SW95a-nを介して受信し、受信した光信号を合波した波長多重光信号を出力する。パワースプリッタ57a-nは、合波器82a-nが出力した波長多重光信号を、ポート11a-1-p1からポート11a-1-p2の方向に伝送路54aを伝送する波長多重光信号に合波して出力する。
【0118】
光SW1009aのポート11a-1-p2は、伝送路54aから波長多重光信号を入力し、ポート11a-2-q2から出力する。光SW1009bのポート11b-2-q2は、光SW1009aのポート11a-2-q2から出力された波長多重光信号を伝送路54dから入力する。光SW1009bは、ポート11b-2-q2から入力した波長多重光信号をポート11b-1-p2から伝送路54bに出力する。
【0119】
パワースプリッタ57b-mは、ポート11b-1-p2からポート11b-1-p1の方向に伝送路54bを伝送する波長多重光信号を分岐し、分岐した波長多重光信号を分波器83b-mに出力する。分波器83b-mは、パワースプリッタ57b-mから受信した波長多重光信号を分波し、分波した光信号を波長に対応したポートから光SW96b-mに出力する。光SW96b-mは、分波器83b-mから入力した各波長の光信号を、その波長の光信号を受信する加入者装置40の光受信器43に出力する。
【0120】
なお、
図23では、光信号が左回りに伝送される場合を示しているが、右回りに伝送されてもよく、冗長化のため左右2心を一組としてもよい。
【0121】
次に、ユーザ接続数が増加した場合の接続構成について説明する。
図24は、光SWのスケーラビリティが求められる例を示す図である。
図24には、N台(Nは1以上の整数)の光SW1010-1~1010-Nを示している。光SW1010-1~光SW1010-Nとして、上述した光SW10a~10hを用いることができる。
図24では、N=4の例を示している。同図では、光SW1010-n(nは1以上N以下の整数)のポート11-1-pには、加入者装置40としてのONU#npが接続されている。光SW1010-nのポート11-2-qは、アップリンクと接続される。アップリンクは、上位ネットワークと接続される伝送路50-2である。
【0122】
ユーザ数が膨大になり、ONUの数が増加すると、光SW1010が収容可能な規模を超えてしまう場合がある。本実施形態では、このような場合でも、
図25又は
図26に示すような接続構成により、ユーザ数が少ない場合と同様の機能、例えば、任意のアップリンクを選択した接続や、任意の加入者装置への光折り返しを実現する。
【0123】
図25は、メッシュ構成による光SWスケーラビリティの例を示す図である。光SW1010の一部のポート11-1は伝送路50-1によりONUと接続され、一部のポート11-2はアップリンクの伝送路50-2に接続される。さらに、光SW1010の一部のポート11-1と、他の光SW1010の一部のポート11-2とが、伝送路50-3により接続される。同図では、1台の光SW1010が、他の全ての光SW1010と接続されている。
【0124】
光SW1010の複数のポート11-1を、ポート11-1-1、11-1-2、11-1-3、…、11-1-p1、11-1-p2、11-1-p3と記載し、光SW1010の複数のポート11-2を、ポート11-2-1、11-2-2、11-2-3、…、11-2-q1、11-2-q2、11-2-q3と記載する。
【0125】
図25において、光SW1010-n(nは1以上N以下の整数)のポート11-1-1、11-1-2、11-1-3、…は、ONU#n1、ONU#n2、ONU#n3、…と接続され、ポート11-2-1、11-2-2、11-2-3、…は、アップリンク#n1、アップリンク#n2、アップリンク#n3、…の伝送路50-2に接続される。さらに、光SW1010-nは一部のポート11-2により、他の全て光SW1010-j(j≠n、jは1以上N以下の整数)のポート11-1に接続される。例えば、光SW1010-1のポート11-2-q1は光SW1010-2のポート11-1-p1に、光SW1010-1のポート11-2-q2は光SW1010-3のポート11-1-p1に、光SW1010-1のポート11-2-q3は光SW1010-4のポート11-1-p1に接続される。また、光SW1010-2のポート11-2-q1は光SW1010-1のポート11-1-p1に、光SW1010-2のポート11-2-q2は光SW1010-3のポート11-1-p2に、光SW1010-2のポート11-2-q3は光SW1010-4のポート11-1-p2に接続される。なお、光SW1010-nは、一部のポート11-2により、他の全て光SW1010-j(j≠n、jは1以上N以下の整数)のうち一部の光SW1010-jのポート11-1に接続してもよい。
【0126】
例えば、ONU#11がアップリンク#41宛ての波長λ1の上りの光信号を送信した場合、光SW1010-1は、ポート11-1-1から入力した光信号をポート11-2-q3から出力する。光SW1010-4のポート11-1-p1は、光SW1010-1のポート11-2-q3から出力された波長λ1の光信号を入力し、ポート11-2-1から出力する。
【0127】
ONU#12がONU#31宛ての波長λ
2の上りの光信号を送信した場合、光SW1010-1は、ポート11-1-2から入力した光信号をポート11-2-q2から出力する。光SW1010-3のポート11-1-p1は、光SW1010-1のポート11-2-q2から出力された光信号を入力する。光SW1010-3は、ポート11-1-p1から入力した波長λ
2の光信号に対して、
図3に示す光SW10bと同様の折り返し通信を行い、ポート11-1-1から出力する。
【0128】
なお、
図25では、上りの光信号のみを記載している。上下双方向の通信を行う場合は、伝送路50-1、50-2、50-3に、上りの光信号と下りの光信号を分離して伝送するWDMフィルタを設ける。そして、下りの光信号については、上述した上りの光信号とは逆向きの接続を行う。
【0129】
図26は、カスケード構成による光SWスケーラビリティの他の例を示す図である。
図26に示す構成が、
図25に示す構成と異なる点は、光SW1010-n(nは1以上N以下の整数)は一部のポート11-2により、他のいずれかの光SW1010-(n+1)のポート11-1に接続している点である。なお、光SW1010-(N+1)は、光SW1010-1であるとする。これにより、複数の光SW1010が直列に接続される。
【0130】
図26において、光SW1010-n(nは1以上N以下の整数)のポート11-1-1、11-1-2、11-1-3、…は、ONU#n1、ONU#n2、ONU#n3、…と接続され、ポート11-2-1、11-2-2、11-2-3、…は、アップリンク#n1、アップリンク#n2、アップリンク#n3、…の伝送路50-2に接続される。さらに、光SW1010-nのポート11-2-q1は光SW1010-(n+1)のポート11-1-p1に、光SW1010-nのポート11-2-q2は光SW1010-(n+1)のポート11-1-p2に、光SW1010-nのポート11-2-q3は光SW1010-(n+1)のポート11-1-p3に接続される。
【0131】
例えば、ONU#11がアップリンク#41宛ての波長λ1の上りの光信号を送信した場合、光SW1010-1は、ポート11-1-1から入力した光信号をポート11-2-q1から出力する。光SW1010-2のポート11-1-p1は、光SW1010-1のポート11-2-q1から出力された光信号を入力し、波長λ1に応じてポート11-2-q1から出力する。光SW1010-3のポート11-1-p1は、光SW1010-2のポート11-2-q1から出力された光信号を入力し、波長λ1に応じてポート11-2-q1から出力する。光SW1010-4のポート11-1-p1は、光SW1010-3のポート11-2-q1から出力された光信号を入力し、波長λ1に応じてポート11-2-1から出力する。
【0132】
ONU#12がONU#31宛ての波長λ
2の上りの光信号を送信した場合、光SW1010-1は、ポート11-1-2から入力した光信号をポート11-2-q2から出力する。光SW1010-2のポート11-1-p2は、光SW1010-1のポート11-2-q2から出力された光信号を入力する。光SW1010-2は、ポート11-1-p2から入力した光信号を波長λ
2に応じてポート11-2-q2から出力する。光SW1010-3のポート11-1-p2は、光SW1010-2のポート11-2-q2から出力された光信号を入力する。光SW1010-3は、ポート11-1-p2から入力した光信号に対して、波長λ
2に応じて
図3に示す光SW10bと同様の折り返し通信を行い、ポート11-1-1から出力する。
【0133】
なお、
図26では、上りの光信号のみを記載している。上下双方向の通信を行う場合は、伝送路50-1、50-2、50-3に、上りの光信号と下りの光信号を分離して伝送するWDMフィルタを設ける。そして、下りの光信号については、上述した上りの光信号とは逆向きの接続を行う。
【0134】
以下に示す各実施形態では、上述した機能を有する光SWを利用した光アクセスシステムの例を説明する。
【0135】
(第1の実施形態)
図27は、光アクセスシステム100の構成例を示す図である。光アクセスシステム100は、光ゲートウェイ(GW)200と、オペレーションシステム(OPS)300とを有する。加入者装置40は、光アクセスシステム100によって、
図1に示す光通信ネットワーク30などの上位ネットワークと通信可能に接続する。
【0136】
加入者装置40は、光加入者側の装置である。加入者装置40は、伝送路501を介して光GW200と接続される。伝送路501は、例えば、光ファイバである。光GW200は、通信局舎内にある装置である。符号N1で示される加入者装置40と光GW200の間は、例えば、伝送路501やパワースプリッタ502を介して接続される。加入者装置40から光GW200へ接続するネットワークの構成は、PtoP(ポイント・ツー・ポイント)やPON構成、バス型など、様々なネットワークトポロジーであってもよい。例えば、伝送路501にパワースプリッタ502などを有し、1本の伝送路501に複数の加入者装置40が接続される構成とすることができる。光GW200は、伝送路511及び伝送路512を介して、他の局舎又はコアネットワークなどに接続されている。伝送路511及び伝送路512は、例えば、光ファイバである。伝送路511は上り信号を伝送し、伝送路512は下り信号を伝送する。伝送路511及び伝送路512は、波長多重された光信号を伝送する多重通信伝送路の一例である。符号N2に示される光GW200から他の局舎又はコアネットワーク方面への接続は、例えば、光ファイバの伝送路511や伝送路512により接続され、対地間の接続がフルメッシュとなるように接続されている。本実施形態では、光GW200が対地Aの局舎に設置されており、かつ、光通信ネットワーク30等を介して対地Bの局舎に設定されている光通信装置及び対地Cの局舎に設置されている光通信装置と接続されている場合を例に説明する。光GW200が接続される対地B及び対地Cの光通信装置は、光GW200であってもよい。
【0137】
加入者装置40は、伝送路501を介して光GW200と接続される。加入者装置40は、光トランシーバ41を有している。光トランシーバ41は、波長可変光送受信器である。光トランシーバ41は、例えば、光信号と電気信号を相互に変換する光トランシーバである。加入者装置40は、送受信先に応じて、それぞれ独自の波長を選択して光トランシーバ41に設定できる。加入者装置40は、光GW200から受信した指示に従って、使用する波長を光トランシーバ41に設定する。光GW200に接続されるM台(Mは1以上の整数)の加入者装置40を、加入者装置40-1~40-Mと記載する。
【0138】
光GW200は、光SW210と、波長合分波器220と、制御装置230と、合波器241と、分波器242と、分岐部250と、監視装置260とを備える。分岐部250及び監視装置260は、監視部の一例である。
【0139】
光SW210は、複数の入出力ポート(以下、「ポート」と記載する。)を有しており、2以上のポート間を接続する。光SW210は、自由にポート間の光経路を切り変え可能である。上り信号を入出力するポートを上りポート、下り信号を入出力するポートを下りポートと記載する。光SW210の各ポートは、伝送路に接続される。
【0140】
波長合分波器220は、上り信号と下り信号を波長により分離する上下多重分離を行う。波長合分波器220は、加入者装置40が送信した上りの光信号を伝送路501から入力し、伝送路521を介して光SW210に出力する。また、波長合分波器220は、光SW210が出力した下りの光信号を伝送路522から入力し、伝送路501を介して加入者装置40に出力する。
【0141】
