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特開2024-76089蓄電システム、システムおよび蓄電装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024076089
(43)【公開日】2024-06-05
(54)【発明の名称】蓄電システム、システムおよび蓄電装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/14 20060101AFI20240529BHJP
   H02P 9/04 20060101ALI20240529BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20240529BHJP
   H02P 101/15 20150101ALN20240529BHJP
【FI】
H02J7/14 C
H02P9/04 Z
H02J7/00 303B
H02P101:15
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022187475
(22)【出願日】2022-11-24
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 啓
(72)【発明者】
【氏名】三宅 啓一
【テーマコード(参考)】
5G060
5G503
5H590
【Fターム(参考)】
5G060AA05
5G060CA21
5G060DA03
5G503AA07
5G503BB02
5G503DA04
5G503GB06
5H590AA04
5H590CA11
5H590CC11
5H590CD01
5H590CD03
5H590CE05
5H590FC26
5H590HA02
5H590HA22
(57)【要約】
【課題】三端子二次電池の電池電圧を利用することでコストの増加を抑えて発電機の回転子の回転数を制御する。
【解決手段】蓄電システムは、回転体と、回転体の回転力を電力に変換する発電機と、発電機により変換された電力を蓄電する二次電池と、発電機と二次電池とを相互に電気的に接続し、発電機により変換された電力の二次電池への蓄電を制御する制御器と、を有し、二次電池は、互いに短絡された2つの正極と、1つの負極とを有する三端子二次電池であり、三端子二次電池の電池電圧を制御器を介して発電機に印加することで、発電機の発生電力を制御し、発電機の回転子の回転数を制御する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転体と、
前記回転体の回転力を電力に変換する発電機と、
前記発電機により変換された電力を蓄電する二次電池と、
前記発電機と前記二次電池とを相互に電気的に接続し、前記発電機により変換された電力の前記二次電池への蓄電を制御する制御器と、を有し、
前記二次電池は、互いに短絡された2つの正極と、1つの負極とを有する三端子二次電池であり、
前記三端子二次電池の電池電圧を前記制御器を介して前記発電機に印加することで、前記発電機の発生電力を制御し、前記発電機の回転子の回転数を制御することを特徴とする蓄電システム。
【請求項2】
前記三端子二次電池は、前記発電機に並列接続されていることを特徴とする請求項1に記載の蓄電システム。
【請求項3】
前記三端子二次電池は、リチウムイオン電池であることを特徴とする請求項1に記載の蓄電システム。
【請求項4】
前記三端子二次電池の正極に、スピネル構造またはオリビン構造を有する活性物質が使用されることを特徴とする請求項3に記載の蓄電システム。
【請求項5】
前記発電機は、前記回転体の回転力を交流電力に変換する交流発電機であり、
前記蓄電システムは、さらに、前記発電機により変換された交流電力を直流電力に変換し、変換した直流電力を前記三端子二次電池に供給する整流器を有することを特徴とする請求項1に記載の蓄電システム。
【請求項6】
前記発電機は、前記回転体の回転力を直流電力に変換する直流発電機であることを特徴とする請求項1に記載の蓄電システム。
【請求項7】
前記回転体は、水車であり、
前記発電機が発電する電力は、1Wから30kWであることを特徴とする請求項1に記載の蓄電システム。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の蓄電システムと、
前記二次電池に蓄電された電力を受けて動作するセンサと、
前記センサが検出した検出値を前記蓄電システムの外部に送信する通信器と、を有することを特徴とするシステム。
【請求項9】
前記通信器は、無線通信により前記検出値を前記蓄電システムの外部に送信することを特徴とする請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
回転体の回転力を電力に変換する発電機により変換された電力を蓄電する二次電池と、
前記発電機と前記二次電池とを相互に電気的に接続し、前記発電機により変換された電力の前記二次電池への蓄電を制御する制御器と、を有し、
前記二次電池は、互いに短絡された2つの正極と、1つの負極とを有する三端子二次電池であり、
前記三端子二次電池の電池電圧を前記制御器を介して前記発電機に印加することで、前記発電機の発生電力を制御し、前記発電機の回転子の回転数を制御することを特徴とする蓄電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電システム、システムおよび蓄電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
