IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 古河電気工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-融着機 図1
  • 特開-融着機 図2
  • 特開-融着機 図3
  • 特開-融着機 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024075873
(43)【公開日】2024-06-05
(54)【発明の名称】融着機
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/255 20060101AFI20240529BHJP
【FI】
G02B6/255
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022187089
(22)【出願日】2022-11-24
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096091
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 誠一
(72)【発明者】
【氏名】中野 仁志
(72)【発明者】
【氏名】細井 英昭
【テーマコード(参考)】
2H036
【Fターム(参考)】
2H036LA03
2H036MA11
2H036MA12
2H036NA03
2H036NA08
2H036NA09
2H036NA16
(57)【要約】
【課題】 光ファイバの端面を効率よく観察することで、調心作業に優れた融着機を提供する。
【解決手段】 ホルダ載置部11に対して、一対のホルダ載置部11の対向方向側(電極7側)には、それぞれの第1の光源である光源23が配置される。光源23は、光ファイバ29の樹脂被覆29bが剥離されたガラスファイバ29aに対して、側方から光を照射可能である。また、一対の電極同士の間には、反射部材21が配置される。撮像部25は、反射部材21によって反射された像を撮像することができる。回転駆動部19によって、一対のホルダ載置部11に保持された光ファイバ19のうち、少なくとも一方を、一対のホルダ載置部11の対向方向を軸として回転させることで、一対の光ファイバ29同士を回転調心することが可能である。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の光ファイバ同士を接続する融着機であって、
光ファイバを保持するホルダが載置される一対のホルダ載置部と、
一対の前記ホルダ載置部の間に移動可能な反射部材と、
前記反射部材によって反射された像を撮像する撮像部と、
一対の前記ホルダ載置部に保持された光ファイバのうち、少なくとも一方を、一対の前記ホルダ載置部の対向方向を軸として回転させることで、一対の光ファイバ同士を回転調心することが可能な回転駆動部と、
それぞれの光ファイバの側方から光を照射することが可能な一対の第1光源と、
を具備し、
それぞれの前記第1光源は、前記ホルダ載置部に対して、一対の前記ホルダ載置部の対向方向側に配置され、光ファイバの樹脂被覆が剥離されたガラスファイバに光を照射可能であることを特徴とする融着機。
【請求項2】
それぞれの光ファイバの側方から光を照射することが可能な一対の第2光源をさらに具備し、
それぞれの前記第2光源は、前記ホルダ載置部に対して、一対の前記ホルダ載置部の対向方向とは逆側に配置され、光ファイバの樹脂被覆に光を照射可能であることを特徴とする請求項1記載の融着機。
【請求項3】
操作部によって、前記第1光源と前記第2光源のいずれかを選択して光ファイバへ光を照射可能であることを特徴とする請求項2記載の融着機。
【請求項4】
操作部によって、前記第1光源と前記第2光源とを同時に光ファイバへ光を照射可能であることを特徴とする請求項2記載の融着機。
【請求項5】
一対の前記ホルダ載置部の対向方向側には、それぞれの前記ホルダの先端から露出する光ファイバを保持するためのV溝を有し、
前記第1光源は、前記V溝と前記ホルダ載置部との間に配置されることを特徴とする請求項1記載の融着機。
【請求項6】
前記第1光源の光よりも前記第2光源の光の方が、光が強いことを特徴とする請求項2記載の融着機。
【請求項7】
前記第2光源は、平面型LED光源であり、
本体に対して開閉可能な風防には弾性部材が配置され、
風防を閉じた際には、前記弾性部材と前記第2光源とで光ファイバを挟み込むことが可能であることを特徴とする請求項2記載の融着機。
【請求項8】
前記回転駆動部は、前記ホルダ載置部を回転させることが可能であり、
