(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024076581
(43)【公開日】2024-06-06
(54)【発明の名称】光ファイバ異常検知システム
(51)【国際特許分類】
G01M 11/00 20060101AFI20240530BHJP
G02B 6/42 20060101ALI20240530BHJP
G02B 6/255 20060101ALI20240530BHJP
【FI】
G01M11/00 R
G02B6/42
G02B6/255
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022188189
(22)【出願日】2022-11-25
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096091
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 誠一
(72)【発明者】
【氏名】厚味 泰輔
(72)【発明者】
【氏名】川崎 浩平
(72)【発明者】
【氏名】佐野 純佳
(72)【発明者】
【氏名】森 肇
【テーマコード(参考)】
2G086
2H036
2H137
【Fターム(参考)】
2G086CC05
2G086CC06
2H036MA11
2H036PA01
2H137AA14
2H137AB05
2H137AB06
2H137AC15
2H137BA04
2H137BB02
2H137BB14
2H137BC16
2H137DB12
2H137HA00
(57)【要約】
【課題】 精度よく光ファイバの異常を検知することが可能な光ファイバ異常検知システムを提供する。
【解決手段】 光ファイバ異常検知システム1は、マルチモード光ファイバの異常を検知可能なシステムであり、主に、光源3、光ファイバ17a、17b、光検知部9、制御部11等から構成される。複数の光源3には、それぞれ光ファイバ17aの一端が接続される。また、光ファイバ17aの他端には、それぞれ他の光ファイバ17bが融着接続部7で接続される。融着接続部7の近傍には、光検知部9が配置される。光検知部9は、光ファイバ17a、17b(融着接続部7)から漏れる光を検出可能な、例えばフォトダイオードである。光検知部9は、例えば、筐体19の外部に、光検知面を筐体19の内部に露出させて配置される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチモード光ファイバの異常を検知可能な異常検知システムであって、
光源と、
一端が前記光源と光接続され、互いに間隔をあけて配置される複数のマルチモードの光ファイバと、
前記光ファイバから漏れる光を検出可能な光検知部と、
前記光検知部で検知された光量が所定値を超えると、前記光ファイバと接続されているすべての前記光源を停止する制御部と、
を具備することを特徴とする光ファイバ異常検知システム。
【請求項2】
前記光ファイバは、所定の間隔をあけて放熱部材上に固定され、
それぞれの前記光ファイバの融着接続部が、前記放熱部材上に配置されることを特徴とする請求項1記載の光ファイバ異常検知システム。
【請求項3】
前記放熱部材には、前記融着接続部を覆う筐体が固定され、前記光検知部は、光検知面を前記筐体の内部に露出させて配置されることを特徴とする請求項2記載の光ファイバ異常検知システム。
【請求項4】
前記筐体の内面には、光吸収を向上させることが可能な着色又は粗面化処理が施されることを特徴とする請求項3記載の光ファイバ異常検知システム。
【請求項5】
前記筐体の外面に放熱フィンが設けられることを特徴とする請求項3記載の光ファイバ異常検知システム。
【請求項6】
前記筐体には、前記光検知部の位置を調整可能な位置調整機構が設けられることを特徴とする請求項3記載の光ファイバ異常検知システム。
【請求項7】
前記光検知部は、前記融着接続部に対して、前記光源側に配置されることを特徴とする請求項2に記載の光ファイバ異常検知システム。
【請求項8】
前記融着接続部には、光吸収樹脂が塗布されていることを特徴とする請求項2記載の光ファイバ異常検知システム。
【請求項9】
前記融着接続部において、径の異なる前記光ファイバ同士が接続されていることを特徴とする請求項2記載の光ファイバ異常検知システム。
【請求項10】
前記光源から出射される光は、ファイバヒューズが生じない光であることを特徴とする請求項1記載の光ファイバ異常検知システム。
