(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024076064
(43)【公開日】2024-06-05
(54)【発明の名称】搬送装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B65H 9/00 20060101AFI20240529BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20240529BHJP
B65H 7/06 20060101ALI20240529BHJP
【FI】
B65H9/00 J
G03G15/00 450
B65H7/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022187428
(22)【出願日】2022-11-24
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107423
【弁理士】
【氏名又は名称】城村 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120949
【弁理士】
【氏名又は名称】熊野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100182453
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 英明
(72)【発明者】
【氏名】高橋 元春
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 英明
【テーマコード(参考)】
2H072
3F048
3F102
【Fターム(参考)】
2H072AA24
2H072CA01
2H072HB09
3F048AA01
3F048AB01
3F048BA20
3F048BB02
3F048CC05
3F048DB07
3F048DB09
3F048DC15
3F048EB22
3F048EB29
3F102AA01
3F102AA11
3F102AB01
3F102BA01
3F102BB04
3F102BB08
3F102CA03
3F102CB01
3F102EA03
3F102EC02
3F102FA06
3F102FA08
(57)【要約】
【課題】シートの位置ずれ補正を行うための時間を長く確保する。
【解決手段】検知されたシートの位置に応じて前記シートの位置を補正する補正手段31を備え、搬送方向長さが相対的に長い大サイズシートP1と、大サイズシートP1よりも搬送方向長さが相対的に短い小サイズシートP2の少なくとも2種類のシートを搬送する搬送装置であって、小サイズシートP2を複数枚連続して搬送する場合、先行する小サイズシートP2の後端から次に搬送される後続の小サイズシートP2の先端までの間隔が、最大で大サイズシートP1と小サイズシートP2の搬送方向長さの差分Gだけ縮まるまで、先行する小サイズシートP2の搬送速度を減速させ、補正手段31によって小サイズシートP2が搬送されている間の少なくとも一部の時間内において、小サイズシートP2が減速後の搬送速度で搬送される。
【選択図】
図17
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートの位置を検知する位置検知手段と、
前記シートを搬送しながら、前記位置検知手段によって検知された前記シートの位置に応じて、シート搬送面内での回転方向とシート幅方向との少なくとも一方の前記シートの位置を補正する補正手段とを備え、
搬送方向長さが相対的に長い大サイズシートと、前記大サイズシートよりも搬送方向長さが相対的に短い小サイズシートの少なくとも2種類のシートを搬送する搬送装置であって、
前記小サイズシートを複数枚連続して搬送する場合、先行する前記小サイズシートの後端から次に搬送される後続の前記小サイズシートの先端までの間隔が、最大で前記大サイズシートと前記小サイズシートの搬送方向長さの差分だけ縮まるまで、先行する前記小サイズシートの搬送速度を減速させ、前記補正手段によって前記小サイズシートが搬送されている間の少なくとも一部の時間内において、前記小サイズシートが減速後の搬送速度で搬送されることを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
前記補正手段よりも搬送方向下流側に前記シートを搬送する下流側搬送手段を備え、
前記下流側搬送手段は、前記シートを受け取る受取部が表面に1つ又は等間隔に複数設けられ、前記受取部が前記シートを受け取る受取位置へ一定のタイミングで到達するように回転する搬送回転体であり、
前記大サイズシート及び前記小サイズシートは、前記受取位置への前記受取部の到達タイミングに合うように搬送される請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記小サイズシートは、前記大サイズシートが前記補正手段へ供給されるタイミングよりも早いタイミングで前記補正手段へ供給される請求項2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記位置検知手段は、前記シートの位置を最初に検知する第1位置検知を行った後、前記第1位置検知よりも搬送方向下流側において前記シートの位置を検知する第2位置検知を行い、
前記補正手段は、前記第1位置検知によって検知された前記シートの位置に応じて、シート搬送面内での回転方向とシート幅方向との少なくとも一方の前記シートの位置を補正する第1補正と、前記第2位置検知によって検知された前記シートの位置に応じて、シート搬送面内での回転方向とシート幅方向との少なくとも一方の前記シートの位置を補正する第2補正とを行う搬送装置であって、
前記第2補正が行われている間の少なくとも一部の時間内において、前記小サイズシートが減速後の搬送速度で搬送される請求項1から3のいずれか1項に記載の搬送装置。
【請求項5】
前記大サイズシートは、搬送される前記シートのうち、搬送方向長さが最大のシートである請求項1から3のいずれか1項に記載の搬送装置。
【請求項6】
請求項1から3のいずれか1項に記載の搬送装置と、
前記搬送装置によって搬送されるシートに画像を形成する画像形成部とを備えることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シートを搬送する搬送装置として、例えば、複写機、プリンタなどの画像形成装置において用紙や原稿などのシートを搬送する搬送装置が知られている。
【0003】
この種の搬送装置においては、搬送されるシートの先端を搬送ローラ対のニップに突き当ててシートの斜行を補正し、その後、搬送ローラ対を回転させてシートを搬送する方法が採用されている。しかしながら、この方法は、シートの搬送を一旦停止させることになるため、生産性(画像形成速度)が低下するといった課題がある。
【0004】
斯かる課題に対して、特許文献1(特開2005-53646号公報)においては、生産性を低下させずにシートを精度良く搬送するため、搬送ローラ対によってシートを搬送しながらその搬送ローラ対をシートの位置ずれ方向と反対方向に移動させ、シートの位置ずれを補正する搬送装置が提案されている。
【0005】