前記第1光源は、前記ホルダ載置部が回転動作する際に、前記ホルダ載置部とともに回転しない位置に配置されることを特徴とする請求項1記載の融着機。
【請求項9】
前記回転駆動部は、前記ホルダ載置部を回転させることが可能であり、
前記第2光源は、前記ホルダ載置部が回転動作する際に、前記ホルダ載置部とともに回転しない位置に配置されることを特徴とする請求項2記載の融着機。
【請求項10】
本体に対して開閉可能な風防を有し、
前記第1光源及び前記第2光源は、いずれも本体側に配置されることを特徴とする請求項2記載の融着機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調心作業性に優れた融着機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光ファイバ同士の接続には、融着機が用いられる。融着機は、一対のホルダに保持された光ファイバ同士を突き合わせて、電極間に配置し、アークによって光ファイバ同士の先端を融着して、光ファイバ同士を接続するものである。
【0003】
光ファイバ同士の融着時には、光ファイバの先端位置を合わせる調心作業が必要である。このため、従来は、光ファイバ同士を対向して配置した状態で、側方(光ファイバの軸方向に対して垂直な方向)から、撮像部によって光ファイバの先端位置を撮像して調心を行っていた。
【0004】
一方、一般的な単心の光ファイバではなく、いわゆる偏波保持ファイバやマルチコアファイバのように、断面形態に対して周方向の方向性を有する場合、先端位置のみではなく、回転方向の調心も必要である。すなわち、光ファイバ先端位置のいわゆるX-Y方向の調心のみではなく、光ファイバの軸方向を中心軸とした周方向の回転調心が必要となる。
【0005】
このような光ファイバの回転調心を行うためには、例えば、光ファイバの対向方向の間に反射部材を配置し、光ファイバの端面を撮像部に反射させて撮像し、端面観察によって回転調心を行う方法がある(たとえば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004-53625号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1の方法は、落射照明を用いているため、光ファイバの端面側に光を照射してその反射光を確認することとなる。このため、ハーフミラー等を用いるため構造も複雑となる。また、例えば、部分的に光の反射が強くなるなど、ハレーション等を起こす恐れがあり、必ずしも光ファイバの端面におけるコアの配置等を明確に把握することができない場合もある。
【0008】
これに対し、光ファイバの観察端面とは逆側の端面から光を入射させる方法がある。この方法によれば、光ファイバ(コア)内を通って光が観察端面側に出射するため、観察面においてコアが略均一に明るく見える。このため、コアの配置や応力付与部の位置等(以下、単にコア配置等とする)を確実に知ることができる。
【0009】
しかし、接続対象の光ファイバが既に他の設備と接続されている場合など、端面側から自由に光を入射させることが困難な場合がある。このような場合には、光ファイバの側面から光を入射する方法も考えられる。光ファイバの側面から入射した光の一部は、光ファイバ内を伝播して端面側に出射する。このため、光ファイバの端面において、コア配置等を確認することができる。
【0010】
しかし、発明者らは、単に光ファイバの側面から光を入射させただけでは、光ファイバのサイズや種類等によっては、コア配置等を観察しにくい場合があることを知見した。このため、種々の光ファイバに対しても、効率よく端面観察が可能な方法が望まれる。
【0011】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、光ファイバの端面を効率よく観察することで、調心作業に優れた融着機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前述した目的を達するために本発明は、一対の光ファイバ同士を接続する融着機であって、光ファイバを保持するホルダが載置される一対のホルダ載置部と、一対の前記ホルダ載置部の間に移動可能な反射部材と、前記反射部材によって反射された像を撮像する撮像部と、一対の前記ホルダ載置部に保持された光ファイバのうち、少なくとも一方を、一対の前記ホルダ載置部の対向方向を軸として回転させることで、一対の光ファイバ同士を回転調心することが可能な回転駆動部と、それぞれの光ファイバの側方から光を照射することが可能な一対の第1光源と、を具備し、それぞれの前記第1光源は、前記ホルダ載置部に対して、一対の前記ホルダ載置部の対向方向側に配置され、光ファイバの樹脂被覆が剥離されたガラスファイバに光を照射可能であることを特徴とする融着機である。