回転体と、回転体の回転力を電力に変換する発電機とを有し、発電機により発電した電力を二次電池に蓄電する発電装置が知られている。例えば、この種の発電装置は、発電機の回転数を検出する回転検出部と、発電機にブレーキをかける電磁ブレーキと、発電機による発電を制御する発電制御部とを有する。発電制御部は、回転検出部から得られる発電機の回転数が設定された回転数まで上昇すると、電磁ブレーキを制御し、発電機の回転を調整しながら発電を続ける(例えば、特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、発電機の回転を調整するために発電装置に回転数検出部および電磁ブレーキ等の制御機構を設ける場合、発電装置のコストが増加するという課題がある。
【0004】
上記の課題に鑑み、本発明は、三端子二次電池の電池電圧を利用することでコストの増加を抑えて発電機の回転子の回転数を制御することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記技術的課題を解決するため、本発明の一形態の蓄電システムは、回転体と、前記回転体の回転力を電力に変換する発電機と、前記発電機により変換された電力を蓄電する二次電池と、前記発電機と前記二次電池とを相互に電気的に接続し、前記発電機により変換された電力の前記二次電池への蓄電を制御する制御器と、を有し、前記二次電池は、互いに短絡された2つの正極と、1つの負極とを有する三端子二次電池であり、前記三端子二次電池の電池電圧を前記制御器を介して前記発電機に印加することで、前記発電機の発生電力を制御し、前記発電機の回転子の回転数を制御することを特徴とする蓄電システム。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、三端子二次電池の電池電圧を利用することでコストの増加を抑えて発電機の回転子の回転数を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明に係る蓄電システムおよび蓄電装置の第1の実施形態を示すブロック図である。
図2図1の蓄電システムの回路構成の一例を示す回路ブロック図である。
図3】本発明に係る蓄電システムおよび蓄電装置の第2の実施形態を示すブロック図である。
図4】本発明に係る蓄電システムおよび蓄電装置の第3の実施形態を示すブロック図である。
図5】本発明に係る蓄電システムおよび蓄電装置の第4の実施形態を示すブロック図である。
図6】本発明に係る蓄電システムおよび蓄電装置の第5の実施形態を示すブロック図である。
図7】発電の検証試験に用いた蓄電システムの一例を示すブロック図である。
図8図7の水車発電機の開水路への設置方法と、図7の蓄電システムの発電の検証結果の例を示す説明図である。
図9】他の蓄電システムの一例を示すブロック図である。
図10】本発明に係るシステムの第1の実施形態を示すブロック図である。
図11】本発明に係るシステムの第2の実施形態を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を用いて実施形態を説明する。以下では、電圧が伝達される電圧線には、電圧名と同じ符号を使用する。各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0009】
図1は、本発明に係る蓄電システムおよび蓄電装置の第1の実施形態を示すブロック図である。図1に示す蓄電システム210は、発電出力が1W以上、30kw以下程度のナノ・ピコ水力発電装置である。蓄電システム210は、水車発電機10、蓄電装置110および負荷81を有する。なお、負荷81は、蓄電システム210の外部に配置されてもよい。
【0010】
水車発電機10は、回転羽を有する回転体である水車11と交流発電機12とを有する。蓄電装置110は、整流器20と電圧制御器30と三端子二次電池40と直流交流変換器50とを有する。特に限定されないが、例えば、三端子二次電池40の出力電圧は、12Vである。
【0011】
例えば、交流発電機12は、水車11と機械的に接続され、水車11の回転に応じて交流電圧AC1を生成する三相交流発電機である。水流による水車11の回転に連動して交流発電機12の回転子が回転すると、交流発電機12の固定子側に設けられた電機子(コイル)に誘起電圧が発生する。発生する誘起電圧は、磁気飽和領域まで水車11の回転数と比例関係にあり、水流による水車11の回転数の変化に連動して交流発電機12の誘起電圧も変化する。
【0012】
整流器20は、交流発電機12からの交流電圧AC1を整流して直流電圧DC1を生成する。直流電圧DC1は、電圧制御器30に供給される。電圧制御器30は、整流器20から受ける交流電圧DC1に応じて三端子二次電池40の蓄電を制御する。例えば、電圧制御器30は、三端子二次電池40の過充電および過放電を抑止し、三端子二次電池40の劣化を抑制する機構を有してもよい。また、電圧制御器30は、三端子二次電池40に蓄電された電荷または三端子二次電池40を介して整流器20から供給される電荷を直流電圧DC2として直流交流変換器50に出力する。
【0013】
三端子二次電池40は、互いに短絡された2つの正極+と1つの負極-とを有する。電圧制御器30は、直流電圧線DC1を三端子二次電池40の2つの正極+の一方に接続する。電圧制御器30は、三端子二次電池40に蓄電された電荷を直流電圧線DC2に供給し、または、整流器20から出力される直流電圧DC1を三端子二次電池40の2つの正極+を介して直流電圧線DC2に供給する。すなわち、水車発電機10により発電された電力は、三端子二次電池40から直流交流変換器50に供給され、または、三端子二次電池40の2つの正極+を介して直流交流変換器50に供給される。