このように、シートを搬送しながらその位置ずれ補正を行うことにより、生産性を低下させずにシートを精度良く搬送することが可能となる。しかしながら、さらなる生産性向上などのために、シートの搬送速度を速くすると、搬送ローラ対によってシートを搬送しながら位置ずれ補正を行うことができる時間が短くなるため、位置ずれ補正に必要な時間を十分に確保することができず、補正の精度が低下する懸念がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明においては、シートの位置ずれ補正を行うための時間を長く確保することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明は、シートの位置を検知する位置検知手段と、前記シートを搬送しながら、前記位置検知手段によって検知された前記シートの位置に応じて、シート搬送面内での回転方向とシート幅方向との少なくとも一方の前記シートの位置を補正する補正手段とを備え、搬送方向長さが相対的に長い大サイズシートと、前記大サイズシートよりも搬送方向長さが相対的に短い小サイズシートの少なくとも2種類のシートを搬送する搬送装置であって、前記小サイズシートを複数枚連続して搬送する場合、先行する前記小サイズシートの後端から次に搬送される後続の前記小サイズシートの先端までの間隔が、最大で前記大サイズシートと前記小サイズシートの搬送方向長さの差分だけ縮まるまで、先行する前記小サイズシートの搬送速度を減速させ、前記補正手段によって前記小サイズシートが搬送されている間の少なくとも一部の時間内において、前記小サイズシートが減速後の搬送速度で搬送されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、シートの位置ずれ補正を行うための時間を長く確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態に係るインクジェット式画像形成装置の全体構成を示す図である。
【
図3】補正ローラを駆動させる駆動機構の側面図である。
【
図4】補正ローラを駆動させる駆動機構の平面図である。
【
図5】(a)は保持フレームが幅方向のみに移動した態様を示す図、(b)は保持フレームが用紙搬送面内の回転方向のみに移動した態様を示す図、(c)は保持フレームが幅方向と用紙搬送面内の回転方向との両方向に移動した態様を示す図である。
【
図6】本実施形態に係る搬送装置の制御系の構成を示す図である。
【
図7】用紙位置ずれ量の算出方法を説明するための図である。
【
図8】用紙位置ずれ量の算出方法を説明するための図である。
【
図9】本実施形態に係る搬送装置の動きを示す図であって、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【
図10】本実施形態に係る搬送装置の動きを示す図であって、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【
図11】本実施形態に係る搬送装置の動きを示す図であって、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【
図12】本実施形態に係る搬送装置の動きを示す図であって、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【
図13】本実施形態に係る搬送装置の動きを示す図であって、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【
図14】本実施形態に係る搬送装置の動きを示す図であって、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【
図15】搬送動作のフローチャートを示す図である。
【
図16】搬送速度制御のフローチャートを示す図である。
【
図17】(a)は大サイズ用紙が複数枚連続して搬送される様子を示す平面図であり、(b)は小サイズ用紙が複数枚連続して搬送される様子を示す平面図である。
【
図18】連続搬送時に1枚目の小サイズ用紙が補正ローラへ搬送される様子を示す平面図である。
【
図19】1枚目の小サイズ用紙が、補正ローラに到達し、補正ローラによって搬送されている様子を示す平面図である。
【
図20】大サイズ用紙と小サイズ用紙を搬送する際の搬送動作のフローチャートを示す図である。
【
図21】本実施形態に係る搬送装置を電子写真式の画像形成装置に適用した例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付の図面に基づき、本発明について説明する。なお、本発明を説明するための各図面において、同一の機能もしくは形状を有する部材及び構成部品などの構成要素については、判別が可能な限り同一符号を付すことにより一度説明した後ではその説明を省略する。
【0011】
図1は、本発明の実施の一形態に係るインクジェット式の画像形成装置の概略構成図である。
【0012】
[全体構成]
本実施形態に係る画像形成装置100は、主に、給紙部1、画像形成部2、乾燥部3、排紙部4により構成されている。また、画像形成装置100は、給紙部1から画像形成部2及び乾燥部3を経由して排紙部4へシートを搬送する搬送装置7を備えている。以下、「シート」を記録媒体の一例である「用紙」として説明するが、「シート」は紙(用紙)に限定されない。「シート」は、紙(用紙)だけでなくOHPシート又は布帛、金属シート、プラスチックフィルム、あるいは炭素繊維にあらかじめ樹脂を含浸させたプリプレグシートなども含む。また、「用紙」には、普通紙以外に、厚紙、はがき、封筒、薄紙、塗工紙(コート紙及びアート紙など)、トレーシングペーパなども含まれる。
【0013】
図1に示されるように、給紙部1から画像形成部2へ用紙Pが供給されると、画像形成部2において用紙Pにインクが吐出され、用紙Pに画像が形成される。そして、用紙Pは乾燥部3へ搬送され、乾燥部3において用紙Pの乾燥処理が行われる。その後、用紙Pは排紙部4へ排出される。また、両面印刷する場合は、画像形成部2において用紙Pの表側の面に画像が形成された後、乾燥部3において乾燥処理が行われ、用紙Pが排紙部4へ排出されることなく反転搬送経路150へ搬送される。用紙Pは、反転搬送経路150を通過することにより、表裏反転された状態で再び画像形成部2に供給され、画像形成部2において用紙Pの裏側の面に画像が形成された後、乾燥部3において乾燥処理が行われ、排紙部4へ排出される。
【0014】
[搬送装置]
搬送装置7は、一対の補正ローラ31と、第1渡し胴8と、用紙担持ドラム9と、第2渡し胴11などを備えている。一対の補正ローラ31は、給紙部1から供給される用紙Pを搬送する搬送手段であると共に、その用紙Pの位置を補正する補正手段でもある。一方、第1渡し胴8、用紙担持ドラム9、第2渡し胴11は、用紙Pを外周面に担持して搬送する搬送回転体である。第1渡し胴8、用紙担持ドラム9、第2渡し胴11は、用紙Pが搬送される搬送方向下流側に向かって第1渡し胴8、用紙担持ドラム9、第2渡し胴11の順に配置されている。従って、用紙Pは、第1渡し胴8から用紙担持ドラム9へ受け渡され、さらに用紙担持ドラム9から第2渡し胴11へ受け渡されて搬送される。
【0015】
[給紙部]
給紙部1は、複数の用紙Pが積載される給紙トレイ5と、給紙トレイ5から用紙Pを1枚ずつ分離して送り出す給送装置6とを備えている。給送装置6には、ローラ又はコロを用いた装置や、エア吸引を利用した装置など、種々の給送装置を用いることが可能である。給送装置6によって送り出された用紙Pは、上記搬送装置7によって画像形成部2へ搬送される。
【0016】
[画像形成部]
画像形成部2は、用紙担持ドラム9に担持される用紙Pに対して液体のインクを吐出する液体吐出部10を備えている。液体吐出部10は、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)の4色のインクを吐出して画像を形成するものであり、インクごとに個別の液体吐出ヘッド10C,10M,10Y,10Kを備えている。各液体吐出ヘッド10C,10M,10Y,10Kは、液体を吐出するものであれば、その構成に制限はなく、あらゆる構成のものを採用することができる。必要に応じて、白色、金色、銀色などの特殊なインクを吐出する液体吐出ヘッドを設けたり、表面コート液などの画像を構成しない液体を吐出する液体吐出ヘッドを設けたりしてもよい。
【0017】
各液体吐出ヘッド10C,10M,10Y,10Kは、画像情報に応じた駆動信号によりそれぞれ吐出動作が制御される。用紙担持ドラム9上の用紙Pが液体吐出部10との対向領域に到達すると、各液体吐出ヘッド10C,10M,10Y,10Kから各色インクが吐出され、画像情報に応じた画像が形成される。
【0018】
[乾燥部]
