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  • 特開-化粧品容器 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024076302
(43)【公開日】2024-06-05
(54)【発明の名称】化粧品容器
(51)【国際特許分類】
   A45D 33/18 20060101AFI20240529BHJP
   C08G 59/22 20060101ALI20240529BHJP
   B65D 23/08 20060101ALI20240529BHJP
   B65D 25/36 20060101ALI20240529BHJP
   B65D 25/34 20060101ALI20240529BHJP
   B65D 65/42 20060101ALI20240529BHJP
   C09D 4/02 20060101ALI20240529BHJP
   C09D 7/63 20180101ALI20240529BHJP
   C09D 7/61 20180101ALI20240529BHJP
   C09D 7/65 20180101ALI20240529BHJP
   C09D 163/00 20060101ALI20240529BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20240529BHJP
   B32B 27/16 20060101ALI20240529BHJP
   B32B 27/30 20060101ALI20240529BHJP
   B32B 27/20 20060101ALI20240529BHJP
   B32B 27/18 20060101ALI20240529BHJP
   A45D 34/00 20060101ALI20240529BHJP
   A45D 40/00 20060101ALI20240529BHJP
【FI】
A45D33/18 Z
C08G59/22
B65D23/08 B
B65D25/36
B65D25/34 B
B65D65/42 A
C09D4/02
C09D7/63
C09D7/61
C09D7/65
C09D163/00
B32B27/00 H
B32B27/16 101
B32B27/30 A
B32B27/20 Z
B32B27/18 Z
A45D34/00 510Z
A45D40/00 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022187826
(22)【出願日】2022-11-24
(71)【出願人】
【識別番号】000001959
【氏名又は名称】株式会社 資生堂
(71)【出願人】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177426
【弁理士】
【氏名又は名称】粟野 晴夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141601
【弁理士】
【氏名又は名称】貴志 浩充
(72)【発明者】
【氏名】鑓水 清隆
(72)【発明者】
【氏名】高原 さくら
(72)【発明者】
【氏名】中村 健二
(72)【発明者】
【氏名】坂口 歳斗
(72)【発明者】
【氏名】荒井 観
(72)【発明者】
【氏名】北村 尚美
【テーマコード(参考)】
3E062
3E086
4F100
4J036
4J038
【Fターム(参考)】
3E062AA09
3E062AB01
3E062AC07
3E062JA01
3E062JA08
3E062JB05
3E062JB23
3E062JC06
3E062KA09
3E086AB01
3E086AD04
3E086BA15
3E086BA24
3E086BA25
3E086BB55
3E086BB61
3E086BB62
3E086CA40
4F100AA20B
4F100AA20H
4F100AK25B
4F100AK42C
4F100AK51B
4F100AK53B
4F100AT00A
4F100AT00C
4F100BA02
4F100BA03
4F100BA07
4F100CA23B
4F100CA30B
4F100CC02B
4F100DA01A
4F100DE01B
4F100EH46B
4F100GB16
4F100HB00A
4F100JA05B
4F100JB01
4F100JB14B
4F100JK09
4F100JK12
4F100JK13
4F100JL11
4J036AA01
4J036AD08
4J036EA09
4J036FB10
4J036HA02
4J036JA01
4J038DB001
4J038DB021
4J038DB061
4J038DB071
4J038DG002
4J038FA281
4J038JA33
4J038JA64
4J038KA02
4J038KA04
4J038KA08
4J038NA01
4J038NA11
4J038NA12
4J038PA17
4J038PB04
4J038PC02
4J038PC08
(57)【要約】      (修正有)
【課題】触れた際に購買意欲を喚起する化粧品容器を提供する。
【解決手段】化粧品容器1は、化粧品容器本体4と化粧品容器本体の外表面に被覆される塗膜層とを有し、前記塗膜層は、下記(A)~(E)の組成比で含有する紫外線硬化樹脂組成物の硬化物である。
(A)ガラス転移点が30℃~60℃であるウレタン(メタ)アクリレート:50~90質量%、
(B)2官能エポキシ樹脂:1~10質量%、
(C)光ラジカル重合開始剤::1~5質量%、
(D)光重合抑制剤:0.1~1質量%、
(E)平均粒子径が10μm以下である、ウレタン樹脂ビーズ及び/又は二酸化ケイ素ビーズ:7.9~15質量%
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧品容器本体と、前記化粧品容器本体の外表面に被覆される塗膜層とを有し、
前記塗膜層は、下記(A)~(E)を下記の組成比で含有する紫外線硬化樹脂組成物の硬化物である、化粧品容器。
(A)ガラス転移点が30℃~60℃であるウレタン(メタ)アクリレート:50~90質量%、
(B)2官能エポキシ樹脂:1~10質量%、
(C)光ラジカル重合開始剤::1~5質量%、
(D)光重合抑制剤:0.1~1質量%、
(E)平均粒子径が10μm以下である、ウレタン樹脂ビーズ及び/又は二酸化ケイ素ビーズ:7.9~15質量%
【請求項2】
前記(D)光重合抑制剤が、p-ベンゾキノン、ナフトキノン及びジ-t-ブチル・パラクレゾールからなる群から選択される1種以上であることを特徴とする、請求項1に記載の化粧品容器。
【請求項3】
前記化粧品容器本体及び前記化粧品容器本体の外側面に配置される積層フィルムを有し、
前記積層フィルムは、基材フィルムと前記塗膜層と有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の化粧品容器。
【請求項4】
