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特開2024-75811マルチ荷電粒子ビーム描画装置およびマルチ荷電粒子ビームの測定方法
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  • 特開-マルチ荷電粒子ビーム描画装置およびマルチ荷電粒子ビームの測定方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024075811
(43)【公開日】2024-06-05
(54)【発明の名称】マルチ荷電粒子ビーム描画装置およびマルチ荷電粒子ビームの測定方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/027 20060101AFI20240529BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20240529BHJP
   H01J 37/305 20060101ALI20240529BHJP
   H01J 37/244 20060101ALI20240529BHJP
   H01J 37/09 20060101ALI20240529BHJP
【FI】
H01L21/30 541N
H01L21/30 541W
G03F7/20 504
H01J37/305 B
H01J37/244
H01J37/09 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021061721
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】504162958
【氏名又は名称】株式会社ニューフレアテクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 明
(74)【代理人】
【識別番号】100217940
【弁理士】
【氏名又は名称】三並 大悟
(72)【発明者】
【氏名】藤崎 英太
(72)【発明者】
【氏名】飯塚 修
(72)【発明者】
【氏名】七尾 翼
【テーマコード(参考)】
5C101
5F056
【Fターム(参考)】
5C101AA27
5C101EE03
5C101EE23
5C101EE48
5C101EE69
5C101GG15
5C101HH03
5C101HH05
5F056AA07
5F056BA01
5F056BA08
5F056EA02
5F056EA03
5F056EA04
5F056EA05
5F056EA06
5F056EA14
(57)【要約】
【課題】ビーム位置の測定時間を短縮することが可能なマルチ荷電粒子ビーム描画装置を提供する。
【解決手段】一実施形態に係るマルチ荷電粒子ビーム描画装置は、マルチ荷電粒子ビームの各ビームのオンおよびオフを、切り替えるブランキング機構と、ブランキング機構を通過したマルチビームを偏向する偏向器と、偏向器の下方に配置され、描画対象物を載置するステージと、ステージに設けられ、マルチビームを構成する各ビームのビームサイズをS、ビームピッチをPとした場合、径φ1が、S<φ1<P-Sを満たすアパーチャを有する検査アパーチャ基板と、アパーチャを通過した各ビームの電流を検出する電流検出器と、マルチビームの各ビームが、それぞれ予め設けられたアパーチャ近傍を含むスキャン領域をスキャンするように、偏向器を制御する制御計算機と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチ荷電粒子ビームの各ビームのオンおよびオフを、切り替えるブランキング機構と、
前記ブランキング機構を通過したマルチビームを偏向する偏向器と、
前記偏向器の下方に配置され、描画対象物を載置するステージと、
前記ステージに設けられ、前記マルチビームを構成する各ビームのビームサイズをS、ビームピッチをPとした場合、径φ1が、S<φ1<P-Sを満たすアパーチャを有する検査アパーチャ基板と、
前記アパーチャを通過した前記各ビームの電流を検出する電流検出器と、
前記マルチビームの少なくとも一部の各ビームが、それぞれ予め設けられた前記アパーチャ近傍を含むスキャン領域をスキャンするように、前記偏向器を制御する制御計算機と、
を備える、マルチ荷電粒子ビーム描画装置。
【請求項2】
前記制御計算機は、前記スキャン領域より、前記スキャン領域以外の領域を粗くスキャンするように制御する、請求項1に記載のマルチ荷電粒子ビーム描画装置。
【請求項3】
