(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024076473
(43)【公開日】2024-06-06
(54)【発明の名称】光モジュール
(51)【国際特許分類】
H01S 5/022 20210101AFI20240530BHJP
H01L 31/02 20060101ALI20240530BHJP
【FI】
H01S5/022
H01L31/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】21
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022188010
(22)【出願日】2022-11-25
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊澤 敦
(72)【発明者】
【氏名】梶 敦次
(72)【発明者】
【氏名】長島 和哉
(72)【発明者】
【氏名】石川 陽三
(72)【発明者】
【氏名】松原 礼高
【テーマコード(参考)】
5F149
5F173
5F849
【Fターム(参考)】
5F149BA25
5F149EA02
5F149EA12
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5F149JA14
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5F849JA09
5F849JA14
(57)【要約】
【課題】筐体内に回路基板が収容された光モジュールとして、例えば、サイズをより小さく構成することが可能となるような、改善された新規な光モジュールを得る。
【解決手段】光モジュールは、例えば、筐体と、筐体内に収容され、光を出力するかあるいは光が入力されるとともに電気的に作動する光学部品としてのアクティブ光学部品と、筐体内に収容されるとともに、当該筐体に固定され、電気部品と、筐体に固定され第一方向と交差し当該電気部品が実装された回路基板と、を有した回路基板アセンブリと、筐体内に収容されるとともに、回路基板を介することなく筐体に固定され、第一方向と交差し、第一方向に回路基板と離れるとともに、第一方向に回路基板と少なくとも部分的に重なり、光学部品を支持した支持部材と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体内に収容され、光を出力するかあるいは光が入力されるとともに電気的に作動する光学部品としてのアクティブ光学部品と、
前記筐体内に収容されるとともに、当該筐体に固定され、電気部品と、前記筐体に固定され第一方向と交差し当該電気部品が実装された回路基板と、を有した回路基板アセンブリと、
前記筐体内に収容されるとともに、前記回路基板を介することなく前記筐体に固定され、前記第一方向と交差し、前記第一方向に前記回路基板と離れるとともに、前記第一方向に前記回路基板と少なくとも部分的に重なり、光学部品を支持した支持部材と、
を備えた、光モジュール。
【請求項2】
前記アクティブ光学部品として、前記回路基板に実装されない第一光学部品を備え、
前記支持部材は、前記回路基板を介さずに前記第一光学部品の第一電極と前記筐体に設けられた第一端子とを電気的に接続する第一配線の一部を構成する第一導体を有した、請求項1に記載の光モジュール。
【請求項3】
前記回路基板は、前記第一光学部品の第二電極と前記筐体に設けられた第二端子とを電気的に接続する第二配線の一部を構成する第二導体を有した、請求項2に記載の光モジュール。
【請求項4】
前記第二配線を介して前記第一光学部品へ電気信号が入力されるかあるいは電力が供給される、請求項3に記載の光モジュール。
【請求項5】
前記第一配線を介して前記第一光学部品から電気信号が出力される、請求項4に記載の光モジュール。
【請求項6】
前記回路基板アセンブリにおいて、前記第二導体と前記電気部品とによってフィルタ回路が構成された、請求項4または5に記載の光モジュール。
【請求項7】
前記第一光学部品は、発光素子を含み、
前記回路基板アセンブリは、前記フィルタ回路として、前記発光素子に供給される電力のフィルタ回路を含む、請求項6に記載の光モジュール。
【請求項8】
前記第一光学部品は、半導体光増幅器を含み、
前記回路基板アセンブリは、前記フィルタ回路として、前記半導体光増幅器に供給される電力のフィルタ回路を含む、請求項6に記載の光モジュール。
【請求項9】
前記第二端子は、前記筐体の側壁に設けられ、
前記回路基板は、前記第一光学部品と前記側壁との間に設けられた、請求項6に記載の光モジュール。
【請求項10】
前記アクティブ光学部品として、前記回路基板に実装されない第二光学部品を備え、
前記回路基板は、前記第二光学部品の第三電極と前記筐体に設けられた第三端子とを電気的に接続する第三配線の一部を構成する第三導体を有した、請求項2または3に記載の光モジュール。
