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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024076800
(43)【公開日】2024-06-06
(54)【発明の名称】荷電粒子ビーム装置
(51)【国際特許分類】
   H01J 37/22 20060101AFI20240530BHJP
   H01J 37/28 20060101ALN20240530BHJP
【FI】
H01J37/22 502H
H01J37/28 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022188568
(22)【出願日】2022-11-25
(71)【出願人】
【識別番号】501387839
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテク
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】内桶 由基
(72)【発明者】
【氏名】松島 勝
(72)【発明者】
【氏名】水落 真樹
(72)【発明者】
【氏名】宮 豪
(72)【発明者】
【氏名】神戸 勝三
【テーマコード(参考)】
5C101
【Fターム(参考)】
5C101AA03
5C101BB04
5C101GG22
5C101GG26
5C101HH22
5C101HH25
5C101HH44
5C101HH46
5C101JJ12
5C101KK09
5C101LL06
5C101LL07
(57)【要約】
【課題】荷電粒子ビーム装置に関して、送風機(ファン)による振動や騒音の影響によって装置性能が低下することを防ぐことができる技術を提供する。
【解決手段】荷電粒子ビーム装置は、本体カバー内に設けられた本体装置と、本体カバーに設けられた複数の送風機と、複数の送風機を制御するコントローラとを備える。本体装置は、試料が載置されるステージと、前記試料を撮像する顕微鏡とを有する。コントローラは、顕微鏡によって試料を撮像した画像を取得し、画像から振動情報を取得し、振動情報と仕様値とを比較し、比較の結果に基づいて、複数の送風機の回転数を制御する。コントローラは、複数の送風機のうち、1つ以上の第1送風機の回転数を低下させ、他の1つ以上の第2送風機の回転数を増加させる。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷電粒子ビーム装置であって、
本体カバー内に設けられた本体装置と、
前記本体カバーに設けられた複数の送風機と、
前記複数の送風機を制御するコントローラと、
を備え、
前記本体装置は、
試料が載置されるステージと、
前記試料を撮像する顕微鏡と、
を有し、
前記コントローラは、
前記顕微鏡によって前記試料を撮像した画像を取得し、
前記画像から振動情報を取得し、
前記振動情報と仕様値とを比較し、
前記比較の結果に基づいて、前記複数の送風機の回転数を制御する、
荷電粒子ビーム装置。
【請求項2】
請求項1記載の荷電粒子ビーム装置において、
前記コントローラは、前記回転数の制御の際、前記複数の送風機のうち、1つ以上の第1送風機の回転数を低下させ、他の1つ以上の第2送風機の回転数を増加させる、
荷電粒子ビーム装置。
【請求項3】
請求項2記載の荷電粒子ビーム装置において、
前記コントローラは、前記回転数の制御の際、前記複数の送風機による総風量が一定以上に確保されるように、前記回転数の制御を行う、
荷電粒子ビーム装置。
【請求項4】
請求項1記載の荷電粒子ビーム装置において、
前記コントローラは、前記振動情報として周波数解析結果または時間波形における振幅が前記仕様値を超えるかを確認し、前記振幅が前記仕様値を超える場合には、前記回転数の制御を行う、
荷電粒子ビーム装置。
【請求項5】
請求項1記載の荷電粒子ビーム装置において、
前記振動情報は、前記試料に形成されているパターンのエッジの位置の時間的変位または空間的変位に基づいて得られる情報である、
荷電粒子ビーム装置。
【請求項6】
請求項1記載の荷電粒子ビーム装置において、
前記コントローラは、前記比較に基づいて、前記画像の揺れに影響している振動の原因が前記複数の送風機にあるかを推定し、前記原因が前記複数の送風機にあると推定した場合には、前記複数の送風機の回転数を制御する、
荷電粒子ビーム装置。
【請求項7】
請求項2記載の荷電粒子ビーム装置において、
前記コントローラは、前記比較に基づいて、前記画像の揺れに影響している振動の原因として、前記複数の送風機のうちの1つ以上の第1送風機を推定し、前記回転数の制御の際、前記第1送風機の回転数を低下させ、前記第2送風機の回転数を増加させる、
荷電粒子ビーム装置。
【請求項8】
請求項6記載の荷電粒子ビーム装置において、
前記コントローラは、
前記複数の送風機における各送風機の回転動作のオン状態とオフ状態とを切り替えるように制御し、
前記複数の送風機のすべてがオン状態の時に、前記画像として第1画像を撮像して前記振動情報として第1振動情報を取得し、
前記複数の送風機のすべてがオフ状態の時に、前記画像として第2画像を撮像して前記振動情報として第2振動情報を取得し、
前記第1振動情報および前記第2振動情報を用いて、前記比較に基づいて、前記振動の原因が前記複数の送風機にあるかを推定する、
荷電粒子ビーム装置。
【請求項9】
請求項7記載の荷電粒子ビーム装置において、
前記コントローラは、
前記複数の送風機における各送風機の回転動作のオン状態とオフ状態とを切り替えるように制御し、
前記複数の送風機のうち前記各送風機として1つの送風機のみをオン状態またはオフ状態にした時に、前記画像として各画像を撮像して前記振動情報として各振動情報を取得し、
前記各振動情報を用いて、前記比較に基づいて、前記振動の原因として前記第1送風機を推定する、
荷電粒子ビーム装置。
【請求項10】
請求項1記載の荷電粒子ビーム装置において、
前記コントローラは、ユーザに対し、前記複数の送風機の状態を通知する出力を行う、
荷電粒子ビーム装置。
【請求項11】
請求項1記載の荷電粒子ビーム装置において、
前記本体カバー内に、制御機器を備え、
前記コントローラは、前記制御機器によって構成される、
荷電粒子ビーム装置。
【請求項12】
請求項1記載の荷電粒子ビーム装置において、
前記本体カバー内に、温度センサを備え、
前記コントローラは、前記温度センサによる温度値が温度仕様値以内かを確認し、前記温度仕様値以内ではない場合には、前記回転数の制御を行う、
荷電粒子ビーム装置。
【請求項13】
請求項12記載の荷電粒子ビーム装置において、
前記コントローラは、前記回転数を制御した結果、前記回転数の変化量が±20%を超えた場合には、前記温度センサによる温度値が温度仕様値以内かを確認し、前記温度仕様値以内ではない場合には、再び、前記回転数の制御を行う、
荷電粒子ビーム装置。
【請求項14】
請求項12記載の荷電粒子ビーム装置において、
前記本体カバー外に、ユーザの手動操作で前記送風機の回転数の調整ができる外部速度設定器を備え、
前記コントローラは、前記回転数を制御した結果、前記温度センサによる温度値が温度仕様値以内ではない場合、あるいは、前記振動情報が前記仕様値を満たさない場合には、ユーザに対し、前記外部速度設定器を用いた調整を通知する出力を行う、
荷電粒子ビーム装置。
【請求項15】
請求項1記載の荷電粒子ビーム装置において、
前記コントローラは、前記比較の結果で前記振動情報が前記仕様値を満たしている場合でも、前回の前記振動情報と前記仕様値との確認時から前記振動情報の変化量が制御用第1閾値以内かを確認し、前記制御用第1閾値以内ではない場合には、前記複数の送風機の回転数を制御する、
荷電粒子ビーム装置。
【請求項16】
請求項10記載の荷電粒子ビーム装置において、
前記コントローラは、前記複数の送風機の回転数を制御した結果、前記振動情報が前記仕様値を満たさない場合には、前記複数の送風機の保守または交換を推奨するように、前記通知する出力を行う、
荷電粒子ビーム装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、荷電粒子ビーム装置の技術に関し、特に、送風機(言い換えるとファン)の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
荷電粒子ビーム装置としては、例えば半導体ウェハ上に形成された回路パターンの形状・寸法を撮像・測定・検査・評価等する、半導体検査装置等の各種の装置がある。その装置は、例えば、電子顕微鏡を用いてウェハを撮像して回路の寸法を測定する測長SEM(SEM:走査型電子顕微鏡)等がある。半導体素子の微細化に伴い、半導体製造装置のみならず、測長SEM等の半導体検査装置等においても、高精度に半導体素子の位置などを取り扱う技術が求められている。以下では、半導体製造装置、半導体検査装置、半導体処理等の各種の装置を、荷電粒子ビーム装置と総称する場合がある。
【0003】
現在の半導体回路においては、数ナノメートル(nm)の線幅で回路が形成されており、それと同オーダーの間隔で回路が並んでいる。このような半導体回路を電子顕微鏡で撮像して検査する場合、非常に小さな視野で撮像することになる。しかしながら、例えば、ウェハを位置決めするステージ装置にわずかな温度変化が生じた場合でも、ステージ装置の熱変形によって、静止させているウェハの位置が動いてしまう。その場合、ウェハのどの箇所の撮像をしているかが分からなくなることもある。
【0004】
例えば測長SEMにおいては、電子顕微鏡を用いるため、試料である半導体ウェハを試料室である真空チャンバー内に置く必要がある。試料室の内部にはステージ装置があり、そのステージ装置によってウェハを位置決めする。このことから、試料室自身の温度を極力一定に保つ必要がある。
【0005】
同様に、半導体製造装置等においても、ウェハの位置決めを行う装置等が、わずかな温度変化を起こしても、製造する半導体回路の位置がずれてしまう。よって、ウェハの位置決め等を行う装置等は、温度変化を極力抑えて、高精度に温度を安定化させることが重要である。
【0006】
一方、電子顕微鏡のような電子ビーム(言い換えると荷電粒子ビーム)を利用する装置が組み込まれている半導体検査装置等の荷電粒子ビーム装置の場合、外部から電磁波のノイズが侵入すると、電子ビームの軌道にわずかな変化が生じ、精度悪化の要因となる。このため、荷電粒子ビーム装置では、装置全体(言い換えると本体装置)を、金属のカバー(本体カバーと記載する場合がある)で覆うことで、電磁ノイズの侵入を抑えることが、精度向上のために有効である。
【0007】
また、nmオーダーの精密さを追求する装置においては、音波の侵入によって、音が装置を振動させ、その振動が、撮像等の際にノイズとなる課題も生じる。そのため、装置本体をカバーで覆うことは、装置周囲の他の装置等が発する騒音による音波の侵入を防ぐ役割も持つ。ただし、荷電粒子ビーム装置は、例えば電子顕微鏡やステージ装置等の本体装置を駆動・制御するために、様々な制御機器等を使用しており、本体装置と制御機器等は、セットで1つのシステムとなる。このため、本体カバーの中には、本体装置の他に、多数の制御機器等も含まれる。また、ここでいう制御機器の中には、制御機器等のための電源装置も含まれる。
【0008】
制御機器等においては、電気を利用する上で、エネルギー損失に伴う発熱が生じる。制御機器等の個々の部品の発熱は、部品の周囲に空気の流れがあれば、その空気を介して放熱されるが、荷電粒子ビーム装置全体でみた場合、個々の部品の発熱は、本体カバー内の空気温度上昇をもたらす。そのような空気温度上昇は、半導体ウェハに触れるステージ装置等の熱変形につながり、精度の悪化をもたらす。
【0009】
