(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024075922
(43)【公開日】2024-06-05
(54)【発明の名称】判定装置およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G01T 1/161 20060101AFI20240529BHJP
A61B 10/00 20060101ALI20240529BHJP
G16H 30/00 20180101ALI20240529BHJP
【FI】
G01T1/161 D
G01T1/161 A
A61B10/00 T
G16H30/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022187189
(22)【出願日】2022-11-24
(71)【出願人】
【識別番号】504173471
【氏名又は名称】国立大学法人北海道大学
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100181722
【弁理士】
【氏名又は名称】春田 洋孝
(72)【発明者】
【氏名】吉村 高明
(72)【発明者】
【氏名】杉森 博行
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 大輝
(72)【発明者】
【氏名】平田 健司
(72)【発明者】
【氏名】工藤 與亮
【テーマコード(参考)】
4C188
5L099
【Fターム(参考)】
4C188EE02
4C188FF07
4C188KK24
5L099AA26
(57)【要約】
【課題】医療被ばくを低減することができ、かつ、腫瘍に関する指標値に基づく判定を比較的高精度に行えるようにする。
【解決手段】判定装置が、放射線画像である基画像に基づいて、ニューラルネットワークを用いて、前記基画像の撮影時の投与線量よりも多い投与線量での放射線画像に相当する推定画像を生成する画像処理部と、得られた推定画像に基づいて、放射線画像で示される放射線量の指標値を算出する指標値算出部と、得られた指標値と閾値とを比較して、精密検査を提案するか否かを決定する処理、前記指標値と閾値とを比較して、治療効果を判定する処理、前記指標値と閾値とを比較して、腫瘍の良悪性を判定する処理、または、前記指標値と閾値とを比較して、病期を判定する処理の少なくとも何れかを行う判定部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線画像である基画像に基づいて、ニューラルネットワークを用いて、前記基画像の撮影時の投与線量よりも多い投与線量での放射線画像に相当する推定画像を生成する画像処理部と、
得られた推定画像に基づいて、放射線画像で示される放射線量の指標値を算出する指標値算出部と、
得られた指標値と閾値とを比較して、精密検査を提案するか否かを決定する処理、前記指標値と閾値とを比較して、治療効果を判定する処理、前記指標値と閾値とを比較して、腫瘍の良悪性を判定する処理、または、前記指標値と閾値とを比較して、病期を判定する処理の少なくとも何れかを行う判定部と、
を備える判定装置。
【請求項2】
前記画像処理部は、前記基画像の各ピクセル値の対数をとる対数変換を行い、変換後の画像を前記ニューラルネットワークに入力する、
請求項1に記載の判定装置。
【請求項3】
前記画像処理部は、陽電子放射断層撮影法による複数個所のスライス画像を前記基画像として用いる、
請求項1または請求項2に記載の判定装置。
【請求項4】
前記画像処理部は、陽電子放射断層撮影法による複数個所のスライス画像に基づいて、前記陽電子放射断層撮影法における第1のスライス間隔とは異なる第2のスライス間隔によるスライス画像にて、前記推定画像を生成する、
請求項3に記載の判定装置。
【請求項5】
前記画像処理部は、前記基画像の投与線量として設定されている投与線量で撮影された放射線画像をニューラルネットワークへの入力とし、前記推定画像の投与線量として設定されている投与線量で撮影された放射線画像を正解とする訓練データを用いて学習済みの前記ニューラルネットワークを用いる、
請求項1に記載の判定装置。
【請求項6】
前記指標値算出部は、前記推定画像の時系列データに基づいて、前記指標値の時系列データを算出する、
請求項1に記載の判定装置。
【請求項7】
コンピュータに、
放射線画像である基画像に基づいて、ニューラルネットワークを用いて、前記基画像の撮影時の投与線量よりも多い投与線量での放射線画像に相当する推定画像を生成することと、
得られた推定画像に基づいて、放射線画像で示される放射線量の指標値を算出することと、
得られた指標値と閾値とを比較して、精密検査を提案するか否かを決定する処理、前記指標値と閾値とを比較して、治療効果を判定する処理、前記指標値と閾値とを比較して、腫瘍の良悪性を判定する処理、または、前記指標値と閾値とを比較して、病期を判定する処理の少なくとも何れかを行うことと、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、判定装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
臨床検査等で行われているPET(Positron Emission Tomography、陽電子放射断層撮影法)検査では、腫瘍に取り込まれた放射性同位元素から放出されたガンマ線を検出器にて計測することにより、体内における放射性同位元素の集積の程度から腫瘍の位置を同定する。PET検査で得られる画像は、PET画像と称される。
【0003】
ここで、投与線量と検出器におけるガンマ線のカウント数、および、検出器でのガンマ線の収集時間とカウント数は、それぞれ比例関係にあることが知られている。したがって、患者の被ばく線量を抑えるために投与線量を抑えることは、収集時間を減少させることと同義であると仮定することができる。一方、短時間収集では、検出器におけるガンマ線のカウント数が減少するため、診断に十分な画質が得られない可能性がある。
【0004】
一方、放射線画像診断・治療における医療被ばくの低減が求められており、PET検査においても低投与線量での撮影など投与線量の最小化に向けた様々な検討が進められている。
例えば、特許文献1には、PET画像の画質を向上させることを目的とした医用画像処理装置が記載されている。この医用画像処理装置は、PETスキャンの初期の画像再構成に対応する放射マップおよび減衰マップを取得し、放射輸送方程式法を使用してPETスキャンの散乱源マップを計算する。そして、この医用画像処理装置は、上記の放射マップ、減衰マップおよび散乱源マップに基づいて散乱を推定し、推定された散乱および対象のPETスキャンデータに基づいて画像再構成を行い、PET画像再構成における主要な劣化要因である散乱を補正する。
【0005】
また、特許文献2には、特許文献1と同様に医用画像の画質を向上させることを目的とし、ニューラルネットワークを用いたオフライントレーニングプロセスからフィルタ補正済みのサイノグラムを出力し、フィルタ補正済みサイノグラム上で解析的画像再構成を実行する技術が記載されている。
【0006】
また、特許文献3には、対象部位を診断する読影医の負担を軽減することを目的とした画像診断支援装置、画像診断支援方法および画像診断支援プログラムが記載されている。
また、特許文献4には、深層学習を使用した低線量PETイメージングからの低線量PET画像の推定に関する技術が記載されている。
【0007】
また、非特許文献1には、超解像深層学習を用いたPET画像の画質改善に伴う患者被ばく線量低減の可能性が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2021-173755号公報
【特許文献2】特開2021-13725号公報
【特許文献3】特開2020-76611号公報