乾燥部3は、用紙Pに吐出されたインクを乾燥させるための乾燥装置13を備えている。乾燥装置13は、例えば、内部にヒータなどの加熱手段を有する加熱ローラを備えており、この加熱ローラの表面に用紙Pが接触しながら搬送されることにより、用紙Pが加熱される。これにより、用紙P上のインク中の水分(液分)が蒸発し、用紙P上にインクが固着して画像が定着されると供に、用紙Pのカールなども抑制される。また、乾燥装置13は、用紙Pに対して温風又は冷風を吹き付けるものであってもよい。
【0019】
[排紙部]
排紙部4は、複数の用紙Pが積載される排紙トレイ15を備えている。乾燥部3から排紙部4へ用紙Pが搬送されると、用紙Pが排紙トレイ15上に順次積み重ねられて保持される。なお、排紙部4は、用紙Pを排紙するものであれば、その構成に制限はない。
【0020】
[その他の追加機能部]
本実施形態に係る画像形成装置100は、主に、給紙部1、画像形成部2、乾燥部3、排紙部4及び搬送装置7から構成されるが、他の機能部を適宜追加してもよい。例えば、給紙部1と画像形成部2との間に画像形成の前処理を行う前処理部を追加したり、乾燥部3と排紙部4との間に画像形成の後処理を行う後処理部を追加したりすることができる。
【0021】
前処理部としては、例えば、インクと反応して滲みを抑制するための処理液を用紙Pに塗布する処理液塗布処理を行うものなどが挙げられるが、前処理の内容については特に制限はない。また、後処理部としては、例えば、画像形成部2で画像が形成された用紙Pを反転させて再び画像形成部2へ送って用紙Pの両面に画像を形成するための用紙反転搬送処理のほか、画像が形成された複数枚の用紙Pを綴じる処理などが挙げられるが、後処理の内容についても特に制限はない。
【0022】
なお、用紙に形成される「画像」は、文字、図形などの有意な画像が可視化されるものに限定されるものではなく、例えば、それ自体意味を持たないパターンなども含まれる。また、画像が形成される「シート」は、材質を限定されるものではなく、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックスなど、液体が一時的でも付着可能なものであればよく、例えば、フィルム製品、衣料用などの布製品、壁紙、床材などの建材、皮革製品などに使用されるものであってもよい。また、「液体」は、ヘッドから吐出可能な粘度及び表面張力を有するものであればよく、特に限定されないが、常温、常圧下において、又は加熱、冷却により粘度が30mPa・s以下となるものであることが好ましい。より具体的には、水、有機溶媒などの溶媒、染料、顔料などの着色剤、重合性化合物、樹脂、界面活性剤などの機能性付与材料、DNA、アミノ酸、たんぱく質、カルシウムなどの生体適合材料、天然色素などの可食材料を含む溶液、懸濁液、エマルジョンなどであり、これらは例えば、インクジェット用インク、表面処理液などの用途で用いることができる。
【0023】
また、「インクジェット式の画像形成装置」は、液体吐出ヘッドとシートとが相対的に移動する装置があるが、これに限定するものではない。具体例としては、液体吐出ヘッドを移動させるシリアル型装置、液体吐出ヘッドを移動させないライン型装置などが含まれる。
【0024】
また、「液体吐出ヘッド」とは、吐出孔(ノズル)から液体を吐出又は噴射する機能部品である。液体を吐出するエネルギー発生源として、圧電アクチュエータ(積層型圧電素子及び薄膜型圧電素子)、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いるサーマルアクチュエータ、振動板と対向電極からなる静電アクチュエータなどの吐出エネルギー発生手段を使用することができるが、使用する吐出エネルギー発生手段が限定されるものではない。
【0025】
続いて、本実施形態に係る搬送装置7の構成について詳しく説明する。
【0026】
図2は、本実施形態に係る搬送装置7の平面図である。
【0027】
図2に示されるように、搬送装置7は、上記一対の補正ローラ31などのほか、補正ローラ31よりも搬送方向上流側に配置される上流側搬送手段としての一対の上流側搬送ローラ44と、3つのCIS101~103と、先端検知センサ200とを備えている。
【0028】
先端検知センサ200は、用紙Pが第1渡し胴8へ搬送される目標搬送タイミングを算出するために用紙Pの先端位置を検知する先端検知手段である。先端検知センサ200は、例えば、反射型光学センサなどであり、補正ローラ31よりも搬送方向下流側に配置されている。
【0029】
3つのCIS101~103は、用紙Pの位置ずれ量を算出するために用紙Pの位置を検知する位置検知手段である。これらのCIS101~103は、近年、装置の小型化を目的として、形状の小さいLED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)を光源に利用し、レンズを介してリニアセンサで画像を直接読み取るコンタクト・イメージ・センサ(Contact Image Sensor)と呼ばれるものである。各CIS101~103は、用紙Pの幅方向(搬送方向に交差又は直交する方向)に設けられた複数のラインセンサにより、用紙Pの幅方向の一端側の側端部Pa(
図2参照)を検知することが可能である。ここで、3つのCIS101~103を、搬送方向上流側から順に、第1のCIS(第1位置検知手段)101、第2のCIS(第2位置検知手段)102、第3のCIS(第3位置検知手段)103と称すると、第1のCIS101及び第2のCIS102は、補正ローラ31と上流側搬送ローラ44との間に配置されている。一方、第3のCIS103は、補正ローラ31とこれよりも搬送方向下流側に配置される下流側搬送手段としての第1渡し胴8との間に配置されている。
【0030】
一対の補正ローラ31は、用紙Pの幅方向(
図2中の矢印S方向)に移動可能に構成されると共に、支軸73を中心に用紙搬送面内で(
図2中の矢印W方向に)回転可能に構成されている。補正ローラ31は、用紙Pを挟持して搬送しながら、用紙Pの幅方向に移動したり、支軸73を中心に用紙搬送面内で回転したりすることにより、用紙Pの位置を変更(補正)する。これにより、用紙Pの幅方向の位置ずれαと斜行の位置ずれβとが補正される。本実施形態においては、支軸73が補正ローラ31の軸方向一端部側に設けられているが、支軸73は補正ローラ31の軸方向中央位置に設けられていてもよい。
【0031】
図3及び
図4に、補正ローラ31を駆動させる駆動機構の構成を示す。
図3は、駆動機構の側面図、
図4は、駆動機構の平面図である。
【0032】
図3に示されるように、一対の補正ローラ31は、用紙幅方向に伸びるローラ軸回りに回転駆動する駆動ローラ31aと、駆動ローラ31aと一緒に従動回転する従動ローラ31bとによって構成されている。駆動ローラ31a及び従動ローラ31bは、保持部材としての保持フレーム72によってローラ軸回りに回転可能に保持されている。また、保持フレーム72は、画像形成装置の本体フレーム70に固定されたベースフレーム71によって支持されている。
【0033】
図4に示されるように、保持フレーム72は、中継支持部材としてのフリーベアリング(ボールトランスファー)95を介してベースフレーム71上に設けられている。これにより、保持フレーム72は、ベースフレーム71に対してその上面に沿って用紙搬送面内(シート搬送面内)のいずれの方向にも移動可能に構成されている。このように、フリーベアリング95を用いて保持フレーム72を支持することにより、保持フレーム72が移動する際の摩擦負荷を極めて小さくすることができる。このため、後述する用紙の位置ずれ補正を高速でかつ高精度に行うことができる。本実施形態においては、4つのフリーベアリング95によって保持フレーム72を支持しているが、フリーベアリング95の個数は3箇所以上であればよい。
【0034】
また、
図3に示されるように、保持フレーム72には、補正ローラ31の用紙搬送面内での回転中心となる上記支軸73が下方へと伸びるように設けられている。支軸73の下端部は、ベースフレーム71に形成された幅方向ガイド部71aに挿入されている。幅方向ガイド部71aは、幅方向(