先行技術例として、特開2022-44860号公報(特許文献1)がある。特許文献1には、半導体処理装置として、外部からの電磁ノイズや騒音の侵入を抑えるとともに、制御機器が発する熱が半導体に対して与える影響を抑制する旨が記載されている。特許文献1には、半導体処理装置は、本体装置と制御装置を覆う本体カバーを備え、本体カバーは半導体を受け渡しするための受け渡し開口を有し、本体カバーはさらに、本体カバー内部において水平方向の気流を生じさせる排気口を有する旨が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2022-44860号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許文献1では、本体カバーの一部に排熱を目的とするファン(排気ファン11)を搭載して装置内の温度を均等に冷却する旨が記載されている。
【0012】
荷電粒子ビーム装置の内部空気温度を一定に保つための方法としては、特許文献1の例のように、本体装置を覆う本体カバーの一部に排熱・冷却を目的とする送風機(ファン等と記載する場合がある)を設けて、装置の排熱を吐き出す方法がある。
【0013】
一方、半導体の微細化に伴い、装置性能が向上することで、装置の排熱量も増加している。そのため、対策の1つとしては、排熱に使用するファンの出力や搭載数の増加が挙げられる。
【0014】
しかしながら、ファンの出力や搭載数の増加は、その分、振動や騒音の増加につながる。それらの振動や騒音を荷電粒子ビーム装置自身が受けることで、精密な動作の妨げになる。例えば、ファンによる振動や騒音を電子顕微鏡やステージ装置が受けることで、ウェハの撮像の動作に影響し、精度や品質が低下するおそれがある。例えば、ファンによる振動の影響で、ステージ装置等との共振を生じた場合、ステージ上のウェハが微小に動くことで、電子顕微鏡が撮像する画像(言い換えるとSEM像)の内容において揺れやノイズが生じる場合がある。
【0015】
そこで、荷電粒子ビーム装置において、ファンによる振動や騒音を低下させつつ、本体カバーで覆われた装置内の温度を一定に保つための技術が必要となる。言い換えると、荷電粒子ビーム装置において、本体カバーで覆われた装置内の温度上昇を防ぐとともに、ファンによる振動や騒音の影響によって装置性能が低下することを防ぐ技術が必要である。
【0016】
本開示の目的は、上記荷電粒子ビーム装置の技術に関して、送風機(ファン)による振動や騒音の影響によって装置性能が低下することを防ぐことができる技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本開示のうち代表的な実施の形態は以下に示す構成を有する。実施の形態の荷電粒子ビーム装置は、本体カバー内に設けられた本体装置と、前記本体カバーに設けられた複数の送風機と、前記複数の送風機を制御するコントローラと、を備え、前記本体装置は、試料が載置されるステージと、前記試料を撮像する顕微鏡と、を有し、前記コントローラは、前記顕微鏡によって前記試料を撮像した画像を取得し、前記画像から振動情報を取得し、前記振動情報と仕様値とを比較し、前記比較の結果に基づいて、前記複数の送風機の回転数を制御する。
【発明の効果】
【0018】
本開示のうち代表的な実施の形態によれば、上記荷電粒子ビーム装置の技術に関して、送風機(ファン)による振動や騒音の影響によって装置性能が低下することを防ぐことができる。上記した以外の課題、構成および効果等については、発明を実施するための形態において示される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施の形態1の荷電粒子ビーム装置の構成を示す図。
図2】実施の形態1で、複数の送風機の構成を示す図。
図3】実施の形態1で、コントローラが複数の送風機を制御する構成を示す図。
図4】実施の形態1で、試料のパターン、および撮像画像の例を示す図。
図5】実施の形態1で、振動情報の例として周波数解析結果情報の例を示す図。
図6】実施の形態1で、振動情報の例として時間波形情報の例を示す図。
図7】実施の形態1で、周波数解析結果情報の模式図。
図8】実施の形態1で、時間波形情報の模式図。
図9】実施の形態1で、コントローラによる基本処理のフロー図。
図10】実施の形態1で、コントローラによる詳細処理のフロー図の前半部。
図11】実施の形態1で、コントローラによる判定についての説明図。
図12】実施の形態1で、コントローラによる詳細処理のフロー図の後半部。
図13】実施の形態1で、複数の送風機の調整前後の状態の例を示す図。
図14】実施の形態1で、送風機の仕様の例を示す図。
図15】実施の形態1で、コントローラのコンピュータシステムとしての構成例を示す図。
図16】実施の形態1で、コントローラに対し外部のクライアント端末装置が接続される構成例、およびGUI画面例を示す図。
図17】実施の形態2の荷電粒子ビーム装置の構成を示す図。
図18】実施の形態2で、コントローラによる処理のフロー図。
図19】実施の形態3で、コントローラによる処理のフロー図。
図20】実施の形態1等の変形例で、コントローラが複数の送風機を制御する構成例を示す図。
図21】実施の形態1等の変形例で、コントローラに対し外部のコンピュータシステムにファン制御機能を有する構成例を示す図。
図22】実施の形態1等の変形例で、試料室やダクトに振動センサを有する構成例、および、ステージに診断用の試料を有する構成例について示す図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら本開示の実施の形態を詳細に説明する。図面において、同一部には原則として同一符号を付し、繰り返しの説明を省略する。図面において、構成要素の表現は、発明の理解を容易にするために、実際の位置、大きさ、形状、範囲等を表していない場合がある。
【0021】
説明上、プログラムによる処理について説明する場合に、プログラムや機能や処理部等を主体として説明する場合があるが、それらについてのハードウェアとしての主体は、プロセッサ、あるいはそのプロセッサ等で構成されるコントローラ、装置、計算機、システム等である。計算機は、プロセッサによって、適宜にメモリや通信インタフェース等の資源を用いながら、メモリ上に読み出されたプログラムに従った処理を実行する。これにより、所定の機能や処理部等が実現される。プロセッサは、例えばCPU/MPUやGPU等の半導体デバイス等で構成される。処理は、ソフトウェアプログラム処理に限らず、専用回路でも実装可能である。専用回路は、FPGA、ASIC、CPLD等が適用可能である。
【0022】
プログラムは、対象計算機に予めデータとしてインストールされていてもよいし、プログラムソースから対象計算機にデータとして配布されてもよい。プログラムソースは、通信網上のプログラム配布サーバでもよいし、非一過性のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体、例えばメモリカードやディスクでもよい。プログラムは、複数のモジュールから構成されてもよい。コンピュータシステムは、複数台の装置によって構成されてもよい。コンピュータシステムは、クライアント・サーバシステム、クラウドコンピューティングシステム、IoTシステム等で構成されてもよい。各種のデータや情報は、例えばテーブルやリスト等の構造で構成されるが、これに限定されない。識別情報、識別子、ID、名前、番号等の表現は互いに置換可能である。
【0023】
[課題および解決手段]
従来の荷電粒子ビーム装置では、本体装置との共振(言い換えると大きな振動)の原因が送風機(ファン)であると判明した場合、単にそのファンを交換する対応をとっていた。その場合、交換されたファンは、故障が無くても、未使用となる。
【0024】
それに対し、実施の形態の荷電粒子ビーム装置では、共振の原因となるファンを交換しなくても、複数のファンの回転数および風量の可変制御によって対応する。実施の形態の荷電粒子ビーム装置では、本体カバーに備える複数のファンは、各ファンについて、回転動作のオン/オフが制御でき、回転数を可変できるタイプのものを用いる。実施の形態の荷電粒子ビーム装置は、複数のファンの状態を確認・診断し、回転数の可変制御を行う機能を有する。
【0025】
実施の形態の荷電粒子ビーム装置は、ファンの制御要否を判定するために、電子顕微鏡により撮像した画像から振動情報を取得する。振動情報は、荷電粒子ビーム装置の振動度合いを表す情報であり、言い換えると、撮像画像の信号値の揺れ等の度合いを表す情報である。実施の形態の荷電粒子ビーム装置は、振動情報を仕様値と比較し、振動情報が仕様値を満たしているかを確認する。荷電粒子ビーム装置は、仕様値を満たしていない場合、言い換えると、撮像画像の揺れ等が大きく、測長等の動作に悪影響を与えると判断された場合、複数のファンの回転数の制御を実行する。
【0026】
具体的には、荷電粒子ビーム装置のコントローラは、回転数の制御の際、複数の送風機のうち、1つ以上の第1送風機の回転数を低下させ、他の1つ以上の第2送風機の回転数を増加させる。また、コントローラは、回転数の制御の際、複数の送風機による総風量が一定以上に確保されるように、複数の送風機についての回転数の制御を行う。
【0027】
また、実施の形態の荷電粒子ビーム装置では、共振の原因となるファンが特定されたが、複数のファンの回転数の可変制御による調整では対応できない場合、言い換えると振動や風量の仕様値を満たせない場合には、共振の原因となるファンを保守・交換するように、ユーザに対し通知の出力をする機能も有する。
【0028】
<実施の形態1>
図1図16を用いて、本開示の実施の形態1の荷電粒子ビーム装置について説明する。実施の形態1の荷電粒子ビーム装置は、後述の図9等に示されるように、コントローラが、撮像画像による振動情報を用いて、複数のファンについて、ファンを原因とする振動(それによる画像揺れ等)の有無を確認し、その結果に基づいて、ファンの回転数を可変して調整するように制御する。
【0029】
[荷電粒子ビーム装置]
図1は、実施の形態1の荷電粒子ビーム装置1である半導体処理装置の全体の構成を示す。実施の形態1では、荷電粒子ビーム装置1である半導体処理装置の本体装置が測長SEMである場合を例に説明する。これに限定されず、本体装置としては、半導体製造装置や半導体検査装置等も同様に適用できる。
【0030】
荷電粒子ビーム装置1は、クリーンルーム内において床12の上に設置されている。荷電粒子ビーム装置1の本体装置は、本体カバー2に覆われている。荷電粒子ビーム装置1は、本体カバー2内に、制御機器5、電源機器7、電子顕微鏡8、試料室9(言い換えると真空チャンバー)、半導体出し入れ装置10等を備える。本体装置は、電子顕微鏡8や試料室9等を含む。試料室9内にはステージ14を有する。本体装置には、制御機器5や電源機器7が電気的に接続されている。制御機器5や電源機器7も本体カバー2に覆われている。言い換えると、本体カバー2によって構成される空間内に、本体装置や制御機器5が設置されている。本体カバー2内の各部は、空気流や熱的影響などを考慮した位置に配置されている。
【0031】
本体カバー2の前面2a側には、受け渡し用開口部13があり、受け渡し用開口部13は半導体出し入れ装置10と接続されている。半導体出し入れ装置10は試料室9と接続されている。試料15である半導体ウェハ15は、装置外部から、受け渡し用開口部13、および半導体出し入れ装置10を通じて、試料室9内に搬入され、ステージ14上に設置される。
【0032】
制御機器5は、図1の例では、複数の制御機器5として有する。制御機器5は、荷電粒子ビーム装置1のコントローラ(図3でのコントローラ100)等を構成する機器である。制御機器5は、駆動および制御の対象である各部と有線ケーブルで接続されている。制御機器5は、電子顕微鏡8、試料室9、ステージ14等の各部の動作を制御する。
【0033】
実施の形態1では、制御機器5、少なくとも1個の制御機器5は、荷電粒子ビーム装置1のコントローラ100(図3)を構成する。コントローラ100は、本体装置の測長SEMとしての機能を制御する。また、実施の形態1では、このコントローラ100は、複数のファン3に関する制御を行う機能(図3でのファン制御機能300)も有する。
【0034】
