(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024075887
(43)【公開日】2024-06-05
(54)【発明の名称】画像処理装置およびプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20240529BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20240529BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20240529BHJP
B41J 29/46 20060101ALI20240529BHJP
B41J 29/42 20060101ALI20240529BHJP
【FI】
H04N1/00 C
H04N1/00 567H
G03G15/00 107
G03G21/00 386
B41J29/46 Z
B41J29/42 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022187134
(22)【出願日】2022-11-24
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100110607
【弁理士】
【氏名又は名称】間山 進也
(72)【発明者】
【氏名】石川 剛
【テーマコード(参考)】
2C061
2H076
2H270
5C062
【Fターム(参考)】
2C061AP07
2C061AQ05
2C061AQ06
2C061AR01
2C061AS02
2C061CQ23
2C061CQ41
2C061HK03
2C061HK05
2C061HK07
2C061HN04
2C061HN08
2C061HN15
2C061HN22
2C061HV11
2C061HV33
2H076BA71
2H076BA76
2H076BB04
2H076EA21
2H270LB14
2H270MB03
2H270MB28
2H270MB39
2H270PA05
2H270PA10
2H270QB04
2H270QB07
2H270QB08
2H270ZC03
2H270ZC04
2H270ZC08
5C062AA05
5C062AB02
5C062AB20
5C062AB22
5C062AB23
5C062AB40
5C062AC02
5C062AC04
5C062AC05
5C062AC67
5C062AF10
(57)【要約】
【課題】 画像処理装置を提供すること。
【解決手段】
本画像処理装置10は、原稿サイズを決定する決定手段302と、当該画像処理装置10が出力可能な最小出力サイズを記憶する記憶手段314と、原稿の出力処理を実行する実行手段316と、確認を促す通知を実施する通知手段312とを含む。本画像処理装置10は、さらに、原稿サイズが最小出力サイズを下回る場合において、通知手段312による通知を実施せずに実行手段316が原稿の出力処理を行い、原稿サイズが最小出力サイズを下回らない場合において、通知手段312による通知が実施されることを特徴とする。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像処理装置であって、
原稿サイズを決定する決定手段と、
当該画像処理装置が出力可能な最小出力サイズを記憶する記憶手段と、
原稿の出力処理を実行する実行手段と、
確認を促す通知を実施する通知手段と
を含み、前記原稿サイズが前記最小出力サイズを下回る場合において、前記通知手段による前記通知を実施せずに前記実行手段が原稿の出力処理を行い、前記原稿サイズが前記最小出力サイズを下回らない場合において、前記通知手段による前記通知が実施されることを特徴とする、画像処理装置。
【請求項2】
操作者による指定出力サイズの設定を受ける設定手段
をさらに含み、前記通知手段による前記通知は、前記原稿サイズが前記最小出力サイズを下回らない場合であって、少なくとも前記指定出力サイズおよび前記原稿サイズに基づき出力で確認を要する画像欠けまたは余白が生じると判定される場合に実施され、前記実行手段による前記原稿の出力処理は、前記通知に応答した操作者による介入に基づいて継続される、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記最小出力サイズを下回らない場合でも、少なくとも前記指定出力サイズおよび前記原稿サイズに基づき出力で確認を要する画像欠けまたは余白が生じないと判定される場合、前記通知手段による前記通知は、実施されず、前記実行手段による前記原稿の出力処理は、確認に関連した介入なしで実行される、請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記指定出力サイズが前記原稿サイズと一致しない場合または前記指定出力サイズが指定の変倍率および前記原稿サイズに応じた最適出力サイズと一致しない場合に、確認を要する画像欠けまたは余白が生じると判定される、請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記原稿サイズが前記最小出力サイズを下回る場合において、操作者による指定の変倍率が等倍または縮小を示す場合は、前記実行手段による前記原稿の出力処理が、確認に関連した介入なしで実行され、前記指定の変倍率が拡大を示す場合は、少なくとも前記指定出力サイズおよび前記原稿サイズに基づき出力で確認を要する画像欠けまたは余白が生じるか否かの判定が行われ、前記確認を要する画像欠けまたは余白が生じると判定される場合に、前記通知手段による前記通知が実施される、請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項6】
画像処理装置であって、
原稿サイズを決定する決定手段と、
操作者による指定出力サイズの設定を受ける設定手段と、
原稿の出力処理を実行する実行手段と、
確認を促す通知を実施する通知手段と
を含み、前記指定出力サイズが、指定の変倍率および前記原稿サイズに基づく最適出力サイズと一致する場合に、前記通知手段による前記通知を実施せずに前記実行手段が原稿の出力処理を行い、前記指定出力サイズが前記最適出力サイズと一致しない場合に、前記通知手段による前記通知が実施されることを特徴とする、画像処理装置。
【請求項7】
前記指定出力サイズが前記最適出力サイズと一致しない場合に、前記実行手段による前記原稿の出力処理は、前記通知に応答した操作者の介入に基づいて継続され、前記指定出力サイズが前記最適出力サイズと一致する場合に、前記実行手段による前記原稿の出力処理は、確認に関連した介入なしで実行される、請求項6に記載の画像処理装置。
【請求項8】
原稿の集約機能が指定される場合、集約機能の指定に応じて分割された出力サイズに基づいて前記通知を実施するか否かの判断を行う、請求項1~7のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記通知は、画像欠けまたは余白の確認を促すメッセージおよび事前定義される解消手段の情報を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記画像処理装置は、画像読み取りされた原稿を画像形成する機能、画像読み取りされた原稿をファイル出力する機能、描画された原稿を画像形成する機能、画像読み取りされた原稿を画像通信する機能および描画された原稿を画像通信する機能のうちの少なくとも1つの機能を備える装置である、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項11】
画像処理装置に対し、
原稿サイズを決定する決定手段、
当該画像処理装置が出力可能な最小出力サイズを記憶する記憶手段、
原稿の出力処理を実行する実行手段、および、
確認を促す通知を実施する通知手段
として機能させるためのプログラムであり、
前記原稿サイズが前記最小出力サイズを下回る場合において、前記通知手段による前記通知を実施せずに前記実行手段が原稿の出力処理を行い、前記原稿サイズが前記最小出力サイズを下回らない場合において、前記通知手段による前記通知が実施されることを特徴とする、プログラム。
【請求項12】
画像処理装置に対し、
原稿サイズを決定する決定手段、
操作者による指定出力サイズの設定を受ける設定手段、
原稿の出力処理を実行する実行手段、および、
確認を促す通知を実施する通知手段
として機能させるためのプログラムであり、
前記指定出力サイズが、指定の変倍率および前記原稿サイズに基づく最適出力サイズと一致する場合に、前記通知手段による前記通知を実施せずに前記実行手段が原稿の出力処理を行い、前記指定出力サイズが前記最適出力サイズと一致しない場合に、前記通知手段による前記通知が実施されることを特徴とする、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像処理装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