前記制御計算機は、前記複数の領域の中で先に前記アパーチャをスキャンしたときの前記電流検出器の検出結果に基づいて、前記スキャン領域を設定する、請求項1または2に記載のマルチ荷電粒子ビーム描画装置。
【請求項4】
前記制御計算機は、前記電流検出器の検出結果に基づいてビーム画像を作成する、請求項1から3のいずれか1項に記載のマルチ荷電粒子ビーム描画装置。
【請求項5】
マルチ荷電粒子ビームの少なくとも一部の各ビームで、検査アパーチャ基板に設けられた順次1本のビームが通過可能なアパーチャをスキャンし、前記アパーチャを通過した前記マルチ荷電粒子ビームの各ビームの電流量に基づきビーム画像を作成し、前記ビーム画像に基づきビーム測定を行う方法であって、
予め前記検査アパーチャ基板の前記アパーチャ近傍を含むスキャン領域を設定し、
前記各ビームで前記スキャン領域をスキャンすることにより前記各ビームについて前記ビーム測定を行う、
マルチ荷電粒子ビームの測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルチ荷電粒子ビーム描画装置およびマルチ荷電粒子ビームの測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
露光用マスクを形成する電子ビーム描画装置では、マルチビームを使った描画装置の開発が進められている。マルチビームを用いることで、1本の電子ビームで描画する場合に比べて多くのビームを照射できるので、スループットを大幅に向上させることができる。
【0003】
マルチビーム方式の描画装置では、例えば、電子銃から放出された電子ビームを成形アパーチャアレイ基板に設けられた複数の穴を通してマルチビームを形成する。各ビームは、ブランキングアパーチャアレイ基板でブランキング制御される。このとき、遮蔽されなかったビームが、ステージ上に載置された基板に照射される。
【0004】
上記のようなマルチビーム方式の描画装置では、基板にビームを照射する描画処理の前後で、ビーム位置の測定処理を行う場合がある。この測定処理では、まず、ブランキングアパーチャアレイ基板を通過したマルチビームで検査アパーチャ基板に設けられたアパーチャをスキャンする。次に、スキャン画像を解析することによって、ビーム位置を測定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2018-26544号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
マルチビームで検査アパーチャ基板の全領域を一様にスキャンすると、ビームのショット数が多くなるため、測定時間が長くなってしまう。
【0007】
本発明は、ビーム位置の測定時間を短縮することが可能なマルチ荷電粒子ビーム描画装置およびマルチ荷電粒子ビームの測定方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様によるマルチ荷電粒子ビーム描画装置は、マルチ荷電粒子ビームの各ビームのオンおよびオフを、切り替えるブランキング機構と、ブランキング機構を通過したマルチビームを偏向する偏向器と、偏向器の下方に配置され、描画対象物を載置するステージと、ステージに設けられ、マルチビームを構成する各ビームのビームサイズをS、ビームピッチをPとした場合、径φ1が、S<φ1<P-Sを満たすアパーチャを有する検査アパーチャ基板と、アパーチャを通過した各ビームの電流を検出する電流検出器と、マルチビームの各ビームが、それぞれ予め設けられた前記アパーチャ近傍を含むスキャン領域をスキャンするように、偏向器を制御する制御計算機と、を備える。
【0009】
また、前記制御計算機は、前記スキャン領域より、それ以外の領域を粗くスキャンするように前記ブランキング機構及び前記偏向器を制御してもよい。
【0010】
前記制御計算機は、前記複数の領域の中で先に前記検査アパーチャをスキャンしたときの前記電流検出器の検出結果に基づいて、前記スキャン領域を設定してもよい。
【0011】
前記制御計算機は、前記電流検出器の検出結果に基づいてビーム画像を作成してもよい。
【0012】
本発明の一態様によるマルチ荷電粒子ビームの測定方法は、
マルチ荷電粒子ビームの各ビームで、検査アパーチャ基板に設けられた順次1本のビームが通過可能なアパーチャをスキャンし、前記アパーチャを通過した前記マルチ荷電粒子ビームの各ビームの電流量に基づきビーム画像を作成し、前記ビーム画像に基づきビーム測定を行う方法であって、
予め前記検査アパーチャ基板の前記アパーチャ近傍を含むスキャン領域を設定し、