【0013】
それぞれの光ファイバの側方から光を照射することが可能な一対の第2光源をさらに具備し、それぞれの前記第2光源は、前記ホルダ載置部に対して、一対の前記ホルダ載置部の対向方向とは逆側に配置され、光ファイバの樹脂被覆に光を照射可能であることが望ましい。
【0014】
操作部によって、前記第1光源と前記第2光源のいずれかを選択して光ファイバへ光を照射可能であってもよい。
【0015】
操作部によって、前記第1光源と前記第2光源とを同時に光ファイバへ光を照射可能であってもよい。
【0016】
一対の前記ホルダ載置部の対向方向側には、それぞれの前記ホルダの先端から露出する光ファイバを保持するためのV溝を有し、前記第1光源は、前記V溝と前記ホルダ載置部との間に配置されることが望ましい。
【0017】
前記第1光源の光よりも前記第2光源の光の方が強いことが望ましい。
【0018】
前記第2光源は、平面型LED光源であり、本体に対して開閉可能な風防には弾性部材が配置され、風防を閉じた際には、前記弾性部材と前記第2光源とで光ファイバを挟み込むことが可能であってもよい。
【0019】
前記回転駆動部は、前記ホルダ載置部を回転させることが可能であり、前記第1光源は、前記ホルダ載置部が回転動作する際に、前記ホルダ載置部とともに回転しない位置に配置されることが望ましい。
【0020】
前記回転駆動部は、前記ホルダ載置部を回転させることが可能であり、前記第2光源は、前記ホルダ載置部が回転動作する際に、前記ホルダ載置部とともに回転しない位置に配置されことが望ましい。
【0021】
本体に対して開閉可能な風防を有し、前記第1光源及び前記第2光源は、いずれも本体側に配置されることが望ましい。
【0022】
本発明によれば、光ファイバの側面から光を導入して、光ファイバの端面を反射することが可能な反射部材によって、光ファイバの端面を観察することで、容易に光ファイバのコア配置等を把握して回転調心を行うことができる。この際、光ファイバの側面から光を導入する第1光源を、光ファイバの樹脂が剥離されたガラスファイバの位置に配置することで、より小さな光量でも確実に光ファイバの端面におけるコア配置等を把握することができる。
【0023】
例えば、融着機の光ファイバ同士を突き合わせて融着させる部位の近傍では、電極や位置決めのV溝、撮像装置や反射部材等の多くの部材が配置されるため、光源等のデバイスをレイアウトすることは容易ではない。したがって、ホルダの後方に露出する光ファイバの側面から光を導入するのが効率的といえる。しかし、発明者らは、このような方法で光ファイバの側面から光を導入すると、光ファイバのサイズや形態等によっては、コア配置等が把握しにくい場合があることを知見し、この理由が光ファイバの樹脂被覆部の影響であると考えた。
【0024】
そこで、発明者らは、レイアウトの自由度は低くなるが、樹脂が剥離されたガラスファイバの位置に第1光源を配置することで、樹脂被覆の側面から光を導入した場合と比較してコア配置等が把握しやすいことを見出した。この結果、従来では把握しにくかった光ファイバのコア配置等に対しても、より効率よく回転調心を行うことが可能となった。
【0025】
また、それぞれのホルダ載置部に対して、ホルダ載置部の対向方向とは逆側に、光ファイバの側方から光を照射することが可能な一対の第2光源をさらに配置することで、第1光源によるガラスファイバの側面からの光の導入と、樹脂被覆の側面からの光の導入とを切り替えることも可能である。例えば、第1光源では、コア等が明るくなりすぎるような場合でも、第2光源であれば、ちょうど見やすくなるような場合がある。このため、光ファイバに応じて適切な光源を選択することで、多くのサイズや種類の光ファイバに対しても、適切な条件で端面観察を行うことができる。
【0026】
なお、この場合には、第1光源と第2光源を同時に使用することもできる。例えば、いずれかの光源のみでは、コア配置等がはっきりと見えにくい場合でも、両方の光源を使用することで、より明るくコア配置等を把握することができる場合もある。
【0027】
また、第1光源を、ホルダ載置部とV溝との間に配置することで、ホルダとV溝とで確実に位置決めされた光ファイバ(ガラスファイバ)に光を照射することができる。このため、照射位置のばらつきが生じにくく、光の当たり具合などのばらつきが生じにくい。また、第1光源からの光の一部がV溝によって遮蔽されるため、第1光源からの直接光が反射部材や撮像装置へ漏光することを抑制することができる。
