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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024076508
(43)【公開日】2024-06-06
(54)【発明の名称】検体容器撮像装置及び検体処理装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/00 20060101AFI20240530BHJP
【FI】
G01N35/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022188074
(22)【出願日】2022-11-25
(71)【出願人】
【識別番号】501387839
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテク
(72)【発明者】
【氏名】越智 学
(72)【発明者】
【氏名】為實 秀人
(72)【発明者】
【氏名】高山 洋行
(72)【発明者】
【氏名】向山 直樹
(72)【発明者】
【氏名】吉川 惠子
【テーマコード(参考)】
2G058
【Fターム(参考)】
2G058CB08
2G058CB15
2G058GC02
2G058GC05
(57)【要約】
【課題】検体容器の光源から遠い部分での照度を確保しつつ、検体容器とその内部の検体とを撮像できる検体容器撮像装置及び検体処理装置を提供する。
【解決手段】検体が入った検体容器を収納した検体ラックを移送するラック搬送路と、前記ラック搬送路の側方に設けられ、前記ラック搬送路上にある前記検体容器を撮像するカメラと、前記ラック搬送路の前記カメラと同じ側の側方に設けられ、前記カメラが撮像する前記検体容器を上方から照らす光源と、前記光源の光軸に対して、前記カメラが撮像する前記検体容器と反対側であって、前記カメラが撮像する前記検体容器の円筒部の外形上の各点と前記カメラの主点とを結んだ光学的経路で囲まれる空間の外側に位置する反射面と、を備え、前記反射面は、前記光源が前記検体容器から離れる方向へ出射した光を折り返して、前記検体容器の下部へ斜め上方向から入射させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体が入った検体容器を収納した検体ラックを移送するラック搬送路と、
前記ラック搬送路の側方に設けられ、前記ラック搬送路上にある前記検体容器を撮像するカメラと、
前記ラック搬送路の前記カメラと同じ側の側方に設けられ、前記カメラが撮像する前記検体容器を上方から照らす光源と、
前記光源の光軸に対して、前記カメラが撮像する前記検体容器と反対側であって、前記カメラが撮像する前記検体容器の円筒部の外形上の各点と前記カメラの主点とを結んだ光学的経路で囲まれる空間の外側に位置する反射面と、
を備え、
前記反射面は、前記光源が前記検体容器から離れる方向へ出射した光を折り返して、前記検体容器の下部へ斜め上方向から入射させる
ことを特徴とする検体容器撮像装置。
【請求項2】
前記反射面は、前記カメラが撮像する前記検体容器の円筒部の上端上の各点と前記カメラの主点とを結んだ直線群よりも上側に位置する
ことを特徴とする請求項1に記載の検体容器撮像装置。
【請求項3】
前記反射面は、前記カメラが撮像する前記検体容器の円筒部の下端上の各点と前記カメラの主点とを結んだ直線群よりも下側に位置する
ことを特徴とする請求項1に記載の検体容器撮像装置。
【請求項4】
前記ラック搬送路が前記検体ラックを移送する方向を左右方向としたとき、
前記反射面は、前記カメラが撮像する前記検体容器の円筒部の側面上の各点と前記カメラの主点とを結んだ直線群で囲まれる空間の前記左右方向の外側に位置する
ことを特徴とする請求項1に記載の検体容器撮像装置。
【請求項5】
前記ラック搬送路が前記検体ラックを移送する方向を左右方向としたとき、
前記反射面は、第1の反射面、第2の反射面及び第3の反射面を備え、
前記第1の反射面は、前記カメラが撮像する前記検体容器の円筒部の上端上の各点と前記カメラの主点とを結んだ直線群よりも上側に位置し、
前記第2の反射面は、前記カメラが撮像する前記検体容器の円筒部の下端上の各点と前記カメラの主点とを結んだ直線群よりも下側に位置し、
前記第3の反射面は、前記カメラが撮像する前記検体容器の円筒部の側面上の各点と前記カメラの主点とを結んだ直線群で囲まれる空間の前記左右方向の外側に位置する
ことを特徴とする請求項1に記載の検体容器撮像装置。
【請求項6】
前記ラック搬送路の前記カメラと同じ側の側方に設けられ、前記ラック搬送路上の前記検体容器を映す平面ミラーをさらに備え、