【請求項11】
前記支持部材に支持された前記光学部品を通る光が、前記回路基板アセンブリに対して前記第一方向に離れた位置を通る、請求項1に記載の光モジュール。
【請求項12】
前記電気部品は、前記回路基板に、当該回路基板対して前記第一方向に離れた位置を通り前記第一方向と交差した第二方向に進む光を、前記第一方向および前記第二方向と交差した第三方向または当該第三方向の反対方向に避けて配置された、請求項11に記載の光モジュール。
【請求項13】
前記アクティブ光学部品として、前記回路基板に実装されない第一光学部品を備え、
前記支持部材に支持された前記光学部品を経由する光は、前記第一光学部品から出力された光かまたは前記第一光学部品へ入力される光である、請求項11または12に記載の光モジュール。
【請求項14】
前記筐体に取り付けられた温調装置を備え、
前記支持部材は、前記温調装置に支持された、請求項1に記載の光モジュール。
【請求項15】
前記支持部材は、前記温調装置のみにより支持された、請求項14に記載の光モジュール。
【請求項16】
前記アクティブ光学部品として、前記回路基板に実装されない第一光学部品を備え、
前記温調装置は、前記支持部材と前記第一光学部品とを支持した、請求項14または15に記載の光モジュール。
【請求項17】
前記支持部材は、前記電気部品を避けて設けられた、請求項1に記載の光モジュール。
【請求項18】
前記支持部材は、前記第一方向の反対方向に見た場合に、前記電気部品を避けて屈曲した形状を有した、請求項17に記載の光モジュール。
【請求項19】
前記支持部材は、前記第一方向の反対方向に見た場合に、前記電気部品を避けた開口を有した、請求項17に記載の光モジュール。
【請求項20】
前記回路基板アセンブリまたは支持部材に、光吸収材が塗布された、請求項1に記載の光モジュール。
【請求項21】
前記回路基板上に設けられた光学部品を備えた、請求項1に記載の光モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、筐体内に、発光素子や光学部品を備えた光モジュールが、知られている(例えば、特許文献1)。特許文献1の光モジュールでは、回路基板は筐体外に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開2020/138337号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の光モジュールにおいて、筐体内に回路基板が収容された場合にあっても、光モジュールのサイズは極力大きくならないのが好ましい。
【0005】
そこで、本発明の課題の一つは、例えば、筐体内に回路基板が収容された光モジュールとして、例えば、サイズをより小さく構成することが可能となるような、改善された新規な光モジュールを得ること、である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の光モジュールは、例えば、筐体と、前記筐体内に収容され、光を出力するかあるいは光が入力されるとともに電気的に作動する光学部品としてのアクティブ光学部品と、前記筐体内に収容されるとともに、当該筐体に固定され、電気部品と、前記筐体に固定され第一方向と交差し当該電気部品が実装された回路基板と、を有した回路基板アセンブリと、前記筐体内に収容されるとともに、前記回路基板を介することなく前記筐体に固定され、前記第一方向と交差し、前記第一方向に前記回路基板と離れるとともに、前記第一方向に前記回路基板と少なくとも部分的に重なり、光学部品を支持した支持部材と、を備える。
【0007】
前記光モジュールでは、前記アクティブ光学部品として、前記回路基板に実装されない第一光学部品を備え、前記支持部材は、前記回路基板を介さずに前記第一光学部品の第一電極と前記筐体に設けられた第一端子とを電気的に接続する第一配線の一部を構成する第一導体を有してもよい。
【0008】
前記光モジュールでは、前記回路基板は、前記第一光学部品の第二電極と前記筐体に設けられた第二端子とを電気的に接続する第二配線の一部を構成する第二導体を有してもよい。
【0009】
前記光モジュールでは、前記第二配線を介して前記第一光学部品へ電気信号が入力されるかあるいは電力が供給されてもよい。
【0010】
前記光モジュールでは、前記第一配線を介して前記第一光学部品から電気信号が出力されてもよい。
【0011】
前記光モジュールでは、前記回路基板アセンブリにおいて、前記第二導体と前記電気部品とによってフィルタ回路が構成されてもよい。
【0012】
前記光モジュールでは、前記第一光学部品は、発光素子を含み、前記回路基板アセンブリは、前記フィルタ回路として、前記発光素子に供給される電力のフィルタ回路を含んでもよい。
【0013】