【0014】
直流交流変換器50は、直流電圧DC2を交流電圧AC2に変換し、負荷81に供給する。そして、水車発電機10により発電された電力または三端子二次電池40に蓄電された電力は、負荷81により消費される。例えば、直流交流変換器50は、三端子二次電池40から放電された直流電圧DC2を一般的な家電製品等で使用される100Vの交流電圧AC2に変換してもよい。なお、直流交流変換器50が変換により生成する交流電圧AC2は、100Vに限定されず、負荷81で使用する値に変換されればよい。
【0015】
三端子二次電池40は、図2で説明するように交流発電機12に並列に接続されている。このため、三端子二次電池40から出力される直流電圧DC1は、整流器20により交流電圧AC1に変換される。そして、直流電圧DC1から変換された交流電圧AC1により、交流発電機12の電機子(コイル)の発生電圧が制御され、水車11の回転数が規制される。
【0016】
例えば、三端子二次電池40として、内部抵抗が60mΩ・Ah以下の二次電池が用いられることが好ましい。これにより、三端子二次電池40の発熱を抑えることができ、過充電および過放電による発煙発火のリスクを小さくすることができる。また、三端子二次電池40を保護するために充電を制御する充電制御部(例えば、図9に示す充電制御部202等)を不要にすることができる。また、熱損失を抑えることができ、交流発電機12の出力電力が小さく、三端子二次電池40への充電電流が少ない場合にも、三端子二次電池40に良好に充電することができる。
【0017】
例えば、三端子二次電池40に効率的に蓄電するためには、三端子二次電池40として、入力電圧の変化と蓄電量の変化とが相関するリチウムイオン電池が用いられることが好ましい。さらに、リチウムイオン電池の中でも発煙発火するリスクが小さく、かつ内部抵抗が低い、オリビン構造またはスピネル構造の少なくともいずれかを有する活性物質が正極に使用されたリチウムイオン電池を用いることが好ましい。
【0018】
オリビン構造またはスピネル構造の少なくともいずれかを有する活性物質が正極に使用されたリチウムイオン電池を使用することで、安定的に交流発電機12の回転数を制御することができ、交流発電機12の出力電圧を一定に保つことができる。また、例えば、内部抵抗の低いスピネル構造のマンガン酸リチウム化合物を用いることで、内部抵抗を60mΩ・Ah以下に抑えることができる。オリビン構造を有する活性物質として、リン酸鉄を使用することができる。スピネル構造をもつ活性物質として、マンガン酸化物を使用することができる。
【0019】
図2は、図1の蓄電システム210の回路構成の一例を示す回路ブロック図である。例えば、整流器20は、交流発電機12から供給される三相の交流電圧AC1(AC11、AC12、AC13)を直流電圧DC1に変換する三相全波整流回路である。
【0020】
電圧制御器30は、整流器20に接続された入力端子IN(正極+および負極-)と、直流交流変換器50に接続された出力端子OUT(正極+および負極-)とを有する。また、電圧制御器30は、三端子二次電池40に接続された蓄電端子BAT(2つの正極+および1つの負極-)を有する。蓄電端子BATの2つの正極+は、三端子二次電池40内で短絡される。
【0021】
電圧制御器30において、入力端子INの正極+は、三端子二次電池40の2つの正極+の一方にスイッチSWを介して接続される。入力端子INの負極-は、三端子二次電池40の負極-および出力端子OUTの負極-に接続される。三端子二次電池40の2つの正極+の他方は、出力端子OUTの正極+に接続される。
【0022】
例えば、電圧制御器30は、三端子二次電池40が満充電まで蓄電され、過充電のおそれがあるときにスイッチSWをオフし、それ以外ではスイッチSWをオンする。三端子二次電池40は、満充電になるまで直流電圧DC1により蓄電される。
【0023】
三端子二次電池40の2つの正極+は短絡されているため、三端子二次電池40が満充電まで蓄電された後、整流器20から供給される直流電圧DC1は、三端子二次電池40をスルーして直流電圧DC2として直流交流変換器50に供給される。満充電後は三端子二次電池40の内部に電流が流れないため、放電効率の低下を抑制することができる。
【0024】
図2に示す蓄電システム210では、電圧制御器30は、三端子二次電池40の正極+および負極-を、それぞれ入力端子INの正極+および負極-を介して整流器20に接続する。すなわち、三端子二次電池40は、電圧制御器30を介して交流発電機12に並列に接続される。これにより、三端子二次電池40の電池電圧により交流発電機12の回転子の回転数が制御可能になる。
【0025】
具体的には、三端子二次電池40の電池電圧が交流発電機12に印加されるため、交流発電機12の各相の電機子に発生する誘起電圧は、三端子二次電池40の電池電圧から交流発電機12の内部抵抗による電圧降下を差し引いた値に制御される。誘起電圧が制御されることにより、各相の電機子に流れる電流により発生する回転磁界が変化して回転子に制動がかかる。
【0026】
このように、三端子二次電池40の電池電圧を交流発電機12に印加することで、交流発電機12の回転数を制御する制御部等を設けることなく、交流発電機12の回転数を制御して交流発電機12の出力電圧(誘起電圧)を自動的に制御することができる。この結果、三端子二次電池40に過電圧が印加されることを抑制でき、三端子二次電池40の破損および劣化を抑制することができる。