前記カメラは、前記平面ミラーに映された前記検体容器を撮像する
ことを特徴とする請求項1に記載の検体容器撮像装置。
【請求項7】
前記反射面は、前記カメラが撮像する前記検体容器の円筒部の上端上の各点と前記カメラの主点とを前記平面ミラーを経由して結んだ折れ線群よりも上側に位置する
ことを特徴とする請求項6に記載の検体容器撮像装置。
【請求項8】
前記反射面は、前記カメラが撮像する前記検体容器の円筒部の下端上の各点と前記カメラの主点とを前記平面ミラーを経由して結んだ折れ線群よりも下側に位置する
ことを特徴とする請求項6に記載の検体容器撮像装置。
【請求項9】
前記ラック搬送路が前記検体ラックを移送する方向を左右方向としたとき、
前記反射面は、前記カメラが撮像する前記検体容器の円筒部の側面上の各点と前記カメラの主点とを前記平面ミラーを経由して結んだ折れ線群で囲まれる空間の前記左右方向の外側に位置する
ことを特徴とする請求項6に記載の検体容器撮像装置。
【請求項10】
前記ラック搬送路が前記検体ラックを移送する方向を左右方向としたとき、
前記反射面は、前記カメラが撮像する前記検体容器の円筒部の側面上の各点と前記カメラの主点とを前記平面ミラーを経由して結んだ折れ線群で囲まれる空間の前記左右方向の外側に位置し、前記光源が前記検体容器から離れる方向へ出射した光を折り返して、前記平面ミラーを経由して前記検体容器へ斜め上方向から入射させる
ことを特徴とする請求項6に記載の検体容器撮像装置。
【請求項11】
前記反射面は、前記カメラと前記平面ミラーとの間に位置し、前記光源が前記検体容器から離れる方向へ出射した光を折り返して、前記平面ミラーを経由して前記検体容器へ斜め上方向から入射させる
ことを特徴とする請求項8に記載の検体容器撮像装置。
【請求項12】
前記ラック搬送路が前記検体ラックを移送する方向を左右方向としたとき、
前記反射面は、第1の反射面、第2の反射面、第3の反射面、第4の反射面及び第5の反射面の少なくとも2つ以上を備え、
前記第1の反射面は、前記カメラが撮像する前記検体容器の円筒部の上端上の各点と前記カメラの主点とを前記平面ミラーを経由して結んだ折れ線群よりも上側に位置し、
前記第2の反射面は、前記カメラが撮像する前記検体容器の円筒部の下端上の各点と前記カメラの主点とを前記平面ミラーを経由して結んだ折れ線群よりも下側に位置し、
前記第3の反射面は、前記カメラが撮像する前記検体容器の円筒部の側面上の各点と前記カメラの主点とを前記平面ミラーを経由して結んだ折れ線群で囲まれる空間の前記左右方向の外側に位置し、
前記第4の反射面は、前記カメラが撮像する前記検体容器の円筒部の側面上の各点と前記カメラの主点とを前記平面ミラーを経由して結んだ折れ線群で囲まれる空間の前記左右方向の外側に位置し、前記光源が前記検体容器から離れる方向へ出射した光を折り返して、前記平面ミラーを経由して前記検体容器へ斜め上方向から入射させる
前記第5の反射面は、前記カメラが撮像する前記検体容器の円筒部の下端上の各点と前記カメラの主点とを前記平面ミラーを経由して結んだ折れ線群よりも下側かつ前記カメラと前記平面ミラーとの間に位置し、前記光源が前記検体容器から離れる方向へ出射した光を折り返して、前記平面ミラーを経由して前記検体容器へ斜め上方向から入射させる
ことを特徴とする請求項6に記載の検体容器撮像装置。
【請求項13】
請求項1に記載の検体容器撮像装置を備える検体処理装置。
【請求項14】
請求項6に記載の検体容器撮像装置を備える検体処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検体容器撮像装置及び検体処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
血液や尿といった検体を試薬と反応させて反応混合物の吸光度や発光強度を測定する検体検査では、無駄な検査による消耗品や試薬の消費を防ぐために、あるいは、検査結果の信頼性を向上するために、使用容器の適正や検体の品質を検査前に判定することが望まれている。このような使用容器の適正や検体の品質を検査前に判定する技術として、検査前に撮像された検体容器の画像に基づいて、検体容器の形状、検体の量、及び検体の色を検出し、検体が測定に供すべきものか否かを事前に判別する検体処理システムが知られている。
【0003】
検体処理システムの例が特許文献1に記載されている。特許文献1には、段落0035及び図8に「図8に示すように、白色LED225cは第1撮像位置224eにある検体容器Tへ向けて光を発し、且つ、その検体容器Tの反射光が、検体容器Tの前方に位置するカメラ225aに直接入射しない位置及び向きに配置されている」こと、段落0036及び図7に「把持部224aにより第1撮像位置224eにおいて把持された検体容器Tは、立位状態(垂直状態)のままカメラ225aにより撮像され、これによって得られた撮像画像データは、システム制御装置8へ送信される」ことが記載されている。