前記光モジュールでは、前記第一光学部品は、半導体光増幅器を含み、前記回路基板アセンブリは、前記フィルタ回路として、前記半導体光増幅器に供給される電力のフィルタ回路を含んでもよい。
【0014】
前記光モジュールでは、前記第二端子は、前記筐体の側壁に設けられ、前記回路基板は、前記第一光学部品と前記側壁との間に設けられてもよい。
【0015】
前記光モジュールでは、前記アクティブ光学部品として、前記回路基板に実装されない第二光学部品を備え、前記回路基板は、前記第二光学部品の第三電極と前記筐体に設けられた第三端子とを電気的に接続する第三配線の一部を構成する第三導体を有してもよい。
【0016】
前記光モジュールでは、前記支持部材に支持された前記光学部品を通る光が、前記回路基板アセンブリに対して前記第一方向に離れた位置を通ってもよい。
【0017】
前記光モジュールでは、前記電気部品は、前記回路基板に、当該回路基板対して前記第一方向に離れた位置を通り前記第一方向と交差した第二方向に進む光を、前記第一方向および前記第二方向と交差した第三方向または当該第三方向の反対方向に避けて配置されてもよい。
【0018】
前記光モジュールでは、前記アクティブ光学部品として、前記回路基板に実装されない第一光学部品を備え、前記支持部材に支持された前記光学部品を経由する光は、前記第一光学部品から出力された光かまたは前記第一光学部品へ入力される光であってもよい。
【0019】
前記光モジュールは、前記筐体に取り付けられた温調装置を備え、前記支持部材は、前記温調装置に支持されてもよい。
【0020】
前記光モジュールでは、前記支持部材は、前記温調装置のみにより支持されてもよい。
【0021】
前記光モジュールでは、前記アクティブ光学部品として、前記回路基板に実装されない第一光学部品を備え、前記温調装置は、前記支持部材と前記第一光学部品とを支持してもよい。
【0022】
前記光モジュールでは、前記支持部材は、前記電気部品を避けて設けられてもよい。
【0023】
前記光モジュールでは、前記支持部材は、前記第一方向の反対方向に見た場合に、前記電気部品を避けて屈曲した形状を有してもよい。
【0024】
前記光モジュールでは、前記支持部材は、前記第一方向の反対方向に見た場合に、前記電気部品を避けた開口を有してもよい。
【0025】
前記光モジュールでは、前記回路基板アセンブリまたは支持部材に、光吸収材が塗布されてもよい。
【0026】
前記光モジュールでは、前記回路基板上に設けられた光学部品を備えてもよい。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、新規な改善された光モジュールを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】
図1は、第1実施形態の光モジュールの例示的かつ模式的な平面図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態の光モジュールの内部構成の一部を示す例示的かつ模式的な平面図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態の光モジュールの内部構成の一部を示す例示的かつ模式的な背面図である。
【
図4】
図4は、第2実施形態の光モジュールの内部構成の一部を示す例示的かつ模式的な背面図である。
【
図5】
図5は、第3実施形態の光モジュールの内部構成の一部を示す例示的かつ模式的な平面図である。
【
図6】
図6は、第4実施形態の光モジュールの内部構成の一部を示す例示的かつ模式的な平面図である。
【
図7】
図7は、第5実施形態の光モジュールの内部構成の一部を示す例示的かつ模式的な平面図である。
【
図8】
図8は、第6実施形態の光モジュールの内部構成の一部を示す例示的かつ模式的な背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の例示的な実施形態が開示される。以下に示される実施形態の構成、ならびに当該構成によってもたらされる作用および結果(効果)は、一例である。本発明は、以下の実施形態に開示される構成以外によっても実現可能である。また、本発明によれば、構成によって得られる種々の効果(派生的な効果も含む)のうち少なくとも一つを得ることが可能である。
【0030】
以下に示される複数の実施形態は、同様の構成を備えている。よって、各実施形態の構成によれば、当該同様の構成に基づく同様の作用および効果が得られる。また、以下では、それら同様の構成には同様の符号が付与されるとともに、重複する説明が省略される場合がある。
【0031】
本明細書において、序数は、方向や、部材、部品、部位等を区別するために便宜上付与されており、優先順位や順番を示すものではなく、個数を限定するものでもない。
【0032】