【特許文献4】特表2021-509953号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Takaaki Yoshimura、外7名、"Medical Radiation Exposure Reduction in PET via Super-Resolution Deep Learning Model"、Diagnostics 2022、Vol. 12、Iss. 4、872、2022年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
PET画像に基づいてSUV(Standard Uptake Value)など腫瘍に関する指標値を算出することが行われている。PET検査における投与線量の低減など、医療被ばくを低減することができ、かつ、腫瘍に関する指標値に基づく判定を比較的高精度に行えることが好ましい。
【0011】
本発明の目的の一例は、医療被ばくを低減することができ、かつ、腫瘍に関する指標値に基づく判定を比較的高精度に行える、判定装置およびプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第1の態様によれば、判定装置は、放射線画像である基画像に基づいて、ニューラルネットワークを用いて、前記基画像の撮影時の投与線量よりも多い投与線量での放射線画像に相当する推定画像を生成する画像処理部と、得られた推定画像に基づいて、放射線画像で示される放射線量の指標値を算出する指標値算出部と、得られた指標値と閾値とを比較して、精密検査を提案するか否かを決定する処理、前記指標値と閾値とを比較して、治療効果を判定する処理、前記指標値と閾値とを比較して、腫瘍の良悪性を判定する処理、または、前記指標値と閾値とを比較して、病期を判定する処理の少なくとも何れかを行う判定部と、を備える。
【0013】
本発明の第2の態様によれば、プログラムは、コンピュータに、放射線画像である基画像に基づいて、ニューラルネットワークを用いて、前記基画像の撮影時の投与線量よりも多い投与線量での放射線画像に相当する推定画像を生成することと、得られた推定画像に基づいて、放射線画像で示される放射線量の指標値を算出することと、得られた指標値と閾値とを比較して、精密検査を提案するか否かを決定する処理、前記指標値と閾値とを比較して、治療効果を判定する処理、前記指標値と閾値とを比較して、腫瘍の良悪性を判定する処理、または、前記指標値と閾値とを比較して、病期を判定する処理の少なくとも何れかを行うことと、を実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、医療被ばくを低減することができ、かつ、腫瘍に関する指標値に基づく判定を比較的高精度に行える。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施形態に係る医療支援システムの構成の例を示す図である。
【
図2】実施形態に係る画像処理部が用いるニューラルネットワークの構成の例を示す図である。
【
図3】実施形態に係るニューラルネットワークの学習に用いられる訓練データの構成の例を示す図である。
【
図4】実施形態における、推定時のニューラルネットワークへの入出力の例を示す図である。
【
図5】実施形態に係る判定装置で得られる画像の例を示す図である。
【
図6】実施形態に係る判定装置で得られる指標値の第1の例を示す図である。
【
図7】実施形態に係る判定装置で得られる指標値の第2の例を示す図である。
【
図8】実施形態に係る表示部の表示画面の例を示す図である。
【
図9】実施形態に係る判定装置が行う処理の手順の例を示す図である。
【
図10】少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を説明するが、以下の実施形態は請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
図1は、実施形態に係る医療支援システムの構成の例を示す図である。
図1に示す構成で、医療支援システム1は、判定装置100と、PET装置210と、画像保存伝送システム220と、病院情報システム230と、放射線科情報システム240と、通信ネットワーク250とを備える。判定装置100は、通信部110と、表示部120と、操作入力部130と、記憶部180と、制御部190とを備える。制御部190は、データ取得部191と、画像処理部192と、指標値算出部193と、判定部194とを備える。
【0017】
医療支援システム1は、医療に関する各種データを蓄積および管理し、医師による診断を支援する。
判定装置100は、低投与線量での放射線画像を取得し、得られた放射線画像を用いて、例えばSUVなど、放射線画像で示される放射線量の指標値を算出する。
ここでいう放射線画像は、放射線量の計測値に基づいて得られる画像である。以下では、放射線画像としてPET画像を用いる場合を例に説明する。ただし、判定装置100に用いられる放射線画像は、特定のものに限定されない。
【0018】
ここでいう、放射線画像で示される放射線量の指標値とは、放射線画像のピクセル値で示される放射線量の大小に関する指標値である。例えば、SUV(Standardized Uptake Value)が、放射線画像で示される放射線量の指標値の例に該当する。SUVは、体の部分へのPET薬剤の集積程度を表す指標値であり、画像から計測させる放射能濃度をPET薬剤の投与量と体重とで補正して算出される。ただし、判定装置100に用いられる指標値は、特定のものに限定されない。
【0019】
放射線画像の撮影では、18F-FDG(Fluoro-D-Glucose)など腫瘍に集まり易い放射性物質が用いられ、放射線画像で示される放射線量の指標値は、腫瘍に関する指標値として用いられる。
以下では、放射線画像で示される放射線量の指標値を、単に指標値、または、定量値とも称する。
【0020】
ここで、放射線画像の撮影時の投与線量を抑制することで撮影対象者の被ばく量を低減することができる。一方、投与線量を抑制すると、得られる放射線画像の画質が低下し、指標値の精度も低下することが考えられる。
そこで、判定装置100は、学習済みのニューラルネットワークを用いて、低投与線量での放射線画像を、通常投与線量での放射線画像に相当する放射線画像に変換し、得られた放射線画像から指標値を算出する。
【0021】
この変換により、判定装置100では、低投与線量での放射線画像を用いて、通常投与線量での放射線画像で得られる指標値に近い指標値を得られると期待される。このように、判定装置100によれば、医療被ばくを低減することができ、かつ、精密検査の要否の判定など、腫瘍に関する指標値に基づく判定を比較的高精度に行えると期待される。
【0022】
ニューラルネットワークがデータを出力することを、推定とも称する。判定装置100が、ニューラルネットワークを用いて取得する、通常投与線量での放射線画像に相当する放射線画像を、推定画像、または、通常投与線量での放射線画像に相当する放射線画像の推定画像とも称する。
【0023】
PET装置210は、PET検査によってPET画像を生成する。PET検査によってPET画像を生成することを、PET画像を撮影するとも称する。低投与線量でのPET画像を、低投与線量で撮影されたPET画像、または、低投与線量画像とも称する。通常投与線量でのPET画像を、通常投与線量で撮影されたPET画像、または、通常投与線量画像とも称する。
特に、PET装置210は、低投与線量でのPET画像を撮影し、得られたPET画像を判定装置100へ送信する。
【0024】
画像保存伝送システムPicture Archiving and Communication Systems;PACS)220は、検査等で得られた画像をデータベース化して保管する。例えば、画像保存伝送システム220が、判定装置100が生成する推定画像を患者ごとに保管し、患者ごとの推定画像の時系列データを提供するようにしてもよい。