【0027】
以上、蓄電システムおよび蓄電装置の第1の実施形態では、三端子二次電池の電池電圧を利用することで、交流発電機12の回転数を制御する制御部等を設ける必要がなくなる。これにより、コストの増加を抑えて交流発電機12の回転子の回転数を制御することができる。また、交流発電機12の回転数の制御に使用する回路部品等を少なくできるため、蓄電システムの信頼性を向上することができる。
【0028】
三端子二次電池40にリチウムイオン電池を用いることで、入力電圧の変化と蓄電量の変化とを相関させることができるため、交流発電機12の回転子の回転数を精度よく制御することができる。三端子二次電池の正極に、スピネル構造またはオリビン構造を有する活性物質を使用することで、安定的に交流発電機12の回転数を制御することができ、交流発電機12の出力電圧を一定に保つことができる。したがって、低コストで高い信頼性を有するナノ・ピコ水力発電装置を提供することができる。
【0029】
水車発電機10に交流発電機12を使用する場合、交流発電機12と電圧制御器30との間に整流器20を配置することで、交流発電機12から生成される交流電圧AC1を直流電圧DC1に変換して電圧制御器30に供給することができる。また、三端子二次電池40の電池電圧を交流電圧AC1に変換して交流発電機12に印加することで、交流発電機12の回転数を制御することができる。例えば、交流発電機12の回転数の制御は、三端子二次電池40を交流発電機12に並列に接続することで可能になる。
【0030】
図3は、本発明に係る蓄電システムおよび蓄電装置の第2の実施形態を示すブロック図である。図1と同様の要素については同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。図3に示す蓄電システム220は、水車発電機10および蓄電装置120を有する。
【0031】
蓄電装置120は、直流電圧DC2を受けて動作する負荷82に接続される。このため、蓄電装置120の三端子二次電池40の電池電圧は、直流電圧DC2を受けて動作する負荷82の定格直流電圧に予め合わせられる。蓄電装置120は、図1の蓄電装置110の直流交流変換器50を持たない。蓄電システム220および蓄電装置120の回路構成は、直流交流変換器50を持たず、負荷81の代わりに負荷82を有することを除き、図1の蓄電システム210および蓄電装置110の回路構成とそれぞれ同様である。
【0032】
以上、蓄電システムおよび蓄電装置の第2の実施形態においても、蓄電システムおよび蓄電装置の第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、この実施形態では、負荷82に直流電圧DC2を供給する蓄電装置120を提供することができる。直流電圧DC2を使用する負荷82に蓄電装置120を接続することで、図1の直流交流変換器50を不要にできるため、コストの増加をさらに抑えて交流発電機12の回転子の回転数を制御することができる。また、直流電圧DC2から交流電圧AC2への変換によるロスをなくすことができる。
【0033】
図4は、本発明に係る蓄電システムおよび蓄電装置の第3の実施形態を示すブロック図である。図1と同様の要素については同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。図4に示す蓄電システム230は、水車発電機10および蓄電装置130を有する。
【0034】
水車発電機10は、図1の交流発電機12の代わりに直流発電機13を有する。直流発電機13が直流電圧DC1を発電するため、蓄電装置130は、図1の整流器20を持たない。蓄電システム230の回路構成は、交流発電機12の代わりに直流発電機13が搭載され、蓄電装置120が整流器20を持たないことを除き、図1の蓄電システム210の回路構成と同様である。
【0035】
以上、蓄電システムおよび蓄電装置の第3の実施形態においても、蓄電システムおよび蓄電装置の第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、この実施形態では、直流発電機13により発電された直流電圧DC1を蓄電し、蓄電した電力を交流電圧AC2として負荷81に供給する蓄電装置130を提供することができる。直流発電機13を用いることにより、図1の整流器20を不要にすることができ、コストの増加をさらに抑えて交流発電機12の回転子の回転数を制御することができる。また、交流電圧AC1から直流電圧DC1への変換によるロスをなくすことができる。
【0036】
図5は、本発明に係る蓄電システムおよび蓄電装置の第4の実施形態を示すブロック図である。図1と同様の要素については同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。図5に示す蓄電システム240は、水車発電機10および蓄電装置140を有する。
【0037】
水車発電機10は、図1の交流発電機12の代わりに直流発電機13を有する。蓄電装置140は、図1の蓄電装置110から整流器20および直流交流変換器50を削除している。蓄電システム240の回路構成は、交流発電機12の代わりに直流発電機13が搭載され、蓄電装置140が整流器20および直流交流変換器50を持たず、負荷81の代わりに負荷82を有することを除き、図1の蓄電システム210の回路構成と同様である。
【0038】