コピー機能を有する複写機や複合機などの画像処理装置では、ユーザが原稿台にセットした原稿に対して誤った用紙サイズを選択して、コピーを実施した場合、意図しない余白が生じる可能性がある。
【0003】
特開平9-6186号公報(特許文献1)は、ミスコピーを無くし、画像形成媒体の無用な消耗を伴うこと無く常にユーザが所望する画像形成を行うことを可能とすることを目的とした技術を開示する。特許文献1の従来技術では、画像形成に供する原稿をセットし、操作パネルにより画像形成媒体に関する倍率、画像形成枚数からなる画像形成条件を設定すると、原稿サイズセンサは原稿の原稿サイズを検知し検知結果を送出し、判断手段は、原稿サイズセンサが検知する原稿サイズおよび操作パネルからの用紙に関する倍率、画像形成枚数からなる画像形成条件と、記憶手段に記憶した設定済みの画像形成媒体に関するサイズ、倍率、画像形成枚数からなる画像形成条件との一致、不一致を判断し、表示部は、判断手段が、両画像形成条件が一致しないと判断したとき、画像形成条件を確認させるための確認表示を行う構成を開示する。
【0004】
特許文献1は、検知した原稿サイズと、変倍率、用紙設定などの条件から、画像形成条件が一致しないと判断したとき、画像形成条件を確認させるための確認表示を行うことでミスコピーを防止できるとされている。しかしながら、画像形成条件が一致し得ないことが明らかである場合もある。例えば、印刷可能な用紙サイズより小さい原稿サイズを検知可能な複写機の場合、等倍または縮小指定の場合は、必ず用紙サイズの方が大きくなってしまう。それにもかかわらず、上記従来技術では、両画像形成条件が一致しないと判断され、画像形成条件を確認させるための確認表示が行われることとなり、ユーザによって煩雑となる点で充分なものではなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、上記点に鑑みてなされたものであり、本開示は、必要な場合の確認を促すことを可能とする一方で、操作者の上記確認による煩わしさを軽減することが可能な画像処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示では、上記点に鑑み、下記特徴を有する画像処理装置を提供する。本画像処理装置は、原稿サイズを決定する決定手段と、当該画像処理装置が出力可能な最小出力サイズを記憶する記憶手段と、原稿の出力処理を実行する実行手段と、確認を促す通知を実施する通知手段とを含む。本画像処理装置では、原稿サイズが最小出力サイズを下回る場合において、通知手段による通知を実施せずに実行手段が原稿の出力処理を行い、原稿サイズが最小出力サイズを下回らない場合において、通知手段による通知が実施されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
上記構成により、必要な場合の確認を促すことを可能とする一方で、操作者の上記確認による煩わしさを軽減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本実施形態による画像処理装置の一例としての複合機のハードウェア構成図である。
【
図2】
図2は、本実施形態による画像処理装置の一例としての複合機のソフトウェア構成およびハードウェア構成を示す。
【
図3】
図3は、本実施形態による、画像欠けまたは余白が発生する場合のユーザへの確認の要否判断に関連するアプリケーションの内部構成およびその周辺の構成を示すブロック図。
【
図4】
図4は、第1の実施形態による、画像欠けまたは余白が発生する場合のユーザへの確認の要否判断を含むコピージョブ処理を示すフローチャート。
【
図5】
図5は、本実施形態による、画像欠けまたは余白が発生する場合のユーザへの確認の要否判断で使用することができる(A)原稿サイズテーブルおよび(B)用紙サイズテーブルのデータ構造を示す図。
【
図6】
図6は、第2の実施形態による、画像欠けまたは余白が発生する場合のユーザへの確認の要否判断を含むコピージョブ処理を示すフローチャート。
【
図7】
図7は、第3の実施形態による、画像欠けまたは余白が発生する場合のユーザへの確認の要否判断を含むコピージョブ処理を示すフローチャート。
【
図8】
図8は、本実施形態による、画像欠けまたは余白が発生する場合のユーザへの確認を省略する条件を説明する図である。
【
図9】
図9は、第4の実施形態による、画像欠けまたは余白が発生する場合のユーザへの確認の要否判断を含むコピージョブ処理を示すフローチャート。
【
図10】
図10は、本実施形態による複合機において操作パネルに表示される、画像欠けまたは余白が発生する場合のユーザへの確認通知画面を例示する図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本実施形態について図面を参照しながら詳細に説明するが、実施形態は、説明される具体的な実施形態に限定されるものではない。本開示の実施形態は、種々の変更および改変を受け入れる余地がある点に留意されたい。
【0010】
本開示によれば、画像欠けまたは余白が発生する場合のユーザへの必要な確認を促すことを可能とする一方で、出力可能な最小出力サイズより小さな原稿サイズを処理する際の上記確認による操作者の煩わしさを軽減することが可能するための画像処理装置が提供される。画像処理装置は、原稿サイズを決定する決定手段と、当該画像処理装置が出力可能な最小出力サイズを記憶する記憶手段と、原稿の出力処理を実行する実行手段と、確認を促す通知を実施する通知手段とを含む。(A)原稿サイズが最小出力サイズを下回る場合において、通知手段による通知を実施せずに実行手段が原稿の出力処理を行う。(A)原稿サイズが最小出力サイズを下回る場合は、原稿の出力処理は、原稿サイズおよび指定出力サイズに関連した確認等の介入なしで実行される。画像処理装置は、また、(B)原稿サイズが最小出力サイズを下回らない場合において、通知手段による通知の要否を判定する確認要否判定手段を含み、原稿サイズが最小出力サイズを下回らない場合において、通知手段による通知が実施されてもよい。
【0011】
好ましくは、画像処理装置は、操作者による指定出力サイズの設定を受ける設定手段をさらに含む。(B)原稿サイズが最小出力サイズを下回らない場合であって、(B-1)少なくとも指定出力サイズおよび原稿サイズに基づき出力で確認を要する画像欠けまたは余白が生じると判定される場合に、通知手段による通知は、実施され、実行手段による原稿の出力処理は、好ましくは、通知手段による通知に応答した操作者による介入に基づいて継続される。通知手段による通知は、また、(B)最小出力サイズを下回らない場合でも、(B-2)少なくとも指定出力サイズおよび原稿サイズに基づき出力で確認を要する画像欠けまたは余白が生じないと判定される場合には実施されない。この場合、実行手段による原稿の出力処理は、確認に関連した介入なしで実行される。また、確認要否判定手段は、指定出力サイズが原稿サイズと一致しない場合または指定出力サイズが指定の変倍率および原稿サイズに応じた最適出力サイズと一致しない場合に、確認を要する画像欠けまたは余白が生じると判定する。好ましい実施形態においては、(A)原稿サイズが最小出力サイズを下回る場合において、(A‐1)操作者による指定の変倍率が等倍または縮小を示す場合は、実行手段による原稿の出力処理が、確認に関連した介入なしで実行される。一方で、(A-2)指定の変倍率が拡大を示す場合は、少なくとも指定出力サイズおよび原稿サイズに基づき出力で確認を要する画像欠けまたは余白が生じるか否かの判定が行われ、確認を要する画像欠けまたは余白が生じると判定される場合に、通知手段による通知が実施される。
【0012】
本開示によれば、さらに、画像欠けまたは余白が発生する場合のユーザへの必要な確認を促すことを可能とする一方で、意図的に最適な出力サイズとは異なる用紙サイズを選択されたことを判断できる場合に確認等による操作者の煩わしさを軽減することが可能するための画像処理装置が提供される。画像処理装置は、原稿サイズを決定する決定手段と、操作者による指定出力サイズの設定を受ける設定手段と、指定出力サイズが、指定の変倍率および原稿サイズに基づく最適出力サイズと一致するか否かを判定する確認要否判定手段と、原稿の出力処理を実行する実行手段と、確認を促す通知を実施する通知手段とを含む。指定出力サイズが、指定の変倍率および原稿サイズに基づく最適出力サイズと一致する場合に、通知手段による通知を実施せずに実行手段が原稿の出力処理が行われる。指定出力サイズが最適出力サイズと一致する場合は、原稿の出力処理は、原稿サイズおよび指定出力サイズに関連した確認等の介入なしで実行される。画像処理装置は、指定出力サイズが最適出力サイズと一致しない場合に、通知手段による通知を実施する。