制御装置230は、光SW210のポートのうち、加入者装置40が接続されていない上りポート及び下りポートに接続されている。光SW210の上りポートは伝送路531により、制御装置230の送信側のポートに接続される。光SW210の下りポートは伝送路533により、制御装置230の送信側のポートに接続される。制御装置230は、波長分波器231と、波長チャネルごとの光受信器(Rx)232と、波長可変送信器233とを有する。波長分波器231は、例えば、AWG(アレイ導波路回折格子、Arrayed waveguide gratings)である。波長分波器231は、伝送路540を介して受信側のポートに入力された光を波長ごとに分波する。波長分波器231は、分波した光をそれぞれ、その光の波長の光信号を受信する光受信器232に出力する。波長可変送信器233は、可変の波長の光を発生する波長可変レーザダイオード(LD)を有している。波長可変送信器233は、波長可変レーザダイオードが発生する光を用いて、可変の波長の光信号を送信する。波長可変送信器233は、発生した光を用いた光信号を、送信側のポートから伝送路533に出力する。
【0142】
合波器241は、光SW210が複数の伝送路541のそれぞれから出力した異なる波長の上りの光信号を合波して、他の対地と接続される伝送路511に出力する。分波器242は、いずれかの他の対地から送信された光信号を伝送路512から入力し、入力した下りの光信号を波長により分波する。分波器242は、分波された下りの光信号をそれぞれ、その光信号の波長に応じた上りポートと接続される複数の伝送路542を介して光SW210に入力する。
【0143】
分岐部250は、伝送路511及び伝送路512に備えられる。分岐部250は、パワースプリッタ251及び252を有する。パワースプリッタ251は、伝送路511を伝送する上りの光信号を分岐し、伝送路551を介して光SW210に入力する。パワースプリッタ252は、伝送路512を伝送する下りの光信号を分岐し、伝送路552を介して光SW210に入力する。
【0144】
監視装置260は、波長分波器261と、波長ごとの光受信器(Rx)262とを有する。波長分波器261は、光SW210と、伝送路560を介して接続される。光SW210は、伝送路541又は伝送路542と接続されるポートから入力した光信号を、伝送路560と接続されるポートに出力する。これにより、波長分波器261は、分岐部250が分岐した光信号を受信する。波長分波器261は、入力した光信号を波長ごとに分波する。波長分波器261は、分波した光をそれぞれ、その光の波長の光信号を受信する光受信器262に出力する。監視装置260は、光受信器262が受信した光信号により、加入者装置40が送受信する通信の状態を監視する。
【0145】
OPS300は、光GW制御部301と、管理DB350とを有する。光GW制御部301は、光GW200と接続される。光GW制御部301は、波長制御部310と、光SW制御部320を有する。波長制御部310は、各ユーザ(又は、各サービス)が使用している光の波長を示す情報を記憶している。波長制御部310は、この情報を参照して、各ユーザが使用する波長を動的に割り当てる。波長制御部310は、光GW200と異なる建物に設置され、ネットワークを介して光SW210や光SW制御部320と接続されてもよい。波長制御部310は、各接続情報を共有することによって、どのユーザが、光SW210のどのポートに接続され、どの波長を使用しているかの情報をリアルタイムで管理及び制御する。
【0146】
また、光GW制御部301は、管理データベース(DB)350と接続されている。光GW制御部301は、ユーザや使用波長に関する情報を管理DB350と相互に交換している。管理DB350は、各ユーザの使用波長及び宛先情報を記憶している。宛先は、例えば、対地A、対地Bなどで表される。管理DB350は、光アクセスシステム100に接続されている全ユーザの情報を管理している。
【0147】
図28は、SW接続テーブルの例を示す図である。SW接続テーブルは、光SW210の各ポートの接続先を示している。つまり、光信号が入出力されるポートを、その光信号の送信元又は送信先の加入者装置40、制御装置230、分岐部250、監視装置260、対地などを識別する情報として用いることが可能である。
【0148】
波長テーブルには、ユーザ波長テーブルと、局舎間波長テーブルとがある。
図29は、ユーザ波長テーブルの例を示す図である。ユーザ波長テーブルは、各ユーザが送信に使用している波長、受信に使用している波長、送受信に使用していない空きの波長、故障中のため使用できない波長を示している。なお、管理DB350は、光SW210と接続される伝送路毎に波長テーブルを管理してもよい。
【0149】
図30は、局舎間波長テーブルの例を示す図である。局舎間波長テーブルは、ある対地が、他の各対地との通信に使用している波長、他の各対地との通信に使用していない空きの波長、他の各対地との通信に故障中のため使用できない波長を示している。
【0150】
続いて、
図31及び
図32を用いて、加入者装置40の構成例を説明する。
図31は、二心型の加入者装置401の構成図である。加入者装置401は、光トランシーバ411を有する。光トランシーバ411は、波長可変光源451と、波長可変フィルタ452と、受信器453とを備える。波長可変光源451は、光送信部の一例であり、波長可変フィルタ452及び受信器453は、光受信部の一例である。波長可変光源451は、設定された波長の光を出力する。波長可変光源451に設定される波長は可変である。波長可変フィルタ452は、伝送路501から光信号を入力し、設定された波長の光を受信器453に通過させる。波長可変フィルタ452に設定される波長は可変である。受信器453は、波長可変フィルタ452が通過させた光信号を受信する。波長可変光源451は、例えば、直接変調方式により、主信号(または主信号に制御信号を重畳した信号)を出力することができる。または、波長可変光源451は、さらに、外部変調器を有し、外部変調器を用いて主信号(または主信号に制御信号を重畳した信号)を出力することができる。受信側の加入者装置401は、光GWの構成や多重化方式等によっては、波長可変フィルタ452を用いない構成としてもよい。
【0151】
図32は、一心型の加入者装置402の構成図である。加入者装置402は、光トランシーバ412を有する。
図32に示す光トランシーバ412が、
図31に示す光トランシーバ411と異なる点は、WDMフィルタ454をさらに備える点である。WDMフィルタ454は、上り信号と下り信号を波長により分離する。WDMフィルタ454は、波長可変光源451が発生した光を伝送路501に出力し、伝送路501から入力した光信号を波長可変フィルタ452に出力する。波長可変光源451は、例えば、直接変調方式により、主信号(または主信号に制御信号を重畳した信号)を出力することができる。または、加入者装置402は、加入者装置401と同様に、さらに、外部変調器を有し、外部変調器を用いて主信号(または主信号に制御信号を重畳した信号)を出力することができる。受信側の加入者装置402は、光GWの構成や多重化方式等によっては、波長可変フィルタ452を用いない構成としてもよい。
【0152】
ここで、新たに加入者装置40を接続した際の動作について説明する。
図33は、新規加入者装置接続時の光アクセスシステム100の初期設定処理を示すフローチャートである。
図27及び
図33を用いて、新たに加入者装置40-1を光GW200に接続する際の光アクセスシステム100の動作について説明する。なお、制御装置230の波長分波器261(AWG)の各ポートが光SW210のいずれのポートに接続されているかは、事前に制御装置230により確認されているものとする。
【0153】
まず、新たな加入者装置40-1を接続する前に、ユーザ申請が行われる。例えば、ユーザ申請により、対地Aと対地Bとの間の通信を行うことが得られる。事業者は、ユーザ申請に基づいて、ユーザ情報や、初期の宛先の情報などをOPS300の管理DB350に登録する(ステップS1)。ユーザ情報は、例えば、光トランシーバ41が使用可能な波長などを得ることができる情報である。OPS300は、SW接続テーブルを参照し、光SW210の空きのポートの中から加入者装置40-1を接続する光SW210のポートを割り当てる。ここでは、上りポート及び下りポートが割り当てられる。OPS300は、割り当てたポートが加入者装置40-1に接続されていることを示す情報をSW接続テーブルに登録する(ステップS2)。OPS300の光SW制御部320は、加入者装置40-1に割り当てたポートと、制御装置230が接続されるポートとの間で、光信号を送受信するよう光SW210を制御する。
【0154】
新たな加入者装置40-1が接続されると、加入者装置40-1は、初期化処理を行い、光信号により接続要求(レジスタリクエスト)を送信する(ステップS3)。加入者装置40-1は、初期化処理を、接続前、又は、接続直後に、自動で実施する。波長合分波器220は、伝送路501から接続要求を入力し、伝送路521を介して光SW210に出力する。光SW210は、加入者装置40-1と接続されるポートから入力した接続要求を、制御装置230が接続されている出力ポートに送信する。制御装置230は、伝送路531を介して受信用ポートから接続要求入力する。制御装置230は、入力した光信号を解析し、初期設定波長や、光パワーに問題がないかなど確認する(ステップS4)。
【0155】
制御装置230は、波長や光パワーに問題があった場合、再起動又は初期化の指示を加入者装置40-1に送信する。再起動又は初期設定後、ステップS3に戻り、加入者装置40-1は、再び、接続要求を送信する。
【0156】
制御装置230は、加入者装置40-1から受信した光信号を解析し、問題がないことを確認した場合、接続要求を光GW制御部301に出力する。光GW制御部301は、管理DB350に加入者装置40-1の情報を登録する。接続要求には、接続元の情報、接続先の情報、送信する信号の種類などが含まれている。接続元の情報は、例えば、MAC(Medium Access Control)アドレスなどのアドレス情報などが用いられる。接続先の情報には、例えば、宛先のアドレス情報などが用いられる。送信する信号の種類は、例えば、サービスや、変調方式などが用いられる。波長制御部310は、これらの情報に基づいて、管理DB350に接続元の情報を登録する。これにより、ユーザ波長テーブルに、加入者装置40-1を利用するユーザの識別と、加入者装置40-1が使用可能な波長が空きである旨が設定される。さらに、波長制御部310は、管理DB350に記憶される接続情報と照らし合わせて、対地Aと対地B間など加入者装置40-1と通信先との最適な経路を算出する。波長制御部310は、算出した経路に応じて、局舎間波長テーブルが示す空きを探索する。波長制御部310は、空きの波長の中から、加入者装置40-1が使用する波長を選択し、選択した波長の情報を制御装置230に送信する(ステップS5)。
【0157】
加入者装置40-1の通信先である他の加入者装置40を通信先加入者装置40と記載する。この場合、波長制御部310は、加入者装置40-1が通信先加入者装置40への光信号の送信に使用する波長である送信用波長と、加入者装置40-1が通信先加入者装置40からの光信号の受信に使用する波長である受信用波長とを選択する。波長制御部310は、選択した送信用波長及び受信用波長を、加入者装置40-1が使用する波長として制御装置230に送信する。なお、加入者装置40-1が通信先加入者装置40へ送信のみを行う場合、波長制御部310は、受信用波長を選択しなくてもよい。また、加入者装置40-1が通信先加入者装置40からの受信のみを行う場合、波長制御部310は、送信用波長を選択しなくてもよい。
【0158】
制御装置230は、波長の情報を以下のように送信する。制御装置230の波長可変送信器233は、波長制御部310が選択した波長の情報を設定した波長指示を、加入者装置40-1宛てを表す波長の光信号により送信する。光SW210は、波長可変送信器233と接続されるポートから入力した光信号を、加入者装置40-1と接続されている伝送路522に出力する。波長合分波器220は、伝送路522を介して光SW210から入力した光信号を、伝送路501に入射する。加入者装置40-1は、伝送路501を伝送した光信号を受信する。加入者装置40-1は、受信した光信号が示す波長指示に従って、光トランシーバ41の発振波長を設定する(ステップS6)。すなわち、加入者装置40-1は、波長指示に設定されている送信用波長により光信号を送信するように、光トランシーバ41(波長可変光源451)の発振波長を設定する。波長指示に受信用波長が設定されている場合、加入者装置40-1は、受信用波長の波長信号を受信するように光トランシーバ41(波長可変フィルタ452)を設定する。
【0159】