【請求項11】
前記光源は、マルチモードレーザ光を出射可能な半導体レーザであることを特徴とする請求項10記載の光ファイバ異常検知システム。
【請求項12】
前記光源は、コア径が100μm以上であって、パワー密度が5.0×106W/cm2以下の光を出射可能な半導体レーザであることを特徴とする請求項11記載の光ファイバ異常検知システム。
【請求項13】
前記光検知部で検知される光の波長と、前記光源から出射される光の波長とが同一であることを特徴とする請求項1記載の光ファイバ異常検知システム。
【請求項14】
前記光が青色光であることを特徴とする請求項13記載の光ファイバ異常検知システム。
【請求項15】
前記光が赤外光であることを特徴とする請求項13記載の光ファイバ異常検知システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルチモード光ファイバの異常を検知することが可能な光ファイバ異常検知システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、複数の光ファイバが内蔵される光モジュールが使用されている。このようなモジュールにおいて、例えば、所定の光ファイバ同士の融着接続部に異常が生じると、当該部位の損傷だけでなく、隣り合う光ファイバ同士の融着部にも影響を与え、その修復等に多大な工数が必要となる。
【0003】
このため、所定の光ファイバの異常が生じた際に、直ちに異常を検知可能な異常検知システムが要求されている。
【0004】
このような、異常を検知する手段としては、例えば、ファイバヒューズの発生による光を検知するファイバヒューズ検出装置が提案されている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、ファイバヒューズの発生を伴わないような異常の場合には、特許文献1の方法は適用することができない。例えば、マルチモードの高出力光源ではファイバヒューズが生じず、ファイバ端面からの被覆を含んだ焼損が進行するため特許文献1の方法は適用が困難である。
【0007】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、精度よくマルチモード光ファイバの異常を検知することが可能な異常検知システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述した目的を達成するため、本発明は、マルチモード光ファイバの異常を検知可能な異常検知システムであって、光源と、一端が前記光源と光接続され、互いに間隔をあけて配置される複数のマルチモードの光ファイバと、前記光ファイバから漏れる光を検出可能な光検知部と、前記光検知部で検知された光量が所定値を超えると、前記光ファイバと接続されているすべての前記光源を停止する制御部と、を具備することを特徴とする光ファイバ異常検知システムである。
【0009】
前記光ファイバは、所定の間隔をあけて放熱部材上に固定され、それぞれの前記光ファイバの融着接続部が、前記放熱部材上に配置されることが望ましい。
【0010】
前記放熱部材には、前記融着接続部を覆う筐体が固定され、前記光検知部は、光検知面を前記筐体の内部に露出させて配置されることが望ましい。
【0011】
前記筐体の内面には、光吸収を向上させることが可能な着色又は粗面化処理が施されることが望ましい。
【0012】
前記筐体の外面に放熱フィンが設けられてもよい。
【0013】
前記筐体には、前記光検知部の位置を調整可能な位置調整機構が設けられてもよい。
【0014】
前記光検知部は、前記融着接続部に対して、前記光源側に配置されることが望ましい。
【0015】
前記融着接続部には、光吸収樹脂が塗布されていてもよい。
【0016】
前記融着接続部において、径の異なる前記光ファイバ同士が接続されていてもよい。
【0017】
前記光源から出射される光は、ファイバヒューズが生じない光であってもよい。
【0018】
この場合、前記光源は、マルチモードレーザ光を出射可能な半導体レーザであってもよく、さらに、前記光源は、コア径が100μm以上であって、パワー密度が5.0×106W/cm2以下の光を出射可能な半導体レーザであってもよい。
【0019】
前記光検知部で検知される光の波長と、前記光源から出射される光の波長とが同一であってもよい。
【0020】
この場合、前記光が青色光であってもよく、又は、前記光が赤外光であってもよい。
【0021】