【0025】
病院情報システム(Hospital Information System;HIS)230は、病院内における各種情報を管理する。病院情報システム230が、画像保存伝送システム220および病院情報システム230と情報を共有するなど、画像保存伝送システム220および病院情報システム230と連携して情報の管理を行うようにしてもよい。
【0026】
放射線科情報システム(Radiology Information System;RIS)は、放射線検査の予約状況の管理、および、放射線検査結果情報の集約など、放射線検査に関する各種情報を管理する。例えば、放射線科情報システム240が、判定装置100が算出する指標値を含む放射線結果情報を患者ごとに集約し、患者ごとの指標値の時系列データを提供するようにしてもよい。
【0027】
通信ネットワーク250は、医療支援システム1の各装置間の通信を仲介する。例えば、医療支援システム1が、ある病院に設けられている場合、通信ネットワーク250が、院内LAN(病院内のローカルエリアネットワーク)を用いて構成されていてもよい。ただし、通信ネットワーク250は、特定の種類の通信ネットワークに限定されない。
また、医療支援システム1が扱うデータの規格は、特定のものに限定されない。例えば、医療支援システム1の各機器が、画像をDICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)データの形式で送受信するようにしてもよいが、これに限定されない。
【0028】
判定装置100の通信部110は、他の装置と通信を行う。特に、通信部110は、通信ネットワーク250を介してPET装置210、画像保存伝送システム220、病院情報システム230、および、放射線科情報システム240のそれぞれと通信を行う。
例えば、通信部110は、PET装置210からPET画像を受信する。上記のように、PET画像は、放射線画像の例に該当する。
【0029】
また、通信部110が、判定装置100が生成した推定画像を画像保存伝送システム220へ送信し、また、推定画像の時系列データを画像保存伝送システム220から受信するようにしてもよい。
また、通信部110が、判定装置100が算出した指標値など放射線検査結果情報を放射線科情報システム240へ送信し、また、放射線結果情報の時系列データを受信するようにしてもよい。
【0030】
表示部120は、例えば液晶パネルまたはLED(Light Emitting Diode、発光ダイオード)パネルなどの表示画面を有し、各種画像を表示する。例えば、表示部120が、判定装置100が生成した推定画像、判定装置100が画像保存伝送システム220から取得した推定画像の時系列データ、判定装置100が算出した指標値、および、判定装置100が放射線科情報システム240から取得した指標値の時系列データ、あるいはこれらのうちの一部を表示するようにしてもよい。
【0031】
操作入力部130は、例えば、キーボードおよびマウスなどの入力デバイスを含んで構成され、ユーザ操作を受け付ける。例えば、操作入力部130が、推定画像の時系列データを表示部120に表示するよう指示するユーザ操作など、処理の実行を指示するユーザ操作を受け付けるようにしてもよい。
【0032】
記憶部180は、各種データを記憶する。例えば、記憶部180は、判定装置100が推定画像の生成のためにPET装置210から取得したPET画像を一時的に記憶するなど、判定装置100が処理を行うためのワーキングメモリとして機能する。
また、記憶部180は、判定装置100が用いるニューラルネットワークを記憶する。ただし、判定装置100が用いるニューラルネットワークの実装方法は、記憶部180がニューラルネットワークを記憶しておく方法に限定されない。例えば、判定装置100が用いるニューラルネットワークが、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)またはFPGA(Field-Programmable Gate Array)を用いて構成されるなど、ハードウェア的に実装されていてもよい。判定装置100が用いるニューラルネットワークが、判定装置100の一部として構成されていてもよいし、判定装置100の外部の構成となっていてもよい。
【0033】
制御部190は、判定装置100の各部を制御して、各種処理を行う。制御部190の機能は、例えば、判定装置100が備えるCPU(Central Processing Unit、中央処理装置)が、記憶部180からプログラムを読み出して実行することで実行される。
【0034】
データ取得部191は、各種データを取得する。例えば、データ取得部191は、通信部110が他の装置から受信する受信データから、取得対象のデータを読み出す。
特に、データ取得部191は、PET装置210が撮影した低投与線量でのPET画像を取得する。データ取得部191が取得する低投与線量でのPET画像を、基画像とも称する。基画像は、判定装置100が推定画像を生成する基の画像として用いられる。
【0035】
画像処理部192は、判定装置100について上述した推定画像を生成する処理を行う。画像処理部192は、ニューラルネットワークを用いて基画像を推定画像に変換する。推定画像は、基画像の撮影時の投与線量よりも多い投与線量での放射線画像に相当する画像に該当する。
【0036】
また、画像処理部192は、推定画像の生成の前処理として、基画像の各ピクセル値の対数をとる。すなわち、画像処理部192は、基画像の各ピクセル値を、そのピクセル値の対数値に置き換える。画像の各ピクセル値の対数を取る処理を、対数変換とも称する。画像処理部192が、自然対数を用いて対数変換を行うようにしてもよい。
後述するように、データ取得部191は、基画像として複数スライス分のPET画像を取得する。画像処理部192は、スライスごとに対数変換を行う。
画像処理部192は、対数変換で得られた画像をニューラルネットワークに入力する。
【0037】
ここで、低投与線量でのPET画像では、PET薬剤が集まり易い部位が明るくなり易く、通常投与線量でのPET画像よりも、コントラストが強くなるという知見が得られた。このため、例えば、低投与線量でのPET画像からそのままSUVなどの指標値を算出すると、通常投与線量でのPET画像から指標値を算出する場合よりも、PET薬剤が集まり易い部位の指標値が大きく算出され、指標値の精度が悪くなってしまう。
【0038】
これに対し、画像処理部192が、基画像に対して対数変換を行うことで、画像のダイナミックレンジを圧縮することができ、画像のコントラストが、通常投与線量でのPET画像のコントラストに近付くことが期待される。
画像処理部192が、基画像に対して対数変換を行うことで、対数変換を行わない場合よりも、得られる推定画像のコントラストが、通常投与線量でのPET画像のコントラストに近くなり、より高精度な指標値が得られると期待される。
判定装置100の動作実験(基画像に対して対数変換を行い、変換後の画像をニューラルネットワークに入力して推定画像を生成し、得られた推定画像から指標値を算出する実験)で、良好な結果が得られた。
【0039】
指標値算出部193は、判定装置100について上述した、指標値の算出を行う。すなわち、指標値算出部193は、画像処理部192が生成した推定画像に基づいて、放射線画像で示される放射線量の指標値を算出する。
【0040】