【0004】
また、検体処理システムの別の例が特許文献2に記載されている。特許文献2には、段落0042及び図6に「図6に示すように、白色LED225cは撮像位置224にある検体容器Tへ向けて光を発し、且つ、その検体容器Tの反射光が、検体容器Tの前方に位置するカメラ225aに直接入射しない位置及び向きに配置されている」こと、段落0043に「撮像位置224においてサンプルラックLに保持されたままの検体容器Tは、カメラ225aにより撮像され、これによって得られた撮像画像データは、システム制御装置8へ送信される」ことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010-107399号公報
【特許文献2】特開2010-133925号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
すなわち、特許文献1及び特許文献2のいずれにおいても、検体容器の前方斜め上から検体容器を白色LED(以下、光源と記す)で照明して正面からカメラで検体容器を撮像する技術が記載されている。
【0007】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2に記載の技術では、いずれも光源から遠い検体容器の下方になるにつれて、照度が不足して撮像画像におけるコントラストが低下するため、検体が少量等の場合に検体の界面を検出できないという課題があった。
【0008】
そこで、本発明の目的は、検体容器の光源から遠い部分での照度を確保しつつ、検体容器とその内部の検体とを撮像できる検体容器撮像装置及び検体処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の検体容器撮像装置は、例えば、検体が入った検体容器を収納した検体ラックを移送するラック搬送路と、前記ラック搬送路の側方に設けられ、前記ラック搬送路上にある前記検体容器を撮像するカメラと、前記ラック搬送路の前記カメラと同じ側の側方に設けられ、前記カメラが撮像する前記検体容器を上方から照らす光源と、前記光源の光軸に対して、前記カメラが撮像する前記検体容器と反対側であって、前記カメラが撮像する前記検体容器の円筒部の外形上の各点と前記カメラの主点とを結んだ光学的経路で囲まれる空間の外側に位置する反射面と、を備え、前記反射面は、前記光源が前記検体容器から離れる方向へ出射した光を折り返して、前記検体容器の下部へ斜め上方向から入射させる。
【0010】
また、本発明の検体処理装置は、例えば、前記検体容器撮像装置を備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、検体容器の光源から遠い部分での照度を確保しつつ、検体容器とその内部の検体とを撮像できる検体容器撮像装置及び検体処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施例1に係る自動分析装置の構成の概要を示す上面図である。
図2】実施例1に係る検体容器撮像装置の構成の概要を示す側面図である。
図3】実施例2に係る検体容器撮像装置の構成の概要を示す側面図である。
図4A】実施例3に係る検体容器撮像装置の構成の概要を示す上面図である。
図4B】実施例3に係る検体容器撮像装置の構成の概要を示す側面図である。
図5】実施例5に係る自動分析装置の構成の概要を示す上面図である。
図6A】実施例5に係る検体容器撮像装置の構成の概要を示す上面図である。
図6B】実施例5に係る検体容器撮像装置の構成の概要を示す側面図である。
図7】実施例6に係る検体容器撮像装置の構成の概要を示す側面図である。
図8A】実施例7に係る検体容器撮像装置の構成の概要を示す上面図である。
図8B】実施例7に係る検体容器撮像装置の構成の概要を示す側面図である。
図9A】実施例8に係る検体容器撮像装置の構成の概要を示す上面図である。
図9B】実施例8に係る検体容器撮像装置の構成の概要を示す正面図である。
図10A】実施例9に係る検体容器撮像装置の構成の概要を示す上面図である。
図10B】実施例9に係る検体容器撮像装置の構成の概要を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下では、図面を参照して本発明の検体容器撮像装置を備える自動分析装置について説明する。なお、自動分析装置は、検体を自動で分析する装置であり、検体処理装置の一例である。本発明の検体容器撮像装置は、自動分析装置に限らず、他の検体処理装置、例えば、遠心分離や小分けといった検体の前処理を行う前処理装置等に適用可能である。さらには、検体容器やその内部の液体を撮像する任意の装置にも適用することができる。なお、本明細書で参照する図面において、同一のまたは対応する構成要素には同一の符号を付け、これらの構成要素については繰り返しの説明を省略する場合がある。