前記各ビームを前記スキャン領域に照射して前記アパーチャをスキャンすることにより前記各ビームについて前記ビーム測定を行う。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ビーム測定時間を短縮することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係るマルチ荷電粒子ビーム描画装置の概略図である。
図2】成形アパーチャアレイ基板の平面図である。
図3】検査アパーチャ基板に照射されるマルチビームを示す図である。
図4A】検査アパーチャ基板の全面をスキャンした時のビーム画像イメージを示す図である。
図4B】検査アパーチャ基板にスキャン領域を設けてスキャンしたときのビーム画像イメージを示す図である。
図5】ビーム形状の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。本実施形態は、本発明を限定するものではない。
【0016】
図1は、本発明の一実施形態に係るマルチ荷電粒子ビーム描画装置の概略図である。本実施形態では、荷電粒子ビームの一例として、電子ビームを用いた構成について説明する。但し、荷電粒子ビームは、電子ビームに限るものではなく、イオンビーム等の他の荷電粒子ビームでもよい。
【0017】
図1に示すマルチ荷電粒子ビーム描画装置は、描画部Wおよび制御部Cを備える。描画部Wは、描画対象物の一例である基板24に電子ビームを照射して所望のパターンを描画する。一方、制御部Cは、描画部Wの動作を制御する。
【0018】
描画部Wは、電子ビーム鏡筒2および描画室20を含む。電子ビーム鏡筒2は、電子銃4、照明レンズ6、成形アパーチャアレイ基板8、ブランキングアパーチャアレイ基板(ブランキング機構)10、縮小レンズ12、制限アパーチャ部材14、対物レンズ16、および偏向器18を収容する。
【0019】
描画室20は、XYステージ22を収容する。XYステージ22上には、基板24が載置される。基板24には、例えば、ウェーハや、露光用のマスクを適用できる。マスクには、ウェーハにエキシマレーザを光源としたステッパや、スキャナ等の縮小投影型露光装置や極端紫外線露光装置(EUV)を用いてパターンが転写される。
【0020】
XYステージ22上には、XYステージ22の位置を測定するためのミラー26も載置されている。また、XYステージ22には、基板24が載置される位置とは異なる位置に、検査アパーチャ基板40および電流検出器50が配置されている。検査アパーチャ基板40は、調整機構(不図示)により高さが調整可能となっている。検査アパーチャ基板40の位置は、基板24の高さと同じ位置であることが望ましい。
【0021】
描画部Wでは、電子銃4(放出部)が電子ビーム30を放出する。放出された電子ビーム30は、照明レンズ6によりほぼ垂直に成形アパーチャアレイ基板8の全体を照明する。
【0022】
図2は、成形アパーチャアレイ基板8の平面図である。成形アパーチャアレイ基板8には、縦(y方向)m列×横(x方向)n列(m,n≧2)の穴80(開口部)が所定の配列ピッチでマトリクス状に形成されている。例えば、512列×512列の穴80が形成される。本実施形態では、各穴80は、共に同じ寸法形状の矩形で形成されているが、同じ径の円形であってもよい。
【0023】
成形アパーチャアレイ基板8は、電子ビーム30によって照明される。各穴80を電子ビーム30がそれぞれ通過することで、図1に示すようなマルチビーム30a~30eが形成される。
【0024】
図2では、縦横(x,y方向)が共に2列以上の穴80が配置された例を示したが、これに限るものではない。例えば、縦横(x,y方向)どちらか一方が複数列で他方は1列だけであっても構わない。
【0025】
図1に戻って、ブランキングアパーチャアレイ基板10には、成形アパーチャアレイ基板8の各穴80の配置位置に合わせてアパーチャが形成され、各アパーチャには、対となる2つの電極からなるブランカが、それぞれ配置される。各アパーチャを通過する電子ビーム30a~30eは、それぞれ独立に、ブランカが印加する電圧によって偏向される。この偏向によって、各ビームがブランキング制御される。
【0026】
そして、ビームオンになってからビームオフになるまでに制限アパーチャ部材14を通過したビームが、1回分のショットの電子ビームとなる。制限アパーチャ部材14を通過した電子ビーム30a~30eは、対物レンズ16により焦点が合わされ、基板24上で所望の縮小率のパターン像となる。制限アパーチャ部材14を通過した各電子ビーム(マルチビーム全体)は、偏向器18によって同じ方向にまとめて偏向され、基板24に照射される。