【0013】
好ましくは、指定出力サイズが最適出力サイズと一致しない場合に、実行手段による原稿の出力処理は、通知手段による通知に応答した操作者の介入に基づいて継続される。一方で、指定出力サイズが最適出力サイズと一致する場合に、実行手段による原稿の出力処理は、確認に関連した介入なしで実行される。
【0014】
上記において、原稿の集約機能が指定される場合、集約機能の指定に応じて分割された出力サイズに基づいて通知を実施するか否かの判断が行われてもよい。また、通知は、画像欠けまたは余白の確認を促す情報および事前定義される解消手段の情報を含んでもよい。
【0015】
上記において、画像処理装置は、特に限定されるものではないが、画像読み取りされた原稿を画像形成するコピー機能、画像読み取りされた原稿をファイル出力するスキャナ機能、描画された原稿を画像形成するプリンタ機能、画像読み取りされた原稿または描画された原稿を画像通信するファクシミリ機能のうちの少なくとも1つの機能を備える装置であってもよい。また、決定手段は、セットされた原稿のサイズ自動検知機能または操作者の手動による原稿サイズ指定により、原稿サイズを決定してもよい。設定手段は、また、操作者による給紙トレイの指定に応答した指定の給紙トレイに関連付けられた用紙サイズを操作者による指定出力サイズとして受け付けてもよい。
【0016】
本開示によれば、さらに、上記画像処理装置を実現するためのプログラムが提供される。
【0017】
以下、図面を参照しながら、本実施形態について、複合機を一例としてより詳細に説明する。しかしながら、本実施形態による画像処理装置は、複合機に限定されるものではない。
【0018】
図1は、本実施形態による画像処理装置の一例としての複合機のハードウェア構成図である。
図1に示されているように、複合機(MFP,Multifunction Peripheral/Product/Printer)10は、コントローラ110、近距離通信回路120、エンジン制御部130、操作パネル140、ネットワークI/F150を備えている。
【0019】
これらのうち、コントローラ110は、コンピュータの主要部であるCPU101、システムメモリ(MEM-P)102、ノースブリッジ(NB)103、サウスブリッジ(SB)104、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)106、記憶部であるローカルメモリ(MEM-C)107、HDDコントローラ108、および、記憶部であるHD109を有し、NB103とASIC106との間をAGP(Accelerated Graphics Port)バス121で接続した構成となっている。
【0020】
これらのうち、CPU101は、複合機10の全体制御を行う制御部である。NB103は、CPU101と、MEM-P102、SB104、およびAGPバス121とを接続するためのブリッジであり、MEM-P102に対する読み書きなどを制御するメモリコントローラと、PCI(Peripheral Component Interconnect)マスタおよびAGPターゲットとを有する。
【0021】
MEM-P102は、コントローラ110の各機能を実現させるプログラムやデータの格納用メモリであるROM102a、プログラムやデータの展開、およびメモリ印刷時の描画用メモリなどとして用いるRAM102bとからなる。なお、RAM102bに記憶されているプログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでCD-ROM、CD-R、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0022】
SB104は、NB103とPCIデバイス、周辺デバイスとを接続するためのブリッジである。ASIC106は、画像処理用のハードウェア要素を有する画像処理用途向けのIC(Integrated Circuit)であり、AGPバス121、PCIバス122、HDD109およびMEM-C107をそれぞれ接続するブリッジの役割を有する。このASIC106は、PCIターゲットおよびAGPマスタ、ASIC106の中核をなすアービタ(ARB)、MEM-C107を制御するメモリコントローラ、ハードウェアロジックなどにより画像データの回転などを行う複数のDMAC(Direct Memory Access Controller)、並びに、スキャナ部131およびプリンタ部132との間でPCIバス122を介したデータ転送を行うPCIユニットとからなる。なお、ASIC106には、USB(Universal Serial Bus)のインタフェースや、IEEE1394(Institute of Electrical and Electronics Engineers 1394)のインタフェースを接続するようにしてもよい。
【0023】
MEM-C107は、コピー用画像バッファおよび符号バッファとして用いるローカルメモリである。HD109は、画像データの蓄積、印刷時に用いるフォントデータの蓄積、フォームの蓄積を行うためのストレージである。HD109は、CPU101の制御にしたがってHD109に対するデータの読出または書込を制御する。AGPバス121は、グラフィック処理を高速化するために提案されたグラフィックスアクセラレータカード用のバスインタフェースであり、MEM-P102に高スループットで直接アクセスすることにより、グラフィックスアクセラレータカードを高速にすることができる。
【0024】
また、近距離通信回路120には、近距離通信回路120aが備わっている。近距離通信回路120は、NFC、Bluetooth(登録商標)等の通信回路である。
【0025】
更に、エンジン制御部130は、スキャナ部131およびプリンタ部132によって構成されている。また、操作パネル140は、現在の設定値や選択画面等を表示させ、ユーザからの入力を受け付けるタッチパネル等のパネル表示部140a、並びに、濃度の設定条件などの画像形成に関する条件の設定値を受け付けるテンキーおよびコピー開始指示を受け付けるスタートキー等からなるパネル140bを備えている。コントローラ110は、複合機10全体の制御を行い、例えば、描画、通信、操作パネル140からの入力等を制御する。スキャナ部131またはプリンタ部132には、誤差拡散やガンマ変換などの画像処理部分が含まれている。
【0026】
なお、複合機10は、操作パネル140のアプリケーション切り替えキーにより、ドキュメントボックス機能、コピー機能、プリンタ機能、およびファクシミリ機能を順次に切り替えて選択することが可能となる。ドキュメントボックス機能の選択時にはドキュメントボックスモードとなり、コピー機能の選択時にはコピーモードとなり、プリンタ機能の選択時にはプリンタモードとなり、ファクシミリモードの選択時にはファクシミリモードとなる。
【0027】
また、ネットワークI/F150は、通信ネットワークを利用してデータ通信をするためのインタフェースである。近距離通信回路120およびネットワークI/F150は、PCIバス122を介して、ASIC106に電気的に接続されている。
【0028】
なお、
図1に示したハードウェア構成は一例であり、
図1に示したものの一部が省略されてもよいし、
図1に示したもの以外の他のコンポーネントが含まれる場合もある。例えば、上記ネットワークI/F150は、有線LAN(ローカル・エリア・ネットワーク)用のネットワーク・インタフェース・カードであってもよいし、無線LAN用のネットワーク・アダプタであってもよいし、Bluetooth(登録商標)やNFC(Near Field Communication)タグなどを用いての機器と通信する形態であってもよい。
【0029】
スキャナ部131は、例えば、原稿ガラスおよび自動ドキュメントフィード装置を備え、原稿サイズを検知するセンサを有していてもよい。プリンタ部132の構成も、特に限定されるものではなく、電子写真方式、インクジェット方式など否かる方式のプリンタであってもよい。
【0030】
また、説明を省略したが、また、複合機10は、1または複数の給紙トレイを備る。給紙トレイには、印刷に用いる転写媒体(用紙)がセットされる。給紙トレイは、好ましくは、複数あり、それぞれ異なるサイズの用紙がセットできるように構成される。その他、複合機10には、例えば、印刷物を1部に纏めるためのステープル処理またはパンチ穴をあけるパンチ穴開け処理を実行する後処理機構を備えてもよい。
【0031】
図2は、本実施形態による画像処理装置の一例としての複合機10のソフトウェアおよびハードウェアの構成20を示す。
図2に示した複合機10は、種々のハードウェア・リソースを含むハードウェア部202と、種々のソフトウェア・コンポーネントを含むソフトウェア部200と、複合機起動部204とを含み構成される。
【0032】