前記積層フィルムは、前記紫外線硬化樹脂組成物を前記基材フィルムに塗工乾燥された積層体であることを特徴とする、請求項3に記載の化粧品容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、紫外線硬化型塗料が塗布された化粧品容器に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧品の内容成分は同一でも化粧品容器により売れ行きが大きく変動するため、購買意欲に化粧品容器が多大な影響を与えることが知られている。そのため、化粧品容器の形状及び色彩等の外観に高い意匠性が要求される。一般的には、化粧品用などに使用されるプラスチック容器や飲料缶などの金属容器には、化粧品容器自体の形状だけでなく、装飾を目的とした印刷が施され、この印刷インキの保護、表面の傷付き防止、光沢感を出すこと又は生産時に搬送ラインで滑り性を発現させることなどを目的として容器表面にコーティング剤が塗布されている。
例えば、特許文献1には、容器の外観が消費者の購買意欲に大きく影響する化粧品用容器においては、使用性を向上させるためとはいえ、デザインの制限はなるべく行わないとして、ロゴ或いは能書きの少なくとも一方が印刷された部位に微細な凹凸部を形成した構成とした化粧品用容器が開示されている。また、特許文献2には、容器蓋を開閉しなくても内容物が外部に映り、内部に収容された内容物を容易に確認でき、かつ外観の美麗さをより高める内容物が外部から見える化粧品容器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10-152159号公報
【特許文献2】特開2021-137546号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1及び2の技術はいずれも、化粧品容器の色彩又は外観といった審美性を喚起させる技術であり、実際に化粧品容器を手に取った触感については一切検討されていない。そこで、本開示は、触れた際に購買意欲を喚起し、かつ優れた硬度及び基材との高密着性を示す化粧品容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、上記課題を解決すべく、鋭意検討を重ねた結果、特定の紫外線硬化樹脂組成物を原料とする塗膜層と特定の化粧品容器本体とを組み合わせることにより、触れた際に購買意欲を喚起し、優れた硬度及び基材との高密着性を示す化粧品容器を提供できることを見出し、以下の発明を完成させた。すなわち、本開示は、ある種の光硬化性樹脂を一定の比率で混合したベースに特定粒子径のウレタン樹脂ビーズ及び/又は二酸化ケイ素ビーズを一定の比率で添加することにより、特徴的な触感と容器物性とを発現させ、これを塗布した従来にない触り心地を付与した化粧品容器に関する。
【0006】
[1]本開示は、化粧品容器本体と、前記化粧品容器本体の外表面に被覆される塗膜層とを有し、
前記塗膜層は、下記(A)~(E)を下記の組成比で含有する紫外線硬化樹脂組成物の硬化物である、化粧品容器である。
(A)ガラス転移点が30℃~60℃であるウレタン(メタ)アクリレート:50~90質量%、
(B)2官能エポキシ樹脂:1~10質量%、
(C)光ラジカル重合開始剤::1~5質量%、
(D)光重合抑制剤:0.1~1質量%、
(E)平均粒子径が10μm以下である、ウレタン樹脂ビーズ及び/又は二酸化ケイ素ビーズ:7.9~15質量%
【0007】
[2]本実施形態において、前記(D)光重合抑制剤が、p-ベンゾキノン、ナフトキノン及びジ-t-ブチル・パラクレゾールからなる群から選択される1種以上であることが好ましい。
【0008】
[3]本実施形態の化粧品容器において、前記化粧品容器本体及び前記化粧品容器本体の外側面に配置される積層フィルムを有し、
前記積層フィルムは、基材フィルムと前記塗膜層と有することが好ましい。
【0009】
[4]本実施形態の化粧品容器において、前記積層フィルムは、前記紫外線硬化樹脂組成物を前記基材フィルムに塗工乾燥された積層体であることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、触れた際に購買意欲を喚起する化粧品容器を提供する。
本開示によれば、優れた硬度及び基材との高密着性を示す化粧品容器を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本実施形態の化粧品容器の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態(「本実施形態」と称する。)について詳細に説明するが、本開示は以下の記載に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
[化粧品容器]
本実施形態の化粧品容器は、化粧品容器本体と、当該化粧品容器本体の少なくとも外表面の一部に被覆された塗膜層とを有する。そして、前記塗膜層は、以下の(A)~(E)を含有する紫外線硬化樹脂組成物を原料とし、かつ当該紫外線硬化樹脂組成物の総量に対して以下の(A)~(E)の含有量の範囲である。
(A)ガラス転移点が30℃~60℃であるウレタン(メタ)アクリレート:50~90重量%、
(B)2官能エポキシ樹脂:1~10質量%、
(C)光ラジカル重合開始剤:1~5質量%、
(D)光重合抑制剤:0.1~1質量%、
(E)平均粒子径が10μm以下の、ウレタン樹脂ビーズ及び/又は二酸化ケイ素ビーズ:7.9~15質量%
これにより、触れた際に購買意欲を喚起し、優れた硬度及び基材(化粧品容器本体の基材又は塗膜層を形成した基材フィルム)と塗膜層との高密着性を示す化粧品容器を提供できる。
なお、「化粧品容器本体の少なくとも外表面の一部に被覆された塗膜層」とは、化粧品容器本体と塗膜層とが直接接触して、化粧品容器本体の少なくとも外表面の一部に塗膜層が積層される形態と、化粧品容器本体とは別の基材フィルム上又は当該別の基材フィルム表面に塗膜層が設けられた積層体を、前記化粧品容器本体の少なくとも外表面の一部を覆う(例えば、貼付あるいはシュリンクフィルム等により積層体と化粧品容器本体とを接触させる)形態とを含む。
また、前記積層体の構造は、後述する通りであり、化粧品容器本体とは別の基材(例えば、基材フィルム)と、塗膜層とを有していればよく、前記基材フィルムと塗膜層との間にバッファー層又は文字、図若しくは着色を表示するインキ層などを設けてもよい。また、当該インキ層は当該塗膜層表面に設けられてもよい。
【0013】
本開示の化粧品容器は、化粧品(例えば、ゲル状の化粧品、クリーム状の化粧料、乳液状の化粧料、あるいは化粧水のように流動性を有する内容物、以下同様である。)を収容できる空間を有する形状、例えば、中空構造あるいは凹部を有していれば特に限定されることは無い。そのため、本開示の化粧品容器の形状は、ボトル容器又はディスペンサ容器に限らず、ジャー容器、チューブ容器、又はコンパクト容器等の種々の化粧品容器の形状を採用できる。以下説明の便宜上、本開示の化粧品容器の好ましい形態の一例として、ディスペンサ容器を例に挙げて説明するが、本実施形態の化粧品容器の形状の範囲は、ボトル容器又はディスペンサ容器に限定されるものではない。
図1を用いて本実施形態の化粧品容器の好ましい形態の一例を説明した後、化粧品容器を構成する要素について説明する。
図1に示すように、化粧品容器1は、化粧品容器本体4及び蓋体2を有する。そして、蓋体2はネジ9によって、化粧品容器本体4と着脱自在に係合する。化粧品容器本体4は、その内部に化粧品が格納される内部空間を有する。そのため、化粧品容器本体4は、凹部を有する、あるいは中空構造である。また、図1では、化粧品容器本体4の内部空間に格納された化粧品を外部に注出する機構として、ポンピング動作により化粧品容器本体4に格納された化粧品を吐出するポンピング部材7を接続部6に取り付けた例を示している。そのため、ポンピング部材7を収容するために、蓋体2も中空構造である、あるいは凹部を有する。そして、化粧品容器1では、化粧品本体4が、底壁部3を有する(略)円筒体の例を示している。そのため、化粧品容器本体4の直交方向の断面は円形に形成された例を示しているが、化粧品本体4の形状は、円筒体に限定されることはなく、(略)多角筒体などが挙げられる。