電源機器7は、制御機器5や他の構成要素の部品に必要な電力を供給する。なお、電源機器7を制御機器5の一部として捉えてもよい。実施の形態1では、本体カバー2内において、背面2b側の近く、下部に電源機器7が配置され、上部に制御機器5が配置されている。これに限定されず、本体カバー2内において構成要素の装置が他の位置に配置されてもよい。
【0035】
電子顕微鏡8は、電子銃、偏向コイル、収束レンズ、検出器などの公知の要素を備えている。電子顕微鏡8は、電子銃から発生した電子ビームである荷電粒子ビームb1を、ステージ14上のウェハ15に対し照射する。この照射に基づいて、ウェハ15面から発生した二次電子や後方散乱電子などの粒子b2は、検出器によって電気信号(言い換えると検出信号)として検出され、その電気信号に基づいて、撮像画像が得られる。
【0036】
ステージ14は、試料台、移動ステージであり、例えば、水平方向や鉛直方向への移動、回転、傾斜などが可能な機構である。ステージ14を含む試料室9などは、床12上に設置されている。試料室9には防振装置などが設けられていてもよい。
【0037】
荷電粒子ビーム装置1は、装置内部、言い換えると本体カバー2内部の制御機器5等から発生した熱を装置外部に排出するための送風機(言い換えると排気ファン、背面排気ファン)3として、複数のファン3を有する。実施の形態1では、複数のファン3は、本体カバー2の背面2bの外側において、上部に設けられたダクト4(言い換えると背面排気ダクト)内に設置されている。詳細は後述の図2に示される。ダクト4は、背面2bの通気孔を介して本体カバー2内部空間と通じている。実施の形態1では、制御機器5の発する熱を効率的に排熱できるように、複数のファン3は、制御機器5の近くに配置されている。
【0038】
測長SEMは、SEMを用いて半導体ウェハの撮像を行い、その撮像した画像から、ウェハに形成されている回路の線幅などの寸法(CD)を測定する機能を有する。図1の荷電粒子ビーム装置1は、コントローラ100による制御に基づいて、電子顕微鏡8によって、ステージ14上のウェハ15を撮像する。コントローラ100は、撮像画像から、回路の寸法を測定し、測定結果を記憶・出力する。荷電粒子ビーム装置1は、このような撮像の動作を行う機能を有する。
【0039】
本体カバー2の中には、電子顕微鏡8やステージ14等を駆動・制御するための様々な制御機器5が設置されている。これらの制御機器5は、消費電力に応じて熱が生じる。その熱を逃がす上では、各制御機器5は、間隔をあけて配置されるのがよい。しかしながら、各制御機器5の間隔を大きく配置する設計とした場合、荷電粒子ビーム装置1が大型化し、クリーンルーム内を占有する敷地面積が増える。クリーンルームは、清浄で、温度・湿度を管理した空気を絶え間なく供給する必要がある。そのため、装置が占有する敷地面積が増えるほど、大きな運転コストがかかる。そのため、荷電粒子ビーム装置1は、できるだけ小型化、高密度実装が求められる。
【0040】
しかしながら、小型化・高密度実装がされるほど、本体カバー2内において熱がこもりやすくなり、その熱による温度上昇が、精密動作の妨げとなる。このことから、荷電粒子ビーム装置1は、小型化・高密度実装と、熱による温度上昇・性能低下の防止との、相反する課題を有する。
【0041】
高密度実装がされた荷電粒子ビーム装置1において、十分な放熱・排気を行うためには、強力な高出力のファン3によって換気することが有効である。しかしながら、荷電粒子ビーム装置1においては、ファン3の振動や騒音による影響も課題となる。ファン3を起因とする振動およびその振動に対応する周波数が、例えば電子顕微鏡8やステージ14等の構成要素の固有振動数による共振周波数と近くなる場合がある。言い換えると、ファン3の羽根の回転動作による振動の回転周波数が、本体装置の固有振動数と同じまたは近くになった場合、振動が増幅されて、共振を起こし、共振周波数を生じる。その場合に、電子顕微鏡8によって撮像した画像(言い換えるとSEM像)には、その共振の振動の影響が、画像内の信号値(例えば回路パターンのエッジの輝度)の揺れやノイズとして現れる。その撮像画像は、揺れやノイズが加わった画像となるので、測長や検査のための画像としては、精度・品質が低下する。
【0042】
また、荷電粒子ビーム装置1の共振周波数は、組立や保守の状態によって多少の機差が生じている可能性がある。これはファン3自体の機差も同様である。よって、荷電粒子ビーム装置1では、本体カバー2内部を複数のファン3によって換気・排気するにあたり、以下のような考慮が必要である。すなわち、荷電粒子ビーム装置1では、排熱量(言い換えると総排気量)を一定以上となるように保ちつつ、荷電粒子ビーム装置1の共振周波数を避けるように、複数のファン3を使用する必要がある。荷電粒子ビーム装置1は、ファン3と本体装置(ステージ14等)との共振による振動が大きくならないように、言い換えると、撮像画像の揺れ等が仕様値以内となるように、複数のファン3を制御する必要がある。
【0043】
実施の形態1の荷電粒子ビーム装置1は、これらの課題を解決するためのハードウェアおよびソフトウェア構成、特にコントローラ100(図3)により複数のファン3の回転数を制御するファン制御機能300を有する。以下に詳細を説明する。
【0044】
実施の形態1では、コントローラ100は、ファン3を起因とする振動と荷電粒子ビーム装置1の本体装置の共振周波数とを遠ざけるように、複数のファン3の回転数の制御を行う。そのために、まず、排熱に使用する複数のファン3は、個々のファン3での単体動作が可能な構成とする。言い換えると、図3の各ファン3は、コントローラ100からの制御に基づいて、回転動作のオン/オフ状態の切り替えが可能な構成とする。コントローラ100は、複数のファン3および個々のファン3の動作を制御する。オン状態は回転動作状態であり、オフ状態は回転動作しない停止状態である。
【0045】
そのうえで、実施の形態1では、コントローラ100は、複数のファン3の全体について、振動の原因と推定されるファン3(第1ファン)の回転数を低下させるとともに、他のファン3(第2ファン)の回転数を増加させるように制御する(後述の図9等)。
【0046】
[ファンの構成]
図2は、図1の複数のファン3についての構成例を示す。図2では、複数のファン3を含むダクト4付近の模式の斜視図を示す。実施の形態1では、複数のファン3として5個のファン3を有する。ファン3の個数は、これに限定されない。図2で、5個のファン3は、ダクト4内において、図示のZ軸方向(上下方向)およびY軸方向(前後方向)の所定の位置において、図示のX軸方向(左右方向)に沿って5個が並んで配置されている。本例では、複数のファン3は、軸がZ軸方向に沿って配置されており、Z軸方向で上から下に排気する。
【0047】
各ファン3は、例えば軸流ファンであるが、これに限定されない。本例では、比較的回転数が小さく、羽根の直径が小さく、大流量の軸流ファンを、複数並べて配置することで、装置小型化、低騒音、十分な流量などを実現する。
【0048】
ファン3の排気作用に基づいて、矢印で示すように、空気流は、Y軸方向で、本体カバー2内の制御機器5側から、通気孔4aを介してダクト4内に入る。そして、その空気流は、Z軸方向で下側に曲がり、ファン3を経由して、下方に進み、ダクト4下部の開口部4bから外部へ排気される。開口部4bは、例えば電磁波の侵入を防止する板としてハニカム構造の孔が設けられた金属板である。
【0049】
図1で電源機器7や制御機器5等の発熱によって暖められた空気は、自然対流によって上側に流れ、背面2bからダクト4内に入り、複数のファン3によって、ダクト4外部に排気される。
【0050】
電子顕微鏡8による撮像時には、試料室9内が高真空状態に制御される。また、ステージ14の移動が制御されることで、対象のウェハ15の撮像対象位置が電子顕微鏡8の撮像視野内に入るように位置決めされる。コントローラ100は、電子顕微鏡8による撮像倍率などの撮像条件も制御する。
【0051】
撮像時の精度を高くするためには、前述のように、ステージ14の熱変形による移動を防止するために、ステージ14を含む試料室9の温度変化を抑え、なるべく一定の温度に保つ必要がある。
【0052】
ファン3の回転動作により生じる音波は、本体カバー2内の空気、空間を伝搬して、本体カバー2内にある構成要素の部品に圧力変動を与え、振動を生じさせる。特に、ファン3の回転数(言い換えると回転速度)、周波数(言い換えると回転周波数)によっては、他の部品との共振が大きくなる場合がある。
【0053】
[他の装置構成]
図1の本体カバー2は、概略的に直方体形状である。本体カバー2内には、空気流の制御のために、仕切り板が設けられてもよい。例えば、図1で制御機器5の前面側には仕切り板2cが設けられている。
【0054】
本体カバー2の前面2aや側面などには、空気の吸気口が設けられてもよい。例えば図1で前面2aに吸気口2d,2eが設けられてもよい。
【0055】
図1の受け渡し用開口部13の前側には、ファンフィルタユニットを備えてもよい。ファンフィルタユニットは、クリーンルーム内の空気を吸い込み、フィルターを通して清浄化した空気を一方向に流す。これにより、受け渡し用開口部13を通じて搬入されるウェハ15は、異物の付着が防止される。
【0056】
変形例では、荷電粒子ビーム装置1は、本体カバー2外に配置されたファン3以外に、別のファンを備えてもよい。例えば、本体カバー2内の制御機器5や電源機器7がそのファンを備えていてもよい。個々の制御機器5は、詳細を限定しないが、ファンなどを含む機構を備えたモジュールとしてもよい。例えば、個々の制御機器5は、直方体形状の筐体内に、集積回路基板などの構成要素が1つ以上配置され、筐体には吸気孔や排気孔、排気ファンが設けられた構成としてもよい。実施の形態1でコントローラ100による特徴的な制御の対象となるファンは、図1での複数のファン3であるが、これに限定されず、他のファンを制御対象に追加してもよい。
【0057】
[コントローラによるファンの制御]
図3は、制御機器5により構成されるコントローラ100(言い換えるとコンピュータシステム)が複数のファン3を制御する構成例についての機能ブロック構成を示す。コントローラ100は、プロセッサ等の処理(後述の図15)によって実現されるファン制御機能300を有する。
【0058】
コントローラ100と複数のファン3は、信号線などで電気的に接続され、有線または無線の通信で接続されてもよい。各ファン3には、通信インタフェースや駆動回路を含む集積回路基板などを備えてもよい。
【0059】
コントローラ100は、各ファン3に制御信号を与え、各ファン3は、その制御信号に従って動作する。制御信号は、例えば、ファン3の回転動作のオン/オフを指示する信号や、回転数を指示する信号などがある。
【0060】
図3の例では、5個のファン3は、識別・管理のために、ファン#1~#5とする。コントローラ100は、各ファン3のIDや仕様や位置などもデータ管理する。ファン3について、回転数をRで表すとする。回転周波数をFで表すとする。風量をQで表すとする。本例では、各ファン3(#1~#5)について、回転数R1~R5とし、回転周波数F1~F5とし、風量Q1~Q5とする。
【0061】
実施の形態1では、複数(5個)のファン3は、同じ型式、同じ仕様、同じ機能や性能を有する製品を使用するが、これに限定されない。変形例では、異なる型式や仕様などのファン3を混在して使用してもよい。その場合、コントローラ100は、各ファン3の異なる仕様などをデータ管理する。
【0062】
実施の形態1では、複数のファン3の各ファン3は、回転数可変タイプ(後述の図14)であり、仕様に応じて、所定の回転数Rの範囲(最小回転数から最大回転数まで)内での指定された回転数での回転動作が可能である。例えば、ファン#1は、回転数範囲をR1min~R1maxとすると、回転数R1は、R1min≦R1≦R1maxである。実施の形態1では、回転数可変タイプは、回転数範囲内で連続的に回転数を可変できるタイプであるが、これに限定されない。変形例では、ファン3の回転数は、動作可能な特定の複数の回転数が例えば段階的に定められているタイプのものでもよい。
【0063】