図4中の矢印S方向)に略直線状に伸びるように形成された穴部である。また、支軸73の下端部にはガイドコロ79が回転可能に設けられており、このガイドコロ79を介して支軸73が幅方向ガイド部71aに接触するように挿入されている。支軸73が幅方向ガイド部71aに沿って幅方向に移動することにより、保持フレーム72及びこれに保持される補正ローラ31も幅方向に移動する。また、保持フレーム72は支軸73を中心に用紙搬送面内で(
図4中の矢印W方向に)回転するようにも構成されているため、保持フレーム72によって保持される補正ローラ31も用紙搬送面内で回転することができる。
【0035】
図3に示されるように、本体フレーム70の図の右端側に設けられるブラケット69には、駆動ローラ31a(補正ローラ31)に対して用紙搬送用の駆動力を付与する搬送駆動モータ(搬送駆動手段)61が設けられている。搬送駆動モータ61と駆動ローラ31aとは、複数のギア66,67から成るギア列とカップリング機構65とを介して連結されている。カップリング機構65は、例えば、二段スプラインカップリングにより構成され、駆動ローラ31aとギア67の各回転軸が互いに軸方向に接近したり、離間したり、あるいは傾斜したりしても、駆動ローラ31aとギア67との間において駆動力伝達可能に保持することができる。駆動ローラ31aとギア67がこのようなカップリング機構65を介して連結されていることにより、補正ローラ31が幅方向に移動したり用紙搬送面内で回転したりしても、搬送駆動モータ61から駆動ローラ31aへ良好に駆動力が伝達される。
【0036】
また、
図3に示されるように、駆動ローラ31aの搬送駆動モータ61側とは反対側の端部には、駆動ローラ31aの搬送速度(搬送駆動モータ61の回転速度)を検知する搬送速度検知手段としてのロータリーエンコーダ96が設けられている。駆動ローラ31a(補正ローラ31)は、このロータリーエンコーダ96の検知結果に基づいて搬送速度が制御される。
【0037】
また、本実施形態に係る搬送装置7は、保持フレーム72及び補正ローラ31を用紙の幅方向に移動させる幅方向駆動機構38と、保持フレーム72及び補正ローラ31を用紙搬送面内の回転方向に回転させる斜行方向駆動機構39とを備えている。
【0038】
図3及び
図4に示されるように、幅方向駆動機構38は、幅方向駆動モータ(幅方向駆動手段)62、タイミングベルト97、カム45、引張バネ59などにより構成されている。
【0039】
引張バネ59は、保持フレーム72とベースフレーム71との間に接続され、保持フレーム72を幅方向の一方向(
図4における左方向)へ付勢する。また、引張バネ59の付勢力によって、カム45が支軸73に設けられたカムフォロワ46に対して接触した状態で保持される。カム45は、その回転軸45aを中心に回転可能にベースフレーム71に設けられており、カム45が回転軸45aを中心回転すると、カム45によってカムフォロワ46が押し動かされ、保持フレーム72が幅方向(
図4における右方向)へ移動する。
【0040】
また、カム45と幅方向駆動モータ62は、タイミングベルト97(
図3参照)を介して駆動伝達可能に構成されている。従って、幅方向駆動モータ62が駆動すると、その駆動力がタイミングベルト97を介してカム45に伝達され、カム45が回転する。また、カム45の回転軸45aには、カム45の回転角(回転量)を検知する回転角検知手段としてのロータリーエンコーダ57(
図3参照)が設けられている。このロータリーエンコーダ57の検知結果に基づき幅方向駆動モータ62の駆動が制御されることにより、カム45の回転角度が制御されて、保持フレーム72の幅方向への移動量が調整される。すなわち、このロータリーエンコーダ57は、保持フレーム72及び補正ローラ31が幅方向へ移動する際の移動量を検知する幅方向移動量検知手段として機能する。
【0041】
図3及び
図4に示されるように、斜行方向駆動機構39は、斜行方向駆動モータ(斜行方向駆動手段)63、タイミングベルト98、カム47、引張バネ60、レバー部材50などにより構成されている。
【0042】
引張バネ60は、保持フレーム72とベースフレーム71との間に接続され、保持フレーム72を斜行方向の一方向(
図4における支軸73を中心とする反時計回り)へ付勢している。また、引張バネ60の付勢力によって、レバー部材50の一端部に設けられるカムフォロワ48がカム47に対して接触した状態で保持される。カム47は、その回転軸47aを中心に回転可能にベースフレーム71に設けられており、カム47がその回転軸47aを中心に回転すると、カム47によってカムフォロワ48が押し動かされ、レバー部材50がその回転軸50aを中心に(
図4における反時計回りに)回転する。
【0043】
また、レバー部材50の上記一端部側とは反対側の端部には、作用コロ49が回転可能に設けられている。従って、カム47の回転に伴ってレバー部材50が(
図4における反時計回りに)回転すると、作用コロ49が保持フレーム72に設けられている突起部72aを押圧し、保持フレーム72が用紙搬送面内の回転方向に(
図4における反時計回りに)回転する。
【0044】
また、カム47と斜行方向駆動モータ63は、タイミングベルト98(
図3参照)を介して駆動伝達可能に構成されている。従って、斜行方向駆動モータ63が駆動すると、その駆動力がタイミングベルト98を介してカム47に伝達され、カム47が回転する。また、カム47の回転軸47aには、カム47の回転角(回転量)を検知する回転角検知手段としてのロータリーエンコーダ58(
図3参照)が設けられている。このロータリーエンコーダ58の検知結果に基づき斜行方向駆動モータ63の駆動が制御されることにより、カム47の回転角度が制御されて、保持フレーム72の用紙搬送面内での回転量が調整される。すなわち、このロータリーエンコーダ58は、保持フレーム72及び補正ローラ31が用紙搬送面内で回転する際の斜行方向の移動量を検知する斜行方向移動量検知手段として機能する。
【0045】
【0046】
図5において、(a)は、幅方向駆動機構38のカム45のみが回転し、保持フレーム72が幅方向(図における右側)へ移動した態様を示す図である。これに対して、
図5の(b)は、斜行方向駆動機構39のカム47のみが回転し、保持フレーム72が用紙搬送面内で(図における反時計回りに)回転した態様を示す図である。また、
図5の(c)は、両方のカム45,47が回転し、保持フレーム72が幅方向(図における右側)に移動すると共に、用紙搬送面内で(図における反時計回りに)回転した態様を示す図である。このように、保持フレーム72が幅方向及び用紙搬送面内の回転方向の少なくとも一方へ移動することにより、保持フレーム72によって保持される補正ローラ31も幅方向及び用紙搬送面内の回転方向の少なくとも一方へ移動する。
【0047】
図6は、本実施形態に係る搬送装置7の制御系の構成を示す図である。
【0048】
図6に示されるように、本実施形態に係る搬送装置7は、用紙の位置ずれ補正及び用紙の搬送速度の制御を行う制御部20を備えている。具体的に、制御部20は、用紙の位置ずれ量を算出する位置ずれ量算出部21と、用紙が第1渡し胴8へ搬送される目標搬送タイミングを算出する目標搬送タイミング算出部24と、補正ローラ31及び上流側搬送ローラ44の搬送速度を制御する搬送速度制御部25とを備えている。
【0049】
位置ずれ量算出部21は、各CIS101~103の検知結果に基づいて用紙の位置ずれ量を算出する。制御部20は、位置ずれ量算出部21によって算出された位置ずれ量に基づいて補正ローラ31を制御し、用紙の位置ずれを補正する。すなわち、制御部20は、用紙の位置ずれ補正を行うために、補正ローラ31を幅方向に移動させる上記幅方向駆動モータ62と、補正ローラ31を用紙搬送面内の回転方向に回転させる上記斜行方向駆動モータ63とを制御する。
【0050】
目標搬送タイミング算出部24は、先端検知センサ200によって検知された用紙の搬送位置情報と、第1渡し胴8に設けられたホームポジションセンサ80(
図9参照)によって検知された第1渡し胴8の回転位置情報(第1渡し胴8上のグリッパ16が回転基準位置Cに達するタイミング)とに基づいて、用紙Pが第1渡し胴8へ搬送される目標搬送タイミングを算出する。本実施形態においては、一定の速度で回転する第1渡し胴8の表面に用紙Pを受け取る受取部としてのグリッパ16(