ハードウェア部202は、エンジン部206と、その他のハードウェア・リソース208とを含み構成される。ソフトウェア部200は、複合機としての機能を提供するための各種アプリケーション270~280からなるアプリケーション層220と、プラットフォーム層230と、アプリケーション層220およびプラットフォーム層230を仲介する仮想アプリケーション・サービス(VAS)222とを含み構成される。VAS222は、プラットフォーム層230をアプリケーション層220から隠蔽するラッピング機能を備え、プラットフォーム層230のバージョンアップによる差分を吸収している。
【0033】
アプリケーション層220は、プリンタ、コピー、ファックスやスキャナなどの画像形成に関連するユーザ・サービスに固有の処理を行い、
図2に示した実施形態では、プリンタ機能を提供するプリンタ・アプリケーション(
図2では単にアプリと参照される)270と、コピー機能を提供するコピー・アプリケーション272と、ファクシミリ機能を提供するファックス・アプリケーション274と、スキャナ機能を提供するスキャナ・アプリケーション276と、ネットワーク・ファイル機能を提供するネットワークファイル・アプリケーション278と、複合機ブラウザ280とを含み構成される。
【0034】
プラットフォーム層230は、図示しないオペレーティング・システム(OS)とともにアプリケーション270~280からの処理要求を解釈して、ハードウェア資源の獲得要求を発生するコントロール・サービス層232と、1つまたは複数のハードウェア・リソースの管理を行い、コントロール・サービス層232からの獲得要求を調停し実行制御するシステム資源管理部(SRM)240と、SRM240からの獲得要求に応じて、ハードウェア・リソースの管理を行うハンドラ層234とを含み構成される。OSとしては、例えば、UNIX(登録商標)を採用することができるが、WINDOWS(登録商標)やその他いかなるOSを採用することができる。
【0035】
各種コントロール・サービスとしては、
図2に示した実施形態では、ネットワーク制御サービス(NCS)242と、デリバリー制御サービス(DCS)244と、オペレーションパネル制御サービス(OCS)246と、ファクシミリ制御サービス(FCS)248と、エンジン制御サービス(ECS)250と、メモリ制御サービス(MCS)252と、認証制御サービス(CCS)256と、ユーザ情報制御サービス(UCS)254と、システム制御サービス(SCS)258とを含んで構成されている。
【0036】
SCS258は、各種アプリケーションの管理、システム画面表示やLED表示などのユーザ・インタフェースの制御、ハードウェア資源の管理、割込みアプリケーションの制御などを行う。UCS254は、ユーザ情報を管理する。CCS256は、認証処理および課金処理に関する制御を行う。MCS252は、画像メモリの取得および解放、画像データの圧縮・伸張等のメモリ制御などを行う。
【0037】
ECS250は、エンジン部206やHDD109などのハードウェア・リソースを制御し、画像読取りや画像形成動作などを実行し、各アプリケーションから受信したジョブを、一枚単位の原稿、転写紙レベルにプロセスを分割して、該プロセスを管理し、画像読取や画像形成動作を制御する。FCS248は、GSTNインタフェースと接続し、GSTN網を使用したファクシミリ送受信、バックアップメモリで管理されている各種ファクシミリ・データの登録/引用、ファクシミリ読み取りなどを制御する。
【0038】
OCS246は、ユーザと本体制御との間のインタフェースとなる操作パネル140の制御を行う。DCS244は、HDD109などに蓄積された蓄積文書の配信を制御を行う。NCS242は、ネットワークI/F150を制御して、複合機10をイーサネット(登録商標)と接続させ、ネットワークI/Oを必要とするアプリケーションに対して共通に利用可能なサービスを提供し、ネットワーク側から各プロトコルによって受信したデータを各アプリケーションに振り分け、各アプリケーションからのデータをネットワーク側に送信する際の仲介を行う。
【0039】
また、プラットフォーム層230とアプリケーション層220との間には、アプリケーション・プログラム・インタフェース(API)236を有し、プラットフォーム層230は、API236に含まれる予め定義された関数により、各種アプリケーション270~280からの処理要求を受信している。
【0040】
SRM240は、SCS258とともにシステム制御およびハードウェア・リソースの管理を行い、獲得要求されたハードウェア・リソースが利用可能か否かを判定し、利用可能であれば獲得要求されたハードウェア・リソースが利用可能である旨を、上位層に通知する。また、SRM240は、上位層からの獲得要求に対して、ハードウェア・リソースを利用するためのスケジューリングを行い、例えばエンジン部206のプリンタ部132による紙搬送や画像形成動作やメモリ確保やファイル生成などを直接実施している。
【0041】
ハンドラ層234は、ファクシミリ・コントロール・ユニット・ハンドラ(FCUH)260と、プロセスに対するメモリ割当て、プロセスに割当てたメモリの管理を行うイメージメモリハンドラ(IMH)262とを含み構成される。SRM240、FCUH260、およびIMH262は、エンジン・インタフェース(I/F)238に含まれる予め定義されている関数を使用して、ハードウェア部202のハードウェア・リソースに対する処理要求を送信する。
【0042】
複合機10は、上述のソフトウェア群により、エンジン部206、HDD109、NV-RAMなどのハードウェア・リソースを制御し、ユーザ・インタフェースを介したユーザ指令や外部コンピュータからの入力に応答して、コピーやファクシミリやモノクロコピーやフルカラーコピーなど、複合機としての機能をユーザに提供している。
【0043】
複合機起動部204は、複合機10の電源投入時に最初に実行され、上述までのプラットフォーム層230およびアプリケーション層220のソフトウェア群(プロセス)に対応する制御プログラムを図示しないROM102aやHDD109やSDカード**などから読出して、CPU101の作業メモリ領域を提供するシステムメモリ102上に展開して、プロセスを起動する。これにより、上記したソフトウェア手段および後述の各機能手段が実現される。
【0044】
なお、上述のアプリケーションおよびコントロール・サービス、ハードウェアは、種々の組み合わせにより構成することができ、例えば、特定の用途、機種に対応して追加・削除することができる。また、
図2に示した実施形態では、複合機としての各アプリケーションや制御サービスにおける共通部分を抽出して、プラットフォーム化した構成として参照したが、複合機10のハードウェア構成およびソフトウェアの構成は、特に限定されるものではない。
【0045】
上述したように、コピー機能においては、ユーザ(操作者)が、複合機10にセットした原稿および設定した変倍率に対して、誤った用紙サイズを選択してコピーを実行した場合の意図しない余白や画像欠けを防止するために、ユーザに確認(警告ともいう)を促す表示(通知)を行うことが望ましい。しかしながら、余白や画像欠けがあると判定された場合に一律に確認表示を行ってしまうと、ユーザにとって煩雑となる場合がある。例えば、印刷可能な最小用紙サイズより小さい原稿サイズが検知可能な装置の場合、等倍または縮小指定の場合は、必ず用紙サイズの方が大きくなってしまう。しかしながら、かかる場合に余白があると判断して一律に確認表示を行うと、ユーザにとって煩雑である。例えば、名刺、運転免許証、健康保険証の原稿をコピーする場合、余白をなくすために拡大してコピーするユーザは少数と考えられる。あるいは、ユーザは、意図的に余白を作ってコピーを実施する場合もある。そのような場合に一律に確認画面が表示されてしまうと、ユーザにとって煩雑となる。
【0046】
そこで、本開示の実施形態による画像処理装置は、印刷可能な最小用紙サイズより小さな原稿サイズを等倍または縮小で出力する際に必ず発生してしまう余白に関して、余白の発生にかかわらず、ユーザに確認を促す通知を省略することによって、ユーザの煩わしさの軽減を図る。また、本開示の実施形態による画像処理装置は、原稿サイズの原稿の画像に対して、設定された変倍率を適用して拡大縮小してユーザが選択した用紙サイズで印刷する際に余白が発生していた場合でも、機能により自動で判定される最適な用紙サイズと同じ用紙サイズがユーザによって指定されている場合は、意図して付与した余白と判断し、ユーザに確認を促す通知を省略することによって、ユーザの煩わしさの軽減を図る。
【0047】
以下、
図3~
図10を参照しながら、かかるユーザの煩雑さを軽減しながら、必要な場合にユーザに確認を促す通知を実施することが可能なコピー処理を実行する画像処理装置について、より詳細に説明する。なお、以下の説明では、本開示の実施形態について、コピー機能に適用した場合を一例に、コピー処理の文脈で説明するが、本開示の実施形態が適用可能な機能は、コピー機能に限定されるものではなく、画像に関連する種々の機能に対しても適用可能である。