【実施例0014】
図1は、実施例1に係る自動分析装置の構成の概要を示す上面図である。自動分析装置1は、検体ラック2の搬入口123と搬出口124を備える検体供給ユニット12と、検体4を一定量分注して測定を行う分析モジュール13と、検体4を移送する搬送ユニット14と、自動分析装置1を制御する制御部10を備える。制御部10は、図1では検体供給ユニット12の内部に設置されているが、自動分析装置1の任意の位置に設置することができる。また、制御部10は、自動分析装置1の外部に設置され、自動分析装置1と通信することで自動分析装置1を制御してもよい。
【0015】
検体4は、例えば血液や尿などの液体であり、検体容器3に入れられている。自動分析装置1では、検体4を保護するとともに作業性を向上するために、検体4が入った検体容器3は、検体ラック2に収納された状態で移送される。
【0016】
検体ラック2は、検体4が入った検体容器3を収納する。検体ラック2は、複数の検体容器3を収納できる多本掛けの検体ラックであってもよいし、1本の検体容器3を収納する一本掛けの検体ラックであってもよい。本実施例に係る検体ラック2は、一例として、5本掛けの検体ラックとする。図1において、矢印Dは、検体ラック2の移送方向を表す。また、212は検体ラック2の前面を表し、213は検体ラック2の背面を表す。
【0017】
搬送ユニット14は、搬入用のラック搬送路141と、搬出用のラック搬送路142を備える。ラック搬送路141は、検体供給ユニット12から分析モジュール13へ検体ラック2を移送する。ラック搬送路142は、分析モジュール13から検体供給ユニット12へ検体ラック2を移送する。ラック搬送路141とラック搬送路142は、例えばベルトなどで構成することができる。なお、以下では、ラック搬送路141による検体ラック2の移送方向に平行な軸をX軸(左右方向)、検体容器3の高さ方向に平行な軸をZ軸(上下方向)、これらのZ軸及びX軸の両方に直交する軸をY軸(前後方向)として表す。
【0018】
検体供給ユニット12は、ラック搬送路141の一方の側方(ラック搬送路141に置かれた検体ラック2の前面212側)にカメラ5と光源6、および反射面9を備え、他方の側方(ラック搬送路141に置かれた検体ラック2の背面213側)にバーコードリーダ125を備える。すなわち、カメラ5、光源6及び反射面9とバーコードリーダ125とでラック搬送路141を挟むようにこれらが設置されている。なお、ラック搬送路141と、カメラ5と、光源6と、反射面9とが検体容器撮像装置として機能する。
【0019】
検体ラック2に収納された検体容器3は、検体4を収容している。また、検体容器3は、円筒部と、円筒部の一端に接続して円筒部の軸方向へ凸形状をなす半球部とを有する。検体容器3は、円筒部の側面に検体識別用のバーコードラベル31を備える。本実施例では、検体容器3にバーコードラベル31が貼り付けられているとする。具体的には、バーコードラベル31は、検体容器3の周方向の一部に貼り付けられている。検体容器3のバーコードラベル31の向きは、検体ラック2の背面213を向くように揃えられている。ラック搬送路141上では、検体ラック2の背面213がバーコードリーダ125に向き、検体ラック2の前面212がカメラ5に向く。
【0020】
制御部10は、検体供給ユニット12、分析モジュール13、搬送ユニット14、バーコードリーダ125、カメラ5、及び光源6を制御する。まず、制御部10は、検体ラック2の搬入口123に設置された検体ラック2を1つずつラック搬送路141上に押し出して、ラック搬送路141に移動させる。制御部10は、ラック搬送路141に移動した検体ラック2を、バーコード読取り位置126及びカメラ5の焦点位置7のそれぞれに移送させる。バーコード読取り位置126では、検体ラック2の背面213側から、検体容器3に貼り付けられたバーコードラベル31をバーコードリーダ125で読み取る。カメラ5の焦点位置7では、光源6を発光させて検体容器3を照明しながら検体容器3と検体容器3の内部の検体4とをカメラ5で撮像する。次に、制御部10は、バーコードリーダ125が読み取ったバーコードラベル31から得られた情報を基に、検体容器3に収容された検体4を識別する。その後、制御部10は、予め登録された項目情報に従って検体ラック2に移送先の分析モジュール13を割り当てて、ラック搬送路141で検体ラック2を移送する。