加入者装置40-1の光トランシーバ41は、指示された波長の光信号により、波長を設定した旨を通知する通知信号を送信する。通知信号は、要求信号と同様に、制御装置230に送信される。制御装置230は、受信した通知信号に基づいて、指定した波長が正しく設定されているか、出力パワーは十分かなどを確認する(ステップS7)。制御装置230は、確認の結果、問題がないと判定した場合、加入者装置40-1に通信開始の許可を示す許可通知を光信号により送信する。許可通知は、波長指示と同様に、加入者装置40-1に送信される。
【0160】
なお、光SW制御部320は、光SW210に、加入者装置40-1の送信先に合わせて光SW210内の最適なポートの接続情報を送信する。光SW210は、その接続情報をもとに、加入者装置40-1の上りポート及び下りポートを、光SW制御部320からの指示に従って設定する(ステップS8)。
【0161】
また、光アクセスシステム100は、光SW210内の経路切り替えを、制御装置230から加入者装置40-1に通信開始の許可を送信した後に行うようにタイミングを制御する。例えば、光SW210の経路切り替えに要する時間が予め分かっているとする。この場合、制御装置230は、光SW210が経路切り替えの指示を受信してから実際に経路を切り替えるのに要する時間だけ、加入者装置40-1が通信開始の許可を受信してから実際に通信を開始するまで待ち、その後に通信の開始を指示する。通信の開始後、光GW200の監視装置260は、対向の加入者装置間の通信状況確認を確認する(ステップS9)。監視装置260は、確認結果をOPS300へ通知する。確認がNGである場合、OPS300は、原因の切り分け手順を行う。
【0162】
また、加入者装置40-1が送信する接続要求、制御装置230が加入者装置40-1に送信する制御信号は、主信号よりも低速の光信号である。制御信号には、例えば、AMCCに代表されるようなプロトコルフリーの制御信号(制御手法)用いることができる。
【0163】
また、OPS300は、通信先加入者装置40に、加入者装置40-1の送信用波長を通信先加入者装置40の受信用波長として、また、加入者装置40-1の受信用波長を通信先加入者装置40の送信用波長として用いるように指示する。例えば、通信先加入者装置40が収容される光GW200を制御する光GW制御部301において、波長制御部310は、通信先加入者装置40の受信用波長及び送信用波長を設定した波長指示の送信を制御装置230に指示する。通信先加入者装置40は、制御装置230から制御信号により波長指示を受信し、受信した波長指示に従って光トランシーバ41に受信用波長及び送信用波長を設定する。すなわち、波長指示に送信用波長が設定されている場合、通信先加入者装置40は、送信用波長により光信号を送信するように、光トランシーバ41(波長可変光源451)の発振波長を設定する。波長指示に受信用波長が設定されている場合、通信先加入者装置40は、受信用波長の波長信号を受信するように光トランシーバ41(波長可変フィルタ452)を設定する。
【0164】
なお、光アクセスシステム100は、ステップS1のユーザ申請を行わず、ユーザ申請により管理DB350に登録する情報を、新たな加入者装置40-1と光GW制御部301との間で送受信してもよい。これにより、加入者装置40-1は、ユーザ申請を行うことなく、他の加入者装置40との通信が可能となる。加入者装置40-1と光GW制御部301との間の情報の送受信は、制御装置230を介して、例えば、AMCCを用いて行う。
【0165】
上記では,新規加入者装置が接続された際の動作について説明した。次に、新規加入者装置が接続された後の通常の通信動作を、
図27の加入者装置40-2が通信を行う場合を例に説明する。
【0166】
まず、上り方向通信について説明する加入者装置40-2が出力した上りの光信号は、伝送路501を介して光GW200に送られる。光GW200の波長合分波器220は、入力した光信号を波長により、上りの光信号と下りの光信号に分離する。波長合分波器220が分波した上りの光信号は、伝送路521を介して光SW210に入力される。光SW210は、波長合分波器220から上りの光信号を入力したポートを、加入者装置40-2の宛先までの経路に応じた別のポートに接続して、光信号を出力する。波長を宛先情報として用いる場合は、光SW210は、加入者装置40-2に割当てられた波長により特定される宛先に応じた別のポートに接続して光信号を出力する。光SW210から出力された上り信号は、合波器241にておいて他の加入者装置40が送信した異なる波長の光信号と合波され、一本の伝送路511を介して別の局舎(例えば、対地B)へ伝送される。合波器241はそれぞれ、対地B、対地Cなど局舎ごとに波長チャネルを合波する。なお、対地Bとの間の伝送路511と、対地Cとの間の伝送路511を分けることによって、対地Bと対地Cとで同じ波長を使うことも可能である。
【0167】
次に下り方向通信について説明する。下りは、対地B、Cから加入者装置40の方向への通信である。下りの光信号は、一本の伝送路512を介して光GW200に送られる。光GW200の分波器242は、伝送路512を伝送した下りの光信号を波長により分波する。分波器242は、分波された光をそれぞれ、伝送路542を介して、分波された光の波長に応じた下りポートに入力する。光SW210は、分波器242から下りの光信号を入力したポートを、波長に応じた別のポートに接続して、光信号を出力する。波長合分波器220は、伝送路522を介して光SW210から入力した光信号を波長により、上りの光信号と下りの光信号に分離する。波長合分波器220が分波した下りの光信号は、伝送路501を介して加入者装置40-2に入力される。なお、光GW200から各局舎(対地B、Cなど)に送信される波長チャネルは、同じ波長帯であることが想定されるが、局舎ごとに異なる波長帯を用いてもよい。
【0168】
光GW200の監視装置260は、分岐部250が分岐した光を受信する。分岐部250が分岐した光は、各加入者装置40が送受信している光信号である。監視装置260は、この受信した光信号を監視することにより、各加入者装置40が送受信している信号を監視する。監視装置260は、監視により、波長のずれ、出力の低下、通信異常などの異常を検出した場合は、光GW制御部301に異常検出の信号を送信する。光GW制御部301の光SW制御部320は、対象の加入者装置40を制御装置230に再度接続するように、光SW210を制御する。そして、光GW制御部301は、新たに加入者装置40を接続したときと同様に、異常が検出されたときに用いていた波長とは異なる新たな波長の割当処理を行う。これにより、光SW210は、加入者装置40から変更後の波長の光信号を入力した場合、入力した光信号を、その加入者装置40が変更前の波長により特定されていたポートに接続する。
【0169】
図27に示す光GW200は、波長多重を行っているが、
図34及び
図35に示すように、波長多重を行わなくてもよい。
図34は、光アクセスシステム101の構成例を示す図である。
図34に示す光アクセスシステム101が、
図27に示す光アクセスシステム100と異なる点は、光GW200に代えて、光GW201を備える点である。光GW201が、光GW200と異なる点は、合波器241、分波器242及び分岐部250に代えて、波長合分波器243及び分岐部250aを備える点である。光GW201は、伝送路503により他の対地の局舎の通信装置と接続される。一本の伝送路503は、いずれかの対地との間で上り信号及び下り信号を伝送する。
【0170】
波長合分波器243は、入力した光信号を波長により、上りの光信号と下りの光信号に分離する。波長合分波器243は、伝送路543-1を介して光SW210から入力した上りの光信号を分離し、伝送路503を介して他の対地又は上位ネットワークに送信する。また、波長合分波器243は、伝送路503を介して他の対地から入力した下りの光信号を分離し、伝送路543-2を介して光SW210に出力する。
【0171】
分岐部250aは、伝送路503に備えられる。分岐部250aは、パワースプリッタ251aを有する。パワースプリッタ251aは、伝送路503を伝送する上り及び下りの光信号を分岐する。パワースプリッタ251aは、分岐した上りの光信号を、伝送路551aを介して光SW210のポートに入力し、分岐した下りの光信号を、伝送路551bを介して光SW210のポートに入力する。光SW210は、伝送路551aと接続されるポートから入力した光信号及び伝送路551bと接続されるポートから入力した光信号を、伝送路560と接続されるポートから出力する。これにより、監視装置260の波長分波器261は、分岐部250aが分岐した光信号を受信する。
【0172】
図35は、光アクセスシステム102の構成例を示す図である。
図35に示す光アクセスシステム102が、
図34に示す光アクセスシステム101と異なる点は、光GW201に代えて、光GW202を備える点である。光GW202が、光GW201と異なる点は、波長合分波器243及び分岐部250aに代えて、波長合分波器244、波長合分波器245及び分岐部250bを備える点である。
【0173】
波長合分波器244は、波長により、上りの光信号と下りの光信号に分離する。波長合分波器244は、伝送路544を介して光SW210から入力した上りの光信号を、伝送路545を介して波長合分波器245に入力する。波長合分波器244は、伝送路546を介して波長合分波器245から入力した下りの光信号を、伝送路544を介して光SW210に入力する。
【0174】
波長合分波器245は、波長により、上りの光信号と下りの光信号に分離する。波長合分波器245は、伝送路545を介して波長合分波器245から入力した上りの光信号を、伝送路503を介して他の対地又は上位ネットワークに送信する。また、波長合分波器245は、伝送路503を介して受信した下りの光信号を、伝送路546を介して波長合分波器244に入力する。
【0175】
分岐部250bは、パワースプリッタ251b及びパワースプリッタ252bを有する。パワースプリッタ251bは、伝送路545を伝送する上りの光信号を分岐する。パワースプリッタ251bは、分岐した上りの光信号を、伝送路551bを介して光SW210のポートに入力する。パワースプリッタ252bは、伝送路546を伝送する下りの光信号を分岐する。パワースプリッタ252bは、分岐した下りの光信号を、伝送路552bを介して光SW210のポートに入力する。光SW210は、伝送路551bと接続されるポートから入力した光信号及び伝送路552bと接続されるポートから入力した光信号を、伝送路560と接続されるポートから出力する。これにより、監視装置260の波長分波器261は、分岐部250bが分岐した光信号を受信する。
【0176】
上述した監視装置260は、波長分波器261と波長ごとの光受信器262とを有する受信器構成を有する。監視装置は、この受信器構成に代えて、波長可変光受信器を有してもよい。また、制御装置の送受信器が、波長可変ではない送信器を有してもよく、波長分波器を有さない受信器構成であってもよい。
図36を用いて、このような構成の例を説明する。
【0177】
図36は、光アクセスシステム103の構成例を示す図である。
図36に示す光アクセスシステム103が、
図27に示す光アクセスシステム100と異なる点は、光GW200に代えて、光GW203を備える点である。光GW203が、光GW200と異なる点は、制御装置230及び監視装置260に代えて、制御装置235及び監視装置265を備える点である。制御装置235は、光受信器236と、波長可変ではない光送信器237とを有する。監視装置265は、波長可変光受信器266を有する。
【0178】
また、監視装置は上記の光SWとは別の光SWを介して接続されていてもよい。
図37を用いて、このような構成の例を説明する。
図37は、光アクセスシステム104の構成例を示す図である。
図37に示す光アクセスシステム104が、
図36に示す光アクセスシステム103と異なる点は、光GW203に代えて光GW204を備える点である。光GW204が光GW203と異なる点は、光SW211をさらに備える点、監視装置265が光SW211に接続されている点である。
【0179】
分岐部250のパワースプリッタ251が伝送路511から分離した上りの光信号は、伝送路555を介して光SW211に入力され、パワースプリッタ252が伝送路512から分離した下りの光信号は、伝送路555を介いて光SW211に入力される。光SW211は、例えば、小型光SWなどである。光SW211のポート数は、監視装置260側に1ポート、被監視光信号が入力される側に2Mポートである。2Mは、光GW204に接続されている加入者装置40の数Mの2倍である。なお、小型光SWを使用せず、接続されている対地の数だけ監視装置を用意して、全ての対地と送受信している信号を対地ごとに監視してもよい。
【0180】