【0048】
図3は、本実施形態による、画像欠けまたは余白が発生する場合のユーザへの確認の要否判断に関連するアプリケーションの内部構成およびその周辺の構成を示すブロック図である。
図3には、アプリケーション300に加えて、操作パネル140、スキャナ部131およびプリンタ部132が示され、さらに、アプリケーション300の内部構成が示されている。
【0049】
アプリケーション300は、より具体的には、
図2に示したコピー・アプリケーション(CA)272である。
図3には、アプリケーション300の内部構成が示されている。
図3には、本実施形態による画像欠けまたは余白が発生する場合のユーザへの確認の要否判断に関連する機能に要するコンポーネントのみが示されており、いくつかのコンポーネント(例えば一般的なUI制御部)などの詳細は、省略されている点に留意されたい。
【0050】
図3に示すように、アプリケーション300は、その内部構成として、原稿サイズ決定部302と、指定用紙サイズ設定部304と、変倍率設定部306と、出力設定部308と、確認要否判定部310と、確認通知部312と、サイズ情報記憶部314と、ジョブ制御部316とを含み構成される。
【0051】
変倍率設定部306は、読み取った原稿画像に対し拡大/縮小するための変倍率の設定を操作パネル140を介してユーザから受けることによって、コピー条件としての変倍率を決定する。
【0052】
原稿サイズ決定部302は、読み取りを行う原稿のサイズを決定する。原稿サイズを決定する方法は、これらに限定されないが、主に、次の2つ通りの方法が例示される。第1の方法は、操作パネル140を介したユーザ入力によるものであり、ユーザ入力に応じて、定型/不定形の原稿サイズを確定する方法である。第2の方法は、
図1のスキャナ部131に搭載された原稿サイズ検知センサにより検知された検知結果に基づいて原稿のサイズを確定する方法である。原稿サイズ検知センサを用いる場合も、定型/不定形のいずれも検知が可能である。原稿サイズ決定部302は、本実施形態における決定手段を構成する。
【0053】
指定用紙サイズ設定部304は、給紙トレイに設定された用紙サイズの中から操作パネル140を介したユーザによる設定を受けたことに基づいて、コピーに用いる用紙サイズを決定する。選択する用紙サイズは、給紙トレイによる固定値される場合もあるが、機器の初期設定やアプリケーション画面から直接設定されてもよく、変更可能であってもよい。指定用紙サイズ設定部304は、本実施形態における設定手段を構成する。
【0054】
確認要否判定部310は、画像欠けまたは余白が発生する場合のユーザへの確認の要否判断を行う。確認要否判定部310は、より具体的には、実行されるコピーにおいて、確認を要する画像欠けや余白が発生するか否かを判定し、確認を要する画像欠けや余白が発生すると判定された場合は、確認通知部312にその旨を指示する。なお、詳細を後述するように、画像欠けや余白が発生する場合でも、不可避な余白であったり、ユーザが意図的に設けられた画像欠けや余白であったりする場合がある。本実施形態では、これのような確認を要さない条件を判定し、確認表示またはその判定自体を抑制ないし省略し、これにより、ユーザの煩雑さを軽減する。確認要否判定部310は、画像かけまたは余白があるか否かを判断するために必要なデータのテーブルおよび計算式を記憶してもよい。確認要否判定部310は、本実施形態における確認要否判定手段を構成する。確認要否判定部310による確認要否判断のロジックは、
図4~
図10を参照しながら、複数の実施形態について、より詳細に説明する。
【0055】
確認通知部312は、確認要否判定部310の判定の結果、確認を要する画像欠けや余白が発生すると判定された場合、確認要否判定部310からの指示に応答して、操作パネル140のディスプレイ画面上に確認画面を表示する。なお、説明する実施形態では、ディスプレイ画面上での表示として確認を通知するものとして説明するが、確認の通知は、ディスプレイ上での表示に限定されるものではなく、例えば、音声などによるメッセージとしてもよい。確認通知部312は、本実施形態における通知手段を構成する。
【0056】
サイズ情報記憶部314は、当該複合機10が印刷可能な最小用紙サイズの値を記憶する。ここで、印刷可能な最小用紙サイズは、特に限定されるものではないが、複合機10のハードウェア上の制約からの可能な最小用紙サイズをいう。サイズ情報記憶部314は、また、原稿サイズや最適な用紙サイズを判定するためのテーブルを記憶してもよい。
【0057】
出力設定部308は、その他の設定を受け付ける。出力設定部308は、例えば、コピーを実行するにあたっての後処理、印字および集約などのその他の設定を可能とする。
【0058】
ジョブ制御部316は、スキャナ部131およびプリンタ部132と連携して、コピー処理の実行を制御する。ジョブ制御部316は、画像欠けまたは余白が発生する旨のユーザへの確認の通知を実施した場合、この確認の通知に応答したユーザ介入(コピー続行のの指示など)を受けるまで、当該コピー処理の実行を保留することができる。ジョブ制御部316は、また、画像欠けまたは余白が発生する旨のユーザへの確認を省略ないし抑制する場合は、ユーザ介入なしにコピー処理の実行を継続することができる。ジョブ制御部316は、本実施形態における実行手段を構成する。また、コピー処理における原稿の印刷処理(画像形成処理)は、本実施形態における原稿の出力処理を構成する。
【0059】
以下、
図4を参照しながら、第1の実施形態による画像欠けまたは余白が発生する場合のユーザへの確認の要否判断について、より詳細に説明する。
図4は、第1の実施形態による画像欠けまたは余白が発生する場合のユーザへの確認の要否判断を含むコピージョブ処理を示すフローチャートである。第1の実施形態は、上述した印刷可能な最小用紙サイズよりも小さな原稿をコピーする際の確認を省略し、ユーザの煩雑さを軽減することを狙ったものである。
図4に示す処理は、例えば、複合機10のCPU101などのプロセッサが実行する。
【0060】
図4に示す処理は、ユーザからのコピージョブ開始の指示を受け付けて、ステップS100から開始する。なお、コピージョブに際しては、ユーザにより、指定出力サイズの指定が受け付けられるものとする。
【0061】
ステップS101では、プロセッサは、原稿サイズを決定する。原稿サイズの決定には、上述したように、
図3の原稿サイズ決定部302が用いられる。原稿サイズは、操作パネル140を介したユーザ入力または原稿サイズ検知センサにより検知された検知結果に基づいて決定される。
【0062】
図5(A)は、本実施形態による、画像欠けまたは余白が発生する場合のユーザへの確認の要否判断で使用する、原稿サイズテーブルのデータ構造を示す。原稿サイズテーブルは、当該複合機10で扱うことのできる定型原稿サイズを表で管理するものである。原稿サイズテーブルは、原稿サイズ、原稿向き(SEF(short edge feed)またはタテ,LEF(long edge feed)またはヨコ)、幅(mm)および長さ(mm)の列を含む。複合機が扱うことのできる定型原稿サイズごとにテーブルの行が設けられる。原稿サイズの列には複合機で扱うことが可能な定型サイズの名前が保持される。原稿向きの列には、原稿サイズの用紙がタテ方向かヨコ方向かを表すパラメータが保持される。A4サイズであっても、縦長原稿として扱う場合と、横長原稿として扱う場合があるためである。幅および長さの列には、原稿サイズの用紙のサイズが、例えばmm単位で保持される。上述したステップS101では、定型原稿サイズの場合、
図5(A)で示した原稿サイズテーブルの中から決定される。
【0063】
再び
図4を参照すると、ステップS102では、プロセッサは、決定された原稿サイズが、事前記憶された最小用紙サイズを下回るか否かを判定する。この判定は、上述したように、
図3の確認要否判定部310により行われる。
【0064】
図5(B)は、本実施形態による、画像欠けまたは余白が発生する場合のユーザへの確認の要否判断で使用する用紙サイズテーブルのデータ構造を示す。用紙サイズテーブルは、当該複合機10で扱うことのできる定型用紙サイズを表で管理するものである。用紙サイズテーブルは、
図5(A)に示す原稿サイズテーブルと同様に、用紙サイズ、用紙向き、幅(mm)、長さ(mm)の列を含む。用紙サイズテーブルは、用紙サイズ(幅を主キーとし長さを副キーとするなど)の降順に値を保持しており、
図5(B)に示す用紙サイズテーブルの最下位の行の用紙サイズが、上記印刷可能な最小用紙サイズとなる。
図5に示すように、複合機10で扱うことのできる原稿サイズおよび用紙サイズが一致しない場合がある。なお、用紙サイズテーブルは、サイズ情報記憶部314に格納され、サイズ情報記憶部314は、本実施形態における記憶手段を構成する。