指標値算出部193が、推定画像の時系列データに基づいて、指標値の時系列データを算出するようにしてもよい。例えば、画像処理部192が患者の全身の推定画像を生成し、画像保存伝送システム220が、患者ごとに全身の推定画像の時系列データを蓄積して判定装置100に提供するようにしてもよい。そして、指標値算出部193が、患者の全身の推定画像の時系列データに基づいて、判定装置100のユーザである放射線画像診断医が指定する部分の指標値の時系列データを算出するようにしてもよい。このように、指標値算出部193は、推定画像の時系列データに基づいて、指標値の時系列データを事後的に算出することができる。
【0041】
判定部194は、指標値算出部193が算出した指標値と、指標値の基準値として設定されている所定の閾値とを比較することにより、検査に関連する判定を行う。具体的には、判定部194は、精密検査を提案するか否かを決定する処理、治療効果を判定する処理、腫瘍の良悪性を判定する処理、または、病期を判定する処理の少なくとも何れかを行う。
【0042】
精密検査を提案するか否かを決定する場合、判定部194は、指標値が示す状態の評価が、閾値が示す評価以上に悪い場合に、精密検査を提案することに決定する。例えば、指標値算出部193が、SUVなど、値が大きいことが腫瘍の悪性度が高い可能性を示す指標値を算出する場合、判定部194は、指標値が閾値以上に大きい場合に、精密検査を提案することに決定する。
【0043】
治療効果を判定する場合、判定部194は、指標値が示す状態の評価が、閾値が示す評価以上に良い場合に、治癒効果有りと判定する。一方、指標値が示す状態の評価が、閾値が示す評価よりも悪い場合、判定部194は、治癒効果無しと判定する。
【0044】
腫瘍の良悪性を判定する場合、判定部194は、指標値が示す腫瘍の悪性度の評価が、閾値が示す評価以上に悪い場合に、腫瘍が悪性であると判定する。一方、指標値が示す腫瘍の悪性度の評価が、閾値が示す評価よりも良性である場合、判定部194は、腫瘍が良性であると判定する。
【0045】
病期を判定する場合、判定部194は、指標値とステージを区分する閾値とを比較することにより、ステージの判定を行う。ここでは、指標値が大きいほど癌が進行していることを示す場合を例に説明する。
【0046】
例えば、判定部194が、癌のステージをステージ0からステージ4の何れかと判定する場合、記憶部180は、ステージ0とステージ1とを区分する第1閾値と、ステージ1とステージ2とを区分する第2閾値と、ステージ2とステージ3とを区分する第3閾値と、ステージ3とステージ4とを区分する第4閾値とを記憶しておく。そして、指標値が第1閾値未満の場合、判定部194は、癌がステージ0であると判定する。指標値が第1閾値以上かつ第2閾値未満の場合、判定部194は、癌がステージ1であると判定する。指標値が第2閾値以上かつ第3閾値未満の場合、判定部194は、癌がステージ2であると判定する。指標値が第3閾値以上かつ第4閾値未満の場合、判定部194は、癌がステージ3であると判定する。指標値が第4閾値以上の場合、判定部194は、癌がステージ4であると判定する。
【0047】
判定部194が、指標値の時系列データに基づいて、精密検査を提案するか否かを決定するようにしてもよい。
例えば、指標値算出部193が、指標値の時系列データに基づいて、次回の検査時における指標値の予測値を算出するようにしてもよい。そして、判定部194が、指標値が閾値以上に大きい場合に加えて、次回の検査時における指標値の予測値が閾値以上に大きい場合も、精密検査を提案することに決定するようにしてもよい。
あるいは、判定部194が、指標値の時系列データに基づいて、指標値の増加速度を算出し、指標値が指標値の閾値以上に大きい場合に加えて、増加速度が増加速度の閾値以上に大きい(速い)場合も、精密検査を提案することに決定するようにしてもよい。
【0048】
このように、指標値算出部193が、指標値の時系列データに基づいて、精密検査を提案するか否かを決定することで、腫瘍が形成される可能性、または、腫瘍が悪化する可能性などにより精密検査が必要となることを比較的早い段階で検出することができ、よりタイムリーに、精密検査を提案することができる。
治療効果を判定する処理、腫瘍の良悪性を判定する処理、または、病期を判定する処理についても、判定部194が、指標値の時系列データに基づいて行うようにしてもよい。
【0049】
図1に示す構成で、例えば、放射線画像診断医は、操作入力部130を用いてユーザ操作にて、PET画像、推定画像、および、指標値などの各種データの表示を要求し、表示部120表示されたデータを参照して画像診断を行うことができる。
【0050】
さらに例えば、PET装置210は、低投与線量にてPET画像を撮影し、得られた低投与線量画像を画像保存伝送システム220に送信する。画像保存伝送システム220は、PET装置210から受信した、低投与線量画像を保管しておく。判定装置100では、データ取得部191が、低投与線量画像を、DICOMデータにて、通信ネットワーク250および通信部110を介して画像保存伝送システム220から取得し、得られた画像を記憶部180に記憶させる。
【0051】
そして、画像処理部192は、基画像(低投与線量画像)を記憶部180から読み出し、読み出した基画像に基づいて推定画像を生成する。制御部190は、表示部120を制御して推定画像を表示させる。また、制御部190は、推定画像を、通信部110および通信ネットワーク250を介して画像保存伝送システム220、病院情報システム230、および、放射線科情報システム240へ送信する。
【0052】
また、指標値算出部193は、画像保存伝送システム220が保管している推定画像の時系列データを参照して、指標値の時系列データを算出する。判定部194は、指標値算出部193が算出した指標値の時系列データに基づいて、精密検査を提案するか否かを決定する。例えば、判定部194は、指標値が基準値(閾値)を超えた場合に、通常投与線量でのPET検査を、判定装置100のユーザである放射線画像診断医に提案する。
【0053】
図2は、画像処理部192が用いるニューラルネットワークの構成の例を示す図である。
図2に示す例で、ニューラルネットワーク300は、畳み込みニューラルネットワーク(Convolution Neural Network:CNN)として構成されており、9チャンネルの入力層310と、128チャンネルの第1中間層320と、64チャンネルの第2中間層330と、1チャンネルの出力層340とを備える。各層のピクセル数は、288ピクセル×288ピクセルとなっている。
【0054】
入力層310は、対数変換後の低投与線量画像の入力を受け付ける。入力層310の各チャンネルが1スライス分のPET画像の入力を受け付ける。したがって、入力層310は、9スライス分のPET画像の入力を受け付ける。
例えば、画像処理部192は、PET装置210が低投与線量にて撮影したPET画像のうち、互いに隣接している9スライス分のPET画像をスライスごとに対数変換し、対数変換後の低投与線量画像をニューラルネットワーク300に入力する。
【0055】
ここで、PET画像のスライスの画像同士の間には正の相関性があると考えられる。特に、隣接するスライスの画像など位置的に近いスライスの画像同士の間には強い正の相関性があると考えられる。ニューラルネットワーク300が、推定画像の生成対象の位置の画像だけでなく、隣接する複数のスライスの画像の入力を受けて推定画像を生成することで、比較的多くのデータに基づいて推定画像を生成することができる。この点で、ニューラルネットワーク300が、推定画像を比較的高精度に生成できると期待される。
ここでの位置は、PET画像の撮影の対象となっている患者における位置である。
【0056】
第1中間層320および第2中間層330は、それぞれ、畳み込み演算を行う。例えば、第1中間層320と第2中間層330とが、それぞれ、チャンネルごとに畳み込み層と、活性化層とを備えていてもよい。
畳み込み層は、畳み込み層自らに入力されるデータに対して畳み込み演算を行う。