【0014】
図1に示すように、化粧品容器本体4は、化粧品が格納される胴部及び開口部を備えた接続部6を有している。接続部6に形成された第1雄ネジ部が本体ネジ部として機能し、蓋体2の内面に形成された第1雌ネジ部8と前記第1雄ネジ部とが係合する。これにより、蓋体2と化粧品容器本体4は着脱可能に係合する。
また、化粧品容器本体4の開口部には、ポンピング部材7が装着され、胴部は、側壁部、底壁部3及び上壁部5を有している。そして、開口部は、上壁部5に連続して形成され、上方に延びている。開口部の内側には、化粧品容器本体4の内部空間に連通する口部が形成されている。また、開口部の外周面には、第1雄ネジ部が形成されている。
一方、ポンピング部材7は、ポンプキャップ、シリンダー及びヘッドを有している。ポンプキャップの内周面には、第2雌ネジ部が形成されている。ポンピング部材7の第2雌ネジ部を化粧品容器本体4の開口部の第2雄ネジ部に螺合させることにより、ポンピング部材7を化粧品容器本体4に取り付けることができる。
シリンダーは、ポンプキャップの内側に固定されている。シリンダーの下端にはパイプ(例えば、樹脂製の管)が取り付けられている。ヘッドは、ポンプキャップの上部に配置されている。ヘッドを押下げることにより、ポンプから必要量の化粧品を吐出させることができる。なお、ポンピング部材7の機構及び構成は、従来公知のポンプと同様であるため、各構成の詳細な説明はここでは省略する。
図1では、ポンピング部材7により内容物の化粧品を吐出する機構を示したが、変形例としては、貫通孔のあるキャップを化粧品容器本体4の開口部に取り付けてもよい。
【0015】
化粧品容器本体4は、例えば、PET樹脂などを射出成形又はインジェクションブロー成形して形成される。化粧品容器本体4を構成する樹脂として、例えば、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、PET樹脂を使用することができる。
本実施形態の化粧品容器1は、化粧品容器本体4と、塗膜層(図示せず)とを有する。より詳細には、化粧品容器本体4の外側に紫外線硬化樹脂組成物を塗布して硬化させた塗膜層が形成される、あるいは基材フィルムと当該基材フィルムの少なくとも一方の面に設けられた紫外線硬化樹脂組成物が硬化した塗膜層とを有する積層体フィルムを、前記塗膜層が最外表面となるよう化粧品容器本体4の外側に取り付けられる(例えば、ラミネート又は巻回される)。そのため、化粧品容器本体4の外側の塗膜層には、(E)平均粒子径が10μm以下の、ウレタン樹脂ビーズ及び/又は二酸化ケイ素ビーズが分散されている。
これにより、触れた際に購買意欲を喚起する。また、優れた、鉛筆硬度及び基材密着性を有するため、適度な肌触りを有し、瑕がつきにくい状態を保つことができる。
【0016】
「塗膜層」
本実施形態の塗膜層は、紫外線硬化樹脂組成物を原料とし、紫外線硬化樹脂組成物の硬化物でありうる。
本実施形態の塗膜層の平均厚みは、3~20μmであることが好ましく、より好ましくは6~12μmである。
本実施形態の塗膜層の平均厚みの測定方法は、例えば、接触型(指針型)乃至渦電流式の膜厚計、又は電子マイクロメーター(株式会社ミツトヨ社製)を用いて測定し、10点の塗膜層の厚みの平均値より求めている。
本実施形態の塗布層において、(A)成分、(B)成分及び(E)成分の合計含有量は、塗布層全体に対して、90~99.9質量%であることが好ましく、より好ましくは95~99.9質量%である。
本実施形態の塗膜層の鉛筆硬度は、2H以上であることが好ましい。より耐傷性に優れ、かつ触れた際に購買意欲をより喚起する観点から、2H以上5H以下であることがより好ましい。
本明細書における、鉛筆硬度とは、本開示の塗膜層を特定の鉛筆硬度を有する高級鉛筆で擦過した場合、擦過痕が残らない硬さのことであり、JIS K-5600に従って測定する塗膜層の表面硬度試験に用いる鉛筆硬度を指標とすることが好ましい。
【0017】
本実施形態の塗膜層は、化粧品容器本体の表面に直接設けられても、あるいは前記化粧品容器本体とは別の基材フィルム上に設けられてもよい。
特に、前記化粧品容器本体とは別の基材フィルム上に塗膜層を設ける場合、本実施形態の化粧品容器は、化粧品容器本体と積層フィルムとを有する。そして、前記積層フィルムは、基材フィルムと、塗膜層とを有することが好ましい。より詳細には、前記積層フィルムは、紫外線硬化樹脂組成物を前記基材フィルムに塗工乾燥された積層体でありうる。
本実施形態の積層フィルムの平均厚みは、5~100μmであることが好ましく、より好ましくは10~50μmである。当該平均厚みの測定方法は、塗膜層と同様の方法により算出している。また、本実施形態の積層フィルムの好ましい形態としては、基材フィルムと、インキ層と、塗膜層(例えば、クリヤー塗膜層)とが、基材フィルムの一方の面に形成され、他方の面には接着剤層が形成された形態でありうる。
当該基材フィルムの材料としては、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン(高密度又は低密度ポリエチレンも含む。))、アルミニウム、ABS(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合樹脂)などが挙げられる。
【0018】
本実施形態の塗膜層の原料である紫外線硬化樹脂組成物について、以下、紫外線硬化樹脂組成物及びその各成分について説明する。
【0019】
(紫外線硬化樹脂組成物)
本実施形態の紫外線硬化樹脂組成物は、(A)ガラス転移点が30℃~60℃であるウレタン(メタ)アクリレート(以下、(A)成分又は単に(A)ウレタン(メタ)アクリレート)、(B)2官能エポキシ樹脂(以下、(B)成分)、(C)光ラジカル重合開始剤(以下、(C)成分)、(D)光重合抑制剤(以下、(D)成分)、並びに、(E)平均粒子径が10μm以下の、ウレタン樹脂ビーズ及び/又は二酸化ケイ素ビーズ(以下、(E)成分)を含有する。
【0020】
本実施形態の紫外線硬化樹脂組成物において、(A)成分の含有量は紫外線硬化樹脂組成物全体に対して、50~90質量%であることが好ましく、より好ましくは70~90質量%である。
【0021】
本実施形態の紫外線硬化樹脂組成物において、(B)成分の含有量は紫外線硬化樹脂組成物全体に対して、1~10質量%であることが好ましく、より好ましくは4~8質量%である。
【0022】
本実施形態の紫外線硬化樹脂組成物において、(C)成分の含有量は紫外線硬化樹脂組成物全体に対して、1~5質量%であることが好ましく、より好ましくは1.5~3.5質量%である。
【0023】
本実施形態の紫外線硬化樹脂組成物において、(D)成分の含有量は紫外線硬化樹脂組成物全体に対して、0.1~1質量%であることが好ましく、より好ましくは0.1~0.5質量%である。
【0024】
本実施形態の紫外線硬化樹脂組成物において、(E)成分の含有量は紫外線硬化樹脂組成物全体に対して、7.9~15質量%であることが好ましく、より好ましくは9~12質量%である。
【0025】
本実施形態の紫外線硬化樹脂組成物において、(A)成分、(B)成分及び(E)成分の合計含有量は、紫外線硬化樹脂組成物全体に対して、90~99.9質量%であることが好ましく、より好ましくは95~99.9質量%である。