【0021】
なお、自動分析装置1は、図示していない表示装置を備えることができる。あるいは、自動分析装置1は、表示装置を接続することができる。
【0022】
図2は、実施例1に係る検体容器撮像装置の構成の概要を示す側面図である。なお、図2は、X軸正方向から見た側面図である。光源6は、カメラ5と同じ検体ラック2の前面212側の側方の、検体容器3の上端よりも高い位置に設けられる。具体的には、光源6は、検体容器3の円筒部の最もカメラ5側である母線3Bに対して光源6の発光点Lを折り返した点L’が、検体容器3の円筒部の上端上の各点とカメラ5の主点Pとを結んだ直線群Ftよりも高い位置に配置される。そして、光源6は、検体容器3を上方から照らす。これにより、光源6から発せられて検体容器3の表面で正反射した光がカメラ5へ直接光として入射することを防止している。なお、図2では、直線群Ftの理解を容易にするために、検体容器3の円筒部の上端上の各点の中でカメラ5の主点Pと最も近い点と、カメラ5の主点Pとを結んだ直線を直線群Ftとして記載している。他の図面も同様とする。
【0023】
図1に示す反射面9は、光源6の光軸Oに対して、カメラ5が撮像する検体容器3と反対側であって、カメラ5が撮像する検体容器3の円筒部の外形上の各点とカメラ5の主点Pとを結んだ光学的経路で囲まれる空間の外側に位置する。本実施例では、反射面9の一例として、図2に示すように、カメラ5が撮像する検体容器3の円筒部の上端上の各点とカメラ5の主点Pとを結んだ直線群Ftよりも上側に位置する反射面91を例示する。なお、図2に示すように、カメラ5が撮像する検体容器3の円筒部の外形上の各点とカメラ5の主点Pとを直接結んだ光学的経路は、直線群で表される。
【0024】
このような反射面91を備えることにより、光源6からの出射光のうち、光源6が検体容器3から離れる方向へ出射した光R1、すなわち、光軸Oに対して検体容器3とは反対側へ出射された光R1を反射面91で折り返して、光源6から遠い検体容器3の下部へ検体容器3の正面(Y軸正方向から見た面)の斜め上方向から入射させている。つまり、光源6から検体容器3の方向へ直接出射される光に加えて、光源6からその光軸Oに対して検体容器3とは反対側へ出射されていた光R1によっても検体容器3の下部が照明されることになる。したがって、検体容器3の光源6から遠い部分においても十分な照度を確保しつつ、検体容器3とその内部の検体4とを撮像できる。なお、検体容器3の下部とは、検体容器3のうちの下側の部分をいう。
【0025】
また、検体容器撮像装置は、検体ラック2に収納されたままの検体容器3を撮像できる。なお、これに限らず、検体容器撮像装置は、検体ラック2から取り出された検体容器3を撮像してもよい。
【0026】
また、本実施例では、斜め上から入射する光のみで検体容器3の下部を照明しているため、検体容器3の下部の表面で反射した光がカメラ5へ直接光として入射するのを防止できる。さらに、本実施例では、単一の光源6で検体容器3を照明するため、複数の光源を用いた場合に課題となる光源の色温度の機差に起因した色ムラの発生を防止できる利点がある。
【実施例0027】
反射面9の位置は、実施例1に示す直線群Ftの上側に限定されない。図3は、実施例2に係る検体容器撮像装置の構成の概要を示す側面図である。なお、図3は、X軸正方向から見た側面図である。本実施例では、反射面9の一例として、光源6の光軸Oに対して、カメラ5が撮像する検体容器3と反対側であって、検体容器3の円筒部の下端上の各点とカメラ5の主点Pとを結んだ直線群Fbよりも下側に位置する反射面92を例示する。なお、図3では、直線群Fbの理解を容易にするために、検体容器3の円筒部の下端上の各点の中でカメラ5の主点Pと最も近い点と、カメラ5の主点Pとを結んだ直線を直線群Fbとして記載している。他の図面も同様とする。
【0028】
本実施例においては、光源6が検体容器3から離れる方向へ出射した光R2、すなわち、光軸Oに対して検体容器3とは反対側へ出射された光R2を反射面92で折り返すことによって、検体容器3の下部へ検体容器3の正面の斜め上から入射する光量を増加させている。したがって、本実施例においても、光源6から遠い検体容器3の下部において十分な照度を確保しつつ、検体容器3とその内部の検体4を撮像できる。加えて、本実施例においては、光源6の光軸Oとなす角が小さい、すなわち光度の強い光R2を用いて検体容器3の下部を照明できるため、検体容器3の下部の照度を向上するのに有利である。
【実施例0029】