活性化層は、活性化層自らに入力されるデータに対して、ピクセルごと活性化関数を適用する。活性化層に用いられる活性化関数は特定の関数に限定されない。例えば、活性化関数として正規化線形関数(Rectified Linear Function;ReLU)が用いられていてもよいが、これに限定されない。
出力層は、ニューラルネットワーク300による推定結果である推定画像を、ニューラルネットワーク300の外部へ出力する。
【0057】
ただし、ニューラルネットワーク300の構成は、特定の構成に限定されない。
例えば、ニューラルネットワーク300へ入力される画像は、9スライス分の画像に限定されず、複数のスライスの画像であればよい。したがって、入力層310のチャンネル数は、9チャンネルに限定されず、ニューラルネットワーク300へ入力される画像の個数と同数のチャンネル数であってもよい。
【0058】
また、ニューラルネットワーク300が備える中間層の個数は、2つに限定されず、1つ以上であればよい。また、中間層の構成は、特定の構成に限定されない。例えば、中間層が、活性化層を備えていなくてもよい。
第1中間層320、および、第2中間層330が畳み込み演算に用いるフィルタのサイズは、畳み込みニューラルネットワークを構築するためのソフトウェアを提供するライブラリでデフォルト値として設定されているサイズであってもよいが、これに限定されない。
【0059】
ニューラルネットワーク300が、入力されるスライスの位置以外の位置のスライスの画像を生成するようにしてもよい。例えば、ニューラルネットワーク300が、4ミリメートル間隔のスライスの画像の入力を受けて、4ミリメートル間隔のスライスの中間にあたる2ミリメートル間隔の位置のスライスの画像を生成するようにしてもよい。
この場合、ニューラルネットワーク300または判定装置100が三次元空間における位置的な補間を行う、と捉えることができる。
【0060】
図3は、ニューラルネットワーク300の学習に用いられる訓練データの構成の例を示す図である。
図3に示す例で、訓練データは、入力データセットと、その入力データセットに対する正解データとの組み合わせを複数含んで構成されている。
【0061】
入力データセットとして、通常投与線量の10%の低投与線量で撮影されたPET画像の、連続する(互いに隣接する)9スライス分の画像を対数変換した画像が用いられている。通常投与線量の10%の投与線量を、投与線量10%とも表記する。
正解データとして、通常投与線量で撮影されたPET画像の、ニューラルネットワーク300が推定画像を出力すべき位置のスライスにおける画像が用いられている。すなわち、正解データとして、ニューラルネットワーク300が推定すべき正解の画像が用いられている。通常投与線量を、投与線量100%とも表記する。
【0062】
ここで、SRCNN(Super-Resolution Convolutional Neural Network)の学習では、原画像を劣化させた劣化画像を作り、原画像と劣化画像との組み合わせを複数含む訓練データを用意して、SRCNNが劣化画像の入力を受けて原画像を推定するように学習を行う、といったことが行われている。
これに対し、ニューラルネットワーク300の学習では、低投与線量で撮影されたPET画像と、通常投与線量で撮影されたPET画像とを用いて訓練データを構成することができ、劣化画像を生成する処理を行う必要は無い。
【0063】
図4は、推定時におけるニューラルネットワーク300への入出力の例を示す図である。推定時には、学習時と同様、入力データセットとして、通常投与線量の10%の低投与線量で撮影されたPET画像の、連続する(互いに隣接する)9スライス分の画像を対数変換した画像が、ニューラルネットワーク300に入力される。ニューラルネットワーク300は、これらの画像の入力を受けて、通常投与線量でのPET画像の1スライス分に相当する推定画像を生成する。
【0064】
図5は、判定装置100で得られる画像の例を示す図である。
図5は、同一の患者の同一の断面における、低投与線量で撮影されたPET画像と、ニューラルネットワーク300による推定画像と、通常投与線量で撮影されたPET画像とを示している。
図5の例では、低投与線量で撮影されたPET画像として、対数変換をおこなっていない画像を示している。
【0065】
低投与線量で撮影されたPET画像では、通常投与線量で撮影されたPET画像と比べてコントラストが強く、また、ノイズが乗っている。このため、放射線画像診断医が、低投与線量で撮影されたPET画像を参照して正確な診断を行うことは困難と思われる。また、低投与線量で撮影されたPET画像からSUVなどの指標値を算出しても、通常投与線量で撮影されたPET画像から算出される指標値との差が大きいことが考えられる。
【0066】
一方、推定画像では、コントラストが、通常投与線量で撮影されたPET画像に近くなっており、また、ノイズも除去されている。この点で、放射線画像診断医が、推定画像を参照して正確な診断を行えることが期待される。また、推定画像からSUVなどの指標値を算出した場合、通常投与線量で撮影されたPET画像から算出される指標値に近い値を得られると期待される。
【0067】
図6は、判定装置100で得られる指標値の第1の例を示す図である。
図6は、同一の患者の同一の断面における、低投与線量で撮影されたPET画像と、ニューラルネットワーク300による推定画像と、通常投与線量で撮影されたPET画像とのそれぞれから算出されたSUVmaxの値の分布を、4分区間グラフで示している。
図6のグラフの縦軸は、SUVmaxの値を示す。
【0068】
図6の例で、低投与線量で撮影されたPET画像から算出されたSUVmaxの値の分布は、通常投与線量で撮影されたPET画像から算出されたSUVmaxの値の分布よりも上側(値が大きい側)にずれている。また、通常投与線量で撮影されたPET画像から算出されたSUVmaxの平均値が約4であるのに対し、低投与線量で撮影されたPET画像から算出されたSUVmaxの平均値は、約7となっている。
【0069】
このように、低投与線量で撮影されたPET画像から算出されたSUVmaxの値は、通常投与線量で撮影されたPET画像から算出されたSUVmaxの値との差が大きい。このため、判定部194が、低投与線量で撮影されたPET画像から算出されたSUVmaxの値に基づいて、精密検査を提案するか否かを適切に判定することは困難と思われる。
【0070】
一方、推定画像から算出されたSUVmaxの値の分布は、通常投与線量で撮影されたPET画像から算出されたSUVmaxの値の分布に近い分布となっている。また、推定画像から算出されたSUVmaxの平均値は、通常投与線量で撮影されたPET画像から算出されたSUVmaxの値と同様、約4となっている。
【0071】
このように、低投与線量で撮影されたPET画像から算出されたSUVmaxの値は、通常投与線量で撮影されたPET画像から算出されたSUVmaxの値に近い値となっている。この点で、判定部194が、推定画像から算出されたSUVmaxの値に基づいて、精密検査を提案するか否かを適切に判定できることが期待される。
【0072】
図7は、判定装置100で得られる指標値の第2の例を示す図である。
図7は、同一の患者の同一の断面における、低投与線量で撮影されたPET画像と、ニューラルネットワーク300による推定画像と、通常投与線量で撮影されたPET画像とのそれぞれから算出されたSUVmaxの値の分布の遷移を、1日目(Day1)、2日目(Day2)、3日目(Day3)それぞれにおける平均値および信頼区間にて示している。
図7のグラフの縦軸は、SUVmaxの値を示す。横軸は、日数を示す。
【0073】
線L111、L112は、それぞれ、低投与線量で撮影されたPET画像から算出されたSUVmaxの値の95%信頼区間の上限値、下限値を示している。
点P111、P112、P113は、それぞれ、低投与線量で撮影されたPET画像から算出されたSUVmaxの、1日目の平均値、2日目の平均値、3日目の平均値を示している。