各図において、X方向を矢印Xで表し、Y方向を矢印Yで表し、Z方向を矢印Zで表す。X方向、Y方向、およびZ方向は、互いに交差するとともに互いに直交している。また、X方向は長手方向または延び方向と称され、Y方向は短手方向または幅方向と称され、Z方向は厚さ方向若しくは高さ方向と称されうる。
【0033】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態の光モジュール100A(100)の平面図である。
図1に示されるように、光モジュール100は、Z方向に比較的薄い扁平な直方体状の筐体10を備えている。筐体10は、下壁11と、側壁12と、上壁13と、光信号を入出力するポート14と、貫通部材20と、を有している。
【0034】
下壁11および上壁13は、それぞれ四角形状かつ板状の形状を有し、Z方向に略一定の厚さで、Z方向と交差するとともに直交して広がっている。下壁11と上壁13との間にはZ方向において隙間が設けられている。側壁12は、下壁11の各辺と上壁13の各辺との間で、略一定の厚さでZ方向に延びている。筐体10内には、下壁11と、上壁13と、四つの側壁12とで囲まれた収容室R(
図2参照)が形成されており、当該収容室R内に各種部品が収容されている。
【0035】
下壁11は、例えば、銅タングステン(CuW)や、銅モリブデン(CuMo)、酸化アルミニウム(Al2O3)のような、比較的熱伝導率が高い材料で作られている。また、側壁12および上壁13は、例えば、Fe-Ni-Co合金や、酸化アルミニウム(Al2O3)のような、比較的熱膨張係数が低い材料で作られている。
【0036】
貫通部材20は、Z方向に略一定の厚さを有しており、ポート14が設けられた側壁12を除く三つの側壁12を貫通している。貫通部材20は、筐体10の側壁12の一部を構成していると言うことができる。貫通部材20は、当該三つの側壁12に沿う略U字状の形状を有している。
【0037】
ポート14は、光ファイバや光コネクタを有している。
【0038】
図2は、光モジュール100の内部構成の一部を示す平面図である。
図2には、内部構成のうち、主として、入力された光信号を処理する部位が示されている。
【0039】
収容室R内には、チップオンサブマウント30や、回路基板40、支持部材50A(50)、温調装置60、波長ロッカ71、コヒーレントミキサ81、トランスインピーダンスアンプ82、光学部品91等が収容されている。
【0040】
貫通部材20は、
図2に示される範囲においては、Y方向の端部に位置する側壁12を貫通している。貫通部材20は、ボディ21と、複数のピン22と、面20aと、複数の電極20bと、を有している。ボディ21は、絶縁体で作られている。ピン22は、それぞれ、銅系材料のような導電性材料で作られ、筐体10外に露出している。面20aは、筐体10内、すなわち収容室R内に、露出している。電極20bは、それぞれ、面20a上に設けられるとともに、導電性材料で作られ、内部導体を介して、ピン22と電気的に接続されている。ピン22、電極20b、および内部導体は、筐体10の内側と外側との間で、電源電力を供給したり電気信号を伝送したりする配線を構成している。貫通部材20は、フィードスルーとも称されうる。
【0041】
チップオンサブマウント30は、レーザ素子31と、当該レーザ素子31を搭載するサブマウント32とを有している。レーザ素子31は、例えば波長可変レーザ素子である。また、サブマウント32は、熱伝導性が高い材料で作られており、レーザ素子31で生じた熱を、レーザ素子31とは反対側に、より効率良く伝導する。チップオンサブマウント30は、光を出力し電気的に作動する光学部品としてのアクティブ光学部品の一例であり、第一光学部品の一例である。
【0042】
レーザ素子31は、例えば、チップオンサブマウント30の端子30b等を介して供給された電力によって作動し、X方向の反対方向の端面から、連続波(CW)かつ直線偏波のレーザ光Lを出力する。また、レーザ素子31は、X方向の端面から、波長ロック用のレーザ光を出力する。
【0043】
レーザ素子31のX方向の反対方向の端面から出力されたレーザ光Lは、例えば、レンズや、ミラー、ビームスプリッタのような光学部品91を経由して、コヒーレントミキサ81に入力される。コヒーレントミキサ81には、レーザ素子31からのレーザ光とは別に、外部からのレーザ光Lも入力される。コヒーレントミキサ81は、入力された二つのレーザ光Lの干渉によって得られた処理光に応じた電流信号を出力する。当該電流信号は、トランスインピーダンスアンプ82に入力される。トランスインピーダンスアンプ82は、入力された電流信号に応じた電圧信号を出力する。当該電圧信号は、貫通部材20の導体を経由して、筐体10外の制御装置に伝送される。
【0044】