【0065】
再び
図4を参照すると、ステップS102では、
図5(B)に示すテーブルにある最小用紙サイズを参照し、原稿サイズの幅および長さの両方が最小用紙サイズの幅および長さを上回っているかを判断する。両方が上回っていない場合、原稿サイズが最小用紙サイズを下回ると判断する。ステップS102で、原稿サイズが最小用紙サイズを下回ると判断された場合(YES)は、ステップS106へ直接処理が進められる。
【0066】
この場合は、さらなる判定(余白があるか否かの判定)は実施されず、ステップS106に進められる。ステップS106では、プロセッサは、ジョブ制御部316により、ジョブを継続し、コピーが完了すれば、ステップS107で、本処理が終了する。原稿サイズが最小印刷用紙サイズを下回る場合においては、原稿の印刷は、原稿サイズに関連した確認などのユーザ介入なしにそのまま継続して実行される。
【0067】
一方、ステップS102で、原稿サイズが最小用紙サイズを下回らないと判断された場合(NO)は、ステップS103へ処理が進められる。ステップS103では、ユーザへの確認の要否のさらなる判断のため、画像欠け/余白判定処理を実行する。ここでの画像かけ/余白判断は、
図3に示す原稿サイズ決定部302で決定された原稿サイズおよび指定用紙サイズ設定部304で決定された指定用紙サイズに基づき行うことができる。一実施形態では、決定された指定用紙サイズが原稿サイズと一致しない(異なる)場合に、確認するべき画像欠けまたは余白が発生するとして判定することができる。ステップS103の判定も、上述したように、
図3の確認要否判定部310により行われる。
【0068】
ステップS102で原稿サイズが最小用紙サイズを下回らない場合(NO)であって、ステップ103で、さらに確認するべき画像かけまたは余白が発生すると判定された場合(YES)は、ステップ104へ処理が進められる。ステップS104では、プロセッサは、操作パネル140により、確認表示を行う。確認表示は、確認通知部312により行われる。
【0069】
ステップS105では、確認表示の結果、ユーザから、ジョブの継続が指示されたか、あるいは、中止を指示されたに応じて処理を分岐させる。ステップS105で、ジョブの継続が指示された場合(継続)は、ステップS106へ処理が進められる。この場合、原稿のコピージョブ処理は、上記確認表示に応答したユーザによるジョブの継続の指示という介入に基づいて継続される。一方、ステップS105で、ジョブの中止を指示される場合(中止)は、ステップS107へ処理が進められて、ジョブを実行せずに処理を終了する。なお、説明する実施形態では、便宜上、ジョブの継続を了承しない場合は、中止するものとして説明したが、コピーの設定の変更を提案したり、コピー設定の再設定を行うための画面に戻したりしてもよい。
【0070】
このように、最小用紙サイズを下回る場合は、画像欠けまたは余白が生じないかの判断が行われず、確認表示も実施されない。これにより、不可避な余白が生じる場合のユーザの煩雑さを軽減することができる。また、第1の実施形態では、最小用紙サイズを下回らない場合であって、少なくとも指定用紙サイズおよび原稿サイズに基づき出力で確認を要する画像欠けまたは余白が生じすると判定される場合には、必要な確認表示は実施され、コピージョブは、確認に関連した介入に応答して実行される。なお、最小用紙サイズを下回らない場合であって、少なくとも指定用紙サイズおよび原稿サイズに基づき出力で確認を要する画像欠けまたは余白が生じないと判定される場合には、確認表示は実施されず、コピージョブは、確認に関連した介入なしで実行される。
【0071】
なお、上記第1の実施形態では、変倍率の指定にかかわらず、原稿サイズが最小用紙サイズを下回る場合に確認表示を省略した。以下、変倍率の指定に応じてさらに要否判断を行うロジックを実装する第2の実施形態について、
図6を参照しながら、説明する。
【0072】
図6は、第2の実施形態による画像欠けまたは余白が発生する場合のユーザへの確認の要否判断を含むコピージョブ処理を示すフローチャートである。第2の実施形態も、上述した印刷可能な最小用紙サイズよりも小さな原稿をコピーする際に不要な確認を省略し、ユーザの煩雑さを軽減することを狙ったものである。一方で、第1の実施形態との相違は、原稿サイズが最小用紙サイズを下回る場合でも、指定された変倍率に応じて確認表示を省略するか否かを判断するものである。
【0073】
図6に示す処理は、
図4に示した第1の実施形態と同様に、ユーザからのコピージョブ開始の指示を受け付けて、ステップS200から開始される。なお、コピージョブに際しては、ユーザにより、変倍率および指定出力サイズの指定が受け付けられるものとする。ステップS201では、プロセッサは、原稿サイズを決定する。ステップS202では、プロセッサは、原稿サイズが、最小用紙サイズを下回るか否かを判定する。ここでは、第1の実施形態と同様に、
図5(B)に示すテーブルにある最小用紙サイズから、原稿サイズの幅および長さの両方が最小用紙サイズの幅および長さを上回っていない場合、原稿サイズが最小用紙サイズを下回ると判断される。
【0074】
ステップS202で原稿サイズが最小用紙サイズを下回ると判断した場合(YES)は、ステップS203へ処理が進められる。ステップS203では、プロセッサは、さらに、変倍率が、拡大を示すか、あるいは、縮小または等倍を示すかを判定し、この判定結果に基づいて処理を分岐させる。変倍率が、縮小または等倍を示す場合は、第1の実施形態と同様に、さらなる判定(余白があるか否かの判定)は実施せずに、ステップS207では、ジョブを継続し、コピーが完了すれば、ステップS208で、本処理が終了する。つまり、原稿サイズが最小用紙サイズを下回る場合、ユーザによる指定の変倍率が等倍または縮小を示す場合は、原稿のコピージョブは、確認に関連した介入なしで実行される。
【0075】
一方、ステップS203では、変倍率が拡大を示す場合は、ステップS204へ処理が分岐される。また、ステップS202で、最小用紙サイズより小さくはないと判断した場合(NO)も、ステップS204へ処理が進められる。ステップS204では、プロセッサは、ユーザへの確認の要否のさらなる判断のため、画像欠け/余白判定処理を実行する。以降のステップS205~ステップS208の処理は、
図4に示したステップS104~S107と同様であるため、説明は割愛する。
【0076】
このように、変倍率設定部306により決定した変倍率が100%以下(等倍または縮小を示す場合)である場合は、必ず余白ができるので、確認表示を省略する。一方、変倍率が100%を越える場合(拡大を示す場合)は、少なくとも指定用紙サイズおよび原稿サイズに基づきコピーで確認を要する画像欠けまたは余白が生じるか否かの判定が行われる。拡大の場合は、画像かけが発生する可能性があるためである。
【0077】
上記第1の実施形態および第2の実施形態では、原稿サイズが最小サイズを下回らない場合にさらに行われる画像かけ/余白判断は、
図3に示す原稿サイズ決定部302で決定された原稿サイズと、指定用紙サイズ設定部304で決定された指定用紙サイズが異なるか否かに基づいて行っていた。一方で、上述したように、原稿サイズと指定用紙サイズが異なる場合でも、ユーザが意図的に異なる用紙を選択している可能性がある。以下、かかるユーザが意図的に設けた余白などについても、確認表示を省略することができる、第3の実施形態について、
図7を参照しながら説明する。
【0078】
図7は、第3の実施形態による画像欠けまたは余白が発生する場合のユーザへの確認の要否判断を含むコピージョブ処理を示すフローチャートである。第3の実施形態は、原稿サイズが最小サイズを下回る場合の確認表示の省略に加えて、さらにユーザが意図的に余白などを設けたことを判断して不要な確認表示を省略し、ユーザの煩雑さを軽減することを狙った実施形態である。
【0079】
図7に示す処理は、
図4および
図6に示した第1および第2の実施形態と同様に、ユーザからのコピージョブ開始の指示を受け付けて、ステップS300から開始される。ステップS301では、プロセッサは、原稿サイズを決定する。定型原稿サイズの場合、
図5(A)に示した原稿サイズテーブルの中から決定される。ステップS302では、プロセッサは、変倍率および指定用紙サイズを決定する。変倍率は、変倍率設定部306により決定される。指定用紙サイズは、指定用紙サイズ設定部304により決定される。ステップS303では、プロセッサは、原稿サイズが、最小用紙サイズを下回るか否かを判定する。
【0080】
ステップS303で、原稿サイズが最小用紙サイズを下回ると判断した場合(YES)は、ステップS309へ処理が進められる。ここでは、さらなる判定(余白があるか否かの判定)を実施せずに、ステップS309では、ジョブを継続し、コピーが完了すれば、ステップS310で、本処理が終了する。なお、ここで、第2の実施形態と同様に、変倍率が拡大を示すか、または、縮小または等倍を示すかに応じて処理を分岐させてもよい。