図9参照)が揺動可能に設けられ、用紙Pの先端がグリッパ16の受取位置Aに達すると(
図14参照)、グリッパ16が揺動して用紙Pを保持する。このとき、グリッパ16に対する用紙Pの受け渡しが確実に行われるには、グリッパ16がその受取位置Aに到達するタイミングに合わせて、用紙Pがグリッパ16の受取位置Aに到達することが求められる。そのため、本実施形態においては、用紙Pがグリッパ16と同時に受取位置Aに達するタイミングを目標搬送タイミングとしている。なお、本実施形態においては、グリッパ16が第1渡し胴8の表面(外周面)に1つのみ設けられているが、グリッパ16は第1渡し胴8の表面に等間隔に複数設けられていてもよい。
【0051】
搬送速度制御部25は、目標搬送タイミング算出部24によって算出された目標搬送タイミングや、補正ローラ31の搬送速度を検知するロータリーエンコーダ96の検知信号、あるいは、補正ローラ31の幅方向移動量又は用紙搬送面内での回転量を検知する各ロータリーエンコーダ57,58の検知信号に基づいて、補正ローラ31の搬送速度(搬送駆動モータ61の回転速度)を制御する。また、搬送速度制御部25は、上流側搬送ローラ44の搬送速度(搬送駆動モータ81の回転速度)も制御する。上流側搬送ローラ44には、補正ローラ31と同様に、搬送速度(搬送駆動モータ81の回転速度)を検知する搬送速度検知手段としてのロータリーエンコーダ82(
図2参照)が設けられており、このロータリーエンコーダ82の検知信号に基づいて上流側搬送ローラ44の搬送速度が搬送速度制御部25によって制御される。
【0052】
続いて、
図7及び
図8を用いて、CIS101~103の検知結果に基づく用紙位置ずれ量の算出方法について説明する。
【0053】
図7に示されるように、用紙Pの先端Pbが第1のCIS101を通過し、第2のCIS102に到達すると、用紙Pの幅方向の位置ずれ量αと斜行の位置ずれ量βとが検知される。
【0054】
具体的に、幅方向の位置ずれ量αは、第2のCIS102によって検知された用紙Pの幅方向の位置(用紙Pの側端部Paの位置)に基づいて算出される。すなわち、第2のCIS102によって検知された幅方向の位置と搬送基準位置Kと比較し、これらの間の幅方向の距離K1が用紙Pの幅方向の位置ずれ量αとなる。
【0055】
また、斜行の位置ずれβは、第1のCIS101及び第2のCIS102のそれぞれによって検知された用紙Pの幅方向の位置の差から算出される。つまり、
図7に示されるように、用紙Pの先端Pbが第2のCIS102に到達した時点で、第1のCIS101と第2のCIS102とによって搬送基準位置Kからの幅方向の距離K1,K2が検知される。そして、これらの距離K1,K2と、予め設定されている第1のCIS101と第2のCIS102との間の距離M1とから、tanβ=(K1-K2)/M1の式を用いて、斜行の位置ずれ量βが算出される。
【0056】
このようにして、幅方向の位置ずれ量αと斜行の位置ずれ量βとが算出される。また、第1のCIS101と第2のCIS102との検知結果を用いる場合のほか、第2のCIS102と第3のCIS103の検知結果を用いても、同じように位置ずれ量α,βを算出できる。その場合の算出方法も、上記算出方法と同じである。なお、
図8に示されるように、斜行の位置ずれ補正が行われることにより、用紙がPの位置からP´の位置へ移動すると、幅方向の位置ずれ量がαからα´に変化する。従って、この幅方向の位置ずれ量α´を予め算出しておくことで、より高精度な位置ずれ補正を行うことが可能である。
【0057】
続いて、
図9~
図14、及び
図15のフローチャートを参照しつつ、本実施形態に係る搬送装置7の動作について説明する。
【0058】
図9の(a)(b)は、用紙Pの搬送が開始された状態を示す図である。このとき、一対の補正ローラ31は、用紙Pの搬送方向に対してローラ軸が直交するように基準位置に配置されている。また、その基準位置において、補正ローラ31は回転せずに静止し、互いに離間した状態で待機している。
【0059】
その後、
図10の(a)(b)に示されるように、用紙Pの先端Pbが、第1のCIS101を通過し、第2のCIS102に到達すると、第1のCIS101と第2のCIS102とによって用紙Pの側端部Paの位置が検知される(
図15のS1)。以下、このときの検知を「第1位置検知」と称する。そして、第1位置検知により検知された位置情報に基づいて、幅方向の位置ずれ量α(又は斜行の位置ずれ補正に伴うずれ量も含めた位置ずれ量α´)と斜行の位置ずれ量βとが上記位置ずれ量算出部21(
図6参照)によって算出される。
【0060】
そして、算出された位置ずれ量に基づいて、幅方向駆動モータ62及び斜行方向駆動モータ63が制御され、補正ローラ31を幅方向に(
図10中の矢印S1方向に)移動させると共に、用紙搬送面内の回転方向に(
図10中の矢印W1方向に)回転させる。これにより、補正ローラ31を用紙Pの先端Pbに対して正対させる「迎え動作」が行われる(
図15のS2)。
【0061】
その後、補正ローラ31同士が、所定のタイミングで接触し回転が開始されると、
図11の(a)(b)に示されるように、用紙Pが正対する補正ローラ31に迎え入れられ、補正ローラ31によって用紙Pが挟持されながら搬送される。一方、上流側搬送ローラ44は互いに離間した状態となる。
【0062】
そして、
図11の(a)(b)に示されるように、用紙Pの先端Pbが先端検知センサ200の位置に到達すると、先端検知センサ200によって用紙Pの先端Pbが検知される(
図15のS3)。また、あらかじめ第1渡し胴8のホームポジションセンサ80によって第1渡し胴8のグリッパ16が回転基準位置Cに達するタイミングが検知されており、このホームポジションセンサ80の検知情報と上記先端検知センサ200の検知情報(用紙Pの先端Pbが先端検知センサ200に到達したタイミング)とに基づいて用紙Pの目標搬送タイミングが算出される。この目標搬送タイミングは、上記目標搬送タイミング算出部24(
図6参照)によって算出され、算出されたタイミングが、受取位置Aに到達する用紙Pの目標搬送タイミングとして設定される(
図15のS4)。
【0063】
その後、
図12の(a)(b)に示されるように、補正ローラ31によって用紙Pを搬送しながら、補正ローラ31を上記迎え動作とは反対方向(図の矢印S2方向及び矢印W2方向)に駆動させる「戻し動作」を行う(
図15のS5)。これにより、用紙Pの幅方向の位置ずれ及び斜行の位置ずれが補正される。以下、このときの補正を「第1補正」と称する。なお、
図15に示されるフローチャートにおいては、戻し動作(第1補正)S5が、先端検知センサ200による位置検知S3よりも後のタイミングで行われているが、戻し動作S5は迎え動作S2直後であって先端検知センサ200による位置検知S3よりも前のタイミングで開始されてもよい。
【0064】
さらに、用紙Pが下流へ搬送されて、
図13の(a)(b)に示されるように、用紙Pの先端Pbが第3のCIS103に到達すると、第2のCIS102と第3のCIS103とによって再度用紙Pの側端部Paの位置が検知される(
図15のS6)。以下、このときの検知を「第2位置検知」と称する。そして、第2位置検知よって検知された位置情報に基づいて、用紙Pの幅方向の位置ずれ量と斜行の位置ずれ量とが位置ずれ量算出部21によって算出される。
【0065】
そして、算出された位置ずれ量に基づいて、幅方向駆動モータ62及び斜行方向駆動モータ63が制御され、補正ローラ31を幅方向に(
図13中の矢印S3方向又は矢印S4方向に)移動させると共に、用紙搬送面内の回転方向に(
図13中の矢印W3方向又は矢印W4方向に)回転させて、用紙Pの位置ずれが補正される(
図15のS7)。以下、このときの補正を「第2補正」と称する。
【0066】