図4Aは、実施例3に係る検体容器撮像装置の構成の概要を示す上面図である。図4Bは、実施例3に係る検体容器撮像装置の構成の概要を示す側面図である。なお、図4Bは、X軸正方向から見た側面図である。本実施例では、反射面9の一例として、図4Aに示すように、光源6の光軸Oに対して、カメラ5が撮像する検体容器3と反対側であって、カメラ5が撮像する検体容器3の円筒部のX軸方向正側の側面上の各点とカメラ5の主点Pとを結んだ直線群Fl、及びカメラ5が撮像する検体容器3の円筒部のX軸方向負側の側面上の各点とカメラ5の主点Pとを結んだ直線群Frで囲まれる空間の左右方向の外側に位置する反射面93を例示する。なお、図4Aでは、直線群Fl及びFrの理解を容易にするために、検体容器3の円筒部の側面上の各点とカメラ5の主点Pとを結んだ直線群のうち、X軸方向正側で検体容器3に接する直線を直線群Flとして記載し、X軸方向負側で検体容器3に接する直線を直線群Frとして記載している。他の図面も同様とする。
【0030】
本実施例においても、図4Bに示すように、光源6が検体容器3から離れる方向へ出射した光R3、すなわち、光軸Oに対して検体容器3とは反対側へ出射された光R3を反射面93で折り返すことによって、光源6から遠い検体容器3の下部へ斜め上から入射する光量を増加させている。したがって、本実施例においても、光源から遠い検体容器3の下部においても十分な照度を確保しつつ、検体容器3とその内部の検体4とを撮像できる。
【0031】
なお、反射面93の上下方向の位置は、図4Bに示すように、直線群Ftと直線群Fbとの間とするが、光R3を折り返して検体容器3へ斜め上方向から入射させることができればこれに限定されない。
【0032】
また、反射面93の位置や向きを変えることで検体容器3の光源6からより遠い部分である検体容器3の最下部へ光R3を折り返すこともできる。
【実施例0033】
検体容器撮像装置は、実施例1の反射面91、実施例2の反射面92、及び実施例3の反射面93の全てを備えることもできる。反射面91、92及び93のいずれも光R1、R2及びR3を遮らず、反射面91、92及び93のそれぞれにおける反射を阻害しないので、併用することができる。この場合、光R1、R2及びR3を折り返して検体容器3の下部へ入射させることができるので、検体容器3の光源6から遠い部分の照度をさらに向上しつつ、検体容器3とその内部の検体4とを撮像できる。また、反射面91、92及び93の全てを備える場合に限定されず、反射面91、92及び93のいずれか2つを備えてもよい。また、反射面91、92及び93のそれぞれにおける反射を阻害しないのであれば、検体容器撮像装置は、反射面をさらに備えることもできる。
【実施例0034】
図5は、実施例5に係る自動分析装置の構成の概要を示す上面図である。なお、図5では、実施例1~4と同様である分析モジュール13を図示省略している。以降の実施例でも同様である。以下では、本実施例による検体容器撮像装置について、実施例1~4と異なる点を主に説明する。
【0035】
本実施例に係る検体容器撮像装置は、ラック搬送路141のカメラ5と同じ側の側方に設けられ、ラック搬送路141上の検体容器3を映す平面ミラー8を備える。また、カメラ5は、平面ミラー8に映された検体容器3を撮像する。本実施例では、図5に示すように、カメラ5がX軸負方向を向いている例について説明する。これにより、Y軸方向に関して、検体容器3とカメラ5との間の距離を近づけることができ、ラック搬送路141とラック搬送路142との間の距離も近づけることができるので、搬送ユニット14のサイズを小さくすることができる。ただし、カメラ5の向きや位置はこれに限定されない。
【0036】
図6Aは、実施例5に係る検体容器撮像装置の構成の概要を示す上面図である。図6Bは、実施例5に係る検体容器撮像装置の構成の概要を示す側面図である。なお、図6Bは、X軸正方向から見た側面図である。また、図6Aでは、検体容器3と、カメラ5と、平面ミラー8との位置関係を説明するために、反射面91を図示省略している。このような構成において、カメラ5が撮像する検体容器3の円筒部の外形上の各点とカメラ5の主点Pとを平面ミラー8を経由して結んだ光学的経路は、平面ミラー8で折れ曲がった折れ線群で表される。このような折れ線群のうち、検体容器3の円筒部の上端上の各点とカメラ5の主点Pとを平面ミラー8を経由して結んだ折れ線群をFt’とし、検体容器3の円筒部の下端上の各点とカメラ5の主点Pとを平面ミラー8を経由して結んだ折れ線群をFb’とする。なお、図6A及び図6Bでは、折れ線群Ft’の理解を容易にするために、検体容器3の円筒部の上端上の各点の中で最もY軸正方向側にある点と、カメラの主点Pとを結んだ折れ線を折れ線群Ft’として記載している。同様に、図6Bでは、折れ線群Fb’の理解を容易にするために、検体容器3の円筒部の下端上の各点の中で最もY軸正方向側にある点と、カメラの主点Pとを結んだ折れ線を折れ線群Fb’として記載している。他の図面も同様とする。