【0028】
また、第1光源の光よりも第2光源の光の方を強くすることで、直接ガラスファイバに光を導入し、端面にも近い第1光源を小型化することができる。
【0029】
また、第2光源を平面型LED光源とすることで、風防を閉じた際に、風防に配置された弾性部材と第2光源とで光ファイバを挟み込むことが可能である。このため、より確実に第2光源から光ファイバに光を導入することができるとともに、第2光源からの他の部材への漏光を抑制することができる。
【0030】
また、ホルダ載置部を回転動作する際にホルダ載置部とともに回転しない位置に第1光源を配置することで、第1光源に対する配線等が回転によって動くことがない。同様に、ホルダ載置部を回転動作する際にホルダ載置部とともに回転しない位置に第2光源を配置することで、第2光源に対する配線等が回転によって動くことがない。このため、回転調心の際における配線の断線等を抑制することができる。
【0031】
また、第1光源及び第2光源を、いずれも本体側に配置することで、本体に対して風防を開閉させた際に、第1光源及び第2光源に対する配線等が回転によって動くことがなく、配線の断線等を抑制することができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、光ファイバの端面を効率よく観察することで、調心作業に優れた融着機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】融着機1を示す斜視図。
図2】(a)は、融着機1の内部の概略構成図、(b)は(a)のA-A線矢視図、(c)は、(a)のC部におけるB-B線矢視図。
図3】使用状態における融着機1の内部の概略構成図。
図4】使用状態における融着機1の内部の他の概略構成図。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。図1は、融着機1を示す斜視図であり、図2(a)は、本体9における、各構成の配置を示した概略構成図である。融着機1は、一対の光ファイバを融着によって接続するものである。なお、以下の図においては、説明に不要な構成については、図示を省略する。
【0035】
図1に示すように、融着機1は、本体9に対して開閉可能な風防3を有する。また、本体9には、光ファイバを保持するホルダが載置されるホルダ載置部11と、光ファイバの位置決めがなされるV溝5と、融着機1の各種設定や、後述する調心操作及び融着操作等を行う操作部15と、各種情報及び画像を表示する表示部17等を具備する。なお、表示部17をタッチパネルとすることで、操作部15と表示部17とを一体化してもよい。
【0036】
図2(a)に示すように、一対のホルダ載置部11は対向して配置され、ホルダ載置部11から対向方向に対して順に、V溝5、電極7が配置される。ホルダ載置部11は、回転駆動部19に固定される。図2(b)は、図2(a)のA-A線矢視図(回転駆動部19の正面図)である。回転駆動部19は、ホルダ載置部11の対向方向(図2(b)の紙面に垂直な方向)を回転軸として、ホルダ載置部11を回転させることができる。すなわち、光ファイバの回転調心を行うことができる。
【0037】
図2(c)は、図2(a)におけるC部のB-B線矢視図(V溝5の正面図)である。一対のホルダ載置部11の対向方向側(すなわち電極7側)には、それぞれのホルダの先端から露出する光ファイバを保持するためのV溝5が配置される。融着時には、V溝5に光ファイバを配置することで、光ファイバの位置決めが可能である。
【0038】
この際、風防3の裏面には、クランプ13が設けられ、風防3を閉じた際に、クランプ13の先端は、V溝5上の光ファイバの位置に対応する部位に位置する。すなわち、風防3の裏面に設けられたクランプ13によって、一対の光ファイバを、V溝5において対向して保持することができる。
【0039】
また、一対の光ファイバの対向方向に対して略垂直な方向には、一対の電極7が対向配置される。風防3を閉じ、光ファイバの先端を突き合わせた状態で、一対の電極7の間にアークを発生させることで、光ファイバの先端部を溶融して接合することができる。
【0040】
また、一対の電極7同士の間には、反射部材21が配置される。反射部材21は、上昇と下降動作が可能であり、融着時には電極7間から退避され、回転調心作業時には上昇して電極7の間に配置することができる。すなわち、図2(a)は、反射部材21が上昇した状態であり、反射部材21は、一対のホルダ載置部11の間に、移動可能に配置される。
【0041】