図3で、コントローラ100は、機能ブロックとして、撮像画像取得302では、電子顕微鏡8からの検出信号に基づいて撮像画像301を取得する。コントローラ100は、振動情報生成303では、撮像画像301から、振動情報304を生成する。コントローラ100は、振幅と仕様値との比較、判定305では、振動情報304から得られる例えば振幅と、振幅に関する仕様値306とを比較し、判定結果307を得る。コントローラ100は、複数のファンの回転数の調整308では、判定結果307に基づいて、複数のファン3の回転数を増減して調整する。
【0064】
[撮像画像および振動情報]
荷電粒子ビーム装置1において、なんらかの振動が原因で、電子顕微鏡8の撮像画像に揺れ等が発生する場合がある。
【0065】
図4は、なんらかの振動が原因で、電子顕微鏡8の撮像画像に揺れ等が発生した場合の画像の例を模式で示している。図4の(A)は、ウェハ15のパターンの例として、ウェハ面における複数の円形のホール(孔)を有するホールパターンを示す。図4の(B)の画像は、(A)のようなホールパターンを対象に、電子顕微鏡8によってトップビューで撮像した画像の例である。なお、実際の画像では、多階調で、背景部分が暗く黒色となり、ホールのエッジの部分が明るく白色となるが、図面では、二値で、背景を白、ホールのエッジを黒として、模式で図示している。
【0066】
荷電粒子ビーム装置1は、装置の振動を検出・解析等するために、所定のパターンを有する試料15を用いる。所定のパターンとしては、例えばX軸・Y軸の2軸の方向でのそれぞれの振動を検出できるように、例えば(A)のようなホールパターンを用いることができる。これに限らず、振動検出用の所定のパターンは、ラインパターンや他の形状のパターンを用いることもできる。
【0067】
図5は、電子顕微鏡8による撮像画像に揺れ等が発生した場合の振動情報の例を示す。
図5の振動情報は、例えば図4の(B)のような撮像画像に基づいて処理によって取得できる情報である。図5の振動情報の例は、図4の画像の周波数解析結果情報である。図5のグラフは、横軸が周波数、縦軸が振幅であり、平均値501と最大値502がプロットされている。
【0068】
また、図6の振動情報は、同じく図4の(B)のような撮像画像に基づいて処理によって取得できる情報である。図6の振動情報の例は、図4の画像の所定の位置(例えばホールパターンのエッジ)での時間波形情報である。図6のグラフは、横軸が時間、縦軸が所定の位置(例えばホールパターンのエッジ)であり、ハーモニクス601とエッジ602がプロットされている。
【0069】
図7の振動情報は、説明しやすいように模式化した振動情報として周波数解析結果情報の例を示す。図7の振動情報は、ファン3の動作を一定とした時に、電子顕微鏡8を用いてウェハ15のパターンを撮像した撮像画像情報から取得された周波数解析結果情報である。この振動情報では、周波数特性として、特定の周波数f[Hz]で、振幅が著しく増加している。周波数fでの振幅は、仕様値αを超えている。仕様値αは、荷電粒子ビーム装置における振幅の仕様値の設定例である。
【0070】
ここでの仕様値αは、ウェハ15に形成された回路の線幅などの測定結果を悪化させる振幅である。言い換えると、仕様値αは、図4の(B)のような画像揺れが測長に与える悪影響がある度合いを超えることをNGとした場合に対応して設定された、振動による振幅についての閾値である。振動情報における振幅が仕様値αを超える場合、振動度合いが大きく、測定結果などを悪化させるので、望ましくない。振幅が仕様値α以下である場合、振動度合いが小さく、測定結果などが許容範囲内となることを意味する。
【0071】
また、図8の振動情報は、説明しやすいように模式化した振動情報として時間波形情報の例を示す。図8の振動情報は、同様に、ファン3の動作を一定とした時に、電子顕微鏡8を用いてウェハ15のパターンを撮像した撮像画像情報から取得された時間波形情報である。この振動情報は、横軸が時間、縦軸が所定の位置(例えばエッジ)の振幅を示す。仕様値±βは、所定の位置(例えばエッジ)についての振幅の仕様値の設定例である。振幅が仕様値±βを超える場合、振動度合いが大きく、測定結果などを悪化させるので、望ましくない。
【0072】
図4の(B)のような撮像画像に揺れとして現れる装置の振動の原因を判定・解析するために、1つの方法としては、図5図7のような振動情報を用いた、周波数帯での振幅の判断が挙げられる。他の1つの方法としては、図6図8のような振動情報を用いた、時間波形での振幅の判断が挙げられる。実施の形態1では、いずれの方法も適用可能である。
【0073】
図3で、ファン3は、回転数Rと羽枚数などの仕様から、ファン3の回転周波数Fが算出可能である。コントローラ100は、各ファン3の回転数R(R1~R5)等の情報から、各ファン3の回転周波数F(F1~F5)を算出する。
【0074】
ファン3の動作状態によっては、ファン3の回転周波数F付近で、振動情報での振幅が仕様値外(上記仕様値αやβを超える状態)になる場合がある。言い換えると、振動情報での振幅が仕様を満たさない状態になる場合がある。その場合には、ファン3と荷電粒子ビーム装置の構成要素の装置(例えばステージ14等)とが共振していると考えられる。言い換えると、それらの共振の度合いが大きく、ファン3を起因とする振動が撮像画像に揺れ等として現れていると考えられる。
【0075】
図7図8の例のように、例えばファン3の動作時の撮像画像から得た振動情報における振幅が仕様値を超えている場合、ファン3が原因の振動が生じている可能性が考えられる。言い換えると、ファン3が原因の振動とステージ14等の装置との共振の影響によって、撮像画像での揺れ等が生じている可能性がある。また、例えばファン3の動作時の振動情報での振幅に対し、ファン3の停止時の撮像画像から得た振動情報での振幅が、低減される場合がある。この低減の場合も、ファン3が原因の振動が生じていると考えられる。
【0076】
ファン3の回転動作の回転周波数Fと、ステージ14等の装置とが、共振等を起こしている場合、その共振等の振動の影響によって、撮像画像の信号値に揺れが発生する場合がある。図4の(B)の画像の例では、そのような振動の影響によって、ホールパターンの円形のエッジを捉える輝度などの信号値は、図示のx軸方向およびy軸方向の各方向に、揺れ、ズレを生じている。
【0077】
図3のコントローラ100は、上記のような撮像画像による振動情報の解析に基づいて、ファン3を原因とする振動、その振動による撮像画像の揺れへの影響から、複数のファン3の回転数の制御の要否を判定する。
【0078】
[ファン回転数制御]
コントローラ100は、上記撮像画像および振動情報の解析に基づいて、ファン3が振動の原因であると推定した場合、以下のように、複数のファン3の回転数の可変制御による調整を行う。
【0079】
まず、比較例の荷電粒子ビーム装置として、回転数が異なる複数のファンを備える構成の場合に、使用する回転数のファンを選択して制御することで、ファンとステージ等の装置との共振周波数による大きな振動を避けることも可能である。
【0080】
しかしながら、そのような比較例では、荷電粒子ビーム装置、特に構成要素のステージ等の装置や、ファンの機差によって、共振周波数が近くなる可能性があり、荷電粒子ビーム装置ごとに適切な回転数のファンを選定する必要がある。機差およびファンの回転数の仕様によっては、共振周波数が避けられない場合がある。
【0081】
それに対し、実施の形態1では、複数のファン3を回転数可変タイプとし、コントローラ100は、複数のファン3を、全体または個別ごとに、回転動作させた状態または停止させた状態で、回転数に応じた振動の度合い等に関する確認・診断・チェックを行う(後述の図9図10図12)。これにより、実施の形態1では、荷電粒子ビーム装置1およびファン3の機差による共振周波数の変化に対しても、ファン回転数制御による対応が可能になる。
【0082】
また、ファン3の回転数Rは、荷電粒子ビーム装置1の排熱に必要な排気風量の仕様値を満たすように動作させる必要がある。共振による大きな振動を回避するために、ファン3の回転数Rを低下させた場合に、必要な排気風量が満たせなくことは、望ましくない。そのため、実施の形態1では、コントローラ100は、複数のファン3の回転数Rを調整する際には、複数のファン3の全体での風量が、必要な排気風量の仕様値を満たすように、各ファン3の回転数Rを決定する。
【0083】
上記撮像画像から振動情報(例えば周波数解析結果情報または時間波形情報)を取得する方法としては、ファン3を回転動作させたオン状態で振動情報を取得する方法がある。他の方法としては、ファン3の回転動作を停止させたオフ状態で振動情報を取得する方法がある。実施の形態1では、いずれの方法を適用してもよく、両方の方法を組み合わせて適用してもよい。例えば後述の図10のフローでは、荷電粒子ビーム装置1のコントローラ100(図3)は、複数のファン3をすべて動作させた状態で、撮像した画像から、振動情報を取得し、また、複数のファン3をすべて停止させた状態で、撮像した画像から、振動情報を取得する。コントローラ100は、それらのそれぞれの振動情報を解析し(例えば振幅と仕様値の比較)、また、それらの振動情報の解析結果を比較する。
【0084】
[ファン制御:基本フロー]
図9は、実施の形態1の荷電粒子ビーム装置1でのコントローラ100による複数のファン3の制御の基本処理例のフローを示す。本フローは、ステップS1~S6を有する。
【0085】
ステップS1で、コントローラ100は、所定のタイミングで、例えば荷電粒子ビーム装置1の起動時などの定められたタイミングで、あるいは保守作業時などの任意のタイミングで、以下の診断や調整を開始する。なお、荷電粒子ビーム装置1の制御上で、当該診断などを行う専用のモード(例えば診断モード)を設けて、コントローラ100が通常稼働モードと当該診断モードとの切り替えを制御するようにしてもよい。
【0086】
ステップS2で、コントローラ100は、複数のファン3について、各ファン3の回転動作のオン/オフ状態を制御しながら、電子顕微鏡8による撮像画像に基づいた振動情報を取得する。そして、コントローラ100は、振動情報を解析することで、具体的には振幅と仕様値とを比較することで、画像揺れに影響する振動の原因となるファン3の有無などを判断し、ファン3の回転数制御の要否を判定する。詳細は後述する。概要としては、振動情報における振幅が仕様値を超える場合には、画像揺れによる測長への悪影響が大きいためNGであり、ファン制御が必要と判定される。また、コントローラ100は、複数のファン3のうち、振動の原因と推定される一部のファン3を特定してもよい。
【0087】
振動の原因と推定されたファン3を原因ファン(第1ファン)と記載する場合がある。振動の原因と推定されたファン3以外のファン3を、他のファン(第2ファン)と記載する場合がある。第1ファンは、2台以上があってもよい。第2ファンは、2台以上があってもよい。
【0088】
ステップS3は、ステップS2の判定結果に応じた分岐である。ステップS3で、ファン制御が要となった場合(YES)にはステップS4へ進み、否となった場合(NO)にはステップS6へ進む。
【0089】
ステップS4で、コントローラ100は、共振周波数を避けるように、言い換えると、振幅が仕様値を超えてしまう回転周波数となることを避けるように、振動の原因となるファン3(第1ファン)の回転数Rを調整する。回転数Rの調整は、回転数Rに対応した回転周波数Fの調整に相当する。また、実施の形態1で、第1ファンの回転数Rの調整は、具体例として、回転数Rの低下である。
【0090】
ステップS5で、コントローラ100は、荷電粒子ビーム装置1での所定の風量(前述の必要排気風量の仕様値)を確保するように、上記原因となるファン3(第1ファン)の回転数を低減した分、他のファン3(第2ファン)の回転数Rを調整する。実施の形態1で、第2ファンの回転数Rの調整は、具体例として、回転数Rの増加である。
【0091】
ステップS6で、コントローラ100は、上記診断や調整を終了し、通常稼働モードに戻る。図9のフローは、所定のタイミングごとに同様に繰り返される。
【0092】