本発明によれば、マルチモード光ファイバの異常時に、ファイバヒューズにより発生するような光ファイバのコアを沿って光源側に伝搬する光ではなく、光ファイバの異常部(焼損部)から外部に漏れ出す光を直接検知することで、光ファイバの内部を伝播する光と同一の波長の光を検知することができる。このように、光源の波長と同一の波長を検知することが可能な光検知部を用いることができるため、高い精度で漏れ光を検知することができる。
【0022】
また、複数の光ファイバの融着接続部が放熱部材上に配置されれば、融着接続部におけるロスによって生じる熱を効率よく放熱することができる。
【0023】
また、融着接続部を覆う筐体を用いることで、外部への漏れ光(迷光)を抑制することができる。また、光検知部を筐体外部に配置することで、光検知部への熱の影響を抑制することができる。
【0024】
また、筐体の内面に、光の吸収を向上させる着色又は粗面化処理を行うことで、光の反射を抑制し、異常時のS/N比を高めることができるとともに、光を吸収して熱として外部に放熱することができる。
【0025】
さらに、筐体の外面に放熱フィンを設けることで、筐体が吸収した熱を効率よく放熱することができる。
【0026】
また、光検知部の位置調整を可能とすることで、例えば、融着接続部から光検知部の検知面までの距離を適切に調整することができる。このため、融着接続部の異常に対する検知部における検知感度を適切に調整することができる。
【0027】
また、融着接続部が故障すると、ファイバ溶断面は光源側に向かって進行する。このため、光検知部を融着接続部に対して光源側に配置することで、異常時には、損傷部を光検知部に近づくように進行させることができるため、検知精度を高めることができる。
【0028】
また、融着接続部に光吸収樹脂を塗布しておくことで、非異常時における漏れ光を吸収することができる。このため、異常時におけるS/N比を向上させることができる。
【0029】
以上のような効果は、径の異なる光ファイバ同士を融着接続した際の異常検知に特に有効である。
【0030】
また、本発明では、ファイバヒューズが発生しないような場合でも、異常を検知することができる。例えば、光源としてマルチモード光を出射可能な半導体レーザを適用することができ、さらに、コア径が所定以上で所定の光密度以下の光に対しても適用することができる。
【0031】
また、光源の波長と故障検出に使用する波長とを同じにすることで、光検知部の感度を限定的なものとすることができる。また、通常時の漏れ光の検出にも使用可能であり、これを利用して、光検知部の下限判定によってレーザ停止機能を設けることもできる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、精度よく光ファイバの異常を検知することが可能な光ファイバ異常検知システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】光ファイバ異常検知システム1を示す概略図であって、(a)は側方断面図、(b)は平面図。
【
図2】光ファイバ異常検知システム1の他の実施形態を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施の形態にかかる光ファイバ異常検知システムについて説明する。
図1は、光ファイバ異常検知システム1の構成を示す概略図であり、
図1(a)は側方断面図、(b)は平面図(筐体19の透視図)である。光ファイバ異常検知システム1は、マルチモード光ファイバの異常を検知可能なシステムであり、主に、光源3、光ファイバ17a、17b、光検知部9、制御部11等から構成される。
【0035】
光源3としては、ファイバヒューズが生じない光を出射可能なものを適用可能である。例えば、光源3は、マルチモードレーザ光を出射可能な半導体レーザである。この場合、光源3は、コア径が100μm以上であって、パワー密度が5.0×106W/cm2以下の光を出射可能な半導体レーザを適用可能である。
【0036】
複数の光源3には、それぞれ光ファイバ17aの一端が接続される。また、光ファイバ17aの他端には、それぞれ他の光ファイバ17bが融着接続部7で接続される。すなわち、一端が光源3と接続された複数の光ファイバ17aと、それぞれの光ファイバ17aに接続された複数の光ファイバ17bが、互いに間隔をあけて配置される。なお、光ファイバ17a、17bは、マルチモードの光ファイバである。
【0037】
ここで、光ファイバ17a、17bは、同一径であってもよいが、異なる径であってもよい。すなわち、融着接続部7において、径の異なる光ファイバ17a、17b同士が接続されていてもよい。