以下、紫外線硬化樹脂組成物の各成分である、(A)ガラス転移点が30℃~60℃であるウレタン(メタ)アクリレート、(B)2官能エポキシ樹脂、(C)光ラジカル重合開始剤、(D)光重合抑制剤、(E)平均粒子径が10μm以下の、ウレタン樹脂ビーズ及び/又は二酸化ケイ素ビーズ、並びにその他の添加成分について詳説する。
【0026】
<(A)ガラス転移点が30℃~60℃であるウレタン(メタ)アクリレート>
本実施形態の(A)ウレタン(メタ)アクリレートのガラス転移点は、30℃~60℃であり、かつ前記(A)ウレタン(メタ)アクリレートは塗膜に柔軟性を付与し、フィラーの特性を維持するための成分として有効である。
本実施形態の(A)ウレタン(メタ)アクリレートとしては、例えば、ポリオール(a1)、ポリイソシアネート(a2)、及びイソシアネート基又は水酸基を有する(メタ)アクリル化合物(a3)を反応原料とする化合物でありうる。
なお、本明細書において、「ウレタン(メタ)アクリレート」とは、ウレタンアクリレート及び/又はウレタンメタクリレートを示し、「(メタ)アクリル化合物」とは、メタクリル化合物及び/又はアクリル化合物を示し、「(メタ)アクリレート」とは、メタクリレート及び/又はアクリレートを示し、「(メタ)アクリロイル基」とは、メタクリロイル基及び/又はアクリロイル基を示し、「(メタ)アクリル酸」とは、メタクリル酸及び/又はアクリル酸を示す。
【0027】
本実施形態において、ポリオール(a1)としては、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール等を用いることができる。これらのポリオールは単独で用いても、あるいは2種以上を併用してもよい。ポリオール(a1)は、被着体である化粧品容器本体の基材又は基材フィルムの種類に応じて適宜決定される。化粧品容器本体の材料としては、特に制限されることはなく、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン(高密度又は低密度ポリエチレンも含む。))、アルミニウム、ABS(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合樹脂)、ガラス又は木材などが一般的に使用されうる。特に化粧品容器本体の基材に、PETを使用する場合には、ポリオール(a1)としては、ポリエステルポリオールを用いることが密着性の点から好ましい。
【0028】
本実施形態において、ポリイソシアネート(a2)としては、例えば、キシリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ジイソシアナートメチルシクロヘキサン、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の脂肪族または脂環式ポリイソシアネートなどを用いることができる。これらのポリイソシアネートは単独で用いても、あるいは2種以上を併用してもよい。上記ポリイソシアネート(a2)の例示中、密着性を一層向上できる点から、脂環式ポリイソシアネートを用いることが好ましく、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート及びジイソシアナートメチルシクロヘキサンからなる群より選ばれる1種以上のポリイソシア
ネートを用いることがより好ましい。
【0029】
本実施形態において、イソシアネート基又は水酸基を有する(メタ)アクリル化合物(a3)は、(A)ウレタン(メタ)アクリレート中に(メタ)アクリロイル基を導入する目的で用いる化合物である。
上記(メタ)アクリル化合物(a3)として用いることができるイソシアネート基を有する(メタ)アクリル化合物としては、例えば、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、2-(2-(メタ)アクリロイルオキシエチルオキシ)エチルイソシアネート、1,1-ビス((メタ)アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート等を用いることができる。これらの化合物は単独で用いても、あるいは2種以上を併用してもよい。
上記(メタ)アクリル化合物(a3)の例示中、原料入手の容易性の点から、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネートを用いることが好ましく、硬化性の点から、2-アクリロイルオキシエチルイソシアネートを用いることがより好ましい。
【0030】
上記(メタ)アクリル化合物(a3)として用いることができる水酸基を有する(メタ)アクリル化合物としては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチルアクリルアミド等の水酸基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル;トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等の水酸基を有する多官能(メタ)アクリレート;ポリエチレングリコールモノアクリレート、ポリプロピレングリコールモノアクリレートなどを用いることができる。これらの化合物は単独で用いても、あるいは2種以上を併用してもよい。
上記(メタ)アクリル化合物(a3)の例示中、原料入手の容易性、硬化性及び密着性の点から、水酸基を有するアクリル酸(メタ)アルキルエステルを用いることが好ましく、2-ヒドロキシエチルアクリレート及び/又は4-ヒドロキシブチルアクリレートを用いることがより好ましい。
【0031】
本実施形態において、(メタ)アクリル化合物(a3)としてイソシアネート基を有する(メタ)アクリル化合物を用いる場合、(A)ウレタン(メタ)アクリレートの製造方法としては、例えば、無溶剤下で、ポリオール(a1)とポリイソシアネート(a2)とを仕込み、反応させることによって水酸基を有するウレタンプレポリマーを得、次いで、イソシアネート基を有する(メタ)アクリル化合物(a3)を供給し、混合、反応させることによって製造する方法等が挙げられる。上記反応は、例えば20~120℃の条件下で30分~24時間行うことが好ましい。
本実施形態において、(メタ)アクリル化合物(a3)として水酸基を有する(メタ)アクリル化合物を用いる場合、(A)ウレタン(メタ)アクリレートの製造方法としては、例えば、無溶剤下で、ポリオール(a1)と(メタ)アクリル化合物(a3)とを反応系中に仕込んだ後に、ポリイソシアネート(a2)を供給し、混合、反応させることによって製造する方法;無溶剤下で、ポリオール(a1)とポリイソシアネート(a2)とを反応させることによってイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを得、次いで、水酸基を有する(メタ)アクリル化合物(a3)を供給し、混合、反応させることによって製造する方法等が挙げられる。上記反応は、例えば20~120℃の条件下で30分~24時間行うことが好ましい。
【0032】
本実施形態において、(A)ウレタン(メタ)アクリレートを製造する際には、必要に応じて重合禁止剤、ウレタン化触媒等を用いてもよい。
上記重合禁止剤としては、例えば、3,5-ビスターシャリーブチル-4-ヒドロキシトルエン、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル(メトキノン)、パラターシャリーブチルカテコールメトキシフェノール、2,6-ジターシャリーブチルクレゾール、フェノチアジン、テトラメチルチウラムジスルフィド、ジフェニルアミン、ジニトロベンゼン等を用いることができる。これらの重合禁止剤は単独で用いても、あるいは2種以上を併用してもよい。