【0037】
本実施例では、反射面9の一例として、図6A及び図6Bに示すように、光源6の光軸Oに対して、カメラ5が撮像する検体容器3と反対側であって、折れ線群Ft’よりも上側に位置する反射面91を例示する。本実施例の反射面91は、図2に示す直線群Ftではなく、図6に示す折れ線群Ft’よりも上側に位置する点以外は実施例1の反射面91と同様である。そのため効果も実施例1と同様である。
【実施例0038】
図7は、実施例6に係る検体容器撮像装置の構成の概要を示す側面図である。なお、図7は、X軸正方向から見た側面図である。本実施例に係る検体容器撮像装置は、実施例5と同様に、平面ミラー8を備える。
【0039】
本実施例では、反射面9の一例として、図7に示すように、光源6の光軸Oに対して、カメラ5が撮像する検体容器3と反対側であって、折れ線群Fb’よりも下側に位置する反射面92を例示する。本実施例の反射面92は、図3に示す直線群Fbではなく、図7に示す折れ線群Fb’よりも下側に位置する点以外は実施例2の反射面92と同様である。そのため効果も実施例2と同様である。
【実施例0040】
図8Aは、実施例7に係る検体容器撮像装置の構成の概要を示す上面図である。図8Bは、実施例7に係る検体容器撮像装置の構成の概要を示す側面図である。なお、図8Bは、X軸正方向から見た側面図である。本実施例に係る検体容器撮像装置は、実施例5と同様に、平面ミラー8を備える。ただし、図8Bでは、反射面93による光R3の折り返しを表現するために、カメラ5及び平面ミラー8を図示省略している。
【0041】
本実施例では、反射面9の一例として、図8A及び図8Bに示すように、光源6の光軸Oに対して、カメラ5が撮像する検体容器3と反対側であって、検体容器3の円筒部のX軸方向正側の側面上の各点とカメラ5の主点とを平面ミラー8を経由して結んだ折れ線群Fl’、及び検体容器3の円筒部のX軸方向負側の側面上の各点とカメラ5の主点とを平面ミラー8を経由して結んだ折れ線群Fr’で囲まれる空間の左右方向の外側に位置する反射面93を例示する。なお、図8Aでは、直線群Fl’及びFr’の理解を容易にするために、検体容器3の円筒部の側面上の各点とカメラの主点Pとを平面ミラー8を経由して結んだ折れ線群のうち、X軸方向正側で検体容器3に接する折れ線を折れ線群Fl’として記載し、X軸方向負側で検体容器3に接する折れ線を折れ線群Fr’として記載している。他の図面も同様とする。
【0042】
反射面93は、図4Aに示す直線群Fl及びFrで囲まれる空間ではなく、図8Aに示す折れ線群Fl’及びFr’で囲まれる空間の左右方向の外側に位置する点以外は実施例3の反射面93と同様である。そのため効果も実施例3と同様である。
【実施例0043】
図9Aは、実施例8に係る検体容器撮像装置の構成の概要を示す上面図である。図9Bは、実施例8に係る検体容器撮像装置の構成の概要を示す正面図である。なお、図9Bは、Y軸正方向から見た図である。本実施例に係る検体容器撮像装置は、実施例5と同様に、平面ミラー8を備える。
【0044】
本実施例では、反射面9の一例として、図9Aに示すように、実施例7の反射面93と同様に、折れ線群Fl’及びFr’で囲まれる空間の左右方向の外側に位置する反射面94を例示する。また、反射面94は、図9A及び図9Bに示すように、光源6からの出射光のうち、光源6が検体容器3から離れる方向へ出射した光R4、すなわち、光軸Oに対して検体容器3とは反対側へ出射された光R4を折り返して、平面ミラー8を経由して検体容器3の下部へ検体容器3の正面の斜め上方向から入射させている。つまり、光源6から検体容器3の方向へ出射される光に加えて、光源6からその光軸Oに対して検体容器3から遠ざかる方向へ出射されていた光R4によっても検体容器3が照明されることになる。したがって、光源6から遠い検体容器3の下部においても十分な照度を確保しつつ、検体容器3とその内部の検体4とを撮像できる。
【0045】
また、平面ミラー8は、図9Aに示すように、折れ線群Fr’と平面ミラー8との交線から平面ミラー8の検体容器3側の端辺までの幅wrが、折れ線群Fl’と平面ミラー8との交線から平面ミラー8の検体容器3と反対側の端辺までの幅wlに比べて広くなるように設置するとよい。これにより、光軸Oに対して検体容器3から遠ざかる方向へ出射されていた光R4をより多く検体容器3の下部へ入射させるのに有利となる。
【実施例0046】
図10Aは、実施例9に係る検体容器撮像装置の構成の概要を示す上面図である。図10Bは、実施例9に係る検体容器撮像装置の構成の概要を示す正面図である。なお、図10Bは、Y軸正方向から見た図である。本実施例に係る検体容器撮像装置は、実施例5と同様に、平面ミラー8を備える。