(第2の実施形態)
本実施形態は、折り返し伝送路を用いて、同一の光GWに接続されている複数の加入者装置間で通信を行う。以下では、第1の実施形態との差分を中心に説明する。
【0181】
図38は、光アクセスシステム105の構成例を示す図である。
図38に示す光アクセスシステム105が、
図36に示す光アクセスシステム103と異なる点は、光GW203に代えて、光GW205を備える点である。光GW205が、光GW203と異なる点は、光GW205が設置されている対地Aに対応した合波器247及び分波器248をさらに備える点である。合波器247と分波器248とは、伝送路547により接続される。伝送路547は、折り返し伝送路である。
【0182】
合波器247は、合波器241と同様に、光SW210が複数の伝送路541のそれぞれから出力した異なる波長の上りの光信号を合波して、伝送路547に出力する。分波器248は、分波器242と同様に、伝送路547から入力した下りの光信号を波長により分波する。分波器248は、分波された下りの光信号をそれぞれ、その光信号の波長に応じた下りポートと接続される複数の伝送路542を介して光SW210に入力する。また、伝送路547には、分岐部250が備えられる。
【0183】
第1の実施形態においては、対地Aに接続されている加入者装置は光SWを経由して、対地Bや対地Cと接続するためのポートに接続されている。本実施形態では、対地B又は対地Cへ接続されている合波器241及び分波器242の組み合わせと同じものをもう一組追加する。この追加した組は、合波器247及び分波器248である。そして、追加した合波器247の出力ポートと、追加した分波器248の入力ポートとを伝送路547により接続する。この構成により、加入者装置40が出力した信号を、光SW210に再度入力することが可能となる。これにより、光GW205は、ある加入者装置40が出力した光信号を折り返し、下り信号として、光SW210に再び入射する。この折り返された信号を光SW210内で他の加入者装置40と接続することで、折り返し通信、つまり同一の光GW205に接続されている加入者装置40間の通信が可能となる。
【0184】
例えば、加入者装置40-2と加入者装置40-Mが通信している状態を説明する。光SW210の対地Aに対応したK個(Kは2以上の整数)の上りポートそれぞれが伝送路541により合波器247と接続され、光SW210の対地Aに対応したK個の下りポートそれぞれが伝送路542により分波器248と接続されているとする。そして、対地Aに対応したK個の下りポート及び上りポートのうちk番目(kは1以上K以下の整数)の上りポート及び下りポートが波長λkに対応するものとする。加入者装置40-2から出力された波長λ1の上りの光信号は、対地Aに対応した1番目の上りポートに接続される。入力された光信号は、伝送路547により折り返されて対地Aに対応した1番目の下りポートから下りの光信号として、光SW210に再び入力される。光SW制御部320は、その光信号を、波長に応じて加入者装置40-Mに送信されるように光SW210内の経路を設定する。同様に、加入者装置40-Mから出力された波長λkの上りの光信号は、対地Aに対応したk番目の上りポートに接続される。入力された光信号は、伝送路547により折り返されて対地Aに対応したk番目の下りポートから下りの光信号として、光SW210に再び入力される。光SW制御部320は、その光信号を、波長に応じて加入者装置40-2に送信されるように光SW210内の経路を設定する。これにより、加入者装置40-2と加入者装置40-Mとの間で通信が行われる。
【0185】
本実施形態の他の構成について、
図39及び
図40を用いて説明する。
図39は、光アクセスシステム106の構成例を示す図である。
図39に示す光アクセスシステム106が、
図38に示す光アクセスシステム105と異なる点は、光GW205に代えて、光GW206を備える点である。光GW206が、光GW205と異なる点は、合波器247及び分波器248を備えず、波長多重せずに光SW210の対地A用の上りポート及び下りポート間を伝送路548により直接接続することにより、信号を折り返す構成としている点である。
【0186】
図40は、光アクセスシステム107の構成例を示す図である。
図40に示す光アクセスシステム107が、
図38に示す光アクセスシステム105と異なる点は、光GW205に代えて、光GW207を備える点である。光GW207が、光GW205と異なる点は、分波器248に代えてパワースプリッタ270を備える点である。パワースプリッタ270は、伝送路547を介して合波器247から入力した下りの光信号を複数に分岐し、複数の伝送路542を介して、光SW210に入力する。
【0187】
なお、
図38の光GW205の分波器248の後段にパワースプリッタを設けてもよい。パワースプリッタは、分波器248が分波した光信号を複数に分岐し、光SW210の異なるポートに入力する。このようにすることで、折り返し通信のマルチキャスト通信が可能となる。
【0188】
上記では、光アクセスシステム103との差分を説明したが、光アクセスシステム100、101、102にその差分を適用することも可能である。
【0189】
(第3の実施形態)
本実施形態の光アクセスシステムは、マルチキャスト通信を行う。本実施形態では、第1及び第2の実施形態との差分を中心に説明する。
【0190】
まず、
図41を用いて下り通信のマルチキャストについて説明する。
図41は、光アクセスシステム108の構成例を示す図である。
図41に示す光アクセスシステム108が、
図40に示す光アクセスシステム107と異なる点は、光GW207に代えて、光GW208を備える点である。光GW208が、光GW207と異なる点は、光SW210の折り返しポートを接続する伝送路549をさらに備える点である。
【0191】
対地Cから送信された下りの光信号をマルチキャストする場合について説明する。光SW制御部320は、対地Cからの下りの光信号を入力するポートを、波長に応じて、伝送路549が接続されている折り返し用のポートに接続するよう制御する。これにより、対地Cからの下りの光信号は、伝送路549を伝送し、対地Aの上り信号として光SW210に再度入力される。また、光SW制御部320は、折り返し用ポートから入力した下りの光信号を第2の実施形態と同様に、対地Aの上り信号用のポートに接続するよう制御する。これにより、伝送路549を折り返して光SW210に入力された光信号は、合波器247と接続されるポートに出力される。合波器247は、複数の伝送路541のそれぞれにより光SW210から出力された光信号を合波して伝送路547に出力する。伝送路547に出力された光信号は、パワースプリッタ270において複数の光信号に分岐される。パワースプリッタ270は、分岐した複数の光信号を、複数の伝送路542を介して、対地Aの下り信号として光SW210に入力する。光SW210は、各伝送路542から入力した光信号を、波長に応じて、加入者装置40と接続されるポートに出力する。これにより、下り信号のマルチキャストが可能となる。
【0192】
続いて、
図42を用いて上り通信のマルチキャストについて説明する。
図42は、光アクセスシステム109の構成例を示す図である。
図42に示す光アクセスシステム109が、
図36に示す光アクセスシステム103と異なる点は、光GW203に代えて、光GW209を備える点である。光GW209が、光GW203と異なる点は、光SW210に折り返しポートを接続する伝送路570と、マルチキャスト用のパワースプリッタ271とをさらに備える点である。パワースプリッタ271は、伝送路572と、複数の伝送路573とを介して光SW210と接続される。
【0193】
対地Aから送信された上りの光信号をマルチキャストする場合について説明する。光SW制御部320は、対地Aからの上りの光信号を入力するポートを、波長に応じて、伝送路570が接続されている折り返し用のポートに接続するよう制御する。これにより、対地Aからの上りの光信号は、伝送路570を伝送し、光SW210に再度入力される。また、光SW制御部320は、折り返し用ポートから入力した光信号を、パワースプリッタ271と接続されているポートに出力するよう制御する。これにより、伝送路570を折り返して光SW210に入力された光信号は、伝送路572に出力される。伝送路572に出力された光信号は、パワースプリッタ271において複数の光信号に分岐される。パワースプリッタ271は、分岐した複数の光信号を、複数の伝送路573を介して、上り信号として光SW210に入力する。光SW210は、各伝送路573から入力した光信号を、波長に応じて、対地B又は対地Cと接続されるポートに出力する。これにより、上り信号のマルチキャストが可能となる。
【0194】
続いて、
図43を用いて、下り通信のマルチキャストを行いながら、上り通信を含めてpoint to multipoint通信を行う構成について説明する。
図43は、光アクセスシステム110の構成例を示す図である。
図43に示す光アクセスシステム110が、
図36に示す光アクセスシステム103と異なる点は、光GW203に代えて、光GW2010を備える点である。光GW2010が、光GW203と異なる点は、光SW210に折り返しポートを接続する伝送路574、575と、パワースプリッタ272、273とをさらに備える点である。パワースプリッタ272は、伝送路581と、複数の伝送路582とを介して光SW210と接続される。パワースプリッタ273は、複数の伝送路583と、伝送路584とを介して光SW210と接続される。
【0195】
対地Cから送信された下りの光信号をマルチキャストする場合について説明する。光SW制御部320は、対地Cからの下りの光信号を入力するポートを、波長に応じて、伝送路574が接続されている折り返し用のポートに接続するよう制御する。これにより、対地Cからの下りの光信号は、伝送路574を伝送し、対地Aの上り信号として光SW210に再度入力される。また、光SW制御部320は、折り返し用ポートから入力した下りの光信号を、パワースプリッタ272が接続されているポートに出力するよう制御する。これにより、伝送路574を折り返して光SW210に入力された光信号は、伝送路581に出力される。伝送路581に出力された光信号は、パワースプリッタ272において複数の光信号に分岐される。パワースプリッタ272は、分岐した複数の光信号を、複数の伝送路582を介して、下り信号として光SW210に入力する。光SW210は、各伝送路582から入力した光信号を、波長に応じて加入者装置40と接続されるポートに出力する。これにより、下り信号のマルチキャストが可能となる。
【0196】
対地Aから送信された上りの光信号を対地Cに送信する場合について説明する。光SW制御部320は、対地Aからの上りの光信号を入力するポートを、波長に応じて、パワースプリッタ273が接続されているポートに接続するよう制御する。これにより、対地Aからの上りの光信号は、伝送路583に出力される。複数の伝送路583それぞれに出力された光信号は、パワースプリッタ273において合波される。パワースプリッタ273は、合波した光信号を、伝送路584を介して光SW210に入力する。光SW210は、伝送路584から入力した光信号を、伝送路575が接続されている折り返し用のポートに接続するよう制御する。これにより、光信号は、伝送路575を伝送し、光SW210に再度入力される。光SW210は、伝送路575から入力した光信号を、波長に応じて、対地Cと接続される合波器241に出力する。
【0197】
上記のように、マルチキャスト用のパワースプリッタを用いた構成を2組備えることにより、下りのマルチキャスト通信だけでなく、上り通信も含めたpoint to multipoint通信が可能となる。
【0198】
(第4の実施形態)
本実施形態では、上り信号と下り信号を分離せずに通信を行う。以下では、上述した実施形態との差分を中心に説明する。
【0199】
図44は、光アクセスシステム111の構成例を示す図である。
図44に示す光アクセスシステム111が、
図38に示す光アクセスシステム105と異なる点は、光GW205に代えて、光GW2011を備える点である。光GW2011が、光GW205と異なる点は、波長合分波器220を有していない点、合波器241、分波器242及び分岐部250に代えて波長合分波器249及び分岐部253を備える点、及び、波長合分波器238をさらに備える点である。
【0200】
波長合分波器249は、複数の伝送路585により光SW210と接続される。波長合分波器249は、光SW210が複数の伝送路585それぞれから出力した異なる波長の上りの光信号を合波して、いずれかの他の対地と接続される伝送路504に出力する。また、波長合分波器249は、他の対地から伝送路504を介して入力した下りの光信号を波長により分波する。波長合分波器249は、分波された下りの光信号をそれぞれ、その光信号の波長に応じた上りポートと接続される複数の伝送路585を介して、光SW210に入力する。