上記ウレタン化触媒としては、例えば、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、N-メチルモルホリン等の含窒素化合物;酢酸カリウム、ステアリン酸亜鉛、オクチル酸錫等の金属塩;ジブチルチンラウレート、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート等の有機金属化合物などを用いることができる。これらのウレタン化触媒は単独で用いても、あるいは2種以上を併用してもよい。
また、本実施形態の(A)ウレタン(メタ)アクリレートを製造する際には、最後に、(A)ウレタン(メタ)アクリレートに残存するイソシアネート基を失活させることを目的として、メタノール等のアルコールを添加してもよい。
【0033】
本実施形態の(A)ウレタン(メタ)アクリレートの重量平均分子量としては、柔軟性及び硬化収縮抑制の点から、500~50,000の範囲であることが好ましく、3,000~40,000の範囲であることより好ましい。なお、(A)ウレタン(メタ)アクリレートの重量平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)法により、下記の条件で測定した値を示す。
<<重量平均分子量の測定条件>>
測定装置:高速GPC装置(東ソー株式会社製「HLC-8220GPC」)カラム:
東ソー株式会社製の下記のカラムを直列に接続して使用した。
「TSKgelG5000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgelG4000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgelG3000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgelG2000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
検出器:RI(示差屈折計)
カラム温度:40℃
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
流速:1.0mL/分
注入量:100μL(試料濃度0.4質量%のテトラヒドロフラン溶液)
標準試料:下記の標準ポリスチレンを用いて検量線を作成する。
【0034】
<<標準ポリスチレン>>
東ソー株式会社製「TSKgel標準ポリスチレンA-500」
東ソー株式会社製「TSKgel標準ポリスチレンA-1000」
東ソー株式会社製「TSKgel標準ポリスチレンA-2500」
東ソー株式会社製「TSKgel標準ポリスチレンA-5000」
東ソー株式会社製「TSKgel標準ポリスチレンF-1」
東ソー株式会社製「TSKgel標準ポリスチレンF-2」
東ソー株式会社製「TSKgel標準ポリスチレンF-4」
東ソー株式会社製「TSKgel標準ポリスチレンF-10」
東ソー株式会社製「TSKgel標準ポリスチレンF-20」
東ソー株式会社製「TSKgel標準ポリスチレンF-40」
東ソー株式会社製「TSKgel標準ポリスチレンF-80」
東ソー株式会社製「TSKgel標準ポリスチレンF-128」
東ソー株式会社製「TSKgel標準ポリスチレンF-288」
東ソー株式会社製「TSKgel標準ポリスチレンF-550」
【0035】
本実施形態の(A)ウレタン(メタ)アクリレートとしては、架橋密度を低下させ、硬化収縮を一層抑制できる点から、(メタ)アクリロイル基を2個有する、いわゆる2官能ウレタン(メタ)アクリレートであることが好ましい。
(A)ウレタン(メタ)アクリレートのガラス転移点は、30~60℃の範囲であることが塗膜の手触り感の観点から好ましい。
【0036】
<<(A)ウレタン(メタ)アクリレートのガラス転移温度>>
本実施形態の(A)ウレタン(メタ)アクリレートのガラス転移温度(Tg)の測定方法は、は、例えば、メトラートレド社製[DSC822e]を用い、窒素雰囲気下、アルミニウムパンに測定対象(約7mg)を入れて圧着・密閉状態とした後、-100~+150℃の範囲を10℃/分の昇温速度で走査した時の熱流曲線の変曲点から求めることができる。
本実施形態の(A)ウレタン(メタ)アクリレートの好ましいガラス転移温度(Tg)は、30~60℃であり、より好ましくは35~55℃であり、さらに好ましくは40~55℃である。(A)ウレタン(メタ)アクリレートのガラス転移温度が上記範囲であると、人が手で触った際に乾燥した心地よさをより感じやすいからである。
【0037】
<(B)2官能エポキシ樹脂>
本実施形態の(B)2官能エポキシ樹脂としては、分子内に2個のエポキシ基を有する化合物であり、一般的に市販されているエピ-ビス型、ノボラック型、β-メチルエピクロ型、環状オキシラン型、グリシジルエーテル型、グリシジルエステル型、ポリグリコールエーテル型、グリコールエーテル型、エポキシ化脂肪酸エステル型、多価カルボン酸エステル型、アミノグリシジル型、レゾルシン型等の各種エポキシ樹脂が挙げられる。より具体的には、(B)2官能エポキシ樹脂は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、テトラメチルビスフェノールA型エポキシ樹脂、テトラメチルビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂;ビフェニル型エポキシ樹脂、テトラメチルビフェニル型エポキシ樹脂等のビフェニル型エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエン-フェノール付加反応型エポキシ樹脂;フェノールアラルキル型エポキシ樹脂;ジグリシジルオキシナフタレン;キサンテン骨格を分子構造中に有するエポキシ樹脂が挙げられる。
これらの中でも塗膜の傷付き性が良好なことから、好適な(B)2官能エポキシ樹脂は、エピ-ビス型のエポキシ樹脂である。
本実施形態の(B)2官能エポキシ樹脂としては、市販品を使用してもよく、当該(B)2官能エポキシ樹脂の市販品としては、ビスフェノールA(BPA)タイプのものは、エピコート(EPIKOAT)1001、エピコート(EPIKOAT)1004、EPICLON N-865、EPICLON N-870等が挙げられる。
また(B)2官能エポキシ樹脂の一例である変性ノボラック型エポキシ樹脂としては、ビスフェノールAを含まないエポキシ樹脂の例として、DIC(株)社製のEPICLON N-730、EPICLON N-740、EPICLON N-770等のフェノールノボラック型エポキシ樹脂、EPICLON N-660、EPICLON N-665、EPICLON N-670、EPICLON N-673、EPICLON N-680、EPICLONN-690、EPICLON N-695、旭化成エポキシ(株)社のAER ECN-1273、同社製AER ECN-1299等のクレゾールノボラック型エポキシ樹脂などが挙げられる。
更にビスフェノールAを含まないエポキシ樹脂であれば、特に衛生面や食品用途で、未反応ビスフェノールAが溶出しないことから好ましい。なお、上記「ビスフェノールAを含まないエポキシ樹脂」とは、ビスフェノールA骨格由来の構造を含まないエポキシ樹脂を意味する。
【0038】
<(C)光ラジカル重合開始剤>