他方、レーザ素子31のX方向の端面から出力されたレーザ光は、例えば、光学部品91を経由して、波長ロッカ71に入力される。波長ロッカ71は、入力されたレーザ光を複数に分岐して出力する。当該分岐されたレーザ光は、フォトダイオードアレイ72に入力される。フォトダイオードアレイ72は、複数の受光素子を有する。当該複数の受光素子は、それぞれ、波長ロッカ71で分岐されたレーザ光の受光強度に応じた電気信号を出力する。これら電気信号は、貫通部材20の導体を経由して、筐体10外の制御装置に伝送される。当該制御装置は、当該電気信号に基づいてレーザ素子31から出力されるレーザ光の波長を検出するとともに、当該レーザ素子31の作動を制御する。フォトダイオードアレイ72および当該フォトダイオードアレイ72に含まれる受光素子は、光が入力され電気的に作動する光学部品としてのアクティブ光学部品の一例であり、第二光学部品の一例である。
【0045】
回路基板40は、絶縁体41と、電極42aや配線42bのような導体と、を有している。回路基板40は、四角形状かつ板状の形状を有し、Z方向と交差するとともに直交して広がっている。回路基板40には、複数の電気部品43が実装されている。電気部品43は、具体的には、例えば、キャパシタや、フェライトビーズ等である。回路基板40と複数の電気部品43とは、回路基板アセンブリを構成している。なお、回路基板40には、電気部品43として、電子部品が実装されてもよい。
【0046】
回路基板アセンブリは、例えば、チップオンサブマウント30に供給される電力や、当該チップオンサブマウント30に入力される電気信号からノイズを除去するフィルタ回路を構成する。この場合、当該フィルタ回路は、回路基板40の電極42aや配線のような導体と、複数の電気部品43とによって構成されている。なお、チップオンサブマウント30に供給される電力としては、例えば、レーザ素子31に供給される電力や、当該レーザ素子31に対応して例えばレーザ素子31と一体的に設けられた半導体光増幅器に供給される電力がある。回路基板アセンブリは、これら電力のうち少なくとも一方の電力に対するフィルタ回路を有することができる。
【0047】
チップオンサブマウント30の電極30bは、ボンディングワイヤ95、回路基板40の電極42a、回路基板40内の配線、回路基板40の別の電極42a、および別のボンディングワイヤ95を介して、筐体10の側壁の一部を構成する貫通部材20の電極20bと、電気的に接続されている。すなわち、ボンディングワイヤ95、電極42a、回路基板40内の配線、別の電極42a、および別のボンディングワイヤ95は、回路基板40を経由して電極30bと電極20bとを電気的に接続する配線を構成している。当該配線は、フィルタ回路の一部を構成している。当該配線は、第二配線の一例であり、電極30bは、第二電極の一例であり、電極20bは、第二端子の一例である。また、電極42a、および回路基板40内の配線は、第二導体の一例である。
【0048】
この場合、回路基板40は、側壁の一部としての貫通部材20と、チップオンサブマウント30との間に設けられるのが好ましい。これにより、電極30bと電極20bとの間の配線の長さをより短くすることができるとともに、回路基板アセンブリがフィルタ回路として構成される場合にあっては、チップオンサブマウント30へのノイズの影響をより確実に抑制できるという利点が得られる。
【0049】
また、本実施形態では、フォトダイオードアレイ72の電極72aは、ボンディングワイヤ95、回路基板40の電極42a、回路基板40内の配線42b、回路基板40の別の電極42a、および別のボンディングワイヤ95を介して、筐体10の側壁の一部を構成する貫通部材20の電極20bと、電気的に接続されている。すなわち、ボンディングワイヤ95、電極42a、回路基板40内の配線、別の電極42a、および別のボンディングワイヤ95は、回路基板40を経由して電極72aと電極20bとを電気的に接続する配線を構成している。当該配線は、フィルタ回路の一部を構成しない中継配線として機能している。当該配線は、第三配線の一例であり、電極72aは、第三電極の一例であり、電極20bは、第三端子の一例である。また、電極42a、および回路基板40内の配線42bは、第三導体の一例である。
【0050】
支持部材50A(50)は、ベース51と、電極52aと、配線52bと、を有している。ベース51は、四角形状かつ板状の形状を有し、Z方向に略一定の厚さで、Z方向と交差するとともに直交して広がっている。ベース51は、絶縁体で作られ、具体的には、例えば、窒化アルミニウムのようなセラミクスで作られる。また、ベース51は、筐体10の下壁11と同じ材料で作られてもよい。
【0051】
また、ベース51は、Z方向と交差するとともに直交し、かつZ方向を向いた面51aを有しており、当該面51a上に、接着剤を介して光学部品91が固定されている。言い換えると、ベース51は、光学部品91を支持している。
【0052】
図3は、光モジュール100の内部構成の一部を示す背面図である。