【0201】
分岐部253は、パワースプリッタ254を有する。パワースプリッタ254は、伝送路504を伝送する上りの光信号と、下りの光信号を分岐する。パワースプリッタ254は、分岐した上りの光信号を、伝送路586を介して光SW210のポートに入力し、分岐した下りの光信号を、伝送路587を介して光SW210のポートに入力する。光SW210は、伝送路586又は伝送路587と接続されるポートから入力した光信号を、伝送路560と接続されるポートに出力する。
【0202】
波長合分波器238は、光SW210と伝送路534により接続され、制御装置235と伝送路531及び伝送路533により接続される。波長合分波器238は、入力した光信号を波長により上りの光信号と下りの光信号に分離する。波長合分波器238は、光SW210から伝送路534を介して入力した上りの光信号を、伝送路531を介して制御装置235に出力する。波長合分波器238は、制御装置235から伝送路533を介して入力した下りの光信号を、伝送路534を介して光SW210に出力する。
【0203】
上記のように、光GW2011は、光SW210と加入者装置40と間の波長合分波器がなく、上り信号と下り信号を分離しない構成である。これにより、光SW210に使用するポート数を大きく削減し、管理する情報量を大きく削減することが可能となる。また、
図45に示すように、監視装置265への光信号を分離する部分を、
図35に示す構成としてもよい。
【0204】
図45は、本実施形態の光アクセスシステム112の構成例を示す図である。
図45に示す光アクセスシステム112の光GW2012は、
図44に示す光GW2011が備える分岐部253に代えて分岐部255を備える。分岐部255は、波長合分波器256、波長合分波器257、パワースプリッタ258及びパワースプリッタ259を備える。
【0205】
波長合分波器256は、入力した光信号を、波長により上りの光信号と下りの光信号に分離する。波長合分波器256は、波長合分波器249から入力した上りの光信号を、伝送路588を介して波長合分波器257に出力する。波長合分波器256は、伝送路589を介して波長合分波器257から入力した下りの光信号を、波長合分波器249に出力する。
【0206】
波長合分波器257は、波長により、上りの光信号と下りの光信号に分離する。波長合分波器257は、波長合分波器256から伝送路588を介して入力した上りの光信号を、伝送路504に出力する。波長合分波器257は、伝送路504を介して他の対地から受信した下りの光信号を、伝送路589を介して波長合分波器256に入力する。
【0207】
パワースプリッタ258は、伝送路588を伝送する上りの光信号を分岐し、伝送路586を介して光SW210のポートに入力する。パワースプリッタ259は、伝送路589を伝送する下りの光信号を分岐し、伝送路587を介して光SW210のポートに入力する。光SW210は、伝送路586又は伝送路587と接続されるポートから入力した光信号を、伝送路560と接続されるポートに出力する。
【0208】
図44に示す光GW2011は波長多重を行っているが、
図46に示すように、各局舎(対地Bや対地C)へ送信する信号を波長多重せずに、個別の伝送路を伝送させる構成としてもよい。
【0209】
図46は、光アクセスシステム113の構成例を示す図である。
図46に示す光アクセスシステム113が、
図34に示す光アクセスシステム101と異なる点は、光GW201に代えて、光GW2013を備える点である。光GW2013が、光GW201と異なる点は、波長合分波器220及び波長合分波器243を有していない点と、制御装置230及び監視装置260に代えて、
図44に示す制御装置235、波長合分波器238及び監視装置265を備える点である。伝送路503と接続される光SW210のポートは、上りの光信号を出力し、下りの光信号を入力する。
【0210】
また、光GW2013において分岐部250aを、
図47に示す構成としてもよい。
図47は、光アクセスシステム114の構成例を示す図である。
図47に示す光アクセスシステム114の光GW2014は、
図46に示す光GW2013が備える分岐部250aに代えて、
図45に示す分岐部255と同様の構成を備える。
【0211】
(第5の実施形態)
本実施形態は、通信中の加入者装置に対する制御を可能とする。以下では、上述した実施形態との差分を中心に説明する。
【0212】
図48は、光アクセスシステム115の構成例を示す図である。
図48に示す光アクセスシステム115が、
図37に示す光アクセスシステム104と異なる点は、光GW204に代えて光GW2015を備える点である。光GW2015が光GW204と異なる点は、監視装置265に代えて、監視制御装置267が光SW211に接続されている点である。
【0213】
監視制御装置267は、波長可変受信器268及び波長可変送信器269を備える。監視制御装置267は、波長可変受信器268により任意の波長の光信号を受信可能であり、波長可変送信器269により任意の波長の光信号を送信可能である。また、光GW2015は、制御装置235を備えている。第1の実施形態に記載の通り、光GW2015は、加入者装置40を接続した際には、制御装置235を用いて、加入者装置40の接続処理(登録や波長割当など)を行い、通常の通信を開始する。
【0214】
ここで、加入者装置40-1が対地Bと接続されている状態を考える。加入者装置40-1は、通常の通信を行っている状態のため、制御装置235とは通信できない。そこで、小型光SWである光SW211に接続された監視制御装置267を設けることで、加入者装置40-1の通信状態の監視だけでなく、加入者装置40-1の各種設定の指示などが可能となる。すなわち、パワースプリッタ251が分離した光信号は、伝送路555を介して光SW211に出力される。光SW211は、受信した光信号を監視制御装置267に出力する。監視制御装置267は、波長可変受信器268が光SW211から受信した光信号により監視を行い、さらに、受信した光信号に重畳されている制御信号を受信する。監視制御装置267の波長可変送信器269は、加入者装置40に対する制御信号を光信号により送信する。光SW211は、波長可変送信器269から受信した信号を、波長に応じたポートに出力する。パワースプリッタ251は、光SW211から伝送路556を介して受信した制御信号を、伝送路512を伝送する光信号と合波する。この構成により、加入者装置40-1が通常の通信を行っている状態でも、加入者装置40-1から接続先の変更要求などを受信し、制御信号を送信して加入者装置40-1に波長切り替えなどを実施することが可能となる。
【0215】
なお、監視制御装置267と各加入者装置40との間の制御信号の通信には、加入者装置間の光主信号よりも低速であり、主信号に重畳可能な制御信号を用いる。例えば、AMCCのような技術を用いることができる。
【0216】
(第6の実施形態)
本実施形態は、光SWから抜き出した光信号に対して、電気処理を行う。以下では、上述した実施形態との差分を中心に説明する。
【0217】
図49は、光アクセスシステム116の構成例を示す図である。
図49に示す光アクセスシステム116が、
図38に示す光アクセスシステム105と異なる点は、光GW202に代えて光GW2016を備える点である。光GW2016が光GW202と異なる点は、電気処理部600が接続されている点である。
【0218】
電気処理部600は、光信号を電気信号に変換して電気処理を行った後、再び光信号に変換して出力する。電気処理部600は、O/E変換部610と、処理実行部620と、E/O変換部630とを有する。O/E変換部610は、
図13のO/E変換部85に対応する。O/E変換部610は、光SW210から入力した光信号を電気信号に変換し、処理実行部620に出力する。処理実行部620は、
図13の処理実行部86及び記憶部88に対応する。処理実行部620は、CPUやアクセラレータなどのプロセッサが図示しない記憶部からプログラムを読み出して実行することにより、O/E変換部610により変換された電気信号に対して電気処理を行う。この電気処理には、電気による信号処理機能や、OLTなどの機能が実装される。信号処理機能は、例えば、FECなどの符号誤り訂正である。E/O変換部630は、
図13のE/O変換部87に対応する。E/O変換部87は、電気信号を光信号に変換し、光SW210に出力する。O/E変換部610及びE/O変換部630は、例えば、波長可変送受信器である。
【0219】
図49において、加入者装置40-Mは、PON(Passive Optical Network;受動光ネットワーク)のONUである。加入者装置40-Mは、光ファイバなどの伝送路501及びパワースプリッタ507を介して光GW2016と接続される。電気処理部600の処理実行部620には、誤り訂正機能や、OLT機能などが実装されている。
【0220】
波長制御部310は、電気処理を行う対象の信号を判定するための判定条件と、その信号に対して行う電気処理の種類とを処理実行部620に通知しておく。処理実行部620は、波長制御部310から通知された判定条件及び電気処理の種類の情報を記憶する。
【0221】
例えば、波長制御部310は、
図33のステップS5において、接続要求の送信元の加入者装置40(以下、要求元加入者装置40と記載)と、通信先加入者装置40との通信に、電気処理を行うか否かを判定する。波長制御部310は、対向する要求元加入者装置40と通信先加入者装置40との間の距離や、要求元加入者装置40又は通信先加入者装置40へ提供するサービス等に応じて、電気処理を行うか否か、行う場合にはどのような電気処理を行うかを判定する。波長制御部310は、要求元加入者装置40から通信先加入者装置40宛ての信号に電気処理(以下、送信信号電気処理)を行うと判定した場合、空きの波長の中から、第一送信用波長及び第二送信用波長を割り当てる。また、波長制御部310は、通信先加入者装置40から要求元加入者装置40宛ての信号に電気処理(以下、受信信号電気処理)を行うと判定した場合、空きの波長の中から、第一受信用波長及び第二受信用波長とを割り当てる。
【0222】
第一送信用波長は、要求元加入者装置40から通信先加入者装置40宛ての光信号である光送信信号を電気処理部600にルーティングするための波長である。第二送信用波長は、電気処理部600により送信信号電気処理が施された送信信号を、通信先加入者装置40に応じたポートにルーティングするための波長である。第一受信用波長は、通信先加入者装置40から要求元加入者装置40宛ての光信号である受信信号を電気処理部600にルーティングするための波長である。第二受信用波長は、電気処理部600により受信信号電気処理が施された受信信号を、要求元加入者装置40に応じたポートにルーティングするための波長である。第一送信用波長と第二送信用波長とが同じ波長でもよく、第一受信用波長と第二受信用波長とが同じ波長でもよい。
【0223】
波長制御部310は、送信信号電気処理を行うと判定した場合、要求元加入者装置40に送信する波長指示に、送信用波長として第一送信用波長の情報を設定する。また、波長制御部310は、受信信号電気処理を行うと判定した場合、要求元加入者装置40に送信する波長指示に、受信用波長として第二受信用波長の情報を波長指示に設定する。
【0224】
OPS300は、送信信号電気処理を行うと判定した場合、第二送信用波長を通信先加入者装置40の受信用波長に用いるように指示する。また、OPS300は、受信信号電気処理を行うと判定した場合、第一送信用波長を通信先加入者装置40の送信用波長に用いるように指示する。例えば、通信先加入者装置40が収容される光GW200を制御する光GW制御部301において、波長制御部310は、通信先加入者装置40の受信用波長及び送信用波長を設定した波長指示の送信を制御装置230に指示する。
【0225】
さらに、波長制御部310は、送信信号電気処理を行うと判定した場合、要求元加入者装置40から通信先加入者装置40宛ての送信信号であることを判定するための判定条件と、送信信号に施す送信信号電気処理の種類と、第一送信用波長と、第二送信用波長とを対応付けた第一指示情報を生成する。また、波長制御部310は、受信信号電気処理を行うと判定した場合、通信先加入者装置40から要求元加入者装置40宛ての受信信号であることを判定するための判定条件と、受信信号に施す受信信号電気処理の種類と、第一受信用波長と、第二受信用波長とを対応付けた第二指示情報とを生成する。波長制御部310は、生成した第一指示情報と第二指示情報を設定した電気処理実行指示を電気処理部600に送信する。
【0226】