【0027】
偏向器18は、主偏向器18a(第1偏向器)および副偏向器18b(第2偏向器)からなる二段構造を有する。主偏向器18aは下段に配置され、副偏向器18bが、上段に配置されている。主偏向器18aの偏向領域は、副偏向器18bの偏向領域よりも大きい。そのため、主偏向器18aは、電子ビームを大きく偏向させることができる一方で、副偏向器18bは、電子ビームを高速に制御(スキャン)することができる。このように主偏向器18aおよび副偏向器18bを使い分けることによって、効率的な電子ビームの偏向が可能となる。
【0028】
XYステージ22が連続的に移動しているときに、ビームの描画位置(照射位置)がXYステージ22の移動に追従するように偏向器18によってトラッキング制御される。XYステージ22の位置は、ステージ位置検出器36からXYステージ22上のミラー26に向けてレーザを照射し、その反射光を用いて測定される。
【0029】
一度に照射されるマルチビームは、理想的には成形アパーチャアレイ基板8の複数の穴80の配列ピッチに上述した所望の縮小率を乗じたピッチで並ぶことになる。この描画装置は、ショットビームを連続して順に照射していくラスタースキャン方式で描画動作を行い、所望のパターンを描画する際、パターンに応じて必要なビームがブランキング制御によりビームオンに制御される。
【0030】
制御部Cは、制御計算機32および制御回路34を有する。制御計算機32は、ビームアレイ認識部60、ビーム位置検出部62、ビーム形状測定部64およびショットデータ生成部66を有する。制御計算機32の各部は、電気回路等のハードウェアで構成されてもよいし、これらの機能の全部または一部を実行するプログラム等のソフトウェアで構成されてもよい。ソフトウェアで構成する場合には、上記プログラムを記録媒体に収納し、電気回路等を含むコンピュータに読み込ませて実行させてもよい。
【0031】
ショットデータ生成部66は、例えば描画データに対し複数段のデータ変換処理を行って装置固有のショットデータを生成し、制御回路34に出力する。ショットデータには、各ショットの照射量および照射位置座標等が定義される。制御回路34は、各ショットの照射量を電流密度で割って照射時間tを求め、対応するショットが行われる際、照射時間tだけビームオンするように、ブランキングアパーチャアレイ基板10の対応するブランカに偏向電圧を印加する。
【0032】
制御回路34は、ショットデータが示す位置(座標)に各ビームが偏向されるように偏向量を演算し、偏向器18に偏向電圧を印加する。これにより、その回にショットされるマルチビームがまとめて偏向される。
【0033】
上述した描画装置では、基板24に、成形アパーチャアレイ基板8の複数の穴80の配列ピッチに所定の縮小率を乗じたピッチで並んだ多数のビームを一度に照射し、ビーム同士をつなげてビームピッチを埋めることで、所望の図形形状のパターンを描画する。そのため、描画処理の前後に、ビーム位置を検出し、ビーム形状を測定してビーム形状の歪みを補正することが求められる。ビーム位置の検出は、検査アパーチャ基板40および電流検出器50を有するビーム検査装置を用いて行われる。
【0034】
図3にビーム検査装置の構成を示す。図3は、検査アパーチャ基板40に照射されるマルチビームを示す図である。
【0035】
図3に示すように、検査アパーチャ基板40は、散乱層41および吸収層43を有する。散乱層41は、吸収層43上に設けられている。検査アパーチャ基板40は、例えば円形の平面形状を有する。この平面形状の中心軸に沿ってアパーチャ42が形成されている。この検査アパーチャ基板40は、吸収層43の中心部に形成された開口部44と、散乱層41の中心部に形成され、開口部44に連なるアパーチャ42とで構成される。マルチビームを構成する各ビームのビームサイズをS、ビームピッチをPとした場合、アパーチャ42の径φ1は、S<φ1<P-Sを満たすことで、アパーチャ42に1本ずつ電子ビームB1を通過させることができる。
【0036】
電子ビームB1がアパーチャ42を通過する際、電子ビームB1の1つ隣の電子ビームB2(電子ビームB1の周辺の8本の電子ビームB2)は、散乱層41に照射され、一部は散乱層41の表面で反射するが、そのほとんどは破線で示すように散乱層41に侵入して散乱される。散乱した電子は、散乱層41を貫通し、その一部はそのまま真空中を直進し、一部は吸収層43の表面で反射され一部は吸収層43に入射し、電流検出器50には(殆ど)到達しない。電子ビームB1の2つ以上隣の電子ビームB3は、散乱層41で散乱される。散乱した電子は吸収層43に侵入し、吸収される。