【0038】
なお、本実施形態では、特に、光ファイバ17a、17bの融着接続部7における異常を検知する方法について説明するが、融着接続部7のみではなく、光ファイバの余長部等の取り回し部に対しても、同様の構成を適用可能である。
【0039】
隣り合う光ファイバ17a、17bは、所定の間隔をあけて放熱部材5上に固定される。すなわち、それぞれの光ファイバ17a、17bの融着接続部7が、放熱部材5上に配置される。例えば、放熱部材5上に所定の間隔で複数のV溝が形成され、光ファイバ17a、17bはV溝に固定される。放熱部材5には放熱フィン15が形成され、放熱フィン15によって効率よく外部に放熱を行うことができる。
【0040】
また、放熱部材5には、全ての融着接続部7を覆うように筐体19が固定される。筐体19で融着接続部7を覆うことで、外部への漏れ光(迷光)を抑制することができる。なお、筐体19は、放熱部材5にネジ等で固定される。
【0041】
ここで、筐体19の材質としては、漏れ光に対して吸収の大きなものを選択することが望ましい。例えば、青色波長の光に対しては、筐体19を銅製にすることが望ましい。このようにすることで、例えば非異常時における融着接続部7からのわずかな漏光が、筐体19内で反射することを抑制し、光を吸収して熱に変換して放熱部材5等を介して外部に排熱することができる。なお、より放熱特性を高めるために、筐体19の外面に放熱フィン13を設けてもよい。
【0042】
また、筐体19による光の吸収(熱への変換)をより効率よく行うため、筐体19の内面に、光吸収を向上させることが可能な着色又は粗面化処理を施してもよい。このようにすることで、非異常時における融着接続部7からのわずかな漏光を吸収して、異常時におけるS/N比を高めることができる。
【0043】
融着接続部7の近傍には、光検知部9が配置される。光検知部9は、光ファイバ17a、17b(融着接続部7)から漏れる光を検出可能な、例えばフォトダイオードである。光検知部9は、例えば、光検知面が筐体19の内部に露出するように、筐体19の外部に配置される。
【0044】
ここで、光検知部9は、それぞれの光ファイバごとに配置されるのではなく、一つの光検知部9によって、複数の光ファイバ17a、17b(融着接続部7)の異常を一括して検知可能である。例えば、
図1(b)に示すように、一つの光検知部9を、光ファイバ17aの併設方向(
図1(b)の上下方向)の中央に配置すればよい。なお、光検知部9は複数個配置されてもよい。
【0045】
光検知部9で検知される光の波長と、光源3から出射される光の波長とは同一とすることができる。例えば、光源3から出射する光は、例えば青色光(波長400~500nm)である。または、光源3から出射する光は、赤外光(波長1000~1100nm)であってもよい。
【0046】
前述したように、光ファイバ17a、17b(融着接続部7)に異常が生じると、熱によってコア内の光の閉じ込めができなくなり、大量の光が光ファイバ17a、17b(融着接続部7)から漏れ出す。光検知部9は、この光を検知し、光検知部9で検知された光量(光強度)が所定値を超えると、制御部11によって、光ファイバ17aと接続されているすべての光源3を停止する。このため、一つの光ファイバ17a、17b(融着接続部7)に異常が生じた際に、他の健全な光ファイバ17a、17b(融着接続部7)に影響が生じる前に装置を停止することができる。
【0047】
ここで、光検知部9を融着接続部7の直上に配置すると、非異常時における漏光の影響を受けやすくなる。また、併設方向の略中央の光ファイバ17a、17b(融着接続部7)と、併設方向の両端部の光ファイバ17a、17b(融着接続部7)との距離の差(距離比)が大きくなる。このため、光検知部9は、光ファイバ17a、17bの併設方向に垂直な方向(
図1(b)の左右方向)にずれた位置に配置することが望ましい。
【0048】
この際、光検知部9は、融着接続部7に対して、光源3側(
図1(b)の左側)にずらして配置することが望ましい。光ファイバ17a、17b(融着接続部7)に異常が生じて異常部が広がる際に、光源3側に異常部が広がっていくため、このように光検知部9を光源3側にずらして配置することで、異常部が光検知部9へ近づく方向とすることができる。このため、光の検知精度を高めることができる。
【0049】