本実施形態の組成物は、紫外線で硬化させるために(C)光ラジカル重合開始剤を含有する。当該光ラジカル重合開始剤としては、例えば、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジル、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾインエチルエーテル、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-1-ブタノン、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]-フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、フェニルグリオキシリックアシッドメチルエステル、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド等の分子開裂型や、ベンゾフェノン、4-フェニルベンゾフェノン、イソフタルフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチル-ジフェニルスルフィド、2,4-ジエチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン等の水素引き抜き型の光重合開始剤等が挙げられる。これら光ラジカル重合開始剤は単独で使用しても、あるいは二種類以上を併用してもよい。
【0039】
<(D)光重合抑制剤>
本実施形態における(D)光重合抑制剤は、塗料を貯蔵・保管している際あるいは塗工作業の際に塗液中での重合反応を進ませない目的で添加させる。当該(D)光重合抑制剤としては、例えば、ヒドロキノン(HQ)、メチルヒドロキノン(MEHQ)、3,5-ジブチル-4-ヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール等を適量、配合することができる。
【0040】
<(E)ウレタン樹脂ビーズ及び/又は二酸化ケイ素ビーズ>
本実施形態の(E)ウレタン樹脂ビーズ及び/又は二酸化ケイ素ビーズは、平均粒子径が10μm以下である。(E)ウレタン樹脂ビーズ及び/又は二酸化ケイ素ビーズは、平均粒子径は、0.1~10μmの範囲が好ましく、0.8~6μmの範囲がより好ましい。前記粒子径が小さくなると、フィラーが塗膜に埋もれ、良好な手触り感が得られず、粒子径が大きくなると、耐摩擦性不良、製品安定性(沈降)、塗工ムラなどが問題となるからである。
【0041】
本明細書における「(E)ウレタン樹脂ビーズ及び/又は二酸化ケイ素ビーズの平均粒子径」の測定方法は、本実施形態の化粧品容器を切断した断面(ミクロトームにより切断した断面片)を、電子顕微鏡(SEM又はTEM)による観察を行い、前記ビーズが真球状の場合はその直径を、前記ビーズが非真球状の場合は最長径(観察視野またはその写真上で、個々のウレタン樹脂ビーズ又は二酸化ケイ素ビーズを平行な2本の線分で挟み込んだときの最長距離)及び最短径(観察視野またはその写真上で、個々のビーズを平行な2本の線分で挟み込んだときの最短距離)を求め、その算術平均値をそのビーズの平均直径とする。さらに前記ビーズ20個についての直径または平均直径を算術平均し、その値を平均粒子径とする。
本明細書では、日立製最所製操作型電子顕微鏡S-3400Nにより測定した50%メジアン径を意味するものとする。
【0042】
本実施形態のウレタン樹脂ビーズは、ウレタン樹脂をビーズ状に成形したものであり、その平均粒子径は2~10μmの範囲である。この理由はビーズが塗膜表面へ露出した際、人が手で触った際に本開示の目的とする所望の触感が感じられやすい粒子径範囲であるからである。更に、5~8μmの範囲であれば、手触り感の観点からより好ましい。また、ウレタン樹脂ビーズのガラス転移点は-80~0℃の範囲であることが好ましい。この理由はビーズが塗膜表面に露出した際、人が手で触った際に乾燥した心地よさを感じやすいガラス転移点であるからである。更に-60~-20℃の範囲であれば、ビーズが塗膜表面に露出した際にブロッキングなどを発生し難く、好適に使用できる。
同様に、本実施形態の二酸化ケイ素ビーズは、二酸化ケイ素ビーズをビーズ状に成形したものであり、その平均粒子径は2~10μmの範囲である。この理由はビーズが塗膜表面へ露出した際、人が手で触った際に本開示の目的とする所望の触感が感じられやすい粒子径範囲であるからである。更に、5~8μmの範囲であれば、手触り感の観点からより好ましい。
【0043】
以上が本実施形態の紫外線硬化樹脂組成物の必須成分である。本実施形態の紫外線硬化樹脂組成物は、必要により任意の添加成分を配合してもよい。具体的には、前記添加成分は、レベリング剤、チクソ性付与剤、上記以外のワックス、乾燥材、増粘剤、垂れ止め剤、可塑剤、分散剤、沈降防止剤、消泡剤、紫外線吸収剤、光安定剤、離型剤、無機顔料、有機顔料及び体質顔料からなる群から選択される1種又は2種以上でありうる。
【0044】
(化粧品容器本体及び蓋体)
本実施形態の化粧品容器本体4又は蓋体2の材料は特に制限されることはなく、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン(高密度又は低密度ポリエチレンも含む。))、アルミニウム、ABS(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合樹脂)、ガラス又は木材などが使用されうる。特に、ポリエチレンテレフタレート又はポリエチレン若しくはポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂が好ましい。
必要により、化粧品容器本体4又は蓋体2の材料は、ポリエチレンテレフタレート以外に、ポリプロプレン等のポリオレフィンをさらに含有してもよく、公知の着色剤を添加してもよい。
本実施形態の化粧品容器本体4の形状は特に制限されることは無いが、略円筒体であることが好ましい。
本実施形態の蓋体2の形状は特に制限されることは無く、化粧品容器本体4の形状に応じて適宜決定される。
【0045】
(化粧品容器の製造方法)
本実施形態の化粧品容器の製造方法について説明する。化粧品容器の製造方法は、プリフォーム成形工程及びブロー成形工程を有する化粧品容器本体の製造段階と、塗布工程及び乾燥工程を有する塗布層形成段階とを含む。前記プリフォーム成形工程では、化粧品容器本体の原料の樹脂材料を射出成形して、中間製品であるプリフォームを成形する。そして、ブロー成形工程では、得られたプリフォームに対して延伸ブロー成形を行い、化粧品容器本体を製造する。ついで、塗布工程は、上述した紫外線硬化樹脂組成物をスプレー塗装により、塗膜を化粧品容器本体の外表面に形成する工程(1)又は上述した紫外線硬化樹脂組成物をグラビア方式、フレキソ方式、コンマコーティング方式により平板状の基材フィルムの少なくとも一方の面上に塗膜を形成する工程(2)である。
また、乾燥工程は、上記工程(1)で得られた塗膜を外表面に有する化粧品容器本体又は上記工程(2)で得られた塗膜を表面に有する平板状の基材フィルムを、80~100℃雰囲気中の熱風オーブン内で20秒間保持し、塗料中の溶剤成分を揮発させた後、塗膜層を化粧品容器本体の外表面に形成する工程である。前者の上記工程(1)で得られた塗膜を外表面に有する化粧品容器本体を用いた場合、化粧品容器本体の外表面に直接塗膜層が形成されうる。また、後者の上記工程(2)で得られた塗膜を表面に有する平板状の基材フィルムを用いた場合、上述した紫外線硬化樹脂組成物をPETやPPなどのプラスティックフィルム(平板状の基材フィルム)に塗布し、当該紫外線硬化樹脂組成物の硬化物を形成した平板状の基材フィルムを化粧品容器本体にラミネートする工程により、化粧品容器の製造が可能である。