光SW制御部320は、送信信号電気処理を行う場合、要求元加入者装置40が送信した第一送信用波長の送信信号を電気処理部600に、電気処理部600から入力した第二送信用波長の送信信号を、通信先加入者装置40に応じた伝送路541へ出力するよう光SW210を制御する。また、光SW制御部320は、受信信号電気処理を行う場合、通信先加入者装置40に対応した伝送路542から入力した第一送信用波長の受信信号を電気処理部600に、電気処理部600から入力した第二送信用波長の受信信号を、要求元加入者装置40に対応した伝送路522へ出力するよう光SW210を制御する。
【0227】
例えば、加入者装置40-2と対地Cの通信先加入者装置40との間の光信号に、送信信号電気処理及び受信信号電気処理を行うとする。加入者装置40-2が送信した第一送信波長の送信信号は、光SW210を介して、電気処理部600に出力される。O/E変換部610は、光SW210から入力した送信信号を電気信号に変換する。処理実行部620は、電気信号に変換された送信信号に含まれる所定の情報を参照して、第一指示情報に含まれる判定条件を満たしていると判定した場合、送信信号に、その判定条件に対応した送信信号電気処理を行う。例えば、処理実行部620は、FEC(forward error correction:前方誤り訂正)などの誤り訂正を行う。E/O変換部630は、処理実行部620が誤り訂正を行った電気信号の送信信号を、第一指示情報が示す第二送信波長の光信号に変換し、光SW210に出力する。光SW210は、第二送信波長の送信信号を、対地Cに対応した伝送路541に出力する。誤り訂正を行うことで、伝送特性が向上する。
【0228】
光SW210は、対地Cの通信先加入者装置40に対応した伝送路542から入力した第一受信波長の受信信号を、電気処理部600に出力する。O/E変換部610は、光SW210から入力した受信信号を電気信号に変換する。処理実行部620は、電気信号に変換された送信信号に含まれる所定の情報を参照して、第二指示情報に含まれる判定条件を満たしていると判定した場合、受信信号に、その判定条件に対応した受信信号電気処理を行う。E/O変換部630は、処理実行部620が受信信号電気処理を行った電気信号の受信信号を、第二指示情報が示す第二受信波長の光信号に変換し、光SW210に出力する。光SW210は、第二受信波長の送信信号を、加入者装置40-2に対応した伝送路522に出力する。
【0229】
図50は、電気処理部600が信号の多重化を行う場合の光アクセスシステム116の構成例を示す図である。電気処理部600は、複数のO/E変換部610として、O/E変換部610-1及び610-2を有する。
【0230】
加入者装置40-3の上りの光信号及び加入者装置40-Mの上りの光信号は、光SW210を介して、電気処理部600に接続される。電気処理部600には、OLT機能が実装されている。電気処理部600の処理実行部620は、OLT機能の電気段の処理を行う。OLTには、複数台の加入者装置40が接続される。OLT機能が実装された処理実行部620は、それら加入者装置40を一括管理している。
【0231】
O/E変換部610-1は、光SW210から入力した加入者装置40-3の上りの光信号を電気信号に変換し、処理実行部620に出力する。O/E変換部610-2は、光SW210から入力した加入者装置40-Mの上りの光信号を電気信号に変換し、処理実行部620に出力する。処理実行部620は、加入者装置40-3及び加入者装置40-Mから送信された上りの電気信号を一つにまとめ、E/O変換部630へ出力する。E/O変換部630は、処理実行部620が出力した上りの電気信号を、制御装置230から指示された波長に従って光信号に変換し、光SW210に出力する。光SW210は、電気処理部600から入力した上りの光信号を、対地Cに対応した伝送路541に出力する。このように、電気処理部600は、光GW2016がドロップした複数の光信号をそれぞれ受信して電気信号に変換し、目的とする対地が同じ信号を多重回路により多重した後、再び光信号に変換して光GW2016に送信する。これにより、伝送速度を増大させることができる。
図49及び
図50は、電気処理部を1つ備える例であるが、複数の電気処理部を有する構成としてもよい。
【0232】
加入者装置40と光GW2016間のパワースプリッタ507は、波長合分波器でもよい。例えば、光アクセスシステム116がWDM-PONの場合に、加入者装置40と光GW2016間に波長分波器を利用する。
【0233】
(第7の実施形態)
本実施形態は、異なる対地の光SWをリング接続した形態である。以下では、上述した実施形態との差分を中心に説明する。
【0234】
図51は、光アクセスシステム117の構成例を示す図である。光アクセスシステム117は、3台以上の異なる対地の光SW212を、光通信ネットワーク30を介してリング接続した構成である。
図51に示す例では、光アクセスシステム117は、対地Aの光SW212である光SW212aと、対地Bの光SW212である光SW212bと、対地Cの光SW212である光SW212cとをリング接続した構成である。光通信ネットワーク30における光SW212aと光SW212bとの間の経路を経路P31と記載し、光通信ネットワーク30における光SW212bと光SW212cとの間の経路を経路P32と記載し、光通信ネットワーク30における光SW212cと光SW212aとの間の経路を経路P33と記載する。また、光SW212aには1台以上の加入者装置40aが接続され、光SW212bには1台以上の加入者装置40bが接続され、光SW212cには1台以上の加入者装置40cが接続される。
【0235】
光SW212として、上述した実施形態の光SW、又は、光GWが用いられる。例えば、
図6~
図10、
図27、
図34~
図50における対地Bを、
図51に示すリングにおける左廻りの対地とし、
図6~
図10、
図27、
図34~
図50における対地Cを、
図51に示すリングにおける右廻りの対地とする。この場合、対地Aの光SW212aから対地Bの光SW212bへは経路P31により接続され、対地Bの光SW212bから対地Aの光SW212aへは、経路P32、対地Cの光SW212-c、経路P33を経て接続される。また、対地Aの光SW212aから対地Cの光SW212cへは経路P33により接続され、対地Cの光SW212cから対地Aの光SW212aへは、経路P32、対地Bの光SW212b、経路P31を経て接続される。
【0236】
このため、対地Aの光SW212aから対地Bの光SW212bへの左回りの接続を予備系として、対地Aの光SW212aから対地Cの光SW212cを経て対地Bの光SW212bへ接続する右廻りの経路による接続も可能となり、その逆回りも可能である。同様に、対地Aの光SW212aから対地Cの光SW212cへの右回りの接続を予備系として、対地Aの光SW212-aから対地Bの光SW212bを経て対地Cの光SW212cへ接続する左廻りの経路による接続も可能となり、その逆回りも可能である。
【0237】
また、対地Aの光SW212aと接続される加入者装置40a同士の接続の予備系として、経路P31、対地Bの光SW212b、経路P32、対地Cの光SW212c、経路P33を経た左回りの経路で、あるいは、経路P33、対地Cの光SW212c、経路P32、対地Bの光SW212b、経路P31を経た左回りの経路を用いることも可能となる。
【0238】
例えば、
図14において、中距離回線P2をリングの左廻りの経路、中距離回線P3をリングの右廻りの経路としてもよい。また、
図15、
図18の対地#1~#qの任意の一つをリングの左廻りの対地、他の一つをリングの右廻りの対地としてもよい。また、
図25、
図26が、1つの光GW内の光SW1010である場合に、アップリンク#11~アップリンク#43のうちの任意の一つをリングの左廻りの経路とし、他の一つをリングの右廻りの経路としてもよい。ここでリングの経路として選択しなかった経路を、リングの経路として選択した経路と同様にリングの経路としてもよく、リング以外の斜め回線としてもよく、加入者装置40と接続してもよく、
図25、
図26に示す他の光SW1010と接続してもよい。
【0239】
(第8の実施形態)
本実施形態の光アクセスシステムは、加入者装置から光GWへの接続を停止する機能を具備する。光アクセスシステムは、この機能を、加入者装置と、光GWが備える光SWとの間に、加入者装置から送信された光信号を、光SWに入力するか遮断するかを切り替えるシャッター部を設けることにより実現する。これにより、光GWは、通信が許可された加入者装置からの光信号を受信し、通信が許可されていない加入者装置からの光信号を受信しないようにする。
【0240】
図52は、光アクセスシステム118の構成図である。
図52に示す光アクセスシステム118は、制御部302と、光GW2018とを有する。光GW2018は、光SW213と、シャッター591と、WDM装置80とを有する。
【0241】
制御部302は、上述した実施形態における制御部20又はOSP300である。制御部302は、波長管理制御部335と、光SW制御部336とを有する。制御部302が上述した実施形態における制御部20である場合、波長管理制御部335は、上述した実施形態における波長管理制御部25であり、光SW制御部336は、上述した実施形態の光SW制御部26である。制御部302が上述した実施形態におけるOSP300である場合、波長管理制御部335は、上述した実施形態における波長制御部310と、制御装置230又は制御装置235とであり、光SW制御部336は、上述した実施形態の光SW制御部320である。
【0242】
光SW213として、上述した実施形態の光SWが用いられる。光SW213は、ポート11-1-1~11-1-P(Pは2以上の整数)と、ポート11-2-1~11-2-Q(Qは2以上の整数)とを有する。ポート11-1-p(pは1以上P以下の整数)は、伝送路50-1-pを介して加入者装置40と接続される。ポート11-1-pと接続される加入者装置40を、加入者装置40-pと記載する。また、ポート11-2-1は、波長管理制御部335と接続される。ポート11-2-2、11-2-3、11-2-4、11-2-5、…はそれぞれ伝送路を介してWDM装置80と接続される。WDM装置80は、光SW213がポート11-2-2、11-2-3、11-2-4、11-2-5、…から出力した異なる波長の光信号を合波して多重通信伝送路90に出力する。また、WDM装置80は、多重通信伝送路90を介して受信した光信号を波長により分波し、分波した光信号それぞれを光SW213のポート11-2-2、11-2-3、11-2-4、11-2-5、…に入力する。なお、光GW2018がWDM装置80を設けず、光SW213のポート11-2-2、11-2-3、11-2-4、11-2-5、…がそれぞれ伝送路50-2を介して加入者装置40又は上位ネットワークに接続されてもよい。
【0243】
図52を用いて光GW2018における光信号の通過と遮断の機能を説明する。光GW2018に接続される複数の加入者装置40のそれぞれには、通信先に応じた波長が割り当てられる。例えば、光GW2018に接続される複数の加入者装置40にはそれぞれ個別の波長が割り当てられる。一方で、悪意があるユーザによるネットワークへの接続など、光GW2018への接続を許可されていない加入者装置40が発生することがある。このような場合、接続を許可されていない加入者装置40の光信号が他の加入者装置40の光信号と衝突するなどして、通信に悪影響を及ぼすことが考えられる。そこで、加入者装置40と光GW2018内の光SW213との間にシャッター591を設置する。
図52では、加入者装置40-pと光SW213のポート11-1-pとの間の伝送路50-1-pに設置されているシャッター591を、シャッター591-pと記載している。
【0244】
シャッター591は、加入者装置40から送信された光信号を、光SW213に入力するか遮断するかを切替えるシャッター部の一例である。物理的に光を通過させたり、光を遮断したりすることが可能であれば、シャッター591として、任意の機器を使用可能である。例えば、シャッター591として、波長可変フィルタや可変光減衰器などの光学的なシャッターを用いることもできる。各シャッター591の状態を通過又は遮断に制御することにより、光SW13が、許可された加入者装置40からの光信号のみを受信可能とする。これにより、悪意のあるユーザからの光信号を防ぐ。
【0245】
また、新たな加入者装置40が光GW2018に接続された場合を考える。新たな加入者装置40は、最初に波長管理制御部335に接続され、波長管理制御部335は、新たな加入者装置40に、通信先との通信に使用する波長の割当等を実施する。そのため、加入者装置40が未接続のポート11-1の接続先として、波長管理制御部335と接続されているポート11-2-1が設定される。
【0246】