このように、戻し動作(第1補正)が行われた後においても、用紙Pの位置ずれを検知し(第2位置検知)、その検知結果に基づいて用紙Pの位置ずれ補正を行うことにより(第2補正)、補正ローラ31によって用紙Pが搬送される間に生じる位置ずれを解消することができる。また、このような戻し動作後の位置ずれ検知(第2位置検知)は、用紙が第2のCIS102と第3のCIS103を通過中であれば、所定の間隔で複数回行うことができる。従って、このような位置ずれ検知(第2位置検知)を用紙Pが第1渡し胴8の用紙受取位置Aへ到達するまでに複数回行い、そのたびに位置ずれ補正(第2補正)を行うことにより(
図15のS6~S9)、高精度に用紙を搬送することが可能となる。その後、
図14の(a)(b)に示されるように、用紙Pは、第1渡し胴8のグリッパ16が受取位置Aに到達するタイミングに合わせてその受取位置Aへ搬送される(
図15のS9)。
【0067】
ここで、上記のような第2補正が、目標搬送タイミングの設定後に行われる場合は、第2補正に伴って用紙Pの搬送方向の位置が変化するため、そのままの搬送速度で用紙Pが搬送されると、用紙Pが受取位置Aへ到達するタイミングと、第1渡し胴8のグリッパ16が受取位置Aへ到達するタイミングとの間にずれが発生する。その場合、グリッパ16によって用紙Pを精度良く把持することができなくなる虞がある。
【0068】
そこで、本実施形態においては、第2補正が行われた場合、その位置ずれ補正が行われるたびに、用紙の位置ずれ補正量に基づいて補正ローラ31の搬送速度を変更(修正)するようにしている(
図15のS8)。このように、補正ローラ31の搬送速度を変更することにより、グリッパ16が用紙受取位置Aに到達するタイミングに合わせて用紙Pを用紙受取位置Aに精度良く搬送することができ、グリッパ16によって用紙Pを確実に受け取る(把持する)ことができるようになる。
【0069】
上記第2補正が行われた場合の補正ローラ31の搬送速度の制御は、次のようにして行われる。
【0070】
まず、
図16のフローチャートに示されるように、第1渡し胴8のホームポジションセンサ80の検知情報に基づいてグリッパ16が回転基準位置Cにいることが確認され(
図16のS11)、さらに、先端検知センサ200によって用紙の先端が検知されると(
図16のS12)、その検知情報とホームポジションセンサ80の検知情報とに基づいて目標搬送タイミングが設定される(
図16のS13)。
【0071】
そして、設定された目標搬送タイミングに合わせて補正ローラ31の目標搬送速度が算出される(
図16のS14)。なお、この補正ローラ31の目標搬送速度の算出は、目標搬送タイミング算出部24(
図6参照)により行ってもよいし、別の演算部により行ってもよい。そして、算出された目標搬送速度に基づいて補正ローラ31の搬送速度が制御される(
図16のS15)。
【0072】
その後、用紙搬送時間が目標搬送タイミングに達するまで(
図16のS18において「NO」の場合)、補正ローラ31に設けられているロータリーエンコーダ96(
図6参照)からの信号に基づいて、補正ローラ31の搬送速度が管理される。すなわち、ロータリーエンコーダ96からの信号を搬送速度制御部25(
図6参照)が受信し(
図16のS16)、補正ローラ31の搬送速度が目標搬送速度に対して速い場合は搬送速度を遅くし、反対に搬送速度が遅い場合は速くするように制御する。
【0073】
また、用紙搬送時間が目標搬送タイミングに達するまでの間に第2補正が行われた場合は、第2補正の補正量に基づいて補正ローラ31の搬送速度を変更する。第2補正の補正量は、第2補正時の補正ローラ31の幅方向の移動量及び用紙搬送面内の回転方向の移動量に相当するため、本実施形態においては、補正ローラ31の幅方向の移動量及び用紙搬送面内の回転方向の移動量を検知する各ロータリーエンコーダ57,58(
図6参照)からの信号を搬送速度制御部25が受信し(
図16のS17)、受信した信号に基づいて搬送速度制御部25が用紙の搬送速度を制御する。詳しくは、これらのロータリーエンコーダ57,58からの信号と、上記補正ローラ31の搬送速度を管理するロータリーエンコーダ96からの信号とに基づいて、改めて補正ローラ31の目標搬送速度が算出され(
図16のS14)、算出された目標搬送速度に基づいて補正ローラ31の搬送速度が制御される(
図16のS15)。そして、このような補正ローラ31の搬送速度の制御が、用紙搬送時間が目標搬送タイミングに達するまで行われる(
図16のS18)。
【0074】
その後、用紙搬送時間が目標搬送タイミングに達した時点で(
図16のS18において「YES」の場合)、用紙が受取位置Aへ到達し(
図16のS19)、グリッパ16によって用紙が把持される。
【0075】
以上のように、本実施形態に係る搬送装置においては、補正ローラ31によって用紙を搬送しながら用紙の位置ずれを補正することにより、生産性を低下させることなく用紙の位置ずれを補正することができる。さらに、本実施形態に係る搬送装置においては、第2補正に伴う用紙搬送タイミングのずれを補正ローラ31の搬送速度を調整することにより解消できるため、用紙を目標の位置へ精度良く搬送することができる。また、両面印刷時は、表側の面に画像が形成される場合と、裏側の面に画像が形成される場合の両方において、用紙を画像形成部2へ精度良く搬送することができるため、表側の画像と裏側の画像の相対的な位置ずれをなくすこともできる。
【0076】
ところで、斯かる搬送装置において、さらなる生産性向上のために搬送速度を速くした場合、あるいは、小型化のために補正ローラ31から第1渡し胴8に至るまでの搬送距離を短くした場合は、補正ローラ31によって用紙を搬送する時間が短くなるため、補正ローラ31による位置ずれ補正を行える時間も短くなる。その場合、用紙の位置ずれ補正に必要な時間を十分に確保しにくくなるため、補正精度が低下する懸念がある。
【0077】
そこで、本発明に係る搬送装置においては、用紙の位置ずれ補正を行うための時間を長く確保できるように、次のような構成を採用している。以下、本発明について、上記実施形態に係る搬送装置を例に説明する。
【0078】
図17は、本発明の実施形態に係る搬送装置において、大サイズ用紙(大サイズシート)と小サイズ用紙(小サイズシート)が複数枚連続して搬送される様子を示す平面図である。
図17において、(a)は、搬送方向長さL1が相対的に長い大サイズ用紙P1が複数枚連続して搬送される様子を示し、(b)は、大サイズ用紙P1よりも搬送方向長さL2が相対的に短い小サイズ用紙P2が複数枚連続して搬送される様子を示す。なお、用紙が複数枚連続して搬送される「連続搬送」とは、先行用紙が搬送されている状態で後続用紙の搬送が一定の間隔で開始される搬送動作を意味する。
【0079】
図17の(a)(b)に示されるように、本実施形態においては、大サイズ用紙P1であっても、小サイズ用紙P2であっても、いずれの場合も、同じ搬送速度V1で用紙の搬送が開始される。大サイズ用紙P1の場合、用紙P1が補正ローラ31へ搬送されると、その後、第2補正が行われた場合の搬送速度の微調整は行われるが、そうでなければ基本的に同じ搬送速度V1で用紙P1が搬送される。これに対して、小サイズ用紙P2の場合は、用紙P2の搬送が開始されると、大サイズ用紙P1とは異なり搬送速度がV1からV2へ減速されて、小サイズ用紙P2が補正ローラ31によって遅い搬送速度V2で搬送される。このように、小サイズ用紙P2が連続搬送される場合は、小サイズ用紙P2が補正ローラ31によって遅い搬送速度V2で搬送されるため、補正ローラ31による位置ずれ補正の時間を長く確保できるようになる。
【0080】
ここで、本実施形態に係る搬送装置のように、第1渡し胴8上のグリッパ16が用紙を受け取る受取位置Aへ一定のタイミングで(毎回同じタイミングで)到達する構成においては、大サイズ用紙P1であっても小サイズ用紙P2であっても、グリッパ16の到達タイミングに合わせて用紙を受取位置Aへ搬送する必要がある。従って、用紙サイズに関わらず同じ搬送速度V1で用紙の搬送が開始される場合は、一般的に、
図17の(a)の実線及び(b)中の破線にて示されるように、大サイズ用紙P1の先端と小サイズ用紙P2の先端は、同じようなタイミングで補正ローラ31へ搬送される。すなわち、大サイズ用紙P1であっても、小サイズ用紙P2であっても、複数枚の用紙が連続して搬送される場合は、先行用紙の先端から次に搬送される後続用紙の先端までの先端間距離Eが同じ距離に設定される。