【0046】
<プリフォーム成形工程>
本実施形態のプリフォーム成形工程では、射出成形装置を用いてプリフォームが成形される。当該出成形装置において、溶融した化粧品容器本体の原料の樹脂材料(例えば、ポリエチレンテレフタレート、)が金型内のキャビティに射出された後、樹脂材料が冷却され、固化することにより、所望の形状のプリフォーム(例えば、開口部及び胴部が成形されたプリフォーム)が得られる。
【0047】
<延伸ブロー成形工程>
本実施形態の延伸ブロー成形工程では、上記プリフォーム成形工程で得られたプリフォームに対して延伸ブロー成形を行い、化粧品容器本体を成形する。このとき、プリフォームが射出成形直後であって、延伸可能な温度であれば、そのままプリフォームに対して延伸ブロー成形を行うことができる。
【0048】
<塗布工程>
本実施形態において、塗布工程が、上記工程(1)である場合(化粧品容器本体の基材へダイレクトに塗工する場合)、乾燥塗膜量が4~6g/mになるように、化粧品容器本体の基材へスプレー塗装を施す方法が好ましい。
一方、塗布工程が、上記工程(2)である場合(化粧品容器本体に対して、塗布層を有する積層フィルムをラミネート等により取り付ける場合)、乾燥塗膜量が4~6g/mになるように、基材フィルムへグラビア方式で塗布を施す方法が好ましい。
当該基材フィルムの材料としては、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン(高密度又は低密度ポリエチレンも含む。))、アルミニウム、ABS(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合樹脂)などが挙げられる。
当該基材フィルムの平均厚みは、5~100μmであることが好ましい。
<<硬化条件>>
本実施形態の紫外線硬化樹脂組成物は、紫外線等のエネルギー線の照射によって硬化を進行させることができる。紫外線等のエネルギー線の照射エネルギーとしては、紫外線硬化性の点から、0.1~10J/cmの範囲であることが好ましく、0.2~5J/cmの範囲がより好ましく、0.25~3J/cmの範囲が更に好ましい。
紫外線等のエネルギー線の照度としては、接着性及び硬化性の点から、0.001~2W/cmの範囲であることが好ましく、0.01~1.5W/cmの範囲がより好ましく、0.05~1W/cmの範囲が更に好ましい。紫外線の発生源としては、例えば、キセノンランプ、キセノン-水銀ランプ、メタルハライドランプ、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、LED等の公知のランプを用いることができる。なお、紫外線の照射エネルギー及び照度は、UVチェッカー;UV Power PucK(II)(Electronic Instrumentation and Technology社製)を用いて320~390nmの波長域において測定した値を基準とする。
【0049】
<乾燥工程>
本実施形態において、塗材である紫外線硬化樹脂組成物を化粧品容器本体の基材に塗布した後、80~100℃雰囲気中の熱風オーブン内で10秒程度保持し、塗料中の溶剤成分を揮発させることが好ましい。
また、本実施形態において、グラビアロールコート法にて紫外線硬化樹脂組成物を平板状の基材フィルムに塗工し、100~120℃雰囲気中のオーブン中、乾燥温度80~100℃の条件で加熱乾燥させ、厚さ60μmの積層フィルムを形成しうる。また、積層フィルムを化粧品容器本体にラミネートする方法としては、上述の塗膜層を有する積層フィルムを一液硬化型又は二液硬化型ウレタン樹脂系、ポリエステル樹脂系、アクリル樹脂系接着剤等を用い、胴巻きラベラー方式にて貼りあわせる方法あるいは接着剤を使用せずにシュリンク方式にて化粧品容器本体に積層フィルムを取り付けることができる。
【実施例0050】
以下、本開示を実施例にて具体的に説明するが、本開示は実施例に限定して解釈されるものではない。また、例中「部」及び「%」は、「質量部」、「質量%」を各々表わす。
【0051】
1.紫外線硬化樹脂組成物の調製、試験パネルの作製及びその評価
下記の表1及び表2に示した割合(表中の数字は固形分重量比率を示す)で下記の(1-1)「原料」の欄に記載の原料を配合、分散攪拌機にて回転数:3000rpm、時間:3分間攪拌し、調製例1~9及び比較調製例1~3の紫外線硬化樹脂組成物を作製した。その後、下記の(1-2)「試験パネルの作製方法」の欄に記載の手順にしたがって、調製例1~9及び比較調製例1~3の紫外線硬化樹脂組成物の硬化物をそれぞれ有する試験パネルを作製して、下記の(1-3)「鉛筆硬度の評価方法」~(1-6)「耐水性試験の評価方法」の欄に記載の評価を行った。その結果を、下記の表1に示す。
【0052】
(1-1)「原料」
(A)ガラス転移点が30℃~60℃であるウレタンアクリレートとして、以下の樹脂(A-1)を使用した。また比較用樹脂として、以下の樹脂(X-1)を使用した。
樹脂(A-1):DIC株式会社製ルクシディア(Tg:50℃)
樹脂(X-1):DIC株式会社製ルクシディア(Tg:30℃)
(B)2官能エポキシ樹脂として、DIC株式会社製「エピクロン」を使用した。
(C)光ラジカル重合開始剤として、株式会社ADEKA製「アデカアークルズ」を使用した。
(D)光重合抑制剤として、東京化成工業社製の安定ラジカル化合物系光重合抑制剤を使用した。
(E)平均粒子径が10μm以下の、ウレタン樹脂ビーズ及び/又は二酸化ケイ素ビーズとして、以下のフィラー(E-1)~(E-6)を使用した。なお、各フィラー(E-1)~(E-6)の粒子径(平均粒子径)は、明細書に記載の手順に従って、日立製最所製操作型電子顕微鏡S-3400Nを用いて測定した。
フィラー(E-1):ウレタン樹脂ビーズ 根上工業社製アートパール 粒子径10μm
フィラー(E-2):ウレタン樹脂ビーズ 根上工業社製アートパール 粒子径6μm
フィラー(E-3):ウレタン樹脂ビーズ 根上工業社製アートパール 粒子径50μm
フィラー(E-4):アクリル樹脂ビーズ 根上工業社製アートパール 粒子径10μm
フィラー(E-5):二酸化ケイ素ビーズ 富士シリシア社製サイリシア 粒子径4μm
フィラー(E-6):ナイロン樹脂ビーズ アルケマ社製オルガゾール 粒子径30μm
(F)溶剤として、メチルエチルケトンを使用した。
【0053】
(1-2)「試験パネルの作製方法」
表1中の調製例1~9及び比較調製例1~3に示す混合比率の紫外線硬化樹脂組成物を、PET製樹脂プレート上に乾燥塗膜量が4~6g/mになるようにバーコーターにて塗布し、100℃/5秒間乾燥加熱して溶剤分を揮発させた後、フュージョンUVシステムズ社製UV照射装置で積算光量300mJ/cmにて処理し、調製例1~9及び比較調製例1~3の試験パネル(1)~(9)及び比較用試験パネル(1)~(3)を作製した後、下記の(1-3)~(1-6)の評価方法により、種々の評価を行った。
調製例1~9及び比較調製例1~3の試験パネル1~試験パネル9及び比較用試験パネル1~比較用試験パネル3の評価結果を表1に示す。
【0054】
(1-3)「鉛筆硬度の評価方法」
調製例1~9及び比較調製例1~3に示す紫外線硬化樹脂組成物を用いた塗工サンプルをJIS-S-6006に規定された高級鉛筆を用いJIS-K-5400に準じて鉛筆硬度を測定した。2H以上を合格とした。
【0055】
(1-4)「基材密着性の評価方法」