上記コントローラ100によるファン3の制御において、撮像画像からどのような形式の振動情報(例えば図7図8)を生成するかの方法や、振動情報からどのようなパラメータ(例えば振幅)を仕様値と比較するかの方法については、コントローラ100を含むシステムにおいて予め設計・設定しておくことができる。あるいは、コントローラ100のファン制御機能300において、複数の方法が実装されてもよく、ユーザ設定で複数の方法から使用する方法を選択できるようにしてもよい。
【0093】
[ファン制御:詳細フロー]
図10および図12は、実施の形態1でのコントローラ100によるファン3の制御の詳細処理例のフローを示す。図10および図12のフローは、図9をベースとした、より詳細な処理例となっている。図10は前半部、図12は後半部である。
【0094】
図10のステップS11で、コントローラ100は、所定のタイミングで以下の診断・調整を開始する。本例では、所定のタイミングとして、例えば1日1回など、荷電粒子ビーム装置1の起動時に診断を行うとする。
【0095】
ステップS12で、コントローラ100は、まず、複数のファン3のすべてのファン3の回転動作が停止したオフ状態で、診断用に、電子顕微鏡8によってウェハ15のパターン(例えば図4のホールパターン)を撮像させて撮像画像情報を取得する。そして、コントローラ100は、その撮像画像情報から、所定の形式の振動情報、例えば周波数解析結果情報を取得する。コントローラ100は、その周波数解析結果情報を調べて、例えば振幅と仕様値とを比較し、振幅が仕様値(例えば図7でのα)を超えるかどうかを判断する。
【0096】
続いて、ステップS13で、コントローラ100は、同様に、複数のファン3のすべてのファン3の回転動作をさせたオン状態(通常稼働状態として、一定値である回転数Rおよび回転周波数Fとする状態)として、診断用に、電子顕微鏡8によってステップS12の時と同じウェハ15の同じパターンを撮像させて撮像画像情報を取得する。そして、コントローラ100は、その撮像画像情報から、同じ形式の振動情報、例えば周波数解析結果情報を取得する。コントローラ100は、その周波数解析結果情報を調べて、例えば振幅と仕様値とを比較し、振幅が仕様値を超えるかどうかを判断する。
【0097】
なお、上記ステップS12,S13の処理例では、装置起動時であるため、複数のファン3を、全停止、全動作の順序で調べたが、これに限定されない。変形例では、例えば通常稼働時の途中に診断を行う場合等に、上記ステップS12,S13の処理の順序を逆にして実行してもよい。
【0098】
ステップS14で、コントローラ100は、上記ステップS12およびステップS13の判断結果に基づいて、ファン3を原因とする振動による画像揺れが生じているかどうかを判断する。言い換えると、コントローラ100は、振幅が仕様値を超えるような画像揺れに影響する振動の原因が、荷電粒子ビーム装置1のどこにあるかについて、特に、ファン3が原因か、ファン3以外の構成要素の装置(電子顕微鏡8やステージ14等)が原因かについて、原因の切り分けを行う。この処理の一例は図11で示す。
【0099】
ステップS15で、コントローラ100は、ステップS14の判断結果に基づいて、例えば図11のような判断に基づいて、ファン3を原因とする振動による画像揺れがある場合(YES)には、図12のステップS16へ進み、ファン3以外が原因である場合(NO)には、ステップS19へ進む。
【0100】
図11は、ステップS14の振動原因判定に関する場合分け等を示す。図11の(A)の表では、ステップS12のような全ファン停止状態時と、ステップS13のような全ファン動作状態時との2行と、画像揺れの有無の2列と、の組み合わせによる4通りのケース(ケースA~Dとする)を示している。画像揺れ無しは、振幅≦仕様値の場合であり、画像揺れ有りは、振幅>仕様値の場合である。
【0101】
ケースAは、全ファン停止状態で、画像揺れ無しの場合であり、測長に関してOK(許容範囲内)である。ケースBは、全ファン停止状態で、画像揺れ有りの場合であり、測長に関してNG(悪影響あり)である。ケースCは、全ファン動作状態で、画像揺れ無しの場合であり、測長に関してOK(許容範囲内)である。ケースDは、全ファン動作状態で、画像揺れ有りの場合であり、測長に関してNG(悪影響あり)である。
【0102】
図11の(B)の表は、(A)のケースの組み合わせに応じた、原因推定、およびファン制御要否判定を示している。ステップS12,S13のように全ファン停止状態と全ファン動作状態とで診断情報を調べた結果、表のような組み合わせが生じる。
【0103】
例えば、ケースAからケースCになった場合、いずれもOKであったため、振動原因は無いと判定され、ファン3の制御が不要と判定される。例えば、ケースAからケースDになった場合、全ファン停止時のOKから全ファン動作時のNGに変わっているため、ファン3が振動(それに対応する画像揺れ)の原因と推定される。よって、この場合は、ファン3の制御が要と判定される。
【0104】
例えば、ケースBからケースCになった場合や、ケースBからケースDになった場合には、全ファン停止時にNGであったため、振動原因はファン以外の構成要素と判定され、ファン3の制御が不要と判定される。なお、コントローラ100は、全ファン停止状態時にケースBのNGとなった場合、全ファン動作状態を調べるまでもなく、ファン3以外が原因と判定してもよい。
【0105】
図11の原因判定例は、複数のファン3の全体で、ファン3が原因か、ファン3以外の構成要素が原因かの切り分けの例であり、より詳細な個別のファン3の原因推定については後述する。
【0106】
図10に戻り、ファン3以外が原因としてステップS19に進んだ場合では、コントローラ100は、複数のファン3の動作状態を、通常稼働時のようにすべてのファン3の回転動作を行う状態(ステップS13と同じ)に戻すように設定する。そして、コントローラ100は、ユーザに対し、ファン3についての現在の状態を通知する出力を行う。例えば、コントローラ100は、ファン3以外の原因で振動(それに対応する画像揺れ)が生じている状態である旨、ファン制御機能300による回転数の調整を行わない旨、ファン3自体の交換は不要である旨などを、ユーザに通知する。通知は、画面表示でもよいし、音声出力でもよいし、ランプ発光やメール送付等でもよい。ユーザは、受けた通知によって現在の状態を確認できる。ステップS19の後、本フローが終了となる。
【0107】
ステップS15の結果、ファン3が原因である場合(YES)、振動の主な原因となっている個別の原因ファンを特定する必要がある。図12のステップS16では、コントローラ100は、振動の主な原因となっている個別のファン3(個別原因ファンとする)を特定する。具体的に、ステップS16は、ステップS61~S63を有する。
【0108】
ステップS61では、コントローラ100は、順次に、単一のファン3のみを回転動作させたオン状態にして、同様に、撮像画像から振動情報を取得して確認する。例えば、最初は、図3のファン#1のみが回転動作状態(オン状態)、他のファン#2~#5が停止状態(オフ状態)とされて、撮像がされる。次には、ファン#2のみがオン状態で撮像がされ、同様に、ファン#3のみがオン状態での画像、ファン#4のみがオン状態での画像、ファン#5のみがオン状態での画像が得られる。
【0109】
ステップS62では、コントローラ100は、ステップS61で得た各状態での撮像画像の振動情報に基づいて、振幅が仕様値を超えるという条件に該当するファン3を、原因となる個別のファン3(個別原因ファン)として特定する。ステップS61,S62のような処理動作を複数のファン3の個数だけ同様に実行することで、1つ以上の個別原因ファン3をすべて特定できる。個別原因ファンが特定された後、ステップS63で、コントローラ100は、一旦すべてのファン3を停止状態にする。
【0110】
ステップS16での個別原因ファンの特定に用いる振幅および仕様値のパラメータとしては、前述の図7等の例に限らずに、以下も適用可能である。すなわち、当該パラメータとしては、荷電粒子ビーム装置1で使用しているファン3の回転周波数Fや、ファン3が原因で振動する可能性がある所定の構成要素の部品の固有振動数や、予め取得された画像データから算出された振動数のうち、いずれか1つもしくは2つ以上を用いてもよい。
【0111】
ステップS16での個別原因ファンの特定の際には、ステップS61の方法に限らずに、複数のファン3のうち単一のファン3のみを停止し、他のファン3を動作させた状態として、撮像画像の振動情報を確認してもよい。
【0112】
次に、ステップS17で、コントローラ100は、上記個別原因ファンとして特定されたファン3について、回転数Rを低下させることで、荷電粒子ビーム装置1の構成要素の装置(例えばステージ14など)との共振周波数を回避する。言い換えると、コントローラ100は、個別原因ファンの回転周波数Rを低下させることで、振幅が仕様値を超えるような大きな振動を回避する。具体的に、ステップS17は、ステップS71~S72を有する。
【0113】
ステップS71では、コントローラ100は、個別原因ファン(例えばファン#1とする)について、回転数Rを、ためしに一定値(例えば一定の変化量として5%)低下させて動作させ、撮像画像から振動情報を取得する。この際の一定値(あるいは一定の変化量)は、制御上の設定値であり、率に限らなくてもよい。
【0114】
ステップS72で、コントローラ100は、その振動情報を確認し、振幅が仕様値以下に収まっているかを確認する。収まっていない場合(NO)には、ステップS71に戻り、コントローラ100は、個別原因ファン(例えばファン#1)について、同様に、回転数Rをさらに一定値(例えば5%)低下させて動作させ、撮像画像から振動情報を取得し、ステップS72で同様に振幅が仕様値以下に収まっているかを確認する。コントローラ100は、ステップS71,S72の処理を同様に繰り返して、振幅が仕様値以下に収まる状態になるまで、個別原因ファンの回転数Rを低下させる。
【0115】
なお、ステップS17で、個別原因ファンの回転数Rを低下させる際には、仕様上の回転数範囲の他に、回転数Rを可変させる際の制限・条件を設定しておいて、用いてもよい。例えば、個別原因ファンの回転数Rを低下させる際の変化量として、後述の送風機の法則に基づいて、-20%まで低下させることが許容されるようにしてもよい。あるいは、回転数範囲内での上限値・下限値を用いてもよい。
【0116】
また、ステップS16の結果で個別原因ファンが2つ以上ある場合には、コントローラ100は、それぞれの個別原因ファンについて、同様に回転数Rを低下させる。例えば、同じ仕様の2つの個別原因ファンがある場合、それらの回転数Rの低下の量は同じにする。
【0117】
次に、ステップS18で、コントローラ100は、荷電粒子ビーム装置1の仕様での所定の風量(必要排気風量の仕様値)以上を確保するように、上記個別原因ファン(第1ファン)の回転数Rを低下させた分、他のファン3(第2ファン)の回転数Rを増加させるように調整する。具体的に、ステップS18は、ステップS81~S82を有する。
【0118】
ステップS81で、コントローラ100は、1つ以上の個別原因ファン(第1ファン)のトータルでの回転数Rの低下量の分、1つ以上の他のファン3(第2ファン)の回転数を増加させた状態として、撮像画像から振動情報を取得する。回転数可変後のすべての複数のファン3によるトータルの風量は、回転数可変前の荷電粒子ビーム装置1の仕様での風量の値と同じ、もしくはそれ以上となるように決定される。可変前後で総風量を同じにするように調整すると好ましいが、難しい場合には総風量が必要排気風量を少し超えてもよい。
【0119】
ステップS82で、コントローラ100は、調整後における撮像画像からの振動情報を確認し、振幅が仕様値以下に収まっているかを確認する。振幅が仕様値に収まっている場合(YES)には、ファン制御機能300による調整が成功ということを意味し、本フローが終了となる。収まらない場合(NO)には、ステップS20に進む。
【0120】