図3に示されるように、支持部材50A(50)は、温調装置60に支持されている。また、温調装置60は、下壁11に固定されている。温調装置60は、例えば、ペルチェ素子を有した公知のTEC(thermoelectric cooler)である。温調装置60は、冷却機構とも称されうる。
【0053】
回路基板40は、温調装置60から外れた位置で、下壁11に固定されている。回路基板40は、板状の形状を有し、Z方向と交差するとともに直交して広がっている。回路基板40は、Z方向の反対方向を向く面40aと、当該面40aとは反対側でZ方向を向く面40bと、を有している。面40a,40bは、Z方向と交差するとともに直交して広がっている。面40aは下壁11と接している。回路基板40と下壁11とは、熱的に接続されている。回路基板40を含む回路基板アセンブリで生じた熱は、下壁11を伝導し、筐体10外へ排出される。
【0054】
また、
図2に示されるように、温調装置60は、支持部材50から外れた位置で、チップオンサブマウント30、波長ロッカ71、およびフォトダイオードアレイ72を支持している。チップオンサブマウント30、波長ロッカ71、フォトダイオードアレイ72、および支持部材50は、回路基板40を介することなく、温調装置60を介して、筐体10の下壁11に固定されている。
【0055】
ここで、仮に、光学部品91が、支持部材50ではなく回路基板40に支持されるとともに、チップオンサブマウント30が温調装置60に支持されている構造にあっては、レーザ素子31や回路基板40の作動に応じて光学部品91の周辺の温度が上昇した場合、回路基板40の熱膨張係数と、温調装置60またはチップオンサブマウント30の熱膨張係数と、の差によって、チップオンサブマウント30に対する光学部品91の相対的な位置や姿勢が変化する虞がある。この場合、光学部品91を経由するレーザ光Lの光路が変化し、当該レーザ光Lのコヒーレントミキサ81への結合効率が低下してしまう虞がある。この点、本実施形態では、回路基板40とは別の支持部材50が光学部品91を支持しているため、支持部材50のベース51の材料を適切に設定することにより、このようなレーザ光Lの光路の変化、ひいては当該レーザ光Lの結合効率の低下が生じるのを、抑制あるいは回避することができる。
【0056】
また、
図3に示されるように、支持部材50は、温調装置60のみにより片持ち支持されている。仮に、支持部材50が、温調装置60と当該温調装置60とは別の部材とによって複数箇所で支持されていた場合、支持部材50と当該別の部材との間での熱伝導により、温調装置60による支持位置と、別の部材による支持位置とで、温度差が大きくなり、温調装置60からより遠い光学部品91のチップオンサブマウント30に対する相対的な位置や姿勢がより大きく変化してしまう虞がある。この場合、光学部品91を経由するレーザ光Lの光路が変化し、当該レーザ光Lのコヒーレントミキサ81への結合効率が低下してしまう虞がある。この点、本実施形態では、支持部材50は、温調装置60のみにより片持ち支持されているため、支持部材50における温度差が大きくなるのを抑制することができ、当該温度差に起因したレーザ光Lの光路の変化、ひいては当該レーザ光Lの結合効率の低下が生じるのを、抑制あるいは回避することができる。
【0057】
また、
図3に示されるように、支持部材50と回路基板40とは、Z方向に離れるとともに、
図2に示されるように、支持部材50と回路基板40とは、領域Aoにおいて、少なくとも部分的にZ方向に重なっている。このような構成によれば、支持部材50と回路基板40とがZ方向に重ならない構成に比べて、光モジュール100がZ方向と交差する方向に大型化するのを抑制することができる。
【0058】
さらに、
図2に示されるように、本実施形態では、チップオンサブマウント30の電極30aは、ボンディングワイヤ95、支持部材50の電極52a、配線52b、支持部材50の別の電極52a、および別のボンディングワイヤ95を介して、筐体10の側壁の一部を構成する貫通部材20の電極20bと、電気的に接続されている。すなわち、ボンディングワイヤ95、電極52a、配線52b、別の電極52a、および別のボンディングワイヤ95は、回路基板40を介さずに電極30bと電極20bとを電気的に接続する配線を構成している。本実施形態のように、回路基板アセンブリが、チップオンサブマウント30に供給される電力や、当該チップオンサブマウント30に入力される電気信号からノイズを除去するフィルタ回路である場合、例えば、チップオンサブマウント30に設けられた温度センサによる検出信号のような、当該フィルタ回路を経由する必要の無い、チップオンサブマウント30から出力される電気信号の配線は、回路基板40に設ける必要が無い。ここで、仮に、回路基板40を経由しない配線を、支持部材50とは別に、例えばボンディングワイヤによって構成すると、部品点数が増大したり、レーザ光Lとの干渉を避けるための構成や製造手順が必要となって製造の手間やコストが増大したり、といった問題が生じる虞もある。この点、本実施形態によれば、回路基板40を経由しない配線の一部が、支持部材50に設けられているため、上述したような不都合が生じるのを回避することができる。当該配線は、第一配線の一例であり、電極30aは、第一電極の一例であり、電極20bは、第一端子の一例である。また、電極52aおよび配線52bは、第一導体の一例である。