【0074】
線L121、L122は、それぞれ、ニューラルネットワーク300による推定画像から算出されたSUVmaxの値の95%信頼区間の上限値、下限値を示している。
点P121、P122、P123は、それぞれ、ニューラルネットワーク300による推定画像から算出されたSUVmaxの、1日目の平均値、2日目の平均値、3日目の平均値を示している。
【0075】
線L131、L132は、それぞれ、通常投与線量で撮影されたPET画像から算出されたSUVmaxの値の95%信頼区間の上限値、下限値を示している。
点P131、P132、P133は、それぞれ、通常投与線量で撮影されたPET画像から算出されたSUVmaxの、1日目の平均値、2日目の平均値、3日目の平均値を示している。
【0076】
(1日目)
1日目では、通常投与線量で撮影されたPET画像から算出されたSUVmaxの平均値が4弱であるのに対し、低投与線量で撮影されたPET画像から算出されたSUVmaxの平均値は6弱である。また、通常投与線量で撮影されたPET画像から算出されたSUVmaxの95%信頼区間が値4の付近に位置するのに対し、低投与線量で撮影されたPET画像から算出されたSUVmaxの95%信頼区間は、約5.5から約6の範囲となっている。
【0077】
このように、
図7の1日目の例でも、低投与線量で撮影されたPET画像から算出されたSUVmaxの値は、通常投与線量で撮影されたPET画像から算出されたSUVmaxの値との差が大きい。このため、判定部194が、低投与線量で撮影されたPET画像から算出されたSUVmaxの値に基づいて、精密検査を提案するか否かを適切に判定することは困難と思われる。
【0078】
一方、推定画像から算出されたSUVmaxの平均値は4強であり、通常投与線量で撮影されたPET画像から算出されたSUVmaxの平均値の4弱に近い値となっている。また、推定画像から算出されたSUVmax95%信頼区間は、4強から約4.5の範囲となっており、値4の付近に位置する、通常投与線量で撮影されたPET画像から算出されたSUVmaxの95%信頼区間に近い範囲となっている。
【0079】
このように、
図7の1日目の例でも、低投与線量で撮影されたPET画像から算出されたSUVmaxの値は、通常投与線量で撮影されたPET画像から算出されたSUVmaxの値に近い値となっている。この点で、判定部194が、推定画像から算出されたSUVmaxの値に基づいて、精密検査を提案するか否かを適切に判定できることが期待される。
【0080】
(2日目)
2日目では、通常投与線量で撮影されたPET画像から算出されたSUVmaxの平均値が約3.5であるのに対し、低投与線量で撮影されたPET画像から算出されたSUVmaxの平均値は6弱である。また、通常投与線量で撮影されたPET画像から算出されたSUVmaxの95%信頼区間が3強から4弱の範囲となっているのに対し、低投与線量で撮影されたPET画像から算出されたSUVmaxの95%信頼区間は、5強から6強の範囲となっている。
【0081】
このように、
図7の2日目の例でも、低投与線量で撮影されたPET画像から算出されたSUVmaxの値は、通常投与線量で撮影されたPET画像から算出されたSUVmaxの値との差が大きい。このため、判定部194が、低投与線量で撮影されたPET画像から算出されたSUVmaxの値に基づいて、精密検査を提案するか否かを適切に判定することは困難と思われる。
【0082】
一方、推定画像から算出されたSUVmaxの平均値は約3.5であり、通常投与線量で撮影されたPET画像から算出されたSUVmaxの平均値の約3.5に近い値となっている。また、推定画像から算出されたSUVmax95%信頼区間は、約3.5から4弱の範囲となっており、通常投与線量で撮影されたPET画像から算出されたSUVmaxの95%信頼区間の3強から4弱の範囲に近い範囲となっている。
【0083】
このように、
図7の2日目の例でも、低投与線量で撮影されたPET画像から算出されたSUVmaxの値は、通常投与線量で撮影されたPET画像から算出されたSUVmaxの値に近い値となっている。この点で、判定部194が、推定画像から算出されたSUVmaxの値に基づいて、精密検査を提案するか否かを適切に判定できることが期待される。
【0084】
(3日目)
3日目では、通常投与線量で撮影されたPET画像から算出されたSUVmaxの平均値が4弱であるのに対し、低投与線量で撮影されたPET画像から算出されたSUVmaxの平均値は7弱である。また、通常投与線量で撮影されたPET画像から算出されたSUVmaxの95%信頼区間が4弱の付近に位置するのに対し、低投与線量で撮影されたPET画像から算出されたSUVmaxの95%信頼区間は、約6から約7.5の範囲となっている。
【0085】
このように、
図7の3日目の例でも、低投与線量で撮影されたPET画像から算出されたSUVmaxの値は、通常投与線量で撮影されたPET画像から算出されたSUVmaxの値との差が大きい。このため、判定部194が、低投与線量で撮影されたPET画像から算出されたSUVmaxの値に基づいて、精密検査を提案するか否かを適切に判定することは困難と思われる。
【0086】
一方、推定画像から算出されたSUVmaxの平均値は4強であり、通常投与線量で撮影されたPET画像から算出されたSUVmaxの平均値の4弱に近い値となっている。また、推定画像から算出されたSUVmax95%信頼区間は、約4から約4.5の範囲となっており、4弱の付近に位置する、通常投与線量で撮影されたPET画像から算出されたSUVmaxの95%信頼区間に近い範囲となっている。
【0087】
このように、
図7の3日目の例でも、低投与線量で撮影されたPET画像から算出されたSUVmaxの値は、通常投与線量で撮影されたPET画像から算出されたSUVmaxの値に近い値となっている。この点で、判定部194が、推定画像から算出されたSUVmaxの値に基づいて、精密検査を提案するか否かを適切に判定できることが期待される。
【0088】
図8は、表示部120の表示画面の例を示す図である。
図8に示す例で、表示部120の表示画面は、患者情報の表示領域である領域A11と、画像保存伝送システム220から取得した推定画像を時系列順に表示する領域である領域A12と、直近の推定画像の表示領域である領域A13と、定量値(指標値)の経時的な変化をグラフで表示する領域である領域A14と、判定部194が精密検査の提案を行うか否かを決定した結果の表示領域である領域A15とを含んでいる。
【0089】
表示部120は、領域A11には、例えば、患者の氏名、患者ID、年齢、性別等を表示する。また、表示部120は、領域A14には、横軸に時刻をとり、縦軸に定量値をとったグラフに、時刻ごとの定量値と、精密検査を提案するか否かの判定の基準値(閾値)とを表示している。
【0090】
また、判定部194が、精密検査の提案を行うことに決定した場合、表示部120は、精密検査を促すメッセージを領域A15に表示する。
図8の例では、表示部120は、精密検査を促すメッセージとして、「通常投与線量での精密検査」とのメッセージを表示している。
一方、判定部194が、精密検査の提案を行わないことに決定した場合、表示部120は、領域A15にメッセージを表示しない。
各領域の配置および表示内容をユーザ操作によって変更可能となっていてもよい。
【0091】
図9は、判定装置100が行う処理の手順の例を示す図である。
図9の処理で、データ取得部191は、基画像を取得する(ステップS101)。具体的には、PET装置210が、低投与線量にてPET画像を撮影し、得られたPET画像を、通信ネットワーク250を介して判定装置100へ送信する。判定装置100では、通信部110が、PET装置210からの通信データを受信する。データ取得部191は、通信部110が受信したPET装置210からの通信データから、低投与線量でのPET画像を読み出し、基画像とする。