なお、ステップS81の際、他のファン3(第2ファン)の回転数の増加のさせ方については、第2ファンに該当する2つ以上のファン3がある場合に、それらの全部のファン3の回転数Rを同じ量で分担して増加させることが1つの方法であるが、これに限定されない。他の方法としては、第2ファンに該当する2つ以上のファン3がある場合に、それらのうち一部のファン3のみについて回転数Rを増加させる方法を用いてもよい。トータルでの風量が一定以上に確保できれば、どの方法を用いてもよい。
【0121】
また、図12では、ステップS17とステップS18とを順に行う場合を説明したが、これに限定されない。例えば、原因ファン(第1ファン)の回転数を一定量低下させるとともに他のファン(第2ファン)の回転数を一定量上昇させるように、組で制御して、撮像画像から振動情報を確認する方法を適用してもよい。
【0122】
ステップS20では、コントローラ100は、複数のファン3の動作を通常稼働時の回転動作状態に戻すように設定し、ユーザに対しファン3についての現在の状態を通知する出力を行う。例えば、コントローラ100は、ファン3が原因で振動(それによる画像揺れ)が生じている状態である旨、本ファン制御機能による回転数の調整を行わない旨、ファン3自体の交換を推奨する旨などを、ユーザに通知する。ステップS20の後、本フローが終了となる。
【0123】
上記フローのように、実施の形態1では、振動の原因と推定されるファン3の回転数を低下させることで荷電粒子ビーム装置1側の共振周波数を回避すると共に、それ以外のファン3の回転数を増加させることで、荷電粒子ビーム装置1の排気風量を一定以上にする。これにより、ファン3の振動の影響によって撮像画像内に現れる揺れを抑えるとともに、本体カバー2内の温度を安定させることができる。
【0124】
[ファン回転数制御の詳細]
図12のステップS17およびS18でのファン回転数制御の詳細処理例について説明する。ステップS17,S18では、コントローラ100は、送風機の法則に従った下記の条件式を満たすように、複数のファン3の回転数Rの制御・調整を行う。
【0125】
ファン3の回転数Rと風量Qとの関係に関する条件式は以下の通りである。
条件式1: Qall=Q1+Q2+……+Qn=AV1 (例:n=5)
条件式2: Qn’=Rn’/Rn×Qn (0.8Rn≦Rn’≦1.2Rn)
【0126】
条件式1は、荷電粒子ビーム装置1の総排気風量を一定(必要排気風量AV1とも記載する)にするために、各ファン3の風量(Q1~Qn)の総和(全風量:Qall)を一定(AV1)にすることを表している。一方、実施の形態1での可変制御対象パラメータは、ファン3の回転数Rである。
【0127】
条件式2は、送風機の法則に基づいて、ファン3の回転数Rと風量Qとの比例関係を表している。Rnは可変前の回転数、Rn’は可変後の回転数、Qnは可変前の風量、Qn’は可変後の風量である。公知の送風機の法則は、ファンの回転数を変化させる量が±20%以内である場合に、ファンの特性は、以下のように比例法則に従って変化するという法則である。1.風量は回転数に比例する。2.風圧は回転数の2乗に比例する。3.軸動力は回転数の3乗に比例する。4.ファンの速度、風量が一定のとき、風圧と動力は、空気の密度に比例する。
【0128】
コントローラ100は、条件式2を満たす範囲内で、複数のファン3の各ファン3の回転数Rを可変して調整する。コントローラ100は、条件式1を満たす範囲内で、各ファン3の回転数Rを決定する。コントローラ100は、条件式1および条件式2を満たす範囲内で、振動情報の振幅が仕様値以下に収まるように調整する。
【0129】
なお、条件式1および条件式2を満たす範囲内の制御でも、振動情報の振幅が仕様値以下に収まらない場合には、本ファン制御機能300ではファン3を原因とする振動の影響による画像揺れを十分に低減できないという結果を意味する。そのため、前述のステップS20のように、コントローラ100は、例えばファン3の交換を推奨する旨を通知する。
【0130】
図13は、上記条件式に従った、ファン3の回転数Rおよび風量Qの調整についての説明図を示す。例として、(a)は、調整前の複数のファン3(#1~#5)の状態を示し、(b)は、調整後の複数のファン3(#1~#5)の状態を示す。調整前では、各ファン#1~#5の回転数R1~R5は同じ回転数RAであり、各風量Q1~Q5は同じ風量QAである。回転数RAおよび風量QAは、通常稼働時の一定値である。Qall=Q1+……+Q5=QA×5=AV1である。
【0131】
調整後では、例えばファン#1が振動の個別原因ファン(第1ファン)と推定された場合に、ファン#1の回転数R1(RA)が回転数RBに低下されている。回転数RBは、調整後の低下した値である(RB<RA)。対応して、風量QBは、調整後の減少した値である(QB<QA)。また、ファン#1以外のファン#2~#5(第2ファン)については、例えば、それぞれ、回転数R2~R5(RA)が回転数RCに増加されている。回転数RCは、調整後の増加した値である(RC>RA)。対応して、風量QCは、調整後の増加した値である(QC>QA)。回転数Rの低下の変化量をX%とした場合、RB=RA×(100-X%)であり、回転数Rの増加の変化量をY%とした場合、RC=RA×(100+Y%)である。
【0132】
例えば、ファン#1の回転数R1(RA)を20%減少させた場合(X=20%)、他のファンであるファン#2~#5の回転数R2~R5(RA)をトータルで20%増加させる(Y=5%)。各ファン3の回転数Rの変化に応じて各ファン3の風量Qが変化するが、調整前後で全風量Qallが一定(AV1)となるようにされる。Qall=QA×5=QB+QC×4=AV1。
【0133】
(c)は、調整の別の例を示す。(c)の調整後の例では、例えばファン#1が振動の個別原因ファン(第1ファン)と推定された場合に、ファン#1の回転数R1(RA)が回転数RBに低下されている。また、ファン#1以外のファン#2~#5(第2ファン)については、1個のファンのみ、例えばファン#2のみが選択され、ファン#2の回転数R2(RA)が回転数RDに増加されている。回転数RDは、調整後の増加した値である(RD>RA)。対応して、風量QDは、調整後の増加した値である(QD>QA)。ファン#3~#5については、調整前と同じとされている。調整前後で全風量Qallが一定(AV1)となるようにされる。Qall=QB+QD+QA×3=AV1。
【0134】
なお、図12ではステップS17で一定値(%)ずつ回転数Rを可変させることで調整する例を示したが、これに限定されず、コントローラ100は、上記のような計算に基づいて、調整後の回転数Rおよび風量Qを算出・決定してもよい。
【0135】
[ファンのタイプについて]
荷電粒子ビーム装置1に備えるファン3として、回転数固定タイプのファンと、回転数可変タイプのファンとについて説明する。図14は、ファン3のタイプについての説明図を示す。実施の形態1では、図1の荷電粒子ビーム装置1に備える複数のファン3として5個のファン3は、同じ型式、仕様等を有し、回転数Rを所定の範囲内で連続的に可変できる回転数可変タイプを適用した。
【0136】
図14の表は、いくつかの型式のファン3(ここではファンA,B,Cとする)についての仕様を模式で図示している。この表では、ファン3の仕様値として、型式、回転数タイプ、回転数、電流、回転速度、回転周波数、最大風量、最大静圧、騒音レベル、使用周囲温度、寿命(耐用年数)などがある。本例では、ファンA,Bは回転数固定タイプであり、ファンCは回転数可変タイプである。
【0137】
荷電粒子ビーム装置1のファン3の構成について、ファン3の振動・騒音によるSEM像への影響(例えば前述の図4のような画像揺れ)を抑制するための対策の1つとしては、具備するファン3の回転数を低減させたタイプに変更し、ファン3の振動を低減させることが挙げられる。例えば、回転数固定タイプにおけるタイプAからタイプBへの変更が挙げられる。この変更では、回転数:Ra>Rb、騒音レベル:La>Lbである。
【0138】
また、ファン回転数Rを低減すると、ファン風量Qも低減するので、荷電粒子ビーム装置1の風量(必要排気風量AV1)を確保するためには、具備するファン3(例えばファンB)の個数を増加させることが、対策の1つである。しかしながら、具備するファン3の個数を増加させることは、荷電粒子ビーム装置1の大型化などにつながり、望ましくない。
【0139】
また、変更後のタイプBにおいても、ファン3の回転周波数Fbが、荷電粒子ビーム装置1の構成要素の装置(例えばステージ14等)の固有振動数に近くなり、共振が発生して振動が大きくなる可能性もある。
【0140】
そこで、そのような共振が発生し得る場合でも、対応ができるように、実施の形態1では、タイプCのように、回転数可変タイプのファン3を適用する。そして、実施の形態1では、前述のような、撮像画像の振動情報に基づいた複数のファン3の回転数可変制御を行うことで、共振の回避とともに、総風量の確保を実現する。これにより、ファン3に起因する振動の影響による画像揺れを防止/低減でき、高精度の撮像・検査等が可能となる。
【0141】
また、実施の形態1では、回転数可変タイプの複数のファン3を制御して、振動情報の振幅が仕様値以内に収まるかを確認することで、荷電粒子ビーム装置1およびファン3の機差・ばらつきによる振動の影響に対しても対応可能となる。
【0142】
また、従来では、騒音や画像揺れが発生したあとに、ファンの交換が検討され、ファンを交換する場合には、荷電粒子ビーム装置全体を停止させてから、作業者によるファンの交換作業が必要である。それに対し、実施の形態1では、荷電粒子ビーム装置1の通常稼働時あるいは任意の保守・点検時などに、コントローラ100によって、回転数可変タイプのファン3に対し、撮像画像の振動情報に基づいて画像揺れへの影響や原因ファンを診断・チェックする。そして、実施の形態1では、原因ファンと他のファンに対する回転数調整を自動的に実行でき、これにより、画像揺れを防止・低減できる。そのため、交換部品コストを低減でき、人による作業を低減でき、荷電粒子ビーム装置1に対するリモートでの保守・交換対応も可能となる。
【0143】
[コンピュータシステム]
図15は、図3のコントローラ100のコンピュータシステムとしての構成例を示す。図15のコンピュータシステムは、コンピュータ1000と、コンピュータ1000に外部接続される入力装置1005および出力装置1006と、コンピュータ1000に対し通信網1020を介して接続されるクライアント端末装置1030とを有する。管理者などのユーザU1は、このコンピュータシステムを管理、操作する。ユーザU1は、入力装置1005および出力装置1006、またはクライアント端末装置1030を操作することで、このコンピュータシステムの機能を利用する。
【0144】
コンピュータ1000は、プロセッサ1001、メモリ1002、通信インタフェース装置1003、入出力インタフェース装置1004等を備え、それらはバス等を介して相互に接続されている。プロセッサ1001は、例えばCPU、ROM、RAM等で構成される。メモリ1002は、不揮発性記憶装置や補助記憶装置等で構成される。通信インタフェース装置1003は、通信網1020等に対応した通信インタフェースを備える。入出力インタフェース装置1004には入力装置1005および出力装置1006が接続されている。
【0145】
メモリ1002には、例えば、制御プログラム1011、設定情報1012、データベース(DB)1013、画面データ1014などが格納される。制御プログラム1011は、図3のファン制御機能300などの所定の機能を実現するコンピュータプログラムである。プロセッサ1001は、メモリ1002から読み出した制御プログラム1011に従った処理を実行することで、所定の機能を実行モジュールとして実現する。設定情報1012は、制御プログラム1011に関するシステム設定情報やユーザ設定情報である。DB1013は、例えば、SEMの撮像画像のデータや、ファン3の稼働や制御の履歴情報などが格納される。画面データ1014は、例えば後述のGUI画面を構成するWebページ等のデータである。
【0146】