【0081】
ステップS303で、原稿サイズが最小用紙サイズを下回らないと判断した場合(NO)は、ステップS304へ処理が進められる。ステップS304では、プロセッサは、変倍率および原稿サイズに基づいて、変倍率が適用された原稿画像サイズを決定する。ここでは、原稿サイズテーブルに記載の定型原稿サイズの幅、長さ、または不定形原稿サイズの幅、長さに対し、
図3の変倍率設定部306により決定された倍率をかけ、原稿画像サイズが決定される。
【0082】
ステップS305では、さらに、プロセッサは、画像原稿サイズに基づいて、最適な用紙サイズを決定する。最適用紙サイズの決定には、
図5(B)に示した用紙サイズテーブルを用いることができる。最適用紙サイズの決定は、より具体的には、用紙サイズテーブルの最も下部にある用紙サイズから順に参照し、決定された原稿画像サイズの幅と長さの両方が、参照する用紙サイズの幅と長さ以下となるものを検索し、発見された最も下にある用紙サイズを最適な用紙サイズとして決定する。なお、説明する実施形態では、
図5(B)に示す用紙サイズテーブルを用いて上述した方法で最適な用紙サイズを決定するものとして説明した。しかしながら、最適な用紙サイズを決定する方法は、種々あり、これまで知られた既知のアルゴリズムを使用することができる。
【0083】
ステップS306では、プロセッサは、ユーザへの確認の要否のさらなる判断のため、指定用紙サイズが最適用紙サイズと異なるか否かを判定する。ステップS306の判定も、
図3の確認要否判定部310により行われる。ステップS306で、指定用紙サイズが最適用紙サイズと異なると判定された場合(YES)は、ステップS307へ処理を分岐させる。この場合、確認を要する画像欠けまたは余白が生じると判定されることになる。このように、画像欠けまたは最適用紙サイズ選択ではない大きすぎる余白が発生すると判断された場合、ステップS307で、確認通知が行われる。一方、ステップS306で、指定用紙サイズが最適用紙サイズと異ならない(一致する)と判定された場合(NO)は、ステップS309へ処理が進められる。画像欠け、または、最適用紙サイズ選択ではない大きすぎる余白が発生しないと判断された場合は、確認表示は行われずにジョブの継続が行われる。
【0084】
以降のステップS307~ステップS310の処理は、
図4に示したステップS104~S107と同様であるため、説明は割愛する。
【0085】
このように、ユーザが指定した指定用紙サイズが、変倍率設定部306により決定した変倍率を適用した結果に基づいて計算される最適な出力サイズと一致する場合に、ユーザが意図的に余白または画像欠けを設けたものと判断して、確認表示を省略する。これにより、ユーザの煩雑さを軽減する。
【0086】
図8は、本実施形態による、画像欠けまたは余白が発生する場合のユーザへの確認を省略する条件を説明する図である。
図8には、行で指定される原稿サイズを列で指定される用紙サイズに出力する場合の倍率が示されている。
【0087】
変倍率が縮小を示す場合、最適な定型用紙サイズの次に小さな定型用紙サイズまで縮小する場合に、原稿画像の縦または横がちょうど収まる変倍率を超えている間は、ユーザの意思で余白を付与していると判断して確認表示を行わなくてもよい。例えば
図8に示す(ア)を例とすると、原稿サイズがA3で変倍率が99%の場合、最適な定型用紙サイズとしてはA3が最も余白が少ない用紙となり、次に小さい定型サイズはB4となる。そのためA3が指定用紙サイズとして選択されている限り100%~87%まではユーザの意思で付与された余白と判断し、確認表示を行わない。
【0088】
変倍率が拡大を示す場合、変倍率が最適な定型用紙サイズの次に小さい定型用紙サイズまで拡大する場合に、原稿画像の縦または横がちょうど収まる変倍率を超えている間は、ユーザの意思での拡大と判断して余白があっても確認表示を行わない。例えば、
図8に示す(イ)を例とすると、原稿サイズがA4で変倍率105%の場合、最適な定型用紙サイズとしてはB4が最も余白が少ない用紙となり、次に小さい定型用紙サイズは、A4となる。そのためB4が用紙として選択されている限り、122%~101%まではユーザの意思での拡大による余白と判断し確認表示を行わない。
【0089】
なお、上記は、定型原稿サイズについて説明したが、定型原稿サイズに限らず、不定形原稿サイズでも同様の考えで適応可能である。また、上記説明では、原稿サイズの幅および長さと、用紙サイズテーブルの幅および長さの比較による結果として所定の変倍率の範囲では、確認表示がなされない旨説明した。しかしながら、用紙サイズの幅および長さに比較ではなく、変倍率に着目した判断を行ってもよい。
【0090】
上記第1~第3の実施形態では、原稿サイズが最小用紙サイズを下回るか否かを判定し、原稿サイズが最小用紙サイズを下回る場合は、確認表示を省略するものであった。一方、かかる判断を行わず、ユーザが指定した指定用紙サイズが、変倍率設定部306により決定した変倍率を適用した結果に基づいて計算される最適な用紙サイズと一致する場合に、ユーザが意図的に余白または画像欠けを設けたものと判断して、確認表示を省略するのみであってもよい。以下、かかるユーザが意図的に設けた余白などについてのみ、確認表示を省略する第4の実施形態について、
図9を参照しながら、説明する。
【0091】
図9は、第4の実施形態による画像欠けまたは余白が発生する場合のユーザへの確認の要否判断を含むコピージョブ処理を示すフローチャートである。第4の実施形態も、最小サイズに関する判断を行わず、一方で、ユーザが意図的に余白などを設けたことを判断して不要な確認を省略し、ユーザの煩雑さを軽減することを狙った実施形態である。
【0092】
図9に示す処理は、
図4、
図6および
図7に示した第1~第3の実施形態と同様に、ユーザからのコピージョブ開始の指示を受け付けて、ステップS400から開始される。ステップS401では、プロセッサは、原稿サイズを決定する。ステップS402では、プロセッサは、変倍率および指定用紙サイズを決定する。ステップS403では、プロセッサは、変倍率および原稿サイズに基づいて、変倍率が適用された原稿画像サイズを決定する。ステップS404では、さらに、プロセッサは、画像原稿サイズに基づいて、最適な用紙サイズを決定する。
【0093】
ステップS405では、ユーザへの確認の要否の判断のため、指定用紙サイズが最適用紙サイズと異なるか否かを判定する。ステップS405で、指定用紙サイズが最適用紙サイズと異なると判定された場合は、ステップS406へ処理を分岐させる。この場合、確認を要する画像欠けまたは余白が生じると判定されることになる。このように、画像欠けまたは最適用紙サイズ選択ではない大きすぎる余白が発生すると判断される場合、ステップS406で、確認表示が行われる。この場合、原稿のコピージョブは、確認表示に応答したユーザの介入に基づいて継続される。
【0094】
一方、ステップS405で、指定用紙サイズが最適用紙サイズと異ならない(一致する)と判定された場合(NO)は、ステップS408へ処理を分岐させる。画像欠け、または、最適用紙サイズ選択ではない大きすぎる余白が発生しないと判断した場合は、確認表示は行われずに、確認に関連した介入なしにジョブの継続が行われる。以降のステップS406~ステップS409の処理は、
図4に示したステップS104~S107と同様であるため、説明は割愛する。
【0095】
このように、ユーザが指定した指定用紙サイズが、変倍率設定部306により決定した変倍率を適用した結果に基づいて計算される最適な出力サイズと一致する場合に、ユーザが意図的に余白または画像欠けを設けたものと判断して、確認表示を省略する。これにより、ユーザの煩雑さを軽減する。一方で、原稿サイズが最小印刷用紙サイズより小さいか否かの判断は省略してもよい。
【0096】
なお、上述までの説明では、集約機能が設定されない場合について説明した。一方で、上述したように、コピージョブにおいて、2in1や4in1などの集約設定(原稿画像を1枚の用紙に複数まとめて出力する機能。2,4,8、16・・・、複数枚集約が可能)が設定される場合がある。かかる集約設定が用いられる場合は、
図3の指定用紙サイズ設定部304でユーザが選択した用紙サイズの幅および長さをそれぞれをn,m(nおよびmは集約設定に応じた値)で除算した値を用いて判断すればよい。例えば、2in1であれば、幅または長さのいずれかを2で除算すればよい。例えば、4in1であれば、幅および長さの両方を2で除算すればよい。また原稿枚数が所定枚数(例えば4in1の場合に4)に到達せず、集約用に割れられたエリアが埋まらない場合は、余白とは判断しないこととする。
【0097】
このように、原稿の集約機能が指定される場合、集約機能の指定に応じて分割された出力サイズに基づいて通知を実施するか否かの判断を行うことができる。なお、上記第1および第2の実施形態の場合は、集約機能に関する処理を行わなくてもよい。