新たな加入者装置40は、光SW213のポート11-1に接続されると、光GW2018へ新規登録を要求するために、接続要求の光信号を出力する。このとき、複数の加入者装置40が同時に同じ波長の接続要求の光信号を出力すると、波長管理制御部335において信号の衝突が発生する。
【0247】
図52では、加入者装置40-1は、波長λ
1の光信号により、対地Bの加入者装置40と通信している。加入者装置40-1が出力した波長λ
1の光信号は、シャッター591-1を通過し、ポート11-1-1に入力される。光SW213は、ポート11-1-1から入力した光信号を、ポート11-2-2に出力する。WDM装置80は、ポート11-2-2、11-2-3、…から出力された光信号を合波して、多重通信伝送路90に出力する。
【0248】
一方、新たな加入者装置40-2が、伝送路50-1-2を介して光SW213のポート11-1-2に接続され、新たな加入者装置40-3が、伝送路50-1-3を介して光SW213のポート11-1-3に接続されたとする。加入者装置40-2及び加入者装置40-3は、新規登録を要求するための波長λ1の光信号を送信する。ポート11-1-2及びポート11-1-3とも接続先は、初期値のポート11-2-1である。加入者装置40-2と加入者装置40-3とが同時に波長λ1の接続要求の光信号を出力した場合、波長管理制御部335において信号の衝突が発生する。この信号の衝突の発生によって、新たな加入者装置40-2及び加入者装置40-3の登録が失敗してしまう。
【0249】
そこで、新たに制御部302に登録を行う加入者装置40のいずれかの信号のみが光SW213を介して波長管理制御部335に接続されるように、加入者装置40と光GW2018内の光SWとの間に設置されたシャッター591の状態を制御する。例えば、シャッター591-2を光信号が通過する状態とし、シャッター591-3を光信号が遮断される状態とする。そして、加入者装置40-2が波長管理制御部335から割り当てられた波長への切り替を行った後に、シャッター591-3を光信号が通過する状態とする。こうすることで、波長管理制御部335における光信号の衝突を回避することができる。
【0250】
また、上記のように、光SW213のポート11-1は、初期状態として、波長管理制御部335が接続先となっている。そのため、万が一悪意あるユーザが初期状態のポート11-1に接続してきた場合に、波長管理制御部335が攻撃される可能性がある。そこで、各シャッター591の状態を制御することにより、光SW213の初期状態のポート11-1が、許可されていない加入者装置40からの光信号を受信しないようにする。例えば、登録済みの加入者装置40に対応したシャッター591と、新たに登録する加入者装置40に対応したシャッター591とを通過の状態とし、他のシャッター591を遮蔽の状態とする。その上で、光SW213は、新たに登録する加入者装置40の光信号を初期状態のポート11-1から入力し、入力した光信号をポート11-2-1から波長管理制御部335に出力するように制御する。こうすることで、悪意のあるユーザからの光信号を防ぐことができる。
【0251】
上記の制御を行うために、
図53に示すように、制御部に、各シャッターを制御するシャッター制御部を設けてもよい。これにより、各シャッターを外部から制御できるようにする。
【0252】
図53は、光アクセスシステム119の構成図である。
図53に示す光アクセスシステム119において、
図52に示す光アクセスシステム118と同一の部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。光アクセスシステム119が、
図52に示す光アクセスシステム118と異なる点は、制御部302に代えて制御部303を備える点である。制御部303が
図52に示す制御部302と異なる点は、シャッター制御部337をさらに備える点である。シャッター制御部337を設けることにより、シャッター591を外部から制御できるようにする。
【0253】
シャッター制御部337は、制御部303内の他の制御機能部と加入者情報等の各種情報を共有する。シャッター制御部337は、新たな加入者装置40-pが接続される際には、制御部303に登録された加入者情報等に基づいて、その加入者装置40-pに対応したシャッター591-pを遮断から通過の状態とするように制御する。これにより、シャッター制御部337は、新たな加入者装置40が接続される際には、登録済みの加入者装置40に対応したシャッター591に加え、その新たな加入者装置40に対応したシャッター591を通過の状態とし、他のシャッター591を遮蔽の状態とするよう制御する。
【0254】
また、複数の加入者装置40が同時に光GW2019に新たに接続する場合、シャッター制御部337は、それら加入者装置40それぞれの優先度や、それら加入者装置40から光GW2019までの距離などに応じて、それら加入者装置40の順番を決定する。例えば、シャッター制御部337は、優先度というロジカルな条件が同じであれば、距離という物理的な条件で順番を決定する。シャッター制御部337は、決定した順番に従って、それら加入者装置40それぞれに対応したシャッター591の状態を一定時間、遮蔽状態から通過状態にするよう制御する。光GW2019に新たに接続する加入者装置40は、一定間隔で継続的に接続要求の光信号を出力する。これにより、シャッター591が通過の状態のタイミングにおいて送信された接続要求の光信号が波長管理制御部335に出力される。
【0255】
波長管理制御部335が波長可変選択受信の機能を有する場合でも、新たに光SW213に接続された複数の加入者装置40それぞれから出力された光信号の波長が同一であった場合は、波長管理制御部335において信号の衝突が発生する。よって、上記のシャッター591が必要である。
【0256】
また、シャッター591に光検出機能を実装してもよい。例えば、シャッター591に、光を検出する光検知器を備える。シャッター591は、光検出機能により、新たに伝送路50-1に接続された加入者装置40からの光信号を検知し、制御部302に通知する。シャッター591は、所定以上の強さの光を検知した場合に制御部302に通知を行ってもよく、受信した光の強さの情報を制御部302に通知してもよい。制御部302の光SW制御部336は、シャッター591に対応した加入者装置40と、波長管理制御部335とが接続されるように、光SW213を制御し、初期接続動作を行う。あるいは、シャッター制御部337は、シャッター591の光検知器が強すぎる信号光を検知したと判定した場合、そのシャッター591を遮蔽の状態にすることにより、その光信号を異常信号として遮断することが可能である。強すぎる信号光とは、例えば、光SW213などのコンポーネントにダメージを与えたり、非線形光学効果による信号劣化を生じさせたりするレベルである。
【0257】
加えて、加入者情報などの登録情報が制御部302に登録されていてない、すなわち、光GWへ接続する予定がないにも関わらず、新たな加入者装置40の接続が検知された場合には、シャッター制御部337は、悪意のあるユーザによる接続と判断して、シャッター591を遮蔽するなどの対処が可能となる。例えば、制御部302に、新規に接続する加入者装置40の情報を事前に登録しておく。この情報には、新規に接続する加入者装置40に対応するポート11-1の情報や、新規に接続が行われる期間の情報が含まれる。シャッター591-pの光検知器は、光信号を検出した場合に、制御部302に検出を通知する。シャッター制御部337は、通知の送信元のシャッター591-pに対応したポート11-1-pを特定する。シャッター制御部337は、通知を受けた時刻においてそのポート11-1-pに新規に接続する加入者装置40の登録情報がない場合には、悪意のあるユーザによる接続と判断する。この場合、シャッター制御部337は、通知の送信元のシャッター591-pを遮蔽の状態とする。
【0258】
また、原理上可能であれば光SWのポート11-1をどこにも接続しないオープン状態にしても光信号を遮断することができる。
【0259】
光GW2018及び光GW2019は、シャッター591に代えて、
図54に示すシャッター装置592を設けてもよい。
図54は、シャッター装置592の構成例を示す図である。シャッター装置592は、波長合分波器593と、F台のシャッター594(Fは2以上の整数)と、波長合分波器595とを備える。F台のシャッター594をそれぞれ、シャッター594-1~594-Fと記載する。波長合分波器593は、加入者装置40から受信した光信号を波長λ
1~λ
Fに分波し、分波した光信号を出力する。シャッター594-f(fは1以上F以下の整数)は、波長合分波器593が分離した波長λ
fの波長を透過又は遮断する。シャッター594として、シャッター591と同様の機器を用いることができる。波長合分波器595は、シャッター594-1~594-Fが透過させた光信号を合波し、光SW213に出力する。
【0260】
シャッター装置592により、一つ以上の所望の波長の光信号を透過又は遮断することが可能となる。シャッター装置592は、使用する波長数に合わせた数だけシャッター594を実装する必要がある。
【0261】
各シャッター594に、上記のシャッター591と同様に光検知機能を実装してもよい。シャッター594は、光を検知した場合に、制御部302又は制御部303に光の検知を通知する。光SW制御部336は、通知の送信元のシャッター594-fを実装しているシャッター装置592と、通信の送信元のシャッター594-fに対応した波長λfを特定する。波長管理制御部335は、特定したシャッター装置592と接続されている加入者装置40から、特定された波長λfの光信号の送信が許可されているか否かを判定する。これにより、波長管理制御部335は、万が一、加入者装置40が誤った波長で光信号を出力した際にその信号を検知することができる。波長管理制御部335は、誤った波長で光信号を出力した加入者装置40に、再度波長設定の信号を送信し、波長を設定し直すことも可能となる。
【0262】
一方で、シャッター装置592は、加入者装置40が複数波長を使用する場合にも有効である。例えば、加入者装置40が波長λ1と波長λ2を使用する場合、対応するシャッター594-1及びシャッター594-2を開放し、他のシャッター594-3~594-Fを遮蔽する。これにより、他の波長の信号の流入を防ぐとともに、ユーザ側で使用可能な波長を制限することが可能となる。また、加入者装置40が新たな波長、例えば波長λ3の使用を開始する際には、対応するシャッター594-3を開放する。これにより、加入者装置40は、新たな波長を使用した光信号(光サービス)の使用を開始することができる。
【0263】
また、光GW2018及び光GW2019は、シャッター591に代えて、
図55に示すシャッター装置596を設けてもよい。
図55は、シャッター装置596の構成例を示す図である。シャッター装置596は、シャッター591と、制御波長分波器597と、シャッター制御器598とを備える。制御波長分波器597は、光SW213が出力した信号から、シャッター制御器598の制御に用いる波長λ
cの光信号を分離する。シャッター制御器598の制御に用いる波長λ
cの光信号は、制御部302又は制御部303から送信される。波長λ
cは、加入者装置40の通信に用いられない波長である。制御波長分波器597は、分離した波長λ
cの光信号をシャッター制御器598に出力し、波長λ
cの光信号を分離した残りの光信号をシャッター591に出力する。シャッター制御器598は、制御波長分波器597が分離した光信号に基づいて、シャッター591を透過状態又は遮蔽状態にするよう制御する。
【0264】
また、
図52に示す光アクセスシステム118又は
図53に示す光アクセスシステム119によって、TDM(時分割多重)通信が可能になる。
図56は、光アクセスシステム118がTDM通信を行う場合の動作を説明するための図である。
図56を用いて、複数の加入者装置40-1~40-3が、対地Bの加入者装置40bと通信する例を説明する。
【0265】
図56において、加入者装置40-1、40-2、40-3は、光GW2018を介して、他の対地、例えば対地Bの光GWに接続されている加入者装置40bとTDM通信を行っている。つまり、加入者装置40bは、各加入者装置40-1、40-2、40-3との間の信号を、バースト信号として送受信している。加入者装置40-1、40-2、40-3から加入者装置40bに送信される光信号は衝突しないようにする必要がある。そこで、加入者装置40-1が加入者装置40bと通信する時間においては、シャッター591-1を通過状態とし、シャッター591-2及びシャッター591-3を遮蔽状態にする。これにより、加入者装置40-2、40-3は、加入者装置40bと通信できない。次に、加入者装置40-2が加入者装置40bと通信する時間においては、シャッター591-2を通過状態とし、シャッター591-1及びシャッター591-3を遮蔽状態にする。これにより、加入者装置40-1、40-3は、加入者装置40bと通信できない。次に、加入者装置40-3が加入者装置40bと通信する時間には、シャッター591-3を通過状態とし、シャッター591-1及びシャッター591-2を遮蔽状態にする。これにより、加入者装置40-1、40-2は、加入者装置40bと通信できない。