なお、さらに、光ファイバ17bの光の下流側において光強度を検出可能な他の光検知部をさらに設け、他の光検知部における光強度が所定以上低くなった際に異常として検知してもよい。この場合には、制御部11は、光検知部9において検知された光強度が所定以上、又は、他の光検知部において検知された光強度が所定以下となった際に、異常として光源3を停止するように制御してもよい。
【0050】
以上、本実施形態によれば、マルチモードレーザ光源などのようにファイバヒューズが生じない場合に対しても光ファイバの異常を検知することができる。特に、光ファイバの融着接続部7などの異常時に、コアから漏れ出した光を直接検知することで、光源3から出射した光と同一の波長の光を検知することができる。このため、光検知部9において、広い波長範囲の光を測定する必要がないため、効率よく漏光を検知することができる。
【0051】
また、この場合、非異常時においても生じるわずかな漏光によって、異常時における漏光の検知精度が悪化する恐れがある。しかし、筐体19の内部の光反射を抑制し、光検知部9を融着接続部7から離れた位置に配置することで、非異常時における漏光の影響を抑制することができる。
【0052】
また、筐体19が光を吸収すると熱に変換されるが、この熱を放熱部材5(放熱フィン15)や放熱フィン13によって外部に放熱することで、内部の融着接続部7等への熱の影響を抑制することができる。
【0053】
なお、本発明は、
図1に示した実施形態に限定されるものではない。例えば、迷光の遮蔽や漏光の吸収等が不要であれば、筐体19は必須ではない。また、十分な放熱特性を有すれば、放熱部材(放熱フィン13、15)は必須ではない。
【0054】
また、光検知部9の配置は、
図1に示すように、筐体19の光源3側の端部近傍に固定されたが、これには限定されない。
図2は、光ファイバ異常検知システム1の他の構成を示す図である。
図2に示す例では、筐体19に、光検知部9の位置を調整可能な位置調整機構が設けられる。位置調整機構は、例えば、筐体19に設けられた溝に対して、光検知部9をスライド移動させて、任意の位置で固定可能であり、この際、スライドされる溝が、遮蔽されるように構成される。
【0055】
この際、例えば光検知部9を光ファイバ17a、17bの軸方向(
図2の左右方向)に移動可能とすることで、融着接続部7から光検知部9の光検知面までの距離を調整することができる。すなわち、異常発生時における異常部と光検知部9との距離を調整することができる。このため、光検知部9における光検知感度を調整することができる。
【0056】
例えば、前述したように、光検知部9を融着接続部7へ近づけると、異常部からの距離が近くなるため、異常時に検知する光強度を高くすることができるが、非異常時における影響を受けやすくなる。一方、光検知部9を融着接続部7から離していくと、非異常時における影響は小さくすることができる。しかし、筐体19内面は光反射が抑制され、光が吸収されるため、異常部から離れると異常時に生じる漏光の光強度が低下する。このため、異常時に検知する光強度が低下するおそれがある。
【0057】
そこで、例えば光源3から光ファイバ17aに入射する光強度や、非異常時おける漏光量等に応じて、光検知部9の位置を適切な位置に設定することで、感度よく異常を検知可能とすることができる。
【0058】
また、
図3は、
図1(a)のA部拡大図である。
図3に示すように、融着接続部7を含む放熱部材5の所定範囲を覆うように、光吸収樹脂21が塗布されていてもよい。光吸収樹脂21は、例えばシリコーン系の放熱樹脂である。光吸収樹脂21は、例えば、非異常時における融着接続部7からのわずかな漏光を吸収して熱に変換し、放熱部材5へ熱を放熱することが可能な樹脂である。異常時には、高温の熱によって光吸収樹脂は直ちに焼損するため、光検知部9による漏光の検知の妨げにはならない。
【0059】
このように光吸収樹脂21によって光を熱に代えて放熱することで、非異常時における漏光を抑制して、異常時の漏光に対するS/N比を高めることができる。
【0060】
以上、添付図を参照しながら、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の技術的範囲は、前述した実施の形態に左右されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0061】
1………光ファイバ異常検知システム
3………光源
5………放熱部材
7………融着接続部
9………光検知部
11………制御部
13………放熱フィン
15………放熱フィン
17a、17b………光ファイバ
19………筐体
21………光吸収樹脂