【0081】
しかしながら、その場合、小サイズ用紙P2は、大サイズ用紙P1に比べて、先行用紙の後端から後続用紙の先端までの間隔(紙間)が大きくなる(D2>D1)。そもそも紙間は、先行用紙と後続用紙との接触を回避するために確保されていることからすると、この場合、小サイズ用紙の紙間D2は必要以上に大きく確保されているといえる。
【0082】
そこで、本発明においては、小サイズ用紙P2の紙間D2が必要以上に大きく確保されている点に着目し、この紙間D2の大きさを利用して、先行用紙の搬送速度を遅くするようにしている。すなわち、小サイズ用紙P2の場合は、紙間D2が大きく確保されているので、先行用紙の搬送速度を遅くしても、先行用紙と後続用紙との接触を回避できることを利用する。
【0083】
続いて、本実施形態に係る搬送装置において小サイズ用紙P2を搬送する際の搬送動作について説明する。
【0084】
図18は、最初に搬送される1枚目の小サイズ用紙P2aが補正ローラ31へ搬送される様子を示す平面図である。この場合、1枚目の小サイズ用紙P2aのほか、2枚目以降の小サイズ用紙も、上流側搬送ローラ44によって所定の搬送速度V1で補正ローラ31へ搬送される。
【0085】
図19は、1枚目の小サイズ用紙P1aが、補正ローラ31に到達し、補正ローラ31によって搬送されている様子を示す平面図である。
図19に示されるように、1枚目の小サイズ用紙P2aが補正ローラ31によって搬送される状態においては、小サイズ用紙P2aの搬送速度がV1からV2へ減速されている。このように、小サイズ用紙P2aを減速させ、補正ローラ31による小サイズ用紙P2aの搬送を遅い速度V2で行うことにより、補正ローラ31による位置ずれ補正の時間を長く確保することができる。
【0086】
また、1枚目の小サイズ用紙P2aの搬送速度が減速されると、後続の2枚目の小サイズ用紙P2bが1枚目の小サイズ用紙P2aに対して近づくため、1枚目の小サイズ用紙P2aと2枚目の小サイズ用紙P2bとの紙間が縮まる。すなわち、1枚目の小サイズ用紙P2aの搬送速度が減速された時点では、2枚目の小サイズ用紙P2bが減速前の速い搬送速度V1で搬送されているので、1枚目の小サイズ用紙P2aの搬送速度が減速されると、紙間がD2a(
図18参照)からD2b(
図19参照)へ小さくなる。このように、搬送速度の減速に伴って、1枚目の小サイズ用紙P2aと2枚目の小サイズ用紙P2bとの紙間が縮まるが、1枚目の小サイズ用紙P2aの減速は、2枚目の小サイズ用紙P2bの先端が1枚目の小サイズ用紙P2aの後端に対して接触しない程度に行われる。
【0087】
具体的に、小サイズ用紙P2の紙間D2は、大サイズ用紙P1の紙間D1よりも、大サイズ用紙P1と小サイズ用紙P2の搬送方向長さの差分G(=L1-L2)だけ大きいので(
図17参照)、小サイズ用紙P2の紙間D2が最大でその差分Gだけ縮まるまで、先行用紙の搬送速度を遅くすることができる。従って、小サイズ用紙P2が搬送される場合は、先行用紙と後続用紙との紙間が最大で大サイズ用紙P1と小サイズ用紙P2の搬送方向長さの差分Gだけ縮まるまで、先行用紙の搬送速度を遅くすることができる。そして、減速後の搬送速度で小サイズ用紙P2が補正ローラ31によって搬送されることにより、補正ローラ31による位置ずれ補正の時間を長く確保することができるようになる。なお、2枚目以降の小サイズ用紙も1枚目の小サイズ用紙P2aと同じようにして搬送される。
【0088】
以上のように、本実施形態においては、小サイズ用紙の紙間が大サイズ用紙の紙間よりも大きいことを利用して、先行用紙の搬送速度を遅くすることにより、先行用紙と後続用紙との接触を回避しつつ、補正ローラ31による位置ずれ補正の時間を長く確保できるようになる。これにより、補正ローラ31による位置ずれ補正の精度を向上させることができ、用紙を第1渡し胴8へ精度良く搬送することができるようになる。
【0089】
小サイズ用紙の減速のタイミング及び減速の程度は、補正精度を鑑みながら後続用紙が先行用紙に接触しない範囲で適宜設定すればよい。すなわち、減速のタイミング及び減速の程度は、先行用紙と後続用紙との紙間が最大で大サイズ用紙P1と小サイズ用紙P2の搬送方向長さの差分Gだけ縮まるまでであれば、適宜変更可能である。なお、搬送速度の減速は、上記搬送速度制御部25によって行われる。
【0090】
また、小サイズ用紙の減速が開始されるタイミングは、先行用紙が補正ローラ31に到達する前であってもよいし、先行用紙が補正ローラ31に到達した後であってもよい。すなわち、補正ローラ31による用紙搬送中に小サイズ用紙が減速後の遅い搬送速度で搬送されれば、減速が開始されるタイミングは、補正ローラ31への先行用紙の到達前であってもよいし、補正ローラ31への先行用紙の到達後であってもよい。
【0091】
また、小サイズ用紙が減速後の搬送速度で搬送される時間は、補正ローラ31による用紙搬送中の時間全体であってもよいし、その一部の時間内であってもよい。従って、補正ローラ31が第2補正を行える時間の少なくとも一部の時間内において、小サイズ用紙が減速後の搬送速度で搬送されるようにしてもよい。この場合、第2補正を行う時間を長く確保することができるため、第2補正の補正精度を向上させることができる。また、小サイズ用紙が減速後の搬送速度で搬送される時間は、補正ローラ31が第1補正を行える時間の少なくとも一部の時間内であってもよい。
【0092】
図20は、本実施形態に係る搬送装置において、大サイズ用紙と小サイズ用紙を搬送する際の搬送動作のフローチャートを示す図である。
【0093】
図20に示されるように、用紙搬送動作が開始されると、搬送される用紙が大サイズであるか小サイズであるか判断される。このときの用紙サイズの判断は、例えば、用紙サイズを検知する検知センサの信号、あるいは、使用者が入力する用紙サイズの情報などに基づき、上記制御部(
図6参照)などにより行われる。
【0094】
その結果、用紙が大サイズである場合は、大サイズ用紙が通常のタイミングで供給され、補正ローラ31による位置ずれ補正が行われた後、用紙に画像が形成される。一方、用紙が小サイズである場合は、小サイズ用紙が大サイズ用紙よりも早いタイミングで供給される。すなわち、小サイズ用紙の場合は、上記のように途中で搬送速度が減速されるので、第1渡し胴8のグリッパ16が受取位置Aへ到達するタイミングに遅れないように、大サイズ用紙が供給されるタイミングよりも早いタイミングで供給される。例えば、小サイズ用紙の紙間が大サイズ用紙と小サイズ用紙の搬送方向長さの差分Gだけ縮まるまで減速される場合は、この差分Gを減速前の搬送速度V1で除した時間だけ小サイズ用紙を早く供給すればよい。その後、小サイズ用紙は、減速された搬送速度で搬送されながら、補正ローラ31によって位置ずれ補正が行われ、用紙に対して画像形成が行われる。
【0095】
このように、小サイズ用紙が搬送される場合は、搬送速度の減速により遅れる時間分だけ、あらかじめ小サイズ用紙を早く供給することにより、グリッパ16が受取位置Aへ到達するタイミングに合わせて小サイズ用紙を搬送することができる。また、受取位置Aへの遅れを解消するため、補正ローラ31から第1渡し胴8までの間において、小サイズ用紙の搬送速度を増速させてもよい。また、グリッパ16の移動速度に対して用紙が精度良く追従できるように、搬送速度の調整を行ってもよい。
【0096】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜設計変更可能である。
【0097】
本発明は、上記実施形態のような搬送方向長さが異なる2種類の用紙を搬送する搬送装置に限らず、3種類以上の用紙を搬送する搬送装置にも適用可能である。すなわち、各用紙サイズのうち、最大サイズの用紙よりも小さいサイズの用紙であれば、最大サイズの用紙に比べて紙間が大きくなるので、この紙間の大きさを利用して、先行用紙の搬送速度を遅くすることができる。従って、最大サイズの用紙よりも小さい小サイズ用紙を搬送する場合に、その用紙の搬送速度を減速させ、減速後の搬送速度で補正ローラ31が用紙を搬送することにより、位置ずれ補正の時間を長く確保できるようになる。なお、その場合、用紙の減速は、最大で、小サイズ用紙の紙間が最大サイズの用紙と小サイズ用紙の搬送方向長さの差分だけ縮まるまで行うことができる。