【0092】
次に、画像処理部192は、基画像に基づいて推定画像を生成する(ステップS102)。具体的には、画像処理部192は、ステップS101で得られた基画像を対数変換する。そして、画像処理部192は、対数変換後の基画像をニューラルネットワーク300に入力して、推定画像を算出する。
次に、制御部190は、ステップS102で得られた推定画像を、通信部110および通信ネットワーク250を介して画像保存伝送システム220へ送信する(ステップS103)。
【0093】
また、データ取得部191は、過去の検査データを取得する(ステップS104)。例えば、データ取得部191は、通信部110および通信ネットワーク250を介して、PET装置210から、検査対象となっている患者の推定画像の時系列データを取得する。
次に、指標値算出部193は、ステップS104で得られた過去の検査データに基づいて、指標値の時系列データを取得する(ステップS105)。例えば、指標値算出部193は、推定画像の時系列データに含まれる推定画像の各々から指標値を算出する。
【0094】
次に、判定部194は、指標値の時系列データに基づいて、指標値の経時的な変化の有無を判定する(ステップS106)。例えば、判定部194は、今回の検査における指標値が閾値(基準値)を超えている場合、および、指標値の時系列データに基づいて、次回の検査時に指標値が閾値を超えていると予測される場合に、指標値の経時的な変化があると判定するようにしてもよい。
【0095】
ステップS106で、経時的な変化があると判定した場合(ステップS106:YES)、判定部194は、精密検査を医師に提案する(ステップS107)。例えば、判定部194が、表示部120を制御して、
図8の例のように精密検査を促すメッセージを表示させるようにしてもよい。
【0096】
ステップS107の後、判定装置100は、
図9の処理を終了する。
また、ステップS106で、経時的な変化がないと判定部194が判定した場合(ステップS106:NO)、判定装置100は、
図9の処理を終了する。この場合、判定部194は、精密検査の提案は行わない。
【0097】
以上のように、画像処理部192は、放射線画像である基画像に基づいて、ニューラルネットワークを用いて、基画像の撮影時の投与線量よりも多い投与線量での放射線画像に相当する推定画像を生成する。指標値算出部193は、得られた推定画像に基づいて、放射線画像で示される放射線量の指標値を算出する。判定部194は、得られた指標値と閾値とを比較して、精密検査を提案するか否かを決定する処理、指標値と閾値とを比較して、治療効果を判定する処理、指標値と閾値とを比較して、腫瘍の良悪性を判定する処理、または、指標値と閾値とを比較して、病期を判定する処理の少なくとも何れかを行う。
【0098】
判定装置100によれば、低投与線量での放射線画像に基づいて、通常投与線量の場合と同様の指標値を算出し、算出した指標値に基づいて精密検査を提案するか否かを決定できると期待される。判定装置100によれば、この点で、医療被ばくを低減することができ、かつ、腫瘍に関する指標値に基づく判定を比較的高精度に行える。
【0099】
また、画像処理部192は、基画像の各ピクセル値の対数をとる対数変換を行い、変換後の画像をニューラルネットワーク300に入力する。
画像処理部192が、基画像に対して対数変換を行うことで、基画像のコントラストが通常投与線量でのPET画像のコントラストと同様になることが期待される。画像処理部192が、対数変換後の基画像をニューラルネットワーク300に入力して推定画像を生成することで、通常投与線量でのPET画像との類似度が高い推定画像を得られると期待される。
【0100】
また、画像処理部192は、PET検査による複数個所のスライス画像を基画像として用いる。
ここで、PET画像のスライスの画像同士の間には正の相関性があると考えられる。特に、隣接するスライスの画像など位置的に近いスライスの画像同士の間には強い正の相関性があると考えられる。ニューラルネットワーク300が、推定画像の生成対象の位置の画像だけでなく、隣接する複数のスライスの画像の入力を受けて推定画像を生成することで、比較的多くのデータに基づいて推定画像を生成することができる。この点で、ニューラルネットワーク300が、推定画像を比較的高精度に生成できると期待される。
【0101】
また、画像処理部192は、PET検査による複数個所のスライス画像に基づいて、PET検査における第1のスライス間隔とは異なる第2のスライス間隔によるスライス画像にて、推定画像を生成する。
このように、判定装置100によれば、検査対象の患者の体における位置に関して、基画像の位置以外の位置についても、推定画像を取得できる。
【0102】
また、画像処理部192は、基画像の投与線量として設定されている投与線量で撮影された放射線画像をニューラルネットワーク300への入力とし、推定画像の投与線量として設定されている投与線量で撮影された放射線画像を正解とする訓練データを用いて学習済みのニューラルネットワーク300を用いる。
このように、判定装置100では、原画像を劣化させた劣化画像を生成するといった処理を行う必要なしに、ニューラルネットワーク300の学習を行うことができる。
【0103】
また、指標値算出部193は、推定画像の時系列データに基づいて、指標値の時系列データを算出する。
指標値算出部193は、推定画像の時系列データに基づいて、指標値の時系列データを事後的に算出することができる。
【0104】
このように、判定装置100によれば、低投与線量でのPET画像から通常投与線量の場合に近い画質の画像を生成することができ、さらに、SUVといった指標値も提示することができる。
判定装置100では、通常投与線量よりも少ない投与線量で検査を行うことができるため、検査間隔を短縮することによって、経時的な指標値の変化を早期に捉えることが期待でき、がんの早期発見や、がんの再発の早期発見につなげることができる。
【0105】
判定装置100によれば、低画質のPET画像(低投与線量でのPET画像)から、標準PET画像(通常投与線量でのPET画像)に極めて類似した再構成復元画像(推定画像)を生成することができる。そして、判定装置100では、この推定画像を用いて、SUVmax値などの指標値による定量化を高精度に行うことができる。
【0106】
このように、判定装置100によれば、低投与線量でのPET画像を用いて、例えばSUVmax値などの指標値による定量化をおこなって、従来と同様にがん医療のステージを判定することが可能である。したがって、判定装置100によれば、検査時の患者への放射性物質の投与量を減らして患者の被ばく線量を低減しつつ、これまでに蓄積されたがん閾値判定手法を用いた医療診断が可能である。
【0107】
また、判定装置100によれば、検査1回あたりの患者の放射線量の蓄積が少ないことから、これまでよりも検査回数を多くした持続的な検査が可能であり、これによって、がんの発生や状態変化を早期に検出できると期待される。
【0108】
ここで、投与線量と検出器におけるガンマ線のカウント数との関係、および、収集時間とカウント数との関係は、それぞれ比例関係にあることが知られている(例えば、FDG-PET/CT撮像法ガイドライン(2013)参照)。これにより、患者の被ばく線量を抑えるために投与線量を抑えることを、収集時間の減少で近似することができる。一方、短時間収集では、検出器におけるガンマ線のカウント数が減少するため、診断に十分な画質のPET画像を得られない可能性がある。
【0109】
この点について、Pilot Studyとして、判定装置100の実験をおこなった。