ホルダ載置部11に対して、一対のホルダ載置部11の対向方向側(電極7側)には、それぞれの第1の光源である光源23が配置される。より詳細には、光源23は、V溝5とホルダ載置部11との間にそれぞれ配置される。それぞれの光源23は、光ファイバの側方から光を照射することが可能である。
【0042】
次に、光ファイバの調心方法について説明する。図3は、調心を行う際の状態を示す概略構成図である。なお、図3においては、一方のホルダ載置部11側の構成のみを示すが、他方についても対称であるとして説明する。前述したように、一対のホルダ27によって光ファイバ29が保持され、それぞれのホルダ27は、ホルダ載置部11に載置される。光ファイバ29は、ガラスファイバ29aの外周が樹脂被覆29bで被覆されて構成される。この際、ホルダ27の先端側に露出する光ファイバ29は、樹脂被覆29bが除去されてガラスファイバ29aが露出する。
【0043】
また、前述したように、光ファイバ29の先端部近傍(ガラスファイバ29a)はV溝5に保持され、風防3の裏面に設けられたクランプ13によって、光ファイバ29は、V溝5において対向して保持されて位置決めがなされる。
【0044】
一対の光ファイバ29同士の間には、反射部材21が配置される。反射部材21は、それぞれの光ファイバ29側に反射面を有し、それぞれ、光ファイバ29の先端の像を、90度の方向(図中上方)に向けて反射させることが可能である。また、風防3のクランプ13の間には、撮像部25が内蔵され、風防3を閉じると、一対の光ファイバの29先端部近傍を撮像可能な位置に配置される。すなわち、撮像部25は、反射部材21によって反射された像を撮像することができる。
【0045】
また、前述したように、光源23は、V溝5とホルダ載置部11との間にそれぞれ配置される。ホルダ27とV溝5との間では、光ファイバ29のガラスファイバ29aが露出する。このため、光源23は、光ファイバ29の樹脂被覆29bが剥離されたガラスファイバ29aに対して、側方から光を照射可能である。光ファイバ29の側方から導入された光の一部は、コア(又はさらにその一部がクラッド)を導光して、端面に出射される。撮像部25は、反射部材21によって、光ファイバ29の端面を撮像し、表示部17に表示することで、光ファイバ29のコア配置等を把握することができる。
【0046】
この状態で、操作部15の操作等によって回転駆動部19を動作させる。回転駆動部19によって、一対のホルダ載置部11に保持された光ファイバ29のうち、少なくとも一方を、一対のホルダ載置部11の対向方向を軸として回転させることで、一対の光ファイバ29同士を回転調心することが可能である。
【0047】
なお、光源23は、ホルダ載置部11が回転動作する際に、ホルダ載置部11とともに回転しない位置に配置される。このため、調心作業を行う際に、光源23の配線等が移動することがない。したがって、回転調心の際に、配線等の断線等のおそれがなく、信頼性を高めることができる。
【0048】
なお、光ファイバ29の先端位置(X-Y方向)の調心作業は、従来の方法で行うことができる。例えば、光ファイバ29の側方の異なる方向に他の一対の撮像装置を配置し、各方向から光ファイバ29の先端位置を撮像して表示部17に表示する。それぞれの光ファイバ29の位置が合うように、操作部15を用いてV溝5やホルダ載置部11の位置や向きを動作させ、互いのX-Y位置を合わせることで光ファイバ29のX方向及びY方向の調心が可能である。
【0049】
このように、一対の光ファイバ29のX-Y調心と回転調心を行った後、反射部材21を退避(下降)させ、光ファイバ29の端部同士を突き合わせて、電極7間にアークを発生させることで、光ファイバ29同士を融着することができる。
【0050】
以上、本実施の形態によれば、一対の光ファイバ29の側方から光を導入することで、光ファイバ29の他端側から光を導入できないような場合でも、端面のコア配置等を把握することができるため、調心作業が容易となる。この際、光源23によって、ガラスファイバ29aの側方から光を導入することで、光の導入部から端面まで距離が短く、樹脂被覆29bの影響も受けることがないため、より鮮明なコア配置等の把握が可能となる。
【0051】
また、光源23は、V溝5よりもホルダ載置部11側(すなわち反射部材21とは逆側)に配置されるため、V溝5によって光が遮蔽され、光源23からの光が、直接反射部材21や撮像部25に入射することを抑制することができる。なお、より光の反射を抑制するため、V溝5の部材を黒色等にしてもよい。
【0052】
また、光ファイバ29(ガラスファイバ29a)は、光源23の両側で、ホルダ27とV溝5によって確実に位置決めがなされているため、光ファイバ29に対して、常に一定の位置から光を導入することができる。このため、再現性を高めることができる。