以上、蓄電システムおよび蓄電装置の第4の実施形態においても、蓄電システムおよび蓄電装置の第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、この実施形態では、直流発電機13により発電された直流電圧DC1を蓄電し、蓄電した電力を直流電圧DC2として負荷82に供給する蓄電装置130を提供することができる。これにより、コストの増加をさらに抑えて交流発電機12の回転子の回転数を制御することができる。また、交流電圧と直流電圧との変換によるロスをなくすことができる。
【0039】
図6は、本発明に係る蓄電システムおよび蓄電装置の第5の実施形態を示すブロック図である。図1と同様の要素については同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。図6に示す蓄電システム250の回路構成は、蓄電装置150が直流交流変換器50の代わりに複数の二次電池60を有することを除き、図1の蓄電システム210の回路構成と同様である。
【0040】
例えば、二次電池60は、蓄電装置150に着脱可能に接続される。これにより、蓄電装置150上で蓄電された二次電池60は、蓄電装置150から取り外され、図示しない負荷に接続されて使用することができる。
【0041】
以上、蓄電システムおよび蓄電装置の第5の実施形態においても、蓄電システムおよび蓄電装置の第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、この実施形態では、着脱可能に接続される二次電池60に蓄電する蓄電装置150を提供することで、蓄電装置150から離れた場所に設置される負荷まで電源ケーブルを引き回すことなく、負荷に電力を供給することができる。
【0042】
図7は、発電の検証試験に用いた蓄電システムの一例を示すブロック図である。図1および図6と同様の要素については同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。図7に示す蓄電システム260は、交流発電機12を含む水車発電機10と蓄電装置160とを有する。蓄電装置160は、整流器20、開閉器71、三端子二次電池40、開閉器72および二次電池60を有する。整流器20の出力(DC1)は、開閉器71を介して三端子二次電池40に接続され、三端子二次電池40は、開閉器72を介して二次電池60(DC2)に接続される。
【0043】
図示を省略するが、三端子二次電池40の正極の一方は、開閉器71を介して整流器20の正極に接続され、三端子二次電池40の正極の他方は、開閉器72を介して二次電池60の正極に接続される。三端子二次電池40の2つの正極は、電池内部で短絡しているため、開閉器71、72が閉じている場合、整流器20の正極は、三端子二次電池40を介して二次電池60の正極に接続される。また、図示を省略するが、開閉器71、72が閉じている場合、整流器20の負極は、三端子二次電池40の負極および二次電池60の負極に接続される。
【0044】
検証試験では、例えば、二次電池60としてマンガン酸リチウム二次電池を使用した。開閉器71、72は、交流発電機12と三端子二次電池40との接続および三端子二次電池40と二次電池60との接続を試験者自らが確実に確認できるように設けられた。
【0045】
検証試験では、まず、開閉器71を閉じることで交流発電機12を三端子二次電池40に接続し、開閉器72を開いた状態で、水車11の回転数と交流発電機12が生成する電圧の変化を確認した。次に、開閉器72を閉じることで三端子二次電池40を二次電池60に接続し、三端子二次電池40から二次電池60に電流が流れることを確認するとともに、電流に応じて変化する電圧を確認した。
【0046】
図8は、図7の水車発電機10の開水路への設置方法と、図7の蓄電システムの発電の検証結果の例を示す説明図である。なお、上述した第1の実施形態から第5の実施形態に示した水車発電機10も図8と同様に開水路に設置可能である。例えば、水車発電機10は、らせん水車11を有する。水車発電機10は、らせん水車11の上流側が高くなるように傾けた状態で、開水路の水面に設置される。そして、水車発電機10は、水の流れ込みによりらせん水車11が回転することで発電する。
【0047】
図8に示す表は、発電の検証試験において取得された各種データである。例えば、検証試験では、出力電圧が12Vの三端子二次電池40が使用された。表中の交流発電機12の線間電圧は、三相のうちの2相の電圧差を示す。検証試験において、交流発電機12が発電を開始した直後(0分)の出力電力は2.8Wであり、60分経過後の出力電力は4.0Wであった。水車発電機10により発電された電力により、60分経過後に二次電池60の電圧が13.24Vから13.34V(いずれも直流電圧)に上昇しており、二次電池60が正常に蓄電されることが確認された。これにより、図7に示す蓄電システム260により水力による発電が可能であることが分かった。すなわち、図1図3および図6に示す蓄電システム210、220、250により水力による発電が可能であることが分かった。
【0048】
なお、図7に示す水車発電機10の代わりに安定化電源を整流器20を介さずに蓄電装置160の開閉器71に接続し、安定化電源から三端子二次電池40に直流電圧を供給する場合にも、図8に示す表と同様に、二次電池60が正常に蓄電されることが確認された。すなわち、図4および図5に示した直流発電機13を用いて水力発電を行う場合にも、二次電池60が正常に蓄電されることが分かった。
【0049】