Pilot Studyでは、通常投与線量でのPET画像を標準画像とし、また、低投与線量で得られる画像として、通常投与線量で撮影を行った患者のデータを通常の10%という短時間収集で得られたと仮定して再構成した画像を用意した。収集時間100%の標準画像と収集時間10%の短時間収集画像を用いてニューラルネットワークの学習を行い、学習済みのニューラルネットワークを用いて、収集時間10%の短時間収集画像に基づいて標準画像の推定をおこなった。
【0110】
学習過程において、例えば、非特許文献1で16-bit深のオリジナルデータを8-bit深に変換している。これに対し、本発明では、16-bit深データでの学習を行っている。これにより、非特許文献1等の従来の手法では画質により算出が困難であったSUV等の指標値の算出が実現された。
【0111】
短時間収集画像の画質と、判定装置100による推定画像の画質との物理的な評価では、標準画像との対比にて、ピーク信号対雑音比(peak signal-to-noise ratio;PSNR)と構造的類似度(structural similarity;SSIM)とを用いた。指標値の評価には、肝臓におけるSUVmaxを用いた。統計解析では、二群間の差を、対応のあるt検定を用いて評価した。
【0112】
標準画像と比較した短時間収集画像のPSNRは29.27±5.12、SSIMは0.89±0.04であった。これに対し、標準画像と比較した推定画像のPSNRは32.34±3.89、SSIMは0.94±1.28となった。これにより、判定装置100によれば、統計学的に有意に画質が向上することが示された。
【0113】
また、肝臓におけるSUVmaxは、標準画像では4.07±0.55であり、短時間収集画像では7.35±1.28であった。一方、判定装置100による推定画像では、SUVmaxは4.13±0.75となり、標準画像から得られるSUVmaxと、統計学的に有意な差は認められなかった。このことは、判定装置100による推定画像が標準画像に対して非劣勢であることを示しており、診断上問題がないといえる。
【0114】
図10は、少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
図10に示す構成で、コンピュータ700は、CPU710と、主記憶装置720と、補助記憶装置730と、インタフェース740と、不揮発性記録媒体750とを備える。
【0115】
上記の判定装置100が、コンピュータ700に実装されてもよい。その場合、制御部190およびその各部の動作は、プログラムの形式で補助記憶装置730に記憶されている。CPU710は、プログラムを補助記憶装置730から読み出して主記憶装置720に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。
【0116】
また、CPU710は、プログラムに従って、記憶部180に対応する記憶領域を主記憶装置720に確保する。
通信部110による他の装置との通信は、インタフェース740が通信機能を有し、CPU710の制御に従って通信を行うことで実行される。
表示部120による表示は、インタフェース740が表示装置を有し、CPU710の制御に従って各種画像を表示することで実行される。
操作入力部130によるユーザ操作の受け付けは、インタフェース740が例えばキーボードおよびマウスなどの入力デバイスを有してユーザ操作を受け付け、受け付けたユーザ操作を示す情報をCPU710へ出力することで実行される。
【0117】
上述したプログラムのうち何れか1つ以上が不揮発性記録媒体750に記録されていてもよい。この場合、インタフェース740が不揮発性記録媒体750からプログラムを読み出すようにしてもよい。そして、CPU710が、インタフェース740が読み出したプログラムを直接実行するか、あるいは、主記憶装置720または補助記憶装置730に一旦保存して実行するようにしてもよい。
【0118】
なお、判定装置100の全部または一部の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することで各部の処理を行うようにしてもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OS(Operating System)や周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM(Read Only Memory)、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。
【0119】
以上、本発明の実施形態を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0120】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0121】
(付記1)
放射線画像である基画像に基づいて、ニューラルネットワークを用いて、前記基画像の撮影時の投与線量よりも多い投与線量での放射線画像に相当する推定画像を生成する画像処理部と、
得られた推定画像に基づいて、放射線画像で示される放射線量の指標値を算出する指標値算出部と、
得られた指標値と閾値とを比較して、精密検査を提案するか否かを決定する処理、前記指標値と閾値とを比較して、治療効果を判定する処理、前記指標値と閾値とを比較して、腫瘍の良悪性を判定する処理、または、前記指標値と閾値とを比較して、病期を判定する処理の少なくとも何れかを行う判定部と、
を備える判定装置。
【0122】
(付記2)
前記画像処理部は、前記基画像の各ピクセル値の対数をとる対数変換を行い、変換後の画像を前記ニューラルネットワークに入力する、
付記1に記載の判定装置。
【0123】
(付記3)
前記画像処理部は、陽電子放射断層撮影法による複数個所のスライス画像を前記基画像として用いる、
付記1または付記2に記載の判定装置。
【0124】
(付記4)
前記画像処理部は、陽電子放射断層撮影法による複数個所のスライス画像に基づいて、前記陽電子放射断層撮影法における第1のスライス間隔とは異なる第2のスライス間隔によるスライス画像にて、前記推定画像を生成する、
付記3に記載の判定装置。
【0125】
(付記5)
前記画像処理部は、前記基画像の投与線量として設定されている投与線量で撮影された放射線画像をニューラルネットワークへの入力とし、前記推定画像の投与線量として設定されている投与線量で撮影された放射線画像を正解とする訓練データを用いて学習済みの前記ニューラルネットワークを用いる、
付記1から4の何れか一つに記載の判定装置。
【0126】
(付記6)
前記指標値算出部は、前記推定画像の時系列データに基づいて、前記指標値の時系列データを算出する、
付記1から5の何れか一つに記載の判定装置。
【0127】
(付記7)
コンピュータに、
放射線画像である基画像に基づいて、ニューラルネットワークを用いて、前記基画像の撮影時の投与線量よりも多い投与線量での放射線画像に相当する推定画像を生成することと、
得られた推定画像に基づいて、放射線画像で示される放射線量の指標値を算出することと、
得られた指標値と閾値とを比較して、精密検査を提案するか否かを決定する処理、前記指標値と閾値とを比較して、治療効果を判定する処理、前記指標値と閾値とを比較して、腫瘍の良悪性を判定する処理、または、前記指標値と閾値とを比較して、病期を判定する処理の少なくとも何れかを行うことと、
を実行させるためのプログラム。
【符号の説明】
【0128】
1 医療支援システム
100 判定装置
110 通信部
120 表示部
130 操作入力部
180 記憶部
190 制御部
191 データ取得部
192 画像処理部
193 指標値算出部
194 判定部
210 PET装置
220 画像保存伝送システム
230 病院情報システム
240 放射線科情報システム
250 通信ネットワーク
300 ニューラルネットワーク
310 入力層
320 第1中間層
330 第2中間層
340 出力層