【0037】
なお、検査アパーチャ基板40の構造は、上述したものに限定されるものではなく、アパーチャ42を電子ビームが一本だけ通過するように制限できるものを適用することができる。
【0038】
アパーチャ42および開口部44を通過した電子ビームB1は、電流検出器50に入射し、ビーム電流が検出される。電流検出器50には、例えばSSD(半導体検出器:solid-state detector)を用いることができる。電流検出器50は、検出したビーム電流値を制御計算機32に転送する。
【0039】
本実施形態では、測定対象となるビームを順次オンにして検査アパーチャ基板40に設けられたアパーチャ42をスキャンする。ブランキングアパーチャアレイ基板10を、予め設定された複数の測定領域に分割し、測定領域毎にスキャンしてもよい。
【0040】
例えば、制御回路34が、測定対象となる電子ビームを順次オンにして偏向器18でX方向に偏向させ、検査アパーチャ基板40をスキャンする。
【0041】
制御計算機32では、ビームアレイ認識部60が、検査アパーチャ基板40をスキャンした電子ビームB11のビーム電流を輝度に変換し、偏向器18の偏向量に基づいてビーム画像70を作成する。ビーム画像70は、SEM(Scanning Electron Microscope)画像である。
【0042】
図4Aは、検査アパーチャ基板40の全面をスキャンした時のビーム画像イメージを示す図である。図4Bは、検査アパーチャ基板40にスキャン領域を設けてスキャンしたときのビーム画像イメージを示す図である。
【0043】
最初の測定時には、図4Aに示すように、検査アパーチャ基板40におけるアパーチャ42を含む全領域をビームスキャンし、ビームアレイ認識部60が、各ビームの照射位置を記憶してもよい。
【0044】
この場合、制御計算機32のショットデータ生成部66は、ビームアレイ認識部60に記憶されたビームアレイのスキャン位置に基づいて、アパーチャ42近傍の領域R1をスキャン領域として設定する。そのため、図4Bに示すように、アパーチャ42近傍のスキャン領域R1のみビームスキャンされ、アパーチャ42を含まない領域R2はビームスキャンされない。
【0045】
上記のような方法でビームスキャンが終了すると、ビーム画像が形成される。例えば、ビーム形状測定部64が、各測定領域のビームアレイの中心座標に基づいて、ビーム形状を測定する。
【0046】
例えば、ビーム形状測定部64は、n個の測定領域に対応するビームアレイの中心座標を3次多項式でフィッティングし、ビーム形状を表す多項式を求める。この多項式をグラフにプロットすると、例えば図5に示すような多少の歪みが生じたビーム形状が得られる。図5は、±1□に理想格子を設定し、そこからのズレ分をプロットしてビーム形状を視覚的に捉えやすく示したものである。その後、ショットデータ生成部66が、ビーム形状の歪みを補正するようにドーズ量を変調し、ショットデータを生成する。
【0047】
以上説明した本実施形態によれば、電子ビームで検査アパーチャ基板40をスキャンする際、アパーチャ42及びその近傍を含む領域R1をスキャン領域として設定し、ビーム照射を制限する。これにより、電子ビームのショット数が削減されるため、測定時間を短縮することができる。例えば、従来は512列×512列のショットが必要なスキャン領域が、256列×256列のショットのスキャン領域分に制限されると、スキャンに関する時間が、約1/4に短縮される。なお、このとき、スキャン領域のみにビーム照射するのではなく、スキャン領域を密に、それ以外の領域を粗く、スキャンスピード、スキャンピッチを変えてスキャンすることで、スキャン時間を短縮してもよい。また、必ずしも全てのビームをスキャンする必要はなく、所定の領域内の代表ビームを測定するなど、飛び飛びに一部のビームを測定してもよい。
【0048】
上記のようにスキャン時間が短縮されると、描画処理の前後で行われるビーム検査の時間や、図5に示すビーム形状の歪みの測定時間(ディストーション測定時間)も短縮することができる。
【0049】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0050】
4:電子銃(放出部)、8:成形アパーチャアレイ基板、10:ブランキングアパーチャアレイ基板、18:偏向器、18a:第1偏向器、18b:第2偏向器、22:XYステージ、32:制御計算機、40:検査アパーチャ基板、42:アパーチャ、50:電流検出器
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5