【0059】
また、
図2に示されるように、レーザ素子31から出力され、複数の光学部品91を経由してコヒーレントミキサ81へ至る光路は、回路基板40上、すなわち回路基板40に対してZ方向に離れた位置を、通過している。本実施形態では、
図3に示されるように、レーザ光Lと電気部品43とが干渉しないよう、光モジュール100は、レーザ光Lが、回路基板アセンブリからZ方向に離れた位置、すなわち回路基板40の面40b上に実装される電気部品43のZ方向の端部43aからZ方向に離れた位置を通るよう、構成されている。具体的には、レーザ光Lの通過領域のZ方向の反対方向の端部Leが、回路基板アセンブリのZ方向の端部としての電気部品43のZ方向の端部43aから、Z方向に離れていればよい。なお、X方向に沿うレーザ光Lの光軸と直交した断面(通過領域)は、例えば、光軸近傍におけるピーク強度の1/e
2以上の強度の領域として定義することができる。この場合、端部Leは、レーザ光Lの光軸からZ方向の反対方向に離れ、強度が光軸近傍におけるピーク強度の1/e
2となる位置である。
【0060】
なお、回路基板アセンブリおよび支持部材50の表面には、適宜、光吸収剤が塗布されてもよい。
【0061】
以上説明したように、本実施形態によれば、支持部材50と回路基板40とが、領域Aoにおいて、少なくとも部分的にZ方向に重なっているため、サイズをより小さく構成することが可能となるような、改善された新規な光モジュール100を得ることができる。
【0062】
[第2実施形態]
図4は、第2実施形態の光モジュール100B(100)の内部構成の一部を示す背面図である。
図4に示されるように、本実施形態では、電気部品43Bは、X方向へ進むレーザ光Lの通過領域を、Y方向またはY方向の反対方向に避けるように配置されている。この場合、電気部品43BのZ方向の高さをより高くすることができる、言い換えると、回路基板40上により背が高い電気部品43Bを実装することができる。
【0063】
本実施形態でも、支持部材50は、回路基板40に対してZ方向に離れるとともに、回路基板40と支持部材50とは、Z方向において部分的に重なっている。よって、本実施形態によっても、第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0064】
[第3実施形態]
図5は、第3実施形態の光モジュール100C(100)の内部構成の一部を示す平面図である。
図5に示されるように、本実施形態では、支持部材50C(50)は、回路基板40に実装された電気部品43を避けて設けられている。具体的に、支持部材50Cは、Y方向に延びた板状の形状を有し、当該Y方向において回路基板40を跨いでいる。また、本実施形態では、Y方向における支持部材50Cの両端部が、筐体10の例えば下壁11に固定された温調装置60ではない部材61によって、支持されている。なお、支持部材50Cの形状や、幅、長さ、位置、大きさ等のスペックは、
図5の例には限定されない。
【0065】
本実施形態でも、支持部材50Cは、回路基板40に対してZ方向に離れるとともに、回路基板40と支持部材50Cとは、Z方向において部分的に重なっている。よって、本実施形態によっても、第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0066】
さらに、本実施形態では、一部の光学部品91は、回路基板40の面40b上に接着剤を介して固定されている。回路基板40うち温度変化が比較的小さい領域にあっては、本実施形態のように、光学部品91を固定してもよい。すなわち、光モジュール100は、支持部材50に支持された光学部品91と、回路基板40に支持された光学部品91と、を備えてもよい。
【0067】
[第4実施形態]
図6は、第4実施形態の光モジュール100D(100)の内部構成の一部を示す平面図である。
図6に示されるように、本実施形態では、支持部材50D(50)は、Z方向の反対方向に見た場合に、回路基板40に実装された電気部品43を避けるように屈曲した形状を有している。具体的に、支持部材50Dは、Z方向と交差してL字状に延びた板状の形状を有している。また、本実施形態でも、Y方向における支持部材50Dの両端部が、部材61によって、支持されている。なお、支持部材50Dの形状や、幅、長さ、位置、大きさ等のスペックは、
図6の例には限定されない。
【0068】