ユーザU1は、例えば入力装置1005を操作し、出力装置1006に表示されるGUI画面を見て、コントローラ100のファン制御機能300を利用できるが、これに限らず、後述のように、クライアント端末装置1030を操作して、リモートでファン制御機能300を利用してもよい。
【0147】
[ユーザ・インタフェース]
図16は、図1の荷電粒子ビーム装置1のファン3、および図3のコントローラ100のファン制御機能300についてのユーザ・インタフェースの構成例を示す。図16の構成例では、荷電粒子ビーム装置1の制御機器5によって構成されるコントローラ100に対し、通信網1020(例えばLAN)を介する通信で、ユーザ・インタフェースとなるクライアント端末装置1030が接続されている。そして、コントローラ100は、クライアント端末装置1030に、ファン制御機能300に関するGUI画面1050を提供する。クライアント端末装置1030は、自身のディスプレイに、そのGUI画面1050を表示する。ユーザU1は、そのGUI画面1050を見て、ファン制御機能300に関する指示や設定を行うことができ、また、前述の通知を受けることができる。
【0148】
図16では、GUI画面1050の表示例も示している。本GUI画面1050は、ファン構成欄1601や通知欄1602を有する。ファン構成欄1601では、複数のファン3の構成情報、例えば個別のファン3ごとに風量Qや回転数Rの設定値を表示する。また、ユーザU1が変更ボタンを操作することで、各ファン3の構成、設定値を変更できる。
【0149】
通知欄1602では、ファン制御機能300からユーザU1への通知の情報を表示する。例えば、定期診断の実行結果(OK/NG)や、回転数を調整した場合の通知が表示される。通知欄1602では、必要に応じて前述のステップS19やS20のような通知も表示される。
【0150】
その他、GUI画面1050には、回転数や風量などのパラメータについての時系列上のグラフ等を表示してもよい。
【0151】
また、他の構成例としては、クリーンルーム内で、コントローラ100に対し、本体カバー2の外側に、保守用のPC等の装置が通信で接続されてもよい。ユーザU1は、その装置に表示されるGUI画面1050を見て、保守等の作業を行うことができる。
【0152】
[効果等]
以上説明したように、実施の形態1の荷電粒子ビーム装置1によれば、本体カバー2で覆われた本体装置内の温度上昇を防ぐとともに、ファン3による振動や騒音の影響によって装置性能、例えば撮像画像の品質が低下することを防ぐことができる。これにより、例えば半導体処理装置等の精密な動作が実現でき、撮像や検査等の精度や品質の低下を防止できる。また、実施の形態1によれば、ファン3の保守・交換の作業を支援できる。
【0153】
[実施の形態1の変形例]
実施の形態1の変形例として、以下も可能である。変形例として、複数のファン3としては、回転数可変タイプのファン3として、回転数を連続的に可変できるタイプに限らずに、回転数をいくつかの値から選択して段階的に可変できるタイプのものを用いてもよい。
【0154】
変形例として、複数のファン3としては、異なる固定回転数や異なる回転数範囲などの異なる仕様を有する複数のファン3が混在する構成も可能である。
【0155】
実施の形態1では、図12のステップS61の際に、個別のファン3をオン状態として、共振の原因に関する診断・チェックを行う構成とした。これに限定されず、個別のファン3をオフ状態にして、共振の原因に関する診断・チェックを行う構成も同様に可能である。
【0156】
<実施の形態2>
図17以降を用いて、実施の形態2の荷電粒子ビーム装置について説明する。実施の形態2等の基本的な構成は実施の形態1と同様・共通であり、以下では、実施の形態2等における実施の形態1とは異なる構成部分について主に説明する。
【0157】
実施の形態2では、コントローラ100は、送風機の法則における回転数変化量を±20%にする条件を満たすかどうかを確認し、満たさない場合には、温度センサを用いて追加の制御を行う。実施の形態2では、コントローラ100がそのような制御・調整を自動で行う。
【0158】
前述の実施の形態1では、ファン回転数可変に伴い総風量を一定とするように制御することで、荷電粒子ビーム装置1内の温度の安定化を図っている。しかしながら、前述のように、送風機の法則から、回転数の変化量が±20%以内でないと、風量は回転数との比例関係を保てない。
【0159】
そのため、実施の形態2では、ファン回転数可変制御で回転数Rの変化量が±20%以上となる場合も想定し、荷電粒子ビーム装置1内の温度、具体的には本体カバー2内の温度についても、仕様値を設ける。そして、コントローラ100は、回転数Rの変化量が±20%を超える場合でも、温度センサによる温度値が仕様値を満たすかを確認し、満たすのであれば制御を有効とする。
【0160】
図17は、実施の形態2の荷電粒子ビーム装置1の構成を示す。図17の構成は、図1の構成に対し異なる点としては、本体カバー2内に温度センサ6が設置されている。本例では、温度センサ6は、制御機器5の近く、仕切り板2cに設置されている。温度センサ6は、コントローラ100と電気的に接続されている。
【0161】
また、図17の構成では、ファン3の近く、ダクト4において、外部速度設定器11が設けられている。外部速度設定器11は、ユーザによる手動操作で、ファン3の回転速度(それに対応する回転数)を調節するように設定できる操作器であり、例えばダイヤルやボタン等や、回路基板等を有する装置である。外部速度設定器11は、ファン3と接続されていて、直接的にファン3の状態の設定ができる装置でもよいし、コントローラ100と接続されていて、コントローラ100を介在してファン3の状態の設定ができる装置でもよい。
【0162】
制御機器5によるコントローラ100は、温度センサ6を用いて、荷電粒子ビーム装置1内の温度、具体的には本体カバー2内の温度、特に制御機器5付近の温度を監視する。そして、コントローラ100は、温度センサ6の温度検出値を用いて、荷電粒子ビーム装置1内の温度安定を保つ。このための基本的なファン3の回転数の制御の動作・機能は、実施の形態1と同様である。コントローラ100は、複数のファン3の回転数を増減させるように変化させることで、ファン3の総風量を一定以上とし、かつ、撮像画像の振動情報における振幅が仕様値以下に収まるように調整する。
【0163】
図18は、実施の形態2でのコントローラ100によるファン制御機能300の処理フローを示す。フローの前半は図10および図12のフローと同様であるため省略する。図18では、ステップS18よりも後の部分を示す。前述の図12のステップS82で振幅が仕様値以内かを確認した結果、仕様値以内の場合(YES)、制御終了ではなく、図18のステップS21に遷移する。
【0164】
実施の形態2では、コントローラ100は、ファン回転数制御の際に、ファン3の回転数の変化量が±20%を超える場合に、温度センサ6の温度値を確認する。そして、コントローラ100は、温度が仕様値(言い換えると温度閾値)以下になるように、ファン3の回転数を変化させる。コントローラ100は、温度が仕様値以下になったことを確認した後、再度、振動の状態を確認して、振幅が仕様値以内に収まっている場合には、制御動作を終了する。
【0165】
図18では、ステップS21で、コントローラ100は、ステップS17によるファン3の回転数の変化量が±20%以内であるかを確認する。±20%以内である場合(YES)には、本ファン制御機能300の制御の成功ということで、本フローが終了する。±20%以内ではない場合(NO)には、ステップS22へ進む。
【0166】
ステップS22で、コントローラ100は、温度センサ6の検出温度値が、温度仕様値以内に収まっているかを確認する。温度仕様値以内に収まっている場合(YES)には、本制御の成功ということで、本フローが終了する。温度仕様値以内に収まっていない場合(NO)には、ステップS23へ進む。
【0167】
ステップS23で、コントローラ100は、複数のファン3の回転数をさらに増減することで調整する。この調整の仕方については限定しない。この際の調整は、温度値が温度仕様値以内になることを目標とする調整である。
【0168】
ステップS23の調整の後に、ステップS24で、コントローラ100は、再度、温度センサ6の温度値が、温度仕様値以内に収まっているかを確認する。温度仕様値以内に収まっていない場合(NO)には、ステップS23に戻り、コントローラ100は、同様に、温度仕様を満たすための調整の制御を試行する。
【0169】
ステップS24で温度仕様値以内に収まった場合(YES)には、ステップS25で、コントローラ100は、撮像画像からの振動情報の解析に基づいて、振幅が仕様値以内に収まっているかを確認する。仕様値以内に収まっている場合(YES)には、本制御の成功ということで、本フローが終了する。仕様値以内に収まっていない場合(NO)には、ステップS23に戻り、コントローラ100は、同様に、調整の制御を試行する。
【0170】
なお、ステップS23~S25での調整を何回か試行した結果、それでも仕様値を満たせなかった場合には、コントローラ100は、前述のステップS20等と同様に、ユーザに対し、現在の状態を通知してもよい。すなわち、コントローラ100は、振幅または温度の仕様を満たしていない旨や、ファン3の交換を推奨する旨を通知してもよい。
【0171】
上記実施の形態2によれば、実施の形態1の機能に加え、ファン3の回転数を±20%を超えるより広い範囲で可変しながら、荷電粒子ビーム装置1内の温度、具体的には本体カバー2内の温度の安定化を図ることができる。
【0172】
[実施の形態2の変形例]
上記実施の形態2は、コントローラ100による自動制御動作を想定しており、回転数の可変量を、±20%の制限を超えて試行することで、総排気風量による装置内温度の安定化を図っている。ただし、ファン3の回転数の増減変化の際の単位量、言い換えると刻みの幅(図12のステップS72での一定値)を、例えば5%ずつ、といったように一定値とした場合、振幅や温度の状態を仕様値以内に収めるための調整パターンが限られてくる可能性がある。単位量の設定値によっては、仕様値を満たせない制御結果になる可能性がある。
【0173】
そこで、実施の形態2の変形例としては、追加の機能として、図17の外部速度設定器11を用いて、ユーザの手動操作による各ファン3の回転数の調整を可能にする。ユーザは、外部速度設定器11を操作することで、各ファン3の回転数を、所定の回転数範囲内での所望の値に設定できる。この設定は、コントローラ100によるファン3の回転数の増減変化の際の単位量(例えば5%)よりも細かい量で連続的に変更可能とする。
【0174】
例えば、前述の図12のステップS20で、コントローラ100は、回転数可変制御の結果で振幅が仕様値を満たさない結果となった場合に、状態を通知する際に、以下のようにしてもよい。コントローラ100は、回転数を調整したファン3である原因ファン(第1ファン)と、そのファン3の自動調整時に試行した回転数とを含む情報を、ユーザに通知するとともに、手動での回転数の調整の推奨を通知する。ユーザは、その通知の情報に基づいて、外部速度設定器11を手動操作して、自動調整時の回転数の付近で原因ファンの回転数を手動調整する。コントローラ100は、この手動調整がされた場合には、撮像画像の振動情報に基づいて振幅が仕様値を満たすかを確認して、ファン3の状態を通知してもよい。この手動調整の結果、振幅が仕様値を満たす状態に収まる可能性がある。
【0175】
同様に、図18のファン回転数増減調整のステップS23~S25で、コントローラ100による自動調整を何回か試行した結果、仕様値を満たさない場合(例えばS25でNOとなった場合)に、コントローラ100は、ユーザに対し、原因ファン、回転数の情報、手動での回転数の調整の推奨などを通知する。ユーザは、通知を受けて、外部速度設定器11を手動操作して、自動調整時の回転数の付近で原因ファンの回転数を手動調整する。コントローラ100は、この手動調整がされた場合には、撮像画像の振動情報に基づいて振幅が仕様値を満たすかを確認して、ファン3の状態を通知してもよい。ユーザは、通知に応じて同様に調整を繰り返す。この手動調整の結果、振幅が仕様値を満たす状態に収まる可能性がある。