調製例1~9及び比較調製例1~3に示す紫外線硬化樹脂組成物を用いて塗工した、当該紫外線硬化樹脂組成物の塗工面に、ニチバン社製セロテープ(登録商標)「品番:No.405」を貼り付けた後、セロハンテープを急速に剥離し、貼り付けたセロハンテープの面積を全体で100%とした際に塗膜が剥離した面積について次に示す評価基準によって評価し、評点4以上を合格とした。
(評価基準)
5…剥離が全くない。
4…全体の1~10%が剥離した。
3…全体の11~30%が剥離した。
2…全体の31~50%が剥離した。
1…全体の51%以上が剥離した。
【0056】
(1-5)「耐摩耗試験の評価方法」
調製例1~9及び比較調製例1~3に示す紫外線硬化樹脂組成物を用いた塗工サンプルをASTM F2357-04に準じてRCA摩耗試験にて評価した。試験はスピード:60mm/s、加圧:275gの条件下塗膜が剥離し、下地が露出するまでの回数にて評価した。評価基準は剥離までの回数が10回以上を合格とした。
【0057】
(1-6)「耐水性試験の評価方法」
調製例1~9及び比較調製例1~3に示す紫外線硬化樹脂組成物を用いた塗工サンプルを100℃に加熱した湯中に24時間浸漬し、塗膜の変色、変形、剥離について浸漬前後の状態を目視で観察し、次に示す評価基準によって評価し、評点4以上を合格とした。
(評価基準)
5…全く変化がない。
4…浸漬後、僅かに塗膜の変色または変形が見られるが、剥離は見られない。
3…浸漬後、塗膜が変色または変形し、一部に剥離が見られる。
2…浸漬後、塗膜の大部分に変色または変形、剥離が見られる。
1…浸漬後、塗膜面全面が変色または変形、剥離した。
【0058】
2.化粧品容器の製造及びその評価
(2-1)「実施例1~10の化粧品容器」
(2-1-1)化粧品容器本体
市販品である「SHISEIDO ホワイトルーセント マイクロS セラム 30mL(株式会社資生堂製)」を、実施例1~9及び比較例1~3で使用した化粧品容器本体として使用した。
(2-1-2)実施例1~9の積層フィルムを有する化粧品容器
東洋紡社製厚さ50μmのPETフィルムE-5102に、乾燥塗膜量が4~6g/mになるようにバーコーターにて上記調製例1~9で調製した紫外線硬化樹脂組成物をそれぞれ塗布し、100℃/5秒間乾燥加熱して溶剤分を揮発させた後、フュージョンUVシステムズ社製UV照射装置にて積算光量300mJ/cmにて処理して、塗布層を形成した積層フィルムを作製した。
上記の化粧品容器本体(「SHISEIDO ホワイトルーセント マイクロS セラム 30mL中身入り(株式会社資生堂製)」)の外側に各塗布層を形成した積層フィルムを巻き付けることにより実施例1~9の化粧品容器を製造した。その後、後述の(2-3)の欄に記載の触感による肯定的評価試験の方法を用いて、評価を行った。その結果を表2に示す。
【0059】
(2-1-3)実施例10の塗布層を直接表面に形成した化粧品容器
上記調製例1で調製した紫外線硬化樹脂組成物を、上記化粧品容器本体(「SHISEIDO ホワイトルーセント マイクロS セラム 30mL 中身入り(株式会社資生堂製)」)に乾燥塗膜量が4~6g/mになるようにスプレーコーティングにて塗布し、100℃/5秒間乾燥加熱して溶剤分を揮発させた後、フュージョンUVシステムズ社製UV照射装置にて積算光量300mJ/cmにて処理して、実施例10の塗布層を直接表面に形成した化粧品容器を作製した。なお、当該実施例10の化粧品容器の外観又は触感については、実施例1の化粧品容器と同等であった。
【0060】
(2-2)「比較例1~3の化粧品用容器」
上記比較例1~3で調製した紫外線硬化樹脂組成物を用いて、上記実施例1~9と同様に比較用積層フィルムを作製した後、当該比較用積層フィルムを上記化粧品容器本体(「SHISEIDO ホワイトルーセント マイクロS セラム 30mL 中身入り(株式会社資生堂製)」)の本体部分に巻き付けることにより比較例1~3の化粧品容器を製造した。その後、後述の(2-3)の欄に記載の触感による肯定的評価試験の方法を用いて、評価を行った。その結果を表2に示す。
【0061】
(2-3)触感による肯定的評価試験の方法
実施例1~9及び比較例1~3で作製した化粧品容器、並びにコントロールとして「SHISEIDO ホワイトルーセント マイクロS セラム 30mL(中身入り) 以下、美容液ボトル30mLの中味入りと称する。」のそれぞれの化粧品容器について、視覚情報遮断した状態で直接手にとって、以下の条件で触感による肯定的評価試験を行った。
(肯定的評価試験の各条件)
実験参加者:第1回目の実験(女性19名)、第2回目の実験(女性16名)
手状態:化粧水で濡れている状態(化粧品容器毎において、評価直前に0.05ml程度化粧水(ELIXIR ローション)を手のひら全体に塗布した状態)
視覚情報:手元はカーテンで視覚情報遮断して、各試験開始前に試験対象のボトルは見せる。
対象容器:実施例1~9及び比較例1~3で作製した化粧品容器、並びにコントロールはいずれも美容液ボトル30mLの中味入り
対象触感:第1回目の実験では6種、第2回目の実験では11種
評価項目:全13項目7段階評価
この容器触感は、「しっとり」、「いつまでも触っていたい」、「高級感がある」、「手に馴染む」、「好き」、「きれい」、「特別感がある」という7つの質問に対して、7段階評価のアンケート調査を行った。
この製品は、「触ると落ち着く」、「暖かい」、「使いやすい」「親しみがある」、「品質への信頼感がある」、「化粧品としての効果が高く発揮されそう」という6つの質問に対して、7段階評価のアンケート調査を行った。
回答方法:以下の7段階評価により採点した。
「全く当てはまらない,当てはまらない,あまり当てはまらない,どちらでもない,少し当てはまる,当てはまる,とてもよく当てはまる」
また、採点方法は、コントロール及び実施例・比較例の各化粧品容器への13項目の質問に対する7段階の回答を、肯定的評価試験全2回分(累計35人)集計した後、以下の点数基準に従い加点方式により化粧品容器毎に合計点を算出して採点した。その結果を表2に示す。
<点数基準>
上記7段階の各評価を、「全く当てはまらない」は1点、「当てはまらない」は2点、「あまり当てはまらない」は3点、「どちらでもない」は4点、「少し当てはまる」は5点、「当てはまる」は6点、「とてもよく当てはまる」は7点と分類した。
【0062】
下記表2中、各評価項目の評点が、それぞれ、4点より高得点で、かつ、4点と比較し統計的有意差が得られたものを1と記載した(表2参照)。統計手法としては、1標本t検定(片側検定5%水準)を用いた。コントロールが13項目中3項目で有意に良い効果が得られていたのに対し、実施例では倍の6項目以上の項目で有意に良い効果が得られた。さらに、実施例1、2、4、5、6、8、9は、有意に良い効果が得られた項目が10項目以上と、特に良い評価が得られた。逆に、比較例の項目では、コントロール以下の項目数でしか、有意に良い効果が得られなかった。
【0063】
【表1】
【0064】
【表2】
【0065】
上記表1及び表2の実験結果から、実施例1~9の化粧品容器は、比較例1~3の化粧品容器と比べて触れた際に購買意欲を喚起し、かつ優れた硬度及び基材との高密着性を示すことが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本開示によれば、触れた際に購買意欲を喚起し、かつ優れた硬度及び基材との高密着性を示す化粧品容器を提供することを目的とする。
【符号の説明】
【0067】
1 化粧品容器
2 蓋体
3 底壁部
4 化粧品容器本体
5 上壁部
6 接続部
7 ポンピング部材
8 第1雌ネジ部
9 ネジ
図1