本実施形態でも、支持部材50Dは、回路基板40に対してZ方向に離れるとともに、回路基板40と支持部材50Dとは、Z方向において部分的に重なっている。よって、本実施形態によっても、第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0069】
[第5実施形態]
図7は、第5実施形態の光モジュール100E(100)の内部構成の一部を示す平面図である。
図7に示されるように、本実施形態では、支持部材50E(50)は、四角形状かつ板状の形状を有している。また、支持部材50Eには、Z方向の反対方向に見た場合に、回路基板40に実装された電気部品43を避ける四角形状の開口50aが設けられている。そして、回路基板40上の、開口50aの内側および支持部材50Eの外側となる位置に、電気部品43が設けられている。また、本実施形態でも、Y方向における支持部材50Eの両端部は、部材61によって、支持されている。ただし、本実施形態では、支持部材50Eの四つの角部が、部材61によって支持されている。なお、支持部材50Eの形状や、幅、長さ、位置等のスペックは、
図7の例には限定されない。
【0070】
本実施形態でも、支持部材50Eは、回路基板40に対してZ方向に離れるとともに、回路基板40と支持部材50Eとは、Z方向において部分的に重なっている。よって、本実施形態によっても、第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0071】
[第6実施形態]
図8は、第6実施形態の光モジュール100F(100)の背面図である。本実施形態では、回路基板40F(40)は、フレキシブルプリント配線板であり、
図8に示されるように、筐体10内で屈曲した状態で収容されている。このため、複数の電気部品43を、収容室R内に、より効率良く配置することができ、光モジュール100Fをよりコンパクトに構成しやすいという効果が得られる。
【0072】
また、本実施形態では、支持部材50F(50)は、回路基板40Fから離れた状態で、筐体10の側壁12に支持されている。
【0073】
さらに、本実施形態では、複数の電気部品43のうち、より発熱量の多い電気部品43を、より下壁11の近くに配置してもよい。すなわち、回路基板アセンブリは、複数の電気部品43として、下壁11から離れた位置に設けられた電気部品43としての第一部品と、当該第一部品より下壁11の近くに位置するとともに前記第一部品より発熱量の大きい電気部品43としての第二部品と、を含んでもよい。
【0074】
本実施形態でも、支持部材50Fは、回路基板40Fに対してZ方向に離れるとともに、回路基板40Fと支持部材50Fとは、Z方向において部分的に重なっている。よって、本実施形態によっても、第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0075】
以上、本発明の実施形態が例示されたが、上記実施形態は一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。また、各構成や、形状、等のスペック(構造や、種類、方向、型式、大きさ、長さ、幅、厚さ、高さ、数、配置、位置、材質等)は、適宜に変更して実施することができる。
【0076】
例えば、回路基板アセンブリは、フィルタ回路には限定されず、例えば、終端回路や、MCUやDACのような制御回路、ドライバ回路等であってもよい。
【0077】
例えば、支持部材に支持された光学部品を経由する光は、第一光学部品から出力された光には限定されず、第一光学部品へ入力される光であってもよい。
【符号の説明】
【0078】
10…筐体
11…下壁
12…側壁
13…上壁
14…ポート
20…貫通部材
20a…面
20b…電極(第一端子、第二端子、第三端子)
21…ボディ
22…ピン
30…チップオンサブマウント(第一光学部品、アクティブ光学部品)
30a…電極(第一電極、第一配線)
30b…電極(第二電極、第二配線)
31…レーザ素子
32…サブマウント
40,40F…回路基板(回路基板アセンブリ)
40a…面
40b…面
41…絶縁体
42a…電極(第二導体、第二配線、第三導体、第三配線)
42b…配線(第三導体、第三配線)
43,43B…電気部品(回路基板アセンブリ)
43a…端部
50,50A~50F…支持部材
50a…開口
51…ベース
51a…面
52a…電極(第一導体、第一配線)
52b…配線(第一導体、第一配線)
60…温調装置
61…部材
71…波長ロッカ
72…フォトダイオードアレイ(第二光学部品、アクティブ光学部品)
72a…電極(第三電極)
81…コヒーレントミキサ
82…トランスインピーダンスアンプ
91…光学部品
95…ボンディングワイヤ
100,100A~100F…光モジュール
Ao…領域
L…レーザ光(光)
Le…端部
R…収容室
X…方向(第二方向)
Y…方向(第三方向)
Z…方向(第一方向)