【0098】
また、上記実施形態における大サイズ用紙と小サイズ用紙との関係は、最大サイズの用紙とこれよりも小さい小サイズ用紙との関係に限らず、最大サイズよりも小さい中間サイズの用紙とこれよりも小さい最小サイズの用紙との関係においても成立する。従って、搬送方向長さが異なる3種類の用紙を搬送可能な搬送装置において、特に最小サイズの用紙を搬送する場合においてのみ、搬送速度を減速し、位置ずれ補正の時間を長く確保することも可能である。
【0099】
また、本発明は、第1渡し胴8のグリッパ16に対してタイミングを合わせて用紙を搬送する搬送装置に限らず、用紙を等間隔に搬送する必要があるその他の構成の搬送装置にも適用可能である。このような構成においては、小サイズ用紙が大サイズ用紙に比べて紙間を大きくあけて搬送されるため、小サイズ用紙の紙間の大きさを利用して搬送速度を減速させることにより、位置ずれ補正の時間を長く確保することが可能である。
【0100】
また、本発明は、補正ローラなどの補正手段が、用紙の幅方向と用紙搬送面内での回転方向との両方向に移動可能な構成に限らず、これらのうちのいずれか一方向のみ移動可能な構成にも適用可能である。
【0101】
また、用紙の位置を検知する位置検知手段は、CISに限らず、用紙の幅方向に沿って複数配置されるフォトセンサなど、用紙の側端部を検知できるものであれば他の検知手段であってもよい。
【0102】
また、本発明に係る搬送装置は、
図1に示すようなインクジェット式画像形成装置に限らず、
図21に示されるような電子写真式の画像形成装置にも適用可能である。
【0103】
図21に示される電子写真式の画像形成装置300は、用紙Pに画像を形成する画像形成部301と、原稿Dの画像情報を光学的に読み込む原稿読込部302と、セットされた原稿Dを原稿読込部302に搬送する原稿搬送部310と、用紙Pが収納された給紙部(給紙カセット)312~314と、用紙P上の未定着画像を定着する定着装置320と、給紙部312~314から給送された用紙Pを画像形成部301へ搬送する搬送装置330とを備えている。また、画像形成部301は、感光体ドラム305と、原稿読込部302で読み込んだ画像情報に基づいて露光光Lを感光体ドラム305上に照射する露光部303と、感光体ドラム305上にトナー像(画像)を形成する現像部304と、感光体ドラム305上に形成されたトナー像を用紙Pに転写する転写部307などを備えている。
【0104】
原稿Dが原稿搬送部310によって
図21中の矢印方向に搬送され、原稿Dの画像情報が原稿読込部302によって読み取られると、その画像情報に基づいて露光部303から感光体305上の帯電面に露光光Lが照射されて、感光体ドラム305上に静電潜像が形成される。続いて、感光体305上の静電潜像に対して現像部304からトナーが供給されトナー画像(可視画像)が形成される。また、給紙部312~314のいずれかから給送された用紙Pが、搬送装置330によって転写部307へ搬送され、感光体305上に形成されたトナー画像が用紙P上に転写される。その後、用紙Pは、定着装置320へ搬送され、トナー画像が定着された後、装置外に排出される。
【0105】
このような電子写真式の画像形成装置300においては、感光体ドラム305上のトナー画像とタイミングを合わせて用紙Pを転写部307へ精度良く搬送することが求められる。従って、斯かる画像形成装置300においても、搬送装置330によって用紙Pの位置ずれ補正をできるようにすることで、用紙Pを精度良く搬送することが可能となる。しかしながら、生産性向上や小型化などのために、搬送速度を速くしたり搬送経路を短くしたりすると、上述のインクジェット式画像形成装置と同様、用紙の位置ずれ補正に必要な時間を十分に確保できなくなるといった問題が生じる。
【0106】
そこで、
図21に示される搬送装置330においても、小サイズ用紙を複数枚連続して搬送する場合に、小サイズ用紙の搬送速度を減速させ、減速後の搬送速度で補正ローラ31が用紙を搬送することにより、位置ずれ補正の時間を長く確保できるようになる。
【0107】
以上説明した本発明の態様をまとめると、本発明には、少なくとも下記の構成を備える搬送装置及び画像形成装置が含まれる。
【0108】
[第1の構成]
第1の構成は、シートの位置を検知する位置検知手段と、前記シートを搬送しながら、前記位置検知手段によって検知された前記シートの位置に応じて、シート搬送面内での回転方向とシート幅方向との少なくとも一方の前記シートの位置を補正する補正手段とを備え、搬送方向長さが相対的に長い大サイズシートと、前記大サイズシートよりも搬送方向長さが相対的に短い小サイズシートの少なくとも2種類のシートを搬送する搬送装置であって、前記小サイズシートを複数枚連続して搬送する場合、先行する前記小サイズシートの後端から次に搬送される後続の前記小サイズシートの先端までの間隔が、最大で前記大サイズシートと前記小サイズシートの搬送方向長さの差分だけ縮まるまで、先行する前記小サイズシートの搬送速度を減速させ、前記補正手段によって前記小サイズシートが搬送されている間の少なくとも一部の時間内において、前記小サイズシートが減速後の搬送速度で搬送される搬送装置である。
【0109】
[第2の構成]
第2の構成は、前記第1の構成において、前記補正手段よりも搬送方向下流側に前記シートを搬送する下流側搬送手段を備え、前記下流側搬送手段は、前記シートを受け取る受取部が表面に1つ又は等間隔に複数設けられ、前記受取部が前記シートを受け取る受取位置へ一定のタイミングで到達するように回転する搬送回転体であり、前記大サイズシート及び前記小サイズシートは、前記受取位置への前記受取部の到達タイミングに合うように搬送される搬送装置である。
【0110】
[第3の構成]
第3の構成は、前記第2の構成において、前記小サイズシートは、前記大サイズシートが前記補正手段へ供給されるタイミングよりも早いタイミングで前記補正手段へ供給される搬送装置である。
【0111】
[第4の構成]
第4の構成は、前記第1から第3のいずれか1つの構成において、前記位置検知手段は、前記シートの位置を最初に検知する第1位置検知を行った後、前記第1位置検知よりも搬送方向下流側において前記シートの位置を検知する第2位置検知を行い、前記補正手段は、前記第1位置検知によって検知された前記シートの位置に応じて、シート搬送面内での回転方向とシート幅方向との少なくとも一方の前記シートの位置を補正する第1補正と、前記第2位置検知によって検知された前記シートの位置に応じて、シート搬送面内での回転方向とシート幅方向との少なくとも一方の前記シートの位置を補正する第2補正とを行う搬送装置であって、前記第2補正が行われている間の少なくとも一部の時間内において、前記小サイズシートが減速後の搬送速度で搬送される搬送装置である。
【0112】
[第5の構成]
第5の構成は、前記第1から第4のいずれか1つの構成において、前記大サイズシートは、搬送される前記シートのうち、搬送方向長さが最大のシートの搬送装置である。
【0113】
[第6の構成]
第6の構成は、前記第1から第5のいずれか1つの構成の搬送装置と、前記搬送装置によって搬送されるシートに画像を形成する画像形成部とを備える画像形成装置である。
【符号の説明】
【0114】
2 画像形成部
7 搬送装置
8 第1渡し胴(下流側搬送手段、搬送回転体)
16 グリッパ(受取部)
31 補正ローラ(補正手段)
100 画像形成装置
101 第1のCIS(第1位置検知手段)
102 第2のCIS(第2位置検知手段)
103 第3のCIS(第3位置検知手段)
A 受取位置
P1 大サイズ用紙(大サイズシート)
P2 小サイズ用紙(小サイズシート)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0115】