【0098】
上述した第1~第4の実施形態において、確認表示は、画像欠けまたは余白が発生することを表示して、ユーザに知らせるのみであってもよいが、好ましい実施形態においては、さらに、画像欠けまたは余白の発生を防止できるような解消方法を提示することができる。
【0099】
図10は、本実施形態による複合機10において操作パネル140に表示される、画像欠けまたは余白が発生する場合のユーザへの確認通知画面を例示する。
【0100】
図10(A)に示す確認通知画面400は、原稿と選択トレイの用紙サイズとが、向きは適切であるが不適合である場合(例えば、
図4に示す第1の実施形態において、原稿サイズが、最小用紙サイズを下回らず、また、向きも一致するが、指定用紙サイズと不一致であり余白が発生する場合)の確認表示画面である。
図10(A)に示す確認通知画面400は、原稿と選択トレイの用紙サイズが不適合であることを示すメッセージ402と、ラジオボタン404a~404cと、選択した内容でジョブ終了まで当該確認通知画面を再表示しない旨の指示を受け付けるボタン406と、スタート・ボタン408と、「設定画面に戻る」ボタン410とを含む。
【0101】
スタート・ボタン408は、コピーの設定変更をして、または変更せずに、コピーを続行する指示を受け付ける。「設定画面に戻る」ボタン410は、当該コピージョブを中止し、設定からやり直す指示を受け付ける。ラジオボタン404aは、設定を変更しない選択を受け付けるものであり、これが選択されて、スタート・ボタン408が押下されると、設定を変更せずコピージョブが継続実施される。ラジオボタン404bは、用紙サイズを自動用紙選択に変更する選択を受け付けるものであり、これが選択され、スタート・ボタン408が押下される場合、コピー設定の「用紙サイズ」の設定を「自動用紙選択」に変更してコピージョブが実施される。ラジオボタン404cは、倍率を用紙サイズに合わせる選択を受け付けるものであり、これが選択され、スタート・ボタン408が押下される場合、コピー設定の「変倍率」の設定を、指定した用紙に合うように自動で変倍する機能を指定するよう変更して、コピージョブが実施される。
【0102】
図10(B)に示す確認通知画面420は、原稿と選択トレイの用紙サイズとは適切であるが、向きは不適合である場合(例えば、
図4に示す第1の実施形態において、原稿サイズが、最小用紙サイズを下回らず、また、指定用紙サイズと一致するが、向きが不一致であり、余白が発生する場合)の確認表示画面である。
図10(B)に示す確認通知画面420は、原稿と選択トレイの用紙の向きが不適合であることを示すメッセージ422と、設定を変更しない選択を受け付けるラジオボタン424aと、用紙サイズを自動用紙選択に変更する選択を受け付けるラジオボタン424bと、選択した内容で、ジョブ終了まで当該確認通知画面を再表示しない旨の指示を受け付けるボタン426と、スタート・ボタンと428と、「設定画面に戻る」ボタン430とを含む。
【0103】
このように、(A)決定された最適用紙サイズを提示して最適用紙サイズを給紙トレイへのセットを促したり、(B)決定された最適用紙サイズを提示し、最適用紙サイズが他のトレイにセットされている場合に該当トレイの利用を促したり、(C)変倍率の変更を促したり、(D)複合機10が備える自動用紙選択機能の利用を促したり、(E)指定した用紙に合うように自動で変倍する機能の利用を促したり、(F)変倍率が等倍かつ選択した用紙サイズが90度異なるだけの場合、原稿の置きなおしを促したりすることができる。
【0104】
このように、通知は、画像欠けまたは余白の確認を促す情報および事前定義される解消手段の情報を含んでもよい。
【0105】
以上説明したように、本開示によれば、必要な場合の確認を促すことを可能とする一方で、出力可能な最小出力サイズより小さな原稿サイズを処理する際の操作者の上記確認による煩わしさを軽減することが可能な画像処理装置および該画像処理装置を実現するためのプログラムを提供することができる。
【0106】
また、本開示によれば、確認を促すことを可能とする一方で、ユーザが意図的に余白を設けたと判断できる場合の通知を省略することで、操作者の煩わしさを軽減することが可能な画像処理装置および該画像処理装置を実現するためのプログラムを提供することができる。
【0107】
特に、上述した第1~第3の実施形態によれば、画像処理装置の出力可能な最小出力サイズより原稿サイズが小さい場合など、必ず余白が発生してしまう原稿サイズの場合に、確認通知を抑制ないし省略することによって、ユーザの煩雑さを軽減することができる。
【0108】
特に、上述した第3および第4の実施形態によれば、ユーザが意図して余白を付与していると考えられる設定の場合に、確認通知を抑制ないし省略することによって、ユーザの煩雑さを軽減することができる。
【0109】
なお、上述したように、本開示の実施形態について、原稿の出力処理がコピー処理における原稿の印刷処理であるコピー機能の文脈で説明した。しかしながら、本開示の実施形態は、コピー機能に限定されるものではなく、種々の機能に対しても適用可能である。例えば、コピー機能であれば、上述したように、原稿サイズは、画像読み取り原稿サイズであり、最小出力サイズおよび指定出力サイズは、複合機10が印刷可能な最小用紙サイズおよび複合機10で受け付けられる指定用紙サイズであり、出力処理は、コピー処理における原稿の印刷処理である。一方、スキャナ機能に適用する場合は、原稿サイズは、画像読み取り原稿サイズであり、最小出力サイズおよび指定出力サイズは、複合機10がファイル出力可能な最小画像サイズおよび指定の指定画像サイズであり、出力処理は、スキャナ処理における原稿ファイルの保存処理である。プリンタ機能に適用する場合は、原稿サイズは、プリンタドライバによって描画された画像原稿サイズであり、最小出力サイズおよび指定出力サイズは、複合機10が印刷可能な最小用紙サイズおよび複合機10で受け付けられる指定用紙サイズであり、出力処理は、プリント処理における原稿の印刷処理である。ファクシミリ機能に適用する場合は、原稿サイズは、画像読み取り原稿サイズまたはドライバによって描画された画像原稿サイズであり、最小出力サイズおよび指定出力サイズは、複合機10がファクシミリ送信可能な最小画像サイズおよび指定画像サイズであり、出力処理は、ファクシミリ送信における原稿の送信処理である。
【0110】
上記で説明した実施形態の各機能は、1または複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(digital signal processor)、FPGA(field programmable gate array)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。
【0111】
これまで本発明の実施形態について説明してきたが、本発明の実施形態は上述した実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、変更、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0112】
10…複合機、101…CPU、102…システムメモリ、103…NB、104…SB、106…ASIC、107…MEM-C、108…HDDコントローラ、109…HDD、110…コントローラ、120…近距離通信回路、130…エンジン制御部、132…プリンタ部、131…スキャナ部、140…操作パネル、150…ネットワークI/F、200…ソフトウェア部、202…ハードウェア部、204…複合機起動部、206…エンジン部、208…ハードウェア・リソース、220…アプリケーション層、222…VAS、224…WWWライブラリ、230…プラットフォーム層、232…制御サービス層、240…システム資源管理部、234…ハンドラ層、236…API、238…エンジンI/F、270…プリンタ・アプリ、272…コピー・アプリ、274…ファックス・アプリ、276…スキャナ・アプリ、278…ネットワークファイル・アプリ、280…複合機ブラウザ、242…NCS、244…DCS、246…OCS、248…FCS、250…ECS、252…MCS、254…UCS、256…CCS、258…SCS、260…FCUH、262…IMH、300…アプリケーション、302…原稿サイズ決定部、304…指定用紙サイズ設定部、306…変倍率設定部、308…出力設定部、310…確認要否判定部、312…確認通知部、サイズ情報記憶部314、316…ジョブ制御部、400,420…確認表示画面、402,422…確認メッセージ、404,424…選択ボタン、406,426…ボタン、408,428…スタート・ボタン、410,430…戻るボタン
【先行技術文献】
【特許文献】
【0113】