【0053】
なお、光源23としては、例えばいわゆる砲弾型のLED光源を使用することができる。砲弾型LEDは指向性が高いため、効率よく光ファイバ29へ光を照射し、光の広がりによる漏光を抑制することができる。
【0054】
また、光ファイバ29の端面観察においては、光ファイバ29の端面の状態を把握可能としてもよい。例えば、端面の画像から、端面の一部に掛けやクラックなどがないかを把握することもできる。
【0055】
次に、第2の実施形態について説明する。図4は、第2の実施形態にかかる各部の構成を示す概略構成図である。なお、以下の説明において、上述した実施形態と同様の構成については同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0056】
第2の実施形態は、第1の実施形態と略同様の構成であるが、第2の光源である光源31が設けられる点で異なる。一対の光源31は、光源23と同様に、それぞれの光ファイバ29の側方から光を照射することが可能である。それぞれの光源31は、ホルダ載置部11の後方側(一対のホルダ載置部11の対向方向とは逆側)に配置され、光ファイバ29の樹脂被覆29bに光を照射可能である。なお、前述したように、ホルダ27よりも後方側では、光ファイバ29は樹脂被覆29bで被覆されている。このため、光源31は、樹脂被覆29bの外側から光ファイバ29へ光を導入することができる。
【0057】
なお、光源31は、例えば平面型LED光源である。本体9に対して開閉可能な風防3には弾性部材33が配置され、風防3を閉じた際には、弾性部材33と光源31とで光ファイバ29を挟み込むことが可能である。このようにすることで、確実に光源31からの光を光ファイバ29へ導入することができるとともに、他の部位への漏光を抑制することができる。
【0058】
なお、この場合、操作部15によって、光源23と光源31のいずれかを選択して光ファイバ29へ光を照射可能とすることができる。前述したように、光ファイバ29のサイズや種類によっては、同じように光を導入しても、端面における見え方が異なる。このため、光源23から光を導入した場合と、光源31から光を導入した場合とを比較して、より鮮明に端面が把握できる方を選択して使用することで、より精度良く回転調心を行うことができる。
【0059】
また、操作部15によって、光源23と光源31とを同時に光ファイバ29へ光を照射可能としてもよい。光源23から光を導入した場合又は光源31から光を導入した場合と、両方の光源23、31からの光を導入した場合とを比較して、より鮮明に端面が把握できる条件を選択して使用することで、より精度良く回転調心を行うことができる。
【0060】
なお、光源23の光よりも光源31の光の方が強いことが望ましい。前述したように、光源23は直接ガラスファイバ29aに光を導入し、端面にも近いため、小さな光源を適用することができる。一方、光源31は、樹脂被覆29bの外面から光を導入し、端面からの距離も長いため、より強い光の光源が望まれる。
【0061】
例えば、光源23としては、例えば、撮像部25のCMOSの感度の高い波長500~600nm程度(例えば赤色の光源)が望ましい。一方、光源31は、ある程度の光量が必要であるため、白色の光源が望ましい。
【0062】
なお、光源31も光源23と同様に、ホルダ載置部11が回転動作する際に、ホルダ載置部11とともに回転しない位置に配置される。このため、調心作業を行う際に、光源23の配線等が移動することがなく、信頼性を高めることができる。また、光源23及び光源31は、風防3側に配置することもできるが、いずれも本体9側に配置されることが望ましい。このようにすることで、風防3の開閉動作の際に、配線等が移動することがない。
【0063】
以上、添付図を参照しながら、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の技術的範囲は、前述した実施の形態に左右されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0064】
1………融着機
3………風防
5………V溝
7………電極
9………本体
11………ホルダ載置部
13………クランプ
15………操作部
17………表示部
19………回転駆動部
21………反射部材
23………光源
25………撮像部
27………ホルダ
29………光ファイバ
29a………ガラスファイバ
29b………樹脂被覆
31………光源
33………弾性部材
図1
図2
図3
図4