【0176】
また、他の変形例では、コントローラ100によるファン3の回転数の増減変化の際の単位量(例えばステップS71での5%)を可変に設定できるようにしてもよい。例えば、ユーザがGUI画面1050(図16)で単位量を設定できるようにしてもよいし、外部速度設定器11を操作することで単位量を設定できるようにしてもよい。この設定に応じて、コントローラ100は、上記自動調整を行う。この自動調整の結果、振幅が仕様値を満たす状態に収まる可能性がある。
【0177】
<実施の形態3>
前述の実施の形態1や2では、ファン3の状態に関する確認動作(前述の診断・チェック)の頻度として、例えば1日1回などの定期や、任意の保守作業時を想定している。前述の振動についての仕様値(例えば図7の振幅の仕様値α)は、画像に揺れが生じることで測長値に悪影響が出る場合をNGとするように設定される。そのため、仕様値内になるように振動を抑えるための動作時間の長期化が懸念される。実施の形態1等では、ファン3を原因としてある程度の振動が生じている場合でも、振幅が仕様値以内である期間では、回転数の調整は行われず、振幅が仕様値を超えてはじめて回転数の調整が行われる。
【0178】
そこで、実施の形態3では、ファン回転数制御に関する動作時間の長期化を防ぐために、言い換えると短期での制御も実現するために、機能が追加される。この追加される機能では、測長値には悪影響が無い程度の振動であっても、以下のような条件で確認動作を行う。実施の形態3では、コントローラ100は、前回の確認時の回転周波数F(それに対応する回転数R)から、回転周波数F(それに対応する回転数R)が所定量増加する値(+B%値とする)を、制御用第1閾値として設定する。制御用第1閾値を設定することで、ファン3を原因とする振動による振幅の増加が比較的少ない状態の時から、確認・調整を行うことができる。そのため、結果として、ファン3の回転数の変化量を±20%以内に抑えられる可能性が高くなり、動作時間の長期化を防ぐことができる。
【0179】
図19は、実施の形態3でのコントローラ100によるファン制御の処理フローを示す。本フローは、ステップS31~S40を有する。ステップS31で、コントローラ100は、所定のタイミングで、診断を開始する。ステップS32で、コントローラ100は、電子顕微鏡8による画像を撮像し、撮像画像から振動情報を取得し、振幅を測定する。ステップS33で、コントローラ100は、上記振幅が仕様値(例えば図7のα)以内であるかを確認する。仕様値以内である場合(YES)には、ステップS37へ進み、仕様値以内ではない場合(NO)には、ステップS34へ進む。
【0180】
ステップS34では、コントローラ100は、ファン3の回転数の増減の調整を行う。ステップS34の調整は、例えば実施の形態1や2でのファン回転数制御を同様に適用できる。その後、ステップS35で、コントローラ100は、振動情報に基づいて、振幅が仕様値以内に収まったかを確認する。仕様値以内に収まった場合(YES)には、本制御の成功ということで、本フローが終了となる。仕様値以内に収まっていない場合(NO)には、ステップS36へ進む。ステップS36では、コントローラ100は、ユーザに対し、現在の状態を通知し、本フローの終了となる。ユーザは、通知を受けて状態を確認する。
【0181】
一方、ステップS37では、コントローラ100は、前回の確認時から、振動情報の振幅の変化量が所定量(±B%値)以内かどうか、すなわち制御用第1閾値以内かどうかを確認する。所定量以内である場合(YES)には、本フローが終了する。所定量を超える場合(NO)には、ステップS38へ進む。ステップS38へ進むケースとは、ファン3を原因としてある程度の振幅が生じているが、振幅が仕様値内(OK)であり、前回の確認時からの振幅の変化量が±B%値を超えているケースである。
【0182】
ステップS38では、コントローラ100は、ファン3の回転数の増減の調整を行う。ステップS38の調整は、例えば実施の形態1や2でのファン回転数制御を同様に適用できる。その後、ステップS39で、コントローラ100は、前回の確認時から、振幅の変化量が所定量(±B%値)以内かどうかを確認する。所定量以内である場合(YES)には、本フローが終了する。所定量を超える場合(NO)には、ステップS40へ進む。ステップS40では、コントローラ100は、ユーザに対し、現在の状態を通知し、本フローの終了となる。ユーザは、通知を受けて状態を確認する。
【0183】
上記のように、実施の形態3での処理フローでは、振動情報の振幅が仕様値を超えていない期間でも、振幅の変化量が所定量(±B%値)を超えている条件で、確認・調整を行うものであり、より短期でのファン3の制御・調整が可能である。なお、±B%値(制御用第1閾値)は、本ファン制御機能300の設定値であり、一例では30%である。
【0184】
<他の変形例:ファンのオン/オフ制御>
他の変形例として以下も可能である。実施の形態1等では、複数のファン3のすべてのファン3を基本的にオン状態(回転動作状態)として、それらのファン3の回転数および風量を可変制御する場合を説明した。これに限定されず、実施の形態1等でのファン回転数制御に、複数のファン3の個別のファン3のオン/オフ制御を加えることも可能である。例えば、振動情報の解析・判断に基づいて、振動の原因と推定されるファン3として一部のファン3が特定されたとする。その場合に、コントローラ100は、その一部のファン3(第1ファン)のみをオフ状態にし、他のファン3(第2ファン)をオン状態として、他のファン3(第2ファン)において、回転数および風量を可変して仕様値を満たすように調整してもよい。
【0185】
図20は、この変形例でのファン制御の概要を示す。コントローラ100は、撮像画像からの振動情報の判断に基づいて、共振の原因となるファン3として例えばファン#1を特定したとする。コントローラ100は、ファン#1のみをオフ状態に切り替える。コントローラ100は、ファン#1のオフによって低減した分の風量(Q1)を、他のファン3であるファン#2~#5によって補償するように、それらのファン#2~#5の回転数を範囲内で増加させることで、トータルでの風量を一定以上に確保する。例えば、共振周波数を回避しつつ、ファン#2~#5の回転数R2~R5が、分担でそれぞれ増加されてもよい。
【0186】
また、その後、コントローラ100は、オフ状態にしているファン#1について、適宜のタイミングで一旦オン状態にして、振幅に関して確認し、仕様値を満たす状態になった場合には、オフ状態からオン状態に戻すようにしてもよい。
【0187】
<他の変形例:外部コンピュータシステム>
実施の形態1等では、本体カバー2内の複数の制御機器5のうちの1つ以上の制御機器5によるコントローラ100においてファン制御機能300(図3)が実装されている場合を説明したが、これに限定されない。本体カバー2の外部に、ファン制御機能300が設けられていてもよい。
【0188】
図21は、この変形例でのシステム構成を示す。図21の構成では、本体カバー2内の制御機器5によってコントローラ100が構成されており、このコントローラ100は、測長SEMの制御機能を有する。そして、このコントローラ100とは別に、本体カバー2の外部に、ファン制御機能300が実装されたコンピュータシステム500が設けられている。このコンピュータシステム500は、コントローラ100と通信で接続されるか、もしくは、複数のファン3と直接的に接続される。そして、このコンピュータシステム500によるファン制御機能300が、実施の形態1等と同様に、複数のファン3についての回転数の制御を行う。また、コンピュータシステム500は、前述(図16)のGUI画面1050の提供を含むユーザ・インタフェースとして機能する。このような変形例でも同様の効果を実現できる。
【0189】
<他の変形例:振動センサ>
実施の形態1等では、ファン3の制御のためにソースとして用いる入力情報として、電子顕微鏡8による撮像画像(SEM像)を用いること、そして、その撮像画像から振動情報を取得することを、特徴の1つとしている。これに限定されず、振動情報を取得するための入力情報としては、撮像画像以外の関連する情報を用いてもよい。例えば、コントローラ100は、撮像時の撮像情報や、ウェハ15の試料情報などを用いてもよい。撮像情報は、コントローラ100から本体装置の構成要素の装置(電子顕微鏡8等)をどのように駆動制御したかを表す情報や、光学的な撮像条件等の情報である。
【0190】
また、コントローラ100は、荷電粒子ビーム装置1に設置されている、他の種類のセンサデバイスの検出情報を利用してもよい。例えば、試料室9やステージ14に振動センサが設置されている場合に、その振動センサによる検出情報を利用してもよい。
【0191】
図22は、この変形例の構成を示す。この構成では、試料室9の例えば底面に、振動センサ18が設置されており、また、ファン3を搭載したダクト4にも振動センサ19が設置されている。振動センサ18,19はコントローラ100と電気的に接続されている。コントローラ100は、時系列上で、振動センサ18の検出情報および振動センサ19の検出情報を入力して振動の状態をモニタリングする。コントローラ100は、前述の診断時に、電子顕微鏡8による撮像画像から振動情報を取得するとともに、振動センサ18および振動センサ19による振動情報を取得する。コントローラ100は、それらの振動情報を解析・判断することで、振動の原因となる装置部位を特定する。コントローラ100は、例えば、画像揺れの原因となる装置部位が、ファン3であるか、ファン3以外の試料室9やステージ14等の構成要素であるかを切り分ける。コントローラ100は、原因がファン3である場合には、前述のファン回転数制御を同様に行う。このような変形例でも同様の効果を実現できる。
【0192】
<他の変形例:診断用のウェハおよびパターン>
他の変形例として、診断用の所定の試料、所定のパターンを予め用意しておき、診断時には、毎回、同じく、その診断用の所定の試料、所定のパターンを使用するようにしてもよい。図22には、この変形例に関する構成要素もあわせて図示している。ステージ14上に、診断用の所定の試料20(言い換えるとサンプルウェハ)が予め設置されている。この試料20は、ステージ14を構成する一部としてもよい。診断時には、コントローラ100は、ステージ14を移動制御して、電子顕微鏡8の視野内に所定の試料20の所定のパターン(例えば前述のホールパターン)を位置付ける。そして、コントローラ100は、その所定のパターンを撮像した画像を取得し、前述の振動情報を取得する。
【0193】
この変形例では、コントローラ100は、診断時に、毎回、同じパターンに対し、同じ撮像条件で、画像を撮像し、その撮像画像に基づいた振動情報から、振幅の状態を判定する。これにより、荷電粒子ビーム装置1の振動の状態の変化を把握しやすい。
【0194】
また、コントローラ100は、毎回の診断時に処理した各データ・情報を、履歴情報として、メモリ資源に保持しておいてもよい。その場合、コントローラ100は、荷電粒子ビーム装置1の振動の状態について、時間軸上の変遷を把握でき、ファン3の制御や交換作業に有効活用できる。
【0195】
以上、本開示の実施の形態について具体的に説明したが、前述の実施の形態に限定されず、要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。各実施の形態は、必須構成要素を除き、構成要素の追加・削除・置換などが可能である。特に限定しない場合、各構成要素は、単数でも複数でもよい。各実施の形態や変形例を組み合わせた形態も可能である。
【符号の説明】
【0196】
1…荷電粒子ビーム装置、2…本体カバー、3…送風機(ファン)、4…ダクト、5…制御機器、8…電子顕微鏡、9…試料室、14…ステージ、100…コントローラ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図10
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図22