図9は、他の蓄電システムの一例を示すブロック図である。図1と同様の要素については同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。図9に示す蓄電システム270は、水車発電機10と蓄電装置170とを有する。蓄電装置170は、整流器20と、発電制御器201と充電制御部202と二次電池60と直流交流変換器50とを有する。
【0050】
発電制御器201は、MPPT(Maximum Power Point Tracking)制御により直流電圧DC1を二次電池60の充電量に変換するとともに、電流値を最適量に変換して二次電池60に供給する。
【0051】
ナノ・ピコ水力発電装置などの小型水力発電設備の場合、水車11を河川に設置することにより発電を行うことが一般的である。このように河川の水流で水車11を回転させて発電する場合、河川の水流により水車11の回転数が変化し、交流発電機12の電力が変動する。
【0052】
発電制御器201は、水車11の特性に合わせた電流電圧曲線のアルゴリズムを有しており、交流発電機12の発電電圧を、二次電池60の電池電圧に変換するとともに、このアルゴリズムに基づいて、二次電池60に流す電流値を最大限に引き上げる。
【0053】
しかしながら、電流電圧曲線のアルゴリズムは、水車11の特性毎に異なるため、水車11毎に適切なアルゴリズムの入力が必要となる。なお、風量により風車の回転数が変化する風力発電装置においても、発電制御部を設けて発電機の回転数を制御するため、風車毎に適切なアルゴリズムの入力が必要となる。
【0054】
充電制御部202は、二次電池60が満充電に到達した時点で、例えば、開水路に設置されたバルブを閉じる。バルブを閉じて水車11への水の流れ込みを停止することで、水車11の回転が停止し、交流発電機12による発電が停止され、二次電池60が過充電から保護される。
【0055】
このように、図9に示す蓄電システム270では、交流発電機12から出力される交流電圧AC1を、二次電池60を適切に充電するための電圧および電流に変換する発電制御器201が必要である。また、二次電池60を保護するための充電制御部202などが必要である。このため、蓄電システム270および蓄電装置170のコストが上昇するという課題がある。また、発電制御器201や、充電制御部202などを含む制御装置を設置するスペースが必要となり、蓄電装置170が大型化するという課題もある。さらに、発電制御器201が二次電池60の充電に適切な電圧および電流に変換するときに変換ロスが生じるという課題もある。
【0056】
なお、鉛二次電池およびレドックスフロー電池などの化学電池を、交流発電機12に並列接続しても、充電初期であれば、交流発電機12の回転数を一定の回転数に制御できる。しかしながら、電池の充電が進むと、内部抵抗が増加し、交流発電機12に印加する電池電圧(=電流量×内部抵抗)が上昇する。電池電圧が上昇することで、交流発電機12の各相の電機子の誘起電圧が上昇し、回転子の回転数が上昇する。その結果、交流発電機12からの出力電圧および出力電流が増加し、二次電池60への充電電圧値および充電電流値が大きくなる。
【0057】
その結果、二次電池60に過電圧および過電流が供給されるおそれがあり、電池内で電気分解反応が起きた場合、電池の劣化が進行するおそれがある。また、最悪の場合、二次電池60が破損するおそれがある。したがって、鉛二次電池およびレドックスフロー電池などの化学電池を用いる場合は、例えば、電池容量を交流発電機12の能力の8倍以上にして、満充電になるまでの時間を遅くする必要がある。さらに、充電を制御する充電制御部を設けて、満充電前に、二次電池60への充電を停止する必要がある。この結果、蓄電装置および蓄電システムのコストが上昇する。
【0058】
また、鉛二次電池およびレドックスフロー電池などの化学電池は、充電と同時に放電が可能であるが、充電と放電とでは化学反応が逆方向(ヒステリシス)であるため、電極表面に逆電圧がかかる。逆電圧により電池の反応界面が傷むと、電池寿命が短くなる。したがって、交流発電機12の出力電力を充電しながら交流発電機12に二次電池60の電池電圧を印加する(発電機に放電する)化学電池を用いると、二次電池60の寿命が短くなるおそれがある。
【0059】
これに対して、上述した各実施形態に示した三端子二次電池40で使用するリチウムイオン電池は、鉛電池より高容量密度を持ち、狭い範囲で、容量に対応した電圧を持ち、キャパシタの電荷移動がリチウムイオンの移動に置き換わった非化学電池である。また、リチウムイオン電池は、充電量が80%以下であれば、内部抵抗はほぼ一定であり、充電が進んでも電池電圧をほぼ一定に維持することができる。また、リチウムイオンの移動は電流に依存し、電圧には影響しない。そのため、満充電となっても、電池に電流が流れる状態(放電状態)であれば、電池電圧は、ほぼ一定に保たれる。
【0060】
上述した各実施形態では、例えば、図2で説明したように、三端子二次電池40は、交流発電機12に並列に接続され、三端子二次電池40の電池電圧が交流発電機12に印加(発電機に放電)される。このため、三端子二次電池40は、交流発電機12による充電中に常に放電し、電流が流れる状態である。したがって、三端子二次電池40が満充電となっても、電池電圧をほぼ一定に保つことができる。
【0061】