【0047】
本実施例では、反射面9の一例として、図10Bに示すように、折れ線群Fb’よりも下側に位置する反射面95を例示する。また、反射面95は、図10A及び図10Bに示すように、光源6からの出射光のうち、光源6が検体容器3から離れる方向へ出射し、平面ミラー8でカメラ5側へ折り返された光R5、すなわち、光軸Oに対して検体容器3とは反対側へ出射され、平面ミラー8でカメラ5側へ折り返された光R5を、再び平面ミラー8側へ折り返して、平面ミラー8を経由して検体容器3の下部へ検体容器3の正面の斜め上方向から入射させている。つまり、光源6から検体容器3の方向へ出射される光に加えて、光源6からその光軸Oに対して検体容器3から遠ざかる方向へ出射されていた光R5によっても検体容器3の下部が照明されることになる。したがって、光源6から遠い検体容器3の下部においても十分な照度を確保しつつ、検体容器3とその内部の検体4とを撮像できる。
【実施例0048】
検体容器撮像装置は、実施例5の反射面91、実施例6の反射面92、実施例7の反射面93、実施例8の反射面94及び実施例9の反射面95の全てを備えることもできる。反射面91、92、93、94及び95のいずれも光R1、R2、R3、R4及びR5を遮らず、反射面91、92、93、94及び95のそれぞれにおける反射を阻害しないので、併用することができる。この場合、光R1、R2、R3、R4及びR5を折り返して検体容器3の下部へ入射させることができるので、検体容器3の光源6から遠い部分の照度をさらに向上しつつ、検体容器3とその内部の検体4とを撮像できる。また、反射面91、92、93、94及び95の全てを備える場合に限定されず、反射面91、92、93、94及び95の中のいずれか2つ以上を備えてもよい。
【0049】
なお、本発明は、上記の実施例に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。例えば、上記の実施例は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、本発明は、必ずしも説明した全ての構成を備える態様に限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能である。また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、削除したり、他の構成を追加・置換したりすることが可能である。
【符号の説明】
【0050】
1…自動分析装置、2…検体ラック、3…検体容器、4…検体、5…カメラ、6…光源、7…焦点位置、8…平面ミラー、9、91、92、93、94、95…反射面、10…制御部、12…検体供給ユニット、13…分析モジュール、14…搬送ユニット、31…バーコードラベル、3B…検体容器の円筒部の最もカメラ側である母線、123…搬入口、124…搬出口、125…バーコードリーダ、126…バーコード読取り位置、141…搬入用のラック搬送路、142…搬出用のラック搬送路、212…検体ラックの前面、213…検体ラックの背面、D…検体ラックの移送方向、Ft…検体容器の円筒部の上端上の各点とカメラの主点とを結んだ直線群、Fb…検体容器の円筒部の下端上の各点とカメラの主点とを結んだ直線群、Fl…検体容器の円筒部のX軸方向正側の側面上の点とカメラの主点とを結んだ直線群、Fr…検体容器の円筒部のX軸方向負側の側面上の各点とカメラの主点を結んだ直線群、Ft’…検体容器の円筒部の上端上の各点とカメラの主点とを平面ミラーを経由して結んだ折れ線群、Fb’…検体容器の円筒部の下端上の各点とカメラの主点とを平面ミラーを経由して結んだ折れ線群、Fl’…検体容器の円筒部のX軸方向正側の側面上の各点とカメラの主点とを平面ミラーを経由して結んだ折れ線群、Fr’…検体容器の円筒部のX軸方向負側の側面上の各点とカメラの主点とを平面ミラーを経由して結んだ折れ線群、L…光源の発光点、L’…検体容器の円筒部の最もカメラ側である母線に対して光源の発光点を折り返した点、O…光源の光軸、P…カメラの主点、R1、R2、R3、R4、R5…光源が検体容器から離れる方向へ出射した光、wl…折れ線群Fl’と平面ミラーとの交線から平面ミラーの検体容器と反対側の端辺までの幅、wr…折れ線群Fr’と平面ミラーとの交線から平面ミラーの検体容器側の端辺までの幅、X・・・検体ラックの移送方向に平行な軸、Z…検体容器の高さ方向に平行な軸、Y…Z軸及びX軸の両方に直交する軸
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図7
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B