【0266】
上記のように、同じ通信先と通信する加入者装置40それぞれに対応したシャッター591のうち、通信タイミングの加入者装置40に対応したシャッター591を通過状態とし、通信タイミングではない加入者装置40に対応したシャッター591を遮蔽の状態とする。これにより、通信タイミングではない加入者装置40が物理的に通信できない状態にする。光アクセスシステム119の場合、シャッター制御部337が各シャッター591の遮蔽と通過の状態を切り替える。また、GW2018がシャッター591に代えてシャッター装置592を備える場合、加入者装置40が他の加入者装置40と同じ通信先と通信するために使用する波長の光信号について遮蔽と通過の状態を切り替える。このように、通信先が同じ複数の加入者装置40それぞれに対応したシャッター部の間で、それら加入者装置40から送信された光信号を透過させて光SW213に入力する時間を重ならないようにずらす。これにより、加入者装置40間の信号の衝突を防ぐ。
【0267】
本実施形態において、シャッターの配置場所の例として光GW内に配置することを記載したが、シャッターを光GWの外部(例えば、加入者装置と光GWの間)に設置してもかまわない。もしくは、シャッターを加入者装置内に配置しても構わない。
【0268】
また、本実施形態において、光アクセスシステムは、
図57に示すように、シャッターを設ける代わりに、光信号を終端する終端装置に、遮断すべき光信号を出力するよう光SWを制御可能としてもよい。
【0269】
図57は、光アクセスシステム120の構成図である。
図57に示す光アクセスシステム120は、制御部302と、光GW2020とを有する。光GW2020は、光SW213と、WDM装置80と、無反射終端装置599とを有する。光GW2020がWDM装置80を設けず、光SW213のポート11-2-2、11-2-3、11-2-4、11-2-5、…がそれぞれ伝送路50-2を介して加入者装置40又は上位ネットワークに接続されてもよい。光SW213の1以上のポート11-2は、無反射終端装置599と接続される。
図57においては、ポート11-2-(Q-1)及び11-2-Qが無反射終端装置599に接続されている。無反射終端装置599は、入力した光信号を終端し、光信号を出力しない。
【0270】
加入者装置40-2、40-3の通信が許可されていない場合、光SW制御部336は、ポート11-1-2から入力した光信号をポート11-2-(Q-1)に、ポート11-1-3から入力した光信号をポート1-2-Qに出力するように光SW2020を制御する。これにより、光GW2020は、加入者装置40-2、40-3から受信した光信号が、他の加入者装置40の通信へ影響を与えないように、光信号をブロックする。
【0271】
また、光SW213の加入者装置側のポート11-1内に、又は、加入者装置40と光SW213との間に、光検出機能を具備した光検知器を実装してもよい。光検知器は、光を検出した場合に、制御部302に検出を通知する。光SW制御部336は、通知の送信元の光検知器が実装されている又は接続されているポート11-1を特定する。光SW制御部336は、特定されたポート11-1は通信が許可された加入者装置40と接続されているポート11-1ではないと判定した場合、特定したポート11-1から入力した信号を、無反射終端装置599と接続されるポート11-2に出力するよう光SW213を制御する。
【0272】
主信号へのAMCC信号の重畳について説明する。光領域においてAMCC信号と主信号とは、同一波長を用いる。主信号は、例えば、10Gb/s(ギガビット毎秒)のOOK(On-off keying)信号のような、CPRI(Common Public Radio Interface)などの信号である。AMCC信号は、例えば、主信号に1MHzの搬送波を重畳することによって伝送され、強度変調により情報を伝える。このように低速のAMCC信号は主信号に重畳され、またこのように重畳されたAMCC信号は主信号から分離可能である。
【0273】
なお、電気領域においては、AMCC信号と主信号とは、異なる周波数を用いる。AMCC信号は、主信号よりも狭帯域である。例えば、パワーコンバイナが10GHzの電気の主信号と1MHzの電気のAMCC信号とを合成し、送信器がこの合成信号を光信号に変換することによって、AMCC信号が重畳された主信号が生成される。なお、搬送波周波数は500kHzのように電気の主信号と重ならない他の周波数を用いてもよく、変調方式についても位相変調などの他の変調方式を用いても良い。
【0274】
上述した制御装置230、235、監視装置260、265、監視制御装置267、波長制御部310及び光SW制御部320は、バスで接続されたCPU(Central Processing Unit)やメモリや補助記憶装置などを備え、プログラムを実行することによって上述した機能の一部又は全てを実現してもよい。なお、制御装置230、235、監視装置260、265、監視制御装置267、波長制御部310及び光SW制御部320の各機能の一部又は全ては、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やPLD(Programmable Logic Device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを用いて実現されても良い。制御装置230、235、監視装置260、265、監視制御装置267、波長制御部310及び光SW制御部320のプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されても良い。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えば光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置である。プログラムは、電気通信回線を介して送信されても良い。
【0275】
また、波長制御部310及び光SW制御部320は、1台の情報処理装置を用いて実装されてもよく、ネットワークを介して通信可能に接続された複数台の情報処理装置を用いて実装されてもよい。
【0276】
以上説明した実施形態によれば、光通信装置は、光SWと、波長管理制御部と、光SW制御部とを備える。光SWは、複数の伝送路と接続され、いずれかの伝送路から入力した光信号を他の伝送路へ出力する。波長管理制御部は、加入者装置に通信先に応じた波長を割り当てる。光SW制御部は、波長が割り当てられた加入者装置から送信された光信号を、その加入者装置から通信先への経路上の転送先に応じた伝送路に出力するように光SWを制御する。このように、光SWは、方路により光信号の出力先を振分ける。なお、通信先とは、例えば、波長が割り当てられた加入者装置と対向する他の加入者装置などである。また、転送先とは、対向する加入者装置、制御部、電気信号処理部、パワースプリッタ(例えば、カプラ)など、加入者装置から対向する加入者装置までの経路上の各種装置や各種機能部である。
【0277】
光SW制御部は、伝送路から入力した光信号を、光信号を送信した加入者装置と、光信号の波長との組み合わせにより特定される転送先に応じた伝送路に出力するよう、光SWを制御する。あるいは、光SW制御部は、光信号を送信した加入者装置と、入力した光信号の波長と、光信号を入力したポートとの組み合わせにより特定される転送先に応じた伝送路と接続されるポートに、光信号を出力するよう光SWを制御する。また、あるいは、光SW制御部は、入力ポートのみにより、入力ポートと加入者装置により、光SWにおいて波長と加入者装置が一意の関係にあれば入力ポートと波長との組み合わせにより特定される転送先に応じた伝送路と接続されるポートに、光信号を出力するよう光SWを制御する。
【0278】
上述した実施形態により、加入者装置の送受信器に宛先に応じた経路を利用可能な設定を行い、加入者装置から送信された信号を、その経路を利用して、宛先に応じて中継することが可能となる。さらには、加入者装置の初期設定後は、従来よりも遅延を低減しながら、光信号を宛先に応じて中継することが可能となる。
【0279】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれら実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0280】
1…光通信システム、
10、10a、10b、10c、10d、10e、10f、10g、34、95a-1、95a-2、95b-1、95b-2、96a-1、96a-2、96b-1、96b-2、210、211、212a、212b、212c、213、1001、1002、1003、1004、1005、1006、1007、1008、1009a、1009b、1010-1~1010-4…光スイッチ、
11-1、11-1-1~11-1-P、11-2、11-2-1~11-2-Q…ポート、
20、302、303…制御部、
21、41、411、412…光トランシーバ、
22、42、237…光送信器、
23、43、232、236…光受信器、
25、335…波長管理制御部、
26、320、336…光SW制御部、
30…光通信ネットワーク、
31…WDMアクセスリングネットワーク、
32-1~32-4…Add/Dropノード、
33…分波部、
35…合波部、
40、40-1~40-M、40a-1~40a-3、40b-1~40b-3、40c-1~40c-3、40a-1-1、40a-1-2、40-p-1~40-p-Np、40-p-N、40-p~40-(p+N)…加入者装置、
46-1、46-3…ユーザ、
46-2…モバイル基地局、
50、50-1、50-2、50-1-p~50-1-(p+N)、50-1-p1~50-1-pN、50-1-p-1~50-p-Np、50-2-1~50-2-q、50-2-(N-1)、50-2-N、50-2-q-1~50-2-q-N、50-2-(1+N)、53、54a、54b、54c、54d、92、93-1~93-N、501、503、504、511、512、521、522、531、533、534、540、541、542、543-1、543-2、544、545、546、547、548、549、551、551a、552、552b、555、560、561、562、563、570、571、572、573、574、575、581、582、583、584、585、586、587、588、589…伝送路、
51、73…折り返し伝送路、
55、55-1、55-2、55-p、55-(p+1)、56、57a、57b、61、66、69、71、72、251、251a、251b、252、252b、254、258、259、270、271、272、273、502、507…パワースプリッタ、
58、59…分配部、
60、65…監視回路、
67、68、80、80a、80b、81、89、97…WDM装置、
82a-1、82a-2、82b-1、82b-2、241、247…合波器、
83a-1、83a-2、83b-1、83b-2、242、248…分波器、
85…O/E変換部、
86…処理実行部、
87…E/O変換部、
88…記憶部、
90、91…多重通信伝送路、
100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120…光アクセスシステム、
200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、2010、2011、2012、2013、2014、2015、2016、2018、2019、2020…光ゲートウェイ、
220、238、243、244、245、249、256、257、593、595…波長合分波器、
230…制御装置、
231、261…波長分波器、
233、269…波長可変送信器、
235…制御装置、
250、250a、250b、253、255…分岐部、
260、265…監視装置、
262…光受信器、
266…波長可変光受信器、
267…監視制御装置、
268…波長可変受信器、
300…オペレーションシステム、
301…光GW制御部、
310…波長制御部、
337…シャッター制御部、
350…管理データベース、
452…波長可変フィルタ、
453…受信器、
454…WDMフィルタ、
591-1~591、594-1~594-m…シャッター、
592、596…シャッター装置、
597…制御波長分波器、
598…シャッター制御器、
599…無反射終端装置、
84、600…電気処理部、
861…プロセッサ、
862…アクセラレータ