このように、三端子二次電池40にリチウムイオン電池を用いることで、三端子二次電池40への充電が進んでも、交流発電機12に印加する電池電圧をほぼ一定に保つことができる。そして、交流発電機12の各相の電機子の誘起電圧をほぼ一定に制御することができ、発電機の回転数をほぼ一定に維持することができる。これにより、三端子二次電池40への充電電圧をほぼ一定に維持することができる。交流発電機12のトルクは電流に変換されるため、三端子二次電池40に過電圧がかかる状態になることを抑制することができる。
【0062】
また、リチウムイオン電池は、充電時および放電時に化学反応を伴う解離エネルギーを必要としないため、一般的な化学電池とは異なり、充電と放電とを同時に行ったときにヒステリシスはない。このため、充電と同時に放電を行っても、電池の反応界面を傷めることがなく、電池寿命の低下を抑制することができる。したがって、交流発電機12からの出力電力を三端子二次電池40に充電しながら、交流発電機12に三端子二次電池40の電池電圧を印加する第1の実施形態から第5の実施形態の構成において、三端子二次電池40を長期間にわたって使用することができる。
【0063】
さらに、突入電流を考慮すると、オリビン構造をもつリン酸化物を正極材料に使ったリン酸鉄リチウムイオン電池、または、スピネル構造をもつマンガン酸化物を正極材料に使ったマンガン酸リチウムイオン電池が三端子二次電池40に使用されることが好ましい。マンガン酸リチウムイオン電池およびリン酸鉄リチウムイオン電池は、発煙発火するリスクが小さく、特にマンガンスピネルは内部インピーダンスが低い。そのため、マンガン酸リチウムイオン電池およびリン酸鉄リチウムイオン電池を用いることで、突入電流が発生したときの発煙発火のリスクを低減することができる。
【0064】
上述した実施形態では使用されていないが、一般的な三元系正極材料およびコバルト酸正極材料は、熱暴走を抑制するために充電電流および充電電圧が厳しく制限される。そのために保護回路を設ける必要があるが、保護回路は、二次電池の内部抵抗を上昇させ、充電効率を低下させる。
【0065】
発煙発火するリスクが小さくスピネル構造をもつマンガン系正極材料またはオリビン構造をもつリン酸系正極材料を使うことによって、保護回路が不要となるため、コストを削減することができ、蓄電装置の内部抵抗を下げることができる。また、上述したように、交流発電機12の出力電力を三端子二次電池40で制御できるため、保護回路を設けることなく三端子二次電池40に電力を供給することができ、充電効率を高めることができる。さらに、マンガン、リンおよび鉄は材料的に豊富であり、三元系に使われるコバルトのような資源問題がないため、このシステムが広く世界に普及するためには極めて有益である。
【0066】
三端子二次電池40の内部抵抗を、60mΩ・Ah以下に抑えることで、三端子二次電池40の発熱を抑えることができる。このため、熱安定性を高めることができ、過充電または過放電による発煙発火のリスクを小さくすることができる。また、内部抵抗を60mΩ・Ah以下に抑えることで、内部抵抗による充電効率の低下を抑制することができる。このため、三端子二次電池40に流れる充電電流が少ない場合にも、効率よく充電することができる。三端子二次電池40にリチウムイオン電池を用いることで、電池の内部抵抗を設計で60mΩ・Ah以下にすることが可能であり、この点からも、リチウムイオン電池を用いることが好ましい。
【0067】
図10は、本発明に係るシステムの第1の実施形態を示すブロック図である。図1および図6と同様の要素については同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。図10に示すシステム310は、蓄電システム280と電圧計91と水位計92と通信器93とを有する。蓄電システム280は、水車発電機10と蓄電装置180とを有する。
【0068】
蓄電装置180は、二次電池60が着脱可能でないこと、および、搭載される二次電池60の数が異なることを除き、図6の蓄電装置150と同様である。電圧計91、水位計92および通信器93は、二次電池60から出力される直流電圧DC3を受けて動作する。
【0069】
電圧計91は、交流発電機12が出力する交流電圧AC1の値を計測し、計測した値を通信器93に通知する。なお、電圧計91は、整流器20が出力する直流電圧DC1を計測してもよい。あるいは、交流電圧AC1用と直流電圧DC1用の電圧計がそれぞれ設けられてもよい。水位計92は、図8に示した開水路の水位を計測し、計測した水位を通信器93に通知する。
【0070】
以上、システムの第1の実施形態では、通信器93は、電圧計91から受けた電圧値および水位計92から受けた水位を、通信回線を介して、遠隔地のパソコン、モバイル機器またはデータ蓄積機器に所定の頻度で送信する。これにより、例えば、開水路を流れる水の流量の低下(ごみによるつまりを含む)をパソコンまたはモバイル機器のアプリなどを使用して確認することができる。
【0071】
また、蓄電システムおよび蓄電装置の第1の実施形態と同様に、三端子二次電池の電池電圧を利用することで、コストの増加を抑えて交流発電機12の回転子の回転数を制御することができる。交流発電機12の回転数の制御に使用する回路部品等を少なくできるため、蓄電システムの信頼性を向上することができる。
【0072】
なお、図10に示す蓄電システム280の代わりに、上述した各実施形態の蓄電システム210、220、230、240、250が、システム310に搭載されてもよい。この場合、負荷81、82は、電圧計91、水位計92または通信器93に相当する。
【0073】
図11は、本発明に係るシステムの第2の実施形態を示すブロック図である。図1図6および図10と同様の要素については同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。図11に示すシステム320は、通信器93の代わりに無線通信器94を有することを除き、図10のシステム310と同様である。
【0074】
以上、システムの第2の実施形態においても、システムの第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、この実施形態では、蓄電装置180に蓄電された電力を使用して無線通信器94を動作させることにより、無線LAN(Local Area Network)等の無線通信設備がない場合にも、周辺の中継基地局と無線通信を行い、あるいは衛星通信を行うことができる。そして、無線通信器94は、電圧計91から受けた電圧値および水位計92から受けた水位を、遠隔地のモバイル機器またはデータ蓄積機器に所定の頻度で送信することができる。これにより、商用電源等が使えない電気の不足地域または離島等に蓄電システム280が設置される場合においても、水量および発電電圧等を無線通信を介して確認することができる。
【0075】
なお、図11に示す蓄電システム280の代わりに、上述した各実施形態の蓄電システム210、220、230、240、250が、システム320に搭載されてもよい。この場合、負荷81、82は、電圧計91、水位計92または通信器93に相当する。
【0076】
上述した各実施形態では、蓄電装置110、120、130、140、150、160、180により、水車発電機10が発電した電力を蓄電する例が説明された。しかしながら、蓄電装置110、120、130、140、150、160、180により、風力発電装置が発電した電力を蓄電してもよい。
【0077】
本発明の態様は、例えば、以下の通りである。
<1>
回転体と、
前記回転体の回転力を電力に変換する発電機と、
前記発電機により変換された電力を蓄電する二次電池と、
前記発電機と前記二次電池とを相互に電気的に接続し、前記発電機により変換された電力の前記二次電池への蓄電を制御する制御器と、を有し、
前記二次電池は、互いに短絡された2つの正極と、1つの負極とを有する三端子二次電池であり、
前記三端子二次電池の電池電圧を前記制御器を介して前記発電機に印加することで、前記発電機の発生電力を制御し、前記発電機の回転子の回転数を制御することを特徴とする蓄電システム。
<2>
前記三端子二次電池は、前記発電機に並列接続されていることを特徴とする<1>に記載の蓄電システム。
<3>
前記三端子二次電池は、リチウムイオン電池であることを特徴とする<1>または<2>に記載の蓄電システム。
<4>
前記三端子二次電池の正極に、スピネル構造またはオリビン構造を有する活性物質が使用されることを特徴とする<3>に記載の蓄電システム。
<5>
前記発電機は、前記回転体の回転力を交流電力に変換する交流発電機であり、
前記蓄電システムは、さらに、前記発電機により変換された交流電力を直流電力に変換し、変換した直流電力を前記三端子二次電池に供給する整流器を有することを特徴とする<1>乃至<4>のいずれか一項に記載の蓄電システム。
<6>
前記発電機は、前記回転体の回転力を直流電力に変換する直流発電機であることを特徴とする<1>乃至<4>のいずれか一項に記載の蓄電システム。
<7>
前記回転体は、水車であり、
前記発電機が発電する電力は、1Wから30kWであることを特徴とする<1>乃至<6>のいずれか一項に記載の蓄電システム。
<8>
<1>乃至<7>のいずれか一項に記載の蓄電システムと、
前記二次電池に蓄電された電力を受けて動作するセンサと、
前記センサが検出した検出値を前記蓄電システムの外部に送信する通信器と、を有することを特徴とするシステム。
<9>
前記通信器は、無線通信により前記検出値を前記蓄電システムの外部に送信することを特徴とする請求項8に記載のシステム。
<10>
回転体の回転力を電力に変換する発電機により変換された電力を蓄電する二次電池と、
前記発電機と前記二次電池とを相互に電気的に接続し、前記発電機により変換された電力の前記二次電池への蓄電を制御する制御器と、を有し、
前記二次電池は、互いに短絡された2つの正極と、1つの負極とを有する三端子二次電池であり、
前記三端子二次電池の電池電圧を前記制御器を介して前記発電機に印加することで、前記発電機の発生電力を制御し、前記発電機の回転子の回転数を制御することを特徴とする蓄電装置。
【0078】
以上、各実施形態に基づき本発明の説明を行ってきたが、上記実施形態に示した要件に本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の主旨をそこなわない範囲で変更することができ、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【符号の説明】
【0079】
10 水車発電機
11 水車
12 交流発電機
13 直流発電機
20 整流器
30 電圧制御器
40 三端子二次電池
50 直流交流変換器
60 二次電池
71、72 開閉器
81、82 負荷
91 電圧計
92 水位計
93 通信器
94 無線通信器
110、120、130、140、150、160、180 蓄電装置
210、220、230、240、250、260、280 蓄電システム
310、320 システム
BAT 蓄電端子
IN 入力端子
OUT 出力端子
【先行技術文献】
【特許文献】
【0080】
【特許文献1】特許第6577078号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11